物品位置検出装置および物品位置検出方法ならびにそのプログラム
【課題】 従来に比べてより精度良く1つの装置に備えられたアンテナにより物品の位置を特定することのできる、物品位置検出装置を提供する。
【解決手段】 物品位置検出装置1の移動に伴って、物品タグからの無線信号を受信し、その無線信号に含まれる情報をデータベースなどに記録していく。また同時に、物品位置検出装置1の座標と、その座標を通過した時刻をデータベースなどに記録していく。また、重み付けの補正を行う場合には、重み付けの特定の処理を行って、重み付け値を算出する。そして、同一の物品タグから受け付けた1つまたは複数の無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における物品位置検出装置1の各座標と、移動に伴って順次受け付ける物品位置検出装置1の各座標およびそれら座標を受け付けた時刻とに基づいて、物品タグ1の座標を算出する。
【解決手段】 物品位置検出装置1の移動に伴って、物品タグからの無線信号を受信し、その無線信号に含まれる情報をデータベースなどに記録していく。また同時に、物品位置検出装置1の座標と、その座標を通過した時刻をデータベースなどに記録していく。また、重み付けの補正を行う場合には、重み付けの特定の処理を行って、重み付け値を算出する。そして、同一の物品タグから受け付けた1つまたは複数の無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における物品位置検出装置1の各座標と、移動に伴って順次受け付ける物品位置検出装置1の各座標およびそれら座標を受け付けた時刻とに基づいて、物品タグ1の座標を算出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグが取り付けられた物品の位置を検出する物品位置検出装置および物品位置検出方法ならびにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency IDentification)タグなどの小型無線機器を用いて物品を管理する方法として、特許文献1〜特許文献3に記載されている技術が知られている。
これらは、物品に付されたRFIDタグから発信される電波を、アンテナやリーダを用いて受信することにより、物品の存在有無を確認する方式を用いている。
近年、物品の存在有無だけではなく、物品が存在する位置についても把握したいという要求が高まっている。それに応じて、部屋のいたるところにアンテナを設置することにより物品の位置を測定したり、RFIDタグから発信される電波の強度を各アンテナで測定することにより物品の位置を測定する方法が用いられている。
【0003】
しかし、上記のように、部屋の至る所にアンテナを敷き詰め、RFIDタグから発信される電波を受信できたアンテナの近辺に、物品が存在すると推察する方法では、部屋が広くなるに従って必要となるアンテナ数が増加し、アンテナ等の購入コストや設置コストが膨大なものとなるという問題があった。この問題を解決するために、アンテナを移動させながらRFIDタグから発信される電波を受信して、物品の位置を特定する巡回検知という方法も知られていたが、アンテナが受信する電波強度が物品の存在する位置を決定するための主要要素となっていたため、電波の状況に応じて精度が低下するという問題があった。
【0004】
また、上述したようなアンテナを移動させながらRFIDタグから発信される電波を受信して物品の位置を特定する技術が、特願2004―187990として出願されている。当該技術では、例えば物品に取り付けられたRFIDタグと、当該物品の位置を特定するための補助となる電波を発信するリファレンスタグとが用いられている。しかしながら、この技術では、アンテナでほぼ同時刻に受信した、物品に取り付けられたRFIDタグが発信する電波とリファレンスタグの発信する電波との受信強度が同一であった場合、アンテナの位置を基準として同距離で同一方向にそれら2つのタグが位置するのか、またはアンテナの位置を基準として同一距離ではあるが異なる方向にそれら2つのタグがそれぞれ位置するのかが正確に読みとれないため、物品の位置の算出に誤差が生じてしまう。
【特許文献1】特開平7−81725号公報
【特許文献2】特開2002−46821号公報
【特許文献3】特開2002−193448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、従来に比べてより精度良く1つの装置に備えられたアンテナにより物品の位置を特定することのできる、物品位置検出装置および物品位置検出方法ならびにそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置であって、自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付ける移動座標受付手段と、前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出する第1時刻検出手段と、前記無線信号を受信した時刻を検出する第2時刻検出手段と、前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出する信号受信座標算出手段と、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する発信装置座標算出手段と、を備えることを特徴とする物品位置検出装置である。
【0007】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、移動経路上の通過地点それぞれの座標を通過順に記憶する通過地点座標記憶手段と、前記通過地点を通過した通知を受け付ける度に、前記通過地点座標記憶手段から前記通過順に記憶された自装置の前記座標を順次読みとって前記移動座標受付手段に通知する自座標通知手段と、を備え、前記第1時刻検出手段は、前記通過地点を通過した通知を受け付けた時刻を検出することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、移動経路上に複数の座標通知手段が備えられており、さらに、前記座標通知手段から得た情報に基づいて自装置の位置する座標を検出し前記移動座標受付手段に通知する自座標検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、左右2つの車輪と、前記左右それぞれの車輪の回転数に基づいて前記左右の車輪の移動距離を算出する移動距離算出手段と、前記左右の車輪それぞれの移動距離に基づいて移動開始時の前記2つの車輪の進行方向を基準とした方向転換角度を算出する方向転換角度算出手段と、前記2つの車輪の移動距離と、前記方向転換角度と、に基づいて、前記移動に伴う所定の時刻における自装置の位置する座標を検出する自座標検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、前記無線信号の受信強度に対応する重み付け値を記憶する重み付け値記憶手段をさらに備え、前記発信装置座標算出手段は、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記受け付けた複数の無線信号の受信強度それぞれに対応する前記重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、前記移動に伴って自装置の位置する座標を順次受け付ける度に、自装置の速度を算出する速度算出手段とを備え、前記発信装置座標算出手段は、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記算出した自装置の速度の値の重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、前記無線信号の信号到達範囲内における移動経路上の等間隔の通過点それぞれの座標を、前記無線信号を発信する一つの前記物品識別情報発信装置ごとに記憶する通過点座標記憶手段と、前記通過点それぞれを中心とした半径を有するそれぞれの円について、他の円と重なる数を、当該円の中心となる通過点ごとに算出する経路密度算出手段と、同一の前記物品識別情報発信装置から複数の前記無線信号を受信した各時刻における自装置の各座標に基づいて、当該座標と一致または前後する通過点を特定し、その通過点に対応して前記経路密度記憶手段に記録される円の数の逆数を重み付け値と算出する重み付け値算出手段とをさらに備え、前記発信装置座標算出手段は、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記算出した重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置の位置検出方法であって、前記位置検出装置の移動座標受付手段が、自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付け、前記位置検出装置の第1時刻検出手段が、前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出し、前記位置検出装置の第2時刻検出手段が、前記無線信号を受信した時刻を検出し、前記位置検出装置の信号受信座標算出手段が、前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出し、前記位置検出装置の発信装置座標算出手段が、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出することを特徴とする物品位置検出方法である。
【0014】
また本発明は、物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付ける移動座標受付処理と、前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出する第1時刻検出処理と、前記無線信号を受信した時刻を検出する第2時刻検出処理と、前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出する信号受信座標算出処理と、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する発信装置座標算出処理と、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位置検出装置の移動に伴って、物品識別情報発信装置からの無線信号を受信し、その無線信号に含まれる情報をデータベースなどに記録していく。また同時に、位置検出装置の座標と、その座標を通過した時刻をデータベースなどに記録していく。また、重み付けの補正を行う場合には、重み付けの特定の処理を行って、重み付け値を算出する。そして、発信装置座標算出手段が、同一の物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた時刻とに基づいて、物品識別情報発信装置の座標を算出する。
