説明

燃料電池搭載車両及び液体噴射方法

【課題】燃料電池から発生する水を有効利用すること。
【解決手段】車両に搭載され、車両の動力部に電力を供給する燃料電池120と、燃料電池から発生した水を貯留する貯留部140と、貯留部の水を噴射する液体噴射装置172,173と、を備える燃料電池搭載車両。このようにすることで、燃料電池から発生する水を、貯留部を備えた液体噴射装置を用いて噴射することができる。このため、燃料電池が電力を発生するときに排出していた水を有効利用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池搭載車両及び液体噴射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の研究開発により、燃料電池が実用化されるに至っている。燃料電池は、負極活性
物質と正極活性物質とを反応させることにより継続的に電力を取り出すことができる発電
装置である。
【0003】
このような燃料電池は、水を排出するにとどまる。よって、燃料電池を搭載し、環境に
配慮した自動車などの利用が拡大しつつある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−115320号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように環境に配慮した装置を提供することに貢献する燃料電池であるが、その排出
物として水を発生させる。一方、自動車などの車両では水を用いる装置が搭載されること
があり、その車両が緊急車両の場合には移動中において水が必要になる場合も考えられる
。よって、燃料電池から発生する水を有効利用することが望ましい。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、燃料電池から発生する水を有
効利用することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための主たる発明は、
車両に搭載され、該車両の動力部に電力を供給する燃料電池と、
前記燃料電池から発生した水を貯留する貯留部と、
前記貯留部の水を噴射する液体噴射装置と、
を備える燃料電池搭載車両である。
【0008】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態における燃料電池自動車10の基本構成図である。
【図2】第2実施形態における燃料電池自動車20の基本構成図である。
【図3】第2実施形態におけるウォータージェットメス210の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項が明らかとなる。
【0011】
車両に搭載され、該車両の動力部に電力を供給する燃料電池と、
前記燃料電池から発生した水を貯留する貯留部と、
前記貯留部の水を噴射する液体噴射装置と、
を備える燃料電池搭載車両。
このようにすることで、燃料電池から発生する水を、液体噴射装置を用いて噴射するこ
とができる。このため、燃料電池が電力を発生するときに排出していた水を有効利用する
ことができる。
【0012】
かかる燃料電池搭載車両であって、前記液体噴射装置は前記水が流入するポンプ室を備
え、該ポンプ室の容積を変更することによって、水の噴射することとしてもよい。
このようにすることで、流体を断続的に、あるいはパルス状の液体を噴射することがで
きる。一般にパルス状の液体を噴射することによって、少ない液体量でも生体組織を切除
できることが知られている。したがって、かかる燃料電池搭載車両によれば、少ない液体
量で生体組織の切除、すなわち液体噴射装置を用いた手術を車両内で行うことができる。
【0013】
また、前記液体噴射装置は、前記ポンプ室の容積を変更させるダイアフラムと該ダイア
フラムを変形させる圧電素子とを備え、前記圧電素子は、前記燃料電池から供給される電
力を利用してパルス状の電圧が供給されることによって伸縮することが望ましい。
このようにすることで、パルス状の電圧に応じて圧電素子が伸縮を繰り返すため、ダイ
アフラムを振動させて断続的に、あるいはパルス状の液体を噴射させることができる。ま
た、燃料電池を用いて圧電素子に電力を供給することができるため、燃料電池から発生し
た水を、燃料電池で駆動する圧電素子を用いて断続的に噴射する、あるいはパルス状に噴
射することができる。
【0014】
また、前記液体噴射装置は、前記車両の一部の洗浄用として、水を噴射することが望ま
しい。
このようにすることで、燃料電池から発生する水を液体噴射装置から噴射することによ
って、車両洗浄に利用することができる。
【0015】
また、前記燃料電池から発生した水に対して前記車両の一部の洗浄に用いる洗浄剤が混
合された洗浄水が、前記貯留部に供給されることが望ましい。
このようにすることで、燃料電池から発生する水と洗浄剤とを混合した洗浄液を液体噴
