説明

燃料蒸発装置

【課題】周囲温度の変化に影響されることなく安定的に液体燃料を蒸発させることが可能な燃料蒸発装置を提供する。
【解決手段】燃料蒸発通路36内に設けられる蒸発面51の、上流側を第1蒸発面51a、その下流側を第2蒸発面51bとし、第1蒸発面51aを第1ヒータ31-1で加熱し、第2蒸発面51bを第2ヒータ31-2で加熱する。そして、供給される液体燃料が増加した場合等、第1蒸発面51aの温度が低下した場合には、第2ヒータ31-2による加熱する第2蒸発面51bの設定温度をT1からT2(T2>T1)に変更する。その結果、第2ヒータ31-2による加熱量が増加し、第2蒸発面51bの温度を高めることができる。従って、第1蒸発面51aの低下と連動して第2蒸発面51bが低下することを早期に回避し、液体燃料を安定的に蒸発させることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに用いる液体燃料を蒸発させる燃料蒸発装置に係り、特に、温度変化が発生した場合であっても安定的に燃料を蒸発させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境問題への関心の高まりから、近年、各種燃料電池の利用が検討されている。このうち、効率の高い固体酸化物型燃料電池(SOFC;Solid Oxide Fuel Cell)の場合には、水素の多く含まれるガスを燃料とし、酸素を酸化剤として、水素及び一酸化炭素、炭化水素との電気化学的反応で発電を行う。この際、燃料ガスとして液体燃料を改質し、得られた改質ガスを燃料電池に供給する方式が採用されている。
【0003】
改質器に供給する液体燃料として、ガソリンをはじめとする高炭素数有機液体の液体原燃料が用いられ、これらの液体燃料は、燃料蒸発器によりガス化されて改質器に導入される。この際、燃料蒸発器は、液体燃料を安定的にガス化する必要があり、燃料蒸発通路の温度が略一定に保持されることが望まれる。即ち、燃料蒸発通路の温度が安定しない場合には、液体燃料に熱が適切な温度で伝達されにくくなる場合があり、コーキングが発生するという問題が生じる。
【0004】
この問題の解決策として、例えば、特開2006−327835号公報(特許文献1)に記載されているように、燃料電池システムで用いられる高温ガスを利用して蒸発熱面全体の温度を液体蒸発温度より少し高い温度に保持し、蒸発に十分な熱量を供給して燃料を蒸発させる方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−327835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された従来例では、蒸発器の下流側に該蒸発器での設定温度よりも高い温度で運転される機器(例えば、改質器)が接続される場合には、これら高温部の温度の影響を受ける場合がある。また、燃料の蒸発部では蒸発により熱が奪われるため、燃料量の変化によっても蒸発器の蒸発面は温度変動を受ける。このため、蒸発器の蒸発面温度は作動環境が変化すると安定した状態で燃料の蒸発を行い難いという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、周囲温度の変化に影響されることなく安定的に液体燃料を蒸発させることが可能な燃料蒸発装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願請求項1に記載の発明は、燃料蒸発通路を備え、外部より供給される液体燃料を蒸発させる燃料蒸発装置において、前記燃料蒸発通路中の第1蒸発領域を通過する液体燃料を加熱する第1加熱手段と、前記燃料蒸発通路中の、前記第1蒸発領域に隣接する第2蒸発領域を加熱する第2加熱手段と、前記第1蒸発領域の温度を検出する温度検出手段と、前記第1加熱手段、及び第2加熱手段による加熱温度を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段は、前記温度検出手段により検出される温度に応じて、前記第2加熱手段により加熱する際の設定温度を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る燃料蒸発装置では、温度検出手段により第1蒸発領域の温度を測定し、この測定温度に応じて、第1蒸発領域と隣接する第2蒸発領域の温度を制御するので、隣接する蒸発領域どうしで温度の変動を補完することができ、燃料蒸発通路内の温度を安定化することができる。その結果、液体燃料を安定的にガス化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料蒸発装置が用いられる燃料電池システムの構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る燃料蒸発装置の構成を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る燃料蒸発装置の、電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】蒸発面全体が熱的に平衡状態にあるときの、各蒸発面の温度、及び各ヒータの動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明の第1実施形態に係る燃