説明

物品仕分け設備

【課題】 品種数と仕分け先が多数でも少ない設備・人員で仕分け作業できる省スペースの物品仕分け設備を提供する。
【解決手段】 品種別の物品を投入ステーションへ供給する複列の物品供給棚と、物品供給棚の各取出し間口にピッキング数を表示できるピッキング数表示器と、ピッキング完了時に操作する完了信号入力手段と、投入ステーションに容器を搬送する投入ラインと、投入ライン上の物品投入済みの容器の状態に応じて分岐させる移載装置と、物品投入済みの容器が非満杯でその仕分け先への全投入が未完了の場合に段積みしてコラムを形成する段積み装置と、複数のコラムを貯留するコラム貯留ラインと、コラム貯留ラインから搬出したコラムをバラす段バラシ装置と、バラした容器を投入ラインへ搬送する搬送ラインと、搬送ライン上の容器のうち投入ステーションへ搬送しない容器を送りラインへ搬送するバイパスラインとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等の複数品種の物品を各仕分け先に所定の品種を要求個数分配する物品仕分け設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数品種の物品を各仕分け先に所定の品種を要求個数分配するための技術が特許文献1,2に開示されている。特許文献1は物品棚から所要の物品をピッキングすることを作業者に指示するピッキング表示装置の技術であり、物品棚の各棚小間に配設される互いに異なる記号を付した複数の記号表示札と、取り出し要求のある物品が収納されている棚小間を記号表示札の記号で表示する記号表示手段と、取り出し要求のある物品の数量を表示する数量表示手段と、記号表示手段と数量表示手段の表示の更新を指示する操作手段と、取り出し要求のある物品情報を入力して各物品が収納される棚小間と対応させて操作手段の操作毎に順次記号表示手段と数量表示手段の表示を更新する制御手段を備えたことを特徴としている。特許文献2は物品収納設備の技術であり、複数品種の物品が収納された収納体を保管する保管棚と、ピッキング用間口を備えたピッキング棚と、保管棚の収納体をピッキング棚へ搬送する搬送手段と、保管棚における収納体の保管状態及び出庫情報に基づいて作動させる搬送手段の管理を行う管理手段を備えたことを特徴としている。
【0003】
ところで、前記特許文献1の技術では、品種数の分だけ装置が必要で品種数が多い場合は装置の設置台数が増加し、膨大な設置面積が必要となって多額の設備費がかかる問題があった。また、装置数台につき1人の割合で作業者を配置する必要があるが、品種数が増加するとその分作業者も増えて人件費がかさむ問題もあった。特許文献2の技術では、物品を裸の状態で直接搬送するから傷つき易い物品,壊れ易い物品,サイズが極端に小さい物品は対象外であった。また、仕分け先数の分だけ分岐シュートが必要で仕分け先が多いと分岐シュートの設置台数が増加し、膨大な設置面積が必要となって多額の設備費がかかる問題があった。さらに、分岐シュート数台につき1人の割合で作業者を配置する必要があるが、分岐シュートが増加するとその分作業者も増えて人件費がかさむ問題もあった。
【特許文献1】特開平9−136706号公報
【特許文献2】特開2005−206316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、品種数と仕分け先が多数でも少ない設備・人員で仕分け作業できる低コスト・省スペースの物品仕分け設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 供給される複数品種の物品を各仕分け先の容器に所定の品種を要求個数投入して物品を仕分け先単位に分配する物品仕分け設備であって、
