説明

燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法

【課題】燃料電池8によって電気及び高温排気ガス9を発生し、この高温排気ガス9は熱交換器10に供給し、この熱交換器10に冷水12を供給して温水16に変化させて給湯する燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法において、上記の高温排気ガス9の温度Tiが変化しても上記の温水16の温度を所定値に精密に制御する。
【解決手段】本発明は、高温排気ガス9の保有熱量Qcを算出し,この高温排気ガス保有熱量Qc及び温水温度設定値Tr及び冷水温度Twに基づいて冷水12の流量設定値frを算出し,冷水12の流量fがこの冷水流量設定値frと略等しくなるように調節して温水温度を所定値に制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池によって発生した高温排気ガスを利用して生成される温水の温度制御を精密に行うための燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は、従来技術における燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を示す構成図である。同図において、燃料電池8は、空気1、都市ガス2及び純水3を燃料として発電・発熱して電気及び高温排気ガス9を発生する。電気は、図示していないインバータ回路等の電気回路を介して負荷又は電力系統に供給される。以下、同図を参照して各構成物について説明する。
【0003】
燃料用の空気1は、圧縮機4によって圧縮されて燃料供給部7に供給される。燃料用の都市ガス2は、昇圧機5によって昇圧されて燃料供給部7に供給される。燃料用の純水3は、純水ポンプ6によって燃料供給部7に供給される。燃料供給部7は、上記の空気1の圧力及び流量α、都市ガス2の圧力及び流量β並びに純水3の流量γを調節して燃料電池8に供給する。燃料電池8は、上記の空気1、都市ガス2及び純水3を燃料として電気及び数百℃の高温の排気ガス9を発生する。
【0004】
上記の高温排気ガス9は熱交換器10によって熱交換されて数十℃に冷却された冷却排気ガス11に変化し、この冷却排気ガス11はシステムの外部に放出される。冷水12は、給水ポンプ13によって上記の熱交換器10に供給される。流量調節弁14は、冷水12の流量fを調節する。冷水12は熱交換器10によって加熱されて温水16に変化し、この温水16は貯湯槽15に蓄えられて給湯等に利用される。
【0005】
温水16の温度が高いほど貯湯槽15を小型化することができる。すなわち、同一の熱量を貯湯槽15で蓄積する場合、温水温度に比例して貯湯槽15の容積は小さくなる。反面、温水温度が100℃近くになると水泡の発生等により熱交換器10の熱交換効率が低下する。また、温水温度がさらに上昇して温水が沸騰すると、熱交換器10及び水路配管が損傷することもある。したがって、温水温度は例えば90℃程度の所定値に精密に制御する必要がある。以下、従来技術における温水温度制御法について説明する。
【0006】
温水温度センサTHは、温水16の温度を計測して、温水温度計測信号Thを出力する。温水温度設定部TRは、予め定めた温水温度設定信号Trを出力する。温水温度制御部CTは、上記の温水温度計測信号Thの値と上記の温水温度設定信号Trの値とが略等しくなるように流量設定信号frを出力する。上記の流量調節弁14は、この流量設定信号frに相当する流量fに調節する。これによって、温水温度は設定温度に制御される(例えば、特許文献1、2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平5−93593号公報
【特許文献2】特開2002−295867号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述した従来技術の温水温度制御方法には以下の課題がある。すなわち、数百℃の高温排気ガス9は流量が大きいために冷却排気ガス11に変化するまでの変換時間は短くなる。この短時間の間に高温排気ガス9は保有熱量を放出する。他方、冷水12の流量fは高温排気ガス9の流量に比べて相当に小さいために、温水に変化する変換時間は上記の排気ガスのときに比べて十数倍長くかかる。この結果、燃料電池8の負荷変動時、起動/停止の過渡時等において高温排気ガス9の温度又は流量が変動して保有熱量が変化しても、温水温度は遅れて変化することになる。このために、温水温度Thと設定温度Trとに誤差が生じた時点で冷水の流量を調節しても、上記の時間遅れのために誤差は拡大し続けて大きくオーバーシュート又はアンダーシュートする。特に、高温排気ガス9の保有熱量の変化が急峻であるほど、この誤差は大きくなる。上述したように、温水温度は貯湯槽15の容積を小さくするために90℃程度の高温に設定されるので、温水温度が大きくオーバーシュートすると、上述したように、温水に水泡が発生して熱交換器10の熱交換効率が低下したり、沸騰に至り熱交換器10等を損傷することになる。また、アンダーシュートすると、上述したように、貯湯槽15の容積を大きくすることになる。
【0009】
そこで、本発明では、高温排気ガスの温度又は流量が急変しても温水温度を所定値に精密に制御することができる燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、第1の発明は、空気及び都市ガス及び純水などを燃料とする燃料電池によって電気及び高温の排気ガスを発生し、前記電気は負荷又は電力系統に供給し、前記高温排気ガスは熱交換器に供給しこの熱交換器に冷水を供給して温水に変化させて給湯し、前記熱交換器によって冷却された冷却排気ガスは外部に排気し、前記冷水の流量を調節して前記温水の温度を所定値に制御する燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法において、
前記高温排気ガスに含まれる水蒸気の流量及び水蒸気以外の排気ガスの流量を検出し、前記高温排気ガスの温度及び前記冷却排気ガスの温度を検出し、前記水蒸気の流量及び前記水蒸気以外の排気ガスの流量及び前記高温排気ガス温度及び前記冷却排気ガス温度に基づいて排気ガス保有熱量を算出し,
