物体に接合要素を固着するための方法、およびその方法で使用される接合要素
【課題】物体に接合要素を固着するための方法、およびその方法で使用される接合要素を提供する。
【解決手段】接合要素は、封止部分3.1と壁固着部分3.2とを含む。封止部分3.1は略円筒形であり、滑らかな周囲面を有する。壁固着部分3.2は、熱可塑性材料とエネルギディレクタとを含む周囲面を有する。封止部分3.1の断面は、壁固着部分の断面を覆い、壁固着部分にその近位側で隣接して配置される。接合要素は物体10に設けられた開口部5に固着され、開口部の断面は接合要素の封止部分3.1の断面に対応しており、封止部分が開口部5の口5.1内に押込まれ得るようになっており、結果としてプレス嵌めをもたらす。開口部5に接合要素を固着するために、たとえば超音波振動といった機械的振動が接合要素に結合され、接合要素は、封止部分3.1の少なくとも遠位部が開口部内に位置付けられるまで、開口部5に押込まれる。
【解決手段】接合要素は、封止部分3.1と壁固着部分3.2とを含む。封止部分3.1は略円筒形であり、滑らかな周囲面を有する。壁固着部分3.2は、熱可塑性材料とエネルギディレクタとを含む周囲面を有する。封止部分3.1の断面は、壁固着部分の断面を覆い、壁固着部分にその近位側で隣接して配置される。接合要素は物体10に設けられた開口部5に固着され、開口部の断面は接合要素の封止部分3.1の断面に対応しており、封止部分が開口部5の口5.1内に押込まれ得るようになっており、結果としてプレス嵌めをもたらす。開口部5に接合要素を固着するために、たとえば超音波振動といった機械的振動が接合要素に結合され、接合要素は、封止部分3.1の少なくとも遠位部が開口部内に位置付けられるまで、開口部5に押込まれる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体に接合要素を固着するための方法、およびその方法で使用される接合要素に関する。接合要素は熱可塑性材料(または熱可塑性成分を有する材料)を含み、熱可塑性材料と、熱可塑性材料を少なくとも局所的に液化する機械的振動(たとえば超音波振動)との助けを借りて、固着が行なわれる、接合要素は、それが固着される上述の物体にさらに別の物体を接続する役割を果たし、または、接合要素はそのようなさらに別の物体の一部である。
【背景技術】
【0002】
機械的振動により液化し、液化した状態で物体の好適な表面構造に押込まれ、再固化時に上述の表面構造との確実な嵌合接続を形成して物体に接合要素を固着する熱可塑性材料の助けを借りて、物体に接合要素を固着することは、たとえば公報WO 98/42988およびWO 00/79137から公知である。接合要素が固着される物体の材料はたとえばある開放気孔率を有しており、もしくは、固着が行なわれる領域における物体の表面は対応する複数の空洞または突起を含んでいる。接合要素の熱可塑性材料は通常、0.5GPaよりも大きい弾性モジュール(module)を有しており、したがってこの材料は、物体との接触が複数の小さい場所(エネルギディレクタ)に限定されている場合にのみ、機械的振動によって液化可能である。これは、たとえば、接合要素の主面から突出し、エッジまたは先端に向かって先細りする要素の形をしたエネルギディレクタを設けることによって達成される。
【0003】
熱可塑性材料および機械的振動の助けを借りて物体に接合要素が固着される多くの場合、物体には開口部が設けられており、また、接合要素は開口部の壁に、または開口部の壁および底に固着されることが望ましい。開口部の壁への固着は通常、エネルギディレクタを含む接合要素の断面の周囲が開口部の断面の対応する周囲よりも若干大きくなるよう、接合要素を開口部に導入する際に接合要素の周囲が開口部の壁に少なくとも局所的に(エネルギディレクタ)押付けられるよう、接合要素および開口部の寸法を決めることによって達成される。
【0004】
特に、開口部の壁への固着が開口部の口のごく近傍で望まれる場合、液化した材料が開口部近傍の物体の表面に浸透して少量の材料がこの表面上に突出するということがしばしば起こる。この影響により、口領域における開口部の輪郭および/または接合要素の輪郭がぼやけ、これらの輪郭は、さまざまな理由で望まれるようにはっきりとは見えなくなる。特に、物体に設けられた開口部に固着される接合要素の近位面が物体表面と同一平面上にあるべき場合、接合要素の周囲と開口部の周囲とがはっきりと規定されていること、すなわち全くぼやけていないことが、主として審美的理由により望ましい。
【0005】
開口部の口のごく近傍での固着は、多くの場合望ましく、また、物体が非常に薄い場合、または開口部が非常に浅い場合には必要である。これは、たとえば、物体が薄い外層と内層とを有する積層板で、外層でのみ固着が可能である場合である。そのような板の一例は、木または木状材料でできた外層と、たとえばボール紙のハニカム構造により構成された内層とを含む、いわゆる中空コア板であり、それでは上述の固着は不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、物体に接合要素を固着するための方法、およびその方法で使用される接合要素を作り出すことであり、接合要素を固着するために物体に開口部が設けられ、接合要素は熱可塑性材料(または熱可塑性成分を有する材料)を含み、固着は、接合要素が開口部に押込まれる際に接合要素に加えられる機械的振動による熱可塑性材料の液化によって達成される。この発明に従った固着方法および接合要素は、開口部の壁への、特に開口部の口のごく近傍への接合要素の固着を可能にし、接合要素の固着時に、口の輪郭と口の高さでの接合要素の輪郭とが、固着前と同様にはっきりしたままであるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、対応する独立請求項において定義されるような固着方法および接合要素によって達成される。好ましい実施例は従属請求項において定義される。
【0008】
物体の開口部の、開口部の口から遠ざかって延在する(円形もしくは非円形の断面を有する)略円筒形のまたは若干円錐形の壁に接合要素を固着するために、接合要素は略円筒形のまたは若干円錐形の壁固着部分を含み、それは形状およびサイズに関して上述の壁に適合されており、その周囲面は熱可塑性材料を含み、エネルギディレクタ、すなわち、多少鋭いエッジまたは先端となるよう外側に向かって先細りするリブおよび/または隆起を装備している。固着のために、断面が口および開口部の壁の断面よりも若干大きいこの壁固着領域は、接合要素の近位端に機械的振動(たとえば超音波振動)を加え、同時に接合要素の壁固着部分を開口部の口を通して押込むことによって、口を通って押込まれる。それにより、壁固着部分の周囲面の熱可塑性材料は少なくとも部分的に液化して、壁の孔、でこぼこ、または特別に設けられた空洞に押込まれ、再固化時に接合要素をそこに固着する。
【0009】
液化した材料が開口部の口を通って、開口部が設けられた物体の表面上に突出しないように、接合要素の壁固着部分にすぐ続いて、封止手段が口を通って押込まれる。封止手段も略円筒形または若干円錐形であり、形状が開口部の口の断面に対応するもののそれよりも若干大きい断面を有していて、口に押込まれる必要があり、プレス嵌めによって封止を行なうようになっている。封止手段の周囲面は滑らかで、これは、効果的な封止のためであり、また、封止手段が熱可塑性材料からなる場合には、その液化を防止するためである(エネルギディレクタなし)。
【0010】
上述のように、封止手段の断面は口の断面と同じ形状を有しており、すべての側で口の断面よりも約0.1〜1mmだけ若干大きい。さらに、封止手段の断面は接合要素の壁固着部分の断面を覆っている。すなわち、壁固着部分の周囲面上に設けられたエネルギディレクタのエッジまたは先端は、封止手段の周囲面の対応する部分と同じ距離だけ、接合要素軸から離れている。
【0011】
この発明に従った接合要素の好ましい一実施例では、封止手段は接合要素の一部である。すなわち、それは、直接または狭い溝を介在させて、壁固着部分にその近位側で隣接して配置されており、溝領域は封止手段よりも小さい断面を有している。しかしながら、封止手段はまた、振動および力を接合要素に結合するために接合要素の近位端にあてがわれるツールの遠位端によって構成されてもよい。
【0012】
この発明に従った方法で使用される接合要素は、好ましくは0.5GPaを上回る弾性率を有する熱可塑性材料を含む。接合要素はさらに、接合要素軸に沿って互いから距離をおいた遠位端と近位端との間に、略円筒形の壁固着部分を含む。接合要素は、固着された接合要素において壁固着部分が開口部の口内に位置するように寸法決めされる。近位端の領域は、振動ツール(たとえば超音波装置のソノトロード(sonotrode))との接触に好
適な接触面を含み、この接触面は有利には、接合要素軸と垂直に延在する。熱可塑性材料
は、壁固着部分における接合要素の周囲面の少なくとも一部を形成する。接合要素の遠位端とその壁固着部分の近位端との間の距離は、接合要素が開口部に導入されて固着される深さを実質的に規定する。
【0013】
この発明に従った方法で使用される接合要素の好ましい一実施例はまた、封止手段を含み、それは封止部分として、壁固着部分にその近位側で隣接して同軸上に配置され、封止部分の断面は壁固着部分の断面を覆っている。封止部分の周囲面は滑らかであり、壁固着部分の周囲面は、複数のエネルギ集中要素、すなわち、エッジまたは先端に向かって先細りする複数のリブまたは隆起形状の要素を間に形成している複数の窪みを含んでいる。封止部分の滑らかな周囲面と壁固着部分の窪み含有面とは、接合要素の周囲を取巻く境界線または狭い境界溝に沿って出合う。この境界線または溝は、開口部が設けられた物体の表面の形状に適合されている。たとえば、上述の物体の表面が平坦で、開口部がこの表面に略垂直に延在する場合、境界線は、接合要素軸に垂直な平面において延在する。
