説明

特定のポリエステルを使用した加熱化粧処置方法

【課題】安定的であり、皮膚または唇上に施用することが容易であり(良好な滑らかさ)、経時的に良好な残留特性、およびリップスティック組成物の場合は任意に良好な光沢特性を示す付着物を形成し、かつ快適である、このようなポリエステルを含む固体組成物(特に、ワンドとしてまたは別の固体形態で、コンディショニングと適合性である)を提供すること。
【解決手段】本発明は、外表面のみを本質的に軟化させ、かつその運動摩擦係数を低下させるために、固体化粧品組成物の小片を局在的に加熱するために、前記小片の前記外表面を、加熱装置に接触または接近させる工程と、次いで、このように加熱した組成物の外表面を、処理される領域に施用する工程とを含み、前記固体化粧品組成物は、生理学的に許容される媒体中に、(i)- 4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、- 9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、- 6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸と、- 7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸とを反応させることによって得ることができる少なくとも1種のポリエステル、ならびに(ii)ワックスおよびペースト状脂肪物質、ならびにその混合物から選択される少なくとも1種の固体脂肪物質を含む、非線維性ヒトケラチン材料、特に皮膚、その粘膜または爪をメイクアップおよび/または手入れするための非治療的方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトケラチン材料、より詳しくは皮膚および/または唇をメイクアップおよび/または手入れする分野、特に施用の前に、少なくとも1種の特定のポリエステルおよび固体脂肪物質を含む組成物を加熱する工程を含むメイクアップ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
施用、特に滑らかさ(glidance)および付着した量に関して満足できる特性を有し、かつケラチン材料(特に、皮膚および/または唇)へのその付着が光沢、快適性および色の残留性に関して満足できるものである、皮膚および/または唇をメイクアップおよび/または手入れすることを対象とする、特に固体形態の配合物の開発は、不変の目的である。
【0003】
文献FR2917616は、ケラチン材料、特に唇への施用の後、許容される残留特性を示す相対的に光沢のあるメイクアップ付着物を得るために、イソドデカンなどの標準的揮発性油と合わせてポリエステルを含有する化粧品組成物を開示している。
【0004】
しかし、このような組成物は、特に、形成された付着物がその完全性を保ち、かつ2時間もしくは3時間、またはさらに4時間もしくは6時間均質性を維持し、かつ特に脂肪物質と接触して(特に食事の間)、または唾液と接触して、脆くなったり、もしくはばらばらになったりする傾向を示さないように、それらがケラチン材料に施用されたときに、付着物の残留性をさらに改善することがいつも望ましい。さらに、リップスティック組成物の場合は、唇上のこのような組成物の付着物の光沢を改善することが望ましい。
【0005】
さらに、ポリエステルは非常に粘性であり、このように得られた固体組成物は一般に、皮膚または唇と接触すると非常に粘着性があり、したがって施用することが困難であり、厚く均一な付着物を得ることを可能とさせない。それらはあまり滑らず、分解することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】FR2917616
【特許文献2】EP-A-1870082
【特許文献3】FR-A-2792190
【特許文献4】EP-A-0955039
【特許文献5】EP-A-708114
【特許文献6】US-A-2002/005562
【特許文献7】US-A-5221534
【特許文献8】EP-A-0951897
【特許文献9】US-A-5156911
【特許文献10】WO-A-01/19333
【特許文献11】US-A-5736125
【特許文献12】US-A-5519063
【特許文献13】EP-A-550745
【特許文献14】EP-A-0550745
【特許文献15】US2007/0031361
【特許文献16】EP571882
【特許文献17】EP890583
【特許文献18】US5998547
【特許文献19】WO04/055081
【特許文献20】FR-A-2232303
【特許文献21】WO-A-02/056847
【特許文献22】WO-A-02/47619
【特許文献23】US-A-5783657
【特許文献24】EP-A-1266647
【特許文献25】仏国特許出願第0216039号
【特許文献26】EP-A-1400234
【特許文献27】US-A-5874069
【特許文献28】US-A-5919441
【特許文献29】US-A-6051216
【特許文献30】US-A-5981680
【特許文献31】WO2003/106614
【特許文献32】US-A-3645705
【特許文献33】US-A-3148125
【特許文献34】US-A-5500209
【特許文献35】US-A-5998570
【特許文献36】EP-A-542669
【特許文献37】EP-A-787730
【特許文献38】EP-A-787731
【特許文献39】WO-A-96/08537
【特許文献40】US6340258
【特許文献41】US6086276
【特許文献42】US6371673
【特許文献43】US5171096
【特許文献44】US7293926
【特許文献45】US2007/0286665A1
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ISOスタンダード11357-3;1999
【非特許文献2】CTFA(第8版、2000)
【非特許文献3】「Intelimer(登録商標)ポリマー」、Landec IP22(Rev.4-97)
【非特許文献4】「Melting behavior of poly(-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、S. Nojima、Macromolecules、32、3727〜3734(1999)
【非特許文献5】「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、B. Boutevinら、Polymer Bulletin、34、117〜123(1995)
【非特許文献6】「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、P. Rangarajanら、Macromolecules、26、4640〜4645(1993)
【非特許文献7】「Polymer aggregates with crystalline cores: the system poly(ethylene)-poly(ethylene-propylene)」、P. Richterら、Macromolecules、30、1053〜1068(1997)
【非特許文献8】「Crystallization in block copolymers」、I.W. Hamley、Advances in Polymer Science、第148巻、113〜137(1999)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、安定的であり、皮膚または唇上に施用することが容易であり(良好な滑らかさ)、経時的に良好な残留特性、およびリップスティック組成物の場合は任意に良好な光沢特性を示す付着物を形成し、かつ快適である、このようなポリエステルを含む固体組成物(特に、ワンドとしてまたは別の固体形態で、コンディショニングと適合性である)を得ることが求められている。
【0009】
本発明の一目的はまさに、全ての上記の必要条件を満足させることができる新規なメイクアップおよび/または手入れ方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
したがって、その第1の態様によれば、本発明の対象は、ヒトケラチン材料、特に皮膚または唇をメイクアップおよび/または手入れするための非治療的方法であり、
- 20℃で固体である化粧品組成物の小片の外表面を、前記外表面のみを本質的に軟化させ、かつその運動摩擦係数を低下させるために、前記小片を局在的に加熱するように、加熱装置と接触または接近させ、
- 次いで、このように加熱した組成物の外表面を、処理、特にメイクアップする領域に施用し、
前記固体化粧品組成物は、生理学的に許容される媒体中に、
(i)- 4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、
- 9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、
- 6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸と、
- 7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸と
を反応させることによって得ることができる少なくとも1種のポリエステル、ならびに
(ii)ワックスおよびペースト状脂肪物質、ならびにその混合物から選択される少なくとも1種の固体脂肪物質
を含む。
【0011】
本発明の特定の一実施形態によれば、この方法は、メイクアップ方法である。
【0012】
特定の一実施形態によれば、軟化した外表面を、処理される領域と、特にケラチン材料と直接接触させる。
【0013】
すなわち、軟化した組成物を付着するのにアプリケーターを使用しない。
【0014】
本発明の目的のために、「固形」という用語は、20℃および大気圧(760mmHg)で、30Nm-1超、好ましくは40Nm-1超の硬度を有する組成物を意味する。
【0015】
好ましい一実施形態によれば、本発明による固形組成物は、スティックの形態である。組成物がスティックの形態のとき、外表面は、その端部、すなわち使用者によってケラチン材料に施用される自由端部として定義され得る。
【0016】
特定の一実施形態によれば、本発明による方法は、組成物が、特に7mm以上の直径を有するワンドの形態であるような方法である。
【0017】
また別の実施形態によれば、本発明による方法は、組成物が、リップスティックであるような方法である。
【0018】
それは有利には、下記で定義するような硬度によって特徴付けられる。
【0019】
また別の態様によれば、本発明は、
- 上記で定義したような組成物と、
- 前記組成物の小片の表面を局在的に加熱するための加熱装置と
を含む、キットに関する。
【0020】
組成物の小片は、持続的に加熱装置に接触または接近させてもよく、組成物を施用する前にこの加熱装置を作動させ、組成物の小片の外表面の温度を上昇させてもよい。変形形態として、組成物の小片を、組成物を施用する目的のために、使用するためだけに加熱装置に接触または接近させる。
【0021】
したがって、本発明によって、例えワンドが良好な冷たい施用にあまり適していない化合物(これらの化合物は、耐久力および/または光沢に関して性能の増加をもたらす)を含有しても付着が可能となるために、施用の直前に、表面、例えば本発明による組成物によって作製されたリップスティックワンドの斜面の上部を加熱することが可能となり得る。
【0022】
本発明の実行の例において、ワンドの表面を加熱することによって、その滑らかさ、したがって唇または皮膚へのその施用が改善され得る。
【0023】
特定の一実施形態によれば、本発明によって使用される組成物は、25℃で0.5以上の、よりさらに25℃で0.6以上の温度感受性の運動摩擦係数を有する。
【0024】
固形組成物は有利には、20℃で80Nm-1以上、よりさらに20℃で100Nm-1以上、またはさらに20℃で120Nm-1の硬度を有し、それによってワンドは機械的に強くなり、例えば、互いに対して回転し、ワンドを動かすことができる2つの部分を含む従来の場合において、そのコンディショニングが可能となる。
【0025】
運動摩擦係数は、組成物が加熱される温度において、0.45、よりさらに0.4以下であってよい。
【0026】
したがって、25℃で0.5以上の運動摩擦係数は、例えば、45℃で0.45以下となり得、すなわち25℃での施用を意図した特定の公知のリップスティックと匹敵する値に到達し得る。
【0027】
本発明は、冷たいおよび/または加熱なしのその施用が困難、実質的に不可能または不快であるような、ある量のポリエステルを含む製品のワンドに適用し得る。このような製品のワンドについて、それが含有する油の存在に関して特に有利な快適性またはさらに光沢機能を伴う加熱後の施用が可能になる。
【0028】
本発明との関連で、使用される組成物(および特に相分離の問題を有さない組成物)は、室温(20℃)で、それらが施用前に(特に約60℃の温度に)加熱されるとき、安定的であることが重要である。
【0029】
製品は、例えば赤外線放射または無線放射に曝露することによって、様々な方法で加熱され得る。
【0030】
製品はまた、熱風を吹き付けることによって、超音波振動に曝露することによって、または例えば、外表面、特にワンドの端部に対して放射状の位置にある熱い表面に接触もしくは接近させて熱伝達によって加熱され得る。熱い表面はまた、外表面、特にワンドの端部に対して軸方向の位置にあってよい。熱い表面は、斜めになった形状、逆円錐形状または凹面の中空形状、特に球形状を有し得る。
【0031】
製品の外表面は、40℃以上、またはさらに45℃超、または代わりに50℃超の温度Tfに加熱され得る。外表面は、40℃〜95℃、よりさらに45℃〜85℃、よりさらに45℃〜75℃の温度Tfに加熱され得る。
【0032】
施用表面、特にワンドの端部の温度は、施用のときに燃焼する危険性をもたらすべきではない。これが、端部が加熱される時点とケラチン材料への施用との間の待機時間が任意に必要であってよい。理由である。
【0033】
製品の加熱された外表面と固体のままである部分との間の温度の差異は、5℃以上、よりさらに15℃もしくは20℃以上(少なくとも施用開始に)、またはさらに30℃超であってよい。
【0034】
製品のみが、施用の間に処理される領域と接触し得る。
【0035】
加熱装置は、支持体上の所定の位置のキャップによって外表面が加熱されることを可能にするように、支持体を閉じるためのキャップ中に収容され得る。加熱装置はまた、支持体を閉じるためのキャップ中以外の場所に収容され得る。
【0036】
好ましくは支持体全体がケースの中に置かれることなしに、支持体が、その中に固体製品の小片が係合し得るケース、特に開口部を含むケース中に係合するときに、加熱を行い得るように、その上に支持体が係合し得るケース中に加熱装置は収容され得る。
【0037】
加熱装置は、コンディショニングおよび施用装置の不可欠の部分であってよい。
【0038】
加熱装置は、外表面と接触するように配置され得る。
【0039】
加熱装置は、製品の小片がそれを通過するように配置され得、かつ特に円形形状の熱い表面を含み得る。
【0040】
加熱装置は、使用者がその機能を制御することを可能にする制御手段を含み得る。この制御手段は、支持体上または支持体を閉じるためのキャップ上に存在するスイッチを含み得る。
【0041】
加熱装置は、施用表面に接触または接近し得る表面を加熱するための電気抵抗を含み得る。
【0042】
加熱装置は、施用表面を加熱するためにそれを赤外光に曝すように配置された赤外エミッター、および外表面の温度を上昇させるための無線放射放出手段、外表面に熱風を吹き付けるための送風機、または外表面を加熱するための超音波の源を含み得る。
【0043】
加熱装置はまた、一緒に混合したときに発熱反応を生じさせることができる少なくとも2種の成分を含み得る。
【0044】
製品の小片は、ワンドの形態であってよく、外表面はワンドの端部によって画定され得る。
【0045】
加熱装置は、1個または複数の電池または蓄電池を含む電力源を含み得る。
【0046】
加熱装置は、使用者が操作する発電機を含み得る。
【0047】
加熱装置は、組成物の小片の摩耗にも関わらず、前記小片を所定の温度に加熱するための手段を含み得る。この手段は、組成物の小片の摩耗を償うことによって、加熱される外表面と加熱装置との間の接触または一定の間隙を確実にする弾力的に変形可能な部材を含み得る。
【0048】
これらの手段はまた、適切な場合には、発熱量を調節するための、例えば外表面が熱源からさらに離れている場合発熱量を増加させるための、温度センサーを含み得る。
【0049】
運動摩擦係数
製品の運動摩擦係数を特性決定するために、100mmの距離に亘りボールベアリング上を移動するキャリッジを含む機械を使用し得る。
【0050】
キャリッジの正確な動きは、水平に置かれた牽引-圧縮機(Rheo社製のTAXT2)の移動クロスヘッドとの固定した連結によって確実となり、キャリッジの背面に磁石が付着している。
【0051】
その運動摩擦係数を評価しようとする製品Sを、滑り面Wと平行の平らな接触表面を有するように、スティックに対してワイヤーを100mm/分の速度でその長手方向の軸線と垂直に移動させることによって、直径250μmのタングステンワイヤーの一端で切断する。
【0052】
滑り面Wにおいて、重量による垂直力Fnがそこにかかる。この重量は、Wと接触している製品Sの表面上にかかる圧力が7.9×10-3MPaであるような重量である。
【0053】
製品は、円柱状ワンドの形状であってよい。
【0054】
ワンドの断面が円形ではない場合、スティックは、大軸をそれ自体に平行に動かすことによって、その断面の小軸の方向にスライドさせる。
【0055】
摩擦係数は、FIG15に図示されているように、Mの方向に動く本体にかかる切線分力Ftと、この同じ本体が受ける垂直力Fnの比として定義される。
【0056】
摩擦試験において、システムの動き始めの第1の移行相および連続形態の第2相は、区別され得る。
【0057】
第1相において切線分力が増加し、システムの動き始めに相当する最大値に達する。この最大値は、静止Ftとして知られている静止摩擦力に相当し、静止摩擦係数(μs)を定義することが可能となる
μs=静止Ft/Fn
(式中、Fnは加えられた垂直力である)。
【0058】
次いで、切線分力Ftが減少し、全体的により安定的な形態に達する。運動摩擦係数は、動きのこの相において、運動摩擦力(切線分力)と加えられた垂直力(Fn)の比として定義される。
μd=動的Ft/Fn
【0059】
摩擦係数は、接触している2つの表面および接触条件によって決まる無次元量である。
【0060】
滑り面は、スティックの断面以上の幅を有する、Maprecos社製の参照名Bio Skin Plate Black K275の人工皮膚によって画定される。
【0061】
25℃での測定のために、器具および組成物は両方とも25℃である。
【0062】
人工皮膚を、運動摩擦係数を測定するのに望ましい温度に加熱し得る支持体上に置く。当初25℃の温度のワンドを、このように例えば45℃に加熱された人工皮膚(測定を45℃で行う場合)に施用する。人工皮膚の表面温度は、光学温度計でモニターされ得る。
【0063】
特定の実施形態において、本発明による組成物の運動摩擦係数は、25℃で0.6、またはさらに0.7、またはさらに0.8以上である。25℃での本発明による組成物の運動摩擦係数は、5以下であってよい。
【0064】
特定の一実施形態によれば、スティックは、滑り面とのその接触部位の領域において12.7mmの直径を有し得るが、他の値、例えば7mm〜50mmの範囲が可能である。
【0065】
硬度測定プロトコル
本発明によって考慮されている組成物は、室温で相対的に硬く、熱の作用下で施用することができるほど十分に柔らかくなる。
【0066】
硬度は、チーズワイヤー法によって20℃で測定することができ、それは、好ましくは円柱である製品のワンドを、直径250μmの剛性タングステンワイヤーを用いて、ワイヤーをスティックに対して100mm/分のスピードで動かすことによって横方向に切断することにある。硬度は、20℃にてワイヤーによってスティック上に作用した最大剪断力に相当し、この力は、Indelco-Chatillon社製のDFGHS2引張試験機を使用して測定する。測定を3回繰り返し、次いで平均化する。
【0067】
上記の引張試験機を使用して読み取った3つの値の平均(Yと称する)は、グラムで示す。この平均をニュートンに変換し、次いでL(ワイヤーが通過する最長距離を表す)で割る。円柱状ワンドの場合、Lは、直径(メートル)に等しい。
【0068】
硬度は、下記の式によって変換される。
(Y×10-3×9.8)/L
【0069】
異なる温度での測定のために、スティック全体を、硬度が測定される温度に加熱する。
【0070】
この方法によれば、本発明の一態様による組成物の例の20℃での硬度は、80Nm-1超、特に100Nm-1超、好ましくは120Nm-1超である。
【0071】
好ましくは、本発明による組成物は特に、20℃で500Nm-1未満、特に400Nm-1未満、好ましくは300Nm-1未満の硬度を有する。
【0072】
本発明の組成物は、美容的にまたは皮膚科学的に許容され、すなわちそれは、ヒトの唇に施用することができる無毒性の生理学的に許容される媒体を含有する。本発明の目的のために、「美容的に許容される」という用語は、化粧品中に使用するのに適した心地良い外観、匂いおよび感触の組成物を意味する。
【0073】
ポリエステル
本発明による組成物は、少なくとも1種のポリエステルを含む。
【0074】
本発明において使用するのに適したポリエステルは有利には、ポリオール、ポリカルボン酸、非芳香族モノカルボン酸および芳香族モノカルボン酸を反応させることによって得ることができる。
【0075】
特に、本発明において使用するのに適したポリエステルは、
- 4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、
- 9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、
- 6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸と、
- 7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸と
を反応させることによって優先的に得ることができる。
【0076】
有利なことには、本発明のポリエステルは、
- 10重量%〜30重量%の、4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、
- 40重量%〜80重量%の、9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、
- 5重量%〜30重量%の、6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸と、
- 0.1重量%〜10重量%の、7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸と
を反応させることによって得ることができ、
含量は、ポリエステルの総重量に対する重量パーセントとして表す。
【0077】
本発明によって使用されるポリエステルは、テトラオールを含む。「テトラオール」という用語は、4個のヒドロキシル基を含むポリオールを意味する。
【0078】
ポリエステルの調製のために使用されるテトラオールは有利には、4〜10個の炭素原子を含有し、かつまた鎖(エーテル官能基)中に挿入された1個もしくは複数の酸素原子を場合により含む、直鎖状、分岐状および/または環状の飽和または不飽和の炭化水素をベースとする化合物である。明らかに、このようなテトラオールの混合物が使用され得る。
【0079】
テトラオールは特に、4〜10個の炭素原子を含有する飽和、直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする化合物であってよい。
【0080】
テトラオールは、ペンタエリトリトールまたはテトラメチロールメタン、エリトリトール、ジグリセロールおよびジトリメチロールプロパンから選択され得る。
【0081】
好ましくは、テトラオールは、ペンタエリトリトールおよびジグリセロールから選択される。
【0082】
よりさらに優先的には、テトラオールは、ペンタエリトリトールであってよい。
【0083】
テトラオール、またはテトラオール混合物の含量は、ポリエステルの総重量に対して10重量%〜30重量%、特に12重量%〜25重量%、よりさらに14重量%〜22重量%を表し得る。
