説明

燃料電池制御システムおよび燃料電池停止方法

【課題】停止時における燃料電池触媒の劣化を低減し、燃料電池特性の劣化を低減させることができる燃料電池制御システムおよび燃料電池停止方法を提供する。
【解決手段】PBI−リン酸形燃料電池の燃料電池制御システム100は、燃料電池スタック1、インバータ2、燃料改質部3、燃焼部4、測温部5、ヒータ6、ラジエータ7、負荷解除部10、および制御部31を備える。燃料電池スタック1は、リン酸含浸塩基性ポリマーの電解質層と、電解質層を挟み配置されたアノードおよびカソードを含む。測温部5は、燃料電池スタック1の温度を測定する。ヒータ6は、燃料電池スタック1の温度を昇温させる。ラジエータ7は、燃料電池スタック1を冷却する。負荷解除部10は、燃料電池スタック1と接続された負荷接続回路を開く。制御部31は、燃料電池スタック1の温度が所定の値以下になった後に、負荷解除部10を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池制御システムおよび燃料電池停止方法に関する。より詳しくは、リン酸含浸塩基性ポリマーを電解質層に用いる燃料電池の燃料電池制御システムおよび燃料電池停止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池には、固体高分子形燃料電池(Polymer Electrolyte Fuel Cell、PEFC)、固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell、SOFC)またはリン酸形燃料電池(Phosphoric Acid Fuel Cell、PAFC)等、電極仕様の異なった方式がある。
【0003】
また、PEFCとPAFCの中間的な電極を使用する燃料電池が開発されている。例えば、電解質材料としてポリベンズイミダゾール(PBI)樹脂にリン酸を含浸させた材料を利用する、PBI−リン酸電極を用いた燃料電池が挙げられる。
【0004】
リン酸形燃料電池をはじめとする多くの燃料電池では、運転停止時における燃料電池の劣化が問題となることが多く、その対策が行われている。例えば、リン酸形燃料電池システムとして、燃料電池発電装置のカソード極側に不活性ガスを導入・排出するラインを備え、空気と共にパージすることでパージに必要なガス量の低減を図りつつ、燃料電池の負荷運転停止に起因する電池特性の劣化を抑制するシステムが、特許文献1に記載されている。
【0005】
また、燃料電池の運転停止時に、ダミー負荷を放電抵抗と切り替えて燃料電池の電力を消費し、その後に燃料電池停止動作を行うことで、燃料電池の劣化を防止することが、特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−45351号公報
【特許文献2】特開平2−126565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料電池は、正電極と負電極の間に電解質膜を備えており、電解質膜に接する部分に触媒が用いられている。関連する技術においては、運転停止時に燃料電池スタック内のガスをパージしたり、放電したりするなどして燃料電池特性の劣化防止対策がなされてはいたが、燃料電池が高温状態にあるため、燃料電池触媒の劣化が生じていた。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、停止時における燃料電池触媒の劣化を低減し、燃料電池特性の劣化を低減させることができる燃料電池制御システムおよび燃料電池停止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る燃料電池制御システムは、リン酸含浸塩基性ポリマーの電解質層と、該電解質層を挟み配置されたアノードおよびカソードを含む燃料電池スタックと、前記燃料電池スタックの前記アノードへ燃料ガスを供給する燃料ガス供給路と、前記燃料電池スタックの前記カソードへ酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給路と、前記燃料電池スタックの前記アノードおよび/または前記カソードへパージガスを供給するパージガス供給路と、前記燃料電池スタックの温度を降下させる降温装置と、前記燃料電池スタックの温度を測定する測温装置と、前記燃料電池スタックと接続された負荷接続回路を開く負荷解除機構と、前記燃料電池スタックの運転を停止する場合に、前記測温装置で測定した前記燃料電池スタックの温度が所定の値以下になった後に前記負荷解除機構を制御する制御機構と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記燃料電池スタックの温度の所定の値は、摂氏100度を超え、該燃料電池スタックの運転制御を行う温度未満であることが好ましい。
【0011】
前記燃料電池スタックの温度の所定の値は、摂氏100度を超え、摂氏120度未満であることがより好ましい。
【0012】
また、前記燃料電池スタックの運転を停止する場合に、前記測温装置で測定した前記燃料電池スタックの温度が所定の値以下になった後に、前記燃料電池スタックの前記アノードおよび/または前記カソードへ供給するガスをパージガスに切り替えることが好ましい。