射装置で噴射することができるため、燃料電池から発生する水をより車両洗浄に適するよ
うにして利用することができる。
【0016】
また、前記燃料電池はリン酸型燃料電池であることが望ましい。
このようにすることで、実用度の高いシステムを提供することができる。
【0017】
また、本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも、以下の事項も明らかとなる。
すなわち、
車両に搭載された燃料電池を用いて電力を生成することと、
前記燃料電池から発生する水を貯留することと、
前記燃料電池によって発生した電力を車両の動力部に供給することと、
前記貯留した水を前記車両に搭載された液体噴射装置から噴射させることと、
を含む液体噴射方法。
このようにすることで、燃料電池から発生する水を、液体噴射装置を用いて噴射するこ
とができる。このため、燃料電池が電力を発生するときに排出していた水を有効利用する
ことができる。
【0018】
===第1実施形態===
図1は、第1実施形態における燃料電池自動車10の基本構成図である。
燃料電池120は、燃料電池自動車10のモーター147、ウィンドウウォッシャー1
71、及び、ライトウォッシャー172に供給するための電力を発電する。燃料電池12
0としては、例えば、リン酸型燃料電池を用いることができる。燃料電池は、電極と、イ
オンの通り道を作る電解質と、触媒としての白金と、燃料となる水素及び酸素を少なくと
も用いる。リン酸型燃料電池では、上記電解質としてリン酸を用いている。燃料電池12
0は、負極活性物質としての水素と正極活性物質としての酸素とを反応させて電気を発生
させる際に、化学反応の結果として水(HO)を発生する。発生した水(水蒸気を含む
)は、配管161を通じて冷却部130に送られる。
【0019】
システム制御装置157は、燃料電池120における水素量及び酸素量を制御し、発電
する電力量を制御する。また、システム制御装置157は、アクセルペダル153の踏み
込み量をアクセルポジションセンサ(不図示)で検知して得られたアクセル開度信号に基
づいて、電力調整器149を介してモーター147へ供給する電力量を制御する。モータ
ー147の回転力は、減速及び差動機能を有するギア177を介して駆動輪のタイヤ17
9を回転させることにより、燃料電池自動車10が駆動される。
【0020】
電力調整器149は、燃料電池120及び二次電池145からの電力をモーター144
7等に配分する。例えば、電力調整器149は、システム制御装置157からの制御信号
に応じて、モーター147が消費する走行電力等を燃料電池120による発電電力で賄え
なかった場合には、二次電池145からモーター147へ供給するように電力を配分する

【0021】
二次電池145は、燃料電池120が発電した電力や、車両が減速する際にモーター1
47によって発電された回生電力を蓄電する一方、燃料電池120の起動時や、車両の発
進加速時に不足する電力をモーター147へ供給する。
【0022】
冷却部130は、燃料電池120で発生し送られた水を適切な温度にまで低下させるた
めの装置である。上記のリン酸型燃料電池の動作温度は約200℃である。よって、燃料
電池120から排出される水も200℃前後であり、水蒸気として排出される。この水蒸
気は、配管161においても冷やされ液体になる場合もあるが、後述するウォッシャー液
として用いるには不十分な温度である。冷却部130は、この水蒸気をウォッシャー液と
して用いられる温度にまで冷却する。冷却部130は、冷媒を用いた既存の冷蔵装置など
を用いることができるし、ラジエータとすることもできる。
【0023】
冷却部130で冷却された水は、配管162を通りタンク140に供給される。タンク
140は、冷却部130において冷却された水を貯留するためのものである。タンク14
0に貯留された水は、配管163を通じてウォッシャー液タンク150に供給される。ウ
ォッシャー液タンク150では、供給された水にウォッシャー液の原液が混合され、ウォ
ッシャー液(洗浄液)が生成される。
【0024】
ウォッシャー液は、配管164、165を介して、ウォッシャー液タンク150からウ
ィンドウウォッシャー171及びライトウォッシャー172に供給される。ウィンドウウ
ォッシャー171及びライトウォッシャー172は、それぞれシステム制御装置157か
らの制御信号を受けて電力調整器149から供給される電力により動作させられる。そし
て、車両のウィンドウ又はライト部分にウォッシャー液が噴射され、洗浄及び洗浄の補助
を行う。
【0025】
このような燃料電池自動車10によれば、燃料電池120において生じた水をウィンド
ウウォッシャー液等として車体の各部に噴射する。よって、自動車のユーザがウィンドウ
ウォッシャー液の供給を行わなかった場合でも、燃料電池120から発生する水の供給が
行われ適切に車体に水又はウィンドウウォッシャー液を噴射することができる。
【0026】