前記温水温度の設定値を予め設定し、前記冷水の温度を検出し、前記排気ガス保有熱量及び前記温水温度設定値及び前記冷水温度に基づいて前記冷水の流量設定値を算出し,
前記冷水の流量が前記冷水流量設定値と略等しくなるように調節して温水温度を所定値に制御する、ことを特徴とする燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法である。
【0011】
また、第2の発明は、前記排気ガス保有熱量を、前記水蒸気の流量及び前記水蒸気以外の排気ガスの流量及び前記高温排気ガス温度及び前記冷却排気ガス温度を入力として前記水蒸気の顕熱及び潜熱による保有熱量と、前記水蒸気以外の排気ガスの保有熱量との合算値として算出する、ことを特徴とする第1の発明記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法である。
【0012】
また、第3の発明は、前記水蒸気以外の排気ガスを窒素及び酸素及び二酸化炭素の3つの排気ガスに分類し、これら3つの排気ガスの各流量及び前記高温排気ガス温度及び前記冷却排気ガス温度を入力として前記3つの排気ガスごとの顕熱による保有熱量を算出し、これら3つの排気ガスの保有熱量を合算して前記水蒸気以外の排気ガスの保有熱量を算出する、ことを特徴とする第2の発明記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法である。
【0013】
また、第4の発明は、前記水蒸気以外の排気ガスを窒素及び空気及び二酸化炭素の3つの排気ガスに分類する、ことを特徴とする第3の発明記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法である。
【0014】
また、第5の発明は、前記水蒸気の顕熱及び潜熱による保有熱量は、前記水蒸気の流量及び前記高温排気ガス温度及び前記冷却排気ガス温度を入力として前記水蒸気が前記高温排気ガス温度から露点温度まで低下するときの顕熱による保有熱量と、前記水蒸気が冷却されて前記露点温度で水に変化するときの潜熱による保有熱量と、前記水及び前記水蒸気が前記露点温度から前記冷却排気ガス温度まで低下するときの顕熱による保有熱量との合算値である、ことを特徴とする第2の発明記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法である。
【0015】
また、第6の発明は、前記冷水流量設定値frを、前記排気ガス保有熱量Q及び前記温水温度設定値Tr及び前記冷水温度Tw及び予め定めた熱交換器の効率η及び予め定めた水の比熱cwを入力としてfr=(η・Q)/(cw・(Tr−Tw))の演算によって算出する、ことを特徴とする第1乃至第5の発明のいずれかに記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法である。
【0016】
また、第7の発明は、前記温水の温度を検出し、前記温水温度設定値と前記温水温度の検出値との誤差に応じて前記排気ガス保有熱量を補正する、ことを特徴とする第1乃至第6の発明のいずれかに記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法である。
【0017】
また、第8の発明は、前記空気及び都市ガス及び純水の各流量を入力として化学反応式に基づいて前記高温排気ガスに含まれるガス成分ごとの流量を算出する、ことを特徴とする第1乃至第7の発明のいずれかに記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、燃料電池によって発生する高温排気ガスの温度又は流量が変化しても、高温排気ガスの保有熱量を算出して冷水の流量を調節するので、温水温度はオーバーシュート又はアンダーシュートして大きく変動することがなく、常に設定温度に精密に制御される。このために、温水の設定温度を90℃程度と高く設定することが可能となり、貯湯槽の容積を小さくすることができる。さらに、温水温度の変動を小さく抑制することができるので、100℃近くまで変動し水泡が発生して熱交換器の熱効率を低下させることもない。さらに、温水が沸騰して熱交換器、水路配管等を損傷することもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0020】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の形態1に係る燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を示すシステム構成図である。同図において、上述した図5と同一の構成物には同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図5とは異なる点線で示す構成物について説明する。
【0021】
排気ガス流量検出部GDは、高温排気ガス9に含まれる水蒸気の流量値ε[NL/min]及び水蒸気以外の排気ガスの流量値δ[NL/min]から形成される排気ガス流量信号Gdを出力する。ここで、高温排気ガスの成分は、水蒸気(HO)、窒素(N)、酸素(O)及び二酸化炭素(CO)からなる。実施の形態1では、窒素、酸素及び二酸化炭素を水蒸気以外の排気ガスとする。また、下記の熱量算出において算出方法を簡単にするために、実施の形態1では水蒸気以外の排気ガスを成分比が似ている空気として取り扱う。上記のNL/minは1atm、0℃における気体の流量[L/min]を示す。上記の水蒸気及び水蒸気以外の排気ガスの流量値は、高温排気ガス9の総流量を検出して予め実験等によって定めた比率によって算出しても良い。
【0022】
排気ガス温度センサTDは、高温排気ガス9の温度Ti[℃]及び冷却排気ガス11の温度To[℃]から形成される排気ガス温度信号Tdを出力する。
【0023】
