説明

燃焼装置及び燃料改質装置

【課題】簡素な方法で燃焼排ガス温度を調節しながら熱を回収できる燃焼装置及び燃料改質装置を提供する。
【解決手段】この燃焼装置では、燃焼用燃料通路L2の外側に、燃焼用空気導入空間18を介して、燃焼用空気通路L1が配置され、燃焼用空気通路L1の外側に燃焼排ガス通路L3が配置されている。燃焼用空気導入空間18は、一端に燃焼用空気導入口19が設けられ、他端は閉塞されてバーナ14近傍に至り、燃焼用空気通路L1の内側壁に形成された連通孔20を介して、燃焼用空気通路に連通している。この燃焼用空気導入空間18に熱損傷を受けやすい部品が配置されている。また、この燃料改質装置10は、上記燃焼装置の燃焼排ガス通路L3の外周に、改質用水及び改質用燃料を水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する改質反応部35が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素を水蒸気改質して水素を主体とする改質ガスを生成する燃料改質装置に好適な燃焼装置及び該燃焼装置を利用した燃料改質装置に関する。
【背景技術】
【0002】
水素はクリーンエネルギーとして期待されており、工業上様々な分野で利用が検討されている。例えば、燃料電池は、電解質を挟んで一対の電極を配置し、一方の電極(アノード側)に水素を含有する燃料ガスを供給するとともに他方の電極(カソード側)に酸素を含有する酸化ガスを供給し、両極間で起きる電気化学反応を利用して起電力を得る発電システムであって、高いエネルギー効率が実現可能である。
【0003】
これらの燃料電池では、通常、天然ガス等の炭化水素を水蒸気改質して得られる水素を含む改質ガスを燃料ガスとして用いている。そのため、燃料電池発電装置には、改質装置が設けられており、改質装置にて、天然ガス等の炭化水素類からなる原燃料を水蒸気改質して、水素を主成分とする改質ガスを生成させている。
【0004】
また、改質反応により得られる改質ガスには、水素のほかに、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO)などが含まれている。このため、りん酸形燃料電池の場合には、改質器で生成した改質ガスを、CO変成器によってCO濃度を1%以下にまで低減した後、燃料電池に供給している。また、動作温度が更に低い60〜80℃の固体高分子形燃料電池では、CO変成器にてCO濃度を1%以下に低減した後、更にCO除去器にてCO濃度を10ppm以下まで低減した後、燃料電池に供給している。
【0005】
一方、近年、燃料電池発電装置は、家庭用として開発されることが多く、小型化が求められている。そのため、上記のような複数の反応器が必要となる改質装置においては、上記反応工程(改質反応、CO変成反応、CO選択酸化反応など)を、それぞれ別々の反応器で行うこととなると、改質装置全体としては大型なものとなることから、各反応器を一体化させて改質装置を小型化する試みがなされている。
【0006】
例えば、下記特許文献1には、燃焼器の外側に、同心状に径の異なる複数の円筒が配置されて、径方向の内側から順に、前記燃焼器から排出された燃焼排ガスが通流する第1環状空間、下端で連通する第2及び第3環状空間を有し、前記第2及び第3環状空間の一部に改質触媒が充填されて改質部をなし、前記第2環状空間は、上部に改質用水及び原燃料の導入口と、改質用水を蒸発させる水蒸気発生部を有し、前記水蒸気発生部は、前記第2環状空間の内周側壁面及び外周側壁面に接する吸水性部材をラセン状に備え、前記第1環状空間を流れる燃焼排ガス及び前記第3環状空間を流れる改質ガスとの熱交換により加熱されることを特徴とする燃料改質装置が開示されている。
【特許文献1】特開2007−55892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料改質装置での改質効率を上げるには、燃焼排ガスの熱を効率よく回収し改質反応に利用することが好ましい。そのため、上記特許文献1では、燃焼排ガスを、改質用水や原燃料と熱交換して、これらを予熱している。
しかしながら、燃料排ガスは水分を含んでいるので、水分の露点以下まで温度を下げると、水分が凝縮して、燃焼排ガスの流路に水が溜まって閉塞するおそれがあった。