尚、燃料電池120には水素が供給されるが、純粋な水素ではなく天然ガスなどの水素
を含んだガスを用いる場合がある。また、燃料としてメタノールが用いられる場合がある
。このような場合には、これらを水素ガスに改質する改質器を用いて水素ガスを燃料電池
120に供給するようにしてもよい。
【0027】
===第2実施形態===
前述の第1実施形態では、燃料電池において発生した水をウィンドウウォッシャー液と
して車体に噴射したが、燃料電池で発生した水の用途はこれに限られない。次に説明する
ように、ウォータージェットメス210に供給することとして、救急車両における手術な
どに使用することもできる。
【0028】
図2は、第2実施形態における燃料電池自動車20の基本構成図である。
本図において、燃料電池220、二次電池245、モーター247、電力調整器249
、アクセルペダル253、システム制御装置257、ギア277、及び、タイヤ279に
ついては、前述の第1実施形態のものと同様であるので説明を省略する。
【0029】
ウォータージェットメス210は、水又は生理食塩水を生体組織に噴射し、生体組織を
切除するための装置である。主に、手術などに用いられる。ウォータージェットメス21
0の詳細な構成については、後述する。
【0030】
冷却部230は、燃料電池220で発生し送られた水を適切な温度にまで低下させる点
では前述の第1実施形態のものと同様である。但し、第2実施形態では、燃料電池220
において発生した水を生体の切除に適した温度(20℃前後)にまで冷却する。
【0031】
また、燃料電池220で発生した水を冷却する際に、切除された生体組織や噴射された
水を吸引する吸引機構が発生する風によって空気冷却するようにしてもよい。このように
することにより、前述の冷却部230を用いない構成とすることができる。吸引機構は例
えば、噴射管を覆う形態で吸引管が配置され(吸引管と噴射管とが2重管構造となってい
る)、吸引管を介して切除された生体組織や噴射された水を吸引する機構である。吸引機
構が吸引動作をする際には、モーターでタービン羽根を高速回転させることによって、風
を発生させ、吸引管の内気圧を大気圧よりも低くする。そこで、タービン羽根の近くに、
望ましくはタービン羽根と吸引管との間に配管261を配置することによって、吸引機構
が発生する風によって燃料電池220で発生した水を空気冷却することができる。
【0032】
尚、冷却部230には、冷却前の温水に塩化ナトリウムを導入して生理食塩水を生成す
る機構があってもよい。ここでは、塩化ナトリウムを0.9重量パーセント含有するよう
に導入量が調整される。0.9重量パーセント濃度の食塩水は、人間の体液と同等の濃度
の生理食塩水に相当する。燃料電池220から発生する水の量は燃料電池220が保持し
ている水素の減少量から推測することができる。よって、発生した水の量に対して上記の
重量パーセントとなるように塩化ナトリウムが導入されることになる。
【0033】
冷却部20で冷却された水又は生理食塩水は、配管262を通りタンク240に供給さ
れる。後述するウォータージェットメス210内における圧力変動によって水又は生理食
塩水に気泡が生じないようにするために、冷却部230とタンク240との間に脱気装置
を設けることとしてもよい。このようにすることで、タンク240に供給される水又は生
理食塩水に溶け込んだ空気を除去することができる。
【0034】
タンク240は、冷却部20において冷却された水又は生理食塩水を貯留するためのも
のである。タンク240に貯留された水又は生理食塩水は、外部ポンプ250によって配
管263を通じて吸い上げられ、配管264を通りウォータージェットメス210に供給
される。
【0035】
このような燃料電池自動車20によれば、燃料電池220において生じた水をウォータ
ージェットメス210などの液体噴射装置を用いて噴射するので、液体噴射装置で噴射す
る水が枯渇することを減らすことができる。また、燃料電池が電力を発生させる際に生ず
る水は、不純物が少なく、清潔であるため、清潔な水を入手することが困難な状況下でも
液体噴射装置を動作させながら、切除に用いる清潔な水を供給することができる。
【0036】
また、燃料電池220から発生した水は前述のように200℃前後の高温である。これ
を冷却部230において冷却を行うが、塩化ナトリウムが溶解しやすい程度の温度にまで
一旦冷却し、塩化ナトリウムを溶解するようにしてもよい。このようにすることで、生理
食塩水を生体組織に噴射することができるので、切除中に生体に悪い影響を及ぼすおそれ
を低減することができる。
【0037】
また、塩化ナトリウムを溶解させる際、生理食塩水濃度を所定の濃度(0.9重量パー
セントが望ましい)に維持するために、燃料電池220が保持している水素の減少量から
水の発生量を推測するようにしてもよい。また、燃料電池220が出力した電力量から発
生した水の量を推測するようにしてもよい。このように、発生した水の量を推測すること
