説明

物理量検出素子、物理量検出装置および電子機器

【課題】複数の振動腕を音響結合させて、1つの発振回路でそれぞれの振動腕の振動を励起でき、物理量検出の感度向上が図れる物理量検出素子を提供する。
【解決手段】ジャイロ素子(物理量検出素子)1は、基部2と、基部2からX軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出した第1連結部31および第2連結部32と、駆動信号電極7を有する駆動振動腕4と、検出信号電極8を有する検出振動腕5と、を備え、駆動振動腕4は、第1連結部31の付け根6aまたは第2連結部32の付け根6bからY軸に沿った方向またはX軸に対して斜め方向へ延出した、第1駆動振動腕41乃至第8駆動振動腕48を有し、検出振動腕5は、基部2からY軸に沿った方向またはX軸に対して斜め方向へ延出した、第1検出振動腕51乃至第8検出振動腕58を有している、ことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角速度等の物理量を検出することが可能な物理量検出素子と、この物理量検出素子を備えている物理量検出装置および電子機器と、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物理量検出素子として、例えば特許文献1には、基部と、基部からX軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出した支持部と、支持部の各先端において、Y軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出した駆動アームと、基部からY軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出したY軸用検出振動アームと、同じく、基部からY軸方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出したZ軸用検出振動アームと、を備えた振動子が開示されている。この振動子によれば、Z軸まわりの回転角速度に起因するY軸用検出振動アームの寄生振動を抑制し、回転角速度の測定値の誤差を減少させることが可能である。
【0003】
また、例えば特許文献2に開示されているような慣性センサー素子(物理量検出素子)もある。この慣性センサー素子は、複数本の脚部を有する振動部を有し、振動部が、基部から第1の方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出していると共に、さらに、基部から第1の方向と直交する第2の方向に沿って互いに反対方向にそれぞれ延出している、簡易な構成である。第1の方向に沿う振動部は、一方に励振電極が設けられ、他方には、検出電極が設けられていて、第1の方向まわりの回転角速度(物理量)を検出することが可能である。同様に、第2の方向に沿う振動部は、第2の方向まわりの回転角速度を検出することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−108053号公報
【特許文献2】特開2006−267094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1および特許文献2において、これら振動子および慣性センサー素子は、駆動アームおよび励振電極を有する振動部が基部から別々に伸びている構成のため、各々の振動モードの音響結合が弱く、1つの駆動回路で双方の振動を励起することが難しい、という課題を有していた。この対策として、2つの駆動回路で励起する構成が考えられるが、この構成では、回路構成部の面積が大きくなってしまい、振動子または慣性センサー素子を備えた装置の小型化が困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の適用例または形態として実現することが可能である。
【0007】
[適用例1]本適用例に係る物理量検出素子は、基部と、前記基部の重心位置である原点を通るX軸と、前記原点を通り、前記X軸と直交するY軸と、を有する座標軸を定義し、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限、と定義した場合、前記基部と連結し、前記X軸に沿って、前記基部の両側に設けられている第1連結部および第2連結部と、前記第1連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1駆動振動腕および第2駆動振動腕と、前記第2連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第3駆動振動腕および第4駆動振動腕と、前記第1駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第5駆動振動腕と、前記第2駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第6駆動振動腕と、前記第3駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第7駆動振動腕と、前記第4駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第8駆動振動腕と、前記基部の第1象限側から、プラスY軸方向へ延出している第1検出振動腕と、前記基部の第4象限側から、マイナスY軸方向へ延出している第2検出振動腕と、前記基部の第2象限側から、プラスY軸方向へ延出している第3検出振動腕と、前記基部の第3象限側から、マイナスY軸方向へ延出している第4検出振動腕と、前記基部の第1象限側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第5検出振動腕と、前記基部の第4象限側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第6検出振動腕と、前記基部の第2象限側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第7検出振動腕と、前記基部の第3象限側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第8検出振動腕と、を備えている、ことを特徴とする。
【0008】
本適用例の物理量検出素子によれば、第1駆動振動腕における第1連結部側での応力は、第5駆動振動腕の励振に寄与し、第2駆動振動腕における第1連結部側での応力は、第6駆動振動腕の励振に寄与して、それぞれの付け根である第1連結部側での音響結合性が高められる。そのため、第1駆動振動腕および第2駆動振動腕並びに第5駆動振動腕および第6駆動振動腕から第1連結部へ振動が伝わる、いわゆる振動漏れを抑制することが可能である。同様に、第3駆動振動腕、第4駆動振動腕、第7駆動振動腕、第8駆動振動腕におけるそれぞれの第2連結部側においても、振動漏れを抑制することが可能である。これにより、物理量検出素子は、振動漏れの抑制により、物理量検出素子としてのインピーダンスが下がり、Q値を高くすることが可能である。また、物理量検出素子は、駆動振動腕(第1駆動振動腕乃至第8駆動振動腕)それぞれの固有共振周波数を合わせて音響結合を高める、というような調整が不要であり、加えて、付け根における音響結合性が高いことにより、1つの発振回路で2つの駆動モードを励起することが可能となる。さらに、駆動振動腕と検出振動腕(第1検出振動腕乃至第8検出振動腕)とを個別に設定することにより、駆動振動腕には駆動用の電極のみを配線すればよく、検出振動腕には検出用の電極のみを配線すればよいため、電極のスペースを大きくとることができ、物理量検出の感度を向上させることが可能である。また、駆動振動腕と検出振動腕とが基部からそれぞれ個別に延出していることにより、駆動振動腕の駆動信号が検出振動腕の検出信号に静電的にのってしまう、いわゆる静電漏れを抑制することが可能である。このような物理量検出素子は、第1検出振動腕乃至第4検出振動腕でY軸まわりの角速度等の物理量を検出でき、第5検出振動腕乃至第8検出振動腕でX軸まわりの角速度等の物理量を検出でき、単体で2軸まわりの物理量を検出することが可能である。