また、燃料改質装置には、バーナ用ガスケット、点火用電気配線、温度センサ等の耐熱性の低い部品が用いられているため、これらの部品が配置されている箇所が過度に加熱された場合、破損を生じる可能性があった。
【0008】
したがって、本発明の目的は、燃焼排ガス通路を通る燃焼排ガスが水分の露点以下まで温度低下することを防止できる燃焼装置及び該燃焼装置を用いた燃料改質装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明の1つは、燃焼用燃料と燃焼用空気とを燃焼させるバーナ部と、前記バーナ部に燃焼用燃料を導入する燃焼用燃料通路と、前記バーナ部に燃焼用空気を導入する燃焼用空気通路と、前記バーナ部から排出された燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス通路とを有する燃焼装置において、
前記燃焼用燃料通路の外側に、燃焼用空気導入空間を介して、前記燃焼用空気通路が配置され、前記燃焼用空気通路の外側に前記燃焼排ガス通路が配置されており、
前記燃焼用空気導入空間は、その一端に燃焼用空気導入口が設けられ、他端は閉塞されて前記バーナ部近傍に至り、前記燃焼用空気通路の内側壁に形成された連通孔を介して、前記燃焼用空気通路に連通していることを特徴とする燃焼装置を提供するものである。
【0010】
本発明の燃焼装置によれば、燃焼用空気は、一旦燃焼用空気導入空間に流入した後、前記連通孔を通じて前記燃焼用空気通路に導入されるので、導入された直後の低温の空気と燃焼排ガスとが直接熱交換することが無いので、燃焼排ガス通路内で燃焼排ガス中の水分が凝縮することを防ぐことが出来る。
【0011】
本発明の燃焼装置においては、前記燃焼用空気導入空間に熱損傷を受けやすい部品が配置されていることが好ましい。この態様によれば、熱損傷を受けやすい部品が燃焼用空気導入空間に配置されているので、熱損傷を受けやすい部品が外部から導入される燃焼用空気に接触して冷却される。このため、バーナ部等から発生する熱によって上記部品が加熱され、熱損傷を受けて破損することを防止できる。
【0012】
本発明の燃焼装置においては、前記熱損傷を受けやすい部品が、バーナ用ガスケット、点火用電気配線、及び温度センサから選ばれた少なくとも一種であることが好ましい。これらの部品は、一般にバーナに近接した位置に配置されるので、燃焼用空気によって冷却することが特に望まれるものである。
【0013】
また、前記燃焼用空気導入空間には、一端が前記燃焼用空気導入口をなし、他端が前記燃焼用空気導入空間に挿入されて、前記熱損傷を受けやすい部品の近傍で開口する燃焼用空気導入管が配置されていることが好ましい。この態様によれば、燃焼用空気導入管を通して導入された空気が、昇温される前に、熱損傷を受けやすい部品に接触しやすくなり、該部品を冷却する効果を高めることができる。
【0014】
本発明のもう1つは、上記燃焼装置の燃焼排ガス通路の外周に、改質用水及び改質用燃料を水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する改質反応部が配置されていることを特徴とする燃料改質装置を提供するものである。
【0015】
本発明の燃料改質装置によれば、燃焼装置の燃焼排ガス通路の外周に、改質反応部が配置されているので、導入された改質用水及び改質用燃料を、燃焼排ガス通路を通る燃焼排ガスと熱交換させて昇温させることができ、改質反応に必要な加熱を効率的に行うことができる。また、前述したように、燃焼用空気通路の内側壁に形成された連通孔の位置によって、燃焼用空気導入空間に導入された燃焼用空気が燃焼用空気通路に導入される位置を調整でき、それによって燃焼用空気と燃焼排ガスとの熱交換量を調整して、燃焼排ガスの温度が露点以下まで低下することを抑制できるので、燃焼排ガス中の水分が凝縮して燃焼排ガス通路を閉塞するという不都合を回避することができる。
【0016】
本発明の燃料改質装置においては、前記燃焼排ガス通路の外周であって、前記改質反応部の上流側に、前記改質用水及び改質用燃料を予熱する予熱部が配置されていることが好ましい。この態様によれば、改質用水及び改質用燃料が予熱部を通るとき、その内周に配置された燃焼排ガス通路を通る燃焼排ガスと熱交換して昇温されるので、改質反応に必要な加熱を効率的に行うことができる。
【0017】