ができるので、適切な生理食塩水濃度にするために添加する塩化ナトリウム量も推測する
ことができる。尚、供給される塩化ナトリウムは、固体で格納しておいてもよいし、高濃
度の塩化ナトリウム水溶液として格納しておいてもよい。
【0038】
ところで、断続的に流体を噴射するパルス流は連続流と比較して少ない水量で対象物の
切除が可能である。よって、水などの流体の供給が困難な状況下では、上記の燃料電池自
動車20において、下記に示すようなウォータージェットメス210を用いると、燃料電
池220によって生じた水の水量でも有効に対象物を切除することができる。
【0039】
図3は、第2実施形態におけるウォータージェットメス210の縦断面図である。本図
において、ウォータージェットメス210(液体噴射装置に相当)は、大きくは、マイク
ロポンプ2100とマイクロポンプ2100に接続する出口流路接続管2300と出口流
路接続管2300に接続する接続流路管2200から構成されている。
【0040】
マイクロポンプ2100は、流体が流入される入口流路2122が設けられた入口流路
体2120と、ダイアフラム2131が密接固定されて構成されるポンプ室2132を有
するポンプ室体2130と、ポンプ室2132の容積を変更するアクチュエータ2151
を備えたアクチュエータユニット2150とから構成されている。
【0041】
入口流路体2120は、平面視外形は略円筒形であり、側面一方方向に入口流路212
2が穿設されたパイプ状の入口接続管2121が突出して形成され、入口流路2122は
、入口流路室2123に流通している。入口流路2122の先端部は、前述の配管264
に接続され、水もしくは生理的食塩水が外部ポンプ250を通じて供給される。入口流路
室2123は、ポンプ室体2130に流通しており、このポンプ室体2130の出口流路
側には逆止弁2125が固着されている。また、入口流路室2123の逆止弁2125と
は反対側の開口部は、封止板2124が入口流路室2123の周縁に接着や溶接、螺合等
の固着手段で密閉固定されている。
【0042】
この入口流路体2120の逆止弁側の外周部には、段状のOリングボックス2126が
形成され、そのOリングボックス2126の外側にポンプ室体2130が圧入される段状
の固定部2127が形成されている。
【0043】
ポンプ室体2130は、入口流路室2123に流通するポンプ室体側出口流路2301
が前述した入口流路2122の反対側に穿設されている。ポンプ室体2130の入口流路
室2123の反対側に浅い凹部が形成されており、この凹部の開口部には、その周縁にダ
イアフラム2131が固定されている。この凹部とダイアフラム2131で構成された空
間がポンプ室2132である。
【0044】
また、出口流路接続管2300には、ポンプ室体側出口流路2301に連通し、同径の
接続管側出口流路2302が穿設されている。これらの、ポンプ室体側出口流路2301
と接続管側出口流路2302を併せて出口流路という。
【0045】
また、入口流路体2120とポンプ室体2130との接合部には、前述した固定部21
27の段部直径と略同じ直径の凹部2133が形成され、Oリングボックス2126内に
リング状のOリング2230が装着されている。この状態で入口流路体2120の固定部
2127とポンプ室体2130の凹部2133とが圧入固定され、Oリング2230が圧
接されて流体の漏れを防止している。
【0046】
なお、入口流路体2120とポンプ室体2130との接合は、圧入固定に限らず、接着
や、螺合によって固定することができる。
【0047】
ポンプ室体2130のダイアフラム2131側には、アクチュエータユニット2150
が装着されている。
【0048】
アクチュエータユニット2150は、筒状の筐体2152と、この筐体2152の一方
の開口部を閉塞する蓋部材2154と、この蓋部材2154の内側面に端部が固着される
アクチュエータ2151と、アクチュエータ2151の他方の端部に固着された上台21
55とから構成され、筐体2152の蓋部材2154とは反対側の端部がダイアフラム2
131を押圧しながら、その外周部をポンプ室体2130に形成されている凹状の固定部
に圧入して一体に固定される。
【0049】
この際、上台2155の図中上面がダイアフラム2131に密接された関係である。図
示しないが、筐体2152の側面には、内側から外側に貫通する孔が設けられ、この孔を
挿通するリード線が設けられ、やはり図示しないが外部の外部制御回路に接続されている
。アクチュエータ2151は、長手方向に伸縮する圧電素子であり、外部制御回路からパ
ルス状の電圧が印加されることで、伸縮を行い、伸びたときにダイアフラム2131を押
して撓ませてポンプ室2132の容積を減じ、収縮したときには、元の状態に引き戻し、
ポンプ室2132の容積を増加させる。尚、印加される電圧として交流電圧が印加される
こととしてもよい。
【0050】
