説明

物理量検出センサーおよび電子機器

【課題】検出の精度を高めることができる物理量検出センサーを提供する。
【解決手段】物理量検出センサー11は駆動電極21aおよび検出電極22aを有する。検出電極22aは、駆動電極21aとの間で静電結合を生じる距離で駆動電極21aから離れて配置される。可動部材15は駆動電極21aおよび検出電極22aに対向して設けられる。可動部材15は、物理量の変化に応じて駆動電極21aおよび検出電極22aに対して相対変位する。自励発振回路26は、駆動電極21aを通じて振動片の自励発振を引き起こす駆動信号を供給する。検出回路27は、駆動信号に基づき、駆動電極21aと検出電極22aとの間の静電容量に応じて検出電極22aに生じる静電容量信号を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物理量検出センサーおよび電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に開示されるように、物理量(圧力)を検出する物理量検出センサーは一般に知られる。物理量検出センサーはダイアフラムを備える。ダイアフラムは、物理量(圧力)の変化に応じて電極に対して相対的に変位する。電極で静電容量が変化する。こうして静電容量の変化に応じて物理量(圧力)は計測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−184517号公報
【特許文献2】特開平8−262056号公報
【特許文献3】特開平8−35983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のような物理量検出センサーでは静電容量の変化は非常に小さい。静電容量の変化はできるだけ高い精度で検出されることが望まれる。また、物理量検出センサーはできるだけ小型化されることが望まれる。
【0005】
本発明の少なくとも1つの態様によれば、検出の精度を高めることができる物理量検出センサーを提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の一態様は、駆動電極を有する振動片と、前記駆動電極との間で静電結合を生じる距離で前記駆動電極から離れて配置されている検出電極と、前記駆動電極および前記検出電極に対向して設けられ、物理量の変化に応じて前記駆動電極および前記検出電極に対して相対変位する可動部材と、前記駆動電極を通じて前記振動片の自励発振を引き起こす駆動信号を供給する自励発振回路と、前記駆動信号に基づき、前記駆動電極と前記検出電極との間の静電容量に応じて前記検出電極に生じる静電容量信号を検出する検出回路とを備えることを特徴とする物理量検出センサーに関する。
【0007】
振動片自励発振の駆動信号は駆動電極と検出電極との間で静電容量の周期的変化を生み出す。したがって、検出電極の検出信号すなわち静電容量信号の周波数は駆動信号の周波数を反映する。このとき、可動部材が駆動電極および検出電極に対して相対変位すると、変位量に応じて静電容量は増減する。この増減は物理量の変化に相当する。こうして物理量の変化は静電容量の周期的変化に重畳される。その結果、静電容量の変化および駆動信号に基づき物理量の変化は高い精度で検出されることができる。
【0008】
(2)物理量検出センサーでは、前記可動部材は導体であることができ、当該可動部材は接地されることができる。こうして可動部材は電磁波に対してシールド効果を発揮することができる。駆動電極や検出電極、自励発振回路、検出回路は外部の電磁波から保護されることができる。物理量検出センサーは電磁波に邪魔されずに正確に物理量を検出することができる。
【0009】
(3)物理量検出センサーは、前記可動部材と協働し、少なくとも前記振動片、前記駆動電極および前記検出電極を密封する容器をさらに備えることができる。容器内で気流は生じない。しかも、容器内に塵埃は進入しない。その結果、静電容量の周期的変化には確実に可動部材の相対変位のみが影響する。静電容量の周期的変化には正確に物理量の変化が重畳される。したがって、物理量検出センサーでは高い精度で物理量が検出されることができる。
【0010】
(4)前記可動部材は、前記容器内の圧力と前記容器外の圧力との圧力差に基づき変形することができる。こうして圧力センサーは実現されることができる。物理量として圧力は高い精度で測定されることができる。
【0011】
(5)前記可動部材の少なくとも一部が磁性材料であることができ、あるいは、前記可動部材には磁性体が取り付けられることができる。こうして磁気センサーは実現されることができる。物理量として磁力は高い精度で測定されることができる。
【0012】
(6)前記検出回路は、前記静電容量信号および前記駆動信号の同期検波から、同期検波された静電容量信号を検出する同期検波回路を備えることができる。前述のように、物理量検出センサーでは物理量の変化は静電容量の周期的変化に重畳される。したがって、同期検波によれば、重畳された信号成分は高い精度で抽出されることができる。
【0013】