つまり、無線信号を受信した位置検出装置の座標と、移動経路の各座標およびその座標を通過した時刻と、が主要要素となって、物品識別情報発信装置の座標を算出するので、受信強度から距離を求めるなどの値がばらつく要素を主要要素として用いない。従って、より座標の算出の精度を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態による物品位置検出装置を図面を参照して説明する。図1は本実施形態による物品位置検出装置の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は物品位置検出装置(位置検出装置)である。また物品位置検出装置1において、101は物品に付設されたRFIDタグから発信された無線信号を受信するためのアンテナである。なおRFIDタグとは、無線信号を発信するものであり、当該無線信号にはRFIDタグが固有にメモリ等に記憶している所定の情報が当該RFIDタグの制御部の処理によって保持され、発信される。以下、物品に付設されたRFIDタグを物品タグ(物品識別情報発信装置)と呼ぶこととする。
【0017】
また102はアンテナで受けた無線信号を受信処理する信号受信部である。また103は物品位置検出装置1の移動経路を検出する移動経路検出部(自座標通知手段、自座標検出手段、移動距離算出手段、方向転換角度算出手段)である。また104は物品タグから発信された無線信号に含まれる情報やその受信時刻等を記憶する物品タグ信号DB(データベース)である。また105は移動経路上の各通過ポイントの座標等を記憶する移動経路DB(通過地点座標記憶手段)である。また106は移動経路上の所定の間隔毎に位置が特定された小通過ポイントの座標や、小通過ポイントそれぞれを中心とした半径(0<半径)を有するそれぞれの円について、他の円と重なる数などを記憶する重み付けDB(通過点座標記憶手段)である。また107は物品タグの各タグIDに対応する座標を記憶する物品タグ位置DBである。また108は物品タグが取り付けられている物品名やその所有者の情報(物品の属性情報)を記憶する物品情報DBである。
【0018】
また109は物品タグから受信した無線信号に含まれる情報などを物品タグ信号DB104に記録する物品タグ信号記録部(第2時刻検出手段)である。また110は物品位置検出装置1の移動経路の情報を移動経路DB105に記録する移動経路記録部(移動座標受付手段、第1時刻検出手段、速度算出手段)である。また111は重み付けの値を算出する重み付け算出部(経路密度算出手段、重み付け値算出手段)である。なお重み付けについての詳細は口述する。また112は物品タグの位置を算出する物品タグ位置算出部(信号受信座標算出手段、発信装置座標算出手段)である。また113は位置を算出した物品タグが取り付けられている物品の情報などをモニタなどの表示部に表示する表示処理部である。
【0019】
そして、物品位置検出装置1は、同一の物品タグから受け付けた1つまたは複数の無線信号と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標などを用いて、物品タグの座標を算出する処理を行う。なお、本実施形態においては、物品位置検出装置1は、図1に示されるすべての処理部やDBなどを備えるものとして説明するが、例えば、アンテナ101、信号受信部102、移動経路検出部103を備えた装置(経路移動装置)と、物品タグ信号記録部109、移動経路記録部110、重み付け算出部111、物品タグ位置算出部112、表示処理部113の各機能を備えたサーバと、104〜108の各DBの機能を備えたデータベース、とで構成され、かつそれぞれの装置またはサーバが通信ネットワークによって接続されるような構成であっても良い。
【0020】
図2は移動経路DBのデータ構造を示す図である。
図2が示すように、移動経路DBは、通過ポイント毎に、その通過ポイントの座標(X座標、Y座標)と、そのポイントの通過時刻と、隣り合う通過ポイントの間の区間速度を記憶する。
【0021】
<移動経路の検出処理1>
図3は物品位置検出装置の移動経路を検出する第1の処理の概要を示す図である。
次に、図2、図3を用いて移動経路検出部103が物品位置検出装置1の移動経路を検出する処理について説明する。
図3に示すように、まず、最初の段階では、各通過ポイントの座標が予め分かっているので、当該通過ポイントの座標(X座標、Y座標)は移動経路DB105に記録されている。しかし移動経路DB105の通過時刻や区間速度の情報は“Null”のデータが記録されている。そして、物品位置検出装置1をユーザが保持して移動経路上を移動する際に、各通過ポイントにおいて、当該ユーザが通過ポイントを通過したことを入力する(例えば、ボタンなどの各入力装置を用いて入力する)。するとその通過したことを示す情報を移動経路検出部103が受け付ける。移動経路検出部103は移動経路記録部110にその情報を通知する。そして移動経路記録部110は、物品位置検出装置1の移動経路の移動に伴って、順次、移動経路検出部103から通過ポイントを通過したことを示す情報を受け付け、その時刻を通過ポイントの順に記録していく。また移動経路記録部110は、移動経路DB105に記録された各通過ポイントの通過時刻に基づいて、前の通過ポイントからの移動時の区間速度を算出し、通過ポイント毎に記録していく。これにより、物品位置検出装置1は、ユーザのボタンの押下などにより通過ポイントの通過の情報を受け付け、予め記録されている通過ポイントを順次通過したことを検出し、また各通過ポイントの通過時刻や通過ポイント間の区間速度を検出することができる。
【0022】
<移動経路の検出処理2>
図4は物品位置検出装置の移動経路を検出する第2の処理の概要を示す図である。
次に、図2、図4を用いて移動経路検出部103が物品位置検出装置1の移動経路を検出する処理について説明する。
この例では、図4に示すように、移動経路上にリファレンスタグ(座標通知手段)が備えられたり、またバーコード(座標通知手段)が記される。ここでリファレンスタグとはRFIDタグによって構成されるものであり、移動経路検出部103は、当該リファレンスタグから発信される無線信号を受信して、無線信号に保持されるリファレンスタグのIDを読みとる。そして移動経路検出部103は、例えば予め各リファレンスタグのIDとその座標を対応づけて記憶したリファレンスタグDBを備えており、無線信号から読みとったリファレンスタグのIDに対応づけられてリファレンスタグDBに記録されている座標を読みとる。そして、移動経路検出部103はそのリファレンスタグの座標を移動経路記録部110に通知する。移動経路記録部110は受け付けた座標を順次、移動経路DB105に記録していく。つまり移動経路DB105の保持する通過ポイントは各リファレンスタグの位置に対応するものとなる(リファレンスタグの座標が記録される前はNullの情報が移動経路DB105に記録されている)。そして、移動経路記録部110は、移動経路DB105に記録された各通過ポイントの通過時刻に基づいて、前の通過ポイントからの移動時の区間速度を算出し、通過ポイント毎に記録していく。これにより、物品位置検出装置1は、移動経路を移動するに伴い順次リファレンスタグから発信される無線信号の受信に基づいて、通過ポイント(つまりリファレンスタグ上を)を順次通過したことを検出し、また各通過ポイントの通過時刻や通過ポイント間の区間速度を検出することができる。なお、リファレンスタグの代わりにバーコードが移動経路上に記されている場合には、移動経路検出部103は当該バーコードを読みとって、そのバーコードからバーコード固有のIDを検出する。そしてそのIDに対応する座標を前記リファレンスタグDBのような対応表から読み取り、当該座標を移動経路記録部110に通知する。
【0023】
<移動経路の検出処理3>
図5は物品位置検出装置の移動経路を検出する第3の処理の概要を示す図である。
次に、図2、図5を用いて移動経路検出部103が物品位置検出装置1の移動経路を検出する処理について説明する。
この例では、図5に示すように、物品位置検出装置1に車輪が備えられており、アンテナ101の位置が両車輪の間に備えられているものとする。ここで、移動開始直前の左車輪、右車輪の位置をユーザが入力することにより、その情報を移動経路検出部103が受け付け、移動経路検出部103自信が保持する現在位置DBに記録する。現在位置DBは図5で示すように、ある時点での左車輪と右車輪とアンテナのそれぞれの座標(X座標,Y座標)と、進行方向に対する角度(方向転換角度)を記憶する。ここで、左車輪の座標(0,0)、右車輪の座標(10,0)、アンテナ座標(5,0)、角度を0度とし、また所定の時間経過後に左車輪はL=20、右車輪はR=10の距離を進んだとする。すると左車輪の座標(0,20)、右車輪の座標(10,10)、アンテナ座標(5,10)となる。これら座標および、両車輪の間隔W=10であるため、前記所定の時間経過後における物品位置検出装置1の進行方向に対する角度は、tanθ=(L−R)/Wによって、θが計算できる。なお前記所定の時間経過後における物品位置検出装置1の進行方向に対する角度は、tanθ=(20−10)/10=1であるのでθは45度となる。前記所定の時間を短くすればするほど、物品位置検出装置1の位置が精度良く現在位置DBに記録されていく。なお、現在位置DBは物品位置検出装置1の移動における前記所定の時間毎に、左車輪と右車輪とアンテナのそれぞれの座標(X座標,Y座標)と、進行方向に対する角度(方向転換角度)が更新されていく。
【0024】
そして、移動経路検出部103は前記所定の時間ごとに現在位置の座標を移動経路記録部110に通知する。移動経路記録部110は受け付けた座標を順次、移動経路DB105に記録していく。つまり移動経路DB105の保持する通過ポイントは前記所定の時間ごとのポイントである。そして、移動経路記録部110は、移動経路DB105に記録された各通過ポイントの通過時刻に基づいて、前の通過ポイントからの移動時の区間速度を算出し、通過ポイント毎に記録していく。これにより、物品位置検出装置1は、移動経路を移動する距離、つまり車輪の回転数に応じて、通過ポイント(つまりリファレンスタグ上を)を検出し、また各通過ポイントの通過時刻や通過ポイント間の区間速度を検出することができる。
【0025】
<移動経路の検出処理4>
上記処理のほかに、例えば、移動経路が予め決まっており、等速運動で物品位置検出装置1が移動する場合には、移動経路検出部103は移動の時間に応じて、物品位置検出装置1の座標を算出する。
【0026】
図6は物品タグ信号DBのデータ構造を示す図である。
図6で示すように、物品タグ信号DB104は、タグIDに対応づけて、当該タグIDが含まれる無線信号の受信強度(アンテナA,アンテナB)と、無線信号からタグIDを読み取った時刻と、タグIDに対応する物品タグの座標(X座標,Y座標)と、重み付け値とを記憶している。