出口流路接続管2300には、後述する接続流路管2200が圧入固定される接続流路
管固定穴2304が穿設されている。この接続流路管固定穴2304に接続流路管220
0の一方の端部が圧入される。また、出口流路接続管2300は、接続流路管固定穴23
04の反対側端部がポンプ室体2130から突出した出口流路固定部2134に圧入され
てポンプ室体2130に固定されている。
【0051】
接続流路管2200には、前述した出口流路と流通する接続流路2201が穿設されて
いる。接続流路管2200は、高剛性の金属材料で形成される。この接続流路管2200
の先端には、流体が噴射される開口部2211を有するノズル2210が圧入されている

【0052】
ノズル2210は、一方の先端に流体が噴射される際に流体が分散せず、しかも噴射方
向が一定になるような流体導入路2212に連続する開口部2211が設けられている。
また、他方の端部は、流体導入路2212に連続して先端側が広いテーパ孔2213が設
けられている。さらに、開口部2211の外側周縁は面取りや、円弧等で滑らかに丸めら
れている。
【0053】
接続流路2201は、直径が1mm〜3mmで、出口流路の直径よりも大きく、また、
接続流路2201の外殻である接続流路管2200の厚さが0.1mm〜1mmに設定さ
れている。従って、接続流路管2200の外径は最大で5mmとなる。また、接続流路管
2200の端部と出口流路接続管2300との当接部から開口部2211の入口までの距
離を接続流路とし、この長さをLとしたとき、Lは100mm〜200mmの範囲に設定
される。
【0054】
このようなウォータージェットメス210では、流体を断続的に噴射するパルス流を実
現するため流体の使用量が少なくても切除を行うことができるという利点がある。よって
、仮に上述の燃料電池220から発生する水の量が少ない場合であっても、この水を用い
て対象物を切除することができる。
【0055】
本実施形態では、ウォータージェットメス210としてパルス流を発生するウォーター
ジェットメスを用いているが、ウォータージェットメス210の形態はこれに限られない
。例えば、流体を連続的に勢いよく噴射して対象物を切除する液体噴射装置も含むもので
ある。
【0056】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解
釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得
ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0057】
10 燃料電池搭載車両、
120 燃料電池、130 冷却部、140 タンク、
145 二次電池、147 モーター、149 電力調整器、
150 ウォッシャー液タンク、153 アクセルペダル、
157 システム制御装置、177 ギア、
171 ウィンドウウォッシャー、
172 ライトウォッシャー
179 タイヤ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、該車両の動力部に電力を供給する燃料電池と、
前記燃料電池から発生した水を貯留する貯留部と、
前記貯留部の水を噴射する液体噴射装置と、
を備える燃料電池搭載車両。
【請求項2】
前記液体噴射装置は前記水が流入するポンプ室を備え、該ポンプ室の容積を変更するこ
とによって、水の噴射する、請求項1に記載の燃料電池搭載車両。
【請求項3】
前記液体噴射装置は、前記ポンプ室の容積を変更させるダイアフラムと該ダイアフラム
を変形させる圧電素子とを備え、前記圧電素子は、前記燃料電池から供給される電力を利
用してパルス状の電圧が供給されることによって伸縮する、請求項2に記載の燃料電池搭
載車両。
【請求項4】
前記液体噴射装置は、前記車両の一部の洗浄用として、水を噴射する、請求項1に記載
の燃料電池搭載車両。
【請求項5】
前記燃料電池から発生した水に対して前記車両の一部の洗浄に用いる洗浄剤が混合され
た洗浄水が、前記貯留部に供給される、請求項4に記載の燃料電池搭載車両。
【請求項6】
前記燃料電池はリン酸型燃料電池である、請求項1〜5のいずれかに記載の燃料電池搭
載車両。
【請求項7】
車両に搭載された燃料電池を用いて電力を生成することと、
前記燃料電池から発生する水を貯留することと、
前記燃料電池によって発生した電力を車両の動力部に供給することと、
前記貯留した水を前記車両に搭載された液体噴射装置から噴射させることと、
を含む液体噴射方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−106654(P2012−106654A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−257573(P2010−257573)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】