燃料油タンクの防護カバー
【課題】 屋外に設置する燃料油タンクにおいて、タンク上面の油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きに関係する危険に対処できる燃料油タンクの防護カバーを提供する。
【解決手段】 給油口蓋4を覆いタンク上面に載せる給油口カバー11と、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔とエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔を設け、エアー抜き5のほぼ側面部を覆いうエアー抜きカバー12と、エアー抜き5の管における内側アールの最上端直下に錠金具孔を設け、錠金具孔を通りエアー抜き5の管の下方に位置する錠金具13を設けた。
【解決手段】 給油口蓋4を覆いタンク上面に載せる給油口カバー11と、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔とエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔を設け、エアー抜き5のほぼ側面部を覆いうエアー抜きカバー12と、エアー抜き5の管における内側アールの最上端直下に錠金具孔を設け、錠金具孔を通りエアー抜き5の管の下方に位置する錠金具13を設けた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地で使用される燃料油ストーブや暖房・給湯用ボイラー等の燃料油(主に白灯油)タンクで、屋外に設置する燃料油タンクの防護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置する燃料油タンクでは、タンク下面に燃料フィルターや水抜き栓及び小出し口を供えた送油口を設け、送油口に連なる送油管を地面の下を通して屋内の燃料油ストーブや暖房用ボイラーに連結している。また、タンク上面に油量を表示する油量ゲージとタンク内に給油するため開閉自在な蓋を設けた給油口蓋とタンク内に空気を導入するエアー抜きを設けている。
【0003】
このような屋外に設置する燃料油タンクでは、夜間に小出し口を開けて油を抜き取る事件や、送油管を切断して油を流出させる、流出した油に火を着けるという危険な事件が発生している。
【0004】
そこで、タンク下面の送油口とそれに連なる送油管のみを覆うようにして、送油口に関係する危険に対処したものが知られている。
【0005】
例えば、実用新案登録第3115857号公報に示されるように、タンク下面と地面の間に防護カバーを設けて送油口とそれに連なる送油管を収容し、タンク下面の耳部に取り付け固定する取付ブラケットを設け、取付ブラケットに背面上防護カバーを固定し、背面上防護カバーに正面上防護カバーを固定し、正面上防護カバーの下方に上下位置を調節自在に正面下防護カバーを固定し、背面上防護カバーの下方に上下位置を調節自在に背面下防護カバーを固定したものである。
【0006】
また、夜間に給油口蓋を開けて油を抜き取る事件や、異物を混入される危険がある。
【0007】
そこで、給油口蓋を回せないようにして給油口に関係する危険に対処したものが知られている。
【0008】
例えば、特開2004−284644号公報に示されるように、給油口蓋の周縁に係合する回り止め金具を設け、タンク上面の給油口ニップル以外の付属物と回り止め金具を錠にて係合施錠し、回り止め金具と錠は給油口蓋が所定角度以下の回転しか許容しないよう緊張状態の長さとし、かつ錠を開錠してタンク上面の給油口ニップル以外の付属物より回り止め金具を離脱可能としたものである。
【0009】
また、燃料油タンク全体を覆うようにして、給油口蓋や送油口に関係する危険にも対処したものも知られている。
【0010】
例えば、実用新案登録第3103219号公報に示されるように、タンクからの油漏れを受容する防油槽と、その上部を閉鎖しタンク全体を覆うカバー部で構成し、カバー部の給油口及び送油口に対応する部位に開閉可能な作業窓を設けたものである。
【特許文献1】実用新案登録第3115857号公報
【特許文献2】特開2004−284644号公報
【特許文献3】実用新案登録第3103219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の燃料油タンク全体を覆うようにしたものでは、あらゆる危険から防護できるが、一般家庭に設置される燃料油タンクのようにそれ程の防護が必要でなく、盗取や異物混入に関係する危険にのみ対処できれば良い場合にはあまりに高価となり、現実的には一般的に設置されていない。また、既に設置してある燃料油タンクに取り付けすることはできない。
【0012】
また、給油口蓋を回せないようにしたものでは、最近の給油口蓋は合成樹脂製のため、給油口蓋をハンマーなどで破壊して盗取しようとするものには対処できない。
【0013】
