燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法
【課題】固体高分子膜の含水量が低下した場合に、この固体高分子膜の劣化を抑制しつつ発電できる燃料電池ステムを提供すること。
【解決手段】燃料電池システムは、固体高分子膜と、この固体高分子膜を挟んで設けられたアノード電極およびカソード電極と、を備え、アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが固体高分子膜を介して反応して発電する燃料電池と、固体高分子膜の含水率を算出する含水率算出手段43と、含水率算出手段43で算出した固体高分子膜の含水率に基づいて、燃料電池の発電量を制限する上限発電電流算出手段44および電流コントローラ33と、を備える。
【解決手段】燃料電池システムは、固体高分子膜と、この固体高分子膜を挟んで設けられたアノード電極およびカソード電極と、を備え、アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが固体高分子膜を介して反応して発電する燃料電池と、固体高分子膜の含水率を算出する含水率算出手段43と、含水率算出手段43で算出した固体高分子膜の含水率に基づいて、燃料電池の発電量を制限する上限発電電流算出手段44および電流コントローラ33と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法に関する。詳しくは、自動車に搭載される燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の新たな動力源として燃料電池システムが注目されている。燃料電池システムは、例えば、反応ガスを化学反応させて発電する燃料電池と、反応ガス流路を介して燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、この反応ガス供給装置を制御する制御装置と、を備える。
【0003】
燃料電池は、例えば、数十個から数百個のセルが積層されたスタック構造である。ここで、各セルは、膜電極構造体(MEA)を一対のセパレータで挟持して構成され、膜電極構造体は、アノード電極(陽極)およびカソード電極(陰極)の2つの電極と、これら電極に挟持された固体高分子電解質膜と、で構成される。
【0004】
この燃料電池のアノード電極に反応ガスとしての水素ガスを供給し、カソード電極に反応ガスとしての酸素を含む空気を供給すると、電気化学反応により発電する。この発電時に生成されるのは、基本的に無害な水だけであるため、環境への影響や利用効率の観点から、燃料電池が注目されている。
【0005】
ところで、このような燃料電池では、固体高分子電解質膜の含水量が不足すると、イオン抵抗が高くなり、燃料電池として発電ができなくなる。そこで、燃料電池システムに純粋タンク装置を設け、この純粋タンク装置内に純粋を貯留しておき、この純水を利用して固体高分子膜を速やかに加湿することが行われている(特許文献1参照)。
【0006】
ここで、燃料電池システムを小型化するため、燃料電池システム内に純粋タンク装置を設けず、加湿器を設ける場合がある。この加湿器は、具体的には、例えば、燃料電池から排出される反応ガスに含まれる水分を、燃料電池に供給される反応ガスに移動することで、固体高分子膜に水分を供給するものである。
【0007】
【特許文献1】特開2004−214078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような加湿器では、固体高分子膜の含水量が低下しても、オフガスに含まれる水分を回収するのに時間がかかるため、純粋タンク装置のように急速に加湿を行うことは困難である。
このように固体高分子膜の含水量が低下した場合に、発電ができないと、運転者に違和感を与えてしまい、商品性が低下するおそれがある。一方、運転者の操作に従って発電を行うと、固体高分子膜に負担がかかって、膜の劣化が促進されるおそれがあった。
【0009】
本発明は、固体高分子膜の含水量が低下した場合に、この固体高分子膜の劣化を抑制しつつ発電できる燃料電池ステムおよび燃料電池の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 膜(例えば、実施の形態における固体高分子膜123)と、この膜を挟んで設けられたアノード電極(例えば、実施の形態におけるアノード電極121)およびカソード電極(例えば、実施の形態におけるカソード電極122)と、を備え、前記アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが前記膜を介して反応して発電する燃料電池(例えば、実施の形態における燃料電池10)と、前記膜の含水率を算出する含水率算出手段(例えば、実施の形態における含水率算出手段43)と、前記含水率算出手段で算出した前記膜の含水率に基づいて、前記燃料電池の発電量を制限する発電量制限手段(例えば、実施の形態における上限発電電流算出手段44および電流コントローラ33)と、を備えることを特徴とする燃料電池システム(例えば、実施の形態における燃料電池システム1)。
【0011】
ここで、反応ガスとしては、例えば、水素ガスや、酸素を含む空気が挙げられる。
【0012】
(1)の発明によれば、燃料電池システムに含水率算出手段および発電量制限手段を設けた。これにより、燃料電池を構成する膜の含水率を算出し、この算出した含水率に基づいて、燃料電池の発電量を制限する。よって、膜の含水率が低下した場合に、膜が劣化しない程度にまで燃料電池の発電量を制限できるから、膜の劣化を抑制しつつ発電できる。
【0013】
(2) 前記燃料電池の停止時間を測定する停止時間測定手段(例えば、実施の形態におけるタイマ40)と、前記燃料電池の発電量を算出する発電量算出手段(例えば、実施の形態における電流センサ32および電流積算手段41)と、をさらに備え、前記含水率算出手段は、少なくとも前記燃料電池の停止時間および発電量に基づいて、含水率を算出することを特徴とする(1)に記載の燃料電池システム。
【0014】
(2)の発明によれば、燃料電池システムに停止時間測定手段および発電量算出手段をさらに設け、含水率算出手段では、少なくとも停止時間測定手段で測定した燃料電池の停止時間と、発電量算出手段で算出した発電量とに基づいて、含水率を算出した。
燃料電池システムを停止すると、停止時間および発電量に比例して含水率が低下することから、特に、燃料電池システムの起動時において、含水率を精度良く算出できる。
【0015】
(3) 前記燃料電池から排出される反応ガスの湿度を測定する湿度測定手段(例えば、実施の形態におけるガス湿度センサ38、39)をさらに備え、前記含水率算出手段は、前記湿度測定手段で測定した反応ガスの湿度に基づいて、含水率を算出することを特徴とする(1)または(2)に記載の燃料電池システム。
【0016】
(3)の発明によれば、燃料電池システムに湿度測定手段をさらに設け、含水率算出手段では、湿度測定手段で検出した反応ガスの湿度に基づいて、含水率を算出した。
よって、湿度測定手段で反応ガスの湿度を監視することで、膜の含水率の低下を迅速に把握でき、膜の劣化をより確実に抑制できる。
【0017】
(4) 前記燃料電池から排出される反応ガスと前記燃料電池に供給される反応ガスとの間で水分を移動する加湿手段(例えば、実施の形態における加湿器29)をさらに備え、前記発電量制限手段は、前記膜の含水率が所定値以下である場合に、前記燃料電池の発電量を制限することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の燃料電池システム。
【0018】