複数品種の物品を品種別にまとめた状態で投入ステーションへ供給する複列の物品供給棚を設け、物品供給棚の各取出し間口に最前列の物品のピッキング数を表示できるピッキング数表示器をそれぞれ設け、ピッキング数表示器の表示個数のピッキングを完了した際に操作によってピッキング完了の信号を発生させる完了信号入力手段を設け、投入ステーションに容器を搬送する投入ラインを設け、投入ライン上の物品投入済みの容器が満杯の場合又は非満杯で且つその仕分け先への全品種全物品の投入が完了している場合にその容器を搬出する搬出ラインを設け、投入ライン上の物品投入済みの容器が非満杯で且つその仕分け先への全品種全物品の投入が未完了の場合にその容器を搬送する送りラインを設け、送りライン上の複数の容器を段積みしてコラムを形成する段積み装置を設け、段積み装置で形成された複数のコラムを一時的に貯留するコラム貯留ラインを設け、段積み装置で形成されたコラムをコラム貯留ラインへ搬入するコラム搬入ラインを設け、コラム貯留ライン上のコラムを搬出するコラム搬出ラインを設け、コラム搬出ライン上のコラムをバラす段バラシ装置を設け、段バラシ装置でバラした容器を投入ラインへ搬送する搬送ラインを設け、搬送ライン上の容器のうち投入ステーションへ搬送しない容器を送りラインへ搬送するバイパスラインを設け、仕分け先別の投入すべき物品の品種・個数の管理、各ピッキング表示器のうちピッキングすべき位置のピッキング表示器にピッキング数を表示させるピッキング数表示器の表示制御、仕分け先の容器とコラムの容器位置の管理、仕分け先別の全品種・全物品の投入完了か否かの判断、各ラインによる容器の移送制御を行う管理コンピュータを設けた、物品仕分け設備
2) コラム搬出ライン上のコラムのうち段バラシ装置でバラさないコラムをコラム搬入ラインへ搬送するコラムバイパスラインを設けた、前記1)記載の物品仕分け設備
3) 投入ラインの始端に空容器を供給する空容器供給装置を設け、管理コンピュータに空容器供給装置の制御機能を備えた、前記1)又は2)記載の物品仕分け設備
4) 完了信号入力手段をピッキング数表示器の近接位置に設けた、前記1)〜3)いずれか記載の物品仕分け設備
5) ピッキング数表示器の表示個数を物品供給棚と同じ配列で表示できる表示盤を投入ステーションに設けた、前記1)〜4)いずれか記載の物品仕分け設備
6) 物品供給棚と投入ステーションを投入ラインに沿って複数組設けた、前記1)〜5)いずれか記載の物品仕分け設備
7) 物品供給棚の物品は品種別に逐次1つ又は複数のケースで所定個数を収容して供給し、ケースに収容された物品の品種と個数を示す識別コードをケース又は複数のケースを段積みしたものに付し、物品供給棚の後方の各間口に物品の補充を指示できる補充指示器をそれぞれ設け、物品供給棚にケースを補充する際に識別コードを読み取って管理コンピュータに送信する識別コード読取り装置を設け、補充を完了した際に操作によって補充完了の信号を発生させる補充完了信号入力手段を設け、識別コードを読み取った際にケースを補充する後方の間口を指示するように補充指示器に表示信号を出力する表示制御を管理コンピュータに備えた、前記1)〜6)いずれか記載の物品仕分け設備
8) 補充指示器が点灯・点滅・消灯するものであって、識別コードを読み取った際に空きがある間口の補充指示器を点灯させる制御と、点灯中のいずれかの補充指示器の補充完了信号入力手段が操作された際にその補充指示器を点滅させるとともに他の補充指示器を消灯させる制御と、点滅中の補充指示器の補充完了信号入力手段が操作された際に消灯させる制御とを管理コンピュータに備えた、前記7)記載の物品仕分け設備
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数品種の物品をまとめた状態で複列の物品供給棚で供給するから、棚数が少なくても多品種の物品を供給することができ、棚やピッキング数表示器を少なくして設備の設置面積や設備費を低減できる。また、物品投入が完了していない容器を段積み装置で段積みしてコラムの状態で一時貯留するようにしたから、狭い面積でも必要十分な能力の設備を低コストで構築することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明では、コラム搬出ライン上のコラムのうち段バラシ装置でバラさないコラムをコラム搬入ラインへ搬送するコラムバイパスラインを設けると、コラムの中に物品投入すべき容器が無い場合にバラすことなくコラムごとバイパスさせることができて効率が良い。空容器は投入ラインの始端に空容器供給装置を設けて管理コンピュータで空容器供給装置を制御するのが一般的であるが、作業者が管理コンピュータの指示で直接投入ステーションに置いてもよい。ピッキング数表示器の表示個数を物品供給棚と同じ配列で表示できる表示盤を投入ステーションに設けると、投入の完了が確認し易くなる。完了信号入力手段はピッキング数表示器の近接位置に設けるのが一般的であるが、投入ステーションの表示盤に設けてもよい。