説明

物品供給排出装置

【課題】搬送車上で物品を精度良くかつ安価に位置決めできるようにする。
【解決手段】物品供給排出装置は、軌道20と搬送車22と位置決め機構24とを備える。軌道20は、供給口と排出口とに面して左右Y方向に沿って配置される。搬送車22は、左右Y方向にスライド自在な物品載置部34を有し、軌道20上を走行可能である。位置決め機構24は、搬送車22と別に設けられ、搬送ラック12を左右Y方向に位置決め可能である。位置決め機構は、第1及び第2押圧部材64a,64bと、第1及び第2受圧部材66a,66bと、を有する。第1及び第2押圧部材66a,66bは、供給口において、物品載置部34に載置された搬送ラック12を左右Y方向に押圧可能である。第1及び第2受圧部材66a,66bは、第1及び第2押圧部材66a,66bにより押圧される搬送ラック12を受ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、供給排出装置、特に、物品を供給口と排出口との間で搬送する物品供給排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、フォークリフトによりパレット(物品の一例)上に載置された荷物をスタッカクレーンの供給口で軌道上を走行する搬送車に載置して受け渡しを行う場合、パレットを位置決めしてから、スタッカクレーンに受け渡す必要がある。これは、搬送車の停止精度が十分な精度が得られないからである。
【0003】
従来の、進退自在に装着された位置決め部材をローラコンベアに設け、位置決め部材を進出させた状態でローラコンベアを駆動してパレットを位置決めすることが行われている(例えば、特許文献1参照)。ローラコンベアによりパレットを搬送する場合、このようにローラコンベアに位置決め部材を設けることにより、パレットの位置決めを行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−341409号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、搬送車に物品を載置して搬送車の進行方向に物品を位置決めする場合、搬送車の停止位置の位置決め及び搬送車上での物品の位置決めを行わなければならず、位置決め装置の構成が複雑になる。
【0006】
本発明の課題は、搬送車に物品を載置しても物品を精度良くかつ安価に位置決めできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に、課題を解決するための手段として複数の態様を説明する。これら態様は、必要に応じて任意に組み合せることができる。
【0008】
本発明の一見地に係る物品供給排出装置は、第1方向に沿って配置された供給口と排出口との間で物品を搬送する物品供給排出装置である。物品供給排出装置は、軌道と、搬送車と、位置決め部と、を備えている。軌道は、供給口と排出口とに面して第1方向に沿って配置されている。搬送車は、第1方向にスライド自在な物品載置部を有し、軌道上を走行可能である。位置決め部は、搬送車と別に設けられ、物品を第1方向に位置決め可能である。位置決め部は、押圧部材と、受圧部材と、を有している。押圧部材は、供給口において、物品載置部に載置された物品を第1方向に押圧可能である。受圧部材は、押圧部材により押圧される物品を受ける。
この物品供給排出装置では、物品が供給口で搬送車の物品載置部に載置されると、位置決め部の押圧部材により物品が第1方向に受圧部材に向けて押圧される。物品が受圧部材向けて押圧されると、物品載置部が物品とともに受圧部材に向けてスライドする。これにより、物品が受圧部材に接触して第1方向の所定位置に位置決めされる。この位置決め部は、搬送車と別に設けられているので、搬送車の位置決め及び搬送車上での物品の位置決めを行う必要がなくなる。これにより、搬送車に物品を載置しても物品を精度良くかつ安価に位置決めできるようになる。
【0009】
受圧部材は、軌道の供給口側の端部で物品を受けるように配置され、押圧部材は、搬送車に対して退避した退避位置から物品を押圧可能な位置に移動可能であってもよい。
これにより、受圧部材の配置の制限が緩和されるので、受圧部材を配置しやすくなる。また、押圧部材が退避位置で搬送車から退避する位置に配置されるので、搬送車の移動を妨げることなく、物品を確実に押圧することができる。
【0010】
押圧部材は、退避位置から搬送車を押圧可能な位置に旋回動作で移動してもよい。これにより、押圧部材を小さい空間に配置できる。
受圧部材は、第1方向に移動可能であってもよい。これにより、物品を受ける位置を変更することができる。また、第1方向と直交する第2方向から物品を搬送車に積み込む場合、積み込み中に受圧部材を退避させることにより、物品が受圧部材に接触しなくなる。
【0011】
物品は、複数の搬送物を少なくとも上下に並べて配置可能な搬送物収納部であり、供給口においてフォークにより搬送物が搬送車との間で搬入及び搬出されてもよい。
