説明

版画用材および版画用原版

【課題】切削性に優れ、彫刻刀等の刃物を用いることなく彫刻が可能で、初心者をはじめ中学生や小学生はもちろんのこと、就学前の幼児でも、容易かつ安全に彫って楽しむことができる版画用材および版画用原版を提供する。
【解決手段】 版画用原版1を構成する版画用材3は、母材が基材樹脂および可塑剤等からなり、硬度3B以下の鉛筆により彫刻可能な表面強度を有する。これにより、版画用材3は、従来のゴム版等の柔らかな版画原版よりも柔らかくて、切削性に優れ、彫刻刀やカッターなどの硬くて鋭利な危険性の高い専門の刃物を用いなくとも、竹べら、爪楊枝、鉛筆あるいはシャープペンシル等のある程度先の尖った用具であれば、簡単に彫ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は版画用材および版画用原版に関し、さらに詳細には、初心者をはじめ幼児や小学生でも、容易かつ安全に彫って楽しむことができる版画用材技術に関する。
【背景技術】
【0002】
版画は、木、銅、ゴム等の各種材料からなる原版の表面に、彫刻刀により、文字や図形等の図柄を彫り、この版画版の表面に絵の具やインクを塗って、これを紙等の表面に刷って転写したものである。
【0003】
版画用原版の中でも、ゴム材からなるゴム版は柔らかくて、彫刻刀による切削性に優れ、取り扱いも容易かつ安全であることから、初心者の入門用として、あるいは小学生や中学生など学校教材用としての用途に広く普及しており、その具体的構成も、使用者の便宜を図るため、従来種々のものが開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0004】
しかしながら、これら従来のゴム版にあっても、彫刻刀の使用は必須であり、彫刻刀により手指を傷つける危険があり、彫刻をより容易かつ安全に行える版画用原版の開発が要望されていた。
【特許文献1】特開昭63−21689号公報
【特許文献2】特開平1−167784号公報
【特許文献3】特開平8−342000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、切削性に優れ、彫刻刀等の刃物を用いることなく彫刻が可能で、初心者をはじめ中学生や小学生はもちろんのこと、就学前の幼児でも、容易かつ安全に彫って楽しむことができる版画用材を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的とするところは、上記版画用材で彫刻面が形成された版画用原版を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の版画用材は、母材が基材樹脂および可塑剤等からなり、硬度3B以下の鉛筆により彫刻可能な表面強度を有することを特徴とする。
【0008】
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記母材中に、微小な独立気泡球体が多数散在含有されてなる。
【0009】
(2)上記基材樹脂は塩化ビニル系樹脂である。
【0010】
(3)上記基材樹脂は熱可塑性エラストマーである。
【0011】
(4)上記熱可塑性エラストマーはスチレン系熱可塑性エラストマーである。
【0012】
(5)上記熱可塑性エラストマーはオレフィン系熱可塑性エラストマーである。
【0013】
(6)上記可塑剤は多塩基性酸エステル系可塑剤である。
【0014】
(7)上記可塑剤は高分子系可塑剤である。
【0015】
(8)上記可塑剤は含塩素可塑剤である。
【0016】
(9)上記独立気泡球体が有機系中空球体である。
【0017】
(10)上記独立気泡球体が無機系中空球体である。
【0018】
(11)上記独立気泡球体が、有機系中空球体と無機系中空球体からなる。
【0019】
(12)上記有機系中空球体は、加熱、成形時に膨張する未発泡有機系中空球体である。
【0020】
(13)上記有機系中空球体は、加熱、成形時に形状寸法が一定の既発泡有機系中空球体である。
【0021】
(14)上記有機系中空球体は、加熱、成形時に膨張する未発泡有機系中空球体と、加熱、成形時に形状寸法が一定の既発泡有機系中空球体とからなる。
【0022】
(15)上記独立気泡球体は、版画用材の各構成材料に均等に代えて含有される。
【0023】
(16)上記独立気泡球体は、母材を構成する充填剤の一部に代えて含有されている。
【0024】
また、本発明の版画用原版は、平坦な彫刻面が上記版画用材により形成されていることを特徴とする。
【0025】
好適な実施態様として、以下の構成が採用される。
(1)上記版画用材が平坦な彫刻面を有する所定形状のブロック体に形成されてなる。
【0026】
(2)上記ブロック体が直方体である。
【0027】
(3)上記ブロック体が円柱である。
【0028】
