物品分割装置、及び物品分割方法
【課題】ある程度の硬さがあり、包丁刃等で押し切ることが困難な物品を分割するのに適していて、この物品の形状が正多角形や円形等の回転対称形の断面を有する場合には、この物品を等分割できる物品分割装置及び物品分割方法を提供することを目的とする。
【解決手段】物品分割装置10を、即席麺塊(物品)14を拘持して即席麺塊14の向きを規制する正6角形の物品拘持治具12と、物品拘持治具12により拘持された即席麺塊14をX軸方向の搬送経路18に沿って搬送する搬送手段20と、物品拘持治具12に拘持された即席麺塊14が搬送されることにより回転軸Cが通過する箇所に円形鋸刃(切断刃)22を有する3個の切断手段24と、物品拘持治具12に拘持される即席麺塊14を回転軸Cのまわりに60°ずつ方向変換させる2個の方向変換手段26と、を備えて構成した。
【解決手段】物品分割装置10を、即席麺塊(物品)14を拘持して即席麺塊14の向きを規制する正6角形の物品拘持治具12と、物品拘持治具12により拘持された即席麺塊14をX軸方向の搬送経路18に沿って搬送する搬送手段20と、物品拘持治具12に拘持された即席麺塊14が搬送されることにより回転軸Cが通過する箇所に円形鋸刃(切断刃)22を有する3個の切断手段24と、物品拘持治具12に拘持される即席麺塊14を回転軸Cのまわりに60°ずつ方向変換させる2個の方向変換手段26と、を備えて構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を分割するための物品分割装置及び物品分割方法に関する。特には、包丁切り等の手段では切断しにくい物品の分割に適する。また、特には、回転対称形の断面を有する物品の等分割に適する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所謂カップ入り即席麺としては、1個の麺塊を1個のカップ容器に封入したものが周知である。しかし、特許第3404464号のように、湯戻ししても麺塊形状の崩れない即席麺も提案されており、この技術を用いれば、一口サイズの小麺塊を多数封入したカップ入り即席麺であって、小麺塊を一つずつ、スプーンやホークで喫食するような商品も可能である。このような商品を製造する場合、定型の一口サイズの小麺塊を製造する必要があり、そのためには、1個の小麺塊に対応する麺線群を取り分けてリテーナに投入していた。しかし、この方式の場合、複数の小麺塊の間において麺線の本数が異なって取り分けられてしまうと、麺線1本の長さが長いために各小麺塊間における重量差が大きくなり、各小麺塊を略一定量に製造するのは困難である。また、この方式では、麺塊がリテーナから離脱しにくかったり、麺塊形状を矩形等の形状としたいときに角部が丸くなるという欠点があった。そこで、大きな麺塊をフライ又は熱風乾燥等によって乾燥した後、これを等分割することが考えられる。
【0003】
ここで、ニンジン等の野菜類等を複数個の略定型に等分割する成形機については案出されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ケーキやチーズ等を複数個に分割する装置についてもいくつかのものが案出されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。しかし、これらの技術は包丁刃によって押し切ることができるような比較的切断の容易な食品に関するものであり、乾燥麺塊のように、ある程度の硬さがあり、押し切ろうとすると割れたり、砕けたりするものに対応できるものではなかった。例えば、ビスケットや煎餅等は焼成後では壊れやすいので、生地の段階で1枚ずつ型抜きするか切断し、これを焼成して製造している。
【特許文献1】特開昭60−49785号公報
【特許文献2】実開昭56−142587号公報
【特許文献3】特開昭51−19180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者は、上記のような包丁刃での切断が困難な物品を分割でき、且つ一度の工程で切断を行うことのできる装置について鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。 すなわち、本発明は、ある程度の硬さがあり、包丁刃等で押し切ることが困難な物品を分割するのに適していて、この物品の形状が正多角形や円形等の回転対称形の断面を有する場合には、この物品を等分割できる物品分割装置及び物品分割方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の物品分割装置は、回転軸を有し、物品を拘持してその向きを規制する物品拘持治具と、前記物品拘持治具により拘持された前記物品を一定方向の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路の途中に間隔をおいて複数設けられ、前記物品拘持治具に拘持された前記物品が搬送されることにより前記回転軸が通過する箇所に切断刃を有する複数の切断手段と、前記複数の切断手段の間に設けられ、前記物品拘持治具に拘持される前記物品を前記回転軸のまわりに既定角度の方向変換をさせる方向変換手段と、を備え、前記物品拘持治具の回転軸を前記搬送経路に対して垂直方向として前記物品を搬送手段で搬送し、前記切断手段及び前記方向変換手段により前記物品を分割することを特徴とする。
【0006】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記搬送経路の途中に係合部が設けられ、前記物品拘持治具にはその外周に沿って該係合部に係合される複数の被係合部が設けられ、該被係合部が該係合部に係合されることにより、該被係合部と該係合部との接触点を瞬間中心として、該物品拘持治具が前記回転軸のまわりに回転して方向変換することを特徴とする。
【0007】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記搬送経路には前記物品拘持治具の外周が摺動するガイドレールが設けられ、前記係合部が該ガイドレールから突出する突起部であることを特徴とする。
【0008】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記物品拘持治具に拘持された時の該物品拘持治具の回転軸に垂直な断面が略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である物品を分割する物品分割装置であり、該物品の回転対称軸に該物品拘持治具の回転軸が一致することにより、該回転対称軸を通る切断面で該物品を等分割することを特徴とする。
【0009】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記搬送手段が、前記物品拘持治具により拘持された前記物品を前記搬送経路に沿って摺動させる手段であることを特徴とする。
【0010】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記切断刃が、前記搬送手段による前記物品の搬送方向に対して平行方向であり且つ前記搬送経路に対して垂直方向であるピッチ円を有する円形鋸刃であることを特徴とする。
【0011】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記物品拘持治具が、前記物品を嵌合する嵌合凹部と、前記回転軸を通り互いに一定角度をなし、前記切断刃が入り込む複数の溝と、を備え、前記嵌合凹部の前記回転軸に垂直な断面が、略n回回転対称形(nは2以上の自然数)であることを特徴とする。
【0012】
本発明の物品分割方法は、回転軸を有する物品拘持治具によって物品を拘持するステップと、前記物品拘持治具により拘持された前記物品を一定方向の搬送経路に沿って搬送するステップと、を含み、前記搬送するステップが、前記物品拘持治具に拘持された前記物品を、前記搬送経路上の前記回転軸が通過する箇所に設けられた切断刃により切断するステップと、前記物品拘持治具に拘持された前記物品を前記回転軸のまわりに既定角度の方向変換をさせるステップと、を含み、前記切断ステップ及び方向変換ステップを交互に繰り返して前記物品を分割することを特徴とする。
【0013】
本発明の物品分割方法は、前記物品分割方法において、前記方向変換ステップが、前記物品拘持治具の外周の一定点を瞬間中心として、該物品拘持治具が前記回転軸のまわりに回転して方向変換するステップであることを特徴とする。
【0014】