この場合には、供給口で物品である搬送物収納部が位置決めされ、搬送物収納部に対してフォークにより搬送物が搬出又は搬入される。物品は搬送車上に残って、搬送車により排出口まで移動して排出される。これにより、搬送物にさらに複数の物体を配置することにより、複数の物体をまとめて取り扱いでき、複数の物体の搬送処理時間を短縮できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、物品を位置決めする位置決め部が軌道及び搬送車と別に設けられているので、搬送車の位置決め及び搬送車上での物品の位置決めを行う必要がなくなる。これにより、搬送車に物品を載置しても物品を精度良くかつ安価に位置決めできるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態による物品供給排出装置の平面図。
【図2】その物品供給排出装置の正面図。
【図3】搬送車の平面図。
【図4】搬送車の一部破断正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1)全体構成
以下、本発明に係る一実施形態による物品供給排出装置10を説明する。なお、この実施形態において、図1の上下方向が物品供給排出装置10の前後X方向であり、図1の左右方向が物品供給排出装置10の左右Y方向(第1方向の一例)である。また、図2の上下方向が物品供給排出装置10の上下Z方向である。
【0015】
図1及び図2に示すように、本発明の一実施形態による物品供給排出装置10は、搬送ラック12(物品及び搬送物収納部の一例)を左右Y方向に沿って配置された供給口10aと排出口10bとの間で搬送するものである。供給口10aを通って搬送ラック12を物品供給搬送装置10に供給可能であり、排出口10bを通って搬送ラック12を物品許供給排出装置10から排出可能である。また、物品供給排出装置10は、供給口10aにおいてスタッカクレーン14との間で搬送ラック12に収納されたトレイ16(搬送物の一例)を搬入及び搬出する。スタッカクレーン14は、進退するフォーク(図示せず)により、受け取ったトレイ16を図示しない自動倉庫の棚に荷下ろしする。また、スタッカクレーン14は、自動倉庫の棚から荷積みしたトレイ16を搬送ラック12に積み込む。
【0016】
搬送ラック12は、上下Z方向に例えば4段、左右Y方向に例えば2列のトレイ収納棚12aを有している。したがって、この実施形態では、トレイ収納棚12aに、8個のトレイ16を収納可能である。トレイ収納棚12aは、トレイ16を載置可能な左右一対の棚部12bと、トレイ16を左右Y方向で位置決めするための左右一対の位置決め斜面12cと、をそれぞれ有している。各トレイ16には、左右Y方向に例えば6個、前後X方向に例えば4個の合計24個の充電池セル18(物体の一例)を載置可能である。搬送ラック12の各トレイ収納棚12aの両側には、トレイ16を左右Y方向に位置決めするための位置決め斜面12cが形成されている。これにより、トレイ16は、搬送ラック12内で左右Y方向に位置決めされる。
【0017】
物品供給排出装置10は、床面FLに左右Y方向に沿って配置された軌道20と、軌道20上を走行可能であり、搬送ラック12を載置可能な搬送車22と、搬送車22に載置された搬送ラック12を位置決めする位置決め機構24(位置決め部の一例)と、を備えている。供給口10aに面して、搬送ラック12を供給するための供給コンベア26が設けられている。排出口10bに面して、搬送ラック12を排出するための排出コンベア28が設けられている。これらの供給コンベア26及び排出コンベア28は、いずれもモータ駆動されるチェーンコンベアであり、実質的に同じ高さの搬送面を有している。
【0018】
(2)軌道
軌道20は、例えば、鉄道用の一対の軽レール20aを有しており、軽レール20aは、前後X方向に間隔を隔てて床面FLに敷設されている。軌道20は、供給口10aと排出口10bに面して左右Y方向に沿って配置されている。軌道20の両端部には、搬送車22を非常停止させるためのストッパ20bがそれぞれ固定されている。ストッパ20bは位置決め用のものではなく、暴走等の緊急時に使用されるものである。
【0019】
(3)搬送車
搬送車22は、図3及び図4に示すように、台車部32と、台車部32に左右Y方向に移動自在に装着された物品載置部34と、を備えている。また、搬送車22は、物品載置部34をロック及びロック解除するロック機構36(図3)と、物品載置部34をロック位置に付勢する付勢機構38と、を備えている。搬送車22は、供給口10aに対応する供給位置と排出口10bに対応する排出位置との間で軌道20上を走行する。
【0020】
(3−1)台車部
台車部32は、台車本体40と、一対の駆動輪41及び一対の従動輪42と、を有している。台車本体40は、概ね矩形枠状の部材であり、中央部分40aが両端部分40bより下方に凹んで形成されている。凹んだ中央部分40aに物品載置部34が左右Y方向にスライド自在に配置されている。台車本体40の左右Y方向の両端において、両側方には、ストッパ20bに接触可能な当接部40cがそれぞれ配置されている。一方の側(図1下側)の当接部40cには、軽レール20aの両側面を挟むように配置された前後一対のガイド車輪44が回転自在に装着されている。駆動輪41は、走行モータ43により駆動される。
