説明

物理的気相成長法を用いた電気化学電池の大量製造

本発明の実施形態は、電気化学電池を製造する装置と方法に関連する。本発明の一実施形態は2つのリールの間で巻かれた基板上に異なる材料を成膜するように構成された単一のチャンバーを含む。一実施形態においては、時間をかけて成膜された材料の連続的な積層に至るように定期的に変更される上記チャンバー内部の条件とともに、上記基板が上記リールの周囲で同じ方向に移動される。別の実施形態によって、時間をかけて成膜された材料の連続的な積層に至るように方向が変化するたびに異なる上記チャンバー内部の条件とともに、上記リールの周囲での上記基板の動きの方向が交替する。上記チャンバーには、上記電気化学電池の異なる層の成膜を可能とするエネルギーおよび材料の異なる源が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
本出願は、「物理的気相成長法を用いた電気化学電池の大量製造」というタイトルの2008年6月20日に出願された米国特許仮出願第61/074,448号明細書の利益を主張し、その内容の全てが参照によって本出願に取り込まれる。
【0002】
電気化学電池は、多くの異なる応用のための電力供給装置として、増加の一途をたどる使用量を得ている。一般に、バッテリー電力が流れ出す装置の例は、たとえば、携帯電話、ラップトップコンピュータ、および携帯型メディアプレーヤーなどの携帯型電子機器を含むが、それに限定されない。これらの装置による電力増加の要求は、異なる設計概念において配置されるさまざまな材料からの電気化学電池の製造に至っている。
【0003】
電気化学電池の製造の従来の方法は、一連の層を成膜することによって、電気化学電池の構成要素(たとえば、アノード、カソード、および電解質の材料)を形成していた。通常、これらの電気化学電池は、異なる層を成膜するために分離されたチャンバーを用いるバッチ処理を用いて製造される。
【0004】
特許文献1には、2つのローラーの間で移動される基板を用いて薄膜電池を形成する装置が記載されている。ローラーを回転させることによって、基板が複数のチャンバーを通過し、そこで膜が成膜される。
【0005】
特許文献1の方法は電気化学電池を製造するために効果的であるかもしれない一方、いくつかの短所もあるかもしれない。可能性のある短所の1つは容積である。なぜなら、電気化学電池を構成する膜のそれぞれが、分離されたチャンバーで形成されなければならないからである。それぞれの製造段階を異なるチャンバーに割り振ることによって、装置のサイズは増大する。
【0006】
さらに、電気化学電池のそれぞれの層の形成を異なるチャンバーに割り振ることによって、特許文献1の装置は順応性が不足するという短所を持つかもしれない。具体的には、電気化学電池の構造における変化は、製造される異なるチャンバーを有する新しい装置を必要とする。電池が、異なる材料から、もしくは異なる設計概念で形成される場合、従来型のバッチ式の装置は実用的ではないかもしれない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5,411,592号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、半導体材料を製造するためのコスト面で効果的で能率的な技術が所望されていることが知られている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態は、電気化学電池を製造する装置と方法とに関連する。本発明の一実施形態は2つのリールの間で巻かれた基板上に異なる材料を成膜するように構成された単一のチャンバーを含む。一実施形態においては、時間をかけて成膜された材料の連続的な積層に至るように定期的に変更される上記チャンバー内部の条件とともに、上記基板が上記リールの周囲で同じ方向に移動される。別の実施形態によって、時間をかけて成膜された材料の連続的な積層に至るように方向が変化するたびに異なる上記チャンバーにおける条件とともに、上記リールの周囲での上記基板の動きの方向が交替する。上記チャンバーには、上記電気化学電池の異なる層の成膜を可能とするエネルギーおよび材料の異なる源が備えられている。
【0010】
本発明の一実施形態によれば、電気化学電池の成膜用の装置が供給される。上記装置は、第1の材料源と第2の材料源とに流体連結された成膜チャンバーと、上記成膜チャンバーと流体連結され、上記成膜チャンバー内部の条件と類似したガスおよび圧力の条件に保たれるように構成された第1のゲートと、上記成膜チャンバーと流体連結され、上記成膜チャンバー内部の条件と類似したガスおよび圧力の条件に保たれるように構成された第2のゲートと、を含む。基板は2つのリールの間に位置し、上記第1のゲートと、上記成膜チャンバーと、上記第2のゲートとに延びる。そして、コントローラーは、上記材料源からの材料が上記基板上に成膜されている間、上記リールを回転させ、回転に合わせて上記成膜チャンバーを通ってある方向に上記基板を移動させるように構成される。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、電気化学電池を形成するプロセスが供給される。上記プロセスは、成膜チャンバーを通して第1の方向に2つのリールの間で巻かれた基板を移動させる工程と、第1の設定の成膜条件下で、上記チャンバー内部において上記基板上にアノード層またはカソード層の一方を成膜する工程と、上記チャンバーに向けて上記アノード層または上記カソード層の上記一方を逆行させる工程と、を含む。電解質層は、第2の設定の成膜条件下で、上記チャンバー内部において上記アノード層または上記カソード層の上記一方の上に成膜される。上記電解質層は上記チャンバーに向けて逆行され、第3の設定の成膜条件下で、上記アノード層もしくは上記カソード層の他方は、上記電気化学電池を形成するために、上記チャンバー内部において上記電解質層上に成膜される。
【0012】