本発明の物品分割方法は、前記物品分割方法において、前記物品拘持治具に拘持された時の該物品拘持治具の回転軸に垂直な断面が略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である物品を分割する物品分割方法であり、該物品の回転対称軸に該物品拘持治具の回転軸を一致させることにより、該回転対称軸を通る切断面で該物品を等分割するステップであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の物品分割装置及び物品分割方法によれば、物品拘持治具により物品を拘持した状態で切断、分割するので、変形しやすい又は破損しやすい物品の分割に適している。また、物品が即席油揚げ麺の場合にはフライ後に、物品がビスケットや煎餅の場合には焼成後に、夫々分割することができるため、分割塊体の角部が丸くなることがない。また、本発明の物品分割装置によれば、切断刃を鋸刃、超音波カッター等とすることができるため、包丁刃では切れない硬さを有するものや、押し切ろうとすると砕けてしまう脆い物品を切断、分割することができる。また、物品が回転対称形である場合には、物品拘持治具で拘持し、搬送しながら、切断し、且つ方向変換することにより、容易且つ確実に物品を回転対称軸を通る切断面で等分割することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る物品分割装置及び物品拘持治具の実施の形態について、分割する物品を略正6角柱形状の即席麺塊とした場合を例に、図面に基づいて詳しく説明する。なお、明細書において、例えば、符号を22とした場合、22(1)、22(2)、22(3)を含む。その他の符号についても同様である。
【0017】
図1乃至図4において、符号10は、本発明の物品分割装置であり、符号12は、本発明の物品拘持治具である。
【0018】
物品分割装置10は、図1及び図2に示すように、回転軸Cを有し、即席麺塊(物品)14を拘持して即席麺塊14の向きを規制する略正6角形の物品拘持治具12と、物品拘持治具12により拘持された即席麺塊14をX軸方向の搬送経路18に沿って搬送する搬送手段20と、搬送経路18の途中に一定間隔をおいて設けられ、物品拘持治具12に拘持された即席麺塊14が搬送されることにより回転軸Cが通過する箇所に円形鋸刃(切断刃)22を有する3個の切断手段24と、3個の切断手段24の間に設けられ、物品拘持治具12に拘持される即席麺塊14を回転軸Cのまわりに60°(既定角度)ずつ方向変換させる2個の方向変換手段26と、を備える。そして、物品拘持治具12の回転軸Cを搬送経路18に対して垂直方向として即席麺塊(物品)14を搬送手段20で搬送し、切断手段24及び方向変換手段26により、回転軸Cを通る切断面で即席麺塊14を6等分割する物品分割装置である。
【0019】
即席麺塊14は、麺線を略正6角柱形状に成型して揚げたものであり、物品拘持治具12に嵌合することができる。すなわち、即席麺塊14の断面であり、物品拘持治具12に拘持された場合の回転軸Cに垂直な断面が、略6回回転対称形である略正6角形の本実施形態の場合、即席麺塊14の回転対称軸Eに回転軸Cを一致させて物品分割装置10により6等分割できる。この即席麺塊14は、特許第3404464号の製造方法によって、熱湯を注ぐことによって復元するが、複数の麺線が分離し難いように形成されている。なお、この即席麺塊14を6等分割して形成された分割塊体6個が一口分として使用される。
【0020】
物品拘持治具12は、図3及び図4に示すように、即席麺塊14を嵌合する嵌合凹部28と、回転軸Cを通り互いに60°の一定角度をなし、円形鋸刃22が入り込む3本の溝30と、を備えている。嵌合凹部28は、略正6角形の側壁32によって6個の辺から成る略正6角形の断面を形成している。溝30は、略正6角形の頂点から底面34を通って対向する頂点まで、略正6角形の対角線方向に延びている。すなわち、物品拘持治具12は、略正6角形の即席麺塊14を拘持してX軸方向の搬送経路18に沿って搬送し、溝30及び回転軸Cが円形鋸刃22を通過して即席麺塊14を切断し、3個の円形鋸刃22の間において即席麺塊14を回転軸Cまわりに60°ずつ方向変換させることにより、回転軸Cを一致させた回転対称軸Eを通る切断面Bで即席麺塊14を6等分割するように構成されている。なお、嵌合凹部28が偶数である6個の辺からなる略正6角形の断面を有するため、溝30が略正6角形の頂点から対向する頂点まで回転軸Cを通りながら直線に延びることができ、溝30及び回転軸Cが、円形鋸刃22を通過することができる。
【0021】
搬送手段20は、図1及び図6に示すように、物品拘持治具12に固定された支持軸36と、支持軸36が回動可能且つY軸方向に摺動可能な溝を有するガイド38と、ガイド38に固定されたロッド40とを有し、図示しない移動駆動手段によりロッド40をX軸方向へ移動させることにより、物品拘持治具12を搬送経路18上でX軸方向に摺動させるように構成されている。よって、搬送経路18は、物品拘持治具12が摺動可能なように、滑らかな上面を有している。支持軸36及びガイド38は、すすみ対偶及びまわり対偶を有する自由度2の連結機構を構成している。なお、移動駆動手段は、特に限定されないが、サーボモーター等を利用した機構によって構成されることにより、移動速度を電気的に制御できることが望ましい。
【0022】
切断手段24は、搬送経路18の孔42から上へ一部が突出する円形鋸刃22と、円形鋸刃22を回転させる図示しない回転駆動手段とを備えている。円形鋸刃22のピッチ円23は、図2に示すように、即席麺塊14の搬送方向(X軸方向)に対して平行方向であり、且つ搬送経路18に対して垂直方向である。
【0023】
搬送経路18は、図1に示すように、物品拘持治具12の側壁32を摺動させて物品拘持治具12の搬送方向を規制するガイドレール44及び46を幅方向両端に備えている。一方のガイドレール46には、物品拘持治具12の方向変換のスペースを確保するために、開口部48が設けられており、他方のガイドレール44は、搬送経路18のほぼ全長に渡って設置されている。ガイドレール44及び46から円形鋸刃22までの距離W1は、物品拘持治具12の回転軸Cから6角形の各辺までの距離W2と一致し、溝30及び回転軸Cが必ず円形鋸刃22を通過するように構成されている。なお、図6に示すように、ガイド38及び支持軸36の間にバネ37が設けられ、物品拘持治具12に対してガイドレール44へ向かう付勢力を付与するように構成されている。
【0024】
ガイドレール44の開口部48近辺には、物品拘持治具12の溝30に係合する突起部50が設けられている。すなわち、溝(被係合部)30が突起部(係合部)50に係合されることにより、溝30と突起部50との接触点を瞬間中心として物品拘持治具12が回転して、60°の方向変換をするように構成されている。すなわち、方向変換手段26は、溝30と突起部50とによって構成される。
【0025】
また、図1及び図2に示すように、ガイドレール44及び46には、物品拘持治具12の上面を摺動させて物品拘持治具12を搬送経路18へ押し当てる水平方向の抑圧摺動板52が設けられている。この抑圧摺動板52により、円形鋸刃22から物品拘持治具12内の即席麺塊14へZ軸方向の押圧力が付加されても、物品拘持治具12がZ軸方向に浮いてしまうことがない。
【0026】
このような構成の本発明に係る物品分割装置10及び物品拘持治具12を用いた物品の分割方法を説明するとともに、その作用び効果について以下に説明する。
【0027】
麺線を略6角柱形状に成型して揚げた即席麺塊14を、略6角形物品分割装置10及び物品拘持治具12を用いて6等分割する場合、即席麺塊14を物品拘持治具12の嵌合凹部28に嵌合し、嵌合凹部28の開口部を下に向けて搬送経路18の図1及び図2の右端付近の上に載置する。この時、物品拘持治具12の回転軸Cは搬送経路18に対して垂直方向となる。なお、物品拘持治具12の外周の平面は、バネ37によってガイドレール44に密着させられる。
【0028】
次に、移動駆動手段を駆動させて、物品拘持治具12を搬送経路18及びガイドレール44に沿ってX軸方向に摺動させると、物品拘持治具12の左端付近が、抑圧摺動板52(1)の下に入り込み、抑圧摺動板52(1)、搬送経路18、ガイドレール44及び46(1)に対して摺動する。そして、物品拘持治具12が更に摺動すると、円形鋸刃22(1)が物品拘持治具12の溝30(1)内に入り込み、物品拘持治具12に拘持された即席麺塊14が切断されていき、回転軸Cが円形鋸刃22(1)を通過する。さらに、物品拘持治具12が、抑圧摺動板52(1)及びガイドレール46(1)を通り過ぎて図1に示す位置に達した時、即席麺塊14には、図5(b)に示すように、切断面B(1)が生じる。
【0029】
物品拘持治具12が更にX軸方向へ摺動すると、図6(a)に示すように、突起部50(1)に接近し、図7に示すように、溝30(3)と突起部50(1)が係合し、溝30(2)と突起部50(1)との接触点Pを機構学上の瞬間中心として物品拘持治具12が回転する。すなわち、物品拘持治具12の他の節との接触状態が、すべり接触からころがり接触へ移行する。この時、支持軸36は、図6(b)に示すように、ガイド38に沿ってY軸負方向に摺動する。なお、突起部50(1)が溝30(2)内に入り込むことにより、溝30(3)と突起部50(1)が確実に係合する。
【0030】