【0021】
(3−2)物品載置部
物品載置部34は、台車本体40に対して左右Y方向にスライド自在に装着されている。具体的には、物品載置部34は、台車本体40の中央部分40aに複数(例えば前後左右に4つ)のリニア軸受45を介して左右Y方向に移動自在に支持されている。物品載置部34は、基台46と、基台46上に固定された搬送コンベア48と、を有している。基台46は、矩形枠形状の部材であり、リニア軸受45を介して台車本体40にスライド自在に支持されている。搬送コンベア48は、チェーンコンベアであり、前後X方向に沿って配置されており、搬送ラック12を前後X方向に搬送可能である。搬送コンベア48は、供給コンベア26及び排出コンベア28と実質的に同じ高さの搬送面を有している。搬送コンベア48は、供給口10aでは、供給コンベア26から搬送ラック12を受け取り、排出口10bでは、排出コンベア28に搬送ラック12を排出する。搬送コンベア48は、基台46上に設けられた搬送モータ50により循環駆動される。
【0022】
(3−3)ロック機構
ロック機構36は、図3に示すように、物品載置部34をロック位置でロック及びロック解除可能な機構である。ロック機構36は、搬送車22が軌道20上を走行する際に、慣性により物品載置部34が移動しないようにするために設けられている。ロック機構36は、台車本体40の中央部分40aに固定されたロック部52と、基台46の下面に固定されたロック受け部53と、を有している。ロック部52は、前後X方向に進退するロックシリンダ52aと、ロックシリンダ52aのロッド先端に固定されたロック片52bと、ロック片52bを前後X方向に案内するロック片案内部52cと、を有している。ロックシリンダ52aは空圧シリンダである。ロック片52bは、先端部が先細りの一対の傾斜面52dを有している。ロック片案内部52cは、ロックシリンダ52aの両側に配置されている。ロック受け部53は、ロック片52bが係合可能な傾斜面53aを有している。ここで、ロック位置は、物品載置部34が台車本体40の左右Y方向の中心に位置
するように設定されている。
【0023】
(3−4)付勢機構
付勢機構38は、位置決め機構24の位置決めが解除されたときに、物品載置部34をロック機構36でロックできるようにロック位置に戻すために設けられている。付勢機構38は、図3及び図4に示すように、台車本体40の中央部分40aに固定された軸支持部54と、軸支持部54に固定されたバネ軸56と、バネ軸56に装着された一対のコイルバネ58と、一対のコイルバネ58の両端を係止する一対のバネ受け部60と、を有している。軸支持部54は、中央部分40aの左右Y方向の中心位置に固定されている。バネ軸56は、左右Y方向に沿って配置されその中央部が軸支持部54に固定されている。バネ軸56の両端には、バネ力を調整するためのナット部材62が螺合している。コイルバネ58は、バネ軸56の外周側に配置されている。バネ受け部60は、基台46の下面に固定された内側受け部材60aと、コイルバネ58を挟んで内側受け部材60aの外方に対向して配置された外側受け部材60bと、を有している。外側受け部材60bの外側面にナット部材62が配置されている。外側受け部材60bは、バネ軸56に軸方向移動自在に支持されている。
このような構成の付勢機構38では、ナット部材62により左右のコイルバネ58のバネ力を適宜に調整することにより、位置決め機構24により物品が位置決めされても、位置決めが解除されれば、物品載置部34をロック位置に戻すことができる。
【0024】
(4)位置決め機構
位置決め機構24は、供給口10aにおいて、搬送ラック12を左右Y方向に位置決めするものである。搬送ラック12内のトレイ16は、位置決め斜面12cにより左右Y方向に実質的に位置決めされている。これにより、スタッカクレーン14がトレイ16を受け取って、自動倉庫の棚にトレイ16を荷卸しするとき、トレイ16を確実に棚に載置できる。
【0025】
位置決め機構24は、供給口10aの一端に配置された前後一対の第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bと、他端に配置された前後一対の第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bと、を有している。第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bは、物品載置部34の搬送コンベア48に載置された搬送ラック12を第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bに向けて左右Y方向に押圧可能である。第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bは、第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bにより押圧された搬送ラック12を受ける。したがって、第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bに当接した位置で搬送ラック12が位置決めされる。