(7)前記振動片の材料には水晶が用いられることができる。こうした水晶の採用によれば、振動片の発振は安定する。その結果、高い精度で物理量は測定されることができる。
【0014】
(8)以上のような物理量検出センサーは電子機器に組み込まれることができる。電子機器には例えばナビゲーション装置や車体姿勢検出装置、ハードディスク駆動装置(HDD)、家電、通信機器、情報端末その他のものが含まれることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1実施形態に係る物理量検出センサーすなわち圧力センサーの外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】圧力センサーの垂直断面図である。
【図3】振動片の構造を概略的に示す斜視図である。
【図4】回路構成を概略的に示すブロック図である。
【図5】図2に対応し、本発明の第2実施形態に係る物理量検出センサーすなわち磁気センサーの垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではなく、本実施形態で説明される構成の全てが本発明の解決手段として必須であるとは限らない。
【0017】
(1)第1実施形態に係る圧力センサーの構成
図1は本発明の第1実施形態に係る物理量検出センサーすなわち圧力センサー(物理量検出センサー)11の外観を概略的に示す。圧力センサー11は例えば箱形の容器12を備える。容器12は容器本体13および蓋材14を備える。容器本体13の開口は蓋材14で気密に塞がれる。容器12の内部空間は例えば真空に封止されることができる。容器12は剛体として機能する。すなわち、計測域の圧力下では容器本体13および蓋材14は変形しない。少なくとも蓋材14は導体から形成されることができる。
【0018】
蓋材14にはダイアフラム(可動部材)15が組み込まれる。ダイアフラム15は円形の薄板材で形成される。ダイアフラム15は導体から形成されることができる。ダイアフラム15はステンレス薄板であってもよくシリコン薄板であってもよい。ダイアフラム15は少なくとも計測域の圧力下で可撓性を有する。ダイアフラム15は容器12内の圧力と容器12外の圧力との圧力差に基づき変形する。ダイアフラム15に外側から圧力が作用すると、圧力の増大に応じてダイアフラム15は内側に窪み、圧力の減少に応じてダイアフラム15は外側に膨らむ。ダイアフラム15は一体成形に基づき蓋材14に一体化されることができる。ここでは、ダイアフラム15は接地される。その他、容器本体13はダイアフラム15の輪郭に合わせて円筒形に形成されてもよい。
【0019】
図2に示されるように、容器12には振動片16およびIC(集積回路)チップ17が収容される。振動片16およびICチップ17は容器12の内部空間内に配置される。振動片16の本体は水晶といった圧電材料から形成される。振動片16の本体は、後述されるように、固定片18および振動腕19を有する。振動片16は固定片18で容器本体13に固定される。固定にあたって例えば接着剤が用いられることができる。ICチップ17は例えば容器本体13の底板に接着されればよい。
【0020】
振動片16は駆動電極21a(21b)、21cと検出電極22a(22b)とを有する。駆動電極21a(22b)、21cおよび検出電極22a(22b)はそれぞれ個別にICチップ17に電気的に接続される。こういった接続にあたって振動片16の本体外表面には導電材の配線パターン(図示されず)が形成されることができる。駆動電極21a(21b)、21cにはICチップ17から駆動信号が供給される。その結果、駆動電極21a(21b)と検出電極22a(22b)との間には静電結合23が生成される。駆動電極21a(21b)および検出電極22a(22b)にはダイアフラム15が向き合わせられる。容器12外の圧力の増大に応じてダイアフラム15が駆動電極21a(21b)および検出電極22a(22b)に近づくと、静電容量は減少する。反対に、容器12外の圧力の低下に応じてダイアフラム15が駆動電極21a(21b)および検出電極22a(22b)から遠ざかると、静電容量は増大する。こうした静電容量の変化はICチップ17に伝達される。ICチップ17の出力は例えば導体のピン端子(図示されず)で容器12の外側に引き出される。
【0021】
図3に示されるように、振動片16はいわゆる音叉形に形成される。すなわち、固定片18から2本の振動腕19が相互に平行に延びる。個々の振動腕19ごとに振動腕19の外表面には駆動電極すなわち第1駆動電極21aおよび第2駆動電極21bが形成される。2つの振動腕19に共通に個々の駆動電極21a、21bに関連づけられて駆動腕19の外表面には駆動電極21cが形成される。さらに、個々の駆動電極21a、21bに関連づけられて固定片18の外表面に1対の検出電極すなわち第1検出電極22aおよび第2検出電極22bが形成される。個々の検出電極22a、22bは、対応の駆動電極21a、21bとの間で静電結合を生じる距離で対応の駆動電極21a、21bから離れて配置される。すなわち、個々の検出電極22a、22bと対応の駆動電極21a、21bとは誘電体(真空を含む)で相互に離隔される。