料蒸発装置が適用されない場合の、各蒸発面の温度、及び各ヒータの動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る燃料蒸発装置が適用された場合の、各蒸発面の温度、及び各ヒータの動作を示すタイミングチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態に係る燃料蒸発装置が適用されない場合の、各蒸発面の温度、及び各ヒータの動作を示すタイミングチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る燃料蒸発装置が適用された場合の、各蒸発面の温度、及び各ヒータの動作を示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の第3実施形態に係る燃料蒸発装置が適用されない場合の、各蒸発面の温度、及び各ヒータの動作を示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の第3実施形態に係る燃料蒸発装置が適用された場合の、各蒸発面の温度、及び各ヒータの動作を示すタイミングチャートである。
【図11】本発明の変形例に係る燃料蒸発装置の、電気的な構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
[燃料電池システムの構成説明]
図1は、本発明の実施形態に係る燃料蒸発装置14が搭載される燃料電池システム100の構成を示すブロック図である。図1に示すように、該燃料電池システム100は、カソード11a及びアノード11bを備えた燃料電池11と、燃料改質器15a及び該燃料改質器15aを加熱する燃焼バーナ15bを備えた改質装置15と、を備えている。そして、燃料改質器15aより出力される改質ガスは、アノード11bに供給される。また、カソード11aの排出ガスは燃焼バーナ15bに供給される。
【0013】
また、燃料電池11のカソード11aに空気を供給する第1空気ブロワ12と、該第1空気ブロワ12より送出される空気を加熱する熱交換器13と、アノード11bの出口側に設置され、アノード排出ガスを燃料改質器15aに循環させる循環ブロワ16と、該循環ブロワ16の出口側に設置される分岐弁25と、を備えている。
【0014】
更に、燃料改質器15aに空気を供給する第2空気ブロワ17と、図示省略の燃料ポンプ等より送出される液体燃料を気化させる燃料蒸発装置14と、燃焼バーナ15bに空気を供給する第3空気ブロワ20と、を備えている。従って、第2空気ブロワ17より送出される空気、燃料蒸発装置14で気化された燃料ガス、及び分岐弁25を介して送出されるアノード排気ガスは、混合ガスとして燃料改質器15aに供給される。
【0015】
そして、燃料電池11のアノード11bには燃料改質器15aで改質された改質ガスが供給され、カソード11aには空気が供給されるので、カソード11aとアノード11bとの間に電流が流れ、負荷(図示省略)に電力を供給することができる。
【0016】
次に、本発明の特徴部分である燃料蒸発装置14の詳細な構成について、図2,図3を参照して説明する。図3は燃料蒸発装置14の断面図であり、図2は該燃料蒸発装置14の電気的な構成を示すブロック図である。
【0017】
図3に示すように、燃料蒸発装置14は、中空の円筒形状をなす燃料蒸発通路36と、該燃料蒸発通路36の上流側に設けられる燃料供給口41と、燃料蒸発通路36の下流側に設けられる蒸発ガス出口42と、を備えている。
【0018】
更に、燃料蒸発通路36の周囲には、上流側から下流側に向けて、第1ヒータ31-1、第2ヒータ31-2、及び第3ヒータ31-3が設置され、第1ヒータ31-1で加熱される上流の領域が第1蒸発面51aとされ、第2ヒータ31-2で加熱される中間の領域が第2蒸発面51bとされ、第3ヒータ31-3で加熱される下流の領域が第3蒸発面51cとされている。そして、図2に示すように、第1〜第3ヒータ31-1〜31-3はそれぞれ電力供給線34を介して温度制御部33に接続されており、該温度制御部33の制御により電力供給のオン、オフが切り換えられて、所望の温度となるように制御される。
【0019】
従って、燃料供給口41より供給される液体燃料は、燃料蒸発通路36内に噴射され、噴射された液体燃料は燃料蒸発通路36周囲部の蒸発面51(第1蒸発面51a、第2蒸発面51b、第3蒸発面51c)から熱が供給されて気化され、気化された燃料は蒸発ガス出口42を経由して外部に送出される。なお、本実施形態では、3個のヒータ31-1〜31-3を設ける構成とするが、本発明はこれに限定されるものではなく、2個、或いは4個以上としても良い。
【0020】
また、第1蒸発面51aの表面温度を測定する第1温度センサ32-1と、第2蒸発面51bの表面温度を測定する第2温度センサ32-2、及び第3蒸発面51cの表面温度を測定する第3温度センサ32-3が設けられており、これらの第1〜第3温度センサ32-1〜32-3は、制御線35を介して温度制御部33に接続されている。
【0021】
温度制御部(制御手段)33は、例えば、CPU、RAM、ROM、及び各種の操作子等からなるマイコンにより構成することが可能であり、各温度センサ32-1〜32-3で検出される温度データに基づいて、後述する手順により各ヒータ31-1〜31-3の温度を調整する制御を行う。