【0026】
(4−1)第1押圧部材及び第2押圧部材
第1押圧部材64aは、搬送車22のスタッカクレーン14側に配置されている。第2押圧部材64bは、搬送車22を挟んで第1押圧部材64aと逆側に配置されている。第1押圧部材64aは、スタッカクレーン14と軌道20との間に左右Y方向に沿って配置された第1ブラケット68aに設けられている。第1ブラケット68aは、軌道20のスタッカクレーン14側で床面FLに固定されている。ここで、第1ブラケット68aはスタッカクレーン14の走行を妨げないようにするために、左右Y方向に沿って配置されている。
【0027】
第1押圧部材64aは、第1ブラケット68aに上下Z方向の軸回りに回動自在に支持された第1押圧シリンダ70aと、第1押圧シリンダ70aにより上下Z軸回りに回動する第1押圧アーム72aとを有している。第1押圧シリンダ70aは、中間トラニオン型の空圧シリンダである。第1押圧アーム72aは、第1ブラケット68aに上下Z方向の軸回りに回動自在に支持されている。第1押圧アーム72aは、筒状の第1支持部74aと、第1支持部74aから延びる第1アーム部76aと、第1アーム部76aに設けられた第1連結部78aと、第1アーム部76aに設けられた第1押圧部80aと、有している。第1支持部74aは、第1ブラケット68aに上下Z方向の回りに回動自在に支持されている。第1アーム部76aは板状の部材である。第1連結部78aは、第1押圧シリンダ70aのシリンダロッドの先端に回動自在に連結されている。第1押圧部80aは、第1連結部78aから離反した位置に設けられ、先端に搬送ラック12を押圧可能な第1押圧面82aを有している。第1アーム部76aは、第1押圧シリンダ70aの進出により、図3に二点鎖線で示す退避位置から図3に矢符Aで示すように反時計回りに100度程度回動可能である。
【0028】
第2押圧部材64bは、第1押圧部材64aと配置の方向が異なるだけであり、構成は実質的に同一である。第2押圧部材64bは、供給コンベア26の排出コンベア28側に前後X方向に沿って配置された第2ブラケット68bに設けられている。第2ブラケット68bは、供給コンベア26の排出コンベア28側で床面FLに固定されている。
【0029】
第2押圧部材64bは、第2ブラケット68bに上下Z方向の軸回りに回動自在に支持された第2押圧シリンダ70bと、第2押圧シリンダ70bにより上下Z軸回りに回動する第2押圧アーム72bとを有している。第2押圧シリンダ70bは、中間トラニオン型の空圧シリンダである。第2押圧アーム72bは、第2ブラケット68bに上下Z方向の軸回りに回動自在に支持されている。第2押圧アーム72bは筒状の第2支持部74bと、第2支持部74bから延びる第2アーム部76bと、第2アーム部76bに設けられた第2連結部78bと、第2アーム部76bに設けられた第2押圧部80bと、有している。第2支持部74bは、第2ブラケット68bに上下Z方向の回りに回動自在に支持されている。第2アーム部76bは板状の部材である。第2連結部78bは、第2押圧シリンダ70bのシリンダロッドの先端に回動自在に連結されている。第2押圧部80bは、第2連結部78bから離反した位置に設けられ、先端に搬送ラック12を押圧可能な第2押圧面82bを有している。第2アーム部76bは、第2押圧シリンダ70bの進出により、図3に二点鎖線で示す退避位置から図3に矢符Bで示すように時計回りに概ね100度回動可能である。
【0030】
(4−2)第1受圧部材及び第2受圧部材
第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bは、軌道20を跨いで床面FLに設けられた第3ブラケット84に前後Y方向に間隔を隔て設けられている。第3ブラケット84は、前後X方向に沿って配置され、軌道20の両側で床面FLに固定されている。
【0031】
第1受圧部材66aと第2受圧部材66bとは、同じ構造の部材である。したがって、以降の説明では、第1受圧部材66aについて説明する。第1受圧部材66aは、第3ブラケット84に固定された第1受圧シリンダ86aと、第1受圧シリンダ86aのロッドの先端に固定された第1受圧部88aと、を有している。第1受圧部88aは、第1受圧シリンダ86aの両側に配置された第1受圧ガイド部90aにより左右Y方向に案内される。第1受圧部88aは、先端に搬送ラック12を受ける第1受圧面92aを有している。この第1受圧面92aが搬送ラック12に接触して、第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bにより押圧された搬送ラック12を位置決めする。