さらに、エアー抜きはその管の外周のネジでタンクに締着されているので、悪意の者が相当の力で回せば取り外すことができ、タンクに開口が生じる。油量ゲージはその表示基部に設けた3本の押しネジでタンクに固定されているので、悪意の者が螺子回しで押しネジを緩めれば取り外すことができ、タンクに開口が生じる。
【0014】
そこで本発明は、タンク上面の油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きに関係する危険に対処でき、燃料油タンク全体を覆うことなく安価に提供でき、既に設置してある燃料油タンクにも取り付けられる燃料油タンクの防護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明の燃料油タンクの防護カバーは、燃料油を貯蔵するタンク1上面に油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを設けた燃料油タンクにおいて、該油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを防護する防護カバー10を設け、防護カバー10には、給油口蓋4を覆いタンク1上面に載せる給油口カバー11と、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11cとエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11aを設け、倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5のほぼ側面部を覆い給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12と、エアー抜き5の管における内側アールの最上端直下に位置するエアー抜きカバー12の側面に錠金具孔12cを設け、錠金具孔12cを通りエアー抜き5の管の下方に位置する錠金具13を設けたものである。
【0016】
請求項2の発明の燃料油タンクの防護カバーは、給油口カバー11のエアー抜き孔11aから所定距離だけ離れた位置に係合部11bを設け、エアー抜き5を回したとき給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12が係合部11bに係合するものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、給油口蓋4を覆いタンク1上面に載せる給油口カバー11により、給油口蓋4を回して開けられることが無いし、合成樹脂製の給油口蓋4でも破壊することができないから、給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0018】
また、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11cを設けることにより、その表示基部3bが給油口カバー11に覆われ取り外すことができないから、油量ゲージ3に関係する危険に対処できる。
【0019】
また、倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5のほぼ側面部を覆い給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12と、エアー抜き5の管における内側アールの最上端直下に位置するエアー抜きカバー12の側面に錠金具孔12cを設け、錠金具孔12cを通りエアー抜き5の管の下方に位置する錠金具13を設けることにより、錠金具13がエアー抜き5の管の下方に当接してエアー抜きカバー12が上方に移動しなくなり、給油口カバー11もエアー抜きカバー12に押えられて持ち上げることができないから、油量ゲージ3や給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0020】
また、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11cとエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11aを設けることにより、給油口カバー11には油量ゲージ3とエアー抜き5の二個がはまり込んでいることになり、給油口カバー11を水平方向に回すことができないから、油量ゲージ3や給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0021】
請求項2の発明によれば、給油口カバー11のエアー抜き孔11aから所定距離だけ離れた位置に上方に係合部11bを設け、エアー抜き5を回したとき給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12が係合部11bに係合することにより、エアー抜き5を回して取り外すことができないから、エアー抜き5に関係する危険に対処できる。
【0022】
また、防護カバー10は給油口カバー11とエアー抜きカバー12により油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを覆うものであり、燃料油タンク全体を覆うことなく安価に提供できる。