上述のように、燃料電池から排出される反応ガスと燃料電池に供給される反応ガスとの間で水分を移動する加湿手段は、膜を速やかに加湿することは困難であり、運転者に違和感を与えたり、膜の劣化が促進されるおそれがある。
しかしながら、(4)の発明によれば、燃料電池システムに加湿手段を設け、発電量制限手段により、膜の含水率が所定値以下である場合に、燃料電池の発電量を制限した。
よって、膜の加湿に時間がかかる加湿手段を設けても、膜の含水率が低下した場合には、燃料電池の発電量を制限することで、運転者に違和感を与えたり膜の劣化を促進させたりすることなく、発電できる。
【0019】
(5) 膜と、この膜を挟んで設けられたアノード電極およびカソード電極と、を備え、前記アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが前記膜を介して反応して発電する燃料電池の制御方法であって、前記膜の含水率を算出し、この算出した前記膜の含水率に基づいて、前記燃料電池の発電量を制限することを特徴とする燃料電池の制御方法。
【0020】
(5)の発明によれば、上述の(1)と同様の効果がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、燃料電池システムに含水率算出手段および発電量制限手段を設けた。これにより、燃料電池を構成する膜の含水率を算出し、この算出した含水率に基づいて、燃料電池の発電量を制限する。よって、膜の含水率が低下した場合に、膜が劣化しない程度にまで燃料電池の発電量を制限できるから、膜の劣化を抑制しつつ発電できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システム1のブロック図である。
燃料電池システム1は、燃料電池10と、この燃料電池10に反応ガスとしての水素ガスや空気を供給する反応ガス供給手段としての供給装置20と、この供給装置20を制御する制御手段としての制御装置30とを有する。
【0023】
図2は、燃料電池10を構成するセル11の断面図である。
すなわち、燃料電池10は、例えば、数十個から数百個のセル11が積層されたスタック構造である。各セル11は、膜電極構造体(MEA)12を一対のセパレータ13A、13Bで挟持して構成される。MEA12は、固体高分子膜123と、この固体高分子膜123を挟持するアノード電極(陽極)121およびカソード電極(陰極)122と、で構成される。
両電極121、122は、固体高分子膜123に接して酸化・還元反応を行う触媒層121A、122Aと、この触媒層121A、122Aに接するガス拡散層121B、122Bとから形成される。
ガス拡散層121Bに接合されたセパレータ13Aには、水素流通溝131が形成され、また、ガス拡散層122Bとセパレータ13Bとの間には、空気流通溝132が形成されている。
また、この燃料電池10の内部には、MEA温度センサ31が設けられている(図1参照)。
【0024】
図1に戻って、このような燃料電池10は、アノード電極(陽極)側に反応ガスとしての水素ガスが供給され、カソード電極(陰極)側に反応ガスとしての酸素を含む空気が供給されると、電気化学反応により発電する。
また、燃料電池10には、負荷14が接続され、負荷14と燃料電池10との間には、発電量算出手段としての電流センサ32および電流コントローラ33が設けられている。
【0025】
供給装置20は、燃料電池10のカソード電極側に空気を供給するコンプレッサ21と、アノード電極側に水素ガスを供給する水素タンク22およびエゼクタ28と、を含んで構成される。
【0026】
コンプレッサ21は、エア供給路23を介して、燃料電池10のカソード電極側に接続されている。
また、燃料電池10のカソード電極側には、エア排出路24が接続され、このエア排出路24の先端側には、背圧弁241が設けられる。
【0027】
また、エア供給路23およびエア排出路24には、加湿手段としての加湿器29が設けられている。この加湿器29は、燃料電池10から排出される反応ガスと燃料電池10に供給される反応ガスとの間で水分を移動することで、固体高分子膜を加湿するものである。
具体的には、加湿器29は、エア排出路24内の反応ガスから水分を回収して、この回収した水分を、エア供給路23内の反応ガスに供給する。水分が供給された反応ガスは、燃料電池10内の固体高分子膜123に到達し、この固体高分子膜123に水分を供給する。これにより、固体高分子膜123が加湿される。
このエア排出路24のうち燃料電池10の近傍には、ガス温度センサ34およびガス圧力センサ35が設けられている。
【0028】
水素タンク22は、水素供給路25を介して、燃料電池10のアノード電極側に接続されている。この水素供給路25には、上述のエゼクタ28が設けられている。
【0029】
また、燃料電池10のアノード電極側には、水素排出路26が接続され、この水素排出路26の先端側には、パージ弁261が設けられている。この水素排出路26のうち燃料電池10の近傍には、ガス温度センサ36およびガス圧力センサ37が設けられている。また、水素排出路26のうちパージ弁261よりもアノード電極側では、水素排出路26が分岐されて、上述のエゼクタ28に接続されている。
【0030】
エゼクタ28は、水素排出路26の分岐路を通して、水素排出路26に流れた水素ガスを回収し、水素供給路25に還流する。
エア供給路23と水素供給路25とは、バイパス27で接続され、このバイパス27には、エア導入弁271が設けられている。
【0031】
また、上述のコンプレッサ21、背圧弁241、パージ弁261、エア導入弁271、加湿器29、および電流コントローラ33は、後述の制御装置30により制御される。また、この制御装置30には、上述のMEA温度センサ31、電流センサ32、ガス温度センサ34、36、およびガス圧力センサ35、37のほか、停止時間測定手段としてのタイマ40が接続されている。
【0032】
燃料電池10で発電する手順は、以下のようになる。
すなわち、パージ弁261を閉じておき、水素タンク22から、水素供給路25を介して、燃料電池10のアノード側に水素ガスを供給する。また、コンプレッサ21を駆動させることにより、エア供給路23を介して、燃料電池10のカソード側に空気を供給する。
燃料電池10に供給された水素ガスおよび空気は、発電に供された後、燃料電池10からアノード側の生成水などの残留水と共に、水素排出路26およびエア排出路24に流入する。このとき、パージ弁261は閉じているので、水素排出路26に流れた水素ガスは、エゼクタ28に還流されて再利用される。また、加湿器29により、エア排出路24内の反応ガスから水分を回収して、この回収した水分を、エア供給路23内の反応ガスに供給することで、燃料電池10内の固体高分子膜123の含水率を調整する。
その後、パージ弁261および背圧弁241を適当な開度で開くことにより、水素ガス、空気、および残留水が、水素排出路26およびエア排出路24から排出される。
【0033】
図3は、制御装置30のブロック図である。
制御装置30は、発電量算出手段としての電流積算手段41、掃気手段42、含水率算出手段43、および上限発電電流算出手段44を備える。
【0034】
MEA温度センサ31は、膜電極構造体(MEA)12の温度を測定して、制御装置30に送信する。
ガス温度センサ34、36は、それぞれ、エア排出路24および水素排出路26内の水素ガスの温度を測定して、制御装置30に送信する。
ガス圧力センサ35、37は、それぞれ、エア排出路24および水素排出路26内の水素ガスの圧力を測定して、制御装置30に送信する。
電流センサ32は、燃料電池10で発電した電流値を計測して、制御装置30に送信する。