(4)所定形状のブロック体に形成されてなる原版本体の彫刻基面に、上記版画用材が張設されて上記彫刻面が形成される。
【0029】
(5)上記ブロック体が直方体である。
【0030】
(6)上記ブロック体が円柱である。
【0031】
(7)上記版画用材が上記ブロック体の彫刻基面に取外し交換可能に貼着されている。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、本発明の版画用材は、母材が基材樹脂および可塑剤等からなり、硬度3B以下の鉛筆により彫刻可能な表面強度を有するから、従来のゴム版等の柔らかな版画原版よりも柔らかくて、切削性に優れ、彫刻刀やカッターなどの硬くて鋭利な危険性の高い専門の刃物を用いなくとも、竹べら、爪楊枝、鉛筆あるいはシャープペンシル等のある程度先の尖った用具であれば、簡単に彫ることができる。
【0033】
これにより、初心者をはじめとして、中学生や小学生はもちろんのこと、まだ就学前の幼児でも、容易かつ安全に彫刻を楽しむことができる。
【0034】
また、弾力性に富むため、彫刻後の版画版の表面に、絵の具やインクを塗って、紙等の表面に刷る作業も、ゴム版同様に容易かつ確実に行うことができる。
【0035】
このように安全で取り扱いも容易な本発明の版画用原版は、初心者の入門用として、あるいは小学生や中学生など学校教材用としてはもちろんのこと、就学前の幼稚園児等の幼児用教材としてあるいは一般家庭用としても最適であり、汎用性に優れている。
【0036】
さらに、母材中に、微小な独立気泡球体が多数散在含有されてなる構成とされることにより、版画用材自体が軽量であり、製造者、販売者にとっても、輸送コストを低く抑えることができて、従来のゴム版等の同種製品に比較して製品コストの低減化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、図面全体にわたって同一の符号は同一の構成部材または要素を示している。
【0038】
実施形態1
本発明に係る版画用原版を図1に示し、この版画用原版1は、特に、版画の初心者入門用として、小学生や中学生など学校教材用として、あるいは就学前の幼稚園児等の幼児教材として適したものであり、平坦な彫刻面2が版画用材3により形成されてなり、具体的には、図示のごとく、版画用原版1全体が版画用材3により形成された所定形状のブロック体とされている。
【0039】
図示の実施形態の版画用原版1は、薄い直方体形状のブロック体とされ、つまり、従来一般的な厚肉矩形平板状の版画版と同じ形態とされており、その表裏両面1a、1bが上記彫刻面2とされている。
【0040】
上記版画用材3は、その母材が基材樹脂および可塑剤等からなり、硬度3B以下の鉛筆により彫刻可能な表面強度を有するプラスチック版画用材であり、好適には、上記母材中に、微小な独立気泡球体が多数散在含有されてなる。
【0041】
版画用材3の表面強度は、種々の試験結果から得られたものであり、硬度3B以下の柔らかい鉛筆の芯で削ることが可能であれば、従来のゴム版等の柔らかな版画原版よりも柔らかくて、切削性に優れ、竹べら、爪楊枝、鉛筆あるいはシャープペンシル等のある程度先の尖った用具でも彫刻することができる強度である。
【0042】
版画用材3としては、上記表面強度の条件を満たすことで、所期の目的を果たすのであるが、一方、あまり柔ら過ぎると、彫刻後の版画版により紙等の表面へ刷って転写 する際に、版画版表面が歪んでしまう等して、彫刻どおりの図柄を転写することが出来ず、また、手先をまだ器用に使うことのできない幼児などは、図柄を望みどおり上手に彫ることができない。このような版画用材3として使用可能な柔らかさの限界点となる硬さ(硬度)を求めるべく種々の試験を行った結果、JIS K 6301の硬さ試験による硬さ(硬度)が5以上であれば、版画用材3として使用可能であることが判明した。
【0043】
このような硬度3B以下の鉛筆により彫刻可能な表面強度を有する版画用材3を製造するための基本的な考え方としては、母材を構成する基材樹脂が備える本来の機械的強度を低下させて、脆化させることで、上記所要の表面強度を得ることである。
【0044】
上記基材樹脂の機械的強度を低下させる方法としては、(i)可塑剤、軟化剤等を配合して基材樹脂を構成するポリマーの分子間相互作用を低下させる方法と、(ii)基材樹脂に対して不活性な非補強性の無機あるいは有機充填材を多量に配合して版画用材3中の基材樹脂の含有率を低下させる方法とが挙げられる。
【0045】
また、この目的のために選ばれる可塑剤、軟化剤、充填材等の種類および配合量は、基材樹脂の種類や基材樹脂の本来の機械的強度によって様々であり、目的とする版画用材3の硬さ、表面強度によって適宜調整される。
【0046】
母材を構成する基材樹脂としては、塩化ビニル系樹脂または熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。
