説明

物品ドライクリーニングのためのシステム及び方法

シロキサン溶剤を使って物品をドライクリーニングするシステム及び方法が提供される。本発明に係るシステム及び方法において、シロキサン溶剤は、クリーニングされている物品から抽出された不純物を懸濁させる。本発明に係るシステムは、不純物を濾過し、物品をクリーニングする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2005年6月20日に出願された、発明の名称「物品ドライクリーニングのためのシステム及び方法」の米国仮出願第60/692692号に関する優先権及び利益を請求するもので、これを参照することによりその全体の内容を本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、シロキサン溶剤を使って物品をドライクリーニングするためのシステム及び方法に関する。詳記するならば、本発明は、白土、パウダ、フィルタ、フィルタ媒質及びガスを使ってシロキサン・ドライクリーニング溶剤を再生するためのシステム及び方法に関する。一実施例において、本発明に係るシステム及び方法は蒸留の必要を無くす。
【背景技術】
【0003】
ドライクリーニングは世界中の主要産業である。米国だけでも、4万台を超えるドライクリーニング機械がある。欧州には6万台超のドライクリーナがある。これらドライクリーナの85%強が、ペルクロロエチレン溶剤(“PERC”)使用向け設計の機械を使用している。PERCは依然優れたクリーニング溶剤である反面、健康と環境に重大な危害を加えるものであることが、土壌汚染に関する多数の訴訟と、ドライクリーニング溶剤としてのPERCの使用の規制及び/又は除去に関する立法措置とによって証明されている。
【0004】
健康と環境に危害を加えるにも拘わらず、PERCは依然、世界中で最も広く使用されているドライクリーニング溶剤である。ドライクリーナの大多数はPERCをクリーニング溶剤として使用するので、ドライクリーニング機械の大多数は特にPERC使用向けに設計されているが、PERCには、装置の設計と溶剤再生の方法に影響する特有の性質がある。例えば、PERCは124.4°C(256°F)の沸点を有し、これにより、溶剤再生に常圧蒸留器を使用できるようにする。また、PERCは高い溶解力を有する。溶解力は、代表的にはカウリブタノール値(“KBV”)として報告され、PERCのKBVは90超である。KBVは、溶剤の溶解力と、疎水性不純物を可溶化する溶剤の能力の尺度である。PERCの高い溶解力が多くの不純物の可溶化を可能にする。その結果、可溶化された不純物が代表的には揮発性でなくなり、そこで、廃物流又は不揮発性残物(“NVR”)の一部になるので、蒸留がPERC再生の優れた方法ということになる。NVRは有害廃物として処理され、その処分が規制されている。
【0005】
世界の他の地域、例えば、6万台超のドライクリーナを有する日本では、石油留出物がクリーニング溶剤として広く使用されている。この石油留出物は148.9°C(300°F)〜204.4°C(400°F)の高い沸点を有し、この沸騰温度を下げるために真空蒸留を必要とする。真空蒸留を使用するシステムが、代表的には最も費用のかかるドライクリーニングシステムである。また、石油留出物は引火点が低いので、火災爆発防止上厳しく規制されている。
【0006】
石油留出物は、27〜40KBVの溶解力を有する。この石油留出物は、溶解力がPERCのそれよりはるかに低い反面、ドライクリーニングプロセスにおいて介在する疎水性不純物の多くを十分に可溶化することが実証された。しかしながら、蒸留による石油留出物の再生は、処分規制を受ける有害廃物流を生じさせもする。また、石油留出物は揮発性有機化合物(“VOC”)として類別され、健康と環境の両方に関係する。PERC使用の場合と同様、可溶化された不純物が代表的には揮発性でなくなり、そこで、廃物流又は不揮発性残物(“NVR”)の一部になるので、蒸留が石油留出物再生の優れた方法ということになる。NVRは有害廃物として処理され、その処分が規制されている。
【0007】
蒸留に加えて、こうした溶液の濾過も、処分規制を受ける有害廃物を生じさせる。1970年以前は、珪藻土を使ったパウダフィルタが濾過に使用されていた。しかしながら、1970年代、このパウダフィルタが広くカートリッジフィルタに取って代わられた。その後、1980年代に米国環境保護局(“EPA”)は、使用されていたカートリッジフィルタを有害廃物として類別し、ドライクリーニング事業者に所要の特別な処理と取扱いの責任を負わせた。
【0008】
濾過及び蒸留を通してのクリーニング溶剤の再生は、最近のドライクリーニングプラントにおける有害廃物の最大の発生源である。この有害廃物は、処分費用がかかると同時に、環境にとって極めて不衛生である。結果として、ドライクリーニング業界は、優れたクリーニングの質を維持しながら、この有害廃物を減らすことに努力を集中させてきた。
【0009】
行政による環境規制を受けて、業界の努力はPERCと石油留出物の代替物の開発に向けられた。代替溶剤の研究の焦点は、環境にやさしいこと、機能性に優れていること、そして、経済的に実用し得ることであった。こうした努力が、高引火点の炭化水素、液体二酸化炭素、グリコールエーテル、そして最近のシロキサンの導入につながった。シロキサンは最近導入されたばかりであるから、これをドライクリーニング溶剤として使用できるように設計されたシステム及び方法がなお必要とされる。
【発明の開示】
【0010】
よって、本発明の課題は、シロキサン溶剤を使って物品をドライクリーニングするためのシステム及び方法を提供することである。例示のシステムは、クリーニングすべき物品を受け取る1つのクリーニングバスケットと、シロキサンクリーニング溶剤を収容する1つ以上のタンクを備えている。本発明のシステムは、更に、クリーニングバスケットとタンクの間に置かれた1つのポンプを備えている。ポンプは、溶剤を移動させるのに使用され、シロキサン溶剤をクリーニングバスケットに送入することによって物品を溶剤中に浸漬する働きをする。加えて、ポンプは、洗浄サイクル中に溶剤を攪拌し、溶剤を未使用の状態に仕上げる働きをする。