タイマ40は、制御装置30で設定された時刻からの経過時間を測定するものである。具体的には、タイマ40は、燃料電池10の駆動が停止すると、制御装置30によりセットされ、このセットされた時刻からの経過時間を制御装置30に送信する。したがって、タイマ40は、燃料電池10の停止時間を測定する。
電流コントローラ33は、上限発電電流算出手段44から出力される発電電流の上限値に従って、燃料電池10で発電する電流値を制限する。
【0035】
また、制御装置30には、図示しないイグニッションスイッチが接続される。このイグニッションスイッチは、燃料電池車の運転席に設けられており、運転者の操作に従ってオン/オフ信号を制御装置30に送信する。制御装置30は、イグニッションスイッチのオン/オフに従って、燃料電池10の発電を行う。
【0036】
電流積算手段41は、電流センサ32で計測された電流値を積算して、燃料電池の発電量を算出し、この発電量を出力する。
【0037】
掃気手段42は、燃料電池10の掃気処理を行う。すなわち、パージ弁261、背圧弁241、およびエア導入弁271を制御して掃気処理を行い、掃気が完了すると、掃気フラグを“0”から“1”にする。
【0038】
具体的には、エア導入弁271、パージ弁261、および背圧弁241を開いて、コンプレッサ21を駆動する。すると、コンプレッサ21から送られた空気は、エア供給路23、燃料電池10のカソード側、およびエア排出路24を介して、外部に排出される。また、同時に、エア供給路23、バイパス27、水素供給路25、燃料電池10のアノード側、および水素排出路26を介して、外部に排出される。これにより、上述したエア供給路23、エア排出路24、水素供給路25、および水素排出路26が掃気される。
【0039】
含水率算出手段43は、膜電極構造体(MEA)12の含水率を算出する。
具体的には、前回発電を停止した際のMEA含水率をメモリに記憶しておき、この前回のMEA含水率のほか、電流積算手段41で算出した燃料電池10の発電量、掃気手段42から出力された掃気フラグの履歴、タイマ40で測定した燃料電池10の停止時間、MEA温度センサ31で測定した膜電極構造体(MEA)12の温度、ガス温度センサ34、36で測定した反応ガスの温度、および、ガス圧力センサ35、37で測定した反応ガスの圧力に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定し、算出する。
【0040】
図4は、燃料電池の停止時間とMEA含水率との関係を示す図である。図4中、二点鎖線は、掃気していない場合のMEA含水率の変化であり、実線は、掃気した場合のMEA含水率の変化である。
掃気をしていない場合、燃料電池の停止中では、カソード系が大気に開放されており、このカソード系の水分が放出されるため、MEAの含水率は徐々に低下する。
一方、掃気手段42を作動させて掃気した場合には、掃気処理によりMEAが一気に乾燥するため、MEAの含水率は急激に低下する。その後、掃気をしていない場合と同様に、時間の経過に従って、MEAの含水率は徐々に低下する。
図5は、電流値および反応ガスの圧力・温度とMEA含水率との関係を示す図である。
反応ガスの圧力・温度が一定の状態では、電流値すなわち発電量が増加するに従って、MEA含水率が低下する。また、電流値が一定の状態では、反応ガスの圧力または温度が上昇するに従って、MEA含水率が低下する。
【0041】
上限発電電流算出手段44は、含水率算出手段43で算出した膜電極構造体(MEA)12の含水率の推定値に基づいて、発電電流の上限値を算出し、この発電電流の上限値を電流コントローラ33に出力する。
図6は、MEA含水率の推定値と発電電流の上限値との関係を示す図である。
MEA含水率の推定値がほぼ0%では、燃料電池の発電電流の上限値はほぼ0であり、発電を停止する。この状態から、MEA含水率の推定値が上昇するに従って、発電電流の上限値を上昇させて、発電電流の制限を緩和する。そして、MEA含水率の推定値が所定値A以上になると、発電電流を制限せず、発電電流の上限値は最大(燃料電池10のフルスペック値)となる。
なお、この所定値Aは、カソード電極(陰極)で生成された水素イオンを水和して、固体高分子膜中を移動させるのに十分な水分が確保される値として、設定される。
【0042】
以上の燃料電池システム1の動作について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、燃料電池システム1が停止した状態から、イグニッションスイッチ(IG_SW)をオンする(ST1)。
すると、含水率算出手段43により、前回の発電停止時のMEA含水率がメモリから読み出され(ST2)、掃気を実施したか否かを判別する(ST3)。具体的には、掃気フラグが“0”であるか“1”であるかを判別することで、掃気を実施したか否かを判別する。この判別が“YES”のときは、ST4に移り、“NO”のときは、ST5に移る。
【0043】
ST4では、含水率算出手段43により、掃気した場合におけるMEA含水率の変化に従い、停止時間に基づいてMEAの含水率の推定値を算出する(図4参照)。一方、ST5では、含水率算出手段43により、掃気していない場合におけるMEA含水率の変化に従い、停止時間に基づいてMEAの含水率の推定値を算出する(図4参照)。
【0044】
次に、含水率算出手段43により、燃料電池10の発電量、反応ガスの圧力および温度、MEAの温度に基づいて、MEA含水率の推定値を算出する(ST6)。
続いて、上限発電電流算出手段44により、このMEA含水率の推定値に基づいて、発電電流の上限値を算出する(ST7)。そして、この発電電流上限値に従って、電流コントローラ33により発電電流を制限する(ST8)。
その後、制御装置30により、イグニッションスイッチ(IG)がオフされたか否かを判別する(ST9)。この判別が“NO”のときは、ST6に戻って発電を継続し、“YES”のときは、燃料電池システム1を停止する(ST10)。
【0045】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)燃料電池システム1に、含水率算出手段43、上限発電電流算出手段44、および電流コントローラ33を設けた。これにより、燃料電池を構成する固体高分子膜123の含水率を算出し、この算出した含水率に基づいて、燃料電池10の発電量を制限する。よって、固体高分子膜123の含水率が低下した場合に、固体高分子膜123が劣化しない程度にまで燃料電池10の発電量を制限できるから、固体高分子膜123の劣化を抑制しつつ発電できる。
【0046】
(2)燃料電池システム1に、タイマ40、電流センサ32および電流積算手段41をさらに設け、含水率算出手段43では、少なくともタイマ40で測定した燃料電池10の停止時間と、電流積算手段41で算出した発電量とに基づいて、含水率を算出した。
燃料電池システム1を停止すると、停止時間および発電量に比例して含水率が低下することから、特に、燃料電池システム1の起動時において、含水率を精度良く算出できる。
【0047】
(3)燃料電池システム1に加湿器29を設け、上限発電電流算出手段44および電流コントローラ33で、固体高分子膜123の含水率が所定値A以下である場合に、燃料電池10の発電量を制限した。
よって、固体高分子膜123の加湿に時間がかかる加湿器29を設けても、固体高分子膜123の含水率が低下した場合には、燃料電池10の発電量を制限することで、固体高分子膜123の劣化を抑制できる。
【0048】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システム1Aのブロック図である。
