説明

物流管理用携帯端末機

【課題】 輸送物に付加される情報媒体の種類を区別することなく識別コードの読み取りを可能にし、複数の携帯端末機を用意する必要をなくして操作性を向上させる。
【解決手段】 コードシンボルを読み取り可能な光学センサ11と、無線タグを読み取ることのできる無線センサ21を一体に備える。輸送物に付加された情報媒体をまず無線センサ21で読み取り、その読取可否に応じて情報媒体の種類を判定する。判定結果に応じてセンサ選択部35で光学センサ11及び無線センサ21のいずれかを選択して動作させ、識別コードの読み取りを行う。読み取った識別コードに基づいて、輸送物に固有な情報を表示部33に表示するとともに、必要に応じてキーボード32から入力したその他の情報と併せて情報記憶部36に記憶する。また、外部インタフェース部34を介して、物流システムにおける他の機器との間で識別コード及びその他の情報の授受を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物流管理用携帯端末機に関し、特に輸送物に付加された情報媒体からその識別コードを取得する物流管理用携帯端末機に関する。
【背景技術】
【0002】
物流システムにおいては、輸送物にその輸送物を特定する識別コードが付与され、付加識別コードに基づいて、輸送物の引受から配達に至る輸送物の追跡等の管理を行っている。識別コードは、輸送物で付加された情報媒体に記録され、情報媒体の記録情報を読み取ることにより取得される。
【0003】
識別コードを記録する情報媒体としては、バーコードや2次元コードのようなコードシンボルが表示され、表示されたシンボルが光学的に読み取られる光学情報媒体や、ICチップとアンテナを組み合わせた無線タグ(RFIDタグ、ICタグ)のように、電波や電磁誘導等の無線通信手段により、記録されたコード情報が読み取られる無線情報媒体が利用される。光学情報媒体に記録された情報及び無線情報媒体に記録された情報は、それぞれ専用の読取装置によって読み取られる。
【0004】
図4は、光学情報媒体の情報を読み取る物流管理用携帯端末機の例であり、2次元コード40を読み取るイメージセンサ(図示せず)と、読取開始を指示する読取ボタン42と、読み取ったイメージ情報から取得した識別コードを表示する表示部43を備えている。
【0005】
また、図5は、無線情報媒体の情報を読み取る物流管理用携帯端末機の例であり、無線タグ50から発信される電波を受信する無線部(図示せず)と、読取開始を指示する読取ボタン52と、受信した電波から取得した識別コードを表示する表示部53を備えている。
【0006】
このように、バーコードや2次元コードのような光学情報媒体が付加された輸送物の場合は、イメージセンサが搭載された図4の物流管理用携帯端末機を用いて識別コードを取得し、無線タグのような無線情報媒体が付加された輸送物の場合は、無線タグから発信される電波を受信するための無線部が搭載された図5に示す物流管理用携帯端末機を用いて識別コードを取得するのが一般的である。
【0007】
しかしながら、物流過程においては、光学情報媒体が付加された輸送物と無線情報媒体が付加された輸送物を混在して扱うことがある。このような場合は、イメージセンサが搭載された図4の物流管理用携帯端末機と、無線部が搭載された図5の物流管理用携帯端末機とを別々に用意する必要があり、これらの装置を情報媒体の種類に応じて使い分けしなければならず、操作が煩雑になると共に、装置価格が高くなるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、光学情報媒体が付加された輸送物と無線情報媒体が付加された輸送物を混在して扱う場合でも、それぞれの情報媒体に対応する携帯端末機を別々に用意する必要がなく、操作性及び経済性に優れた物流管理用携帯端末機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の物流管理用携帯端末機は、輸送物に付加された情報媒体からその輸送物を特定する識別コードを取得する物流管理用携帯端末機であって、光学情報媒体の記録情報を読み取って前記識別コードを取得する光学情報読取手段と、無線情報媒体の記録情報を読み取って前記識別コードを取得する無線情報読取手段と、読み取り対象の輸送物に付加された前記情報媒体の種類に応じて、前記光学情報読取手段と無線情報読取手段のいずれかを選択する情報読取選択手段と、前記情報読取選択手段で選択された前記光学情報読取手段又は無線情報読取手段によって取得した前記識別コードを含む物流管理のための情報を表示する表示手段と、前記光学情報読取手段又は無線情報読取手段によって取得した前記識別コードを記憶する記憶手段とを備えるものである。
