説明

燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換酸化触媒とその製造方法および燃料電池システム

【課題】水性ガス転換効率に優れた燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換酸化触媒、それの製造方法およびそれを含む燃料電池システムを提供する。
【解決手段】本発明によれば、ZnOが層間に充填されたクレイを含む担体および担体に担持されたCuOを含む活性物質を含む、燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒が提供される。本発明の燃料システムの改質装置用水性ガス転換触媒は、反応表面積が非常に広くて安定性に優れ、水性ガス転換効率が非常に優れている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換酸化触媒とその製造方法および燃料電池システムに係り、より詳しくは、水性ガス転換効率に優れた燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換酸化触媒、それの製造方法およびそれを含む燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池は、メタノール、エタノール、天然ガスのような炭化水素系列(本願ではアルコールを含む。)の物質内に含有されている水素と酸素の化学反応エネルギーを、直接電気エネルギーに変換させる発電システムである。このような燃料電池は、化石エネルギーを代替できる清浄エネルギー源として、単位電池の積層によるスタック構成で多様な範囲の出力を出すことができる長所を有しており、小型リチウム電池に比べて、4倍〜10倍のエネルギー密度を出すので、小型で移動容易な携帯電源として注目を浴びている。
【0003】
燃料電池の代表的な例としては、高分子電解質形燃料電池、直接酸化形燃料電池を挙げることができる。直接酸化形燃料電池において、燃料としてメタノールを使う場合は、直接メタノール燃料電池という。
【0004】
高分子電解質形燃料電池は、エネルギー密度が大きく、出力が高いという長所を持っているが、水素ガスの取り扱いに注意を要し、燃料ガスの水素を生産するために、メタンやメタノールおよび天然ガスなどを改質するための燃料改質装置などの付帯設備を必要とするという問題がある。
【0005】
これに対して、直接酸化形燃料電池は、高分子電解質形燃料電池に比べてエネルギー密度は低いが、燃料の取り扱いが容易であり、運転温度が低くて常温で運転が可能であり、特に燃料改質装置を要しないという長所がある。
【0006】
このような燃料電池システムにおいて、電気を実質的に発生させるスタックは、膜電極接合体とセパレータ(またはバイポーラプレートとも言う。)から成る単位セルが数個〜数十個に積層された構造を有する。膜電極接合体は、水素イオン伝導性高分子を含む高分子電解質膜を間において、アノード電極(別名“燃料極”または“酸化電極”という。)とカソード電極(別名“空気極”または“還元電極”という。)が設けられる構造を用いる。
【0007】
燃料電池で電気を発生させる原理は、燃料が燃料極のアノード電極に供給され、アノード電極の触媒に吸着し、燃料が酸化され、水素イオンと電子を生成させる。この時発生した電子は、外部回路を経てカソード電極に到達し、水素イオンは、高分子電解質膜を通過して、カソード電極に伝達される。カソード電極に酸化剤が供給され、この酸化剤と水素イオンおよび電子がカソード電極の触媒上で反応して、水を生成しながら電気を発生させるようになる。
【0008】
燃料電池システムは、スタック、改質装置、燃料タンクおよび燃料ポンプなどを備える。スタックは、燃料電池の本体を形成し、燃料ポンプは、燃料タンク内の燃料を改質装置に供給する。そして改質装置は、燃料を改質して、水素ガスを発生させ、その水素ガスをスタックに供給する。
【0009】
一般的な燃料電池システムにあって、上記の改質装置は、熱エネルギーを吸収する改質触媒反応によって燃料から水素ガスを発生させる改質反応部と、水素ガスと酸素の酸化反応によって水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させる一酸化炭素低減部と、で構成される。このように、改質反応は改質触媒による反応であるため、改質触媒の活性を増加させるための研究が進められている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記のような研究が進められているにもかかわらず、水性ガスの転換効率は満足のいく値が得られておらず、水性ガス転換効率に優れた触媒が希求されていた。
【0011】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は水性ガス転換効率に優れた、新規かつ改良された燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換酸化触媒とその製造方法および燃料電池システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の第1の観点によれば、ZnOが層間に充填されたクレイを含む担体と、担体に担持されたCuOを含有した活性物質と、を含む燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒が提供される。
【0013】
上記のCuOの担持量は、20質量%〜40質量であってもよく、25質量%〜30質量%であってもよい。
【0014】