物品供給棚と投入ステーションは仕分け先数や物品の品種数に応じて投入ラインに沿って複数組設けられる。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜9に示す実施例は、品種別にまとめた状態で工場から供給されてくるクリームパン・食パン等の種々のパン製品を仕分け先である小売店舗別の容器に所定の品種を要求個数投入して分配する物品仕分け設備の例である。図1は実施例の物品仕分け設備のレイアウト図、図2は実施例の投入ステーションと物品供給棚の説明図、図3は実施例のピッキング数表示器の説明図、図4は実施例の補充指示器の説明図、図5は実施例の表示盤の説明図、図6は実施例のデータベースの説明図、図7〜9は実施例のフローである。
【0009】
図中、1は第1投入ステーション、2は第2投入ステーション、3は物品供給棚、3aは棚、3bは支柱、3cはケース、3dは識別コード、3eは台車、4はピッキング数表示器、4aは表示パネル、4bはリセットボタン、4cは補充指示器、4dはリセットボタン、4eは識別コード読取り装置、5は表示盤、5aは仕分け先名表示パネル、5bは品種名表示パネル、5cは個数表示パネル、6は投入ライン、7は投入ライン発進ボタン、8は搬出ライン、9は送りライン、10は移載装置、11は段積み装置、12はコラム搬入ライン、13は移載装置、14はコラム貯留ライン、15はコラム搬出ライン、16はコラムバイパスライン、17は移載装置、18は段バラシ装置、19は搬送ライン、20はバイパスライン、21は移載装置、22は空容器供給装置、23は移載装置、24は管理コンピュータ、25はデータベース、25aは店舗別投入個数データベース、25bは容器投入可能個数データベース、25cはコラムデータベース、Cはコラム、Hは作業者、mは物品、Tは空容器、Taは満杯容器、Tbは非満杯容器である。
【0010】
本実施例の物品仕分け設備は、図1に示すように複数品種の物品mをまとめた状態で供給する複列の物品供給棚3を第1及び第2投入ステーション1,2にそれぞれ設け、物品供給棚3の各取出し間口に最前列の物品mのピッキング数を表示するピッキング数表示器4をそれぞれ設け、後方の各間口に物品mの補充を指示する補充指示器4cをそれぞれ設けている。物品供給棚3は3段の棚3aを支柱3bで支持し、取出し間口側が下流となるように傾斜させて流動棚にしている。物品mはケース3cに品種別に複数収容し、各棚3aに4列ずつ配置して12間口となるようにし、これを第1及び第2投入ステーション1,2それぞれに配設して24間口に構成している。ケース3cの側面には収容した物品mの品種と個数を示す識別コード3dが表記され、識別コード3dを読み取る識別コード読取り装置4eを管理コンピュータ24に接続している。ケース3cは台車3eに複数段積みした状態で供給し、台車3eに段積みされる複数ケース3cの物品mが全て同じ品種である場合は識別コード3dを1つのケース3cに表記し、その個数情報はその台車3e上の全てのケース3cに収容されている物品mの総個数を示している。ピッキング数表示器4は、その間口の物品mのピッキング数をデジタル表示する表示パネル4aとその表示個数のピッキングを完了した際に操作によってピッキング完了の信号を発生させる完了信号入力手段であるリセットボタン4bを備えている。補充指示器4cは補充指示を示すランプと補充完了信号入力手段であるリセットボタン4dを備え、識別コード3dを読み取った際にケース3cを補充できる間口の補充指示器4cを点灯し、点灯中のいずれかの補充指示器4cのリセットボタン4dの操作でケース3cを補充する間口が決定した際にその補充指示器4cを点滅するとともに他の補充指示器4cを消灯し、点滅中の補充指示器4cのリセットボタン4dの操作でケース3cの投入が完了した際に消灯するように表示制御される。また、第1及び第2投入ステーション1,2には図5に示す表示盤5を設けており、表示盤5には仕分け先である店舗名を表示する仕分け先名表示パネル5aと、物品mの品種名を表示する品種名表示パネル5bと個数表示パネル5cを物品供給棚3の取出し間口と同じ配列で配置している。
【0011】
