説明

物品処理装置

【解決手段】 充填装置2は、容器1を搬送する搬送手段3と、容器に食品を充填するフィラ5とを備え、上記フィラは充填ノズル5aを備えた処理ヘッド5bと、上記処理ヘッドを処理開始位置D1と処理終了位置D2との間で往復動させる移動手段とを備えている。
上記搬送手段は、容器を保持するキャリア11と、該キャリアを磁力により移動または停止させる複数の電磁石12aからなるリニアモータ12とを備えるとともに、上記電磁石は少なくとも上記処理開始位置に備えている。
上記処理ヘッドとキャリアとを係合させる係合手段21を設け、処理開始位置で処理ヘッドとキャリアとを係合させたら、上記移動手段が処理ヘッドとキャリアとを係合状態を維持したまま上記処理終了位置まで移動させる。
【効果】 構成が容易で、かつ搬送手段による物品の移動と処理ヘッドの移動との同期を容易に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物品処理装置に関し、詳しくは物品を搬送する搬送手段と、処理ヘッドを処理開始位置と処理終了位置との間で往復動させる移動手段とを備えた物品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される物品に所要の処理を施す処理ヘッドと、上記処理ヘッドを上記搬送手段に沿って処理開始位置と処理終了位置との間で往復動させる移動手段とを備えた物品処理装置が知られている(特許文献1)。
上記特許文献1では、上記搬送手段を駆動する第1駆動源と、上記移動手段としてのサーボモータとを制御して、上記搬送手段によって搬送される容器と上記サーボモータによって移動される充填ノズルとを同期するように移動させ、処理ヘッドを移動させながら飲料の充填を行っている。
また、搬送手段として、物品を保持する複数のキャリアをリニアモータにより移動させるものが知られている(特許文献2)。
【特許文献1】実公平5−9359号公報
【特許文献2】特開平5−51087号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1の場合、上記第1駆動源およびサーボモータの動作を同期させなければならず、充填ノズルの移動速度を変更する場合にはサーボモータにあわせて第1駆動源の設定を変更しなければならず、その設定が煩雑であるという問題があった。
また特許文献2に記載された充填ラインは、搬送手段としてリニアモータのほか充填機等に設けられたスターホイールなどを備えており、隣接する複数の搬送手段間における容器のやり取りを調整しなければならなかった。
このような問題に鑑み、構成が容易で、かつ搬送手段による物品の移動と処理ヘッドの移動との同期を容易に行うことの可能な物品処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明にかかる物品処理装置は、物品を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される物品に所要の処理を施す処理ヘッドと、上記処理ヘッドを上記搬送手段に沿って処理開始位置と処理終了位置との間で往復動させる移動手段と、上記搬送手段および移動手段を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段により、上記搬送手段によって搬送される物品と、移動手段によって移動される処理ヘッドとが同期して移動するようにした物品処理装置において、
上記搬送手段は、物品を保持するキャリアと、該キャリアを磁力により移動または停止させる複数の電磁石からなるリニアモータとを備えるとともに、上記リニアモータは電磁石を少なくとも上記処理開始位置に備え、
上記処理ヘッドとキャリアとを係合させる係合手段を設け、
上記制御手段は、上記電磁石により処理開始位置でキャリアを停止させるとともに、該処理開始位置にて上記係合手段により処理ヘッドとキャリアとを係合させ、上記移動手段により処理ヘッドとキャリアとを係合状態を維持したまま上記処理終了位置まで移動させ、該処理終了位置にて係合手段により上記係合状態を解除させることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記発明によれば、リニアモータを備えた処理手段はキャリアを処理ヘッドによる処理開始位置まで搬送するとともに、引き続き処理終了位置からキャリアを搬送することができるので、搬送手段としてはリニアモータだけを利用することが可能となり、搬送手段の簡素化を図ることができる。
また、上記係合手段によって処理ヘッドとキャリアとを係合させ、係合状態を維持したままキャリアを搬送するため、上記キャリアの移動に移動手段による処理ヘッドの移動を同期させる必要はない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について説明すると、図1はカップ型の容器1にヨーグルトなどの食品を充填する物品処理装置としての充填装置2の側面図を示している。
