説明

燃料電池および燃料電池システム

【課題】燃料電池内の広範囲に不純物の滞留が発生するのを抑制する。
【解決手段】水素出口マニホールド142は、セパレータ14における膜電極接合体に対応する発電対応部位の角部近傍に形成され、水素入口マニホールド141は、発電対応部位の周縁部のうち水素出口マニホールド142近傍の角部と発電対応部位を挟んで対向する部位に形成され、水素流路143aは、発電対応部位に形成され、水素を水素極に供給するとともに、残りの水素を水素出口マニホールド142に排出する発電用流路部144と、発電対応部位の周縁部に沿って、水素入口マニホールド141から発電対応部位における水素出口マニホールド142が形成された角部と隣り合う一対の角部に至るまで延びるように形成され、発電用流路部144と接する部位から発電用流路部144に水素を分配する分配用流路部145とを有する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素と酸素との電気化学反応により電気エネルギを発生させる燃料電池を備える燃料電池システムに関するもので、車両、船舶及びポータブル発電機等の移動体用発電機、或いは家庭用発電機に適用して有効である。
【背景技術】
【0002】
従来より、水素と空気(酸素)との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池システムが知られている。燃料電池を継続的に動作させると、空気側では反応によって発生した生成水が滞留し、水素側には空気側で発生した水が透過することによる透過水や空気に含まれる窒素が透過することにより、水と窒素が滞留する。このように水や窒素等の不純物が燃料電池内に滞留することにより、水素や空気が流れにくいセルが発生し、その結果、水素や空気の供給が不足するセルが発生する。
【0003】
そのため、燃料電池における不純物が滞留する部位を局所電流測定手段により特定し、特定した部位の局所電流測定手段の検出値が所定電流値を下回った場合に燃料ガス排出手段を制御することで、不純物の滞留を減らすとともに、必要以上の水素の供給・排出を抑制し、燃料電池全体の効率を向上させているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−114376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一般的には、燃料電池における水や窒素等の不純物が滞留する部位は、セル面内の未反応水素を排出する水素出口近傍となるが、燃料電池の運転条件やセルの構成によりセル面内の広範囲となる。
【0006】
ここで、例えば、特許文献1に記載の燃料電池のように、セパレータに形成された水素流路をサーペンタイン流路とした場合の燃料電池内の不純物の滞留について説明すると(図8参照)、セパレータ100の水素入口マニホールド110から導入された水素は、流路の曲がり部(角部等)において圧力損失が発生し流速が低下する。そのため、水素出口マニホールド130近傍以外の流路の曲がり部等において不純物が滞留しやすくなる。
【0007】
また、水素の供給量を増加させて水素利用率を上げた場合等には、サーペンタイン流路120を分割するリブ140と接するアノード側拡散層を透過し、サーペンタイン流路120に沿って流れる水素が一部の流路を飛び越える現象(いわゆる、パスカット)が生じることがある。このパスカットが生じると、一部の水素の流れが、図8のC部に向かう方向となり、このC部に不純物が滞留しやすくなってしまう。
【0008】
そのため、局所電流測定手段で不純物が滞留する部位を特定するためには、セル面内の広範囲に局所電流測定手段を設置する必要が生じ、燃料電池の部品点数の増加につながる。一方、セル面内の水素出口近傍にのみ局所電流計測手段を配置する場合には、配置した部位以外に不純物が滞留すると水素排出手段の適切な制御ができないため、燃料電池の性能が低下するという問題がある。
【0009】
本発明は、上記点に鑑み、燃料電池内の広範囲に不純物の滞留が発生するのを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、固体高分子膜からなる電解質膜(11)の両面に、それぞれアノードおよびカソードを接合した膜電極接合体と、膜電極接合体を狭持する一対のセパレータ(14)と、セパレータ(14)におけるアノード側に設けられ、アノードに燃料ガスを供給するための燃料ガス流路(143a)と、セパレータ(14)に形成され、燃料ガスを燃料ガス流路(143a)に導入するための燃料ガス入口マニホールド(141)と、セパレータ(14)に形成され、燃料ガスを燃料ガス流路(143a)から導出するための燃料ガス出口マニホールド(142)とを備え、燃料ガス出口マニホールド(142)は、セパレータ(14)における膜電極接合体に対応する発電対応部位の角部近傍に形成され、燃料ガス入口マニホールド(141)は、発電対応部位の周縁部のうち燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の角部と発電対応部位を挟んで対向する部位に形成され、燃料ガス流路(143a)は、発電対応部位に形成され、燃料ガスをアノードに供給するとともに、残りの燃料ガスを燃料ガス出口マニホールド(142)に排出する発電用流路部(144)と、発電対応部位の周縁部に沿って、燃料ガス入口マニホールド(141)から発電対応部位における燃料ガス出口マニホールド(142)が形成された角部と隣り合う一対の角部に至るまで延びるように形成され、発電用流路部(144)と接する部位から発電用流路部(144)に燃料ガスを分配する分配用流路部(145)とを有することを特徴としている。