排気ガス保有熱量算出部QCは、上記の排気ガス流量信号Gd及び排気ガス温度信号Tdを入力として、図2で後述する演算によって排気ガス保有熱量信号Qc[kw]を出力する。冷水温度センサTWは、冷水12の温度を計測して冷水温度計測信号Tw[℃]を出力する。流量設定算出部FRCは、上記の排気ガス保有熱量信号Qc[kW]、冷水温度計測信号Tw[℃]、温水温度設定信号Tr[℃]、予め定めた熱交換器の効率η及び予め定めた水の比熱cw[J/K・g]を入力として、流量設定信号fr[L/min]=(η・Qc)/(cw・(Tr−Tw))・(1/60)を出力する。水の比熱cwは、例えば70℃のときはcw=4.189となる。この流量設定信号frによって流量調節弁14を調節して冷水12の流量f=frとなるように制御する。これにより、高温排気ガス9の温度Ti又は流量ε、δが急変しても、温水16の温度は常に温水温度設定信号Trの値に維持される。
【0024】
図2は、上述した排気ガス保有熱量Q[kW]を演算する方法を示すフローチャートである。ステップS1において、水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]を算出する。ステップS2において、高温排気ガスに含まれる水蒸気の顕熱による保有熱量Qwk[kW]を算出する。ステップS3において、水蒸気の潜熱による保有熱量Qws[kW]を算出する。ステップS4において、排気ガス保有熱量Q=Qg+Qwk+Qwsを算出する。以下、各ステップの詳細について説明する。
【0025】
(S1)水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]の算出方法
(a)水蒸気以外の排気ガス質量Wg[g/min]の算出
高温排気ガスの圧力P[atm]、水蒸気以外の排気ガスの流量δ[NL/min]、水蒸気以外の排気ガスの分子量dg及び高温排気ガス温度T[℃]を入力として下式で算出される。
Wg=(P・δ・dg)/(0.082・(T+273))
ここで、0.082は気体定数である。また、水蒸気以外の排気ガスの成分は上述したように空気に似ているので、ここではdgは空気の分子量となる。また、流量δの単位は[NL/min]に換算されているので、圧力P=1atm、温度T=0℃である。
【0026】
(b1)比エンタルピーによる水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]の算出
高温排気ガス温度Ti[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]を入力として、周知である空気の比エンタルピー図から、高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピーHgi[kJ/kg]及び冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピーHgo[kJ/kg]を算出する。そして、これらの比エンタルピーHgi、Hgo及び上記の水蒸気以外の排気ガスの質量Wg[g/min]を入力として下式で算出される。
Qg=Wg・(Hgi−Hgo)・(1/6×10−4) …(11)式
ここで、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0027】
(b2)比熱による水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]の算出
上記(b1)とは異なる算出方法を説明する。上記水蒸気以外の排気ガスの質量Wg[g/min]、高温排気ガス温度Ti[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]及び空気の比熱cg[J/K・g]を入力として下式で算出される。
Qg=Wg・(Ti−To)・cg・(1/6×10−4) …(12)式
ここで、空気の比熱はTiとToとの中間温度での比熱とし、例えば170℃ではcg=1.019となる。また、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0028】
(S2)水蒸気の顕熱による保有熱量Qwk[kW]の算出方法
(a)排気ガスの露点温度Tc[℃]の算出
上記の水蒸気以外の排気ガス流量δ[NL/min]及び水蒸気流量ε[NL/min]を入力として、水蒸気の分圧Pwi[kPa]を下式によって算出する。
Pwi=(ε/(ε+δ))・101.325
ここで、101.325は単位変換のための定数である。
次に、周知である飽和蒸気圧曲線図において分圧Pwiに対応する露点温度Tcを算出する。
【0029】
(b)高温水蒸気の質量Wh[g/min]の算出
高温排気ガスの圧力P[atm]、水蒸気流量ε[NL/min]、水蒸気の分子量dw及び高温排気ガス温度T[℃]を入力として下式で算出される。
Wh=(P・ε・dw)/(0.082・(T+273))
ここで、0.082は気体定数である。また、流量εの単位は[NL/min]に換算されているので、圧力P=1atm、温度T=0℃である。
【0030】
(c1)比エンタルピーによる高温水蒸気のTi→Tc変化時における顕熱量Qhk[kW]の算出
高温排気ガス温度Ti[℃]、露点温度Tc[℃]を入力として、周知である水蒸気の比エンタルピー図から、高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピーHhi[kJ/kg]及び露点温度Tcにおける比エンタルピーHhc[kJ/kg]を算出する。そして、これらの比エンタルピーHhi、Hhc及び上記の高温水蒸気質量Wh[g/min]を入力として下式で算出される。
Qhk=Wh・(Hhi−Hhc)・(1/6×10−4)
ここで、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0031】
(c2)比熱による高温水蒸気のTi→Tc変化時における顕熱量Qhk[kW]の算出
上記(c1)とは異なる算出方法を説明する。上記水蒸気質量Wh[g/min]、高温排気ガス温度Ti[℃]、上記の露点温度Tc[℃]、水蒸気の比熱ch[J/K・g]を入力として下式で算出される。
Qhk=Wh・(Ti−Tc)・ch・(1/6×10−4)
ここで、水蒸気の比熱chはTiとTcとの中間温度での比熱とし、例えば200℃でch=1.981となる。また、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0032】