【0023】
また、防護カバー10は油量ゲージ3とエアー抜き5により固定されるので、特別な固定金具を必要とせずに取り付けられ、既に設置してある燃料油タンクにも取り付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料油タンクの防護カバー10である。
【0025】
この燃料油タンクは、燃料油ストーブや暖房・給湯用ボイラー等の燃料油を貯蔵するタンク1であり、約500リットルの白灯油を貯蔵する家庭用の屋外に設置されるもので、燃料油を貯蔵する略立方体のタンク1と、タンク1を支持し四隅に位置する4本の脚2と、タンク1の上面に設けた燃料油の量を計測する油量ゲージ3と、同じく上面に設けたネジで密閉できる給油口蓋4と、同じく上面に設けたエアー抜き5と、タンク1の下面に設けた送油口6とからなる。タンク1上面には、油量ゲージ3、エアー抜き5、給油口蓋4の順に並んでいる。
【0026】
タンク1は、2枚の四角い皿状の鋼板からなり、その凸部を外側として外周の耳部で溶接して合わせ、その耳部を垂直方向として設置する。タンク1の左右の耳部から下方に脚2を設け、2本の脚2で耳部を挟みボルトで止着し固定する。各々の脚2はその下端を束石8により設置される地面Eに固定され、タンク1が地震などで転倒しないようにする。
【0027】
タンク1の上面に突出した油量ゲージ3は、タンク1内の油面を浮子により計測して指針の上下により油量を表示部3aにて表示するもで、表示部3aより下方の表示基部3bに設けた3本の押しネジでタンク1に固定される。表示部3aは透明な合成樹脂製であるが、中の指針が見えるようにしなければならないため、防護カバー10で覆うことはできない。なお、表示基部3bの径は表示部3aの径より大となっている。
【0028】
タンク1の上面の給油口蓋4は、その内側のネジを回すことにより開閉自在とした蓋であり、給油口蓋4を取り外した給油口を通じてタンクローリーからタンク1内に給油される。実施例では、給油口蓋4を合成樹脂製とした。
【0029】
タンク1の上面に突出したエアー抜き5は、タンク1内外を連通し燃料油の消費に伴い空気をタンク1内に導入するもので、倒立「J」の字状の管であり、エアー抜き5の下向き管端部の開口には消防法による定めにより、火の粉がタンク内部へ侵入しないよう金網のストレーナーを設けている。エアー抜き5の基部は、その管の外周のネジでタンクに締着して固定する。実施例ではエアー抜き5の管端部は油量ゲージ3の方向としているが、実際には水平方向に種々の方向を向いて固定される。
【0030】
送油口6には、油中のゴミを濾過するフィルター、タンク1内底部に溜まった水を抜くための水抜き栓、カートリッジタンクなどへ給油するための小出し口、タンク1からフィルターへの送油を停止するための開閉バルブ、送油管7を接続する送油管接続口が設けられる。
【0031】
送油口6の送油管接続口と燃料油ストーブ等とは送油管7で連結され、燃料油はその自重により送油される。
【0032】
防護カバー10は、油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを防護する。
【0033】
防護カバー10には、給油口カバー11とエアー抜きカバー12と錠金具13と錠14を設ける。
【0034】
給油口カバー11は、平面視略方形の板の四辺を下方に折り曲げた形状であり、給油口蓋4を覆う高さを有し、その下端部がタンク1上面に載せられる。給油口カバー11に、油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11cを設け、油量ゲージ孔11cの径は表示基部3bの径より小で表示部3aの径より大とする。また、給油口カバー11に、エアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11aを設け、エアー抜き孔11aの径はエアー抜き5の管径より大とする。
【0035】
給油口カバー11の、エアー抜き孔11aから油量ゲージ孔11cの方向に所定距離だけ離れた位置に、係合部としての上方に突出する回り止めピン11bを設ける。ここで、所定距離とは回り止めピン11bがエアー抜きカバー12に係合できる距離のことである。
【0036】
給油口カバー11を取り付けるには、給油口カバー11を裏返し状態として、エアー抜き孔11aにエアー抜き5の管端部から挿入し、倒立「J」の字状の管を通すことにより給油口カバー11は反転する。油量ゲージ孔11cに油量ゲージ3の表示部3aを通すが、エアー抜き5の管端部と油量ゲージ3の表示部3a上端との高さの差が少ないため、給油口カバー11の一側の長辺折り曲げ部の長さは短くしている。油量ゲージ孔11cに油量ゲージ3の表示部3aを通すと、給油口カバー11は給油口蓋4を覆う位置となってタンク1上面に載せられる。
【0037】
