説明

物品の向き変換装置

【課題】搬送物品の移動中に搬送方向に対する物品の向きを変換できるとともに、柔軟で傷などが付き易い特性の物品においても物品を傷めることなく物品の向きを変換し得る装置を提供する。
【解決手段】無端ベルトの走行により物品33を搬送する搬送コンベヤ3と、該搬送コンベヤ3上の物品33を、その上部を保持して搬送方向に向けて前進移動すると共に所定角度水平回動して該物品33の向きを変換する水平多関節ロボット7と、該水平多関節ロボット7で物品33の向きを変換する位置に対応して無端ベルトの搬送面6aと物品33の下面との間に空気層を形成するエア吹付手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、物品の搬送過程で搬送方向に対する物品の向きを変換する向き変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
物品をコンベヤにより搬送する過程で物品の向きを変換する装置としては、ベルトコンベヤ装置の上方でベルト巻掛け機構を支持するブラケットが上下動自在かつ90度往復回動自在な縦シャフトにより支持され、ブラケットに付設されたストッパで停止した包装品を検出する包装品センサからの検出信号に基づいてベルトコンベヤ装置が停止すると、縦シャフトが下降してベルト巻掛け機構が包装品を押さえ、縦シャフトが90度往復回動してベルト巻掛け機構が包装品を90度方向変換し、ベルト巻掛け機構が包装品を押さえた状態で走行復帰して包装品を搬出するようにしたものがある(特許文献1)。
【0003】
また、形状に前後の異形態を有する物品を前後いずれか一方向へ連続かつ自動的に揃えることができる装置としては、移送手段により物品を略水平でかつその前後方向をランダム状態で載置して連続的に一方向へ移送する移送途中で、検出手段により物品の前後の向きが同一向きでないと検知されると、移送手段上で旋回手段が作動して物品を180°反転させ、物品の向きを揃えるようにしている(特許文献2)。
【0004】
ところが、物品の向きを変換する際に物品に擦れが生じて柔軟な物品や傷が付き易い物品に対して損傷を与えるおそれがあった。
【特許文献1】特開平5−147615号公報
【特許文献2】特開平8−127416号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、搬送物品の移動中に搬送方向に対する物品の向きを変換できるとともに、柔軟で傷などが付き易い特性の物品においても物品を傷めることなく物品の向きを変換し得る装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明にかかる物品の向き変換装置においては、無端ベルト6の走行により物品33を搬送する搬送コンベヤ3と、該搬送コンベヤ3上の物品33を、その上部を保持して搬送方向に向けて前進移動すると共に所定角度水平回動して該物品33の向きを変換する転向手段7と、該転向手段7で物品33の向きを変換する位置に対応して無端ベルト6と物品33の下面との間に空気層を形成するエア吹付手段14とを備えている。
【0007】
請求項1の発明を前提とする請求項2の発明において、前記転向手段7は、水平回動角度を変化させて物品33の向きを異ならせるように作動するよう設定されている。
請求項1または請求項2の発明を前提とする請求項3の発明において、前記転向手段は、上下移動を含む4軸制御の水平多関節ロボット7で構成されている。
【0008】
請求項1〜3の発明のうちいずれか一つを前提とする請求項4の発明において、前記転向手段7は、物品33の上部を保持する吸着部12を含む。
請求項1〜4の発明のうちいずれか一つを前提とする請求項5の発明において、前記エア吹付手段14はその吹付エア量または吹付エア圧力を変更し得るよう設定されている。
【0009】
請求項1〜5の発明のうちいずれか一つを前提とする請求項6の発明において、前記転向手段7は、物品33の向きを90度水平回動して変換するに際して、該転向手段7で保持した物品33を向き変換の前と後で前記搬送コンベヤ3の搬送ライン中心Lに対し変移させるよう動作する。
【0010】
請求項2の発明を前提とする請求項7の発明において、前記転向手段7は、物品33を保持して搬送方向に前進移動させると共に物品33の向きを水平回動して変換するに際に、前記搬送コンベヤ3の速度より高速で物品33を前進移動させて後続物品33との搬送間隔を広くするよう構成した。