【0013】
また、前記燃料電池スタックの温度を降下させる降温装置は、該燃料電池スタックの冷却を行う冷却装置の作動であることが好ましい。
【0014】
さらに、前記リン酸含浸塩基性ポリマーは、リン酸含浸ポリベンズイミダゾールであることが好ましい。
【0015】
本発明の第2の観点に係る燃料電池停止方法は、リン酸含浸塩基性ポリマー電極を有する燃料電池スタックを備える燃料電池制御システムの燃料電池停止方法であって、前記燃料電池スタックの温度を降下させる降温工程と、前記燃料電池スタックの温度が所定の値以下になった後に、該燃料電池スタックと接続された負荷接続回路を開く負荷解除工程と、を備えることを特徴とする。
【0016】
前記負荷解除工程の前記燃料電池スタックの温度の所定の値は、摂氏100度を超え、該燃料電池スタックの運転制御を行う温度未満であることが好ましい。
【0017】
前記負荷解除工程の前記燃料電池スタックの温度の所定の値は、摂氏100度を超え、摂氏120度未満であることがより好ましい。
【0018】
また、前記降温工程後であって、前記燃料電池スタックの温度が所定の値以下になった後に、前記燃料電池スタックのアノードおよび/またはカソードへ供給するガスをパージガスに切り替える工程を備えることが好ましい。
【0019】
また、前記降温工程は、前記燃料電池スタックの冷却を行う冷却装置を作動させる工程を備えることが好ましい。
【0020】
さらに、前記リン酸含浸塩基性ポリマー電極は、リン酸含浸ポリベンズイミダゾール電極であることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、停止時における燃料電池触媒の劣化を低減し、燃料電池特性の劣化を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態に係る燃料電池制御システムの一例を示す構成概略図である。
【図2】燃料電池スタックの一例を示す構成斜視図である。
【図3】燃料電池スタックの部分(セル)の一例を示す構成斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る燃料電池制御システムの燃料電池停止動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る燃料電池制御システムの燃料電池停止動作における温度および電圧を示す図である。
【図6】燃料電池停止動作における温度と電圧低下量の関係を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の変形例に係る燃料電池制御システムの一例を示す構成概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明に係る燃料電池制御システムおよび燃料電池停止方法について詳細に説明する。なお、本明細書において「有する」、「含む」または「備える」といった表現は、「からなる」または「から構成される」という意も含むものとする。
【0024】
なお、本発明に係る燃料電池制御システムに用いる燃料ガスは、都市ガス13A(天然ガスまたはプロパンガス)を使用するものとする。また、原料ガスとして用いる燃料ガスを原燃料ガスといい、改質した燃料ガスを改質ガスという。
【0025】
本発明の実施の形態は、燃料電池制御システムに関する。図1は、本発明の実施の形態に係る燃料電池制御システムの一例を示す構成概略図である。
【0026】
運転中の燃料電池制御システム100は、本体である燃料電池スタック1のアノードへ水素を含む燃料ガス、すなわち改質ガスが供給され、また、カソードへ酸素を含む酸化剤ガスが供給される。そして、アノードの水素とカソードの酸素によって、電解質膜を通して燃料電池スタック1に起電力が生じ、発電する仕組みである。
【0027】
燃料電池スタック1は、中温領域電解質膜であるPBI−リン酸形燃料電池を用いており、摂氏120度ないし摂氏200度で運転する。より好ましくは、摂氏150度ないし摂氏180度程度で運転する。
【0028】
本発明に係る実施の形態の燃料電池制御システムにおける燃料電池スタックの基本的な構成要素については、例えば、当該技術分野において公知の構成要素を用いることができる。先に、燃料電池スタック1の内部の詳細について図面を用いて説明する。
【0029】
図2は、燃料電池スタックの一例を示す構成斜視図である。燃料電池スタック1は、多数のセル11が積層されたような構造となっている。なお、理解しやすいよう、図2では燃料電池スタック1の周囲の囲いは図示していない。図3は、燃料電池スタックの部分(セル)の一例を示す構成斜視図である。図3に示すように、セル11は、膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly、MEA)12を、アノード側セパレータ13とカソード側セパレータ14とで挟んで貼り合わせたような構造となっている。
【0030】
