説明

燃料電池システム

【課題】環境度が使用限度を超えた場合に発電・充電をしないようにする。
【解決手段】燃料電池システムが、二次電池33と、原料の電気化学反応により発電する燃料電池発電部19と、燃料電池発電部19に原料を供給する供給部12,16,18と、燃料電池発電部19で生成された電気エネルギーを二次電池33に充電する充電回路34と、環境度を検出する環境度検出部50と、環境度検出部50による検出環境度に基づき供給部12,16,18を制御する燃料電池制御部31と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、携帯電話機、ノート型パーソナルコンピュータ、デジタルカメラ、腕時計、PDA(Personal Digital Assistance)、電子手帳等といった携帯型の電子機器がめざましい進歩・発展を遂げている。このような電子機器における消費電力の増加に対応して、その電源として、燃料電池によって発電する燃料電池発電ユニットを用いた燃料電池発電システムが提案されている。燃料電池には、水素が連続的に供給されることで発電するものと、メタノールと水の混合物が連続的に供給されることで発電するものがある。水素により発電する燃料電池を電子機器に搭載する場合には、メタノールと水から水素を生成するマイクロ改質器も併せて電子機器に搭載することが行われている。何れの燃料電池の場合でも、メタノールや水をカートリッジ、タンクといった容器に貯留する必要がある。
【0003】
また、燃料電池システムに二次電池を設け、燃料電池発電ユニットによって生成された電気エネルギーを二次電池に蓄積することが行われている。例えば、特許文献1においては、二次電池の充電量が或る一定レベル以下になったときに、燃料電池発電ユニットによって発電を行って二次電池に充電をする技術が開示されている。
【特許文献1】特開2002−134148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、温度、湿度、気圧といった環境度が燃料電池発電ユニットの使用限度を超えてしまうと、燃料電池発電ユニットにダメージを与えてしまうことがある。例えば、環境温度が氷点下になると、貯留された水が凍結してしまう虞があり、この状態でシステムを動作させた場合、動作範囲を超える高濃度のメタノールだけが蒸発器・改質器等に供給されるため、高濃度のメタノールが改質器、燃料電池等にダメージを与えてしまう。一方、環境温度が高いときは、燃料が沸騰してしまう虞があり、燃料が沸騰した状態でシステムを動作させた場合、燃料の供給量の制御が困難となるため発電できなくなる。
そこで、本発明の課題は、環境度が使用限度を超えた場合に発電・充電をしないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の課題を解決するために、請求項1に係る発明によれば、
二次電池と、
原料の電気化学反応により発電する燃料電池発電部と、
前記燃料電池発電部に原料を供給する供給部と、
前記燃料電池発電部で生成された電気エネルギーを前記二次電池に充電する充電回路と、
環境度を検出する環境度検出部と、
前記環境度検出部により検出された検出環境度に基づき前記供給部を制御する燃料電池制御部と、を備えることを特徴とする燃料電池システムが提供される。
【0006】
好ましくは、前記燃料電池制御部は、前記検出環境度が定格範囲内にあるか否かを判断する第1判断処理と、前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行する。
好ましくは、前記燃料電池制御部は、前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にないと判断した場合に、所定時間経過後に再び前記第1判断処理を実行する。
好ましくは、前記燃料電池制御部は、前記二次電池の充電量を検出して、その検出充電量によって前記第1判断処理の判断をすると判断した場合に、前記第1判断処理に用いる定格範囲を前記二次電池の検出充電量に従って設定する。
好ましくは、前記燃料電池制御部は、前記二次電池の充電量を検出して、その検出充電量が所定の範囲内にあるか否かを判断する第2判断処理と、前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記検出充電量が所定の範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行する。
好ましくは、前記燃料電池制御部は、前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記検出充電量が所定の範囲内にないと判断した場合に、所定時間経過後に再び前記第2判断処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
好ましくは、前記燃料電池制御部は、前記二次電池の充電量として前記二次電池の端子間電圧を検出する。
好ましくは、前記燃料電池制御部は、前記充電処理を実行したときからの経過時間を測定し、その経過時間が所定の範囲内にあるか否かを判断する第2判断処理と、前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記経過時間が所定の範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行することを特徴とする。
好ましくは、前記充電処理を実行したときからの経過時間を測定し、その経過時間によって前記第1判断処理の判断をすると判断した場合に、前記第1判断処理に用いる定格範囲を前記経過時間に従って設定する。
好ましくは、前記燃料電池システムが、読み書き可能な記憶部を更に備え、前記燃料電池制御部が、前記検出環境度を前記記憶部に蓄積する蓄積処理と、前記記憶部に記憶された過去の所定期間の検出環境度のデータ列である蓄積環境度を読み込む読込処理と、前記読込処理によって読み込んだデータ列の中に定格範囲内の検出環境度が存するか否かを判断する判断処理と、前記判断処理によって定格範囲内の検出環境度が存すると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行する。
好ましくは、前記燃料電池システムが、読み書き可能な記憶部を更に備え、前記燃料電池制御部が、前記検出環境度を前記記憶部に蓄積する蓄積処理と、前記記憶部に記憶された過去の所定期間の検出環境度のデータ列である蓄積環境度を読み込む読込処理と、前記蓄積環境度が定格範囲内にあるか否かを判断する第3判断処理と、前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第3判断処理によって前記蓄積環境度が定格範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行する。
好ましくは、前記燃料電池制御部が、前記二次電池の充電量を検出して、その検出充電量が所定の範囲内にあるか否かを判断する第2判断処理と、前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、前記第3判断処理によって前記蓄積環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記検出充電量が所定の範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行する。
好ましくは、前記燃料電池制御部が、前記充電処理を実行したときからの経過時間を測定し、その経過時間が所定の範囲内にあるか否かを判断する第2判断処理と、前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、前記第3判断処理によって前記蓄積環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記検出充電量が所定の範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行する。
好ましくは、前記燃料電池制御部が、前記燃料電池システムを内蔵する電子機器を制御する電子機器制御部を更に備え、前記燃料電池制御部は、前記電子機器制御部が停止した状態の場合に、前記供給部を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、環境度検出部による検出環境度に基づき供給部が燃料電池制御部によって制御されるから、環境度が燃料電池発電部の使用限度を超えた場合に、燃料電池発電部による発電・充電をしないように制御することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されているが、発明の範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0009】
<第1実施形態>
図1は、燃料電池システム1の概略構成を示したブロック図である。
この燃料電池システム1は、電子機器の本体に組み込まれたものである。
【0010】
燃料蓄積部11は容器であり、液体燃料が燃料蓄積部11に収容されている。燃料蓄積部11内に収容される液体燃料は、純粋な燃料であってもよいし、純粋燃料に水を混合したものでもよい。燃料の種類は、メタノール、エタノールその他の液体燃料である。燃料蓄積部11には、燃料排出注入コネクタ10が設けられ、燃料排出注入コネクタ10を通じた燃料の補給・排出が可能である。そのため、燃料蓄積部11内の燃料がこの燃料排出注入コネクタ10を通じて外部に排出され、外部の燃料が燃料排出注入コネクタ10を通じて燃料蓄積部11内に注入される。
【0011】
燃料蓄積部11には、燃料温度検出部21及び燃料蓄積量検出部22が設けられている。燃料温度検出部21は、燃料蓄積部11内に収容された燃料の温度を検出して電気信号に変換するものである。燃料温度検出部21によって検出された温度は、後述の燃料電池制御部31に出力される。燃料蓄積量検出部22は、燃料蓄積部11内に収容された燃料の蓄積量を検出して電気信号に変換するものである。燃料蓄積量検出部22によって検出された貯留量は、燃料電池制御部31に出力される。
【0012】
水蓄積部15は容器であり、水が水蓄積部15に収容されている。水蓄積部15内に収容される水は、純水であってもよいし、後述する燃料電池発電部19で生成された水であってもよいし、これらの混合水であってもよい。水蓄積部15には、水排出注入コネクタ14が設けられ、水排出注入コネクタ14を通じた水の補給・排出が可能である。そのため、水蓄積部15内の水がこの水排出注入コネクタ14を通じて外部に排出され、外部の燃料が燃料排出注入コネクタ14を通じて水蓄積部15内に注入される。
【0013】
水蓄積部15には、水温度検出部23及び水蓄積量検出部24が設けられている。水温度検出部23は、水蓄積部15内に収容された水の温度を検出して電気信号に変換するものである。水温度検出部23によって検出された温度は、後述の燃料電池制御部31に出力される。水蓄積量検出部24は、水蓄積部15内に収容された水の蓄積量を検出して電気信号に変換するものである。水蓄積量検出部24によって検出された貯留量は、燃料電池制御部31に出力される。
【0014】
燃料供給器12は、電気駆動式のポンプ、バルブ又はそれらの組み合わせである。燃料供給器12は、燃料蓄積部11内の燃料を吸引して、混合部13に送出するものである。
【0015】
水供給器16は、電気駆動式のポンプ、バルブ又はそれらの組み合わせである。水供給器16は、水蓄積部15内の水を吸引して、混合部13に送出するものである。
【0016】
水供給器16と混合部13との間には、水浄化部17が設けられている。水浄化部17は混合部13に送られる水を浄化するものである。例えば水浄化部17はフィルタであり、水浄化部17を通過する水に含まれる異物が水浄化部17によって捕捉される。