上記の水性ガス転換触媒は、ZnOを20質量%〜40質量%含み、CuOを20質量%〜40質量%含んでもよい。
【0015】
上記課題を解決するために、本発明の第2の観点によれば、ZnOおよびCuOが層間に充填されたクレイを含む燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒が提供される。
【0016】
上記の水性ガス転換触媒は、ZnOを20質量%〜40質量%含み、CuOを20質量%〜40質量%含んでもよい。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の第3の観点によれば、Zn化合物溶液にクレイを添加し、得られたZnとクレイの混合物に塩基を添加して加水分解し、加水分解生成物を乾燥して担体を製造し、得られた担体をCu前駆体溶液に添加し、得られた混合物をか焼する工程を含む燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法が提供される。
【0018】
上記のZn化合物は、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛またはこれらの混合物であってもよい。
【0019】
上記のクレイは、パイロフィライト−タルク、モンモリロナイト、ヘクトライト、フルオロヘクトライト、サポーナイト、カオリナイト、バーミキュライト、イライト、マイカ、ブリトルマイカおよびこれらの混合物であってもよい。
【0020】
上記のZn化合物溶液の添加量は、クレイ1gに対してZnが1×10−3〜5×10−3Mになるように調節されてもよく、クレイ1gに対してZnが2×10−3〜3×10−3Mになるように調節されてもよい。
【0021】
上記の塩基の添加量は、Zn1Mに対して1M〜1.2Mに調節されてもよい。
【0022】
上記のか焼工程は、300℃〜500℃で実施されてもよい。
【0023】
上記のCu前駆体は、硝酸銅、酢酸銅、塩化銅またはこれらの混合物からなる群より選択されてもよい。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の第4の観点によれば、熱エネルギーによる改質触媒反応によって、燃料から水素ガスを発生させる改質反応部と、水素ガスと酸素の酸化反応によって、前記水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させる少なくとも一つの一酸化炭素低減部と、を備え、ZnOが層間に充填されたクレイを含む担体および前記担体に担持されたCuOを含む活性物質を含む水性ガス転換触媒を含む改質装置と、水素ガスと酸素の電気化学的な反応によって、電気エネルギーを発生させる少なくとも一つの電気発生部と、燃料を前記改質反応部に供給する燃料供給部と、酸素を前記一酸化炭素低減部および電気発生部にそれぞれ供給する酸素供給部と、前記改質反応部に供給される燃料を前記一酸化炭素低減部に循環させて、前記一酸化炭素低減部で発生する熱を冷却させる冷却装置と、を含む燃料電池システムが提供される。
【0025】
上記のCuOの担持量は、20質量%〜40質量%であってもよく、25質量%〜30質量%であってもよい。
【0026】
上記の水性ガス転換触媒は、ZnOを20質量%〜40質量%含み、CuOを20質量%〜40質量%含んでもよい。
【0027】
上記課題を解決するために、本発明の第5の観点によれば、熱エネルギーによる改質触媒反応によって、燃料から水素ガスを発生させる改質反応部と、水素ガスと酸素の酸化反応によって、前記水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させる少なくとも一つの一酸化炭素低減部を備え、ZnOおよびCuOが層間に充填されたクレイを含む水性ガス転換触媒を含む改質装置と、水素ガスと酸素の電気化学的な反応によって、電気エネルギーを発生させる少なくとも一つの電気発生部と、燃料を前記改質反応部に供給する燃料供給部と、酸素を前記一酸化炭素低減部および電気発生部にそれぞれ供給する酸素供給部と、改質反応部に供給される燃料を前記一酸化炭素低減部に循環させて、前記一酸化炭素低減部で発生する熱を冷却させる冷却装置と、を含む燃料電池システムが提供される。
【0028】
上記の水性ガス転換触媒は、ZnOを20質量%〜40質量%含み、CuOを20質量%〜40質量%含んでもよい。
【発明の効果】
【0029】
本発明の燃料システムの改質装置用水性ガス転換触媒は、反応表面積が非常に広くて安定性に優れ、水性ガス転換効率が非常に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0031】
本発明は、燃料電池システムの改質装置に用いられる水性ガス転換触媒に関するものである。
【0032】
燃料電池システムは、一般に電気発生部および燃料供給部を含み、また、高分子電解質形燃料電池は、燃料を改質して水素ガスを発生させる改質装置を含む。
【0033】
改質装置は、熱エネルギーによる改質触媒反応を利用して燃料から水素ガスを発生させる改質反応部と、この水素ガスを酸素と反応させ、水素ガスに混入している一酸化炭素の濃度を低減させる一酸化炭素低減部とで構成される。
【0034】
また、一酸化炭素低減部には、水性ガス転換工程が含まれる。水性ガス転換工程とは、水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させるための工程をいう。
【0035】
本発明の第1実施形態による水性ガス転換触媒は、ZnOが層間に充填された柱状クレイ(pillared clay)を含む担体およびこの担体に担持されたCuOを含む活性物質を含む。