【0011】
このように、分配用流路部(145)を発電対応部位の周縁部に沿って形成することで、分配用流路部(145)では発電によって燃料ガスの流速が低下しないため、分配用流路部(145)と発電用流路部(144)の接する部位の全域からほぼ均一な流速の燃料ガスを発電用流路部(144)に分配することができる。
【0012】
さらに、分配用流路部(145)を、燃料ガス入口マニホールド(141)から、燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の角部と隣り合う角部近傍まで延びるように形成しているため、分配用流路部(145)と発電用流路部(144)の接する部位の全域から導入された燃料ガスは、発電用流路部(144)内において燃料ガス出口マニホールド(142)に対して略直線的に移動可能となる。つまり、発電用流路部(144)の角部等の曲がり部において燃料ガスの流れ方向が変化せず、流路の曲がり部における圧力損失による発電用流路部(144)内の燃料ガスの流速低下を抑制することができる。
【0013】
これにより、発電用流路部(144)では、燃料ガスをアノードに供給するとともに、残りの燃料ガス(未反応燃料ガス)や不純物を燃料ガス出口マニホールド(142)に向けて流れやすくすることができる。
【0014】
したがって、発電用流路部(144)内の不純物が、燃料ガス出口マニホールド(142)近傍に滞留しやすくすることができるため、燃料電池(1)内の広範囲に不純物の滞留が発生することを抑制することができる。なお、「発電対応部位の角部」には、尖っている角の他に丸角や曲率を有する角も含まれる。
【0015】
具体的には、請求項2に記載の発明のように、請求項1に記載の発明において、発電対応部位を四角形状とし、燃料ガス入口マニホールドを(141)、発電対応部位における燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の角部の対角の角部近傍に形成することができる。
【0016】
また、請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載の発明において、発電用流路部(144)を、ガス透過性を有する多孔質体からなる多孔質体流路で構成してもよい。
【0017】
また、請求項4に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池(1)と、燃料電池(1)内における燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の局所電流を測定する局所電流測定手段(5)と、発電用流路部(144)内の燃料ガスを外部に排出する燃料ガス排出手段(33)と、燃料ガス排出手段(33)を制御する制御手段(4)とを備え、制御手段(4)は、局所電流測定手段(5)で測定した局所電流が、予め設定した基準電流を下回った場合に、燃料ガスを排出するように燃料ガス排出手段(33)を制御することを特徴としている。
【0018】
発電用流路部(144)内に滞留した不純物は、燃料出口マニホールド(142)近傍に滞留しやすいため、局所電流測定手段(5)を燃料出口マニホールド(142)近傍に配置することで、燃料電池(1)内部の状態が、不純物が滞留して水素が不足している状態か否かを診断することができる。
【0019】
また、不純物の滞留が燃料出口マニホールド(142)近傍で発生するため、制御手段(4)で不純物を排出する制御を実行した場合に、燃料出口マニホールド(142)から不純物を排出しやすくすることができる。
【0020】
これにより、燃料電池(1)内の水素不足による発電性能低下や、水素が不足している部位における膜電極接合体の劣化を抑制することができる。さらに、発電用流路部(144)内に滞留した不純物を排出するための必要となる水素排出量を減少させることができるため、例えば、水素利用率が高い場合には、水素利用率の減少を抑制することができ、水素利用率が低い場合であっても滞留した不純物の排出を適切に行なうことができる。
【0021】
また、請求項5に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池(1)と、燃料電池(1)内における燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の局所電位を測定する局所電位測定手段と、発電用流路部(144)内の燃料ガスを外部に排出する燃料ガス排出手段(33)と、燃料ガス排出手段(33)を制御する制御手段(4)とを備え、制御手段(4)は、局所電位測定手段で測定した局所電位が、予め設定した基準電位値を下回った場合に、燃料ガスを排出するように燃料ガス排出手段(33)を制御することを特徴としている。
【0022】
燃料電池1内部に不純物が滞留すると、その部位における燃料電池1の出力電圧が低下するため、局所電位測定手段を燃料出口マニホールド(142)近傍に配置することで、燃料電池(1)内部に不純物が滞留し、水素が不足している状態か否かを診断することができる。これによっても、上述の請求項4に記載の発明と同様な効果を得ることができる。
【0023】