また、前記改質反応部の下流側であって、前記予熱部の外周に一酸化炭素変成器及び/又は一酸化炭素除去器が配置されていることが好ましい。一酸化炭素変成器及び/又は一酸化炭素除去器における反応温度は、改質反応部における反応温度よりも低いので、予熱部の外周に一酸化炭素変成器及び/又は一酸化炭素除去器を配置することにより、一酸化炭素変成反応及び/又は一酸化炭素除去反応に適した温度にすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の燃焼装置及び燃料改質装置によれば、燃焼排ガスの温度が露点以下にならないように調節しながら熱を回収することができるので、長期にわたって安定して運転することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の燃料改質装置の一実施形態について、図1に基づいて説明する。図1は、本発明の燃焼装置を含む燃料改質装置の第一の実施形態の概略図である。
【0020】
図1に示すように、この燃料改質装置10の中心軸上には、上端部に燃焼用燃料導入口16を有し、下端部はバーナ14に連結された燃焼用燃料導入管21が配置されており、この燃焼用燃料導入管21の内部が燃焼用燃料通路L2をなしている。燃焼用燃料は、燃焼用燃料導入口16から導入され、燃焼用燃料通路L2を通り、バーナ14に供給されるようになっている。
【0021】
燃焼用燃料導入管21の外周には、燃焼用空気導入空間18が形成されている。燃焼用空気導入空間18の外周は、燃焼空気筒11の内側壁15で囲まれている。燃焼用空気導入空間18の上端部には燃焼用空気導入口19が設けられ、下端部はバーナ14の背面壁によって閉塞されている。
【0022】
燃焼用空気導入空間18の外周には、燃焼空気筒11が配置されており、その内部が燃焼用空気通路L1をなしている。また、燃焼空気筒11の内側壁15には、上端から所定の距離Aを経た位置に複数の連通孔20が形成されており、燃焼用空気導入空間18に導入された燃焼用空気は、この連通孔20を通して、燃焼用空気通路L1に導入されるようになっている。尚、この実施形態では、連通孔20は円形の孔としたが、この形状に限られず、スリット状など燃焼用空気導入空間18から燃焼用空気通路L1へと空気が通流可能な形状であれば、適宜選択可能である。
【0023】
燃焼空気筒11の下端部には、バーナカップ17が配置されており、燃焼用空気通路L1を通過した燃焼用空気は、バーナカップ17の内周から噴出するようになっている。バーナカップ17の内側には、前記燃焼用燃料導入管21の下端部が配置されており、燃焼用燃料導入管21の下端部から噴出された燃焼用燃料が燃焼用空気と混合して燃焼するようになっている。
【0024】
燃焼空気筒11の下方には、燃焼筒12が一体に形成されており、この燃焼筒12の内部が燃焼室13となっている。燃焼空気筒11及び燃焼筒12の外周には、内筒24が配置されており、燃焼空気筒11及び燃焼筒12と、内筒24との間の空間が、燃焼排ガス通路L3をなしている。内筒24の底壁と燃焼筒12の底壁との間に、前記燃焼排ガス通路L3に通じる通路が形成されており、内筒24内の燃焼室13で発生した燃焼排ガスは、内筒24の底壁に形成された図示しない連通孔を通して、上記通路に入り、上記燃焼排ガス通路L3に流れるようになっている。内筒24の上端部には、燃焼排ガスを流出させる燃焼排ガス導出口46が設けられている。
【0025】
以上説明した内筒24より内側部分の構造、すなわち、燃焼用燃料導入管21、燃焼用燃料通路L2、燃焼用空気導入空間18、内筒24、燃焼用空気通路L1、バーナ14、燃焼筒12、燃焼排ガス通路L3等で構成される部分が、本発明における燃焼装置を構成している。
【0026】
内筒24の更に外側には、隔壁30が配置されている。隔壁30は、燃焼空気筒11の外周部分に位置する径の小さい上部仕切筒30aと、これよりも径が大きく燃焼筒12の外周部分に位置する下部仕切筒30bと、上部仕切筒30a下端と下部仕切筒30b上端との間に径の差によって生じる隙間を塞ぐ環状の水平板30cとにより構成されている。
【0027】
内筒24と上部仕切筒30aとの間の環状空間は、予熱部31をなしている。この実施形態では、予熱部31には、板又は棒状の部材により形成され、内筒24の外壁に螺旋状に溶接された螺旋状ガイド32が配置されている。予熱部31の上端部には、改質原料供給口25が設けられている。
【0028】