【0084】
本発明によって使用されるポリエステルはまた、9〜23個の炭素原子、特に12〜22個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸を含む。
【0085】
「飽和モノカルボン酸」という用語は、式RCOOHの化合物を意味し、Rは、8〜22個の炭素原子、特に11〜21個の炭素原子を含有する飽和の直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする基である。明らかに、このようなモノカルボン酸の混合物が使用され得る。
【0086】
使用してもよい飽和モノカルボン酸の中で、単独でまたは混合物として、ノナン酸、イソノナン酸またはペラルゴン酸、デカン酸またはカプリン酸、ラウリン酸、トリデカン酸またはトリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキジン酸およびベヘン酸を挙げてよい。
【0087】
好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、イソノナン酸、ノナン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸またはベヘン酸、およびこれらの混合物が使用され得る。
【0088】
優先的には、イソステアリン酸またはステアリン酸が使用される。
【0089】
飽和モノカルボン酸が室温で液体であるとき、それは一般に、室温で液体であるポリエステルをもたらす。
【0090】
挙げることのできる液体モノカルボン酸には、ノナン酸、イソノナン酸およびイソステアリン酸が含まれる。
【0091】
飽和モノカルボン酸が室温で固体であるとき、それは一般に、室温で固体であるポリエステルをもたらす。
【0092】
挙げることのできる固体モノカルボン酸には、デカン酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸およびベヘン酸が含まれる。
【0093】
飽和モノカルボン酸、または前記酸の混合物の含量は、ポリエステルの総重量に対して40重量%〜80重量%、特に42重量%〜75重量%、またはさらに45重量%〜70重量%、よりさらに50重量%〜65重量%を表す。
【0094】
本発明によって使用されるポリエステルはまた、6〜12個の炭素原子、特に8個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸を含む。環状ジカルボン酸は、芳香族または非芳香族であってよい。環状ジカルボン酸は好ましくは、芳香族である。
【0095】
明らかに、このような環状ジカルボン酸の混合物が使用され得る。
【0096】
環状ジカルボン酸は、シクロプロパンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロブタンジカルボン酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ナフタレン-2,3-ジカルボン酸、およびナフタレン-2,6-ジカルボン酸、またはその混合物から選択され得る。
【0097】
好ましくは、環状ジカルボン酸は、フタル酸、テレフタル酸およびイソフタル酸から選択される。フタル酸は有利には、その無水形態で使用され得る。
【0098】
優先的には、環状ジカルボン酸は、イソフタル酸である。
【0099】
環状ジカルボン酸、またはこのような二酸の混合物は、ポリエステルの総重量に対して5重量%〜30重量%、好ましくは15重量%〜25重量%を表し得る。
【0100】
本発明によって使用されるポリエステルはまた、7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸を含む。
【0101】
「芳香族モノカルボン酸」という用語は、式R'COOHの化合物を意味し、R'は、6〜10個の炭素原子を含有する芳香族の炭化水素をベースとする基であり、R'は特に、1〜4個の炭素原子を含有する1〜3個のアルキル基で任意に置換されているフェニル基である。
【0102】
明らかに、このような芳香族モノカルボン酸の混合物が使用され得る。
【0103】
芳香族モノカルボン酸は、安息香酸および4-tert-ブチル安息香酸から選択され得る。
【0104】
芳香族モノカルボン酸は好ましくは、安息香酸である。
【0105】
前記芳香族モノカルボン酸、または前記酸の混合物は、ポリエステルの総重量に対して0.1重量%〜10重量%、特に0.5重量%〜9.95重量%、よりさらに1重量%〜9.5重量%、またはさらに1.5重量%〜8重量%を表す。
【0106】
好ましい一実施形態によれば、前記ポリエステルは、
- 12重量%〜25重量%の、4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、
- 40重量%〜75重量%の、9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、
- 15重量%〜25重量%の、6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸と、
- 0.5重量%〜9.95重量%の、7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸と
を反応させることによって得られ、
含量は、ポリエステルの総重量に対する重量パーセントとして表される。
【0107】
別の好ましい実施形態によれば、前記ポリエステルは、
- 14重量%〜22重量%の、4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、
- 45重量%〜70重量%の、9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、
- 15重量%〜25重量%の、6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸と、
- 1重量%〜9.5重量%の、7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸と
を反応させることによって得られ、
含量は、ポリエステルの総重量に対する重量パーセントとして表される。
【0108】
別の好ましい実施形態によれば、前記ポリエステルは、
- 14重量%〜22重量%の、4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、
- 50重量%〜65重量%の、9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、
- 15重量%〜25重量%の、6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸と、
- 1.5重量%〜8重量%の、7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸と
を反応させることによって得られ、
含量は、ポリエステルの総重量に対する重量パーセントとして表される。
【0109】
本発明によって使用されるポリエステルの好ましい一実施形態において、芳香族モノカルボン酸は、直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸のモル量以下のモル量で存在する。特に、芳香族モノカルボン酸のモル数と直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸のモル数の比は、0.08〜0.70の範囲である。前記重量比は好ましくは、0.10〜0.60、さらに優先的には0.12〜0.40の範囲である。
【0110】
本発明の一実施形態によれば、本発明のポリエステルは、安息香酸/イソフタル酸/イソステアリン酸/ペンタエリトリトールポリエステルおよび安息香酸/イソフタル酸/ステアリン酸/ペンタエリトリトールポリエステル、ならびにこれらの混合物から選択され得る。
【0111】
これらのモノマーは特に、上記のモノマー濃度範囲で使用される。
【0112】
好ましくは、ポリエステルは、
-1以上、特に2〜30、またよりさらに2.5〜15の酸価(ポリエステル1g当たり水酸化カリウムのmgとして表す)、および/または
-40以上、特に40〜120、よりさらに40〜80のヒドロキシル価(ポリエステル1g当たり水酸化カリウムのmgとして表す)
を有する。
【0113】
通常の分析方法によって、当業者は、これらの酸価およびヒドロキシル価を容易に決定し得る。
【0114】
好ましくは、本発明のポリエステルは、3000〜1000000g/mol、またはさらに3000〜300000g/molの重量平均分子量(Mw)を有する。
【0115】
平均分子量は、考察中のポリマーの溶解度によって、ゲル浸透クロマトグラフィーまたは光散乱によって決定され得る。
【0116】
好ましくは、本発明のポリエステルは、110℃で測定して、20〜4000mPa.s、特に30〜3500mPa.s、またはさらに40〜3000mPa.s、よりさらに50〜2500mPa.sの粘度を有する。この粘度は、本明細書の上記に記載されている態様で測定される。
【0117】
好ましい一実施形態によれば、ポリエステルは、室温で液体形態であってよい。液体ポリエステルは、40000〜1000000g/molの範囲の、好ましくは50000〜300000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0118】
液体ポリエステルは、110℃で測定して1000〜4000mPa.sの範囲の、好ましくは1500〜3000mPa.sの範囲の粘度を有し得る。
【0119】
特に、液体ポリエステルは、安息香酸/イソフタル酸/イソステアリン酸/ペンタエリトリトールポリエステルでよく、これらのモノマーは特に、上記のモノマー濃度範囲で存在する。
【0120】
別の実施形態によれば、ポリエステルはまた、室温で固体形態であってよい。固体ポリエステルは、3000〜30000g/molの範囲の、好ましくは8000〜15000g/molの範囲の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0121】
固体ポリエステルは、80℃で測定して20〜1000mPa.sの範囲の、好ましくは50〜600mPa.sの範囲の粘度を有し得る。
【0122】
特に、固体ポリエステルは、安息香酸/イソフタル酸/ステアリン酸/ペンタエリトリトールポリエステルであってよく、これらのモノマーは特に、上記のモノマー濃度範囲で存在する。
【0123】
本発明のポリエステルは、特許出願EP-A-1870082に記載されている合成方法によって調製され得る。
【0124】
本発明のポリエステルの粘度は、本明細書の上記に記載されている態様で測定され得る。
【0125】
ポリエステルの80℃または110℃での粘度は、Brookfield CAP1000+タイプの円錐プレートを使用して測定する。
【0126】
適切な円錐プレートは、当業者の知識に基づいて当業者が決定し、特に、
- 50〜500mPa.sでは、02円錐、
- 500〜1000mPa.sでは、03円錐、
- 1000〜4000mPa.sでは、05円錐、および
- 4000〜10000mPa.sでは、06円錐が使用され得る。
【0127】
本発明の組成物中に存在するポリエステルの量は、組成物の総重量に対して1重量%〜60重量%、好ましくは2重量%〜50重量%、特に3重量%〜45重量%、またはさらに4重量%〜35重量%、よりさらに5重量%〜30重量%の範囲であってよい。
【0128】
本発明において使用するのに適したポリエステルは、化粧用油性媒体または溶剤、特に油、脂肪アルコールおよび/または脂肪エステル中で容易に移動され得る。
【0129】
本発明のポリエステルは、廃棄物を生成せずに、低コストで、単一の合成工程で容易に調製され得る。
【0130】
本発明において使用するのに適したポリエステルは有利には、ポリマー鎖を織り交ぜることによってネットワークを生じさせるように、それによって特に改善された残留性および改善された光沢に関して、ならびに溶解度に関して、所望の特性を得るように、分岐状であってよい。
【0131】
一実施形態によれば、本発明の組成物は、互いに異なる少なくとも2種のポリエステルを含み得る。
【0132】
好ましくは、ポリエステルは、組成物の総重量に対して1重量%〜60重量%、好ましくは5重量%〜50重量%、特に10重量%〜45重量%、またはさらに10重量%〜35重量%、よりさらに15重量%〜30重量%の範囲の含量で、本発明による組成物中に存在する。
【0133】
脂肪相
固体脂肪物質
本発明による組成物は、ワックスおよびペースト状脂肪物質、ならびにその混合物から選択される、少なくとも1種の固体脂肪物質を含む。
【0134】
ワックス
本発明の状況において考慮されるワックスは一般に、固体/液体の可逆的状態変化を伴い、200℃まで、特に120℃までであってよい。30℃以上の融点を有する、室温(25℃)で固体である親油性化合物である。
【0135】
本発明の一実施形態によれば、本発明において使用するのに適したワックスとして、脱毛ワックスは除外する。
【0136】
特に、本発明に適したワックスは、45℃以上の、特に55℃以上の融点を有し得る。
【0137】
本発明の目的のために、融点は、ISOスタンダード11357-3;1999に記載されているような熱分析(DSC)によって観察される最大の吸熱ピークの温度に相当する。ワックスの融点は、示差走査熱量計(DSC)、例えば、名称「MDSC2920」でTA Instruments社によって販売されている熱量計を使用して測定され得る。
【0138】
測定プロトコルは、下記の通りである。
るつぼに入れた5mgのワックスの試料を、10℃/分の加熱速度で-20℃から100℃の範囲の第1の温度上昇に供し、次いでそれを10℃/分の冷却速度で100℃から-20℃に冷却し、最後に5℃/分の加熱速度で-20℃から100℃の範囲の第2の温度上昇に供する。第2の温度上昇の間、空のるつぼ、およびワックスの試料を含有するるつぼによって吸収される力における差異の変動を、温度の関数として測定する。化合物の融点は、温度の関数としての吸収される力における差異の変動を表す曲線ピークのトップに相当する温度である。
【0139】
本発明による組成物において使用し得るワックスは、動物、植物、鉱物または合成由来の、室温で固体であるワックス、およびこれらの混合物から選択される。
【0140】
本発明において使用するのに適したワックスの例示として、特に炭化水素をベースとするワックス、例えば、蜜蝋、ラノリンワックスおよび中国昆虫ワックス、米ぬかワックス、カルナウバワックス、カンデリラワックス、オーリクリーワックス、アルファルファワックス、ベリーワックス、セラックワックス、木蝋およびウルシワックス、モンタンワックス、オレンジワックスおよびレモンワックス、マイクロクリスタリンワックス(参照名Microwax HWでParamelt社によって販売されているワックスなど)、パラフィンおよびオゾケライト、ポリエチレンワックス(名称Performalene500-LおよびPerformalene400でNew Phase Technologies社によって販売されているものなど)、ならびにフィッシャートロプシュ合成によって得たワックスを挙げてよい。
【0141】
直鎖状または分岐状C8〜C32脂肪鎖を有する動物または植物油の接触水添によって得られるワックスをさらに挙げてもよい。これらの中で、特に異性化ホホバ油(Desert Whale社によって商品参照名Iso-Jojoba-50(登録商標)で製造または販売されているtrans-異性化部分水添ホホバ油など)、水添ヒマワリ油、水添ヒマシ油、水添ヤシ油、水添ラノリン油、およびビス(1,1,1-トリメチロールプロパン)テトラステアレート(名称Hest2T-4S(登録商標)でHeterene社によって販売されている)を挙げてもよい。
【0142】
シリコーンワックス(C30〜45アルキルジメチコン)およびフルオロワックスについて挙げてもよい。
【0143】
名称Phytowax Ricin16L64(登録商標)および22L73(登録商標)でSophim社によって販売されている、セチルアルコールでエステル化されたヒマシ油の水添によって得られるワックスを使用することもまた可能である。このようなワックスは、特許出願FR-A-2792190に記載されている。
【0144】
単独でまたは混合物として、C20〜C40アルキル(ヒドロキシステアリルオキシ)ステアレート(20〜40個の炭素原子を含むアルキル基)をワックスとして使用することが可能である。このようなワックスは、特に名称Kester Wax K82P(登録商標)、Hydroxypolyester K82P(登録商標)、Kester Wax K80P(登録商標)およびKester Wax K82H(登録商標)でKoster Keunen社によって販売されている。
【0145】
本発明による組成物において使用され得るマイクロワックスとして特に、カルナウバマイクロワックス(名称MicroCare350(登録商標)でMicro Powders社によって販売されている製品など)、合成マイクロワックス(名称MicroEase114S(登録商標)でMicro Powders社によって販売されている製品など)、カルナウバワックスおよびポリエチレンワックスの混合物から形成されるマイクロワックス(名称MicroCare300(登録商標)および310(登録商標)でMicro Powders社によって販売されているものなど)、カルナウバワックスおよび合成ワックスの混合物から形成されるマイクロワックス(名称MicroCare325(登録商標)でMicro Powders社によって販売されている製品など)、ポリエチレンマイクロワックス(名称Micropoly200(登録商標)、220(登録商標)、220L(登録商標)および250S(登録商標)でMicro Powders社によって販売されているものなど)、ならびにポリテトラフルオロエチレンマイクロワックス(名称Microslip519(登録商標)および519L(登録商標)でMicro Powders社によって販売されているものなど)について挙げてもよい。
【0146】
本発明による組成物は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜50重量%、特に0.1重量%〜45重量%、例えば2重量%〜35重量%、4重量%〜30重量%、または特定の実施形態によれば、4重量%〜15重量%の範囲の含量のワックスを含み得る。
【0147】
ペースト状化合物
本発明による組成物はまた、少なくとも1種のペースト状化合物を含み得る。
【0148】
本発明の目的のために、「ペースト状化合物」という用語は、可逆的な固体/液体状態変化を起こし、固体状態において異方性結晶組織を有し、かつ23℃の温度で液体画分および固体画分を含む親油性脂肪族化合物を表すことを意図する。
【0149】
すなわち、ペースト状化合物の開始融点は、23℃未満である。23℃で測定したペースト状化合物の液体画分は、化合物の9重量%〜97重量%を表し得る。23℃でのこの液体画分は好ましくは、15重量%〜85重量%、さらに好ましくは40重量%〜85重量%を表す。
【0150】
23℃での重量によるペースト状化合物の液体画分は、23℃で消費される融解熱と、ペースト状化合物の融解熱の比と等しい。
【0151】
ペースト状化合物の融解熱は、固体状態から液体状態に変化するために化合物が消費する熱である。その塊の全てが固体形態であるとき、ペースト状化合物は固体状態であると考えられる。その塊の全てが液体形態であるとき、ペースト状化合物は液体状態であると考えられる。
【0152】
ペースト状化合物の融解熱は、ISOスタンダード11357-3:1999によって、毎分5℃または10℃の温度上昇を伴う、名称MDSC2920でTA Instruments社によって販売されている熱量計などの示差走査熱量計(DSC)を使用して得たサーモグラムの曲線下面積と等しい。ペースト状化合物の融解熱は、固体状態から液体状態への化合物の変化を起こすのに必要とされるエネルギーの量である。それはJ/gで表される。
【0153】
23℃で消費される融解熱は、固体状態から、液体画分および固体画分からなる23℃での状態へ変化する試料によって吸収されるエネルギーの量である。
【0154】
32℃で測定したペースト状化合物の液体画分は好ましくは、化合物の30重量%〜100重量%、好ましくは化合物の50重量%〜100重量%、さらに好ましくは60重量%〜100重量%を表す。32℃で測定したペースト状化合物の液体画分が100%と等しいとき、ペースト状化合物の融解範囲の終点の温度は、32℃以下である。
【0155】
32℃で測定したペースト状化合物の液体画分は、32℃で消費される融解熱とペースト状化合物の融解熱の比と等しい。32℃で消費される融解熱は、23℃で消費される融解熱と同じ態様で計算される。
【0156】
ペースト状化合物は好ましくは、合成化合物および植物由来の化合物から選択される。ペースト状化合物は、植物由来の出発物質から出発する合成によって得てもよい。
【0157】
ペースト状化合物は有利には、
i)ラノリンおよびその誘導体、
ii)ポリマーまたは非ポリマーのシリコーン化合物、
iii)ポリマーまたは非ポリマーのフルオロ化合物、
iv)ビニルポリマー、特に、
- オレフィンホモポリマーおよびオレフィンコポリマー、
- 水添ジエンホモポリマーおよびコポリマー、
- 好ましくはC8〜C30アルキル基を含有するアルキル(メタ)アクリレートのホモポリマーまたはコポリマーである、直鎖状または分岐状オリゴマー、
- ビニルピロリドン/エイコセンコポリマー(INCI名VP/エイコセンコポリマー)、例えば、会社ISPによって商品名Ganex V220F(登録商標)で販売されている製品、
- C8〜C30アルキル基を含有するビニルエーテルのホモポリマーおよびコポリマーであるオリゴマー、
v)1個または複数のC2〜C100、好ましくはC2〜C50ジオールの間のポリエーテル化からもたらされる脂溶性ポリエーテル、
vi)エステル、
vii)ならびにこれらの混合物
から選択され得る。
【0158】
エステルの中で、下記が特に好ましい。
- グリセロールオリゴマーのエステル、特にジグリセロールエステル、特にアジピン酸およびグリセロールの縮合物(グリセロールのヒドロキシル基のいくつかは、脂肪酸(ステアリン酸、カプリン酸、ステアリン酸およびイソステアリン酸、および12-ヒドロキシステアリン酸など)の混合物と反応している)、特にビス(ジグリセリル)ポリ(2-アシルアジペート)、特に、ブランド名Softisan649(登録商標)でSasol社によって販売されている製品など、
- プロピオン酸アラキジル(ブランド名Waxenol801でAlzoによって販売されている)、
- フィトステロールエステル、
- 脂肪酸トリグリセリドおよびその誘導体、
- ペンタエリトリトールエステル、
- 直鎖状もしくは分岐状のC4〜C50ジカルボン酸またはポリカルボン酸およびC2〜C50ジオールまたはポリオールの間の重縮合から得られる非架橋のポリエステル、
- 脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステルと脂肪族カルボン酸とのエステル化からもたらされるエステルの脂肪族エステル、
- 脂肪族酸および水酸化脂肪族エステルとのエステル化からもたらされるエステル(これらのエステルは、a)脂肪族モノカルボン酸またはポリカルボン酸と、b)水酸化脂肪族エステル、特にヒドロキシカルボン酸エステルとのエステル化からもたらされ得る)、
- 適切な場合には酸またはアルコール基を有するそれらの遊離アルコールまたは酸官能基上でエステル化されている、ジオールダイマーと二酸ダイマーとのエステル(特に、商品名Plandool-G(登録商標)で日本精化社によって販売されているビスベヘニル/イソステアリル/フィトステリルダイマージリノレイルなど)、
- ならびにこれらの混合物。
【0159】
ペースト状化合物の中で、ビスベヘニル/イソステアリル/フィトステリルダイマージリノレイル、ビス(ジグリセリル)ポリ(2-アシルアジペート)、ダイマージリノール酸水添ヒマシ油(例えば、高級アルコール工業によって販売されているRisocast DA-L)、およびイソステアリン酸水添ヒマシ油(例えば、日清製油によって販売されているSalacos HCIS(V-L))、またはこれらの混合物が、好ましくは選択される。
【0160】
ペースト状化合物の含量は、組成物の総重量に対して5重量%〜90重量%、特に5重量%〜50重量%、またはさらに特定の実施形態において、5重量%〜35重量%の範囲であってよい。
【0161】