物品供給棚3の取出し間口の前方には容器を第1及び第2投入ステーション1,2へ搬送するローラコンベヤからなる投入ライン6を設け、一時停止中の投入ライン6を発進させる投入ライン発進ボタン7を第1及び第2投入ステーション1,2にそれぞれ設け、投入ライン6の終端にローラコンベヤからなる搬出ライン8と送りライン9をそれぞれ反対向きに設け、投入ライン6で搬送された容器を搬出ライン8又は送りライン9へ分岐させる移載装置10を設け、送りライン9の終端に容器を上方へ段積みしてコラムCを形成する段積み装置11を設け、段積み装置11で形成された複数のコラムCを一時的に貯留するローラコンベヤからなるコラム貯留ライン14を2列設け、段積み装置11で形成されたコラムCをコラム貯留ライン14へ搬入するローラコンベヤからなるコラム搬入ライン12を設け、コラム貯留ライン14の終端にコラムCを搬出するローラコンベヤからなるコラム搬出ライン15を設け、コラム搬出ライン15上のコラムCをコラム搬入ライン12へ搬送するローラコンベヤからなるコラムバイパスライン16を設け、コラム搬出ライン15上のコラムCをコラムバイパスライン16へ分岐させる移載装置17を設け、コラム搬出ライン15の終端にコラムCを単品の容器にバラす段バラシ装置18を設け、バラした容器を投入ライン6へ搬送する搬送ライン19を設け、搬送ライン19上の容器を送りライン9へ直接搬送するバイパスライン20を設け、搬送ライン19上の容器をバイパスライン20へ分岐させる移載装置21を設け、搬送ライン19と反対する方向から空容器Tを投入ライン6へ供給する空容器供給装置22を設けている。
【0012】
管理コンピュータ24には、ピッキング数表示器4・補充指示器4c・識別コード読取り装置4e・表示盤5・投入ライン6・投入ライン発進ボタン7・搬出ライン8・送りライン9・移載装置10・段積み装置11・コラム搬入ライン12・移載装置13・コラム貯留ライン14・コラム搬出ライン15・コラムバイパスライン16・移載装置17・段バラシ装置18・搬送ライン19・バイパスライン20・移載装置21・空容器供給装置22・移載装置23が接続されており、データベース25を参照してピッキング数表示器4・補充指示器4c・表示盤5を表示制御するとともに、各リセットボタン4bで入力された信号に応じてデータベース25を更新し、各ライン・移載装置を所定のタイミングで作動制御するようにプログラムされている。データベース25は、図6に示すように仕分け先である店舗別に投入すべき物品mの品種と個数を管理する店舗別投入個数データベース25aと、各容器への物品mの投入可能個数を管理する容器投入可能個数データベース25bと、コラムCの番号と各コラムCの容器位置を管理するコラムデータベース25cとで構成されている。
【0013】
本実施例の物品mの分配手順を図7〜9のフローに基づいて説明する。物品供給棚3の後方の作業者Hがケース3cの識別コード3dを識別コード読取り装置4eで読み取ると、物品供給棚3の各補充指示器4cのランプがそれぞれ点灯して投入する間口の選択を待つ状態となる。作業者Hが補充する間口を任意に決めてその補充指示器4cのリセットボタン4dを押すと、その補充指示器4cのランプが点滅するとともに他の補充指示器4cのランプが消灯して投入する間口が決定される。作業者Hが識別コード3dを読み取ったケース3cを点滅中の間口に投入すると傾斜により取出し間口へ流れ、その列に空きが無くなるまで同じ品種のケース3cを前詰めしながら投入する。投入が完了するとその間口のリセットボタン4dを再度押してランプが消灯する。ケース3cが全部入らない場合は物品供給棚3の後方に一時仮置きしておく。これを繰り返して各棚3aの列に異なる品種のケース3cがそれぞれ配置され、その配置情報が管理コンピュータ24に記憶される。
【0014】
物品供給棚3の取出し間口には4列3段で12品種(2箇所の投入ステーションで24品種)の物品mがピッキング可能の状態に配置されている。管理コンピュータ24は投入ライン6と空容器供給装置22を作動させ、空容器供給装置22から空容器Tを送り出して移載装置23で投入ライン6へ移載し、第1投入ステーション1へ搬送されると投入ライン6を停止させる。各ピッキング数表示器4の表示パネル4aには最初の店舗に投入すべき物品mのピッキング数が店舗別投入個数データベース25aに基づいて表示され、ピッキング待ちの状態となる。その店舗に投入しない物品mが供給されている棚3aのピッキング数表示器4は消灯する。表示盤5には現在の仕分け先である店舗名と品種別のピッキング数が各ピッキング数表示器4と同期して表示される。
【0015】
