説明

物理量検出素子、物理量検出装置および電子機器

【課題】X軸、Y軸およびZ軸の各軸まわりの回転検出ができ、1つの発振回路で振動を励起することが可能な物理量検出素子を提供する。
【解決手段】物理量検出素子1は、基部2と、基部2からX軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出した第1連結部3aおよび第2連結部3bと、第1連結部3aまたは第2連結部3bからY軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出した一対の第1駆動振動腕4aおよび第2駆動振動腕4b、並びに一対の第3駆動振動腕4cおよび第4駆動振動腕4dと、第1連結部3aから斜めに延出した第1駆動検出振動腕5aおよび第2駆動検出振動腕5bと、第2連結部3bから斜めに延出した第3駆動検出振動腕5cおよび第4駆動検出振動腕5dと、基部2からY軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出した第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bと、を備えている、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動片を利用して物理量を検出することが可能な素子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物理量検出素子として、例えば特許文献1には、基部と、基部からX軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出した支持部と、支持部の各先端において、Y軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出した駆動アーム(駆動振動腕)と、基部からY軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出したY軸用検出振動アームと、同じく、基部からY軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出したZ軸用検出振動アームと、を備えた振動片(当該文献における振動子)が開示されている。この振動片によれば、Z軸まわりの回転角速度に起因するY軸用検出振動アームの寄生振動を抑制し、回転角速度の測定値の誤差を減少させることが可能である。
【0003】
また、例えば特許文献2に開示されているような振動片(当該文献における慣性センサー素子)もある。この振動片は、複数本の脚部を有する振動部を有し、振動部は、基部から第1の方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出し、さらに、基部から第1の方向と直交する第2の方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出している、簡易な構成である。第1の方向に沿う振動部は、一方に励振電極が設けられ、他方には、検出電極が設けられていて、第1の方向まわりの回転角速度(物理量)を検出することが可能である。同様に、第2の方向に沿う振動部は、第2の方向まわりの回転角速度を検出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−108053号公報
【特許文献2】特開2006−267094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1において、振動片は、Y軸に沿って延出した駆動アームまたは脚部がX軸方向に振動する構成であるため、Z軸の回転検出もしくはY軸の回転検出しかできず、X軸の回転検出ができなかった。特許文献2において同様である。また、これら振動片は、駆動アームまたは励振電極を有する振動部が基部から別々に伸びている構成のため、各々の振動モードの結合が弱く、1つの発振回路で双方の振動を励起するためには、それぞれの固有振動数を極めて近づけるような微調整が必要である。この対策として、2つの発振回路で励起する振動片が考えられるが、この構成では、回路構成部の面積が大きくなって小型化が困難となり、コストも増大する、という課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る物理量検出素子は、基部と、前記基部の重心位置である原点を通るX軸と、前記原点を通り、前記X軸と直交するY軸と、を有する座標軸を定義し、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限と、定義したとき、前記基部と連結し、前記X軸に沿って、前記基部の両側に設けられている第1連結部および第2連結部と、前記第1連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1駆動振動腕および第2駆動振動腕と、前記第2連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第3駆動振動腕および第4駆動振動腕と、前記第1駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第1駆動検出振動腕と、前記第2駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第2駆動検出振動腕と、前記第3駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第3駆動検出振動腕と、前記第4駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第4駆動検出振動腕と、を備えている、ことを特徴とする。
【0008】
この物理量検出素子によれば、駆動検出振動をする第1駆動検出振動腕および第2駆動検出振動腕は、第1連結部から斜め反対方向へそれぞれ延出した構成であり、この延出方向は、基部と反対側、即ち物理量検出素子の外部側へ向かっている。このような構成の物理量検出素子では、第1駆動振動腕の第1連結部側での応力が第1駆動検出振動腕の励振に寄与し、第2駆動振動腕の第1連結部側での応力が第2駆動検出振動腕の励振に寄与して、結合性が高められる。そのため、第1駆動振動腕および第2駆動振動腕並びに第1駆動検出振動腕および第2駆動検出振動腕から第1連結部へ振動が伝わる、いわゆる振動漏れを抑制することが可能である。同様に、第3駆動振動腕、第4駆動振動腕、第3駆動検出振動腕、第4駆動検出振動腕の第2連結部側においても、振動漏れを抑制することが可能である。これにより、物理量検出素子は、振動漏れの抑制により、物理量検出素子としてのインピーダンスが下がり、Q値を高くすることが可能である。また、物理量検出素子は、駆動振動腕および駆動検出振動腕のそれぞれの固有共振周波数を合わせるというような調整が不要であり、さらに、付け根における結合性が高いことにより、1つの発振回路で2つの駆動モードを励起することが可能である。そして、物理量検出素子は、この場合、第1駆動検出振動腕、第2駆動検出振動腕、第3駆動検出振動腕および第4駆動検出振動腕でX軸またはY軸まわりの角速度等の物理量を検出でき、単体で2軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。
【0009】
[適用例2]上記適用例に係る物理量検出素子は、基部と、前記基部の重心位置である原点を通るX軸と、前記原点を通り、前記X軸と直交するY軸と、を有する座標軸を定義し、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限と、定義したとき、前記基部と連結し、前記X軸に沿って、前記基部の両側に設けられている第1連結部および第2連結部と、前記第1連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1駆動振動腕および第2駆動振動腕と、前記第2連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第3駆動振動腕および第4駆動振動腕と、前記第1駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第1駆動検出振動腕と、前記第2駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第2駆動検出振動腕と、前記第3駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第3駆動検出振動腕と、前記第4駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第4駆動検出振動腕と、を備えている、ことを特徴とする