アノード側セパレータ13およびカソード側セパレータ14には、図3に示すように、燃料ガス流路15および酸化剤ガス流路16が形成されている。膜電極接合体12は、リン酸を含浸したイオン伝導性を有する電解質膜21と、アノード触媒層22と、カソード触媒層23と、アノードガス拡散層24と、カソードガス拡散層25とから構成されている。
【0031】
電解質膜21は、リン酸を含浸する塩基性ポリマーであって、例えばリン酸含浸ポリベンズイミダゾールなどをいう。電解質膜21にリン酸含浸ポリベンズイミダゾールを用いることで、燃料電池制御システム100の運転温度を、摂氏120度ないし摂氏220の範囲で運転することが可能となる。図2および図3に示す燃料電池スタック1およびセル11を構成する材料については、当該技術分野において公知である材料を用いることが可能である。なお、膜電極接合体12の電極部分には、アイオノマーとして、リン酸含浸塩基性ポリマーを含む。
【0032】
塩基性ポリマーとしては、当該技術分野にて一般に使用される、少なくとも一つの窒素原子を有するポリマー、特に主鎖および/または側鎖に一つの窒素原子を有するポリマーが挙げられる。このような塩基性ポリマーは、繰返し単位に少なくとも一つの窒素原子を有するポリマーであることが好ましく、繰返し単位に少なくとも一つの窒素原子を有する芳香環(特に5員環または6員環)を含有するポリマーであることがさらに好ましい。なお、1つの窒素原子を有する繰返し単位に加えて、窒素原子を有さない繰返し単位も含むコポリマーを使用することも可能である。
【0033】
具体的には、例えば、ポリベンズイミダゾール類、ポリ(ピリジン類)、ポリ(ピリミジン類)、ポリイミダゾール類、ポリベンゾチアゾール類、ポリベンゾオキサゾール類、ポリオキサジアゾール類、ポリキノリン類、ポリキノキサリン類、ポリチアジアゾール類、ポリ(テトラザピレン類)、ポリオキサゾール類、ポリチアゾール類、ポリビニルピリジン類またはポリビニルイミダゾール類等を挙げることができる。このうち最も好ましい塩基性ポリマーは、ポリベンズイミダゾール類である。
【0034】
また、図2および図3においては、理解しやすいよう、燃料ガス流路15および酸化剤ガス流路16がそれぞれ各セル11において直交に、かつ直線に流れる場合の斜視図を示しているが、蛇行流路(サーペンタイン)で流れる場合、燃料ガス(改質ガス)および酸化剤ガスがそれぞれ下から上へまたは上から下へ流れる場合、または、その逆に流れる場合等、どのような流路でも構わない。
【0035】
以下、図1を用いて、本発明に係る実施の形態の燃料電池制御システムについて詳細に説明する。燃料電池制御システムにおける基本的な構成要素については、例えば、当該技術分野において公知の構成要素を用いることができる。
【0036】
燃料電池制御システム100は、中温領域電解質膜であるPBI−リン酸形燃料電池の燃料電池スタック1を備え、摂氏120度ないし摂氏200度で運転する。より好ましくは、摂氏150度ないし摂氏180度程度で運転する。
【0037】
燃料電池制御システム100は、燃料電池スタック1、インバータ2、燃料改質部3、燃焼部(バーナ)4、測温部5、ヒータ6、ラジエータ7、負荷解除部10および制御部31を備える。また、燃料電池制御システム100は、複数のポンプ(P1、P2、P3、P4およびP5を総称してポンプPnとする)、複数のバルブ(V1、V2、V3、V4およびV5を総称してバルブVnとする)、上述の各機能部とポンプPnおよび/またはバルブVnを連通する流路(R1、R2、R3、R4、R5およびその他の供給路)を備える。
【0038】
制御部31は、ポンプPnおよびバルブVnを制御することにより、各機能部へ所定のガスや水の供給を制御し、また、各機能部を制御する。バルブVnを制御するとは、ポンプPnと各機能部を連通する流路にあるバルブVnの開閉を指す。
【0039】
燃料電池制御システム100の運転について、一般的な動作を説明する。燃料電池制御システム100は、制御部31の制御により、まず、水処理装置などで水を処理し、その処理した改質水を、改質水供給ポンプP5を介して燃料改質部3へ送る。燃料改質部3では、改質水と原燃料ガスである都市ガス13Aを用いて、燃料電池スタック1で用いる水素を含有したガスへと改質し、改質ガスを得る。
【0040】
燃料改質部3で得た改質ガスは、改質ガス用供給路R1を通り改質ガス用電磁弁V1を介して燃料電池スタック1のアノードへ供給される。また、燃料電池スタック1のカソードでは、酸化剤ガス供給ブロワP1から酸化剤ガス用供給路R2を通り酸化剤ガス用電磁弁V2を介して燃料電池スタック1のカソード電極に酸化剤ガスが供給される。例えば、酸化剤ガスは空気などを用いる。燃料電池制御システム100の運転開始時に、ヒータ6で燃料電池スタック1を昇温させておく。例えば、ヒータ6で燃料電池スタック1を昇温させる際、燃料電池スタック冷却ポンプP4の冷媒を加温する。燃料電池制御システム100の運転開始時に、燃料電池スタック1を昇温させておくことで、燃料電池スタック1の燃料電池の発電効率の向上に寄与する。
【0041】