好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の油を含む。
【0162】
「油」という用語は、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で液体である非水性化合物を意味する。
【0163】
油は、揮発性または不揮発性であってよい。
【0164】
本発明の目的のために、揮発性油は、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で、0.02mmHg〜300mmHg(2.66Pa〜40000Pa)の範囲の、よりさらに0.1〜90mmHg(13Pa〜12000Pa)の範囲の蒸気圧を有する。次に、非揮発性油は、0.02mmHg(2.66Pa)未満、よりさらに10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧に相当する。
【0165】
揮発性油は、シリコーン油、炭化水素をベースとする油またはフルオロ油であってよい。
【0166】
第1の変形によれば、揮発性油は、揮発性シリコーン油であってよい。
【0167】
「シリコーン油」という用語は、少なくとも1個のケイ素原子を含む、特にSi-O基を含む油を意味する。
【0168】
本発明に使用し得る揮発性シリコーン油は、40℃〜150℃の範囲の引火点、好ましくは55℃超および105℃以下、優先的には65℃〜95℃の範囲の引火点を有するシリコーン油から選択され得る。引火点は、特にISOスタンダード3679によって測定される。
【0169】
揮発性シリコーン油は、直鎖状または環状のシリコーン油(3〜7個のケイ素原子を含有する直鎖状または環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)など)から選択され得る。
【0170】
挙げてよいこのような油の例には、オクチルトリメチコン、ヘキシルトリメチコン、デカメチルシクロペンタシロキサン(シクロペンタシロキサンまたはD5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(シクロテトラジメチルシロキサンまたはD4)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、デカメチルテトラシロキサン(L4)、信越化学工業製のKF96A、ならびにポリジメチルシロキサン(参照名DC200(1.5cSt)、DC200(5cSt)およびDC200(3cSt)でDow Corningによって販売されているものなど)が含まれる。
【0171】
別の変形によれば、揮発性油は、揮発性の炭化水素をベースとする油であってよい。
【0172】
「炭化水素をベースとする油」という用語は、炭素および水素原子、ならびに任意に酸素および窒素原子から本質的に形成され、またはさらにそれらによって構成され、かつケイ素またはフッ素原子を含有しない油を意味する。それは、アルコール、エステル、エーテル、カルボン酸、アミンおよび/またはアミド基を含有し得る。
【0173】
揮発性の炭化水素をベースとする油(溶剤としても知られている)は、8〜16個の炭素原子を含有する炭化水素をベースとする油、特に分岐状C8〜C16アルカン、例えば、石油由来のC8〜C16イソアルカン(イソパラフィンとしても知られている)、例えば、イソドデカン(2,2,4,4,6-ペンタメチルヘプタンとしても知られている)、イソデカン、イソヘキサデカン、および例えば、商品名IsoparおよびPermethylで販売されている油、分岐状C8〜C16エステルおよびネオペンタン酸イソヘキシル、ならびにこれらの混合物から選択され得る。他の揮発性の炭化水素をベースとする油、例えば、石油蒸留物、特に名称Shell SoltでShell社によって販売されているものをまた使用し得る。好ましくは、揮発性溶剤は、8〜16個の炭素原子を含有する揮発性の炭化水素をベースとする油、およびこれらの混合物から選択される。
【0174】
本発明による組成物において使用し得る他の揮発性の炭化水素をベースとする溶剤(油)として、室温で液体のケトン(メチルエチルケトンまたはアセトンなど);短鎖エステル(3〜8個の総炭素数を含有する)(酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸プロピルまたはn-酢酸ブチルなど);室温で液体のエーテル(ジエチルエーテル、ジメチルエーテルまたはジクロロジエチルエーテルなど);アルコール、特に、2〜5個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の低級モノアルコール(エタノール、イソプロパノールまたはn-プロパノールなど)についてまた言及してもよい。
【0175】
好ましい一実施形態によれば、本発明によって使用される組成物は、組成物の総重量に対して5重量%未満、好ましくは0重量%〜30重量%の範囲の含量の揮発性油を含み、または代わりに揮発性油を含有しない。
【0176】
好ましい一実施形態によれば、本発明によって使用される組成物は、揮発性油を含有しない。
【0177】
非揮発性油
好ましい一実施形態によれば、本発明によって使用される組成物は、少なくとも1種の非揮発性油を含む。
【0178】
「非揮発性油」という用語は、室温および大気圧で少なくとも数時間ケラチン材料上に残り、かつ特に10-3mmHg(0.13Pa)未満の蒸気圧を有する油を意味する。非揮発性油はまた、上記で定義した条件下で、30分後に蒸発した量が0.07mg/cm2未満であるような蒸発速度を有するものとして定義され得る。
【0179】
非揮発性油は、炭化水素をベースとする油、シリコーン油またはフルオロ油であってよい。
【0180】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して1重量%〜90重量%、好ましくは5重量%〜80重量%、よりさらに10重量%〜75重量%、よりさらに20重量%〜70重量%、またよりさらに30重量%〜70重量%の範囲の含量の非揮発性油を含む。
【0181】
第1の実施形態によれば、本発明において使用される組成物は、少なくとも1種の500g/mol未満のモル質量を有する非揮発性油を含む。
【0182】
これらの油は、植物、鉱物または合成由来であってよい。
【0183】
本発明に使用し得る非揮発性油の例として、
- 炭化水素をベースとする植物油(4〜10個の炭素原子を含有する脂肪酸の液体トリグリセリドなど、例えば、ヘプタン酸もしくはオクタン酸トリグリセリド、ホホバ油またはスクアラン)、
- 12〜26個の炭素原子を含有する脂肪アルコール、例えば、オクチルドデカノール、2-ブチルオクタノール、2-ヘキシルデカノール、2-ウンデシルペンタデカノールまたはオレイルアルコール、
- エステル油
(-特に4〜22個の炭素原子の、特にオクタン酸、ヘプタン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ラウリン酸またはステアリン酸の脂肪酸エステル、例えば、ジオクタン酸プロピレングリコール、モノイソステアリン酸プロピレングリコールまたはジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、
- 合成エステル、例えば、式R1COOR2の油(式中、R1は、4〜25個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状の脂肪酸残基を表し、R2は、4〜25個の炭素原子を含有する特に分岐状の炭化水素をベースとする鎖を表し、ただし、R1+R2(すなわち、R1およびR2の炭素原子の合計)は、16〜30である)、例えば、ピュアセリンオイル(オクタン酸セトステアリル)、イソノナン酸イソノニル、C12〜C15安息香酸アルキル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、ステアリン酸2-オクチルドデシル、エルカ酸2-オクチルドデシル、イソステアリン酸イソステアリル、安息香酸2-オクチルドデシル、アルコールまたは多価アルコールオクタノエート、デカノエートまたはリシノレエート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-オクチルデシル、ミリスチン酸2-オクチルドデシルまたはコハク酸2-ジエチルヘキシル、
- 水酸化エステル、例えば、乳酸イソステアリル、ヒドロキシステアリン酸オクチル、ヒドロキシステアリン酸オクチルドデシルまたはステアリン酸グリセリル、ジイソノナン酸ジエチレングリコールなど)、
- 500g/mol未満の分子量を有するシリコーン油、例えば、直鎖状または環状のポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダントであるか、もしくはシリコーン鎖の末端にあるアルキル、アルコキシまたはフェニル基(これらの基は、2〜24個の炭素原子を含有する)を含むポリジメチルシロキサン、
- 12〜26個の炭素原子を含有する脂肪酸、例えば、オレイン酸、
- ならびにこれらの混合物
について言及してもよい。
【0184】
第1の実施形態によれば、本発明によって使用される組成物は、500g/mol未満の分子量を有する油を含有しない。
【0185】
別の実施形態によれば、本発明によって使用される組成物は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜80重量%、好ましくは0.1重量%〜60重量%、よりさらに0.1重量%〜50重量%、またよりさらに1重量%〜40重量%の範囲の含量の、500g/mol未満の分子量を有する非揮発性油の含量を含む。
【0186】
光沢のある油
好ましくは、本発明による組成物は、少なくとも1種の500g/mol超の分子量を有する非揮発性油(「光沢のある油」として知られている)を含む。
【0187】
光沢のある油は好ましくは、高いモル質量、すなわち500〜100000g/molの範囲の、好ましくは500〜25000g/molまたは代わりに500〜10000g/molの範囲のモル質量を有する。
【0188】
好ましくは、光沢のある油は、1.45以上の、特に1.45〜1.65の範囲の屈折率を有する。
【0189】
本発明に使用し得る光沢のある油は、
- 親油性ポリマー
(- ポリブチレン(Amoco社によって販売または製造されているIndopol H-100(モル質量MW=965g/mol)、Indopol H-300(MW=1340g/mol)またはIndopol H-1500(MW=2160g/mol)など)、
- 水添ポリイソブチレン(Amocoによって販売もしくは製造されているPanalane H-300E(MW=1340g/mol)、Synteal社によって販売もしくは製造されているViseal20000(MW=6000g/mol)およびWitco社によって販売もしくは製造されているRewopal PIB1000(MW=1000g/mol)など)、
- ポリデセンおよび水添ポリデセン(Mobil Chemicals社によって販売もしくは製造されているPuresyn10(MW=723g/mol)およびPuresyn150(MW=9200g/mol)など)、
- ビニルピロリドンコポリマー(ISP社によって販売もしくは製造されているビニルピロリドン/1-ヘキサデセンコポリマーであるAntaron V-216(MW=7300g/mol)など)など)、
- エステル
(- ペンタエリトリトールエステル、
- 芳香族酸と、4〜22個の炭素原子を含有するアルコールとのエステル、特にトリメリト酸トリデシル、
- 水酸化エステル(リンゴ酸ジイソステアリルまたはトリイソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=965g/mol)など)、
- 芳香族エステル(トリメリト酸トリデシル(MW=757g/mol)など)、
- 特許出願EP-A-0955039に開示されているものなどの分岐状脂肪アルコールまたは脂肪酸のC24〜C28エステル、特にクエン酸トリイソアラキジル(MW=1033.76g/mol)、テトライソノナン酸ペンタエリトリチル(MW=697g/mol)、トリイソステアリン酸グリセリル(MM=891g/mol)、グリセリルトリス(2-デシル)テトラデカノエート(MW=1143g/mol)、テトライソステアリン酸ペンタエリトリチル(MW=1202g/mol)、テトライソステアリン酸ポリグリセリル-2(MW=1232g/mol)またはペンタエリトリチルテトラキス(2-デシル)テトラデカノエート(MW=1538g/mol)、
- 下記一般式のジオールダイマーおよび二酸ダイマーのエステル
HO-R1-(-OCO-R2-COO-R1-)h-OH(式中、
R1は、ジリノール二酸の水添によって得られるジオールダイマーを表し、
R2は、水添ジリノール二酸残基を表し、
hは、1〜9の範囲の整数を表す)、
特に、日本精化社によって商品名Lusplan DD-DA5(登録商標)およびDD-DA7(登録商標)で販売されているジリノール二酸およびジリノレイルジオールダイマーのエステルなど)、
- シリコーン油(フェニルシリコーンなど)、ならびに
- その混合物
から選択され得る。
【0190】
好ましくは、光沢のある油が炭化水素をベースとする油であるとき、それは好ましくは、500〜10000g/mol、好ましくは500〜7500g/molの範囲のモル質量を有する。
【0191】
好ましくは、光沢のある油は、1.45以上の、特に1.45〜1.65の範囲の屈折率を有する。
【0192】
好ましくは、500g/mol超の分子量を有する油は、組成物の総重量に対して1重量%〜90重量%、好ましくは5重量%〜80重量%、よりさらに10重量%〜75重量%、よりさらに20重量%〜70重量%、またよりさらに30重量%〜70重量%を表し得る。
【0193】
好ましい一実施形態によれば、本発明による組成物は、少なくとも1種の不揮発性フェニルシリコーン油(「フェニルシリコーン」としてもまた公知である)を含む。
【0194】
特に、本発明による組成物は好ましくは、少なくとも1種の、500g/mol超の分子量を有するフェニルシリコーン油を含む(「光沢のある油」として公知である)。好ましくは、フェニルシリコーン油の重量平均分子量は、500〜10000g/mol、好ましくは500〜7500g/molである。
【0195】
「フェニルシリコーン油」という用語は、少なくとも1個のフェニル基で置換されているオルガノポリシロキサンを意味する。
【0196】
シリコーン油は、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサンおよび2-フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートから選択され得る。
【0197】
シリコーン油は、式
【0198】
【化1】

【0199】
に相当し得、式中、基Rは、互いに独立に、メチルまたはフェニルを表す。好ましくは、この式において、シリコーン油は、少なくとも3個のフェニル基、例えば少なくとも4個、少なくとも5個、または少なくとも6個のフェニル基を含む。
【0200】
本発明の好ましい一実施形態によれば、シリコーン油は、式A1に相当し、
【0201】
【化2】

【0202】
式中、基Rは、互いに独立に、メチルまたはフェニルを表す。好ましくは、この式において、前記オルガノポリシロキサンは、少なくとも3個のフェニル基、例えば少なくとも4個または少なくとも5個のフェニル基を含む。
【0203】
上記のフェニルオルガノポリシロキサンの混合物を使用し得る。
【0204】
言及してもよい例には、テトラフェニルまたはペンタフェニルオルガノポリシロキサンの混合物が含まれる。
【0205】
この実施形態によれば、シリコーン油は好ましくは、式
【0206】
【化3】

【0207】
に相当し、式中、Meは、メチル基を表し、Phは、フェニル基を表す。このようなフェニルシリコーンは特に、参照名Dow Corning555Cosmetic Fluid(INCI名:トリメチルペンタフェニルトリシロキサン)でDow Corningによって製造されている。参照名Dow Corning554Cosmetic Fluidがまた使用され得る。
【0208】
別の実施形態によれば、シリコーン油は、式
【0209】
【化4】

【0210】
に相当し、式中、Meは、メチル基を表し、yは、1〜1000であり、Xは、-CH2-CH(CH3)(Ph)を表す。
【0211】
別の実施形態によれば、シリコーン油は、式
【0212】
【化5】

【0213】
に相当し、式中、-OR'は、基-O-SiMe3を表し、yは、1〜1000であり、zは、1〜1000である。
【0214】
フェニルシリコーン油は、下記の式(VI)のフェニルシリコーンから選択することができ、
【0215】
【化6】

【0216】
式中、
- R1〜R10は、互いに独立に、飽和または不飽和の直鎖状、環状または分岐状のC1〜C30の炭化水素をベースとする基であり、
- m、n、pおよびqは、互いに独立に、整数0〜900であり、ただしm+n+qの合計は、0以外である。
【0217】
好ましくは、m+n+qの合計は、1〜100である。好ましくは、m+n+p+qの合計は、1〜900、よりさらに1〜800である。好ましくは、qは、0に等しい。
【0218】
フェニルシリコーン油は、下記の式(VII)のフェニルシリコーンから選択することができ、
【0219】
【化7】

【0220】
式中、
-R1〜R6は、互いに独立に、飽和または不飽和の直鎖状、環状または分岐状のC1〜C30の炭化水素をベースとする基であり、
-m、nおよびpは、互いに独立に、整数0〜100であり、ただし、n+mの合計は、1〜100である。
【0221】
好ましくは、R1〜R6は、互いに独立に、飽和、直鎖状または分岐状C1〜C30、特にC1〜C12の炭化水素をベースとする基、特に、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基を表す。
【0222】
R1〜R6は特に同一でよく、さらにメチル基でもよい。
【0223】
好ましくは、式(VII)において、m=1もしくは2もしくは3、および/またはn=0および/またはp=0もしくは1が適用されてもよい。
【0224】
25℃で5〜1500mm2/s(すなわち、5〜1500cSt)の粘度、好ましくは5〜1000mm2/s(すなわち、5〜1000cSt)の粘度を有する式(VI)のフェニルシリコーン油を使用し得る。
【0225】
式(VII)のフェニルシリコーン油として、フェニルトリメチコン(Belsil油、特に、Wacker製のBelsil PDM1000(1000cSt)およびBelsil PDM200(200cSt)、Rhone-Poulenc(28cSt)製の油Silbione70663V30またはジフェニルジメチコンなど)を使用することが特に可能である。括弧内の値は、25℃での粘度を表す。
【0226】
不揮発性シリコーン油は、式
【0227】
【化8】

