説明

燃焼機器の燃焼制御装置

【課題】 制御を複雑にすることなく、運転音を大きくしたり、燃焼用空気供給手段および機器を大型化することなく、スス発生防止のための安全装置作動による機器の運転停止確率を低下することができる燃焼機器の燃焼制御を提供する。
【解決手段】 燃焼ステップを決定する制御信号の指令に応じた燃焼ステップで燃焼を行い(S4)、燃焼中に最大燃焼ステップか否かが判断される(S5)。最大燃焼ステップでない場合はそのまま燃焼が継続されるが、最大燃焼ステップの場合には炎電流値が不完全燃焼発生ポイント閾値以上か否かが判断される(S6)。不完全燃焼発生ポイント閾値以下の場合には燃焼を停止して(S8)異常の表示を行う(S9)。不完全燃焼発生ポイント閾値以上の場合は、スス発生ポイント閾値以上か否かが判断され(S7),閾値以上の場合はそのまま燃焼が継続されるが、閾値以下の場合には燃焼ステップを一つ下へ変更して燃焼を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼用空気と気体燃料または気化した液体燃料とを所定の空燃比で燃焼させる燃焼機器の燃焼制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の燃焼制御装置に、燃焼状態検知信号を燃焼状態基準信号、第1閾値信号、第2閾値信号と比較することにより少なくとも4つのレベルにデコードし、デコード結果に基づく制御信号を、燃料供給量調節手段または燃焼空気量調節手段に供給するように構成し、前記デコード結果に応じた燃料供給量の変化または燃焼空気量の変化が得られるようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、他の従来の燃焼制御装置に、バーナーと、該バーナーにガスを供給するガス供給手段と、前記バーナーに供給するガス量を可変するため前記ガス供給手段に設けられるガス量可変手段と、前記バーナーに燃焼用空気を供給する空気供給手段と、前記バーナーに供給する燃焼用空気量を可変するため前記空気供給手段に設けられる空気量可変手段と、前記ガス量可変手段により可変されたガス量に応じて前記空気量可変手段により可変される空気量を制御する燃焼制御手段と、前記バーナーの燃焼状態を検知するバーナー燃焼状態検知手段と、前記バーナー燃焼状態検知手段からの検知信号が所定の閾値以下になったときガス量と空気量との空燃比を変更する空燃比変更手段とを備えたものがある。
このバーナー燃焼状態検知手段は、バーナー火炎のCO/CO2比に対応する変化を検知するものであり、空燃比変更手段は、ガス量に対する空気量を増加させるように空燃比を変更するものと、空気量を変えずにガス量を低減させることによりその空燃比を変更するものとがある。
そして、バーナーへ供給されるガス量に応じて閾値を変更する閾値変更手段を備えている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開昭56−66622号公報(第4−6頁、図3−9)
【特許文献2】特開平7−35341号公報(第4−6頁、図1−11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている従来装置の制御では、燃焼状態検知信号を燃料供給量と燃焼空気量の関係としてのみとらえ、燃料供給量を固定した場合に、燃焼状態検知信号の値が基準値として設定した値からズレがあった場合には、燃焼空気量を可変することで基準値に近づけるように補正する制御を行い、燃焼空気量を固定した場合に、燃焼状態検知信号の値が基準値として設定した値からズレがあった場合には、燃料供給量を可変することで基準値に近づけるように補正するようにしている。
しかしながら、燃焼状態検知信号を変化させるものは、燃料供給量と燃焼空気量の二つの要因で構成されているとは限らず、具体的に述べると、燃焼状態検知信号の検知手段がフレームロッドである場合には、フレームロッドが高温の火炎中に投入されて使用されることなどから、表面に金属酸化物が生成されるなどの経時変化が発生し、この金属酸化物が電気絶縁性を有する場合などには、燃料供給量と燃焼空気量は同じ条件であっても燃焼状態検知信号の値が変化して、間違った補正制御を行い、正常な燃焼状態が得られなくなるという問題がある。
【0006】
特許文献2に開示されている従来装置の制御では、ガスバーナーを前提に、燃焼状態検知手段からの検知信号が所定の閾値以下になったとき、ガス量と空気量との空燃比を変更する空燃比変更手段を備えたものが示されているが、その内容は下記の通りである。