本実施形態では、MEA温度センサ31、ガス温度センサ34、36、ガス圧力センサ35、37、およびタイマ40が設けられておらず、代わりに、ガス湿度センサ38、39が設けられている点、および、制御装置30Aの構成が、第1実施形態と異なり、他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0049】
すなわち、エア排出路24のうち燃料電池10の近傍には、ガス温度センサ34およびガス圧力センサ35が設けられておらず、湿度測定手段としてのガス湿度センサ38が設けられている。
また、水素排出路26のうち燃料電池10の近傍には、ガス温度センサ36およびガス圧力センサ37が設けられておらず、湿度測定手段としてのガス湿度センサ39が設けられている。
【0050】
図9は、制御装置30Aのブロック図である。
ガス湿度センサ38、39は、制御装置30Aに接続されており、それぞれ、エア排出路24および水素排出路26内の水素ガスの湿度を測定して、燃料電池10のカソード側およびアノード側の出口部の湿度として、制御装置30に送信する。
含水率算出手段43Aは、ガス湿度センサ38、39で測定した反応ガスの湿度に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定し、算出する。
【0051】
図10は、燃料電池のカソード側(あるいはアノード側)の出口部の湿度とMEA含水率との関係を示す図である。
燃料電池の出口部の湿度がほぼ0%では、MEA含水率もほぼ0%である。この状態から、燃料電池の出口部の湿度が上昇するに従って、MEA含水率も上昇するが、燃料電池の出口部の湿度が所定値Bを超えると、MEAに含まれる水分は飽和状態となり、MEA含水率は一定値となる。
【0052】
以上の燃料電池システム1の動作について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、燃料電池システム1が停止した状態から、イグニッションスイッチ(IG_SW)をオンする(ST21)。
すると、含水率算出手段43により、燃料電池10の出口部の湿度に基づいて、MEAの含水率の推定値を算出する(ST22)。
続いて、上限発電電流算出手段44により、発電電流の上限値を算出する(ST23)。そして、この発電電流上限値に従って、電流コントローラ33により発電電流を制限する(ST24)。
その後、制御装置30により、イグニッションスイッチ(IG)がオフされたか否かを判別する(ST25)。この判別が“NO”のときは、ST22に戻って発電を継続し、“YES”のときは、燃料電池システム1を停止する(ST26)。
【0053】
本実施形態によれば、上述の(1)、(3)の効果に加え、以下のような効果がある。
(4)燃料電池システム1にガス湿度センサ38、39をさらに設け、含水率算出手段43Aでは、ガス湿度センサ38、39で検出した反応ガスの湿度に基づいて、含水率を算出した。
よって、ガス湿度センサ38、39で反応ガスの湿度を監視することで、固体高分子膜123の含水率の低下を迅速に把握でき、固体高分子膜123の劣化をより確実に抑制できる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の各実施形態では、カソード系に加湿器29を設けたが、これに限らず、アノード系に設けてもよい。すなわち、水素供給路25および水素排出路26に加湿器を設け、この加湿器で、水素供給路25内の反応ガスから水分を回収して、この回収した水分を、水素供給路25内の反応ガスに供給することで、固体高分子膜123に水分を供給してもよい。
【0055】
また、第1実施形態では、前回のMEA含水率のほか、燃料電池10の発電量、掃気フラグの履歴、燃料電池10の停止時間、膜電極構造体(MEA)12の温度、反応ガスの温度、および反応ガスの圧力に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定し、第2実施形態では、反応ガスの湿度に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定したが、これに限らない。例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、前回のMEA含水率、燃料電池10の発電量、掃気フラグの履歴、燃料電池10の停止時間、膜電極構造体(MEA)12の温度、反応ガスの温度、反応ガスの圧力、および反応ガスの湿度に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのブロック図である。
【図2】前記実施形態に係る燃料電池を構成するセルの断面図である。
【図3】前記実施形態に係る燃料電池システムを構成する制御装置のブロック図である。
【図4】前記実施形態に係る燃料電池の停止時間とMEA含水率との関係を示す図である。
【図5】前記実施形態に係る燃料電池の電流値および反応ガスの圧力・温度とMEA含水率との関係を示す図である。
【図6】前記実施形態に係る燃料電池のMEA含水率の推定値と発電電流の上限値との関係を示す図である。
【図7】前記実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムのブロック図である。
【図9】前記実施形態に係る燃料電池システムを構成する制御装置のブロック図である。
【図10】前記実施形態に係る燃料電池のカソード側(あるいはアノード側)の出口部の湿度とMEA含水率との関係を示す図である。
【図11】前記実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1、1A…燃料電池システム
10…燃料電池
29…加湿器(加湿手段)
31…温度センサ(温度検出手段)
32…電流センサ(発電量算出手段)
33…電流コントローラ(発電量制限手段)
38、39…ガス湿度センサ(湿度測定手段)
40…タイマ(停止時間測定手段)
41…電流積算手段(発電量算出手段)
43、43A…含水率算出手段
44…上限発電電流算出手段(発電量制限手段)
121…アノード電極
122…カソード電極
123…固体高分子膜(膜)
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法に関する。詳しくは、自動車に搭載される燃料電池システムおよび燃料電池の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の新たな動力源として燃料電池システムが注目されている。燃料電池システムは、例えば、反応ガスを化学反応させて発電する燃料電池と、反応ガス流路を介して燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、この反応ガス供給装置を制御する制御装置と、を備える。
【0003】
燃料電池は、例えば、数十個から数百個のセルが積層されたスタック構造である。ここで、各セルは、膜電極構造体(MEA)を一対のセパレータで挟持して構成され、膜電極構造体は、アノード電極(陽極)およびカソード電極(陰極)の2つの電極と、これら電極に挟持された固体高分子電解質膜と、で構成される。
【0004】
この燃料電池のアノード電極に反応ガスとしての水素ガスを供給し、カソード電極に反応ガスとしての酸素を含む空気を供給すると、電気化学反応により発電する。この発電時に生成されるのは、基本的に無害な水だけであるため、環境への影響や利用効率の観点から、燃料電池が注目されている。
【0005】
ところで、このような燃料電池では、固体高分子電解質膜の含水量が不足すると、イオン抵抗が高くなり、燃料電池として発電ができなくなる。そこで、燃料電池システムに純粋タンク装置を設け、この純粋タンク装置内に純粋を貯留しておき、この純水を利用して固体高分子膜を速やかに加湿することが行われている(特許文献1参照)。