また、請求項6に記載の発明では、請求項1ないし3のいずれか1つに記載の燃料電池(1)と、燃料電池(1)内における燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の温度を測定する局所温度測定手段と、発電用流路部(144)内の燃料ガスを外部に排出する燃料ガス排出手段(33)と、燃料ガス排出手段(33)を制御する制御手段(4)とを備え、制御手段(4)は、局所温度測定手段で測定した温度が、予め設定した基準温度値を下回った場合に、燃料ガスを排出するように燃料ガス排出手段(33)を制御することを特徴としている。
【0024】
燃料電池1内部に不純物が滞留すると、その部位における燃料電池1の温度が低下するため、局所温度測定手段を燃料出口マニホールド(142)近傍に配置することで、燃料電池(1)内部に不純物が滞留し、水素が不足している状態か否かを診断することができる。これによっても、上述の請求項4に記載の発明と同様な効果を得ることができる。
【0025】
また、請求項7に記載の発明では、固体高分子膜からなる電解質膜(11)の両面に、それぞれアノードおよびカソードを接合した膜電極接合体と、膜電極接合体を狭持する一対のセパレータ(14)と、セパレータ(14)におけるカソード側に設けられ、カソードに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス流路(143b)と、セパレータ(14)に形成され、酸化剤ガスを酸化剤ガス流路(143b)に導入するための酸化剤ガス入口マニホールドと、セパレータ(14)に形成され、酸化剤ガスを酸化剤ガス流路(143b)から導出するための酸化剤ガス出口マニホールドとを備え、酸化剤ガス出口マニホールドは、セパレータ(14)における膜電極接合体に対応する発電対応部位の角部近傍に形成され、酸化剤ガス入口マニホールドは、発電対応部位の周縁部のうち酸化剤ガス出口マニホールド近傍の角部と発電対応部位を挟んで対向する部位に形成され、酸化剤ガス流路(143b)は、発電対応部位に形成され、酸化剤ガスをカソードに供給するとともに、残りの酸化剤ガスを酸化剤ガス出口マニホールドに排出する発電用流路部と、発電対応部位の周縁部に沿って、酸化剤ガス入口マニホールドから発電対応部位における酸化剤ガス出口マニホールドが形成された角部と隣り合う一対の角部に至るまで延びるように形成され、発電用流路部と接する部位から発電用流路部に酸化剤ガスを分配する分配用流路部とを有することを特徴としている。
【0026】
このように、酸化剤ガス流路(143b)の分配用流路部を発電対応部位の周縁部に沿って形成することで、分配用流路部では発電によって酸化剤ガスの流速が低下しないため、分配用流路部と発電用流路部の接する部位の全域からほぼ均一な流速の酸化剤ガスを発電用流路部に分配することができる。
【0027】
さらに、分配用流路部は、酸化剤ガス入口マニホールドから、酸化剤ガス出口マニホールド近傍の角部と隣り合う角部近傍まで延びるように形成されているため、分配用流路部と発電用流路部との接する部位の全域から導入された酸化剤ガスは、発電用流路部内において酸化剤ガス出口マニホールドに対して略直線的に移動可能となる。つまり、発電用流路部(144)の角部等の曲がり部において酸化剤ガスの流れ方向が変化せず、流路の曲がり部における圧力損失による発電用流路部内の酸化剤ガスの流速低下を抑制することができる。
【0028】
これにより、発電用流路部では、酸化剤ガスをカソードに供給するとともに、残りの酸化剤ガス(未反応酸化剤ガス)や不純物を酸化剤ガス出口マニホールドに向けて流れやすくすることができる。
【0029】
したがって、発電用流路部内の不純物が酸化剤ガス出口マニホールド近傍に滞留しやすくすることができ、燃料電池内の広範囲に不純物の滞留が発生することを抑制することができる。
【0030】
なお、この欄および特許請求の範囲で記載した各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】第1実施形態の燃料電池システムの概念図である。
【図2】図1の燃料電池の斜視図である。
【図3】第1実施形態の燃料電池のセルの分解断面図である。
【図4】第1実施形態の水素極側セパレータの正面図である。
【図5】第1実施形態の水素極側セパレータにおける水素の流れを説明する説明図である。
【図6】第2実施形態の水素極側セパレータにおける水素の流れを説明する説明図である。
【図7】セル内において水素の供給量が変化した場合における局所電流および局所温度の変化を説明する説明図である。
【図8】従来技術のセパレータにおける水素の流れを説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態について図1〜図5に基づいて説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る燃料電池システムの概略構成を示す概念図であり、図2は、燃料電池の概略を示す斜視図である。本実施形態の燃料電池システムは、電気自動車の一種である、いわゆる燃料電池車両に適用され、車両走行用電動モータ等の電気負荷に電力を供給する。
【0033】
まず、本実施形態の燃料電池システムの概略構成を説明すると、図1に示すように、燃料電池システムは、燃料電池1、空気経路2、水素経路3、制御装置4を備えている。本実施形態の燃料電池1は、図示しない電気負荷や2次電池等の電力機器に電力を供給するもので、燃料電池1として固体高分子電解質型燃料電池を用いている。
【0034】
空気経路2は、酸化剤ガスである空気が流れる経路であり、燃料電池1の空気極側に空気を供給するための空気供給経路2a、燃料電池1にて電気化学反応を終えた余剰空気および空気極で生成された生成水を燃料電池1から外部へ排出するための空気排出経路2aからなる。
