説明

燃焼装置

【課題】燃焼量の変動に応じて燃焼用空気の供給量を的確に制御することで、燃焼性を良好に保ち、燃焼の安定化を図ることができる燃焼装置を提供する。
【解決手段】送風機28は、バーナ24に燃焼用空気を供給する。熱交換器32は、燃料の燃焼により生成された排ガスによって、送風機28から押し込まれた燃焼用空気を予熱する。開度制御手段50は、燃焼量に対応して所定範囲の空気比となるダンパ42の開度が調整する。回転数設定手段52は、設定された燃焼量と第2の温度センサ36で検出された燃焼用空気の温度とから、前記のデータテーブルに基づいて送風機28の第1の回転数N1を設定する。回転数制御手段54は、酸素濃度センサ44により検出された酸素濃度に応じてバーナ24の空気比が前記の目標空気比となるように送風機28の回転数をフィードバック制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱媒ボイラ、蒸気ボイラ、燃焼炉などに使用される燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、高温(250℃〜300℃)の熱を利用するために熱媒油を所望される温度まで加熱して負荷に供給する熱媒ボイラが知られている。
熱媒ボイラは、一般的に、負荷側と熱媒ボイラ間を循環する熱媒油の温度を化石燃料の燃焼による燃焼ガスとの熱交換を行うことによって、ほぼ所定の温度に保つように燃焼制御されている。しかしながら、熱媒油の温度は、利用される温度が高いこともあり、加熱される熱媒油の温度は300℃近傍となるため、熱媒ボイラで加熱したあとの排ガス温度が350℃程度と高く、持ち去られるエネルギーが大きく、例えば、小型貫流型の蒸気ボイラのボイラ効率が92%程度であるのに対して、熱媒ボイラではボイラ効率が80%程度と熱効率が低い。
ボイラ効率を上げるためには、排ガス温度を下げる必要があるが、熱媒ボイラの場合、給水予熱は不可能であり、さらに定常運転時における油の予熱はほとんど効果が期待できないため、熱媒ボイラの排ガス排出部分に、特許文献1に示されているようにレキュペレータ(熱交換器)を用いて、送風機で燃焼用空気をレキュペレータに押し込みながら、燃焼排ガスと熱交換を行い、燃焼用空気を予熱することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−312944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃焼用空気を加熱した場合、つぎの課題がある。
循環され熱媒ボイラに戻ってくる熱媒油の温度の低下に比例して燃焼量(燃料)を増加させた場合、燃焼量の増加に応じて燃焼用空気を増加させなければならないが、排ガスと熱交換されて予熱された燃焼用空気は体積が膨張するため、送風機の回転数が一定では、ダンパ部分を通過する空気の速度が速くなり、ダンパ部分での圧力損失が増大し、送風機による空気の押し込み量が減り、燃焼用空気の量が減少する。
すなわち、燃焼用の空気が不足(酸素濃度が低下)して燃焼性が悪化する。
【0005】
さらに、負荷側の変動に伴い燃焼量を変化させることになるが、排ガス温度が変化するため、排ガスとの熱交換量が変化し、燃焼用空気の温度が変化してしまい、空気過多や空気不足が起こり、一酸化炭素の増加や消炎、吹き消えなど燃焼が安定しないといった問題も起こる。
【0006】
したがって、燃焼用空気の予熱を行う場合には、燃焼量の変化に伴う燃焼用空気の温度変化を的確に捉え、必要な空気量を燃焼部位に送気するように制御を行わなければならない。
このため、特許文献1の技術は、温度上昇による空気の膨張でバーナ部の流速が増大して着火が不安定になることを防止するために、レキュペレータで予熱された空気をバーナに供給する空気流量調整弁を設け、バーナ着火後の所定時間だけ空気流量調整弁を所定の初期開度に保持し、予熱された空気の温度の検出結果に応じて空気流量調整弁の初期開度を変化させてバーナにおいて所定の空気比の範囲内で燃焼を行わせている。
しかしながら、特許文献1の技術では、負荷変動が大きく、バーナ着火後に燃焼量が安定するまでに予熱された燃焼用空気の温度が大きく変化することが予想され、空気比が大きく変化して燃焼が不安定になるおそれがある。
本発明は上記のような点に鑑みなされたもので、燃焼量の変動に応じて燃焼用空気の供給量を的確に制御することで、燃焼性を良好に保ち、燃焼の安定化を図ることができる燃焼装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために請求項1に記載の発明は、バーナと、設定された燃焼量に応じて燃料を前記バーナに供給する燃料供給手段と、前記バーナに燃焼用空気を供給する送風機と、前記送風機と前記バーナとの間に設けられ、前記バーナによる前記燃料の燃焼により生成された排ガスによって前記燃焼用空気を予熱する熱交換器と、前記熱交換器により予熱された前記燃焼用空気の温度を検出する燃焼用空気温度検出手段と、前記熱交換器と前記バーナとを接続する空気供給路に設けられ開度が制御されるダンパと、前記排ガス中の酸素濃度を検出する排ガス酸素濃度検出手段と、前記設定された燃焼量に応じて、前記ダンパの開度を制御する開度制御手段と、前記燃焼用空気温度検出手段で検出された前記燃焼用空気の温度により、前記バーナの空気比が予め定められた目標空気比となる前記送風機の回転数を第1の回転数として設定する回転数設定手段と、前記第1の回転数に基づいて、前記排ガス酸素濃度検出手段により検出された酸素濃度に応じて前記バーナの空気比が前記目標空気比となるように前記送風機の回転数をフィードバック制御する回転数制御手段とを備えることを特徴とする。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、設定された燃焼量に応じて、ダンパの開度を制御すると共に、燃焼用空気温度検出手段で検出された燃焼用空気の温度から、バーナの空気比が予め定められた目標空気比となるように送風機の第1の回転数を設定するようにした。
