説明

燃焼状態監視装置及び燃焼状態監視方法

【課題】本発明は、異常発生の早期段階から操作者が燃焼状態の異常発生を把握できる燃焼状態監視装置及び燃焼状態監視方法を提供することを目的とする。
【解決手段】燃焼により発生する紫外線量を検出する紫外線量検出手段40と、
前記紫外線量が正常値より低下したときに、低下量に応じて段階的にアラーム信号を発生させるアラーム信号発生手段50と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃焼状態監視装置及び燃焼状態監視方法に関し、特に、紫外線量を検出して燃焼状態を監視する燃焼状態監視装置及び燃焼状態監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、半導体装置の拡散装置において、外部燃焼装置で酸素と水素とを燃焼させて水蒸気を生成させ、これを処理室に供給して半導体ウエハの表面に高純度の酸化膜を生成させるようにしたものが知られている。
【0003】
かかる外部燃焼装置では、水素ガスが燃焼しているかどうかを検出するために炎センサを設け、炎センサにより水素火炎の紫外線を検知し、紫外線が検知されないときは、炎がないと判断し、エラー信号を本体コントローラに発して、装置の停止、或いは作業者に警告を発するなどの所要の手段を講ずるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−78404号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の構成では、炎センサにより紫外線がないと判断されたときには、エラー信号を発して装置の停止等の所要の手段を講じるため、判断基準となる紫外線量は、炎が無い状態の非常レベルに設定されていた。よって、炎が正常時よりも少ないが、燃焼自体は継続している、というレベルの異常が発生し始めた段階では、異常発生の燃焼状態を的確に把握することができず、炎が無くなったら突然に装置の停止等の所要の手段が講じられるという極端な対応しかできなかった。
【0005】
そこで、本発明は、炎が無くなるまでは行かないが、正常状態とは異なって何か異常が発生している、という段階で、操作者が燃焼状態の異常発生を把握できるようにし、異常発生の早期段階から適切な対応をとることを可能とする燃焼状態監視装置及び燃焼状態監視方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、第1の発明に係る燃焼状態監視装置(80)は、燃焼により発生する紫外線量を検出する紫外線量検出手段(40)と、
前記紫外線量が正常値より低下したときに、低下量に応じて段階的にアラーム信号を発生させるアラーム信号発生手段(50)と、を有することを特徴とする。
【0007】
これにより、燃焼状態に異常が発生したことを早期から段階的に知らせることができ、操作者は異常燃焼に対する適切な処置を行うことが可能となる。
【0008】
第2の発明は、第1の発明に係る燃焼状態監視装置(80)において、
前記アラーム信号発生手段(50)は、複数段の下限基準値を有し、前記紫外線量が該下限基準値よりも低下したときに、各アラーム信号を発生させることを特徴とする。
【0009】
これにより、紫外線量が複数の基準値よりも低下したときに、紫外線量が減少している、即ち燃焼が適切に行われていないことを各々の段階で検出することができ、段階的にアラーム信号を発生させることができる。
【0010】
第3の発明は、第1又は第2の発明に係る燃焼状態監視装置(80)において、
電流を電圧に変換する電流−電圧変換回路(51、52、53)を備え、
前記紫外線量検出手段(40)は、前記紫外線量を電流に変換して検出し、
前記アラーム信号発生手段(50)は、前記電流−電圧変換回路(51、52、53)により変換された電圧値に基づいて前記アラーム信号を発生させることを特徴とする。
【0011】
これにより、紫外線量で燃焼の有無を検知する従来の検出回路に流れる電流には影響を与えることなく、段階的にアラーム信号を発生させる機能を付加することができる。
【0012】
第4の発明は、第1〜3のいずれかの発明に係る燃焼状態監視装置(80)において、
前記アラーム信号に基づいてアラームを発するアラームユニット(70)を更に有することを特徴とする。
【0013】
これにより、段階的にアラームを発生させ、操作者に早期段階から異常燃焼発生を了知させることができる。
【0014】
第5の発明は、第1〜4のいずれかの発明に係る燃焼状態監視装置(80)において、