本発明の特定の実施形態によれば、電気化学電池を形成する装置が供給される。上記装置は、成膜チャンバーを通して2つのリールの間で巻かれた基板と、上記リールと上記成膜チャンバーとに電気的に連結されたコントローラーと、上記コントローラーと電気的に連結されたコンピュータ読み出し可能記憶媒体と、を含む。上記コンピュータ読み出し可能記憶媒体は内部に、第1の方向に向けて上記成膜チャンバーを通って基板を移動させ、第1の設定の成膜条件下で、上記チャンバー内部において上記基板上にアノード層またはカソード層の一方を成膜するように上記成膜チャンバーに指令を出し、上記チャンバーに向けて上記アノード層または上記カソード層の上記一方を逆行させるように上記リールに指令を出すようにコントローラーに指令を出すように指示するコードを記憶する。上記コンピュータ読み出し可能記憶媒体に記憶されたコードは、第2の設定の成膜条件下で、上記チャンバー内部において上記アノード層または上記カソード層の上記一方の上に電解質層を成膜するように上記成膜チャンバーに指令を出し、上記チャンバーに向けて上記電解質層を逆行させるように上記リールに指令を出し、第3の設定の成膜条件下で、上記電気化学電池を形成するために、上記チャンバー内部において上記電解質層の上に上記アノード層または上記カソード層の他方を成膜するように上記成膜チャンバーに指令を出す。
【0013】
本発明の別の特定の実施形態によれば、基板の上に材料を成膜する方法が供給される。上記方法は、蒸着、物理的気相成長法、化学的気相成長法、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ化学的気相成長法(MPECVD)、パルスレーザー成膜(PLD)、レーザーアブレーション、噴霧析出、噴霧熱分解、スプレーコーティング、もしくはプラズマ溶射からなる群から選択される少なくとも1つの方法を用いて、蒸気を発生させるために、材料を、加熱用の蒸着源を通過させる工程を含む。酸素ガスまたは他の酸化種が、材料の蒸気と混合され、成膜される酸化物を生成するために排気チャンバーに移行される。窒素ガスまたは他の種が、材料の蒸気と混合され、成膜される硝酸塩を生成するために上記排気チャンバーに移行され、基板は、上記基板の上での蒸気の成膜のために蒸着源と隣接して搬送される。
【0014】
本明細書の後半部分と添付された図面とを参照することによって、本発明の特徴と長所がさらに深く理解されることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る基板上に電池材料を成膜する装置を示す簡素化された模式図である。
【図2】本発明に係る装置の詳細な形態の簡素化された図である。
【図2A】図2の装置を用いて電気化学電池を形成するためのプロセスの一実施形態のステップを示す簡素化されたフロー図である。
【図2B】本発明に係る装置の別の実施形態の簡素化された図である。
【図2C】図2Bの装置を用いて電気化学電池を形成するためのプロセスの一実施形態のステップを示す簡素化されたフロー図である。
【図3A】巻き取られたプリズム形状の電池の例を示す図である。
【図3B】巻き取られた円柱形状の電池の例を示す図である。
【図4】一実施形態に係るコイル状に巻かれた基板上に形成された電気化学電池の位置を示す図である。
【図5】基板上にあり、導線によって接続された複数の別個の電気化学電池の例を示す図である。
【図6A】平坦な薄膜の形態学的デザインである電極を有する、本発明の一実施形態に係る、形成された電気化学電池を示す簡素化された断面図である。
【図6B】正弦曲線状の形態学的デザインである電極を有する、本発明の一実施形態に係る、形成された電気化学電池を示す簡素化された断面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る、形成された積層された電気化学電池の一実施形態を示す簡素化された断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る実施形態は電気化学電池を製造するための技術に関連する。図1は、本発明の一実施形態に係る、基板上に電池材料を成膜するための装置を示す簡易化された模式図である。
【0017】
具体的には、図1の装置は真空成膜チャンバー6を備える。真空成膜チャンバーは、電気化学電池を構成する材料の薄膜を成膜するために構成される。具体的には、真空成膜チャンバーは、以下の層のうち、1つもしくはそれ以上の成膜を可能にする複数の材料源と流体連結されている。以下の層とは、アノード、カソード、電解質、電流コレクタ、および、1つもしくはそれ以上の分離している電気化学電池を接続する導線である。
【0018】
具体的には、真空成膜チャンバーは、電流コレクタ上の電池のカソードの材料の層を成膜するために少なくとも1つの蒸着源を有するように構成される。電流コレクタは既製の基板上に設けられてもよいし、それ自体が成膜チャンバーを用いて形成されてもよい。
【0019】
成膜チャンバーはまた、カソード電池の材料の上に、電解質の材料の層を成膜するために少なくとも1つの蒸着源を有するように構成される。電解質の材料は、ゲルもしくは固体の状態として成膜されてもよい。成膜チャンバーはまた、電解質層の上に電池のアノードの材料の層を成膜するために少なくとも1つの蒸着源を有するように構成される。
【0020】
成膜チャンバーには、流入ガスゲート4と流出ガスゲート9とがそれぞれ備えられている。これらのガスゲートは、成膜中、チャンバー内の雰囲気を、不活性もしくは酸化真空の状態に保つ。
【0021】
図2は、本発明に係る装置の一実施形態の、より詳細な図を示す。図2に示すように、本発明の一実施形態は、2つのリールの間で巻き取られる基板上に異なる材料を成膜するために構成可能なプロセスチャンバーを含む。
【0022】
上記装置は、成膜と同時に必要に応じて酸化雰囲気が維持されうるようにガス供給を含んでもよい。成膜チャンバーに接続されるガス供給弁によって、反応ガス雰囲気が、成膜と同時に、必要に応じて維持され得る。成膜チャンバーに接続される他のガス供給弁によって、処理済の基板がチャンバーから移動している間、チャンバー内を不活性ガス雰囲気に保つことができる。