【0035】
空気供給経路2aの最上流部には、大気中から吸入した空気を燃料電池1に圧送するための空気ポンプ21が設けられ、空気排出経路2bには、燃料電池1内の空気の圧力を調整するための空気調圧弁22が設けられている。
【0036】
水素経路3は、燃料ガスである水素が流れる経路であり、燃料電池1の水素極側に水素を燃料電池1に供給するための水素供給配管3a、水素極側に溜まった生成水を微量な水素とともに燃料電池1から外部へ排出するための水素排出経路3bからなる。
【0037】
水素供給経路3aの最上流部には、高圧水素が充填された高圧水素タンク31が設けられ、水素供給経路3aにおける高圧水素タンク31と燃料電池1との間には、燃料電池1に供給される水素の圧力を調整する水素調圧弁32が設けられている。
【0038】
さらに、水素排出配管3bには、酸素極側から後述する各セル10の電解質膜11を透過した生成水や窒素等の不純物を未反応水素とともに外気へ排出するために電磁弁33が設けられている。なお、本実施形態では、電磁弁33が燃料電池1から不純物等を排出する燃料ガス排出手段に相当している。
【0039】
燃料電池1は、図2に示すように、基本単位となる単セル10が複数積層されたスタック構造となっている。積層されたセル10は、電気的に直列に接続されている。なお、本実施形態では、単セル10を複数積層したスタック構造としているが、単セル1個備えるものとしてもよい。
【0040】
そして、燃料電池1の一方の側面には、燃料電池1の内部に水素、空気をそれぞれ導入するための水素入口1a、空気入口1bと、燃料電池1の内部から外部に水素、空気をそれぞれ排出するための水素出口1c、空気出口1dとが設けられている。この水素入口1a、空気入口1b、水素出口1c、空気出口1dのそれぞれに、水素供給経路3a、空気供給経路2a、水素排出経路3b、空気排出経路2bが接続されている。
【0041】
次に、セル10の構成について図3に基づいて説明する。図3は、燃料電池のセルの構成を示す分解断面図である。図3に示すように、セル10は、固体高分子膜からなる電解質膜11、触媒層12、拡散層13からなる膜電極接合体(MEA)と、これを両側から挟み込む一対のセパレータ14とから構成されている。
【0042】
膜電極接合体は、電解質膜11の両外側に密着した状態で水素極側触媒層12a、空気極側触媒層12bが配置され、各触媒層12の外側に水素極側拡散層13a、空気極側拡散層13bが配置されている。さらに、膜電極接合体と各セパレータ14との間の両端部には、シリコンゴム等のガス不透過性、弾力性、耐熱性を有する材料で形成されたシール部材15が設けられている。
【0043】
ここで、触媒層12は、カーボン担体に電気化学反応を促進する触媒(白金等)を担持させたカーボン担持白金触媒等で構成され、拡散層13は、導電体でかつ液体水分保持性能を有するカーボンクロス等で構成されている。なお、水素極側触媒層12aと水素極側拡散層13aが水素極(アノード)を構成し、空気極側触媒層12bと空気極側拡散層13bが空気極(カソード)を構成している。
【0044】
空気極に酸素を含む空気が供給され、燃料極に水素が供給されることにより、以下の電気化学反応が起こり、電気エネルギが発生する。また、このとき、空気極側では、水が生成する。
(水素極:アノード)H2→2H++2e−
(空気極:カソード)2H++1/2O2+2e−→H2O
本実施形態の膜電極接合体は、電解質膜11、各電極(触媒層12、ガス拡散層13)が接する発電部位(発電に寄与する部位)が、後述するセパレータ14に設けられたガス流路143と接触するようになっている。本実施形態の発電部位は、四角形状となっている。
【0045】
セパレータ14は、水素極と対向する面に、水素極に水素を供給するための水素流路(燃料ガス流路)143aが設けられ、空気極側と対向する面に空気極に空気を供給するための空気流路(酸化剤ガス流路)143bが設けられている。各セパレータ14は、ガスが透過しない導電性部材(例えば、カーボン材)で構成され、隣接する膜電極接合体を互いに電気的に直列に接続している。
【0046】
セパレータ14は、図示しないが隣り合うセル10で共有されており、隣接する単セル間で水素と空気の流れを分離している。なお、説明の都合上、以下単セル10における水素極と対向するセパレータ14を水素極側セパレータ14aと呼び、空気極と対向するセパレータ14を空気極側セパレータ14bと呼ぶ。
【0047】
次に、本実施形態の水素極側セパレータ14aについて図4、図5に基づいて説明する。図4は、水素極側セパレータの構成を水素極側から見たときの平面図であり、図5は、水素極側セパレータにおける水素の流れを説明するための模式図である。
【0048】
図4に示すように、水素極側セパレータ14aは、水素入口1aと連通し、水素流路143aに水素を導入するための水素入口マニホールド141と、水素出口1cと連通し、水素流路143aから水素出口1cに生成水、窒素等の不純物や未反応水素を導出する水素出口マニホールド142が形成されている。
【0049】
ここで、図示しないが、水素極側セパレータ14aには、空気入口1bと連通し、空気流路143bに空気を導入する空気入口マニホールドと、空気出口1dと連通し、空気流路143bから空気出口1dに空気や生成水等を排出する空気出口マニホールドが形成されている。なお、空気入口マニホールドおよび空気出口マニホールドは、水素流路143aとは接続されていない。