【0011】
請求項2の発明を前提とする請求項8の発明において、前記転向手段7は、箱詰め手段28への物品搬送経路に配設され、前記搬送コンベヤ3への物品流入数に対応して前記転向手段7で回動する物品33の水平回動角度と回動方向とを変化させ得るようにした。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、転向手段7が物品33の上部を保持して搬送方向に向けて前進移動させつつ所定角度水平旋回して物品33の搬送向きを変換するので、物品33の向き変換時に物品33の下流側への移動が止まることなく高速で搬送処理を実現できる。また、エア吹付手段14が無端ベルト6と物品33の下面との間に空気層を形成して無端ベルト6に対する物品33の擦れをなくした状態で物品33の向きを変換できるので、柔軟な物品33や傷が付き易い物品33に対して変形や損傷を与えることがない。
【0013】
請求項2の発明では、転向手段7の旋回角度を変化させて各物品33の向きを異ならせることができるので、下流側に接続される各種処理手段の集合形態、例えば、箱詰め手段28の箱詰め収容形態に合わせた各物品33の向きとなる集合物品を得ることができる。
【0014】
請求項3の発明では、上下移動を含む4軸制御の水平多関節ロボット7により物品33の下流側への搬送と向き変換とを行い、また、搬送ライン中心Lに対する物品33の向き変換後における物品33の搬送幅との関係についての位置設定とを同時的に行うので、高速処理が可能であり、また、物品33の向きの変換時の旋回角度や物品33の高さに応じた保持高さなどの条件を自由に設定できるので、搬送品種切り替えなどへの対応が柔軟且つ簡単に実施できる。
【0015】
請求項4の発明では、転向手段7の吸着部12により物品33の上部を保持した状態で物品33の向きを変換するので、物品33の保持力を高めることができる。
請求項5の発明では、エア吹付手段14の吹付エア量または吹付エア圧力を調節するだけの簡単な設定により、複数種の物品33に対し柔軟に対応できる。
【0016】
請求項6の発明では、物品33の向きの変換前と変換後とで搬送幅が異なる物品33において搬送コンベヤ3の搬送ライン中心Lに対し物品33を変移させて物品33の幅方向中心位置を略一致させて搬送することができるので、搬送コンベヤ3の幅寸法を広く設定しなくても向き変換後の物品33が搬送コンベヤ3と接触干渉したりすることがない。
【0017】
請求項7の発明では、搬送コンベヤ3の速度より転向手段7による物品33の搬送速度を速くしたので、互いに隣接する下流側物品と上流側物品との間を確実に所定間隔毎に切り離して搬送することができる。
【0018】
請求項8の発明では、物品33の箱詰め手段28の上流側で箱詰め収容形態に合わせた各物品33の向きとなる集合物品を箱詰め処理位置まで送り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明における物品の向き変換装置の実施形態として、箱詰め手段に物品を所定の整列状態で集合して搬送するにあたりその搬送経路において各物品をその整列状態に適合する向きに揃えて搬送するシステムに適用した場合について例示する。
【0020】
図1(a)に示すように、導入コンベヤ1と切出しコンベヤ2と搬送コンベヤ3と整列コンベヤ4とが搬送方向の上流側から下流側へ順次並設されているとともに、整列コンベヤ4に対し集合コンベヤ5が直交するよう配設され、該集合コンベヤ5が集合物品を箱詰め手段28に向けて搬送するように配設されている。
【0021】
図2(a)(b)に示すように、前記搬送コンベヤ3において複数のプーリに巻き掛けられて走行駆動する無端ベルト6に隣接して転向手段としての4軸制御の水平多関節ロボット7が設置されている。この4軸制御の水平多関節ロボット7は、本体部8の垂直軸心8aを中心に水平回動(自由度1軸)する第1アーム9と、この第1アーム9の先端部で垂直軸心9aに対し水平回動(自由度2軸)する第2アーム10と、この第2アーム10の先端部に垂設された垂直軸心10a回りで水平回動(自由度3軸)すると共に該垂直軸心10aに沿って昇降動(自由度4軸)するロボットハンド11とを備えている。このようにして構成される4軸制御の水平多関節ロボット7は、搬送コンベヤ3の一側方に設置された本体部8から前記両アーム9,10が搬送コンベヤ3の上方において水平回動し得るよう延設されると共に前記ロボットハンド11の下端部に設けられた吸着部12が前記搬送コンベヤ3の無端ベルト6に面し、また、この吸着部12を挟む両側で板状のガイド部13が設けられている。