【0006】
ここで、燃料電池システムを小型化するため、燃料電池システム内に純粋タンク装置を設けず、加湿器を設ける場合がある。この加湿器は、具体的には、例えば、燃料電池から排出される反応ガスに含まれる水分を、燃料電池に供給される反応ガスに移動することで、固体高分子膜に水分を供給するものである。
【0007】
【特許文献1】特開2004−214078号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような加湿器では、固体高分子膜の含水量が低下しても、オフガスに含まれる水分を回収するのに時間がかかるため、純粋タンク装置のように急速に加湿を行うことは困難である。
このように固体高分子膜の含水量が低下した場合に、発電ができないと、運転者に違和感を与えてしまい、商品性が低下するおそれがある。一方、運転者の操作に従って発電を行うと、固体高分子膜に負担がかかって、膜の劣化が促進されるおそれがあった。
【0009】
本発明は、固体高分子膜の含水量が低下した場合に、この固体高分子膜の劣化を抑制しつつ発電できる燃料電池ステムおよび燃料電池の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 膜(例えば、実施の形態における固体高分子膜123)と、この膜を挟んで設けられたアノード電極(例えば、実施の形態におけるアノード電極121)およびカソード電極(例えば、実施の形態におけるカソード電極122)と、を備え、前記アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが前記膜を介して反応して発電する燃料電池(例えば、実施の形態における燃料電池10)と、前記膜の含水率を算出する含水率算出手段(例えば、実施の形態における含水率算出手段43)と、前記含水率算出手段で算出した前記膜の含水率に基づいて、前記燃料電池の発電量を制限する発電量制限手段(例えば、実施の形態における上限発電電流算出手段44および電流コントローラ33)と、を備えることを特徴とする燃料電池システム(例えば、実施の形態における燃料電池システム1)。
【0011】
ここで、反応ガスとしては、例えば、水素ガスや、酸素を含む空気が挙げられる。
【0012】
(1)の発明によれば、燃料電池システムに含水率算出手段および発電量制限手段を設けた。これにより、燃料電池を構成する膜の含水率を算出し、この算出した含水率に基づいて、燃料電池の発電量を制限する。よって、膜の含水率が低下した場合に、膜が劣化しない程度にまで燃料電池の発電量を制限できるから、膜の劣化を抑制しつつ発電できる。
【0013】
(2) 前記燃料電池の停止時間を測定する停止時間測定手段(例えば、実施の形態におけるタイマ40)と、前記燃料電池の発電量を算出する発電量算出手段(例えば、実施の形態における電流センサ32および電流積算手段41)と、をさらに備え、前記含水率算出手段は、少なくとも前記燃料電池の停止時間および発電量に基づいて、含水率を算出することを特徴とする(1)に記載の燃料電池システム。
【0014】
(2)の発明によれば、燃料電池システムに停止時間測定手段および発電量算出手段をさらに設け、含水率算出手段では、少なくとも停止時間測定手段で測定した燃料電池の停止時間と、発電量算出手段で算出した発電量とに基づいて、含水率を算出した。
燃料電池システムを停止すると、停止時間および発電量に比例して含水率が低下することから、特に、燃料電池システムの起動時において、含水率を精度良く算出できる。
【0015】
(3) 前記燃料電池から排出される反応ガスの湿度を測定する湿度測定手段(例えば、実施の形態におけるガス湿度センサ38、39)をさらに備え、前記含水率算出手段は、前記湿度測定手段で測定した反応ガスの湿度に基づいて、含水率を算出することを特徴とする(1)または(2)に記載の燃料電池システム。
【0016】
(3)の発明によれば、燃料電池システムに湿度測定手段をさらに設け、含水率算出手段では、湿度測定手段で検出した反応ガスの湿度に基づいて、含水率を算出した。
よって、湿度測定手段で反応ガスの湿度を監視することで、膜の含水率の低下を迅速に把握でき、膜の劣化をより確実に抑制できる。
【0017】
(4) 前記燃料電池から排出される反応ガスと前記燃料電池に供給される反応ガスとの間で水分を移動する加湿手段(例えば、実施の形態における加湿器29)をさらに備え、前記発電量制限手段は、前記膜の含水率が所定値以下である場合に、前記燃料電池の発電量を制限することを特徴とする(1)から(3)のいずれかに記載の燃料電池システム。
【0018】
上述のように、燃料電池から排出される反応ガスと燃料電池に供給される反応ガスとの間で水分を移動する加湿手段は、膜を速やかに加湿することは困難であり、運転者に違和感を与えたり、膜の劣化が促進されるおそれがある。
しかしながら、(4)の発明によれば、燃料電池システムに加湿手段を設け、発電量制限手段により、膜の含水率が所定値以下である場合に、燃料電池の発電量を制限した。
よって、膜の加湿に時間がかかる加湿手段を設けても、膜の含水率が低下した場合には、燃料電池の発電量を制限することで、運転者に違和感を与えたり膜の劣化を促進させたりすることなく、発電できる。
【0019】
(5) 膜と、この膜を挟んで設けられたアノード電極およびカソード電極と、を備え、前記アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが前記膜を介して反応して発電する燃料電池の制御方法であって、前記膜の含水率を算出し、この算出した前記膜の含水率に基づいて、前記燃料電池の発電量を制限することを特徴とする燃料電池の制御方法。
【0020】
(5)の発明によれば、上述の(1)と同様の効果がある。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、燃料電池システムに含水率算出手段および発電量制限手段を設けた。これにより、燃料電池を構成する膜の含水率を算出し、この算出した含水率に基づいて、燃料電池の発電量を制限する。よって、膜の含水率が低下した場合に、膜が劣化しない程度にまで燃料電池の発電量を制限できるから、膜の劣化を抑制しつつ発電できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料電池システム1のブロック図である。
燃料電池システム1は、燃料電池10と、この燃料電池10に反応ガスとしての水素ガスや空気を供給する反応ガス供給手段としての供給装置20と、この供給装置20を制御する制御手段としての制御装置30とを有する。
【0023】
図2は、燃料電池10を構成するセル11の断面図である。
すなわち、燃料電池10は、例えば、数十個から数百個のセル11が積層されたスタック構造である。各セル11は、膜電極構造体(MEA)12を一対のセパレータ13A、13Bで挟持して構成される。MEA12は、固体高分子膜123と、この固体高分子膜123を挟持するアノード電極(陽極)121およびカソード電極(陰極)122と、で構成される。
両電極121、122は、固体高分子膜123に接して酸化・還元反応を行う触媒層121A、122Aと、この触媒層121A、122Aに接するガス拡散層121B、122Bとから形成される。
ガス拡散層121Bに接合されたセパレータ13Aには、水素流通溝131が形成され、また、ガス拡散層122Bとセパレータ13Bとの間には、空気流通溝132が形成されている。
また、この燃料電池10の内部には、MEA温度センサ31が設けられている(図1参照)。