【0036】
また、本発明の第2実施形態による水性ガス転換触媒は、ZnOおよびCuOが層間に充填されたクレイを含む。
【0037】
この時、上記のクレイの層間距離は、ZnOが充填される前には約13Åであったが、本発明の各実施形態に係る水性ガス転換触媒では、ZnO(時にはCuOと一緒に)充填された場合16Å〜18Å程度に変換される。
【0038】
本発明の第1実施形態による水性ガス転換触媒において、担体に対するCuOの担持量は、例えば20質量%〜40質量%が好ましく、25質量%〜30質量%がさらに好ましい。CuOの担持量が20質量%未満であれば、活性サイトの濃度が過度に低いという問題があり、40質量%を超える場合には触媒の安定性が低下して好ましくない。
【0039】
また、本発明の第1および第2実施形態の水性ガス転換触媒は、ZnOを例えば20質量%〜40質量%、CuOを例えば20質量%〜40質量%含むことが好ましく、ZnOを25質量%〜30質量%、CuOを25質量%〜30質量%含むことがさらに好ましい。ZnOの含有量が20質量%未満であれば、反応温度における触媒の安定性が低くなり好ましくなく、40質量%を超える場合には銅成分の含有量が低くなり好ましくない。またCuOの含有量が20質量%未満であれば、活性サイトが小さくなり好ましくなく、40質量%を超える場合には触媒の安定性が低くなり好ましくない。本発明の各実施形態に係る水性ガス転換触媒におけるZnOとCuO以外の組成はクレイであるため、ZnOとCuO含有量以外の残りの含有量はクレイである。
【0040】
本発明の第1および第2実施形態の水性ガス転換触媒は、Cu、Au、Ru、Pt、Na、Ca、Kまたはこれらの混合物を添加剤として更に含んでもよい。この添加剤のうちCu、Au、RuまたはPtの含有量は、本発明の各実施形態に係る水性ガス転換触媒100質量部に対して例えば1質量部〜5質量部が好ましく、2.5質量部〜3質量部がさらに好ましい。Cu、Au、RuまたはPtの含有量が1質量部未満であれば、添加剤を使うことによる効果がわずかであり、5質量部を超えれば活性が増加することより銅活性が減少することがより大きくなり好ましくない。また、添加剤のうちNa、CaまたはKの含有量は、遷移金属の拡散を考慮して、本発明の各実施形態に係る水性ガス転換触媒100質量部に対して0.01〜0.5質量部が好ましく、0.1〜0.2質量部がさらに好ましい。
【0041】
本発明の各実施形態に係るZnOが層間に充填されたクレイを含む担体は、クレイの層上にZnOが充填されたナノ粒子形態であるため、反応比表面積が広く、また触媒活性が非常に優れている。同時に、ZnOとCuOが非常に均一な混合状態で存在するので、非常に安定である。
【0042】
本発明の各実施形態に係る水性ガス転換触媒は、次のような方法で製造できる。
【0043】
まず、Zn化合物溶液にクレイを添加する。Zn化合物としては、2価の硝酸亜鉛、酢酸亜鉛または塩化亜鉛を使うことができる。この際、溶媒としては、水を使うことができる。
【0044】
また、上記のクレイとしては、例えば、パイロフィライト−タルク、モンモリロナイト、ヘクトライト、フルオロヘクトライト、サポーナイト、カオリナイト、バーミキュライト、イライト、マイカ、ブリトルマイカまたはこれらの混合物を使用することができる。
【0045】
上記の添加工程において、Zn化合物の添加量は、Znがクレイ1gに対して例えば1×10−3〜5×10−3Mになるように添加することが好ましく、2×10−3〜3×10−3Mになるように添加することがさらに好ましい。Znの含有量が1×10−3M未満であれば、変換されたクレイでZnの含有量が低くなるという問題があり、Znの含有量が5×10−3Mを超えれば、変換されたクレイでZnの含有量が高くなり、好ましくない。
【0046】
次に、得られたZnおよびクレイ混合液に、塩基を添加して加水分解する。
【0047】
上記の塩基としては、例えば、アンモニウムヒドロキシド(NHOH)、NaOH、KOH、RbOHもしくはCsOH、または、これらの混合物を使うことができる。
【0048】
上記の塩基の添加量は、Zn1Mに対して例えば1M〜1.2Mになるように添加することが好ましく、1.05〜1.15Mになるように添加することがさらに好ましい。塩基の添加量が1M未満であれば、Zn化合物の加水分解がうまくいかず、クレイ内のZnの含有量が低くなり好ましくなく、1.2Mを超えれば加水分解速度が速くなり、亜鉛酸化物が形成されてしまい好ましくない。
【0049】
加水分解生成物を攪拌した後乾燥して、ZnOが充填された柱状クレイを含む担体を得る。攪拌生成物を濾過した後、乾燥工程を進行するものが乾燥工程時間を減少させることができ、また簡単である。
【0050】
担体に含有されているZnOの含有量は、例えば20質量%〜60質量%が好ましい。ZnOの含有量が20質量%未満であれば、変換されたクレイの安定性が低いという問題があり、60質量%を超えれば、活性成分が低いために触媒の活性が低下してしまい、好ましくない。
【0051】
担体を、Cu前駆体溶液に添加する。Cu前駆体としては、2価の硝酸銅、酢酸銅、塩化銅またはこれらの混合物を使うことができる。これらはまた、水化物形態としても使用できる。また、Cu前駆体溶液において、溶媒としては水を使うことができる。
【0052】
Cu前駆体の添加量は、例えば、CuOが20質量%〜40質量%形成されるように使うことが好ましく、25質量%〜30質量%が形成されるように使うことがさらに好ましい。Cu前駆体を、CuOが20質量%未満形成されるように用いた場合には、活性サイトが小さくなって好ましくなく、40質量%を超えるように用いれば、触媒の安定性が低下して好ましくない。