【0011】
システムは、また、ファン、加熱用コイル、凝縮用コイル及びリント布フィルタを備えている乾燥用空気システムを備えている。特定の実施例では、空気システムは、クリーニングバスケットに関して遠隔に位置し、乾燥と回収のための転送システムとして働く。この実施例は、特に天然素材の衣服及び織物のクリーニングに有用である。
【0012】
一実施例では、ドライクリーニングシステムは、更に、シロキサン溶剤を再生するための濾過システムを備えている。この実施例では、蒸留器を使用する必要がない。別の実施例では、クリーニング能力を高めるために不活性ガスをシステムに投入する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の上記利点及びその他の利点は、以下の添付図面に則した詳細な説明から一層明らかになる。
【0014】
一実施例において、本発明は、シロキサン溶剤を使って物品をドライクリーニングするためのシステム及び方法に向けられる。本発明のシステムにおいて使用されるシロキサン溶剤は、有機シロキサン、すなわち、有機/無機混成溶剤を備えてもよい。本発明で有用な有機シロキサンは、環状シロキサン及び線状シロキサンを含む。これら環状シロキサン及び線状シロキサンの化学的性質は、本発明の一実施例に係るドライクリーニングシステムが蒸留に左右されることなく働くことを許す。
【0015】
本発明のシステムでは、2000年3月28日に付与された発明の名称「ドライクリーニングの方法及び溶剤」の米国特許第6042618号公報の中で述べられたような好適な環状シロキサン又は線状シロキサンのどれも使用することができ、ここに言及することにより同特許の全体を参考としてここに組み入れる。これらシロキサンのうち、デカメチル・シクロペンタシロキサン、一般にD5と呼ばれる5量体が現在好ましいとされる。出願人は、D5が不純物を可溶化しないのに、この溶剤が不純物を懸濁させることを予期せず発見した。
【0016】
D5に加えて、平方センチメートル当たり約18ダイン未満の表面張力を有する親油性の環状シロキサンが好ましいとされる。主要なクリーニング溶剤のうち、シリコーンが最も小さい表面張力を有し、その値は平方センチメートル当たり約18ダインである。比較すると、石油留出物は表面張力が平方センチメートル当たり約22〜24ダイン、PERCは表面張力が平方センチメートル当たり32ダイン、水は表面張力が平方センチメートル当たり72ダインである。これらドライクリーニング溶剤の間の差は、Ian Smallwood著“Solvent Recovery Handbook”(1993年)の中で強調されている。これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。その小さい表面張力により、シリコーン溶剤は、クリーニング中の物品から不純物を解放し、その後、不純物を懸濁させることができる。また、シリコーン溶剤の小さい表面張力と低い溶解力により、不純物が吸着され、吸収されるにつれて、フィルタ圧力が著しく増大させられることはない。従って、他の溶剤を使用した時のように溶剤流速が著しく妨げられることはない。
【0017】
所望の特性を有する環状シロキサンは、上で述べた通り、再生用フィルタを通過する時により良い流速を持つ。このシロキサンは、適当な洗剤と共に使用される時、PERCや炭化水素のようなより攻撃的な溶剤の中で別様に溶解される不純物の多くをより効果的に懸濁させることができる。そのようなより攻撃的なドライクリーニング溶剤、特に炭化水素溶剤は、余りに多くの不純物を可溶化し、プリコート・フィルタの中をうまく流れていかない。これは、独国ホーエンシュタイン研究所(Forschungsinstitut Hohenstein)において指摘された通りで、これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。加えて、不純物の増勢する可能性があり、より高い溶解力を持つ溶剤は不快臭を生じさせることになる。しかしながら、シロキサン溶剤は不純物を可溶化せず、従って、有臭物質を蓄積しない。
【0018】
PERCと石油留出物が最も広く使用されているドライクリーニング溶剤であることから、また、これら溶剤が高い溶解力を持つことから、溶剤清澄化の方法として蒸留が選ばれてきた。しかしながら、本発明で有用なシロキサン溶剤はそれらより溶解力が低い。特に、D5は溶解力が約14KBV未満と低い。これらシロキサン溶剤は、PERCと石油留出物より溶解力が低いけれども、適当なイオン洗剤、アニオン洗剤又はカチオン洗剤と組み合わされると、その溶剤/洗剤混合剤は不純物を効果的に懸濁させる。洗剤の1つの例が無機洗剤である。不純物が溶剤/洗剤混合剤の中に懸濁していて、溶剤により可溶化されないことから、その不純物は濾過によって除去でき、そこで、蒸留の必要は無くなる。
【0019】
不純物の中には親水性のものがあるから、ドライクリーニングプロセスにおける水の使用はクリーニングの質を改善できる。こうした不純物を除去するために、乾燥プロセスから回収された水和溶剤を再投入するか、遊離水を添加するか、水と洗剤とシロキサン溶剤との乳濁液を添加するか、いずれかによって水を加えてよい。
【0020】
一実施例では、二酸化炭素及び/又は窒素のような不活性溶性ガスをクリーニングシステムに加える。このようなガスの投入は、不純物を懸濁させる溶剤/洗剤混合剤の能力を高める。不純物懸濁を改善することに加えて、こうした不活性ガスの投入は、酸素の量を減少させ、それによって火災又は爆発の危険性を低下させる。
【0021】