【0014】
接合要素は、封止部分が口を通過して口から少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmの距離に位置するまで、物体に設けられた開口部の口に押込まれる。
【0015】
接合要素の封止部分は、または接合要素全体ですら、熱可塑性材料からなっていてもよい。固着プロセスにおいて開口部の壁と接触する封止部分の滑らかな周囲面は、振動エネルギを集中させる場所がないため、液化を可能にしない。しかしながら、接合要素の封止部分用に、およびたとえばコア領域用にも、非熱可塑性材料、はるかにより高温で溶ける熱可塑性材料、または金属を使用することも可能である。
【0016】
接合要素の壁固着部分はその遠位端へと続いていてもよい。また、これに代えて、接合要素は、壁固着部分にその遠位側で隣接し、壁固着部分とは別の形状および/または表面を有する遠位端領域をさらに含んでいてもよい。この遠位端領域は、開口部の口を通過できるようになるために、壁固着部分よりも小さい断面を有する。接合要素の封止部分は、接合要素の近位端を形成してもよい。また、これに代えて、接合要素は、接合部分に隣接し、接合部分とは別の形状および/または表面を有する近位端領域をさらに含んでいてもよく、この近位端領域は、封止部分よりも大きい、または小さい断面を有していてもよい。
【0017】
接合要素が、その近位面と開口部の口が位置する物体表面とが同一平面上にある状態で開口部に固着される場合には、封止部分は小さい軸方向長さを有し、近位接触面を担持する。そのような場合、封止部分の軸方向範囲、すなわち、上に定義された境界線と近位面との間の距離は、好ましくは少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmである。
【0018】
この発明に従った方法では、物体に設けられた開口部に接合要素を押込むために、および機械的振動を接合要素に結合するために使用されるツールの遠位端領域に、封止機能が引継がれることも可能である。そのような場合、接合要素の壁固着部分はその近位端を形成し、ツールによって物体の開口部の口のすぐ下まで押込まれる。
【0019】
この発明に従った、物体に接合要素を固着させるための方法、および接合要素の複数の例示的な実施例を、以下の図面に関連して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】この発明に従った接合要素、および、たとえば木またはチップボードなどのたとえば多孔質材料でできた物体に設けられた開口部へのその固着の第1の例示的な実施例を示す図であって、接合要素の側面図である。
【図1B】第1の例示的な実施例を示す図であって、壁固着領域を通る断面図である。
【図1C】第1の例示的な実施例を示す図であって、物体に設けられた開口部に固着されている接合要素を示す図である。
【図1D】第1の例示的な実施例を示す図であって、壁固着領域の近位端を拡大した詳細図である。
【図1E】第1の例示的な実施例を示す図であって、壁固着領域の近位端を拡大した詳細図である。
【図2A】この発明に従った接合要素、および、木またはチップボードなどのたとえば多孔質材料でできた物体に設けられた開口部へのその固着の第2の例示的な実施例を示す図であって、接合要素の側面図である。
【図2B】第2の例示的な実施例を示す図であって、壁固着領域を通る断面図である。
【図2C】第2の例示的な実施例を示す図であって、物体に設けられた開口部に固着されている接合要素を示す図である。
【図3A】この発明に従った接合要素、および中空コア板へのその固着の第3の例示的な実施例を示す図であって、固着プロセス前の軸方向断面図である。
【図3B】第3の例示的な実施例を示す図であって、固着プロセス後の軸方向断面図である。
【図4】中空コア板に固着されるのに特に好適な、この発明に従った接合要素のさらに別の例示的な実施例を示す図である。
【図5】この発明に従った方法を実行するための接合要素およびツールの例示的な対を示す図である。
【図6】この発明に従った方法を実行するための接合要素およびツールの例示的な対を示す図である。
【図7】この発明に従った方法を実行するための接合要素およびツールの例示的な対を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1A〜図1Cは、この発明に従った接合要素の第1の例示的な実施例を示す。図1Aは接合要素の側面図であり、図1Bは壁固着領域を通る断面図であり、図1Cは、たとえば木板10またはチップボードなどの物体の開口部に固着されている接合要素を示す。図1Dおよび図1Eは、接合要素の壁固着部分の近位端の2つの異なる実施例を示す。
【0022】
接合要素はたとえば全体が熱可塑性材料からなり、近位端1と遠位端2とを含んでおり、近位端と遠位端とは接合要素軸Aに沿って互いから距離をおいている。近位端と遠位端との間に、接合要素は口領域3を含んでおり、それは封止部分3.1と壁固着部分3.2とが出合う領域である。口領域3は略円筒形または若干円錐形であり、たとえば図1Bに示すように略円形の断面を有する。近位端1は、接合要素軸Aの方向の機械的振動および力を接合要素に結合するためのツールをあてがうのに好適な接触面1.1を含む。近位端1はまた、接合要素をツールに取付けるための、またはツールを誘導するための手段、たとえば軸方向窪み1.2を含んでいてもよい。遠位端2は、たとえば、それが固着される開口部に適合されており、物体10に設けられた開口部5は、たとえばめくら穴である。
【0023】
封止部分3.1の周囲面は滑らかである。壁固着部分3.2の周囲面は、(たとえば規則的なパターンの)複数の窪み4.1と、窪みの間にある複数のエネルギ集中要素4.2とを含み、複数のエネルギ集中要素4.2は、たとえば、封止部分3.1の滑らかな周囲面と同様の距離だけ接合要素軸から離れている多少鋭いエッジに向かって先細りしている軸方向リブ4という形状をしている。これは、封止部分3.2の方を見た、壁固着部分3.2を通る断面図である図1Bに示すように、封止部分の断面が(エネルギ集中要素を含
む)壁固着部分3.2の断面を覆うことを意味する。封止部分3.1と壁固着部分3.2とは、たとえば接合要素軸Aに垂直な平面にある境界線6に沿って、接合要素の口領域3で出合う。
【0024】
図1Aおよび図1Bに従った接合要素を固着するために、板10にめくら穴(開口部5)が設けられる。穴軸A′は板10の表面に略垂直に配向されており、穴のうち、少なくとも口5.1と、口から遠ざかって延在する壁の一片とは、形状が接合要素の封止部分3.1の断面に適合されているもののそれよりも若干小さい断面を有する(直径差は好ましくは0.2〜2mm)。接合要素が穴の壁にだけでなく穴5の底にも固着される場合、穴の深さは、接合要素の遠位端と境界線6との間の距離よりも小さい。
【0025】
開口部5に固着されるために、接合要素は開口部5の口の中または上に位置付けられ、接合要素の接触面1.1上に位置付けられて押付けられる好適なツール(たとえば超音波装置のソノトロード)を用いて、接合要素は振動されながら開口部5に押込まれる。開口部の壁にリブ(エネルギ集中要素4.2)が押付けられ、熱可塑性材料がそこで液化してこれらの壁の多孔質構造に押込まれる。壁固着部分3.2と境界線6とが口5.1を通過すると、エネルギ集中要素を装備していない封止部分3.1(滑らかな周囲面)の遠位端が口に押込まれる。エネルギディレクタがないので、材料はほとんど液化されず、この封止部分は図1Cに示すようにきれいに口を封止することができる。図1Cに一点鎖線として示された境界線6は、実際には、固着プロセス後はほとんど識別できない。
【0026】
図1Dおよび図1Eに示すように、境界線6は、図1Dに示すようなはっきりした線であってもよく、または、封止部分と壁固着部分との間に延在し、液化した材料の余剰分を収容するのに役割を果たす狭い溝(境界溝6.1)であってもよい。
【0027】
図1A〜図1Eに示すような接合要素および固着方法の可能な代替的特徴の例を以下に挙げる。
【0028】
・口5.1および封止部分3.1の断面が円形ではない(図2A〜図2Cも参照)。
・封止部分3.1の軸方向長さがかなり短く、接合要素は、接触面1.1または近位面が板10の表面と同一平面になるまで開口部に押込まれるようになっている(以下の図面も参照)。
【0029】
・封止部分3.1が接合要素の近位端まで延在しておらず、近位端1の領域は、たとえば、板10に取付けられる取付具として、またはそのような取付具を固定するための手段として設計される。
【0030】
・壁固着部分3.2のエネルギ集中要素4.2が、軸方向に延在するリブではなく、異なるように配向されたリブまたは隆起形状の要素である(図2Aおよび図2Bも参照)。
【0031】
・接合要素は全体が熱可塑性材料からなるのではなく、たとえば金属でできたたとえばコアを含む。
【0032】
・接合要素が中空である(図3A、図3B、および図4も参照)。
・接合要素が固着される物体が、木板10またはチップボードではなく、別の多孔質材料(たとえばコンクリート、砂岩、金属発泡体、焼結セラミック、または焼結金属)からなっているか、または、それは非多孔質材料からなり、少なくとも開口部5の壁上に、接合要素の液化した熱可塑性材料が浸透するのに好適な表面構造を含んでいる。