(d)冷却排気ガスに含まれる冷却水蒸気の流量εs[NL/min]の算出
周知である飽和蒸気圧曲線図から、冷却排気ガス温度To[℃]に対応する冷却水蒸気の分圧Pwo[kPa]を算出する。そして、この冷却水蒸気の分圧Pwo[kPa]及び上記の水蒸気以外の排気ガス流量δ[NL/min]を入力として下式で算出される。
εs=(Pwo・δ)/(101.325−Pwo)
ここで、101.325は単位変換のための定数である。
【0033】
(e)冷却水蒸気の質量Ws[g/min]の算出
冷却排気ガスの圧力Ps[atm]、冷却水蒸気流量εs[NL/min]、水蒸気の分子量dw及び冷却排気ガス温度T[℃]を入力として下式で算出される。
Ws=(Ps・εs・dw)/(0.082・(T+273))
ここで、0.082は気体定数である。また、流量εsの単位は[NL/min]に換算されているので、圧力Ps=1atm、温度T=0℃である。
【0034】
(f)冷却排気ガスに含まれる冷却凝縮水質量Wm[g/min]の算出
高温水蒸気はその温度が露点温度Tcよりも低下するのに伴い次第に凝縮水に変化し、冷却排気ガス温度Toにおける冷却凝縮水の質量は以下のようになる。上記の高温水蒸気質量Wh[g/min]及び上記の冷却水蒸気質量Ws[g/min]を入力として下式で算出される。
Wm=Wh−Ws
【0035】
(g)露点温度Tc以下の水蒸気平均質量Whs[g/min]及び凝縮水平均質量Wma[g/min]の算出
露点温度Tc以下において、水蒸気は温度が低下するに伴い凝縮水に変化するために、その質量は次第に減少する。逆に、温度が低下するに伴い凝縮水の質量は増加する。このために、露点温度Tcから冷却排気ガス温度Toまでの水蒸気及び凝縮水の顕熱による保有熱量を算出する際に必要となる質量を、Tc→To変化時の水蒸気及び凝縮水の平均質量とする。
露点温度Tcから冷却排気ガス温度Toまでの水蒸気の平均質量Whsは、上記の高温水蒸気質量Wh[g/min]及び上記の冷却水蒸気質量Ws[g/min]を入力として下式で算出される。
Whs=(Wh+Ws)/2
また、露点温度Tcから冷却排気ガス温度Toまでの凝縮水の平均質量Wwaは、上記の冷却凝縮水質量Wm[g/min]を入力として下式で算出される。
Wma=Wm/2
【0036】
(h1)比エンタルピーによる水蒸気のTc→To変化時における顕熱量Qsk[kW]の算出
露点温度Tc[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]を入力として、周知である水蒸気の比エンタルピー図から、露点温度Tcにおける比エンタルピーHsc[kJ/kg]及び冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピーHso[kJ/kg]を算出する。そして、これらの比エンタルピーHsc、Hso及び上記の水蒸気平均質量Whs[g/min]を入力として下式で算出される。
Qsk=Whs・(Hsc−Hso)・(1/6×10−4)
ここで、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0037】
(h2)比熱による水蒸気のTc→To変化時における顕熱量Qsk[kW]の算出
上記(h1)とは異なる算出方法を説明する。上記の水蒸気平均質量Whs[g/min]、上記の露点温度Tc[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]、水蒸気の比熱ch[J/K・g]を入力として下式で算出される。
Qsk=Whs・(Tc−To)・ch・(1/6×10−4)
ここで、水蒸気の比熱chはTcとToとの中間温度での比熱とする。また、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0038】
(i1)比エンタルピーによる凝縮水のTc→To変化時における顕熱量Qmk[kW]の算出
露点温度Tc[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]を入力として、周知である凝縮水の比エンタルピー図から、露点温度Tcにおける比エンタルピーHmc[kJ/kg]及び冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピーHmo[kJ/kg]を算出する。そして、これらの比エンタルピーHmc、Hmo及び上記の凝縮水平均質量Wwa[g/min]を入力として下式で算出される。
Qmk=Wma・(Hmc−Hmo)・(1/6×10−4)
ここで、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0039】
(i2)比熱による凝縮水のTc→To変化時における顕熱量Qmk[kW]の算出
上記(i1)とは異なる算出方法を説明する。上記の凝縮水平均質量Wma[g/min]、上記の露点温度Tc[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]、凝縮水の比熱cw[J/K・g]を入力として下式で算出される。
Qmk=Wma・(Tc−To)・cw・(1/6×10−4)
ここで、凝縮水の比熱cwはTcとToとの中間温度での比熱とする。また、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0040】
(j)水蒸気の顕熱による保有熱量Qwk[kW]の算出
上記の水蒸気のTi→Tc変化時の保有熱量Qhk[kW]、上記の水蒸気のTc→To変化時の保有熱量Qsk[kW]及び上記の凝縮水のTc→To変化時の保有熱量Qmk[kW]を入力として下式で算出される。
Qwk=Qhk+Qsk+Qmk …(2)式
【0041】
(S3)水蒸気の潜熱による保有熱量Qwsの算出方法
(a1)比エンタルピーによる水蒸気の潜熱量Qws[kW]の算出
露点温度Tc[℃]における水蒸気の比エンタルピーHsc[kJ/kg]及び冷却排気ガス温度To[℃]における凝縮水の比エンタルピーHmo[kJ/kg]及び冷却凝縮水質量Wm[g/min]を入力として下式で算出される。
Qws=Wm・(Hsc−Hmo)・(1/6×10−4) …(31)式