【0050】
本実施形態の水素出口マニホールド142は、水素極側セパレータ14aにおける膜電極接合体と対応する発電対応部位の角部近傍(図中右下の角部近傍)に形成されている。この発電対応部位は、詳しくは膜電極接合体の水素極側の触媒層12と対応する部位である。本実施形態では、膜電極接合体の発電部位が四角形状となっているため、発電部位に対応する発電対応部位も四角形状としている。
【0051】
水素入口マニホールド141は、上記発電対応部位の周縁部のうち、水素出口マニホールド142近傍の角部(図中右下の角部)と発電対応部位を挟んで対向する部位に形成されている。具体的に本実施系形態では、発電対応部位における水素出口マニホールド142が形成された角部の対角に位置する角部近傍(図中左上の角部近傍)に形成されている。
【0052】
また、本実施形態の水素流路143aは、導電性のある多孔質体からなる発電用流路部144(多孔質体流路部)、溝部からなる分配用流路部145が互いに隣接して構成されている。この発電用流路部144は、水素極に水素を供給するとともに水素出口マニホールド142に未反応水素や不純物を排出するための流路であり、水素極側セパレータ14aの発電対応部に形成されている。
【0053】
分配用流路部145は、発電対応部位の周縁部に沿って、発電対応部位における水素入口マニホールド141から、水素出口マニホールド142近傍の角部と隣り合う角部近傍(図中左下、右上の角部近傍)まで延びるように形成されている。本実施形態では、分配用流路部145は、発電対応部位の4つの辺のうち、水素出口マニホールド142近傍の角部(図中右下の角部)と接しない2つの辺に形成されている。
【0054】
さらに、分配用流路部145は、発電用流路部144と接する部位の全域から発電用流路部144に水素を分配するように構成されている。つまり、分配用流路部145と発電用流路部144は、互いに接する部位で連通するように構成されている。
【0055】
次に、本実施形態における燃料電池1内部の水素の流れを図5に基づいて説明すると、まず、水素供給経路3aを介して燃料電池1の水素入口1aから導入された水素は、セル10の水素極側セパレータ14aの水素入口マニホールド141を流れる。なお、図5における矢印は、水素の流れ方向を示している。
【0056】
そして、この水素は水素入口マニホールド141から分配用流路部145に流れ、分配用流路部145と発電用流路部144の接する部位の全域から発電用流路部144に分配される。
【0057】
ここで、本実施形態では、分配用流路部145を発電対応部位の周縁部に沿って形成されており、分配用流路部145では発電によって水素の流速が低下しないため、分配用流路部145と発電用流路部144の接する部位の全域からほぼ均一な流速の水素を発電用流路部144に分配することができる。
【0058】
さらに、分配用流路部145は、水素入口マニホールド141から、水素出口マニホールド142近傍の角部と隣り合う角部近傍まで延びるように形成されている。そのため、分配用流路部145と発電用流路部144との接する部位の全域から導入された水素は、発電用流路部144内において水素出口マニホールド142に対して略直線的に移動可能となる。
【0059】
具体的には、分配用流路部145と発電用流路部144との接する部位の水素出口マニホールド142近傍の角部と隣り合う角部近傍から導入された水素は、水素出口マニホールド142に対して直線的に移動する。
【0060】
つまり、発電用流路部144の角部等の曲がり部において水素の流れ方向が変化せず、流路の曲がり部における圧力損失による発電用流路部144内の水素の流速の低下を抑制することができる。
【0061】
これにより、発電用流路部144では、水素を水素極に供給するとともに、残りの水素(未反応水素)や不純物を水素出口マニホールド142に向けて流れやすくすることができる。
【0062】
また、本実施形態の水素極側セパレータ14aは、水素出口マニホールド142を発電対応部位の角部に形成することで、この水素出口マニホールド142が形成された角部、この角部と隣り合う一対の角部を結んでなる領域において、発電用流路部144の流路が水素出口マニホールド142に近づくほど狭くなるようにしている。
【0063】
そのため、水素流れ下流側における発電に伴う水素の流速の低下があったとしても、発電用流路部144を流れる未反応水素や不純物を水素出口マニホールド142に向けて流れやすくすることができる。その結果、水素出口マニホールド142近傍の図5中のA部に不純物が滞留することとなる。
【0064】
また、図2に示すように、本実施形態の燃料電池1は、セル10間に局所電流測定手段を構成する周知の電流測定装置5を備えている。本実施形態の電流測定装置5は、水素出口マニホールド142の近傍領域におけるセル10の局所電流を測定するようになっている。
【0065】
電流測定装置5は、例えば、特開2006−114376号公報に記載の電流測定装置を用いることができる。なお、電流測定装置5について簡単に説明すると、図示しない導電体より構成され、セル10とセル10の間に、セル10間を電気的に接続するように配置される導電部と、導電部を流れる局所電流を測定する電流センサより構成される。そして、電流センサは、測定結果を制御装置4に出力するようになっている。
【0066】
制御装置4は、入力信号に基づいて、燃料電池システムを構成する各種電気式アクチュエータの作動を制御するもので、CPU、ROM、RAM等からなる周知のマイクロコンピュータとその周辺回路にて構成されている。