ここで、図7に基き物品拘持治具12の回転について説明すると、ガイド38が支持軸36を押圧する力N1とバネ37が支持軸36を押圧する力N2との間には、N1・Lcosθ>N2・Lsinθ(LはPから支持軸36の中心点までの距離)なる関係があれば、物品拘持治具12は回転できる。物品拘持治具12が6回回転対称形の場合、接触を開始した瞬間においてθは約30°であるから、N1がN2の1/(31/2)倍より大きい値であれば回転できる。また、仮に、物品拘持治具12が4回回転対称形の場合、接触を開始した瞬間においてθは約45°であるから、N1がN2より大きい値であれば回転できる。また、仮に、物品拘持治具12が3回回転対称形の場合、接触を開始した瞬間においてθは約60°であるから、N1がN2の31/2 倍より大きい値であれば回転できる。また、物品拘持治具12の回転速度V2は、V1/cosθ(V1はガイド38の速度)であり、容易に把握できる。また、回転速度V2はV1の1/cosθ倍であるため、V2が過剰に早くなって物品拘持治具12が突起部50(1)から離脱してしまうこともない。なお、図7において、V12は、支持軸36のガイド38に対する速度である。
【0031】
物品拘持治具12が更にX軸方向へ摺動すると、図6(c)に示すように、物品挟持治具12の外周がガイドレール44に密着する。これにより、物品拘持治具12は、結果的に、回転軸Cのまわりに60°方向変換したこととなる。
【0032】
物品拘持治具12が、このように方向変換した状態で更にX軸方向へ摺動すると、物品拘持治具12の左端付近が、抑圧摺動板52(2)の下に入り込み、抑圧摺動板52(2)、搬送経路18、ガイドレール44及び46(2)に対して摺動する。そして、物品拘持治具12が更に摺動すると、円形鋸刃22(2)が物品拘持治具12の溝30(2)内に入り込み、物品拘持治具12に拘持された即席麺塊14が切断されていき、回転軸Cが円形鋸刃22(2)を通過する。物品拘持治具12が、抑圧摺動板52(2)及びガイドレール46(2)を通り過ぎた時、即席麺塊14には、図5(c)に示すように、切断面B(2)が生じる。
【0033】
物品拘持治具12が更にX軸方向へ摺動すると、突起部50(2)によって同様に方向変換し、即席麺塊14は円形鋸刃22(3)によって同様に切断され、図5(d)に示すように、切断面B(3)が生じる。すなわち、即席麺塊14が切断面B(1)、B(2)及びB(3)によって6等分割され、6個の分割塊体が形成されたこととなる。このようにして6等分割された即席麺塊14は、容器に入れられ、包装されて販売される。
【0034】
このような物品分割装置10及び物品拘持治具12によれば、即席麺塊14を拘持して搬送しながら60°ずつ方向変換させることにより、即席麺塊14を容易且つ確実に6等分割することができる。また、即席麺塊14が物品拘持治具12によって拘持されるため、即席麺塊14の外形を損なうことなく分割でき、即席麺塊14等のこわれやすい物品の分割に適している。特に、即席麺塊14を物品拘持治具12の嵌合凹部28に嵌合して拘持することにより、即席麺塊14の外形を損なうのを防止できる。
【0035】
また、即席麺塊14を拘持した物品拘持治具12を、搬送経路18、抑圧摺動板52、ガイドレール44及び46に摺動させながら円形鋸刃22によって切断するため、物品拘持治具12が円形鋸刃22からの上方向への押圧力等によって揺動することがなく、即席麺塊14を確実に6等分割することができる。
【0036】
また、溝(被係合部)30(2)と突起部(係合部)50(1)との接触点Pを瞬間中心として物品拘持治具12を回転させて方向変換させるため、方向変換させるための駆動手段等を設ける必要がなく、装置全体としてコンパクトに構成できる。
【0037】
なお、上記実施形態では、物品拘持治具12をガイドレール44と46の間に挟持して搬送経路18上を摺動させて搬送したが、物品拘持治具12の支持軸36を搬送経路18の上方の空間に設置したレールに係止して、そのレール上を支持軸36が移動して搬送する構造としてもよい。また、搬送経路18自身をコンベア構造とした搬送手段としてもよい。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について図面に基いて説明したが、本発明は、上述した実施形態には限定されない。
【0039】
例えば、物品分割装置10において、図8に示すように、切断手段22を固定カッター60によって構成しても良い。この場合、移動手段によって物品拘持治具12をX方向に移動させる力及び抑圧摺動板52によってZ軸負方向に押圧する力により、即席麺塊14が強制的に切断される。この場合、固定カッター60を超音波カッターとし、抑圧摺動板52を強固な金属製とすることが望ましい。
【0040】
また、物品拘持治具は、図9及び図10に示すように、断面が円形(nが無限大のn回回転対称形)である即席麺塊54を拘持する物品拘持治具56であっても良い。この物品拘持治具56は、即席麺塊54を4等分割するための治具であり、複数の針58を即席麺塊54に突刺して拘持する。この物品拘持治具56を用いて回転軸Cのまわりに方向変換する場合、サーボモータ機構等によって回転軸Cのまわりに90°回転させて方向変換させる。サーボモータ機構の場合、CPU、メモリ、I/Oポート等から構成される制御手段からサーボモータにパルスを払い出して一定角度回転させる。
【0041】
この物品拘持治具56を用いる場合の分割方法は、即席麺塊を拘持した物品拘持治具56を搬送経路上に設けられた切断刃を物品拘持治具の溝に通して切断手段により切断し、その後、方向変換手段により物品拘持治具56を回転軸Cのまわりに90°回転する。次に、90°回転した物品拘持治具56をさらに搬送して搬送経路上に設けられた次の切断刃を物品拘持治具の他の溝に通して切断する。このようにして、即席麺塊54を4等分割できる。
【0042】
なお、断面が円形の即席麺塊を拘持するのに円形の物品拘持治具56を用いたが、複数の針で突刺して拘持する機構であれば、物品拘持治具は物品を嵌合する構造である必要はない。また、物品との当接面に切断刃が通る溝を有する構造でなくてよい。このような物品拘持治具としては、他にバキュームで物品を拘持する治具が考えられる。
【0043】
以上、瞬間中心を生じさせることにより物品を方向変換させて分割する図1乃至図8に示す分割方式(以下、第1の分割方式と言う。)、及び、サーボモータ機構等を用いて物品拘持治具の回転軸を直接回転させることにより物品を方向変換させて分割する分割方式(以下、第2の分割方式と言う。)について、夫々、一定形状の物品を例にして説明したが、他の形状の物品を分割する実施形態について以下に説明する。
【0044】
図11及び図12は、断面が正方形(nが4のn回回転対称形)の物品100、及び断面が長方形(nが2のn回回転対称形)の物品102を本発明の装置及び方法によって分割する実施形態を示す。物品100及び102を第1の分割方式によって分割した場合、図11に示すように、正方形の各辺の中点を結ぶ切断面Bによって4等分割される。なお、物品102を切断する2箇所の切断手段については、ガイドレールから切断刃までの距離W1を互いに異ならせる必要がある。
【0045】
一方、物品100及び102を第2の分割方式によって分割した場合、図11及び図12に示すような分割態様が可能である。すなわち、物品100をサーボモータ機構等によって90°の方向変換をすることにより、図11(a)及び図12(a)に示すように、4等分割でき、45°ずつ方向変換することにより、図12(c)に示すように、8等分割できる。また、物品102をサーボモータ機構等によって90°の方向変換をすることにより、図11(b)に示すように、4等分割できる。また、物品102をサーボモータ機構等によってθ1又はθ2の方向変換をすることにより、図12(b)に示すように、等分割ではないが4分割できる。また、物品102をサーボモータ機構等によってθ3及びθ4の方向変換をすることにより、図12(d)に示すように、8等分割できる。なお、θ1、θ2、θ3、及びθ4の値をメモリに格納しておくことにより、これらの角度で回転させる制御が可能である。
【0046】
図13は、断面が8角形(nが8のn回回転対称形)の物品104を本発明の装置及び方法によって分割する実施形態を示す。物品104を第1の分割方式によって分割した場合、図13(a)又は(b)に示すように、8等分割又は4等分割することができる。一方、物品104を第2の分割方式によって分割した場合、図13(a)乃至(d)に示すように、8等分割又は4等分割することができる。
【0047】
図14は、断面が3角形(nが3のn回回転対称形)の物品106、及び断面が5角形(nが5のn回回転対称形)の物品108を本発明の装置及び方法によって分割する実施形態を示す。物品106を第1の分割方式によって分割した場合、図14(a)に示すように等分割ではないが6分割できる。また、物品108を第1の分割方式によって分割した場合、図14(b)に示すように等分割ではないが10分割できる。また、物品106を第2の分割方式によって分割した場合、図14(a)に示すように6分割、又は図14(c)に示すように6等分割できる。また、物品108を第2の分割方式によって分割した場合、図14(b)に示すように10分割、又は図14(d)に示すように10等分割できる。