前記紫外線量の変化を表示する表示手段(60)を更に有することを特徴とする。
【0015】
これにより、燃焼状態を視覚的に時間的変化の傾向を含めて把握することができ、きめ細かな燃焼状態の監視を行うことが可能となる。
【0016】
第6の発明は、第1〜5のいずれかの発明に係る燃焼状態監視装置(80)において、
前記紫外線量検出手段(40)は、縦型拡散装置(150)の外部燃焼機構(100)の燃焼ビン(10)付近に備えられ、
前記外部燃焼機構(150)の燃焼状態を監視することを特徴とする。
【0017】
これにより、半導体装置の製造工程に用いられる縦型拡散装置の外部燃焼機構における燃焼状態を監視することができ、半導体ウエハの酸化膜形成が適切に行われる燃焼状態であるか否かを監視することができ、製品歩留まりを向上させることができる。
【0018】
第7の発明に係る燃焼状態監視方法は、燃焼により発生する紫外線量を検出する紫外線量検出工程と、
前記紫外線量が正常値より低下したときに、低下量に応じて段階的にアラーム信号を発生させるアラーム信号発生工程と、を有することを特徴とする。
【0019】
これにより、異常発生の早期段階から異常燃焼を検出することができ、異常発生度合いに応じて適切な対応をとることが可能となる。
【0020】
第8の発明は、第7の発明に係る燃焼状態監視方法において、
前記アラーム信号発生工程は、設定された複数の下限基準値よりも前記紫外線量が低下したときに、各アラーム信号を発生させることを特徴とする。
【0021】
これにより、複数の基準値を設定し、紫外線量と燃焼状態との関係から、適切なタイミングでアラーム信号を発生させるような設定を行うことができる。
【0022】
第9の発明は、第7又は第8の発明に係る燃焼状態監視方法において、
前記紫外線量検出工程は、紫外線量を電流に変換して検出する工程と、該電流を電圧に変換する電流−電圧変換工程を含み、
前記アラーム信号発生工程は、電圧値に変換された紫外線量を用いて、アラーム信号を発生させることを特徴とする。
【0023】
これにより、紫外線量に基づいて炎の有無を検出する従来の検出回路に流れる電流には影響を与えないとともに、電圧値を用いて容易に判定処理を行うことができる。
【0024】
第10の発明は、第7〜9のいずれかの発明に係る燃焼状態監視方法において、
前記アラーム信号に基づいてアラームを発するアラーム発生工程を更に有することを特徴とする。
【0025】
これにより、燃焼異常が発生した早期段階から操作者に燃焼異常を了知させることができ、異常の程度に応じて適切な処置をとることが可能となる。
【0026】
第11の発明は、第7〜10のいずれかの発明に係る燃焼状態監視方法において、
前記紫外線量の変化を表示する紫外線量表示工程を更に含むことを特徴とする。
【0027】
これにより、紫外線量の変化を視覚的に把握することができ、時間的経過の傾向も踏まえて適切な処置を行うことが可能となる。
【0028】
第12の発明は、第7〜11のいずれかの発明に係る燃焼状態監視方法において、
前記紫外線量検出工程は、縦型拡散装置(150)の外部燃焼機構(100)の燃焼ビン(10)内の燃焼について行い、
前記外部燃焼機構(100)の燃焼状態を監視することを特徴とする。
【0029】
これにより、半導体製造プロセスの酸化膜形成工程において、適切な燃焼状態で半導体ウエハ上に高純度の酸化膜を形成することが可能となり、製品の品質向上及び製品歩留まりの向上に寄与することができる。
【0030】
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、図示の態様に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、燃焼状態の異常発生を早期から異常度合いに応じて認識でき、適切な対応をとることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための最良の形態の説明を行う。
【0033】
図1は、本発明を適用した実施例に係る燃焼状態監視装置80を、半導体製造装置の縦型拡散装置150に適用した例を示した全体構成図である。図1において、縦型拡散装置150は、外部燃焼機構100と、処理室110とを備える。
【0034】
処理室110は、半導体ウエハWに高純度の酸化膜を形成する処理を行う収容室である。半導体ウエハWは、ウエハポート120に複数枚が載置され、半導体ウエハWを保持したウエハポート120が処理室110内に収容され、外部燃焼機構100から接続部15を介して高純度の水蒸気が供給されることにより、表面に酸化膜が形成される。
【0035】