【0022】
前記無端ベルト6には走行方向に帯状に配置された多数の通孔15が形成され、この無端ベルト6の走行ラインの下方に接してエアチャンバ16が設けられている。エアチャンバ16は無端ベルト6による物品33の搬送始端から搬送終端までの間において前記ロボットハンド11の回動によって物品33の向きを変換する位置に対応してエアを上方へ吹出し可能な位置に配設されており、エア供給源であるブロワ17からエア供給管路18を経てエアチャンバ16に達してそのエアチャンバ16から吹出されたエアは、前記無端ベルト6の通孔15を介して上方へ吹出し、無端ベルト6で搬送される物品33の下面には空気層が介在している。
【0023】
前記搬送コンベヤ3の下流側に接続される整列コンベヤ4は、図3に示すように、下流側に直交して接続した集合コンベヤ5へ集合状態として送り出す物品33を個々に載置可能な搬送長さに設定された複数(第1〜第4)の搬送ベルト20,21,22,23がそれぞれ取付部材24に支持されて搬送方向に沿って順次並設されている。第2〜第4の搬送ベルト21,22,23を支持する各取付部材24は搬送方向の下流側で下部に配設された水平軸心25を中心に回動可能に支持されてエアシリンダ26等の駆動手段により往復回動し得る。搬送方向下流側に順次接続する第2の搬送ベルト21と第3の搬送ベルト22と第4の搬送ベルト23との夫々は、前記取付部材24の往復回動に伴い、その搬送面21a,22a,23aが水平になる水平状態と、それらの搬送面21a,22a,23aの搬送方向上流側が上方へ傾動する傾斜状態とを取り得る。これにより、各搬送ベルト21,22,23まで送り込まれた物品33のうち、上流側の物品33の先頭部を下流側の物品33の後方にもぐり込ませて物品33の集合寸法を縮小する。
【0024】
前記整列コンベヤ4の下流側で整列コンベヤ4の搬送方向と直交する集合コンベヤ5には、整列コンベヤ4における第2〜第4の搬送ベルト21,22,23に載置されて整列された複数の物品33が、押出し部材32の作動によって整列状態で送り込まれる。集合コンベヤ5はその搬送終端部を上流側と下流側とに移動して搬送ベルト27の搬送面27aを伸縮し得るシャトルコンベヤで構成される。その搬送面27aが収縮して開放される箱詰め位置の上方には昇降可能な吸着部29を備えた箱詰め手段28が設けられているとともに、その箱詰め位置の下方には物品33を収容する箱としての番重37が所定の搬送手段30により送り込まれて位置決め保持される。
【0025】
以上の実施形態からなる物品の向き変換装置についてパン類の袋詰結束品からなる物品33を所定の集合状態としてプラスチック製の通い箱である番重37に箱詰めする動作工程との関係で以下説明する。
【0026】
本実施形態では、前記導入コンベヤ1上に前工程の袋詰め機から搬入された物品33は、例えば図4(a)に示すように食パンまたはロールパン或いはその他のパン類を袋詰めした後にその袋口部を結束具で絞り込んだ結束耳部34を有する包装品であって、その結束耳部34が一定方向である搬送方向下流側向きを向いた姿勢で導入コンベヤ1を経て所定間隔毎に切出しコンベヤ2に搬送される。切出しコンベヤ2の搬送終端部側には第1センサ35が設けられ、物品33がこの第1センサ35により検出される際に、切出しコンベヤ2の下流側に配設された転向手段としての4軸制御の水平多関節ロボット7のロボットハンド11が搬送コンベヤ3の上流側における初期位置にあるか否かをその水平多関節ロボット7の動作信号によって判断し、初期位置にない場合には、切出しコンベヤ2の走行を停止して物品33の搬送コンベヤ3への送り込みを停止する。また、ロボットハンド11が初期位置にある場合には切出しコンベヤ2が停止することなく物品33が搬送コンべヤ3に送り込まれる。
【0027】