【0048】
図15(a)は、断面が楕円形(nが2のn回回転対称形)の物品110を第2の分割方式によって4等分割する実施形態を示す。また、図15(b)は、断面が菱形(nが2のn回回転対称形)の物品112を第2の分割方式によって4等分割する実施形態を示す。
【0049】
なお、以上に説明した第1の分割方式及び第2の分割方式のいずれの分割方式においても、物品をm個(mは4以上の偶数)に分割する場合には、切断手段をm/2箇所、方向変換手段を少なくともm/2−1箇所設けていれば足りる。また、第1の分割方式の場合、物品拘持治具に形成される切断刃が通過する溝は、物品の切断面Bに対応するように形成される。また、第1の分割方式の場合、搬送経路上に設けられた係合部に係合される物品拘持治具上の被係合部は、n回回転対称形の外周の各頂点に設けられる。このため、例えば、断面が長方形、正方形、正8角形の場合のように、切断刃が通過する溝が被係合部と一致しない場合もある。第1の分割方式の場合、n回回転対称形の物品において、nが偶数の場合に等分割可能であり、一方、第2の分割方式の場合、nが2以上の自然数であれば等分割することが可能である。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面に基いて説明したが、本発明は、図示した実施形態には限定されない。例えば、本発明の物品分割装置によって分割する物品は、即席麺塊に限定されず、煎餅、ビスケット、羊羹、ピザ等であってもよい。また、食品以外の金属や樹脂等の物品であってもよい。
【0051】
その他、本発明の技術的範囲には、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様も含まれる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、いずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の物品分割装置及び物品分割方法によれば、物品拘持治具により物品を拘持した状態で切断、分割するので、変形しやすい又は破損しやすい物品の分割に適している。このため、即席麺塊に限らず、種々の物品を分割するために広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の物品分割装置及び物品拘持治具を示す平面図である。
【図2】図1の物品分割装置及び物品拘持治具を示す正面図である。
【図3】図1の物品拘持治具を示す図であり、同図(a)は拡大平面図、同図(b)は拡大底面図である。
【図4】図1の物品拘持治具を示す図であり、同図(a)は拡大正面図、同図(b)は図3のA−A線切断部断面図である。
【図5】図1の物品分割装置及び物品拘持治具により即席麺塊を分割する状態を示す図であり、同図(a)は即席麺塊を切断する前の状態、同図(b)は即席麺塊を1方向で切断した状態、同図(c)は即席麺塊を2方向で切断した状態、同図(d)は即席麺塊を3方向で切断した状態を示す平面図である。
【図6】図1の物品分割装置及び物品拘持治具により即席麺塊を回転させて方向変換させる状態を示す図であり、同図(a)は即席麺塊を拘持した物品拘持治具が突起部に接触する直前の状態、同図(b)は物品拘持治具が突起部に接触して回転する状態、同図(c)は物品拘持治具が回転した状態を示す平面図である。
【図7】図1の物品分割装置及び物品拘持治具により即席麺塊を回転させて方向変換させる状態を機構学的に説明するための拡大平面図である。
【図8】本発明の物品分割装置及び物品拘持治具の他の実施形態を示す正面図である。
【図9】本発明の物品拘持治具の他の実施形態を示す図であり、同図(a)は拡大平面図、同図(b)は拡大底面図である。
【図10】図9の物品拘持治具を示す図であり、同図(a)は拡大正面図、同図(b)は図9のD−D線切断部断面図である。
【図11】本発明の物品分割装置の他の実施形態を説明するための図であり、他の分割形態を示す平面図である。
【図12】本発明の物品分割装置の更に他の実施形態を説明するための図であり、更に他の分割形態を示す平面図である。
【図13】本発明の物品分割装置の更に他の実施形態を説明するための図であり、更に他の分割形態を示す平面図である。
【図14】本発明の物品分割装置の更に他の実施形態を説明するための図であり、更に他の分割形態を示す平面図である。
【図15】本発明の物品分割装置の更に他の実施形態を説明するための図であり、更に他の分割形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
10:物品分割装置
12、56:物品拘持治具
14、54:即席麺塊(物品)
18:搬送経路
20:搬送手段
22(1)、22(2)、22(3):円形鋸刃(切断刃)
23:ピッチ円
24(1)、24(2)、24(3):切断手段
26(1)、26(2):方向変換手段
28:嵌合凹部
30(1)、30(2)、30(3):溝
32:側壁
34:底面
36:支持軸
38:ガイド
40:ロッド
42:孔
44、46:ガイドレール
48:開口部
50(1)、50(2):突起部(係合部)
52:抑圧摺動板
58:針
60(1)、60(2)、60(3):固定カッター
100、102、104、106、108、110、112:物品
C:回転軸
B(1)、B(2)、B(3)、B(4)、B(5):切断面
E:回転対称軸
P:瞬間中心
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を分割するための物品分割装置及び物品分割方法に関する。特には、包丁切り等の手段では切断しにくい物品の分割に適する。また、特には、回転対称形の断面を有する物品の等分割に適する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所謂カップ入り即席麺としては、1個の麺塊を1個のカップ容器に封入したものが周知である。しかし、特許第3404464号のように、湯戻ししても麺塊形状の崩れない即席麺も提案されており、この技術を用いれば、一口サイズの小麺塊を多数封入したカップ入り即席麺であって、小麺塊を一つずつ、スプーンやホークで喫食するような商品も可能である。このような商品を製造する場合、定型の一口サイズの小麺塊を製造する必要があり、そのためには、1個の小麺塊に対応する麺線群を取り分けてリテーナに投入していた。しかし、この方式の場合、複数の小麺塊の間において麺線の本数が異なって取り分けられてしまうと、麺線1本の長さが長いために各小麺塊間における重量差が大きくなり、各小麺塊を略一定量に製造するのは困難である。また、この方式では、麺塊がリテーナから離脱しにくかったり、麺塊形状を矩形等の形状としたいときに角部が丸くなるという欠点があった。そこで、大きな麺塊をフライ又は熱風乾燥等によって乾燥した後、これを等分割することが考えられる。
【0003】
ここで、ニンジン等の野菜類等を複数個の略定型に等分割する成形機については案出されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ケーキやチーズ等を複数個に分割する装置についてもいくつかのものが案出されている(例えば、特許文献2及び特許文献3参照。)。しかし、これらの技術は包丁刃によって押し切ることができるような比較的切断の容易な食品に関するものであり、乾燥麺塊のように、ある程度の硬さがあり、押し切ろうとすると割れたり、砕けたりするものに対応できるものではなかった。例えば、ビスケットや煎餅等は焼成後では壊れやすいので、生地の段階で1枚ずつ型抜きするか切断し、これを焼成して製造している。
【特許文献1】特開昭60−49785号公報
【特許文献2】実開昭56−142587号公報
【特許文献3】特開昭51−19180号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明者は、上記のような包丁刃での切断が困難な物品を分割でき、且つ一度の工程で切断を行うことのできる装置について鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。 すなわち、本発明は、ある程度の硬さがあり、包丁刃等で押し切ることが困難な物品を分割するのに適していて、この物品の形状が正多角形や円形等の回転対称形の断面を有する場合には、この物品を等分割できる物品分割装置及び物品分割方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の物品分割装置は、回転軸を有し、物品を拘持してその向きを規制する物品拘持治具と、前記物品拘持治具により拘持された前記物品を一定方向の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、前記搬送経路の途中に間隔をおいて複数設けられ、前記物品拘持治具に拘持された前記物品が搬送されることにより前記回転軸が通過する箇所に切断刃を有する複数の切断手段と、前記複数の切断手段の間に設けられ、前記物品拘持治具に拘持される前記物品を前記回転軸のまわりに既定角度の方向変換をさせる方向変換手段と、を備え、前記物品拘持治具の回転軸を前記搬送経路に対して垂直方向として前記物品を搬送手段で搬送し、前記切断手段及び前記方向変換手段により前記物品を分割することを特徴とする。