【0067】
具体的には、制御装置4の入力側には、電流測定装置5の検出信号等、および、車室内に設けられた車両起動スイッチ(図示せず)の操作信号が入力される。なお、車両起動スイッチは、空気ポンプ21、空気調圧弁22、水素調圧弁32等の作動開始信号を出力する開始信号出力手段の機能を兼ねる。
【0068】
制御装置4の出力側には、上述の空気ポンプ21、空気調圧弁22、水素調圧弁32、電磁弁33等の各種電気式アクチュエータ等が接続されている。本実施形態の制御装置4は、演算結果に基づいて、電磁弁33等の各種電気式アクチュエータに制御信号を出力する。
【0069】
次に、本実施形態の燃料電池システムの作動について説明する。燃料電池システムは、車両起動スイッチがオンされることで起動を開始し、空気供給経路2aおよび水素供給経路3aから燃料電池1に空気および水素が供給されることで、燃料電池1では発電が行なわれる。
【0070】
本実施形態では、セル10内に滞留した水や窒素等の不純物を外部に排出するために、制御装置4が不純物排出制御を実行する。この不純物排出制御は、制御装置4が予めROM等に記憶されたプログラムに従って実行する。
【0071】
不純物排出制御では、電流測定装置5で測定した局所電流が、予め設定した基準電流値を下回ったか否かを判定する。なお、基準電流値は、実験的に算出されたもので、予め制御装置4のROM等に設定されている。
【0072】
判定の結果、電流測定装置5で測定した局所電流が基準電流値を下回っていると判定された場合に、燃料電池1の水素出口マニホールド142近傍で不純物が滞留し、水素が不足していると診断することができる。そして、電磁弁33を予め設定した所定時間が経過するまで開放することで、燃料電池1のセル10内部の不純物を排出することができる。
【0073】
以上説明したように、本実施形態の水素極側セパレータ14aの構成によれば、発電用流路部144内の不純物は、水素出口マニホールド142近傍に滞留する。これにより、燃料電池1の広範囲に不純物の滞留が発生することを抑制することができる。
【0074】
また、発電用流路部144内に滞留した不純物は、水素出口マニホールド142近傍に滞留しやすいため、電流測定装置5を水素出口マニホールド142近傍にのみ配置することで、燃料電池1内の水素が不足しているか否かを診断することができる。
【0075】
また、不純物の滞留が水素出口マニホールド142近傍で発生するため、制御装置4で不純物排出制御が行なわれた場合に、水素出口マニホールド142から不純物を排出しやすくすることができる。
【0076】
これにより、燃料電池1内の水素不足による燃料電池1の発電性能低下や、水素が不足している部位における膜電極接合体の劣化を抑制することができる。
【0077】
さらに、発電用流路部144内に滞留した不純物を排出するための必要となる水素排出量を減少させることができる。これにより、例えば、水素利用率が高い場合には、水素利用率の減少を抑制することができる。また、水素利用率が低い場合であっても滞留した不純物の排出を適切に行なうことができる。
【0078】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について図6に基づいて説明する。上記第1実施形態と同様または均等な部分について同一の符号を付し、その説明を省略する。ここで、図6は、本実施形態の水素極側セパレータを水素極側から見た正面図である。
【0079】
上述の第1実施形態では、膜電極接合体における発電部位の形状を四角形状とし、水素極側セパレータ14aの発電対応部位も同様に四角形状とした例について説明したが、本実施形態では、膜電極接合体における発電部位の形状を三角形状とし、水素極側セパレータ14aの発電対応部位も同様に三角形状としている。
【0080】
図6に示すように、本実施形態の水素出口マニホールド142は、水素極側セパレータ14aにおける発電対応部位の角部近傍(図中下の角部近傍)に形成されている。また、水素入口マニホールド141は、上記発電対応部位の周縁部のうち、水素出口マニホールド142近傍の角部(図中右下の角部)と発電対応部位を挟んで対向する部位に形成されている。具体的に本実施系形態では、発電対応部位における水素出口マニホールド142が形成された角部に対向する辺の中央部に設けられている。
【0081】
また、本実施形態の分配用流路部145は、発電対応部位の周縁部に沿って、発電対応部位における水素入口マニホールド141から水素出口マニホールド142が形成された角部と隣り合う角部近傍(図中左右の角部近傍)まで直線状に延びるように形成されている。そして、分配用流路部145は、発電用流路部144と接する部位の全域から発電用流路部144に水素を分配するように構成されている。
【0082】
このように、本実施形態の水素極側セパレータ14aにおける発電対応部位を三角形状した場合には、発電用流路部144の流路が水素出口マニホールド142に近づくほど狭くなる。
【0083】
これにより、第1実施形態の構成よりも、発電用流路部144を流れる水素や不純物を水素出口マニホールド142に向けて流れやすくすることができる。したがって、水素出口マニホールド142近傍の図6中のB部に不純物が滞留し、燃料電池1の広範囲に不純物の滞留が発生することを抑制することができる。
【0084】
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、以下のように種々変形可能である。
【0085】