【0027】
図7は物品タグ位置DBのデータ構造を示す図である。
図7で示すように、物品タグ位置DB107は、タグIDに対応づけて、当該タグIDの物品タグの座標(X座標,Y座標)を記憶している。物品タグ位置DB107は、物品位置検出装置1が物品タグから無線信号を受信すると共に、座標が算出され、順次記録されていく。
【0028】
図8は物品タグの座標を算出する際の第1の処理の概要を示す図である。
次に、図2、図6、図7、図8を用いて物品位置検出装置が物品タグの座標を算出する際の第1の処理について説明する。
上記したような移動経路の検出処理と同時に、移動経路の移動に伴って物品位置検出装置1は物品タグから発信される無線信号を受信している。その無線信号はアンテナ101が受け、また信号受信部102が物品タグ信号記録部109に無線信号に含まれる情報(タグID)を通知する。また信号受信部102は、受信した無線信号の受信強度を検出し、物品タグ信号記録部109に通知する。ここで例えば、2本のアンテナ101が物品位置検出装置1に備えられている場合には、信号受信部102はそれぞれのアンテナ101で受信した際の受信強度を通知する。物品タグ信号記録部109は信号受信部102から各種情報の転送を受けると、タグIDと、アンテナの受信強度と、タグIDを受け付けた時刻(つまり、無線信号からタグIDを読み取った時刻)と、を物品タグ信号DBに記録する。このとき、タグIDに対応する物品タグの座標は未確定である。また重み付けを1としておく。
【0029】
そして、物品タグ信号DB104に情報が記録されると、物品タグ位置算出部112が、タグIDで示される物品タグの座標の算出を開始する。まず物品タグ位置算出部112は、物品タグ信号DB104から、タグID「001」、そのIDに対応して記録される読み取り時刻「10:00:04」の情報を読み取る。ここで、タグID「001」を読み取った時刻「10:00:04」が通過ポイントの通過時刻と同一である場合には、物品タグ位置算出部112は、タグID「001」の座標が、通過ポイントの座標と同一であるとして、当該座標を物品タグ信号DB104のタグID「001」に対応づけて記録する。また同様に、物品タグ位置DB107にタグID「001」に対応づけて当該座標を記録する。
【0030】
また物品タグ位置算出部112は、タグID「001」を読み取った時刻「10:00:04」が、通過ポイントの通過時刻と同一でない場合には、その読み取った時刻の前の時刻と後の時刻に対応づけられて移動経路DB105に記録されている2つの通過ポイントの座標(X座標,Y座標)を読み取る。そして、
【0031】
【数1】
【0032】
の式により、タグID「001」の座標を算出する。図8より、タグID「001」の座標は、(X座標,Y座標)=(10,26)となる。そして、上記したようにこの座標がタグID「001」に対応づけられて物品タグ信号DB104と物品タグ位置DB107に記録される。
【0033】
図9は物品タグの座標を算出する際の第2の処理の概要を示す図である。
次に、図9を用いて物品位置検出装置が物品タグの座標を算出する際の第2の処理について説明する。
図9が示すように、1つの物品タグから無線信号を複数回受信した場合には、上述の処理により、同一のタグIDに対応づけられて、異なる座標が物品タグ信号DB104に記録されることとなる。この場合、物品タグ位置算出部112は、
【0034】
【数2】
【0035】
の式を用いて、より詳細な座標を算出し、当該算出した座標をタグIDに対応づけて物品タグ信号DB104と物品タグ位置DB107に記録する。なお、この処理により、図9におけるa、bで示すように、無線信号を受信した3点の座標からの等距離の座標が算出されるので、より詳細に物品タグの座標を算出することができる。
【0036】
図10は重み付け値を特定する処理の概要を示す第1の図である。
次に図10を用いて重み付け値を特定する第1の処理について説明する。
図10のcは、2つのアンテナの受信強度の組み合わせに対応する重み付け値を保持した重み付け特定用表を示している。そして、物品タグ位置算出部112が物品タグの座標を算出する前の処理として、重み付け算出部111が、あるタグIDに対応づけられて物品タグ信号DB104に記録された2つのアンテナのアンテナ受信強度を読み取り、それら2つのアンテナ受信強度に対応づけられて重み付け特定用表cに記録されている重み付け値を読み取る。そして読み取った重み付け値を物品タグ信号DB104に記録する。これにより、式(2)を用いて物品タグ位置算出部112が物品タグの座標を算出する上述の処理において、重み付け算出部111が特定した重み付け値が利用される。これにより、受信強度に応じても物品タグの座標が算出されることとなるので、さらに精度良い座標を算出することができる。なお、図10で示す重み付け値特定用表cのデータはメモリ(重み付け値記憶手段)などに記録されており、これを重み付け算出部111が読み取ることによって、重み付け値を特定する。なお重み付け特定用表cではタグとの距離が近いほど、電波強度の値が大きいとする。また重み付け特定用表cはアンテナが2本の場合の例であるが、アンテナが1本でも同様に重み付けが可能である。
【0037】
図11は重み付け値を特定する処理の概要を示す第2の図である。
次に図11を用いて重み付け値を特定する第2の処理について説明する。
図11の<A>で示すように、物品位置検出装置1がある物品タグから発信される無線信号の到達距離の範囲内において、異なる速度で移動した場合、当該範囲内の遅く移動した経路(a2)では、物品タグからの無線信号を多く受信し、また当該範囲内の早く移動した経路(a1)では、物品タグからの無線信号の受信が少なくなる。従って、図9で示した物品タグの座標算出の方法により座標が算出された場合には、図11の<B>で示すように、遅く移動した経路の近い座標が算出されてしまう。従って、重み付け算出部111は、あるタグIDの物品タグの重み付け値を算出する際には、まず、当該あるタグIDに対応づけられて物品タグ信号DB104に記録された読み取り時刻を読み取り、その時刻に通過した通過ポイントに対応づけられて移動経路DB105に記録されている区間速度を読み取る。そして、その区間速度を重み付け値として、物品タグ信号DB104に記録する。これにより、物品タグ位置算出部112が式(2)を用いて物品タグの座標を算出する図9の処理において、重み付け算出部111が算出した重み付け値が利用される。従って、図9の座標算出の処理において、区間速度に応じた無線信号の受信回数が考慮され、区間速度が遅い経路についての重み付けより区間速度が速い経路についての重み付けが大きくなるので、算出した物品タグの座標が当該タグの発信する無線信号の到達範囲内における区間速度の遅い経路に近づかないように制御することができる。
【0038】
図12は重み付け値を特定する際に問題となる例を示す図である。
次に図12を用いて重み付け値を特定する際に問題となる例について説明する。
図12の<C>で示すように、ある物品タグから発信される無線信号の到達範囲内の八の字の移動経路を物品位置検出装置1が移動する場合、移動経路が重なる範囲において、物品タグから発信された無線信号の受信回数が増える。この場合、実際には<C>で示すように、到達範囲内の真ん中に物品タグが位置するが、移動経路が重なる範囲において、物品タグから発信された無線信号の受信回数が、前記到達範囲内の他の範囲よりも多いので、図9の物品タグ位置算出部112の処理によって算出された物品タグの座標が、無線信号を多く受信した範囲に傾斜してしまう。
【0039】
また図12の<D>で示すように、ある物品タグから発信される無線信号の到達範囲内の偏った範囲に移動経路があり、当該移動経路を物品位置検出装置1が移動する場合、物品位置検出装置1は前記到達範囲内において移動経路が多く密集する範囲で無線信号を多く受信する。従って、実際には<D>で示すように、到達範囲内の真ん中に物品タグが位置するが、当該到達範囲内の移動経路が多く密集する範囲において、物品タグから発信された無線信号を受信する回数が多いので、図9の物品タグ位置算出部112の処理によって算出された物品タグの座標が、移動経路が多くある範囲に傾斜してしまう。従って、図12の<C>や<D>の例に見られるような問題を解決しなければならない。
【0040】
図13は重み付け値を特定する処理の概要を示す第3―1の図である。
図14は重み付け値を特定する処理の概要を示す第3―2の図である。
図15は重み付けDBのデータ構造を示す図である。
図15が示すように、重み付けDB106は、小通過ポイント毎に、その小通過ポイントの座標(X座標、Y座標)と、そのポイントの通過時刻と、そのポイントを中心とした円と他の通過ポイントを中心とした円が重なる数をカウントとして記憶する。
【0041】
次に図13、図14、図15を用いて、図12で示した問題点を解決するための重み付け値を特定する第3の処理について説明する。
まず、物品位置検出装置1は、図13のdで示すような、円設定表を予めメモリ等に記憶している。また、図13の<E>で示すような小通過ポイントの座標を重み付けDB106で記憶している。なお、この小通過ポイントの座標は移動経路上の予め分かっているポイントであっても良いし、移動経路算出部103が移動経路の各通過ポイントを算出するのと同時に、小通過ポイントを算出するようにしても良い。その際には、円設定表dで示される小区間距離に応じた移動経路上の小通過ポイントを算出する。
【0042】
そして、まず重み付け算出部111は、重み付けDB106を参照して、小通過ポイントの座標を読み取る。そして、1つの小通過ポイントの座標と他の小通過ポイントの座標との関係に基づいて、前記1つの小通過ポイントの座標を中心とする円に、前記他の小通過ポイントの座標を中心とする円が重なる数を算出する。つまり円の半径をZとして、1つの小通過ポイントの座標を(x1,y1)、前記他の小通過ポイントの座標を(x2,y2)とすると、{(x2−x1)2+(y2−y1)2}1/2≦Zとなる2つの他の小通過ポイントの数を算出すればよい。そして、重み付け算出部111は、円が重なる数を小区間ポイントの番号に対応付けて重み付けDB106に記録する。
【0043】
次に、図14より、重み付け算出部111は、あるタグIDに対応づけられて物品タグ信号DB104に記録された読み取り時刻を読み取り、その時刻に通過した小通過ポイントに対応づけられて重み付けDB106に記録されているカウントの値(円の重なる数)を読み取る。そして、カウントの値の逆数を、前記あるタグIDの重み付け値として、物品タグ信号DB104に記録する。また、あるタグIDに対応づけられて物品タグ信号DB104に記録された読み取り時刻を読み取り、その読み取った時刻が2つの小通過ポイントを通過した時刻の間の時刻である場合には、それら2つの小通過ポイントに対応づけられて重み付けDB106に記録されている2つのカウントの値(円の重なる数)を読み取る。そして、読み取ったカウントの平均の逆数を、前記あるタグIDの重み付け値として、物品タグ信号DB104に記録する。そして物品タグ位置算出部112が物品タグの座標を算出する図9の処理において、重み付け算出部111が特定した重み付け値が利用される。つまり、図9の処理だけでは、図12を示したように物品タグが本来の座標よりも、移動経路が多くある範囲に傾斜して算出されてしまうが、その移動経路が多くある範囲で受信した物品タグの無線信号に対する重み付けを前記逆数により軽くするので、より精度良く、物品タグの座標を算出することができる。