したがって、燃焼量の変化に応じて、燃焼用空気の供給量を的確に制御することができるので、空気比を目標空気比となるように制御でき、燃焼性を良好に保ち燃焼の安定性を図ることができる。
また、排ガス中の酸素濃度に応じてバーナの空気比が目標空気比となるように送風機の回転数をフィードバック制御するようにした。
したがって、送風機の回転数の制御の応答性を高めつつバーナの空気比の変動の抑制を図ることができ、燃焼性をより良好に保ち、燃焼のさらなる安定化を図ることができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の燃焼装置において、前記回転数制御手段による前記送風機の回転数のフィードバック制御は、前記第1の回転数に微調整係数と粗補正係数とを乗算することで得られる第2の回転数に基づいて前記送風機の回転数を制御することでなされ、前記回転数制御手段は、前記検出された酸素濃度に応じて前記微調整係数を調整すると共に、前記微調整係数が予め定められた調整範囲を超えた場合には前記微調整係数が前記調整範囲内となるように前記粗補正係数を調整し、該粗補正係数を記憶することを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、燃焼が停止し、再起動したときに前記記憶されている粗補正係数で得られた新たな補正式を用いて必要な送風機の回転数を制御するので、微調整係数の調整範囲を小さい範囲に留めることができ、目標空気比への調整を短時間で実現することができるため、燃焼の安定化をより一層早く実現することができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2記載の燃焼装置において、前記回転数制御手段による前記粗補正係数の調整は、前記微調整係数が前記調整範囲を超えた場合に、前記粗補正係数を単位時間当たり予め定められた補正量変化させることでなされることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、予め定められた補正量を変化させるといった簡単な制御により粗補正係数の調整を行うことができるので、排ガス中の酸素濃度に応じた送風機の回転数のフィードバック制御の簡素化を図ることができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3に何れか1項に記載の燃焼装置において、前記回転数設定手段による前記送風機の第1の回転数の調整は、前記燃焼量に対して予め実測された、前記燃焼用空気の温度と前記送風機の回転数とに基づいて定められた相関関係を示すデータテーブルを用いてなされることを特徴とする。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、送風機の回転数の設定に要する処理を、データテーブルを用いて簡単に行うことができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3に何れか1項に記載の燃焼装置において、前記回転数設定手段による前記送風機の第1の回転数の調整は、前記燃焼量に対して予め実測された、前記燃焼用空気の温度と予め実測された前記送風機の回転数とに基づいて定められた相関関係を示す相関式を用いてなされることを特徴とする。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、送風機の回転数の設定に要する処理を、相関式を用いて行うようにしたので、送風機の回転数の設定を精密に行うことができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、燃焼量の変動に応じて燃焼用空気の供給量を的確に制御することで、燃焼性を良好に保ち、燃焼の安定化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施の形態に係る燃焼装置が適用された熱媒ボイラ100の構成を示す構成図である。
【図2】熱媒ボイラ100の缶体10、ウインドボックス22、バーナ24、ダンパ42の構造を示す斜視図である。
【図3】(A)、(B)、(C)はダンパ42の動作説明図である。
【図4】熱媒ボイラ100の機能ブロック図である。
【図5】第1の回転数N1、粗補正係数K1、微調整係数K2を説明するフローチャートである。
【図6】微調整係数K2が調整範囲内に収まるように粗補正係数K1を調整する場合の説明図である。
【図7】熱媒ボイラ100の動作を示すフローチャートである。
【図8】外気温や湿度等をある条件に設定したときの燃焼用空気の温度Tと回転数Nとの相関関係を示す関数の線図である。
【図9】微調整係数K2による回転数の補正を説明するための線図である。
【図10】粗補正係数K1による相関式の補正を説明するための線図である。
【図11】粗補正係数K1の調整を説明するための線図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る燃焼装置が熱媒ボイラ100に適用された実施の形態について説明する。