【0010】
この物理量検出素子によれば、駆動検出振動をする第1駆動検出振動腕および第2駆動検出振動腕は、第1連結部から斜め反対方向へそれぞれ延出した構成であり、この延出方向は、基部の側、即ち物理量検出素子の内部側へ向かっている。このような構成の物理量検出素子では、第1駆動振動腕の第1連結部側での応力が第1駆動検出振動腕の励振に寄与し、第2駆動振動腕の第1連結部側での応力が第2駆動検出振動腕の励振に寄与して、結合性が高められる。そのため、第1駆動振動腕および第2駆動振動腕並びに第1駆動検出振動腕および第2駆動検出振動腕から第1連結部へ振動が伝わる、いわゆる振動漏れを抑制することが可能である。同様に、第3駆動振動腕、第4駆動振動腕、第3駆動検出振動腕、第4駆動検出振動腕の第2連結部側においても、振動漏れを抑制することが可能である。これにより、物理量検出素子は、振動漏れの抑制により、物理量検出素子としてのインピーダンスが下がり、Q値を高くすることが可能である。また、物理量検出素子は、駆動振動腕および駆動検出振動腕のそれぞれの固有共振周波数を合わせるというような調整が不要であり、さらに、付け根における結合性が高いことにより、1つの発振回路で2つの駆動モードを励起することが可能である。そして、物理量検出素子は、この場合、第1駆動検出振動腕、第2駆動検出振動腕、第3駆動検出振動腕および第4駆動検出振動腕でX軸またはY軸まわりの角速度等の物理量を検出でき、単体で2軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。さらに、物理量検出素子は、斜め方向へ延出している第1駆動検出振動腕乃至第4駆動検出振動腕が、基部の側、即ち物理量検出素子の内部側へ向けて延びている構成である。そのため、物理量検出素子は、第1駆動検出振動腕乃至第4駆動検出振動腕が物理量検出素子の外部側へ向けて延びている場合に比べて、より小型化を図ることが可能である。
【0011】
[適用例3]上記適用例に係る物理量検出素子において、前記基部から前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1検出振動腕および第2検出振動腕と、を備えている、ことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、物理量検出素子は、第1検出振動腕および第2検出振動腕をさらに備えていて、これら第1検出振動腕と第2検出振動腕とがY軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出していることにより、Z軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。これにより、物理量検出素子は、単体で同時に3軸の物理量を検出することが可能である。
【0013】
[適用例4]上記適用例に係る物理量検出素子において、前記第1駆動振動腕乃至前記第4駆動振動腕は、振動を励起するための駆動信号電極を有し、前記第1駆動検出振動腕乃至前記第4駆動検出振動腕は、振動を励起するための駆動信号電極と、物理量を検出するための検出信号電極と、を有している、ことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、第1駆動検出振動腕、第2駆動検出振動腕、第3駆動検出振動腕および第4駆動検出振動腕は、駆動信号電極と検出信号電極とを有している構成であり、自らも、駆動信号電極により駆動振動すると共に、第1駆動振動腕および第2駆動振動腕、または、第3駆動振動腕および第4駆動振動腕からも励振が付与され、不要なノイズ等を含まない駆動振動をする。そのため、第1駆動検出振動腕乃至第4駆動検出振動腕は、この場合、X軸またはY軸まわりの角速度等の物理量をより確実に検出することが可能である。
【0015】
[適用例5]上記適用例に係る物理量検出素子において、前記第1駆動検出振動腕および前記第2駆動検出振動腕は、前記第1連結部の延長線上を避けた位置から延出し、前記第3駆動検出振動腕および前記第4駆動検出振動腕は、前記第2連結部の延長線上を避けた位置から延出している、ことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、第1駆動検出振動腕および第2駆動検出振動腕は、基部から延出した第1連結部をそのまま延長した延長線上には形成されておらず、第1駆動振動腕または第2駆動振動腕における該延長線上を避けた位置から延出している。これにより、第1駆動検出振動腕および第2駆動検出振動腕は、第1駆動振動腕または第2駆動振動腕との結合性を第1連結部から離れた位置で高めることが可能である。また、第3駆動検出振動腕および第4駆動検出振動腕も、同様に、第3駆動振動腕または第4駆動振動腕における該延長線上を避けた位置から延出していて、第3駆動振動腕または第4駆動振動腕との結合性を第2連結部から離れた位置で高めることが可能である。従って、物理量検出素子は、第1駆動振動腕乃至第4駆動振動腕から基部方向への振動漏れを、より一層確実に抑制することが可能である。
【0017】
[適用例6]上記適用例に係る物理量検出素子において、前記第1駆動検出振動腕は、前記第1駆動振動腕と同位相で振動し、前記第2駆動検出振動腕は、前記第1駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第2駆動振動腕と同位相で振動し、前記第3駆動検出振動腕は、前記第3駆動振動腕と同位相で振動し、前記第4駆動検出振動腕は、前記第3駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第4駆動振動腕と同位相で振動する、ことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、さらに、物理量検出素子は、第1駆動振動腕および第1駆動検出振動腕と、第2駆動振動腕および第2駆動検出振動腕と、がX軸に対して互いに逆相で振動し、第3駆動振動腕および第3駆動検出振動腕と、第4駆動振動腕および第4駆動検出振動腕と、がX軸に対して互いに逆相で振動する。これにより、物理量検出素子は、バランスの良好な駆動振動を励振することができ、不要な振動ノイズ等が発生し難い構成となっている。
【0019】
[適用例7]上記適用例に係る物理量検出素子において、前記第1駆動検出振動腕乃至前記第4駆動検出振動腕は、溝部を有している、ことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、第1駆動検出振動腕乃至第4駆動検出振動腕は、溝部を有することによって腕部の表面積を拡大でき、広く電界が分布して振幅の大きい振動を得ることが可能である。また、第1駆動検出振動腕乃至第4駆動検出振動腕を小型化して外形寸法を小さくしても、溝部を形成することにより、振動腕部の表面積を維持または拡大でき、振幅の大きい振動を得ることが可能である。
【0021】
[適用例8]上記適用例に係る物理量検出素子は、六方晶の結晶構造を有する圧電性材で形成されている、ことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、六方晶の圧電性材は、例えば、水晶のように、機械軸、電気軸および光軸を有し、印加された駆動信号により正確に振動し、また、加えられた力に応じて屈曲して検出信号を発生する。物理量検出素子の形成に、このような圧電性材を用いれば、角速度等の物理量の検出を精度良く行なうことが可能である。また、物理量検出素子における好ましい一例として、第1駆動振動腕と第2駆動検出振動腕、第2駆動振動腕と第1駆動検出振動腕、第3駆動振動腕と第4駆動検出振動腕、および第4駆動振動腕と第3駆動検出振動腕、のそれぞれが120度の角度をなす構成が考えられる。この場合、六方晶の圧電性材は内角がそれぞれ120度である3本の電気軸(X軸)を有していることにより、一例である物理量検出素子のような腕構成であっても、容易に形成することが可能である。さらに、一例である構成例を含む物理量検出素子は、付け根における結合性が高いため、各駆動振動腕の振動が励起されると、各駆動振動腕の振動が、対応する駆動検出振動腕の励振に、より寄与しやすくなる。このような結合性の高い構成である物理量検出素子は、例えば、2方向の振動モードを得るのに1つの駆動回路でシステムを構成することが可能であり、小型化・低コスト化の面で、より有利である。