外部燃焼機構100は、処理室に水蒸気を供給するための加熱・燃焼手段である。外部燃焼機構100は、燃焼ビン10と、バーナー20と、ランプ30とを備える。燃焼ビン10は、燃焼を内部で発生及び持続させるための容器である。
【0036】
バーナー20は、燃焼ビン10の開口を密封し、燃焼ビン10の内部に気体を供給し、燃焼ビン10内の燃焼を発生及び継続させるための手段である。燃焼ビン10の開口は、開口径が外側から内側に入るにつれて小さくなるテーパー状の開口をしており、バーナー20の形状は、そのテーパー形状と係合するようなテーパー状の円錐台形状を含んでいる。バーナー20には、気体供給管21、22がバーナー20を貫通して備えられ、供給管21、22の外側端部は、燃焼ビン10の外部にあるコネクタ23、24と接続され、コネクタ23、24から気体供給管21、22に気体が供給されるようになっている。気体は、例えば、外部燃焼機構80から処理室90に水蒸気を供給する場合、水素ガスと酸素ガスが供給される。例えば、コネクタ23を介して気体供給管21からは水素ガスが供給され、コネクタ24を介して気体供給管22からは酸素ガスが供給されるように構成してもよい。また、バーナー20は、燃焼ビン10の内部に集光板25を保持する。集光板25は、燃焼を発生させる火種のような役割を果たす熱伝導性の高い板状部材であり、例えば、SiC等が適用されてもよい。
【0037】
ランプ30は、燃焼ビン10の外部から、集光板25に光を照射し、集光板25の温度を高くするための燃焼発生手段である。ランプ30が集光板25を光で照射し、集光板25の温度が500℃以上、例えば800℃程度まで高まった段階で、気体供給管21、22から水素ガス及び酸素ガスを適量供給すると、着火の条件が整い燃焼が発生・開始する。
【0038】
燃焼状態監視装置80は、例えば、このような半導体製造工程における酸化膜形成工程の縦型拡散装置150に適用されてもよい。また、本実施例に係る燃焼状態監視装置80は、外部燃焼機構100の外部に備えられてよい。
【0039】
本実施例に係る燃焼状態監視装置80は、紫外線量検出手段40と、アラーム信号発生手段50とを備える。そして、燃焼状態監視装置80は、必要に応じて、更に表示手段60と、アラームユニット70とを備えてもよい。
【0040】
紫外線量検出手段40は、燃焼ビン10内の燃焼で発生する紫外線を検出する手段である。紫外線量検出手段40は、通常のUV(Ultraviolet)センサ等が適用されてよく、例えば、紫外線量に比例した電流量を出力することにより、紫外線量を検出するセンサが適用されてもよい。紫外線量検出手段40は、発生する紫外線量を検出できれば、種々の種類や形式のセンサを適用することができる。また、紫外線量検出手段40は、燃焼ビン10内で発生している燃焼から発生する紫外線量を適切に検出するため、燃焼ビン10の近傍に設置されることが好ましい。特に、燃焼ビン10の燃焼中心から紫外線量を適切に検出するため、例えば、集光板25の直下の燃焼ビン10外に配置されてもよい。通常、ランプ30も、集光板25の直上に配置される場合が多いので、例えば、ランプ30、集光板25及び紫外線量検出手段40が鉛直方向に一直線に配置される構成であってもよい。
【0041】
アラーム信号発生手段50は、紫外線量検出手段40で検出した紫外線量の検出信号に基づいて、紫外線量を測定するとともに、燃焼異常の発生を検出し、アラーム信号を発生させるための手段である。なお、紫外線量の測定は、正確に紫外線量に変換して測定してもよいし、例えば、紫外線量に比例した電圧を出力するような測定方法であってもよい。アラーム信号発生手段50の内部構成の詳細については、後述する。
【0042】
表示手段60は、アラーム信号発生手段50で測定された紫外線量を表示するための手段である。表示手段60は、例えば、デジタルパネルメータのように、紫外線量の時間経過による変化を、折れ線グラフにして示すことができる表示手段60が適用されてもよい。
【0043】
アラームユニット70は、アラーム信号発生手段50で発生したアラーム信号に基づいて、アラームを発報する手段である。アラームユニット70は、操作者に燃焼の異常が発生していることを知らせることができれば、種々の手段が適用されてよく、例えば、ブザー等の音声によるアラームや、警報ランプ等の視覚により認識できるアラーム等が適宜用途に応じて適用されてよい。また、縦型拡散装置150との連動がなされていれば、縦型拡散装置150を強制停止させるような機能を備えていてもよい。
【0044】