【0009】
[適用例2]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第1検出振動腕乃至前記第4検出振動腕は、前記基部の前記Y軸寄りの側から延出している、ことが好ましい。
【0010】
この構成によれば、第1検出振動腕乃至第4検出振動腕は、Y軸に沿って延出し、その延出の起点が基部におけるY軸により近い位置、即ちY軸寄りの側であり、基部からX軸に対して斜め方向に延出している第5検出振動腕乃至第8検出振動腕のいずれかから離反するように位置している。これにより、第1検出振動腕乃至第4検出振動腕は、第5検出振動腕乃至第8検出振動腕へ対する振動の影響を抑制可能な配置となっている。そのため、物理量検出素子は、いわゆる他軸感度を下げることができ、物理量を確実に検出することが可能である。
【0011】
[適用例3]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第5検出振動腕乃至前記第8検出振動腕は、前記基部の前記X軸寄りの側から延出している、ことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、第5検出振動腕乃至第8検出振動腕は、X軸に対して斜めに延出し、その延出の起点が基部のX軸により近い位置、即ちX軸寄りの側であり、基部からY軸に沿って延出している第1検出振動腕乃至第4検出振動腕のいずれかから離反するように位置している。これにより、第5検出振動腕乃至第8検出振動腕は、第1検出振動腕乃至第4検出振動腕へ対する振動の影響を抑制可能な配置となっている。そのため、物理量検出素子は、いわゆる他軸感度をより下げることができ、物理量を確実に検出することが可能である。
【0013】
[適用例4]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第1駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕は、駆動信号電極を備え、前記第1検出振動腕乃至前記第8検出振動腕は、検出信号電極を備えている、ことが好ましい。
【0014】
この構成によれば、駆動振動腕(第1駆動振動腕乃至第8駆動振動腕)は、駆動信号電極を備えて駆動振動をするための構成であり、検出振動腕(第1検出振動腕乃至第8検出振動腕)は、検出信号電極を備えていて、物理量検出素子におけるX軸およびY軸まわりの角速度等の物理量を検出するための構成となっている。即ち、駆動振動腕と検出振動腕とは、駆動または検出をするための専用の腕であり、それぞれ不要なノイズ等を含まない振動をすることが可能である。これにより、物理量検出素子は、物理量をより確実に検出することが可能である。
【0015】
[適用例5]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記基部の中央から前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第9検出振動腕および第10検出振動腕を備えている、ことが好ましい。
【0016】
この構成によれば、物理量検出素子は、第9検出振動腕および第10検出振動腕をさらに備えていて、これら第9検出振動腕と第10検出振動腕とは、基部の中央からY軸に沿った状態で、互いに反対方向へそれぞれ延出している。これにより、物理量検出素子は、X軸およびY軸まわりの角速度等の物理量を検出することに加え、Z軸まわりの物理量を検出することが可能となり、単体で同時に3軸の物理量を検出することが可能である。
【0017】
[適用例6]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第5駆動振動腕および前記第6駆動振動腕は、前記第1連結部の延長線上を避けた位置から延出し、前記第7駆動振動腕および前記第8駆動振動腕は、前記第2連結部の延長線上を避けた位置から延出している、ことが好ましい。
【0018】
この構成によれば、第5駆動振動腕および第6駆動振動腕は、基部から延出している第1連結部をそのまま延長した延長線上には形成されていない。つまり、第5駆動振動腕および第6駆動振動腕は、第1駆動振動腕または第2駆動振動腕から分岐して延出し、この分岐点が該延長線上を避けた位置となっている。これにより、第5駆動振動腕および第6駆動振動腕は、第1駆動振動腕または第2駆動振動腕との音響結合性を第1連結部から離れた位置で高めることが可能である。また、第7駆動振動腕および第8駆動振動腕も、同様に、第3駆動振動腕または第4駆動振動腕における該延長線上を避けた位置から延出していて、第3駆動振動腕または第4駆動振動腕との音響結合性を第2連結部から離れた位置で高めることが可能である。従って、物理量検出素子は、第1駆動振動腕乃至第8駆動振動腕から基部方向への振動漏れを、より一層確実に抑制すると共に振動の振幅を増大することが可能である。
【0019】
[適用例7]上記適用例に記載の物理量検出素子において、前記第5駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕と同位相で振動し、前記第6駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第2駆動振動腕と同位相で振動し、前記第7駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第3駆動振動腕と同位相で振動し、前記第8駆動振動腕は、前記第3駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第4駆動振動腕と同位相で振動する、ことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、物理量検出素子は、第1駆動振動腕および第5駆動振動腕と、第2駆動振動腕および第6駆動振動腕と、がX軸に対して互いに逆位相で振動し、第1駆動振動腕とは逆位相で振動する第3駆動振動腕および第7駆動振動腕と、第4駆動振動腕および第8駆動振動腕と、がX軸に対して互いに逆位相で振動する。これにより、物理量検出素子は、バランスの良好な駆動振動を励振することができ、不要な振動ノイズ等が発生し難い構成となっている。
【0021】
[適用例8]上記適用例に記載の物理量検出素子は、六方晶の結晶構造を有する圧電性材を用いている、ことが好ましい。
【0022】