図1は熱媒ボイラ100の構成を示す構成図である。
熱媒ボイラ100は、缶体10を含んで構成されている。
図2に示すように、缶体10は、コイル状に巻回された加熱管12を備えている。
図1に示すように、加熱管12の上流端は、熱媒体戻りライン14であり、負荷側で熱を放出して温度の低下した熱媒油が熱媒ボイラ100に戻るラインである。加熱管12の下流端は、負荷側に熱媒を供給する熱媒体供給ライン16である。
そして、熱媒油が不図示の循環ポンプによって加熱管12と負荷との間で熱媒体戻りライン14、熱媒体供給ライン16を介して循環される。
コイル状に巻回された加熱管12の内側には燃焼室18が形成され、この燃焼室18内で後述するバーナ24によりガス燃料が燃焼されることにより、加熱管12を循環する熱媒油が加熱される。
【0020】
熱媒ボイラ100は、図1に示すように、ウインドボックス22と、バーナ24と、燃料供給手段26と、送風機28と、インバータ30と、熱交換器32と、第1、第2、第3、第4の温度センサ34、36、38、40と、ダンパ42と、酸素濃度センサ(Oセンサ)44と、制御装置46とを含んで構成されている。
【0021】
ウインドボックス22は、本例では図2に示すように、缶体10の上部に設けられており、バーナ24が収容保持されている。
ウインドボックス22は、送風機28から供給される燃焼用空気を均一にバーナ24に送るための箱体である。ウインドボックス22から供給された燃焼用空気は、燃料供給手段26からバーナ24に供給される燃料(本実施の形態ではガス燃料)とバーナ24で混合される。
【0022】
バーナ24は、図2に示すように、燃料供給手段26から供給されるガス燃料と燃焼用空気を混合して燃焼させるものである。燃焼用空気と混合されたガス燃料は、バーナ24により缶体10の加熱管12の内側の燃焼室18で燃焼される。
【0023】
燃料供給手段26は、設定された燃焼量に応じて燃料をバーナ24に供給するものである。
図1に示すように、本実施の形態では、燃料供給手段26は、ガス燃料供給路2602と、遮断弁2604と、ガバナ2606と、比例弁2608と、制御装置46とを含んで構成されている。
ガス燃料供給路2602は、その上流端が不図示のガス供給源に接続され、下流端がバーナ24に接続されている。
遮断弁2604は、ガス燃料供給路2602に設けられ、制御装置46から供給される制御信号により開閉されるものである。
ガバナ2606は、ガス燃料供給路2602において遮断弁2604の下流側に設けられ、ガス燃料供給路2602を流れるガス燃料の圧力を一定の圧力に調整するものである。
比例弁2608は、ガス燃料供給路2602においてガバナ2606の下流側に設けられ、モータ27により開度が調整されるものである。モータ27はステッピングモータ(パルスモータ)で構成され制御装置46によりモータ27の回転量(回転停止位置)が制御されることで比例弁2608の開度が調整される。
したがって、制御装置46により遮断弁2604の開閉が制御されることでバーナ24へのガス燃料の供給および停止が制御され、制御装置46により比例弁2608の開度が調整されることにより、バーナ24へのガス燃料の供給量、すなわち燃焼量の制御がなされる。
【0024】
送風機28は、バーナ24に燃焼用空気を供給するものである。
送風機28は、モータ2802と該モータ2802によって回転される不図示のファンとを備え、モータ2802によってファンを回転させることによって、吸入口から常温の空気を吸込み、吐出口から燃焼用空気を吐出する。
【0025】
インバータ30は、制御装置46から供給される制御信号により、送風機28のモータの回転数を調整するものである。
後述するように、制御装置46によりインバータ30を介して送風機28のモータの回転数が調整されることにより、燃焼用空気の温度および燃焼排ガス中の酸素濃度に応じて燃焼用空気の供給量が調整される。
【0026】
熱交換器32(レキュペレータ)は、1次側3202と2次側3204とを備えている。
熱交換器32の1次側3202は、燃焼排ガスを外部に導く排ガス供給路48の途中に接続されている。
熱交換器32の2次側3204は、送風機28の吐出口とウインドボックス22とを接続する空気供給路33の途中に接続されている。
すなわち、熱交換器32は、バーナ24による燃料の燃焼により得られる燃焼ガスと循環する熱媒油との熱交換を行った後の燃焼排ガスによって、送風機28から押し込まれた燃焼用空気を予熱するものである。
【0027】
第1の温度センサ34は、送風機28の吐出口の近傍に設けられ、吐出口から空気供給路33に押し込まれる燃焼用空気の温度を検出し、その検出結果を制御装置46に供給するものである。この第1の温度センサ34は、送風機28の吸入口に設けてもよい。
第2の温度センサ36は、熱交換器32により予熱された燃焼用空気の温度を検出し、その検出結果を制御装置46に供給するものであり、空気供給路33のうち熱交換器32の2次側3204の下流端とウインドボックス22とを接続する部分に設けられている。第2の温度センサ36は、特許請求の範囲における燃焼用空気温度検出手段を構成する。
第3の温度センサ38は、排ガス供給路48のうち熱交換器32の1次側3202の下流端に接続された部分に設けられ、外部に排出される排ガスの温度を検出し、その検出結果を制御装置46に供給するものである。
第4の温度センサ40は、第2の熱媒体循環ライン16のうち缶体10(加熱管12)の出口近傍に設けられ、缶体10から負荷に供給される熱媒油の温度を検出し、その検出結果を制御装置46に供給するものである。