このように、本実施例に係る燃焼状態監視装置80は、例えば、半導体製造プロセスで用いられる縦型拡散装置150の外部燃焼機構100の燃焼状態を監視するのに用いられてもよい。以下、縦型拡散装置150の外部燃焼機構100に本実施例に係る燃焼状態監視装置80が適用された例を挙げて説明する。
【0045】
図2は、本実施例に係る燃焼監視装置80の全体構成の詳細を示した図である。図2において、本実施例に係る燃焼監視装置80は、紫外線量検出手段40と、アラーム信号発生手段50と、表示手段60と、アラームユニット70とを備える。また、関連構成要素として、アンプリレー90を備えてもよい。図1で説明したように、表示手段60及びアラームユニット70は、必要に応じて備えられてよい。
【0046】
従来、外部燃焼機構100には、紫外線量検出手段40と、アンプリレー90のみが備えられていた。縦型拡散装置150においては、外部燃焼機構100で水素ガスと酸素ガスを燃焼させているが、着火の際には、炎が発する紫外線をUVセンサの紫外線量検出手段40で検知させ、センサ出力をアンプリレー90のアンプで増幅させるようにしていた。そして、増幅させた信号でアンプリレー90のリレーを駆動し、縦型拡散装置150本体は、リレー信号の開閉で炎が存在すること、即ち着火を認識していた。
【0047】
しかしながら、紫外線量は、水素ガスと酸素ガスの流量比で増減するため、正常に着火しても、センサ出力値が低いと、認識できない場合があった。また、時系列での出力変化は捉えられないという問題があった。
【0048】
そこで、本実施例に係る燃焼状態監視装置80においては、紫外線量検出手段40と、アンプリレー90との間に、アラーム信号発生手段50を設け、センサ出力値が低い場合であっても、確実に紫外線量を検出できるようにしている。また、時系列の変化は、表示手段60に表示できるような構成としている。
【0049】
以下、燃焼状態監視装置80の構成の詳細を説明する。図2において、紫外線量発生手段40は、図1に説明した通りであるので、その説明を省略する。図2においては、紫外線量を電流値の大きさとして検出するUVセンサが適用された例が示されている。
【0050】
アラーム信号発生手段50は、図1で説明したように、紫外線量を測定し、必要に応じてアラーム発生信号を出力する手段であり、固定抵抗51と、コンデンサ52と、測定・警報判定手段53とを備える。
【0051】
アラーム信号発生手段50は、電流−電圧変換回路を構成しており、紫外線量検出手段40からアンプリレー90に出力される電流を、電圧に変換してその電圧値を検出している。つまり、紫外線量検出手段40からアンプリレー90に出力される電流を、固定抵抗51により電圧値として検出し、電圧計を備える測定・警報判定手段53により電圧値が測定され、紫外線量が検出される。なお、紫外線量は、正確に発生量の単位を用いて検出されなくてもよく、例えば、紫外線量に比例した電圧値で検出されてよい。
【0052】
コンデンサ52は、紫外線量検出手段40からアンプリレー90に出力される電流に影響を与えないように設けられている。
【0053】
測定・警報判定手段53は、紫外線量を示す固定抵抗51の両端の電圧を測定し、この電圧値から、紫外線量を設定基準値と比較して評価し、紫外線量が正常状態よりも低いと判定された場合には、アラーム発生信号をアラームユニット70に出力する。また、測定・警報判定手段53は、測定した電圧値を、表示手段60に出力する。よって、例えば、測定・警報判定手段53は、電圧計と、比較演算用のコンパレータ等を含んで構成されてよい。また、測定・警報判定手段53は、着火が正常に行われている燃焼状態と、着火が全く行われていない状態の中間、つまり着火自体はなされているが、燃焼度合いが小さい場合や、一時的に燃焼量が低下した状態等を判定してアラーム発生信号を出力する手段であるため、好ましくは、複数のアラーム発生信号の基準値が設定されてよい。これにより、軽度の燃焼低下であれば注意、重度の燃焼低下であれば警告等の異常燃焼の異常度合いに応じた警報を発することができる。
【0054】
表示手段60は、図1で説明したように、紫外線量の時間経過を示す手段であり、例えば、紫外線量を電圧として表示するデジタルパネルメータ等が適用されてよい。アラームユニット70も、図1で説明したように、操作者にアラームを発報して了知させることができる手段であれば、種々のものが適用されてよい。また、アラームユニット70は、紫外線量の減少の度合いに応じて、音声が異なるアラームが出力されたり、警報ランプの色や明るさが変化するように構成されたりしてもよい。
【0055】