【0006】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記搬送経路の途中に係合部が設けられ、前記物品拘持治具にはその外周に沿って該係合部に係合される複数の被係合部が設けられ、該被係合部が該係合部に係合されることにより、該被係合部と該係合部との接触点を瞬間中心として、該物品拘持治具が前記回転軸のまわりに回転して方向変換することを特徴とする。
【0007】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記搬送経路には前記物品拘持治具の外周が摺動するガイドレールが設けられ、前記係合部が該ガイドレールから突出する突起部であることを特徴とする。
【0008】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記物品拘持治具に拘持された時の該物品拘持治具の回転軸に垂直な断面が略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である物品を分割する物品分割装置であり、該物品の回転対称軸に該物品拘持治具の回転軸が一致することにより、該回転対称軸を通る切断面で該物品を等分割することを特徴とする。
【0009】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記搬送手段が、前記物品拘持治具により拘持された前記物品を前記搬送経路に沿って摺動させる手段であることを特徴とする。
【0010】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記切断刃が、前記搬送手段による前記物品の搬送方向に対して平行方向であり且つ前記搬送経路に対して垂直方向であるピッチ円を有する円形鋸刃であることを特徴とする。
【0011】
本発明の物品分割装置は、前記物品分割装置において、前記物品拘持治具が、前記物品を嵌合する嵌合凹部と、前記回転軸を通り互いに一定角度をなし、前記切断刃が入り込む複数の溝と、を備え、前記嵌合凹部の前記回転軸に垂直な断面が、略n回回転対称形(nは2以上の自然数)であることを特徴とする。
【0012】
本発明の物品分割方法は、回転軸を有する物品拘持治具によって物品を拘持するステップと、前記物品拘持治具により拘持された前記物品を一定方向の搬送経路に沿って搬送するステップと、を含み、前記搬送するステップが、前記物品拘持治具に拘持された前記物品を、前記搬送経路上の前記回転軸が通過する箇所に設けられた切断刃により切断するステップと、前記物品拘持治具に拘持された前記物品を前記回転軸のまわりに既定角度の方向変換をさせるステップと、を含み、前記切断ステップ及び方向変換ステップを交互に繰り返して前記物品を分割することを特徴とする。
【0013】
本発明の物品分割方法は、前記物品分割方法において、前記方向変換ステップが、前記物品拘持治具の外周の一定点を瞬間中心として、該物品拘持治具が前記回転軸のまわりに回転して方向変換するステップであることを特徴とする。
【0014】
本発明の物品分割方法は、前記物品分割方法において、前記物品拘持治具に拘持された時の該物品拘持治具の回転軸に垂直な断面が略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である物品を分割する物品分割方法であり、該物品の回転対称軸に該物品拘持治具の回転軸を一致させることにより、該回転対称軸を通る切断面で該物品を等分割するステップであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の物品分割装置及び物品分割方法によれば、物品拘持治具により物品を拘持した状態で切断、分割するので、変形しやすい又は破損しやすい物品の分割に適している。また、物品が即席油揚げ麺の場合にはフライ後に、物品がビスケットや煎餅の場合には焼成後に、夫々分割することができるため、分割塊体の角部が丸くなることがない。また、本発明の物品分割装置によれば、切断刃を鋸刃、超音波カッター等とすることができるため、包丁刃では切れない硬さを有するものや、押し切ろうとすると砕けてしまう脆い物品を切断、分割することができる。また、物品が回転対称形である場合には、物品拘持治具で拘持し、搬送しながら、切断し、且つ方向変換することにより、容易且つ確実に物品を回転対称軸を通る切断面で等分割することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明に係る物品分割装置及び物品拘持治具の実施の形態について、分割する物品を略正6角柱形状の即席麺塊とした場合を例に、図面に基づいて詳しく説明する。なお、明細書において、例えば、符号を22とした場合、22(1)、22(2)、22(3)を含む。その他の符号についても同様である。
【0017】
図1乃至図4において、符号10は、本発明の物品分割装置であり、符号12は、本発明の物品拘持治具である。
【0018】
物品分割装置10は、図1及び図2に示すように、回転軸Cを有し、即席麺塊(物品)14を拘持して即席麺塊14の向きを規制する略正6角形の物品拘持治具12と、物品拘持治具12により拘持された即席麺塊14をX軸方向の搬送経路18に沿って搬送する搬送手段20と、搬送経路18の途中に一定間隔をおいて設けられ、物品拘持治具12に拘持された即席麺塊14が搬送されることにより回転軸Cが通過する箇所に円形鋸刃(切断刃)22を有する3個の切断手段24と、3個の切断手段24の間に設けられ、物品拘持治具12に拘持される即席麺塊14を回転軸Cのまわりに60°(既定角度)ずつ方向変換させる2個の方向変換手段26と、を備える。そして、物品拘持治具12の回転軸Cを搬送経路18に対して垂直方向として即席麺塊(物品)14を搬送手段20で搬送し、切断手段24及び方向変換手段26により、回転軸Cを通る切断面で即席麺塊14を6等分割する物品分割装置である。
【0019】
即席麺塊14は、麺線を略正6角柱形状に成型して揚げたものであり、物品拘持治具12に嵌合することができる。すなわち、即席麺塊14の断面であり、物品拘持治具12に拘持された場合の回転軸Cに垂直な断面が、略6回回転対称形である略正6角形の本実施形態の場合、即席麺塊14の回転対称軸Eに回転軸Cを一致させて物品分割装置10により6等分割できる。この即席麺塊14は、特許第3404464号の製造方法によって、熱湯を注ぐことによって復元するが、複数の麺線が分離し難いように形成されている。なお、この即席麺塊14を6等分割して形成された分割塊体6個が一口分として使用される。
【0020】
物品拘持治具12は、図3及び図4に示すように、即席麺塊14を嵌合する嵌合凹部28と、回転軸Cを通り互いに60°の一定角度をなし、円形鋸刃22が入り込む3本の溝30と、を備えている。嵌合凹部28は、略正6角形の側壁32によって6個の辺から成る略正6角形の断面を形成している。溝30は、略正6角形の頂点から底面34を通って対向する頂点まで、略正6角形の対角線方向に延びている。すなわち、物品拘持治具12は、略正6角形の即席麺塊14を拘持してX軸方向の搬送経路18に沿って搬送し、溝30及び回転軸Cが円形鋸刃22を通過して即席麺塊14を切断し、3個の円形鋸刃22の間において即席麺塊14を回転軸Cまわりに60°ずつ方向変換させることにより、回転軸Cを一致させた回転対称軸Eを通る切断面Bで即席麺塊14を6等分割するように構成されている。なお、嵌合凹部28が偶数である6個の辺からなる略正6角形の断面を有するため、溝30が略正6角形の頂点から対向する頂点まで回転軸Cを通りながら直線に延びることができ、溝30及び回転軸Cが、円形鋸刃22を通過することができる。
【0021】
搬送手段20は、図1及び図6に示すように、物品拘持治具12に固定された支持軸36と、支持軸36が回動可能且つY軸方向に摺動可能な溝を有するガイド38と、ガイド38に固定されたロッド40とを有し、図示しない移動駆動手段によりロッド40をX軸方向へ移動させることにより、物品拘持治具12を搬送経路18上でX軸方向に摺動させるように構成されている。よって、搬送経路18は、物品拘持治具12が摺動可能なように、滑らかな上面を有している。支持軸36及びガイド38は、すすみ対偶及びまわり対偶を有する自由度2の連結機構を構成している。なお、移動駆動手段は、特に限定されないが、サーボモーター等を利用した機構によって構成されることにより、移動速度を電気的に制御できることが望ましい。
【0022】
切断手段24は、搬送経路18の孔42から上へ一部が突出する円形鋸刃22と、円形鋸刃22を回転させる図示しない回転駆動手段とを備えている。円形鋸刃22のピッチ円23は、図2に示すように、即席麺塊14の搬送方向(X軸方向)に対して平行方向であり、且つ搬送経路18に対して垂直方向である。