これらのガスは、クリーニングプロセスの間に溶剤/洗剤混合剤に投入することができる。例えば、ガスは洗浄プロセスの間に投入してよい。一実施例では、ガスをポンプマニホールドに注入する。しかしながら、機械はこのプロセスの間に換気されないので、ガスの投入は多少の圧力増大を生じさせることがあり得る。そのため、ガスからの圧力が過大になった場合にその圧力を逃すような除圧システムを設けてよい。
【0022】
別の実施例では、オゾンのような酸化ガスを溶剤/洗剤混合剤に加える。上で述べた不活性ガスの代わりにオゾンを加えても、不活性ガスに加えてオゾンを加えてもよい。制御下での酸化ガス投入は、有臭不純物を無くす助けとなる。これは、米国水道設備協会(AWWA)の“Ozone as an Aid to Coagulation and Filtration”(1993年)において指摘された通りで、これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。オゾンは特にこの点に関して有用である。オゾンはラジカルであり、その分子構造は有臭分子に対して親和力を有する。事実、ASTM D1296に準じる残留臭気テストでは、有臭不純物を有する物品のクリーニングにオゾンを使用した時、臭気に改善が見られた。しかしながら、オゾンは半減期が極めて短く、代表的には約21分に満たないので、生成後直ちに溶剤/洗剤混合剤に投入しなければならない。
【0023】
オゾンは、本発明で使用されるシロキサン溶剤とだけ併用するのが望ましい。オゾンを石油留出物又は炭化水素溶剤と併用するのは望ましくない。その酸化特性により、オゾンは炭化水素構造を変えてしまうことがあり、結果として引加点を下げ、危険な状態を生み出しかねない。対照的に、出願人は、D5のようなシロキサン溶剤が、溶剤構造の変化を経験することなくオゾンをうまく運ぶことを発見した。
【0024】
図1に示されているように、例示のシステム10が、クリーニングすべき物品を受け取る1つのクリーニングバスケット12と、シロキサンクリーニング溶剤を収容する1つ以上のタンク14を備えている。システム10は、更に、クリーニングバスケット12とタンク14の間に置かれた1つのポンプ16を備えている。ポンプ16は、シロキサン溶剤をタンク14からクリーニングバスケット12に送入することによって物品を溶剤中に浸漬する働きをする。一実施例では、2つ以上のポンプを使用してよい。システム10はまた、乾燥用空気システム18を備えている。一実施例において、システムは、ファン、加熱用コイル、凝縮用コイル及びリント布フィルタを有している。他の実施例において、空気システム18は、クリーニングバスケット12に関して遠隔に位置し、乾燥のための転送システムとして働く。これら他の実施例は、特に天然素材の衣服及び織物のクリーニングに有用である。
【0025】
システム10は、更に、シロキサン溶剤を再生するための濾過システム20を備えている。濾過性能は、国際ファブリケア研究所会報No.608“Pipers, Filter Pressure, and Flow Rate”及びパーカー・ハニフィン社編“Filtration Technology”(1995年)の中で述べられた通り、選択されるフィルタのタイプ、フィルタ圧力及び溶剤流速を含めて幾つかの変数に左右される。これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。相異なるフィルタ及び/又は濾過システムが相異なる性能を示してよい。また、国際ファブリケア研究所会報No.652技術実用情報“Disc Filtration Performance Data”において指摘された通り、コート・フィルタが無コート・フィルタと異なる性能を示してよい。これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。
【0026】
濾過を行うため、国際ファブリケア研究所からのインダストリーフォーカスNo.1“Filter Mediums”(1995年3月)の中で述べられたようなフィルタのどれも使用してよい。これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。特に、2000年7月11日に付与された発明の名称「シロキサン溶剤を含めてドライクリーニングプロセスにおいて水を抽出するシステム及び方法」の米国特許第6086635号公報の中で述べられた通り、カートリッジフィルタをシロキサン溶剤再生のために使用することができる。これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。このカートリッジフィルタの使用により、クリーニングの質を維持しながら廃物流の減量が達成できる。
【0027】
しかしながら、ディスクフィルタも本発明では有用である。特に、本発明で有用なディスクフィルタの非限定的な例として、スピンディスクフィルタ、チューブラフィルタ、フレックスチューブラフィルタなどが挙げられる。一実施例では、国際ファブリケア研究所会報No.620“Disc Filtration”の中で述べられたようなスピンディスクフィルタを使用する。これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。一実施例では、30〜35ミクロンのスピンディスクフィルタを使用する。代替の実施例では、60ミクロンのスピンディスクフィルタを使用する。これら例示のスピンディスクフィルタは各々、白土又はパウダを含みうる濾過媒質を支持するための基礎として働く隔膜を有する。隔膜は、溶剤を通過させることのできる幾つかの開口を備えている。しかしながら、懸濁した不純物はこの隔膜の開口より大きいので、開口を通過しない。60ミクロン・フィルタは、好ましくは、下で述べる通りプリコートが施されている。この実施例では、濾過媒質プリコートがフィルタ隔膜の比較的大きい開口に架かり、懸濁した不純物を捕える。
【0028】