(1)燃焼状態検知手段は、バーナー火炎のCO/CO2比に対応する変化を検知する。
(2)空燃比変更手段は、ガス量に対する空気量を増加させるように、燃焼用空気供給手段の回転数を増加させる。
(3)空燃比を変更する領域は、燃焼量制御範囲の全域あるいは低燃焼量側の一部を除いた領域である。
(4)空燃比変更手段は、ガス量に対する空気量を増加させるように燃焼用空気供給手段の回転数を増加させながら、最大送風の回転数のみを初期値から変更しないで、最大燃焼時のガス量において変更後の空燃比となるポイントのガス量に制限をする。
(5)ガス量に応じて閾値を変更する。
(6)第1の閾値よりも低い値の第2の閾値以下になったときに燃焼を停止させる。
(7)燃焼状態検知手段が熱電対である。
【0007】
上記のような特許文献2に開示されている発明は、燃焼用空気の不足あるいは燃焼用空気として供給される空気中の酸素濃度の低下(酸欠状態)を補正するために燃焼用空気供給手段の回転数を制御するようにしている。
燃焼を開始してから1分後に、燃焼状態検知手段からの検知信号と閾値との比較を行い、検知信号が閾値以下の場合は、燃焼用空気の不足あるいは、燃焼用空気として供給される空気中の酸素濃度の低下と判断して、燃焼用空気供給手段の制御プログラムを変更するものである。
このため、正常状態での燃焼用空気供給手段の制御プログラムと、燃焼用空気の不足あるいは燃焼用空気として供給される空気が酸欠状態である場合の燃焼用空気供給手段の制御プログラムの2つのプログラムが必要であり、制御が複雑化するという問題がある。
また、燃焼用空気供給手段の回転数を増加させる制御においては、その制御要求を満たすために能力の大きなモーターが必要になることや、このような制御の結果として運転音が増大するという問題がある。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、複雑な制御を必要とせず、現在の燃焼空気供給手段の能力内で制御が可能であり、運転音も大きくならないという利点を併せ持ちながら、機器の燃料供給量のバラツキと機器の燃焼用空気供給量のバラツキの最悪側条件が重なった条件が、バーナーの燃焼性能のスス発生領域に抵触する場合は燃焼ステップを一つ下のステップに移行するように制御を行って燃焼を継続することで、ススの発生を防止し、且つ、安全装置で運転が停止する確率を低下することを目的とするものである。
また、機器の燃料供給量のバラツキと機器の燃焼用空気供給量のバラツキの最悪側条件が重なった条件が、バーナーの燃焼性能の不完全燃焼発生領域に抵触する場合は、燃焼を停止して安全を確保することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る燃焼機器の燃焼制御装置は、バーナーと、該バーナーに燃料を供給する燃料供給手段と、前記バーナーに燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給手段と、前記バーナーの燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段と、燃料供給量と燃焼用空気供給量との比率を所定値に設定した燃焼ステップを複数段備え、これら燃焼ステップを決定する制御信号に応じて燃焼ステップを制御する制御手段とを備え、前記燃焼ステップにおける最大燃焼ステップの燃焼用空気の空気過剰率の設定を、前記最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップの燃焼用空気過剰率に比べて低く設定すると共に、前記最大燃焼ステップにおいて前記燃焼状態検知手段からの検知信号に対して少なくとも不完全燃焼発生ポイントに対する閾値とスス発生ポイントに対する閾値を設定し、前記検知信号が不完全燃焼ポイントに対する閾値より燃焼状態が悪い領域にある場合は燃焼を停止し、前記検知信号が不完全燃焼ポイントの閾値より燃焼状態が良い領域にあってスス発生ポイントの閾値より悪い燃焼領域にある場合は一つ下の燃焼ステップへ移行するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る燃焼機器の燃焼制御装置によれば、機器の燃料供給量のバラツキと機器の燃焼用空気供給量のバラツキの最悪側条件が重なった条件が発生した場合であっても、安易に安全装置で運転を停止させず、バーナーの燃焼状態の悪化をカバーする制御を行って運転を継続し、機器の保護と使用者の利便性向上の両立を果たすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