エアー抜きカバー12は、2枚の「コ」の字形状の板の突端部を合わせて止着した上下が開口した略角筒形状であり、倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5に僅かの隙間で上方から被せられる。
【0038】
エアー抜きカバー12のエアー抜き5の管端部に対応する位置に切り欠き12bを設け、エアー抜き5の空気の流通を妨げないよう四側面を覆う。さらに、エアー抜きカバー12の側面には多数の空気孔12dを設ける。
【0039】
エアー抜きカバー12の長辺下端には水平方向に折り曲げた一対の接当片12aを設け、接当片12aが給油口カバー11に接当して、エアー抜きカバー12が給油口カバー11上に位置する。
【0040】
エアー抜きカバー12の長辺側面に一対の錠金具孔12cを設け、一対の錠金具孔12cはエアー抜き5の管における内側アールの最上端直下に位置し、同じ高さとした矩形の縦長孔とする。
【0041】
錠金具13は、「L」の字形状の板であり、その一端に錠係止孔13aを設け、錠金具13の錠係止孔13aを設けた方をエアー抜きカバー12の錠金具孔12cに通して錠係止孔13aを露出させる。このとき、錠金具13は錠金具孔12cを通りエアー抜き5の管の下方に位置することになる。
【0042】
そのため、錠金具13がエアー抜き5の管の下方に当接してエアー抜きカバー12が上方に抜けなくなり、給油口カバー11もエアー抜きカバー12に押えられて持ち上げることができなくなる。
【0043】
エアー抜きカバー12から露出した錠金具13の錠係止孔13aに通して錠14を設ける。錠14は施錠および開錠が容易に可能なものとする。
【0044】
実施例では回り止めピン11bがエアー抜きカバー12の内側に位置して状態を示しているが、エアー抜き5は水平方向に種々の方向を向いて固定されるため、それに被せられるエアー抜きカバー12も水平方向に種々の方向を向いて取り付けられ、回り止めピン11bとは無関係な方向に取り付けられることも往々にしてある。しかし、悪意の者がエアー抜き5を回したとしても、一回転以内に給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12が回り止めピン11bに係合して、それ以上エアー抜き5を回して緩めることができない。
【0045】
なお、エアー抜きカバー12の接当片12aが回り止めピン11b上に位置してしまう場合には、エアー抜き5を僅かに増締めするか緩めれば良い。
【0046】
また、給油に際しては、錠14を開錠して錠金具13を抜き、エアー抜きカバー12を上方に抜き出して給油口カバー11を持ち上げ、給油口蓋4を回して取り外す。
【0047】
以上の実施例では、エアー抜きカバー12がエアー抜き5の四側面を覆い上方から被せる例を示したが、エアー抜きカバーは三方の側面を覆い横から被せるようにしても良いし、エアー抜き5をほぼ側面部を覆うようにすれば良い。
【0048】
また、錠金具13がエアー抜き5の管における内側アールの最上端直下にのみ位置する例を示したが、錠金具が「U」の字形状でエアー抜き5の管を挟み込むように上下に位置するようにしても良い。
【0049】
また、錠金具13が別に設けた錠14により施錠される例を示したが、錠金具そのものに施錠機構を設けるようにしても良い。
【0050】
給油口カバー11の係合部として、上方に突出する回り止めピン11bによる例を示したが、給油口カバー11の係合部は孔や段差でも良く、その場合にはエアー抜きカバー側に突起を設ければ良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】燃料油タンクの防護カバーの一実施例を示す正面図である。
【図2】その側面図である
【図3】その要部の平面図である。
【図4】図1の要部を示す部分拡大図である。
【図5】図2の要部を示す部分拡大図である。
【図6】給油口カバーの平面図である。
【図7】給油口カバーの正面図である。
【図8】エアー抜きカバーの正面図である。
【図9】エアー抜きカバーの側面図である。
【図10】エアー抜きカバーの平面図である。
【図11】錠金具の側面図である。
【図12】防護カバーの取り付け方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 タンク
3 油量ゲージ
3a 表示部
4 給油口蓋
5エアー抜き
10 防護カバー
11 給油口カバー
11a エアー抜き孔
11b 係合部としての回り止めピン
11c 油量ゲージ孔
12 エアー抜きカバー
12c 錠金具孔
13 錠金具
【技術分野】
【0001】
本発明は、寒冷地で使用される燃料油ストーブや暖房・給湯用ボイラー等の燃料油(主に白灯油)タンクで、屋外に設置する燃料油タンクの防護カバーに関する。
【背景技術】
【0002】
屋外に設置する燃料油タンクでは、タンク下面に燃料フィルターや水抜き栓及び小出し口を供えた送油口を設け、送油口に連なる送油管を地面の下を通して屋内の燃料油ストーブや暖房用ボイラーに連結している。また、タンク上面に油量を表示する油量ゲージとタンク内に給油するため開閉自在な蓋を設けた給油口蓋とタンク内に空気を導入するエアー抜きを設けている。