【0053】
また、添加工程を実施した後、得られた生成物に対して、Cu、Au、Ru、Pt、Na、Ca、Kまたはこれらの混合物を添加剤で添加する工程をさらに実施してもよい。この添加工程は、湿式浸漬法が一般に使われる。添加剤の含有量は、Cu、Au、RuまたはPtである場合には例えば1質量%〜5質量%が好ましく、2.5〜3質量%がさらに好ましい。またNa、CaまたはKである場合には例えば0.01〜0.5質量%が好ましく、0.1質量%〜0.2質量%がさらに好ましい。
【0054】
次に、得られた混合物をか焼して、本発明の触媒を製造する。
【0055】
か焼工程は、例えば300℃〜500℃で実施することが好ましい。か焼工程温度が300℃未満であれば、水性ガス転換反応で触媒の安定性が低下して好ましくなく、か焼工程の温度が500℃より高ければ触媒の気孔構造が制限されて好ましくない。またか焼工程は、約1℃/分の低い増加速度で加熱しながら実施することが適当である。
【0056】
この工程により、ZnOが層間に充填されたクレイを含む水性ガス転換触媒が製造される。また、CuOは、ZnOと一緒にクレイ層間に充填されて存在してもよく、クレイを担体にして担持された形態で存在してもよい。
【0057】
本発明の各実施形態に係る一酸化炭素酸化触媒は、燃料電池システムに用いられるので、以下燃料電池システムを添付した図1を参照して、詳細に説明する。
【0058】
図1に示すように、燃料電池システム100は、電気化学的な反応によって、電気エネルギーを発生させる電気発生部11を備えるスタックと、液状の燃料から水素ガスを発生させ、この水素ガスを電気発生部11に供給する改質装置30と、燃料を改質装置30に供給する燃料供給部50と、酸化剤を改質装置30と電気発生部11にそれぞれ供給する酸化剤供給部70を含む。
【0059】
電気発生部は、膜電極接合体12を中心に置いてこの両面にセパレータ16を配置して、電気を発生させる最小単位のスタックを形成する。この電気発生部11が複数備えられて、本実施例のような積層構造のスタック10を形成する。ここで、膜電極接合体12は、両側にアノード電極とカソード電極を備え、水素と酸素のような酸化剤を酸化および還元反応させる機能をするようになる。またセパレータ16は、膜電極接合体12の両側に水素ガスと酸素のような酸化剤を供給する気体通路を形成し、隣り合う膜電極接合体12の前記アノード電極とカソード電極を直列に連結させる伝導体の機能をするようになる。
【0060】
また、図1に示すように、スタック10の最外郭には、複数の電気発生部11を密着させる加圧プレート13が設けられてもよい。または、複数の電気発生部11の最外郭に設けられるセパレータ16が、加圧プレートの役割を代行するように構成してもよい。また、加圧プレート13が複数の電気発生部11を密着させる機能以外に、セパレータ16の固有の機能を有するように構成してもよい。
【0061】
加圧プレート13には、改質装置30から発生する水素ガスを電気発生部11に供給するための第1注入部(13a)と、酸素供給部40から供給される空気を電気発生部11に供給するための第2注入部(13b)と、膜電極接合体12のアノード電極で反応して残った水素ガスを排出させるための第1排出部(13c)と、膜電極接合体12のカソード電極で水素と酸化剤の結合反応によって、生成された水分を含有する未反応空気を排出させるための第2排出部(13d)と、が形成されている。
【0062】
改質装置30は、熱エネルギーによる化学触媒反応によって、燃料から水素ガスを発生させ、この水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させることができる構造からなる。
【0063】
改質装置30は、液状の燃料と空気の酸化触媒反応によって、所定の温度の熱エネルギーを発生させる熱源部31と、熱エネルギーによる水蒸気改質触媒反応によって、燃料から水素ガスを発生させる改質反応部32と、水素ガスの酸化反応によって、この水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させる少なくとも一つの一酸化炭素低減部33を含む。
【0064】
熱源部31は、管路形態の第1供給ライン91によって燃料タンク51と連結設置され、管路形態の第2供給ライン92によって酸化剤ポンプ71と連結設置されて、液状の燃料と酸化剤を通過させる。この熱源部31は、燃料と酸化剤の酸化反応を促進させて、熱エネルギーを発生させる触媒層(図示せず)を含む。この時、熱源部31は、液状の燃料と酸化剤の流れを可能にするチャンネル(図示せず)を形成しているプレート形態を備え、このチャンネルの表面に触媒層がコーティング形成されている構造を有する。または、熱源部31は、所定の内部空間を有する円筒形態を備え、内部空間に触媒層、例えば、ペレット形態で充填される触媒モジュールまたはハニカムタイプから成る触媒モジュールを形成してもよい。
【0065】
改質反応部32は、熱源部31から発生する熱エネルギーを吸熱し、燃料タンク51から供給される燃料の水蒸気改質触媒反応によって、燃料から水素ガスを発生させる。このような改質反応部32は、管路形態の第3供給ライン93によって、熱源部31と連結設置される。そしてこの改質反応部32には、燃料の水蒸気改質反応を促進して、水素ガスを発生させる触媒層(図示せず)を備えている。この時、熱源部31は、燃料の流れを可能にするチャンネル(図示せず)を形成する形態を備え、このチャンネルの表面に触媒層がコーティング形成された構造を有する。または、熱源部31は、所定の内部空間を有する円筒形態を備え、内部空間に触媒層、例えば、ペレット形態で充填される触媒モジュールまたはハニカムタイプから成る触媒モジュールを形成してもよい。