【0047】
塩化ビニル系樹脂としては、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−ビニルアルコール共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体−ポリ塩化ビニルグラフト重合体などが好適に用いられる。
【0048】
熱可塑性エラストマーとしては、スチレン系熱可塑性エラストマーまたはオレフィン系熱可塑性エラストマーが好適に用いられる。スチレン系熱可塑性エラストマーとしては、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレンプロピレン(SEP)、スチレン−エチレン/プロピレン・スチレン(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)などが好適に用いられる。さらに、他のオレフィンとしては、非晶性ポリαオレフィン共重合体が望ましく、一例として、プロピレン・エチレン共重合体、プロピレン・ブテン1共重合体などが挙げられる。
【0049】
可塑剤としては、上記基材樹脂を可塑化させるために用いられ、多塩基性酸エステル系可塑剤、高分子系可塑剤および含塩素可塑剤などが好適に用いられる。
【0050】
上記多塩基性酸エステル系可塑剤としては、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル(DOP)、フタル酸ジノルマルオクチル、フタル酸ジブチル(DBP)、フタル酸ジヘプチル、フタル酸イソノニル、フタル酸ジイソオクチル等のフタル酸エステル系可塑剤や、アジピン酸ジオクチル(DOA)、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル等の脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤や、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル系可塑剤や、アセチルクエン酸トリブチルなどがある。また、高分子系可塑剤としては、ポリプロピレンアジペートやポリプロピレンセバケートなどがある。さらに、含塩素可塑剤としては、塩化パラフィン、塩素化脂肪酸メチルなどがある。
【0051】
上記可塑剤の使用量は、量の増減での比重の変化は比較的少ないことから、基材樹脂の種類によっても異なるが、専ら、版画用材としての硬さ、切削作業性などの関係から、基材樹脂100重量部に対して100〜300重量部使用するのが好ましい。
【0052】
さらに、必要に応じて、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、シリカ、珪藻土、酸化マグネシウム、タルク、セリサイト、石英粉末、モンモリロナイト、ホタテ、カキ、しじみなどの貝殻粉末などの充填剤、有機中空粒子、無機中空粒子及び有機・無機顔料、染料などの着色材、香料、安定剤、滑剤、紫外線吸収剤、防カビ剤などの他の添加物も適宜任意に使用することも可能である。
【0053】
さらに、軟化剤、老化防止剤、充填剤等を添加することができる。
【0054】
軟化剤としては、エキステンダー又はプロセス油等の鉱物油系軟化剤;菜種油、綿実油、落花生油、ひまし油、パーム油等の植物油系軟化剤;フタル酸エステル系、アジピン酸エステル系、セバシン酸エステル系、リン酸エステル系、トリメリット酸エステル系等のエステル系、エーテル系、エポキシ系、ポリエステル系、ポリエーテル系等の可塑剤;ロジン、ロジン誘導体(水素添加ロジン、ロジンエステル類等)、石油樹脂、ポリブテン、ポリテルペン等の粘着付与剤;高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、高融点ワックス、低分子量ポリエチレン、ポリエチレングリコール、オクタデシルアミン等の滑剤等が含まれる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0055】
また、老化防止剤としては、酸化防止剤、熱老化防止剤、屈曲亀裂防止剤、オゾン劣化防止剤等が含まれ、具体的にはアミン系、フェノール系、ワックス系等が挙げられる。また充填剤としては、カーボンブラック、ケイ酸、ケイ酸塩類、炭酸塩類等の無機質充填剤;ハイスチレン樹脂、クマロインデン樹脂、フェノール樹脂、リグニン、変性メラミン樹脂、石油樹脂、粉末ゴム等が挙げられる。これらは単独又は2種以上組み合わせて用いられる。
【0056】
上記独立気泡球体は、版画用材に空隙を形成させて良好な切削性と軽量性を確保するために使用するもので、マイクロバルーンとも呼ばれ、通常5〜300μmの単一な空間をもった微細な中空球体であり、外殻の成分によって、有機系中空球体(有機系バルーン)と無機系中空球体(無機系バルーン)とに大別される。