【0023】
[適用例9]本適用例に係る物理量検出装置は、少なくとも前記第1駆動振動腕乃至前記第4駆動振動腕へ駆動信号を供給する駆動回路と、少なくとも前記第1駆動検出振動腕乃至第4駆動検出振動腕の検出信号から物理量を検出する検出回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0024】
この物理量検出装置によれば、振動漏れの抑制可能な物理量検出素子を有し、さらに、駆動回路および検出回路によって物理量検出素子を制御することにより、角速度等をはじめとした物理量の検出精度を、大きく向上させることが可能である。この場合、本適用例のような構成の物理量検出装置であれば、複数の腕を有していても、一つの駆動回路で振動を励起することが可能である。なお、この駆動回路は、背景技術の発振回路に該当する。
【0025】
[適用例10]上記適用例に係る物理量検出装置において、前記検出回路は、前記第1駆動検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第3駆動検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第2駆動検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4駆動検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量を検出する、ことが好ましい。
【0026】
この構成によれば、第1駆動検出振動腕および第3駆動検出振動腕による検出信号と、第2駆動検出振動腕および第4駆動検出振動腕による検出信号と、のそれぞれの和の差動をとることにより、この場合、X軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。
【0027】
[適用例11]上記適用例に係る物理量検出装置において、前記検出回路は、前記第1駆動検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第2駆動検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第3駆動検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4駆動検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量を検出する、ことが好ましい。
【0028】
この構成によれば、第1駆動検出振動腕および第2駆動検出振動腕による検出信号と、第3駆動検出振動腕および第4駆動検出振動腕による検出信号と、のそれぞれの和の差動をとることにより、この場合、Y軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。
【0029】
[適用例12]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に記載の物理量検出素子を備えている、ことを特徴とする。
【0030】
この電子機器によれば、振動漏れを抑制して物理量の検出精度を向上することが可能な、物理量検出素子を備えていることにより、高精度なセンサー機能を備えることができ、電子機器性能の向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図2】実施形態2におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図3】実施形態3におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図4】(a)(b)ジャイロ素子の電極構成を示す断面図。
【図5】(a)実施形態4におけるジャイロ素子の駆動検出振動腕に設けられた溝部を示す断面図。(b)駆動検出振動腕に設けられた溝部の他の形態を示す断面図。
【図6】(c)(d)駆動検出振動腕に設けられた溝部の他の形態を示す断面図。
【図7】(a)ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す平面図、(b)ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す断面図。
【図8】(a)ジャイロ素子におけるX軸まわりの角速度の検出を示す平面図、(b)ジャイロ素子におけるY軸まわりの角速度の検出を示す平面図。
【図9】光軸に対し平行に配置されたジャイロ素子を備えたスチールカメラを示す斜視図。
【図10】(a)ジャイロ素子を備えたビデオカメラを示す斜視図、(b)ジャイロ素子を備えた携帯電話を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の物理量検出素子における、好適な一例について、添付図面を参照して説明する。ここでは、振動特性の良好な圧電性材を素材とする、ジャイロ素子(物理量検出素子)について述べる。
【0033】
最初に、ジャイロ素子に最適な圧電性単結晶材である水晶について説明する。物理量検出素子としてのジャイロ素子は、六角柱をなす水晶柱から切り出され、この水晶柱は、柱の長手方向に光軸であるz軸と、z軸に垂直な電気軸であるx軸および機械軸であるy軸とを有していて、いわゆる六方晶の性質を有している。ここでx軸は、z軸に垂直な六角形面であるx−y面において、それぞれ内角が120度の等角度で3本あって、これらのx軸で形成される各面内では、エッチング方向によるエッチング速さ等が同じである、という性質を有している。このような水晶柱において、ジャイロ素子は、x−y平面を、x軸とy軸との交点(座標原点)からみてx軸まわりに角度5度傾けた平面に沿う、水晶z板から切り出されたものである。即ち、水晶柱から切り出されたジャイロ素子の座標軸は、x(請求項におけるX軸),y’(請求項におけるY軸),z’(請求項におけるZ軸)となる。
【0034】
一般に、物理量検出素子では、測定感度を良好にするために、駆動の振動モードの固有共振周波数と検出の振動モードの固有共振周波数との間に、一定の振動周波数差を保つことが要求されている。しかし、圧電性材の水晶は異方性を持っており、結晶面が変化すると、振動周波数の温度変化等の度合いが異なってしまう。これに対し、ジャイロ素子1は、水晶の最も温度特性等の良い結晶面のみ、例えば水晶z板、を利用して、各振動腕の全体を所定面内で振動するようにしている。これによって、極めて安定性の高い振動をするジャイロ素子を提供することができる。以下では、ジャイロ素子の形状に係る各実施形態について、最初に説明する。
(実施形態1)
【0035】
図1は、実施形態1におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。図1に示すように、ジャイロ素子(物理量検出素子)1は、基部2の重心(この場合基部2の中央位置)を原点とするX,Y,Z座標において、X−Y平面に沿って腕等が延出する形態をなしている。なお、このX,Y,Z座標は、原点を通るX軸と、原点を通りX軸と直交するY軸と、原点を通りX軸およびY軸と直交するZ軸と、を有する座標軸である。また、この座標軸において、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限、と定義する。そして、ここでいうX軸,Y軸,Z軸は、請求項におけるX軸,Y軸,Z軸に該当する。また、請求項におけるプラスX軸、プラスY軸、プラスZ軸は、X(+)、Y(+)、Z(+)で表し、マイナスX軸、マイナスY軸、マイナスZ軸は、X(−)、Y(−)、Z(−)で表す。
【0036】
ジャイロ素子1は、座標軸の原点を中心とする四角形状の基部2と、基部2からX(+)軸方向へ延出した第1連結部3aと、第1連結部3aの先端から、X軸に対して直角をなしてY(+)方向へ延出した第1駆動振動腕4aと、第1連結部3aの先端から、X軸に対して直角をなしてY(−)方向へ延出した第2駆動振動腕4bと、第1連結部3aと第1駆動振動腕4aとの交点部である付け根10aから、X軸に対して30度の角度で、第1象限の方向へ斜めに延出した第1駆動検出振動腕5aと、第1連結部3aと第2駆動振動腕4bとの交点部である付け根10aから、X軸に対して30度の角度で、第4象限の方向へ斜めに延出した第2駆動検出振動腕5bと、を有している。