【0022】
以下、本発明の第1〜第3実施形態に係る燃料蒸発装置14について詳細に説明する。
【0023】
[第1実施形態の説明]
第1実施形態の作用を説明する前に、図4に示すタイミングチャートを参照して、燃料蒸発装置14が熱的に平衡状態であるときの、第1蒸発面51a、第2蒸発面51b、及び第3蒸発面51cの温度変化と、第1〜第3ヒータ31-1〜31-3のオン、オフ動作との関係について説明する。
【0024】
図4(1a)は、第1蒸発面51aの温度(第1温度センサ32-1で検出される温度)の変化を示し、(1b)は第1ヒータ31-1のオン、オフの変化を示している。また、図4(2a)は、第2蒸発面51bの温度(第2温度センサ32-2で検出される温度)の変化を示し、(2b)は第2ヒータ31-2のオン、オフの変化を示している。図4(3a)は、第3蒸発面51cの温度(第3温度センサ32-3で検出される温度)の変化を示し、(3b)は第3ヒータ31-3のオン、オフの変化を示している。
【0025】
そして、温度制御部33は、各蒸発面51a〜51cの温度がそれぞれ予め設定する設定温度T1(基準温度)となるように、各ヒータ31-1〜31-3のオン、オフを制御する。例えば、図4(1a)に示すように、第1蒸発面51aの温度が設定温度T1を上回った場合には第1ヒータ31-1をオフとして発熱を停止させ、反対に、設定温度T1を下回った場合には第1ヒータ31-1をオンとして発熱させる。その結果、第1蒸発面51aの温度が設定温度T1を中心として上下に変動し、平均的には略一定の温度となるように制御される。この際、第1蒸発面51aは、他の蒸発面(第2蒸発面51b及び第3蒸発面51c)と繋がっているので、各蒸発面同士の熱のやり取りも行われるが、各温度センサ32-1〜32-3で検出される温度に基づいて各ヒータ31-1〜31-3のオン、オフが制御されるので、各蒸発面51a〜51c共に略一定温度に維持されている。なお、図4(1a)等に示す温度変化の特性曲線は、理解し易いように三角波形状に示している。実際には、なめらかな曲線で上下に変動する曲線となる。他の特性曲線についても同様である。
【0026】
次に、本実施形態に係る温度制御を実施しない場合(即ち、従来の制御方式を用いた場合)において、第1蒸発面51aの温度が低下した際の、第2蒸発面51b、及び第3蒸発面51cの温度変化について、図5に示すタイミングチャートを参照して説明する。図5(1a)は第1蒸発面51aの温度変化を示し、(1b)は第1ヒータ31-1のオン、オフの変化を示し、(1c)は設定温度T1に対する温度低下レベルを示している。また、図5(2a)は、第2蒸発面51bの温度変化を示し、(2b)は第2ヒータ31-2のオン、オフの変化を示している。図5(3a)は第3蒸発面51cの温度変化を示し、(3b)は第3ヒータ31-3のオン、オフの変化を示している。
【0027】
そして、この例では、第1蒸発面51aの温度が時間経過と共に徐々に低下する場合を示している。このような温度変化が生じる状況としては、例えば、図2に示した燃料供給口41より供給される燃料が増加した場合が挙げられる。燃料蒸発通路36内への燃料供給量が増加すると、第1ヒータ31-1により加熱される第1蒸発面51aからの、燃料への蒸発熱の放出が多くなるため、図5(1a)に示すように、第1蒸発面51aの温度が設定温度T1を下回る時間が増加し、第1ヒータ31-1のオン時間がオフ時間に対して相対的に長くなる。更に、第1ヒータ31-1による発熱量が、燃料を蒸発させるために必要となる蒸発熱を賄いきれなくなると、第1ヒータ31-1のオン状態を継続させた場合(常時オン状態とした場合)でも、第1蒸発面51aの温度は低下し続ける。
【0028】
また、第1蒸発面51aと第2蒸発面51bは繋がっているので、図5(2a)に示すように、やがて第2蒸発面51bの温度も設定温度T1を下回る時間が増加し、第2ヒータ31-2のオン時間がオフ時間に対して相対的に長くなり、第2ヒータ31-2の発熱量が増加する。
【0029】
そして、第2ヒータ31-2の発熱量の増加により、第2蒸発面51bでの燃料蒸発熱量を賄える場合には、第2蒸発面51bの温度を設定温度T1に維持することができる。しかし、第1蒸発面51aについては、温度の低下傾向が継続される。この場合、液体燃料は、第1蒸発面51a、及び第2蒸発面51bより熱が供給されて、段階的に蒸発することになり、初めに第1蒸発面51aにより燃料中の低沸点成分(蒸発し易い成分)が蒸発し、その後、第2蒸発面51bにて燃料中の高沸点成分(蒸発し難い成分)が蒸発することになるため、第2蒸発面51bにて燃料がコーキングする等の問題が生じ易くなる。
【0030】
即ち、図5に示す温度制御方法(本発明を採用しない手法)では、例えば、燃料蒸発通路36内に供給される燃料量に変動が発生した場合には、供給される燃料を安定的に蒸発させることができない場合があり得る。
【0031】
次に、第1蒸発面51aの温度が低下した際に、本発明の第1実施形態に係る温度制御を実施した場合の温度変化について図6に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0032】