[実施の形態1]
図1は、本発明を実施する燃焼機器の一例を示す密閉式の石油ストーブの説明図である。
図1において、室内に設置された本体1の背面上部には室内空気取込口2が、また前面下部には温風吹出口3が設けられており、室内空気取込口2と温風吹出口3を連通するように風路4が形成されている。そして、室内空気取込口2には塵埃等の侵入を防止するフィルター5が配設され、また、風路4内には、室内空気取込口2から温風吹出口3へ向う空気の流れを発生するための対流ファン6が設けられている。
【0012】
また、本体1内には、燃料供給手段である電磁ポンプ17によって送られた燃料を気化し、燃焼ファン18により室外に設けた給気口8から取込まれた空気と混合して燃焼を行うバーナー16が設けられており、このバーナー16と電磁ポンプ17とにより燃焼手段を構成している。25はバーナー16で形成された火炎に挿設され、バーナー16の燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段であるフレームロッドである。
バーナー16の上部には、バーナー16で発生した燃焼排ガスにより風路4を流れる空気を加熱する熱交換器19が設けられており、この熱交換器19は、排気接続部材24により本体排気口15と接続されている。
【0013】
給排気筒トップ7は室内外を隔てる壁に穴をあけて取付けられており、室外に開口する給気口8と連通する給気接続部9と、燃焼ファン18に連通する本体給気口11とは給気ホース10により接続されて燃焼用空気供給手段を構成しており、また、室外に開口する排気口12と連通する排気接続部13と本体排気口15とは排気管14により接続されている。
本体1の背面下部には機器の周囲温度(室温)を検知する室温センサー22が配設されており、熱交換器19と本体排気口15を接続する排気接続部材24には、排気接続部材24の温度を検知する温度センサー23が取付けられている。なお、21は本体1の上面に設けられた操作・表示部である。
【0014】
本体1の下部に設けた制御手段である制御回路20は、操作・表示部21で設定された設定温度と、室温センサー22によって検知された温度(以下、室温という)との差によって後述の燃焼ステップを決定し、この燃焼ステップに基づいた指令信号により電磁ポンプ17及び燃焼ファン18を制御し、排気接続部材24に取付けた温度センサー23によって検知された温度に基づいて対流ファン6を制御して、フレームロッド25からの検知信号(以下、炎電流値という)と、予め設定した閾値との比較を行っている。なお、操作・表示部21は本体1の他の部位に設けてもよく、また、室温センサー22は他の部位あるいは任意の位置に移動しうるようにしてもよい。
【0015】
図2は、操作・表示部21で設定された設定温度と、室温センサー22により検出された室温との差に基づいて、燃焼ステップを7ステップに設定した場合の一例の説明図である。燃焼ステップは、燃焼量をなめらかに制御するために強・弱のような2段階ではなく、多段階設定するのが望ましい。ここで、図2について説明すると、運転開始時に、設定温度と室温の偏差が−0.8℃の場合、燃焼ステップは6に設定され、制御回路20から燃焼ステップ6に相当する指令信号が燃焼ファン18と電磁ポンプ17に送られ燃焼を開始する。そして、設定温度を上げたり、室温が下がったりして設定温度と室温の偏差が−1.2℃程度になると、燃焼ステップは6から7に切り替わる。なお、各ステップ毎に適切な燃焼状態を得るように燃焼ファン18と電磁ポンプ17への指令信号は予め設定されている。また、図2では、燃焼ステップを7ステップとしているが、7ステップに限定されるものではない。
【0016】
図3は、燃焼ステップを7ステップに設定し、最大燃焼ステップ(燃焼ステップ7)の燃焼用空気の空気過剰率設定を、最大燃焼ステップ7より一つ下の燃焼ステップ6に比べて低く設定した、各燃焼ステップにおける灯油供給量と燃焼用空気供給量の設定状態の一例を表す説明図である。ここで、空気過剰率とは、バーナーに供給される実際の燃焼用空気の量と、燃料の理論燃焼空気量との比を表わす指標であり、バーナーに供給される燃料を燃焼させるのに理論的に必要な空気量に対する倍率で表わされる。
【0017】