【0032】
第2受圧部材66bは、第1受圧部材aと同様な構造の第2受圧シリンダ86bと、第2受圧部88bと、第2受圧ガイド部90bと、第2受圧面92bと、を有している。
【0033】
第1受圧部88a及び第2受圧部88bは、第1受圧シリンダ86a及び第2受圧シリンダ86bが最も退入した退入位置と最も進出した進出位置とに移動する。
【0034】
本実施形態では、第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bは、第1受圧シリンダ86a及び第2受圧シリンダ86bが最も進出した進出位置で搬送ラック12を位置決めする。このため、第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bによる受圧力は、第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bによる押圧力より大きくなるように、第1受圧シリンダ86a及び第2受圧シリンダ86b並びに第1押圧シリンダ70a及び第2押圧シリンダ70bへの圧縮空気の供給圧力が設定されている。
【0035】
(5)物品供給排出装置の動作
搬送ラック12が供給コンベア26に、例えばフォークリフト等の物流装置により供給されると、搬送車22は、供給位置に配置される。このとき、搬送車は、図示しないセンサ等の信号により制御されてストッパ20bより手前に設定された供給位置で停止する。しかし、この停止誤差は、通常プラスマイナス10mm程度であるため、搬送ラック12の位置決めを行う必要がある。搬送車22が供給位置に配置されると、供給コンベア26から物品載置部34の搬送コンベア48に搬送ラック12が搬送される。
【0036】
搬送ラック12が搬送コンベア48に搬送されると、位置決め機構24が動作を開始する。最初に、第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bの第1受圧シリンダ86a及び第2受圧シリンダ86bがストロークエンドまで進出して、第1受圧部88a及び第2受圧部88bが図1及び図2に示す退入位置から図3及び図4に示す進出位置まで進出する。このとき、搬送ラック12との間に通常は僅かな隙間が形成されている。
【0037】
次に、ロック機構36によるロックを解除する。ロック機構36によるロックを解除すると、第1押圧シリンダ70a及び第2押圧シリンダ70bを進出させる。これにより、第1押圧部80a及び第2押圧部80bが旋回し、搬送ラック12が第1受圧部88a及び第2受圧部88bに向けて押圧される。これにより、物品載置部34が図4左方に移動し、搬送ラック12が第1受圧部88a及び第2受圧部88bに接触して位置決めされる。第1押圧シリンダ70a及び第2押圧シリンダ70bのストロークは、位置決め時にストロークエンドまでは進出しないように設定されている。
【0038】
位置決めが終わると、スタッカクレーン14によりトレイ16を搬送ラック12から取り出して所望の棚又は次工程にトレイ16を搬送する。この動作を例えば全てのトレイ16を取り出すまで繰り返す。また、自動倉庫の棚にある充電池セル18を出庫する必要がある場合は、出庫する充電池セル18を載置されたトレイ16がスタッカクレーン14から出庫されるのを待つ。
【0039】
トレイ16の取り出し又はトレイ16の出庫が完了すると、位置決め機構24による位置決めを解除する。すなわち、第1押圧シリンダ70a及び第2押圧シリンダ70b並びに第1受圧シリンダ86a及び第2受圧シリンダ86bを退入させ、第1押圧部80a及び第2押圧部80bを退避位置に戻すとともに、第1受圧部88a及び第2受圧部88bを退入位置に戻す。これにより、付勢機構38の作用により、物品載置部34が台車本体40の中央部分40aの中心位置であるロック位置に戻る。物品載置部34がロック位置に戻ると、ロック機構36により物品載置部34をロックする。物品載置部34がロックされると、搬送車22を排出位置まで移動させ、搬送ラック12を排出口10bに移動させる。搬送車22が排出位置に到達すると、排出コンベア28により搬送された搬送ラック12を排出する。
【0040】
ここでは、床面FLに設置され、軌道20及び搬送車22と別に設けられた位置決め機構24により物品としての搬送ラック12を位置決めしているので、搬送車22の位置決め及び搬送車22上での搬送ラック12の位置決めを行う必要がなくなる。これにより、搬送車22に搬送ラック12を載置しても搬送ラック12を精度良くかつ安価に位置決めできるようになる。
【0041】
(6)特徴
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