搬送コンベヤ3の搬送始端部側には第2センサ36が設けられ、物品33がこの第2センサ36により検出されて前記ロボットハンド11の初期位置に至るタイミングに応じてロボットハンド11が物品33の上部を保持し得る位置まで下降し、ロボットハンド11は両ガイド部13で物品33を支持すると共に吸着部12で物品33の上部を吸着保持し、各アーム9,10が水平旋回することにより搬送コンベヤ3の搬送方向下流側に向けて無端ベルト6の走行速度と同速以上の速度でベルト搬送面6a上を移動する。その前進移動中にロボットハンド11が所定角度水平回動し、保持した物品33の向きを変換する。なお、ロボットハンド11がベルト搬送面6aの速度より高速で前進移動すると、先行物品33と後続物品33との搬送間隔を広げて下流側に送出できる。前記第2センサ36で物品33が検出される都度その到来数がカウントされ、その物品33の流入数に対応して、物品33の水平回動角度(90度または180度)と水平回動方向とが選択されて搬送方向に対する物品33の向きを順次異ならせるように回動する。なお、下流側における集合状態において物品33の搬送コンベヤ3への受入れ向きと同一向きで搬送コンベヤ3から送り出す場合にあっては、ロボットハンド11の水平回動による向き変換動作は行われず、同一向きを維持した移送が実施される。ロボットハンド11の吸着部12による物品33の吸着保持は、無端ベルト6の搬送面6aに載置された物品33をその搬送面6aより上方に持ち上げるためのものではなく、ロボットハンド11で物品33を回動させて搬送方向に対する物品33の向きを変換する際にロボットハンド11で保持した物品33が慣性によって位置ずれしてしまうのを防止するよう機能する。図1(b)に示すように、平面視で縦横の長さが異なるなど、物品33の向きの変換前と変換後とで搬送左右幅が異なる物品33の場合、物品33の向きを水平方向に90度変換するに際して、物品33の向きの変換後に物品33を搬送コンベヤ3における搬送ライン中心Lに対し変移させて物品33の搬送左右幅の中心位置を略一致させた状態で整列コンベヤ4へ搬送することができる。従って、そのような物品33の場合でも、搬送コンベヤ3や下流側に接続するコンベヤの幅寸法を広く設定しなくても向き変換後の物品33が搬送コンベヤ3と接触干渉したりすることがない。
【0028】
前述した物品33の向きの変換位置に対応して、無端ベルト6の上方へ向けて前記エア吹付手段14からエアが吹付けられる。そのため、物品33の向き変換時には物品33の下面とベルト搬送面6aとが空気層を介して面し、物品33の下面が無端ベルト6と直接擦れることがない。従って、包装袋に擦り傷が付いたりピンホールが発生したりすることがなく、柔軟で傷が付き易い物品33においても変形や損傷を伴うことなく向きの変換ができる。また、前記エア吹付手段14においては、物品33の下面の形状や面積などの変化あるいは物品33の質量の変化などに対応して、吹付エヤ量または吹付エヤ圧力を流量制御弁や圧力制御弁等の周知機器により変更設定することができ、その設定により、多品種処理での搬送物品33の品種変更に対応した異なる性状の種々の物品に対して適性に対応できる。
【0029】
搬送コンベヤ3で転向手段としての水平多関節ロボット7によって向きが変換された物品33は、搬送コンベヤ3から整列コンベヤ4に所定数分搬送され、第1の搬送ベルト20を経て第2〜第4の搬送ベルト21,22,23に載置される。ここで図1(a)に示したように集合コンベヤ5で集合された3列中で、搬送方向上流側と下流側(第1列目と第3列目)となる各列での3個の物品33は、整列コンベヤ4に送り込まれる順で、第1番目の物品33の結束耳部34が搬送方向上流側を向き、第2番目の物品33の結束耳部34が集合コンベヤ5側を指向するように該第1番目の物品33の向きと水平方向に90度変換した向きとなり、また、第3番目の物品33の結束耳部34が整列コンベヤ4の搬送方向下流側を向くように整列されるものであり、まず、第1番目の物品33が第1から第3の搬送ベルト20,21,22を経て第4の搬送ベルト23に至り、結束耳部34を整列コンベヤ4の搬送方向上流側に向けて載置されて第4の搬送ベルト23が停止する。続いて、第2番目の物品33が結束耳部34を集合コンべヤ5へ指向する向きで第3の搬送ベルト22上に搬送される。第2番目の物品33が第3の搬送ベルト22の終端部に至る前に、第4の搬送ベルト23の搬送面23aの上流側が上方に傾動して第3の搬送ベルト22の搬送面22aとの間で段差を生じさせる。第2番目の物品が第3の搬送ベルト22の搬送終端に至ることで第3の搬送ベルト22が停止する。