【0228】
のシリコーンから選択することができ、式中、
R1、R2、R5およびR6は、一緒にまたは別々に、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基であり、
R3およびR4は、一緒にまたは別々に、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、またはアリール基であり、
Xは、1〜6個の炭素原子を含有するアルキル基、ヒドロキシル基またはビニル基であり、
nおよびpは、200000g/mol未満、好ましくは150000g/mol未満、より好ましくは100000g/mol未満の量平均分子量を有する油を生じさせるように選択する。
【0229】
特に、フェニルトリメチコン、フェニルジメチコン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン(特に、名称PH-1555HRIでDow Corningによって販売されている1,3,5-トリメチル-1,1,3,5,5-ペンタフェニルトリシロキサン)、およびこれらの混合物は好ましくは、フェニルシリコーン油として使用される。
【0230】
好ましくは、500g/mol超の分子量を有するフェニルシリコーン油(式A1の油など)は、組成物の総重量に対して1重量%〜90重量%、好ましくは5重量%〜80重量%、よりさらに10重量%〜75重量%、よりさらに20重量%〜70重量%、またよりさらに30重量%〜70重量%の範囲の含量で存在する。
【0231】
好ましくは、組成物がフェニルシリコーン油を含むとき、それは、組成物中に1〜20、好ましくは1.5〜10のフェニルシリコーン油/ポリエステルの重量比で存在する。
【0232】
好ましくは、組成物は、500g/mol超の分子量を有するフェニルシリコーン油、および少なくとも1種の500g/mol超の分子量を有する炭化水素をベースとする油を含む。
【0233】
上記の化合物に加えて、本発明による組成物はまた、特に本明細書で下記に定義されているような他の化合物を含み得る。これらのさらなる化合物の量は、本発明の状況において所望の効果に悪影響を与えないように、当業者が調節し得ることが理解される。
【0234】
特に、好ましい一実施形態によれば、本発明によって使用される組成物は、染料、充填剤、非揮発性油、ワックスまたはペースト状脂肪物質以外の構造化剤、半結晶性ポリマー、皮膜形成ポリマーおよびシリコーンポリアミドから選択される少なくとも1種のさらなる成分を含む。
【0235】
他の構造化剤
本発明による組成物はまた、上記で定義したようなワックス以外のさらなる構造化剤を含み得る。「構造化剤」という用語は、それが組み込まれる組成物の粘度を増加させることができる化合物を意味する。さらなる構造化剤によって特に、液体から固体の質感に及ぶ質感を有し得る組成物を得ることが可能になる。
【0236】
この点において、特に下記について言及してもよい
- 有機親和性クレイ、例えば、C10〜C22塩化アンモニウムで修飾されたヘクトライト、例えば、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムで修飾されたヘクトライト、例えば、名称Bentone38V(登録商標)でElementis社によって販売されている製品、
- ヒュームドシリカ、例えば、任意に疎水的に表面処理されたヒュームドシリカ(その粒径は1μm未満である)。この理由は、シリカの表面に存在するシラノール基の数の減少をもたらす化学反応によって、シリカの表面を化学修飾することが可能であることである。シラノール基を疎水基で置換することが特に可能である。その結果、疎水性シリカが得られる。疎水基は、以下であってよい。
1.特にヘキサメチルジシラザンの存在下でヒュームドシリカを処理することによって得られるトリメチルシロキシル基。このように処理されたシリカは、CTFA(第8版、2000)によって「シリル化シリカ」として公知である。それらは、例えば、参照名AerosilR812(登録商標)でDegussa社によって、およびCab-O-Sil TS-530(登録商標)でCabot社によって販売されている。
2.特にポリジメチルシロキサンまたはジメチルジクロロシランの存在下でヒュームドシリカを処理することによって得られるジメチルシリルオキシルまたはポリジメチルシロキサン基。このように処理されたシリカは、CTFA(第8版、2000)によって「ジメチルシリル化シリカ」として公知である。それらは、例えば、参照名AerosilR972(登録商標)およびAerosilR974(登録商標)でDegussa社によって、ならびにCab-O-Sil TS-610(登録商標)およびCab-O-Sil TS-720(登録商標)でCabot社によって販売されている。
- EP-A-708114に開示されているものなどのアルキルグアーガム(C1〜C6アルキル基を有する)、または例えば、セルロース誘導体(エチルセルロースなど、例えば、名称Ethocel(登録商標)でDow Chemical社によって販売されている製品)、
- 炭化水素をベースとするブロックコポリマー(ブロックコポリマーとしても知られている)、好ましくは液体脂肪相中で可溶性または分散性であるブロックコポリマー。
【0237】
炭化水素をベースとするブロックコポリマーは特に、ジブロック、トリブロック、マルチブロック、ラジアルもしくはスターコポリマー、またはその混合物であってよい。
【0238】
このような炭化水素をベースとするブロックコポリマーは、特許出願US-A-2002/005562および特許US-A-5221534に記載されている。
【0239】
言及してもよい好ましくは水添されているジブロックコポリマーには、スチレン-エチレン/プロピレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエンコポリマーおよびスチレン-エチレン/ブチレンコポリマーが含まれる。ジブロックポリマーは特に、名称Kraton(登録商標)G1701EでKraton Polymers社によって販売されている。
【0240】
言及してもよい好ましくは水添されているトリブロックコポリマーには、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブタジエン-スチレンコポリマー、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンコポリマー、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマーおよびスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーが含まれる。トリブロックコポリマーは特に、名称Kraton(登録商標)G1650、Kraton(登録商標)G1652、Kraton(登録商標)D1101、Kraton(登録商標)D1102およびKraton(登録商標)D1160でKraton Polymers社によって販売されている。
- ならびにこれらの混合物。
【0241】
このような他の構造化剤は、組成物の総重量に対して0.5重量%〜20重量%、特に0.5重量%〜10重量%の含量で本発明による組成物中に含まれ得る。
【0242】
半結晶性ポリマー
本発明による組成物はまた有利には、少なくとも1種の、その融点が30℃以上である有機構造の半結晶性ポリマーを含み得る。
【0243】
好ましくは、半結晶性ポリマーの総量は、組成物の総重量に対して0.1重量%〜45%、よりさらに0.5重量%〜40重量%、例えば1重量%〜35重量%、よりさらに1重量%〜20重量%、または3重量%〜30重量%、5重量%〜30重量%、またはさらに15重量%〜30重量%を表す。それは好ましくは、組成物の2重量%〜10重量%を表す。
【0244】
本発明の目的のために、「ポリマー」という用語は、少なくとも2個の繰り返し単位、好ましくは少なくとも3個の繰り返し単位、さらに特に少なくとも10個の繰り返し単位を含有する化合物を意味する。
【0245】
本発明の目的のために、「半結晶性ポリマー」という用語は、骨格において結晶化可能な部分およびアモルファス部分を含み、かつ特に融解(固体-液体転移)の一次可逆的相変化温度を有するポリマーを意味する。結晶化可能な部分は、側鎖(もしくはペンダント鎖)または骨格におけるブロックである。
【0246】
半結晶性ポリマーの結晶化可能な部分がポリマー骨格のブロックであるとき、この結晶化可能なブロックは、アモルファスブロックの化学的性質と異なる化学的性質を有する。この場合、半結晶性ポリマーは、例えば、ジブロック、トリブロックまたはマルチブロックタイプのブロックコポリマーである。結晶化可能な部分が、骨格上でペンダントである鎖であるとき、半結晶性ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーであってよい。
【0247】
「有機化合物」および「有機構造を有する」という用語は、炭素原子および水素原子および任意にヘテロ原子(S、O、NもしくはPなど)を単独でまたは組み合わせて含有する化合物を意味する。
【0248】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは150℃未満である。
【0249】
半結晶性ポリマーの融点は、好ましくは30℃以上および100℃未満である。さらに好ましくは、半結晶性ポリマーの融点は好ましくは、30℃以上および70℃未満である。
【0250】
本発明による半結晶性ポリマーは、30℃以上の融点を有し、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で固体である。融点値は、毎分5℃または10℃の温度上昇を伴う、名称DSC30でMettler社によって販売されている熱量計などの示差走査熱量計(DSC)を使用して測定した融点に相当する(考慮される融点は、サーモグラムの最大の吸熱ピークの温度に相当する点である)。
【0251】
本発明による半結晶性ポリマーは好ましくは、前記組成物を受け入れることを意図するケラチンの支持体(特に皮膚または唇)の温度より高い融点を有する。
【0252】
本発明によれば、半結晶性ポリマーは有利には、それらの融点より高い温度で、特に少なくとも1重量%まで脂肪相中で可溶性である。結晶化可能な鎖またはブロック以外に、ポリマーのブロックはアモルファスである。
【0253】
本発明の目的のために、「結晶化可能な鎖またはブロック」という表現は、それが融点より上または下であるかによって、それが単独で得られた場合、アモルファス状態から結晶状態に可逆的に変化する鎖またはブロックを意味する。本発明の目的のために、「鎖」は、ポリマー骨格に対してペンダントまたは横方向である原子の群である。「ブロック」は、骨格に属する原子の群であり、この群はポリマーの繰り返し単位の1つを構成する。
【0254】
好ましくは、半結晶性ポリマーのポリマー骨格は、それらの融点を超える温度で脂肪相中で可溶性である。
【0255】
好ましくは、半結晶性ポリマーの結晶化可能なブロックまたは鎖は、各ポリマーの総重量に対して少なくとも30%、よりさらに少なくとも40%を表す。結晶化可能な側鎖を含有する半結晶性ポリマーは、ホモポリマーまたはコポリマーである。結晶化可能なブロックを含有する本発明の半結晶性ポリマーは、ブロックまたはマルチブロックコポリマーである。それらは、反応性(もしくはエチレン)二重結合を含有するモノマーを重合することによって、または重縮合によって得られ得る。本発明のポリマーが結晶化可能な側鎖を含有するポリマーであるとき、これらの側鎖は有利には、ランダムまたは統計的形態である。
【0256】
好ましくは、本発明の半結晶性ポリマーは、合成由来である。
【0257】
好ましい一実施形態によれば、半結晶性ポリマーは、
- 結晶化可能な疎水性側鎖を担持する1種または複数のモノマーの重合から得られる単位を含むホモポリマーおよびコポリマー、
- 骨格中に少なくとも1個の結晶化可能なブロックを担持するポリマー、
- 脂肪族または芳香族または脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合物、
- メタロセン触媒作用によって調製されるエチレンおよびプロピレンのコポリマー
から選択される。
【0258】
本発明に使用し得る半結晶性ポリマーは特に、
-そのモノマーが、EP-A-0951897に記載されている、制御された結晶化のポリオレフィンのブロックコポリマー、
-特に脂肪族もしくは芳香族ポリエステルタイプ、または脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合物、
-メタロセン触媒作用によって調製されるエチレンおよびプロピレンのコポリマー、
-骨格中に、少なくとも1個の結晶化可能な側鎖を担持するホモポリマーまたはコポリマー、および少なくとも1個の結晶化可能なブロックを担持するホモポリマーまたはコポリマー、例えば、文献US-A-5156911に記載されているもの、
-文献WO-A-01/19333に開示されているものなどの、少なくとも1個の結晶化可能な側鎖を担持する、特にフルオロ基を担持するホモポリマーまたはコポリマー、
-ならびにこれらの混合物
から選択し得る。
【0259】
最後の2つの場合において、結晶化可能な側鎖またはブロックは、疎水性である。
【0260】
A)結晶化可能な側鎖を含有する半結晶性ポリマー
特に文献US-A-5156911およびWO-A-01/19333において定義されているものについて言及してもよい。
【0261】
それらは、50重量%〜100重量%の、結晶化可能な疎水性側鎖を担持する1種または複数のモノマーの重合から得られる単位を含むホモポリマーまたはコポリマーである。
【0262】
これらのホモポリマーまたはコポリマーは任意の性質のものであり、ただしそれらは、本明細書において上記に記載した条件を満たし、特に、それらの融点mpを超えて加熱することによって脂肪相中で可溶性または分散性であるという特徴を有する。それらは、
-重合に関して反応性またはエチレン二重結合、すなわち、ビニル、(メタ)アクリルまたはアリル基を含有する1種または複数のモノマーの重合、特に、遊離基重合から、
-共反応性基(カルボン酸、スルホン酸、アルコール、アミンまたはイソシアネート)を担持する1種または複数のモノマー、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテルまたはポリ尿素の重縮合から
生じさせることができる。
【0263】
a)一般に、本発明による半結晶性ポリマーの結晶化可能な単位(鎖またはブロック)は、半結晶性ポリマーを製造するために使用される結晶化可能なブロックまたは鎖を含有するモノマー由来である。これらのポリマーは特に、式Xによって表され得る結晶化可能な鎖を含有する少なくとも1種のモノマーの重合からもたらされるホモポリマーおよびコポリマーから選択され、
【0264】
【化9】