【0023】
異なる層の電気化学電池の成膜を可能にするために、チャンバーにはエネルギーと材料の異なる源が備えられている。たとえば、チャンバー内の熱環境をコントロールするために、発熱素子もしくは冷却素子が備えられてもよい。これらの温度コントロール素子は共通のものであってもよく、たとえば、加熱ランプ、ペルチェ加熱素子もしくはペルチェ冷却素子の形態である。代わりに、もしくは共通の熱源やヒートシンクとともに、装置に、たとえばレーザーや低温流体の噴流のような、成膜された材料の特定の箇所に方向づけることが可能な、局部的に存在する温度コントロール素子が備えられてもよい。
【0024】
チャンバーはまた、その中の材料を放射にさらすために備えられていてもよい。本発明に係る放射源の例は、紫外線放射源、マイクロ波放射源、および電子線を含むが、それらに限定されない。チャンバーに用いられる、他の可能な放射源は、赤外線放射源、パルスレーザー、ナノ秒レーザー、低エネルギーレーザー(たとえば、mJ/cmのオーダーのエネルギーを有する)および高エネルギーレーザー(たとえば、J/cmのオーダーのエネルギーを有する)、中性子、電子、光子、もしくは他の原子の粒子の散乱を含む。
【0025】
上記装置は、成膜チャンバーと直列に接続された供給チャンバーを含む。基板の材料は成膜チャンバーにフィードされる。基板の材料は成膜チャンバーの同じガス雰囲気の中に保たれ、それは成膜チャンバーに向けて、連続的に(continuously)もしくは連続的に(sequentially)、広げられ、通過する。
【0026】
流入/流出ゲートは、成膜チャンバーと直列に接続され、同じガス雰囲気に保たれた、排気チャンバーを備えてもよい。電池がその上に成膜される基板の材料は、排気チャンバーを通過し、ロール状に回収される。
【0027】
上記装置のこの実施形態は、基板上に、積層された固体状態の電池を成膜するために採用されうる。この実施形態においては、供給チャンバーと排出チャンバーとが可逆的である。そのため、基板の材料のロールが成膜チャンバーを通過するプロセスを経る時、基板の方向は逆向きとなる可能性があり、基板は成膜チャンバーを再度通過し、電気化学電池の他の層の形成が可能となる。
【0028】
それゆえ、図2に示す特定の実施形態においては、リールの周囲における基板の動作方向が交替する。時間をかけて成膜された材料の連続的な積層に至るために、チャンバー内部の条件は方向における変化のたびに変化する。具体的には、コントローラーがリールとチャンバーとのそれぞれに電気的に連結されている。コントローラーはまたコンピュータ読み出し可能記憶媒体とも連結されており、コンピュータ読み出し可能記憶媒体は電気化学電池の材料の異なる層の成膜と同時に基板を交互の動作に向かわせるように指令を出すように構成されたコードをその中に記憶している。
【0029】
図2Aは、この方法を活用する電池構造を形成するプロセスフロー200のステップを示す簡素化された図である。具体的には、第1のステップ201において、リールが回転し、成膜チャンバーを通って、基板を第1の方向に向けて動作させる。
【0030】
第2のステップ202において、もし基板が導電性でないならば、電流コレクタの材料が基板上に成膜される。第3のステップ203において、第1の電極の材料が基板上に成膜される。ある実施形態においては、アノードの材料が最初に成膜される。他の実施形態においては、カソードの材料が最初に成膜されてもよい。
【0031】
第4のステップ204において、リールの回転方向が変わり、成膜された電極材料を保持する基板がチャンバーを通って反対側の方向に逆行する。第5のステップ205において、電解質の材料が第1の電極の上に成膜される。
【0032】
第6のステップ206において、リールの回転方向が再び変わり、最初の回転方向に戻る。そして、成膜された電解質の材料を保持する基板がチャンバーを通って、再び逆行する。第7のステップ207において、第2の電極(アノードもしくはカソード)の材料が電解質の上に成膜される。第8のステップ208において、電流コレクタの材料が第2の電極の上に成膜される。
【0033】
上記一連のステップが本発明の一実施形態に係るプロセスをもたらす。図のように、上記方法は、チャンバー内部の成膜条件における変化に加えて、チャンバーを通る基板の動作方向における変化を含むステップの組み合わせを活用する。別の方法はまた、請求項の範囲から外れない範囲で、ステップが追加される、1つまたはそれ以上のステップが除かれる、もしくは、1つまたはそれ以上のステップが異なる順番で付与される場合でも、もたらされうる。本方法のさらなる詳細は本明細書を通して理解されうる。
【0034】
別の方法においては、時間をかけて成膜された材料の連続的な積層に至るために定期的にチャンバー内部の条件が変化するとともに、基板がリールの周囲を同じ方向に動いてもよい。図2Bは、そのような方法に係る電池構造を形成するように構成された装置の一実施形態の簡素化された模式図である。具体的には、コントローラーはリールと成膜チャンバーとに電気的に連結されている。コントローラーはまたコンピュータ読み出し可能記憶媒体とも連結されており、電極層を最初に形成するのと同じ方向にリールを常に回転させるようコントローラーに指令するコードをその中に記憶している。基板が電極層に覆われてから、ある一定時間が経過した後、コンピュータ読み出し可能記憶媒体に記憶されたコードによって、コントローラーは、チャンバーに、電解質層を成膜するための成膜条件に変更するように指令を出す。次に、コントローラーは、成膜チャンバーに、チャンバー内部の条件をさらにもう一度変更するように指令を出し、電極のもう一方(アノードもしくはカソード)の材料を成膜する。
【0035】
図2Cは、この方法を用いる電池構造を形成するためのフローのステップ220を要約する簡素化されたチャートである。第1のステップ222においては、リールが回転して、基板がチャンバーを通るように移動させる。第2のステップ223においては、リールが同じ条件で回転している間、もし基板が導電性でなければ、電流コレクタの材料が基板上に成膜される。