図3は、従来から行われている外部燃焼機構100の着火シーケンスを示した図である。なお、今まで説明した構成要素については、同一の参照符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
図3において、ステップ200では、ランプ30がオンとなり、点灯する。つまり、燃焼ビン10の着火条件が整い、着火が行われる。
【0057】
ステップ210では、第1段階の燃焼が行われる。ランプ30がオンした直後では、確実に着火させるため、水素ガスHと酸素ガスOの流量比は、H:O=1:1である。燃焼時に発生する紫外線量は、水素ガスの量が多くなると減少し、酸素が多くなると増加する傾向にある。従って、燃焼開始時は、水素ガスと酸素ガスの供給流量比を1:1とし、酸素ガスが十分に確保され、紫外線量を多く発生して着火が確実に行われるとともに、紫外線を検出し易い状態で着火がなされる。ステップ210において、紫外線量検出手段40は、紫外線を検知し、着火を認識する。このときの認識は、アンプリレー90により行われる。ステップ210での未着火は、着火条件が整っていないために発生する。
【0058】
ステップ230では、実際に使用する流量で燃焼ビン10への気体の供給が行われ、第2段階の燃焼が行われる。通常、例えば、水素ガスと酸素ガスの流量比は、H:O=1.8:1程度に設定される。このとき、水素ガスの流量が多い方に変化し、H:O=2:1に近くなると、酸素が残らず、紫外線量が減少することになる。そして、紫外線量が所定の基準値以下に減少すると、アンプリレー90がオンからオフに切り換わり、緊急非常停止等の措置がとられることになる。ステップ230での未着火は、紫外線量の低下により発生する。
【0059】
このように、従来の着火シーケンスでは、紫外線量の有無のみを監視し、これに応じてアンプリレー90を動作させる制御を行っていた。これでは、紫外線量が正常状態よりは低下しているが、全く無いとまでは言えない中間状態の場合には、何らの燃焼状態認識もできず、それ故対応もできないという問題があった。
【0060】
図4は、そのような、紫外線量が中間状態で変化している状態を示した図である。図4において、横軸は経過時間〔分〕、縦軸は紫外線量に対応する出力電圧〔mV〕が示されている。
【0061】
図4において、時刻t1でランプ30がオンとなり、紫外線量を示す出力電圧が40〔mV〕まで増加し、時刻t2で、水素と酸素が1:1で供給され、第1段階の燃焼が行われる。ここでは、出力電圧が60〔mV〕近くまで上昇し、適切に着火がなされている。ところが、その後、時刻t3で第2段階の燃焼が開始し、通常流量の水素と酸素が1.8:1の流量比で供給されると、時刻t4で紫外線量を示す出力電圧が5〔mV〕付近まで低下している。このとき、従来の外部燃焼機構100では、アンプリレー90は、出力電圧が2〔mV〕以下程度まで低下しないと、紫外線量は有るものとして動作するので、燃焼異常は検出されない。そして、時刻t5で、再び紫外線量(出力電圧)が増加し、時刻t6で40〔mV〕程度に回復する。しかしながら、着火時の第1段階の燃焼時の60〔mV〕付近までは回復せず、何らかの異常が発生していると考えられる状態である。しかしながら、このような中程度の異常は、従来の外部燃焼機構100に備えられている機構のUVセンサとアンプリレー90のみでは検出することができない。
【0062】
図5は、正常時における紫外線量の変化を示した図である。図5において、図4と同様に、横軸は経過時間〔分〕、縦軸は紫外線量に対応する出力電圧〔mV〕が示されている。なお、横軸は、図4とは共通してはおらず、短い時間で示されている。
【0063】
図5において、時刻t1でランプ30がオンする。時刻t2で、集光板25の温度が十分な温度に上昇し、着火の条件が整う。時刻t3で水素と酸素が1:1の流量比で供給され、第1段階の燃焼が開始する。ここで、出力電圧は、70〔mV〕程度まで上昇する。次いで、時刻t4で、水素と酸素の流量比が1.8:1で供給される第2段階の燃焼が開始される。紫外線量を示す出力電圧は、変化が無く70〔mV〕程度を保っている。燃焼が適切に行われれば、図5に示すように、第1段階の燃焼及び第2段階の燃焼の双方において、十分な紫外線量(出力電圧)が検出される。
【0064】
図6は、図4で示した紫外線量の特性が得られている場合に、本実施例に係る燃焼状態監視装置80で行う処理を説明するための図である。よって、図6は、図4と同じグラフが描かれている。
【0065】