【0044】
図16は物品情報DBのデータ構造を示す図である。
図16が示すように、物品情報DBは、物品タグIDに対応づけて物品名や所有者などの物品属性情報を記憶している。
図17は物品位置検出装置1の処理フローを示す図である。
次に図17を用いて、物品位置検出装置1の処理の全体の流について説明する。
まず、物品タグ位置DB107には、予め物品タグのタグIDが記録される(ステップS1)。このとき各物品タグの座標は未確定である。そして、物品位置検出装置1の移動に伴って、物品タグからの無線信号を受信し、その無線信号に含まれる情報を物品タグ信号DB104に記録していく(ステップS2)。また同時に、移動経路検出部103が物品位置検出装置1の座標と、その座標を通過した時刻を移動経路DBに記録していく(ステップS3)。また、重み付けの補正を行う場合には、重み付け算出部111が、重み付けの特定の処理を行って、物品タグ信号DB104に記録されている重み付け値を書き換える(ステップS4)。そして、物品タグ位置算出部112が、物品タグ信号DB104と、移動経路DB105に記録されている情報に基づいて、各物品タグの座標を算出し、物品タグ位置DB107に記録する(ステップS5)。また、表示処理部113は、物品タグ位置DB107と物品情報DB108に記録されているタグIDに基づいて、各物品の詳細と、その物品がどこにあるかの情報(つまり座標)をモニタなどに表示する(ステップS6)。
【0045】
なお、上述の物品位置検出装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0046】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態による物品位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による移動経路DBのデータ構造を示す図である。
【図3】本実施形態による物品位置検出装置の移動経路を検出する第1の処理の概要を示す図である。
【図4】本実施形態による物品位置検出装置の移動経路を検出する第2の処理の概要を示す図である。
【図5】本実施形態による物品位置検出装置の移動経路を検出する第3の処理の概要を示す図である。
【図6】本実施形態による物品タグ信号DBのデータ構造を示す図である。
【図7】本実施形態による物品タグ位置DBのデータ構造を示す図である。
【図8】本実施形態による物品タグの座標を算出する際の第1の処理の概要を示す図である。
【図9】本実施形態による物品タグの座標を算出する際の第2の処理の概要を示す図である。
【図10】本実施形態による重み付け値を特定する処理の概要を示す第1の図である。
【図11】本実施形態による重み付け値を特定する処理の概要を示す第2の図である。
【図12】本実施形態による重み付け値を特定する際に問題となる例を示す図である。
【図13】本実施形態による重み付け値を特定する処理の概要を示す第3―1の図である。
【図14】本実施形態による重み付け値を特定する処理の概要を示す第3―2の図である。
【図15】本実施形態による重み付けDBのデータ構造を示す図である。
【図16】本実施形態による物品情報DBのデータ構造を示す図である。
【図17】本実施形態による物品位置検出装置1の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・・・物品位置検出装置
101・・・アンテナ
102・・・信号受信部
103・・・移動経路検出部
104・・・物品タグ信号DB
105・・・移動経路DB
106・・・重み付けDB
107・・・物品タグ位置DB
108・・・物品情報DB
109・・・物品タグ信号記録部
110・・・移動経路記録部
111・・・重み付け算出部
112・・・物品タグ位置算出部
113・・・表示処理部
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDタグが取り付けられた物品の位置を検出する物品位置検出装置および物品位置検出方法ならびにそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、RFID(Radio Frequency IDentification)タグなどの小型無線機器を用いて物品を管理する方法として、特許文献1〜特許文献3に記載されている技術が知られている。
これらは、物品に付されたRFIDタグから発信される電波を、アンテナやリーダを用いて受信することにより、物品の存在有無を確認する方式を用いている。
近年、物品の存在有無だけではなく、物品が存在する位置についても把握したいという要求が高まっている。それに応じて、部屋のいたるところにアンテナを設置することにより物品の位置を測定したり、RFIDタグから発信される電波の強度を各アンテナで測定することにより物品の位置を測定する方法が用いられている。
【0003】
しかし、上記のように、部屋の至る所にアンテナを敷き詰め、RFIDタグから発信される電波を受信できたアンテナの近辺に、物品が存在すると推察する方法では、部屋が広くなるに従って必要となるアンテナ数が増加し、アンテナ等の購入コストや設置コストが膨大なものとなるという問題があった。この問題を解決するために、アンテナを移動させながらRFIDタグから発信される電波を受信して、物品の位置を特定する巡回検知という方法も知られていたが、アンテナが受信する電波強度が物品の存在する位置を決定するための主要要素となっていたため、電波の状況に応じて精度が低下するという問題があった。
【0004】
また、上述したようなアンテナを移動させながらRFIDタグから発信される電波を受信して物品の位置を特定する技術が、特願2004―187990として出願されている。当該技術では、例えば物品に取り付けられたRFIDタグと、当該物品の位置を特定するための補助となる電波を発信するリファレンスタグとが用いられている。しかしながら、この技術では、アンテナでほぼ同時刻に受信した、物品に取り付けられたRFIDタグが発信する電波とリファレンスタグの発信する電波との受信強度が同一であった場合、アンテナの位置を基準として同距離で同一方向にそれら2つのタグが位置するのか、またはアンテナの位置を基準として同一距離ではあるが異なる方向にそれら2つのタグがそれぞれ位置するのかが正確に読みとれないため、物品の位置の算出に誤差が生じてしまう。
【特許文献1】特開平7−81725号公報
【特許文献2】特開2002−46821号公報
【特許文献3】特開2002−193448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、従来に比べてより精度良く1つの装置に備えられたアンテナにより物品の位置を特定することのできる、物品位置検出装置および物品位置検出方法ならびにそのプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置であって、自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付ける移動座標受付手段と、前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出する第1時刻検出手段と、前記無線信号を受信した時刻を検出する第2時刻検出手段と、前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出する信号受信座標算出手段と、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する発信装置座標算出手段と、を備えることを特徴とする物品位置検出装置である。
【0007】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、移動経路上の通過地点それぞれの座標を通過順に記憶する通過地点座標記憶手段と、前記通過地点を通過した通知を受け付ける度に、前記通過地点座標記憶手段から前記通過順に記憶された自装置の前記座標を順次読みとって前記移動座標受付手段に通知する自座標通知手段と、を備え、前記第1時刻検出手段は、前記通過地点を通過した通知を受け付けた時刻を検出することを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、移動経路上に複数の座標通知手段が備えられており、さらに、前記座標通知手段から得た情報に基づいて自装置の位置する座標を検出し前記移動座標受付手段に通知する自座標検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、左右2つの車輪と、前記左右それぞれの車輪の回転数に基づいて前記左右の車輪の移動距離を算出する移動距離算出手段と、前記左右の車輪それぞれの移動距離に基づいて移動開始時の前記2つの車輪の進行方向を基準とした方向転換角度を算出する方向転換角度算出手段と、前記2つの車輪の移動距離と、前記方向転換角度と、に基づいて、前記移動に伴う所定の時刻における自装置の位置する座標を検出する自座標検出手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、前記無線信号の受信強度に対応する重み付け値を記憶する重み付け値記憶手段をさらに備え、前記発信装置座標算出手段は、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記受け付けた複数の無線信号の受信強度それぞれに対応する前記重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、前記移動に伴って自装置の位置する座標を順次受け付ける度に、自装置の速度を算出する速度算出手段とを備え、前記発信装置座標算出手段は、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記算出した自装置の速度の値の重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、上述の物品位置検出装置が、前記無線信号の信号到達範囲内における移動経路上の等間隔の通過点それぞれの座標を、前記無線信号を発信する一つの前記物品識別情報発信装置ごとに記憶する通過点座標記憶手段と、前記通過点それぞれを中心とした半径を有するそれぞれの円について、他の円と重なる数を、当該円の中心となる通過点ごとに算出する経路密度算出手段と、同一の前記物品識別情報発信装置から複数の前記無線信号を受信した各時刻における自装置の各座標に基づいて、当該座標と一致または前後する通過点を特定し、その通過点に対応して前記経路密度記憶手段に記録される円の数の逆数を重み付け値と算出する重み付け値算出手段とをさらに備え、前記発信装置座標算出手段は、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記算出した重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出することを特徴とする。