水平板30cの下方には、上記予熱部31の下端開口から流下する水を受けるように、フランジ状に延出された水受け部33が配置されている。水受け部33は、気化せずに予熱部31の下端へ到達した改質水を受け止め、気体のみを後述する改質反応部35へ通流させる。これにより、触媒の割れや剥がれが発生することを防止するとともに、改質水の急激な気化による急激な体積変化によって圧力変動が発生し、原燃料ガス量や蒸気量が変動して改質反応が不安定になるのを防止し、さらには、急激な気化によって改質部の温度が不安定になるのを防止している。
【0029】
内筒24と下部仕切筒30bとの間には、上方から第1蓄熱層34aと、改質反応部35とが設けられている。第1蓄熱層34aは、この実施例の場合、アルミナボールを充填した層で構成されている。改質反応部35には、ルテニウム系やニッケル系の水蒸気改質触媒が充填されている。改質反応部35の底壁35aには、触媒が落ちないように触媒直径よりも小さく、かつガスが通過する際に過度の圧損とならない程度の径の孔が形成されている。
なお、万一、予熱部31から未気化の改質水が流れ込んできた場合には、第1蓄熱層34aでの熱交換によって蒸発するので、水のまま改質反応部35に流入して触媒を劣化させることを防ぐことができる。
【0030】
隔壁30の外側には、外筒27が配置されている。外筒27の底壁と、改質反応部35の底壁35aとの間には、改質反応部35を通過した改質ガスが通過する空間が形成されている。この空間は、外筒27と下部仕切筒30bとの間に形成された環状空間からなる改質ガス通路L4に連通している。
【0031】
また、外筒27と上部仕切筒30aとの間には、下方から、一酸化炭素変成部入口マニホールド38a、第2蓄熱層34b、一酸化炭素変成部38、及び一酸化炭素除去部37が順次形成されている。
【0032】
改質ガス通路L4は、その上方で一酸化炭素変成部入口マニホールド38aに連通している。第2蓄熱層34bは、この実施例の場合、前記第1蓄熱層34aと同様に、アルミナボールを充填した層で構成されている。
【0033】
一酸化炭素変成部38には、一酸化炭素変成触媒が充填されている。一酸化炭素除去触媒としては貴金属系触媒などが好ましく用いられる。一酸化炭素除去部37には、一酸化炭素除去触媒が充填されている。一酸化炭素変成触媒としては、貴金属系触媒又は銅−亜鉛触媒などが好ましく用いられる。
【0034】
一酸化炭素変成部38と一酸化炭素除去部37との間は、水平板39によって仕切られており、この水平板39を挟んで一酸化炭素変成ガス排出通口40及び選択酸化空気混合ガス入口41が設けられている。そして、一酸化炭素変成部38を通過した改質ガスが、一旦一酸化炭素変成ガス排出通口40から出て、選択酸化用空気と混合された後、選択酸化空気混合ガス入口41から、一酸化炭素除去部37に導入されるようになっている。
【0035】
一酸化炭素除去部37の上部の一酸化炭素除去部出口マニホールド37bには、一酸化炭素除去後の改質ガスを燃料改質装置10の外に取り出すための改質ガス排出口45が接続されている。
【0036】
燃料改質装置10の周囲は、燃料改質装置10からの放熱を防ぐために図示しない断熱材で覆われている。
【0037】
そして、本発明においては、前記燃焼用空気導入空間18に、バーナ用ガスケット、点火用電気配線、温度センサなどの熱損傷を受けやすい部品が配置されている。特にバーナ14に近接した位置に、上記部品が設けられている場合に、本発明は特に有効である。
【0038】
次に、このような構成の燃料改質装置を用いた原燃料の水蒸気改質方法について説明する。なお、図1中の矢印は、各流体の通流方向を示す。
【0039】
まず、燃焼室13に、燃料電池オフガスなどの水素含有ガスを燃焼用燃料として、燃焼用燃料導入口16から燃焼用燃料通路L2に供給する。また、燃焼用空気を、燃焼用空気導入口19から燃焼用空気導入空間18に供給する。燃焼用空気導入空間18に導入された空気は、燃焼空気筒11の内側壁15に設けられた連通孔20を通って燃焼用空気通路L1に入り、燃焼用空気通路L1の外側の燃焼排ガス通路L3を流れる燃焼排ガスとの熱交換により加熱されてバーナ14に供給される。そして、燃焼用燃料通路L2から供給される燃焼用燃料は、バーナ14で上記燃焼用空気と混合されて燃焼し、その燃焼熱によって、予熱部31及び改質反応部35が加熱される。
【0040】