ここで、第2番目の物品33の前方は第4の搬送ベルト23に載置された第1番目の物品33の結束耳部34の下方位置となる。続いて、第3番目の物品33が第2の搬送ベルト21の終端に至る前に第3搬送ベルト22の搬送面22aの上流側が上方に傾動して第2の搬送ベルト21の搬送面21aとの間で段差を生じさせる。第3番目の物品33は第2の搬送ベルト21の搬送終端に至る際に、その前方となる結束耳部34が第3の搬送ベルト22の上流側端部に当接した状態で押し付けられて圧縮され、第3番目の物品33が第2の搬送ベルト21の搬送終端に至ることで第2の搬送ベルト21が停止する。続けて、第4番目の物品33が第1の搬送ベルト20の終端に至る前に、第2の搬送ベルト21の搬送面21aの上流側が上方に傾動して第1の搬送ベルト20の搬送面20aとの間で段差を生じさせる。続けて、第4番目の物品33が第1の搬送ベルト20の搬送終端に至り、その結束耳部34を搬送方向下流側に向けて袋底部側が第2の搬送ベルト21の上流側端部に当接することで第1の搬送ベルト20を停止する。その後、第2、第3、第4の搬送ベルト21,22,23の各搬送面21a,22a,23aの傾斜によって斜状に支持されている物品33は、その傾斜姿勢のままで前記押出し部材32によって集合コンべヤ5に向けて押送される。整列コンべヤ4の第2、第3、第4の搬送ベルト21,22,23に載置された物品33が集合コンべヤ5に押送された後に、それらの搬送ベルト21,22,23の各搬送面21a,22a,23aの上流側が下降し、また、第1搬送ベルト20に載置された物品33が第4の搬送ベルト23の搬送終端まで送り込まれる。
【0030】
また、整列コンベヤ4において図1(a)に示す集合コンベヤ5で集合された3列中で中央に位置する第2列目に関する集積状態に合わせて物品33を整列するものにあっては、両端に2個の物品33を位置させて2行目の物品33は存在しない態様であり、それら2個の物品33は、前記した第1列目と第3列目の第1番目と第3番目の物品33の向きに相当し、基本的動作は前記の通りであって、第4の搬送ベルト23に対して物品33の結束耳部34を整列コンベヤ4の搬送方向上流側に向けた姿勢で送り込み、また、第2の搬送ベルト21に対しては、物品33の結束耳部34が搬送方向下流側を向く姿勢で送り込み、第3の搬送ベルト22には物品33の送り込みを行わないようにしている。
【0031】
このようにして、整列コンベヤ4で箱詰め姿勢となるように1列分ずつ集合された物品33は、集合コンベヤ5に向けて前記押出し部材32により各列毎に移送され、1箱分に相当する複数行が揃って集積した集合物品となる。その集合物品は、集合コンべヤ5において箱詰め位置まで搬送されて箱詰め手段28の吸着部29により持ち上げられ、前述したように搬送ベルト27の搬送面27aが収縮されて開放された箱詰め位置で、下方に待機している番重37に移換される。なお、番重37への集合物品の箱詰め姿勢については、いずれの集合状態においても各物品33の袋結束耳部34が箱の内方に向く姿勢で箱詰めされるものであって、図1(a)に示す集合物品以外にも、例えば図4(c)に示す集合物品を挙げることができる。
【0032】
前記実施形態以外にも例えば下記のように構成してもよい。
・ 前記実施形態では、物品の向きを変換する装置の一例として、パン類を袋詰めした後にその口部を結束具で絞り込んで耳部を有する包装品を、プラスチックコンテナ、所謂、番重へ箱詰めする装置に適用した場合において、その箱詰め位置までの搬送途上で物品の番重への収容形態に対応して物品の向きを揃えるための装置について例示したが、そのような目的以外で物品の向きの変換を必要とする装置に適用することができる。
【0033】
・ エア吹付手段14は、無端ベルト6の下部から通孔15を介してエアを上方に吹出す方式に限られるものではない。少なくとも無端ベルト6と物品33の下面との間に空気層を形成可能な、例えばコンベヤの左右から無端ベルトの上面に圧縮エアを吹付けて物品33の下面に空気層を形成するものなどを採用することができる。
【0034】
・ 前記実施形態では転向手段として4軸制御の水平多関節ロボット7を採用しているが、これに代えて直交座標型ロボット、或いは、ロボットに代えて機械式の旋回機構を採用してもよい。
【0035】