【0003】
このような屋外に設置する燃料油タンクでは、夜間に小出し口を開けて油を抜き取る事件や、送油管を切断して油を流出させる、流出した油に火を着けるという危険な事件が発生している。
【0004】
そこで、タンク下面の送油口とそれに連なる送油管のみを覆うようにして、送油口に関係する危険に対処したものが知られている。
【0005】
例えば、実用新案登録第3115857号公報に示されるように、タンク下面と地面の間に防護カバーを設けて送油口とそれに連なる送油管を収容し、タンク下面の耳部に取り付け固定する取付ブラケットを設け、取付ブラケットに背面上防護カバーを固定し、背面上防護カバーに正面上防護カバーを固定し、正面上防護カバーの下方に上下位置を調節自在に正面下防護カバーを固定し、背面上防護カバーの下方に上下位置を調節自在に背面下防護カバーを固定したものである。
【0006】
また、夜間に給油口蓋を開けて油を抜き取る事件や、異物を混入される危険がある。
【0007】
そこで、給油口蓋を回せないようにして給油口に関係する危険に対処したものが知られている。
【0008】
例えば、特開2004−284644号公報に示されるように、給油口蓋の周縁に係合する回り止め金具を設け、タンク上面の給油口ニップル以外の付属物と回り止め金具を錠にて係合施錠し、回り止め金具と錠は給油口蓋が所定角度以下の回転しか許容しないよう緊張状態の長さとし、かつ錠を開錠してタンク上面の給油口ニップル以外の付属物より回り止め金具を離脱可能としたものである。
【0009】
また、燃料油タンク全体を覆うようにして、給油口蓋や送油口に関係する危険にも対処したものも知られている。
【0010】
例えば、実用新案登録第3103219号公報に示されるように、タンクからの油漏れを受容する防油槽と、その上部を閉鎖しタンク全体を覆うカバー部で構成し、カバー部の給油口及び送油口に対応する部位に開閉可能な作業窓を設けたものである。
【特許文献1】実用新案登録第3115857号公報
【特許文献2】特開2004−284644号公報
【特許文献3】実用新案登録第3103219号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の燃料油タンク全体を覆うようにしたものでは、あらゆる危険から防護できるが、一般家庭に設置される燃料油タンクのようにそれ程の防護が必要でなく、盗取や異物混入に関係する危険にのみ対処できれば良い場合にはあまりに高価となり、現実的には一般的に設置されていない。また、既に設置してある燃料油タンクに取り付けすることはできない。
【0012】
また、給油口蓋を回せないようにしたものでは、最近の給油口蓋は合成樹脂製のため、給油口蓋をハンマーなどで破壊して盗取しようとするものには対処できない。
【0013】
さらに、エアー抜きはその管の外周のネジでタンクに締着されているので、悪意の者が相当の力で回せば取り外すことができ、タンクに開口が生じる。油量ゲージはその表示基部に設けた3本の押しネジでタンクに固定されているので、悪意の者が螺子回しで押しネジを緩めれば取り外すことができ、タンクに開口が生じる。
【0014】
そこで本発明は、タンク上面の油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きに関係する危険に対処でき、燃料油タンク全体を覆うことなく安価に提供でき、既に設置してある燃料油タンクにも取り付けられる燃料油タンクの防護カバーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1の発明の燃料油タンクの防護カバーは、燃料油を貯蔵するタンク1上面に油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを設けた燃料油タンクにおいて、該油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを防護する防護カバー10を設け、防護カバー10には、給油口蓋4を覆いタンク1上面に載せる給油口カバー11と、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11cとエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11aを設け、倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5のほぼ側面部を覆い給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12と、エアー抜き5の管における内側アールの最上端直下に位置するエアー抜きカバー12の側面に錠金具孔12cを設け、錠金具孔12cを通りエアー抜き5の管の下方に位置する錠金具13を設けたものである。
【0016】