【0033】
・開口部5が板を貫通して延びている。
・開口部5の軸A′が板10の表面に対して直角以外の角度で配向され、接合要素の境界線6が接合要素軸Aに対して同じ角度の平面にある。
【0034】
・開口部が設けられる物体の表面が平坦ではなく、たとえば湾曲しており、境界線6も同様に湾曲している。
【0035】
図2A〜図2Cは、図1A〜図1Cと同様に、この発明に従った接合要素、および、たとえば木板10などの物体に設けられた開口部5へのその固着のさらに別の例示的な実施例を示す。既に上にさらに説明したように、図2A〜図2Cに従った接合要素は、(鋭い隅のない)略矩形の断面を有する円筒形の口領域を含み、口領域3の壁固着部分3.2の周囲面のエネルギ集中要素4.2は、一方では、先端に向かって先細りする隆起であり、他方では、軸方向に延在するリブを形成する矩形の断面の鋭いエッジである。接合要素の近位端1の領域は実質的に接触面1.1のみからなり、この接触面は封止部分3.1を終結させ、それは少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmの軸方向長さを有している。接合要素は、接触面1.1と開口部5が設けられた物体の表面とが同一平面上にあるような深さまで、開口部5に押込まれる。
【0036】
図2A〜図2Cに従った接合要素の遠位端2の領域は、断面が段状の減少部2.1を含み、それは開口部5の同様の段5.2に適合されている。これは、口5.1の近傍の開口部5の壁にだけではなく、段5.2およびおそらくは開口部5の底への固着をもたらす。
【0037】
図3Aおよび図3Bは、この発明に従った接合要素、および中空コア板20へのその固着のさらに別の実施例を示す。図3Aおよび図3Bはともに軸方向断面図であり、図3Aは、振動されながら開口部5に押込まれる前の接合要素を示し、図3Bは、その後の接合要素を示している。
【0038】
中空コア板20は、たとえば木でできた第1の外層20.1と、たとえば木でできた第2の外層20.2と、たとえばボール紙ハニカムからなる中間層20.3とを含む。第1および第2の外層の厚さはたとえば3mmであり、中間層の厚さは32mmである。穴5は第1の外層20.1および中間層20.3を貫通している。接合要素は、第1の外層20.1における開口部の壁に、また、好ましくは第2の外層20.2の内面上に固着されることになっている。接合要素は、接合要素の遠位端2まで延びる中央管2.1を含む。中央管内には、さらに別の物体を中空コア板20上に固定するための雌ねじを有する内部金属コアピース(図示せず)が配置されてもよい。
【0039】
接合要素はここでも、円筒形の封止部分3.1と対応する壁固着部分3.2とを含み、それらはともに、中央管2.1上につばを形成する。封止部分は1mmの軸方向延長(extension)を有しており、壁固着部分は2.5mmの軸方向延長を有し、その周囲面は、
窪みと、窪みの間にある軸方向に延在するリブとを装備している。窪みの深さは少なくとも0.2mm、好ましくは0.3mmである。
【0040】
中央管2.1は、口領域3よりも小さい直径を有しており、接合要素の遠位端2を構成するエッジ21に向かって先細りしている。
【0041】
図3Aおよび図3Bに従った接合要素は穴5の口に位置付けられる。接合要素および穴の寸法は、壁固着部分3.2が、接合要素を位置付けた際には口5.1の上に載るものの、軸Aに平行な振動および力を加えると口へと押込まれ得るように、および、接合要素を位置付けた際にエッジ21が第2の外層20.2の内面に接するように整合される。接合要素は次に開口部5に押込まれ、中空コア板20の第2の外層20.2に接合要素を固着するエッジ21の区域において、および、中空コア板20の第1の外層20.1を通る開
口部の壁に接合要素を固着する壁固着部分3.2の区域において、熱可塑性材料が液化する。
【0042】
接合要素を誘導するために、および第2の外層(20.2)への固着を強化するために、めくら穴または貫通穴がそこに設けられてもよく、そのような穴の軸は、第1の外層(20.1)の穴の軸と整列される。
【0043】
接合要素は、その接触面1.1と中空コア板20の第1の外層20.1の外面とが同一平面となるまで、すなわち、境界線6が口の1mm内側に位置するまで、開口部5に押込まれる。接触面1.1から振動ツールを取外すと、中空コア板20の第1の外層20.1の外面から見た接合要素の輪郭と口の輪郭とは全くぼやけておらず、固着プロセス前と同様にはっきりしている、ということが実験からわかっている。
【0044】
図3Aおよび図3Bに従った中空コア板20は、たとえばボール紙のハニカム構造を含む中間層20.3を含む。同様の中空コア板の他の公知の中間層は、発泡プラスチックおよび他の同様の材料である。しかしながら、接合要素を第1の外層20.1と第2の外層20.2との間のスペーサとしてのみ使用して、中間層20.3が複数のそのような接合要素のみで構成されるようにすることも有利である。板が比較的小さい場合、さらに別の物体(たとえば取付具、ヒンジ、他の中空コア板)を板上に固定すべき場所に、すべての接合要素を位置付けてもよい。板がより大きい場合、より多くの接合要素を設けることが有利であり、接合要素のうちのいくつかはスペーサとしてのみ機能する。
【0045】
中間層20.3が上述のような接合要素のみで構成される中空コア板を製造するためには、接合要素の導入および固着の前に、第1の外層を通る対応する開口部を設けるべきであり、2つの外層20.1および20.2は互いから所望の距離離れて位置付けられるべきである。
【0046】
上にさらに説明されたような接合要素のみによって中間層20.3が構成された中空コア板は、たとえばテーブルトップとして使用されてもよく、テーブルトップの下側にテーブルの脚を取付けるべき場所に、中空コア板は、脚を取付けるための手段、たとえば、ねじ付きボルトを捩じ込み可能な雌ねじ、またはテーブルの脚の対応する突起を接着可能な好適な内側開口部が装備された接合要素を含む。テーブルトップを形成する中空コア板の外層20.1および20.2の剛性、脚取付けの場所、およびテーブルトップの全体サイズに依存して、脚取付け場所以外の場所に、付加的な挿入物が設けられてもよく、設けられなくてもよい。
【0047】
図4は、この発明に従った接合要素の例示的な最後の実施例を示す。図3Aおよび図3Bに従った接合要素と同様に、図4に従った接合要素は中空コア板の2つの外層に固着されるのに特に好適であり、接合要素の近位端を構成する接触面1.1が中空コア板の第1の外層の外面と同一平面となるようになっている。壁固着部分3.2と遠位端2との間の領域は、中央管2.1と径方向羽根2.2とを含み、径方向羽根2.2は、壁固着部分3.2の窪みへと径方向に延在し、中央管2.1の遠位端を越えて軸方向に伸張しており、遠位端に向かって小さくなる厚さを有している。図3Aおよび図3Bに従った接合要素について上述したのと同様に周囲面が装備された封止部分3.1および壁固着部分3.2は、中央管2.1上につばをともに形成し、中央管2.の近位端を開いたままにして羽根2.2を覆う。
【0048】
図4に従った接合要素が、図3Aおよび図3Bに関連して実質的に説明されたような中空コア板に固着される場合、接合要素の中央管に嵌合する好適な手段によって、さらに別の物体が中空コア板に固定され得る。振動ツールの遠位面上の対応する突起を導入し、ツ
ールによる接合要素の開口部への誘導を可能にするために、中央管の近位開口部を使用することも可能である。
【0049】
図4に従った接合要素は、接合要素の材料の量に関連して他の接合要素形状よりも優れた引抜き抵抗を有する中空コア板に固着可能であることがわかっている。
【0050】
既に最初に述べたように、図1〜図4すべてに示すように封止部分3.1が接合要素の一部である実施例に加え、壁固着部分が近位端を形成する接合要素と、遠位端が封止部分の機能のために形成されているツールとを用いて、この発明に従った方法を実行することも可能である。この発明に従った方法のそのような実施例を図6および図7に示す。比較のために、図5は、封止部分を有する接合要素が使用される方法を同様に示している。
【0051】
この発明に従った方法で使用されるツール30は、たとえば超音波装置のソノトロードであり、遠位面31を含む。遠位面31は公知の態様で接合要素の接触面に適合されており、ツール30からの振動を接合要素に円滑に受渡すのに、および、ツールからの力を接合要素に結合するために好適である。
【0052】
図5によれば、接合要素は上述の態様で封止部分3.1と壁固着部分3.1とを含み、それらは接合要素の口領域3で境界線6に沿って出合う。上述の封止機能は接合要素の一部である封止部分3.2に引継がれているため、ツール30の遠位面は、接合要素の近位面と同じ形状およびサイズを有する必要はない。それはたとえば、図5に示すようにより小さいものであってもよい。
【0053】