(1)上述の実施形態では、水素極側セパレータ14aの水素流路143aに発電用流路部144と分配用流路部145を設ける例について説明したが、セル10の空気極側にも生成水が滞留するため、上述の実施形態と同様に、空気極側セパレータ14bの空気流路143bに発電用流路部と分配用流路部を設けてもよい。これにより、燃料電池1の広範囲に不純物の滞留が発生することを抑制することができ、さらに空気出口マニホールド近傍で不純物が滞留するため、不純物の排出を行いやすくすることができる。
【0086】
(2)上述の実施形態では、セル間に電流測定装置5を設ける例について説明したが、セル面内に不純物が滞留すると燃料電池1の出力電圧が低下するため、セル10内の局所電位を測定する電位測定装置(局所電位測定手段)を設けてもよい。電位測定装置としては、例えば、水素極側の拡散層13等に参照電極を設け、参照電極の電位に対する水素極の水素出口マニホールド142近傍の電位変化を測定する構成とすることができる。
【0087】
この電位測定装置を用いる場合には、不純物排出制御において、電位測定装置で測定した局所電位が、予め設定した基準電位値を下回ったか否かを判定し、基準電位値を下回った場合に、不純物が滞留している(水素が不足している)と診断すればよい。これによっても、電流測定装置5を設ける例と同様な効果を得ることができる。なお、基準電位値は、実験的に算出し、予め制御装置4のROM等に設定しておけばよい。
【0088】
(3)また、セル面内における不純物が滞留する部位では、水素が不足することによって発電が阻害され、局所電流が低下するとともに、発電時の水素と酸素の化学反応による発熱量も低下する。具体的には、図7に示すように、不純物が滞留して水素が不足している状態(水素供給量が少ない状態)では、水素が不足していない状態(水素供給量が多い状態)に比較して、滞留する部位の温度が低下する。
【0089】
つまり、セル10内に局所温度を測定する温度測定装置(局所温度測定手段)を設けることで、水素が不足しているか否かを診断することができる。この温度測定装置としては、例えば、水素極側の拡散層13に温度センサを配置して、水素極側の拡散層13の局所温度を測定する構成とすることができる。ここで、図7は、水素出口マニホールド142近傍において水素の供給量が変化した場合における局所電流および局所温度の変化を説明する説明図である。
【0090】
この温度測定装置を用いる場合には、不純物排出制御において、温度測定装置で測定した局所温度が、予め設定した基準温度値を下回ったか否かを判定し、基準温度値を下回った場合に、不純物が滞留している(水素が不足している)と診断すればよい。なお、基準温度値は、実験的に算出し、予め制御装置4のROM等に設定しておけばよい。
【0091】
これによっても、電流測定装置5を設ける例と同様な効果を得ることができる。また、温度測定装置は、水素極側の拡散層13に配置した温度センサで構成できるため、セル間に配置する電流測定装置5を用いる場合に比較して、簡易な構成となり、さらに燃料電池1の積層方向の体格を小さくすることができる。また、温度測定装置を用いる場合には、電流測定装置5を用いる場合に比較して、燃料電池1内の電流の流れが変化しない構成であるため、測定装置を設けることで燃料電池1の発電性能に与える影響を抑えることができる。
【0092】
(4)上述の実施形態では、不純物排出制御において、電磁弁33の開放を予め設定した所定時間経過するまで行なったが、電磁弁33の開放を電流測定装置5で測定した局所電流が基準電流値を下回らなくなるまで行うように構成してもよい。
【0093】
(5)上述の実施形態では、膜電極接合体の形状を四角形状、三角形状とした場合の例を説明したが、これに限定されるものではなく、膜電極接合体の形状は、3つ以上の角部を有する多角形状としもよい。
【0094】
(6)上述の実施形態では、発電用流路部144を多孔質体流路としているが、これに限定されず、例えば、セパレータ14の膜電極接合体と対応する面に多数の突起部が形成されたエンボス状の流路としてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 燃料電池
10 セル
14a 水素極側セパレータ(アノード側セパレータ)
141 水素入口マニホールド(燃料ガス入口マニホールド)
142 水素出口マニホールド(燃料ガス出口マニホールド)
143a 水素流路(燃料ガス流路)
144 発電用流路
145 分配用流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体高分子膜からなる電解質膜(11)の両面に、それぞれアノードおよびカソードを接合した膜電極接合体と、
前記膜電極接合体を狭持する一対のセパレータ(14)と、
前記セパレータ(14)における前記アノード側に設けられ、前記アノードに燃料ガスを供給するための燃料ガス流路(143a)と、
前記セパレータ(14)に形成され、燃料ガスを前記燃料ガス流路(143a)に導入するための燃料ガス入口マニホールド(141)と、
前記セパレータ(14)に形成され、燃料ガスを前記燃料ガス流路(143a)から導出するための燃料ガス出口マニホールド(142)とを備え、
前記燃料ガス出口マニホールド(142)は、前記セパレータ(14)における前記膜電極接合体に対応する発電対応部位の角部近傍に形成され、
前記燃料ガス入口マニホールド(141)は、前記発電対応部位の周縁部のうち前記燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の角部と前記発電対応部位を挟んで対向する部位に形成され、