なお、基部2のY軸に沿う幅と、第1連結部3aのY軸に沿う幅とが等しくても良い。
【0037】
また、ジャイロ素子1は、基部2からX(−)軸方向へ突出した第2連結部3bと、第2連結部3bの先端から、X軸に対して直角をなしてY(+)方向へ延出した第3駆動振動腕4cと、第2連結部3bの先端から、X軸に対して直角をなしてY(−)方向へ延出した第4駆動振動腕4dと、第2連結部3bと第3駆動振動腕4cとの交点部である付け根10bから、X軸に対して30度の角度で、第2象限の方向へ斜めに延出した第3駆動検出振動腕5cと、第2連結部3bと第4駆動振動腕4dとの交点部である付け根10bから、X軸に対して30度の角度で、第3象限の方向へ斜めに延出した第4駆動検出振動腕5dと、を有している。
なお、基部2のY軸に沿う幅と、第2連結部3bのY軸に沿う幅とが等しくても良い。
【0038】
そして、ジャイロ素子1は、基部2からY(+)軸方向へ延出した第1検出振動腕6aと、基部2からY(−)軸方向へ延出した第2検出振動腕6bと、を有している。これらすべての各腕は、それぞれの断面が矩形状をなしている。
【0039】
さらに、第1駆動振動腕4a、第2駆動振動腕4b、第3駆動振動腕4cおよび第4駆動振動腕4dは、各腕の駆動振動を励起するための駆動信号電極7をそれぞれ有し、第1駆動検出振動腕5a、第2駆動検出振動腕5b、第3駆動検出振動腕5cおよび第4駆動検出振動腕5dは、各腕の駆動振動を励起すると共にジャイロ素子1に加えられた角速度等の物理量を検出するための駆動検出信号電極8をそれぞれ有している。また、第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bは、ジャイロ素子1に加えられた角速度等の物理量を検出するための検出信号電極9を有している。
【0040】
このような構成のジャイロ素子1において、駆動信号電極7に電圧が印加されると、第1駆動振動腕4a、第2駆動振動腕4b、第3駆動振動腕4cおよび第4駆動振動腕4dは、屈曲して振動し、駆動検出信号電極8は、図4(b)を参照して後述する駆動信号電極と検出信号電極とを有し、駆動検出信号電極8に電圧が印加されると、第1駆動検出振動腕5a、第2駆動検出振動腕5b、第3駆動検出振動腕5cおよび第4駆動検出振動腕5dは、屈曲して振動する。そして、駆動検出信号電極8は、ジャイロ素子1に加えられたX軸またはY軸まわりの角速度等の物理量を検出する。一方、第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bの検出信号電極9は、ジャイロ素子1に加えられたZ軸まわりの角速度等の物理量を検出する。なお、第1駆動振動腕4a、第2駆動振動腕4b、第3駆動振動腕4c、第4駆動振動腕4d、第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bを有し、斜めに延出した第1駆動検出振動腕5a、第2駆動検出振動腕5b、第3駆動検出振動腕5cおよび第4駆動検出振動腕5dを有していないジャイロ素子において、検出信号電極9によって、Z軸まわりの角速度等を検出することはすでに知られていることである。
【0041】
また、第1駆動振動腕4aと同位相で振動する第1駆動検出振動腕5aは、第2駆動振動腕4bと同位相で振動する第2駆動検出振動腕5bと逆位相で振動する構成になっていて、第1駆動検出振動腕5aがX軸側へ屈曲すると、第2駆動検出振動腕5bもX軸側へ屈曲し、第1駆動検出振動腕5aがX軸から離反する側へ屈曲すると、第2駆動検出振動腕5bもX軸側から離反する側へ屈曲する。同様に、第3駆動振動腕4cと同位相で振動する第3駆動検出振動腕5cは、第4駆動振動腕4dと同位相で振動する第4駆動検出振動腕5dと逆位相で振動する構成になっている。なお、ジャイロ素子1による物理量検出の動作原理については、図8を参照して後述する。
【0042】
以上説明した実施形態1におけるジャイロ素子1(物理量検出素子)の主要な効果を述べる。ジャイロ素子1は、X軸に直交する第1駆動振動腕4a、第2駆動振動腕4b、第3駆動振動腕4c、第4駆動振動腕4d、第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bに加え、斜めに延出する第1駆動検出振動腕5a、第2駆動検出振動腕5b、第3駆動検出振動腕5cおよび第4駆動検出振動腕5dを有することにより、例えば、第1駆動振動腕4aに起因する、付け根10aでの応力が、第1駆動検出振動腕5aの励振に寄与し、第2駆動振動腕4bに起因する、付け根10aでの応力が、第2駆動検出振動腕5bの励振に寄与して、それぞれの結合性が高められる。また、付け根10bにおいても、同様に結合性が高められる。そのため、ジャイロ素子1は、振動エネルギーが基部2の方向へ漏れることを抑制してインピーダンスを下げることができ、よりQ値の高い振動片となっている。
【0043】
さらに、ジャイロ素子1は、付け根10a,10bにおける結合性が高いため、例えば、駆動回路により第1駆動振動腕4aおよび第2駆動振動腕4bの振動を励起すると、付け根10a,10bにおける第1駆動振動腕4aおよび第2駆動振動腕4bの応力が、第1駆動検出振動腕5aおよび第2駆動検出振動腕5bの励振に寄与しやすくなる。これは、第1駆動振動腕4aと第2駆動検出振動腕5bとが120度の角度をなし、第2駆動振動腕4bと第1駆動検出振動腕5aとが120度の角度をなしており、既述した水晶の結晶構造の観点からも結合性が高い、と言える。また、この場合、内角がそれぞれ120度である3本のX軸を有する六方晶の圧電性単結晶材、例えば、水晶z板を用いることにより、ジャイロ素子1のような腕構成の素子を、容易に形成することができる。そして、結合性の高い構成であるジャイロ素子1は、2方向の振動モードを得るのに1つの駆動回路でシステムを構成でき、小型化・低コスト化の面で、有利な構成を有している。
(実施形態2)
【0044】
次に、ジャイロ素子の他の形態について説明する。図2は、実施形態2におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。実施形態2におけるジャイロ素子20は、第1駆動検出振動腕11a、第2駆動検出振動腕11b、第3駆動検出振動腕11cおよび第4駆動検出振動腕11dの延出位置が、実施形態1におけるジャイロ素子1とは異なっている。一方、ジャイロ素子20の機能は、ジャイロ素子1とほぼ同様であり、従って、異なっている部分以外は、同符号を付与し、説明を省略する。
【0045】
図2に示すように、ジャイロ素子20は、実施形態1におけるジャイロ素子1と同様な基部2、第1連結部3a、第2連結部3b、第1駆動振動腕4a、第2駆動振動腕4b、第3駆動振動腕4c、第4駆動振動腕4d、第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bを有している。
【0046】
そして、ジャイロ素子20では、第1駆動検出振動腕11aが、第1駆動振動腕4aから斜めに延出し、延出位置は、付け根10aより距離sだけY(+)軸方向へ離れた位置である。また、第1駆動検出振動腕11aの延出方向は、実施形態1における第1駆動検出振動腕5aと同じで、X軸に対して30度の角度をなし、第1象限の方向である。同様に、第2駆動検出振動腕11bは、付け根10aより距離sだけY(−)軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第2駆動検出振動腕5bと同じ第4象限の方向であり、第3駆動検出振動腕11cは、付け根10bより距離sだけY(+)軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第3駆動検出振動腕5cと同じ第2象限の方向であり、第4駆動検出振動腕11dは、付け根10bより距離sだけY(−)軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第4駆動検出振動腕5dと同じ第3象限の方向である。
【0047】