【0023】
搬送経路18は、図1に示すように、物品拘持治具12の側壁32を摺動させて物品拘持治具12の搬送方向を規制するガイドレール44及び46を幅方向両端に備えている。一方のガイドレール46には、物品拘持治具12の方向変換のスペースを確保するために、開口部48が設けられており、他方のガイドレール44は、搬送経路18のほぼ全長に渡って設置されている。ガイドレール44及び46から円形鋸刃22までの距離W1は、物品拘持治具12の回転軸Cから6角形の各辺までの距離W2と一致し、溝30及び回転軸Cが必ず円形鋸刃22を通過するように構成されている。なお、図6に示すように、ガイド38及び支持軸36の間にバネ37が設けられ、物品拘持治具12に対してガイドレール44へ向かう付勢力を付与するように構成されている。
【0024】
ガイドレール44の開口部48近辺には、物品拘持治具12の溝30に係合する突起部50が設けられている。すなわち、溝(被係合部)30が突起部(係合部)50に係合されることにより、溝30と突起部50との接触点を瞬間中心として物品拘持治具12が回転して、60°の方向変換をするように構成されている。すなわち、方向変換手段26は、溝30と突起部50とによって構成される。
【0025】
また、図1及び図2に示すように、ガイドレール44及び46には、物品拘持治具12の上面を摺動させて物品拘持治具12を搬送経路18へ押し当てる水平方向の抑圧摺動板52が設けられている。この抑圧摺動板52により、円形鋸刃22から物品拘持治具12内の即席麺塊14へZ軸方向の押圧力が付加されても、物品拘持治具12がZ軸方向に浮いてしまうことがない。
【0026】
このような構成の本発明に係る物品分割装置10及び物品拘持治具12を用いた物品の分割方法を説明するとともに、その作用び効果について以下に説明する。
【0027】
麺線を略6角柱形状に成型して揚げた即席麺塊14を、略6角形物品分割装置10及び物品拘持治具12を用いて6等分割する場合、即席麺塊14を物品拘持治具12の嵌合凹部28に嵌合し、嵌合凹部28の開口部を下に向けて搬送経路18の図1及び図2の右端付近の上に載置する。この時、物品拘持治具12の回転軸Cは搬送経路18に対して垂直方向となる。なお、物品拘持治具12の外周の平面は、バネ37によってガイドレール44に密着させられる。
【0028】
次に、移動駆動手段を駆動させて、物品拘持治具12を搬送経路18及びガイドレール44に沿ってX軸方向に摺動させると、物品拘持治具12の左端付近が、抑圧摺動板52(1)の下に入り込み、抑圧摺動板52(1)、搬送経路18、ガイドレール44及び46(1)に対して摺動する。そして、物品拘持治具12が更に摺動すると、円形鋸刃22(1)が物品拘持治具12の溝30(1)内に入り込み、物品拘持治具12に拘持された即席麺塊14が切断されていき、回転軸Cが円形鋸刃22(1)を通過する。さらに、物品拘持治具12が、抑圧摺動板52(1)及びガイドレール46(1)を通り過ぎて図1に示す位置に達した時、即席麺塊14には、図5(b)に示すように、切断面B(1)が生じる。
【0029】
物品拘持治具12が更にX軸方向へ摺動すると、図6(a)に示すように、突起部50(1)に接近し、図7に示すように、溝30(3)と突起部50(1)が係合し、溝30(2)と突起部50(1)との接触点Pを機構学上の瞬間中心として物品拘持治具12が回転する。すなわち、物品拘持治具12の他の節との接触状態が、すべり接触からころがり接触へ移行する。この時、支持軸36は、図6(b)に示すように、ガイド38に沿ってY軸負方向に摺動する。なお、突起部50(1)が溝30(2)内に入り込むことにより、溝30(3)と突起部50(1)が確実に係合する。
【0030】
ここで、図7に基き物品拘持治具12の回転について説明すると、ガイド38が支持軸36を押圧する力N1とバネ37が支持軸36を押圧する力N2との間には、N1・Lcosθ>N2・Lsinθ(LはPから支持軸36の中心点までの距離)なる関係があれば、物品拘持治具12は回転できる。物品拘持治具12が6回回転対称形の場合、接触を開始した瞬間においてθは約30°であるから、N1がN2の1/(31/2)倍より大きい値であれば回転できる。また、仮に、物品拘持治具12が4回回転対称形の場合、接触を開始した瞬間においてθは約45°であるから、N1がN2より大きい値であれば回転できる。また、仮に、物品拘持治具12が3回回転対称形の場合、接触を開始した瞬間においてθは約60°であるから、N1がN2の31/2 倍より大きい値であれば回転できる。また、物品拘持治具12の回転速度V2は、V1/cosθ(V1はガイド38の速度)であり、容易に把握できる。また、回転速度V2はV1の1/cosθ倍であるため、V2が過剰に早くなって物品拘持治具12が突起部50(1)から離脱してしまうこともない。なお、図7において、V12は、支持軸36のガイド38に対する速度である。
【0031】
物品拘持治具12が更にX軸方向へ摺動すると、図6(c)に示すように、物品挟持治具12の外周がガイドレール44に密着する。これにより、物品拘持治具12は、結果的に、回転軸Cのまわりに60°方向変換したこととなる。
【0032】
物品拘持治具12が、このように方向変換した状態で更にX軸方向へ摺動すると、物品拘持治具12の左端付近が、抑圧摺動板52(2)の下に入り込み、抑圧摺動板52(2)、搬送経路18、ガイドレール44及び46(2)に対して摺動する。そして、物品拘持治具12が更に摺動すると、円形鋸刃22(2)が物品拘持治具12の溝30(2)内に入り込み、物品拘持治具12に拘持された即席麺塊14が切断されていき、回転軸Cが円形鋸刃22(2)を通過する。物品拘持治具12が、抑圧摺動板52(2)及びガイドレール46(2)を通り過ぎた時、即席麺塊14には、図5(c)に示すように、切断面B(2)が生じる。
【0033】
物品拘持治具12が更にX軸方向へ摺動すると、突起部50(2)によって同様に方向変換し、即席麺塊14は円形鋸刃22(3)によって同様に切断され、図5(d)に示すように、切断面B(3)が生じる。すなわち、即席麺塊14が切断面B(1)、B(2)及びB(3)によって6等分割され、6個の分割塊体が形成されたこととなる。このようにして6等分割された即席麺塊14は、容器に入れられ、包装されて販売される。
【0034】
このような物品分割装置10及び物品拘持治具12によれば、即席麺塊14を拘持して搬送しながら60°ずつ方向変換させることにより、即席麺塊14を容易且つ確実に6等分割することができる。また、即席麺塊14が物品拘持治具12によって拘持されるため、即席麺塊14の外形を損なうことなく分割でき、即席麺塊14等のこわれやすい物品の分割に適している。特に、即席麺塊14を物品拘持治具12の嵌合凹部28に嵌合して拘持することにより、即席麺塊14の外形を損なうのを防止できる。
【0035】
また、即席麺塊14を拘持した物品拘持治具12を、搬送経路18、抑圧摺動板52、ガイドレール44及び46に摺動させながら円形鋸刃22によって切断するため、物品拘持治具12が円形鋸刃22からの上方向への押圧力等によって揺動することがなく、即席麺塊14を確実に6等分割することができる。
【0036】
また、溝(被係合部)30(2)と突起部(係合部)50(1)との接触点Pを瞬間中心として物品拘持治具12を回転させて方向変換させるため、方向変換させるための駆動手段等を設ける必要がなく、装置全体としてコンパクトに構成できる。
【0037】
なお、上記実施形態では、物品拘持治具12をガイドレール44と46の間に挟持して搬送経路18上を摺動させて搬送したが、物品拘持治具12の支持軸36を搬送経路18の上方の空間に設置したレールに係止して、そのレール上を支持軸36が移動して搬送する構造としてもよい。また、搬送経路18自身をコンベア構造とした搬送手段としてもよい。
【0038】
以上、本発明の一実施形態について図面に基いて説明したが、本発明は、上述した実施形態には限定されない。
【0039】
例えば、物品分割装置10において、図8に示すように、切断手段22を固定カッター60によって構成しても良い。この場合、移動手段によって物品拘持治具12をX方向に移動させる力及び抑圧摺動板52によってZ軸負方向に押圧する力により、即席麺塊14が強制的に切断される。この場合、固定カッター60を超音波カッターとし、抑圧摺動板52を強固な金属製とすることが望ましい。
【0040】
また、物品拘持治具は、図9及び図10に示すように、断面が円形(nが無限大のn回回転対称形)である即席麺塊54を拘持する物品拘持治具56であっても良い。この物品拘持治具56は、即席麺塊54を4等分割するための治具であり、複数の針58を即席麺塊54に突刺して拘持する。この物品拘持治具56を用いて回転軸Cのまわりに方向変換する場合、サーボモータ機構等によって回転軸Cのまわりに90°回転させて方向変換させる。サーボモータ機構の場合、CPU、メモリ、I/Oポート等から構成される制御手段からサーボモータにパルスを払い出して一定角度回転させる。