ここで、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0042】
(a2)蒸発熱による水蒸気の潜熱量Qws[kW]の算出
上記(a1)とは異なる算出方法を説明する。上記の冷却凝縮水質量Wm[g/min]及び水の分子量dwを入力として下式で算出される。
Qws=((Wm/dw)・41)/60 …(32)式
ここで、41[kJ/mol]は水の蒸発熱であり、60は単位変換のための定数である。
【0043】
(S4)排気ガスの保有熱量Q[kW]の算出方法
上記(11)式又は(12)式の水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]、上記(2)式の水蒸気の顕熱による保有熱量Qwk[kW]及び上記(31)式又は(32)式の水蒸気の潜熱による保有熱量Qws[kW]を入力として下式で算出される。
Q=Qg+Qwk+Qws
【0044】
[実施の形態2]
上述した実施の形態1では、高温排気ガスに含まれる水蒸気以外のガス成分である窒素、酸素及び二酸化炭素を空気として取り扱って保有熱量Qgを算出した。これに対して、実施の形態2では、以下のように、窒素、酸素及び二酸化炭素のそれぞれの保有熱量Qgn、Qgo及びQgcを算出する。そして、これらを合算して水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qgを算出する。これによって、水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qgをより正確に算出することができる。以下、詳細を説明する。
【0045】
実施の形態2では、上述した図2のステップS1を下記のように変更したものである。
(S1)水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]の算出方法
(a)窒素、酸素及び二酸化炭素の各質量Wgn、Wgo及びWgc[g/min]の算出
高温排気ガスの圧力P[atm]、窒素、酸素及び二酸化炭素の各流量δn、δo及びδc[NL/min]、窒素、酸素及び二酸化炭素の各分子量dgn、dgo及びdgc並びに高温排気ガス温度T[℃]を入力として下式で算出される。
Wgn=(P・δn・dgn)/(0.082・(T+273))
Wgo=(P・δo・dgo)/(0.082・(T+273))
Wgc=(P・δc・dgc)/(0.082・(T+273))
ここで、0.082は気体定数である。また、流量の単位は[NL/min]に換算されているので、圧力P=1atm、温度T=0℃である。
【0046】
(b1)比エンタルピーによる窒素、酸素及び二酸化炭素の保有熱量Qgn、Qgo及びQgc[kW]の算出
高温排気ガス温度Ti[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]を入力として、周知である窒素、酸素及び二酸化炭素の各比エンタルピー図から、高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピーHgni、Hgoi及びHgci[kJ/kg]並びに冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピーHgno、Hgoo及びHgco[kJ/kg]を算出する。そして、これらの比エンタルピー並びに上記の窒素、酸素及び二酸化炭素の各質量Wgn、Wgo及びWgc[g/min]を入力として下式で算出される。
Qgn=Wgn・(Hgni−Hgno)・(1/6×10−4)
Qgo=Wgo・(Hgoi−Hgoo)・(1/6×10−4)
Qgc=Wgc・(Hgci−Hgco)・(1/6×10−4)
ここで、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0047】
(b2)比熱による窒素、酸素及び二酸化炭素の保有熱量Qgn、Qgo及びQgc[kW]の算出
上記(b1)とは異なる算出方法を説明する。上記の窒素、酸素及び二酸化炭素の各質量Wgn、Wgo及びWgc[g/min]、高温排気ガス温度Ti[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]並びに窒素、酸素及び二酸化炭素の各比熱cgn、cgo及びcgc[J/K・g]を入力として下式で算出される。
Qgn=Wgn・(Ti−To)・cgn・(1/6×10−4)
Qgo=Wgo・(Ti−To)・cgo・(1/6×10−4)
Qgc=Wgc・(Ti−To)・cgc・(1/6×10−4)
ここで、各比熱はTiとToとの中間温度での比熱とする。また、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0048】
(c)水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]の算出
上記の窒素、酸素及び二酸化炭素の各保有熱量Qgn、Qgo及びQgc[kW]を合算して下式で算出される。
Qg=Qgn+Qgo+Qgc
【0049】
[実施の形態3]
上述した実施の形態2では、高温排気ガスに含まれる水蒸気以外のガス成分を窒素、酸素及び二酸化炭素としたが、実施の形態3では、高温排気ガスに含まれる水蒸気以外のガス成分を窒素、空気(0.8N2+0.2O2)及び二酸化炭素に分類し、それぞれの保有熱量Qgn、Qga及びQgcを算出する。そして、これらを合算して水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qgを算出する。ここで、酸素に代えて空気として扱う方が保有熱量の演算が簡単になる場合がある。以下、詳細を説明する。
【0050】
実施の形態3では、上述した図2のステップS1を下記のように変更したものである。
(S1)水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]の算出方法
(a)窒素、空気及び二酸化炭素の各質量Wgn、Wga及びWgc[g/min]の算出
高温排気ガスの圧力P[atm]、窒素、空気及び二酸化炭素の各流量δn、δa及びδc[NL/min]、窒素、空気及び二酸化炭素の各分子量dgn、dga及びdgc並びに高温排気ガス温度T[℃]を入力として下式で算出される。