図6および図7によれば、封止機能はツール30の遠位(または封止)部分30.1に引継がれており、それは、封止機能にとって好適となるために、接合要素の封止部分3.1について上にさらに説明したように形成される必要がある。図6によれば、ツール30の遠位面31は、接合要素の壁固着部分3.2の近位端に押付けられて位置付けられている。接合要素およびツール30は、接合要素またはその壁固着部分(3.2)とツール30との間の境界線6が口を越えた位置に達するまで、開口部に押込まれるようになっている。これは、ツールを取外すと、接合要素の近位面が物体表面33と同一平面上には位置付けられておらず、開口部内に若干より深く(少なくとも約0.5mm深めに)位置付けられることを意味する。同じことが図7に示すような方法にも当てはまり、違いは、図1Eに示した実施例と同様に、壁固着部分3.2とツール30の遠位または封止部分30.1との間に狭い境界溝6.1が設けられていることである。溝部分は接合要素の一部であり、接合要素の近位面を担持している。封止機能を実行するのに好適となるために、ツール30の遠位面31は溝の部分よりも溝の深さ分だけ大きいものである必要がある。
【0054】
接合要素にとって好適な熱可塑性材料は、たとえば、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)、PA(ポリアミド)、ASA(アクリロニトリル スチレン アクリレート)またはPS(ポリスチレン)である。
【符号の説明】
【0055】
1 近位端、2 遠位端、2.1 中央管、2.2径方向羽根、3 口領域、3.1 封止部分、3.2 壁固着部分、4 軸方向リブ、4.1 窪み、4.2 エネルギ集中要素、5 開口部、5.1 口、6 境界線、6.1 境界溝、10 板、20 中空コア板、20.1 第1の外層、20.2 第2の外層、20.3 中間層、30 ツール、31 遠位面、33 物体表面。
【技術分野】
【0001】
この発明は、物体に接合要素を固着するための方法、およびその方法で使用される接合要素に関する。接合要素は熱可塑性材料(または熱可塑性成分を有する材料)を含み、熱可塑性材料と、熱可塑性材料を少なくとも局所的に液化する機械的振動(たとえば超音波振動)との助けを借りて、固着が行なわれる、接合要素は、それが固着される上述の物体にさらに別の物体を接続する役割を果たし、または、接合要素はそのようなさらに別の物体の一部である。
【背景技術】
【0002】
機械的振動により液化し、液化した状態で物体の好適な表面構造に押込まれ、再固化時に上述の表面構造との確実な嵌合接続を形成して物体に接合要素を固着する熱可塑性材料の助けを借りて、物体に接合要素を固着することは、たとえば公報WO 98/42988およびWO 00/79137から公知である。接合要素が固着される物体の材料はたとえばある開放気孔率を有しており、もしくは、固着が行なわれる領域における物体の表面は対応する複数の空洞または突起を含んでいる。接合要素の熱可塑性材料は通常、0.5GPaよりも大きい弾性モジュール(module)を有しており、したがってこの材料は、物体との接触が複数の小さい場所(エネルギディレクタ)に限定されている場合にのみ、機械的振動によって液化可能である。これは、たとえば、接合要素の主面から突出し、エッジまたは先端に向かって先細りする要素の形をしたエネルギディレクタを設けることによって達成される。
【0003】
熱可塑性材料および機械的振動の助けを借りて物体に接合要素が固着される多くの場合、物体には開口部が設けられており、また、接合要素は開口部の壁に、または開口部の壁および底に固着されることが望ましい。開口部の壁への固着は通常、エネルギディレクタを含む接合要素の断面の周囲が開口部の断面の対応する周囲よりも若干大きくなるよう、接合要素を開口部に導入する際に接合要素の周囲が開口部の壁に少なくとも局所的に(エネルギディレクタ)押付けられるよう、接合要素および開口部の寸法を決めることによって達成される。
【0004】
特に、開口部の壁への固着が開口部の口のごく近傍で望まれる場合、液化した材料が開口部近傍の物体の表面に浸透して少量の材料がこの表面上に突出するということがしばしば起こる。この影響により、口領域における開口部の輪郭および/または接合要素の輪郭がぼやけ、これらの輪郭は、さまざまな理由で望まれるようにはっきりとは見えなくなる。特に、物体に設けられた開口部に固着される接合要素の近位面が物体表面と同一平面上にあるべき場合、接合要素の周囲と開口部の周囲とがはっきりと規定されていること、すなわち全くぼやけていないことが、主として審美的理由により望ましい。
【0005】
開口部の口のごく近傍での固着は、多くの場合望ましく、また、物体が非常に薄い場合、または開口部が非常に浅い場合には必要である。これは、たとえば、物体が薄い外層と内層とを有する積層板で、外層でのみ固着が可能である場合である。そのような板の一例は、木または木状材料でできた外層と、たとえばボール紙のハニカム構造により構成された内層とを含む、いわゆる中空コア板であり、それでは上述の固着は不可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この発明の目的は、物体に接合要素を固着するための方法、およびその方法で使用される接合要素を作り出すことであり、接合要素を固着するために物体に開口部が設けられ、接合要素は熱可塑性材料(または熱可塑性成分を有する材料)を含み、固着は、接合要素が開口部に押込まれる際に接合要素に加えられる機械的振動による熱可塑性材料の液化によって達成される。この発明に従った固着方法および接合要素は、開口部の壁への、特に開口部の口のごく近傍への接合要素の固着を可能にし、接合要素の固着時に、口の輪郭と口の高さでの接合要素の輪郭とが、固着前と同様にはっきりしたままであるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、対応する独立請求項において定義されるような固着方法および接合要素によって達成される。好ましい実施例は従属請求項において定義される。
【0008】
物体の開口部の、開口部の口から遠ざかって延在する(円形もしくは非円形の断面を有する)略円筒形のまたは若干円錐形の壁に接合要素を固着するために、接合要素は略円筒形のまたは若干円錐形の壁固着部分を含み、それは形状およびサイズに関して上述の壁に適合されており、その周囲面は熱可塑性材料を含み、エネルギディレクタ、すなわち、多少鋭いエッジまたは先端となるよう外側に向かって先細りするリブおよび/または隆起を装備している。固着のために、断面が口および開口部の壁の断面よりも若干大きいこの壁固着領域は、接合要素の近位端に機械的振動(たとえば超音波振動)を加え、同時に接合要素の壁固着部分を開口部の口を通して押込むことによって、口を通って押込まれる。それにより、壁固着部分の周囲面の熱可塑性材料は少なくとも部分的に液化して、壁の孔、でこぼこ、または特別に設けられた空洞に押込まれ、再固化時に接合要素をそこに固着する。
【0009】
液化した材料が開口部の口を通って、開口部が設けられた物体の表面上に突出しないように、接合要素の壁固着部分にすぐ続いて、封止手段が口を通って押込まれる。封止手段も略円筒形または若干円錐形であり、形状が開口部の口の断面に対応するもののそれよりも若干大きい断面を有していて、口に押込まれる必要があり、プレス嵌めによって封止を行なうようになっている。封止手段の周囲面は滑らかで、これは、効果的な封止のためであり、また、封止手段が熱可塑性材料からなる場合には、その液化を防止するためである(エネルギディレクタなし)。
【0010】
上述のように、封止手段の断面は口の断面と同じ形状を有しており、すべての側で口の断面よりも約0.1〜1mmだけ若干大きい。さらに、封止手段の断面は接合要素の壁固着部分の断面を覆っている。すなわち、壁固着部分の周囲面上に設けられたエネルギディレクタのエッジまたは先端は、封止手段の周囲面の対応する部分と同じ距離だけ、接合要素軸から離れている。
【0011】
この発明に従った接合要素の好ましい一実施例では、封止手段は接合要素の一部である。すなわち、それは、直接または狭い溝を介在させて、壁固着部分にその近位側で隣接して配置されており、溝領域は封止手段よりも小さい断面を有している。しかしながら、封止手段はまた、振動および力を接合要素に結合するために接合要素の近位端にあてがわれるツールの遠位端によって構成されてもよい。
【0012】
この発明に従った方法で使用される接合要素は、好ましくは0.5GPaを上回る弾性率を有する熱可塑性材料を含む。接合要素はさらに、接合要素軸に沿って互いから距離をおいた遠位端と近位端との間に、略円筒形の壁固着部分を含む。接合要素は、固着された接合要素において壁固着部分が開口部の口内に位置するように寸法決めされる。近位端の領域は、振動ツール(たとえば超音波装置のソノトロード(sonotrode))との接触に好
適な接触面を含み、この接触面は有利には、接合要素軸と垂直に延在する。熱可塑性材料
は、壁固着部分における接合要素の周囲面の少なくとも一部を形成する。接合要素の遠位端とその壁固着部分の近位端との間の距離は、接合要素が開口部に導入されて固着される深さを実質的に規定する。
【0013】
この発明に従った方法で使用される接合要素の好ましい一実施例はまた、封止手段を含み、それは封止部分として、壁固着部分にその近位側で隣接して同軸上に配置され、封止部分の断面は壁固着部分の断面を覆っている。封止部分の周囲面は滑らかであり、壁固着部分の周囲面は、複数のエネルギ集中要素、すなわち、エッジまたは先端に向かって先細りする複数のリブまたは隆起形状の要素を間に形成している複数の窪みを含んでいる。封止部分の滑らかな周囲面と壁固着部分の窪み含有面とは、接合要素の周囲を取巻く境界線または狭い境界溝に沿って出合う。この境界線または溝は、開口部が設けられた物体の表面の形状に適合されている。たとえば、上述の物体の表面が平坦で、開口部がこの表面に略垂直に延在する場合、境界線は、接合要素軸に垂直な平面において延在する。