【0028】
ダンパ42は、図1に示すように、板体4202を含んで構成されている。
板体4202は、空気供給路33のうち熱交換器32の2次側3204の下流端とウインドボックス22とを接続する部分に設けられた回転可能に構成され、前記のモータ27によって比例弁2608と同期して回転される。
したがって、制御装置46から供給される制御信号によりモータ27が回転することにより板体4202が回転し、図3(A)、(B)、(C)に示すようにダンパ42の開度が調整され、ダンパ42の開度は比例弁2608の開度と同期して調整されることになる。
すなわち、モータ27が回転することにより、ダンパ42の開度が制御されて空気供給路33を流れる燃焼用空気の供給量が制御されると共に、比例弁2608の開度が制御されて燃焼量が制御される。
【0029】
酸素濃度センサ44は、排ガス酸素濃度検出手段を構成するものであって、燃焼排ガス中の酸素濃度を検出し、その検出結果を制御装置46に供給するものである。
本実施の形態では、酸素濃度センサ44は、排ガス供給路48のうち熱交換器32の1次側3202の下流側に接続された部分に設けられている。
【0030】
制御装置46は、外部から要求される燃焼量の指令と、第1乃至第4の温度センサ40、酸素濃度センサ44からの検出信号とを受け付けると共に、燃料供給手段26、送風機28およびダンパ42を制御するものである。
制御装置46は、マイクロコンピュータによって構成することができる。
すなわち、マイクロコンピュータは、CPUと、バスラインを介して接続されたROM、RAM、インタフェースなどを含んで構成されている。ROMはCPUが実行する燃焼装置の制御プログラムなどを格納し、RAMはワーキングエリアを提供する。
そして、図4に示すように、CPUが前記の制御プログラムを実行することにより、制御装置46は、開度制御手段50、回転数設定手段52、回転数制御手段54として機能する。
【0031】
開度制御手段50は、第4の温度センサ40の検出温度に基づき、循環する熱媒油の温度を所定温度に維持するよう燃焼量を判断し、遮断弁26を開き、燃焼量に見合う開度になるように比例弁2608を開くと共に所定範囲の空気比となるようにダンパ42の開度を制御する。開度制御手段50による燃焼量の設定は、第4の温度センサ40の検出温度と所定温度との温度差に比例してなされる(比例制御でなされる)。
より詳細には、熱交換器32により予熱された燃焼用空気の温度が予め定められた一定温度(例えば250℃)に維持されているという仮定で、燃焼量毎に、所定範囲の空気比となるダンパ42の開度を実験的に求める。
そして、モータ27の回転により燃焼量(比例弁2608の開度)が設定されると、所定範囲の空気比となるダンパ42の開度が得られるように、言い換えると、モータ27の回転量に応じて比例弁2608の開度とダンパ42の開度とが同期して調整されるように、比例弁2608およびダンパ42を構成しておく。
具体的には、燃焼量毎にモータ27の回転停止位置を決め、燃焼量と回転停止位置とをデータテーブルとして前記ROMに記憶しておく。
開度制御手段50は、燃焼量を決定すると、決定した燃焼量に基づいて前記データテーブルから読みだした回転停止位置となるようにモータ27を制御する。これにより、燃焼量に対応して所定範囲の空気比となるダンパ42の開度が調整される。
ここで、空気比について説明する。
空気は、大気圧で20.9%の酸素(O)を含んでいる。
空気比は、燃焼用空気の酸素濃度(20.9%)を、該酸素濃度から排ガスの酸素濃度を差し引いた値で割った値であり、式(1)で定義される。
空気比=20.9/(20.9−排ガス中の酸素濃度)……(1)
したがって、供給した燃料に対して、理論上完全な燃焼を行うだけの空気を供給した場合は、空気比=1(理論空気量)となる。熱効率的に見れば、空気比=1は理想であるが、工業的な燃焼装置では、このような理論的な燃焼を達成することが困難であるので、燃料を完全燃焼させるために、理論空気量よりも多い空気、つまり(1)の式に基づけば、空気比>1となるように供給する。
この場合の所定範囲の空気比とは、不完全燃焼による一酸化炭素の急増や火炎の途中消炎が起こらない燃焼性が得られる、およそ1.15〜1.45の範囲である。
【0032】
回転数設定手段52は、開度制御手段50で設定されたダンパ開度において、予熱された燃焼用空気の温度を検出する第2の温度センサ36の検出値に基づいて、目標空気比を得るために必要な送風機28の回転数を第1の回転数N1として設定するものである。
ここで目標空気比について説明する。
ダンパ42の開度の設定により前記の所定範囲の空気比あるいはその近傍までの調整は可能であるが、予熱された燃焼用空気の温度は、大気温度、燃焼量や負荷の変動などによって変化する。
この結果、燃焼量によるダンパ42の開度調整だけでは、空気量の変動が大きくなり、所定範囲の空気比を逸脱したり、空気比が低くなり燃焼性を悪化させることが起こり得る。
このため、送風機28の回転数を調整することにより、目標空気比になるように調整することが必要となる。
供給する空気量はできる限り理論空気比=1に近い量が理想であるが、本実施の形態の熱媒ボイラ100の場合は、この目標空気比はおよそ1.201〜1.237である。この過剰な空気量は、燃焼装置によっても変わり、あるいは、燃焼装置と該燃焼装置が適用される熱媒ボイラ、蒸気ボイラ、燃焼炉との組み合わせなどによっても変わる。
【0033】
回転数設定手段52による第1の回転数N1の設定は、以下の(1)、(2)のような構成によって実現することができる。