【0041】
この物品拘持治具56を用いる場合の分割方法は、即席麺塊を拘持した物品拘持治具56を搬送経路上に設けられた切断刃を物品拘持治具の溝に通して切断手段により切断し、その後、方向変換手段により物品拘持治具56を回転軸Cのまわりに90°回転する。次に、90°回転した物品拘持治具56をさらに搬送して搬送経路上に設けられた次の切断刃を物品拘持治具の他の溝に通して切断する。このようにして、即席麺塊54を4等分割できる。
【0042】
なお、断面が円形の即席麺塊を拘持するのに円形の物品拘持治具56を用いたが、複数の針で突刺して拘持する機構であれば、物品拘持治具は物品を嵌合する構造である必要はない。また、物品との当接面に切断刃が通る溝を有する構造でなくてよい。このような物品拘持治具としては、他にバキュームで物品を拘持する治具が考えられる。
【0043】
以上、瞬間中心を生じさせることにより物品を方向変換させて分割する図1乃至図8に示す分割方式(以下、第1の分割方式と言う。)、及び、サーボモータ機構等を用いて物品拘持治具の回転軸を直接回転させることにより物品を方向変換させて分割する分割方式(以下、第2の分割方式と言う。)について、夫々、一定形状の物品を例にして説明したが、他の形状の物品を分割する実施形態について以下に説明する。
【0044】
図11及び図12は、断面が正方形(nが4のn回回転対称形)の物品100、及び断面が長方形(nが2のn回回転対称形)の物品102を本発明の装置及び方法によって分割する実施形態を示す。物品100及び102を第1の分割方式によって分割した場合、図11に示すように、正方形の各辺の中点を結ぶ切断面Bによって4等分割される。なお、物品102を切断する2箇所の切断手段については、ガイドレールから切断刃までの距離W1を互いに異ならせる必要がある。
【0045】
一方、物品100及び102を第2の分割方式によって分割した場合、図11及び図12に示すような分割態様が可能である。すなわち、物品100をサーボモータ機構等によって90°の方向変換をすることにより、図11(a)及び図12(a)に示すように、4等分割でき、45°ずつ方向変換することにより、図12(c)に示すように、8等分割できる。また、物品102をサーボモータ機構等によって90°の方向変換をすることにより、図11(b)に示すように、4等分割できる。また、物品102をサーボモータ機構等によってθ1又はθ2の方向変換をすることにより、図12(b)に示すように、等分割ではないが4分割できる。また、物品102をサーボモータ機構等によってθ3及びθ4の方向変換をすることにより、図12(d)に示すように、8等分割できる。なお、θ1、θ2、θ3、及びθ4の値をメモリに格納しておくことにより、これらの角度で回転させる制御が可能である。
【0046】
図13は、断面が8角形(nが8のn回回転対称形)の物品104を本発明の装置及び方法によって分割する実施形態を示す。物品104を第1の分割方式によって分割した場合、図13(a)又は(b)に示すように、8等分割又は4等分割することができる。一方、物品104を第2の分割方式によって分割した場合、図13(a)乃至(d)に示すように、8等分割又は4等分割することができる。
【0047】
図14は、断面が3角形(nが3のn回回転対称形)の物品106、及び断面が5角形(nが5のn回回転対称形)の物品108を本発明の装置及び方法によって分割する実施形態を示す。物品106を第1の分割方式によって分割した場合、図14(a)に示すように等分割ではないが6分割できる。また、物品108を第1の分割方式によって分割した場合、図14(b)に示すように等分割ではないが10分割できる。また、物品106を第2の分割方式によって分割した場合、図14(a)に示すように6分割、又は図14(c)に示すように6等分割できる。また、物品108を第2の分割方式によって分割した場合、図14(b)に示すように10分割、又は図14(d)に示すように10等分割できる。
【0048】
図15(a)は、断面が楕円形(nが2のn回回転対称形)の物品110を第2の分割方式によって4等分割する実施形態を示す。また、図15(b)は、断面が菱形(nが2のn回回転対称形)の物品112を第2の分割方式によって4等分割する実施形態を示す。
【0049】
なお、以上に説明した第1の分割方式及び第2の分割方式のいずれの分割方式においても、物品をm個(mは4以上の偶数)に分割する場合には、切断手段をm/2箇所、方向変換手段を少なくともm/2−1箇所設けていれば足りる。また、第1の分割方式の場合、物品拘持治具に形成される切断刃が通過する溝は、物品の切断面Bに対応するように形成される。また、第1の分割方式の場合、搬送経路上に設けられた係合部に係合される物品拘持治具上の被係合部は、n回回転対称形の外周の各頂点に設けられる。このため、例えば、断面が長方形、正方形、正8角形の場合のように、切断刃が通過する溝が被係合部と一致しない場合もある。第1の分割方式の場合、n回回転対称形の物品において、nが偶数の場合に等分割可能であり、一方、第2の分割方式の場合、nが2以上の自然数であれば等分割することが可能である。
【0050】
以上、本発明の実施形態について図面に基いて説明したが、本発明は、図示した実施形態には限定されない。例えば、本発明の物品分割装置によって分割する物品は、即席麺塊に限定されず、煎餅、ビスケット、羊羹、ピザ等であってもよい。また、食品以外の金属や樹脂等の物品であってもよい。
【0051】
その他、本発明の技術的範囲には、その趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様も含まれる。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内で、いずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の物品分割装置及び物品分割方法によれば、物品拘持治具により物品を拘持した状態で切断、分割するので、変形しやすい又は破損しやすい物品の分割に適している。このため、即席麺塊に限らず、種々の物品を分割するために広く利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の物品分割装置及び物品拘持治具を示す平面図である。
【図2】図1の物品分割装置及び物品拘持治具を示す正面図である。
【図3】図1の物品拘持治具を示す図であり、同図(a)は拡大平面図、同図(b)は拡大底面図である。
【図4】図1の物品拘持治具を示す図であり、同図(a)は拡大正面図、同図(b)は図3のA−A線切断部断面図である。
【図5】図1の物品分割装置及び物品拘持治具により即席麺塊を分割する状態を示す図であり、同図(a)は即席麺塊を切断する前の状態、同図(b)は即席麺塊を1方向で切断した状態、同図(c)は即席麺塊を2方向で切断した状態、同図(d)は即席麺塊を3方向で切断した状態を示す平面図である。
【図6】図1の物品分割装置及び物品拘持治具により即席麺塊を回転させて方向変換させる状態を示す図であり、同図(a)は即席麺塊を拘持した物品拘持治具が突起部に接触する直前の状態、同図(b)は物品拘持治具が突起部に接触して回転する状態、同図(c)は物品拘持治具が回転した状態を示す平面図である。
【図7】図1の物品分割装置及び物品拘持治具により即席麺塊を回転させて方向変換させる状態を機構学的に説明するための拡大平面図である。
【図8】本発明の物品分割装置及び物品拘持治具の他の実施形態を示す正面図である。
【図9】本発明の物品拘持治具の他の実施形態を示す図であり、同図(a)は拡大平面図、同図(b)は拡大底面図である。
【図10】図9の物品拘持治具を示す図であり、同図(a)は拡大正面図、同図(b)は図9のD−D線切断部断面図である。
【図11】本発明の物品分割装置の他の実施形態を説明するための図であり、他の分割形態を示す平面図である。
【図12】本発明の物品分割装置の更に他の実施形態を説明するための図であり、更に他の分割形態を示す平面図である。
【図13】本発明の物品分割装置の更に他の実施形態を説明するための図であり、更に他の分割形態を示す平面図である。
【図14】本発明の物品分割装置の更に他の実施形態を説明するための図であり、更に他の分割形態を示す平面図である。
【図15】本発明の物品分割装置の更に他の実施形態を説明するための図であり、更に他の分割形態を示す平面図である。
【符号の説明】
【0054】
10:物品分割装置
12、56:物品拘持治具
14、54:即席麺塊(物品)
18:搬送経路
20:搬送手段
22(1)、22(2)、22(3):円形鋸刃(切断刃)
23:ピッチ円
24(1)、24(2)、24(3):切断手段
26(1)、26(2):方向変換手段
28:嵌合凹部
30(1)、30(2)、30(3):溝
32:側壁
34:底面
36:支持軸
38:ガイド
40:ロッド
42:孔
44、46:ガイドレール
48:開口部
50(1)、50(2):突起部(係合部)
52:抑圧摺動板
58:針
60(1)、60(2)、60(3):固定カッター