【0010】
この構成により、光学情報媒体が付加された輸送物と無線情報媒体が付加された輸送物を混在して扱う場合においても、情報媒体の種類を自動的に判断して識別コードを取得することが可能となり、それぞれの情報媒体に対応する端末機を別々に用意する必要がなくなり、操作性及び経済性に優れた物流管理用携帯端末機を提供できる。
【0011】
また、本発明の一態様として、上記の物流管理用携帯端末機において、さらに、外部機器との間で識別コード等の情報を授受する外部インタフェース手段を備えるものも含まれる。
【0012】
この構成により、物流システムにおける上位のコンピュータ等の間で識別コード等のデータを随時授受することが可能となるので、物流を効率的に管理できる。
【0013】
また、本発明の一態様として、上記の物流管理用携帯端末機において、前記光学情報媒体はコードシンボルであるもの、及び、前記無線情報媒体は無線タグであるものも含まれる。
【0014】
この構成により、バーコード等のコードシンボルが付加された輸送物と無線タグが付加された輸送物が混在しても、それぞれの情報媒体に対応する端末機を別々に用意する必要がなくなり、操作性に優れた物流管理用携帯端末機を提供できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、光学情報媒体が付加された輸送物と無線情報媒体が付加された輸送物を混在して扱う場合でも、それぞれの情報媒体に対応する携帯端末機を別々に用意する必要がなく、操作性及び経済性に優れた物流管理用携帯端末機を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の実施形態では、宅配便等の物流において輸送品を管理するために付与される識別コードの登録と管理を行う物流管理用携帯端末機を例示して説明するが、これに限定されるものではなく、例えば、書留郵便物等の記憶扱い郵便物を追跡管理するための追跡番号の登録と管理を行う郵便用携帯端末機等にも同様に適用可能であることはいうまでもない。以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施形態の物流管理用携帯端末機の概略構成を示す外観斜視図であり、図2は、本実施形態における物流管理用携帯端末機の機能的概略構成を示すブロック図である。図に示すように、本実施形態の物流管理用携帯端末機は、光学情報媒体10を光学的に読み取る光学センサ11と、無線情報媒体20を電波又は電磁誘導によって読み取る無線センサ21と、情報媒体の読み取り動作を開始させる読取ボタン31と、情報を入力するためのテンキーや機能キーが配設されたキーボード32と、読み取った識別コードを表示する液晶ディスプレイが配設された表示部33と、外部機器との間で情報の授受を行う外部インタフェース34とを有する。
【0018】
さらに、光学センサ11の出力信号から識別コードを抽出する光学識別情報読取部12と、無線センサ21の出力信号から識別コードを抽出する無線識別情報読取部22と、情報媒体を読み取るのに使用するセンサを選択するセンサ選択部35と、抽出した識別コード等の情報を記憶する情報記憶部36と、装置各部を統括制御する制御部37を有する。
【0019】
光学情報媒体10は、例えば、1次元バーコード又はスタック構造の2次元バーコード等のコードシンボルであり、輸送物に付加されるものである。付加の方法は、任意であり、コードシンボルを印刷したラベルを貼付してもよいし、包装容器にコードシンボルを印刷してもよい。また、コードシンボルを印刷した伝票を添付してもよい。また、無線情報媒体20は、例えば、ICチップとアンテナを備え、電波による給電を受けてデータの送受信を行う無線タグであり、輸送物に付加されるものである。付加の方法は、任意であり、輸送物や容器に貼付してもよいし、無線タグを貼付した伝票を添付してもよい。
【0020】
光学センサ11は、LEDによって照明された光学情報媒体10からの反射光をCCD等のイメージセンサで受光して光電変換するものである。通常、1次元バーコードの読み取りにはラインセンサが使用され、2次元コードを読み取るにはエリアセンサが用いられる。また、光学識別情報読取部12は、イメージセンサの出力を増幅、2値化してコード情報に変換するとともに、復号化して識別コードを抽出するものである。
【0021】