【0014】
接合要素は、封止部分が口を通過して口から少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmの距離に位置するまで、物体に設けられた開口部の口に押込まれる。
【0015】
接合要素の封止部分は、または接合要素全体ですら、熱可塑性材料からなっていてもよい。固着プロセスにおいて開口部の壁と接触する封止部分の滑らかな周囲面は、振動エネルギを集中させる場所がないため、液化を可能にしない。しかしながら、接合要素の封止部分用に、およびたとえばコア領域用にも、非熱可塑性材料、はるかにより高温で溶ける熱可塑性材料、または金属を使用することも可能である。
【0016】
接合要素の壁固着部分はその遠位端へと続いていてもよい。また、これに代えて、接合要素は、壁固着部分にその遠位側で隣接し、壁固着部分とは別の形状および/または表面を有する遠位端領域をさらに含んでいてもよい。この遠位端領域は、開口部の口を通過できるようになるために、壁固着部分よりも小さい断面を有する。接合要素の封止部分は、接合要素の近位端を形成してもよい。また、これに代えて、接合要素は、接合部分に隣接し、接合部分とは別の形状および/または表面を有する近位端領域をさらに含んでいてもよく、この近位端領域は、封止部分よりも大きい、または小さい断面を有していてもよい。
【0017】
接合要素が、その近位面と開口部の口が位置する物体表面とが同一平面上にある状態で開口部に固着される場合には、封止部分は小さい軸方向長さを有し、近位接触面を担持する。そのような場合、封止部分の軸方向範囲、すなわち、上に定義された境界線と近位面との間の距離は、好ましくは少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmである。
【0018】
この発明に従った方法では、物体に設けられた開口部に接合要素を押込むために、および機械的振動を接合要素に結合するために使用されるツールの遠位端領域に、封止機能が引継がれることも可能である。そのような場合、接合要素の壁固着部分はその近位端を形成し、ツールによって物体の開口部の口のすぐ下まで押込まれる。
【0019】
この発明に従った、物体に接合要素を固着させるための方法、および接合要素の複数の例示的な実施例を、以下の図面に関連して詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】この発明に従った接合要素、および、たとえば木またはチップボードなどのたとえば多孔質材料でできた物体に設けられた開口部へのその固着の第1の例示的な実施例を示す図であって、接合要素の側面図である。
【図1B】第1の例示的な実施例を示す図であって、壁固着領域を通る断面図である。
【図1C】第1の例示的な実施例を示す図であって、物体に設けられた開口部に固着されている接合要素を示す図である。
【図1D】第1の例示的な実施例を示す図であって、壁固着領域の近位端を拡大した詳細図である。
【図1E】第1の例示的な実施例を示す図であって、壁固着領域の近位端を拡大した詳細図である。
【図2A】この発明に従った接合要素、および、木またはチップボードなどのたとえば多孔質材料でできた物体に設けられた開口部へのその固着の第2の例示的な実施例を示す図であって、接合要素の側面図である。
【図2B】第2の例示的な実施例を示す図であって、壁固着領域を通る断面図である。
【図2C】第2の例示的な実施例を示す図であって、物体に設けられた開口部に固着されている接合要素を示す図である。
【図3A】この発明に従った接合要素、および中空コア板へのその固着の第3の例示的な実施例を示す図であって、固着プロセス前の軸方向断面図である。
【図3B】第3の例示的な実施例を示す図であって、固着プロセス後の軸方向断面図である。
【図4】中空コア板に固着されるのに特に好適な、この発明に従った接合要素のさらに別の例示的な実施例を示す図である。
【図5】この発明に従った方法を実行するための接合要素およびツールの例示的な対を示す図である。
【図6】この発明に従った方法を実行するための接合要素およびツールの例示的な対を示す図である。
【図7】この発明に従った方法を実行するための接合要素およびツールの例示的な対を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1A〜図1Cは、この発明に従った接合要素の第1の例示的な実施例を示す。図1Aは接合要素の側面図であり、図1Bは壁固着領域を通る断面図であり、図1Cは、たとえば木板10またはチップボードなどの物体の開口部に固着されている接合要素を示す。図1Dおよび図1Eは、接合要素の壁固着部分の近位端の2つの異なる実施例を示す。
【0022】
接合要素はたとえば全体が熱可塑性材料からなり、近位端1と遠位端2とを含んでおり、近位端と遠位端とは接合要素軸Aに沿って互いから距離をおいている。近位端と遠位端との間に、接合要素は口領域3を含んでおり、それは封止部分3.1と壁固着部分3.2とが出合う領域である。口領域3は略円筒形または若干円錐形であり、たとえば図1Bに示すように略円形の断面を有する。近位端1は、接合要素軸Aの方向の機械的振動および力を接合要素に結合するためのツールをあてがうのに好適な接触面1.1を含む。近位端1はまた、接合要素をツールに取付けるための、またはツールを誘導するための手段、たとえば軸方向窪み1.2を含んでいてもよい。遠位端2は、たとえば、それが固着される開口部に適合されており、物体10に設けられた開口部5は、たとえばめくら穴である。
【0023】
封止部分3.1の周囲面は滑らかである。壁固着部分3.2の周囲面は、(たとえば規則的なパターンの)複数の窪み4.1と、窪みの間にある複数のエネルギ集中要素4.2とを含み、複数のエネルギ集中要素4.2は、たとえば、封止部分3.1の滑らかな周囲面と同様の距離だけ接合要素軸から離れている多少鋭いエッジに向かって先細りしている軸方向リブ4という形状をしている。これは、封止部分3.2の方を見た、壁固着部分3.2を通る断面図である図1Bに示すように、封止部分の断面が(エネルギ集中要素を含
む)壁固着部分3.2の断面を覆うことを意味する。封止部分3.1と壁固着部分3.2とは、たとえば接合要素軸Aに垂直な平面にある境界線6に沿って、接合要素の口領域3で出合う。
【0024】
図1Aおよび図1Bに従った接合要素を固着するために、板10にめくら穴(開口部5)が設けられる。穴軸A′は板10の表面に略垂直に配向されており、穴のうち、少なくとも口5.1と、口から遠ざかって延在する壁の一片とは、形状が接合要素の封止部分3.1の断面に適合されているもののそれよりも若干小さい断面を有する(直径差は好ましくは0.2〜2mm)。接合要素が穴の壁にだけでなく穴5の底にも固着される場合、穴の深さは、接合要素の遠位端と境界線6との間の距離よりも小さい。
【0025】
開口部5に固着されるために、接合要素は開口部5の口の中または上に位置付けられ、接合要素の接触面1.1上に位置付けられて押付けられる好適なツール(たとえば超音波装置のソノトロード)を用いて、接合要素は振動されながら開口部5に押込まれる。開口部の壁にリブ(エネルギ集中要素4.2)が押付けられ、熱可塑性材料がそこで液化してこれらの壁の多孔質構造に押込まれる。壁固着部分3.2と境界線6とが口5.1を通過すると、エネルギ集中要素を装備していない封止部分3.1(滑らかな周囲面)の遠位端が口に押込まれる。エネルギディレクタがないので、材料はほとんど液化されず、この封止部分は図1Cに示すようにきれいに口を封止することができる。図1Cに一点鎖線として示された境界線6は、実際には、固着プロセス後はほとんど識別できない。
【0026】
図1Dおよび図1Eに示すように、境界線6は、図1Dに示すようなはっきりした線であってもよく、または、封止部分と壁固着部分との間に延在し、液化した材料の余剰分を収容するのに役割を果たす狭い溝(境界溝6.1)であってもよい。
【0027】
図1A〜図1Eに示すような接合要素および固着方法の可能な代替的特徴の例を以下に挙げる。
【0028】
・口5.1および封止部分3.1の断面が円形ではない(図2A〜図2Cも参照)。
・封止部分3.1の軸方向長さがかなり短く、接合要素は、接触面1.1または近位面が板10の表面と同一平面になるまで開口部に押込まれるようになっている(以下の図面も参照)。
【0029】
・封止部分3.1が接合要素の近位端まで延在しておらず、近位端1の領域は、たとえば、板10に取付けられる取付具として、またはそのような取付具を固定するための手段として設計される。
【0030】
・壁固着部分3.2のエネルギ集中要素4.2が、軸方向に延在するリブではなく、異なるように配向されたリブまたは隆起形状の要素である(図2Aおよび図2Bも参照)。
【0031】
・接合要素は全体が熱可塑性材料からなるのではなく、たとえば金属でできたたとえばコアを含む。
【0032】
・接合要素が中空である(図3A、図3B、および図4も参照)。
・接合要素が固着される物体が、木板10またはチップボードではなく、別の多孔質材料(たとえばコンクリート、砂岩、金属発泡体、焼結セラミック、または焼結金属)からなっているか、または、それは非多孔質材料からなり、少なくとも開口部5の壁上に、接合要素の液化した熱可塑性材料が浸透するのに好適な表面構造を含んでいる。
【0033】
・開口部5が板を貫通して延びている。
・開口部5の軸A′が板10の表面に対して直角以外の角度で配向され、接合要素の境界線6が接合要素軸Aに対して同じ角度の平面にある。