上記充填装置2は、容器1を搬送する搬送手段3と、容器1を供給する供給手段4と、容器1に食品を充填するフィラ5と、容器1に蓋を装着するシーラ6と、容器1を排出する排出手段7とから構成され、これらは図示しない制御手段によって制御される。
上記搬送手段3はいわゆるリニア駆動を用いた搬送手段であって、容器1を保持する複数のキャリア11と、複数の電磁石12aを備えたリニアモータ12と、キャリア11を上面側の搬送経路から下面側の搬送経路に移動させる図示左方の第1回転ホイール13と、キャリア11を下面側の搬送経路から上面側の搬送経路に移動させる図示右方の第2回転ホイール14と、これらリニアモータ12、第1、第2回転ホイール13、14を囲繞するように設けられた一点鎖線で示すスライドレール15とから構成されている。
上記キャリア11は該スライドレール15に形成されたカム溝に沿って移動する図示しないカムフォロアを備えており、上記スライドレール15に沿って図示反時計方向に周回し、キャリア11が搬送手段3の下面側に位置しても落下しないようになっている。
該搬送手段3の上面側には、図示右方の上流側から、第1待機ステーションA、上記供給手段4の設けられた供給ステーションB、第2待機ステーションC,フィラ5の設けられた充填ステーションD、第3待機ステーションE、シーラ6の設けられたシールステーションF、排出手段7の設けられた排出ステーションG、第4待機ステーションHが設定されている。一方、搬送手段3の下面側には、図示左方となる下流端に第5待機ステーションIが設定されている。
そして本実施例では、上記キャリア11を上記各ステーションA〜Iに停止させながら搬送することで、容器1の供給、食品の充填、蓋の装着、容器1の排出を順次行うようになっている。
【0007】
上記搬送手段3について説明すると、図2は上記充填ステーションDの拡大図を示し、上記キャリア11は搬送方向にむけて3つの容器1を収容可能となっており、下面にはN極とS極とが交互にリニアモータ12側を向くように設けられた複数の磁石11aが固定されている。
上記リニアモータ12は、図1に示すように搬送手段3の上面側および下面側に設けられた複数の電磁石12aから構成されており、各電磁石12aは上記制御手段からの制御によって磁力を発生させたり消勢することが可能となっている。
また電磁石12aは通常、図2の図示左方に示すように2つの電磁石12aを一組として設置されており、上記制御手段の制御によって上流側の電磁石12aの位置にキャリア11を停止させるようになっている。
そして上流側の電磁石12aで停止したキャリア11を移動させるには、電磁石12aの磁極を切り換えてキャリア11を上流側の電磁石12aから下流側の電磁石12aに移動させ、これにより搬送方向への推進力を付与するようになっている。
なお、図2の図示右方には所定の間隔で2つの電磁石12aだけが設置されており、後述するようにこれらの電磁石12aはキャリアを停止させるために設置されている。
上記第1、第2回転ホイール13,14の外周にはそれぞれ等間隔に磁石が設けられており、例えばN極を外周側に向けた磁石を、上記キャリア11の磁石11aのうちS極を設けた間隔と等間隔に固定するようになっている。
このような構成により、例えばキャリア11が第1回転ホイール13に到達すると、上記キャリア11の磁石11aと第1回転ホイール13の磁石とが相互にひきつけあい、キャリア11は該第1回転ホイール13の回転に伴って上記スライドレール15に沿って移動するようになっている。
なお、上記上記第1、第2回転ホイール13,14の外周を鉄等の磁性体で製造すれば、必ずしもその外周に磁石を設ける必要はない。この場合、上記キャリア11は磁石11aの磁力によって第1、第2回転ホイール13,14の外周にひきつけられるので、キャリア11は第1、第2回転ホイール13,14の回転に伴って上記スライドレール15に沿って移動することとなる。
そして、各電磁石12aと電磁石12aとの間には、上記キャリア11を検出する図示しないセンサが設けられており、上記制御手段はこのセンサからの信号により、搬送手段3における全てのキャリア11の位置を認識することが可能となっている。
【0008】
図1に示すように、上記供給手段4は図示しない6つのグリッパを備えた処理ヘッド4aと、該処理ヘッド4aを昇降させる図示しない昇降手段とを備えており、上記供給ステーションBには2組の電磁石12aが設けられている。
充填装置2の作動時には、上記供給ステーションBには2つのキャリア11が停止するようになっており、この停止したキャリア11に対して上方から上記処理ヘッド4aを下降させることで、6つの容器1を同時に供給することが可能となっている。