前記燃料ガス流路(143a)は、
前記発電対応部位に形成され、燃料ガスを前記アノードに供給するとともに、残りの燃料ガスを前記燃料ガス出口マニホールド(142)に排出する発電用流路部(144)と、
前記発電対応部位の周縁部に沿って、前記燃料ガス入口マニホールド(141)から前記発電対応部位における前記燃料ガス出口マニホールド(142)が形成された角部と隣り合う一対の角部に至るまで延びるように形成され、前記発電用流路部(144)と接する部位から前記発電用流路部(144)に燃料ガスを分配する分配用流路部(145)とを有することを特徴とする燃料電池。
【請求項2】
前記発電対応部位は、四角形状であり、
前記燃料ガス入口マニホールド(141)は、前記発電対応部位における前記燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の角部の対角の角部近傍に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池。
【請求項3】
前記発電用流路部(144)は、ガス透過性を有する多孔質体からなる多孔質体流路であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の前記燃料電池(1)と、
前記燃料電池(1)内における前記燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の局所電流を測定する局所電流測定手段(5)と、
前記発電用流路部(144)内の燃料ガスを外部に排出する燃料ガス排出手段(33)と、
前記燃料ガス排出手段(33)を制御する制御手段(4)とを備え、
前記制御手段(4)は、前記局所電流測定手段(5)で測定した局所電流が、予め設定した基準電流を下回った場合に、燃料ガスを排出するように前記燃料ガス排出手段(33)を制御することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項5】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の前記燃料電池(1)と、
前記燃料電池(1)内における前記燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の局所電位を測定する局所電位測定手段と、
前記発電用流路部(144)内の燃料ガスを外部に排出する燃料ガス排出手段(33)と、
前記燃料ガス排出手段(33)を制御する制御手段(4)とを備え、
前記制御手段(4)は、前記局所電位測定手段で測定した局所電位が、予め設定した基準電位値を下回った場合に、燃料ガスを排出するように前記燃料ガス排出手段(33)を制御することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項6】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の前記燃料電池(1)と、
前記燃料電池(1)内における前記燃料ガス出口マニホールド(142)近傍の温度を測定する局所温度測定手段と、
前記発電用流路部(144)内の燃料ガスを外部に排出する燃料ガス排出手段(33)と、
前記燃料ガス排出手段(33)を制御する制御手段(4)とを備え、
前記制御手段(4)は、前記局所温度測定手段で測定した温度が、予め設定した基準温度値を下回った場合に、燃料ガスを排出するように前記燃料ガス排出手段(33)を制御することを特徴とする燃料電池システム。
【請求項7】
固体高分子膜からなる電解質膜(11)の両面に、それぞれアノードおよびカソードを接合した膜電極接合体と、
前記膜電極接合体を狭持する一対のセパレータ(14)と、
前記セパレータ(14)における前記カソード側に設けられ、前記カソードに酸化剤ガスを供給するための酸化剤ガス流路(143b)と、
前記セパレータ(14)に形成され、酸化剤ガスを前記酸化剤ガス流路(143b)に導入するための酸化剤ガス入口マニホールドと、
前記セパレータ(14)に形成され、酸化剤ガスを前記酸化剤ガス流路(143b)から導出するための酸化剤ガス出口マニホールドとを備え、
前記酸化剤ガス出口マニホールドは、前記セパレータ(14)における前記膜電極接合体に対応する発電対応部位の角部近傍に形成され、
前記酸化剤ガス入口マニホールドは、前記発電対応部位の周縁部のうち前記酸化剤ガス出口マニホールド近傍の角部と前記発電対応部位を挟んで対向する部位に形成され、
前記酸化剤ガス流路(143b)は、
前記発電対応部位に形成され、酸化剤ガスを前記カソードに供給するとともに、残りの酸化剤ガスを前記酸化剤ガス出口マニホールドに排出する発電用流路部と、
前記発電対応部位の周縁部に沿って、前記酸化剤ガス入口マニホールドから前記発電対応部位における前記酸化剤ガス出口マニホールドが形成された角部と隣り合う一対の角部に至るまで延びるように形成され、前記発電用流路部と接する部位から前記発電用流路部に酸化剤ガスを分配する分配用流路部とを有することを特徴とする燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−34041(P2010−34041A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150902(P2009−150902)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】