第1実施形態に係る燃料蒸発装置14では、燃料蒸発通路36の上流側の領域である第1蒸発面51aの温度が低下傾向にある場合に、これに隣接する第2蒸発面51bを加熱するための第2ヒータ31-2の設定温度を上昇させることにより、第2蒸発面51bに供給する熱量を増大させて、燃料蒸発通路36内に噴霧された液体燃料が確実に気化するように制御する。
【0033】
即ち、第1実施形態においては、第1蒸発面51aが第1蒸発領域であり、第2蒸発面51bが第2蒸発領域であり、第1ヒータ31-1が第1加熱手段であり、第2ヒータ31-2が第2加熱手段であり、第1温度センサ32-1が温度検出手段である。
【0034】
図6において、(1a)は、第1蒸発面51aの温度変化を示し、(1b)は第1ヒータ31-1のオン、オフの変化を示し、(1c)は設定温度T1に対する温度低下レベルを示している。また、図6(2a)は第2蒸発面51bの温度の変化を示し、(2b)は第2ヒータ31-2のオン、オフの変化を示している。図6(3a)は第3蒸発面51cの温度変化を示し、(3b)は第3ヒータ31-3のオン、オフの変化を示している。
【0035】
図5の例で示したように、例えば、燃料供給口41からの蒸発燃料供給量が増加すると、第1ヒータ31-1から液体燃料に供給する熱量が増大するので、図6(1a)に示すように、第1蒸発面51aの温度、即ち、第1温度センサ32-1による検出温度が低下する。従って、温度制御部33は、図6(1b)に示すように、オフ時間(Toff)に対してオン時間(Ton)が相対的に長くなり、最終的には常時オン状態となる。
【0036】
また、第1蒸発面51aの温度が低下して、図6(1c)に示すように、予め設定した下限閾値温度Tth1(設定温度T1よりもΔTだけ低い温度)まで低下した場合には、温度制御部33は、図6(2a)に示すように、第2ヒータ31-2による設定温度T1を、T2(但し、T2>T1)に変更する。これにより、第2ヒータ31-2は、第2蒸発面51bの温度が設定温度T2を上回った場合にオフとなり、下回った場合にオンとなるように制御されるので、図6(2b)に示すように、オフ時間に対してオン時間が相対的に長くなるように制御される。従って、第2ヒータ31-2による発熱量が増加し、第2蒸発面51bの温度が高くなるように制御される。
【0037】
その結果、前述の図5(2a)に示したように、第1蒸発面51aの温度の低下に連動して、第2蒸発面51bの温度が低下することを抑制することができ、第1蒸発面51aで蒸発されない液体燃料を加熱して、蒸発させることができる。
【0038】
このようにして、第1実施形態に係る燃料蒸発装置14では、第1蒸発面51aの温度を検出し、この温度が予め設定した下限閾値温度Tth1を下回った場合には、第1蒸発面51aの下流側に隣接する第2蒸発面51bの設定温度を上昇させる。具体的には、図6(2a)に示すT1からT2に変更する処理を行う。従って、第2蒸発面51bを加熱するための、第2ヒータ31-2による発熱量を早期に増大させることができ、第1蒸発面51aの温度低下に連動して第2蒸発面51bが温度低下することを防止することができ、燃料蒸発通路36に供給される液体燃料に対して常に十分な熱を加えることができる。その結果、コーキング等の問題の発生を回避することができ、安定的に液体燃料を気化させることが可能となる。
【0039】
なお、上記した第1実施形態では、第1温度センサ32-1を用いて第1蒸発面51aの温度を測定する構成としたが、第1ヒータ31-1のオン時間とオフ時間との比率、即ち、図6(1b)に示すオン時間tonとオフ時間toffとの比率に基づいて、第1蒸発面51aの温度低下を検出することも可能である。また、第1蒸発面51aの温度低下を検出する手法として、一定時間内での実測平均温度と、設定温度との差に基づいて検出することや、実測中の最低温度のホールド値で検出すること、或いはヒータのオフ時間が一定値幅を超えたことに基づいて検出することも可能である。
【0040】
更に、設定温度の変化量ΔTは、蒸発させる燃料に応じて適宜設定することができる。例えば、燃料としてガソリンを用いる場合には、初期的な設定温度T1を200℃に設定し、温度低下時の設定温度T2を250℃程度の数値に設定することにより、コーキングの発生を抑制することが可能となる。
【0041】
[第2実施形態の説明]
次に、第2実施形態について説明する。初めに、第2実施形態に係る温度制御を実施しない場合(即ち、従来の制御方式を用いた場合)において、第3蒸発面51cの温度が上昇した際の、第1蒸発面51a、及び第2蒸発面51bの温度変化について、図7に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0042】
図7(1a)は、第1蒸発面51aの温度変化を示し、(1b)は第1ヒータ31-1のオン、オフの変化を示している。また、図7(2a)は第2蒸発面51bの温度変化を示し、(2b)は第2ヒータ31-2のオン、オフの変化を示している。図7(3a)は第3蒸発面51cの温度変化を示し、(3b)は第3ヒータ31-3のオン、オフの変化を示し、(3c)は設定温度T1に対する温度上昇レベルを示している。
【0043】
そして、この例では、図7(3a)に示すように、第3蒸発面51cの温度が時間経過と共に徐々に上昇している場合を示している。このような温度変化が生じる状況としては、例えば、燃料蒸発装置14の下流側に設けられる燃料改質器15a、或いは燃料電池11(図1参照)の温度が蒸発温度よりも高い場合に、この温度の影響を受けて第3蒸発面51cの温度が設定温度T1を大きく上回る場合が挙げられる。