そして、燃料電池スタック1内では、改質ガスと酸化剤ガスとが反応し改質ガスは消費され、熱を生じながら、起電力が生じ発電する。燃料電池制御システム100の運転中、燃料電池スタック1が所定の温度になると、ヒータ6を止め、今度は燃料電池スタック冷却ポンプP4を用いて冷却し、燃料電池スタック1を所定の温度に維持することが好ましい。燃料電池スタック冷却ポンプP4は、冷媒に、オイルなどを用いる。運転温度は、摂氏120度ないし摂氏200度とし、摂氏150度ないし摂氏180度程度で維持することがより好ましい。燃料電池スタック1の温度は、測温部5で測温し、例えば、燃料電池スタック冷却ポンプP4の冷媒出口温度の測定を行う。
【0042】
消費されなかった未反応の改質ガスは、ガス排出路R4を介して燃焼部4に送られ、オフガス燃焼空気供給ブロワP3を介して送られた空気によって燃焼部4で燃焼され、排気される。なお、燃料電池スタック1内で発生した電気は、インバータ2で直流電力から交流電力に電力変換される。
【0043】
次に、燃料電池制御システム100の停止について、本発明にかかる動作を説明する。まず制御部31から、燃料電池制御システム100の運転停止の指示と共に、燃料電池スタック1の冷却開始の指示が行われる。具体的には、まず、ラジエータ7を稼動し、燃料電池スタック1の冷却を開始する。ここでは冷却装置の一例としてラジエータ7を用いているが、任意に設定可能である。また、ヒータ6が停止され、燃料電池制御システム100の運転中に稼動させていた燃料電池スタック冷却ポンプP4は、そのまま稼動、もしくは稼動を強めて運転が行われてもよい。燃料電池スタック冷却ポンプP4の稼動を強めるとは、ポンプを流れる冷媒の流量を増やすこと、および/または流速を上げることをいう。燃料電池スタック冷却ポンプP4を停止させていた場合は稼動させてもよい。
【0044】
燃料電池スタック1は徐々に温度が降下していき、一定時間経過後には所定の温度まで降下する。例えば燃料電池スタック1の運転温度が摂氏150度であって、所定の温度を例えば摂氏110度とする。所定の温度は、運転温度未満であって、摂氏100度を超える温度であることが好ましい。摂氏100度を超えるのは、水素と酸素の結合によって生成した水が凝縮するのを防ぐためである。摂氏100度以下では、特にカソード側において水が凝縮することで、燃料電池スタック1の膜電極接合体12のリン酸溶出が生じ、燃料電池スタック1の性能低下を招くおそれがある。
【0045】
なお、燃料電池スタック1の温度の測定は測温部5で行うが、燃料電池スタック1の温度は表面や冷却ポンプなどで冷却される部分は冷却されやすく、燃料電池スタック1の物体温度がどの箇所においても一定となることはない。したがって、測温部5で測定した結果が摂氏110度程度であれば、燃料電池スタック1のどの部分においても摂氏100度を超えているであろうと推測できることから、概摂氏110度とすることが好ましい。また、所定の温度は、少なくとも運転温度より低い温度となるように設定するが、温度は低い方が電圧は降下し、燃料電池スタック1の劣化を低減させることができるため、運転温度の下限値に近い摂氏120度よりも低い温度が適当である。よって、摂氏100度ないし摂氏120度の間であって、概摂氏110度が好ましい。
【0046】
なお、燃料電池スタック1の劣化とは、高温かつ高圧で著しく発生し、燃料電池の特性が劣化することをいう。特に、カソード電極側において、カーボンが酸化して起こるカーボンの腐食や、例えば白金の溶解による劣化などの、触媒のシンタリングの発生により、燃料電池触媒の劣化が見られる。
【0047】
燃料電池スタック1の温度が所定の温度まで降下したら、燃料電池スタック1と接続された負荷接続回路を開くための負荷解除部10へ制御部31より指示が送られ、燃料電池スタック1と接続された負荷が切り離される。このとき、燃料電池スタック1と接続しているインバータ2の接続も解除しておく。
【0048】
また、燃料電池スタック1へ酸化剤ガスの供給を止め、すなわち酸化剤ガス供給ブロワP1を停止し、酸化剤ガス用電磁弁V2を閉じ、酸化剤ガス用流路R2を塞ぐ。同時に、パージガス用電磁弁V3を開け、パージガス供給ブロワP2を稼動させ、パージガス用供給路R3を介して、燃料電池スタック1のカソードへパージガスの供給を行う。例えば、パージガスは、不活性ガスを用いる。
【0049】
上述の、燃料電池スタック1のカソードへ供給するガスを、酸化剤ガスからパージガスへ切り替える際、燃料電池スタック1に電圧の立ち上がりが生じる。この電圧の立ち上がりは、燃料電池スタック1内に、酸化剤ガスや改質ガスが残存しているときに、負荷停止を行った場合に生じる。しかしながら、燃料電池スタック1が所定の温度まで降下し、温度降下に伴い電圧も降下していたことで、燃料電池スタック1が高温高圧状態になるのを抑制でき、燃料電池スタック1の触媒の劣化を低減し、結果として燃料電池スタック1の劣化を低減することができる。
【0050】
その後、燃料電池スタック1のカソード側に残存していた酸化剤ガスをパージすることで、燃料電池スタック1は徐々に電圧が降下していく。そして、燃料電池スタック1の冷却ポンプP4を停止し、燃料電池制御システム100の全ての機能部を停止させ、燃料電池制御システム100の停止動作を完了する。