作業者Hは、ピッキング数表示器4の表示に応じてその表示に対応する棚3aの列のケース3c内の物品mを表示個数ピッキングして停止中の空容器Tに投入し、表示個数のピッキングが完了するとそのピッキング数表示器4のリセットボタン4bを押す。このリセットボタン4bの操作により管理コンピュータ24は表示パネル4aと表示盤5の該当する個数表示パネル5cを消灯して店舗別投入個数データベース25aの投入済個数の欄を更新するとともに、投入した物品mの容積率を計算して容器投入可能個数データベース25bのその容器の投入可能個数の欄を更新する。作業者Hはさらに他のピッキング数表示器4に表示されている列の物品mを投入してリセットボタン4bを押していき、全ての表示パネル4aが消灯したことを各ピッキング数表示器4又は表示盤5で確認した後に投入ライン発進ボタン7を押す。この投入ライン発進ボタン7の操作により管理コンピュータ24はピッキング数表示器4の表示が全て消灯していることを条件に投入ライン6を作動させて容器を隣接する第2投入ステーション2へ搬送する。
【0016】
第2投入ステーション2へ搬送した容器に対し、その物品供給棚3の最前列の物品mにピッキングすべき物品mが含まれている場合は投入ライン6を停止して第2投入ステーション2の作業者Hが前記と同様の作業を行い、ピッキングすべき物品mが含まれていない場合は通過させる。通過時はピッキング数表示器4や表示盤5は点灯しない。第1投入ステーション1へは次の空容器Tが搬送され、作業者Hが前記と同様の作業を行う。第1及び第2投入ステーション1,2を通過した容器は移載装置10に搬送され、管理コンピュータ24は容器投入可能個数データベース25bを参照してその容器の投入可能個数がゼロの場合は満杯容器Taと判断して搬出ライン8へ移載装置10で分岐し、投入可能個数がゼロでなく且つその店舗への投入すべき物品mが残っている場合は非満杯容器Tbと判断して送りライン9へ移載装置10で分岐し、投入可能個数はゼロではないがその店舗への全品種全物品の投入が完了している場合は搬出ライン8へ移載装置10で分岐する。搬出ライン8へ分岐された満杯容器Tb,完了した容器は一時貯留又は出荷される。
【0017】
送りライン9に分岐された非満杯容器Tbは段積み装置11で段積みする。後続の非満杯容器Tbが次々と搬送されて段積みされていき、最高20段に段積みしてコラムCが形成される。管理コンピュータ24はこのコラムCに01,02,03・・・と番号を付すとともに、各コラムCの非満杯容器Tbの上下位置をコラムデータベース25cに記録する。最初に形成されたコラムC01は、店舗T001〜T020の各非満杯容器Tbが順に段積みされている。20段に形成されたコラムCはコラム搬入ライン12で搬送されて移載装置13でコラム貯留ライン14へ移載して一時貯留される。以上の要領で第1及び第2投入ステーション1,2で物品mを投入していくと、物品供給棚3の最前列のケース3cが空になる。この空のケース3cを作業者Hが取り除くと棚3aが流動棚であるから後続のケース3cが前詰めされ、次のケース3cが最前列に配置されてピッキングできる状態となる。空容器Tは既に非満杯容器Tbが存在している店舗に対しては新規に供給しないものとし、非満杯容器Tbが存在していない店舗についてのみ新規に供給する。
【0018】
物品供給棚3の後方では、ピッキングによるケース3cの減少で列の最後尾に空きが形成される。その列に入らなかった仮置き中のケース3cがある場合はそのケース3cを補充する。仮置き中のケース3cが無い場合又は消化した場合、作業者Hは次品種のケース3cの識別コード3dを識別コード読取り装置4eで読み取ってケース3cを補充できる列の補充指示器4cのランプを点灯させ、点灯中の間口から任意のリセットボタン4dを押して補充する間口を決定し、識別コード3dを読み取った次品種のケース3cを点滅中の間口に前詰めしながら補充する。その列に空きが無くなるまで同じ品種のケース3cを補充して完了し、その間口のリセットボタン4dを再度押してランプを消灯させる。ケース3cを補充できる列が1箇所の場合は直にケース3cを補充し、リセットボタン4dを1回だけ押して補充完了させる。
【0019】