【0066】
一酸化炭素低減部33は、改質反応部32から発生する水素ガスと、酸化剤ポンプ71から供給される空気の選択的酸化触媒反応によって、水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させる。このような一酸化炭素低減部33は、管路形態の第4供給ライン94によって改質反応部32と連結設置され、管路形態の第5供給ライン95によって酸化剤ポンプ71と連結設置されて、水素ガスと酸化剤を通過させる。
【0067】
そして、一酸化炭素低減部33には、水素ガスと酸化剤の選択的酸化反応を促進させて、水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させる、本発明の各実施形態に係る触媒を含む触媒層(図示せず)を備えている。この時、一酸化炭素低減部33は、水素ガスと酸化剤の流れを可能にするチャンネル(図示せず)を形成しているプレート形態を備え、このチャンネルの表面に触媒層がコーティング形成されている。または、一酸化炭素低減部33は所定の内部空間を有する円筒形態を備え、内部空間に触媒層、例えば、ペレット形態で充填される触媒モジュールまたはハニカムタイプから成る触媒モジュールを形成してもよい。
【0068】
この時、一酸化炭素低減部33とスタック10の第1注入部(13a)は、管路形態の第6供給ライン96によって連結設置され、一酸化炭素低減部33によって一酸化炭素の濃度が低減された水素ガスをスタック10の電気発生部11に供給できる構造から成る。そして、一酸化炭素低減部33は、熱伝導性を有するステンレススチール、アルミニウム、銅、鉄等で形成されてもよい。
【0069】
前述した構成を有する燃料電池システムで電気を発生させる電気発生部を構成する膜電極接合体は、互いに対向するカソード電極およびアノード電極を含み、このカソード電極とアノード電極との間に設けられる高分子電解質膜を含む。
【0070】
カソード電極およびアノード電極は、電極基材と触媒層を含む。
【0071】
触媒層は、例えば、白金、ルテニウム、オスミウム、白金−ルテニウム合金、白金−オスミウム合金、白金−パラジウム合金および白金−M合金(MはGa、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Sn、Mo、W、Rh及びRuからなる群より選択される1種以上の転移金属)から選択される1種以上の触媒を含むことが好ましい。具体的な例としては、Pt、Pt/Ru、Pt/W、Pt/Ni、Pt/Sn、Pt/Mo、Pt/Pd、Pt/Fe、Pt/Cr、Pt/Co、Pt/Ru/W、Pt/Ru/Mo、Pt/Ru/V、Pt/Fe/Co、Pt/Ru/Rh/NiおよびPt/Ru/Sn/Wから成る群より選択される1種以上を挙げることができる。
【0072】
またこのような金属触媒は、金属触媒自体(ブラック)として用いてもよく、担体に担持させて使ってもよい。この担体としては、例えば、黒鉛、デンカブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノワイヤー、カーボンナノボールまたは活性炭素などの炭素系物質を使ってもよく、またはアルミナ、シリカ、ジルコニア、チタニアなどの無機物微粒子を使ってもよいが、一般に炭素系物質が使用されている。担体に担持された貴金属を触媒に使う場合には、商用化された市販されることを使ってもよく、また担体に貴金属を担持させたものを製造して使ってもよい。担体に貴金属を担持させる工程は、当該分野で広く知られた内容であるため、本明細書で詳細な説明は省略しても、当業者に簡単に理解できる内容である。
【0073】
上記の触媒層はまた、触媒層の接着力向上および水素イオンの伝達のために、バインダー樹脂をさらに含んでもよい。
【0074】
バインダー樹脂としては、水素イオン伝導性を有する高分子樹脂を使うことが好ましく、より好ましくは、側鎖にスルホン酸基、カルボキシル酸基、リン酸基、ホスホスニン酸基およびこれらの誘導体から成る群より選択される陽イオン交換基を有している高分子樹脂を全て使用可能である。好ましくは、例えば、フッ素系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンサルファイド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル−エーテルケトン系高分子またはポリフェニルキノキサリン系高分子の中で選択される1種以上の水素イオン伝導性高分子を含んでもよく、より好ましくは、ポリ(パーフルオロスルホン酸)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、硫化ポリエーテルケトン、アリールケトン、ポリ(2,2’−m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾールまたはポリ(2,5−ベンズイミダゾール)の中で選択される1種以上の水素イオン伝導性高分子を含んでもよい。
【0075】
水素イオン伝導性高分子は、側鎖末端のイオン交換基において、HをNa、K、Li、Csまたはテトラブチルアンモニウムに置換したものであってもよい。側鎖末端のイオン交換基においてHをNaに置換する場合には、触媒組成物製造時にNaOHを使って置換し、テトラブチルアンモニウムに置換する場合には、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを使って置換し、K、LiまたはCsも適切な化合物を使って置換してもよい。この置換方法は、当該分野に広く知られた内容であるため、本明細書で詳細な説明は省略する。