この構成によれば、六方晶の圧電性材は、例えば、水晶のように、機械軸、電気軸および光軸を有し、印加された駆動信号により正確に振動し、且つ、加えられた力に応じて屈曲して検出信号を発生する。物理量検出素子の形成に、このような圧電性材を用いれば、角速度等の物理量の検出を精度良く行なうことが可能である。また、物理量検出素子における好ましい一例として、第1駆動振動腕と第6駆動振動腕、第2駆動振動腕と第5駆動振動腕、第3駆動振動腕と第8駆動振動腕、および第4駆動振動腕と第7駆動振動腕、のそれぞれが120度の角度をなす構成が考えられる。この場合、六方晶の圧電性材は内角がそれぞれ120度である3本の電気軸(X軸)を有していることにより、該一例である物理量検出素子のような腕構成であっても、容易に形成することが可能である。さらに、該一例である構成例を含む物理量検出素子は、付け根における結合性が高いため、駆動振動腕の振動が励起されると、対応する駆動振動腕の励振に、より寄与しやすくなる。このような音響結合性の高い構成である物理量検出素子は、例えば、2方向の振動モードを得るのに1つの駆動回路でシステムを構成することが可能であり、小型化・低コスト化の面で、より有利である。
【0023】
[適用例9]本適用例の物理量検出装置は、前記第1駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕へ駆動信号を供給する駆動回路と、少なくとも前記第1検出振動腕乃至前記第8検出振動腕からの物理量検出信号を検出する検出回路と、を備える、ことを特徴とする。
【0024】
この物理量検出装置によれば、振動漏れを抑制することが可能な物理量検出素子を有し、さらに、駆動回路および検出回路によって物理量検出素子を制御することにより、角速度等をはじめとした物理量の検出精度を、大きく向上させることが可能である。この場合、本適用例のような構成の物理量検出装置であれば、複数の腕を有していても、一つの駆動回路で振動を励起することが可能であり、装置の小型化も図れる。
【0025】
[適用例10]上記適用例に記載の物理量検出装置において、前記検出回路は、前記第1検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第2検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第3検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量検出信号を検出する、ことが好ましい。
【0026】
この構成によれば、第1検出振動腕および第2検出振動腕による検出信号と、第3検出振動腕および第4検出振動腕による検出信号と、のそれぞれの和の差動をとる、いわゆる差動検出方式を用いることにより、この場合、Y軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。
【0027】
[適用例11]上記適用例に記載の物理量検出装置において、前記検出回路は、前記第5検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第7検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第6検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第8検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量検出信号を検出する、ことが好ましい。
【0028】
この構成によれば、第5検出振動腕および第7検出振動腕による検出信号と、第6検出振動腕および第8検出振動腕による検出信号と、のそれぞれの和の差動をとる、いわゆる差動検出方式を用いることにより、この場合、X軸まわりの角速度等の物理量を検出することが可能である。
【0029】
[適用例12]本適用例に記載の電子機器は、上記適用例に記載の物理量検出素子を備えている、ことを特徴とする。
【0030】
この電子機器によれば、駆動振動腕と検出振動腕とを個別に設定すると共に振動漏れを抑制して物理量の検出精度を向上することが可能な、物理量検出素子を備えていることにより、高精度なセンサー機能を発揮することができ、電子機器としての性能向上を図ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態1におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図2】実施形態2におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図3】実施形態3におけるジャイロ素子の構成を示す平面図。
【図4】(a)ジャイロ素子におけるY軸まわりの角速度の検出を示す平面図、(b)ジャイロ素子におけるX軸まわりの角速度の検出を示す平面図、(c)ジャイロ素子におけるZ軸まわりの角速度の検出を示す平面図。
【図5】(a)ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す平面図、(b)ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す断面図。
【図6】(a)ジャイロ素子を備えたデジタルビデオカメラを示す斜視図、(b)ジャイロ素子を備えた携帯電話を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の物理量検出素子について、添付図面を参照して説明する。ここでは、好適な一例として、振動特性の良好な圧電性材である水晶を素材とする、ジャイロ素子(物理量検出素子)について述べる。
【0033】
最初に、ジャイロ素子の素材である水晶について説明する。物理量検出素子としてのジャイロ素子は、六角柱をなす水晶柱から切り出され、この水晶柱は、柱の長手方向に光軸であるz軸と、z軸に垂直な電気軸であるx軸および機械軸であるy軸とを有していて、いわゆる六方晶の性質を有している。ここでx軸は、z軸に垂直な六角形面であるx−y面において、それぞれ内角が120度の等角度で3本あって、これらのx軸で形成される各面内では、エッチング方向によるエッチング速さ等が同じである、という性質を有している。このような水晶柱において、ジャイロ素子は、x−y平面を、x軸とy軸との交点(座標原点)からみてx軸まわりに角度5度傾けた平面に沿う、水晶z板から切り出されたものである。即ち、水晶柱から切り出されたジャイロ素子の座標軸は、x(請求項におけるX軸),y’(請求項におけるY軸),z’(請求項におけるZ軸)となる。
【0034】
一般に、物理量検出素子では、測定感度を良好にするために、駆動の振動モードの固有共振周波数と検出の振動モードの固有共振周波数との間に、一定の振動周波数差を保つことが要求されている。しかし、圧電性材の水晶は異方性を持っており、結晶面が変化すると、振動周波数の温度変化等の度合いが異なってしまう。これに対し、ジャイロ素子は、水晶の最も温度特性等の良い結晶面のみ、例えば水晶z板、を利用して、各振動腕の全体を所定面内で振動するようにしている。これによって、極めて安定性の高い振動をするジャイロ素子を提供することができる。以下では、まず、ジャイロ素子の形状に係る実施形態について説明する。
(実施形態1)
【0035】
図1は、実施形態1におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。図1に示すように、ジャイロ素子(物理量検出素子)1は、基部2の重心(この場合基部2の中央位置)を原点とするX,Y,Z座標において、X−Y平面に沿って腕等が延出する形態をなしている。なお、このX,Y,Z座標は、原点を通るX軸と、原点を通りX軸と直交するY軸と、原点を通りX軸およびY軸と直交するZ軸と、を有する座標軸である。また、この座標軸において、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限、と定義する。そして、ここでいうX軸,Y軸,Z軸は、請求項におけるX軸,Y軸,Z軸に該当する。