【0051】
なお、燃料電池スタック1のカソード側の酸化剤ガスをパージする際に、パージガスに用いる不活性ガスが窒素などであれば、ガス排出用電磁弁V5を介してガス排出路R5から大気中に排出してもよい。燃料電池スタック1のカソード側の酸化剤ガスをパージする際に、原燃料ガスなどを用いる場合は、ガス排出用電磁弁V4を介してガス排出路R4から燃焼部4へ送り、燃焼部4で燃焼する。
【0052】
燃料電池制御システム100の停止動作において、燃料電池スタック1のカソードへパージガスの供給の際に、燃料電池スタック1のアノードへ行うガス供給は、改質ガスのままであってよい。改質ガスに含まれる水素が、電解質膜21中であるリン酸含浸ポリベンズイミダゾールのリン酸中に溶解し拡散し、カソード側の触媒に付着した酸素の除去を促進し、燃料電池スタック1の劣化を低減させる効果を有するためである。
【0053】
なお、燃料電池制御システム100の停止動作において、燃料電池スタック1のカソード側へ供給するガスを、酸化剤ガスからパージガスへ切り替えたが、カソード側へ供給するガスを切り替えせずに、燃料電池スタック1のアノード側へ供給するガスを、改質ガスからパージガスへ切り替え、燃料電池制御システム100の停止動作を完了させてもよい。具体的には、燃料電池スタック1へ改質ガスの供給を止め、すなわち改質ガス用電磁弁V1を閉じ、改質ガス用流路R1を塞ぐ。同時に、パージガス用電磁弁V3を開け、パージガス供給ブロワP2を稼動させ、パージガス用供給路R3を介して、燃料電池スタック1のアノードへパージガスの供給を行う。このとき、改質ガスを得るために開けていた改質水供給ポンプP5を閉じ、燃料改質部3を停止させておく。
【0054】
また、燃料電池制御システム100の停止動作において、燃料電池スタック1のカソード側へ供給するガスを、酸化剤ガスからパージガスへ切り替えた後に、燃料電池スタック1のアノード側へ供給するガスを、改質ガスからパージガスへ切り替え、すなわち燃料電池スタック1のカソード側およびアソード側の両方をパージガスへ切り替え、燃料電池制御システム100の停止動作を完了させてもよい。このとき、パージガス用供給路R3は、燃料電池スタック1のカソードおよびアソードのそれぞれに連通する供給路を備えておき、それぞれに独立してパージガスを供給できるようにしておく。
【0055】
さらに、燃料電池スタック1のカソード側およびアソード側の両方について、同時にパージガスの切り替えを行い、燃料電池スタック1に残存するガスをパージし、燃料電池制御システム100の停止動作を完了させてもよい。燃料電池スタック1に残存するガスを所定ガスを用いてパージを行い、燃料電池スタック1の内部が所定ガスで満たされたときに、ガス排出用電磁弁V4、V5を閉じることで、燃料電池スタック1を所定ガスで充填した状態で封止することができる。
【0056】
以下、本実施の形態に係る燃料電池制御システム100の燃料電池停止動作の一例について、フローチャートを用いて詳細に説明する。図4は、本実施の形態に係る燃料電池制御システムの燃料電池停止動作の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、燃料電池制御システム100の停止動作は、まず、制御部31により、運転停止の指示が出される(ステップS11)。制御部31の指示を受け、冷却を開始する(ステップS12)。具体的には、ラジエータ7などの冷却装置を稼動する。また、ヒータ6の停止や、燃料電池スタック冷却ポンプP4の稼動を行ってもよく、燃料電池スタック冷却ポンプP4が既に稼動している場合は、その稼動を強めてもよい。
【0057】
時間が経過するにつれ、燃料電池スタック1のセル温度は徐々に降下する。燃料電池スタック1のセル温度が所定温度Tbより下回れば(ステップS13;YES)、燃料電池スタック1と接続された負荷接続回路が開かれ、負荷が切り離され、燃料電池スタック1と接続しているインバータ2の接続も解除される(ステップS14)。
【0058】
そして、燃料電池スタック1へ供給されていた酸化剤ガスがパージガスへ切り替えられ、および/または、燃料電池スタック1へ供給されていた燃料ガスがパージガスへ切り替えられる(ステップS15)。燃料電池スタック1にパージガスを供給し、残存するガスをパージし終えたら、パージガス用電磁弁V3を閉めて、パージガスの供給を停止する(ステップS16)。パージガスの供給の停止とともに、ガス排出用電磁弁V4、V5も閉じておく。このとき、燃料電池スタック1のアノード側およびカソード側いずれか一方においてパージガスを供給していた場合は、他方に供給していたガスの供給を停止する。すなわちアノード側であれば燃料ガス用電磁弁V1、カソード側であれば酸化剤ガス用電磁弁V2を閉め、ガス供給を停止する。なお、ガス排出用電磁弁V4、V5を閉じることで、燃料電池スタック1は、燃料電池スタック1に残存したガスをパージする際に用いたパージガス(所定のガス)で、燃料電池スタック1内部を充填した状態に維持される。
【0059】
そして、燃料電池制御システム100の燃料電池スタック冷却ポンプP4を停止し、ラジエータ7などの冷却装置を停止させて燃料電池スタックの冷却を停止し(ステップS17)、燃料電池制御システム100の停止動作を終了する。