【0057】
有機系中空球体としては、熱可塑性樹脂やカーボンを成分としたカーボンバルーン、フエノールバルーン、塩化ビニリデンバルーン等が挙げられ、塩化ビニリデン、スチレン、MMA、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのコポリマーを外殻成分としている。
【0058】
具体的な外殻材質としては、ポリ塩化ビニリデン─アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−アクリルエステル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレン−アクリル共重合体などが挙げられる。
【0059】
有機系中空球体は、真比重が0.03〜0.06程度で、平均粒径が50μm程度である。また有機系中空球体は、その外殻の厚さもわすか0.1μmで、ビニール風船のような弾力性を備えることから、いかにバルーンを壊さないように添加するかが重要である。例えば、材質の選定にあたっては、用いられる可塑剤に成形温度以下で溶解しないものを選択する必要がある。これは成形途中で有機系中空球体が破裂してしまうおそれがあるためである。
【0060】
また、有機系中空球体は、加熱、成形時に膨張する未発泡有機系中空球体と、加熱、成形時に形状寸法が一定の既発泡有機系中空球体に分けられる。
【0061】
未発泡有機系中空球体は、その内部に、膨張性物質として、ブタン、ペンタン等の低沸点炭化水素、フロン等の低沸点ハロゲン化炭化水素、あるいはその他低沸点有機溶剤などを含んでなり、これら内封物が成形時の熱により膨張して空隙を形成し、膨張と同時に蒸散・気散する。
【0062】
この場合の外殻を構成する樹脂は、50℃以上で軟化が開始するような材質であることが適切である。50℃未満で軟化してしまう材質の粒子では、成形が開始される前に有機系中空球体の膨張が開始されてしまい、成形途中で有機系中空球体が破裂してしまうおそれがあるためである。
【0063】
有機系中空球体の具体例としては、既発泡のものとして、エクスパンセル社製のEXPANCEL461DE、同051DE、同551DE、同091DE等が挙げられ、また、未発泡のものとしてエクスパンセル社製のEXPANCEL461DU、同051DU、同551DU、同091DU等が挙げられる。この他にも、松本油脂製薬株式会社等の製造販売に係る有機系中空球体など、一般市販の有機系中空球体が使用可能である。
【0064】
未発泡有機系中空球体については、必要とする空隙の大きさや成形温度により内封物が選択されるが、ゲル化温度より高い沸点の物質を内封すると、マイクロカプセルが膨張せず、空隙の効果が少なくなってしまうので、沸点の低い物質を用いることが好ましい。使用する量は、内封物質により異なるが、本発明の効果を考慮すると、基材樹脂100重量部に対して1〜20重量部使用するのが好ましい。
【0065】
一方、既発泡有機系中空球体についても、必要とする版画用材の空隙の大きさや使用する有機系中空球体の粒子径により、有機系中空球体の使用量は異なるが、空隙形成の効果を考慮すると、基材樹脂100重量部に対して1〜15重量部使用するのが好ましい。
【0066】
無機系中空球体としては、ガラスバルーン、シラスバルーン、シリカバルーンなどが挙げられ、一般的に内部が空で、壁厚が数μm程度、球径が数10μm程度の微小な真球体で、ピンポン玉を微小化したのと同様の形状をもつ粉体である。無機系中空球体の外周面に樹脂コーティングして、補強したものもある。
【0067】
無機系中空球体の具体例として、日本シリカ社製のグラスマイクロバルーン、イヂチ化成株式会社製のウィンライトMSB−5011、旭硝子株式会社製のQ−CEL200、同300、鈴木油脂工業株式会社製のシリカB−25C等が挙げられる。使用する量は、比重減小効果も考慮して、基材樹脂100重量部に対して5〜50重量部使用するのが好ましい。
【0068】
これら独立気泡球体は、版画用材の各構成材料に均等に代えて、あるいはその一部の特定構成材料に代えて含有され、好適な一例としては、版画用材の構成材料として大きな比重を占める充填剤の一部に代えて含有される。
【0069】
また、独立気泡球体の具体的構成は、目的に応じて、有機系中空球体または無機系中空球体単体で、あるいはこれら両者を混合して、さらには、有機系中空球体についても、未発泡有機系中空球体または既発泡有機系中空球体単体で、あるいはこれら両者を混合して用いられる。
【0070】