【0036】
第3のステップ224においては、リールが同じ方向に回転している間、もし基板が導電性でなければ、電極(アノードもしくはカソード)の材料が基板上もしくは電流コレクタの材料上に成膜される。第4のステップ226においては、いったん基板が電極の材料によって覆われると、チャンバー内部の条件が変更され、電極上に電解質の材料を成膜する。
【0037】
第5のステップ228においては、いったん第1の電極が電解質に覆われると、チャンバー内部の条件が再度変更され、第2の電極(カソードもしくはアノード)の材料が成膜される。第6のステップ229においては、電流コレクタの材料が第2の電極上に成膜される。
【0038】
上記一連のステップが本発明の一実施形態に係るプロセスをもたらす。図のように、上記方法は、チャンバー内部の成膜条件における変化に加えて、常に一定の方向に向けてチャンバーを通る基板の移動を含むステップの組み合わせを活用する。別の方法はまた、請求項の範囲から外れない範囲で、ステップが追加される、1つもしくはそれ以上のステップが除かれる、もしくは、1つまたはそれ以上のステップが異なる順番で付与される箇所でも、もたらされうる。本方法のさらなる詳細は本明細書を通して更に理解されうる。
【0039】
成膜チャンバーは、蒸着、物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法(CVD)、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ化学的気相成長法(MPECVD)、パルスレーザー成膜(PLD)、レーザーアブレーション、噴霧析出、噴霧熱分解、スプレーコーティング、もしくはプラズマ溶射から選択される少なくとも1つの方法によって材料を成膜するように構成されてもよい。
【0040】
成膜のための条件は、減圧環境の下で起こってもよいが、その必要もない。そのため、成膜チャンバーは、少なくとも1つによって材料を成膜するように構成されてもよい。
【0041】
特定の実施形態においては、装置は、ナノ粒子を生成するために、マイクロ波熱水合成を用いて材料を成膜するように構成される。本発明の実施形態に従って成膜されたナノ粒子は、球体、ナノ立方体、略立方体(pseudocubes)、楕円、紡錘、ナノシート、ナノリング、ナノ球体、ナノ紡錘、点状、棒状、線、配列(array)、チューブ、ナノチューブ、ベルト状、円盤、環状、立方体、メソ細孔(mesopores)、樹枝状、プロペラ状、花、中空内部(hollow interior)、挙げられた構造の混合、および他の複合的な構造から構成される群から選択される少なくとも1つの形状を示してもよい。本発明に係る装置の特定の実施形態は、マイクロ波照射を用いて粒子を成膜するように構成されることができ、以下のメカニズム(核生成、凝集、再結晶化、および溶解再結晶)のうち少なくとも1つを誘導する。
【0042】
特定の実施形態においては、装置は、レーザーアブレーション、熱蒸着、蒸気輸送、もしくはこれらの技術の組み合わせを用いて材料を成膜し、ナノワイヤ、ナノチューブ、またはナノベルトの構造、もしくはそれらの組み合わせを成膜するように構成されてもよい。これらの実施形態において成膜されうる材料は、III族半導体またはIV族半導体のナノワイヤ(たとえばシリコン)、亜鉛(Zn)および酸化亜鉛(ZnO)のナノワイヤ、半導体酸化物(亜鉛、スズ、インジウム、カドミウムおよびガリウムの酸化物)のナノベルト、カーボンナノチューブ、およびカーボンメソ構造を含むが、これらに限定されない。
【0043】
本発明の実施形態は、従来の方法を超える多くの利点を提供するかもしれない。たとえば、本発明の実施形態は、具体的には従来のバッチ式製造方法と比較して、単一もしくは複数の、高性能な薄膜電気化学電池の拡張可能な製造を容易にする。
【0044】
本発明の実施形態はまた、従来の方法と比較して、高い適応性を提供する。具体的には、本発明の実施形態によって、複数の製造技術が単一のチャンバーを用いて使用されることができる。この方法は、1つもしくは複数の電池内部で、最適化された層もしくは傾斜した材料に特有な複数の成膜技術を活用することが可能なシステムをもたらす。
【0045】
本発明のある実施形態によって、垂直方向に積層された構造における複数の電気化学電池の製造が可能になる。そのため、本発明の特定の形態はまた、最初に成膜された電池の第2の電極と、積層において次に成膜された電池の第1の電極との間に電流コレクタ層を成膜し、積層において最後に成膜された電池の第2の電極の上に上部導電性金属層をも成膜するために適応される少なくとも1つの蒸着源を含んでもよい。
【0046】
あるいは、本発明の実施形態によって、リボンタイプの基板上に電池/電気化学電池の水平方向への形成が可能となる。特定の実施形態においては、図3Aに示すように、そのようなリボンは、巻き取られたプリズム形状に、コイル状に巻かれてもよい。別の実施形態においては、図3Bに示すように、そのようなリボンが、巻き取られた円柱形状にコイル状に巻かれてもよい。
【0047】
図4に示すように、ある実施形態においては、基板上の材料の成膜が特定の位置に限定されてもよい。具体的には、成膜された材料は、コイル内で急なカーブ(turn)となる位置にあることが期待される基板の部分から除外されてもよく、それによって巻き取りと関連する高い応力と可能性のある短所を防ぐことができる。
【0048】
特定の実施形態においては、導電性を有する導線の構造を通して設けられた別個の電気化学電池の間の電気的連結とともに、複数の電気化学電池がリボンタイプの基板の上に水平方向に一連に形成されてもよい。そのような実施形態が図5に示されている。
【0049】
そのような導線が比較的細くて脆い場合、コイルのきついカーブは、カーブの部分に物理的な応力を与え、折損に至ってしまう可能性がある。そのため、本発明の特定の実施形態は、別個の電池(batteries)/電池(cell)に増加した間隔を与えてもよい。材料が巻き取られ、物理的な応力が減少するにつれて、そのような間隔は、次のカーブにおいて大量の材料を収容するであろう。