【0017】
混合部13は、燃料供給器12から送られた燃料と、水供給器16から送られた水とを混合するものである。混合部13で混合された液体は、燃料電池発電部19に送出される。
【0018】
空気供給器18はエアポンプ、送風機その他の空気を送る装置である。空気供給器18は、外部の空気を燃料電池発電部19に供給するものである。
【0019】
燃料電池発電部19は気化器、改質器、一酸化炭素除去器、燃料電池、各種センサ、ヒータ、バルブ等から構成され、混合部13から送られてきた燃料と水の混合液により発電するものである。つまり、燃料と水の混合液が混合部13によって気化器に連続的に送られ、外部の空気が空気供給器18によって一酸化炭素除去器及び燃料電池のカソードに連続的に送られると、これにより燃料電池発電部19は燃料電池において連続的に発電する。具体的には、まず、気化器において燃料と水が加熱されて気化される。次いで、気化した燃料と水が改質器によて改質ガス(水素、二酸化炭素、一酸化炭素等を含む。)に改質される。次いで、改質器で生成した微量な一酸化炭素が一酸化炭素除去器によって外部から送られた空気中の酸素との酸化反応により除去される。次いで、燃料電池のアノードに送られた改質ガス中の水素と、燃料電池のカソードに送られた空気中の酸素とが燃料電池の電解質膜を介して電気化学的に反応する。そして、燃料電池における水素と酸素の電気化学反応によって、燃料電池において発電が起き、更に水蒸気が生成される。燃料電池で生成された水蒸気は、他の生成物とともに液化・気液分離部20に送られる。燃料電池発電部19の燃料電池が、固体高分子電解質膜を有する燃料電池である場合、燃料電池発電部19が以上のような構成を有する。
【0020】
一方、燃料電池発電部19の燃料電池が、メタノールで発電を行うものである場合、燃料電池発電部19は、改質器や一酸化炭素除去器を備えず、気化器及び燃料電池等から構成されたものとなる。この場合、まず、混合部13から送られた混合液が気化器に送られ、気化器において燃料と水が混合されて気化される。次いで、気化した燃料・水と空気中の酸素との電気化学反応が燃料電池において起こることで電気エネルギーが取り出されるとともに、気体状の水(水蒸気)を含む気体が燃料電池発電部19から液化・気液分離部20に送られる。なお、液体状のメタノール及び水で発電を行う燃料電池の場合、更に気化器も省略することができる。
【0021】
また、燃料電池発電部19の燃料電池が、固体酸化物電解質膜を有する燃料電池である場合、燃料電池発電部19は、一酸化炭素除去器を備えず、改質器、気化器及び燃料電池等から構成されたものとなる。この場合、まず、気化器において燃料と水が加熱されて気化される。次いで、気化した燃料と水が改質器によって改質ガスに改質される。次いで、燃料電池のアノードに送られた改質ガス中の水素と、燃料電池のカソードに送られた空気中の酸素とが燃料電池の電解質膜を介して電気化学的に反応する。これにより、燃料電池において発電が起き、更に水蒸気が生成される。燃料電池で生成された水蒸気は、他の生成物とともに液化・気液分離部20に送られる。
【0022】
なお、気化器が燃料電池発電部19に内蔵されているものとしているが、燃料電池発電部19とは別に気化器を設け、燃料と水の混合液が混合部13によって気化器に送られて、その気化器で気化された混合気が燃料電池発電部19に供給されるものとしてもよい。
【0023】
液化・気液分離部20は液化器及び気液分離器等を有し、燃料電池発電部19から送られた気体が液化器によって冷却されて、気体中の水分が液体に凝縮され、気液分離器によって液体の水と気体に分離される。液化・気液分離部20で分離された液体の水は水蓄積部15に送られて水蓄積部15に蓄積され、分離された気体は排気として外部に排出される。
【0024】
図2は、電子機器の本体に内蔵された回路構成を示したブロック図である。
燃料電池制御部31は例えばCPU、RAM等を有するマイクロコンピュータである。この燃料電池制御部31は、燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18等の制御を行う。
【0025】
記憶部32は不揮発性メモリ、磁気記憶ディスクその他の読み書き可能な記憶媒体であり、各種データが記憶部32に記録される。ここで、記憶部32に対する読み書きは、燃料電池制御部31によって行われる。
【0026】
二次電池33は、電気エネルギーを化学エネルギーの形にして蓄えるものである。
【0027】
充電回路34は、燃料電池発電部19の燃料電池で発電が行われている場合には、その燃料電池で生成された電気エネルギーを電子機器の電子機器制御部36及び内部電気部品(表示部37、キー入力部35、記憶部32に加えて、他の部分(例えば、撮像素子、発光素子、日時計測回路等)も含む)を供給する。また、充電回路34は、燃料電池発電部19の燃料電池で発電が行われている場合に、燃料電池発電部19の燃料電池で生成された電気エネルギーのうち電子機器制御部36及び内部電気部品に供給される電気エネルギーを除いた部分を二次電池33に供給して充電する。また、充電回路34は、燃料電池発電部19の燃料電池で発電が行われていない場合には、二次電池33の電気エネルギーを電子機器制御部36及び内部電気部品に供給する。
【0028】
キー入力部35は、例えば種々のボタン、スイッチ等から構成されており、それらのボタンやスイッチの操作に応じた入力信号を燃料電池制御部31及び電子機器制御部36に出力する。キー入力部35の各種ボタン、スイッチ等のなかには、電源オン・オフスイッチがある。
【0029】
表示部37は、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイその他のディスプレイである。
【0030】
電子機器制御部36は例えばCPU、RAM、ROM等を有するマイクロコンピュータである。電子機器制御部36はキー入力部35から入力した入力信号、燃料電池制御部31から入力した信号に基づいて各種の処理を行う。例えば、電子機器制御部36が表示部37に表示制御信号を出力する。これにより、表示制御信号に応じた表示が表示部37で行われる。電子機器制御部36が起動した状態では、電子機器がその機能を発揮できる状態(動作状態)にあり、電子機器制御部36が停止した状態では、電子機器がその機能を発揮しない状態(待機状態)にある。例えば、電子機器制御部36が起動した状態では、表示部37が表示動作をするが、電子機器制御部36が停止した状態では、表示部37が表示動作をしない。なお、電子機器制御部36が停止した状態であっても、電子機器制御部36及び内部電気部品には、待機電力が充電回路34から供給される。
【0031】
ドライバ42は、燃料電池制御部31の制御信号を増幅して燃料供給器12に出力し、燃料供給器12を駆動するものである。
ドライバ46は、燃料電池制御部31の制御信号を増幅して水供給器16に出力し、水供給器16を駆動するものである。
ドライバ48は、燃料電池制御部31の制御信号を増幅して空気供給器18に出力し、空気供給器18を駆動するものである。
【0032】
第1の環境度検出部50は、電子機器の内部又は周辺の環境度を検出して電気信号に変換するものである。第1の環境度検出部50によって検出された環境度は、燃料電池制御部31に出力される。ここで、環境度とは、温度、気圧、湿度、光度その他の環境上の物理量をいう。例えば、第1の環境度検出部50は、温度センサ、気圧センサ又は湿度センサである。図1に示された燃料温度検出部21又は水温度検出部23が、第1の環境度検出部50であってもよい。
【0033】
第2の環境度検出部51は、電子機器の内部又は周辺の環境度を検出して電気信号に変換するものである。第2の環境度検出部51による検出の対象物又は物理量は、第1の環境度検出部50による検出の対象物又は物理量と異なるものである。例えば、第1の環境度検出部50が環境度として温度を検出するものであれば、第1の環境度検出部52が環境度として気圧を検出するものである。
【0034】
以下、燃料電池制御部31による処理の流れ及び電子機器の動作等について説明する。
【0035】
図3は、燃料電池制御部31による処理の流れを示した図である。燃料電池制御部31は、電子機器制御部36が起動しているか否かに関わらず、図3に示すような処理を行う。
【0036】
図3に示すように、燃料電池制御部31は、電子機器制御部36が起動した状態にあるかそれとも停止した状態にあるかを判断する(ステップS11)。電子機器制御部36が停止した状態にある場合には、その旨の信号が電子機器制御部36から燃料電池制御部31に入力されているので、燃料電池制御部31の処理がステップS22に移行する(ステップS11:No)。そして、燃料電池制御部31は、ステップS22〜25の各処理を行った後に、所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。ステップS22〜25の各処理は、電子機器がその機能を発揮できない状態(待機状態)における処理であり、その待機処理については後で詳細に説明する。
【0037】
一方、電子機器制御部36が起動した状態にある場合には、その旨の信号が電子機器制御部36から燃料電池制御部31に入力されているので、燃料電池制御部31の処理がステップS12に移行する(ステップS11:Yes)。
【0038】
ステップS12においては、燃料電池制御部31は、燃料電池発電部19において発電が行われているか否かを判断する。具体的には、燃料電池制御部31は、燃料供給器12、水供給器16又は空気供給器18を駆動しているか否かを判断する(ステップS12)。燃料供給器12、水供給器16又は空気供給器18が停止している場合には、燃料電池発電部19において発電が行われていないので、燃料電池制御部31の処理がステップS13に移行する(ステップS12:No)。一方、燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18が作動している場合には、燃料電池発電部19において発電が行われているので、燃料電池制御部31の処理がステップS15に移行する(ステップS12:Yes)。
【0039】
ステップS13においては、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する。図1に示された燃料温度検出部21又は水温度検出部23が第1の環境度検出部50である場合には、燃料電池制御部31は、燃料温度検出部21による検出温度又は水温度検出部23による検出温度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する。
【0040】
ここで、第1の定格範囲とは、燃料電池発電部19を使用可能な環境度の範囲である。例えば、環境度が温度である場合には、0℃を超え60℃未満の範囲を第1の定格範囲に適用することが好ましい。0℃は水の凝固点であり、温度が0℃以下であると、水蓄積部15内の水が凍ってしまって、水を供給することができないためである。また、60℃は燃料の沸点(64.7℃)の近傍であり且つ燃料の沸点よりも低い温度であり、温度が60℃以上であると、燃料電池発電部19で発生する熱により、燃料蓄積部11内の燃料が気化してしまい、液体の燃料を供給することができないためである。このような第1の定格範囲の場合であって燃料温度検出部21又は水温度検出部23が環境度検出部50であるときには、燃料温度検出部21による検出温度が0℃を超え60℃未満であるか否か、水温度検出部23による検出温度が0℃を超え60℃未満であるか否か、又は、燃料温度検出部21による検出温度が60℃未満であり且つ水温度検出部23による検出温度が0℃を超えているか否かということについて、燃料電池制御部31が判断することになる。
【0041】