【0044】
燃料改質器15aの改質温度等の影響に起因して、図7(3a)に示すように、第3蒸発面51cの温度が上昇すると、第3蒸発面51cの温度が設定温度T1を上回る時間が増加し、図7(3b)に示すように、第3ヒータ31-3のオン時間(ton)がオフ時間(toff)に対して相対的に減少する。その後更に、第3蒸発面51cの温度が低下しない場合には、第3ヒータ31-3は常時オフとなり、且つ、第3蒸発面51cの温度が上昇し続ける。
【0045】
また、第3蒸発面51cとその上流側の第2蒸発面51bは繋がっているので、図7(2a)、(2b)に示すように、やがて第2蒸発面51bの温度も設定温度T1を上回る時間が増加し、第2ヒータ31-2のオフ時間がオン時間に対して相対的に増加し、第2ヒータ31-2の発熱量が低下する。
【0046】
そして、第2ヒータ31-2の発熱量の減少により、第3蒸発面51c側からの流入熱量に見合うだけの温度低下が可能であれば、第2ヒータ31-2により加熱される第2蒸発面51bを設定温度T1に維持することができる。しかし、第3蒸発面51cについては、温度の上昇傾向が継続される。従って、第3蒸発面51cの温度を一定に保持することができなくなる。
【0047】
即ち、図7に示す温度制御方法(本発明を採用しない手法)では、例えば、燃料蒸発装置14の下流側に設けられる燃料改質器15aの温度や燃料電池11の温度の影響を受けて、第3蒸発面51cの温度が上昇する場合には、液体燃料を蒸発させる際の温度を一定に維持することができなくなり、安定的に燃料を蒸発させることができない場合が発生する。
【0048】
次に、第3蒸発面51cの温度が上昇した際に、本発明の第2実施形態に係る温度制御を実施した場合の温度変化について図8に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0049】
第2実施形態に係る燃料蒸発装置14では、燃料蒸発通路36の下流側の領域である第3蒸発面51cの温度が上昇傾向にある場合に、該第3蒸発面51cの上流側に隣接する第2蒸発面51bを加熱するための第2ヒータ31-2の設定温度を低下させることにより、第2蒸発面51bに供給する熱量を減少させて、燃料蒸発通路36内に供給される液体燃料に必要以上の熱を伝達しないように制御する。
【0050】
即ち、第2実施形態においては、第3蒸発面51cが第1蒸発領域であり、第2蒸発面51bが第2蒸発領域であり、第3ヒータ31-3が第1加熱手段であり、第2ヒータ31-2が第2加熱手段であり、第3温度センサ32-3が温度検出手段である。
【0051】
図8において、(1a)は、第1蒸発面51aの温度変化を示し、(1b)は第1ヒータ31-1のオン、オフの変化を示している。また、図8(2a)は、第2蒸発面51bの温度変化を示し、(2b)は第2ヒータ31-2のオン、オフの変化を示している。図8(3a)は第3蒸発面51cの温度変化を示し、(3b)は第3ヒータ31-3のオン、オフの変化を示し、(3c)は設定温度T1に対する温度上昇レベルを示している。
【0052】
図7の例で示したように、例えば、燃料蒸発通路36の下流側の領域が燃料改質器15aの温度等の影響を受けると、燃料改質器15aの熱が第3蒸発面51cに伝達されて図8(3a)に示すように、第3蒸発面51cの温度が上昇する。従って、温度制御部33は、図8(3b)に示すように、第3ヒータ31-3を、オン時間(Ton)に対してオフ時間(Toff)を相対的に長くなるように制御し、最終的に常時オフ状態とする。
【0053】
また、第3蒸発面51cの温度が上昇して、図8(3c)に示すように、予め設定した上限閾値温度Tth2(設定温度T1よりもΔTだけ高い温度)まで上昇した場合には、温度制御部33は、図8(2a)に示すように、第2ヒータ31-2による設定温度T1を、T3(但し、T3<T1)に変更する。これにより、第2ヒータ31-2は、第2蒸発面51bの温度が設定温度T3を上回った場合にオフとなり、下回った場合にオンとなるように制御されるので、図8(2b)に示すように、オフ時間に対してオン時間が相対的に短くなるように制御される。従って、第2ヒータ31-2による発熱量が減少し、第2蒸発面51bの温度が低くなるように制御される。
【0054】
その結果、前述の図7(2a)に示したように、第3蒸発面51cの温度の上昇に連動して、第2蒸発面51bの温度が上昇することを抑制することができ、第2蒸発面51bの温度を略一定の温度に保持することができる。
【0055】
このようにして、第2実施形態に係る燃料蒸発装置14では、第3蒸発面51cの温度を検出し、この温度が予め設定した上限閾値温度Tth2を上回った場合には、第3蒸発面51cの上流側に隣接する第2蒸発面51bの設定温度を低下させる。具体的には、図8(2a)に示すT1からT3に変更する処理を実施する。従って、第2蒸発面51bを加熱するための、第2ヒータ31-2による発熱量を減少させることができ、第3蒸発面51cの温度低下に連動して第2蒸発面51bが温度上昇することを防止することができ、燃料蒸発通路36に噴射される液体燃料に対して常に安定した熱を加えることができる。その結果、液体燃料に均一な熱を加えて安定的に気化させることが可能となる。
【0056】