【0060】
なお、ステップS14の負荷接続回路を開くステップおよびインバータ接続解除ステップ、と、ステップS15のパージガスの供給へ切り替えステップは、どちらが先であってもよく、同時に行われてもよい。ステップS13の、燃料電池スタック1のセル温度が所定の値以下であるステップを経ることで、燃料電池の触媒劣化のおそれを低減し、燃料電池制御システム100の停止動作を完了することができる。
【0061】
図5は、本発明の実施の形態に係る燃料電池制御システムの燃料電池停止動作における温度および電圧を示す図である。一点鎖線グラフは、温度を示すグラフであり、線グラフおよび点線グラフは、電圧を示すグラフである。
【0062】
温度のグラフを参照する。温度Taは、燃料電池スタックの運転温度であり、例えば摂氏150度程度とする。温度Tbは、パージガスのパージを開始する所定の温度であり、例えば摂氏110度程度とする。
【0063】
時間t1の運転停止指示時に、同時にラジエータ7を稼動させるなどして冷却を開始しており、燃料電池スタックの温度は、運転温度である温度Ta、例えば摂氏150度から徐々に温度は降下していく。一定時間経過した時間t2のとき、燃料電池スタックの温度は、所定の温度である温度Tb、例えば摂氏110度となり、さらに時間が経過するにつれ、燃料電池スタックの温度は降下していく。なお、温度のグラフは、本実施例および、以下に示す比較例ともに、共通である。
【0064】
電圧のグラフを参照する。電圧Voは、温度Taにおいて、燃料電池スタックの劣化が特に著しく発生するときの電圧とする。燃料電池スタックの劣化とは、具体的には、カソード電極側でのカーボンの腐食や触媒のシンタリングの発生をいい、燃料電池の触媒が劣化し、燃料電池の特性が劣化することをいう。また、温度と電圧は比例して降下し、電圧Vbは温度Taでの電圧、電圧Vcは摂氏110度での電圧を示す。電圧(Va−Vc)は、燃料電池スタックの負荷を停止し、燃料電池スタックへ供給するガスをパージガスへ切り替えたときに発生する燃料電池スタックの電圧の立ち上がり量を示す。
【0065】
燃料電池スタックの電圧と温度は、高温かつ高圧のときに、燃料電池スタックの劣化が著しく発生し、仮に、(電圧,温度)=(電圧Vo,温度Ta)のとき、燃料電池スタックの劣化が著しく発生するものとする。また、(電圧Vo,温度Tb)や(電圧Va,温度Ta)の場合は、(電圧Vo,温度Ta)に比べると劣化の度合いは低いが、燃料電池スタックの劣化は発生するおそれが生じるものとする。なお、本発明における燃料電池スタックの電圧と温度である(電圧,温度)=(電圧Va,温度Tb)のとき、燃料電池スタックの劣化はほとんど見られないものとする。(電圧Va,温度Tb)の数値については、燃料電池スタックの性能、すなわちリン酸のドープ量、電極の触媒量、電極のカーボン量、などによって異なり、また、燃料電池スタックの運転条件、例えば、起動電圧のかけ方や、起動回数、運転時の電圧と電流、装置が置かれる温度などの運転環境などによっても異なるため、限定した数値設定が困難である。しかしながら、燃料電池スタックの特性として、燃料電池スタックの温度の降下と、電圧の降下は比例して生じることが分かっており、また、燃料電池スタックの温度を、上述してきた温度である概摂氏110度で設定した場合において、燃料電池スタックの劣化はほとんど生じないことから、温度Tbを摂氏110度と設定する。
【0066】
本実施例の電圧を線グラフで示す。本実施例のように、燃料電池スタックの運転停止指示および冷却開始後、燃料電池スタックが運転温度である温度Ta(摂氏150度)から所定の温度である温度Tb(摂氏110度)になった後に、負荷を停止しパージガスに切り替える。すなわち燃料電池スタックの電圧が電圧Vbから電圧Vcに降下した後に、負荷を停止しパージガスに切り替える。電圧が電圧Vcまで降下したことで、電圧(Va−Vc)の分の電圧が立ち上がった場合でも、最大電圧は電圧Vaとなり、電圧Vo未満であり、燃料電池スタックの劣化を低減させることができる。
【0067】
比較例の電圧を点線グラフで示す。比較例は、運転停止指示と同時に負荷を停止しパージガスに切り替えた場合である。比較例では、運転停止指示と同時に負荷を停止しパージガスに切り替えるため、運転停止指示と負荷停止は同時に行われ、運転停止指示が運転停止となる。比較例の場合においても、実施例と同様に時間t1において冷却を開始する条件は同じであり、燃料電池スタックは経時的に温度降下は生じるが、燃料電池スタックは運転温度である温度Taのとき、負荷停止とパージガスへの切り替えが行われるため、燃料電池スタックが実施例よりも高温状態のまま、燃料電池スタックに電圧の立ち上がりが生じる。図示するように、比較例では、電圧がVbの状態で、電圧(Va−Vc)の分の電圧が立ち上がり、最大電圧が電圧Voを越えることが分かる。その結果、比較例では、燃料電池スタックの運転停止の際に、燃料電池スタックの劣化が発生することが分かる。特に、高温かつ高電圧のため、燃料電池スタックの触媒の劣化への影響が大きくなる。
【0068】