無線センサ21は、受信アンテナと無線回路を含み、無線情報媒体20から発信される電波を受信して復調するものである。また、無線識別情報読取部22は、復調された信号を2値化してコード情報に変換し、さらに復号化して識別コードを抽出するものである。
【0022】
センサ選択部35は、後述するように、輸送物に付加された情報媒体を無線センサ21で読み取ることができるか否かによって情報媒体の種類を判断し、情報媒体に対応する光学センサ11又は無線センサ21のいずれかを選択してその動作を制御するものである。
【0023】
また、外部インタフェース部34は、例えば、ケーブルコネクタ又は無線送受信回路等を備え、物流システムにおける上位コンピュータ等の外部装置との間で情報の授受を行うものである。
【0024】
次に、以上のように構成された本実施形態の物流管理用携帯端末機の動作について説明する。図3は、本実施形態の物流管理用携帯端末機における動作手順を説明するためのフローチャートである。
【0025】
まず、図1に示すように、物流管理用携帯端末機の無線センサ21が収納される開口部を輸送物に付加されたラベル、伝票又はタグ等の情報媒体に近づけ(ステップS101)、読取ボタン31を押し(ステップS102)、無線センサ21を起動させて情報媒体を読み取る(ステップS103)。
【0026】
ステップS104において、無線センサ21が情報媒体から発信される電波を受信し、無線識別情報読取部22で2値化して識別コードを抽出できたか否かを判定する。その結果、情報媒体から識別コードが抽出できた場合は、情報媒体は無線情報媒体であると判断して、センサ選択部35で無線センサ21を選択し設定する(ステップS105)。
【0027】
ステップS106では、抽出した識別コード及びその識別コードによって特定される輸送物の物流管理情報、例えば、追跡番号や輸送先、配達日等を表示部33に表示する。輸送物取扱者はこれを見ることにより、当該輸送物の追跡等の管理を行うことができる。
【0028】
次いで、ステップS107でその他の情報、例えば、取扱者の氏名コードや輸送物の重量等の入力が必要な場合、キーボード32のキーを操作してこれらを入力する。そして、無線情報媒体から取得した識別コードと併せて、情報記憶部36に記憶する(ステップS108)。
【0029】
ステップS109では、無線情報媒体の読み取りを継続するか否かを判定し、継続する場合は読み取りボタン13を再度押す(ステップS110)。すると、ステップ105においてセンサ選択部35により既に無線センサ21が設定されているため、自動的に無線センサ21が起動して無線情報媒体の読み取りを行う(ステップS111)。そして、ステップS106の手順に戻って読み取った識別コードを表示部33に表示し、以下、ステップS109までの処理手順を繰り返す。
【0030】

ステップS109で無線情報媒体の読み取りを継続しないと判定して、無線情報媒体の識別コードの読み取りを終了する場合は、無線センサ21を無線情報媒体から遠ざけた状態で読取ボタン31を空押しする(ステップS121)。これにより、情報媒体の読み取りができないことを検出して無線センサ21による読み取りは終了と判断し、センサ選択部35の設定を解除して処理を終了する(ステップS122)。
【0031】
一方、ステップS104において、無線センサ21により情報媒体が正常に読み取れなかった場合は、光学センサ11が起動して情報媒体の画像を読み取り(ステップS112)、光学識別情報読取部12で2値化して識別コードを抽出できたか否かを判定する(ステップS113)。その結果、情報媒体から識別コードが抽出できなかった場合は、ステップS101の手順に戻り、以下の手順を繰り返す
【0032】
ステップS113で情報媒体から識別コードが抽出できた場合は、情報媒体は光学情報媒体であると判断して、センサ選択部35に光センサを設定するとともに(ステップS114)、抽出した識別コード及びその識別コードによって特定される輸送物の物流管理情報、例えば、追跡番号や輸送先、配達日等を表示部33に表示する(ステップS115)。
【0033】
次いで、キーボード32を操作してその他の必要な情報を入力し(ステップS116)、光学情報媒体から取得した識別コードと併せて、情報記憶部36に記憶する(ステップS117)。
【0034】
ステップS118において、光学情報媒体の読み取りを継続するか否かを判定し、継続する場合は読み取りボタン13を再度押す(ステップS119)。このとき、ステップ114でセンサ選択部35により光学センサが既に設定されているので、光学センサが自動的に起動して光学情報媒体の読み取りを行う(ステップS120)。その後、ステップS115の手順に戻って同様の手順を繰り返す。