なお、上述した第1実施形態と同様に、第2実施形態においても、第3ヒータ31-3のオン時間とオフ時間との比率、即ち、図8(3b)に示すオン時間tonとオフ時間toffとの比率に基づいて、第3蒸発面51cの温度を検出することも可能である。
【0057】
[第3実施形態の説明]
次に、第3実施形態について説明する。初めに、第3実施形態に係る温度制御を実施しない場合(即ち、従来の制御方式を用いた場合)において、第1蒸発面51aの温度が低下し、その後、第3蒸発面51cの温度が上昇した際の、第2蒸発面51bの温度変化について、図9に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0058】
図9(1a)は、第1蒸発面51aの温度変化を示し、(1b)は第1ヒータ31-1のオン、オフの変化を示し、(1c)は設定温度T1に対する温度低下レベルを示している。また、図9(2a)は、第2蒸発面51bの温度変化を示し、(2b)は第2ヒータ31-2のオン、オフの変化を示している。図9(3a)は第3蒸発面51cの温度変化を示し、(3b)は第3ヒータ31-3のオン、オフの変化を示し、(3c)は設定温度T1に対する温度上昇レベルを示している。
【0059】
そして、この例では、図9(1a)に示すように、第1蒸発面51aの温度が時間経過と共に徐々に低下し、且つ、図9(3a)に示すように第3蒸発面51cの温度が時間経過と共に徐々に上昇している場合を示している。このような温度変化が生じる状況としては、例えば、図2に示した燃料供給口41より供給される燃料が増加した場合で、且つ、燃料蒸発装置14の下流側に設けられる燃料改質器15a、或いは燃料電池11(図1参照)の温度が蒸発温度よりも高い場合等が挙げられる。
【0060】
燃料蒸発通路36内への燃料供給量が増加すると、第1ヒータ31-1により加熱される第1蒸発面51aから、該第1蒸発面51aを通過する燃料に伝達される熱量が多くなるので、図9(1a)に示すように、第1蒸発面51aの温度が設定温度T1を下回る時間が増加し、第1ヒータ31-1のオン時間がオフ時間に対して相対的に増加する。更に、第1ヒータ31-1による発熱量が、燃料を蒸発させるために必要となる蒸発熱を賄いきれなくなると、第1ヒータ31-1のオン状態を継続させた場合(常時オン状態とした場合)でも、第1蒸発面51aの温度は低下し続ける。従って、第1蒸発面51aの温度は図9(1c)に示すように、時間の経過に対し低下傾向となる。
【0061】
一方、図9(3a)に示すように、第3蒸発面51cの温度が上昇すると、第3蒸発面51cの温度が設定温度T1を上回る時間が増加し、図9(3b)に示すように、第3ヒータ31-3のオン時間がオフ時間に対して相対的に減少する。その後更に、第3蒸発面51cの温度が低下しない場合には、第3ヒータ31-3は常時オフとなり、且つ、第3蒸発面51cの温度が上昇し続ける。従って、第3蒸発面51cの温度は図9(3c)に示すように、時間経過と共に上昇する。
【0062】
このように、第1蒸発面51aの温度低下、及び第3蒸発面51cの温度上昇に対して何等の制御も行われない場合には、燃料蒸発通路36の上流側で温度が低下し、下流側で温度が上昇し、燃料蒸発通路36内全体の温度が均一化されず、液体燃料を安定的に蒸発させることができないという問題が生じる。
【0063】
次に、第1蒸発面51aの温度が低下し、且つ、第3蒸発面51cの温度が上昇した際に、本発明の第3実施形態に係る温度制御を実施した場合の温度変化について、図10に示すタイミングチャートを参照して説明する。
【0064】
第3実施形態に係る燃料蒸発装置14では、燃料蒸発通路36の上流側の領域となる第1蒸発面51aの温度が低下傾向にあり、且つ、燃料蒸発通路36の下流側の領域となる第3蒸発面51cの温度が上昇傾向にある場合に、第2蒸発面51bの温度を制御して燃料蒸発通路36内の温度が安定するように制御する。
【0065】
即ち、第3実施形態においては、第1蒸発面51a、及び第3蒸発面51cが第1蒸発領域であり、このうち第1蒸発面51aが上流側蒸発領域、第3蒸発面51cが下流側蒸発領域である。また、第2蒸発面51bが第2蒸発領域である。また、第1ヒータ31-1、及び第3ヒータ31-3が第1加熱手段であり、このうち第1ヒータ31-1が上流側加熱手段、第3ヒータ31-3が下流側加熱手段である。また、第2ヒータ31-2が第2加熱手段である。更に、第1温度センサ32-1、及び第3温度センサ32-3が温度検出手段であり、このうち第1温度センサ32-1が上流側蒸発領域の温度を測定し、第3温度センサ32-3が下流側蒸発領域の温度を測定する。
【0066】
図10において、(1a)は、第1蒸発面51aの温度変化を示し、(1b)は第1ヒータ31-1のオン、オフの変化を示し、(1c)は設定温度T1に対する温度低下レベルを示している。また、図10(2a)は、第2蒸発面51bの温度変化を示し、(2b)は第2ヒータ31-2のオン、オフの変化を示している。図10(3a)は第3蒸発面51cの温度変化を示し、(3b)は第3ヒータ31-3のオン、オフの変化を示し、(3c)は設定温度T1に対する温度上昇レベルを示している。
【0067】