【0013】
また本発明は、物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置の位置検出方法であって、前記位置検出装置の移動座標受付手段が、自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付け、前記位置検出装置の第1時刻検出手段が、前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出し、前記位置検出装置の第2時刻検出手段が、前記無線信号を受信した時刻を検出し、前記位置検出装置の信号受信座標算出手段が、前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出し、前記位置検出装置の発信装置座標算出手段が、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出することを特徴とする物品位置検出方法である。
【0014】
また本発明は、物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付ける移動座標受付処理と、前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出する第1時刻検出処理と、前記無線信号を受信した時刻を検出する第2時刻検出処理と、前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出する信号受信座標算出処理と、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する発信装置座標算出処理と、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、位置検出装置の移動に伴って、物品識別情報発信装置からの無線信号を受信し、その無線信号に含まれる情報をデータベースなどに記録していく。また同時に、位置検出装置の座標と、その座標を通過した時刻をデータベースなどに記録していく。また、重み付けの補正を行う場合には、重み付けの特定の処理を行って、重み付け値を算出する。そして、発信装置座標算出手段が、同一の物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた時刻とに基づいて、物品識別情報発信装置の座標を算出する。
つまり、無線信号を受信した位置検出装置の座標と、移動経路の各座標およびその座標を通過した時刻と、が主要要素となって、物品識別情報発信装置の座標を算出するので、受信強度から距離を求めるなどの値がばらつく要素を主要要素として用いない。従って、より座標の算出の精度を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態による物品位置検出装置を図面を参照して説明する。図1は本実施形態による物品位置検出装置の構成を示すブロック図である。この図において、符号1は物品位置検出装置(位置検出装置)である。また物品位置検出装置1において、101は物品に付設されたRFIDタグから発信された無線信号を受信するためのアンテナである。なおRFIDタグとは、無線信号を発信するものであり、当該無線信号にはRFIDタグが固有にメモリ等に記憶している所定の情報が当該RFIDタグの制御部の処理によって保持され、発信される。以下、物品に付設されたRFIDタグを物品タグ(物品識別情報発信装置)と呼ぶこととする。
【0017】
また102はアンテナで受けた無線信号を受信処理する信号受信部である。また103は物品位置検出装置1の移動経路を検出する移動経路検出部(自座標通知手段、自座標検出手段、移動距離算出手段、方向転換角度算出手段)である。また104は物品タグから発信された無線信号に含まれる情報やその受信時刻等を記憶する物品タグ信号DB(データベース)である。また105は移動経路上の各通過ポイントの座標等を記憶する移動経路DB(通過地点座標記憶手段)である。また106は移動経路上の所定の間隔毎に位置が特定された小通過ポイントの座標や、小通過ポイントそれぞれを中心とした半径(0<半径)を有するそれぞれの円について、他の円と重なる数などを記憶する重み付けDB(通過点座標記憶手段)である。また107は物品タグの各タグIDに対応する座標を記憶する物品タグ位置DBである。また108は物品タグが取り付けられている物品名やその所有者の情報(物品の属性情報)を記憶する物品情報DBである。
【0018】
また109は物品タグから受信した無線信号に含まれる情報などを物品タグ信号DB104に記録する物品タグ信号記録部(第2時刻検出手段)である。また110は物品位置検出装置1の移動経路の情報を移動経路DB105に記録する移動経路記録部(移動座標受付手段、第1時刻検出手段、速度算出手段)である。また111は重み付けの値を算出する重み付け算出部(経路密度算出手段、重み付け値算出手段)である。なお重み付けについての詳細は口述する。また112は物品タグの位置を算出する物品タグ位置算出部(信号受信座標算出手段、発信装置座標算出手段)である。また113は位置を算出した物品タグが取り付けられている物品の情報などをモニタなどの表示部に表示する表示処理部である。
【0019】
そして、物品位置検出装置1は、同一の物品タグから受け付けた1つまたは複数の無線信号と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標などを用いて、物品タグの座標を算出する処理を行う。なお、本実施形態においては、物品位置検出装置1は、図1に示されるすべての処理部やDBなどを備えるものとして説明するが、例えば、アンテナ101、信号受信部102、移動経路検出部103を備えた装置(経路移動装置)と、物品タグ信号記録部109、移動経路記録部110、重み付け算出部111、物品タグ位置算出部112、表示処理部113の各機能を備えたサーバと、104〜108の各DBの機能を備えたデータベース、とで構成され、かつそれぞれの装置またはサーバが通信ネットワークによって接続されるような構成であっても良い。
【0020】
図2は移動経路DBのデータ構造を示す図である。
図2が示すように、移動経路DBは、通過ポイント毎に、その通過ポイントの座標(X座標、Y座標)と、そのポイントの通過時刻と、隣り合う通過ポイントの間の区間速度を記憶する。
【0021】
<移動経路の検出処理1>
図3は物品位置検出装置の移動経路を検出する第1の処理の概要を示す図である。
次に、図2、図3を用いて移動経路検出部103が物品位置検出装置1の移動経路を検出する処理について説明する。
図3に示すように、まず、最初の段階では、各通過ポイントの座標が予め分かっているので、当該通過ポイントの座標(X座標、Y座標)は移動経路DB105に記録されている。しかし移動経路DB105の通過時刻や区間速度の情報は“Null”のデータが記録されている。そして、物品位置検出装置1をユーザが保持して移動経路上を移動する際に、各通過ポイントにおいて、当該ユーザが通過ポイントを通過したことを入力する(例えば、ボタンなどの各入力装置を用いて入力する)。するとその通過したことを示す情報を移動経路検出部103が受け付ける。移動経路検出部103は移動経路記録部110にその情報を通知する。そして移動経路記録部110は、物品位置検出装置1の移動経路の移動に伴って、順次、移動経路検出部103から通過ポイントを通過したことを示す情報を受け付け、その時刻を通過ポイントの順に記録していく。また移動経路記録部110は、移動経路DB105に記録された各通過ポイントの通過時刻に基づいて、前の通過ポイントからの移動時の区間速度を算出し、通過ポイント毎に記録していく。これにより、物品位置検出装置1は、ユーザのボタンの押下などにより通過ポイントの通過の情報を受け付け、予め記録されている通過ポイントを順次通過したことを検出し、また各通過ポイントの通過時刻や通過ポイント間の区間速度を検出することができる。
【0022】
<移動経路の検出処理2>
図4は物品位置検出装置の移動経路を検出する第2の処理の概要を示す図である。
次に、図2、図4を用いて移動経路検出部103が物品位置検出装置1の移動経路を検出する処理について説明する。
この例では、図4に示すように、移動経路上にリファレンスタグ(座標通知手段)が備えられたり、またバーコード(座標通知手段)が記される。ここでリファレンスタグとはRFIDタグによって構成されるものであり、移動経路検出部103は、当該リファレンスタグから発信される無線信号を受信して、無線信号に保持されるリファレンスタグのIDを読みとる。そして移動経路検出部103は、例えば予め各リファレンスタグのIDとその座標を対応づけて記憶したリファレンスタグDBを備えており、無線信号から読みとったリファレンスタグのIDに対応づけられてリファレンスタグDBに記録されている座標を読みとる。そして、移動経路検出部103はそのリファレンスタグの座標を移動経路記録部110に通知する。移動経路記録部110は受け付けた座標を順次、移動経路DB105に記録していく。つまり移動経路DB105の保持する通過ポイントは各リファレンスタグの位置に対応するものとなる(リファレンスタグの座標が記録される前はNullの情報が移動経路DB105に記録されている)。そして、移動経路記録部110は、移動経路DB105に記録された各通過ポイントの通過時刻に基づいて、前の通過ポイントからの移動時の区間速度を算出し、通過ポイント毎に記録していく。これにより、物品位置検出装置1は、移動経路を移動するに伴い順次リファレンスタグから発信される無線信号の受信に基づいて、通過ポイント(つまりリファレンスタグ上を)を順次通過したことを検出し、また各通過ポイントの通過時刻や通過ポイント間の区間速度を検出することができる。なお、リファレンスタグの代わりにバーコードが移動経路上に記されている場合には、移動経路検出部103は当該バーコードを読みとって、そのバーコードからバーコード固有のIDを検出する。そしてそのIDに対応する座標を前記リファレンスタグDBのような対応表から読み取り、当該座標を移動経路記録部110に通知する。
【0023】
<移動経路の検出処理3>
図5は物品位置検出装置の移動経路を検出する第3の処理の概要を示す図である。