【0024】
図1に戻って、このような燃料電池10は、アノード電極(陽極)側に反応ガスとしての水素ガスが供給され、カソード電極(陰極)側に反応ガスとしての酸素を含む空気が供給されると、電気化学反応により発電する。
また、燃料電池10には、負荷14が接続され、負荷14と燃料電池10との間には、発電量算出手段としての電流センサ32および電流コントローラ33が設けられている。
【0025】
供給装置20は、燃料電池10のカソード電極側に空気を供給するコンプレッサ21と、アノード電極側に水素ガスを供給する水素タンク22およびエゼクタ28と、を含んで構成される。
【0026】
コンプレッサ21は、エア供給路23を介して、燃料電池10のカソード電極側に接続されている。
また、燃料電池10のカソード電極側には、エア排出路24が接続され、このエア排出路24の先端側には、背圧弁241が設けられる。
【0027】
また、エア供給路23およびエア排出路24には、加湿手段としての加湿器29が設けられている。この加湿器29は、燃料電池10から排出される反応ガスと燃料電池10に供給される反応ガスとの間で水分を移動することで、固体高分子膜を加湿するものである。
具体的には、加湿器29は、エア排出路24内の反応ガスから水分を回収して、この回収した水分を、エア供給路23内の反応ガスに供給する。水分が供給された反応ガスは、燃料電池10内の固体高分子膜123に到達し、この固体高分子膜123に水分を供給する。これにより、固体高分子膜123が加湿される。
このエア排出路24のうち燃料電池10の近傍には、ガス温度センサ34およびガス圧力センサ35が設けられている。
【0028】
水素タンク22は、水素供給路25を介して、燃料電池10のアノード電極側に接続されている。この水素供給路25には、上述のエゼクタ28が設けられている。
【0029】
また、燃料電池10のアノード電極側には、水素排出路26が接続され、この水素排出路26の先端側には、パージ弁261が設けられている。この水素排出路26のうち燃料電池10の近傍には、ガス温度センサ36およびガス圧力センサ37が設けられている。また、水素排出路26のうちパージ弁261よりもアノード電極側では、水素排出路26が分岐されて、上述のエゼクタ28に接続されている。
【0030】
エゼクタ28は、水素排出路26の分岐路を通して、水素排出路26に流れた水素ガスを回収し、水素供給路25に還流する。
エア供給路23と水素供給路25とは、バイパス27で接続され、このバイパス27には、エア導入弁271が設けられている。
【0031】
また、上述のコンプレッサ21、背圧弁241、パージ弁261、エア導入弁271、加湿器29、および電流コントローラ33は、後述の制御装置30により制御される。また、この制御装置30には、上述のMEA温度センサ31、電流センサ32、ガス温度センサ34、36、およびガス圧力センサ35、37のほか、停止時間測定手段としてのタイマ40が接続されている。
【0032】
燃料電池10で発電する手順は、以下のようになる。
すなわち、パージ弁261を閉じておき、水素タンク22から、水素供給路25を介して、燃料電池10のアノード側に水素ガスを供給する。また、コンプレッサ21を駆動させることにより、エア供給路23を介して、燃料電池10のカソード側に空気を供給する。
燃料電池10に供給された水素ガスおよび空気は、発電に供された後、燃料電池10からアノード側の生成水などの残留水と共に、水素排出路26およびエア排出路24に流入する。このとき、パージ弁261は閉じているので、水素排出路26に流れた水素ガスは、エゼクタ28に還流されて再利用される。また、加湿器29により、エア排出路24内の反応ガスから水分を回収して、この回収した水分を、エア供給路23内の反応ガスに供給することで、燃料電池10内の固体高分子膜123の含水率を調整する。
その後、パージ弁261および背圧弁241を適当な開度で開くことにより、水素ガス、空気、および残留水が、水素排出路26およびエア排出路24から排出される。
【0033】
図3は、制御装置30のブロック図である。
制御装置30は、発電量算出手段としての電流積算手段41、掃気手段42、含水率算出手段43、および上限発電電流算出手段44を備える。
【0034】
MEA温度センサ31は、膜電極構造体(MEA)12の温度を測定して、制御装置30に送信する。
ガス温度センサ34、36は、それぞれ、エア排出路24および水素排出路26内の水素ガスの温度を測定して、制御装置30に送信する。
ガス圧力センサ35、37は、それぞれ、エア排出路24および水素排出路26内の水素ガスの圧力を測定して、制御装置30に送信する。
電流センサ32は、燃料電池10で発電した電流値を計測して、制御装置30に送信する。
タイマ40は、制御装置30で設定された時刻からの経過時間を測定するものである。具体的には、タイマ40は、燃料電池10の駆動が停止すると、制御装置30によりセットされ、このセットされた時刻からの経過時間を制御装置30に送信する。したがって、タイマ40は、燃料電池10の停止時間を測定する。
電流コントローラ33は、上限発電電流算出手段44から出力される発電電流の上限値に従って、燃料電池10で発電する電流値を制限する。
【0035】
また、制御装置30には、図示しないイグニッションスイッチが接続される。このイグニッションスイッチは、燃料電池車の運転席に設けられており、運転者の操作に従ってオン/オフ信号を制御装置30に送信する。制御装置30は、イグニッションスイッチのオン/オフに従って、燃料電池10の発電を行う。
【0036】
電流積算手段41は、電流センサ32で計測された電流値を積算して、燃料電池の発電量を算出し、この発電量を出力する。
【0037】
掃気手段42は、燃料電池10の掃気処理を行う。すなわち、パージ弁261、背圧弁241、およびエア導入弁271を制御して掃気処理を行い、掃気が完了すると、掃気フラグを“0”から“1”にする。
【0038】
具体的には、エア導入弁271、パージ弁261、および背圧弁241を開いて、コンプレッサ21を駆動する。すると、コンプレッサ21から送られた空気は、エア供給路23、燃料電池10のカソード側、およびエア排出路24を介して、外部に排出される。また、同時に、エア供給路23、バイパス27、水素供給路25、燃料電池10のアノード側、および水素排出路26を介して、外部に排出される。これにより、上述したエア供給路23、エア排出路24、水素供給路25、および水素排出路26が掃気される。
【0039】
含水率算出手段43は、膜電極構造体(MEA)12の含水率を算出する。
具体的には、前回発電を停止した際のMEA含水率をメモリに記憶しておき、この前回のMEA含水率のほか、電流積算手段41で算出した燃料電池10の発電量、掃気手段42から出力された掃気フラグの履歴、タイマ40で測定した燃料電池10の停止時間、MEA温度センサ31で測定した膜電極構造体(MEA)12の温度、ガス温度センサ34、36で測定した反応ガスの温度、および、ガス圧力センサ35、37で測定した反応ガスの圧力に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定し、算出する。
【0040】
図4は、燃料電池の停止時間とMEA含水率との関係を示す図である。図4中、二点鎖線は、掃気していない場合のMEA含水率の変化であり、実線は、掃気した場合のMEA含水率の変化である。
掃気をしていない場合、燃料電池の停止中では、カソード系が大気に開放されており、このカソード系の水分が放出されるため、MEAの含水率は徐々に低下する。