【0036】
ジャイロ素子1は、座標軸の原点を中心とする四角形状の基部2と、基部2の両側に設けれている連結部3の一方であり、基部2からプラスX軸方向へ延出している第1連結部31と、第1連結部31の先端から、X軸に対して直角をなしてプラスY軸方向へ延出し駆動振動腕4の1つである第1駆動振動腕41と、第1連結部31の先端から、X軸に対して直角をなしてマイナスY軸方向へ延出している第2駆動振動腕42と、を有し、さらに、基部2から、第1連結部31と反対方向であるマイナスX軸方向へ、延出している第2連結部32と、第2連結部32の先端から、X軸に対して直角をなしてプラスY軸方向へ延出している第3駆動振動腕43と、第2連結部32の先端から、X軸に対して直角をなしてマイナスY軸方向へ延出している第4駆動振動腕44と、を有している。
【0037】
また、ジャイロ素子1は、駆動振動腕4として、第1駆動振動腕41乃至第4駆動振動腕44に加え、第1連結部31と第1駆動振動腕41との交点部である付け根6aから、X軸に対して30度の角度で、第1象限の方向へ斜めに延出している第5駆動振動腕45と、第1連結部31と第2駆動振動腕42との交点部でもある付け根6aから、X軸に対して30度の角度で、第4象限の方向へ斜めに延出している第6駆動振動腕46と、第2連結部32と第3駆動振動腕43との交点部である付け根6bから、X軸に対して30度の角度で、第2象限の方向へ斜めに延出している第7駆動振動腕47と、第2連結部32と第4駆動振動腕44との交点部でもある付け根6bから、X軸に対して30度の角度で、第3象限の方向へ斜めに延出している第8駆動振動腕48と、を有している。
【0038】
そして、ジャイロ素子1は、四角形状をなす基部2の第1象限側の角部から、プラスY軸方向へ延出し検出振動腕5の1つである第1検出振動腕51と、基部2の第4象限側の角部から、マイナスY軸方向へ延出している第2検出振動腕52と、基部2の第2象限側の角部から、プラスY軸方向へ延出している第3検出振動腕53と、基部2の第3象限側の角部から、マイナスY軸方向へ延出している第4検出振動腕54と、を有している。さらに、ジャイロ素子1は、検出振動腕5として、第1検出振動腕51乃至第4検出振動腕54に加え、基部2の第1象限側の角部から、X軸に対して30度の角度で、第1象限の方向へ斜めに延出している第5検出振動腕55と、基部2の第4象限側の角部から、X軸に対して30度の角度で、第4象限の方向へ斜めに延出している第6検出振動腕56と、基部2の第2象限側の角部から、X軸に対して30度の角度で、第2象限の方向へ斜めに延出している第7検出振動腕57と、基部2の第3象限側の角部から、X軸に対して30度の角度で、第3象限の方向へ斜めに延出している第8検出振動腕58と、を有している。これらすべての各腕は、それぞれの断面が矩形状をなしている。
【0039】
ここで、駆動振動腕4(第1駆動振動腕41乃至第8駆動振動腕48)は、各腕の駆動振動を励起するための駆動信号電極7をそれぞれ有し、検出振動腕5(第1検出振動腕51乃至第8検出振動腕58)は、ジャイロ素子1に加えられた角速度等の物理量を検出するための検出信号電極8をそれぞれ有している。
【0040】
このような構成のジャイロ素子1において、駆動信号電極7に電圧が印加されると、駆動振動腕4は、屈曲して振動する。具体的には、互いに同位相で振動する第1駆動振動腕41および第5駆動振動腕45は、互いに同位相で振動する第2駆動振動腕42および第6駆動振動腕46とは異なる位相、即ち逆位相、で振動する構成になっていて、第1駆動振動腕41がプラスX側に屈曲し、第5駆動振動腕45がX軸側へ屈曲すると、第2駆動振動腕42もプラスX側に屈曲し、第6駆動振動腕46もX軸側へ屈曲する。また、第1駆動振動腕41がマイナスX側に屈曲し、第5駆動振動腕45がX軸から離反する側へ屈曲すると、第2駆動振動腕42もマイナスX側に屈曲し、第6駆動振動腕46もX軸側から離反する側へ屈曲する。同様に、互いに同位相で振動する第3駆動振動腕43および第7駆動振動腕47は、互いに同位相で振動する第4駆動振動腕44および第8駆動振動腕48と逆位相で振動する構成になっている。
【0041】
また、検出振動腕5の検出信号電極8は、ジャイロ素子1にX軸またはY軸まわりに角速度等が加えられた際に、第1検出振動腕51乃至第8検出振動腕58の各腕が屈曲して振動することによって生じた電圧を、電気信号として取り出すための電極である。この場合、第1検出振動腕51乃至第4検出振動腕54の検出信号電極8により、Y軸まわりの角速度等を検出することができ、第5検出振動腕55乃至第8検出振動腕58により、X軸まわりの角速度等を検出することができる。つまり、検出信号電極8は、ジャイロ素子1に加えられた角速度等を検出し、電気信号として出力する作用を担っている。なお、これら角速度等の物理量検出の動作原理については、図4を参照して、詳細に後述する。
【0042】
以上説明したような、実施形態1に示す構成を有する、ジャイロ素子1(物理量検出素子)の主要な効果を述べる。
(1)ジャイロ素子1では、駆動振動腕4(第1駆動振動腕41乃至第8駆動振動腕48)と検出振動腕5(第1検出振動腕51乃至第8検出振動腕58)とが、基部2からそれぞれ個別に延出している構成である。これにより、駆動振動腕4における駆動信号が静電的に検出振動腕5における検出信号にのってしまう現象である、静電漏れを抑制することができる。さらに、駆動信号電極7と検出信号電極8とを、駆動振動腕4と検出振動腕5とにそれぞれ個別に設定することにより、駆動振動腕4には駆動信号電極7のみを配線すればよく、検出振動腕5には検出信号電極8のみを配線すればよいため、各電極のスペースを大きくとることができ、物理量検出の感度を向上させることができる。
(2)また、ジャイロ素子1において、第1駆動振動腕41による付け根6aでの応力が、第5駆動振動腕45の励振に寄与し、第2駆動振動腕42による付け根6aでの応力が、第6駆動振動腕46の励振に寄与して、それぞれの音響結合性が高められる。また、付け根6bにおいても、同様に、音響結合性が高められる。そのため、ジャイロ素子1は、振動エネルギーが基部2の方向へ漏れることを抑制してインピーダンスを下げることができ、Q値の高い素子となっている。このような音響結合性の高い構成であるジャイロ素子1は、2方向の振動モードを得るのに1つの駆動回路でシステムを構成でき、小型化・低コスト化等の面で、有利な構成となっている。これは、第1駆動振動腕41と第6駆動振動腕46とが120度の角度をなし、第2駆動振動腕42と第5駆動振動腕45とが120度の角度をなしており、既述した水晶の結晶構造の観点からも結合性が高い、と言える。また、この場合、内角がそれぞれ120度である3本のX軸を有する六方晶の圧電性単結晶材、例えば、水晶z板を用いることにより、ジャイロ素子1のような腕構成の素子を、容易に形成することができる。
(3)さらに、ジャイロ素子1は、連結部3が基部2から互いに反対方向へ突出していること、と、第1駆動振動腕41および第5駆動振動腕45と、第2駆動振動腕42および第6駆動振動腕46と、が互いに逆位相で振動し、同様に、第3駆動振動腕43および第7駆動振動腕47と、第4駆動振動腕44および第8駆動振動腕48と、が互いに逆位相で振動すること、とにより、バランスの良好な駆動振動を励振することができる。このようなジャイロ素子1は、X軸およびY軸まわりの角速度等を検出するのに好適な素子である。
(実施形態2)
【0043】