請求項2の発明の燃料油タンクの防護カバーは、給油口カバー11のエアー抜き孔11aから所定距離だけ離れた位置に係合部11bを設け、エアー抜き5を回したとき給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12が係合部11bに係合するものである。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によれば、給油口蓋4を覆いタンク1上面に載せる給油口カバー11により、給油口蓋4を回して開けられることが無いし、合成樹脂製の給油口蓋4でも破壊することができないから、給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0018】
また、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11cを設けることにより、その表示基部3bが給油口カバー11に覆われ取り外すことができないから、油量ゲージ3に関係する危険に対処できる。
【0019】
また、倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5のほぼ側面部を覆い給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12と、エアー抜き5の管における内側アールの最上端直下に位置するエアー抜きカバー12の側面に錠金具孔12cを設け、錠金具孔12cを通りエアー抜き5の管の下方に位置する錠金具13を設けることにより、錠金具13がエアー抜き5の管の下方に当接してエアー抜きカバー12が上方に移動しなくなり、給油口カバー11もエアー抜きカバー12に押えられて持ち上げることができないから、油量ゲージ3や給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0020】
また、給油口カバー11に油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11cとエアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11aを設けることにより、給油口カバー11には油量ゲージ3とエアー抜き5の二個がはまり込んでいることになり、給油口カバー11を水平方向に回すことができないから、油量ゲージ3や給油口蓋4に関係する危険に対処できる。
【0021】
請求項2の発明によれば、給油口カバー11のエアー抜き孔11aから所定距離だけ離れた位置に上方に係合部11bを設け、エアー抜き5を回したとき給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12が係合部11bに係合することにより、エアー抜き5を回して取り外すことができないから、エアー抜き5に関係する危険に対処できる。
【0022】
また、防護カバー10は給油口カバー11とエアー抜きカバー12により油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを覆うものであり、燃料油タンク全体を覆うことなく安価に提供できる。
【0023】
また、防護カバー10は油量ゲージ3とエアー抜き5により固定されるので、特別な固定金具を必要とせずに取り付けられ、既に設置してある燃料油タンクにも取り付けられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施例に係る燃料油タンクの防護カバー10である。
【0025】
この燃料油タンクは、燃料油ストーブや暖房・給湯用ボイラー等の燃料油を貯蔵するタンク1であり、約500リットルの白灯油を貯蔵する家庭用の屋外に設置されるもので、燃料油を貯蔵する略立方体のタンク1と、タンク1を支持し四隅に位置する4本の脚2と、タンク1の上面に設けた燃料油の量を計測する油量ゲージ3と、同じく上面に設けたネジで密閉できる給油口蓋4と、同じく上面に設けたエアー抜き5と、タンク1の下面に設けた送油口6とからなる。タンク1上面には、油量ゲージ3、エアー抜き5、給油口蓋4の順に並んでいる。
【0026】
タンク1は、2枚の四角い皿状の鋼板からなり、その凸部を外側として外周の耳部で溶接して合わせ、その耳部を垂直方向として設置する。タンク1の左右の耳部から下方に脚2を設け、2本の脚2で耳部を挟みボルトで止着し固定する。各々の脚2はその下端を束石8により設置される地面Eに固定され、タンク1が地震などで転倒しないようにする。
【0027】
タンク1の上面に突出した油量ゲージ3は、タンク1内の油面を浮子により計測して指針の上下により油量を表示部3aにて表示するもで、表示部3aより下方の表示基部3bに設けた3本の押しネジでタンク1に固定される。表示部3aは透明な合成樹脂製であるが、中の指針が見えるようにしなければならないため、防護カバー10で覆うことはできない。なお、表示基部3bの径は表示部3aの径より大となっている。
【0028】
タンク1の上面の給油口蓋4は、その内側のネジを回すことにより開閉自在とした蓋であり、給油口蓋4を取り外した給油口を通じてタンクローリーからタンク1内に給油される。実施例では、給油口蓋4を合成樹脂製とした。
【0029】