また、第1の定格範囲の上限値・下限値が変数であってもよいし、定数であってもよい。第1の定格範囲の上限値・下限値が変数である場合、燃料電池制御部31が、第2の環境度検出部51による検出環境度から所定の式又は対照表に従って第1の定格範囲の上限値・下限値を設定することになる。例えば、第1の環境度検出部50が温度検出部である場合であって第2の環境度検出部51が気圧センサであるときには、気圧に応じた沸点・凝固点を第1の定格範囲の上限値・下限値にすることができる。なお、第1の定格範囲の上限値・下限値が定数である場合には、燃料電池制御部31に使用するプログラムにその定数が予め設定されていることになる。
さらに、第1の定格範囲の上限値は、燃料の沸点としてもよい。また、第1の定格範囲の上限値は、燃料の種類によって異なる値となる。例えば、燃料にエタノールを用いる場合は、第1の定格範囲の上限値は、エタノールの沸点(78℃)の近傍であり且つエタノールの沸点よりも低い温度である73℃としてもよい。
【0042】
燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある場合には(ステップS13:Yes)、燃料電池制御部31の処理がステップS14に移行し、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にない場合には(ステップS13:No)、燃料電池制御部31の処理がステップS17に移行する。
【0043】
ステップS14においては、燃料電池制御部31が燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18を駆動する。これにより、燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18が動作し、燃料電池発電部19において発電が行われる。そうすると、燃料電池発電部19で生成された電気エネルギーが充電回路34によって電子機器制御部36及び内部電気部品に供給され、電子機器制御部36及び内部電気部品に供給される電気エネルギーを除いた余剰の電気エネルギーによって二次電池33が充電される。このように、環境度が第1の定格範囲内にあるので、燃料電池発電部19に損傷を与えることなく、燃料電池発電部19において発電をすることができる。例えば、環境度が温度であって第1の定格範囲が0℃を超え60℃未満である場合には、燃料蓄積部11内の燃料が気化せず且つ水蓄積部15内の水が凝固していないから、許容できる濃度の燃料が燃料電池発電部19に供給されるので、燃料電池発電部19が損傷しない。その上、電子機器制御部36及び内部電気部品の消費電力を燃料電池発電部19で賄うことができ、二次電池33の充電も行うことができる。
【0044】
ステップS14の処理が終了すると、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。ステップS11に戻った後は、電子機器制御部36が動作し、且つ、燃料電池発電部19において発電が行われているから、燃料電池制御部31の処理がステップS12に続いて、ステップS15に移行する。
【0045】
一方、ステップS17においては、燃料電池制御部31は、充電回路34を介して二次電池33の充電量を検出し、その検出充電量が所定値以上であるか否かを判断する。具体的には、燃料電池制御部31は、二次電池33の端子間電圧を充電回路34により検出し、その検出端子間電圧が所定閾値V1〔V〕以上であるか否かを判断する。ここで、所定閾値V1は、下限値VL〔V〕よりも大きく、上限値VF〔V〕よりも小さい値である。下限値VLは、燃料電池発電部19により発電を開始するのに必要な最低限の充電量に対応する電圧であり、上限値VFは、二次電池33の許容量だけ充電された充電量に対応する電圧である。
【0046】
二次電池33の充電量が所定値以上である場合(ステップS17:Yes)、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上である場合、燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。そのため、電子機器制御部36が動作し、且つ、燃料電池発電部19において発電が行われていないから、燃料電池制御部31がステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS17、ステップS20の処理を繰り返す。それを繰り返している際に、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内になった場合には(ステップS13:Yes)、燃料電池制御部31の処理がステップS13からステップS14に移行することになり、二次電池33の充電量が所定値未満になった場合には(ステップS17:No)、燃料電池制御部31の処理がステップS17からステップS18に移行することになる。
【0047】
以上のように、燃料電池制御部31がステップS11、ステップS12、ステップS13、ステップS17、ステップS20の処理を繰り返している際には、燃料電池発電部19の発電停止状態が持続することによって、環境度が第1の定格範囲外にあることによる燃料電池発電部19の損傷を防止することができる。例えば、環境度が温度であって第1の定格範囲が0℃を超え60℃未満である場合には、燃料蓄積部11内の燃料が気化し、又は水蓄積部15内の水が凝固しているから、許容できない濃度の燃料は燃料供給器12等の停止によって燃料電池発電部19に供給されず、燃料電池発電部19の損傷を抑えることができる。燃料電池発電部19によって発電が行われなくとも、二次電池33の充電量が許容できる充電量であるので、電子機器制御部36及び内部電気部品を二次電池33の電気によって動作させることができる。
【0048】
ステップS17において、二次電池33の充電量が所定値未満である場合(ステップS17:No)、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1未満である場合、燃料電池制御部31の処理がステップS18に移行する。ステップS18では、燃料電池制御部31が電子機器制御部36を停止させる。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。ステップS11に戻った後は、電子機器制御部36が停止しているから、燃料電池制御部31がステップS22〜ステップS25の各処理を実行する。このように、二次電池33の充電量が所定値未満になると、電子機器制御部36及び内部電気部品の消費電力が低下して待機電力だけになるので、二次電池33の放電を低く抑えることができる。そのうえ、燃料電池発電部19により発電を開始するのに必要な最低限の充電量が二次電池33に充電されているから、その後のステップS22〜ステップS25の各処理において燃料電池発電部19を起動させて発電を開始することができる。
【0049】
ステップS15においては、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する。ステップS15における判断処理は、ステップS13における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0050】
ステップS15において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある場合には(ステップS15:Yes)、燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。そのため、燃料電池発電部19における発電が継続される。
【0051】
一方、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にない場合には(ステップS15:No)、燃料電池制御部31が燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18を停止させる(ステップS16)。
【0052】
その後、燃料電池制御部31は、充電回路34を介して二次電池33の充電量が所定値以上であるか否かを判断する。具体的には、燃料電池制御部31は、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1〔V〕以上であるか否かを判断する。その判断により二次電池33の充電量が所定値以上である場合(ステップS17:Yes)、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上である場合、燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。
【0053】
一方、ステップS17の判断により二次電池33の充電量が所定値未満である場合(ステップS17:No)、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1未満である場合、燃料電池制御部31が電子機器制御部36を停止させる(ステップS18)。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。
【0054】
次に、ステップS22〜25の各処理について具体的に説明する。
まず、燃料電池制御部31は、充電回路34を介して二次電池33の充電量を検出し、その検出充電量を第1の所定値及び第2の所定値(但し、第2の所定値は第1の所定値よりも大きい値である。)と比較する(ステップS22)。具体的には、燃料電池制御部31は、二次電池33の端子間電圧を検出して、その検出端子間電圧が所定閾値V1(第1の所定値に対応する。)未満であるか否か、所定閾値V1以上であり且つ所定閾値V2〔V〕(第2の所定値に対応する)未満であるか否か、所定閾値V2以上であるか否かを判断する。ここで、所定閾値V1、所定閾値V2、下限値VL及び上限値VFの関係は、VL<V1<V2<VFである。
【0055】
ステップS22の判断の結果、二次電池33の充電量が第1の所定値未満である場合、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1未満である場合(ステップS22:A)、燃料電池制御部31の処理がステップS23に移行する。また、二次電池33の充電量が第1の所定値以上であり、且つ、第2の所定値未満である場合(ステップS22:B)、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上であり、且つ、所定閾値V2未満である場合、燃料電池制御部31の処理がステップS24に移行する。
【0056】
また、二次電池33の充電量が第2の所定値以上である場合(ステップS22:C)、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V2以上である場合、燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。
【0057】
ステップS23においては、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する。ステップS23における判断処理は、ステップS13における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0058】
ステップS23において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にない場合には(ステップS23:No)、燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。
【0059】