【0265】
式中、Mは、ポリマー骨格の原子を表し、
Cは、結晶化可能な基を表し、
Sは、スペーサーを表す。
【0266】
結晶化可能な鎖「-S-C」は、脂肪族または芳香族であってよく、かつ任意にフッ素化または過フッ素化され得る。「C」は特に、直鎖状または分岐状または環状であってよい。基(CH2)nを表し、nは、12〜40の範囲の整数である。好ましくは、「C」は、直鎖状基である。好ましくは、「S」および「C」は異なる。
【0267】
結晶化可能な鎖が炭化水素をベースとする脂肪族鎖であるとき、それらは、少なくとも12個の炭素原子、40個以下の炭素原子、よりさらに24個以下の炭素原子を含有する炭化水素をベースとするアルキル鎖を含む。それらは特に、少なくとも12個の炭素原子を含有する脂肪族鎖またはアルキル鎖であり、それらは好ましくは、C14〜C24、好ましくはC16〜C22アルキル鎖である。それらがフルオロアルキルまたはペルフルオロアルキル鎖であるとき、それらは、少なくとも11個の炭素原子を含有し、その炭素原子の少なくとも6個はフッ素化されている。
【0268】
結晶化可能な鎖を含有する半結晶質ホモポリマーまたはコポリマーの一例として、下記のモノマーの1つまたは複数の重合から得られるものについて言及してもよい。アルキル基がC14〜C24である飽和アルキルの(メタ)アクリレート、C11〜C15ペルフルオロアルキル基を有するペルフルオロアルキル(メタ)アクリレート、アルキル基がC14〜C24であり、フッ素原子を有するまたは有さないN-アルキル(メタ)アクリルアミド、アルキルまたはペルフルオロアルキル鎖を含有し、アルキル基がC14〜C24であるビニルエステル(ペルフルオロアルキル鎖毎に少なくとも6個のフッ素原子を有する)、アルキルまたはペルフルオロアルキル鎖を含有し、アルキル基がC14〜C24であるビニルエーテル(ペルフルオロアルキル鎖毎に少なくとも6個のフッ素原子を有する)、C14〜C24α-オレフィン(例えば、オクタデセン、12〜24個の炭素原子を含有するアルキル基を有するパラアルキルスチレンなど)、ならびにこれらの混合物。
【0269】
ポリマーが重縮合からもたらされるとき、上記定義のような炭化水素をベースとしたおよび/またはフッ素化した結晶化可能な鎖は、二酸、ジオール、ジアミンまたはジイソシアネートであってよい。モノマーによって担持されている。
【0270】
本発明の対象であるポリマーがコポリマーであるとき、それらは0〜50%の極性もしくは非極性モノマーまたは2つの混合物である基Yを任意に含有する。
【0271】
Yが極性モノマーであるとき、それは、ポリオキシアルキレン化基(特に、オキシエチレン化および/またはオキシプロピレン化基)を担持するモノマー、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ヒドロキシエチルアクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド(例えば、N,N-ジイソプロピルアクリルアミドなど)、またはN-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニルカプロラクタム、少なくとも1個のカルボン酸基(例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸またはフマル酸)を担持するモノマー、またはカルボン酸無水物基を担持するモノマー(例えば、無水マレイン酸)、およびこれらの混合物である。
【0272】
Yが非極性モノマーであるとき、それは、直鎖状、分岐状または環状のアルキル(メタ)アクリレートタイプのエステル、ビニルエステル、アルキルビニルエーテル、α-オレフィン、スチレン、もしくはC1〜C10アルキル基で置換されているスチレン、例えば、α-メチルスチレン、またはビニル不飽和を含有するポリオルガノシロキサンタイプのマクロモノマーであってよい。
【0273】
本発明の目的のために、「アルキル」という用語は、他に断りのない限り、特にC8〜C24の飽和基を意味する。
【0274】
好ましくは、結晶化可能な側鎖を含有する半結晶性ポリマーは、上記定義のようなアルキル基を有する、特にC14〜C24の、アルキル(メタ)アクリレートまたはアルキル(メタ)アクリルアミドホモポリマー、これらのモノマーと好ましくは(メタ)アクリル酸と異なる性質の親水性モノマー(例えば、N-ビニルピロリドンまたはヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)とのコポリマー、ならびにこれらの混合物である。
【0275】
有利なことには、結晶化可能な側鎖を含有する半結晶性ポリマーは、5000〜1000000、好ましくは10000〜800000、優先的には15000〜500000、さらに好ましくは100000〜200000の範囲の重量平均分子量Mpを有する。
【0276】
本発明による組成物において使用し得る半結晶性ポリマーの特定の例として、パンフレット「Intelimer(登録商標)ポリマー」、Landec IP22(Rev.4-97)に記載されている、Landec社製のIntelimer(登録商標)製品について言及してもよい。これらのポリマーは、室温(25℃)で固体形態である。それらは、結晶化可能な側鎖を担持し、前述の式Xを有する。それらは、本発明による組成物中に含まれ得る半結晶性ポリマーとして特に適しているポリ(C10〜C30)アルキルアクリレートである。これらのポリマーは、特に15000〜500000、好ましくは100000〜200000の範囲の分子量を有し得る。
【0277】
例えば、約145000の分子量および49℃の融点を有するアクリル酸ポリステアリルを有する、Landec社製の製品Intelimer(登録商標)IPA13-1が選択される。
【0278】
半結晶性ポリマーは特に、特許US-A-5156911の実施例3、4、5、7および9において記載されているものでよく、より特定すると、
-1/16/3の比のアクリル酸、アクリル酸ヘキサデシル、およびアクリル酸イソデシルと、
-1/19の比のアクリル酸、およびアクリル酸ペンタデシルと、
-2.5/76.5/20の比のアクリル酸、アクリル酸ヘキサデシル、およびアクリル酸エチルと、
-5/85/10の比のアクリル酸、アクリル酸ヘキサデシル、およびアクリル酸メチルと、
-2.5/97.5の比のアクリル酸、およびポリオクタデシル(メタ)アクリレートと
の共重合由来のものである。
【0279】
44℃の融点を有する文献US-A-5736125に記載されている製品などの、National Starch製のポリマー構造「O」を使用することもまた可能である。
【0280】
半結晶性ポリマーは特に、文献WO-A-01/19333の実施例1、4、6、7および8に記載されているような、フルオロ基を含む結晶化可能なペンダント鎖を有する半結晶性ポリマーであってよい。
【0281】
文献US-A-5519063またはEP-A-550745に記載されているような、アクリル酸ステアリルおよびアクリル酸またはNVPの共重合によって得られる半結晶性ポリマーを使用することもまた可能である。
【0282】
文献US-A-5519063およびEP-A-0550745に記載されているような、アクリル酸ベヘニルおよびアクリル酸またはNVPの共重合によって得られる半結晶性ポリマー、さらに特に、下記のポリマー調製の実施例3および4に記載されているものを使用することもまた可能である。
【0283】
B)骨格中に少なくとも1個の結晶化可能なブロックを担持するポリマー
これはまた、それらの融点mpを超えて加熱することによって脂肪相中で可溶性または分散性であるポリマーの例である。これらのポリマーは、異なる化学的性質の少なくとも2個のブロックからなる特にブロックコポリマーである(それらの1つは結晶化可能である)。
【0284】
骨格中に少なくとも1個の結晶化可能なブロックを担持するポリマーは、結晶化可能な鎖を含有するオレフィンまたはシクロオレフィンのブロックコポリマー、例えば、
-シクロブテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、ノルボルネン(すなわち、ビシクロ(2,2,1)-2-ヘプテン)、5-メチルノルボルネン、5-エチルノルボルネン、5,6-ジメチルノルボルネン、5,5,6-トリメチルノルボルネン、5-エチリデンノルボルネン、5-フェニルノルボルネン、5-ベンジルノルボルネン、5-ビニルノルボルネン、1,4,5,8-ジメタノ-1,2,3,4,4a,5,8a-オクタヒドロナフタレン、ジシクロペンタジエン、またはその混合物と、
-エチレン、プロピレン、1-ブテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンもしくは1-エイコセン、またはその混合物と
のブロック重合に由来するもの、
ならびに特にコポリ(エチレン/ノルボルネン)ブロックおよび(エチレン/プロピレン/エチリデン-ノルボルネン)ブロックターポリマーから選択し得る。上述したものなどの、少なくとも2個のC2〜C16、よりさらにC2〜C12α-オレフィンのブロック共重合から得られるもの、特にエチレンおよび1-オクテンのブロックビポリマーをまた使用し得る。
【0285】
骨格中に少なくとも1個の結晶化可能なブロックを担持するポリマーは、少なくとも1個の結晶化可能なブロックを含有するコポリマーから選択することができ、コポリマーの残りは(室温で)アモルファスである。これらのコポリマーはまた、異なる化学的性質の2個の結晶化可能なブロックを含有し得る。
【0286】
好ましいコポリマーは、順次に分布している疎水性および親油性の両方である、結晶化可能なブロックおよびアモルファスブロックを室温で同時に含有するものである。例えば、下記の結晶化可能なブロックの1つ、およびアモルファスブロックの1つを含有するポリマーについて言及してもよい。
-ポリエステルタイプの本来結晶化可能であるブロック、例えば、ポリ(アルキレンテレフタレート)、またはポリオレフィンタイプの本来結晶化可能であるブロック、例えば、ポリエチレンまたはポリプロピレン。
-アモルファスおよび親油性ブロック、例えば、アモルファスポリオレフィンまたはコポリ(オレフィン)(ポリ(イソブチレン)、水添ポリブタジエンまたは水添ポリ(イソプレン)など)。
【0287】
結晶化可能なブロックおよびアモルファスブロックを含有するこのようなコポリマーの一例として、
α)論文D6「Melting behavior of poly(-caprolactone)-block-polybutadiene copolymers」、S. Nojima、Macromolecules、32、3727〜3734(1999)に記載されているものなどの、好ましくは水添して使用される、ポリ(ε-カプロラクトン)-b-ポリ(ブタジエン)ブロックコポリマー、
β)論文D7「Study of morphological and mechanical properties of PP/PBT」、B. Boutevinら、Polymer Bulletin、34、117〜123(1995)に引用されている、水添ブロックまたはマルチブロックのポリ(ブチレンテレフタレート)-b-ポリ(イソプレン)ブロックコポリマー、
γ)論文D8「Morphology of semi-crystalline block copolymers of ethylene-(ethylene-alt-propylene)」、P. Rangarajanら、Macromolecules、26、4640〜4645(1993)およびD9「Polymer aggregates with crystalline cores: the system poly(ethylene)-poly(ethylene-propylene)」、P. Richterら、Macromolecules、30、1053〜1068(1997)に引用されている、ポリ(エチレン)-b-コポリ(エチレン/プロピレン)ブロックコポリマー、
δ)一般論文D10「Crystallization in block copolymers」、I.W. Hamley、Advances in Polymer Science、第148巻、113〜137(1999)に引用されている、ポリ(エチレン)-b-ポリ(エチルエチレン)ブロックコポリマー
について言及してもよい。
【0288】
C)脂肪族または芳香族または脂肪族/芳香族ポリエステルタイプの重縮合物
ポリエステル重縮合物は、脂肪族ポリエステルから選択し得る。それらのモル質量は、好ましくは200以上および10000以下、さらに好ましくは300以上および5000以下、好ましくは500以上および2000g/mol以下である。
【0289】
ポリエステル重縮合物は特に、ポリカプロラクトンから選択される。特に、ポリカプロラクトンは、ε-カプロラクトンホモポリマーから選択し得る。単独重合は、ジオール、特に2〜10個の原子を含有するジオール(ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオールまたはネオペンチルグリコールなど)で開始し得る。
【0290】
ポリカプロラクトンを使用し得る(例えば特に、名称CAPA(登録商標)240(68℃の融点および4000の分子量)、223(48℃の融点および2000の分子量)、222(48℃の融点および2000の分子量)、217(44℃の融点および1250の分子量)、2125(45℃の融点および1250の分子量)、212(45℃の融点および1000の分子量)、210(38℃の融点および1000の分子量)、205(39℃の融点および830の分子量)でSolvay社によって、またはPCL-300およびPCL-700でUnion Carbide社によって販売されているもの)。
【0291】
その融点が35〜45℃であり、その分子量が1250と等しいCAPA(登録商標)2125を、特に使用し得る。
【0292】
本発明の組成物中の半結晶性ポリマーは、部分的に架橋していてもよく、またはしていなくてもよく、ただし架橋度は、それらのポリマーの融点を超えて加熱することによって脂肪相におけるそれらの溶解または分散を妨げない。架橋はその場合には、重合の間の多官能性モノマーとの反応による化学的架橋であってよい。架橋はまたこの場合、ポリマーによって担持されている基の間の水素または双極性タイプの結合(例えば、カルボキシレートアイオノマーの間の双極性相互作用など)(これらの相互作用は少量であり、ポリマー骨格によって担持される)の確立によるものであってよく、あるいはポリマーによって担持される結晶化可能なブロックとアモルファスブロックとの間の相分離によるもので得る、物理的架橋であってよい。
【0293】
好ましくは、本発明による組成物中の半結晶性ポリマーは、架橋していない。
【0294】
D)メタロセン触媒作用によって調製されるエチレンおよびプロピレンのコポリマー
本発明の組成物の半結晶性ポリマーはまた、その内容が参照により本明細書中に組み込まれている特許US2007/0031361に開示されているものなどのメタロセン触媒作用によって得られるポリマーであってよい。
【0295】
これらのポリマーは、メタロセン触媒作用によって、すなわち低い圧力およびメタロセン触媒の存在下での重合によって調製される、エチレンおよびプロピレンのコポリマーである。
【0296】
この文献において記載されているメタロセン触媒作用によって得られるこれらのポリマーの重量平均分子量(Mw)は、25000g/mol以下であり、例えば、2000〜22000g/mol、よりさらに4000〜20000g/molの範囲である。
【0297】
この文献において記載されているメタロセン触媒作用によって得られるこれらのポリマーの数平均分子質量(Mn)は、好ましくは15000g/mol以下であり、例えば、1000〜12000g/mol、よりさらに2000〜10000g/molの範囲である。
【0298】
ポリマーの多分散性指数Iは、重量平均分子量Mwと数平均分子質量Mnの比に等しい。
【0299】
好ましくは、コポリマーの多分散性指数は、1.5〜10、好ましくは1.5〜5、好ましくは1.5〜3、よりさらに2〜2.5である。
【0300】
コポリマーは、その内容が参照により本明細書中に組み込まれている文献EP571882に記載されている方法によって、例えばメタロセン触媒作用を介して、公知の態様でエチレンおよび/またはプロピレンモノマーから得ることができる。
【0301】
メタロセン触媒作用によって調製されるエチレンおよびプロピレンのコポリマーは、未修飾または「極性」修飾(すなわち、極性基を含有するように修飾)され得る。極性修飾コポリマーは、空気などの、酸素を含有する気体による酸化によって、または極性モノマー(マレイン酸もしくはアクリル酸、または代わりにこれらの酸の誘導体など)でグラフトすることによって、公知の態様で上記のものなどの未修飾ホモポリマーおよびコポリマーから得ることができる。メタロセン触媒作用によって得られるポリオレフィンの極性修飾を可能にするこれらの2つの経路は、各々、文献EP890583およびUS5998547に記載されている(例えば、これらの2つの文献の内容は、参照により本明細書中に組み込まれている)。
【0302】
本発明によれば、特に好ましいメタロセン触媒作用によって調製されるエチレンおよび/またはプロピレンの極性修飾コポリマーは、親水性特性を有するように修飾されたポリマーである。言及してもよい例には、エチレンおよび/もしくはプロピレンホモポリマー、または親水基(無水マレイン酸、アクリレート、メタクリレート、ポリビニルピロリドン(PVP)など)の存在によって修飾されたコポリマーが含まれる。
【0303】
親水基(無水マレイン酸またはアクリレートなど)の存在によって修飾されたエチレンおよび/またはプロピレンホモポリマーまたはコポリマーが特に好ましい。
【0304】
言及してもよい例には、
-無水マレイン酸によって修飾されたポリプロピレンポリマー(PPMA)(Clariant社によって販売されている)、またはポリプロピレン-エチレン-無水マレイン酸コポリマー(Clariant社によって名称LicoCare、例えば、LicoCare PP207 LP3349、LicoCare CM401 LP3345、LicoCare CA301 LP3346およびLicoCare CA302 LP3347で販売されているものなど)
が含まれる。
【0305】
唇のための組成物との関連で、好ましくは40%未満の低い結晶化度を有する極性修飾ポリマーが好ましい。
【0306】
組成物はまた、少なくとも1種の皮膜形成ポリマーを含み得る。
【0307】
さらなるポリマー
本発明による組成物は、皮膜形成ポリマーを含有し得る。
【0308】
本発明において、「皮膜形成ポリマー」という用語は、それ自体でまたは皮膜形成補助剤の存在下で、ケラチン材料上に巨視的に連続的な付着物を形成することができるポリマーを意味する。組成物は、水相を含み得、皮膜形成ポリマーは、この水相中に存在し得る。この場合、それは好ましくは、分散しているポリマー、または両親媒性もしくは会合性ポリマーである。
【0309】
「分散しているポリマー」という用語は、様々なサイズの粒子の形態で存在する水不溶性ポリマーを意味する。ポリマーは、架橋していてもよく、またはしていなくてもよい。ポリマー粒子のサイズは典型的には、25〜500ナノメートル、好ましくは50〜200ナノメートルである。水性分散液中の下記のポリマーを使用し得る(Ganz Chemical製のUltrasol2075、大東化成工業製のDaitosol5000AD、Noveon製のAvalure UR450、National Starch製のDynamX、Interpolymer製のSyntran5760、Rohm & Haas製のAcusol OP301、およびAvecia製のNeocryl A1090)。
【0310】
アクリル分散物(名称Neocryl XK-90(登録商標)、Neocryl A-1070(登録商標)、Neocryl A-1090(登録商標)、Neocryl BT-62(登録商標)、Neocryl A-1079(登録商標)およびNeocryl A-523(登録商標)で、Avecia-Neoresins社によって、Dow Latex432(登録商標)で、Dow Chemical社によって、Daitosol5000AD(登録商標)またはDaitosol5000SJ(登録商標)で、大東化成工業社によって、Syntran5760(登録商標)で、Interpolymer社によって、Soltex OPTでRohm & Haas社によって販売されている)、アクリルまたはスチレン/アクリルポリマーの水性分散液(ブランド名Joncryl(登録商標)で、Johnson Polymer社によって販売されている)、またはポリウレタンの水性分散液(名称Neorez R-981(登録商標)およびNeorez R-974(登録商標)で、Avecia-Neoresins社によって、Avalure UR-405(登録商標)、Avalure UR-410(登録商標)、Avalure UR-425(登録商標)、Avalure UR-450(登録商標)、Sancure875(登録商標)、Sancure861(登録商標)、Sancure878(登録商標)およびSancure2060(登録商標)で、Goodrich社によって、Impranil85(登録商標)で、Bayer社によって、およびAquamere H-1511(登録商標)で、Hydromer社によって販売されている)、スルホポリエステル(ブランド名Eastman AQ(登録商標)で、Eastman Chemical Products社によって販売されている)、ならびにビニル分散物(例えば、Chimex社製のMexomer PAM(登録商標))、ならびにこれらの混合物は、水分散性皮膜形成ポリマー粒子の水性分散液の他の例である。
【0311】
「両親媒性または会合性ポリマー」という用語は、1種または複数の親水性部分(それによって、部分的に水溶性となる)、および1種または複数の疎水性部分(それによって、ポリマーが結合または相互作用する)を含むポリマーを意味する。下記の会合性ポリマーを使用してもよい。Elementis製のNuvis FX1100、Rohm & Haas製のAculyn22、Aculyn44およびAculyn46、Amerchol製のViscophobe DB1000。親水性ブロック(ポリアクリレートまたはポリエチレングリコール)から、および疎水性ブロック(ポリスチレンまたはポリシロキサン)から形成されるジブロックコポリマーをまた使用し得る。
【0312】
組成物は油性相を含み得、皮膜形成ポリマーはこの油性相中に存在し得る。ポリマーは、この場合、分散または溶解し得る。
【0313】
少なくとも1種の安定剤、特にブロック、グラフトまたはランダムポリマーで表面安定化し得る、1種もしくは複数のシリコーンおよび/または炭化水素をベースとする油中のポリマー粒子の非水性分散液の形態の、脂肪分散性非水性の皮膜形成ポリマー分散物の一例として、イソドデカン中のアクリル分散物、例えば、Chimex社製のMexomer PAP(登録商標)、および液体脂肪相中のグラフトエチレンポリマー、好ましくはアクリルポリマーの粒子の分散物(エチレンポリマーは、特に文献WO04/055081に記載されているように、さらなる安定剤の非存在下にて粒子の表面で有利には分散している)について言及してもよい。
【0314】
本発明の組成物において使用し得る皮膜形成ポリマーの中で、遊離基タイプまたは重縮合物タイプの合成ポリマー、および天然由来のポリマー、ならびにこれらの混合物について言及してもよい。
【0315】
「遊離基皮膜形成ポリマー」という表現は、不飽和、特にエチレン性不飽和モノマーの重合によって得られるポリマーを意味し、各モノマーは、(重縮合物とは異なり)ホモポリマー化することができる。
【0316】
遊離基タイプの皮膜形成ポリマーは、特にビニルポリマーまたはコポリマー、特にアクリルポリマーであってよい。
【0317】
ビニル皮膜形成ポリマーは、少なくとも1個の酸性基を含有するエチレン性不飽和モノマー、および/またはこれらの酸性モノマーのエステル、および/またはこれらの酸性モノマーのアミドの重合から得られ得る。
【0318】
使用し得る酸性基を担持するモノマーは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはイタコン酸などのα,β-エチレン不飽和カルボン酸である。好ましくは(メタ)アクリル酸およびクロトン酸が、およびさらに好ましくは(メタ)アクリル酸が使用される。
【0319】
酸性モノマーのエステルは有利には、(メタ)アクリル酸エステル((メタ)アクリレートとしても知られている)、特に、アルキル、特にC1〜C30、好ましくはC1〜C20アルキルの(メタ)アクリレート、アリール、特にC6〜C10アリールの(メタ)アクリレート、およびヒドロキシアルキル、特にC2〜C6ヒドロキシアルキルの(メタ)アクリレートから選択される。
【0320】
皮膜形成ポリマーは、特に、ポリウレタン、ポリアクリル酸、シリコーン、フルオロポリマー、ブチルゴム、エチレンコポリマー、天然ガムおよびポリビニルアルコール、ならびにこれらの混合物を含む、ブロックもしくはランダムポリマーおよび/またはコポリマーから選択し得る。
【0321】
ビニル皮膜形成ポリマーはまた、ビニルエステルおよびスチレンモノマーから選択されるモノマーの単独重合または共重合からもたらされ得る。
【0322】
言及してもよいビニルエステルの例は、酢酸ビニル、ネオデカン酸ビニル、ピバル酸ビニル、安息香酸ビニルおよびビニルt-ブチルベンゾエートである。
【0323】
言及してもよいスチレンモノマーは、スチレンおよびα-メチルスチレンである。
【0324】
言及してもよい皮膜形成重縮合物の中に、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステル-アミド、ポリアミド、エポキシエステル樹脂およびポリ尿素がある。
【0325】
ポリウレタンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性および両性のポリウレタン、ポリウレタン-アクリル樹脂、ポリウレタン-ポリビニルピロリドン、ポリエステル-ポリウレタン、ポリエーテル-ポリウレタン、ポリ尿素およびポリ尿素-ポリウレタン、ならびにこれらの混合物から選択し得る。
【0326】
ポリエステルは、公知の態様で、ジカルボン酸と、ポリオール、特にジオールとの重縮合によって得てもよい。
【0327】
本発明による組成物の一例によれば、皮膜形成ポリマーは、有機溶剤または油を含む液体脂肪相に溶解したポリマーであってよい。(皮膜形成ポリマーは、したがって脂溶性ポリマーと言われる)。液体脂肪相は好ましくは、非揮発性油と任意に混合した揮発性油を含む。
【0328】
言及してもよい脂溶性ポリマーの例は、ビニルエステル(ビニル基は、エステル基の酸素原子に直接結合しており、1〜19個の炭素原子の飽和、直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする基を含有するビニルエステルは、エステル基のカルボニルに結合している)、ならびに少なくとも1種の他のモノマー(ビニルエステル(既に存在するビニルエステル以外の)、α-オレフィン(8〜28個の炭素原子を含有する)、アルキルビニルエーテル(アルキル基は、2〜18個の炭素原子を含む)またはアリルもしくはメタリルエステル(エステル基のカルボニルに結合している、1〜19個の炭素原子の飽和、直鎖状または分岐状の炭化水素をベースとする基を含有する)であってよい。)のコポリマーである。
【0329】
これらのコポリマーは、ビニルタイプまたはアリルもしくはメタリルタイプ(テトラアリルオキシエタン、ジビニルベンゼン、オクタン二酸ジビニル、ドデカン二酸ジビニルおよびオクタデカン二酸ジビニルなど)であってよい。架橋剤の助けにより架橋し得る。
【0330】
言及してもよい脂溶性皮膜形成ポリマーの例には、ビニルエステルおよび少なくとも1種の他のモノマー(ビニルエステル、特にネオデカン酸ビニル、安息香酸ビニルおよびビニルt-ブチルベンゾエート、α-オレフィン、アルキルビニルエーテルまたはアリルもしくはメタリルエステルであってよい。)のコポリマーが含まれる。
【0331】
また言及してもよい脂溶性皮膜形成ポリマーの例は、脂溶性コポリマー、特に、9〜22個の炭素原子を含有するビニルエステル、またはアクリル酸アルキルもしくはメタクリル酸アルキル、および10〜20個の炭素原子を含有するアルキル基の共重合からもたらされるものである。
【0332】
このような脂溶性コポリマーは、ステアリン酸ポリビニル、ステアリン酸ポリビニル(ジビニルベンゼン、ジアリルエーテルまたはフタル酸ジアリルの補助で架橋している)、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ラウリン酸ポリビニルおよびポリラウリル(メタ)アクリレートのコポリマーから選択してもよく、これらのポリ(メタ)アクリレートは、エチレングリコールジメタクリレートまたはテトラエチレングリコールジメタクリレートの補助で架橋することが可能である。
【0333】
上記で定義した脂溶性コポリマーは公知であり、特に特許出願FR-A-2232303に記載されている。それらは、2000〜500000、好ましくは4000〜200000の範囲の重量平均分子量を有し得る。
【0334】
本発明に使用し得る脂溶性皮膜形成ポリマーとして、ポリアルキレン、特にC2〜C20アルケンのコポリマー(ポリブテン、直鎖状または分岐状、飽和または不飽和のC1〜C8アルキル基を有するアルキルセルロース、例えば、エチルセルロースおよびプロピルセルロースなど)についてもまた言及してもよい。
【0335】
本発明による組成物は、皮膜形成ポリマーと共に皮膜の形成を促進する可塑剤を含み得る。このような可塑剤は、所望の機能を満たすことができるものとして当業者には公知の任意の化合物から選択し得る。
【0336】
組成物はまた、水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含む少なくとも1種のポリマーを含み得る。
【0337】
水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むポリマー
特定の一実施形態によれば、水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むポリマーは、組成物中に、組成物の総重量に対して0.5重量%〜50重量%の範囲の、前記組成物の総重量に対して、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲の、よりさらに8重量%〜45重量%の範囲の、例えば10重量%〜40重量%の範囲の総含量で存在する。
【0338】
本発明によれば、水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むポリマーは、下記の2つのファミリーに属し得る。
1)水素相互作用を確立することができる少なくとも2個の基を含むポリマー(これらの2個の基は、ポリマー鎖中に位置している)、および/または
2)水素相互作用を確立することができる少なくとも2個の基を含むポリマー(これらの2個の基は、グラフトまたは分岐上に位置している)。
【0339】
本発明の目的のために、「ポリマー」という用語は、少なくとも2個の繰り返し単位、好ましくは少なくとも3個の繰り返し単位を含有する化合物を意味する。
【0340】
本発明の目的のために、「繰り返し単位」という用語は、直鎖状、分岐状または環状で、飽和または不飽和であってよい。、2〜80個の炭素原子、好ましくは2〜60個の炭素原子を含み、水素原子および任意に酸素原子を担持する単位を意味する。これらの単位の各々はまた、ポリマー骨格中にある1個または複数の非ペンダントヘテロ原子を含む。これらのヘテロ原子は、1個または複数の酸素原子と任意に合わせた、窒素、硫黄、リンおよびケイ素原子ならびにこれらの組合せから選択される。
【0341】
好ましくは、これらの基は、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、ウレタン、チオ尿素、オキサミド、グアニジノおよびビグアニジノ基、ならびにこれらの組合せから選択される。
【0342】
水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むポリマーとして、言及してもよい例には、
-その内容が参照により本明細書中に組み込まれている特許出願WO-A-02/056847およびWO-A-02/47619に記載されているような、a)少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素をベースとする繰り返し単位を有するポリマー骨格、ならびに任意にb)6〜120個の炭素原子を含有し、かつこれらの炭化水素をベースとする単位に結合している、任意に官能化された少なくとも1個のペンダント脂肪鎖および/または少なくとも1個の末端脂肪鎖を含む、100000未満の重量平均分子量を有するポリマー、特に、その内容が参照により本明細書中に組み込まれているUS-A-5783657に開示されているものなどのポリアミド樹脂(特に、12〜22個の炭素原子を含有するアルキル基を含む)、
-その内容が参照により本明細書中に組み込まれている特許出願EP-A-1266647、および第0216039号で出願された仏国特許出願に記載されているようなシリコーンポリアミド樹脂、
-単位毎に、少なくとも1個のカルボキシル基を含むオルガノポリシロキサン、好ましくは、少なくとも2個のカルボキシル基を含むオルガノポリシロキサン
が含まれる。
【0343】
水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むこのようなポリマーは、特にその内容が参照により本明細書中に組み込まれている特許出願EP-A-1400234に記載されており、下記でより詳細に記載する。
【0344】
シリコーンポリマー
本発明の第1の実施形態によれば、水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むポリマーは、シリコーンポリアミドである。
【0345】
シリコーンポリアミドは好ましくは、室温(25℃)および大気圧(760mmHg)で固体である。
【0346】
本発明の組成物のシリコーンポリアミドは、ポリオルガノシロキサンタイプのポリマー、例えば、文献US-A-5874069、US-A-5919441、US-A-6051216およびUS-A-5981680に記載されているものであってよい。
【0347】
本発明によれば、シリコーンポリマーは、下記の2つのファミリーに属し得る。
(1)少なくとも2個のアミド基を含むポリオルガノシロキサン(これらの2個の基は、ポリマー鎖中に位置している)、および/または
(2)少なくとも2個のアミド基を含むポリオルガノシロキサン(これらの2個の基は、グラフトまたは分岐上に位置している)。
【0348】
A)第1の変形によれば、シリコーンポリマーは、アミド単位がポリマー鎖中に位置している上記定義のようなポリオルガノシロキサンである。
【0349】
シリコーンポリアミドは、より特定すると少なくとも1個の一般式Iに相当する単位を含むポリマーであってよく、
【0350】
【化10】