30〜35ミクロン・フィルタも、本発明のシロキサン溶剤と併用できるようにプリコートを施すことができる。シロキサン溶剤の小さい表面張力により、フィルタ通過流速を著しく下げることなく30〜35ミクロン・フィルタにプリコートを施すことができる。対照的に、プリコートを施した30〜35ミクロン・フィルタを伝統的な溶剤と効果的に併用することはできない。このような溶剤が30〜35ミクロン・フィルタを通過する時の流速はひどく低い。
【0029】
スピンディスクフィルタにプリコートを施すために、一実施例では、濾過媒質の細粒を使用する。図2に示した通り、この細粒30がフィルタ隔膜34の開口32に架かり、溶剤が通過する比較的小さい開口を作る。溶剤が濾過媒質と隔膜34を通過する時、溶剤中に懸濁した不純物は濾過媒質に捕えられる。一実施例において、濾過媒質は、フィルタ表面積平方メートル当たり約0.2kgから約4.9kgまで(平方フィート当たり約0.04ポンドから約1ポンドまで)の範囲内の量で使用される。
【0030】
一実施例において、濾過媒質は白土及び/又はパウダを含んでよい。白土及び/又はパウダの中には、他の溶剤を使用するドライクリーニングプロセスで使用されたものが幾種類かあるが、これら白土及び/又はパウダは、本発明で使用されるシロキサン溶剤と一緒では有用でないかもしれない。出願人は、そのpHレベルのゆえに、これら白土が長期間シロキサン溶剤にさらされた時に凝固又は低分子化するかもしれないことを発見した。これら白土のpHレベルは、PERC又は石油留出物など他の溶剤と併用された時の白土の有用性に影響しない反面、シロキサン溶剤と併用された時の白土の有用性を完璧に打ち消してしまう。しかしながら、出願人は、中性に近いpHレベルを持つ特定の白土が、凝固又は低分子化することなくシロキサン溶剤と併用できることを発見した。これら白土はシロキサン溶剤と両立でき、長期間シロキサンにさらされた時に凝固及び/又は低分子化しない。
【0031】
本発明の別の実施例では、シロキサン溶剤と両立できるどんな濾過媒質も使用してよい。そのような好適な濾過媒質の1つは、約300g/l〜約700g/lの範囲内のかさ密度、及び、約5〜約8の範囲内のpHを有する。この濾過媒質は、極性不純物、染料及び他の不純物、例えば脂肪酸、脂肪、油などに対して親和力を呈する高活性漂白土を備えてもよい。例示の濾過媒質はシリコーン系白土を含む。
【0032】
好適な濾過媒質の非限定的な例として、ゼオライト及びポリスチレンビーズが挙げられる。ゼオライトは、開放結晶構造を持つ水和アルミノケイ酸塩である。このゼオライトは、シロキサンドライクリーニング溶剤中に懸濁してよい程度の粒度を持つ粒子を効果的に吸収する。ポリスチレンビーズも、シロキサン溶剤との併用にとって効果的な濾過媒質である。このポリスチレンビーズの粒度は、フィルタ隔膜の孔の大きさに相対して、ビーズを有用な濾過媒質にする程度である。
【0033】
他の例示の濾過媒質には活性化白土が含まれる。このような白土は、代表的には、白土の中にルイス酸サイトを作る酸を使って活性化させられる。そのルイス酸サイトは、長期間シロキサン溶剤にさらされた時の白土の低分子化に大きく影響する。この低分子化の現象のゆえに、システムのスイッチを切った後、又は、フィルタを再生しようとする時、活性化した白土を溶剤と共にシステム内に放置しないのが望ましい。この理由から、フィルタが再生可の状態にある時、シロキサン溶剤を収容する容器を空にし、白土が溶剤にさらされるのを最小限に抑える。
【0034】
別のフィルタ・プリコートは、珪藻土パウダと別の白土との混合物を含んでよい。珪藻土は、George P. Fulton著“Diatomaceous Earth Filtration for Safe Drinking Water”(米国土木技師協会、2000年)の中で指摘された通り、それ自体が良質の濾過粉末である。これに言及することによりその全体の内容を参考としてここに組み入れる。しかしながら、この珪藻土と別の白土との混合物は、改善された吸水結果と改善されたクリーニング結果をもたらす。一実施例では、このような混合物を使用する時、白土対珪藻土パウダの重量比は約1:1から約1:4までの範囲にわたる。プリコートのために使用される混合物の総量は、フィルタ表面積平方メートル当たり約0.2kgから約4.9kgまで(平方フィート当たり約0.04ポンドから約1ポンドまで)の範囲にわたる。
【0035】
一実施例では、すべてのカーボンカートリッジフィルタを収納する単一のフィルタハウジングをプリコート・フィルタに加えて使用してよい。この実施例では、溶剤は、プリコート・フィルタを通過した後にカーボンカートリッジフィルタを通過する。溶剤を追加のカーボンカートリッジフィルタにさらすのは、多量の染料を吸収するためである。
【0036】
多数回のクリーニングサイクルの後、又は、大量のクリーニングの後、プリコート・フィルタを再生してよい。他のドライクリーニング溶剤を使用する時、再生の決定は、伝統的にフィルタ圧力及び/又はクリーニング後の溶剤の色に基づいてなされてきた。しかしながら、他のドライクリーニング溶剤と異なり、シロキサン溶剤は小さい表面張力を有し、可溶化された染料に対してさほど攻撃的でない。それゆえ、シロキサン溶剤がクリーニング中に著しく着色されることはなく、フィルタ圧力が著しく増大すすることもないので、流速は低下しない。従って、シロキサン溶剤を使用する時、フィルタ再生の決定は、クリーニングされた物品の重量に基づいて下してよい。
【0037】
しかしながら、上で述べた通り、活性化白土のプリコートをシロキサン溶剤に長期間さらすことを避けるのが望ましい。白土をシロキサン溶剤に長期間さらすと、凝固及び/又は低分子化が生じるかもしれない。この低分子化及び/又は凝固は、ドライクリーニング装置を損傷しかねない。この事態が起こるのを防ぐため、使用済みの溶剤、及び、使用済みの白土及び/又はパウダを長期運転休止の前にフィルタハウジングから排出するのが望ましい。