タンク1の上面に突出したエアー抜き5は、タンク1内外を連通し燃料油の消費に伴い空気をタンク1内に導入するもので、倒立「J」の字状の管であり、エアー抜き5の下向き管端部の開口には消防法による定めにより、火の粉がタンク内部へ侵入しないよう金網のストレーナーを設けている。エアー抜き5の基部は、その管の外周のネジでタンクに締着して固定する。実施例ではエアー抜き5の管端部は油量ゲージ3の方向としているが、実際には水平方向に種々の方向を向いて固定される。
【0030】
送油口6には、油中のゴミを濾過するフィルター、タンク1内底部に溜まった水を抜くための水抜き栓、カートリッジタンクなどへ給油するための小出し口、タンク1からフィルターへの送油を停止するための開閉バルブ、送油管7を接続する送油管接続口が設けられる。
【0031】
送油口6の送油管接続口と燃料油ストーブ等とは送油管7で連結され、燃料油はその自重により送油される。
【0032】
防護カバー10は、油量ゲージ3と給油口蓋4とエアー抜き5とを防護する。
【0033】
防護カバー10には、給油口カバー11とエアー抜きカバー12と錠金具13と錠14を設ける。
【0034】
給油口カバー11は、平面視略方形の板の四辺を下方に折り曲げた形状であり、給油口蓋4を覆う高さを有し、その下端部がタンク1上面に載せられる。給油口カバー11に、油量ゲージ3の表示部3aを上方に突出させる油量ゲージ孔11cを設け、油量ゲージ孔11cの径は表示基部3bの径より小で表示部3aの径より大とする。また、給油口カバー11に、エアー抜き5を上方に突出させるエアー抜き孔11aを設け、エアー抜き孔11aの径はエアー抜き5の管径より大とする。
【0035】
給油口カバー11の、エアー抜き孔11aから油量ゲージ孔11cの方向に所定距離だけ離れた位置に、係合部としての上方に突出する回り止めピン11bを設ける。ここで、所定距離とは回り止めピン11bがエアー抜きカバー12に係合できる距離のことである。
【0036】
給油口カバー11を取り付けるには、給油口カバー11を裏返し状態として、エアー抜き孔11aにエアー抜き5の管端部から挿入し、倒立「J」の字状の管を通すことにより給油口カバー11は反転する。油量ゲージ孔11cに油量ゲージ3の表示部3aを通すが、エアー抜き5の管端部と油量ゲージ3の表示部3a上端との高さの差が少ないため、給油口カバー11の一側の長辺折り曲げ部の長さは短くしている。油量ゲージ孔11cに油量ゲージ3の表示部3aを通すと、給油口カバー11は給油口蓋4を覆う位置となってタンク1上面に載せられる。
【0037】
エアー抜きカバー12は、2枚の「コ」の字形状の板の突端部を合わせて止着した上下が開口した略角筒形状であり、倒立「J」の字状の管であるエアー抜き5に僅かの隙間で上方から被せられる。
【0038】
エアー抜きカバー12のエアー抜き5の管端部に対応する位置に切り欠き12bを設け、エアー抜き5の空気の流通を妨げないよう四側面を覆う。さらに、エアー抜きカバー12の側面には多数の空気孔12dを設ける。
【0039】
エアー抜きカバー12の長辺下端には水平方向に折り曲げた一対の接当片12aを設け、接当片12aが給油口カバー11に接当して、エアー抜きカバー12が給油口カバー11上に位置する。
【0040】
エアー抜きカバー12の長辺側面に一対の錠金具孔12cを設け、一対の錠金具孔12cはエアー抜き5の管における内側アールの最上端直下に位置し、同じ高さとした矩形の縦長孔とする。
【0041】
錠金具13は、「L」の字形状の板であり、その一端に錠係止孔13aを設け、錠金具13の錠係止孔13aを設けた方をエアー抜きカバー12の錠金具孔12cに通して錠係止孔13aを露出させる。このとき、錠金具13は錠金具孔12cを通りエアー抜き5の管の下方に位置することになる。
【0042】
そのため、錠金具13がエアー抜き5の管の下方に当接してエアー抜きカバー12が上方に抜けなくなり、給油口カバー11もエアー抜きカバー12に押えられて持ち上げることができなくなる。
【0043】
エアー抜きカバー12から露出した錠金具13の錠係止孔13aに通して錠14を設ける。錠14は施錠および開錠が容易に可能なものとする。
【0044】
実施例では回り止めピン11bがエアー抜きカバー12の内側に位置して状態を示しているが、エアー抜き5は水平方向に種々の方向を向いて固定されるため、それに被せられるエアー抜きカバー12も水平方向に種々の方向を向いて取り付けられ、回り止めピン11bとは無関係な方向に取り付けられることも往々にしてある。しかし、悪意の者がエアー抜き5を回したとしても、一回転以内に給油口カバー11上に位置するエアー抜きカバー12が回り止めピン11bに係合して、それ以上エアー抜き5を回して緩めることができない。
【0045】
なお、エアー抜きカバー12の接当片12aが回り止めピン11b上に位置してしまう場合には、エアー抜き5を僅かに増締めするか緩めれば良い。
【0046】
また、給油に際しては、錠14を開錠して錠金具13を抜き、エアー抜きカバー12を上方に抜き出して給油口カバー11を持ち上げ、給油口蓋4を回して取り外す。