一方、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある場合には(ステップS23:Yes)、燃料電池制御部31がステップS25の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。ステップS25の充電処理については後に詳細に説明する。
【0060】
ステップS24においては、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にあるか否かを判断する。図1に示された燃料温度検出部21又は水温度検出部23が第1の環境度検出部50である場合には、燃料電池制御部31は、燃料温度検出部21による検出温度又は水温度検出部23による検出温度が第2の定格範囲内にあるか否かを判断する。
【0061】
ここで、第2の定格範囲と第1の定格範囲は具体的に数値が異なるだけであり、第2の定格範囲は、第1の定格範囲に含まれる。例えば、環境度が温度である場合には、0℃を超え5℃未満の範囲及び50℃を超え60℃未満の範囲を第2の定格範囲に適用することが好ましい。まず、温度が0℃を超え5℃未満の範囲となった場合、近い将来、温度が温度が0℃以下となって第1の定格範囲を外れる可能性が高い。そして、温度が0℃以下であると、水蓄積部15内の水が凍ってしまい、水を供給することができない虞がある。また、50℃を超え60℃未満の範囲となった場合、近い将来、温度が60℃を超えて第1の定格範囲を外れる可能性が高い。そして、温度が50℃以上であると、燃料蓄積部11内の燃料が気化してしまい、液体の燃料を供給することができない虞がある。このように、環境度が第2の定格範囲となった場合、近い将来、環境度が第1の定格範囲を外れる可能性が高い。
このような第2の定格範囲の場合であって燃料温度検出部21又は水温度検出部23が環境度検出部50であるときには、燃料温度検出部21による検出温度が0℃を超え5℃未満の範囲又は50℃を超え60℃未満の範囲であるか否か、水温度検出部23による検出温度が0℃を超え5℃未満の範囲又は50℃を超え60℃未満の範囲であるか否か、又は、燃料温度検出部21による検出温度が50℃を超え60℃未満の範囲であり且つ水温度検出部23による検出温度が0℃を超え5℃未満の範囲であるか否かということについて、燃料電池制御部31が判断することになる。
【0062】
また、第2の定格範囲の上限値・下限値が変数であってもよいし、定数であってもよい。第2の定格範囲の上限値・下限値が変数である場合、燃料電池制御部31が、第2の環境度検出部51による検出環境度から所定の式又は対照表に従って第2の定格範囲の上限値・下限値を設定することになる。例えば、第1の環境度検出部50が温度検出部である場合であって第2の環境度検出部51が気圧センサであるときには、気圧に応じた沸点又は凝固点の近傍の値をそれぞれ第2の定格範囲の上限値・下限値にすることができる。なお、第2の定格範囲の上限値・下限値が定数である場合には、燃料電池制御部31に使用するプログラムにその定数が予め設定されていることになる。
【0063】
燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第2の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第2の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にある場合には(ステップS24:Yes)、燃料電池制御部31がステップS25の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する(図3参照)。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。ステップS25の充電処理については後に詳細に説明する。
【0064】
一方、第1の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にない場合には(ステップS24:No)、燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS20:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS11に戻る(ステップS20:Yes)。
【0065】
図3を用いて説明したように、ステップS23又はステップS24の処理が第1判断処理に相当し、ステップS22の処理が第2判断処理に相当する。ここで、第1判断処理とは、第1の環境度検出部50による検出環境度が定格範囲(第1の定格範囲又は第2の定格範囲をいう。)内にあるか否かを判断する処理である。第2判断処理においては、燃料電池制御部31は、二次電池33の充電量を検出して、その検出充電量によって第1判断処理(ステップS23又はステップS24の処理)をするか否かを判断する。そして、上記したように、ステップS22の判断の結果、二次電池33の検出充電量が第2の所定値未満である場合、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V2未満である場合、燃料電池制御部31はステップS23又はステップS24の判断をすることになる。一方、ステップS22の判断の結果、二次電池33の検出充電量が第2の所定値以上である場合、すなわち、二次電池33の端子間電圧所定閾値V2以上である場合、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)に再びステップS22の判断を行うことになる。
ここで、燃料電池制御部31の処理が第2判断処理から第1判断処理に移行するに際して、燃料電池制御部31は、第1判断処理に用いる定格範囲を二次電池33の検出充電量に基づいて設定する。二次電池33の充電量が第1の所定値未満である場合、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1未満である場合、燃料電池制御部31がステップS23において定格範囲を第1の定格範囲に設定する。また、二次電池33の充電量が第1の所定値以上であり、且つ、第2の所定値未満である場合、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上であり、且つ、所定閾値V2未満である場合、燃料電池制御部31がステップS24において定格範囲を第2の定格範囲に設定する。
【0066】
また、ステップS22〜ステップS24の各処理は、処理順を適宜入れ替えることができる。何れの順番で処理する場合も、燃料電池制御部31は、以下の条件を満たすと判断した場合のみ、ステップS25の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。
即ち、第一に、ステップS22の第2判断処理において二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1未満である(ステップS22:A)と同時に、ステップS23の第1判断処理において第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある(ステップS23:Yes)ときに、ステップS25の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。また、第二に、ステップS22の第2判断処理において二次電池33の充電量が第1の所定値以上、且つ第2の所定値未満である(ステップS22:B)と同時に、ステップS24の第1判断処理において第2の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にある(ステップS24:Yes)ときに、ステップS25の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。
【0067】
次に、図4を用いてステップS25の充電処理について具体的に説明する。
まず、燃料電池制御部31は、燃料電池発電部19において発電が行われているか否かを判断する(ステップS31)。具体的には、燃料電池制御部31は、燃料供給器12、水供給器16又は空気供給器18を駆動しているか否かを判断する。燃料供給器12、水供給器16又は空気供給器18が停止している場合には、燃料電池発電部19において発電が行われていないので、燃料電池制御部31の処理がステップS35に移行する(ステップS31:No)。一方、燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18が作動している場合には、燃料電池発電部19において発電が行われているので、燃料電池制御部31の処理がステップS32に移行する(ステップS31:Yes)。
【0068】
ステップS32では、燃料電池制御部31は、充電回路34を介して二次電池33の充電量が満たされているか否かを判断する。具体的には、燃料電池制御部31は、二次電池33の端子間電圧が上限値VF〔V〕以上であるか否かを判断する。
【0069】
そして、燃料電池制御部31は、二次電池33の充電量が満たされていると判断した場合に(ステップS32:Yes)、燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18を停止させる(ステップS37)。これにより、二次電池33が最大限に充電された状態で、二次電池33への充電が終了する。そして、燃料電池制御部31の処理はステップS20、ステップS11に移行する。
【0070】
一方、二次電池33の充電量が満たされていないと燃料電池制御部31が判断した場合(ステップS32:No)、燃料電池制御部31の処理がステップS33に移行する。
【0071】
ステップS33においては、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する。ステップS33における判断処理は、ステップS13における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0072】
燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある場合には(ステップS33:Yes)、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS38:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS31に戻る(ステップS38:Yes)。これにより、燃料電池発電部19による発電が継続され、二次電池33に対する充電も継続される。
【0073】
一方、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にない場合には(ステップS33:No)、燃料電池制御部31が燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18を停止させる(ステップS34)。そうすると、燃料電池発電部19における発電が停止する。その後、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS38:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS31に戻る(ステップS38:Yes)。このように、環境度が第1の定格範囲外になった場合に、燃料電池発電部19に燃料が送られなくなるから、許容できない濃度の燃料が燃料電池発電部19に供給されず、燃料電池発電部19が損傷しない。
【0074】
ステップS35においては、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する。ステップS35における判断処理は、ステップS13における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0075】
燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある場合には(ステップS35:Yes)、燃料電池制御部31が燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18を作動させる。その結果、燃料電池発電部19における発電が開始するが、許容できる濃度の燃料が燃料電池発電部19に供給されるので、燃料電池発電部19が損傷しない。その後、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS38:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS31に戻る(ステップS38:Yes)。
【0076】
一方、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にない場合には(ステップS33:No)、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS38:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS31に戻る(ステップS38:Yes)。これにより、燃料電池発電部19において発電しない状態が継続される。
【0077】
以上のように、ステップS25(ステップS31〜ステップS38)の充電処理が行われることで、二次電池33に充電が行われ、二次電池33の充電量が満たされる。
【0078】
燃料電池制御部31は、図3及び図4に示した処理とは独立に、キー入力部35の電源オン・オフスイッチが操作された場合に、図5に示す処理を、割り込んで実行する。但し、図5に示す処理は、電子機器制御部36が起動していない場合に、燃料電池制御部31によって実行されるものである。
【0079】
まず、燃料電池制御部31は、燃料電池発電部19において発電が行われているか否かを判断する(ステップS41)。ステップS41における判断は、ステップS12における判断と同じである。
【0080】
燃料電池発電部19において発電が行われていない場合には、燃料電池制御部31の処理がステップS42に移行する(ステップS41:No)。一方、燃料電池発電部19において発電が行われている場合には、燃料電池制御部31の処理がステップS44に移行する(ステップS41:Yes)。
【0081】
ステップS44では、燃料電池制御部31が電子機器制御部36を起動させ、その後、燃料電池制御部31の処理が終了し、図3及び図4に示した処理を中断時から再び行う。これにより、電子機器の電源がオン状態になる。
【0082】
ステップS42では、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する。ステップS42における判断処理は、ステップS13における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0083】
ステップS42において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある場合には(ステップS42:Yes)、燃料電池制御部31が燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18を駆動する(ステップS43)。これにより、燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18が動作し、燃料電池発電部19において発電が行われる。そして、燃料電池制御部31が電子機器制御部36を起動させ(ステップS44)、燃料電池制御部31の処理が終了し、図3及び図4に示した処理を中断時から再び行う。これにより、電子機器の電源がオン状態になる。
【0084】
一方、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にない場合には(ステップS42:No)、燃料電池制御部31の処理がステップS45に移行する。
【0085】
ステップS45では、燃料電池制御部31は、充電回路34を介して二次電池33の充電量が所定値以上であるか否かを判断する。具体的には、燃料電池制御部31は、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上であるか否かを判断する。二次電池33の充電量が所定値以上である場合(ステップS45:Yes)、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上である場合、燃料電池制御部31が電子機器制御部36を起動させ(ステップS44)、燃料電池制御部31の処理が終了し、図3及び図4に示した処理を中断時から再び行う。これにより、電子機器の電源がオン状態になる。一方、二次電池33の充電量が所定値未満である場合(ステップS45:No)、すなわち、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上である場合、燃料電池制御部31の処理が終了し、図3及び図4に示した処理を中断時から再び行う。これにより、電子機器の電源がオフ状態に維持される。
【0086】
燃料電池制御部31は、図3及び図4に示した処理とは独立に、キー入力部35の電源オン・オフスイッチが操作された場合に、図6に示す処理を、割り込んで実行する。但し、図6に示す処理は、電子機器制御部36が起動している場合に、燃料電池制御部31によって実行されるものである。
【0087】
図6に示すように、ユーザが電源オン・オフスイッチを操作したら、燃料電池制御部31が電子機器制御部36を停止させる(ステップS51)。そして、燃料電池制御部31の処理が終了し、図3及び図4に示した処理を中断時から再び行う。
【0088】
以上のように、本実施形態によれば、通常の環境度(例えば、室温)においては、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1にまで低下した時に初めて、燃料電池発電部19による発電を開始して、二次電池33の充電量を満たすので(ステップS22、ステップS23、ステップS25)、充電のために発電を開始する回数を少なくできる。
【0089】
また、燃料電池発電部19による発電を開始する時には、燃料電池発電部19を定常状態にするまでに多くの電力を消費するが、上記したように発電を開始する回数を減らすことによって、燃料蓄積部11内の燃料が消耗される量を低減することができる。
【0090】
また、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上の時でも、環境度が第1の定格範囲外になる前の段階(例えば、水蓄積部15内の水が凍結する少し前の段階と、燃料蓄積部11内の燃料が沸騰する可能性が出る少し前の段階)で、燃料電池発電部19の発電が開始して二次電池33に充電をする(ステップ22、ステップS24、ステップS25)。そのため、環境度が第1の定格範囲外になる可能性がある場合に(例えば、水が凍結していたり、燃料が沸騰したりする可能性がある場合に)、二次電池33の端子間電圧がV1よりも低くなる可能性が低くなる。そのため、電子機器を動作させることができなくなる可能性が低くなる。
【0091】
同様に、環境度が第1の定格範囲外になる可能性がある時に(例えば、水が凍結したり、燃料が沸騰したりする可能性がある時に)、二次電池33の端子間電圧が下限値VLよりも低くなる可能性が低くなる。そのため、燃料電池発電部19による発電が開始できなくなる可能性が低くなる。
【0092】
また、その際に、所定閾値V1よりも高い電圧として、上限値VFよりも低い所定閾値V2を用いているので、燃料蓄積部11内の燃料が消耗される量を低減することができる。所定閾値V2の代わりに上限値VFを用いた場合と比較して、二次電池33の端子間電圧が上限値VFよりも少し下がるたびに燃料電池発電部19による発電を繰り返すことがないためである。
【0093】
二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1未満になったが、環境度が定格範囲外にある時には(例えば、水凍結や燃料沸騰の可能性があり充電できなかった時には(ステップS23:No))、その後、1分ごとに、環境度を常時監視して、発電ができる状況になり次第発電を開始して充電する(ステップS20:Yes)。このような時でも、二次電池33が燃料電池発電部19の発電を開始できないレベルまで電力消耗する可能性は少ない。この時、1分ごとに処理を行うことにより、1分待たずに行う場合に比較して、消費電力を少なくできる。
【0094】
<第2実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の構成は、第1実施形態の燃料電池システム1と同様であるため、詳細な説明を省略する。以下、燃料電池制御部31による処理の流れ及び電子機器の動作等について説明する。
【0095】
図7は、燃料電池制御部31による処理の流れを示した図である。燃料電池制御部31は、電子機器制御部36が起動しているか否かに関わらず、図7に示すような処理を行う。図7に示す処理のうち、電子機器制御部36が起動した状態にある場合の処理、すなわち、ステップS61と、電子機器制御部36が起動した状態にある旨の信号が電子機器制御部36から燃料電池制御部31に入力されているとき(ステップS61:Yes)の各処理(ステップS62〜S68、S70)は、第1実施形態のステップS11と、ステップS12〜S18、S20とそれぞれ同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0096】
一方、電子機器制御部36が停止した状態にある場合には、その旨の信号が電子機器制御部36から燃料電池制御部31に入力されているので、燃料電池制御部31の処理がステップS71に移行する(ステップS61:No)。
【0097】
ステップS71においては、燃料電池制御部31は、燃料電池発電部19において発電が行われているか否かを判断する。ステップS71における判断処理は、ステップS12における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。燃料供給器12、水供給器16又は空気供給器18が停止している場合には、燃料電池発電部19において発電が行われていないので、燃料電池制御部31の処理がステップS70に移行する(ステップS71:No)。ステップS70では、燃料電池制御部31は、所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS70:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS61に戻る(ステップS70:Yes)。
【0098】
一方、燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18が作動している場合には、燃料電池発電部19において発電が行われているので、燃料電池制御部31の処理がステップS72に移行し(ステップS71:Yes)、燃料電池制御部31が燃料供給器12、水供給器16及び空気供給器18を停止させる(ステップS16)。そして、燃料電池制御部31の処理がステップS70に移行する。ステップS70では、燃料電池制御部31は、所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS70:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS61に戻る(ステップS70:Yes)。