【0034】
・開口部が設けられる物体の表面が平坦ではなく、たとえば湾曲しており、境界線6も同様に湾曲している。
【0035】
図2A〜図2Cは、図1A〜図1Cと同様に、この発明に従った接合要素、および、たとえば木板10などの物体に設けられた開口部5へのその固着のさらに別の例示的な実施例を示す。既に上にさらに説明したように、図2A〜図2Cに従った接合要素は、(鋭い隅のない)略矩形の断面を有する円筒形の口領域を含み、口領域3の壁固着部分3.2の周囲面のエネルギ集中要素4.2は、一方では、先端に向かって先細りする隆起であり、他方では、軸方向に延在するリブを形成する矩形の断面の鋭いエッジである。接合要素の近位端1の領域は実質的に接触面1.1のみからなり、この接触面は封止部分3.1を終結させ、それは少なくとも0.5mm、好ましくは少なくとも1mmの軸方向長さを有している。接合要素は、接触面1.1と開口部5が設けられた物体の表面とが同一平面上にあるような深さまで、開口部5に押込まれる。
【0036】
図2A〜図2Cに従った接合要素の遠位端2の領域は、断面が段状の減少部2.1を含み、それは開口部5の同様の段5.2に適合されている。これは、口5.1の近傍の開口部5の壁にだけではなく、段5.2およびおそらくは開口部5の底への固着をもたらす。
【0037】
図3Aおよび図3Bは、この発明に従った接合要素、および中空コア板20へのその固着のさらに別の実施例を示す。図3Aおよび図3Bはともに軸方向断面図であり、図3Aは、振動されながら開口部5に押込まれる前の接合要素を示し、図3Bは、その後の接合要素を示している。
【0038】
中空コア板20は、たとえば木でできた第1の外層20.1と、たとえば木でできた第2の外層20.2と、たとえばボール紙ハニカムからなる中間層20.3とを含む。第1および第2の外層の厚さはたとえば3mmであり、中間層の厚さは32mmである。穴5は第1の外層20.1および中間層20.3を貫通している。接合要素は、第1の外層20.1における開口部の壁に、また、好ましくは第2の外層20.2の内面上に固着されることになっている。接合要素は、接合要素の遠位端2まで延びる中央管2.1を含む。中央管内には、さらに別の物体を中空コア板20上に固定するための雌ねじを有する内部金属コアピース(図示せず)が配置されてもよい。
【0039】
接合要素はここでも、円筒形の封止部分3.1と対応する壁固着部分3.2とを含み、それらはともに、中央管2.1上につばを形成する。封止部分は1mmの軸方向延長(extension)を有しており、壁固着部分は2.5mmの軸方向延長を有し、その周囲面は、
窪みと、窪みの間にある軸方向に延在するリブとを装備している。窪みの深さは少なくとも0.2mm、好ましくは0.3mmである。
【0040】
中央管2.1は、口領域3よりも小さい直径を有しており、接合要素の遠位端2を構成するエッジ21に向かって先細りしている。
【0041】
図3Aおよび図3Bに従った接合要素は穴5の口に位置付けられる。接合要素および穴の寸法は、壁固着部分3.2が、接合要素を位置付けた際には口5.1の上に載るものの、軸Aに平行な振動および力を加えると口へと押込まれ得るように、および、接合要素を位置付けた際にエッジ21が第2の外層20.2の内面に接するように整合される。接合要素は次に開口部5に押込まれ、中空コア板20の第2の外層20.2に接合要素を固着するエッジ21の区域において、および、中空コア板20の第1の外層20.1を通る開
口部の壁に接合要素を固着する壁固着部分3.2の区域において、熱可塑性材料が液化する。
【0042】
接合要素を誘導するために、および第2の外層(20.2)への固着を強化するために、めくら穴または貫通穴がそこに設けられてもよく、そのような穴の軸は、第1の外層(20.1)の穴の軸と整列される。
【0043】
接合要素は、その接触面1.1と中空コア板20の第1の外層20.1の外面とが同一平面となるまで、すなわち、境界線6が口の1mm内側に位置するまで、開口部5に押込まれる。接触面1.1から振動ツールを取外すと、中空コア板20の第1の外層20.1の外面から見た接合要素の輪郭と口の輪郭とは全くぼやけておらず、固着プロセス前と同様にはっきりしている、ということが実験からわかっている。
【0044】
図3Aおよび図3Bに従った中空コア板20は、たとえばボール紙のハニカム構造を含む中間層20.3を含む。同様の中空コア板の他の公知の中間層は、発泡プラスチックおよび他の同様の材料である。しかしながら、接合要素を第1の外層20.1と第2の外層20.2との間のスペーサとしてのみ使用して、中間層20.3が複数のそのような接合要素のみで構成されるようにすることも有利である。板が比較的小さい場合、さらに別の物体(たとえば取付具、ヒンジ、他の中空コア板)を板上に固定すべき場所に、すべての接合要素を位置付けてもよい。板がより大きい場合、より多くの接合要素を設けることが有利であり、接合要素のうちのいくつかはスペーサとしてのみ機能する。
【0045】
中間層20.3が上述のような接合要素のみで構成される中空コア板を製造するためには、接合要素の導入および固着の前に、第1の外層を通る対応する開口部を設けるべきであり、2つの外層20.1および20.2は互いから所望の距離離れて位置付けられるべきである。
【0046】
上にさらに説明されたような接合要素のみによって中間層20.3が構成された中空コア板は、たとえばテーブルトップとして使用されてもよく、テーブルトップの下側にテーブルの脚を取付けるべき場所に、中空コア板は、脚を取付けるための手段、たとえば、ねじ付きボルトを捩じ込み可能な雌ねじ、またはテーブルの脚の対応する突起を接着可能な好適な内側開口部が装備された接合要素を含む。テーブルトップを形成する中空コア板の外層20.1および20.2の剛性、脚取付けの場所、およびテーブルトップの全体サイズに依存して、脚取付け場所以外の場所に、付加的な挿入物が設けられてもよく、設けられなくてもよい。
【0047】
図4は、この発明に従った接合要素の例示的な最後の実施例を示す。図3Aおよび図3Bに従った接合要素と同様に、図4に従った接合要素は中空コア板の2つの外層に固着されるのに特に好適であり、接合要素の近位端を構成する接触面1.1が中空コア板の第1の外層の外面と同一平面となるようになっている。壁固着部分3.2と遠位端2との間の領域は、中央管2.1と径方向羽根2.2とを含み、径方向羽根2.2は、壁固着部分3.2の窪みへと径方向に延在し、中央管2.1の遠位端を越えて軸方向に伸張しており、遠位端に向かって小さくなる厚さを有している。図3Aおよび図3Bに従った接合要素について上述したのと同様に周囲面が装備された封止部分3.1および壁固着部分3.2は、中央管2.1上につばをともに形成し、中央管2.の近位端を開いたままにして羽根2.2を覆う。
【0048】
図4に従った接合要素が、図3Aおよび図3Bに関連して実質的に説明されたような中空コア板に固着される場合、接合要素の中央管に嵌合する好適な手段によって、さらに別の物体が中空コア板に固定され得る。振動ツールの遠位面上の対応する突起を導入し、ツ
ールによる接合要素の開口部への誘導を可能にするために、中央管の近位開口部を使用することも可能である。
【0049】
図4に従った接合要素は、接合要素の材料の量に関連して他の接合要素形状よりも優れた引抜き抵抗を有する中空コア板に固着可能であることがわかっている。
【0050】
既に最初に述べたように、図1〜図4すべてに示すように封止部分3.1が接合要素の一部である実施例に加え、壁固着部分が近位端を形成する接合要素と、遠位端が封止部分の機能のために形成されているツールとを用いて、この発明に従った方法を実行することも可能である。この発明に従った方法のそのような実施例を図6および図7に示す。比較のために、図5は、封止部分を有する接合要素が使用される方法を同様に示している。
【0051】
この発明に従った方法で使用されるツール30は、たとえば超音波装置のソノトロードであり、遠位面31を含む。遠位面31は公知の態様で接合要素の接触面に適合されており、ツール30からの振動を接合要素に円滑に受渡すのに、および、ツールからの力を接合要素に結合するために好適である。
【0052】
図5によれば、接合要素は上述の態様で封止部分3.1と壁固着部分3.1とを含み、それらは接合要素の口領域3で境界線6に沿って出合う。上述の封止機能は接合要素の一部である封止部分3.2に引継がれているため、ツール30の遠位面は、接合要素の近位面と同じ形状およびサイズを有する必要はない。それはたとえば、図5に示すようにより小さいものであってもよい。
【0053】
図6および図7によれば、封止機能はツール30の遠位(または封止)部分30.1に引継がれており、それは、封止機能にとって好適となるために、接合要素の封止部分3.1について上にさらに説明したように形成される必要がある。図6によれば、ツール30の遠位面31は、接合要素の壁固着部分3.2の近位端に押付けられて位置付けられている。接合要素およびツール30は、接合要素またはその壁固着部分(3.2)とツール30との間の境界線6が口を越えた位置に達するまで、開口部に押込まれるようになっている。これは、ツールを取外すと、接合要素の近位面が物体表面33と同一平面上には位置付けられておらず、開口部内に若干より深く(少なくとも約0.5mm深めに)位置付けられることを意味する。同じことが図7に示すような方法にも当てはまり、違いは、図1Eに示した実施例と同様に、壁固着部分3.2とツール30の遠位または封止部分30.1との間に狭い境界溝6.1が設けられていることである。溝部分は接合要素の一部であり、接合要素の近位面を担持している。封止機能を実行するのに好適となるために、ツール30の遠位面31は溝の部分よりも溝の深さ分だけ大きいものである必要がある。