図9の例で示したように、例えば、燃料供給口41からの蒸発燃料供給量が増加すると、第1ヒータ31-1から液体燃料に供給する熱量が増大するので、図10(1a)に示すように、第1蒸発面51aの温度が低下する。従って、温度制御部33は、図10(1b)に示すように、オフ時間(Toff)に対してオン時間(Ton)が相対的に長くなるように第1ヒータ31-1のオン、オフ制御を行い、最終的には常時オン状態とする。
【0068】
また、図10(1c)に示すように、第1蒸発面51aの温度が低下し、下限閾値温度Tth1を下回ると、前述した第1実施形態と同様に、第2蒸発面51bの設定温度がT1からT2(但し、T2>T1)に変更される。従って、第2ヒータ31-2は、第2蒸発面51bの温度がT2を上回った場合にオフとなり、下回った場合にオンとなるように制御されるので、図10(2b)に示すように、オフ時間に対してオン時間が相対的に長くなるように制御される。従って、第2ヒータ31-2による発熱量が増加し、第2蒸発面51bの温度が高くなるように制御されることになる。
【0069】
一方、第3蒸発面51cの温度が上昇すると、温度制御部33は、図10(3b)に示すように、第3ヒータ31-3のオン時間(Ton)に対してオフ時間(Toff)を相対的に長くなるように制御する。その後、第3蒸発面51cの温度が上昇して、図10(3c)に示す時刻q1で上限閾値温度Tth2まで上昇した場合であっても、第2ヒータ31-2による設定温度を変更しない。即ち、この状況においては、上流側である第1蒸発面51aの温度低下の影響を回避するために、第2ヒータ31-2の設定温度をT2に変更しているので、下流側である第3蒸発面51cの温度が上限閾値温度Tth2を上回った場合であっても、第2ヒータ31-2の設定温度をT2に維持する。
【0070】
その後、第3蒸発面51cの温度が更に上昇して、時刻q2にて、上限閾値温度Tth2よりも大きい上限許容温度TULを上回った際に、第2ヒータ31-2の設定温度をT2からT1に戻す処理を行う。これにより、第2蒸発面51bの温度が過剰に上昇することを防止する。
【0071】
このようにして、第3実施形態に係る燃料蒸発装置14では、第1蒸発面51aの温度が低下して、下限閾値温度Tth1を下回った場合には、第2蒸発面51bの設定温度をT1からT2に変更することにより、第2ヒータ31-2による発熱量を上昇させて第2蒸発面51bの温度低下を防止する。また、第2蒸発面51bの設定温度がT2とされているときに、第3蒸発面51cの温度が、上限閾値温度Tth2を上回った場合には、第2蒸発面51bの設定温度をT2のままとし、更に第3蒸発面51cの温度が上昇して上限許容温度TUL(>Tth2)を上回った場合には、第2蒸発面51bの設定温度をT1に戻すように制御される。
【0072】
従って、第2蒸発面51bの設定温度は、その上流側である第1蒸発面51aの温度、及びその下流側である第3蒸発面51cの温度に基づいて、適切に制御されるので、燃料蒸発通路36内に流入する液体燃料を安定的に蒸発させることができる。
【0073】
ここで、図10に示した例では、先に第1蒸発面51aの温度が低下し、その後、第3蒸発面51cの温度が上昇する例について説明したが、先に第3蒸発面51cの温度が上昇し、その後、第1蒸発面51aの温度が低下する場合もあり得る。この場合について以下に説明する。
【0074】
蒸発面51が熱的に平衡な状態にあるときに、第3蒸発面51cの温度が上昇し、図8(3c)に示したように上限閾値温度Tth2を上回ると、第2蒸発面51bの設定温度がT1からT3(T3<T1)に変更される。その後、第1蒸発面51aの温度が低下して図10(1c)に示す下限閾値温度Tth1を下回った場合でも、第2蒸発面51bの設定温度はT3を維持する。そして、更に第1蒸発面51aの温度が低下し、図10(1c)に示す下限許容温度TLLを下回った場合には、第2蒸発面51bの設定温度をT1に戻すように制御される。
【0075】
従って、先に第3蒸発面51cの温度が上昇し、その後第1蒸発面51aの温度が低下した場合であっても、第2蒸発面51bの設定温度は、その上流側である第1蒸発面51aの温度、及びその下流側である第3蒸発面51cの温度に基づいて適切に制御され、燃料蒸発通路36内に流入する液体燃料を安定的に蒸発させることができる。
【0076】
[変形例に説明]
次に、上述した各実施形態に係る燃料蒸発装置の変形例について説明する。図11は、変形例に係る燃料蒸発装置14aの構成を示すブロック図である。前述した各実施形態では、加熱手段として、電力が供給されて発熱する第1ヒータ31-1〜第3ヒータ31-3を用いる例について説明したが、本発明に係る加熱手段は、電力を用いるものに限定されるものではなく、加熱ガスを用いることも可能である。
【0077】
図11に示すように、第1蒸発面51aに対応する領域に、加熱ガスが流入する流路(ガス流入路)を設け、このガス流入路を第1ヒータ31-1とする。即ち、ガス流入路に、燃料電池システムで用いられる加熱ガスを供給することにより、第1蒸発面51aを加熱し、液体燃料を加熱する。また、ガス流入路の入口に流量調整弁61を設けることにより、加熱ガスの流量を制御し、ひいては第1蒸発面51aの温度を制御することが可能となる。
【0078】
以上、本発明の燃料蒸発装置を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0079】