次に、ジャイロ素子の他の形態について説明する。図2は、実施形態2におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。実施形態2におけるジャイロ素子1Aは、検出振動腕5Aのすべて(第1検出振動腕51a乃至第8検出振動腕58a)の延出位置が、実施形態1におけるジャイロ素子1とは異なっている。さらに、ジャイロ素子1Aでは、駆動振動腕4Aの第5駆動振動腕45a、第6駆動振動腕46a、第7駆動振動腕47aおよび第8駆動振動腕48aの延出位置も、実施形態1におけるジャイロ素子1とは異なった構成になっている。一方、ジャイロ素子1Aの機能は、ジャイロ素子1とほぼ同様であって、X軸およびY軸まわりの角速度等を検出するのに好適な素子である。
【0044】
図2に示すように、ジャイロ素子1Aは、実施形態1におけるジャイロ素子1と同様な形態の、基部2、第1連結部31a、第2連結部32a、第1駆動振動腕41a、第2駆動振動腕42a、第3駆動振動腕43a、第4駆動振動腕44aを有している。
【0045】
まず、ジャイロ素子1Aの検出振動腕5Aにおいては、第1検出振動腕51aが、四角形状をなす基部2の第1象限側の角部9aからY軸側へ寄った位置を起点にして、プラスY軸方向へ延出している。同様に、第2検出振動腕52aが、基部2の第4象限側の角部9bからY軸側へ寄った位置を起点にして、マイナスY軸方向へ延出し、第3検出振動腕53aが、基部2の第2象限側の角部9cからY軸側へ寄った位置を起点にして、プラスY軸方向へ延出し、第4検出振動腕54aが、基部2の第3象限側の角部9dからY軸側へ寄った位置を起点にして、マイナスY軸方向へ延出している。つまり、第1検出振動腕51a乃至前記第4検出振動腕54aは、基部2のY軸寄りの側からそれぞれ延出している、といえる。
【0046】
また、検出振動腕5Aにおいては、第5検出振動腕55aが、基部2の第1象限側の角部9aからX軸側へ寄った位置を起点にして、X軸に対して30度の角度で、第1象限の方向へ斜めに延出している。同様に、第6検出振動腕56aが、基部2の第4象限側の角部9bからX軸側へ寄った位置を起点にして、X軸に対して30度の角度で、第4象限の方向へ斜めに延出し、第7検出振動腕57aが、基部2の第2象限側の角部9cからX軸側へ寄った位置を起点にして、X軸に対して30度の角度で、第2象限の方向へ斜めに延出し、第8検出振動腕58aが、基部2の第3象限側の角部9dからX軸側へ寄った位置を起点にして、X軸に対して30度の角度で、第3象限の方向へ斜めに延出している。つまり、第5検出振動腕55a乃至第8検出振動腕58aは、基部2のX軸寄りの側から延出している、といえる。これらすべての各腕は、それぞれの断面が矩形状をなしている。
【0047】
このような検出振動腕5Aを有する、実施形態2におけるジャイロ素子1Aは、第1検出振動腕51aが、基部2の角部9aよりY軸側に位置していることにより、第5検出振動腕55aから離反しており、第1検出振動腕51aは、第5検出振動腕55aに対する振動の影響を抑制することができると共に、第5検出振動腕55aからの振動の影響を避けることが可能な配置となっている。また、第2検出振動腕52aは、基部2の角部9bよりY軸側に位置していることにより、第6検出振動腕56aから離反しており、第6検出振動腕56aへの振動の影響を抑制することができると共に、第6検出振動腕56aからの振動の影響を避けることが可能な配置となっている。これは、第3検出振動腕53aと第7検出振動腕57aとにおいても同様な関係であり、第4検出振動腕54aと第8検出振動腕58aとにおいても同様な関係である。
【0048】
さらに、ジャイロ素子1Aでは、第5検出振動腕55aが、基部2の角部9aよりX軸側に位置していることにより、第1検出振動腕51aから一層離反していることになり、第5検出振動腕55aは、第1検出振動腕51aへの振動の影響を抑制することができると共に、第1検出振動腕51aからの振動の影響を避けることが可能な配置となっている。これは、第6検出振動腕56aと第2検出振動腕52aとにおいても同様な関係であり、第7検出振動腕57aと第3検出振動腕53aとの関係、および第8検出振動腕58aと第4検出振動腕54aとの関係においても同様である。つまり、ジャイロ素子1Aは、検出振動腕5Aによる互いの振動の影響を抑制して、いわゆる他軸感度を下げることができ、角速度等をより確実に検出することが可能である。
【0049】
そして、ジャイロ素子1Aでは、第5駆動振動腕45aが、第1駆動振動腕41aから斜めに延出し、延出位置は、付け根6aより距離sだけプラスY軸方向へ離れた位置である。また、第5駆動振動腕45aの延出方向は、実施形態1における第5駆動振動腕45と同じで、X軸に対して30度の角度をなし、第1象限の方向である。同様に、第6駆動振動腕46aは、付け根6aより距離sだけマイナスY軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第6駆動振動腕46と同じ第4象限の方向であり、第7駆動振動腕47aは、付け根6bより距離sだけプラスY軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第7駆動振動腕47と同じ第2象限の方向であり、第8駆動振動腕48aは、付け根6bより距離sだけマイナスY軸方向へ離れた位置から斜めに延出し、その延出方向は、実施形態1における第8駆動振動腕48と同じ第3象限の方向である。
【0050】
このような構成の第5駆動振動腕45a、第6駆動振動腕46a、第7駆動振動腕47a、第8駆動振動腕48aにおいて、第5駆動振動腕45aおよび第6駆動振動腕46aは、基部2から延出した第1連結部31aをプラスX軸方向へそのまま延長した場合の延長線上には形成されておらず、つまり、付け根6aの位置から延出していない。これにより、第5駆動振動腕45aおよび第6駆動振動腕46aは、第1駆動振動腕41aまたは第2駆動振動腕42aとの結合性を第1連結部31aから離間した状態で高めることができる。同様に、第7駆動振動腕47aおよび第8駆動振動腕48aも、第3駆動振動腕43aまたは第4駆動振動腕44aとの結合性を第2連結部32aから離間した状態で高めることができる。これにより、ジャイロ素子1Aは、第1駆動振動腕41a乃至第8駆動振動腕48aから、第1連結部31aまたは第2連結部32aを介して、基部2の方向へ振動が漏れる振動漏れを、ほぼ抑制することが可能である。
(実施形態3)
【0051】
次に、ジャイロ素子の他の形態について説明する。図3は、実施形態3におけるジャイロ素子の構成を示す平面図である。実施形態3におけるジャイロ素子1Bは、実施形態2におけるジャイロ素子1Aに、第9検出振動腕60および第10検出振動腕61が追加された形態である。従って、第9検出振動腕60および第10検出振動腕61以外は、ジャイロ素子1Aと同符号を付与し、説明を省略する。
【0052】
図3に示すように、ジャイロ素子1Bは、実施形態2におけるジャイロ素子1Aの構成に加え、第1検出振動腕51aと第3検出振動腕53aとの間の基部2から、Y軸と重なる配置状態でプラスY軸方向へ延出している第9検出振動腕60と、第2検出振動腕52aと第4検出振動腕54aとの間の基部2から、Y軸と重なる配置状態でマイナスY軸方向へ延出している第10検出振動腕61と、を有している。即ち、第9検出振動腕60および第10検出振動腕61は、Y軸と重なるように配置され、基部2から互いに反対方向へそれぞれ延出している、ことになる。これら第9検出振動腕60と第10検出振動腕61とは、検出信号電極8を有し、ジャイロ素子1Bに加えられたZ軸まわりの角速度等を検出することができる。
【0053】