図6において、第1段階の燃焼及び第2段階の燃焼で約40〔mV〕程度の紫外線量が検出されている状況下で、従来の紫外線量なしと判定する約2〔mV〕以下の基準値以外に、40〔mV〕よりも1割〜2割程度低い数値を下限基準値1として設定している。図7においては、約33〜34〔mV〕の付近に下限基準値1を設定している。このような、通常の紫外線量よりも1〜2割程度低い設定基準値を設けることで、変化の兆しを捉えることができる。つまり、出力電圧が下限基準値1よりも低下した時刻t3.5〜時刻t5.5の間において、注意を促すアラームを発することができる。これにより、明らかな異常とまでは言えないが、正常状態ではないという、初期の異常発生段階の状態を操作者に知らせることができ、操作者は適切な対応をとることが可能となる。
【0066】
更に、図6においては、紫外線がないと判断される従来の約2〔mV〕よりも高い約5〔mV〕の所に、下限基準値2を設定している。これは、紫外線がないと判断される直前の状態であり、異常の度合いが高い状態であるので、出力電圧が下限基準値2よりも低下した場合には、警告レベルのアラームを発するようにする。これにより、操作者は、異常燃焼が発生していることを認識でき、それに応じた適切な対応をとることが可能となる。なお、図6においては、時刻t4〜t5が、下限基準値2以下となったか、又はなる直前の状態であるが、この値がもう少し下がった場合には、下限基準値2に対応する警告レベルのアラームを発することができる。
【0067】
また、従来から用いられている、最下限の約2〔mV〕の最低基準値は、危険レベルの警告、又は縦型拡散装置150の緊急停止用として、そのまま活用すれば良い。これにより、従来通り、紫外線がないと判断されたときには、装置の緊急停止等の危険防止等の措置を採ることができる。
【0068】
なお、図2に示した燃焼状態監視装置80においては、アラーム信号発生手段50において、紫外線量に対応する出力電圧の測定を行い、下限基準値1を下回った段階で、注意用のアラーム信号を発生させ、アラームユニット70から注意用のアラームを発する。そして、更に出力電圧が低下し、下限基準値2を下回ったときには、アラーム信号発生手段50は、警告用のアラーム信号を発生させ、アラームユニット70から警告用のアラームを発する。このとき、出力電圧の時間変化を、例えば図6に示すようなグラフ形式で、例えばデジタルパネルメータのような表示手段60に表示するようにすると、操作者は、視覚的に燃焼状態を監視することができ、大変に便利である。また、グラフから、下限基準値1、下限基準値2との間の出力電圧についても、把握することができるので、よりきめ細かな対応が可能となる。図5に示したグラフも、デジタルパネルメータで出力電圧を示した結果であり、正常動作が視覚的に確認できている。
【0069】
また、最下限の装置緊急停止用の基準値については、従来通り、アンプリレー90を用いて、緊急停止等の動作を行うようにしてよい。もし、そのような機能が付いていない装置の場合には、これも本実施例に係る燃焼状態監視装置80でアラームの発生や装置の緊急停止動作を行うようにしてもよい。その場合には、アラームユニット70が、装置のコントロータに接続されるか、又はアラーム信号発生手段50から直接装置のコントローラに危険状態を示すアラーム信号が入力されるような構成とすればよい。
【0070】
このように、本実施例に係る燃焼状態監視装置80によれば、複数の基準値を設定し、紫外線量の低下量の大きさに応じて段階的にアラーム信号を発生させ、アラームを発することにより、操作者に早期に異常の発生を了知させるとともに、適切な対応をとることを可能とさせることができる。
【0071】
次に、図7を用いて、本発明を適用した実施例に係る燃焼状態監視方法について説明する。図7は、本実施例に係る燃焼状態監視方法の処理フロー図である。なお、図3と同一のステップについては、同一のステップ番号を付している。
【0072】
ステップ200では、ランプ30がオンされ、集光板25が加熱され、温度が着火に必要な500℃以上の温度まで加熱される。
【0073】
ステップ210では、燃焼ビン10にバーナー20の気体供給管21、22から水素ガス及び酸素ガスが1:1の流量比で供給され、第1段階の燃焼が開始され、着火が行われる。
【0074】
ステップ220では、紫外線量検出手段40により、紫外線の有無が検出される。紫外線が検出された場合には、アンプリレー90がオンとなり、着火が確認され、ステップ230に進む。一方、紫外線が検出されなかった場合には、アンプリレー90がオンとならず、未着火が確認され、ステップ300に進み、縦型拡散装置150を緊急停止させ、処理フローを終了する。その後は、必要な点検等が行われ、再度の着火が行われる場合には、処理フローを最初か実行する。
【0075】