【0047】
以上の実施例では、エアー抜きカバー12がエアー抜き5の四側面を覆い上方から被せる例を示したが、エアー抜きカバーは三方の側面を覆い横から被せるようにしても良いし、エアー抜き5をほぼ側面部を覆うようにすれば良い。
【0048】
また、錠金具13がエアー抜き5の管における内側アールの最上端直下にのみ位置する例を示したが、錠金具が「U」の字形状でエアー抜き5の管を挟み込むように上下に位置するようにしても良い。
【0049】
また、錠金具13が別に設けた錠14により施錠される例を示したが、錠金具そのものに施錠機構を設けるようにしても良い。
【0050】
給油口カバー11の係合部として、上方に突出する回り止めピン11bによる例を示したが、給油口カバー11の係合部は孔や段差でも良く、その場合にはエアー抜きカバー側に突起を設ければ良い。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】燃料油タンクの防護カバーの一実施例を示す正面図である。
【図2】その側面図である
【図3】その要部の平面図である。
【図4】図1の要部を示す部分拡大図である。
【図5】図2の要部を示す部分拡大図である。
【図6】給油口カバーの平面図である。
【図7】給油口カバーの正面図である。
【図8】エアー抜きカバーの正面図である。
【図9】エアー抜きカバーの側面図である。
【図10】エアー抜きカバーの平面図である。
【図11】錠金具の側面図である。
【図12】防護カバーの取り付け方法を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0052】
1 タンク
3 油量ゲージ
3a 表示部
4 給油口蓋
5エアー抜き
10 防護カバー
11 給油口カバー
11a エアー抜き孔
11b 係合部としての回り止めピン
11c 油量ゲージ孔
12 エアー抜きカバー
12c 錠金具孔
13 錠金具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料油を貯蔵するタンク上面に油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きとを設けた燃料油タンクにおいて、該油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きとを防護する防護カバーを設け、防護カバーには、給油口蓋を覆いタンク上面に載せる給油口カバーと、給油口カバーに油量ゲージの表示部を上方に突出させる油量ゲージ孔とエアー抜きを上方に突出させるエアー抜き孔を設け、倒立「J」の字状の管であるエアー抜きのほぼ側面部を覆い給油口カバー上に位置するエアー抜きカバーと、エアー抜きの管における内側アールの最上端直下に位置するエアー抜きカバーの側面に錠金具孔を設け、錠金具孔を通りエアー抜きの管の下方に位置する錠金具を設けた燃料油タンクの防護カバー。
【請求項2】
給油口カバーのエアー抜き孔から所定距離だけ離れた位置に係合部を設け、エアー抜きを回したとき給油口カバー上に位置するエアー抜きカバーが係合部に係合する請求項1記載の燃料油タンクの防護カバー。
【請求項1】
燃料油を貯蔵するタンク上面に油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きとを設けた燃料油タンクにおいて、該油量ゲージと給油口蓋とエアー抜きとを防護する防護カバーを設け、防護カバーには、給油口蓋を覆いタンク上面に載せる給油口カバーと、給油口カバーに油量ゲージの表示部を上方に突出させる油量ゲージ孔とエアー抜きを上方に突出させるエアー抜き孔を設け、倒立「J」の字状の管であるエアー抜きのほぼ側面部を覆い給油口カバー上に位置するエアー抜きカバーと、エアー抜きの管における内側アールの最上端直下に位置するエアー抜きカバーの側面に錠金具孔を設け、錠金具孔を通りエアー抜きの管の下方に位置する錠金具を設けた燃料油タンクの防護カバー。
【請求項2】
給油口カバーのエアー抜き孔から所定距離だけ離れた位置に係合部を設け、エアー抜きを回したとき給油口カバー上に位置するエアー抜きカバーが係合部に係合する請求項1記載の燃料油タンクの防護カバー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−155218(P2007−155218A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351548(P2005−351548)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000137063)株式会社ホクエイ (29)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【出願人】(000137063)株式会社ホクエイ (29)
【Fターム(参考)】
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