一方、掃気手段42を作動させて掃気した場合には、掃気処理によりMEAが一気に乾燥するため、MEAの含水率は急激に低下する。その後、掃気をしていない場合と同様に、時間の経過に従って、MEAの含水率は徐々に低下する。
図5は、電流値および反応ガスの圧力・温度とMEA含水率との関係を示す図である。
反応ガスの圧力・温度が一定の状態では、電流値すなわち発電量が増加するに従って、MEA含水率が低下する。また、電流値が一定の状態では、反応ガスの圧力または温度が上昇するに従って、MEA含水率が低下する。
【0041】
上限発電電流算出手段44は、含水率算出手段43で算出した膜電極構造体(MEA)12の含水率の推定値に基づいて、発電電流の上限値を算出し、この発電電流の上限値を電流コントローラ33に出力する。
図6は、MEA含水率の推定値と発電電流の上限値との関係を示す図である。
MEA含水率の推定値がほぼ0%では、燃料電池の発電電流の上限値はほぼ0であり、発電を停止する。この状態から、MEA含水率の推定値が上昇するに従って、発電電流の上限値を上昇させて、発電電流の制限を緩和する。そして、MEA含水率の推定値が所定値A以上になると、発電電流を制限せず、発電電流の上限値は最大(燃料電池10のフルスペック値)となる。
なお、この所定値Aは、カソード電極(陰極)で生成された水素イオンを水和して、固体高分子膜中を移動させるのに十分な水分が確保される値として、設定される。
【0042】
以上の燃料電池システム1の動作について、図7のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、燃料電池システム1が停止した状態から、イグニッションスイッチ(IG_SW)をオンする(ST1)。
すると、含水率算出手段43により、前回の発電停止時のMEA含水率がメモリから読み出され(ST2)、掃気を実施したか否かを判別する(ST3)。具体的には、掃気フラグが“0”であるか“1”であるかを判別することで、掃気を実施したか否かを判別する。この判別が“YES”のときは、ST4に移り、“NO”のときは、ST5に移る。
【0043】
ST4では、含水率算出手段43により、掃気した場合におけるMEA含水率の変化に従い、停止時間に基づいてMEAの含水率の推定値を算出する(図4参照)。一方、ST5では、含水率算出手段43により、掃気していない場合におけるMEA含水率の変化に従い、停止時間に基づいてMEAの含水率の推定値を算出する(図4参照)。
【0044】
次に、含水率算出手段43により、燃料電池10の発電量、反応ガスの圧力および温度、MEAの温度に基づいて、MEA含水率の推定値を算出する(ST6)。
続いて、上限発電電流算出手段44により、このMEA含水率の推定値に基づいて、発電電流の上限値を算出する(ST7)。そして、この発電電流上限値に従って、電流コントローラ33により発電電流を制限する(ST8)。
その後、制御装置30により、イグニッションスイッチ(IG)がオフされたか否かを判別する(ST9)。この判別が“NO”のときは、ST6に戻って発電を継続し、“YES”のときは、燃料電池システム1を停止する(ST10)。
【0045】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)燃料電池システム1に、含水率算出手段43、上限発電電流算出手段44、および電流コントローラ33を設けた。これにより、燃料電池を構成する固体高分子膜123の含水率を算出し、この算出した含水率に基づいて、燃料電池10の発電量を制限する。よって、固体高分子膜123の含水率が低下した場合に、固体高分子膜123が劣化しない程度にまで燃料電池10の発電量を制限できるから、固体高分子膜123の劣化を抑制しつつ発電できる。
【0046】
(2)燃料電池システム1に、タイマ40、電流センサ32および電流積算手段41をさらに設け、含水率算出手段43では、少なくともタイマ40で測定した燃料電池10の停止時間と、電流積算手段41で算出した発電量とに基づいて、含水率を算出した。
燃料電池システム1を停止すると、停止時間および発電量に比例して含水率が低下することから、特に、燃料電池システム1の起動時において、含水率を精度良く算出できる。
【0047】
(3)燃料電池システム1に加湿器29を設け、上限発電電流算出手段44および電流コントローラ33で、固体高分子膜123の含水率が所定値A以下である場合に、燃料電池10の発電量を制限した。
よって、固体高分子膜123の加湿に時間がかかる加湿器29を設けても、固体高分子膜123の含水率が低下した場合には、燃料電池10の発電量を制限することで、固体高分子膜123の劣化を抑制できる。
【0048】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係る燃料電池システム1Aのブロック図である。
本実施形態では、MEA温度センサ31、ガス温度センサ34、36、ガス圧力センサ35、37、およびタイマ40が設けられておらず、代わりに、ガス湿度センサ38、39が設けられている点、および、制御装置30Aの構成が、第1実施形態と異なり、他の構成は、第1実施形態と同様である。
【0049】
すなわち、エア排出路24のうち燃料電池10の近傍には、ガス温度センサ34およびガス圧力センサ35が設けられておらず、湿度測定手段としてのガス湿度センサ38が設けられている。
また、水素排出路26のうち燃料電池10の近傍には、ガス温度センサ36およびガス圧力センサ37が設けられておらず、湿度測定手段としてのガス湿度センサ39が設けられている。
【0050】
図9は、制御装置30Aのブロック図である。
ガス湿度センサ38、39は、制御装置30Aに接続されており、それぞれ、エア排出路24および水素排出路26内の水素ガスの湿度を測定して、燃料電池10のカソード側およびアノード側の出口部の湿度として、制御装置30に送信する。
含水率算出手段43Aは、ガス湿度センサ38、39で測定した反応ガスの湿度に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定し、算出する。
【0051】
図10は、燃料電池のカソード側(あるいはアノード側)の出口部の湿度とMEA含水率との関係を示す図である。
燃料電池の出口部の湿度がほぼ0%では、MEA含水率もほぼ0%である。この状態から、燃料電池の出口部の湿度が上昇するに従って、MEA含水率も上昇するが、燃料電池の出口部の湿度が所定値Bを超えると、MEAに含まれる水分は飽和状態となり、MEA含水率は一定値となる。
【0052】
以上の燃料電池システム1の動作について、図11のフローチャートを参照しながら説明する。
まず、燃料電池システム1が停止した状態から、イグニッションスイッチ(IG_SW)をオンする(ST21)。
すると、含水率算出手段43により、燃料電池10の出口部の湿度に基づいて、MEAの含水率の推定値を算出する(ST22)。
続いて、上限発電電流算出手段44により、発電電流の上限値を算出する(ST23)。そして、この発電電流上限値に従って、電流コントローラ33により発電電流を制限する(ST24)。
その後、制御装置30により、イグニッションスイッチ(IG)がオフされたか否かを判別する(ST25)。この判別が“NO”のときは、ST22に戻って発電を継続し、“YES”のときは、燃料電池システム1を停止する(ST26)。
【0053】
本実施形態によれば、上述の(1)、(3)の効果に加え、以下のような効果がある。
(4)燃料電池システム1にガス湿度センサ38、39をさらに設け、含水率算出手段43Aでは、ガス湿度センサ38、39で検出した反応ガスの湿度に基づいて、含水率を算出した。
よって、ガス湿度センサ38、39で反応ガスの湿度を監視することで、固体高分子膜123の含水率の低下を迅速に把握でき、固体高分子膜123の劣化をより確実に抑制できる。