【0038】
プリコート・ディスクフィルタの再生は、伝統的に密閉容器又は蒸留器の中に排出された使用済みのプリコートを遠心分離するためにディスクを高速回転させることを含んでいた。蒸留器の中に集められた途端、不純物を含む溶剤と使用済みのプリコートは蒸留され、そこで不純物は除去され、溶剤は将来の使用に向けて再生される。
【0039】
密閉容器が歴史的に要求されてきたのは、使用されたクリーニング溶剤の清澄化のためである。PERC、石油留出物及び炭化水素のドライクリーニング溶剤が、揮発性有機化合物(“VOC”)、有害大気汚染物(“HAP”)又は有毒大気汚染物(“TAC”)のいずれかに分類される。このような分類により、溶剤の使用後に生じる廃物の処分が厳しく規制されている。この規制が、ディスクフィルタからの排出物を集める密閉容器の使用を要求している。
【0040】
しかしながら、シロキサン溶剤は、VOC、HAP又はTACのいずれにも分類されない。それゆえ、使用済みのプリコートを密閉容器の中に排出する必要がない。代わりに、溶剤を通すが、粒状物質を引き留めることのできる布バッグなどの濾過エレメントを内蔵する非密閉の容器の中に廃物を集めることができる。
【0041】
しかも、上で述べた通り、シロキサン溶剤は不純物を可溶化しない。むしろ、シロキサン溶剤は不純物を懸濁させ、これが後に濾過により除去されることになる。
【0042】
使用において、一実施例では、ディスクフィルタは先ず、表面積平方メートル当たり約0.2kgから約4.9kgまで(平方フィート当たり約0.04ポンドから約1ポンドまで)の量の濾過媒質をクリーニングバスケットの中に入れ、シロキサン溶剤をバスケットに送入することによってプリコートを施される。濾過媒質がクリーニングバスケットの底にある開口を通過するのを防ぐために、布バッグをバスケットの底に置いてよい。布バッグは、下で述べる通り容器から取り外され、より詳細に下で述べる通り引き出される布バッグであってよい。次に、溶剤/濾過媒質混合剤は、物品が溶剤中に浸漬された途端にバスケットを回転させることによって攪拌される。
【0043】
溶剤/濾過媒質混合剤は次に、フィルタハウジングに送入され、溶剤は、ほぼ清澄になるまで、クリーニングバスケットとフィルタハウジングの間を循環させられる。溶剤がフィルタを通過するにつれて、濾過媒質はディスクフィルタの上に沈降し、プリコート・フィルタを作る。
【0044】
図3は、ディスクフィルタを再生するプロセスの一例を示す。多数回のクリーニングの後のフィルタを再生するためには、ディスクフィルタを遠心分離機にかけ、濾過された不純物を含む蓄積された白土/パウダを除去する。除去された溶剤、白土及び不純物を次に、布バッグなどの濾過媒質を備えうる容器の中に入れ、そこで白土と不純物を捕集する一方、溶剤を通過させる。通過した溶剤を次に再使用に向けてタンク内に戻す。このプロセスは、残留する白土又はパウダを残らずディスクフィルタから除去するために必要なだけ繰り返すことができる。
【0045】
排出された物質が容器内の布バッグの中に移った途端、使用済みの白土又はパウダが入ったバッグの口を締め、クリーニングバスケット内に戻し、これで、溶剤がほとんど損失なしに抽出できるようにする。溶剤はそこで、クリーニングバスケットの遠心分離機によって抽出される。遠心分離の後、パウダは布バックから掃き出され、当地規則に従って廃棄される。
【0046】
フィルタの再生の前、又は、システムを長期間運転休止にしようとする時は、濾過媒質がシロキサン溶剤に長期間さらされるのを防ぐために溶剤をシステムから除去するのが望ましい。そのため、一実施例では、フィルタがスイッチオフ状態にある時、又はフィルタ圧力下にない時、溶剤と濾過媒質は、おおむね図1に示した通り、フィルタハウジングからデカンタ21へと流れていく。デカンタ21は、濾過媒質を捕えるが、溶剤を通過させる布バッグなどの濾過エレメントを含んでよい。溶剤と濾過媒質が濾過エレメントを通過した途端、濾過媒質を捕えた布バッグはデカンタ21から取り外される。
【0047】
同様に、フィルタが再生可の状態にある時、フィルタハウジングからの溶剤はクリーニングバスケットに向かわされる。フィルタハウジングは、同じくクリーニングバスケットに向かうベントラインを含む。この構成により、溶剤は、フィルタハウジングからクリーニングバスケットへと移動させられ、そこでフィルタを通過してから貯蔵タンクの中に貯蔵される。貯蔵タンクの中に貯蔵された溶剤から可能な限り多くの濾過媒質を除去することにより、この構成は、濾過媒質のシロキサン溶剤との接触を最小限に抑える。
【0048】
図4は、再生フィルタを使って物品をクリーニングするプロセスの一例を示す。上で述べた通り再生されたフィルタを使って物品をクリーニングするためには、物品を先ずクリーニングバスケットに入れる。次に、シロキサン溶剤をクリーニングバスケットに送入し、このクリーニングバスケットの中の溶剤に洗剤を加えてよい。次に、クリーニングバスケットの中で溶剤/洗剤混合剤を循環させることによって粉砕する。この粉砕により、洗剤は、クリーニング中の物品の中の親水性不純物に付着させられる。粉砕プロセスの間、洗剤をクリーニング中の物品の中の親水性不純物に付着させるために溶剤/洗剤混合剤は濾過されない。混合剤が粉砕されるにつれて、物品中の不純物は溶剤中に懸濁させられる。粉砕は、洗剤メーカーの推奨により決められた時間、続行される。しかしながら、代表的な粉砕時間は約2分から約8分までのである。
【0049】
溶剤/洗剤混合剤の粉砕と不純物の懸濁の後、洗浄サイクルが始まり、不純物が懸濁した溶剤/洗剤混合剤はフィルタに通され、そこで濾過され、粒状物と不純物が除去される。その後、溶剤はタンクに戻される。次に、クリーニングバスケットが遠心分離機にかけられ、クリーニング中の物品から可能な限り多くの溶剤が除去される。
【0050】