ステップ230では、燃焼ビン10に供給される水素ガスと酸素ガスの流量比が、通常状態のH:O=1.8:1に切り換わり、第2段階の燃焼に入る。
【0076】
ステップ240では、紫外線量検出手段40により、紫外線量が検出され、これが電流−電圧変換回路を構成する固定抵抗51、コンデンサ52及び測定・警報判定手段53からなるアラーム信号発生手段50により電圧値として測定される。そして、測定した電圧値と、予め設定された下限基準値1とが比較され、紫外線量が下限基準値1より低いか否かが判定される。紫外線量が下限基準値1以上であった場合には、正常状態であると判定し、ステップ300に進む。一方、紫外線量が下限基準値1よりも低下していた場合には、ステップ250に進む。
【0077】
ステップ250では、注意アラームが発せられる。注意アラームは、アラーム信号発生手段50から、アラームユニット70に注意アラーム信号が送られ、アラームユニット70から操作者に注意状態を認識されるための注意アラームが発せられてよい。また、このとき、アラーム信号発生手段50から、電圧測定値が表示手段60に送られ、表示手段に電圧値を表示し、電圧値が下限基準値1を下回ったことを操作者が容易に視認できるようにしてもよい。
【0078】
ステップ260では、紫外線量が、下限基準値2を更に下回ったか否かが判定される。判定の方法は、ステップ240と同様の方法で行われてよい。紫外線量が、下限基準値2以上であったときには、ステップ240に戻り、紫外線量が下限基準値1よりもなお低いか否かが判定される。一方、紫外線量が、下限基準値2よりも低かった場合には、ステップ270に進む。
【0079】
ステップ270では、アラーム信号発生手段50から、警告アラーム信号が出力されてアラームユニット70に送られ、アラームユニット70から警告アラームが発せられる。これにより、操作者は、外部燃焼機構100が異常燃焼状態にあることを認識することができ、適切な措置をとることができる。このとき、表示手段60も用いてよいことは、ステップ250の説明と同様である。
【0080】
ステップ280では、紫外線量が、最下限基準値である紫外線の有無の検知レベルを下回ったか否かが判定される。これは、従来から設定されている最下限基準値が用いられてよい。紫外線量が、最下限基準値以上であった場合には、ステップ260に戻り、なお下限基準値2より低いか否かが判定される。一方、紫外線量が最下限基準値より低下していた場合には、ステップ290に進む。
【0081】
ステップ290では、縦型拡散装置150の緊急停止がなされる。この場合は、アンプリレー90により、紫外線が無い場合の緊急停止処理が行われ、危険な状態を停止させる従来通りの処理を行う。
【0082】
ステップ240に戻り、紫外線量が下限基準値1以上であった場合には、ステップ300に進むが、ステップ300では、縦型拡散装置150の酸化処理が終了したか否かが判定される。酸化処理が終了していない場合には、ステップ240に戻り、紫外線量が下限基準値1よりも低下していないかを監視し続け、ステップ240とステップ300のループを繰り返す。そして、酸化処理が終了したら、処理フローを終了することになる。ステップ280及びステップ260においても、紫外線量が最下限基準値又は下限基準値2以上であった場合には、もう1段正常状態に近い基準値と比較を行い、紫外線量が下限基準値1以上の状態を保つことができたときに、処理フローは正常終了できることになる。一方、紫外線量が下限基準値1、下限基準値2又は最下限基準値を下回ったときには、各々の段階時において、異常レベルに応じてアラーム発報を行ってゆくことになる。
【0083】
このように、本実施例に係る燃焼状態監視方法によれば、紫外線量の低下量の大きさに応じて、複数のアラーム発報を設定することにより、操作者に早期に異常燃焼の発生を認識させることができ、適切な対応をとることが可能となる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0085】
特に、本実施例においては、半導体製造プロセスに用いられる縦型拡散装置150の外部燃焼機構100に燃焼状態監視装置80及び燃焼状態監視方法を適用した例を挙げて説明したが、紫外線を発する燃焼機構を有する装置であれば、半導体製造プロセスに用いられる他の装置に適用してもよいし、半導体製造プロセス以外の燃焼機構を用いる装置にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本実施例に係る燃焼状態監視装置80を、縦型拡散装置150に適用した例を示した全体構成図である。