このような構成のジャイロ素子20において、第1駆動検出振動腕11aおよび第2駆動検出振動腕11bは、基部2から延出した第1連結部3aをX(+)方向へそのまま延長した場合の延長線上には形成されていない。つまり、付け根10aの位置から延出しておらず、第1駆動検出振動腕11aおよび第2駆動検出振動腕11bは、第1駆動振動腕4aまたは第2駆動振動腕4bとの結合性を第1連結部3aから離間した状態で高めることができる。同様に、第3駆動検出振動腕11cおよび第4駆動検出振動腕11dも、第3駆動振動腕4cまたは第4駆動振動腕4dとの結合性を第2連結部3bから離間した状態で高めることができる。これにより、ジャイロ素子20は、第1駆動振動腕4a乃至第4駆動振動腕4dおよび第1駆動検出振動腕11a乃至第4駆動検出振動腕11dから第1連結部3aまたは第2連結部3bを介して基部2の方向への振動漏れを、ほぼ完璧に抑制することが可能である。
(実施形態3)
【0048】
次に、ジャイロ素子の他の形態について説明する。図3は、実施形態3におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。実施形態3におけるジャイロ素子30は、第1駆動検出振動腕12a、第2駆動検出振動腕12b、第3駆動検出振動腕12c、第4駆動検出振動腕12dの延出方向が、実施形態1におけるジャイロ素子1とは異なっている。一方、ジャイロ素子30の機能は、ジャイロ素子1とほぼ同様であり、従って、異なっている部分以外は、同符号を付与し、説明を省略する。
【0049】
図3に示すように、ジャイロ素子30は、実施形態1におけるジャイロ素子1と同様な基部2、第1連結部3a、第2連結部3b、第1駆動振動腕4a、第2駆動振動腕4b、第3駆動振動腕4c、第4駆動振動腕4d、第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bを有している。
【0050】
そして、ジャイロ素子30では、第1駆動検出振動腕12aが、第1連結部3aと第1駆動振動腕4aとの交点部である付け根10aから、X軸に対して30度の角度をなして、第2象限の方向、即ち実施形態1における第1駆動検出振動腕5aとは異なる方向、へ斜めに延出している。また、第2駆動検出振動腕12bは、付け根10aから、X軸に対して30度の角度をなして、第3象限の方向、即ち実施形態1における第2駆動検出振動腕5bとは異なる方向、へ斜めに延出し、第3駆動検出振動腕12cは、第2連結部3bと第3駆動振動腕4cとの交点部である付け根10bから、X軸に対して30度の角度をなして、第1象限の方向、即ち実施形態1における第3駆動検出振動腕5cとは異なる方向、へ斜めに延出し、第4駆動検出振動腕12dは、付け根10bから、X軸に対して30度の角度をなして、第4象限の方向、即ち実施形態1における第4駆動検出振動腕5dとは異なる方向、へ斜めに延出している。
【0051】
このような構成のジャイロ素子30において、第1駆動検出振動腕12a乃至第4駆動検出振動腕12dは、基部2の方向、即ち第1検出振動腕6aまたは第2検出振動腕6bの側である内部側方向、へ向けて斜めに延出している。この方向へ第1駆動検出振動腕12a乃至第4駆動検出振動腕12dが延出する構成であれば、実施形態1および2のように、外部側へ伸ばす場合に比べて、ジャイロ素子30を小型化することができる。
【0052】
以上、各種の振動腕構成を有するジャイロ素子1,20,30について説明した。次に、これらジャイロ素子1,20,30が有する信号電極について、説明する。信号電極は、振動腕を振動させるため、または物理量を検出するため、に振動腕に設けられている。図4(a)および図4(b)は、ジャイロ素子の電極構成を示す断面図である。
【0053】
図4(a)は、駆動振動腕4(第1駆動振動腕4a、第2駆動振動腕4b、第3駆動振動腕4c、第4駆動振動腕4d)に設けられた駆動信号電極7を示していて、駆動振動腕4をX軸と平行に切断した断面図である。駆動振動腕4の断面は、四角形(矩形状)をなしていて、それぞれの面に駆動信号電極7を有している。これら駆動信号電極7は、電気的に導通性を有する必要があり、この場合、Cr膜とAu膜との2層からなる金属膜であって、スパッタリング等の蒸着およびエッチング等により形成されている。
【0054】
駆動信号電極7は、X−Y平面と平行な2つの向かい合う電極が同電位で、他方の向かい合う2つの電極が同電位である2組の駆動信号電極7で構成され、一方の組の駆動信号電極7から他方の組の駆動信号電極7へ交番電流が印加される。交番電流の印加により電界が生じ、駆動振動腕4は、図1に示すように、X−Y平面内で振動することが可能なようになっている。
【0055】
なお、図示をしていないが、第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bには、駆動振動腕4の駆動信号電極7と同構成に形成された、検出信号電極9(図1)が設けられている。これら検出信号電極9は、既述したように、ジャイロ素子1に加えられたZ軸まわりの角速度等の物理量を検出する機能を果たす。
【0056】
そして、図4(b)は、駆動検出振動腕5(第1駆動検出振動腕5a、第2駆動検出振動腕5b、第3駆動検出振動腕5c、第4駆動検出振動腕5d)に設けられた駆動検出信号電極8を示していて、駆動検出振動腕5の延出方向に対して直角に切断した断面図である。駆動検出振動腕5の断面は、四角形(矩形状)をなしていて、それぞれの面に駆動検出信号電極8を有している。ここで、駆動検出信号電極8は、駆動信号電極8aと検出信号電極8bとからなっている。そして、駆動検出振動腕5におけるX−Y平面と平行な2つの面(平行面)には、両角部に駆動信号電極8aがそれぞれ設けられ、これら2つの駆動信号電極8aに挟まれた中央部に検出信号電極8bが対になって設けられている。また、他の2つの面(他面)には、駆動信号電極8aが別途設けられている。
【0057】
駆動検出振動腕5は、他面の駆動信号電極8aから平行面の駆動信号電極8aへ交番電流が印加されることにより、図1に示すように、X−Y平面内で振動することが可能なようになっている。駆動検出振動腕5は、駆動信号電極8aを有することにより、例えば、第1駆動検出振動腕5aが、付け根10aにおいて、第1駆動振動腕4aの応力によって励振することだけなく、駆動信号電極8aによっても振動するため、より振動振幅を大きくすることができる。そして、検出信号電極8bは、既述したように、ジャイロ素子1に加えられたX軸またはY軸まわりの角速度等の物理量を検出する機能を果たす。なお、ジャイロ素子20,30においても、第1駆動検出振動腕11a乃至第4駆動検出振動腕11dおよび第1駆動検出振動腕12a乃至第4駆動検出振動腕12dは、駆動検出振動腕5と同様な駆動検出信号電極8を有していている。
(実施形態4)
【0058】
次に、ジャイロ素子の他の形態について説明する。図5(a)は、実施形態4におけるジャイロ素子の駆動検出振動腕に設けられた溝部を示す断面図である。ここでのジャイロ素子40は、駆動検出振動腕13の断面形状のみが、ジャイロ素子1の駆動検出振動腕5と異なっている。なお、駆動検出振動腕13に設けられている信号電極は、駆動検出信号電極8(駆動信号電極8a、検出信号電極8b)として同番を付与してあり、角部は、駆動検出振動腕13の断面における外周4カ所の角位置の部分を指している。
【0059】
図5(a)に示すように、駆動検出振動腕13は、断面が四角形(矩形状)をなしていて、X−Y平面(図1)と平行な2つの面(平行面)と他の2つの面(他面)とを有し、平行面の一方に、溝部15を有している。この溝部15は、駆動検出振動腕13の延出方向に沿って、設けられている平行面の中央位置に設けられている。駆動検出振動腕13は、両他面の全面から溝部15が設けられている平行面の角部近傍までそれぞれ形成された領域と、溝部15から平行面の両角部近傍まで形成された領域と、からなる駆動信号電極8aを有している。また、駆動検出振動腕13の溝部15が設けられていない平行面は、その中央に対になって設けられている検出信号電極8bを有している。
【0060】
このような駆動検出振動腕13は、溝部15を有することにより、駆動信号電極8aの領域が広がって電界強度を高めることができる。これにより、駆動検出振動腕13は、駆動検出振動腕5,11,12に比べ、より振動振幅を大きくすることができ、検出信号電極8bによる物理量検出の精度を向上させる効果を奏することができる。
【0061】
そして、駆動検出振動腕13に設けられる溝部15は、図5(a)に示す形態の他に、以下のような形態も考えられる。図5(b)は、駆動検出振動腕に設けられた溝部の他の形態を示す断面図であり、図6(c)および(d)は、駆動検出振動腕に設けられた溝部の他の形態を示す断面図である。なお、図5(b)、図6(c)、図6(d)では、図5(a)と同じように、溝部15、駆動検出信号電極8(駆動信号電極8a、検出信号電極8b)を用いて表している。
【0062】