一例として、版画用材の比重を1以下にするには、例えば、基材樹脂100重量部に対して、有機系中空球体を単体で用いる場合は8〜10重量部が好ましく、無機系中空球体を単体で用いる場合は10〜50重量部が好ましく、また、有機系中空球体と無機系中空球体を混合して用いる場合は、有機系中空球体が5〜10重量部で、無機系中空球体が5〜20重量部で、合計10〜50重量部が好ましい。
【0071】
また、場合により、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等の充填剤や、溶剤、着色材など、母材として使用されている各種添加物を適宜選択使用することも可能である。さらに、インキ等を溶解する溶剤が内包されたマイクロカプセルや研磨剤を添加して、インキによる筆跡やコピー機の複写跡など鉛筆による筆跡以外の筆跡等を消去する機能を付加することも可能である。
【0072】
次に、これら構成材料を用いて版画用材3つまりは版画用原版1を成形する方法を説明すると、流し込み成形法により版画用材3(版画用原版1)を成形するには、各構成材料を所定量ずつ混合して攪拌し、この混合材料を所定温度に加熱保温した成形型に流し込み、この状態のまま所定時間放置する。その後、この成形型に充填された構成材料を冷却して取り出すことにより、図1に示すような所定形状寸法の製品3(1)が完成する。あるいは、上記成形型に充填された構成材料を冷却してから成形型から取り出し、この成形物を図1に示すような所定寸法形状に切断して製品3(1)とする。
【0073】
また、押出成形法により版画用材3(版画用原版1)を成形するには、各構成材料を所定量ずつ混合して攪拌し、この混合材料を押出成形機に投入して、所定温度に加熱しながら所定形状に成形し、この成形物を冷却した後、図1に示すような所定寸法形状に切断して製品とする。
【0074】
さらに、射出成形法により版画用材3(版画用原版1)を成形するには、各構成材料を所定量ずつ混合して攪拌し、この混合材料を射出成形機に投入して、図1に示すような所定形状寸法の製品とする。
【0075】
以上のように構成された版画用材3、つまりは版画用原版1においては、微小な有機系中空球体や無機系中空球体等の独立気泡球体が、基材樹脂および可塑剤等からなる母材中に多数散在含有されてなることにより、形状寸法の均一な成形物が得られる。これは、独立気泡球体が母材に任意のチキソトロピー性を付与する結果、その成形工程において、成形型への流し込みや押出成形が良好であるためと考えられる。
【0076】
また、上記独立気泡球体により版画用材3内部には多数の微小な空隙が形成されることになるが、これらの各空隙はいずれも、独立気泡球体自体の外殻により互いに独立していて、他の空隙と連続するようなことはなく、その形状寸法は独立気泡球体の容積そのもので適度(予め設定した形状寸法)である。したがって、各空隙の形状寸法も全体としてほぼ均一であり、版画用材3さらには版画用原版1自体に所期の製品強度を得ることができる。
【0077】
さらに、独立気泡球体として、有機系中空球体と無機系中空球体という異種材料を混合して用いる場合には、有機系中空球体と無機系中空球体をそれぞれ単体で用いた場合に比較して、成形物の形状寸法の安定性と軽量化という点においてより大きな効果を得ることができる。
【0078】
すなわち、有機系中空球体と無機系中空球体をそれぞれ単体で用いた場合にも上記のような効果が得られるが、これら各単体では次のような不具合も若干伴う。つまり、有機系中空球体だけでは、一定寸法形状を得るための加工性ないしは作業性という点で若干の困難を伴い、一方、無機系中空球体だけでは、低比重化という点で若干の難点がある。
【0079】
これに対して、有機系中空球体と無機系中空球体を適量ずつ混合させることにより、両者が互いに補完しあって、成形工程における作業性が向上しつつ、版画用材の低比重化も実現することができる。
【0080】
つまり、例えば母材中に未発泡有機系中空球体のみを含ませ、加工の際の熱で中空球体内に内包される膨張性物質を膨張させる方法では、有機系中空球体の膨張の大きさにバラツキを生じ、この結果、版画用材3の仕上がり表面に凹凸を生じてしまう。この点を考慮して、有機系中空球体の含有量を相対的に減量すると、今度は版画用材3の形状は安定するが、比重は1以下にならない。そこで、無機系中空球体を併用含有させることにより、密度設定が容易確実となり、仕上がり形状寸法の安定が得られるとともに、版画用材3の仕上がり表面特に彫刻面2に凹凸を生じることもなく、比重の減小化に一層の効果が得られる。
【0081】
しかして、以上のように構成された版画用原版1においては、従来周知のゴム版と同様の要領で版画を楽しむことができる。この場合、本実施形態の版画用材3は、基材樹脂および可塑剤等からなる母材中に、微小な独立気泡球体が多数散在含有されてなるから、従来のゴム版等の柔らかな版画原版よりも柔らかくて、切削性に優れ、彫刻刀やカッターなどの硬くて鋭利な危険性の高い専門の刃物を用いなくとも、竹べら、爪楊枝、鉛筆あるいはシャープペンシル等のある程度先の尖った用具であれば、簡単に彫ることができる。