次に、上記シーラ6は図示しない3つのシールヘッドを備えた処理ヘッド6aと、該処理ヘッド6aを昇降させる図示しない昇降手段とを備えており、上記シールステーションFには1組の電磁石12aが設けられている。
充填装置2の作動時には、上記シールステーションFには1つのキャリア11が停止するようになっており、この停止したキャリア11に対して上方から上記処理ヘッド6aを下降させることで、同時に3つの容器1に蓋を装着することが可能となっている。
さらに、上記排出手段7は図示しない6つのグリッパを備えた処理ヘッド7aと、該処理ヘッド7aを昇降させる図示しない昇降手段とを備えており、上記排出ステーションGには2組の電磁石12aが設けられている。
充填装置2の作動時には、上記排出ステーションGには2つのキャリア11が停止するようになっており、この停止したキャリア11に対して上方から上記処理ヘッド7aを下降させることで、6つの容器1をキャリア11から同時に取り出すことが可能となっている。
【0009】
図2に示すように、上記フィラ5は充填ノズル5aを備えた処理ヘッド5bと、該処理ヘッド5bを移動させる図示しない移動手段とを備え、キャリア11を充填ステーションDの上流端に形成した充填開始位置D1から、下流端に形成した充填終了位置D2まで移動させるようになっている。
充填開始位置D1には2つのキャリア11の間隔にあわせて2つの電磁石12aが設置されている。これら2つの電磁石12aはキャリア11を停止させるために設けられており、キャリア11に推進力を付与するための電磁石12aは設置されていない。
一方、充填終了位置D2には2つのキャリア11の間隔にあわせて2組合計4つの電磁石12aが設置されている。そしてキャリア11は各組の上流側に位置する電磁石12aの位置で停止し、下流側に位置する電磁石12aによって推進力が付与されるようになっている。
なお、上記充填開始位置D1および充填終了位置D2の間には電磁石12aを設ける必要はない。
上記処理ヘッド5bには、2つのキャリア11に保持された容器1の間隔に合わせて、3本ずつ合計6本の充填ノズル5aが設けられており、図示しないホッパから供給された食品をその下端部より排出するようになっている。
上記移動手段は、上記処理ヘッド5bを上記充填開始位置D1と充填終了位置D2との間で往復動させるとともに、処理ヘッド5bを充填開始位置D1では上昇位置から下降位置に下降させ、充填終了位置D2では下降位置から上昇位置に上昇させるようになっている。
これにより、上記移動手段は上記処理ヘッド5bを充填開始位置D1の上方から下方に位置させた後、処理ヘッド5bを水平に移動させて上記充填終了位置D2まで移動させ、続いて充填終了位置D2の上方に移動させることで、処理ヘッド5bを循環移動させるようになっている。
【0010】
そして本実施例の充填装置2には、上記フィラ5の処理ヘッド5bとキャリア11とを係合させる係合手段21が設けられており、該係合手段21は、上記処理ヘッド5bに設けられた係合部材21aと、上記キャリア11に設けられた被係合部材21bとから構成されている。
上記係合部材21aは板状の部材であって、上記3つの充填ノズル5aごとに、その上流側および下流側に設けられ、各係合部材21aの下端には楔形の凸形状が形成されている。上記被係合部は板状の部材であって、各キャリア11の上流端および下流端に設けられ、各被係合部材21bの上端には楔形の凹形状が形成されている。
上記係合部材21aと被係合部材21bとは同じ間隔で設けられており、上記移動手段によって処理ヘッド5bを下降させると、係合部材21aおよび被係合部材21bの先端部分が相互に係合するようになっている。
この係合手段21により処理ヘッド5bおよびキャリア11を係合状態にすると、上記移動手段が処理ヘッド5bを充填開始位置D1から充填終了位置D2に移動させることで、キャリア11がこれに追従して一体的に移動するようになっている。
【0011】
そして、上記第1、第2、第4待機ステーションA,C,Hにはそれぞれ2組の電磁石12aが、第3待機ステーションEには4組の電磁石12aが、第5待機ステーションIには5組の電磁石12aが設けられている。
これらの第1〜第5待機ステーションA,C,E,H,Iでは、その下流側の供給ステーションBや充填ステーションD等において他のキャリア11への処理が行われている間キャリア11を停止させるようになっている。
さらに、搬送手段3の下面側において、上記第1回転ホイール13と第5待機ステーションIとの間には、所定間隔で電磁石12aが設けられており、第1回転ホイール13によって搬送手段3の下面側に移動したキャリア11は、これらの電磁石12aによって推進力が付与され、惰性により上記第5待機ステーションIまで搬送されるようになっている。
【0012】
以下、上記構成を有する充填装置2の動作について説明する。ここで、上記制御手段は搬送手段3におけるキャリア11が相互に衝突しないよう、各キャリア11の位置を認識しながら移動させるようになっている。