【実施例】
【0050】
(実施例1)薄膜リチウム電池の製造
本実施例は、新しい電気化学電池を製造するプロセスを示す。具体的には、電極の2つの異なる形態学的デザインが示されている。図6Aは、平坦な薄膜の形態学的デザインを有する電極を有する、本発明の一実施形態に係る、形成された電気化学電池を示す簡素化された断面図である。図6Bは、正弦曲線状の形態学的デザインを有する電極を有する、本発明の一実施形態に係る、形成された電気化学電池を示す簡素化された断面図である。
【0051】
三次元電気化学電池用の材料は、アノード電流コレクタとしては銅(図6Aにおける16、図6Bにおける21)、アノードとしてはリチウム金属(図6Aにおける17、図6Bにおける22)、電解質としてはリチウム塩を有するポリマー(図6Aにおける18、図6Bにおける23)、カソードとしてはマンガン酸リチウム(図6Aにおける19、図6Bにおける24)、および、カソード電流コレクタとしてはアルミニウム(図6Aにおける20、図6Bにおける25)である。ポリマー電解質が用いられているので、セパレーターは不必要である。
【0052】
ここで用いられているこれらの材料は例証目的にのみ用いられる。別の実施形態によれば、他の材料が電気化学電池を形成するために用いられることができ、それでもなお本発明の範囲内である。
【0053】
図6Aの平坦な電極構造においては、基板は第1の電流コレクタ(銅)である。材料の次の層(活性および不活性)は成膜チャンバー内部で、基板上にPVDによって成膜される。
【0054】
正弦曲線状の構造においては、畝のあるポリマー膜が基板として用いられる。第1の金属層(銅)が基板上に成膜され、成膜チャンバー内でPVDによって成膜される次の材料の層(活性および不活性)が次に続く。
【0055】
(実施例2)積層電池(Cells)の製造、より高い電圧の発生、エネルギー、電池
本実施例は、積層電池を製造するプロセスを示す。図6は、一緒に積層された2つの平坦薄膜電池を示す。三次元電気化学電池用の材料は、アノード電流コレクタとしては銅(26と31)、アノードとしてはリチウム金属(27と32)、電解質としてはリチウム塩を有するポリマー(28と33)、カソードとしてはマンガン酸リチウム(29と34)、カソード電流コレクタとしてはアルミニウム(30と35)である。ポリマー電解質が用いられているので、セパレーターは必要とされていない。
【0056】
ここで挙げられている具体的な材料は例証目的にのみ用いられる。他の材料が別の実施形態によって用いられることができ、それでもなお本発明の範囲内である。
【0057】
この具体的な例においては、基板として第1の平坦な金属層(銅電流コレクタ)を用いて、複数の層が順々に成膜される。それに続く、活性および不活性の材料を成膜するためにPVDが用いられる。
【0058】
上記実施形態は特定の材料から製造される電気化学電池について説明しているが、本発明はそれらの材料の使用に限定されない。別の実施形態は、アノード、電解質、およびカソード用にさまざまな種類の成膜材料を成膜することができ、本発明の範囲内にとどまる。たとえば、表1(表1A〜表1D)は、さまざまなタイプの電気化学電池を製造する材料の例の限定的なリストである。
【0059】
【表1A】

【表1B】

【表1C】

【表1D】

【0060】
ここに記載された実施例および実施形態は例示のみを目的とするものであり、それらを踏まえたさまざまな応用または変形が当業者に提案され、それらが本出願の精神および範囲の範疇に含まれ、添付の請求項の範囲内であることは明白である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気化学電池の成膜用の装置であって、
第1の材料源と第2の材料源とに流体連結された成膜チャンバーと、
前記成膜チャンバーと流体連結され、前記成膜チャンバー内部の条件と類似したガスおよび圧力の条件に保たれるように構成された第1のゲートと、
前記成膜チャンバーと流体連結され、前記成膜チャンバー内部の条件と類似したガスおよび圧力の条件に保たれるように構成された第2のゲートと、
2つのリールの間に位置し、前記第1のゲートと、前記成膜チャンバーと、前記第2のゲートとに延びる基板と、
前記材料源からの材料が前記基板上に成膜されている間、前記リールを回転させ、回転に合わせて前記成膜チャンバーを通ってある方向に前記基板を移動させるように構成されたコントローラーと、
を備える装置。
【請求項2】
前記成膜チャンバーと流体連結される真空源をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記成膜チャンバーとエネルギー連結される放射源をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記成膜チャンバーとエネルギー連結される熱源をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記成膜チャンバーとエネルギー連結される光源をさらに備える請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記コントローラーが、前記基板が第1の方向に移動された時に、前記リールを別の方向に回転させ、前記成膜チャンバーに前記第1の材料源から電極を前記基板上に成膜するよう指令を出し、その後、前記基板が前記第1の方向と逆向きの第2の方向に移動された時に、前記第2の材料源から電解質を前記電極上に成膜するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラーが、前記基板上に複数の別個の電極部分を成膜し、巻き取られた構成に組み立てられる時に、増加する距離によって分離される前記複数の別個の電極部分が前記基板の期待される急なカーブの位置に収容されるように構成されたことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラーが、前記リールを一定の方向に回転させ、第1の時間帯の間に前記第1の材料源から電極を基板上に成膜するように前記成膜チャンバーに指令を出し、その後、前記第1の時間帯に続く第2の時間帯の間に前記第2の材料源から電解質を前記電極上に成膜するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記コントローラーが、前記基板上に複数の別個の電極部分を成膜するように構成され、巻き取られた構成に組み立てられる時に、増加する距離によって分離される前記複数の別個の電極部分が前記基板の期待される急なカーブの位置に収容されるように構成されたことを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記第1の材料源がアノードまたはカソードの一方の成膜を可能とし、前記第2の材料源が電解質の成膜を可能とすることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記アノードまたは前記カソードの他方の成膜を可能とする第3の材料源をさらに備える請求項10に記載の装置。
【請求項12】
電流コレクタの成膜を可能とする第4の材料源をさらに備える請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記チャンバーが、蒸着、物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ化学的気相成長法(MPECVD)、パルスレーザー成膜(PLD)、レーザーアブレーション、噴霧成膜、噴霧熱分解、スプレーコーティング、もしくはプラズマ溶射からなる群から選択される方法の1つもしくは上記方法の組み合わせを用いて成膜を行うように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記チャンバーが、ナノワイヤ構造、ナノチューブ構造、またはナノベルト構造、もしくは上記構造の組み合わせを成膜するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記チャンバーが、III族半導体またはIV族半導体のナノワイヤ、亜鉛(Zn)または亜鉛酸化物(ZnO)のナノワイヤ、半導体酸化物(亜鉛、スズ、インジウム、カドミウムおよびガリウムの酸化物)のナノベルト、カーボンナノチューブ、もしくはカーボンメソ構造を成膜するように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項16】
電気化学電池を形成するプロセスであって、
成膜チャンバーを通して第1の方向に2つのリールの間で巻かれた基板を移動させる工程と、
第1の設定の成膜条件下で、前記チャンバー内部において前記基板上にアノード層またはカソード層の一方を成膜する工程と、
前記チャンバーに向けて前記アノード層または前記カソード層の前記一方を逆行させる工程と、
第2の設定の成膜条件下で、前記チャンバー内部において前記アノード層または前記カソード層の前記一方の上に電解質層を成膜する工程と、
前記チャンバーに向けて前記電解質層を逆行させる工程と、
第3の設定の成膜条件下で、前記電気化学電池を形成するために、前記チャンバー内部において前記電解質層上に前記アノード層もしくは前記カソード層の他方を成膜する工程と、
を含むプロセス。
【請求項17】
前記アノード層または前記カソード層の前記一方、前記電解質層、もしくは、前記アノード層または前記カソード層の前記他方を成膜する工程が、蒸着、物理的気相成長法(PVD)、化学的気相成長法、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ化学的気相成長法(MPECVD)、パルスレーザー成膜(PLD)、レーザーアブレーション、噴霧成膜、噴霧熱分解、スプレーコーティング、もしくはプラズマ溶射からなる群から選択される方法の1つもしくは上記方法の組み合わせを用いて行なわれることを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項18】
前記カソード層または前記アノード層の前記一方が前記第1の方向とは逆向きの第2の方向に向けて前記チャンバーに向けて移動し、前記電解質層が前記第1の方向に向けて前記チャンバーに向けて移動することを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記カソード層または前記アノード層の前記一方と、前記電解質層とが、前記リールの周囲の前記基板の回転によって前記第1の方向で前記チャンバーに向けて移動することを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項20】
前記電解質層が前記アノード層の上に成膜され、前記カソード層が前記電解質層の上に成膜されることを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項21】
前記電解質層が前記カソード層の上に成膜され、前記アノード層が前記電解質層の上に成膜されることを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項22】
前記カソード層または前記アノード層の前記一方が前記基板上の電流コレクタ層の上に成膜されることを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項23】
前記カソード層または前記アノード層の前記一方を成膜する工程の前に、前記基板上に電流コレクタ層を成膜する工程をさらに含むことを特徴とする請求項22に記載のプロセス。
【請求項24】
前記層の成膜が前記基板の未使用部分の上で繰り返され、複数の別個の電気化学電池を形成することを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項25】