【0351】
式中、
1)Gが、-C(O)-NH-Y-NH-を表すとき、G'は、C(O)を表し、Gが、-NH-C(O)-Y-C(O)-を表したとき、G'は、-NH-を表し、
2)同一または異なっていてもよいR4、R5、R6およびR7は、
-それらの鎖中に1個もしくは複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を場合により含有し、かつフッ素原子で部分的または完全に場合により置換されている、直鎖状、分岐状または環状の飽和または不飽和のC1〜C40の炭化水素をベースとする基、
-1個または複数のC1〜C4アルキル基で任意に置換されているC6〜C10アリール基、
-1個または複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を場合により含有しているポリオルガノシロキサン鎖
から選択される基を表し、
3)同一または異なっていてもよい基Xは、その鎖中に1個または複数の酸素および/または窒素原子を場合により含有している、直鎖状または分岐状のC1〜C30アルキレンジイル基を表し、
4)Yは、1個もしくは複数の酸素、硫黄および/または窒素原子を場合により含み、かつ/または置換基として下記の原子または原子の群の1つ(フッ素、ヒドロキシル、C3〜C8シクロアルキル、C1〜C40アルキル、C5〜C10アリール、1〜3個のC1〜C3アルキルで任意に置換されているフェニル、C1〜C3ヒドロキシアルキルおよびC1〜C6アミノアルキル基)を担持する、飽和または不飽和のC1〜C50直鎖状または分岐状の二価アルキレン、アリーレン、シクロアルキレン、アルキルアリーレンまたはアリールアルキレン基であり、あるいは
5)Yは、式に相当する基を表し、
【0352】
【化11】

【0353】
式中、
-Tは、ポリオルガノシロキサン鎖で任意に置換されており、O、NおよびSから選択される1個または複数の原子を場合により含有する、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和のC3〜C24三価または四価の炭化水素をベースとする基を表し、あるいはTは、N、PおよびAlから選択される三価原子を表し、
-R8は、ポリマーの別の鎖に場合により結合し得る、1個または複数のエステル、アミド、ウレタン、チオカルバメート、尿素、チオ尿素および/またはスルホンアミド基を場合により含む、直鎖状もしくは分岐状のC1〜C50アルキル基またはポリオルガノシロキサン鎖を表し、
6)nは、2〜500、好ましくは2〜200の範囲の整数であり、mは、1〜1000、好ましくは1〜700、よりさらに6〜200の範囲の整数である。
【0354】
本発明の一実施形態によれば、ポリマーの基R4、R5、R6およびR7の80%は好ましくは、メチル、エチル、フェニルおよび3,3,3-トリフルオロプロピル基から選択される。別の実施形態によれば、ポリマーの基R4、R5、R6およびR7の80%は、メチル基である。
【0355】
好ましくは、Yは、
a)直鎖状C1〜C20、好ましくはC1〜C10アルキレン基、
b)環および非共役不飽和を場合により含む分岐状C30〜C56アルキレン基、
c)C5〜C6シクロアルキレン基、
d)1個または複数のC1〜C40アルキル基で任意に置換されているフェニレン基、
e)1〜5個のアミド基を含むC1〜C20アルキレン基、
f)ヒドロキシル、C3〜C8シクロアルカン、C1〜C3ヒドロキシアルキルおよびC1〜C6アルキルアミン基から選択される1個または複数の置換基を含むC1〜C20アルキレン基、
g)下記のいずれかの式のポリオルカノシロキサン鎖
から選択される基を表し、
【0356】
【化12】

【0357】
式中、R4、R5、R6、R7、Tおよびmは、上記定義の通りである。
【0358】
B)第2の変形によれば、シリコーンポリアミドは、式(II)に相当する少なくとも1個の単位を含むポリマーであってよく、
【0359】
【化13】

【0360】
式中、
-同一または異なっていてもよいR4およびR6は、式(I)について上記定義の通りであり、
-R10は、R4およびR6について上記定義のような基を表し、あるいは式-X-G''-R12の基(式中、Xは、式(I)について上記定義の通りであり、R12は、水素原子、あるいはその鎖中にO、SおよびNから選択される1個もしくは複数の原子(1個もしくは複数のフッ素原子および/または1個もしくは複数のヒドロキシル基で任意に置換されている)を任意に含む、直鎖状、分岐状または環状の飽和または不飽和のC1〜C50の炭化水素をベースとする基、あるいは1個もしくは複数のC1〜C4アルキル基で任意に置換されているフェニル基を表し、G''は、-C(O)NH-および-HN-C(O)-を表す)を表し、
-R11は、式-X-G''-R12(式中、X、G''およびR12は、上記定義の通りである)の基を表し、
-m1は、1〜998の範囲の整数であり、
-m2は、2〜500の範囲の整数である。
【0361】
本発明によれば、シリコーンポリマーは、ホモポリマー、すなわち、いくつかの同一の単位、特に式(I)または式(II)の単位を含むポリマーであってよい。
【0362】
本発明によれば、いくつかの異なる式(I)の単位を含むコポリマーからなるポリマー、すなわち、基R4、R5、R6、R7、X、G、Y、mおよびnの少なくとも1個が、単位の1つにおいて異なるポリマーを使用することもまた可能である。コポリマーはまた、基R4、R6、R10、R11、m1およびm2の少なくとも1個が、単位の少なくとも1個において異なる式(II)のいくつかの単位から形成され得る。
【0363】
少なくとも1個の式(I)の単位および少なくとも1個の式(II)の単位を含むポリマーを使用することもまた可能であり、式(I)の単位および式(II)の単位は、場合により互いに同一または異なる。
【0364】
本発明の1つの変形によれば、エステル、アミド、スルホンアミド、カルバメート、チオカルバメート、尿素、ウレタン、チオ尿素、オキサミド、グアニジノおよびビグアニジノ基、ならびにこれらの組合せから選択される2個のアミド基を含む、少なくとも1個の炭化水素をベースとする単位をさらに含むポリマーを使用することもまた可能である。
【0365】
これらのコポリマーは、ブロックポリマーまたはグラフトポリマーであってよい。
【0366】
式(I)および(II)において、XまたはYを表すアルキレン基は、そのアルキレン部分中に下記の成分の少なくとも1つを任意に含有し得る。
1)1〜5個のアミド、尿素、ウレタンまたはカルバメート基、
2)C5またはC6シクロアルキル基、および
3)1〜3個の同一または異なるC1〜C3アルキル基で任意に置換されているフェニレン基。
【0367】
式(I)および(II)において、アルキレン基はまた、
-ヒドロキシル基、
-C3〜C8シクロアルキル基、
-1〜3個のC1〜C40アルキル基、
-1〜3個のC1〜C3アルキル基で任意に置換されているフェニル基、
-C1〜C3ヒドロキシアルキル基、および
-C1〜C6アミノアルキル基
からなる群から選択される少なくとも1種の成分で置換されていてもよい。
【0368】
これらの式(I)および(II)において、Yはまた、
【0369】
【化14】

【0370】
を表し、式中、R8は、ポリオルガノシロキサン鎖を表し、Tは、下記のいずれかの式の基を表し、
【0371】
【化15】

【0372】
式中、a、bおよびcは、独立に、1〜10の範囲の整数であり、R13は、水素原子、またはR4、R5、R6およびR7について定義したものなどの基である。
【0373】
式(I)および(II)において、R4、R5、R6およびR7は好ましくは、独立に、直鎖状または分岐状のC1〜C40アルキル基、好ましくはCH3、C2H5、n-C3H7またはイソプロピル基、ポリオルガノシロキサン鎖、または1〜3個のメチルもしくはエチル基で任意に置換されているフェニル基を表す。
【0374】
上記で見てきたように、ポリマーは、式(I)または(II)の同一または異なる単位を含み得る。
【0375】
したがって、ポリマーは、異なる長さの式(I)または(II)のいくつかの単位を含有するポリアミド、すなわち、式(III)に相当するポリアミドであってよく、
【0376】
【化16】

【0377】
式中、X、Y、nおよびR4〜R7は、上記で示した意味を有し、異なるm1およびm2は、1〜1000の範囲で選択され、pは、2〜300の範囲の整数である。
【0378】
この式において、単位は構造化され、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーまたは交互コポリマーを形成し得る。このコポリマーにおいて、単位は、異なる長さのものだけではなく、異なる化学構造のもの(例えば、異なる基Yを含有する)であってよい。この場合、ポリマーは、式IVに相当し得、
【0379】
【化17】

【0380】
式中、R4〜R7、X、Y、m1、m2、nおよびpは、上記で示した意味を有し、Y1はYとは異なるが、Yについて定義した基から選択される。上記のように、様々な単位は構造化され、ブロックコポリマーまたはランダムコポリマーまたは交互コポリマーを形成し得る。
【0381】
本発明のこの第1の実施形態において、シリコーンポリマーはまた、グラフトコポリマーから形成し得る。したがって、シリコーン単位を含有するポリアミドは、アミド基を含有するシリコーン鎖でグラフトされ、任意に架橋し得る。このようなポリマーは、三官能性アミンで合成し得る。
【0382】
本発明によれば、上記で見てきたように、シロキサン単位は、ポリマーの主鎖または骨格中に存在し得る、それらはまたグラフトまたはペンダント鎖中に存在し得る。主鎖において、シロキサン単位は、上記のようなセグメントの形態であってよい。ペンダントまたはグラフト鎖において、シロキサン単位は、個々にまたはセグメントで表され得る。
【0383】
本発明の一実施形態の変形によれば、シリコーンポリアミドおよび炭化水素をベースとするポリアミドのコポリマー、または式(I)もしくは(II)の単位および炭化水素をベースとするポリアミド単位を含むコポリマーを使用し得る。この場合、ポリアミド-シリコーン単位は、炭化水素をベースとするポリアミドの末端に位置し得る。
【0384】
有利なことには、組成物は、少なくとも1種のポリアミド/ポリジメチルシロキサンポリマー、特に、50超、特に75超、特に50〜200、例えば約100の指数mを有する一般式(I)のポリマーを含む。
【0385】
有利なことには、式(I)のシリコーンポリアミドは、10000〜500000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。
【0386】
さらに好ましくは、XおよびYは、独立に、直鎖状のC1〜C20、好ましくはC1〜C10アルキレン基から選択される基を表す。
【0387】
使用し得るポリマーの一例として、参照名DC2-8179でDow Corningによって販売されている製品などの、文献US-A-5981680の実施例1〜3によって得られるシリコーンポリアミドの1つについて言及してもよい。
【0388】
本発明の一実施形態の変形によれば、ポリマーは、ウレタンまたは尿素基を含むホモポリマーまたはコポリマーからなる。これらのポリマーは、特許出願WO2003/106614に詳細が記載されている。
【0389】
第1の組成物は、シリコーンポリアミドの代わりに、2つ以上のウレタンおよび/または尿素基を、ポリマーの骨格中もしくは側鎖上もしくはペンダント基として含有するポリオルガノシロキサンポリマーを含有し得る。
【0390】
骨格中に少なくとも2個のウレタンおよび/または尿素基を含むポリマーは、下記の式に相当する少なくとも1個の単位を含むポリマーであってよく、
【0391】
【化18】