【0082】
これにより、初心者をはじめとして、中学生や小学生はもちろんのこと、まだ就学前の幼児でも、容易かつ安全に彫刻を楽しむことができる。
【0083】
また、弾力性に富むため、所望の図柄を彫刻後の版画版1の表面(彫刻面)2に、絵の具やインクを塗って、紙等の表面に刷る作業も、ゴム版同様に容易かつ確実に行うことができる。
【0084】
さらに、母材中に、微小な独立気泡球体が多数散在含有されてなる構成であるから、版画用材3さらには版画用原版1自体が軽量であり、製造者、販売者にとっても、輸送コストを低く抑えることができて、従来のゴム版等の同種製品に比較して製品コストの低減化を実現することができる。
【0085】
実施形態2
本実施形態は図2に示されており、実施形態1が若干改変されたものである。
【0086】
すなわち、本実施形態の版画用原版1は、実施形態1と同様に、版画用原版1全体が版画用材3により形成された所定形状のブロック体とされるとともに、その外観形状が円柱形状とされ、つまり、従来一般的なはんこの形態とされており、その先端面1cが上記彫刻面2とされている。なお、具体的には図示しないが、四角柱形状のはんこの形態とされても良い。
【0087】
しかして、以上のように構成された版画用原版1にあっては、上述した実施形態1と同様に版画を手軽に楽しむことができるとともに、図示のごとくはんこの形態されていることから、簡易に使用者個人の個性あるはんことしても楽しむことができる。
【0088】
また、版画用原版1全体が版画用材3から形成され、しかも図示のごとくはんこ形態の柱状ブロックであることから、使用済みの版画用原版1の先端部分を切除して、新たな彫刻面2を表出させれば、版画原版としての再使用が可能である。
その他の構成および作用は実施形態1と同様である。
【0089】
実施形態3
本実施形態は図3に示されており、実施形態1が若干改変されたものである。
【0090】
すなわち、本実施形態の版画用原版1は、所定形状のブロック体に形成されてなる原版本体5の彫刻基面5aに、版画用材3が張設されて彫刻面2が形成されている。
【0091】
図示の実施形態の版画用原版1は、実施形態1と同様な薄い直方体形状のブロック体とされ、厚肉矩形平板状の原版本体5の表面つまり上記彫刻基面5aに、薄肉矩形平板状の版画用材3が積層状に張設されて、彫刻面2が形成されている。
【0092】
上記原版本体5は、木、金属あるいはプラスチック等の適宜材料から形成され、図示の実施形態においてはプラスチック材料からなる一体成形品とされている。
【0093】
また、上記版画用材3の構成材料は前述した実施形態1と同様であり、その成形方法も実施形態1と同様である。この版画用材3は上記原版本体5の彫刻基面5aに取外し交換可能に貼着されている。この貼着手段としては、一般的な各種糊等が使用可能である。
【0094】
しかして、以上のように構成された版画用原版1にあっては、上述した実施形態1と同様に版画を手軽に楽しむことができるとともに、版画用材3が原版本体5の彫刻基面5aに取外し交換可能に貼着される構成であるから、使用済みの版画用原版1の版画用材3のみを新しいものに交換すれば、実施形態2と同様に、版画原版としての再使用が可能である。
その他の構成および作用は実施形態1と同様である。
【0095】
実施形態4
本実施形態は図4に示されており、実施形態2が若干改変されたものである。
【0096】
すなわち、本実施形態の版画用原版1は、実施形態3と同様に、所定形状のブロック体に形成されてなる原版本体6の彫刻基面6aに、版画用材3が張設されて彫刻面2が形成されている。
【0097】
図示の実施形態の版画用原版1は、実施形態2と同様な円柱形状のブロック体とされ、円柱形状の原版本体6の先端面つまり上記彫刻基面6aに、薄肉円形平板状の版画用材3が積層状に張設されて、彫刻面2が形成されてなるはんこ形態とされている。なお、具体的には図示しないが、四角柱形状のはんこの形態とされても良いことは、実施形態2と同様である。
【0098】
上記原版本体6は、木、金属あるいはプラスチック等の適宜材料から形成され、図示の実施形態においてはプラスチック材料からなる一体成形品とされている。
【0099】
また、上記版画用材3の構成材料は前述した実施形態1と同様であり、その成形方法も実施形態1と同様である。この版画用材3は上記原版本体6の彫刻基面6aに取外し交換可能に貼着されている。この貼着手段としては、一般的な各種糊等が使用可能である。
【0100】
しかして、以上のように構成された版画用原版1にあっては、上述した実施形態1と同様に版画を手軽に楽しむことができるとともに、版画用材3が原版本体6の彫刻基面6aに取外し交換可能に貼着される構成であるから、実施形態3と同様に、使用済みの版画用原版1の版画用材3のみを新しいものに交換すれば、版画原版としての再使用が可能である。