一実施例では、クリーニングバスケットを遠心分離機にかけた後、物品を約54°C(約130°F)〜約76°C(約168°F)の温度(バスケットからの出口空気で測定)で乾燥させる。乾燥中、溶剤を清澄化と仕上げ(polishing)のためにタンクからフィルタを通して循環させる。仕上げとは、溶剤を再使用に向けて清浄するプロセスを言い、溶剤を貯蔵タンクからフィルタに送入し、再び貯蔵タンクに戻すことを含む。このプロセスで不純物が溶剤から除去される。清澄化と仕上げは、乾燥プロセスが完了するまで続いてよい。乾燥プロセスはクリーニングサイクルの中で最も長いプロセスであるから、溶剤は相当の時間、清澄化のためにフィルタハウジングにさらされることになる。
【0051】
フィルタハウジングとタンクを通して循環させるのに加えて、溶剤は、カートリッジフィルタのようなセパレート型フィルタを通して循環させてもよい。上で指摘した通り、カートリッジハウジングは特に染料を除去するのに有用である。
【0052】
乾燥が完了した後、クリーニングされた乾燥後の物品は、クリーニングバスケットから取り出される前に冷却される。一実施例では、物品を約27°C(約80°F)〜約46°C(約115°F)の温度に冷却する。物品の冷却は、物品がしわになるのを防止する。
【0053】
図5は、再生フィルタを使って物品をクリーニングするプロセスの別の例を示す。先ず、物品をクリーニングバスケットに入れる。次に、シロキサン溶剤をクリーニングバスケットに送入し、このクリーニングバスケットの中の溶剤に洗剤を加える。次に、機械全体を密閉し、閉じられた環境を作る。溶剤/洗剤混合剤をポンプでクリーニングバスケットに出し入れすることによって粉砕する一方、少量の不活性ガス及び/又は酸化ガスを機械に注入する。好ましくは、不活性ガス及び/又は酸化ガスを溶剤流に注入する。クリーニングサイクル中のこの段階でのガス投入は、不純物懸濁を改善し、有臭不純物の除去を促進する。
【0054】
溶剤/洗剤混合剤の攪拌と不純物の懸濁の間に、不純物の除去に向けて溶剤/洗剤混合剤をポンプでフィルタの中に通すことができる。溶剤は、排出後にタンクに戻される。次に、不活性ガス及び/又は酸化ガスの注入を終了させ、クリーニングバスケットを遠心分離機にかけ、可能な限り多くの溶剤を取り出す。
【0055】
一実施例では、クリーニングバスケットを遠心分離機にかけた後、物品を約54°C(約130°F)〜約76°C(約168°F)の温度(バスケットからの出口空気で測定)で乾燥させる。乾燥中、溶剤を再生と仕上げのためにタンクからフィルタを通して循環させる。このプロセスは、乾燥プロセスが完了するまで繰り返してよい。乾燥プロセスはクリーニングサイクルの中で最も長いプロセスであるから、溶剤は相当の時間、再生のためにフィルタハウジングにさらされることになる。
【0056】
一実施例では、フィルタハウジングとタンクを通して循環させるのに加えて、溶剤は、カートリッジフィルタのようなセパレート型フィルタを通して循環させてもよい。上で指摘した通り、カートリッジハウジングは特に染料を除去するのに有用である。但し、このカートリッジフィルタを通して溶剤を循環させる工程はオプションであると理解されたい。あるいは代わりに、溶剤と濾過媒質がカートリッジフィルタを通過するのを防ぐためにカートリッジフィルタを迂回させる機構を設けてもよい。このようなシステムは、スピンディスクフィルタにプリコートを施す間に有用である。この場合、溶剤はカートリッジフィルタを迂回するので、濾過媒質がカートリッジフィルタの中で増勢することはない。
【0057】
乾燥が完了した後、クリーニングされた乾燥後の物品は、クリーニングバスケットから取り出される前に冷却される。一実施例では、物品を約27°C(約80°F)〜約46°C(約115°F)の温度に冷却する。物品の冷却は、物品がしわになるのを防止する。
【0058】
以上、本発明を現に好ましい実施例に則して説明した。本発明が関係するであろう技術に精通した当業者であれば、述べた構造の代替及び変更が、本発明の原理、主旨及び範囲から有意に逸脱することなく実践し得ることは容易に理解されよう。例えば、フィルタは、ディスクフィルタ以外の、再生可能なタイプのフィルタであってよい。従って、上の記述は、添付図面に則して説明し、図解した精確な実施例にだけ関係するものとして読むのでなく、むしろ、本発明の範囲を最も完全かつ最も公正にカバーする下記請求項と一致し、それをサポートするものとして読まれたい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施例に係るドライクリーニングシステムの概観図である。
【図2】本発明の一実施例に係るプリコート・スピンディスクフィルタの拡大横断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係る溶剤再生プロセスの概観図である。
【図4】本発明の一実施例に係る物品クリーニングプロセスの概観図である。
【図5】本発明の代替実施例に係る物品クリーニングプロセスの概観図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品ドライクリーニングのためのシステムにおいて、
1つ以上の物品を収容するのに適した第1の容器と、
一定体積のシロキサン溶剤を収容するのに適した少なくとも1つの第2の容器と、
前記シロキサン溶剤を濾過するための、濾過媒質でコートを施された少なくとも1つの再生フィルタと、
前記第1の容器、前記少なくとも1つの第2の容器、及び、前記少なくとも1つのフィルタに結合したポンプとを備え、