【0022】
ICチップ17には、図4に示されるように、自励発振回路26および検出回路27が構築される。自励発振回路26は第1駆動電極21aおよび第3駆動電極21cから一方の振動腕19に交流電圧を印加し、第2駆動電極21bおよび第3駆動電極21cから他方の振動腕19に交流電圧を印加する。ここでは振動片、第1駆動電極21aに周波数ωの駆動信号が供給されると、180°の位相遅れで第2駆動電極21bに周波数ωの駆動信号が供給される。自励発振回路26は振動片16の固有周波数ωで振動腕19の自励発振を引き起こす。
【0023】
自励発振回路26は電流アンプ28、自動振幅制御回路29、増幅アンプ30および反転アンプ31を含む。電流アンプ28は配線で第2駆動電極21bに電気的に接続される。電流アンプ28は所定の増幅率で第3駆動電極21cの出力信号を増幅する。電流アンプ28には自動振幅制御回路29が接続される。自動振幅制御回路29には基準電圧回路32から基準電圧が供給される。自動振幅制御回路29は基準電圧に応じて出力信号の電圧振幅を一定に調整する。自動振幅制御回路29には増幅アンプ30が接続される。増幅アンプ30は自動振幅制御回路29の出力信号を増幅する。増幅アンプ30は配線で第2駆動電極に電気的に接続される。増幅アンプ30の出力信号は第2駆動電極21bに供給される。増幅アンプ30には反転アンプ31が接続される。反転アンプ31は増幅アンプ30の出力信号を反転する。反転アンプ31は配線で第1駆動電極21aに電気的に接続される。反転アンプ31の出力信号は第1駆動電極21aに供給される。自動振幅制御回路29は駆動電極21a、21bに与えられる電圧信号の温度変化を防ぐ。
【0024】
検出回路27は、第1チャージアンプ34、第2チャージアンプ35、差動アンプ36、同期検波回路37およびローパスフィルター38を含む。第1チャージアンプ34は配線で第1検出電極22aに接続される。第1検出電極22aには対応の第1駆動電極21aとの静電結合に応じた電流が第1駆動電極21aの信号から270°の位相遅れで現れる。第1チャージアンプ34は第1検出電極22aの検出信号(静電容量信号)を増幅する。第2チャージアンプ35は配線で第2検出電極22bに接続される。第2検出電極22bには対応の第2駆動電極21bとの静電結合に応じた電流が第2駆動電極21bの信号から270°の位相遅れで現れる。第2チャージアンプ35は第2検出電極22bの検出信号(静電容量信号)を増幅する。第1チャージアンプ34および第2チャージアンプ35には差動アンプ36が接続される。差動アンプ36は第1チャージアンプ34の出力と第2チャージアンプ35の出力とを差動増幅する。第1チャージアンプ34および第2チャージアンプ35は270°の位相遅れを生成する。
【0025】
差動アンプ36には同期検波回路37が接続される。同期検波回路37は自励発振回路26の電流アンプ28の出力に基づき差動アンプ36の出力を同期検波する。同期検波回路37には電流アンプ28の出力から360°の位相遅れで周波数ωの信号が供給される。この同期検波に応じて物理量すなわち圧力の変化分に相当する信号成分が差動アンプ36の出力から抽出される。同期検波回路37にはローパスフィルター38が接続される。ローパスフィルター38は、圧力の変化よりも短い周期で変化する信号成分すなわちノイズを除去する。こうして圧力の変化量に応じてローパスフィルター38から信号が出力される。
【0026】
(2)圧力センサーのキャリブレーション
圧力センサー11には基準圧力が設定される。基準圧力は例えば1気圧すなわち101.325kPaに設定されることができる。キャリブレーションにあたってダイアフラム15には101.325kPaの圧力が加えられる。このとき、検出回路27のローパスフィルター38から出力される電流値が測定される。この電流値は基準電流値に設定される。その後、加えられる圧力は変更される。こうして想定される計測域内で圧力値と電流値との相関関係が導き出される。その結果、検出される電流値に基づき圧力値は特定されることができる。
【0027】
(3)圧力センサーの動作
次に圧力センサー11の動作を説明する。いま、圧力センサー11に大気圧(=101.325kPa)よりも大きい圧力が作用すると、ダイアフラム15は内側に窪む。その結果、ダイアフラム15は第1および第2駆動電極21a、21b並びに第1および第2検出電極22a、22bに近づく。ダイアフラム15からグラウンドに電流は逃げる。静電結合の電流は減少する。
【0028】
第1駆動電極21aおよび第2駆動電極21bには周波数ωで交流電圧が印加される。振動腕19は固有周波数ωで自励発振する。第1駆動電極21aおよび第1検出電極22aの間で静電容量は周波数ωで周期的に変化する。すなわち、第1検出電極22aの検出信号の周波数は第1駆動電極21aの駆動信号の周波数を反映する。同様に、第2駆動電極21bおよび第2検出電極22bの間で静電容量は周波数ωで周期的に変化する。すなわち、第2検出電極22bの検出信号の周波数は第2駆動電極21bの駆動信号の周波数を反映する。第2検出電極22bの検出信号には第1検出電極22aの検出信号に対して180°の位相遅れが生じる。ここで、前述のように静電結合の電流が減少すると、第1検出電極22aおよび第2検出電極22bの検出信号では振幅が縮小する。