図3に基づいて説明すると、横軸に燃焼用空気供給量を、縦軸に灯油供給量を表わし、灯油供給量に対して燃焼用空気供給量を減少させてゆくとススが発生しはじめる。これをスス発生ラインとして示し、更に燃焼用空気供給量が減少した領域をスス発生領域とした。スス発生領域には燃焼が不完全となる燃焼状態があり、これを不完全燃焼発生ラインとして示した。一方、灯油供給量に対して燃焼用空気供給量を増加してゆくと、バーナーから火炎がリフトして不完全燃焼が発生しはじめる。これをリフトラインとして示し、更に燃焼用空気供給量が増加した領域をリフト領域とした。当然ながらスス発生ラインとリフトラインとの間が良好な燃焼が得られる領域である。また、各燃焼ステップにおける灯油供給量と燃焼用空気供給量の設定値を結ぶラインを、燃焼ステップ設定ラインとして示している。燃焼ステップ1から6までは灯油供給量に対して一定の傾きをもち、ほぼ直線的に燃焼用空気供給量が変化するように各燃焼ステップを設定しているが、燃焼ステップ7は、燃焼ステップ6の設定値と燃焼ステップ7の設定値を結ぶラインの傾きが他の部分に比べて大きいことから、空気過剰率が低く設定されていることがわかる。
【0018】
このような機器においては、灯油供給量、燃焼用空気供給量ともに設定値に対してバラツキが生じる。
機器の燃料供給量のバラツキを発生する要因としては、燃料の物性値のバラツキ、燃料供給手段の供給性能バラツキ、機器の設置場所の標高や気象変化を原因とする気温の変動等が挙げられる。また、機器の燃焼用空気供給量のバラツキを発生する要因としては、機器の設置場所の標高に起因する気温及び大気圧のバラツキ、気象変化に起因する気温及び大気圧のバラツキ、機器の送風性能のバラツキ、電源電圧変動などを含めた制御性能のバラツキ、機器設置時の標高条件・給排気管の長さ条件の設定誤りなどがある。
【0019】
このバラツキの要因を考慮した設定値に対するバラツキ範囲を燃焼ステップ1,6,7について図3に示した。燃焼ステップ7のバラツキ範囲は、一部分がスス発生領域に僅かに抵触するような設定としており、前記バラツキの要因が重なった最悪側の条件ではスス発生燃焼となるが、統計的に極めて少ない確率で発生する現象であるから、このような事態は極めて稀にしか発生しない。
【0020】
次に、図4に示したフローチャートにより、本発明の燃焼制御作用を説明する。なお、スス発生ポイント閾値および不完全燃焼発生ポイント閾値は、あらかじめ設定されているものとする。
操作・表示部20により電源をONし、所望の温度を設定して運転を開始すると、室温センサー22が検出した室温(周囲温度)と、操作・表示部21で設定された設定温度とにより(室温)−(設定温度)が計算され、その偏差が例えば+2℃未満かが判断される(ステップ1−S1と記す。以下同様)。結果がNOの場合は燃焼を停止したままS1に戻り繰り返えされる。YESの場合は燃焼中か否かが判断される(S2)。S2でNOの場合は、制御部20からの指令信号により燃料ファン18と電磁ポンプ17が始動し、点火プラグによる点火を経て燃焼が開始される(S3)。なお、S2でYESの場合はS4に進み、その後は燃焼ステップを決定する制御信号の指令に応じた燃焼ステップで燃焼を行う(S4)。
【0021】
そして、燃焼ステップが最大燃焼ステップかどうかを確認(S5)し、最大燃焼ステップ以外の場合は、現在の燃焼ステップで燃焼を継続し(S1へ戻る)、最大ステップの場合は、フレームロッド25により検出された炎電流値と予め設定された不完全燃焼発生ポイント閾値と比較(S6)し、不完全燃焼レベル閾値よりも燃焼状態が悪い領域にある場合(このフローチャートでは炎電流値が小さい場合)は、燃焼を停止(S8)し、異常表示(S9)を行う。不完全燃焼レベル閾値よりも燃焼状態が良い領域にある場合(このフローチャートでは炎電流値が大きい場合)はスス発生ポイント閾値と比較(S7)する。
【0022】
炎電流値がスス発生ポイント閾値よりも燃焼状態が良い領域にある場合(このフローチャートでは炎電流値が大きい場合)はそのまま最大燃焼ステップの燃焼を継続する。炎電流値がスス発生ポイント閾値よりも燃焼状態が悪い領域にある場合(このフローチャートでは炎電流値が小さい場合)は、一つ下の燃焼ステップ(燃焼ステップ6)に移行して(S10)燃焼を継続する。
一つ下の燃焼ステップに移行して燃焼を継続する制御の解除条件は、炎電流値がスス発生ポイント閾値以上と判定された場合であってもよいし、室温調節のための燃焼ステップ制御で燃焼停止した場合や、運転スイッチを「切」とした場合の燃焼停止のいずれでもよい。
【0023】
上記のように、本発明においては、最大燃焼ステップのみで炎電流値とスス発生ポイント閾値との比較判定を行っているが、その理由は、最大燃焼ステップの燃焼用空気の空気過剰率設定を他の燃焼ステップに比べて低く設定していることで、燃焼用空気量の減少に起因する燃焼状態の悪化を最大燃焼ステップで代表して検出するように構成しているからである。