【0099】
燃料電池制御部31は、図7に示した処理とは独立に、図8に示す処理を、10日間に1回、割り込んで実行する。
【0100】
まず、燃料電池制御部31は、燃料電池発電部19において発電が行われているか否かを判断する(ステップS81)。ステップS81における判断は、ステップS12における判断と同じである。燃料電池発電部19において発電が行われている場合には(ステップS81:Yes)、燃料電池制御部31が図8に示す処理を終了し、図7に示した処理を中断時から再び行う。
【0101】
燃料電池発電部19において発電が行われていない場合には(ステップS81:No)、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する(ステップS82)。ステップS82における判断処理は、ステップS13における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0102】
ステップS82において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にない場合には(ステップS82:No)、燃料電池制御部31の処理がステップS84に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS84:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS82に戻る(ステップS84:Yes)。
【0103】
ステップS82において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある場合には(ステップS82:Yes)、燃料電池制御部31の処理がステップS83に移行する。ステップS83における処理は、ステップS25の充電処理、つまり、図4に示された処理と同じである。そして、ステップS83後、燃料電池制御部31は、図8に示す処理を終了し、図7に示した処理を中断時から再び行う。
【0104】
以上のように、本実施形態によれば、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から10日以上である場合には、自然放電などによって二次電池33の充電量が大きく低減している可能性があるので、現在の環境度が第1の定格範囲内である場合には、充電処理を行う(ステップS82、ステップS83)。これにより、電子機器を動作させることができなくなる可能性が低くなる。
【0105】
<第3実施形態>
本実施形態の燃料電池システム1の構成は、第1実施形態の燃料電池システム1と同様であるため、詳細な説明を省略する。以下、燃料電池制御部31による処理の流れ及び電子機器の動作等について説明する。
【0106】
本実施形態においても、燃料電池制御部31は、図7に示す処理を行う。図7に示す処理は、第2実施形態と同一であるため、詳細な説明を省略する。そして、燃料電池制御部31は、図7に示した処理とは独立に、図9に示す処理を、24時間に1回、割り込んで実行する。
まず、燃料電池制御部31は、記憶部32に記憶されたカウンタNに1を加算する(ステップS90)。なお、カウンタNは正数となり、図9に示す処理が24時間に1回行われるので、カウンタNは日数を表すことになる。具体的には、カウンタNは、以前にステップS96の充電処理が実行された日からの日数、即ち以前の図9の処理で二次電池33の充電量が満たされた日からの日数を表す。
【0107】
そして、燃料電池制御部31は、燃料電池発電部19において発電が行われているか否かを判断する(ステップS91)。ステップS91における判断は、ステップS12における判断と同じである。燃料電池発電部19において発電が行われている場合には(ステップS91:Yes)、燃料電池制御部31が図9に示す処理を終了し、図7に示した処理を中断時から再び行う。
【0108】
まず、燃料電池制御部31は、記憶部32に記憶されたカウンタNを下閾値(例えば、4)及び上閾値(例えば、10)と比較する。具体的には、燃料電池制御部31は、カウンタNが下閾値以下であるか否か、下閾値を超えて上閾値未満であるか否か、上閾値以上であるか否かを判断する。
【0109】
カウンタNが下閾値を超えて上閾値未満である場合(例えば、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から5〜9日経過している場合;ステップS92:B)、燃料電池制御部31の処理がステップS94に移行する。また、カウンタNが上閾値以上である場合(例えば、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から10日以上である場合;ステップS92:A)、燃料電池制御部31の処理がステップS93に移行する。また、カウンタNが上閾値以上である場合(例えば、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から4日以下である場合;ステップS92:C)、燃料電池制御部31は図9に示す処理を終了し、図7に示した処理を中断時から再び行う。図9において、ステップS93又はステップS94の処理が第1判断処理に相当し、ステップS92の処理が第2判断処理に相当する。
【0110】
ステップS93において、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にあるか否かを判断する(ステップS93)。ステップS93における判断処理は、ステップS13における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0111】
ステップS93において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にない場合には(ステップS93:No)、燃料電池制御部31の処理がステップS95に移行する。そして、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS95:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS93に戻る(ステップS95:Yes)。
【0112】
一方、ステップS93において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第1の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある場合には(ステップS93:Yes)、燃料電池制御部31の処理がステップS96に移行する。ステップS96における処理は、ステップS25の充電処理、つまり、図4に示された処理と同じであり、これにより二次電池33の充電量が満たされる。そして、ステップS96後、燃料電池制御部31は、カウンタNをゼロにすることでカウンタNをリセットし(ステップS97)、図9に示す処理を終了し、図7に示した処理を中断時から再び行う。
【0113】
ステップS94では、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にあるか否かを判断する。ステップS94における判断処理は、ステップS24における判断処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。
【0114】
ステップS94において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第2の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にない場合には(ステップS94:No)、図9に示す処理を終了する。そして、燃料電池制御部31は、図7に示した処理を中断時から再び行う。
【0115】
一方、ステップS94において燃料電池制御部31が第1の環境度検出部50による検出環境度と第2の定格範囲の上限値・下限値とを比較した結果、第1の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にある場合には(ステップS94:Yes)、燃料電池制御部31の処理がステップS96に移行する。ステップS96における処理は、ステップS25の充電処理、つまり、図4に示された処理と同じであり、これにより二次電池33の充電量が満たされる。そして、ステップS96後、燃料電池制御部31は、カウンタNをゼロにすることでカウンタNをリセットし(ステップS97)、図9に示す処理を終了し、図7に示した処理を中断時から再び行う。
【0116】
なお、燃料電池制御部31は、図7に示した処理とは独立に、図9に示す処理を、例えば、7日間に1回や、6時間に1回といったように、上述の実施形態とは異なる時間間隔で、割り込んで実行してもよい。
【0117】
また、ステップS92〜ステップS94の各処理は、処理順を適宜入れ替えることができる。何れの順番で処理する場合も、燃料電池制御部31は、以下の条件を満たすと判断した場合のみ、ステップS96の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS97に移行する。
即ち、第一に、ステップS92の第2判断処理において以前に二次電池33の充電量が満たされた日から10日以上である(ステップS92:A)と同時に、ステップS93の第1判断処理において第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある(ステップS93:Yes)ときに、ステップS96の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS97に移行する。また、第二に、ステップS92の第2判断処理において以前に二次電池33の充電量が満たされた日から5〜9日経過している(ステップS92:B)と同時に、ステップS94の第1判断処理において第2の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にある(ステップS94:Yes)ときに、ステップS96の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS97に移行する。
【0118】
以上のように、本実施形態によれば、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から10日以上である場合には、自然放電などによって二次電池33の充電量が大きく低減している可能性があるので、現在の環境度が第1の定格範囲内である場合には、充電処理を行う(ステップS92、ステップS93、ステップS96)。これにより、電子機器を動作させることができなくなる可能性が低くなる。
また、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から5〜9日経過している場合には、自然放電などによって、10日以上経過した場合と比べると低減量は少ないものの、二次電池33の充電量がある程度低減している可能性があるので、現在の環境度が第2の定格範囲内である場合には、充電処理を行う(ステップS92、ステップS94、ステップS96)。これにより、電子機器を動作させることができなくなる可能性が低くなる。
さらに、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から4日以下である場合には、自然放電などによる二次電池33の充電量の低減は少ないので、充電処理を行わない(ステップS92:C)。
いずれの場合も、充電のために発電を開始する回数を少なくできる。
【0119】
<変形例1>
以下、変形例について説明する。