前記ポンプが、前記量のシロキサン溶剤を前記少なくとも1つの第2の容器から前記第1の容器に、また、前記第1の容器から前記少なくとも1つの第2の容器に送入するのに適しており、前記ポンプが、前記量のシロキサン溶剤を前記第1の容器から前記少なくとも1つのフィルタに送入するのにも適しているシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのフィルタは、ディスクフィルタ、カートリッジフィルタ及びフレックスチューブラフィルタからなるグループの中から選択されている請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ディスクフィルタは、スピンディスクフィルタ、チューブラフィルタ及びフレックスチューブラフィルタからなるグループの中から選択されているディスクフィルタである請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記少なくとも1つのフィルタが、サイズ約30ミクロン〜約35ミクロンの範囲内のスピンディスクフィルタである請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つのフィルタが、サイズ約60ミクロンのスピンディスクフィルタである請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記濾過媒質が、約300〜約700g/lの範囲内のかさ密度、及び、約5〜約8の範囲内のpHを有する物質である請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記濾過媒質が、ポリスチレンビーズ及びシリコーン系白土からなるグループの中から選択されている物質である請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記濾過媒質が、ゼオライト及びポリスチレンビーズからなるグループの中から選択されている物質である請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記濾過媒質が珪藻土と別のパウダとの混合物からなる請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記珪藻土対前記パウダの重量比が約1:1から約1:4までの範囲にわたる請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記少なくとも1つのフィルタのコートのために使用される前記濾過媒質の量は、フィルタ表面積平方メートル当たり約0.2kgから約4.9kgまで(平方フィート当たり約0.04ポンドから約1ポンドまで)の範囲にわたっている請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
物品ドライクリーニングのための方法において、
少なくとも1つのフィルタに濾過媒質を施す工程と、
前記物品を第1の容器に入れる段階と、
一定体積のシロキサン溶剤を少なくとも1つの第2の容器に入れる段階と、
不純物が懸濁した溶剤を少なくとも1つのフィルタの中に通し、不純物を除去する段階とを備えている、方法。
【請求項13】
前記第1の容器内でシロキサン溶剤を循環させることによってシロキサン溶剤を粉砕し、シロキサン溶剤中の物品から不純物を懸濁させる段階をさらに備えている請求項12に記載の方法。
【請求項14】
洗剤を前記シロキサン溶剤に投入する段階をさらに備えている請求項12に記載の方法。
【請求項15】
前記粉砕は約2分〜約8分の時間行われる請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記溶剤を前記少なくとも1つのフィルタに通過させた後、前記少なくとも1つの第2の容器に排出する段階をさらに備えている請求項12に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の容器の中の前記物品から前記溶剤を除去し、前記物品を乾燥させる段階をさらに備えている請求項16に記載の方法。
【請求項18】
ガスを前記シロキサン溶剤に投入する工程をさらに備えている、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
前記ガスが前記シロキサン溶剤中の不純物の懸濁を増進させ、臭気の除去を促進する、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ガスの投入によって増した圧力を和らげる段階をさらに備えている請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記ガスが、不活性ガス、酸化ガス及びその混合気からなるグループの中から選択されている、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記ガスが、二酸化炭素、窒素及びその混合気からなるグループの中から選択されている、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記酸化ガスはオゾンである請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記溶剤を前記フィルタ媒質でコートされたフィルタに通過させた後、前記少なくとも1つの第2の容器に前記不純物を含む前記溶剤を排出する段階をさらに備えている請求項12に記載の方法。
【請求項25】
物品のクリーニングに使用された濾過媒質を含むフィルタを再生する方法において、
前記フィルタを攪拌し、前記濾過媒質と前記濾過媒質に捕えられた不純物とを除去する工程と、
物品のクリーニングの間に使用されたシロキサン溶剤、濾過媒質及び不純物を、濾過媒質と不純物を捕集するが、溶剤を通過させる濾過エレメントの中に通す工程と、
前記濾過エレメントを通過した溶剤を再使用に向けて集める工程とを備えている方法。
【請求項26】
前記フィルタは、スピンディスクフィルタを備え、前記フィルタ媒質は、前記スピンディスクフィルタを回転させることによって除去される請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記フィルタは、チューブラフィルタを備え、前記フィルタ媒質は、バックフラッシュによって除去される請求項25に記載の方法。