前記層の成膜が現存する電気化学電池の上で繰り返され、複数の積層された電気化学電池を形成することを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項26】
前記アノード層または前記カソード層の前記一方を成膜する工程が、ナノワイヤ構造、ナノチューブ構造、またはナノベルト構造、もしくは上記構造の組み合わせを成膜する工程を含むことを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項27】
前記アノード層、前記カソード層、または前記電解質層を成膜する工程が、III族半導体またはIV族半導体のナノワイヤ、亜鉛(Zn)または亜鉛酸化物(ZnO)のナノワイヤ、半導体酸化物(亜鉛、スズ、インジウム、カドミウムおよびガリウムの酸化物)のナノベルト、カーボンナノチューブ、もしくはカーボンメソ構造を成膜する工程を含むことを特徴とする請求項16に記載のプロセス。
【請求項28】
電気化学電池を形成する装置であって、
成膜チャンバーを通して2つのリールの間で巻かれた基板と、
前記リールと前記成膜チャンバーとに電気的に連結されたコントローラーと、
前記コントローラーと電気的に連結されたコンピュータ読み出し可能記憶媒体と、を備え、
前記コンピュータ読み出し可能記憶媒体は内部に、
第1の方向に向けて前記成膜チャンバーを通るように基板を移動させ、
第1の設定の成膜条件下で、前記チャンバー内部において前記基板上にアノード層またはカソード層の一方を成膜するように前記成膜チャンバーに指令を出し、
前記チャンバーに向けて前記アノード層または前記カソード層の前記一方を逆行させるように前記リールに指令を出し、
第2の設定の成膜条件下で、前記チャンバー内部において前記アノード層または前記カソード層の前記一方の上に電解質層を成膜するように前記成膜チャンバーに指令を出し、
前記チャンバーに向けて前記電解質層を逆行させるように前記リールに指令を出し、
第3の設定の成膜条件下で、前記電気化学電池を形成するために、前記チャンバー内部において前記電解質層の上に前記アノード層または前記カソード層の他方を成膜するように前記成膜チャンバーに指令を出す、
ように前記コントローラーに指示を出すコードを記憶する、装置。
【請求項29】
前記コンピュータ読み出し可能記憶媒体に記憶された前記コードが、
前記第1の方向と反対向きの第2の方向で、前記チャンバーに向けて、前記カソード層または前記アノード層の前記一方を移動させるように前記リールに指令を出すコントローラーに指示を出し、
前記第1の方向で、前記チャンバーに向けて、前記電解質層を移動させるように前記リールに指令を出すコントローラーに指示を出す、ことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記コンピュータ読み出し可能記憶媒体に記憶された前記コードが、前記リールの周囲の前記基板の回転によって前記第1の方向で、前記チャンバーに向けて、前記カソード層または前記アノード層の前記一方と、前記電解質層と、を移動させるように前記リールに指令を出すように前記コントローラーに指示を出すことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項31】
前記コードが、複数の別個の電気化学電池を形成するために前記基板の未使用部分の上に前記層の成膜を繰り返すように前記成膜チャンバーに指令を出すように前記コントローラーに指示を出すように構成されたことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項32】
前記コードが、相変態、再結晶、または拡散と成長、をするように誘導するため、適切な温度(例:800℃以下)で前記基板を加熱するように前記基板の加熱素子に指令を出すように前記コントローラーに指示を出すように構成されたことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項33】
前記コードが、複数の積層された電気化学電池を形成するために、現存する電気化学電池の上に前記層の成膜を繰り返すように前記成膜チャンバーに指令を出すように前記コントローラーに指示を出すように構成されたことを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項34】
固体状態で、薄膜の電気化学電池の大量成膜用の成膜装置であって、
閉鎖された供給チャンバーを画定する第1の筐体と、
基板を、成膜チャンバーと、次に排気チャンバーに輸送する、前記供給チャンバー内部に位置するロールコンベアと、
連続的なプロセスを可能にするために前記成膜チャンバーと同じガス雰囲気および同じ真空圧力を保つ、第1の供給チャンバーと前記成膜チャンバーとを接続する第1のゲートと、
薄膜の形態で、複数の電池材料を成膜するための単一の真空成膜チャンバーと、
連続的なプロセスを可能にするために前記成膜チャンバーと同じガス雰囲気および同じ真空圧力を保つ、前記成膜チャンバーと排気チャンバーとを接続する第2のゲートと、
前記成膜チャンバーと直列に接続され、閉鎖された排気チャンバーを画定する第2の筐体と、
を備える成膜装置。
【請求項35】
前記成膜チャンバー内部で真空を引くための真空源と、
前記基板の材料の上に電池カソードの材料を成膜するための蒸着源と、
前記電池カソードの材料の上に電解質の材料を成膜するための第1の蒸着源と、
前記電解質の材料の上に電池アノードの材料を成膜するための第2の蒸着源と、
前記成膜チャンバーに接続されるガス供給バルブと、
成膜が終わった後、もしくは、連続する成膜ステップの間に、前記チャンバーから排気し、排出するためのバルブと、
をさらに備える請求項34に記載の成膜装置。
【請求項36】
前記成膜チャンバーが、マイクロ波熱水合成を用いて材料を成膜し、球体、ナノ立方体、略立方体、楕円、紡錘、ナノシート、ナノリング、ナノ球体、ナノ紡錘、点状、棒状、線、配列、チューブ、ナノチューブ、ベルト状、円盤、環状、立方体、メソ細孔、樹枝状、プロペラ状、花、中空内部、上記挙げられた構造の混合、および他の複合的な上部構造から構成される群から選択される少なくとも1つの形状のナノ粒子を生成するように構成されたことを特徴とする請求項34に記載の成膜装置。