【0392】
式中、R4、R5、R6、R7、X、Y、mおよびnは、式(I)についての上記の意味を有し、
【0393】
【化19】

【0394】
が、ウレタンまたは尿素基に相当するように、Uは、-O-または-NH-を表す。
【0395】
この式において、Yは、C1〜C15アルキル基またはC5〜C10アリール基で任意に置換されている直鎖状または分岐状C1〜C40アルキレン基であってよい。好ましくは、-(CH2)6-基が使用される。
【0396】
シリコーンポリマーを構成するポリマーは、異なる長さおよび/または構成のシリコーン-ウレタンおよび/またはシリコーン-尿素単位から形成され得、ブロック、シークエンスまたは統計的(ランダム)コポリマーの形態であってよい。
【0397】
式(I)、(II)または(III)のシリコーンポリアミドの場合のように、異なる長さおよび構造の単位、特に、シリコーン単位の数によって異なる長さの単位を有するシリコーンポリウレタンまたはポリ尿素を、本発明において使用してもよい。
【0398】
本発明の組成物中で使用されるポリマーおよびコポリマーは有利には、45℃〜190℃の範囲の固体状態から液体状態への転移温度を有する。好ましくは、それらは、70〜130℃、よりさらに80℃〜105℃の範囲の固体状態から液体状態への転移温度を有する。
【0399】
シリコーンポリアミドは、第1の組成物中に、組成物の総重量に対して0.5重量%〜70重量%の範囲の、前記組成物の総重量に対して、好ましくは5重量%〜50重量%の範囲の、よりさらに8重量%〜45重量%の範囲の、好ましくは10重量%〜40重量%の範囲の総含量で存在し得る。
【0400】
炭化水素をベースとするポリマー
本発明の第2の実施形態によれば、水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むポリマーは、その内容が参照により本明細書中に組み込まれている特許出願WO-A-02/056847およびWO-A-02/47619に記載されているような、a)少なくとも1個のヘテロ原子を含有する炭化水素をベースとする繰り返し単位を有するポリマー骨格、ならびに任意にb)6〜120個の炭素原子を含有し、かつこれらの炭化水素をベースとする単位に結合している、任意に官能化された少なくとも1個のペンダント脂肪鎖および/または少なくとも1個の末端脂肪鎖を含む、100000未満の重量平均分子量を有するポリマー、特に、その内容が参照により本明細書中に組み込まれているUS-A-5783657に開示されているものなどのポリアミド樹脂(特に、12〜22個の炭素原子を含有するアルキル基を含む)である。
【0401】
本発明によるポリマーは、室温(25℃)で変形不可能な固体である。
【0402】
本発明の目的のために、「官能化された鎖」という用語は、1個もしくは複数の官能基、または特に、ヒドロキシル、エーテル、オキシアルキレンまたはポリオキシアルキレン、ハロゲン(フルオロもしくはペルフルオロ基を含めた)、およびエステル基から選択される試薬を含むアルキル鎖を意味する。さらに、1個または複数の脂肪鎖の水素原子は、フッ素原子で少なくとも部分的に置き換えられ得る。
【0403】
好ましくは、炭化水素をベースとする繰り返し単位は、少なくとも1個の窒素原子、特に非ペンダント窒素原子を含む。これらの単位はまた有利には、カルボニル基を含む。
【0404】
ヘテロ原子を含有する単位は、特に、ポリアミドタイプの骨格を形成するアミド単位、ポリウレタン、ポリ尿素および/またはポリ尿素-ウレタン骨格を形成するカルバメートおよび/または尿素単位である。これらの単位は、好ましくはアミド単位である。ペンダント鎖は有利には、ポリマー骨格のヘテロ原子の少なくとも1個に直接結合している。
【0405】
炭化水素をベースとする単位の間で、このポリマーは、シリコーン単位またはオキシアルキレン単位を含み得る。
【0406】
さらに、本発明の組成物のこのポリマーは有利には、ヘテロ原子を含有する単位と脂肪鎖との総数に対して40%〜98%、よりさらに50%〜95%の脂肪鎖を含む。ヘテロ原子を含有する単位の性質および割合は、脂肪相の性質によって決まり、特に脂肪相の極性と同様である。したがって、ヘテロ原子を含有する単位がより極性であり、第1のポリマー中の割合が高いほど(これは、いくつかのヘテロ原子の存在に相当する)、極性油への第1のポリマーの親和性はより大きくなる。他方、ヘテロ原子を含有する単位がより極性でない、もしくはさらに無極性であり、またはそれらの割合が低いほど、無極性油への第1のポリマーの親和性はより大きくなる。
【0407】
このポリマーは有利には、ポリアミドである。したがって、本発明の対象はまた、美容的に許容される媒体中に、a)アミド繰り返し単位を含有するポリマー骨格、およびb)官能化され得、8〜120個の炭素原子を含有し、かつこれらのアミド単位に結合している、任意に少なくとも1個のペンダント脂肪鎖および/または少なくとも1個の末端鎖を含む、100000未満の重量平均分子量を有する少なくとも1種のポリアミドポリマーを含有する組成物である。
【0408】
ペンダント脂肪鎖は好ましくは、このポリマーのアミド単位の窒素原子の少なくとも1個に結合している。
【0409】
特に、このポリアミドの脂肪鎖は、アミド単位および脂肪鎖の総数の40%〜98%、よりさらに50%〜95%を表す。
【0410】
有利なことには、本発明による組成物のこのポリマー、特にこのポリアミドは、100000未満(特に1000〜100000の範囲の)、特に50000未満(特に1000〜50000の範囲の)、より特定すると1000〜30000、好ましくは2000〜20000、よりさらに2000〜10000の範囲の重量平均分子量を有する。
【0411】
このポリマー、特にこのポリアミドは、特に25℃にて水中で不溶性である。特に、それはイオン基を含有しない。
【0412】
本発明に使用し得る好ましいポリマーとして、6〜120個の炭素原子、よりさらに8〜120個、特に12〜68個の炭素原子を含有するペンダント脂肪鎖および/または末端脂肪鎖(各末端脂肪鎖は、少なくとも1個の結合基、特にエステルを介してポリアミド骨格に結合している)によって枝分かれしたポリアミドについて言及してもよい。これらのポリマーは好ましくは、ポリマー骨格、特にポリアミド骨格の各末端において脂肪鎖を含む。言及してもよい他の結合基は、エーテル、アミン、尿素、ウレタン、チオエステル、チオ尿素およびチオウレタン基である。
【0413】
これらのポリマーは好ましくは、少なくとも32個の炭素原子を含有する(特に、32〜44個の炭素原子を含有する)ジカルボン酸と、アミン(少なくとも2個の炭素原子(特に、2〜36個の炭素原子)を含有するジアミン、および少なくとも2個の炭素原子(特に、2〜36個の炭素原子)を含有するトリアミンから選択される)との間の重縮合から得られるポリマーである。二酸は好ましくは、少なくとも16個の炭素原子、好ましくは16〜24個の炭素原子を含有するエチレン性不飽和を含有する脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸またはリノレン酸)のダイマーである。ジアミンは好ましくは、エチレンジアミン、ヘキシレンジアミンまたはヘキサメチレンジアミンである。トリアミンは、例えば、エチレントリアミンである。1個または2個の末端カルボン酸基を含むポリマーについて、少なくとも4個の炭素原子、好ましくは10〜36個の炭素原子、よりさらに12〜24個、またさらに16〜24個、例えば18個の炭素原子を含有するモノアルコールで、それらをエステル化することが有利である。
【0414】
これらのポリマーはより特に、Union Camp社製の文献US-A-5783657に開示されているものである。これらのポリマーの各々は特に、下記の式(I)を満たし、
【0415】
【化20】