まず、搬送手段3の第1待機ステーションAにキャリア11が位置すると、制御手段は上記供給ステーションBに他のキャリア11が位置しているか否かを確認する。
供給ステーションBから上記他のキャリア11が移動すると、制御手段は電磁石12aを制御して第1待機ステーションAから供給ステーションBへとキャリア11を移動させ、供給ステーションBに2つのキャリア11を停止させる。
供給手段4は図示しない容器供給手段から6つの容器を取り出し、処理ヘッド4aを下降させて、上記グリッパが把持した6つの容器1を2つのキャリア11に供給する。
続いて、制御手段は上記第2待機ステーションCにキャリア11が位置しているか否かを確認し、第2待機ステーションCにキャリア11が位置していなければ、供給ステーションBから第2待機ステーションCへとキャリア11を移動させる。
ここで、上記充填ステーションDに他のキャリア11が位置していなければ、制御手段は上記キャリア11を第2待機ステーションCで停止させず、直接上記充填ステーションDの充填開始位置D1までキャリア11を移動させる。
【0013】
フィラ5は、上記移動手段が充填開始位置D1の上方に処理ヘッド5bを位置させた状態で待機しており、キャリア11が充填開始位置D1で停止すると、処理ヘッド5bを下降させる。
これにより、充填ノズル5aがキャリア11に保持された容器1に接近し、同時に上記係合手段21における係合部材21aとキャリア11に設けられた被係合部材21bとが相互に係合し、処理ヘッド5bとキャリア11とが係合状態となる。
すると、制御手段は充填ステーションDに設けられた4組の電磁石12aから磁力を消勢し、これによりキャリア11はスライドレール15に沿ってフリーに移動可能な状態となる。
この状態から、上記移動手段は処理ヘッド5bを充填開始位置D1から充填終了位置D2まで移動させと、上記キャリア11と処理ヘッド5bとは上記係合手段21によって係合状態となっているため、キャリア11は処理ヘッド5bと一体的に移動し、その間充填ノズル5aからは容器1に対して食品の充填が行われる。
処理ヘッド5bが充填終了位置D2まで達すると、制御手段は充填ステーションDに位置する電磁石12aの磁力を再び発生させ、キャリア11は電磁石12aの磁力によって充填終了位置D2に停止することとなる。
この状態から、上記移動手段が処理ヘッド5bを上昇させると、係合部材21aと被係合部材21bとが離隔し、処理ヘッド5bとキャリア11との係合状態が解除される。
【0014】
このように、充填ステーションDにおいて容器1への食品の充填が終了すると、制御手段は第3待機ステーションEにキャリア11を移動させ、この際第3待機ステーションEの下流側に他のキャリア11が位置している場合には、上流側に位置する電磁石12aでキャリア11を停止させる。
上記シールステーションFから他のキャリア11が移動すると、制御手段は第3待機ステーションEに停止したキャリア11のうち、最も下流側に位置するキャリア11をシールステーションFに移動させ、その上流側に位置していたキャリア11を順次下流側の電磁石12aに移動させる。
シールステーションFでは、シーラ6が一つのキャリア11に保持された3つの容器1に蓋を装着し、制御手段は上記排出ステーションGにキャリア11が位置しているか否かを確認する。
排出ステーションGにキャリア11が位置していない場合、制御手段はシールステーションFから排出ステーションGにおける下流側の電磁石12aにキャリア11を移動させ、さらに該排出ステーションGにおける上流側の電磁石12aにキャリア11が供給されるまで排出手段7を待機させる。
排出ステーションGに2つのキャリア11が停止したら、排出手段7が2つのキャリア11から6つの容器1を取り出して図示しない後工程に供給し、空になったキャリア11は上記第4待機ステーションHに移動する。
【0015】
第4待機ステーションHに位置したキャリア11は、上記電磁石12aの推進力によって上記第1回転ホイール13に移動し、該第1回転ホイール13に設けられた磁石と、キャリア11に設けられた磁石11aとが相互にひきつけあい、キャリア11は第1回転ホイール13の回転に伴って搬送手段3の下面側に移動する。
すると、第1回転ホイール13に隣接して設けられた下面側に設けられた電磁石12aにキャリア11がさしかかり、制御手段がこのキャリア11に推進力を付与することで、キャリア11は複数の電磁石12aを介して上記第5待機ステーションIまで移動する。
そして第5待機ステーションIにキャリア11が位置すると、制御手段は上記第1待機ステーションAに他のキャリア11が位置しているか否かを確認し、他のキャリア11が第1待機ステーションAから移動したら、上記第2回転ホイール14の回転によりキャリア11を第1待機ステーションAに移動させる。