【0029】
差動アンプ36は第1チャージアンプ34の出力と第2チャージアンプ35の出力とを差動増幅する。第1チャージアンプ34の出力と第2チャージアンプ35の出力とは180°の位相差を有することから、出力の振幅は実質的に倍増する。出力では周波数ωの周期的変化は維持される。同期検波回路37は差動アンプ36の出力を同期検波する。静電結合の電流の減少は静電容量の周期的変化に重畳され、加えて、静電容量の周期的変化は振動片16の駆動信号の変化を反映することから、同期検波の働きで静電結合の電流の減少分は抽出される。同期検波は高い精度で差動アンプ36の出力と振動片16の駆動信号との差分を抽出することから、同期検波回路37の出力は高い精度で静電結合の電流の減少分すなわちダイアフラム15に作用する圧力の増加分を反映する。その結果、ローパスフィルター38の出力から高い精度で圧力値は特定されることができる。
【0030】
圧力センサー11に大気圧よりも小さい圧力が作用すると、ダイアフラム15は外側に膨らむ。その結果、ダイアフラム15は第1および第2駆動電極21a、21b並びに第1および第2検出電極22a、22bから遠ざかる。グラウンドに流れる電流は減少する。静電結合の電流は増加する。静電結合の電流が増加すると、第1検出電極22aおよび第2検出電極22bの検出信号では振幅は増大する。同期検波で静電結合の電流の増加分が抽出される。同期検波回路37の出力は高い精度で静電結合の電流の増加分すなわちダイアフラム15に作用する圧力の減少分を反映する。その結果、ローパスフィルター38の出力から高い精度で圧力は特定されることができる。
【0031】
圧力センサー11によれば、振動片16の駆動信号は、第1駆動電極21aおよび第1検出電極22aの間と、第2駆動電極21bおよび第2検出電極22bの間とで静電容量の周期的変化を生み出す。したがって、第1および第2検出電極22a、22bの検出信号の周波数は振動片16の駆動信号の周波数ωを反映する。しかも、振動片16は自励発振することから、駆動信号の周波数ωは安定化する。前述のように圧力の変化は静電容量の周期的変化に重畳されることから、第1検出電極22aおよび第2検出電極22bから検出される静電容量の変化と、第1駆動電極21aおよび第2駆動電極21bに供給される駆動信号に基づき物理量すなわち圧力の変化は高い精度で検出されることができる。特に、同期検波によれば、重畳された信号成分は高い精度で抽出されることができる。
【0032】
加えて、圧力センサー11ではダイアフラム15および蓋材14は導体から形成される。ダイアフラム15および蓋材14は接地される。その結果、ダイアフラム15および蓋材14は電磁波に対してシールド効果を発揮することができる。第1および第2駆動電極21a、21bや第1および第2検出電極22a、22b、ICチップ17は外部の電磁波から保護されることができる。圧力センサー11は電磁波に邪魔されずに正確に圧力を検出することができる。
【0033】
さらに、圧力センサー11では、少なくとも振動片16、第1、第2および第3駆動電極21a、21b、21c並びに第1および第2検出電極22a、22bは容器12内に密封される。容器12内に気流は生じない。しかも、容器12内に塵埃は進入しない。その結果、静電容量の周期的変化には確実にダイアフラム15の相対変位のみが影響する。静電容量の周期的変化には正確に圧力の変化が重畳される。したがって、圧力センサー11では高い精度で圧力が検出されることができる。
【0034】
圧力センサー11は例えばナビゲーション装置や車体姿勢検出装置、ハードディスク駆動装置(HDD)といった電子機器に組み込まれて使用されることができる。ただし、圧力センサー11の用途はこれら電子機器に限定されるものではない。その他、静電容量の変化はいずれか一方の検出電極22a、22bから検出されてもよい。この場合には、例えば第3駆動電極21cおよび第2検出電極22bは省略されることができる。自励発振回路26は第1駆動電極21aおよび第2駆動電極21bから振動片16に交流電圧を印加すればよい。検出回路27では差動アンプ36は省略されることができる。
【0035】
(4)第2実施形態に係る磁気センサーの構成