図5(b)に示すような駆動検出振動腕13は、X−Y平面(図1)と平行な2つの面(平行面)の両面に、それぞれ溝部15を有している。これら溝部15は、駆動検出振動腕13の延出方向に沿って、設けられている平行面の中央位置にそれぞれ設けられている。この場合、駆動信号電極8aは、一方の溝部15全域から両角部近傍の平行面まで形成された領域と、該両角部近傍における平行面から他面の一部にかけてそれぞれ形成された領域と、からなっている。また、検出信号電極8bは、もう一方の溝部15の断面半分から平行面の一部までの領域および該断面半分と対向する他面から角部近傍の平行面までの領域が対になって形成され、溝部15のもう一方の断面半分から平行面の一部までの領域および該もう一方の断面半分と対向する他面から角部近傍の平行面までの領域が対になって形成されている。
【0063】
また、図6(c)に示すような駆動検出振動腕13は、X−Y平面(図1)と平行な2つの面(平行面)の両面に、それぞれ2つの溝部15を有している。この場合、駆動信号電極8aは、一方の他面の全面から両角部近傍の平行面までの領域と、一方の他面と対向する2つの溝部15のそれぞれの断面半分の領域と、の3領域で形成された部分と、同様に、もう一方の他面ともう一方の他面に対向する2つの溝部15のそれぞれの断面半分の領域と、の3領域で形成された部分と、で構成されている。そして、検出信号電極8bは、一方の平行面側の2つの溝部15において、駆動信号電極8aが形成されておらず且つ対向する断面の部分に一対となって形成され、同様に、もう一方の平行面側の2つの溝部15にも一対となって形成され、都合2つの対になっている構成である。
【0064】
また、図6(d)に示すような駆動検出振動腕13は、X−Y平面(図1)と平行な2つの面(平行面)の両面に、それぞれ3つの溝部15を有している。この場合、駆動信号電極8aは、一方の他面の全面から両角部近傍の平行面までの領域と、一方の他面と対向する2つの溝部15のそれぞれの断面半分の領域と、の3領域で形成された部分と、同様に、もう一方の他面ともう一方の他面に対向する2つの溝部15のそれぞれの断面半分の領域と、の3領域で形成された部分と、で構成されている。そして、検出信号電極8bは、図6(c)における場合と同様に形成され、都合4つの対になっている。
【0065】
これら駆動検出振動腕13は、溝部15の増加にともなって、駆動検出振動腕13の表面積をより広げて電界強度を高めることができ、検出信号電極8bによる物理量検出の精度向上が図れる。
【0066】
次に、ジャイロ素子1,20,30,40のいずれかを用いて、角速度を検出するジャイロ装置(物理量検出装置)の構成について説明する。図7(a)は、ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す平面図である。また、図7(b)は、ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す断面図であり、図7(a)におけるE−E断面を示している。この場合、図7では、ジャイロ素子1を備えた場合のジャイロ装置100を示していて、図7(a)では、説明のために蓋体52を省略して示している。
【0067】
図7に示すように、ジャイロ装置100は、ジャイロ素子1と、ジャイロ素子1をリード60(60a,60b,60c,60d,60e,60f)を介して支持する支持基板58と、支持基板58を固定する固定基板である収容体51を有するセラミックパッケージ50と、IC(Integrated Circuit)チップ70と、収容体51内を気密に封止するための蓋体52とを備えている。セラミックパッケージ50に収容されているICチップ70は、セラミックパッケージ50のボンディングパッド57に金線などの金属ワイヤ71によって接続されている。このICチップ70には、駆動信号を供給してジャイロ素子1を励振させる駆動回路70aと、角速度等の物理量を検出する検出回路70bと、が含まれている。
【0068】
また、セラミックパッケージ50における収容体51には棚部54が形成され、その面に接続端子55が形成されている。棚部54には、支持基板58が接着固定されていて、この接着固定には導電性接着剤59が用いられている。そして、セラミックパッケージ50の外周部には外部接続端子56が形成され、外部接続端子56と接続端子55およびボンディングパッド57の一部とが導通する構成となっている。また、支持基板58にはリード60(60a,60b,60c,60d,60e,60f)が設けられ、リード60a,60b,60c,60dの先端は、ジャイロ素子1の基部2に形成された、検出電極パッド61の対応するパッドにそれぞれ接合され、リード60e,60fの先端は、ジャイロ素子1の基部2に形成された駆動電極パッド62の、対応するパッドにそれぞれ接合されている。これらリード60により、ジャイロ素子1は他部品と接触しないように空中に支持されている。なお、検出電極パッド61は、検出振動の検出のためのものであり、駆動電極パッド62は、駆動振動を励振させるためのものである。このような構成のセラミックパッケージ50は、収容体51にシームリング53が固着され、シームリング53に蓋体52をシーム溶接することで、セラミックパッケージ50内が減圧された状態で封止されている。なお、セラミックパッケージ50内は、減圧状態ではなく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが封入された状態でも良い。
【0069】
ここで、支持基板58は、TAB(Tape Automated Bonding)実装用の基板を用いていて、ポリイミドフィルム等の基材に銅箔等の金属箔により形成された導体パターンを有している。支持基板58の中央部は、開口となっていて、この開口には導体パターンであるリード60が延出している。リード60の検出電極パッド61または駆動電極パッド62と反対側の先端は、セラミックパッケージ50の接続端子55と接続されている。このジャイロ装置100は、例えば、以下に説明する電子機器等に搭載されて、優れたジャイロ機能を発揮する。なお、ジャイロ装置としては、ジャイロ素子1を備えた構成の他、ジャイロ素子20,30,40のいずれかを備えたものも、ほぼ同様に優れたジャイロ機能を発揮する。
【0070】
次に、実施形態1〜4におけるジャイロ素子1,20,30,40の動作原理について説明する。ここでの動作原理の説明は、ジャイロ素子1の場合を代表例にして行ない、既知のZ軸に係る角速度(物理量)の検出を省き、X軸、Y軸に係る角速度(物理量)の検出について説明する、。図8(a)は、ジャイロ素子におけるX軸まわりの角速度の検出を示す平面図であり、図8(b)は、ジャイロ素子におけるY軸まわりの角速度の検出を示す平面図である。
【0071】
まず、図8(a)を参照して、X軸まわりの角速度の検出について説明する。ジャイロ素子1の第1駆動振動腕4aおよび第1駆動検出振動腕5aは、第2駆動振動腕4bおよび第2駆動検出振動腕5bと、既述したように、互いに逆相で振動をしている。同様に、第3駆動振動腕4cおよび第3駆動検出振動腕5cは、第4駆動振動腕4dおよび第4駆動検出振動腕5dと、互いに逆相で振動をしている。この状態で、ジャイロ素子1をX軸のまわりに回転させると、第1駆動検出振動腕5aおよび第3駆動検出振動腕5cには、Z軸方向のコリオリ力が働き、Z軸方向に検出振動をする。また、第2駆動検出振動腕5bおよび第4駆動検出振動腕5dには、第1駆動検出振動腕5aおよび第3駆動検出振動腕5cと反対方向のZ軸方向にコリオリ力が働き、Z軸方向に検出振動をする。即ち、第1駆動検出振動腕5aおよび第3駆動検出振動腕5cと、第2駆動検出振動腕5bおよび第4駆動検出振動腕5dとは、互いに異なる位相で検出振動をすることになる。ジャイロ素子1では、第1駆動検出振動腕5aおよび第3駆動検出振動腕5cのそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、さらに、第2駆動検出振動腕5bおよび第4駆動検出振動腕5dのそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、それらの和を差動させることにより、コリオリ力の大きさを知得できる。つまり、ジャイロ素子1に加えられたX軸まわりの角速度(物理量)の大きさを認識することができる。
【0072】