【0016】
以上のように、本実施例の充填装置2によれば、容器1を搬送する手段としてリニアモータ12を駆動源とする1種類の搬送手段3だけを用いればよく、上記フィラにスターホイール等の別途の搬送手段3を設ける必要はない。
また、上記フィラ5では、上記係合手段21によって処理ヘッド5bとキャリア11とを係合状態としてから移動させるので、上記移動手段と搬送手段3とによって処理ヘッド5bの移動とキャリア11の移動との同期を取る必要はなく、容易に移動手段による処理ヘッド5bの移動速度を設定することができる。
ここで、上記リニアモータ12を搬送手段3に用いる場合、キャリア11は隣接する電磁石12aを乗り移りながら移動するため、該キャリア11の移動を精密に制御するのは困難であり、キャリア11の移動と上記移動手段による処理ヘッド5bの移動とを同期させることは困難であった。
また、リニアモータ12を搬送手段3に用いる場合、複数のキャリア11を個別に移動させることができるので、処理能力の異なる複数の処理手段を備えた物品処理装置であっても、処理手段の処理個数に応じて適宜キャリア11を供給することができるとともに、各処理手段の処理時間に応じて停止させることができるので、搬送手段3の搬送速度を最も処理能力の低い処理手段にあわせる必要がなく、生産効率を向上させることができる。
【0017】
なお、上記実施例では充填装置2を例に説明したが、処理ヘッド5bの移動と物品の搬送とを同期させる物品処理装置であれば、これに適用することができる。
また上記充填ステーションDにおいて、上記充填終了位置D2に必ずしも電磁石12aを設ける必要はない。例えば該充填終了位置D2で、上記スライドガイドを傾斜させるようにすることで、上記係合手段21による係合状態が解除されると、自重によってキャリア11が下流側に移動する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本実施例に係る充填装置の構成図。
【図2】充填ステーションについての側面図。
【符号の説明】
【0019】
2 充填装置 3 搬送手段
5 フィラ 5b 処理ヘッド
11 キャリア 12 リニアモータ
12a 電磁石 21 係合手段
21a 係合部材 21b 被係合部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を搬送する搬送手段と、上記搬送手段によって搬送される物品に所要の処理を施す処理ヘッドと、上記処理ヘッドを上記搬送手段に沿って処理開始位置と処理終了位置との間で往復動させる移動手段と、上記搬送手段および移動手段を制御する制御手段とを備え、
上記制御手段により、上記搬送手段によって搬送される物品と、移動手段によって移動される処理ヘッドとが同期して移動するようにした物品処理装置において、
上記搬送手段は、物品を保持するキャリアと、該キャリアを磁力により移動または停止させる複数の電磁石からなるリニアモータとを備えるとともに、上記リニアモータは電磁石を少なくとも上記処理開始位置に備え、
上記処理ヘッドとキャリアとを係合させる係合手段を設け、
上記制御手段は、上記電磁石により処理開始位置でキャリアを停止させるとともに、該処理開始位置にて上記係合手段により処理ヘッドとキャリアとを係合させ、上記移動手段により処理ヘッドとキャリアとを係合状態を維持したまま上記処理終了位置まで移動させ、該処理終了位置にて係合手段により上記係合状態を解除することを特徴とする物品処理装置。
【請求項2】
上記リニアモータの電磁石を上記処理終了位置に設け、
係合手段は、処理ヘッドとキャリアとが処理終了位置に停止したら、係合状態を解除することを特徴とする請求項1に記載の物品処理装置。
【請求項3】
上記制御手段は、上記処理開始位置において係合手段により処理ヘッドとキャリアとを係合させると、上記リニアモータにおける処理開始位置の電磁石の磁力を消勢し、上記処理ヘッドおよびキャリアが処理終了位置に位置すると、磁力の消勢された該処理終了位置の電磁石の磁力を発生させるとともに、上記係合手段による係合状態を解除することを特徴とする請求項2に記載の物品処理装置。
【請求項4】
上記物品は容器であって、上記処理ヘッドは該容器に液体などを充填する充填ノズルを備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の物品処理装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−132405(P2010−132405A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309822(P2008−309822)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)
【Fターム(参考)】