その他の構成および作用は実施形態1と同様である。
【実施例】
【0101】
以下、実施例および比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0102】
表1に示した材料を使用して、表2〜表5に示す組成の版画用材を試料として製作し、各試料についての切削性を観察し、評価した。
【0103】
実施例1〜6
表2に示す組成の版画用材(実施例1〜6)をそれぞれ調製した。なお、表中の各成分の割合は重量部で示されている。
【0104】
具体的には、表2に示すように、基材樹脂成分として塩化ビニル系樹脂を使用して、表2に示す構成成分をそれぞれ混合攪拌したものを、内寸10mm×100mm×100mmの成形金型に流し込み、これを120℃に設定した恒温槽に20分間放置してから冷却した後、成形金型から取り出して、製品である版画用材(実施例1〜6)を得た(流し込み成形方法)。
【0105】
実施例7、8
実施例1〜6と同様に、表3に示す組成の版画用材(実施例7、8)をそれぞれ調製した。具体的には、表3に示すように、基材樹脂成分としてスチレン系熱可塑性エラストマーを使用するとともに、表3に示す構成成分をそれぞれ所定の割合で混合攪拌したものを、実施例1〜6と同様の成形方法で版画用材(実施例7、8)を得た。
【0106】
比較例1
実施例1〜6と同様に、表4に示す組成の版画用材(比較例1)を調製した。具体的には、表4に示す構成成分を混合攪拌したものを、実施例1〜6と同様の成形方法で版画用材(比較例1)を得た。
【0107】
比較例2、3
実施例1〜6と同様に、表5に示す組成の版画用材(比較例2、3)を調製した。具体的には、表5に示す構成成分を混合攪拌したものを、実施例1〜6と同様の成形方法で版画用材(比較例2、3)を得た。
【0108】
【表1】

【0109】
【表2】

【0110】
【表3】

【0111】
【表4】

【0112】
【表5】

【0113】
このようにして得た実施例1〜8および比較例1〜3の版画用材を試料として、各試料についての引っかき硬度試験を行い、その時の崩壊性を観察して、版画用材としての切削性を評価した。また併せて、これら試料についての硬さ試験も行って、版画用材としての適用性についても評価した。
【0114】
A.引っかき硬度試験:
1.試験片:
実施例1〜8および比較例1〜3で得た版画用材(10mm×100mm×100mmの厚肉矩形平板状ペレット)
【0115】
2.試験方法(鉛筆法):
厚肉矩形平板状の試験片を水準器により水平に固定し、JIS K 5600−5−4 図1に記載の試験機器を用いて、鉛筆の芯を上記試験片に押し付けて動かした際に試験片の表面が崩壊するかを観察して、その崩壊性から版画用材としての切削性を評価した。
【0116】
この試験の際、鉛筆は、試験片表面に対して傾斜角度45度および荷重750gで押すように試験機器に取り付けるとともに、試験機器の移動速度は5mm/sとした。
【0117】
3.試験結果:
この試験結果は、表2〜表5の崩壊性の各欄に示されており、鉛筆の硬度(「3B」〜「6B」)の記載がある場合、その硬度で試験片表面が削れたことを示し、また「×」は硬度3Bの鉛筆では試験片表面が削れなかったことを示す。
【0118】
上記試験結果から、実施例1〜8(本発明品)についてはすべて、硬度3B以下の柔らかい鉛筆の芯で削ることが可能で、従来のゴム版等の柔らかな版画原版よりも柔らかくて、切削性に優れ、彫刻刀やカッターなどの硬くて鋭利な危険性の高い専門の刃物を用いなくとも、竹べら、爪楊枝、鉛筆あるいはシャープペンシル等のある程度先の尖った用具でも、版画用材としての優れた切削性を発揮することが判明した。
【0119】
一方、比較例1〜3(比較品)のいずれも、硬度3Bの鉛筆では試験片表面を削ることができず、彫刻刀やカッターなどの硬くて鋭利な専門の刃物を用いないと版画用材としての切削性を発揮し得ないことが判明した。
【0120】
B.硬さ試験:
上記引っかき硬度試験と同じ試料を用いて、JIS K 6310の硬さ試験を行い(スプリング式硬さ試験機(C形)を使用)、その結果が、上記引っかき硬度試験と同じく表2〜表5の硬度の各欄に示されている。この試験結果から、実施例1〜8(本発明品)および比較例1〜3(比較品)のいずれについても、硬度が60以上で、版画用材として使用可能な硬度5を十分に満たしていることが判明した。
【0121】