図6は、燃料電池停止動作における温度と電圧低下量の関係を示す。燃料電池を、負荷運転を2時間行った後に1時間停止するという運転サイクルで運転した場合の、運転1サイクル当たりの電圧低下量を示す。燃料電池の1時間停止の間は、ガス置換を行う。負荷運転は、図5中の、運転停止指示かつ冷却開始の時間t1から、負荷停止かつパージガス切り替えの時間t2までの間を指し、運転停止は時間t2から、燃料電池制御システムの停止動作終了までにかかる時間を指す。
【0069】
図6を参照すると、燃料電池の温度が摂氏160度の高温の場合は80μVの電圧低下しているのに対して、燃料電池の温度が摂氏80度の低温の場合は2μVしか電圧低下していない。低温の場合は、燃料電池の運転1サイクル当たりの電圧低下量が少なく、燃料電池の劣化が小さいことが分かる。
【0070】
なお、本発明において、燃料電池制御システムの負荷停止かつパージガス切り替えを行う温度を、摂氏100度を超える温度としているのは、水の沸点を超える温度にすることによって、水が凝縮してリン酸が溶出する可能性を排除するためである。
【0071】
図7は、本発明の実施の形態の変形例に係る燃料電池制御システムの一例を示す構成概略図である。本発明の実施の形態の変形例に係る燃料電池制御システム101は、実施の形態に係る燃料電池制御システム100の構造に加えて、貯湯槽8、排熱回収部9を備える。
【0072】
貯湯槽8および排熱回収部9は、熱交換システム(もしくは排熱システムともいう)を備える燃料電池制御システム101として機能するための、機能部の一例を示している。
【0073】
例えば、貯湯槽8は、燃料電池スタック冷却ポンプP4の熱の回収を行う(点線H1で示す)。具体的には、貯湯槽8は貯湯水循環路を備え、その貯湯水と燃料電池スタック冷却ポンプP4の冷媒が熱交換する熱交換器を設けておく。燃料電池スタック冷却ポンプP4の熱は、熱交換器で回収されて、貯湯槽8に貯えられる。
【0074】
また、排熱回収部9は、燃焼部4でオフガスの燃焼時に発生した熱(燃焼排ガスの熱)の回収を行う(点線H3で示す)。具体的には、排熱回収部9は燃焼排ガス用冷却水循環路を備え、その冷却水と燃焼排ガスとが熱交換する熱交換器を設けておく。燃焼排ガスの熱は、熱交換器で回収されて、貯湯槽8に貯えられる。この場合、燃焼排ガス用冷却水循環路は、燃料電池スタック1の冷媒循環路(燃料電池スタック冷却ポンプP4を含む熱交換系)とは独立させておく。
【0075】
さらに、燃料電池スタック1から排出されるガスの熱についても、貯湯槽8で回収してもよい(点線H2で示す)。具体的には、ガス排出路R4に凝縮器を設けておき、熱交換器を介して、貯湯槽8に熱を回収する。図示していないが、凝縮器は、改質ガス用供給路R1に備えてもよい。点線H2で表す凝縮器用冷却水循環路は、燃料電池スタック1の冷媒循環路とは独立させておくが、点線H3で表す燃焼排ガス用冷却水循環路とは独立であっても共通であってもよい。
【0076】
燃料電池制御システム101に、貯湯槽8、排熱回収部9を備えることで、燃料電池制御システム101の運転中に発生する熱を効率よく利用することができる。そのため、燃料電池制御システム101は同時に、熱交換システムとして機能する。なお、熱交換システムは、燃料電池スタック冷却ポンプP4およびヒータ6、ラジエータ7を含み構成されることが好ましく、さらに、余剰熱を燃料電池制御システム101の内部に限らずに外部で利用してもよい。
【0077】
以上説明したように、本発明の実施の形態に係る燃料電池制御システムおよび燃料電池停止方法によれば、停止時における燃料電池触媒の劣化を低減し、燃料電池特性の劣化を低減させることができる。
【0078】
特に、本発明を用いることで、中温領域で用いられるPBI−リン酸形の燃料電池スタックを備える燃料電池制御システムにおいて、燃料電池制御システムの運転停止時に、燃料電池スタック内の高温かつ高圧状態となることで発生する燃料電池特性の燃料電池スタックの触媒の劣化のおそれを容易に低減することができる。
【0079】
燃料電池制御システムは運転停止の制御指示を受け、ポンプやラジエータなどの冷却装置を用いて冷却を開始することにより燃料電池スタックのセル温度を降下させることで、同時に燃料電池スタックの電圧を降下させることができる。その後、燃料電池と接続する負荷を切り離し、燃料電池スタックに残存するガスのパージを行う。パージガスへ切り替えることで発生する電圧の立ち上がりが発生する場合であっても、燃料電池の特性の劣化を低減できる。
【0080】
特に高温かつ高圧状態において燃料電池の特性が劣化し、カソード電極側において、カーボンが酸化して起こるカーボンの腐食や、例えば白金の溶解による劣化などの、触媒のシンタリングの発生により、燃料電池触媒の劣化が発生するが、本発明における燃料電池制御システムおよび燃料電池停止方法を用いることで、燃料電池が高温かつ高圧状態に晒されることがなくなり、燃料電池の特性の劣化を低減することができる。
【0081】
さらに、燃料電池制御システムに、熱交換システムを備えることで、燃料電池制御システムの運転開始時の燃料電池スタックへ供給するガスや燃料電池スタックの加温、運転時の燃料電池スタック内の温度維持、運転停止時の燃料電池スタックの冷却など、熱交換を効率よく行いながら、燃料電池制御システムを稼動させることができる。