【0054】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、上述の各実施形態では、カソード系に加湿器29を設けたが、これに限らず、アノード系に設けてもよい。すなわち、水素供給路25および水素排出路26に加湿器を設け、この加湿器で、水素供給路25内の反応ガスから水分を回収して、この回収した水分を、水素供給路25内の反応ガスに供給することで、固体高分子膜123に水分を供給してもよい。
【0055】
また、第1実施形態では、前回のMEA含水率のほか、燃料電池10の発電量、掃気フラグの履歴、燃料電池10の停止時間、膜電極構造体(MEA)12の温度、反応ガスの温度、および反応ガスの圧力に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定し、第2実施形態では、反応ガスの湿度に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定したが、これに限らない。例えば、第1実施形態と第2実施形態とを組み合わせて、前回のMEA含水率、燃料電池10の発電量、掃気フラグの履歴、燃料電池10の停止時間、膜電極構造体(MEA)12の温度、反応ガスの温度、反応ガスの圧力、および反応ガスの湿度に基づいて、膜電極構造体(MEA)12の含水率を推定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の第1実施形態に係る燃料電池システムのブロック図である。
【図2】前記実施形態に係る燃料電池を構成するセルの断面図である。
【図3】前記実施形態に係る燃料電池システムを構成する制御装置のブロック図である。
【図4】前記実施形態に係る燃料電池の停止時間とMEA含水率との関係を示す図である。
【図5】前記実施形態に係る燃料電池の電流値および反応ガスの圧力・温度とMEA含水率との関係を示す図である。
【図6】前記実施形態に係る燃料電池のMEA含水率の推定値と発電電流の上限値との関係を示す図である。
【図7】前記実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施形態に係る燃料電池システムのブロック図である。
【図9】前記実施形態に係る燃料電池システムを構成する制御装置のブロック図である。
【図10】前記実施形態に係る燃料電池のカソード側(あるいはアノード側)の出口部の湿度とMEA含水率との関係を示す図である。
【図11】前記実施形態に係る燃料電池システムのフローチャートである。
【符号の説明】
【0057】
1、1A…燃料電池システム
10…燃料電池
29…加湿器(加湿手段)
31…温度センサ(温度検出手段)
32…電流センサ(発電量算出手段)
33…電流コントローラ(発電量制限手段)
38、39…ガス湿度センサ(湿度測定手段)
40…タイマ(停止時間測定手段)
41…電流積算手段(発電量算出手段)
43、43A…含水率算出手段
44…上限発電電流算出手段(発電量制限手段)
121…アノード電極
122…カソード電極
123…固体高分子膜(膜)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜と、この膜を挟んで設けられたアノード電極およびカソード電極と、を備え、前記アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが前記膜を介して反応して発電する燃料電池と、
前記膜の含水率を算出する含水率算出手段と、
前記含水率算出手段で算出した前記膜の含水率に基づいて、前記燃料電池の発電量を制限する発電量制限手段と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池の停止時間を測定する停止時間測定手段と、
前記燃料電池の発電量を算出する発電量算出手段と、をさらに備え、
前記含水率算出手段は、少なくとも前記燃料電池の停止時間および発電量に基づいて、含水率を算出することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池から排出される反応ガスの湿度を測定する湿度測定手段をさらに備え、
前記含水率算出手段は、前記湿度測定手段で測定した反応ガスの湿度に基づいて、含水率を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池から排出される反応ガスと前記燃料電池に供給される反応ガスとの間で水分を移動する加湿手段をさらに備え、
前記発電量制限手段は、前記膜の含水率が所定値以下である場合に、前記燃料電池の発電量を制限することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項5】
膜と、この膜を挟んで設けられたアノード電極およびカソード電極と、を備え、前記アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが前記膜を介して反応して発電する燃料電池の制御方法であって、
前記膜の含水率を算出し、
この算出した前記膜の含水率に基づいて、前記燃料電池の発電量を制限することを特徴とする燃料電池の制御方法。
【請求項1】
膜と、この膜を挟んで設けられたアノード電極およびカソード電極と、を備え、前記アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが前記膜を介して反応して発電する燃料電池と、
前記膜の含水率を算出する含水率算出手段と、
前記含水率算出手段で算出した前記膜の含水率に基づいて、前記燃料電池の発電量を制限する発電量制限手段と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池の停止時間を測定する停止時間測定手段と、
前記燃料電池の発電量を算出する発電量算出手段と、をさらに備え、
前記含水率算出手段は、少なくとも前記燃料電池の停止時間および発電量に基づいて、含水率を算出することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池から排出される反応ガスの湿度を測定する湿度測定手段をさらに備え、
前記含水率算出手段は、前記湿度測定手段で測定した反応ガスの湿度に基づいて、含水率を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池から排出される反応ガスと前記燃料電池に供給される反応ガスとの間で水分を移動する加湿手段をさらに備え、
前記発電量制限手段は、前記膜の含水率が所定値以下である場合に、前記燃料電池の発電量を制限することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の燃料電池システム。
【請求項5】
膜と、この膜を挟んで設けられたアノード電極およびカソード電極と、を備え、前記アノード電極およびカソード電極にそれぞれ反応ガスが供給されると、これらの反応ガスが前記膜を介して反応して発電する燃料電池の制御方法であって、
前記膜の含水率を算出し、
この算出した前記膜の含水率に基づいて、前記燃料電池の発電量を制限することを特徴とする燃料電池の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−329028(P2007−329028A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−159605(P2006−159605)
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]