次に、図2、図5を用いて移動経路検出部103が物品位置検出装置1の移動経路を検出する処理について説明する。
この例では、図5に示すように、物品位置検出装置1に車輪が備えられており、アンテナ101の位置が両車輪の間に備えられているものとする。ここで、移動開始直前の左車輪、右車輪の位置をユーザが入力することにより、その情報を移動経路検出部103が受け付け、移動経路検出部103自信が保持する現在位置DBに記録する。現在位置DBは図5で示すように、ある時点での左車輪と右車輪とアンテナのそれぞれの座標(X座標,Y座標)と、進行方向に対する角度(方向転換角度)を記憶する。ここで、左車輪の座標(0,0)、右車輪の座標(10,0)、アンテナ座標(5,0)、角度を0度とし、また所定の時間経過後に左車輪はL=20、右車輪はR=10の距離を進んだとする。すると左車輪の座標(0,20)、右車輪の座標(10,10)、アンテナ座標(5,10)となる。これら座標および、両車輪の間隔W=10であるため、前記所定の時間経過後における物品位置検出装置1の進行方向に対する角度は、tanθ=(L−R)/Wによって、θが計算できる。なお前記所定の時間経過後における物品位置検出装置1の進行方向に対する角度は、tanθ=(20−10)/10=1であるのでθは45度となる。前記所定の時間を短くすればするほど、物品位置検出装置1の位置が精度良く現在位置DBに記録されていく。なお、現在位置DBは物品位置検出装置1の移動における前記所定の時間毎に、左車輪と右車輪とアンテナのそれぞれの座標(X座標,Y座標)と、進行方向に対する角度(方向転換角度)が更新されていく。
【0024】
そして、移動経路検出部103は前記所定の時間ごとに現在位置の座標を移動経路記録部110に通知する。移動経路記録部110は受け付けた座標を順次、移動経路DB105に記録していく。つまり移動経路DB105の保持する通過ポイントは前記所定の時間ごとのポイントである。そして、移動経路記録部110は、移動経路DB105に記録された各通過ポイントの通過時刻に基づいて、前の通過ポイントからの移動時の区間速度を算出し、通過ポイント毎に記録していく。これにより、物品位置検出装置1は、移動経路を移動する距離、つまり車輪の回転数に応じて、通過ポイント(つまりリファレンスタグ上を)を検出し、また各通過ポイントの通過時刻や通過ポイント間の区間速度を検出することができる。
【0025】
<移動経路の検出処理4>
上記処理のほかに、例えば、移動経路が予め決まっており、等速運動で物品位置検出装置1が移動する場合には、移動経路検出部103は移動の時間に応じて、物品位置検出装置1の座標を算出する。
【0026】
図6は物品タグ信号DBのデータ構造を示す図である。
図6で示すように、物品タグ信号DB104は、タグIDに対応づけて、当該タグIDが含まれる無線信号の受信強度(アンテナA,アンテナB)と、無線信号からタグIDを読み取った時刻と、タグIDに対応する物品タグの座標(X座標,Y座標)と、重み付け値とを記憶している。
【0027】
図7は物品タグ位置DBのデータ構造を示す図である。
図7で示すように、物品タグ位置DB107は、タグIDに対応づけて、当該タグIDの物品タグの座標(X座標,Y座標)を記憶している。物品タグ位置DB107は、物品位置検出装置1が物品タグから無線信号を受信すると共に、座標が算出され、順次記録されていく。
【0028】
図8は物品タグの座標を算出する際の第1の処理の概要を示す図である。
次に、図2、図6、図7、図8を用いて物品位置検出装置が物品タグの座標を算出する際の第1の処理について説明する。
上記したような移動経路の検出処理と同時に、移動経路の移動に伴って物品位置検出装置1は物品タグから発信される無線信号を受信している。その無線信号はアンテナ101が受け、また信号受信部102が物品タグ信号記録部109に無線信号に含まれる情報(タグID)を通知する。また信号受信部102は、受信した無線信号の受信強度を検出し、物品タグ信号記録部109に通知する。ここで例えば、2本のアンテナ101が物品位置検出装置1に備えられている場合には、信号受信部102はそれぞれのアンテナ101で受信した際の受信強度を通知する。物品タグ信号記録部109は信号受信部102から各種情報の転送を受けると、タグIDと、アンテナの受信強度と、タグIDを受け付けた時刻(つまり、無線信号からタグIDを読み取った時刻)と、を物品タグ信号DBに記録する。このとき、タグIDに対応する物品タグの座標は未確定である。また重み付けを1としておく。
【0029】
そして、物品タグ信号DB104に情報が記録されると、物品タグ位置算出部112が、タグIDで示される物品タグの座標の算出を開始する。まず物品タグ位置算出部112は、物品タグ信号DB104から、タグID「001」、そのIDに対応して記録される読み取り時刻「10:00:04」の情報を読み取る。ここで、タグID「001」を読み取った時刻「10:00:04」が通過ポイントの通過時刻と同一である場合には、物品タグ位置算出部112は、タグID「001」の座標が、通過ポイントの座標と同一であるとして、当該座標を物品タグ信号DB104のタグID「001」に対応づけて記録する。また同様に、物品タグ位置DB107にタグID「001」に対応づけて当該座標を記録する。
【0030】
また物品タグ位置算出部112は、タグID「001」を読み取った時刻「10:00:04」が、通過ポイントの通過時刻と同一でない場合には、その読み取った時刻の前の時刻と後の時刻に対応づけられて移動経路DB105に記録されている2つの通過ポイントの座標(X座標,Y座標)を読み取る。そして、
【0031】
【数1】
【0032】
の式により、タグID「001」の座標を算出する。図8より、タグID「001」の座標は、(X座標,Y座標)=(10,26)となる。そして、上記したようにこの座標がタグID「001」に対応づけられて物品タグ信号DB104と物品タグ位置DB107に記録される。
【0033】
図9は物品タグの座標を算出する際の第2の処理の概要を示す図である。
次に、図9を用いて物品位置検出装置が物品タグの座標を算出する際の第2の処理について説明する。
図9が示すように、1つの物品タグから無線信号を複数回受信した場合には、上述の処理により、同一のタグIDに対応づけられて、異なる座標が物品タグ信号DB104に記録されることとなる。この場合、物品タグ位置算出部112は、
【0034】
【数2】
【0035】
の式を用いて、より詳細な座標を算出し、当該算出した座標をタグIDに対応づけて物品タグ信号DB104と物品タグ位置DB107に記録する。なお、この処理により、図9におけるa、bで示すように、無線信号を受信した3点の座標からの等距離の座標が算出されるので、より詳細に物品タグの座標を算出することができる。
【0036】
図10は重み付け値を特定する処理の概要を示す第1の図である。
次に図10を用いて重み付け値を特定する第1の処理について説明する。
図10のcは、2つのアンテナの受信強度の組み合わせに対応する重み付け値を保持した重み付け特定用表を示している。そして、物品タグ位置算出部112が物品タグの座標を算出する前の処理として、重み付け算出部111が、あるタグIDに対応づけられて物品タグ信号DB104に記録された2つのアンテナのアンテナ受信強度を読み取り、それら2つのアンテナ受信強度に対応づけられて重み付け特定用表cに記録されている重み付け値を読み取る。そして読み取った重み付け値を物品タグ信号DB104に記録する。これにより、式(2)を用いて物品タグ位置算出部112が物品タグの座標を算出する上述の処理において、重み付け算出部111が特定した重み付け値が利用される。これにより、受信強度に応じても物品タグの座標が算出されることとなるので、さらに精度良い座標を算出することができる。なお、図10で示す重み付け値特定用表cのデータはメモリ(重み付け値記憶手段)などに記録されており、これを重み付け算出部111が読み取ることによって、重み付け値を特定する。なお重み付け特定用表cではタグとの距離が近いほど、電波強度の値が大きいとする。また重み付け特定用表cはアンテナが2本の場合の例であるが、アンテナが1本でも同様に重み付けが可能である。
【0037】
図11は重み付け値を特定する処理の概要を示す第2の図である。
次に図11を用いて重み付け値を特定する第2の処理について説明する。
図11の<A>で示すように、物品位置検出装置1がある物品タグから発信される無線信号の到達距離の範囲内において、異なる速度で移動した場合、当該範囲内の遅く移動した経路(a2)では、物品タグからの無線信号を多く受信し、また当該範囲内の早く移動した経路(a1)では、物品タグからの無線信号の受信が少なくなる。従って、図9で示した物品タグの座標算出の方法により座標が算出された場合には、図11の<B>で示すように、遅く移動した経路の近い座標が算出されてしまう。従って、重み付け算出部111は、あるタグIDの物品タグの重み付け値を算出する際には、まず、当該あるタグIDに対応づけられて物品タグ信号DB104に記録された読み取り時刻を読み取り、その時刻に通過した通過ポイントに対応づけられて移動経路DB105に記録されている区間速度を読み取る。そして、その区間速度を重み付け値として、物品タグ信号DB104に記録する。これにより、物品タグ位置算出部112が式(2)を用いて物品タグの座標を算出する図9の処理において、重み付け算出部111が算出した重み付け値が利用される。従って、図9の座標算出の処理において、区間速度に応じた無線信号の受信回数が考慮され、区間速度が遅い経路についての重み付けより区間速度が速い経路についての重み付けが大きくなるので、算出した物品タグの座標が当該タグの発信する無線信号の到達範囲内における区間速度の遅い経路に近づかないように制御することができる。
【0038】
図12は重み付け値を特定する際に問題となる例を示す図である。
次に図12を用いて重み付け値を特定する際に問題となる例について説明する。
図12の<C>で示すように、ある物品タグから発信される無線信号の到達範囲内の八の字の移動経路を物品位置検出装置1が移動する場合、移動経路が重なる範囲において、物品タグから発信された無線信号の受信回数が増える。この場合、実際には<C>で示すように、到達範囲内の真ん中に物品タグが位置するが、移動経路が重なる範囲において、物品タグから発信された無線信号の受信回数が、前記到達範囲内の他の範囲よりも多いので、図9の物品タグ位置算出部112の処理によって算出された物品タグの座標が、無線信号を多く受信した範囲に傾斜してしまう。
【0039】
また図12の<D>で示すように、ある物品タグから発信される無線信号の到達範囲内の偏った範囲に移動経路があり、当該移動経路を物品位置検出装置1が移動する場合、物品位置検出装置1は前記到達範囲内において移動経路が多く密集する範囲で無線信号を多く受信する。従って、実際には<D>で示すように、到達範囲内の真ん中に物品タグが位置するが、当該到達範囲内の移動経路が多く密集する範囲において、物品タグから発信された無線信号を受信する回数が多いので、図9の物品タグ位置算出部112の処理によって算出された物品タグの座標が、移動経路が多くある範囲に傾斜してしまう。従って、図12の<C>や<D>の例に見られるような問題を解決しなければならない。