このようにして物品mの投入を繰り返していくと、2列のコラム貯留ライン14に多数のコラムCが交互に貯留されて最前のコラムCが切り出されてコラム搬出ライン15で搬出されてくる。管理コンピュータ24はコラムCの貯留順もコラムデータベース25cで管理している。搬出されたコラムCの各非満杯容器Tbに次に投入する品種の物品mが物品供給棚3の最前列に来ていない場合はコラムCごと移載装置17でコラムバイパスライン16へ分岐し、コラム貯留ライン14の最後尾に戻してコラムデータベース25cのコラムCの貯留順を更新する。コラムCの各非満杯容器Tbに次に投入する品種の物品mが物品供給棚3の最前列に来ている場合は段バラシ装置18でバラして(コラム番号は消去)搬送ライン19で搬送し、バラした非満杯容器Tbのうち物品mを投入しない非満杯容器Tbは移載装置21でバイパスライン20へ分岐し、投入する非満杯容器Tbのみを投入ライン6へ移載装置23で返送する。バイパスライン20に分岐した非満杯容器Tbは送りライン9の非満杯容器Tbと混流し、段積み装置11で段積みされて新たな積み順のコラムCが形成される。管理コンピュータ24は新たな積み順のコラムCに新規の番号を付してコラムデータベース25cに記録する。投入ライン6へ返送された非満杯容器Tbは他の空容器Tと混流しながら第1及び第2投入ステーション1,2へ搬送され、空容器Tと同様に物品mを投入して送り出していく。このようにして、全店舗への全品種全物品の投入が完了するまで繰り返す。
【0020】
以上説明したように、1000の品種に対して従来では1000個のピッキング表示装置が必要であるが、本実施例によれば24個のピッキング数表示器で済み、また500店舗に対してピースソーターでは500の分岐装置が必要であるが、本実施例によれば20段×25で計500店分としてコラム貯留ライン14は僅か2列で済む。従って、多品種の物品を多数の仕分け先へ分配する設備を非常に狭い面積で構築でき、設備費や人件費を大幅に節減することができる。また、作業者の作業は極めて単純であるから将来はロボットに置き換えることも可能である。
【0021】
なお、本実施例では店単位に仕分ける場合について説明したが、店単位に限らず仕分け先単位は何でも良い。本実施例の物品仕分け設備は、配送センター等で外部からベンダーが物品をトラック等で納品するとき即仕分けるスルー型配送センターや、一旦在庫を持ち注文に応じて仕分け出荷する在庫型配送センターや、工場で生産ラインから流れてくる物品を容器に入れて仕分け単位に仕分けるシステムにも応用できる。また、生産ラインからコンベア等で流れてくる直結型に限らず、生産場所(外部の他工場,他メーカー,問屋等も含む)から本実施例の投入ステーション1,2付近までオフラインで運んできて置いても良い。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の物品仕分け設備は、アンパン,クリームパン,食パン等の単品売りの商品を小売店舗別に分配する用途に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】実施例の物品仕分け設備のレイアウト図である。
【図2】実施例の投入ステーションと物品供給棚の説明図である。
【図3】実施例のピッキング数表示器の説明図である。
【図4】実施例の補充指示器の説明図である。
【図5】実施例の表示盤の説明図である。
【図6】実施例のデータベースの説明図である。
【図7】実施例のフローである。
【図8】実施例のフローである。
【図9】実施例のフローである。
【符号の説明】
【0024】
1 第1投入ステーション
2 第2投入ステーション
3 物品供給棚
3a 棚
3b 支柱
3c ケース
3d 識別コード
3e 台車
4 ピッキング数表示器
4a 表示パネル
4b リセットボタン
4c 補充指示器
4d リセットボタン
4e 識別コード読取り装置
5 表示盤
5a 仕分け先名表示パネル
5b 品種名表示パネル
5c 個数表示パネル
6 投入ライン
7 投入ライン発進ボタン
8 搬出ライン
9 送りライン
10 移載装置
11 段積み装置
12 コラム搬入ライン
13 移載装置
14 コラム貯留ライン
15 コラム搬出ライン
16 コラムバイパスライン
17 移載装置
18 段バラシ装置
19 搬送ライン
20 バイパスライン
21 移載装置
22 空容器供給装置
23 移載装置
24 管理コンピュータ
25 データベース
25a 店舗別投入個数データベース
25b 容器投入可能個数データベース
25c コラムデータベース
C コラム
H 作業者
m 物品
T 空容器
Ta 満杯容器