次に、図8(b)を参照して、Y軸まわりの角速度の検出について説明する。ジャイロ素子1が振動をしている状態で、ジャイロ素子1をY軸のまわりに回転させると、第1駆動検出振動腕5aおよび第2駆動検出振動腕5bには、Z軸方向のコリオリ力が働き、Z軸方向の検出振動が発生し、第3駆動検出振動腕5cおよび第4駆動検出振動腕5dには、第1駆動検出振動腕5aおよび第2駆動検出振動腕5bと反対方向のZ軸方向にコリオリ力が働き、Z軸方向の検出振動が発生する。即ち、第1駆動検出振動腕5aおよび第2駆動検出振動腕5bと、第3駆動検出振動腕5cおよび第4駆動検出振動腕5dとは、互いに異なる位相で検出振動をすることになる。ジャイロ素子1では、第1駆動検出振動腕5aおよび第2駆動検出振動腕5bのそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、さらに、第3駆動検出振動腕5cおよび第4駆動検出振動腕5dのそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、それらの和を差動させることにより、コリオリ力の大きさを知得できる。つまり、ジャイロ素子1に加えられたY軸まわりの角速度(物理量)の大きさを認識することができる。以上では、ジャイロ素子1を例にして動作原理を説明したが、ジャイロ素子20,30,40においても、同様な動作原理で角速度の検出が可能である。このようなジャイロ素子1,20,30,40は、ジャイロ装置に搭載されて、優れたジャイロ機能を発揮する。
【0073】
次に、ジャイロ素子1,20,30,40のいずれかを用いた構成の電子機器について説明する。図9は、光軸に対し平行に配置されたジャイロ素子を備えたスチールカメラを示す斜視図である。スチールカメラ200は、この場合、カメラ本体201に対して交換レンズ202を装着して使用されるものであり、交換レンズ202には、その内部に不図示の撮影光学系が含まれている。ここでは、この撮影光学系のレンズ光軸204をX軸として、Y軸方向が水平方向である座標軸を設けて説明する。スチールカメラ200の交換レンズ202は、基板203を有していて、この基板203は、回路配線が多層に構成された硬質基板であり、基板面は、略長方形となっている。なお、図9では、説明の便宜上、基板203等が外観上において見える形態で示しているが、実際の基板203は、交換レンズ202の内部に収納されている。基板203は、交換レンズ202がカメラ本体201に装着された状態で、カメラ本体201を、この場合水平面であるX−Y面上に配置した姿勢のときに、基板203の基板面がレンズ光軸204でもあるX軸に沿い、且つ、Y軸に平行となるように実装されている。
【0074】
一般に、スチールカメラの場合、レンズの光軸と垂直な軸回りに手振れが生じたときには、画像に大きく影響するが、光軸の回りの手振れは、光軸と垂直な軸回りの手振れに比べて、画像への影響が少ない。そこで、従来では、Y軸およびZ軸の2軸まわりの角速度を検出可能なジャイロ素子を用いて、手振れの補正を行っていた。そのため、X軸まわりの角速度も検出するには、もう1つのジャイロ素子を追加した構成が必要であった。
【0075】
これに対して、スチールカメラ200は、3軸まわりの角速度を検出できるジャイロ素子1を、基板203と平行に配置した状態で備え、さらに、ジャイロ素子1を制御する駆動回路70aおよび検出回路70bを有するICチップ70を備えている。このジャイロ素子1は、基板203の実装された座標配置と同じ配置になっていて、これにより、スチールカメラ200は、1つのジャイロ素子1だけで3軸の角速度を検出して、手振れをほぼ完璧に補正できると共に、ジャイロ素子1が基板203と平行であるため、設置スペースを最小限にすることができる。また、第1−第4駆動振動腕4a−4dの振動方向が、交換レンズ202のレンズ光軸204と平行なため、スチールカメラ200にY軸方向またはZ軸方向の加速度が加わっても、第1−第4駆動振動腕4a−4dの振動が該加速度の影響を受けにくく、振動が安定する。なお、基板203へ設けたジャイロ素子1は、ジャイロ素子20,30,40であっても、ジャイロ素子1と同様な効果が得られる。
【0076】
また、図10(a)は、ジャイロ素子を備えたビデオカメラを示す斜視図であり、図10(b)は、ジャイロ素子を備えた携帯電話を示す斜視図である。まず、図10(a)に示すように、ビデオカメラ300は、受像部301と、操作部302と、音声入力部303と、表示ユニット304と、を備えている。このビデオカメラ300は、ジャイロ素子1と、ジャイロ素子1を制御する駆動回路70aおよび検出回路70bを有するICチップ70と、を備えており、X軸、Y軸およびZ軸の3軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができ、鮮明な動画映像を記録することができる。この場合、ジャイロ素子1は、ジャイロ装置100の形態であることが好ましい。同様に、ビデオカメラ300がジャイロ素子20,30,40を備えている場合も、X軸、Y軸およびZ軸の3軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができる。
【0077】
また、図10(b)に示すように、携帯電話機400は、複数の操作ボタン401と、表示ユニット402と、カメラ機構403と、シャッターボタン404と、を備えている。この携帯電話機400は、ジャイロ素子1と、ジャイロ素子1を制御する駆動回路70aおよび検出回路70bを有するICチップ70と、を備えており、X軸、Y軸およびZ軸の3軸まわりの角速度を検出して、カメラ機構403が手ぶれ補正機能を発揮することができ、鮮明な画像を記録することができる。この場合、ジャイロ素子1は、ジャイロ装置100の形態であることが好ましい。同様に、携帯電話機400がジャイロ素子20,30,40を備えている場合も、X軸、Y軸およびZ軸の3軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができる。
【0078】
なお、電子機器としてはスチールカメラ200、ビデオカメラ300や携帯電話機400に限定されず、ナビゲーション装置、車体姿勢検出装置、ゲームコントローラー、ヘッドマウンテンディスプレイ、ポインティングデバイス、掃除ロボット等が挙げられる。
【0079】
また、ジャイロ素子1,20,30,40は、上記の実施形態に限定されるものではなく、次に挙げる変形例のような形態であっても、実施形態と同様な効果が得られる。
【0080】
(変形例1)ジャイロ素子1において、駆動検出振動腕5(第1駆動検出振動腕5a、第2駆動検出振動腕5b、第3駆動検出振動腕5c、第4駆動検出振動腕5d)は、駆動信号電極8aおよび検出信号電極8bを有しているが、この構成に限定されることなく、検出信号電極9のみを有する第1検出振動腕6aおよび第2検出振動腕6bと同じように、検出信号電極8bのみを有する構成であっても良い。なお、ジャイロ素子20,30,40においても同様な構成が可能である。
【0081】
(変形例2)ジャイロ素子1において、駆動検出振動腕5は、X軸に対して30度の角度をなして延出しているが、30度の角度に限定されることなく、他の角度であっても良い。特に、X軸に対する角度が45度であれば、駆動検出振動腕5におけるX軸方向とY軸方向との駆動成分が同じであるため、X軸まわりおよびY軸まわりの検出信号の振幅をほぼ同じにでき、角速度等の物理量の検出が容易になる。この構成は、ジャイロ素子20,30,40においても可能である。
【0082】
(変形例3)ジャイロ素子30において、第1駆動検出振動腕12a乃至第4駆動検出振動腕12dは、ジャイロ素子20の第1駆動検出振動腕11a乃至第4駆動検出振動腕11dのように、付け根10a,10bから距離sだけ離れた位置から延出する構成であっても良い。
【0083】
(変形例4)ジャイロ素子40において、駆動検出振動腕13にのみ溝部15が形成されているが、他の第1駆動振動腕4a、第2駆動振動腕4b、第3駆動振動腕4c、第4駆動振動腕4dにも溝部15を形成しても良い。なお、ジャイロ素子1,20,30においても同様な構成が可能である。
【0084】
(変形例5)ジャイロ素子1,20,30,40は、圧電性材である水晶から形成されているが、水晶に限定されることなく、水晶以外のニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン鉛(PZT)等を用いても良い。更に、ジャイロ素子1,20,30,40は、圧電性材に限定されるものではなく、シリコンやゲルマニウムなどの非圧電性材料であっても良く、この場合、励振電極には圧電性材を組み合わせて振動可能な構成にしておく。これにより、ジャイロ素子1,20,30,40において、要求特性や用途等に応じて、適切な材料を選ぶことができ選択肢が拡大する。