【0076】
バインダー樹脂は、単一物または混合物形態で使用可能であり、また選択的に高分子電解質膜との接着力をより向上させる目的で、非伝導性高分子と一緒に用いられてもよい。その使用量は、使用目的に適合するように調節して使うことが好ましい。
【0077】
非伝導性高分子としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン−ヘキサフッ素プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン、エチレン三フッ化塩化−エチレン共重合体、フッ化ポリビニリデン、フッ化ポリビニリデン−ヘキサフルオロプロピレンの共重合体(PVdF−HFP)、ドデシルベンゼンスルホン酸およびソルビトールからなる群より選択された1種以上がより好ましい。
【0078】
電極基材は、電極を支持する役割を果たしながら、触媒層に燃料および酸化剤を拡散させて、触媒に燃料および酸化剤が簡単に接近できる役割を果たす。電極基材としては、導電性基材を使い、その代表的な例として、炭素紙、炭素布、炭素フェルトまたは金属布(繊維状態の金属布で構成された多孔性のフィルムまたは高分子繊維で形成された布の表面に金属フィルムが形成されたことをいう。)を用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0079】
また、燃料電池の駆動時発生する水によって反応物拡散効率が低下することを防止できるため、電極基材は、フッ素系列樹脂として撥水処理したものを使うことが好ましい。フッ素系樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリパーフルオロスルホニルフルオライドアルコキシビニルエーテル、フッ化エチレンプロピレン、ポリ三フッ化塩化エチレンまたはこれらの共重合体を使ってもよい。
【0080】
また、電極基材での反応物拡散効果を増進させるための微細気孔層を、さらに含んでもよい。この微細気孔層は、一般に粒径が狭い導電性粉末、例えば炭素粉末、カーボンブラック、アセチレンブラック、活性炭素、カーボンファイバー、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノワイヤー、カーボンナノホーンまたはカーボンナノリングを含んでもよい。
【0081】
微細気孔層は、導電性粉末、バインダー樹脂および溶媒を含む組成物を電極基材にコーティングして製造される。バインダー樹脂としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、フッ化ポリビニリデン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリパーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリパーフルオロスルホニルフルオライド、アルコキシビニルエーテル、ポリビニルアルコール、セルロースアセテートまたはこれらのコポリマーなどが好ましく用いることができる。溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール、ブチルアルコールなどのようなアルコール、水、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフランなどが好ましく用いることができる。コーティング工程は、組成物の粘性により、スクリーンプリンティング法、スプレーコーティング法またはドクターブレードを用いたコーティング法などが用いることができ、これに限定されるものではない。
【0082】
高分子電解質膜としては、一般に燃料電池で高分子電解質膜として用いられ、水素イオン伝導性を有する高分子樹脂で製造されたものであれば、任意のものを使用できる。その代表的な例としては、側鎖にスルホン酸基、カルボキシル酸基、リン酸基、ホスホン酸基およびこれらの誘導体からなる群より選択される陽イオン交換基を有している高分子樹脂を挙げることができる。
【0083】
高分子樹脂の代表的な例としては、例えば、フッ素系高分子、ベンズイミダゾール系高分子、ポリイミド系高分子、ポリエーテルイミド系高分子、ポリフェニレンサルファイド系高分子、ポリスルホン系高分子、ポリエーテルスルホン系高分子、ポリエーテルケトン系高分子、ポリエーテル−エーテルケトン系高分子またはポリフェニルキノキサリン系高分子の中で選択される1種以上を含むことができ、さらに好ましくは、ポリ(パーフルオロスルホン酸)(一般に登録商標ナフィオンとして市販される。)、ポリ(パーフルオロカルボン酸)、スルホン酸基を含むテトラフルオロエチレンとフルオロビニルエーテルの共重合体、硫化ポリエーテルケトン、アリールケトン、ポリ(2,2’−m−フェニレン)−5,5’−ビベンズイミダゾールまたはポリ(2,5−ベンズイミダゾール)の中から選択される1種以上を挙げることができる。また、このような水素イオン伝導性高分子の水素イオン伝導性基において、HをNa、K、Li、Csまたはテトラブチルアンモニウムに置換してもよい。側鎖末端のイオン交換基においてHをNaに置換する場合には、触媒組成物製造時NaOHを使って置換し、テトラブチルアンモニウムに置換する場合には、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドを使って置換し、K、LiまたはCsも適切な化合物を使って置換してもよい。この置換方法は、当該分野に広く知られた内容であるため、本明細書で詳細な説明は省略する。