【符号の説明】
【0082】
1 燃料電池スタック
2 インバータ
3 燃料改質部
4 燃焼部(バーナ)
5 測温部(測温装置)
6 ヒータ
7 ラジエータ(冷却装置)
8 貯湯槽
9 排熱回収部
10 負荷解除部(負荷解除機構)
31 制御部
100 燃料電池制御システム
P4 燃料電池スタック冷却ポンプ(冷却装置)
R1 改質ガス用供給路(燃料ガス供給路)
R2 酸化剤ガス用供給路(酸化剤ガス供給路)
R3 パージガス用供給路(パージガス供給路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リン酸含浸塩基性ポリマーの電解質層と、該電解質層を挟み配置されたアノードおよびカソードを含む燃料電池スタックと、
前記燃料電池スタックの前記アノードへ燃料ガスを供給する燃料ガス供給路と、
前記燃料電池スタックの前記カソードへ酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス供給路と、
前記燃料電池スタックの前記アノードおよび/または前記カソードへパージガスを供給するパージガス供給路と、
前記燃料電池スタックの温度を降下させる降温装置と、
前記燃料電池スタックの温度を測定する測温装置と、
前記燃料電池スタックと接続された負荷接続回路を開く負荷解除機構と、
前記燃料電池スタックの運転を停止する場合に、前記測温装置で測定した前記燃料電池スタックの温度が所定の値以下になった後に前記負荷解除機構を制御する制御機構と、
を備えることを特徴とする燃料電池制御システム。
【請求項2】
前記燃料電池スタックの温度の所定の値は、摂氏100度を超え、該燃料電池スタックの運転制御を行う温度未満であることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池制御システム。
【請求項3】
前記燃料電池スタックの温度の所定の値は、摂氏100度を超え、摂氏120度未満であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池制御システム。
【請求項4】
前記燃料電池スタックの運転を停止する場合に、前記測温装置で測定した前記燃料電池スタックの温度が所定の値以下になった後に、前記燃料電池スタックの前記アノードおよび/または前記カソードへ供給するガスをパージガスに切り替えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の燃料電池制御システム。
【請求項5】
前記燃料電池スタックの温度を降下させる降温装置は、該燃料電池スタックの冷却を行う冷却装置の作動であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の燃料電池制御システム。
【請求項6】
前記リン酸含浸塩基性ポリマーは、リン酸含浸ポリベンズイミダゾールであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の燃料電池制御システム。
【請求項7】
リン酸含浸塩基性ポリマー電極を有する燃料電池スタックを備える燃料電池制御システムの燃料電池停止方法であって、
前記燃料電池スタックの温度を降下させる降温工程と、
前記燃料電池スタックの温度が所定の値以下になった後に、該燃料電池スタックと接続された負荷接続回路を開く負荷解除工程と、
を備えることを特徴とする燃料電池停止方法。
【請求項8】
前記負荷解除工程の前記燃料電池スタックの温度の所定の値は、摂氏100度を超え、該燃料電池スタックの運転制御を行う温度未満であることを特徴とする請求項7に記載の燃料電池停止方法。
【請求項9】
前記負荷解除工程の前記燃料電池スタックの温度の所定の値は、摂氏100度を超え、摂氏120度未満であることを特徴とする請求項7または8に記載の燃料電池停止方法。
【請求項10】
前記降温工程後であって、前記燃料電池スタックの温度が所定の値以下になった後に、前記燃料電池スタックのアノードおよび/またはカソードへ供給するガスをパージガスに切り替える工程を備えることを特徴とする請求項7ないし9のいずれか1項に記載の燃料電池停止方法。
【請求項11】
前記降温工程は、前記燃料電池スタックの冷却を行う冷却装置を作動させる工程を備えることを特徴とする請求項7ないし10のいずれか1項に記載の燃料電池停止方法。
【請求項12】
前記リン酸含浸塩基性ポリマー電極は、リン酸含浸ポリベンズイミダゾール電極であることを特徴とする請求項7ないし11のいずれか1項に記載の燃料電池停止方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−174673(P2012−174673A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38976(P2011−38976)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】