・ 物品33の向き変換後で搬送ライン中心Lに対する物品33の位置を変移することがない、例えば平面視で正方形の外形状を有する物品33の向きの変換に適用する場合においては、少なくとも、搬送方向に沿った進退移動を行うと共に垂直軸を中心に回動可能な保持部材を備えた転向手段を採用すればよい。
【0036】
・ 物品33の向きの変換は前記実施形態で例示した水平回動角度に限定されるものではなく、下流側で要求される処理姿勢に応じた水平回動角度にすることができる。
・ 転向手段において物品33の上方を保持する吸着部12や物品33の側方を支持するガイド部13は、それぞれ必要に応じて選択して採用されるものであればよい。
【0037】
・ 前記実施形態の各種コンベヤ1,2,4,5,の有無や配列などは、必要に応じて採用されるものであって、本発明は少なくとも搬送コンべヤ3と転向手段とを組み合わせた構成を備えているものであればよい。
【0038】
・ その他、実施形態に採用した各種の構成に限らず種々の構成を採用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】(a)は物品の向き変換装置を示す平面図、(b)は同じく部分平面図。
【図2】(a)は同じく部分正面図、(b)は同じく部分左側面図。
【図3】同じく部分背面図。
【図4】(a)は物品の斜視図、(b)は番重の斜視図、(c)は各物品を収容した番重の斜視図。
【符号の説明】
【0040】
3…搬送コンベヤ、6…無端ベルト、7…水平多関節ロボット(転向手段)、12…吸着部、14…エア吹付手段、28…箱詰め手段、33…物品、L…搬送ライン中心。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端ベルトの走行により物品を搬送する搬送コンベヤと、該搬送コンベヤ上の物品を、その上部を保持して搬送方向に向けて前進移動すると共に所定角度水平回動して該物品の向きを変換する転向手段と、該転向手段で物品の向きを変換する位置に対応して無端ベルトと物品の下面との間に空気層を形成するエア吹付手段とを備えたことを特徴とする物品の向き変換装置。
【請求項2】
前記転向手段は、水平回動角度を変化させて物品の向きを異ならせるように作動するよう設定されていることを特徴とする請求項1に記載の物品の向き変換装置。
【請求項3】
前記転向手段は、上下移動を含む4軸制御の水平多関節ロボットで構成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の物品の向き変換装置。
【請求項4】
前記転向手段は、物品の上部を保持する吸着部を含むことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一つに記載の物品の向き変換装置。
【請求項5】
前記エア吹付手段は、その吹付エア量または吹付エア圧力を変更し得るよう設定されていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一つに記載の物品の向き変換装置。
【請求項6】
前記転向手段は、物品の向きを90度水平回動して変換するに際して、該転向手段で保持した物品を向き変換の前と後で前記搬送コンベヤの搬送ライン中心に対し変移させるよう動作することを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一つに記載の物品の向き変換装置。
【請求項7】
前記転向手段は、物品を保持して搬送方向に前進移動させると共に物品の向きを水平回動して変換するに際に、前記搬送コンベヤの速度より高速で物品を前進移動させて後続物品との搬送間隔を広くするよう構成したことを特徴とする請求項2に記載の物品の向き変換装置。
【請求項8】
前記転向手段は、箱詰め手段への物品搬送経路に配設され、前記搬送コンベヤへの物品流入数に対応して前記転向手段で回動する物品の水平回動角度と回動方向とを変化させ得るようにしたことを特徴とする請求項2に記載の物品の向き変換装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−42888(P2010−42888A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−206907(P2008−206907)
【出願日】平成20年8月11日(2008.8.11)
【出願人】(000136387)株式会社フジキカイ (129)
【Fターム(参考)】