100、102、104、106、108、110、112:物品
C:回転軸
B(1)、B(2)、B(3)、B(4)、B(5):切断面
E:回転対称軸
P:瞬間中心
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有し、物品を拘持してその向きを規制する物品拘持治具と、
前記物品拘持治具により拘持された前記物品を一定方向の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路の途中に間隔をおいて複数設けられ、前記物品拘持治具に拘持された前記物品が搬送されることにより前記回転軸が通過する箇所に切断刃を有する複数の切断手段と、
前記複数の切断手段の間に設けられ、前記物品拘持治具に拘持される前記物品を前記回転軸のまわりに既定角度の方向変換をさせる方向変換手段と、を備え、
前記物品拘持治具の回転軸を前記搬送経路に対して垂直方向として前記物品を搬送手段で搬送し、前記切断手段及び前記方向変換手段により前記物品を分割する物品分割装置。
【請求項2】
前記搬送経路の途中に係合部が設けられ、前記物品拘持治具にはその外周に沿って該係合部に係合される複数の被係合部が設けられ、該被係合部が該係合部に係合されることにより、該被係合部と該係合部との接触点を瞬間中心として、該物品拘持治具が前記回転軸のまわりに回転して方向変換する請求項1に記載する物品分割装置。
【請求項3】
前記搬送経路には前記物品拘持治具の外周が摺動するガイドレールが設けられ、前記係合部が該ガイドレールから突出する突起部である請求項2に記載する物品分割装置。
【請求項4】
前記物品拘持治具に拘持された時の該物品拘持治具の回転軸に垂直な断面が略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である物品を分割する物品分割装置であり、該物品の回転対称軸に該物品拘持治具の回転軸が一致することにより、該回転対称軸を通る切断面で該物品を等分割する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する物品分割装置。
【請求項5】
前記搬送手段が、前記物品拘持治具により拘持された前記物品を前記搬送経路に沿って摺動させる手段である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載する物品分割装置。
【請求項6】
前記切断刃が、前記搬送手段による前記物品の搬送方向に対して平行方向であり且つ前記搬送経路に対して垂直方向であるピッチ円を有する円形鋸刃である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載する物品分割装置。
【請求項7】
前記物品拘持治具が、前記物品を嵌合する嵌合凹部と、前記回転軸を通り互いに一定角度をなし、前記切断刃が入り込む複数の溝と、を備え、前記嵌合凹部の前記回転軸に垂直な断面が、略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である請求項1乃至請求項6のいずれかに記載する物品分割装置。
【請求項8】
回転軸を有する物品拘持治具によって物品を拘持するステップと、
前記物品拘持治具により拘持された前記物品を一定方向の搬送経路に沿って搬送するステップと、を含み、
前記搬送するステップが、
前記物品拘持治具に拘持された前記物品を、前記搬送経路上の前記回転軸が通過する箇所に設けられた切断刃により切断するステップと、前記物品拘持治具に拘持された前記物品を前記回転軸のまわりに既定角度の方向変換をさせるステップと、を含み、前記切断ステップ及び方向変換ステップを交互に繰り返して前記物品を分割する物品分割方法。
【請求項9】
前記方向変換ステップが、前記物品拘持治具の外周の一定点を瞬間中心として、該物品拘持治具が前記回転軸のまわりに回転して方向変換するステップである請求項8に記載する物品分割方法。
【請求項10】
前記物品拘持治具に拘持された時の該物品拘持治具の回転軸に垂直な断面が略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である物品を分割する物品分割方法であり、該物品の回転対称軸に該物品拘持治具の回転軸を一致させることにより、該回転対称軸を通る切断面で該物品を等分割するステップである請求項8又は請求項9のいずれかに記載する物品分割方法。
【請求項1】
回転軸を有し、物品を拘持してその向きを規制する物品拘持治具と、
前記物品拘持治具により拘持された前記物品を一定方向の搬送経路に沿って搬送する搬送手段と、
前記搬送経路の途中に間隔をおいて複数設けられ、前記物品拘持治具に拘持された前記物品が搬送されることにより前記回転軸が通過する箇所に切断刃を有する複数の切断手段と、
前記複数の切断手段の間に設けられ、前記物品拘持治具に拘持される前記物品を前記回転軸のまわりに既定角度の方向変換をさせる方向変換手段と、を備え、
前記物品拘持治具の回転軸を前記搬送経路に対して垂直方向として前記物品を搬送手段で搬送し、前記切断手段及び前記方向変換手段により前記物品を分割する物品分割装置。
【請求項2】
前記搬送経路の途中に係合部が設けられ、前記物品拘持治具にはその外周に沿って該係合部に係合される複数の被係合部が設けられ、該被係合部が該係合部に係合されることにより、該被係合部と該係合部との接触点を瞬間中心として、該物品拘持治具が前記回転軸のまわりに回転して方向変換する請求項1に記載する物品分割装置。
【請求項3】
前記搬送経路には前記物品拘持治具の外周が摺動するガイドレールが設けられ、前記係合部が該ガイドレールから突出する突起部である請求項2に記載する物品分割装置。
【請求項4】
前記物品拘持治具に拘持された時の該物品拘持治具の回転軸に垂直な断面が略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である物品を分割する物品分割装置であり、該物品の回転対称軸に該物品拘持治具の回転軸が一致することにより、該回転対称軸を通る切断面で該物品を等分割する請求項1乃至請求項3のいずれかに記載する物品分割装置。
【請求項5】
前記搬送手段が、前記物品拘持治具により拘持された前記物品を前記搬送経路に沿って摺動させる手段である請求項1乃至請求項4のいずれかに記載する物品分割装置。
【請求項6】
前記切断刃が、前記搬送手段による前記物品の搬送方向に対して平行方向であり且つ前記搬送経路に対して垂直方向であるピッチ円を有する円形鋸刃である請求項1乃至請求項5のいずれかに記載する物品分割装置。
【請求項7】
前記物品拘持治具が、前記物品を嵌合する嵌合凹部と、前記回転軸を通り互いに一定角度をなし、前記切断刃が入り込む複数の溝と、を備え、前記嵌合凹部の前記回転軸に垂直な断面が、略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である請求項1乃至請求項6のいずれかに記載する物品分割装置。
【請求項8】
回転軸を有する物品拘持治具によって物品を拘持するステップと、
前記物品拘持治具により拘持された前記物品を一定方向の搬送経路に沿って搬送するステップと、を含み、
前記搬送するステップが、
前記物品拘持治具に拘持された前記物品を、前記搬送経路上の前記回転軸が通過する箇所に設けられた切断刃により切断するステップと、前記物品拘持治具に拘持された前記物品を前記回転軸のまわりに既定角度の方向変換をさせるステップと、を含み、前記切断ステップ及び方向変換ステップを交互に繰り返して前記物品を分割する物品分割方法。
【請求項9】
前記方向変換ステップが、前記物品拘持治具の外周の一定点を瞬間中心として、該物品拘持治具が前記回転軸のまわりに回転して方向変換するステップである請求項8に記載する物品分割方法。
【請求項10】
前記物品拘持治具に拘持された時の該物品拘持治具の回転軸に垂直な断面が略n回回転対称形(nは2以上の自然数)である物品を分割する物品分割方法であり、該物品の回転対称軸に該物品拘持治具の回転軸を一致させることにより、該回転対称軸を通る切断面で該物品を等分割するステップである請求項8又は請求項9のいずれかに記載する物品分割方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2007−160430(P2007−160430A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−357541(P2005−357541)
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000226976)日清食品株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月12日(2005.12.12)
【出願人】(000226976)日清食品株式会社 (127)
【Fターム(参考)】
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