【請求項37】
前記成膜チャンバーが、層を成膜し、明瞭または不明瞭な界面を生成するように構成されたことを特徴とする請求項34に記載の成膜装置。
【請求項38】
前記電解質とセパレーターとが同じ材料で構成され、同じ相に構成されうることを特徴とする請求項37に記載の成膜装置。
【請求項39】
基板の材料のロールが前記成膜チャンバーを通過するプロセスを経る時、前記基板の方向は逆向きとなる可能性があり、前記基板は前記成膜チャンバーを再度通過するように、前記供給チャンバーと前記排出チャンバーとが可逆的であり、前記成膜チャンバーに前記基板上に積層された固体状態の電池の成膜を可能とすることを特徴とする請求項34に記載の成膜装置。
【請求項40】
前記チャンバーは、マイクロ波照射を用いて合成された粒子を成膜し、核生成、凝集、再結晶化、および溶解再結晶から構成される群から選択されたメカニズムのうち少なくとも1つを誘導するように構成されたことを特徴とする請求項34に記載の成膜装置。
【請求項41】
第2の電池電極層の上に、電流コレクタとして機能する上部導電金属層を成膜するために少なくとも1つの蒸着源をさらに含む請求項34に記載の成膜装置。
【請求項42】
第1の成膜された電池のカソードと、該隣接する成膜された電池のアノードとの間に、電流コレクタとして機能する2つの導電金属層を成膜するように構成された少なくとも2つの蒸着源をさらに含む請求項34に記載の成膜装置。
【請求項43】
前記成膜チャンバーが、蒸着、物理的気相成長法、化学的気相成長法、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ化学的気相成長法(MPECVD)、パルスレーザー成膜(PLD)、レーザーアブレーション、噴霧析出、噴霧熱分解、スプレーコーティング、もしくはプラズマ溶射からなる群から選択されるプロセスを用いて、材料を成膜するように構成されたことを特徴とする請求項34に記載の成膜装置。
【請求項44】
基板の上に材料を成膜する方法であって、
蒸着、物理的気相成長法、化学的気相成長法、スパッタリング、高周波マグネトロンスパッタリング、マイクロ波プラズマ化学的気相成長法(MPECVD)、パルスレーザー成膜(PLD)、レーザーアブレーション、噴霧析出、噴霧熱分解、スプレーコーティング、もしくはプラズマ溶射からなる群から選択される少なくとも1つの方法を用いて、蒸気を発生させるために、材料を、加熱用の蒸着源を通過させる工程と、
材料の蒸気と混合され、成膜される酸化物を生成するために、酸素ガスまたは他の酸化種を排気チャンバーに移行する工程と、
材料の蒸気と混合され、成膜される硝酸塩を生成するために、窒素ガスまたは他の種を前記排気チャンバーに移行する工程と、
前記蒸着源と隣接した基板を、前記基板の上での蒸気の成膜のために搬送する工程と、
を含む方法。
【請求項45】
リールの間で巻き取られるように構成され、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ステンレス鋼、または薄箔および軸受けの形態における他の適切な導電性合金を備える基板の材料と、
リチウム金属(Li)、チタン酸リチウム(LiTi12)、グラファイト(C)、またはメソカーボン構造の少なくとも1つを備える第1の電極の材料と、
前記第1の電極を覆い、窒化リン酸リチウム(LIPON)またはポリエチレン酸化物(PEO)と混合されたリチウム塩、フッ化ポリビニリデン(PVDF)、もしくはPEOとPVDFとの組み合わせ、の少なくとも1つを備える電解質の材料と、
前記電解質の材料を覆い、層状金属酸化物材料、層状スピネル材料、または層状かんらん石材料の少なくとも1つを備える第2の電極の材料と、
を備える組成物。
【請求項46】
前記メソカーボン構造は、マイクロビーズもしくは他の微細構造の少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項45に記載の組成物。
【請求項47】
前記リチウム塩は、LiClOもしくはLiPFの少なくとも1つを備えることを特徴とする請求項45に記載の組成物。
【請求項48】
前記層状酸化材料がLiCoOを備えるか、前記層状スピネル材料がLiMnを備えるか、もしくは、前記層状かんらん石材料が、LiFePO、Li(Ni1/3Mn1/3Co1/3)O、LiNiCoAl(1−x−y)(NCA)、またはLiNiMnCo(1−x−y)(NCM)を備える、ことを特徴とする請求項45に記載の組成物。
【請求項49】
前記第1の電極の材料と、前記電解質の材料と、前記第2の電極の材料とが、前記基板上で複数の別個の電池として形成されることを特徴とする請求項45に記載の組成物。
【請求項50】
前記複数の別個の電池と接続する電気的に導電性を有する導線をさらに備えることを特徴とする請求項45に記載の組成物。
【請求項51】
前記第1の電極の材料と、前記電解質の材料と、前記第2の電極の材料とが、垂直方向に積層された複数の電池の一部として形成されることを特徴とする請求項45に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−525292(P2011−525292A)
【公表日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−514817(P2011−514817)
【出願日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際出願番号】PCT/US2009/047846
【国際公開番号】WO2009/155451
【国際公開日】平成21年12月23日(2009.12.23)
【出願人】(510333645)サクティ3 インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】