燃焼室13から排出される燃焼排ガスは、燃焼排ガス通路L3を通って上方に流れ、その過程で、改質反応部35、第1蓄熱層34a、予熱部31、及び燃焼用空気通路L1内を加熱すると共に、予熱部31、第1蓄熱層34a及び改質反応部35を流れる原燃料、水及び改質ガス、更には燃焼用空気通路L1を流れる燃焼用空気と、それぞれ熱交換されて、改質ガス排出口45から系外に排気される。
【0041】
そして、原燃料と水とからなる改質原料は、改質原料供給口25から予熱部31内に導入され、予熱部31内に配置された螺旋状ガイド32に沿って移動しつつ、上述したように燃焼排ガス通路L3を流れる燃焼排ガスと熱交換され、原燃料は昇温され、水は水蒸気となって、第1蓄熱層34aを通り、改質反応部35に導入される。
【0042】
改質反応部35は、燃焼室13内を流れる燃焼排ガスにより400℃〜650℃程度に加熱されており、ここで、水蒸気と原燃料とが水蒸気改質反応して、水素に富む改質ガスが生成される。
【0043】
改質反応部35にて生成した改質ガスは、改質反応部35の底壁35aを通過し、折り返して流れの方向を変え、改質ガス通路L4を上昇しながら内側に隣接する改質反応部35に熱を与え、第2蓄熱層34bを通って、一酸化炭素変成部38へ導入される。このとき、第2蓄熱層34bにより、一酸化炭素変成部38の入口温度が一酸化炭素変成反応に適した300〜350℃になるようにしている。
【0044】
一酸化炭素変成部38では、改質ガス中の一酸化炭素が、一酸化炭素変成触媒と接触して、二酸化炭素に変成され、一酸化炭素濃度を1%程度まで低減させることができる。一酸化炭素変成部38での反応は発熱反応であり、この反応熱により内側の予熱部31を通流する改質水又は水蒸気と原燃料とが加熱されて、一酸化炭素変成部38を出る。
【0045】
そして、一酸化炭素変成部38を通過した改質ガスは、一旦一酸化炭素変成ガス排出通口40から出て、選択酸化用空気と混合された後、選択酸化空気混合ガス入口41から、一酸化炭素除去部37に導入される。
【0046】
一酸化炭素除去部37では、選択酸化用空気と混合した改質ガスが一酸化炭素選択酸化触媒と接触させられ、改質ガス中の一酸化炭素が選択酸化されて二酸化炭素となり、一酸化炭素濃度が10ppm以下とされる。こうして、一酸化炭素を除去された改質ガスは、改質ガス排出口45から取り出されて、燃料電池などに供給される。
【0047】
そして、本発明の燃料改質装置においては、燃焼用空気導入空間18がバーナ14に隣接する位置まで延伸して形成されているので、バーナ14の熱により高温になるバーナ14の隣接部分を燃焼用空気導入口19から導入された、まだそれほど昇温されていない燃焼用空気と接触しやすくなり、さらに、当該部分には、バーナ用ガスケット、点火用電気配線、温度センサなどの熱損傷を受けやすい部品が配置されていても、熱損傷を抑制して、破損を防止することができる。このため、装置の耐久性を向上できる。
【0048】
また、燃焼用燃料通路L2と燃焼用空気通路L1との間に、燃焼用空気導入空間18が形成されているので、燃焼用燃料通路L2から燃焼用燃料が漏れても、燃焼用空気導入空間18内の空気で希釈されることから、燃焼用燃料通路L2からの燃焼用燃料の漏れをある程度許容でき、安全性が高い。
【0049】
また、燃焼排ガスは、燃焼用空気通路L1を流れる燃焼用空気や、予熱部31、改質反応部35を加熱するので、熱回収効率が高く、運転効率がよい。
【0050】
更に、燃焼排ガスは水分を含んでいるので、燃焼排ガスの温度を燃焼排ガス中の水分の露点未満まで低下すると、水分が凝縮して燃焼排ガス通路L3などを閉塞するおそれがあるが、図1中の距離Aが小さいほど燃焼用空気通路L1での燃焼用空気と燃焼排ガスとの熱交換量が増えるので、当該燃料改質装置の特性や運転条件に基づいて距離Aを設定することにより、燃焼排ガス通路L3を流れる燃焼排ガスの温度が、水分の露点以下にならないようにすることができる。
なお、この実施形態では、バーナ14は、下向きバーナとしたが、上向きバーナであってもよい。
【0051】
次に、本発明の燃料改質装置の第二の実施形態について、図2に基づいて説明する。なお、図1と同一箇所には同一符号を付してその説明を省略する。
【0052】