【0024】
上記の説明では、燃焼機器として密閉式石油ストーブを、また、燃焼状態検知手段としてフレームロッドを用いた場合を示した。密閉式石油ストーブにおいてはエネルギー消費効率の向上が求められており、本発明のように、最大燃焼ステップの空気過剰率設定を低くすることにより、排気ガスが保有する熱量を少なくすることができるので、省エネルギーに寄与することができる。しかし、本発明を適用する燃焼機器としては、密閉式石油ストーブに限定するものではなく、また、燃焼状態検知手段もフレームロッドに限定せず、他の燃焼機器、燃焼状態検知手段であってもよい。
【0025】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、バーナーの燃焼状態が悪化して、ススを発生するような燃焼状態となったときに、燃焼用ファンの回転数を増加するのではなく、燃料供給量を減少させる方向に燃焼ステップを一つ下に移行する制御を行うことにより、運転音を増加させたり、機器を大型化したりしないで、安全装置の作動により機器の運転を停止してしまう確率を低下して、利便性の高い燃焼機器を得ることができる。
なお、付言すれば、本発明は、燃焼状態検知手段がススの発生を検知して制御を行うものであり、また、燃焼用ファンの回転数を増加することなく、あらかじめ空気過剰率の設定を変えて設定してある一つ下の燃焼ステップに切り替えることにより、安全装置の作動で停止する確率を低減するようにした点で、特許文献2の発明とは相違する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明を実施する燃焼機器の一例を示す密閉式石油ストーブの説明図である。
【図2】本発明の一実施の形態の室温と設定温度との差により決定される燃焼ステップの説明図である。
【図3】本発明の一実施の形態の密閉式石油ストーブの各燃焼ステップにおける灯油供給量と燃焼用空気供給量の設定値の説明図である。
【図4】本発明の作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0027】
1 本体、2 室内空気取込口、3 温風吹出口、4 風路、6 対流ファン、8 給気口、11 本体給気口、12 排気口、16 バーナー、17 電磁ポンプ、18 燃焼ファン、19 熱交換器、20 制御回路、21 操作・表示部、22 室温センサー、23 温度センサー、25 フレームロッド。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナーと、該バーナーに燃料を供給する燃料供給手段と、前記バーナーに燃焼用空気を供給する燃焼用空気供給手段と、前記バーナーの燃焼状態を検知する燃焼状態検知手段と、燃料供給量と燃焼用空気供給量との比率を所定値に設定した燃焼ステップを複数段備え、これら燃焼ステップを決定する制御信号に応じて燃焼ステップを制御する制御手段とを備え、
前記燃焼ステップにおける最大燃焼ステップの燃焼用空気の空気過剰率の設定を、前記最大燃焼ステップより一つ下の燃焼ステップの燃焼用空気過剰率に比べて低く設定すると共に、前記最大燃焼ステップにおいて前記燃焼状態検知手段からの検知信号に対して少なくとも不完全燃焼発生ポイントに対する閾値とスス発生ポイントに対する閾値を設定し、前記検知信号が不完全燃焼ポイントに対する閾値より燃焼状態が悪い領域にある場合は燃焼を停止し、前記検知信号が不完全燃焼ポイントの閾値より燃焼状態が良い領域にあってスス発生ポイントの閾値より悪い燃焼領域にある場合は一つ下の燃焼ステップへ移行して燃焼を継続し、前記検知信号がスス発生ポイントの閾値よりよい燃焼側の領域にある場合は前記最大燃焼ステップで燃焼を維持することを特徴とする燃焼機器の燃焼制御装置。
【請求項2】
前記燃焼状態検知手段がフレームロッドであることを特徴とする請求項1記載の燃焼機器の燃焼制御装置。
【請求項3】
前記燃焼状態検知手段がフレームロッドであって、機器が密閉燃焼式石油ストーブであることを特徴とする請求項1記載の燃焼機器の燃焼制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−38375(P2006−38375A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221309(P2004−221309)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】