(1)空気比が目標空気比となるように、熱交換器32の出口における燃焼用空気の温度Tと、送風機28の回転数Nとの相関関係を示す曲線を計算により求め、この曲線を示す相関式を作成し制御プログラムに組み込む。
このような相関式の作成は、従来公知の様々な方法が使用可能である。
回転数設定手段52は、第2の温度センサ36で検出された燃焼用空気の温度から、前記の相関式に基づいて送風機28の第1回転数N1を設定する。
【0034】
(2)空気比が目標空気比となるように、第2の温度センサ36で検出される燃焼用空気の温度と送風機28の回転数の関係を計算により求め、ある温度幅、例えば25℃から5℃ごとに必要となる送風機28の回転数を求めておき、これをデータテーブルとして前記のROMなどの記憶手段に格納しておく。
回転数設定手段52は、第2の温度センサ36で検出された燃焼用空気の温度から、前記の相関関係を示すデータテーブルから送風機28の第1の回転数N1を求めて設定する。
データテーブルにおける燃焼用空気の温度と、送風機28の回転数とは離散的な値であるため、データテーブルに無い値は、前後のデータを比例配分するなど従来公知の方法を用いて補完すればよい。
【0035】
回転数制御手段54は、第1の回転数N1に基づいて、酸素濃度センサ44により検出された酸素濃度に応じてバーナの空気比が目標空気比となるように送風機28の回転数をフィードバック制御するものである。
回転数制御手段54は、第1の回転数N1に後述する微調整係数K2と粗補正係数K1とを乗算することで得られる第2の回転数N2に基づいて送風機28の回転数のフィードバック制御を行う。
また、回転数制御手段54は、検出された酸素濃度に応じて微調整係数K2を調整すると共に、微調整係数K2が予め定められた調整範囲を超えた場合には微調整係数K2が調整範囲内となるように粗補正係数K1を調整し、該粗補正係数K1を記憶する。
【0036】
本実施の形態では、回転数制御手段54は、粗補正演算回路56と、微調整演算回路58とを含んで構成されている。
微調整演算回路58は、第2の温度センサ36で検出された燃焼用空気の温度から前記の相関式に基づいて算出された回転数(第1の回転数N1)で燃焼用空気の風量を制御させ、さらに酸素濃度センサ44により検出された排ガス中の酸素濃度に応じて空気比が前記の目標空気比となるように送風機28の回転数を変更するものである。
粗補正演算回路56は、前述した燃焼用空気の温度と送風機の回転数との相関関係が外気温や湿度等によって変化した場合に、燃焼用空気の温度と送風機の回転数との新たな相関関係を得るものである。
【0037】
微調整演算回路58は、燃焼用空気の温度と送風機28の回転数の相関関係(相関式)から求められる送風機28の第1の回転数N1を微調整するものであり、この微調整は、酸素濃度センサ44により検出された酸素濃度に応じて、目標の空気比となるように送風機28の回転数を調整することによって行う。
すなわち、微調整演算手段58は、目標空気比に対応する酸素濃度(目標値)と検出された酸素濃度(現在値)との差分である酸素濃度の偏差(誤差)が“0”となるように第1の回転数N1に乗算する微調整係数K2を算出する。
この場合、算出した微調整係数K2の単位時間あたりの変化量が大きすぎると、目標空気比を安定させる上で不利となることから、微調整係数K2の単位時間あたりの変化量は、例えば、0.01/分とされている。
なお、微調整係数K2の単位時間あたりの変化量の具体的な数値を例示すると、インバータ30の周波数が40Hzであった場合、微調整係数K2の単位時間あたりの変化量は0.01×40Hz/分=0.4Hz/分となる。
このように微調整係数K2の単位時間あたりの変化量が定められていることから、微調整前と微調整後との間で微調整係数K2の変化量が大きくなるほど、実際の空気比が目標空気比に到達するまでに長い時間を要することになる。
したがって、実際の空気比が目標空気比に到達するまでに要する時間の短縮化を図るために、微調整係数K2が予め定められた調整範囲内に収まるように設定している。
すなわち、微調整係数K2を用いて実際の空気比が目標空気比となるように調整した結果、微調整係数K2が前記の調整範囲を超えている場合は、微調整係数K2の変化量の合計が前記調整範囲に収まるように後述する粗補正係数K1を調整する。
なお、微調整係数K2の調整範囲は、例えば、燃焼用空気温度に基づいて前記の相関関係(相関式)から求められる第1の回転数N1に対して±2%である。
【0038】
粗補正演算回路56は、微調整係数K2を用いて実際の空気比が目標空気比となるように回転数の微調整を行った結果、微調整係数K2が前記の調整範囲を超えている場合に、燃焼用空気の温度と送風機28の回転数との相関関係(相関式)を補正するものである。
【0039】
次に、上述した粗補正演算回路56および微調整演算回路58を含む回転数制御手段54の動作手順について説明する。
まず、空気比が目標空気比となるように、燃焼用空気の温度と送風機28の回転数との関係を計算で求め、相関関係を示す式(1)としてこれをROMに記憶しておく。
N=K1×K2×f(T)……(1)
N:送風機28の回転数
K1:粗補正係数
K2:微調整係数
T:燃焼用空気の温度
f:燃焼用空気Tと回転数Nとの相関関係を示す関数(ただし、外気温や湿度等による影響を考慮しないもの)
【0040】
そして、第2の温度センサ36で検出された燃焼用空気の温度Tから、K2=K1=1とした式(1)を用いて、送風機28の第1の回転数N1を得て、回転数制御手段54により送風機28の回転数をN1に変更する。