【0040】
図13は重み付け値を特定する処理の概要を示す第3―1の図である。
図14は重み付け値を特定する処理の概要を示す第3―2の図である。
図15は重み付けDBのデータ構造を示す図である。
図15が示すように、重み付けDB106は、小通過ポイント毎に、その小通過ポイントの座標(X座標、Y座標)と、そのポイントの通過時刻と、そのポイントを中心とした円と他の通過ポイントを中心とした円が重なる数をカウントとして記憶する。
【0041】
次に図13、図14、図15を用いて、図12で示した問題点を解決するための重み付け値を特定する第3の処理について説明する。
まず、物品位置検出装置1は、図13のdで示すような、円設定表を予めメモリ等に記憶している。また、図13の<E>で示すような小通過ポイントの座標を重み付けDB106で記憶している。なお、この小通過ポイントの座標は移動経路上の予め分かっているポイントであっても良いし、移動経路算出部103が移動経路の各通過ポイントを算出するのと同時に、小通過ポイントを算出するようにしても良い。その際には、円設定表dで示される小区間距離に応じた移動経路上の小通過ポイントを算出する。
【0042】
そして、まず重み付け算出部111は、重み付けDB106を参照して、小通過ポイントの座標を読み取る。そして、1つの小通過ポイントの座標と他の小通過ポイントの座標との関係に基づいて、前記1つの小通過ポイントの座標を中心とする円に、前記他の小通過ポイントの座標を中心とする円が重なる数を算出する。つまり円の半径をZとして、1つの小通過ポイントの座標を(x1,y1)、前記他の小通過ポイントの座標を(x2,y2)とすると、{(x2−x1)2+(y2−y1)2}1/2≦Zとなる2つの他の小通過ポイントの数を算出すればよい。そして、重み付け算出部111は、円が重なる数を小区間ポイントの番号に対応付けて重み付けDB106に記録する。
【0043】
次に、図14より、重み付け算出部111は、あるタグIDに対応づけられて物品タグ信号DB104に記録された読み取り時刻を読み取り、その時刻に通過した小通過ポイントに対応づけられて重み付けDB106に記録されているカウントの値(円の重なる数)を読み取る。そして、カウントの値の逆数を、前記あるタグIDの重み付け値として、物品タグ信号DB104に記録する。また、あるタグIDに対応づけられて物品タグ信号DB104に記録された読み取り時刻を読み取り、その読み取った時刻が2つの小通過ポイントを通過した時刻の間の時刻である場合には、それら2つの小通過ポイントに対応づけられて重み付けDB106に記録されている2つのカウントの値(円の重なる数)を読み取る。そして、読み取ったカウントの平均の逆数を、前記あるタグIDの重み付け値として、物品タグ信号DB104に記録する。そして物品タグ位置算出部112が物品タグの座標を算出する図9の処理において、重み付け算出部111が特定した重み付け値が利用される。つまり、図9の処理だけでは、図12を示したように物品タグが本来の座標よりも、移動経路が多くある範囲に傾斜して算出されてしまうが、その移動経路が多くある範囲で受信した物品タグの無線信号に対する重み付けを前記逆数により軽くするので、より精度良く、物品タグの座標を算出することができる。
【0044】
図16は物品情報DBのデータ構造を示す図である。
図16が示すように、物品情報DBは、物品タグIDに対応づけて物品名や所有者などの物品属性情報を記憶している。
図17は物品位置検出装置1の処理フローを示す図である。
次に図17を用いて、物品位置検出装置1の処理の全体の流について説明する。
まず、物品タグ位置DB107には、予め物品タグのタグIDが記録される(ステップS1)。このとき各物品タグの座標は未確定である。そして、物品位置検出装置1の移動に伴って、物品タグからの無線信号を受信し、その無線信号に含まれる情報を物品タグ信号DB104に記録していく(ステップS2)。また同時に、移動経路検出部103が物品位置検出装置1の座標と、その座標を通過した時刻を移動経路DBに記録していく(ステップS3)。また、重み付けの補正を行う場合には、重み付け算出部111が、重み付けの特定の処理を行って、物品タグ信号DB104に記録されている重み付け値を書き換える(ステップS4)。そして、物品タグ位置算出部112が、物品タグ信号DB104と、移動経路DB105に記録されている情報に基づいて、各物品タグの座標を算出し、物品タグ位置DB107に記録する(ステップS5)。また、表示処理部113は、物品タグ位置DB107と物品情報DB108に記録されているタグIDに基づいて、各物品の詳細と、その物品がどこにあるかの情報(つまり座標)をモニタなどに表示する(ステップS6)。
【0045】
なお、上述の物品位置検出装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0046】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本実施形態による物品位置検出装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態による移動経路DBのデータ構造を示す図である。
【図3】本実施形態による物品位置検出装置の移動経路を検出する第1の処理の概要を示す図である。
【図4】本実施形態による物品位置検出装置の移動経路を検出する第2の処理の概要を示す図である。
【図5】本実施形態による物品位置検出装置の移動経路を検出する第3の処理の概要を示す図である。
【図6】本実施形態による物品タグ信号DBのデータ構造を示す図である。
【図7】本実施形態による物品タグ位置DBのデータ構造を示す図である。
【図8】本実施形態による物品タグの座標を算出する際の第1の処理の概要を示す図である。
【図9】本実施形態による物品タグの座標を算出する際の第2の処理の概要を示す図である。
【図10】本実施形態による重み付け値を特定する処理の概要を示す第1の図である。
【図11】本実施形態による重み付け値を特定する処理の概要を示す第2の図である。
【図12】本実施形態による重み付け値を特定する際に問題となる例を示す図である。
【図13】本実施形態による重み付け値を特定する処理の概要を示す第3―1の図である。
【図14】本実施形態による重み付け値を特定する処理の概要を示す第3―2の図である。
【図15】本実施形態による重み付けDBのデータ構造を示す図である。
【図16】本実施形態による物品情報DBのデータ構造を示す図である。
【図17】本実施形態による物品位置検出装置1の処理フローを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1・・・・・物品位置検出装置
101・・・アンテナ
102・・・信号受信部
103・・・移動経路検出部
104・・・物品タグ信号DB
105・・・移動経路DB
106・・・重み付けDB
107・・・物品タグ位置DB
108・・・物品情報DB
109・・・物品タグ信号記録部
110・・・移動経路記録部
111・・・重み付け算出部
112・・・物品タグ位置算出部
113・・・表示処理部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、
移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、
を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置であって、
自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付ける移動座標受付手段と、
前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出する第1時刻検出手段と、
前記無線信号を受信した時刻を検出する第2時刻検出手段と、
前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出する信号受信座標算出手段と、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する発信装置座標算出手段と、
を備えることを特徴とする物品位置検出装置。
【請求項2】
移動経路上の通過地点それぞれの座標を通過順に記憶する通過地点座標記憶手段と、
前記通過地点を通過した通知を受け付ける度に、前記通過地点座標記憶手段から前記通過順に記憶された自装置の前記座標を順次読みとって前記移動座標受付手段に通知する自座標通知手段と、
を備え、
前記第1時刻検出手段は、前記通過地点を通過した通知を受け付けた時刻を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の物品位置検出装置。
【請求項3】
移動経路上に複数の座標通知手段が備えられており、
さらに、
前記座標通知手段から得た情報に基づいて自装置の位置する座標を検出し前記移動座標受付手段に通知する自座標検出手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品位置検出装置。
【請求項4】
左右2つの車輪と、
前記左右それぞれの車輪の回転数に基づいて前記左右の車輪の移動距離を算出する移動距離算出手段と、
前記左右の車輪それぞれの移動距離に基づいて移動開始時の前記2つの車輪の進行方向を基準とした方向転換角度を算出する方向転換角度算出手段と、
前記2つの車輪の移動距離と、前記方向転換角度と、に基づいて、前記移動に伴う所定の時刻における自装置の位置する座標を検出する自座標検出手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品位置検出装置。
【請求項5】
前記無線信号の受信強度に対応する重み付け値を記憶する重み付け値記憶手段をさらに備え、
前記発信装置座標算出手段は、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記受け付けた複数の無線信号の受信強度それぞれに対応する前記重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の物品位置検出装置。
【請求項6】
前記移動に伴って自装置の位置する座標を順次受け付ける度に、自装置の速度を算出する速度算出手段を備え、
前記発信装置座標算出手段は、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記算出した自装置の速度の値の重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の物品位置検出装置。