第9検出振動腕60および第10検出振動腕61の検出信号電極8は、ジャイロ素子1BにZ軸まわりに角速度等が加えられた際に、第9検出振動腕60および第10検出振動腕61の各腕が屈曲することによって生じた電圧を、電気信号として取り出すための電極である。これにより、第9検出振動腕60および第10検出振動腕61は、ジャイロ素子1Bに加えられた角速度等を検出し、電気信号として出力する作用を担っている。このジャイロ素子1Bによる、Z軸まわりの角速度等の検出については、図4を参照して後述する。
【0054】
以上のような、実施形態3に示す構成を有する、ジャイロ素子1Bの主要な効果としては、X軸およびY軸まわりの角速度等を検出することに加え、Z軸まわりの角速度等も検出することができ、単体で同時に3軸の角速度等の検出ができる、ことが挙げられる。なお、実施形態1におけるジャイロ素子1に、第9検出振動腕60および第10検出振動腕61を追加した構成であっても、ジャイロ素子1Bとほぼ同様な効果を得られる。
【0055】
(ジャイロ素子の動作原理)
次に、実施形態1乃至実施形態3におけるジャイロ素子1,1A,1Bの動作原理について説明する。ここでの動作原理の説明は、ジャイロ素子1Bの場合を代表例にして述べる。図4(a)は、ジャイロ素子におけるY軸まわりの角速度の検出を示す平面図、図4(b)は、ジャイロ素子におけるX軸まわりの角速度の検出を示す平面図、図4(c)は、ジャイロ素子におけるZ軸まわりの角速度の検出を示す平面図である。
【0056】
まず、図4(a)を参照して、Y軸まわりの角速度の検出について説明する。ジャイロ素子1Bが駆動振動をしている状態で、ジャイロ素子1BをY軸まわりに回転させると、第1駆動振動腕41aおよび第2駆動振動腕42aには、Z軸方向のコリオリ力が働き、Z軸方向の検出振動が発生する。同様に、第3駆動振動腕43aおよび第4駆動振動腕44aには、第1駆動振動腕41aおよび第2駆動振動腕42aと反対方向のZ軸方向にコリオリ力が働き、Z軸方向の検出振動が発生する。そして、第1検出振動腕51aは、第1駆動振動腕41aの検出振動に呼応して、第1駆動振動腕41aと同じようにZ軸方向に検出振動をし、第2検出振動腕52aは、第2駆動振動腕42aの検出振動に呼応して、第2駆動振動腕42aと同じようにZ軸方向に検出振動をする。また、第3検出振動腕53aは、第3駆動振動腕43aの検出振動に呼応して、第1検出振動腕51aと反対方向のZ軸方向に検出振動をし、第4検出振動腕54aは、第4駆動振動腕44aの検出振動に呼応して、第2検出振動腕52aと反対方向のZ軸方向に検出振動をする。
【0057】
このように、第1検出振動腕51aおよび第2検出振動腕52aと、第3検出振動腕53aおよび第4検出振動腕54aとは、互いに異なる位相で検出振動をすることになる。ジャイロ素子1Bでは、第1検出振動腕51aおよび第2検出振動腕52aのそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、さらに、第3検出振動腕53aおよび第4検出振動腕54aのそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、それらの和を差動させる、いわゆる差動検出方式によってコリオリ力の大きさを知得できる。つまり、ジャイロ素子1Bに加えられたY軸まわりの角速度(物理量)の大きさを認識することができる。
【0058】
次に、図4(b)を参照して、X軸まわりの角速度の検出について説明する。ジャイロ素子1Bが駆動振動をしている状態で、ジャイロ素子1BをX軸のまわりに回転させると、第5駆動振動腕45aおよび第7駆動振動腕47aには、Z軸方向のコリオリ力が働き、Z軸方向の検出振動が発生する。同様に、第6駆動振動腕46aおよび第8駆動振動腕48aには、第5駆動振動腕45aおよび第7駆動振動腕47aと反対方向のZ軸方向にコリオリ力が働き、Z軸方向の検出振動が発生する。そして、第5検出振動腕55aは、第5駆動振動腕45aの検出振動に呼応して、第5駆動振動腕45aと同じようにZ軸方向に検出振動をし、第7検出振動腕57aは、第7駆動振動腕47aの検出振動に呼応して、第7駆動振動腕47aと同じようにZ軸方向に検出振動をする。また、第6検出振動腕56aは、第6駆動振動腕46aの検出振動に呼応して、第5検出振動腕55aと反対方向のZ軸方向に検出振動をし、第8検出振動腕58aは、第8駆動振動腕48aの検出振動に呼応して、第7検出振動腕57aと反対方向のZ軸方向に検出振動をする。
【0059】
このように、ジャイロ素子1Bにおいて、第5検出振動腕55aおよび第7検出振動腕57aと、第6検出振動腕56aおよび第8検出振動腕58aとは、互いに異なる位相で検出振動をすることになる。ジャイロ素子1Bでは、第5検出振動腕55aおよび第7検出振動腕57aのそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、さらに、第6検出振動腕56aおよび第8検出振動腕58aのそれぞれの検出振動に基づく検出信号の和を算出し、それらの和を差動させることにより、コリオリ力の大きさを知得できる。つまり、ジャイロ素子1Bに加えられたX軸まわりの角速度(物理量)の大きさを認識することができる。なお、ジャイロ素子1,1AにおけるY軸およびX軸まわりの角速度の検出についても、同様な動作原理である。
【0060】
次に、図4(c)を参照して、Z軸まわりの角速度の検出について説明する。ジャイロ素子1Bの第1駆動振動腕41aと、第3駆動振動腕43aとは、互いに逆位相で振動し、第2駆動振動腕42aと、第4駆動振動腕44aとは、互いに逆位相で振動している。この状態で、ジャイロ素子1BをZ軸のまわりに回転させると、第1駆動振動腕41aおよび第2駆動振動腕42aには、Y軸方向のコリオリ力が働き、Y軸方向の検出振動が発生する。同様に、第3駆動振動腕43aおよび第4駆動振動腕44aには、第1駆動振動腕41aおよび第2駆動振動腕42aと反対方向のY軸方向にコリオリ力が働き、Y軸方向の検出振動が発生する。ここで、第9検出振動腕60と第10検出振動腕61とは、第1駆動振動腕41a、第2駆動振動腕42a、第3駆動振動腕43aおよび第4駆動振動腕44aの検出振動に呼応して、互いに異なる方向のX軸方向に検出振動する。ジャイロ素子1Bでは、第9検出振動腕60および第10検出振動腕61のそれぞれの検出振動に基づく検出信号を差動させることにより、コリオリ力の大きさを知得できる。つまり、ジャイロ素子1Bに加えられたZ軸まわりの角速度(物理量)の大きさを認識することができる。このような動作原理により、ジャイロ素子1Bは、X軸およびY軸まわりの角速度等の物理量を検出することに加え、Z軸まわりの物理量を検出することができ、単体で同時に3軸の物理量を検出することが可能である。なお、この場合、第1駆動振動腕41aと第5駆動振動腕45aとが同位相で振動していることにより、それぞれの腕部におけるY軸方向のコリオリ力が同方向となり、検出振動の確実な励起が行なえる。第2駆動振動腕42aおよび第6駆動振動腕46a、第3駆動振動腕43aおよび第7駆動振動腕47a、第4駆動振動腕44aおよび第8駆動振動腕48a、においても同様である。
【0061】
以上では、ジャイロ素子1Bを例にして動作原理を説明したが、ジャイロ素子1,1Aも含めたジャイロ素子は、ジャイロ装置や電子機器等に搭載されて、優れたジャイロ機能を発揮する。
【0062】
(ジャイロ装置)