この回転数N1の状態で酸素濃度センサ44によって検出された酸素濃度に基づいて微調整演算回路58によって、微調整係数K2を図6に示す方法により求めて式(1)に代入して回転数Nを微調整する。このとき粗補正係数K1=1の状態が維持されている。
すなわち、微調整係数K2の単位時間あたりの変化量を0.01/分として変化させることにより、空気比が目標空気比となるように回転数Nを微調整する。
空気比が目標空気比に調整された結果、微調整係数K2が前記の調整範囲を超えている場合は、微調整係数K2が調整範囲内に収まるように、式(1)における粗補正係数K1を一定の比率で変化(増減)させることにより、燃焼用空気と送風機28の回転数との新たな相関関係(相関式)を作る。すなわち、式(1)の粗補正係数K1の値を増減する。
そして、回転数制御手段54は、新たな相関関係(相関式)に基づいて決定された送風機28の第2の回転数N2に基づいて送風機28の回転数を制御する。
さらに、酸素濃度センサ44により検出された酸素濃度に応じて目標空気比となるように送風機の回転数N2に微調整係数K2を乗算して微調整を行う。
微調整係数K2に基づいて回転数を調整して目標空気比に調整した結果、再び、微調整係数K2の変化量の合計が調整範囲を超えている場合は、微調整係数K2が調整範囲内に収まるように粗補正係数K1を一定の比率で変化して、新たな相関関係(相関式)を作り、上述と同様の動作を繰り返す。
【0041】
次に、上述した粗補正演算回路56および微調整演算回路58を含む回転数制御手段54の動作について図8、図9、図10に示す線図を用いて改めて説明する。
図8は、外気温や湿度等をある条件に設定したときの燃焼用空気の温度Tと回転数Nとの相関関係を示す関数の線図である。
図9は微調整係数K2による回転数の補正を説明するための線図である。
図10は粗補正係数K1による相関式の補正を説明するための線図である。
なお、図8、図9、図10において、横軸は燃焼用空気の温度T、縦軸は送風機28の回転数Nを示す。
図8において、N=f(T)=K1×K2×f(T)で示されている線が相関関係を示しており、この場合、K1=K2=1である。
f(T)は、空気比を目標空気比とするための、燃焼用空気の温度Tに対応する回転数Nを求める相関式である。
相関式f(T)は曲線になる。この曲線の式を導き、この相関式に基づいて熱交換器32の出口温度に対して必要な送風機28の回転数を求める。
以下では、説明の簡略化を図るため、相関式として曲線に近似した一次式(f(T)=a×T+b)を用いて送風機28の回転数の制御を行った場合について例示する。
この相関式は、目標空気比を得るための燃焼用空気の温度Tと回転数Nとの相関関係は外的要因によって変化しないことを前提としている。
しかしながら、外気温や湿度等による影響を受けると、上記の相関関係はそのままでは成立しなくなり、空気比を目標空気比に制御することができなくなるため、回転数の補正と、相関関係の補正とを行うことが必要となる。
すなわち、N=f(T)で得られた回転数Nを補正する(微調整する)微調整係数K2と、相関関係を補正する粗補正係数K1とを定めることが必要となる。
このことを示す式が前記の式(1)である。
【0042】
図9に示すように、検出された燃焼用空気の温度がTからTに変化した場合、N=f(T)=K1×K2×f(T)(ただしK1=K2=1)を用いて回転数NをNからNに変化させる。
次いで、検出された排ガス中の酸素濃度に基づいて目標空気比mとなるように、送風機28の回転数Nを微調整する。すなわち、粗補正係数K1=1とし、かつ、微調整係数K2をf(T)に乗算することで送風機28の回転数Nを微調整する。この結果、回転数NがNからNになったものとする。
この結果、微調整された微調整係数K2が前記の調整範囲を超えた場合は、当初の相関関係が成立しなくなったものとし、新たな相関関係を作成する。
そこで、図10に示すように、空気比を目標空気比mにするための微調整係数K2が前記の調整範囲内に収まるように粗補正係数K1を変更する。
【0043】
粗補正係数K1の変更について説明する。
図11は粗補正係数K1の調整を説明するための線図である。
横軸は時間t、縦軸は空気比mを示す。
上述したように微調整係数K2を変更して空気比が目標空気比mとなり、このときの微調整係数K2の値が1.03であるとする(粗補正係数K1=1)。
次に、微調整係数K2が前記の調整範囲内に収まるように、あるいは、微調整係数K2=1となるように操作を行う。
このような操作は以下のことが懸念されるためである。すなわち、微調整係数K2が調整範囲外にある状態であると、燃焼停止後に再び燃焼を開始した際、粗補正係数K=1の状態で制御がなされるため、前述したように微調整係数K2の単位時間当たりの変化量が定められていることから、回転数の制御に長い時間がかかることが懸念される。
なお、以下では、燃焼用空気の温度が一定であるものとする。
上述したように粗補正係数K1=1、微調整係数K2=1.03で空気比が目標空気比mであるものとする。
ここで、燃焼性に影響を与えないように、目標空気比mからあまり離れない程度に粗補正係数K1の値を変化させる。
図11では、粗補正係数K1を1から1.01まで(t2−t1)の時間をかけて0.01増加させる。
このとき、微調整係数K2は1.03のまま維持しているため、空気比が目標空気比mを上回る。
そして、粗補正係数K1が1.01に到達したならば、K1×K2=1.03となるように微調整係数K2を減少させる。この場合、微調整係数K2=1.02となる。