【請求項7】
前記無線信号の信号到達範囲内における移動経路上の等間隔の通過点それぞれの座標を、前記無線信号を発信する一つの前記物品識別情報発信装置ごとに記憶する通過点座標記憶手段と、
前記通過点それぞれを中心とした半径を有するそれぞれの円について、他の円と重なる数を、当該円の中心となる通過点ごとに算出する経路密度算出手段と、
同一の前記物品識別情報発信装置から複数の前記無線信号を受信した各時刻における自装置の各座標に基づいて、当該座標と一致または前後する通過点を特定し、その通過点に対応して前記経路密度記憶手段に記録される円の数の逆数を重み付け値と算出する重み付け値算出手段とをさらに備え、
前記発信装置座標算出手段は、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記算出した重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の物品位置検出装置。
【請求項8】
物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、
移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、
を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置の位置検出方法であって、
前記位置検出装置の移動座標受付手段が、自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付け、
前記位置検出装置の第1時刻検出手段が、前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出し、
前記位置検出装置の第2時刻検出手段が、前記無線信号を受信した時刻を検出し、
前記位置検出装置の信号受信座標算出手段が、前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出し、
前記位置検出装置の発信装置座標算出手段が、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する
ことを特徴とする物品位置検出方法。
【請求項9】
物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、
移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、
を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付ける移動座標受付処理と、
前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出する第1時刻検出処理と、
前記無線信号を受信した時刻を検出する第2時刻検出処理と、
前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出する信号受信座標算出処理と、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する発信装置座標算出処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項1】
物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、
移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、
を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置であって、
自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付ける移動座標受付手段と、
前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出する第1時刻検出手段と、
前記無線信号を受信した時刻を検出する第2時刻検出手段と、
前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出する信号受信座標算出手段と、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する発信装置座標算出手段と、
を備えることを特徴とする物品位置検出装置。
【請求項2】
移動経路上の通過地点それぞれの座標を通過順に記憶する通過地点座標記憶手段と、
前記通過地点を通過した通知を受け付ける度に、前記通過地点座標記憶手段から前記通過順に記憶された自装置の前記座標を順次読みとって前記移動座標受付手段に通知する自座標通知手段と、
を備え、
前記第1時刻検出手段は、前記通過地点を通過した通知を受け付けた時刻を検出する
ことを特徴とする請求項1に記載の物品位置検出装置。
【請求項3】
移動経路上に複数の座標通知手段が備えられており、
さらに、
前記座標通知手段から得た情報に基づいて自装置の位置する座標を検出し前記移動座標受付手段に通知する自座標検出手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品位置検出装置。
【請求項4】
左右2つの車輪と、
前記左右それぞれの車輪の回転数に基づいて前記左右の車輪の移動距離を算出する移動距離算出手段と、
前記左右の車輪それぞれの移動距離に基づいて移動開始時の前記2つの車輪の進行方向を基準とした方向転換角度を算出する方向転換角度算出手段と、
前記2つの車輪の移動距離と、前記方向転換角度と、に基づいて、前記移動に伴う所定の時刻における自装置の位置する座標を検出する自座標検出手段と、
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物品位置検出装置。
【請求項5】
前記無線信号の受信強度に対応する重み付け値を記憶する重み付け値記憶手段をさらに備え、
前記発信装置座標算出手段は、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記受け付けた複数の無線信号の受信強度それぞれに対応する前記重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の物品位置検出装置。
【請求項6】
前記移動に伴って自装置の位置する座標を順次受け付ける度に、自装置の速度を算出する速度算出手段を備え、
前記発信装置座標算出手段は、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記算出した自装置の速度の値の重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の物品位置検出装置。
【請求項7】
前記無線信号の信号到達範囲内における移動経路上の等間隔の通過点それぞれの座標を、前記無線信号を発信する一つの前記物品識別情報発信装置ごとに記憶する通過点座標記憶手段と、
前記通過点それぞれを中心とした半径を有するそれぞれの円について、他の円と重なる数を、当該円の中心となる通過点ごとに算出する経路密度算出手段と、
同一の前記物品識別情報発信装置から複数の前記無線信号を受信した各時刻における自装置の各座標に基づいて、当該座標と一致または前後する通過点を特定し、その通過点に対応して前記経路密度記憶手段に記録される円の数の逆数を重み付け値と算出する重み付け値算出手段とをさらに備え、
前記発信装置座標算出手段は、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、前記算出した重み付け値と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する
ことを特徴とする請求項1から請求項4に記載の物品位置検出装置。
【請求項8】
物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、
移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、
を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置の位置検出方法であって、
前記位置検出装置の移動座標受付手段が、自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付け、
前記位置検出装置の第1時刻検出手段が、前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出し、
前記位置検出装置の第2時刻検出手段が、前記無線信号を受信した時刻を検出し、
前記位置検出装置の信号受信座標算出手段が、前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出し、
前記位置検出装置の発信装置座標算出手段が、同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する
ことを特徴とする物品位置検出方法。
【請求項9】
物品に付設され、前記物品の識別情報を無線信号により発信する物品識別情報発信装置と、
移動中に前記無線信号を受信して前記物品の位置する座標を検出する位置検出装置と、
を備えた物品位置検出システムにおける、前記位置検出装置のコンピュータに実行させるプログラムであって、
自装置の位置する座標を前記移動に伴って順次受け付ける移動座標受付処理と、
前記座標を受け付けたそれぞれの時刻を検出する第1時刻検出処理と、
前記無線信号を受信した時刻を検出する第2時刻検出処理と、
前記無線信号を受信した時刻に自装置が位置する座標を、当該無線信号を受信した時刻と、前記移動に伴って順次受け付けた座標と、それら座標を受け付けた時刻と、に基づいて算出する信号受信座標算出処理と、
同一の前記物品識別情報発信装置から受け付けた1つまたは複数の前記無線信号の数と、それら無線信号の受信の各時刻における自装置の各座標と、前記移動に伴って順次受け付ける自装置の各座標およびそれら座標を受け付けた前記時刻と、に基づいて前記物品識別情報発信装置の座標を算出する発信装置座標算出処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2006−145384(P2006−145384A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−336023(P2004−336023)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(397065480)エヌ・ティ・ティ・コムウェア株式会社 (187)
【Fターム(参考)】
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