Tb 非満杯容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される複数品種の物品を各仕分け先の容器に所定の品種を要求個数投入して物品を仕分け先単位に分配する物品仕分け設備であって、
複数品種の物品を品種別にまとめた状態で投入ステーションへ供給する複列の物品供給棚を設け、物品供給棚の各取出し間口に最前列の物品のピッキング数を表示できるピッキング数表示器をそれぞれ設け、ピッキング数表示器の表示個数のピッキングを完了した際に操作によってピッキング完了の信号を発生させる完了信号入力手段を設け、投入ステーションに容器を搬送する投入ラインを設け、投入ライン上の物品投入済みの容器が満杯の場合又は非満杯で且つその仕分け先への全品種全物品の投入が完了している場合にその容器を搬出する搬出ラインを設け、投入ライン上の物品投入済みの容器が非満杯で且つその仕分け先への全品種全物品の投入が未完了の場合にその容器を搬送する送りラインを設け、送りライン上の複数の容器を段積みしてコラムを形成する段積み装置を設け、段積み装置で形成された複数のコラムを一時的に貯留するコラム貯留ラインを設け、段積み装置で形成されたコラムをコラム貯留ラインへ搬入するコラム搬入ラインを設け、コラム貯留ライン上のコラムを搬出するコラム搬出ラインを設け、コラム搬出ライン上のコラムをバラす段バラシ装置を設け、段バラシ装置でバラした容器を投入ラインへ搬送する搬送ラインを設け、搬送ライン上の容器のうち投入ステーションへ搬送しない容器を送りラインへ搬送するバイパスラインを設け、仕分け先別の投入すべき物品の品種・個数の管理、各ピッキング表示器のうちピッキングすべき位置のピッキング表示器にピッキング数を表示させるピッキング数表示器の表示制御、仕分け先の容器とコラムの容器位置の管理、仕分け先別の全品種・全物品の投入完了か否かの判断、各ラインによる容器の移送制御を行う管理コンピュータを設けた、物品仕分け設備。
【請求項2】
コラム搬出ライン上のコラムのうち段バラシ装置でバラさないコラムをコラム搬入ラインへ搬送するコラムバイパスラインを設けた、請求項1記載の物品仕分け設備。
【請求項3】
投入ラインの始端に空容器を供給する空容器供給装置を設け、管理コンピュータに空容器供給装置の制御機能を備えた、請求項1又は2記載の物品仕分け設備。
【請求項4】
完了信号入力手段をピッキング数表示器の近接位置に設けた、請求項1〜3いずれか記載の物品仕分け設備。
【請求項5】
ピッキング数表示器の表示個数を物品供給棚と同じ配列で表示できる表示盤を投入ステーションに設けた、請求項1〜4いずれか記載の物品仕分け設備。
【請求項6】
物品供給棚と投入ステーションを投入ラインに沿って複数組設けた、請求項1〜5いずれか記載の物品仕分け設備。
【請求項7】
物品供給棚の物品は品種別に逐次1つ又は複数のケースで所定個数を収容して供給し、ケースに収容された物品の品種と個数を示す識別コードをケース又は複数のケースを段積みしたものに付し、物品供給棚の後方の各間口に物品の補充を指示できる補充指示器をそれぞれ設け、物品供給棚にケースを補充する際に識別コードを読み取って管理コンピュータに送信する識別コード読取り装置を設け、補充を完了した際に操作によって補充完了の信号を発生させる補充完了信号入力手段を設け、識別コードを読み取った際にケースを補充する後方の間口を指示するように補充指示器に表示信号を出力する表示制御を管理コンピュータに備えた、請求項1〜6いずれか記載の物品仕分け設備。
【請求項8】
補充指示器が点灯・点滅・消灯するものであって、識別コードを読み取った際にケースを補充できる間口の補充指示器を点灯させる制御と、点灯中のいずれかの補充指示器の補充完了信号入力手段の操作でケースを補充する間口が決定した際にその補充指示器を点滅させるとともに他の補充指示器を消灯させる制御と、点滅中の補充指示器の補充完了信号入力手段の操作でケースの投入が完了した際に消灯させる制御とを管理コンピュータに備えた、請求項7記載の物品仕分け設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−246199(P2007−246199A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−69663(P2006−69663)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】