【符号の説明】
【0085】
1…物理量検出素子としてのジャイロ素子、2…基部、3a…第1連結部、3b…第1連結部、4…駆動振動腕、4a…第1駆動振動腕、4b…第2駆動振動腕、4c…第3駆動振動腕、4d…第4駆動振動腕、5…駆動検出振動腕、5a…第1駆動検出振動腕、5b…第2駆動検出振動腕、5c…第3駆動検出振動腕、5d…第4駆動検出振動腕、6a…第1検出振動腕、6b…第2検出振動腕、7…駆動信号電極、8…駆動検出信号電極、8a…駆動信号電極、8b…検出信号電極、9…検出信号電極、10a…付け根、10b…付け根、11…駆動検出振動腕、12…駆動検出振動腕、13…駆動検出振動腕、15…溝部、20…物理量検出素子としてのジャイロ素子、30…物理量検出素子としてのジャイロ素子、40…物理量検出素子としてのジャイロ素子、70…ICチップ、70a…駆動回路、70b…検出回路、100…物理量検出装置としてのジャイロ装置、200…電子機器としてのスチールカメラ、300…電子機器としてのビデオカメラ、400…電子機器としての携帯電話。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部の重心位置である原点を通るX軸と、前記原点を通り、前記X軸と直交するY軸と、を有する座標軸を定義し、
X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限と、定義したとき、
前記基部と連結し、前記X軸に沿って、前記基部の両側に設けられている第1連結部および第2連結部と、
前記第1連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1駆動振動腕および第2駆動振動腕と、
前記第2連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第3駆動振動腕および第4駆動振動腕と、
前記第1駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第1駆動検出振動腕と、
前記第2駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第2駆動検出振動腕と、
前記第3駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第3駆動検出振動腕と、
前記第4駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第4駆動検出振動腕と、を備えている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項2】
基部と、
前記基部の重心位置である原点を通るX軸と、前記原点を通り、前記X軸と直交するY軸と、を有する座標軸を定義し、
X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限と、定義したとき、
前記基部と連結し、前記X軸に沿って、前記基部の両側に設けられている第1連結部および第2連結部と、
前記第1連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1駆動振動腕および第2駆動振動腕と、
前記第2連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第3駆動振動腕および第4駆動振動腕と、
前記第1駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第1駆動検出振動腕と、
前記第2駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第2駆動検出振動腕と、
前記第3駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第3駆動検出振動腕と、
前記第4駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第4駆動検出振動腕と、を備えている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の物理量検出素子において、
前記基部から前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1検出振動腕および第2検出振動腕と、を備えている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第1駆動振動腕乃至前記第4駆動振動腕は、振動を励起するための駆動信号電極を有し、
前記第1駆動検出振動腕乃至前記第4駆動検出振動腕は、振動を励起するための駆動信号電極と、物理量を検出するための検出信号電極と、を有している、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第1駆動検出振動腕および前記第2駆動検出振動腕は、前記第1連結部の延長線上を避けた位置から延出し、
前記第3駆動検出振動腕および前記第4駆動検出振動腕は、前記第2連結部の延長線上を避けた位置から延出している、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第1駆動検出振動腕は、前記第1駆動振動腕と同位相で振動し、前記第2駆動検出振動腕は、前記第1駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第2駆動振動腕と同位相で振動し、前記第3駆動検出振動腕は、前記第3駆動振動腕と同位相で振動し、前記第4駆動検出振動腕は、前記第3駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第4駆動振動腕と同位相で振動する、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第1駆動検出振動腕乃至前記第4駆動検出振動腕は、溝部を有している、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
六方晶の結晶構造を有する圧電性材で形成されている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の物理量検出素子と、
少なくとも前記第1駆動振動腕乃至前記第4駆動振動腕へ駆動信号を供給する駆動回路と、
少なくとも前記第1駆動検出振動腕乃至第4駆動検出振動腕の検出信号から物理量を検出する検出回路と、を備える、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の物理量検出装置において、
前記検出回路は、前記第1駆動検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第3駆動検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第2駆動検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4駆動検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量を検出する、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項11】
請求項9に記載の物理量検出装置において、
前記検出回路は、前記第1駆動検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第2駆動検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第3駆動検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4駆動検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量を検出する、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の物理量検出素子を備えている、ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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