なお、上述した実施形態1〜4はあくまでも本発明の好適な実施態様を示すものであって、本発明はこれに限定されることなく、その範囲内で種々の設計変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本発明の実施形態1である版画原版を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態2である版画原版を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態3である版画原版を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施形態4である版画原版を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0123】
1 版画用原版
2 版画用原版の彫刻面
3 版画用材
5 原版本体
5 原版本体
5a 原版本体の彫刻基面
6 原版本体
6a 原版本体の彫刻基面


【特許請求の範囲】
【請求項1】
母材が基材樹脂および可塑剤等からなり、硬度3B以下の鉛筆により彫刻可能な表面強度を有する
ことを特徴とする版画用材。
【請求項2】
前記母材中に、微小な独立気泡球体が多数散在含有されてなることを特徴とする請求項1に記載の版画用材。
【請求項3】
前記基材樹脂は塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の版画用材。
【請求項4】
前記基材樹脂は熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項1に記載の版画用材。
【請求項5】
前記熱可塑性エラストマーはスチレン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項4に記載の版画用材。
【請求項6】
前記熱可塑性エラストマーはオレフィン系熱可塑性エラストマーであることを特徴とする請求項4に記載の版画用材。
【請求項7】
前記可塑剤は多塩基性酸エステル系可塑剤であることを特徴とする請求項1に記載の版画用材。
【請求項8】
前記可塑剤は高分子系可塑剤であることを特徴とする請求項1に記載の版画用材。
【請求項9】
前記可塑剤は含塩素可塑剤であることを特徴とする請求項1に記載の版画用材。
【請求項10】
前記独立気泡球体が有機系中空球体であることを特徴とする請求項2に記載の版画用材。
【請求項11】
前記独立気泡球体が無機系中空球体であることを特徴とする請求項2に記載の版画用材。
【請求項12】
前記独立気泡球体が、有機系中空球体と無機系中空球体からなることを特徴とする請求項2に記載の版画用材。
【請求項13】
前記有機系中空球体は、加熱、成形時に膨張する未発泡有機系中空球体であることを特徴とする請求項10または12に記載の版画用材。
【請求項14】
前記有機系中空球体は、加熱、成形時に形状寸法が一定の既発泡有機系中空球体であることを特徴とする請求項10または12に記載の版画用材。
【請求項15】
前記有機系中空球体は、加熱、成形時に膨張する未発泡有機系中空球体と、加熱、成形時に形状寸法が一定の既発泡有機系中空球体とからなることを特徴とする請求項10または12に記載の版画用材。
【請求項16】
前記独立気泡球体は、版画用材の各構成材料に均等に代えて含有されることを特徴とする請求項2に記載の版画用材。
【請求項17】
前記独立気泡球体は、母材を構成する充填剤の一部に代えて含有されていることを特徴とする請求項2に記載の版画用材。
【請求項18】
平坦な彫刻面が請求項1から17のいずれか一つに記載の版画用材により形成されている
ことを特徴とする版画用原版。
【請求項19】
前記版画用材が平坦な彫刻面を有する所定形状のブロック体に形成されてなる
ことを特徴とする請求項18に記載の版画用原版。
【請求項20】
前記ブロック体が直方体であることを特徴とする請求項19に記載の版画用原版。
【請求項21】
前記ブロック体が円柱であることを特徴とする請求項19に記載の版画用原版。
【請求項22】
所定形状のブロック体に形成されてなる原版本体の彫刻基面に、前記版画用材が張設されて前記彫刻面が形成されている
ことを特徴とする請求項18に記載の版画用原版。
【請求項23】
前記ブロック体が直方体であることを特徴とする請求項22に記載の版画用原版。
【請求項24】
前記ブロック体が円柱であることを特徴とする請求項22に記載の版画用原版。
【請求項25】
前記版画用材が前記ブロック体の彫刻基面に取外し交換可能に貼着されていることを特徴とする請求項22から24のいずれか一つに記載の版画用原版。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−15110(P2008−15110A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−184766(P2006−184766)
【出願日】平成18年7月4日(2006.7.4)
【出願人】(000106782)株式会社シード (52)
【Fターム(参考)】