これにより、空気比は目標空気比mまで低下する。
さらに微調整係数K2を減少させるため、粗補正係数K1を上記と同じ変化量で上記と同じ時間をかけて増加させる。すなわち、粗補正係数K1を1.01から1.02まで同じ時間(t3−t2)=(t2−t1)をかけて0.01増加させる。この結果、粗補正係数K1=1.02となる。
すなわち、粗補正係数K1の調整は、微調整係数K2が前記調整範囲を超えた場合に、粗補正係数K1を単位時間当たり予め定められた補正量変化させることで行われる。
このような操作を繰り返すことで微調整係数K2を前記の調整範囲内に収まるように、あるいは、微調整係数K2=1となるように調整する。
そして、得られた粗補正係数K1≠1を記憶させ、燃焼停止後の燃焼時には、この記憶されていた粗補正係数K1を用いた相関関係(相関式)に基づいて燃焼用空気の温度から送風機28の回転数Nを求める。
【0044】
次に、熱媒ボイラ100の動作について図7のフローチャートを参照して説明する。
予め熱媒ボイラ100は停止状態にあるものとする。
熱媒ボイラ100が起動されると、前記の循環ポンプは、缶体10と負荷との間での熱媒油の循環を開始する。これと同時に制御装置46が起動することにより図7の処理が実行される。
【0045】
次に、回転数制御手段54(粗補正演算回路56)は、図5に示すように、相関式で得られた温度に応じて決められる第1の回転数N1によって送風機28を制御する(S20)。
そして、酸素濃度センサ44により検出された酸素濃度に応じて微調整係数K2を用いて空気比が目標空気比となるように回転数を調整する(S22、S24)。
【0046】
そして、回転数制御手段54(微調整演算回路58)は、図5に示すように、微調整係数K2が調整範囲を超えている場合は、微調整係数K2が調整範囲内に収まるように粗補正係数K1を一定の比率で相関式に乗算し、新たな相関を作り、第2の回転数N2を得る(S26)。
第2の回転数N2で送風機28の制御を行い、検出された酸素濃度に応じて空気比が目標空気比となるように第2の回転数N2に乗算する微調整係数K2を算出し、空気比が目標空気比となるまでステップS24、S26を繰り返したのち(S28)、ステップS10に戻り、同様の処理を繰り返して実行する。
すなわち、回転数制御手段54によって、酸素濃度センサ44により検出された酸素濃度に応じてバーナ24の空気比が前記の目標空気比となるように送風機28の回転数がフィードバック制御されることになる。
以降、ガス燃料の燃焼により熱媒ボイラ100によって熱媒油が加熱され、加熱された熱媒油が負荷と熱媒ボイラ100との間で循環される。
また、燃焼が停止された場合は、停止直前の粗補正係数K1を記憶しておき、燃焼が開始されたときは、この粗補正係数K1を用いた相関式に基づいて燃焼用空気の温度から送風機28の回転数を求め、その回転数で送風機28を制御する。
【0047】
以上説明したように本実施の形態によれば、設定された燃焼量に応じて、ダンパ42の開度を制御すると共に、第2の温度センサ36で検出された燃焼用空気の温度から、バーナ24の空気比が予め定められた目標空気比となるように送風機28の第1の回転数N1を設定するようにした。
したがって、燃焼量の変動に応じて燃焼用空気の供給量を的確に制御することにより、燃焼用空気を的確に予熱して排ガス温度を下げることでボイラ効率(燃焼効率)を高めることができ、かつ、負荷の増大に応じて燃焼量(燃料)を増加させた場合に、的確に燃焼用空気を増加させつつ、予熱された燃焼用空気の熱膨張に伴う燃焼用空気の供給量の減少を抑制して空気比を目標空気比となるように送風機28を制御できるため、燃焼性を良好に保ち、燃焼の安定化を図ることができる。
また、燃焼用空気に応じて第1の回転数N1を設定するだけでは、外気温度や湿度の変化、負荷温度の変動などに対して第1の回転数N1の調整が間に合わず、バーナ24の空気比が目標空気比から外れることが想定される。すなわち、燃焼用空気に応じて第1の回転数N1を設定するだけでは、送風機28の回転数の制御の応答性を確保することが困難である。
そこで、本実施の形態では、第1の回転数N1に基づいて、排ガス中の酸素濃度に応じてバーナ24の空気比が目標空気比となるように送風機28の回転数をフィードバック制御するようにした。
したがって、送風機28の回転数の制御の応答性を高めつつバーナ28の空気比の変動の抑制を図ることができるので、燃焼性をより良好に保ち、燃焼のさらなる安定化を図ることができる。
【0048】
また、本実施の形態では、前記のフィードバック制御を、第1の回転数に微調整係数K2と粗補正係数K1とを乗算することで得られる第2の回転数に基づいて送風機28の回転数を制御することで行うものとし、検出された酸素濃度に応じて微調整係数K2を調整すると共に、微調整係数K2が予め定められた調整範囲を超えた場合には微調整係数K2が前記の調整範囲内となるように粗補正係数K1を調整し、この値を記憶するようにした。
これにより、燃焼が停止し、再起動したときに補正した粗補正係数K1で得られた新たな補正式を用いて第2の温度センサ36で検出された温度に基づいて必要な送風機28の回転数を得ることができる。したがって、微調整係数K2の調整範囲を小さい範囲に留めることができるので、目標空気比への調整を短時間で実現することができるため、燃焼の安定化をより一層早く実現することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、回転数制御手段54による粗補正係数K1の調整は、微調整係数K2が前記調整範囲を超えた場合に、粗補正係数K1を単位時間当たり予め定められた補正量変化させることで行うようにした。