次に、ジャイロ素子1,1A,1Bのいずれかを用いて、角速度を検出するジャイロ装置(物理量検出装置)の構成について説明する。図5(a)は、ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す平面図である。また、図5(b)は、ジャイロ素子を備えたジャイロ装置を示す断面図であり、図5(a)におけるE−E断面を示している。この場合、図5では、ジャイロ素子1を備えた場合のジャイロ装置100を示していて、図5(a)では、説明のために蓋体72を省略して示してある。
【0063】
図5に示すように、ジャイロ装置100は、ジャイロ素子1と、ジャイロ素子1をリード80(80a,80b,80c,80d,80e,80f)を介して支持する支持基板78と、支持基板78を固定する固定基板である収容体71を有するセラミックパッケージ70と、IC(Integrated Circuit)チップ90と、収容体71内を気密に封止するための蓋体72とを備えている。セラミックパッケージ70に収容されているICチップ90は、セラミックパッケージ70のボンディングパッド77に金線などの金属ワイヤ91によって接続されている。このICチップ90には、駆動信号を供給してジャイロ素子1を励振させる駆動回路90aと、角速度等の物理量を検出する検出回路90bと、が含まれている。この場合、ジャイロ素子1を備えたジャイロ装置100であれば、一つの駆動回路90aで複数の駆動振動腕4を励起することが可能であり、装置の小型化が図れる。
【0064】
また、セラミックパッケージ70における収容体71には棚部74が形成され、その面に接続端子75が形成されている。棚部74には、支持基板78が接着固定されていて、この接着固定には導電性接着剤79が用いられている。そして、セラミックパッケージ70の外周部には外部接続端子76が形成され、外部接続端子76と接続端子75およびボンディングパッド77の一部とが導通する構成となっている。また、支持基板78にはリード80が設けられ、各リード80a,80b,80c,80dの先端は、ジャイロ素子1の基部2に形成された、検出電極パッド81の対応するパッドにそれぞれ接合され、リード80e,80fの先端は、ジャイロ素子1の基部2に形成された駆動電極パッド82の対応するパッドにそれぞれ接合されている。これらリード80により、ジャイロ素子1は他部品と接触しないように空中に支持されている。なお、検出電極パッド81は、検出振動の検出のためのものであり、駆動電極パッド82は、駆動振動を励振させるためのものである。このような構成のセラミックパッケージ70は、収容体71にシームリング73が固着され、シームリング73に蓋体72をシーム溶接することで、セラミックパッケージ70内が減圧された状態で封止されている。なお、セラミックパッケージ70内は、減圧状態ではなく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスが封入された状態でも良い。
【0065】
ここで、支持基板78は、TAB(Tape Automated Bonding)実装用の基板を用いていて、ポリイミドフィルム等の基材に銅箔等の金属箔により形成された導体パターンを有している。支持基板78の中央部は、開口となっていて、この開口には導体パターンであるリード80が延出している。リード80の検出電極パッド81または駆動電極パッド82と反対側の先端は、セラミックパッケージ70の接続端子75と接続されている。このジャイロ装置100は、例えば、以下に説明する電子機器等に搭載されて、X軸およびY軸まわりの角速度等を検出する、優れたジャイロ機能を発揮する。なお、ジャイロ装置としては、ジャイロ素子1を備えた構成の他、ジャイロ素子1Aを備えたものも、ジャイロ素子1とほぼ同様に優れたジャイロ機能を発揮し、ジャイロ素子1Bを備えたものは、X軸、Y軸、Z軸まわりの角速度等を検出する、優れたジャイロ機能を発揮する。
【0066】
(電子機器)
次に、ジャイロ素子1,1A,1Bのいずれかを用いた構成の電子機器について説明する。図6(a)は、ジャイロ素子を備えたデジタルビデオカメラを示す斜視図、図6(b)は、ジャイロ素子を備えた携帯電話を示す斜視図である。これらの電子機器は、一例として、ジャイロ素子1Bを搭載している。まず、図6(a)に示すように、ビデオカメラ300は、受像部301と、操作部302と、音声入力部303と、表示ユニット304と、を備えている。このビデオカメラ300は、ジャイロ素子1Bと、ジャイロ素子1Bを制御する駆動回路90aおよび検出回路90bを有するICチップ90と、を備えており、X軸、Y軸およびZ軸の3軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができ、鮮明な動画映像を記録することができる。この場合、ジャイロ素子1Bは、ジャイロ装置100の一部として組み込まれた形態であることが好ましい。同様に、ビデオカメラ300がジャイロ素子1,1Aを備えている場合も、X軸およびY軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができる。
【0067】
また、図6(b)に示すように、携帯電話機400は、複数の操作ボタン401と、表示ユニット402と、カメラ機構403と、シャッターボタン404と、を備えている。この携帯電話機400は、ジャイロ素子1Bと、ジャイロ素子1Bを制御する駆動回路90aおよび検出回路90bを有するICチップ90と、を備えており、X軸、Y軸およびZ軸の3軸まわりの角速度を検出して、カメラ機構403が手ぶれ補正機能を発揮することができ、鮮明な画像を記録することができる。この場合、ジャイロ素子1Bは、ジャイロ装置100の一部として組み込まれた形態であることが好ましい。同様に、携帯電話機400がジャイロ素子1,1Aを備えている場合も、X軸およびY軸まわりの角速度を検出して、手ぶれ補正機能を発揮することができる。
【0068】
なお、電子機器としてはビデオカメラ300や携帯電話機400に限定されず、ナビゲーション装置、車体姿勢検出装置、ゲームコントローラー、ヘッドマウンテンディスプレイ、ポインティングデバイス、掃除ロボット等が挙げられる。
【0069】
また、ジャイロ素子1,1A,1Bは、上記の実施形態に限定されるものではなく、次に挙げる変形例のような形態であっても、実施形態と同様な効果が得られる。
【0070】
(変形例1)ジャイロ素子1において、第5駆動振動腕45乃至第8駆動振動腕48および第5検出振動腕55乃至第8検出振動腕58は、X軸に対して30度の角度をなして延出しているが、30度の角度に限定されることなく、他の角度であっても良い。特に、X軸に対する角度が45度であれば、各振動腕におけるX軸方向とY軸方向との駆動成分が同じであるため、X軸まわりおよびY軸まわりの検出信号の振幅をほぼ同じにでき、角速度等の物理量の検出が容易になる。この構成は、ジャイロ素子1A,1Bにおいても可能である。
【0071】
(変形例2)ジャイロ素子1A,1Bにおいて、検出振動腕5Aは、いずれも基部2の角部9から離反している構成であるが、検出振動腕5Aが角部9から延出している構成であっても良い。
【0072】
(変形例3)ジャイロ素子1,1A,1Bは、圧電性材である水晶から形成されているが、水晶に限定されることなく、水晶以外のニオブ酸リチウム(LiNbO3)、チタン酸ジルコン鉛(PZT)等を用いても良い。更に、ジャイロ素子1,1A,1Bは、圧電性材に限定されるものではなく、シリコンやゲルマニウムなどの非圧電性材料であっても良く、この場合、駆動信号電極には圧電性材を組み合わせて振動可能な構成にしておく。これにより、ジャイロ素子1,1A,1Bにおいて、要求特性や用途等に応じて、適切な材料を選ぶことができ選択肢が拡大する。