【0035】
ステップS118で光学情報媒体の読み取りを継続しないと判定して無線情報媒体の識別コードの読み取りを終了する場合は、光学センサ11を読み取り対象の光学情報媒体から遠ざけて読取ボタン31を空押しする(ステップS121)。これにより、光学情報媒体の読み取りができなくなるので光学センサ11による読み取りは終了と判断し、センサ選択部35の設定を解除して処理を終了する(ステップS122)。
17)。
【0036】
このような本発明の実施形態の物流管理用携帯端末機によれば、コードシンボルを読み取り可能な光学センサ11と、無線タグを読み取ることのできる無線センサ21を一体に備え、輸送物に付加された情報媒体の記録情報を先ず無線センサ21で読み取り、読み取り可否に応じて情報媒体の種類を判断して最適なセンサをセンサ選択部35で選択し、選択したセンサにより情報媒体の記録情報を読み取って識別コードを取得する。
【0037】
これにより、輸送物に付加された情報媒体の種類の如何にかかわらず、識別コードを取得することができ、異なる情報媒体に対応するために複数の携帯端末機を用意する必要がなくなり、操作性及び経済性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、光学情報媒体が付加された輸送物と無線情報媒体が付加された輸送物を混在して扱う場合においても、それぞれの情報媒体に対応する端末機を別々に用意する必要がなく、輸送物に付加された情報媒体の種類を自動的に判定して識別コードを読み取ることが可能となるので、操作性及び経済性に優れた物流管理用端末機を提供できるという効果を有し、物流において識別コードの登録と管理を行う物流管理用端末機等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る物流管理用携帯端末機の概略構成を示す外観斜視図
【図2】第1の実施形態に係る物流管理用携帯端末機の機能的概略構成を示すブロック図
【図3】第1の実施形態に係る物流管理用携帯端末機の動作手順を説明するためのフローチャート
【図4】光学情報媒体から識別コードを読み取る従来の物流管理用携帯端末機の概略構成を示す外観斜視図
【図5】無線情報媒体から識別コードを読み取る従来の物流管理用携帯端末機の概略構成を示す外観斜視図
【符号の説明】
【0040】
10 光学情報媒体
11 光学センサ
12 光学識別情報読取部
20 無線情報媒体
21 無線センサ
22 無線識別情報読取部
31 読取ボタン
32 キーボード
33 表示部
34 外部インタフェース部
35 センサ選択部
36 情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送物に付加された情報媒体からその輸送物を特定する識別コードを取得する物流管理用携帯端末機であって、
光学情報媒体の記録情報を読み取って前記識別コードを取得する光学情報読取手段と、
無線情報媒体の記録情報を読み取って前記識別コードを取得する無線情報読取手段と、
読み取り対象の輸送物に付加された前記情報媒体の種類に応じて、前記光学情報読取手段と無線情報読取手段のいずれかを選択する情報読取選択手段と、
前記情報読取選択手段で選択された前記光学情報読取手段又は無線情報読取手段によって取得した前記識別コードを含む物流管理のための情報を表示する表示手段と、
前記光学情報読取手段又は無線情報読取手段によって取得した前記識別コードを記憶する記憶手段とを備える物流管理用携帯端末機。
【請求項2】
さらに、外部機器との間で前記識別コードを含む各種情報を授受する外部インタフェース手段を備える請求項1記載の物流管理用携帯端末機。
【請求項3】
前記光学情報媒体はコードシンボルである請求項1又は2に記載の物流管理用携帯端末機。
【請求項4】
前記無線情報媒体は無線タグである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の物流管理用携帯端末機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−31070(P2006−31070A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204228(P2004−204228)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】