上述の第1実施形態において、図3に示されたステップS24では、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にあるか否かを判断する。それに対して、本変形例では、燃料電池制御部31が、環境度履歴の中に、第2の定格範囲内の環境度があるか否かを判断する。
【0120】
これを実現するために、燃料電池制御部31は、第1実施形態と対比すると、図3に示す処理の代わりに、図10に示す処理を実行する。ここで、図10に示す処理は、図3に示す処理と対比すると、図3に示すステップS24の処理の代わりに、図10に示すステップS114の処理を行う点で異なる。また、後述するように、図10に示すステップS115の処理である、図4に示す処理の一部が異なる。これらの点を除けば、本変形例は、第1実施形態と同一であるため、互いに共通する処理については、詳細な説明を省略する。
【0121】
燃料電池制御部31は、図10及び図4に示した処理と並行して以下のような処理を実行する。即ち、第1の環境度検出部50によって環境度が検出され、検出環境度を表す信号が燃料電池制御部31に出力されている際に、燃料電池制御部31が、所定時間ごとに、第1の環境度検出部50による検出環境度をその検出時刻に対応付けして記憶部32に記録する。これにより、検出時刻に対応付けされた検出環境度のデータ列(蓄積環境度)が記憶部32に蓄積されていく。なお、燃料電池制御部31が過去所定期間分(例えば、一週間分)の検出環境度を記憶部32に蓄積し、それ以前の検出環境度を記憶部32から削除してもよい。
【0122】
そして、ステップS114においては、燃料電池制御部31が記憶部32に記録された検出環境度のデータ列を読み込む。そして、燃料電池制御部31は、読み込んだ検出環境度のデータ列中に、第2の定格範囲内になるものが含まれるか否か判断する(ステップS114)。読み込んだ過去所定期間分の検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれている場合には(ステップS114:Yes)、読み込んだ検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれていることを示すフラグをオンにする。そして、燃料電池制御部31の処理がステップS113に移行する。
【0123】
一方、読み込んだ過去所定期間分の検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれていない場合には(ステップS114:No)、読み込んだ検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれていることを示すフラグをオフにする。そして、燃料電池制御部31の処理がステップS110に移行する。さらに、燃料電池制御部31が所定時間(例えば、1分間のように短時間)だけ待機し(ステップS110:No)、所定時間経過したら燃料電池制御部31の処理がステップS101に戻る(ステップS110:Yes)。
【0124】
また、本変形例では、燃料電池制御部31が、ステップS115の充電処理において、図4に示された処理と同様の処理を行う。ただし、図4に示された処理とは、以下の点で異なる。即ち、本変形例では、ステップS32において、燃料電池制御部31は、まず最初に上述のフラグを読み出す。そして、上述のフラグがオンである場合、燃料電池制御部31は、二次電池33の端子間電圧が上限値VF以上であるか否かを判断するのではなく、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V3以上であるか否かを判断する。ここで、所定閾値V1、所定閾値V2、所定閾値V3、下限値VL及び上限値VFの関係は、VL<V1<V2<V3<VFである。つまり、具体的な閾値の値を変更しただけである。一方、上述のフラグがオフである場合は、図4に示された処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。図10において、ステップS113の処理が第1判断処理に、ステップS112の処理が第2判断処理に、ステップS114の処理が第3判断処理にそれぞれ相当する。
【0125】
また、ステップS112〜ステップS114の各処理は、処理順を適宜入れ替えることができる。何れの順番で処理する場合も、燃料電池制御部31は、以下の条件を満たすと判断した場合のみ、ステップS115の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS110に移行する。
即ち、第一に、ステップS112の第2判断処理において二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1未満である(ステップS112:A)と同時に、ステップS113の第1判断処理において第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある(ステップS113:Yes)ときに、ステップS115の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS110に移行する。また、第二に、ステップS112の第2判断処理において二次電池33の充電量が第1の所定値以上、且つ第2の所定値未満であり(ステップS112:B)、ステップS114の第3判断処理において第2の環境度検出部50による検出環境度のデータ列である蓄積環境度が第2の定格範囲内にあり(ステップS114:Yes)、これと同時にステップS114の第1判断処理において第2の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある(ステップS113:Yes)ときに、ステップS25の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS20に移行する。
【0126】
以上のように、本変形例によれば、過去の所定期間に環境度(例えば、室温)が第2の定格範囲内になるものが含まれている場合には、近い将来(例えば、一週間以内に)、発電が必要となった場合でも、水や燃料を供給することができないために、燃料電池発電部19において発電が行えない可能性がある。このため、現在の環境度が、燃料電池発電部19において発電が行える温度である場合には、発電を行う(ステップS114、ステップS113、ステップS115)。これにより、電子機器を動作させることができなくなる可能性が低くなる。
また、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V1以上で所定閾値V2未満であり、且つ、読み込んだ過去所定期間分の検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれる場合には、充電処理において、VFより小さい値であるV3までしか充電しない(ステップS112、ステップS114、ステップS113、ステップS115)。これにより、燃料蓄積部11内の燃料が消耗される量を低減することができる。
【0127】
<変形例2>
上述の第3実施形態において、図9に示されたステップS94では、燃料電池制御部31は、第1の環境度検出部50による検出環境度が第2の定格範囲内にあるか否かを判断する。それに対して、本変形例では、燃料電池制御部31が、環境度履歴の中に、第2の定格範囲内の環境度があるか否かを判断する。
【0128】
これを実現するために、燃料電池制御部31は、図7に示す処理を行う。図7に示す処理は、第2実施形態と同一であるため、詳細な説明を省略する。そして、燃料電池制御部31は、図7に示した処理とは独立に、図11に示す処理を、24時間に1回、割り込んで実行する。ここで、図11に示す処理は、図9に示す処理と対比すると、図9に示すステップS94の処理の代わりに、図11に示すステップS124の処理を行う点で異なる。また、後述するように、図11に示すステップS126の処理である、図4に示す処理の一部が異なる。これらの点を除けば、本変形例は、第3実施形態と同一であるため、互いに共通する処理については、詳細な説明を省略する。
【0129】
上述の変形例1と同様、燃料電池制御部31は、図11、図7及び図4に示した処理と並行して以下のような処理を実行する。即ち、第1の環境度検出部50によって環境度が検出され、検出環境度を表す信号が燃料電池制御部31に出力されている際に、燃料電池制御部31が、所定時間ごとに、第1の環境度検出部50による検出環境度をその検出時刻に対応付けして記憶部32に記録する。これにより、検出時刻に対応付けされた検出環境度のデータ列(蓄積環境度)が記憶部32に蓄積されていく。なお、燃料電池制御部31が過去所定期間分(例えば、一週間分)の検出環境度を記憶部32に蓄積し、それ以前の検出環境度を記憶部32から削除してもよい。
【0130】
そして、ステップS124においては、燃料電池制御部31が記憶部32に記録された検出環境度のデータ列を読み込む。そして、燃料電池制御部31は、読み込んだ検出環境度のデータ列中に、第2の定格範囲内になるものが含まれるか否か判断する(ステップS124)。読み込んだ過去所定期間分の検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれている場合には(ステップS124:Yes)、読み込んだ検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれていることを示すフラグをオンにする。そして、燃料電池制御部31の処理がステップS123に移行する。
【0131】
一方、読み込んだ過去所定期間分の検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれていない場合には(ステップS124:No)、読み込んだ検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれていることを示すフラグをオフにする。そして、図11に示す処理を終了する。そして、燃料電池制御部31は、図7に示した処理を中断時から再び行う。
【0132】
また、本変形例では、燃料電池制御部31が、ステップS126の充電処理において、図4に示された処理と同様の処理を行う。ただし、図4に示された処理とは、以下の点で異なる。即ち、本変形例では、ステップS32において、燃料電池制御部31は、まず最初に上述のフラグを読み出す。そして、上述のフラグがオンである場合、燃料電池制御部31は、二次電池33の端子間電圧が上限値VF以上であるか否かを判断するのではなく、二次電池33の端子間電圧が所定閾値V3以上であるか否かを判断する。ここで、所定閾値V1、所定閾値V2、所定閾値V3、下限値VL及び上限値VFの関係は、VL<V1<V2<V3<VFである。つまり、具体的な閾値の値を変更しただけである。一方、上述のフラグがオフである場合は、図4に示された処理と同一であるため、詳細な説明を省略する。図11において、ステップS123の処理が第1判断処理に、ステップS122の処理が第2判断処理に、ステップS124の処理が第3判断処理にそれぞれ相当する。
【0133】
また、ステップS122〜ステップS124の各処理は、処理順を適宜入れ替えることができる。何れの順番で処理する場合も、燃料電池制御部31は、以下の条件を満たすと判断した場合のみ、ステップS126の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS127に移行する。