Wgn=(P・δn・dgn)/(0.082・(T+273))
Wga=(P・δa・dga)/(0.082・(T+273))
Wgc=(P・δc・dgc)/(0.082・(T+273))
ここで、0.082は気体定数である。また、流量の単位は[NL/min]に換算されているので、圧力P=1atm、温度T=0℃である。
【0051】
(b1)比エンタルピーによる窒素、空気及び二酸化炭素の保有熱量Qgn、Qga及びQgc[kW]の算出
高温排気ガス温度Ti[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]を入力として、周知である窒素、空気及び二酸化炭素の各比エンタルピー図から、高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピーHgni、Hgai及びHgci[kJ/kg]並びに冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピーHgno、Hgao及びHgco[kJ/kg]を算出する。そして、これらの比エンタルピー並びに上記の窒素、空気及び二酸化炭素の各質量Wgn、Wga及びWgc[g/min]を入力として下式で算出される。
Qgn=Wgn・(Hgni−Hgno)・(1/6×10−4)
Qga=Wga・(Hgai−Hgao)・(1/6×10−4)
Qgc=Wgc・(Hgci−Hgco)・(1/6×10−4)
ここで、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0052】
(b2)比熱による窒素、空気及び二酸化炭素の保有熱量Qgn、Qga及びQgc[kW]の算出
上記(b1)とは異なる算出方法を説明する。上記の窒素、空気及び二酸化炭素の各質量Wgn、Wga及びWgc[g/min]、高温排気ガス温度Ti[℃]、冷却排気ガス温度To[℃]並びに窒素、空気及び二酸化炭素の各比熱cgn、cga及びcgc[J/K・g]を入力として下式で算出される。
Qgn=Wgn・(Ti−To)・cgn・(1/6×10−4)
Qga=Wga・(Ti−To)・cga・(1/6×10−4)
Qgc=Wgc・(Ti−To)・cgc・(1/6×10−4)
ここで、比熱はTiとToとの中間温度での比熱とする。また、(1/6×10−4)は単位変換のための定数である。
【0053】
(c)水蒸気以外の排気ガスの保有熱量Qg[kW]の算出
上記の窒素、空気及び二酸化炭素の各保有熱量Qgn、Qga及びQgc[kW]を合算して下式で算出される。
Qg=Qgn+Qga+Qgc
【0054】
[実施の形態4]
図3は、本発明の実施の形態4に係る燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を示すシステム構成図である。同図において、上述した図1と同一の構成物には同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図1とは異なる点線で示す構成物について説明する。
【0055】
温水温度センサTHは、温水16の温度を計測して、温水温度計測信号Thを出力する。温度誤差増幅部ETは、温水温度設定信号Trと上記の温水温度計測信号Thとの誤差を増幅して、温度誤差増幅信号ΔTを出力する。第2排気ガス保有熱量算出部QC2は、排気ガス流量信号Gd及び排気ガス温度信号Tdを入力として上述したように排気ガス保有熱量を演算し、上記の温度誤差増幅信号ΔTに応じてその値を補正して排気ガス保有熱量信号Qcを出力する。排気ガス保有熱量Qの演算値に誤差あるために、温水温度と設定温度とにズレが生じる場合がある。このようなときに、実施の形態4では、温度誤差値に応じて排気ガス保有熱量Qの演算値を補正することによって、温水温度を設定温度に一致させることができる。
【0056】
[実施の形態5]
図4は、本発明の実施の形態5に係る燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を示すシステム構成図である。同図において、上述した図1と同一の構成物には同一符号を付してそれらの説明は省略する。以下、図1とは異なる点線で示す構成物について説明する。
【0057】
信号出力燃料供給部7aは、空気1の圧力及び流量α、都市ガス2の圧力及び流量β並びに純水3の流量γを調節して燃料電池8に供給すると共に、これら空気流量値α[NL/min]、都市ガス流量値β[NL/min]及び純水流量値γ[NL/min]から形成される燃料流量信号Fdを出力する。高温排気ガス流量算出部GCは、この燃料流量信号Fdを入力として、後述する算出方法に基づいて高温排気ガス9に含まれる水蒸気の流量ε[NL/min]及び水蒸気以外の排気ガスの流量δ[NL/min]を算出し、両値から形成される排気ガス流量信号Gdを出力する。これ以外の動作は上述した図1と同一である。
【0058】
(1)高温排気ガスの成分を水蒸気と空気に分類したときの各成分の流量ε、δの算出
上記の水蒸気流量ε[NL/min]及び水蒸気以外の排気ガス(空気)流量δ[NL/min]の算出方法は以下のとおりである。すなわち、燃料の空気を0.2O+0.8Nとし、都市ガスを例えばaCH+bC(a,bは成分比率)とし、純水をHOとする。燃料電池8での化学反応の結果、下式に示すように、水蒸気以外の排気ガスxN+yO+zCO(x,y,zは成分比率)及び水蒸気HOからなる高温排気ガス9が生成される。
α(0.2O+0.8N)+β(aCH+bC)+γH
→δ(xN+yO+zCO)+εH
【0059】
上式において、都市ガス成分が決まり、空気流量α、都市ガス流量β及び純水流量γが入力されると、水蒸気以外の排気ガス流量δ及び水蒸気流量εを化学反応式から算出することができる。ここで、上記の水蒸気以外の排気ガス(xN+yO+zCO)は空気に似た成分であるので、簡易的には空気として取り扱うことができる。この(α,β,γ)→(δ,ε)の関係は、予め実験によって算出しても良い。
【0060】
(2)高温排気ガスの成分を水蒸気と窒素、酸素及び二酸化炭素とに分類したときの各成分の流量ε、δn、δo、δcの算出