【実施例】
【0084】
以下、本発明の好ましい実施例および比較例を記載する。しかしながら、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例であるだけ本発明が下記の実施例によって限定されるものではない。
【0085】
(実施例1)
1質量%濃度の硝酸亜鉛水溶液に、モンモリロナイトを添加した。この時、硝酸亜鉛水溶液の添加量は、モンモリロナイト1gに対してZnが2.75mmolになるようにした。
【0086】
得られた混合液にアンモニアヒドロキシド水溶液を添加して、加水分解した。この時、塩基の添加量は、Zn1Mに対して1.1Mになるようにした。
【0087】
加水分解生成物を24時間攪拌した後、攪拌生成物を濾過し、濾過生成物を200℃で乾燥して担体を製造した。
【0088】
担体をCu(NO・3HO水溶液に含浸させ、含浸生成物を500℃でか焼して触媒を製造した。この時、担体1gに対してCu(NO・3HOを1.318073g使った。製造された水性ガス転換触媒に含まれているZnOの含有量は、25質量%であり、CuOの含有量は30質量%であった。
【0089】
上記の実施例1により製造された水性ガス転換触媒のCO転換率(除去率)を各温度別に測定して、その結果を図2に示した。測定条件は次の通りである。
【0090】
転換率測定反応器での触媒ローディング量:30ml
反応気体流動速度:380ml/分
反応気体排出速度:430ml/分
水(液体):0.11ml/分
反応気体成分:CO19.20%/CO10.10%/N5.01%/H65.69%
空間速度(space velocity)(水なしに):800h−1
【0091】
また、市販される水性ガス転換触媒のSHT4(鉄酸化物89質量%、クロム酸化物2質量%、クロムトリオキシド7質量%及び銅酸化物2質量%含み、3.2×3.2mmの顆粒である。Engelgard corporation)を比較例1にして、この触媒のCO除去率を各温度別に測定して、その結果を図3に示した。測定条件は次の通りである。
【0092】
反応器での触媒ローディング量:20ml
反応気体流動速度:380ml/分
反応気体排出速度:430ml/分
水(液体):0.11ml/分
反応気体成分:CO19.20%/CO10.10%/N5.01%/H65.69%
空間速度(水なしに)1200h−1
【0093】
図2および図3に示すように、実施例1の触媒が全ての温度領域で比較例1より一酸化炭素転換率が非常に優れていること、つまり、一酸化炭素の濃度を低減させる水性ガス転換工程が効果的に起こったことが分かる。
【0094】
同時に、実施例1によって製造された担体及び比較例1で使われた担体の水性ガス転換触媒について、X線回折強度を測定した結果を、図4および図5にそれぞれ示した。図4及び図5に示すように、実施例1の2θ値が比較例1の値より小さいので、2θ値に反比例するクレイ層間距離は、実施例1が比較例1より広いことがわかる。従って、実施例1の工程によって、クレイ層間にZnOが充填されたことを予測できる。
【0095】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の燃料電池システムの構造を概略的に示した図面である。
【図2】本発明の実施例1により製造された水性ガス転換触媒のCO転換率(除去率)を測定して示したグラフである。
【図3】比較例1により製造された水性ガス転換触媒のCO転換率(除去率)を測定して示したグラフである。
【図4】本発明の実施例1によって製造された担体のX線回折強度を測定して示したグラフである。
【図5】比較例1で使われた担体のX線回折強度を測定して示したグラフである。
【符号の説明】
【0097】
10 スタック
11 電気発生部
12 膜電極接合体
13 加圧プレート
13a 第1注入部
13b 第2注入部
13c 第1排出部
13d 第2排出部
16 セパレータ
30 改質装置
31 熱源部
32 改質反応部
33 一酸化炭素低減部
40 酸素供給部
50 燃料供給部
51 燃料タンク
70 酸化剤供給部
71 酸化剤ポンプ
91 第1供給ライン
92 第2供給ライン
93 第3供給ライン
94 第4供給ライン
95 第5供給ライン
96 第6供給ライン
100 燃料電池システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ZnOが層間に充填されたクレイを含む担体と、
前記担体に担持されたCuOを含有した活性物質と、
を含むことを特徴とする、燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒。
【請求項2】
前記CuOの担持量は、20質量%〜40質量%であることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒。
【請求項3】
前記CuOの担持量は、25質量%〜30質量%であることを特徴とする、請求項2に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒。
【請求項4】
前記水性ガス転換触媒は、
ZnOを20質量%〜40質量%含み、
前記CuOを20質量%〜40質量%含む
ことを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒。
【請求項5】
ZnOおよびCuOが層間に充填されたクレイを含むことを特徴とする、燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒。