【0054】
接合要素にとって好適な熱可塑性材料は、たとえば、ABS(アクリロニトリル ブタジエン スチレン)、PA(ポリアミド)、ASA(アクリロニトリル スチレン アクリレート)またはPS(ポリスチレン)である。
【符号の説明】
【0055】
1 近位端、2 遠位端、2.1 中央管、2.2径方向羽根、3 口領域、3.1 封止部分、3.2 壁固着部分、4 軸方向リブ、4.1 窪み、4.2 エネルギ集中要素、5 開口部、5.1 口、6 境界線、6.1 境界溝、10 板、20 中空コア板、20.1 第1の外層、20.2 第2の外層、20.3 中間層、30 ツール、31 遠位面、33 物体表面。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性材料および機械的振動の助けを借りて、物体に接合要素を固着するための方法であって、前記方法は、
物体に開口部(5)を設けるステップを含み、開口部(5)は、物体の表面に位置する口(5.1)と、口(5.1)から遠ざかって延在する円筒形または若干円錐形の壁とを有しており、前記方法はさらに、
軸(A)に沿って互いから距離をおいた近位端(1)および遠位端(2)を有する接合要素を設けるステップを含み、近位端(1)は、機械的振動および押付力を接合要素に加えるための振動ツール(30)との接触に好適な接触面(1.1)を装備しており、接合要素は、近位端(1)と遠位端(2)との間に、熱可塑性材料を含み、かつリブまたは隆起の形状をしたエネルギディレクタ(4.2)を装備した周囲面を有する実質的に円筒形のまたは若干円錐形の壁固着部分(3.2)を含んでおり、前記方法はさらに、
滑らかな周囲面を有する円筒形または若干円錐形の封止部分(3.1,30.1)を設けるステップを含み、封止部分(3.1,30.1)は、境界線(6)または境界溝(6.1)を介在させて、壁固着部分(3.2)の近位側に同軸上に位置付け可能であり、
封止部分(3.1,30.1)の断面は壁固着部分(3.2)の断面の覆いであり、封止部分(3.1,30.1)の断面は、口(5.1)の断面の形状に対応する形状を有し、かつそれよりも大きく、封止部分が口(5.1)に押込まれ得るようになっており、結果としてプレス嵌めをもたらし、前記方法はさらに、
壁固着部分(3.2)の遠位端を口(5.1)の中または上に位置付け、封止部分(3.1,30.1)を壁固着部分(3.2)の近位端上に位置付けて、接合要素軸(A)に平行な機械的振動および力を加えることによって壁固着部分(3.2)と封止部分(3.1,30.1)の少なくとも遠位部とを口(5.1)を通るように押込むステップを含み、それにより、壁固着部分(3.2)の周囲面上の熱可塑性材料が少なくとも部分的に液化して開口部(5)の壁に押込まれ、液化した材料は封止部分(3.1,30.1)により、口(5.1)を通って出ていかないよう防止されている、方法。
【請求項2】
封止部分(3.1,30.1)の断面は、すべての側で口(5.1)の断面よりも0.1〜1mm大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
壁固着部分(3.2)および封止部分(3.1,30.1)は、境界線(6)または境界溝(6.1)が口(5.1)を少なくとも0.5mm越えた位置に達するまで、開口部(5)に押込まれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
封止部分(3.1)は接合要素の一部である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
接合要素は、その近位面(1.1)と開口部(5)が設けられた物体の表面とが同一平面となるまで開口部(5)に押込まれ得るよう設計されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
壁固着部分(3.2)は接合要素の近位端を形成し、封止部分(30.1)は、振動および力を接合要素に加えるために使用されるツール(30)の遠位端上に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
壁固着部分(3.2)と境界溝(6.1)の一部とは接合要素の近位端を形成し、封止部分(30.1)は、振動および力を接合要素に加えるために使用されるツール(30)の遠位端上に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
物体は多孔質材料を含み、または、開口部(5)は熱可塑性材料との確実な嵌合接続を形成するのに好適な表面構造を有する壁を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
物体は、第1および第2の外層(20.1および20.2)と中間層(20.3)とを含む中空コア板(20)であり、開口部(5)は第1の外層(20.1)および中間層(20.2)を貫通しており、接合要素の壁固着部分(3.2)は第1の外層(20.1)の厚さよりも小さい軸方向範囲を有しており、接合要素の遠位端(2)と壁固着部分(3.2)の遠位端との間の距離は、接合要素が第2の外層(20.2)にも固着されるように中間層(20.3)の厚さに整合されている、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
封止部分(3.1)は接合要素の一部であり、封止部分(3.1)および壁固着部分(3.2)を合わせた軸方向範囲は、中空コア板(20)の第1の外層(20.1)の厚さと実質的に同じである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
一方が開口部(5)を含む2つの外層(20.1および20.2)は、互いからある適切な距離離れて位置付けられており、結果として生じる中空コア板の中間層(20.3)が複数の接合要素のみによって構成されるように、複数の接合要素が外層に固着される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性材料および機械的振動の助けを借りて、物体に設けられた開口部(5)に固着される接合要素であって、前記接合要素は、
近位端(1)および遠位端(2)を含み、近位端および遠位端は軸(A)の方向において互いから距離をおいており、前記接合要素はさらに、
近位端(1)の区域にある接触面(1)を含み、接触面(1.1)は、軸(A)に平行な機械的振動および力を接合要素に加えるための振動ツール(30)との接触に好適であり、前記接合要素はさらに、
壁固着部分(3.2)、および壁固着部分(3.2)の近位側に隣接する封止部分(3.1)を含み、前記2つの部分は近位端と遠位端(1と2)との間に位置しており、封止部分(3.1)は円筒形または若干円錐形で、滑らかな周囲面を有しており、壁固着部分(3.2)の周囲面は熱可塑性材料を含み、複数の窪み(4.1)と窪み(4.1)の間にあるエネルギ集中要素(4.2)とを装備しており、エネルギ集中要素(4.2)はリブまたは隆起の形状を有しており、封止部分(3.1)の断面は壁固着部分(3.2)の断面を覆い、封止部分(3.1)と壁固着部分(3.2)とは境界線(6)または境界溝(6.1)で出合う、接合要素。
【請求項13】
熱可塑性材料は少なくとも0.5GPaの弾性モジュール(module)を有する、請求項12に記載の接合要素。
【請求項14】
窪み(4.1)は少なくとも0.2mmの深さを有する、請求項12または13に記載の接合要素。
【請求項15】
接合要素は全体が熱可塑性材料からなる、請求項12〜14のいずれかに記載の接合要素。
【請求項16】
封止部分(3.1)は接合要素の近位端(1)を構成する、請求項12〜15のいずれかに記載の接合要素。
【請求項17】
封止部分(3.1)の軸方向延長は0.5〜2mmである、請求項16に記載の接合要素。
【請求項18】
中央管をさらに含み、封止部分(3.1)および壁固着部分(3.2)は中央管の周りにつばをともに形成する、請求項16または17に記載の接合要素。
【請求項19】
遠位端(2)の区域において、複数の径方向羽根(2.2)が中央管(2.1)に取付けられ、羽根は接合要素の遠位端(2)で中央管(2.1)を越えて突出している、請求項17に記載の接合要素。
【請求項20】
中空コア板に固着されるための請求項16〜19のいずれかに記載の接合要素の使用。
【請求項21】
開口部(5)を有する第1の外層(20.1)と、第2の外層(20.2)と、中間層(20.3)と、第1の外層(20.1)の開口部の壁と第2の外層(20.2)とに固着される請求項16〜19のいずれかに記載の複数の接合要素とを含む、中空コア板。
【請求項22】
中間層(20.3)はハニカム構造を含む、請求項21に記載の中空コア板。
【請求項23】
中間層(20.3)は複数の接合要素によってのみ構成される、請求項21に記載の中空コア板。
【請求項24】
接合要素は、さらに別の物体が中空コア板(20)に取付けられることになっている、または取付けられた場所に位置している、請求項23に記載の中空コア板。
【請求項1】
熱可塑性材料および機械的振動の助けを借りて、物体に接合要素を固着するための方法であって、前記方法は、