図5は第2実施形態に係る物理量検出センサーすなわち磁気センサー(物理量検出センサー)41の構成を概略的に示す。この磁気センサー41はダイアフラム15の表面に配置される磁性体42を備える。磁性体42は例えば板状に形成される。磁性体42はダイアフラム15の表面に接着されることができる。磁性体42には例えば鉄、コバルトおよびニッケルといった強磁性材料が用いられることができる。磁性体42に磁界が作用すると、ダイアフラム15は撓むことができる。例えば、磁性体42の外表面がN極で磁化されれば、ダイアフラム15の外側からN極の磁界が作用すると、ダイアフラム15は内側に窪み、ダイアフラム15の外側からS極の磁界が作用すると、ダイアフラム15は外側に膨らむ。磁性体42は一体成形に基づきダイアフラム15に一体化されることができダイアフラム15および蓋材14に一体化されることができる。その他の構成は前述の第1実施形態に係る圧力センサー11と同一である。ただし、容器12には容器12の内外を接続する微細通路が形成されることができる。微細通路は容器12の内外で空気のやり取りを許容し容器12内外の圧力差を解消する。こうした構造によれば、ダイアフラム15は圧力(気圧)変動の影響から解放されることができる。こうした磁気センサー41でも、前述の圧力センサー11と同様に、高い精度で磁力は計測されることができる。
【0036】
磁気センサー41は例えばナビゲーション装置で方位計として利用されることができる。その他、磁石と対で使用されて、家電の扉開閉検知装置や折り畳み式通信機器または情報端末の開閉検知装置として利用されることができる。ただし、磁気センサー41の用途はこれら電子機器に限定されるものではない。
【0037】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。したがって、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれる。例えば、明細書または図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語とともに記載された用語は、明細書または図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えられることができる。また、圧力センサーおよび磁気センサー等の構成および動作も本実施形態で説明したものに限定されず、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0038】
11 物理量検出センサー(圧力センサー)、12 容器、15 可動部材(ダイアフラム)、16 振動片、21a 駆動電極(第1駆動電極)、21b 駆動電極(第2駆動電極)、22a 検出電極(第1検出電極)、22b 検出電極(第2検出電極)、26 自励発振回路、27 検出回路、37 同期検波回路、41 物理量検出センサー(磁気センサー)42 磁性体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動電極を有する振動片と、
前記駆動電極との間で静電結合を生じる距離で前記駆動電極から離れて配置されている検出電極と、
前記駆動電極および前記検出電極に対向して設けられ、物理量の変化に応じて前記駆動電極および前記検出電極に対して相対変位する可動部材と、
前記駆動電極を通じて前記振動片の自励発振を引き起こす駆動信号を供給する自励発振回路と、
前記駆動信号に基づき、前記駆動電極と前記検出電極との間の静電容量に応じて前記検出電極に生じる静電容量信号を検出する検出回路と、
を備えることを特徴とする物理量検出センサー。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出センサーにおいて、前記可動部材は導体であり、当該可動部材は接地されていることを特徴とする物理量検出センサー。
【請求項3】
請求項1または2に記載の物理量検出センサーにおいて、前記可動部材と協働し、少なくとも前記振動片、前記駆動電極および前記検出電極を密封する容器をさらに備えることを特徴とする物理量検出センサー。
【請求項4】
請求項3に記載の物理量検出センサーにおいて、前記可動部材は、前記容器内の圧力と前記容器外の圧力との圧力差に基づき変形することを特徴とする物理量検出センサー。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の物理量検出センサーにおいて、前記可動部材の少なくとも一部が磁性材料である、あるいは、前記可動部材には磁性体が取り付けられていることを特徴とする物理量検出センサー。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の物理量検出センサーにおいて、前記検出回路は、前記静電容量信号および前記駆動信号の同期検波から、同期検波された静電容量信号を検出する同期検波回路を備えることを特徴とする物理量検出センサー。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の物理量検出センサーにおいて、前記振動片の材料には水晶が用いられることを特徴とする物理量検出センサー。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の物理量検出センサーを含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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