【符号の説明】
【0073】
1…物理量検出素子としてのジャイロ素子、2…基部、3…連結部、4…駆動振動腕、5…検出振動腕、7…駆動信号電極、8…検出信号電極、90…ICチップ、90a…駆動回路、90b…検出回路、100…物理量検出装置としてのジャイロ装置、300…電子機器としてのビデオカメラ、400…電子機器としての携帯電話。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基部と、
前記基部の重心位置である原点を通るX軸と、前記原点を通り、前記X軸と直交するY軸と、を有する座標軸を定義し、X座標とY座標とがともに正の値をとる領域を第1象限、X座標が負でY座標が正の値をとる領域を第2象限、X座標とY座標とがともに負の値をとる領域を第3象限、X座標が正でY座標が負の値をとる領域を第4象限、と定義した場合、
前記基部と連結し、前記X軸に沿って、前記基部の両側に設けられている第1連結部および第2連結部と、
前記第1連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第1駆動振動腕および第2駆動振動腕と、
前記第2連結部から、前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第3駆動振動腕および第4駆動振動腕と、
前記第1駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第5駆動振動腕と、
前記第2駆動振動腕の前記第1連結部側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第6駆動振動腕と、
前記第3駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第7駆動振動腕と、
前記第4駆動振動腕の前記第2連結部側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第8駆動振動腕と、
前記基部の第1象限側から、プラスY軸方向へ延出している第1検出振動腕と、
前記基部の第4象限側から、マイナスY軸方向へ延出している第2検出振動腕と、
前記基部の第2象限側から、プラスY軸方向へ延出している第3検出振動腕と、
前記基部の第3象限側から、マイナスY軸方向へ延出している第4検出振動腕と、
前記基部の第1象限側から、前記第1象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第5検出振動腕と、
前記基部の第4象限側から、前記第4象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第6検出振動腕と、
前記基部の第2象限側から、前記第2象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第7検出振動腕と、
前記基部の第3象限側から、前記第3象限方向かつ前記X軸に対して斜めに延出している第8検出振動腕と、を備えている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項2】
請求項1に記載の物理量検出素子において、
前記第1検出振動腕乃至前記第4検出振動腕は、前記基部の前記Y軸寄りの側から延出している、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の物理量検出素子において、
前記第5検出振動腕乃至前記第8検出振動腕は、前記基部の前記X軸寄りの側から延出している、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第1駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕は、駆動信号電極を備え、
前記第1検出振動腕乃至前記第8検出振動腕は、検出信号電極を備えている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記基部の中央から前記Y軸に沿って互いに反対方向へそれぞれ延出している第9検出振動腕および第10検出振動腕を備えている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第5駆動振動腕および前記第6駆動振動腕は、前記第1連結部の延長線上を避けた位置から延出し、
前記第7駆動振動腕および前記第8駆動振動腕は、前記第2連結部の延長線上を避けた位置から延出している、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
前記第5駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕と同位相で振動し、前記第6駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第2駆動振動腕と同位相で振動し、前記第7駆動振動腕は、前記第1駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第3駆動振動腕と同位相で振動し、前記第8駆動振動腕は、前記第3駆動振動腕とは逆位相で振動する前記第4駆動振動腕と同位相で振動する、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の物理量検出素子において、
六方晶の結晶構造を有する圧電性材を用いている、ことを特徴とする物理量検出素子。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の物理量検出素子と、
前記第1駆動振動腕乃至前記第8駆動振動腕へ駆動信号を供給する駆動回路と、
少なくとも前記第1検出振動腕乃至前記第8検出振動腕からの物理量検出信号を検出する検出回路と、を備える、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項10】
請求項9に記載の物理量検出装置において、
前記検出回路は、前記第1検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第2検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第3検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第4検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量検出信号を検出する、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項11】
請求項9に記載の物理量検出装置において、
前記検出回路は、前記第5検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第7検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、前記第6検出振動腕に生じる前記検出信号と前記第8検出振動腕に生じる前記検出信号との和と、を差動させて前記物理量検出信号を検出する、ことを特徴とする物理量検出装置。
【請求項12】
請求項1から8のいずれか一項に記載の物理量検出素子を備えている、ことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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