したがって、予め定められた補正量を変化させるといった簡単な制御により粗補正係数K1の調整を行うことができるので、排ガス中の酸素濃度に応じた送風機28の回転数のフィードバック制御の簡素化を図ることができる。
【0050】
また、本実施の形態では、回転数設定手段52による送風機28の第1の回転数N1の設定を、予め実測された燃焼用空気の温度と、予め実測された送風機の回転数とに基づいて定められた相関関係を示す相関式を用いて行うようにしたので、送風機28の回転数の設定を精密に行うことができる。
【0051】
また、本実施の形態では、回転数設定手段52による送風機28の第1の回転数N1の設定を、予め実測された燃焼用空気の温度と、予め実測された送風機の回転数とに基づいて定められた相関関係を示すデータテーブルを用いて行うようにしたので、送風機28の回転数の設定に要する処理を簡単に行うことができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、燃焼装置が熱媒ボイラ100に適用された場合について説明したが、本発明の燃焼装置は、蒸気ボイラ、あるいは、燃焼炉についても無論適用可能である。
【符号の説明】
【0053】
100……熱媒ボイラ
10……缶体
12……加熱管
15……燃焼室
14……熱媒体戻りライン
16……熱媒体供給ライン
18……燃焼室
20……燃焼装置
22……ウインドボックス
24……バーナ
26……燃料供給手段
28……送風機
30……インバータ
32……熱交換器
34……第1の温度センサ
36……第2の温度センサ(燃焼用空気温度検出手段)
38……第3の温度センサ
40……第4の温度センサ
42……ダンパ
44……酸素濃度センサ(排ガス酸素濃度検出手段)
46……制御装置
50……開度制御手段
52……回転数設定手段
54……回転数制御手段
56……粗補正演算回路
58……微調整演算回路
N1……第1の回転数
N2……第2の回転数
K1……粗補正係数
K2……微調整係数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バーナと、
設定された燃焼量に応じて燃料を前記バーナに供給する燃料供給手段と、
前記バーナに燃焼用空気を供給する送風機と、
前記送風機と前記バーナとの間に設けられ、前記バーナによる前記燃料の燃焼により生成された排ガスによって前記燃焼用空気を予熱する熱交換器と、
前記熱交換器により予熱された前記燃焼用空気の温度を検出する燃焼用空気温度検出手段と、
前記熱交換器と前記バーナとを接続する空気供給路に設けられ開度が制御されるダンパと、
前記排ガス中の酸素濃度を検出する排ガス酸素濃度検出手段と、
前記設定された燃焼量に応じて、前記ダンパの開度を制御する開度制御手段と、
前記燃焼用空気温度検出手段で検出された前記燃焼用空気の温度により、前記バーナの空気比が予め定められた目標空気比となる前記送風機の回転数を第1の回転数として設定する回転数設定手段と、
前記第1の回転数に基づいて、前記排ガス酸素濃度検出手段により検出された酸素濃度に応じて前記バーナの空気比が前記目標空気比となるように前記送風機の回転数をフィードバック制御する回転数制御手段とを備える、
ことを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記回転数制御手段による前記送風機の回転数のフィードバック制御は、前記第1の回転数に微調整係数と粗補正係数とを乗算することで得られる第2の回転数に基づいて前記送風機の回転数を制御することでなされ、
前記回転数制御手段は、前記検出された酸素濃度に応じて前記微調整係数を調整すると共に、前記微調整係数が予め定められた調整範囲を超えた場合には前記微調整係数が前記調整範囲内となるように前記粗補正係数を調整し、該粗補正係数を記憶すること特徴とする、
請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記回転数制御手段による前記粗補正係数の調整は、前記微調整係数が前記調整範囲を超えた場合に、前記粗補正係数を単位時間当たり予め定められた補正量変化させることでなされる、
請求項2記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記回転数設定手段による前記送風機の第1の回転数の調整は、
前記燃焼量に対して予め実測された、前記燃焼用空気の温度と前記送風機の回転数とに基づいて定められた相関関係を示すデータテーブルを用いてなされることを特徴とする、
請求項1乃至3に何れか1項に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記回転数設定手段による前記送風機の第1の回転数の調整は、
前記燃焼量に対して予め実測された、前記燃焼用空気の温度と予め実測された前記送風機の回転数とに基づいて定められた相関関係を示す相関式を用いてなされることを特徴とする、
請求項1乃至3に何れか1項に記載の燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−50231(P2013−50231A)
【公開日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−186884(P2011−186884)
【出願日】平成23年8月30日(2011.8.30)
【出願人】(000175272)三浦工業株式会社 (1,055)
【Fターム(参考)】