【図2】本実施例に係る燃焼監視装置80の全体構成の詳細を示した図である。
【図3】従来から行われている外部燃焼機構100の着火シーケンスを示した図である。
【図4】紫外線量が中間状態で変化している状態を示した図である。
【図5】正常時における紫外線量の変化を示した図である。
【図6】本実施例に係る燃焼状態監視装置80で行う処理の説明図である。
【図7】本実施例に係る燃焼状態監視方法の処理フロー図である。
【符号の説明】
【0087】
10 燃焼ビン
20 バーナー
21、22 気体供給管
23、24 コネクタ
25 集光板
30 ランプ
40 紫外線量検出手段
50 アラーム信号発生手段
51 固定抵抗
52 コンデンサ
53 測定・警報判定手段
60 表示手段
70 アラームユニット
71 ブザー
72 警報ランプ
80 燃焼状態監視装置
90 アンプリレー
100 外部燃焼機構
110 処理室
120 ウエハポート
150 縦型拡散装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼により発生する紫外線量を検出する紫外線量検出手段と、
前記紫外線量が正常値より低下したときに、低下量に応じて段階的にアラーム信号を発生させるアラーム信号発生手段と、を有することを特徴とする燃焼状態監視装置。
【請求項2】
前記アラーム信号発生手段は、複数段の下限基準値を有し、前記紫外線量が該下限基準値よりも低下したときに、各アラーム信号を発生させることを特徴とする請求項1に記載の燃焼状態監視装置。
【請求項3】
電流を電圧に変換する電流−電圧変換回路を備え、
前記紫外線量検出手段は、前記紫外線量を電流に変換して検出し、
前記アラーム信号発生手段は、前記電流−電圧変換回路により変換された電圧値に基づいて前記アラーム信号を発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃焼状態監視装置。
【請求項4】
前記アラーム信号に基づいてアラームを発するアラームユニットを更に有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃焼状態監視装置。
【請求項5】
前記紫外線量の変化を表示する表示手段を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の燃焼状態監視装置。
【請求項6】
前記紫外線量検出手段は、縦型拡散装置の外部燃焼機構の燃焼ビン付近に備えられ、
前記外部燃焼機構の燃焼状態を監視することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の燃焼状態監視装置。
【請求項7】
燃焼により発生する紫外線量を検出する紫外線量検出工程と、
前記紫外線量が正常値より低下したときに、低下量に応じて段階的にアラーム信号を発生させるアラーム信号発生工程と、を有することを特徴とする燃焼状態監視方法。
【請求項8】
前記アラーム信号発生工程は、設定された複数の下限基準値よりも前記紫外線量が低下したときに、各アラーム信号を発生させることを特徴とする請求項7に記載の燃焼状態監視方法。
【請求項9】
前記紫外線量検出工程は、紫外線量を電流に変換して検出する工程と、該電流を電圧に変換する電流−電圧変換工程を含み、
前記アラーム信号発生工程は、電圧値に変換された紫外線量を用いて、アラーム信号を発生させることを特徴とする請求項7又は8に記載の燃焼状態監視方法。
【請求項10】
前記アラーム信号に基づいてアラームを発するアラーム発生工程を更に有することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか一項に記載の燃焼状態監視方法。
【請求項11】
前記紫外線量の変化を表示する紫外線量表示工程を更に含むことを特徴とする請求項7乃至10のいずれか一項に記載の燃焼状態監視方法。
【請求項12】
前記紫外線量検出工程は、縦型拡散装置の外部燃焼機構の燃焼ビン内の燃焼について行い、
前記外部燃焼機構の燃焼状態を監視することを特徴とする請求項7乃至11のいずれか一項に記載の燃焼状態監視方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−71579(P2010−71579A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−240585(P2008−240585)
【出願日】平成20年9月19日(2008.9.19)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】