例えば、上記した各実施形態では、蒸発面51を加熱するための手段として、3個のヒータ(第1〜第3ヒータ31-1〜31-3)を設ける例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、3個以上のヒータを設ける構成としても良い。また、第1、第2実施形態に関しては、2個のヒータを設ける場合について適用することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、液体燃料を安定的にガス化することに利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
11 燃料電池
11a カソード
11b アノード
12 第1空気ブロワ
13 熱交換器
14、14a 燃料蒸発装置
15 改質装置
15a 燃料改質器
15b 燃焼バーナ
16 循環ブロワ
17 第2空気ブロワ
20 第3空気ブロワ
25 分岐弁
31-1〜31-3 第1〜第3ヒータ
32-1〜32-3 第1〜第3温度センサ
33 温度制御部
34 電力供給線
35 制御線
36 燃料蒸発通路
41 燃料供給口
42 蒸発ガス出口
51 蒸発面
51a 第1蒸発面
51b 第2蒸発面
51c 第3蒸発面
61 流量調整弁
100 燃料電池システム
Tth1 下限閾値温度
Tth2 上限閾値温度
TLL 下限許容温度
TUL 上限許容温度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料蒸発通路を備え、外部より供給される液体燃料を蒸発させる燃料蒸発装置において、
前記燃料蒸発通路中の第1蒸発領域を通過する液体燃料を加熱する第1加熱手段と、
前記燃料蒸発通路中の、前記第1蒸発領域に隣接する第2蒸発領域を加熱する第2加熱手段と、
前記第1蒸発領域の温度を検出する温度検出手段と、
前記第1加熱手段、及び第2加熱手段による加熱温度を制御する制御手段と、を備え、
前記制御手段は、
前記温度検出手段により検出される温度に応じて、前記第2加熱手段により加熱する際の設定温度を変更することを特徴とする燃料蒸発装置。
【請求項2】
前記第2蒸発領域は、前記液体燃料の供給方向に対して前記第1蒸発領域の下流側に隣接し、
前記制御手段は、
前記温度検出手段により検出される前記第1蒸発領域の温度が予め設定した下限閾値温度よりも低い場合には、前記第2加熱手段により加熱する際の設定温度を予め設定した基準温度よりも高い温度に変更することを特徴とする請求項1に記載の燃料蒸発装置。
【請求項3】
前記第2蒸発領域は、前記液体燃料の供給方向に対して前記第1蒸発領域の上流側に隣接し、
前記制御手段は、
前記温度検出手段により検出される前記第1蒸発領域の温度が予め設定した上限閾値温度よりも高い場合には、前記第2加熱手段により加熱する際の設定温度を予め設定した基準温度よりも低い温度に変更することを特徴とする請求項1に記載の燃料蒸発装置。
【請求項4】
前記第1蒸発領域は、前記液体燃料の供給方向に対して前記第2蒸発領域の上流側に隣接する上流側蒸発領域、及び下流側に隣接する下流側蒸発領域を含み、
前記第2加熱手段は、前記上流側蒸発領域を加熱する上流側加熱手段、及び前記下流側蒸発領域を加熱する下流側加熱手段を含み、
前記温度検出手段は、前記上流側蒸発領域の温度、及び下流側蒸発領域の温度を測定し、
前記制御手段は、
前記上流側蒸発領域の温度が予め設定した下限閾値温度を下回った場合に、前記第2加熱手段により加熱する際の設定温度を予め設定した基準温度よりも高い温度に変更し、その後、前記下流側蒸発領域の温度が予め設定した上限許容温度を上回った場合に、前記第2加熱手段により加熱する際の設定温度を前記基準温度に戻すように制御すること
を特徴とする請求項1に記載の燃料蒸発装置。
【請求項5】
前記第1蒸発領域は、前記液体燃料の供給方向に対して前記第2蒸発領域の上流側に隣接する上流側蒸発領域、及び下流側に隣接する下流側蒸発領域を含み、
前記第2加熱手段は、前記上流側蒸発領域を加熱する上流側加熱手段、及び前記下流側蒸発領域を加熱する下流側加熱手段を含み、
前記温度検出手段は、前記上流側蒸発領域の温度、及び下流側蒸発領域の温度を測定し、
前記制御手段は、
前記下流側蒸発領域の温度が予め設定した上限閾値温度を上回った場合に、前記第2加熱手段により加熱する際の設定温度を予め設定した基準温度よりも低い温度に変更し、その後、前記上流側蒸発領域の温度が予め設定した下限許容温度を下回った場合に、前記第2加熱手段により加熱する際の設定温度を前記基準温度に戻すように制御すること
を特徴とする請求項1に記載の燃料蒸発装置。
【請求項6】
前記第1加熱手段、及び第2加熱手段のうちの少なくとも一つは、ガス流入路を備え、該ガス流入路に高温ガスを供給することにより、前記第1蒸発領域、及び第2蒸発領域のうちの対象となる領域を加熱することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の燃料蒸発装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−1627(P2013−1627A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137448(P2011−137448)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】