【請求項28】
前記濾過エレメントは布バッグを備えている請求項25に記載の方法。
【請求項29】
前記濾過エレメント内に収集されている前記濾過媒質から溶剤を抽出する段階と、前記抽出された溶剤を再利用のために収集する段階とをさらに備えている請求項25に記載の方法。
【請求項30】
前記シロキサン溶剤は、水和のシロキサン溶剤を備えている請求項12に記載の方法。
【請求項31】
一定体積の水を前記一定体積のシロキサン溶剤へ投入する段階をさらに備えている請求項12に記載の方法。
【請求項32】
水及び洗剤を前記シロキサン溶剤へ投入する段階をさらに備えている請求項12に記載の方法。
【請求項33】
ドライクリーニングシステムに使用できるようにフィルタにプリコートを施すための方法において、
特定量の濾過媒質を第1の容器に入れる工程と、
シロキサン溶剤を前記第1の容器に入れる工程と、
前記シロキサン溶剤と濾過媒質をフィルタに送入し、これにより、シロキサン溶剤がフィルタを通過し、コーティング材料がフィルタをプリコートする工程とを備えている方法。
【請求項34】
前記フィルタは、プリコートされるまで空である請求項33に記載の方法。
【請求項35】
物品ドライクリーニングのための方法において、
前記物品を第1の容器に入れる工程と、
一定体積のシロキサン溶剤を少なくとも1つの第2の容器に入れる工程と、
ガスをシロキサン溶剤に投入する工程と、
シロキサン溶剤、濾過媒質及び不純物を、濾過媒質と不純物を捕集するが、溶剤を通過させる濾過エレメントの中に通す工程と、
不純物が懸濁した前記溶剤を少なくとも1つのフィルタの中に通し、不純物を除去する工程とを備えている方法。
【請求項36】
前記第1の容器の中でシロキサン溶剤を循環させ、前記シロキサン溶剤中の物品からの不純物を懸濁させることによって前記シロキサン溶剤を粉砕する工程をさらに備えている、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ガスが前記シロキサン溶剤中の不純物の懸濁を増進させ、臭気の除去を促進する請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記ガスの投入により増大させられた圧力を逃がす工程をさらに備えている請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記ガスが、不活性ガス、酸化ガス及びその混合気からなるグループの中から選択されている請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記不活性ガスは、二酸化炭素、窒素及びこれらの混合気からなるグループの中から選択されている請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記酸化ガスはオゾンである請求項35に記載の方法。
【請求項42】
1つ以上の物品を収容するのに適した第1の容器と、
一定体積のシロキサンを収容するのに適した少なくとも1つの第2の容器と、
再生フィルタとを備えている、物品ドライクリーニングシステム。
【請求項43】
前記フィルタは、前記シロキサン溶剤を十分に濾過することができ、前記シロキサン溶剤を再使用できる請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
蒸留室がない請求項42に記載のシステム。
【請求項45】
クリーニングするべき物品を機械に入れる段階と、
シロキサン成分を含むクリーニング流体内で前記物品を浸す段階と、
前記物品を前記シロキサン成分内で攪拌する段階と、
前記物品から前記シロキサン成分を除去する段階と、
前記除去されたシロキサン成分をフィルタ媒質を有する再生フィルタを通過させる段階とを備えている物品ドライクリーニング方法。
【請求項46】
前記シロキサン成分に洗剤を投入する段階をさらに備えている請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記シロキサン成分にガスを投入する段階をさらに備えている請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記ガスが前記シロキサン溶剤中の不純物の懸濁を増進させ、臭気の除去を促進する、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記不活性ガスは、二酸化炭素、窒素及びこれらの混合気からなるグループの中から選択されている請求項47に記載の方法。
【請求項50】
前記酸化ガスはオゾンである請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記濾過媒質はシリコーン系白土を備えている請求項45に記載の方法。
【請求項52】
前記濾過媒質はゼオライト及びポリスチレンビーズからなるグループの中から選択されている請求項45に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−546481(P2008−546481A)
【公表日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518310(P2008−518310)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/023948
【国際公開番号】WO2007/002063
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(507416285)グリーンアース クリーニング,リミティド ライアビリティ カンパニー (1)
【Fターム(参考)】