物体に開口部(5)を設けるステップを含み、開口部(5)は、物体の表面に位置する口(5.1)と、口(5.1)から遠ざかって延在する円筒形または若干円錐形の壁とを有しており、前記方法はさらに、
軸(A)に沿って互いから距離をおいた近位端(1)および遠位端(2)を有する接合要素を設けるステップを含み、近位端(1)は、機械的振動および押付力を接合要素に加えるための振動ツール(30)との接触に好適な接触面(1.1)を装備しており、接合要素は、近位端(1)と遠位端(2)との間に、熱可塑性材料を含み、かつリブまたは隆起の形状をしたエネルギディレクタ(4.2)を装備した周囲面を有する実質的に円筒形のまたは若干円錐形の壁固着部分(3.2)を含んでおり、前記方法はさらに、
滑らかな周囲面を有する円筒形または若干円錐形の封止部分(3.1,30.1)を設けるステップを含み、封止部分(3.1,30.1)は、境界線(6)または境界溝(6.1)を介在させて、壁固着部分(3.2)の近位側に同軸上に位置付け可能であり、
封止部分(3.1,30.1)の断面は壁固着部分(3.2)の断面の覆いであり、封止部分(3.1,30.1)の断面は、口(5.1)の断面の形状に対応する形状を有し、かつそれよりも大きく、封止部分が口(5.1)に押込まれ得るようになっており、結果としてプレス嵌めをもたらし、前記方法はさらに、
壁固着部分(3.2)の遠位端を口(5.1)の中または上に位置付け、封止部分(3.1,30.1)を壁固着部分(3.2)の近位端上に位置付けて、接合要素軸(A)に平行な機械的振動および力を加えることによって壁固着部分(3.2)と封止部分(3.1,30.1)の少なくとも遠位部とを口(5.1)を通るように押込むステップを含み、それにより、壁固着部分(3.2)の周囲面上の熱可塑性材料が少なくとも部分的に液化して開口部(5)の壁に押込まれ、液化した材料は封止部分(3.1,30.1)により、口(5.1)を通って出ていかないよう防止されている、方法。
【請求項2】
封止部分(3.1,30.1)の断面は、すべての側で口(5.1)の断面よりも0.1〜1mm大きい、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
壁固着部分(3.2)および封止部分(3.1,30.1)は、境界線(6)または境界溝(6.1)が口(5.1)を少なくとも0.5mm越えた位置に達するまで、開口部(5)に押込まれる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
封止部分(3.1)は接合要素の一部である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
接合要素は、その近位面(1.1)と開口部(5)が設けられた物体の表面とが同一平面となるまで開口部(5)に押込まれ得るよう設計されている、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
壁固着部分(3.2)は接合要素の近位端を形成し、封止部分(30.1)は、振動および力を接合要素に加えるために使用されるツール(30)の遠位端上に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
壁固着部分(3.2)と境界溝(6.1)の一部とは接合要素の近位端を形成し、封止部分(30.1)は、振動および力を接合要素に加えるために使用されるツール(30)の遠位端上に配置される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
物体は多孔質材料を含み、または、開口部(5)は熱可塑性材料との確実な嵌合接続を形成するのに好適な表面構造を有する壁を含む、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
物体は、第1および第2の外層(20.1および20.2)と中間層(20.3)とを含む中空コア板(20)であり、開口部(5)は第1の外層(20.1)および中間層(20.2)を貫通しており、接合要素の壁固着部分(3.2)は第1の外層(20.1)の厚さよりも小さい軸方向範囲を有しており、接合要素の遠位端(2)と壁固着部分(3.2)の遠位端との間の距離は、接合要素が第2の外層(20.2)にも固着されるように中間層(20.3)の厚さに整合されている、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
封止部分(3.1)は接合要素の一部であり、封止部分(3.1)および壁固着部分(3.2)を合わせた軸方向範囲は、中空コア板(20)の第1の外層(20.1)の厚さと実質的に同じである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
一方が開口部(5)を含む2つの外層(20.1および20.2)は、互いからある適切な距離離れて位置付けられており、結果として生じる中空コア板の中間層(20.3)が複数の接合要素のみによって構成されるように、複数の接合要素が外層に固着される、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
熱可塑性材料および機械的振動の助けを借りて、物体に設けられた開口部(5)に固着される接合要素であって、前記接合要素は、
近位端(1)および遠位端(2)を含み、近位端および遠位端は軸(A)の方向において互いから距離をおいており、前記接合要素はさらに、
近位端(1)の区域にある接触面(1)を含み、接触面(1.1)は、軸(A)に平行な機械的振動および力を接合要素に加えるための振動ツール(30)との接触に好適であり、前記接合要素はさらに、
壁固着部分(3.2)、および壁固着部分(3.2)の近位側に隣接する封止部分(3.1)を含み、前記2つの部分は近位端と遠位端(1と2)との間に位置しており、封止部分(3.1)は円筒形または若干円錐形で、滑らかな周囲面を有しており、壁固着部分(3.2)の周囲面は熱可塑性材料を含み、複数の窪み(4.1)と窪み(4.1)の間にあるエネルギ集中要素(4.2)とを装備しており、エネルギ集中要素(4.2)はリブまたは隆起の形状を有しており、封止部分(3.1)の断面は壁固着部分(3.2)の断面を覆い、封止部分(3.1)と壁固着部分(3.2)とは境界線(6)または境界溝(6.1)で出合う、接合要素。
【請求項13】
熱可塑性材料は少なくとも0.5GPaの弾性モジュール(module)を有する、請求項12に記載の接合要素。
【請求項14】
窪み(4.1)は少なくとも0.2mmの深さを有する、請求項12または13に記載の接合要素。
【請求項15】
接合要素は全体が熱可塑性材料からなる、請求項12〜14のいずれかに記載の接合要素。
【請求項16】
封止部分(3.1)は接合要素の近位端(1)を構成する、請求項12〜15のいずれかに記載の接合要素。
【請求項17】
封止部分(3.1)の軸方向延長は0.5〜2mmである、請求項16に記載の接合要素。
【請求項18】
中央管をさらに含み、封止部分(3.1)および壁固着部分(3.2)は中央管の周りにつばをともに形成する、請求項16または17に記載の接合要素。
【請求項19】
遠位端(2)の区域において、複数の径方向羽根(2.2)が中央管(2.1)に取付けられ、羽根は接合要素の遠位端(2)で中央管(2.1)を越えて突出している、請求項17に記載の接合要素。
【請求項20】
中空コア板に固着されるための請求項16〜19のいずれかに記載の接合要素の使用。
【請求項21】
開口部(5)を有する第1の外層(20.1)と、第2の外層(20.2)と、中間層(20.3)と、第1の外層(20.1)の開口部の壁と第2の外層(20.2)とに固着される請求項16〜19のいずれかに記載の複数の接合要素とを含む、中空コア板。
【請求項22】
中間層(20.3)はハニカム構造を含む、請求項21に記載の中空コア板。
【請求項23】
中間層(20.3)は複数の接合要素によってのみ構成される、請求項21に記載の中空コア板。
【請求項24】
接合要素は、さらに別の物体が中空コア板(20)に取付けられることになっている、または取付けられた場所に位置している、請求項23に記載の中空コア板。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【公開番号】特開2013−107394(P2013−107394A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−283125(P2012−283125)
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2009−543313(P2009−543313)の分割
【原出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(501485227)ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年12月26日(2012.12.26)
【分割の表示】特願2009−543313(P2009−543313)の分割
【原出願日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(501485227)ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト (17)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]