【請求項6】
前記水性ガス転換触媒は、
前記ZnOを20質量%〜40質量%含み、
前記CuOを20質量%〜40質量%含む
ことを特徴とする、請求項5に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒。
【請求項7】
Zn化合物溶液にクレイを添加し、
得られたZnとクレイの混合物に塩基を添加して加水分解し、
加水分解生成物を乾燥して担体を製造し、
前記担体をCu前駆体溶液に添加し、
前記混合物をか焼する
工程を含むことを特徴とする、燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法。
【請求項8】
前記Zn化合物は、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛またはこれらの混合物であることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法。
【請求項9】
前記クレイは、パイロフィライト−タルク、モンモリロナイト、ヘクトライト、フルオロヘクトライト、サポーナイト、カオリナイト、バーミキュライト、イライト、マイカ、ブリトルマイカおよびこれらの混合物であることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法。
【請求項10】
前記Zn化合物溶液の添加量は、前記クレイ1gに対してZnが1×10−3〜5×10−3Mになるように調節されることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法。
【請求項11】
前記Zn化合物溶液の添加量は、前記クレイ1gに対してZnが2×10−3〜3×10−3Mになるように調節されることを特徴とする、請求項10に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法。
【請求項12】
前記塩基の添加量は、前記Zn1Mに対して1M〜1.2Mに調節されることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法。
【請求項13】
前記か焼工程は、300℃〜500℃で実施されることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法。
【請求項14】
前記Cu前駆体は、硝酸銅、酢酸銅、塩化銅またはこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする、請求項7に記載の燃料電池システムの改質装置用水性ガス転換触媒の製造方法。
【請求項15】
熱エネルギーによる改質触媒反応によって、燃料から水素ガスを発生させる改質反応部と、水素ガスと酸素の酸化反応によって、前記水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させる少なくとも一つの一酸化炭素低減部と、を備え、ZnOが層間に充填されたクレイを含む担体および前記担体に担持されたCuOを含む活性物質を含む水性ガス転換触媒を含む改質装置と、
前記水素ガスと酸素の電気化学的な反応によって、電気エネルギーを発生させる少なくとも一つの電気発生部と、
前記燃料を前記改質反応部に供給する燃料供給部と、
酸素を前記一酸化炭素低減部および電気発生部にそれぞれ供給する酸素供給部と、
前記改質反応部に供給される燃料を前記一酸化炭素低減部に循環させて、前記一酸化炭素低減部で発生する熱を冷却させる冷却装置と、
を含むことを特徴とする、燃料電池システム。
【請求項16】
前記CuOの担持量は、20質量%〜40質量%であることを特徴とする、請求項15に記載の燃料電池システム。
【請求項17】
前記CuOの担持量は、25質量%〜30質量%であることを特徴とする、請求項16に記載の燃料電池システム。
【請求項18】
前記水性ガス転換触媒は、
ZnOを20質量%〜40質量%含み、
前記CuOを20質量%〜40質量%含む
ことを特徴とする、請求項15に記載の燃料電池システム。
【請求項19】
熱エネルギーによる改質触媒反応によって、燃料から水素ガスを発生させる改質反応部と、水素ガスと酸素の酸化反応によって、前記水素ガスに含有されている一酸化炭素の濃度を低減させる少なくとも一つの一酸化炭素低減部を備え、ZnOおよびCuOが層間に充填されたクレイを含む水性ガス転換触媒を含む改質装置と、
前記水素ガスと酸素の電気化学的な反応によって、電気エネルギーを発生させる少なくとも一つの電気発生部と、
前記燃料を前記改質反応部に供給する燃料供給部と、
酸素を前記一酸化炭素低減部および電気発生部にそれぞれ供給する酸素供給部と、
前記改質反応部に供給される燃料を前記一酸化炭素低減部に循環させて、前記一酸化炭素低減部で発生する熱を冷却させる冷却装置と、
を含むことを特徴とする、燃料電池システム。
【請求項20】
前記水性ガス転換触媒は、
ZnOを20質量%〜40質量%含み、
前記CuOを20質量%〜40質量%含む
ことを特徴とする、請求項19に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−209976(P2007−209976A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−5573(P2007−5573)
【出願日】平成19年1月15日(2007.1.15)
【出願人】(590002817)三星エスディアイ株式会社 (2,784)
【Fターム(参考)】