上記の水蒸気流量ε[NL/min]並びに窒素流量δn[NL/min]、酸素流量δo[NL/min]及び二酸化炭素流量δc[NL/min]の算出方法は以下のとおりである。すなわち、燃料の空気を0.2O+0.8Nとし、都市ガスを例えばaCH+bC(a,bは成分比率)とし、純水をHOとする。燃料電池8での化学反応の結果、下式に示すように、窒素N、酸素O及び二酸化炭素CO並びに水蒸気HOからなる高温排気ガス9が生成される。
α(0.2O+0.8N)+β(aCH+bC)+γH
→δnN+δoO+δcCO+εH
【0061】
上式において、都市ガス成分が決まり、空気流量α、都市ガス流量β及び純水流量γが入力されると、窒素流量δn、酸素流量δo、二酸化炭素流量δc及び水蒸気流量εを化学反応式から算出することができる。この(α,β,γ)→(δn,δo,δc,ε)の関係は、予め実験によって算出しても良い。
【0062】
(3)高温排気ガスの成分を水蒸気と窒素、空気及び二酸化炭素とに分類したときの各成分の流量ε、δn、δa、δcの算出
上記の水蒸気流量ε[NL/min]並びに窒素流量δn[NL/min]、空気流量δa[NL/min]及び二酸化炭素流量δc[NL/min]の算出方法は以下のとおりである。すなわち、燃料の空気を0.2O+0.8Nとし、都市ガスを例えばaCH+bC(a,bは成分比率)とし、純水をHOとする。燃料電池8での化学反応の結果、下式に示すように、窒素N、空気(0.2O+0.8N)及び二酸化炭素CO並びに水蒸気HOからなる高温排気ガス9が生成される。
α(0.2O+0.8N)+β(aCH+bC)+γH
→δnN+δa(0.8N+0.2O)+δcCO+εH
【0063】
上式において、都市ガス成分が決まり、空気流量α、都市ガス流量β及び純水流量γが入力されると、窒素流量δn、空気流量δa、二酸化炭素流量δc及び水蒸気流量εを化学反応式から算出することができる。ここでは、N+OをN+(0.8N+0.2O)に分類している。これは、酸素単独よりも窒素とまとめて空気として扱った方が、排気ガス保有熱量の演算が簡単、正確になる場合があるからである。この(α,β,γ)→(δn,δa,δc,ε)の関係は、予め実験によって算出しても良い。
【0064】
図5は、図1を元にして排気ガス流量算出部GC等を追加した場合であるが、図4を元にして追加しても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の実施の形態1に係る燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る排気ガスの保有熱量Qの算出方法を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態4に係る燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を示す構成図である。
【図4】本発明の実施の形態5に係る燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を示す構成図である。
【図5】従来技術における燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法を示す構成図である。
【符号の説明】
【0066】
1 空気
2 都市ガス
3 純水
4 圧縮機
5 昇圧機
6 純水ポンプ
7 燃料供給部
7a 信号出力燃料供給部
8 燃料電池
9 高温排気ガス
10 熱交換器
11 冷却排気ガス
12 冷水
13 給水ポンプ
14 流量調節弁
15 貯湯槽
16 温水
cg 水蒸気以外の排気ガスの比熱
cga 空気の比熱
cgc 二酸化炭素の比熱
cgn 窒素の比熱
cg0 酸素の比熱
ch 高温水蒸気の比熱
CO二酸化炭素
CT 温水温度制御部
cw 水の比熱
dg 水蒸気以外の排気ガスの分子量
dga 空気の分子量
dgc 二酸化炭素の分子量
dgn 窒素の分子量
dgo 酸素の分子量
dw 水の分子量
ET 温度誤差増幅部
f 流量
Fd 燃料流量信号
fr (冷水)流量設定信号
FRC 流量設定算出部
GC 高温排気ガス流量算出部
GD 排気ガス流量検出部
Gd 排気ガス流量信号
O 水蒸気
Hgi 排気ガスの高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピー
Hgai 空気の高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピー
Hgao 空気の冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピー
Hgci 二酸化炭素の高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピー
Hgco 二酸化炭素の冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピー
Hgni 窒素の高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピー
Hgno 窒素の冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピー
Hgoi 酸素の高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピー
Hgoo 酸素の冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピー
Hgo 排気ガスの冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピー
Hhc 高温水蒸気の露点温度Tcにおける比エンタルピー
Hhi 高温水蒸気の高温排気ガス温度Tiにおける比エンタルピー
Hmc 凝縮水の露点温度Tcにおける比エンタルピー
Hmo 凝縮水の冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピー
Hsc 冷却水蒸気の露点温度Tcにおける比エンタルピー
Hso 冷却水蒸気の冷却排気ガス温度Toにおける比エンタルピー
窒素
酸素
P 高温排気ガス圧力
Ps 冷却排気ガス圧力
Pwi 高温排気ガスにおける水蒸気の分圧