この燃料改質装置10’では、燃焼用空気導入空間18に、一端が燃焼用空気導入口19aをなし、他端が燃焼用空気導入空間18に挿入されて、熱損傷を受けやすい部品の近傍で開口する燃焼用空気導入管51が配置されている。なお、燃焼用空気導入管51の途中にも開口が設けられ、その途中に配置された部品にも燃焼用空気を吹付けるように構成されていてもよい。
【0053】
この燃料改質装置によれば、外部から供給される燃焼用空気によって、耐熱性の低い部品を効率よく冷却でき、装置耐久性をより向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の燃料改質装置の第一の実施形態の概略図である。
【図2】本発明の燃料改質装置の第二の実施形態の概略図である。
【符号の説明】
【0055】
10,10’:燃料改質装置
11:燃焼空気筒
12:燃焼筒
13:燃焼室
14:バーナ
15:内側壁
16:燃焼用燃料導入口
17:バーナカップ
18:燃焼用空気導入空間
19,19a:燃焼用空気導入口
20:連通孔
21:燃焼用燃料導入管
24:内筒
25:改質原料供給口
27:外筒
30:隔壁
30a:上部仕切筒
30b:下部仕切筒
30c:水平板
31:予熱部
32:螺旋状ガイド
33:水受け部
34a:第1蓄熱層
34b:第2蓄熱層
35:改質反応部
37:一酸化炭素除去部
37a:一酸化炭素除去部入口マニホールド
37b:一酸化炭素除去部出口マニホールド
38:一酸化炭素変成部
38a:一酸化炭素変成部入口マニホールド
38b:一酸化炭素変成部出口マニホールド
39:水平板
40:一酸化炭素変成ガス排出口
41:選択酸化空気混合ガス入口
45:改質ガス排出口
46:燃焼排ガス導出口
51:燃焼用空気導入管
L1:燃焼用空気通路
L2:燃焼用燃料通路
L3:燃焼排ガス通路
L4:改質ガス通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼用燃料と燃焼用空気とを燃焼させるバーナ部と、前記バーナ部に燃焼用燃料を導入する燃焼用燃料通路と、前記バーナ部に燃焼用空気を導入する燃焼用空気通路と、前記バーナ部から排出された燃焼排ガスが流れる燃焼排ガス通路とを有する燃焼装置において、
前記燃焼用燃料通路の外側に、燃焼用空気導入空間を介して、前記燃焼用空気通路が配置され、前記燃焼用空気通路の外側に前記燃焼排ガス通路が配置されており、
前記燃焼用空気導入空間は、その一端に燃焼用空気導入口が設けられ、他端は閉塞されて前記バーナ部近傍に至り、前記燃焼用空気通路の内側壁に形成された連通孔を介して、前記燃焼用空気通路に連通していることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記燃焼用空気導入空間に熱損傷を受けやすい部品が配置されている、請求項1記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記熱損傷を受けやすい部品が、バーナ用ガスケット、点火用電気配線、及び温度センサから選ばれた少なくとも一種である、請求項2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記燃焼用空気導入空間には、一端が前記燃焼用空気導入口をなし、他端が前記燃焼用空気導入空間に挿入されて、前記熱損傷を受けやすい部品の近傍で開口する燃焼用空気導入管が配置されている、請求項2又は3に記載の燃焼装置。
【請求項5】
請求項1〜4に記載の燃焼装置の燃焼排ガス通路の外周に、改質用水及び改質用燃料を水蒸気改質して水素を含む改質ガスを生成する改質反応部が配置されていることを特徴とする燃料改質装置。
【請求項6】
前記燃焼排ガス通路の外周であって、前記改質反応部の上流側に、前記改質用水及び改質用燃料を予熱する予熱部が配置されている、請求項5に記載の燃料改質装置。
【請求項7】
前記改質反応部の下流側であって、前記予熱部の外周に一酸化炭素変成器及び/又は一酸化炭素除去器が配置されている、請求項6に記載の燃料改質装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−24075(P2010−24075A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185833(P2008−185833)
【出願日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】