(A)物品供給排出装置10は、左右Y方向に沿って配置された供給口10aと排出口10bとの間で搬送ラック12を搬送する物品供給排出装置である。物品供給排出装置10は、軌道20と、搬送車22と、位置決め機構24と、を備えている。軌道20は、供給口10aと排出口10bとに面して左右Y方向に沿って配置されている。搬送車22は、左右Y方向にスライド自在な物品載置部34を有し、軌道20上を走行可能である。位置決め機構24は、搬送車22と別に設けられ、搬送ラック12を左右Y方向に位置決め可能である。位置決め機構24は、第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bと、第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bと、を有している。第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bは、供給口10aにおいて、物品載置部34に載置された搬送ラック12を左右Y方向に押圧可能である。第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bは、第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bにより押圧される搬送ラック12を受ける。
この物品供給排出装置10では、搬送ラック12が供給口10aで搬送車22の物品載置部34に載置されると、位置決め機構24の第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bにより搬送ラック12が前後Y方向に第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bに向けて押圧される。搬送ラック12が第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bに向けて押圧されると、物品載置部34が搬送ラック12とともに第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bに向けてスライドする。これにより、搬送ラック12が第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bに接触して前後Y方向の所定位置に位置決めされる。この位置決め機構24は、搬送車22と別に設けられているので、搬送車の位置決め及び搬送車22上での搬送ラック12の位置決めを行う必要がなくなる。これにより、搬送車22に搬送ラック12を載置しても搬送ラック12を精度良くかつ安価に位置決めできるようになる。
【0042】
(B)第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bは、軌道20の供給口10a側の端部で搬送ラック12を受けるように配置され、第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bは、搬送車22に対して退避した退避位置から搬送ラック12を押圧可能な位置に移動可能である。
これにより、第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bの配置の制限が緩和されるので、第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bを配置しやすくなる。また、第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bが退避位置で搬送車22から退避する位置に配置されるので、搬送車22の移動を妨げることなく、搬送ラック12を確実に押圧することができる。
【0043】
(C)第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bは、退避位置から搬送車22を押圧可能な位置に旋回動作で移動する。これにより、第1押圧部材64a及び第2押圧部材64bを小さい空間に配置できる。
【0044】
(D)第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bは、左右Y方向に移動可能である。これにより、搬送ラック12を受ける位置を変更することができる。また、左右Y方向と直交する前後X方向から搬送ラック12を搬送車22に積み込む場合、積み込み中に第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bを退避させることにより、搬送ラック12が第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bに接触しなくなる。
【0045】
(E)搬送ラック12は、複数のトレイ16を少なくとも上下に並べて配置可能な搬送物収納部である。収納されたトレイ16は、供給口10aにおいてスタッカクレーン14のフォークにより搬送車22との間で搬入及び搬出される。