Pwo 冷却排気ガスにおける水蒸気の分圧
Q 排気ガス保有熱量
QC 排気ガス保有熱量算出部
Qc 排気ガス保有熱量信号
QC2 第2排気ガス保有熱量算出部
Qg 水蒸気以外の排気ガスの保有熱量
Qga 空気の保有熱量
Qgc 二酸化炭素の保有熱量
Qgn 窒素の保有熱量
Qgo 酸素の保有熱量
Qhk 高温水蒸気のTc→To変化時における顕熱量
Qmk 凝縮水のTc→To変化時における顕熱量
Qsk 冷却水蒸気のTc→To変化時における顕熱量
Qwk 水蒸気の顕熱量
Qws 水蒸気の潜熱量
S1〜S4 ステップ
Tc 露点温度
TD 排気ガス温度センサ
Td 排気ガス温度信号
TH 温水温度センサ
Th 温水温度計測信号
Ti 高温排気ガス温度
To 冷却排気ガス温度
TR 温水温度設定部
Tr 温水温度設定信号
Tr 設定温度
TW 冷水温度センサ
Tw 冷水温度計測信号
Wg 水蒸気以外の排気ガス質量
Wgc 二酸化炭素の質量
Wga 空気の質量
Wgn 窒素の質量
Wgo 酸素の質量
Wh 高温水蒸気質量
Whs 水蒸気の平均質量
Wm 凝縮水質量
Wma 凝縮水平均質量
Ws 冷却水蒸気質量質量
α 空気流量
β 都市ガス流量
γ 純水流量
δ 水蒸気以外の排気ガス流量
δa 空気流量
δc 二酸化炭素流量
δn 窒素流量・
δo 酸素流量・
ΔT 温度誤差増幅信号
ε 水蒸気流量
εs 冷却水蒸気流量
η 効率


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池によって電気及び高温の排気ガスを発生し、前記電気は負荷又は電力系統に供給し、前記高温排気ガスは熱交換器に供給しこの熱交換器に冷水を供給して温水に変化させて給湯し、前記熱交換器によって冷却された冷却排気ガスは外部に排気し、前記冷水の流量を調節して前記温水の温度を所定値に制御する燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法において、
前記高温排気ガスに含まれる水蒸気の流量及び水蒸気以外の排気ガスの流量を検出し、前記高温排気ガスの温度及び前記冷却排気ガスの温度を検出し、前記水蒸気の流量及び前記水蒸気以外の排気ガスの流量及び前記高温排気ガス温度及び前記冷却排気ガス温度に基づいて排気ガス保有熱量を算出し,
前記温水温度の設定値を予め設定し、前記冷水の温度を検出し、前記排気ガス保有熱量及び前記温水温度設定値及び前記冷水温度に基づいて前記冷水の流量設定値を算出し,
前記冷水の流量が前記冷水流量設定値と略等しくなるように調節して温水温度を所定値に制御する、ことを特徴とする燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法。
【請求項2】
前記排気ガス保有熱量を、前記水蒸気の流量及び前記水蒸気以外の排気ガスの流量及び前記高温排気ガス温度及び前記冷却排気ガス温度を入力として前記水蒸気の顕熱及び潜熱による保有熱量と、前記水蒸気以外の排気ガスの保有熱量との合算値として算出する、ことを特徴とする請求項1記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法。
【請求項3】
前記水蒸気以外の排気ガスを窒素及び酸素及び二酸化炭素の3つの排気ガスに分類し、これら3つの排気ガスの各流量及び前記高温排気ガス温度及び前記冷却排気ガス温度を入力として前記3つの排気ガスごとの顕熱による保有熱量を算出し、これら3つの排気ガスの保有熱量を合算して前記水蒸気以外の排気ガスの保有熱量を算出する、ことを特徴とする請求項2記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法。
【請求項4】
前記水蒸気以外の排気ガスを窒素及び空気及び二酸化炭素の3つの排気ガスに分類する、ことを特徴とする請求項3記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法。
【請求項5】
前記水蒸気の顕熱及び潜熱による保有熱量は、前記水蒸気の流量及び前記高温排気ガス温度及び前記冷却排気ガス温度を入力として前記水蒸気が前記高温排気ガス温度から露点温度まで低下するときの顕熱による保有熱量と、前記水蒸気が冷却されて前記露点温度で水に変化するときの潜熱による保有熱量と、前記水及び前記水蒸気が前記露点温度から前記冷却排気ガス温度まで低下するときの顕熱による保有熱量との合算値である、ことを特徴とする請求項2記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法。
【請求項6】
前記冷水流量設定値frを、前記排気ガス保有熱量Q及び前記温水温度設定値Tr及び前記冷水温度Tw及び予め定めた熱交換器の効率η及び予め定めた水の比熱cwを入力としてfr=(η・Q)/(cw・(Tr−Tw))の演算によって算出する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法。
【請求項7】
前記温水の温度を検出し、前記温水温度設定値と前記温水温度の検出値との誤差に応じて前記排気ガス保有熱量を補正する、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法。
【請求項8】
空気及び都市ガス及び純水などを供給して運転する燃料電池において、前記空気及び都市ガス及び純水などの各流量を入力として化学反応式に基づいて前記高温排気ガスに含まれるガス成分ごとの流量を算出する、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の燃料電池コージェネレーションシステムの温水温度制御方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−198649(P2007−198649A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−16104(P2006−16104)
【出願日】平成18年1月25日(2006.1.25)
【出願人】(000000262)株式会社ダイヘン (990)
【出願人】(000156938)関西電力株式会社 (1,442)
【Fターム(参考)】