即ち、第一に、ステップS122の第2判断処理において以前に二次電池33の充電量が満たされた日から10日以上である(ステップS122:A)と同時に、ステップS123の第1判断処理において第1の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある(ステップS123:Yes)ときに、ステップS126の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS127に移行する。また、第二に、ステップS122の第2判断処理において以前に二次電池33の充電量が満たされた日から5〜9日経過しており(ステップS122:B)、ステップS124の第3判断処理において第2の環境度検出部50による検出環境度のデータ列である蓄積環境度が第2の定格範囲内にあり(ステップS124:Yes)、これと同時にステップS124の第1判断処理において第2の環境度検出部50による検出環境度が第1の定格範囲内にある(ステップS123:Yes)ときに、ステップS126の充電処理を行って、その後燃料電池制御部31の処理がステップS127に移行する。
【0134】
以上のように、本変形例によれば、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から10日以上である場合には、自然放電などによって二次電池33の充電量が大きく低減している可能性があるので、現在の環境度が第1の定格範囲内である場合には、充電処理を行う(ステップS122、ステップS123、ステップS126)。これにより、電子機器を動作させることができなくなる可能性が低くなる。
また、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から5〜9日経過している場合には、自然放電などによって、10日以上経過した場合よりも少ない分量だけ、二次電池33の充電量が低減している可能性があるので、過去の環境度が第2の定格範囲内であるかどうかを判定する。そして、過去の環境度が第2の定格範囲内であるときには、現在の環境度が第1の定格範囲内であるかどうかを判定し、現在の環境度が第1の定格範囲内であるときには、充電処理を行う(ステップS122、ステップS124、ステップS123、ステップS126)。これにより、電子機器を動作させることができなくなる可能性が低くなる。
さらに、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から4日以下である場合には、自然放電などによる二次電池33の充電量の低減は少ないので、充電処理を行わない(ステップS122:C)。
いずれの場合も、充電のために発電を開始する回数を少なくできる。
【0135】
また、過去の所定期間に環境度(例えば、室温)が第2の定格範囲内になるものが含まれている場合には、近い将来(例えば、一週間以内に)、発電が必要となった場合でも、水や燃料を供給することができないために、燃料電池発電部19において発電が行えない可能性がある。このため、現在の環境度が、燃料電池発電部19において発電が行える温度である場合には、発電を行う(ステップS124、ステップS123、ステップS126)。これにより、電子機器を動作させることができなくなる可能性が低くなる。
また、以前に二次電池33の充電量が満たされた日から5〜9日経過していて、且つ、読み込んだ過去所定期間分の検出環境度のデータ列の中に、第2の定格範囲内になるものが含まれる場合には、充電処理において、VFより小さい値であるV3までしか充電しない(ステップS122、ステップS124、ステップS123、ステップS126)。これにより、燃料蓄積部11内の燃料が消耗される量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0136】
【図1】燃料電池システムの概略構成を示したブロック図である。
【図2】燃料電池システムの回路構成を示したブロック図である。
【図3】第1実施形態において制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】燃料電池制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】燃料電池制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図6】燃料電池制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】燃料電池制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図8】燃料電池制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図9】燃料電池制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図10】燃料電池制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【図11】燃料電池制御部が行う処理の流れを示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0137】
12 燃料供給器(供給部)
16 水供給器(供給部)
18 空気供給器(供給部)
19 燃料電池発電部
31 燃料電池制御部
32 記憶部
33 二次電池
34 充電回路
50 第1の環境度検出部
51 第2の環境度検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、
原料の電気化学反応により発電する燃料電池発電部と、
前記燃料電池発電部に原料を供給する供給部と、
前記燃料電池発電部で生成された電気エネルギーを前記二次電池に充電する充電回路と、
環境度を検出する環境度検出部と、
前記環境度検出部により検出された検出環境度に基づき前記供給部を制御する燃料電池制御部と、を備えることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記燃料電池制御部は、
前記検出環境度が定格範囲内にあるか否かを判断する第1判断処理と、
前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【請求項3】
前記燃料電池制御部は、
前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にないと判断した場合に、所定時間経過後に再び前記第1判断処理を実行することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
【請求項4】
前記燃料電池制御部は、
前記二次電池の充電量を検出して、その検出充電量によって前記第1判断処理の判断をすると判断した場合に、前記第1判断処理に用いる定格範囲を前記二次電池の検出充電量に従って設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。
【請求項5】
前記燃料電池制御部は、
前記二次電池の充電量を検出して、その検出充電量が所定の範囲内にあるか否かを判断する第2判断処理と、
前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記検出充電量が所定の範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。
【請求項6】
前記燃料電池制御部は、
前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記検出充電量が所定の範囲内にないと判断した場合に、所定時間経過後に再び前記第2判断処理を実行することを特徴とする請求項5に記載の燃料電池システム。
【請求項7】
前記燃料電池制御部は、前記二次電池の充電量として前記二次電池の端子間電圧を検出することを特徴とする請求項4〜6の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項8】
前記燃料電池制御部は、
前記充電処理を実行したときからの経過時間を測定し、その経過時間が所定の範囲内にあるか否かを判断する第2判断処理と、
前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記経過時間が所定の範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。
【請求項9】
前記充電処理を実行したときからの経過時間を測定し、その経過時間によって前記第1判断処理の判断をすると判断した場合に、前記第1判断処理に用いる定格範囲を前記経過時間に従って設定することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。
【請求項10】
読み書き可能な記憶部を更に備え、
前記燃料電池制御部が、
前記検出環境度を前記記憶部に蓄積する蓄積処理と、
前記記憶部に記憶された過去の所定期間の検出環境度のデータ列である蓄積環境度を読み込む読込処理と、
前記読込処理によって読み込んだデータ列の中に定格範囲内の検出環境度が存するか否かを判断する判断処理と、
前記判断処理によって定格範囲内の検出環境度が存すると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の燃料電池システム。
【請求項11】
読み書き可能な記憶部を更に備え、
前記燃料電池制御部が、
前記検出環境度を前記記憶部に蓄積する蓄積処理と、
前記記憶部に記憶された過去の所定期間の検出環境度のデータ列である蓄積環境度を読み込む読込処理と、
前記蓄積環境度が定格範囲内にあるか否かを判断する第3判断処理と、
前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第3判断処理によって前記蓄積環境度が定格範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。
【請求項12】
前記燃料電池制御部が、
前記二次電池の充電量を検出して、その検出充電量が所定の範囲内にあるか否かを判断する第2判断処理と、
前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、前記第3判断処理によって前記蓄積環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記検出充電量が所定の範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行することを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項13】
前記燃料電池制御部が、
前記充電処理を実行したときからの経過時間を測定し、その経過時間が所定の範囲内にあるか否かを判断する第2判断処理と、
前記第1判断処理によって前記検出環境度が定格範囲内にあり、前記第3判断処理によって前記蓄積環境度が定格範囲内にあり、且つ前記第2判断処理によって前記検出充電量が所定の範囲内にあると判断した場合に、前記供給部を動作させる充電処理と、を実行することを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
【請求項14】
前記燃料電池システムを内蔵する電子機器を制御する電子機器制御部を更に備え、
前記燃料電池制御部は、前記電子機器制御部が停止した状態の場合に、前記供給部を制御することを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載の燃料電池システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−86676(P2010−86676A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251674(P2008−251674)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】