この場合には、供給口10aで搬送ラック12が位置決めされ、搬送物収納部である搬送ラック12に対してフォークにより搬送物が搬出又は搬入される。搬送ラック12は搬送車22上に残って、搬送車22により排出口10bまで移動して排出される。これにより、トレイ16にさらに複数の物体(例えば充電池セル18)を配置することにより、複数の物体をまとめて取り扱いでき、複数の物体の搬送処理時間を短縮できる。
【0046】
(7)他の実施形態
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0047】
(a)前記実施形態では、第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bを左右Y方向に移動可能にしたが、本発明はこれに限定されない。第1受圧部材66a及び第2受圧部材66bは、移動不能に固定されていてもよい。
【0048】
(b)前記実施形態では、搬送コンベアとしてチェーンコンベアを用いたが、搬送コンベアはチェーンコンベアに限定されず、物品を搬送可能なものであればどのような形態でもよい。例えば、ローラコンベア及びベルトコンベア等のコンベアでもよい。
【0049】
(c)前記実施形態では、床面FL上に軌道20及び位置決め機構24等が設置されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、床面又はピットに基礎フレームを設け、基礎フレーム上に軌道20及び位置決め機構等を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、搬送車に載置された物品を位置決めする物品供給排出装置に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0051】
10 物品供給排出装置
10a 供給口
10b 排出口
12 搬送ラック
12a トレイ収納棚
12b 棚部
12c 位置決め斜面
14 スタッカクレーン
16 トレイ
18 充電池セル
20 軌道
20a 軽レール
20b ストッパ
22 搬送車
24 位置決め機構
26 供給コンベア
28 排出コンベア
32 台車部
34 物品載置部
36 ロック機構
38 付勢機構
40 台車本体
40a 中央部分
40b 両端部分
40c 当接部
41 駆動輪
42 従動輪
43 走行モータ
44 ガイド車輪
45 リニア軸受
46 基台
48 搬送コンベア
50 搬送モータ
52 ロック部
52a ロックシリンダ
52b ロック片
52c ロック片案内部
52d 傾斜面
53 ロック受け部
53a 傾斜面
54 軸支持部
56 バネ軸
58 コイルバネ
60 バネ受け部
60a 内側受け部材
60b 外側受け部材
62 ナット部材
64a 第1押圧部材
64b 第2押圧部材
66a 第1受圧部材
66b 第2受圧部材
68a 第1ブラケット
68b 第2ブラケット
70a 第1押圧シリンダ
70b 第2押圧シリンダ
72a 第1押圧アーム
72b 第2押圧アーム
74a 第1支持部
74b 第2支持部
76a 第1アーム部
76b 第2アーム部
78a 第1連結部
78b 第2連結部
80a 第1押圧部
80b 第2押圧部
82a 第1押圧面
82b 第2押圧面
84 第3ブラケット
86a 第1受圧シリンダ
86b 第2受圧シリンダ
88a 第1受圧部
88b 第2受圧部
90a 第1受圧ガイド部
90b 第2受圧ガイド部
92a 第1受圧面
92b 第2受圧面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って配置された供給口と排出口との間で物品を搬送する物品供給排出装置であって、
前記供給口と前記排出口とに面して第1方向に沿って配置された軌道と、
前記第1方向にスライド自在な物品載置部を有し、前記軌道上を走行可能な搬送車と、
前記供給口において、前記物品載置部に載置された物品を前記第1方向に押圧可能な押圧部材と、前記押圧部材により押圧される前記物品を受ける受圧部材と、を有し、前記搬送車と別に設けられ、前記物品を前記第1方向に位置決め可能な位置決め部と、
を備えた物品供給排出装置。
【請求項2】
前記受圧部材は、前記軌道の前記供給口側の端部で前記物品を受けるように配置され、
前記押圧部材は、前記搬送車に対して退避した退避位置から前記物品を押圧可能な位置に移動可能である、
請求項1に記載の物品供給排出装置。
【請求項3】
前記押圧部材は、前記退避位置から前記搬送車を押圧可能な位置に旋回動作で移動する、請求項2に記載の物品供給排出装置。
【請求項4】
前記受圧部材は、前記第1方向に移動可能である、請求項1から3のいずれか1項に記載の物品供給排出装置。
【請求項5】
前記物品は、複数の搬送物を少なくとも上下に並べて収納可能な搬送物収納部であり、前記供給口においてフォークにより前記搬送物が前記搬送車との間で搬入及び搬出される、請求項1から4のいずれか1項に記載の物品供給排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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