【0416】
式中、nは、エステル基の数がエステルおよびアミド基の総数の10%〜50%を表すようないくつかのアミド単位を表し、R1は、いずれの場合にも独立に、少なくとも4個の炭素原子、特に4〜24個の炭素原子を含有するアルキルまたはアルケニル基であり、R2は、いずれの場合にも独立に、C4〜C42の炭化水素をベースとする基を表し、ただし、基R2の50%は、C30〜C42の炭化水素をベースとする基を表し、R3は、いずれの場合にも独立に、少なくとも2個の炭素原子、水素原子および任意に1個もしくは複数の酸素または窒素原子を含有する有機基を表し、R3およびR4が両方とも結合している窒素原子は、R4-N-R3によって定義される複素環構造の部分を形成し、基R4の少なくとも50%は、水素原子を表すように、R4は、いずれの場合にも独立に、水素原子、C1〜C10アルキル基、またはR3もしくは別のR4への直接結合を表す。
【0417】
式(I)の特定の場合において、本発明の目的のために任意に官能化された末端脂肪鎖は、ポリアミド骨格の最後のヘテロ原子(この場合は、窒素)に結合している末端鎖である。
【0418】
特に、本発明の目的のために末端および/またはペンダント脂肪鎖の部分を形成する式(I)のエステル基は、エステルおよびアミド基の総数の15%〜40%、よりさらに20%〜35%を表す。さらに、nは有利には、1〜5の範囲、よりさらに2超の整数である。好ましくは、R1は、C12〜C22、好ましくはC16〜C22アルキル基である。有利なことには、R2は、C10〜C42の炭化水素をベースとする(アルキレン)基であってよい。好ましくは、基R2の少なくとも50%、よりさらに少なくとも75%は、30〜42個の炭素原子を含有する基である。他の基R2は、C4〜C19、よりさらにC4〜C12の水素含有基である。好ましくは、R3は、C2〜C36の炭化水素をベースとする基またはポリオキシアルキレン基を表し、R4は、水素原子を表す。好ましくは、R3は、C2〜C12の炭化水素をベースとする基を表す。
【0419】
炭化水素をベースとする基は、直鎖状、環状または分岐状の飽和または不飽和の基であってよい。さらに、アルキルおよびアルキレン基は、直鎖状または分岐状の飽和または不飽和の基であってよい。
【0420】
一般に、式(I)のポリマーは、ポリマーの混合物の形態であり、これらの混合物はまた、式(I)の化合物(式中、nは0、すなわち、ジエステルである)に相当する合成生成物を場合により含有する。
【0421】
本発明による組成物において使用し得る、水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むポリマーの一例として、Arizona Chemical社によって名称Uniclear 80およびUniclear 100で販売されている商品について言及してもよい。それらは各々、鉱油中の(活性材料に関して)80%ゲルおよび(活性材料に関して)100%ゲルの形態で販売されている。それらは、88〜94℃の軟化点を有する。これらの商品は、約6000の重量平均分子量を有するエチレンジアミンと縮合しているC36二酸のコポリマーの混合物である。末端エステル基は、セチルアルコール、ステアリルアルコールまたはその混合物(セチルステアリルアルコールとしても知られている)による残りの酸末端のエステル化によってもたらされる。
【0422】
本発明による組成物において使用し得る、水素結合によって相互作用することができる少なくとも2個の基を含むポリマーとして、脂肪族ジカルボン酸およびジアミン(2個超のカルボニル基および2個超のアミン基を含有する化合物を含めて)の縮合からもたらされるポリアミド樹脂についてまた言及することができ、隣接する個々の単位のカルボニルおよびアミン基は、アミド結合によって縮合している。これらのポリアミド樹脂は、特に、ブランド名Versamid(登録商標)でGeneral Mills Inc.社およびHenkel Corp.によって(Versamid 930、744または1655)、またはOlin Mathieson Chemical Corp.社によってブランド名Onamid(登録商標)、特にOnamid SまたはCで販売されているものである。これらの樹脂は、6000〜9000の範囲の重量平均分子量を有する。これらのポリアミドに関するさらなる情報については、文献US-A-3645705およびUS-A-3148125を参照することができる。より特に、Versamid(登録商標)930または744を使用する。
【0423】
Arizona Chemical社によって参照名Uni-Rez(2658、2931、2970、2621、2613、2624、2665、1554、2623および2662)で販売されているポリアミド、ならびに参照名Macromelt 6212でHenkel社によって販売されている製品をまた使用し得る。これらのポリアミドに関するさらなる情報については、文献US-A-5500209を参照することができる。
【0424】
特許US-A-5783657およびUS-A-5998570に開示されているものなどのポリアミド樹脂を使用することもまた可能である。
【0425】
本発明による組成物中に存在するポリマーは有利には、190℃までであってよい。65℃超の軟化点を有する。それは好ましくは、70℃〜130℃、よりさらに80℃〜105℃の範囲の軟化点を有する。
【0426】
染料
本発明による組成物は有利には、水溶性または脂溶性染料、顔料および真珠層、ならびにこれらの混合物から選択し得る着色剤を含有し得る。
【0427】
本発明による組成物はまた、水溶性染料および粉末状染料、例えば、当業者には周知の顔料、真珠層およびグリッターフレークから選択される、1種または複数の染料を含み得る。染料は、組成物の重量に対して0.01重量%〜50重量%、好ましくは0.01重量%〜30重量%、特に0.05重量%〜25重量%の範囲の含量で、組成物中に存在し得る。
【0428】
「顔料」という用語は、水溶液中で不溶性であり、かつこのように得られた皮膜を彩色および/または不透明にすることを意図する、白色または有色の、鉱物または有機粒子を意味すると理解すべきである。
【0429】
顔料は、化粧品組成物の総重量に対して0.01重量%〜20重量%、特に0.01重量%〜15重量%、特に0.02重量%〜10重量%の割合で存在し得る。
【0430】
本発明に使用し得る鉱物顔料として、酸化チタン、酸化ジルコニウムまたは酸化セリウム、およびまた亜鉛華、酸化鉄または酸化クロム、フェリックブルー、マンガンバイオレット、群青およびクロム水和物について言及してもよい。
【0431】
それらはまた、例えば、絹雲母/茶酸化鉄/二酸化チタン/シリカタイプであってよい。構造を有する顔料であってよい。このような顔料は、例えば、参照名Coverleaf NSまたはJSでChemicals & Catalysts社によって販売されている。
【0432】
染料はまた、例えば、酸化鉄を含有するシリカミクロスフィアタイプであってよい。構造を有する顔料を含み得る。この構造を有する顔料の一例は、三好化成社によって参照名PC Ball PC-LL-100Pで販売されている製品であり、この顔料は、黄酸化鉄を含有するシリカミクロスフィアから形成される。
【0433】
本発明に使用し得る有機顔料の中で、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料、コチニールカルミンもしくはバリウムをベースとするレーキ、ストロンチウム、カルシウムもしくはアルミニウム、または代わりに文献EP-A-542669、EP-A-787730、EP-A-787731およびWO-A-96/08537に記載されているジケトピロロピロール(DPP)について言及してもよい。
【0434】
「真珠層」という用語は、特に特定の軟体動物のそれらの殻から生成された、または別の方法で合成された、光学干渉による色の効果を有する、任意の形態の虹色または虹色でない粒子を意味すると理解すべきである。
【0435】
真珠層は、真珠箔(酸化鉄でコーティングされたチタン雲母、オキシ塩化ビスマスでコーティングされたチタン雲母、酸化クロムでコーティングされたチタン雲母、有機染料でコーティングされたチタン雲母、およびまたオキシ塩化ビスマスをベースとする真珠箔など)から選択し得る。それらはまた、その表面が重ね合わされた金属酸化物および/または有機染料の少なくとも2つの連続層である、雲母粒子であってよい。
【0436】
また言及してもよい真珠層の例には、酸化チタン、酸化鉄、天然顔料またはオキシ塩化ビスマスでコーティングされた天然雲母が含まれる。
【0437】
マーケットで入手可能な真珠層の中で、Engelhard社によって販売されている雲母をベースとする真珠層Timica、FlamencoおよびDuochrome、Merck社によって販売されている真珠層Timiron、Eckart社によって販売されている雲母をベースとする真珠層Prestige、およびSun Chemical社によって販売されている合成雲母をベースとする真珠層Sunshineについて言及してもよい。
【0438】
真珠層はより特定すると、黄色、ピンク色、赤色、青銅色、オレンジがかった色、茶色、金色および/または銅色または淡い色を有し得る。
【0439】
本発明の状況において使用し得る真珠層の例示として、特に、金色の真珠層(特に、Engelhard社によって名称Brilliant gold 212G(Timica)、Gold 222C(Cloisonne)、Sparkle gold(Timica)、Gold 4504(Chromalite)およびMonarch gold 233X(Cloisonne)で販売されている)、青銅色の真珠層(特に、Merck社によって名称Bronze fine(17384)(Colorona)およびBronze(17353)(Colorona)で販売されており、Engelhard社によって名称Super bronze(Cloisonne)で販売されている)、オレンジ色の真珠層(特に、Engelhard社によって名称Orange 363C(Cloisonne)およびOrange MCR 101(Cosmica)で販売されており、およびMerck社によって名称Passion orange(Colorona)およびMatte orange(17449)(Microna)で販売されている)、茶色の真珠層(特に、Engelhard社によって名称Nu-antique copper 340XB(Cloisonne)およびBrown CL4509(Chromalite)で販売されている)、銅色の色合いを有する真珠層(特に、Engelhard社によって名称Copper 340A(Timica)で販売されている)、赤色の色合いを有する真珠層(特に、Merck社によって名称Sienna fine(17386)(Colorona)で販売されている)、黄色の色合いを有する真珠層(特に、Engelhard社によって名称Yellow(4502)(Chromalite)で販売されている)、金色の色合いを有する赤色の真珠層(特に、Engelhard社によって名称Sunstone G012(Gemtone)で販売されている)、ピンク色の真珠層(特に、Engelhard社によって名称Tan opale G005(Gemtone)で販売されている)、金色の色合いを有する黒色の真珠層(特に、Engelhard社によって名称Nu antique bronze 240 AB(Timica)で販売されている)、青色の真珠層(特に、Merck社によって名称Matte blue(17433)(Microna)で販売されている)、銀のような色合いを有する白色の真珠層(特に、Merck社によって名称Xirona Silverで販売されている)、および金色-グリーンピンク色-オレンジ色の真珠層(特に、Merck社によって名称Indian summer(Xirona)で販売されている)、ならびにこれらの混合物について言及してもよい。
【0440】
「染料」という用語は、一般に有機であり、油などの脂肪物質中または含水アルコール相中で可溶性である化合物を意味するものと理解すべきである。
【0441】
脂溶性染料は、スダンレッド、DCレッド17、DCグリーン6、β-カロテン、スーダンブラウン、DCイエロー11、DCバイオレット2、DCオレンジ5およびキノリンイエローから選択し得る。水溶性染料は、例えば、ビートルートジュースまたはメチレンブルーである。
【0442】
本発明による化粧品組成物はまた、特定の視覚的効果を有する少なくとも1種の材料を含有し得る。
【0443】
この効果は、標準的な染料、例えば、単色性顔料から生じるような、単純な従来の色相効果、すなわち統合され安定化した効果と異なる。本発明の目的のために、「安定化した」という用語は、観測角度に応じた、または代わりに温度変化に応答した、色の変動性効果を欠いていることを意味する。
【0444】
例えば、この材料は、金属の色合いを有する粒子、角度彩色性着色剤、回折顔料、サーモクロミック剤、増白剤、およびまた繊維、特に干渉繊維から選択し得る。言うまでもなく、2つの効果を同時に得るために、これらの様々な材料を合わせ得る。
【0445】
本発明において使用し得る金属の色合いを有する粒子は特に、
-少なくとも1種の金属および/または少なくとも1種の金属誘導体の粒子、
-少なくとも1種の金属および/または少なくとも1種の金属誘導体を含む金属の色合いを有する少なくとも1種のコーティングで少なくとも部分的にコーティングされている、単一材料または複数材料の有機または鉱物基材を含む粒子、ならびに
-前記粒子の混合物
から選択される。
【0446】
前記粒子中に存在し得る金属の中で、例えば、Ag、Au、Cu、Al、Ni、Sn、Mg、Cr、Mo、Ti、Zr、Pt、Va、Rb、W、Zn、Ge、TeおよびSe、ならびにその混合物または合金について言及してもよい。Ag、Au、Cu、Al、Zn、Ni、MoおよびCr、ならびにその混合物または合金(例えば、青銅および黄銅)は、好ましい金属である。
【0447】
「金属誘導体」という用語は、金属由来の化合物、特に酸化物、フッ化物、塩化物および硫化物を表すことを意図する。
【0448】
これらの粒子の例示として、アルミニウム粒子(名称Starbrite1200EAC(登録商標)でSiberline社によって、およびMetalure(登録商標)でEckart社によって販売されているものなど)について言及してもよい。
【0449】
銅金属粉末または合金混合物(Radium Bronze社によって販売されている参照名2844など)、アルミニウムまたは青銅などの金属顔料、(名称Rotosafe700でEckart社によって販売されているものなど)、シリカコーティングしたアルミニウム粒子(名称Visionaire Bright SilverでEckart社から販売されている)、および金属合金粒子(例えば、名称Visionaire Bright Natural GoldでEckart社から販売されているシリカコーティングした青銅(銅および亜鉛の合金)粉末)についてまた言及してもよい。
【0450】
それらはまた、日本板硝子社によって名称Microglass Metashineで販売されているものなどの、ガラス基材を含む粒子であってよい。
【0451】
角度彩色性着色剤は、例えば、多層干渉構造および液体-結晶着色剤から選択し得る。
【0452】
本発明によって調製された組成物中で使用し得る対称的多層干渉構造の例は、例えば下記の構造である。Al/SiO2/Al/SiO2/Al(この構造を有する顔料は、DuPont de Nemours社によって販売されている)、Cr/MgF2/Al/MgF2/Cr(この構造を有する顔料は、名称ChromaflairでFlex社によって販売されている)、MoS2/SiO2/Al/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3、およびFe2O3/SiO2/Fe2O3/SiO2/Fe2O3(これらの構造を有する顔料は、名称SicopearlでBASF社によって販売されている)、MoS2/SiO2/雲母-酸化物/SiO2/MoS2;Fe2O3/SiO2/雲母-酸化物/SiO2/Fe2O3;TiO2/SiO2/TiO2およびTiO2/Al2O3/TiO2;SnO/TiO2/SiO2/TiO2/SnO;Fe2O3/SiO2/Fe2O3;SnO/雲母/TiO2/SiO2/TiO2/雲母/SnO(これらの構造を有する顔料は、名称XironaでMerck社(Darmstadt)によって販売されている)。例示として、これらの顔料は、シリカ/酸化チタン/酸化スズ構造の顔料(名称Xirona MagicでMerck社によって販売されている)、シリカ/茶酸化鉄構造の顔料(名称Xirona Indian SummerでMerck社によって販売されている)、およびシリカ/酸化チタン/雲母/酸化スズ構造の顔料(名称Xirona Caribbean BlueでMerck社によって販売されている)であってよい。資生堂社製のInfinite Colors顔料についてまた言及してもよい。厚さおよび様々な層の性質によって、異なる効果が得られる。したがって、Fe2O3/SiO2/Al/SiO2/Fe2O3構造によって、320〜350nmのSiO2層については緑金色から赤灰色へ、380〜400nmのSiO2層については赤色から金色へ、410〜420nmのSiO2層については紫色から緑色へ、430〜440nmのSiO2層については銅色から赤色へ色が変わる。
【0453】
言及してもよいポリマー多層構造を有する顔料の例には、3M社によって名称Color Glitterで販売されているものが含まれる。
【0454】
使用してもよい液体-結晶角度彩色性粒子の例には、Chenix社によって販売されているもの、およびまた名称Helicone(登録商標)HCでWacker社によって販売されている製品が含まれる。
【0455】
充填剤
本発明による組成物は、特に組成物の総重量に対して0.01重量%〜30重量%、特に0.01重量%〜20重量%の範囲の、例えば0.1重量%〜15重量%、または0.5重量%〜10重量%の範囲の総含量の充填剤を含み得る。
【0456】
本発明の目的のために、「充填剤」という用語は、組成物が製造される温度と関係なく組成物の媒体中で不溶性である、任意の形態の無色または白色の鉱物または合成粒子を意味すると理解すべきである。これらの充填剤は特に、組成物のレオロジーまたは質感を改変する働きをする。
【0457】
充填剤は、鉱物または有機であってよく、結晶学的形態(例えば、層状、立方晶、六方晶、斜方晶など)に関係なく任意の形状(血小板形状、球状または長円形)であってよい。タルク、雲母、シリカ、カオリン、ポリアミド(Nylon(登録商標))粉末(Atochem製のOrgasol(登録商標))、ポリ-β-アラニン粉末およびポリエチレン粉末、テトラフルオロエチレンポリマー(Teflon(登録商標))の粉末、ラウロイルリシン、デンプン、窒化ホウ素、中空ポリマーミクロスフィア(ポリ塩化ビニリデン/アクリロニトリルのもの、例えば、Expancel(登録商標)(Nobel Industrie)、またはアクリル酸コポリマーのもの(Dow Corning社製のPolytrap(登録商標)など)、およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、東芝製のTospearls(登録商標))、エラストマーポリオルガノシロキサン粒子、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフィア(Maprecos製のSilica Beads(登録商標))、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、ならびに金属石けん(8〜22個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を含有する有機カルボン酸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムまたはステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムに由来する)について言及することができる。
【0458】
それらはまた、コポリマーを含む粒子であってよく、前記コポリマーは、トリメチロールヘキシルラクトンを含む。特に、それは、ジイソシアン酸ヘキサメチレン/トリメチロールヘキシルラクトンのコポリマーであってよい。このような粒子は、特に例えば、名称Plastic Powder D-400(登録商標)またはPlastic Powder D-800(登録商標)で東色ピグメント社から市販されている。
【0459】
さらなる通常の化粧品成分
本発明による組成物はまた、抗酸化剤、香料、保存料、中和剤、界面活性剤、日焼け止め剤、甘味剤、ビタミン、モイスチャーライザー、皮膚軟化剤、親水性または親油性活性剤、フリーラジカル捕捉剤および金属イオン封鎖剤、ならびにこれらの混合物から特に選択し得る、任意の通常の化粧品成分を含み得る。
【0460】
言うまでもなく、当業者であれば、本発明による組成物の有利な特性が、予想される添加によって悪影響を受けない、または実施的に悪影響を受けないように、念入りに任意選択のさらなる成分および/またはその量を選択するであろう。
【0461】
当業者は、当業者の一般知識に基づいて、第一に、使用する構成物質の性質、特に支持体中のそれらの溶解度、第二に、組成物の使用目的を考慮に入れて、適切なガレヌス形態、およびまたそれを調製する方法を選択し得る。
【0462】
好ましくは、本発明による組成物は、組成物の総重量に対して3%未満、よりさらに1重量%未満の水を含む。よりさらに好ましくは、組成物は完全に無水である。「無水」という用語は特に、水は好ましくは意図的に組成物に加えられないが、組成物中に使用される様々な化合物において微量で存在し得ることを意味する。
【0463】
本発明による組成物は、ケラチン材料、特に唇および皮膚、特に唇を手入れおよび/またはメイクアップすることを対象とする。
【0464】
下記の例は、非限定的態様で本発明を例示する。
【0465】
量は、重量パーセントとして表す。
【0466】
施用装置
以下に、
a)製品の塊の外部に位置している熱の人工源を使用して、固体製品の塊の施用表面(特に製品のワンドの施用表面)を加熱し、施用表面から離れており施用の間に固体のままである製品の塊の一部の温度を超える温度にする工程と、
b)このように加熱した施用表面を、処理される領域、特に皮膚または唇に施用する工程と
を含む、とりわけ化粧処置方法を行うための装置の例を示す。
【0467】
これらの装置の説明は、添付図を参照して行う。
【図面の簡単な説明】
【0468】
【図1】FIG1は、本発明によって作製されたコンディショニングおよび施用装置の例を図式的に側面図として示す。
【図2】FIG2は、FIG1の装置のキャップの部分的および図式的長手方向の破断図を分離して示す。
【図3】FIG3は、熱い表面との接触によるワンドの加熱を図式的および部分的に例示する。
【図4】FIG4は、加熱部材の一実施形態例を図式的および部分的に表す。
【図5】FIG5は、加熱部材の変形の製造の詳細を例示する。
【図6】FIG6は、加熱部材の変形の製造の詳細を例示する。
【図7】FIG7は、加熱部材の変形の製造の詳細を例示する。
【図8】FIG8は、コンディショニングおよび施用装置の一実施形態の変形を図式的に表す。
【図9】FIG9は、相当するケースの収納容器中への挿入後の、FIG8の装置の図式的および部分的破断図である。
【図10】FIG10は、ワンドおよび関連する支持手段を示す。
【図11】FIG11は、コンディショニングおよび施用装置の一実施形態の変形を側面図で示す。
【図12】FIG12は、FIG11の装置の部分的および図式的な長手方向の破断図である。
【図13】FIG13は、装置の一実施形態の変形の部分的および図式的な長手方向の破断図である。
【図14】FIG14は、製品コンディショニングの変形である。
【図15】FIG15は、運動摩擦係数の測定を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0469】
FIG1に示すコンディショニングおよび施用装置1は、製品のワンドSの形態の本発明による製品の塊を支持するベース部分2、および使用していないときには装置1を閉じるためにベース部分2に付着させることができるキャップ3を含む。
【0470】
ベース部分2は、ワンドSが消費されるにつれ、それを徐々に移動させるための任意の公知のタイプでよい。
【0471】
ベース部分2は、例えば、互いに対して回転することができる2つの部分5および6、ならびに2つの部分5および6の相対的な回転をワンドSの長手方向の軸線Xに沿った軸方向の動きに変換するための機序を含む。
【0472】
ワンドSは、FIG10に示すように、例えばこの機序において、各々部分5および6に属する2つの小片に係合しているスパー59を含むカップ58によって担持され、これらの2つの小片の回転がカップおよびワンドSの軸方向の動きを伴うように、それらの1つは長手方向の直線状スリットを含み、他方はらせん状スリットを含む。
【0473】
使用に適し得る機序の例は、その内容が参照により本明細書中に組み込まれている公開資料US6340258、US6086276、US6371673、US5171096およびUS7293926に記載されている。
【0474】
キャップ3は、ケラチン材料、例えば皮膚または唇へのその施用の前に、ワンドSの端部11を加熱するための加熱装置10を含む。
【0475】
加熱装置10は、電源(図示せず)(例えば、1個もしくは複数の電池または蓄電池、および例えば、電源を動力源とした電気抵抗を含む加熱部材を含有する)を収容し得る。
【0476】
使用に適し得る加熱部材の例は、例えばUS2007/0286665A1に開示されている。
【0477】
加熱部材は、加熱表面13の温度を上昇させるように配置され、加熱表面は、FIG1および2の例において、FIG3に示すようにその遠位端部11の温度を上昇させるために、ワンドSと接触し得る。
【0478】
加熱装置10は、使用者が加熱装置10のスイッチを入れまたは切ることを可能にするスイッチ14、およびまた操作インジケーター15、例えば、加熱表面13が加熱されているときに光を発するインジケーターライトを含み得る。
【0479】
加熱装置10は、加熱表面13の温度が所定の値を超えないように、加熱表面13の温度を制御するための任意の手段を任意に含み得る。
【0480】
加熱表面が使用者から手の届かないとき、より高くはあるが製品と適合性である加熱温度が許容され得る。他方、加熱表面13が使用者と接触し得るとき、65℃を超えない温度が好ましい。
【0481】
加熱装置10はまた適切な場合には、電源の早すぎる摩耗を防止し、かつ/またはワンドアセンブリーが過剰な温度になるのを防止するために、ワンドSの端部11を所定の時間のみ加熱するためのタイマーを含み得る。
【0482】
加熱装置10は有利には、加熱表面とワンドSの端部11とが有効に接触した場合を除いて加熱機能が開始することを防止するために、任意の適切なセンサーを含み得る。
【0483】
例えば、加熱装置10は、加熱表面13とワンドSとの間の接触圧力センサーを含み、ワンドSとの本当の接触の場合のみ加熱表面13の加熱を可能にし得る。
【0484】
加熱表面13は、FIG4において例示されているように、接触小片20の内部に収容されている弾性のリターン部材23、例えば、スプリングの反動に対して、加熱装置10の本体22に関連して、例えば軸Xに沿って軸方向に可動性である、例えば接触小片20によって画定され得る。
【0485】
このFIG4は、加熱表面13にできるだけ近くなるように、接触小片20の底に置かれた電気抵抗25を含む加熱装置を示す。
【0486】
接触小片20は、例えば、低い熱慣性を有するように薄い壁厚を有する良好な熱伝導体である金属を含み得る。特定の実施形態において、接触小片20は、例えばアルミニウムを含み得る。
【0487】
加熱表面13は、ワンドの端部11の形状に適合した任意の形状、例えば、FIG1および2に例示するようなワンドSの端部11の形状と実質的に補完的な斜めになった形状、または別の形状、例えば、ワンドSに対して凹面の形状、特にFIG5において例示するような球状の王冠形状、FIG6において例示するような円錐または円錐台形形状、またはFIG7において例示するような軸Xと垂直な実質的に平らな形状を与えられ得る。
【0488】
加熱表面13の形状が軸Xを中心に回転対称性でないとき、装置1は、ベース部分2およびキャップ3のための回転指示手段を含み得るが、これは、この2つの間の1つの所定の角度方向(そこで加熱表面13はワンドSに対してその幾可学的形状と適合する所定の態様で静止することができる)においてのみベース部分2へのキャップ3の付着を可能とするためである。
【0489】
例えば、リップスティックワンドであるワンドSは、0.1〜5cm2、またはさらに0.15〜1cm2の断面を有し得、装置1は、最初に加熱装置10のスイッチを入れ、次いで施用表面を画定するワンドの端部11が所望の温度にされるのに必要な時間待つことによって使用し得る。
【0490】
作動温度へ到達したことは、例えば、インジケーターライト15によって示され得、これは例えば、装置の開始を示す連続光から、温度に達したときに点滅光または色変化へと移行し得る。しかし、作動状態を示すための他の方法を、本発明の範囲から逸脱することなしに使用し得る。
【0491】
ワンドの端部が加熱されると、ベース部分2はキャップ3から分離してもよく、使用者はワンドの製品を唇または他のケラチン材料上に施用することができる。ワンドの端部11での製品の軟化によって、施用されると厚くおよび任意に光沢のある付着物を伴う、快適な施用および唇への良好な移行が確実となる。
【0492】
例えば、施用は、アプリケーターを使用することなしに行う。すなわち、組成物のみ、より正確には、軟化した表面が、処理する区域と直接接触する。
【0493】
ワンドSの本体は室温または僅かにより高い温度であるが、施用によって生じる機械力に耐えるのに必要な機械的強度を損なうのには不十分である。施用表面およびワンドの本体、特に施用表面の反対の端部の間の温度の差異は、例えば、少なくとも20℃、またはさらに少なくとも30℃である(最初の使用でワンドがその当初の長さを有するとき)。
【0494】
装置1は、皮膚をメイクアップするために同様に使用され得、この場合、ワンドは、適切な場合にはより大きな断面のものであってよい。
【0495】
FIG8および9において例示されているように、加熱装置はコンディショニング装置のキャップ3中に組み込まれないが、ワンドSのコンディショニング装置から分離したケース40中に存在し得る。
【0496】
ケース40は電源を収容し得、かつ/または低圧変圧器によって、電源、例えば主電源に連結する手段を含み得る。
【0497】
ケース40はまた、開始手段41、例えば、オン/オフスイッチ、ならびにまた、電源につながれていること、および/または作動温度への到達の終了を示すための1個または複数のインジケーターライト42および55を含み得る。
【0498】
FIG8および9の例において、ケース40は、開口部46を含み、FIG9において例示するように、ワンドの端部11をケース40中に存在する加熱手段50の近くに導くために、開口部46の中にベース部分2が少なくとも部分的に導入され得る。
【0499】
ケースにおけるベース部分の係合によってワンドの端部11を、加熱手段に対する少なくとも2つの空間的方向による所定の位置に導くように、開口部46は、例えばベース部分の小片の1つに適合させた断面を有する。
【0500】
ケース40は、ケース40へのベース部分2の挿入を検出し、加熱手段に対してワンドを任意に位置決めするための、任意の適当なセンサー51を含み得る。
【0501】
ワンドSの端部の加熱は、上記の態様で、熱い表面と接触すると、伝導によって行われ得る。この場合、加熱手段は、任意の加熱手段、例えば電気抵抗によって適切な温度にもたらされ得る加熱表面を含む。
【0502】
ワンドの端部の加熱はまた、接触なしで、例えば、赤外線および/または対流によって、ならびに/あるいは振動および/または無線放射によって、あるいは熱を生じさせる任意の他の源によって行ってもよい。
【0503】
上記のように、ケース40は、所定の距離が守られるときのみ加熱手段のスイッチを入れ、かつ/または加熱手段およびワンドSの端部の間の距離に応じて発熱量を制御するための、ワンドの端部11および加熱手段50の間の距離を評価することができる任意の適当なセンサー、特に光学センサーを含み得る。
【0504】
特定の変形において、加熱手段50は、例えばハロゲンもしくは白熱電球を使用してワンドの端部11に向けて赤外線を放出することによる、または端部11に向けて熱風を吹き付けることによる、加熱システムであってよい。
【0505】
特定の変形において、ワンドSの端部11はまた、ワンドSの端部11に焦点を合わせた無線放射、例えばマイクロ波に曝露することによって加熱し得る。
【0506】
また他の変形において、ワンドSの端部11は、超音波振動によって加熱し得る。
【0507】
FIG11および12の実施形態の変形において、加熱装置60は、ベース部分2の不可欠の部分であり、かつ例示されているように円形形状の加熱部材62(それを経由してワンドSが通過する)を含み得る加熱手段62を含む。加熱部材62は、例えば、ワンドSの断面以上の断面を有する。
【0508】
加熱装置60は、例えば、使用者が押して加熱部材62の機能を開始させ得る制御部材64を含み得る。加熱部材62は、例えば、伝導、対流および/または放射(例えば、赤外線、マイクロ波などの放射)によってワンドSの端部11を加熱するための耐熱性を含み得る。
【0509】
適切な場合には、加熱部材62はまた、ワンドSと関連する製品の施用に関与し得、このために、適切な形状の、例えば斜めになった上面70を有し得る。
【0510】
考慮される例において装置を使用するために、使用者は、ワンドの端部11を加熱部材62に導き、制御部材64を押すことによって加熱し始めることができる。
【0511】
加熱装置は、加熱部材62が機能していることを使用者に示すインジケーターライト72を含み得る。
【0512】
次いで、ワンドの端部11が温度の上昇に続いて外観が変化したことを使用者が視覚的に観察したときに、例えばそれが光沢を持つようになったときに、使用者は加熱を止めることができる。
【0513】
次いで、使用者は、任意にこの時点で、加熱部材62と接触することなしに製品の施用を容易にするために、端部11を僅かにより高く移動させることができる。変形として、使用者は、ワンドSだけでなく、加熱部材62も唇または皮膚に接触させることによって、製品を施用することができる。
【0514】
適切な場合には、皮膚と接触しやすい加熱部材62の表面はフロック加工され得、または施用を容易にする質感の表面の態様を有し得る。
【0515】
FIG13に示す変形において、ワンドSは、開口部76(その断面はワンドの本体の断面よりも狭い)を画定している加熱部材62を通過する。
【0516】
この例において、加熱部材62に接触することでワンドSが軟化することに付随して、このように加熱部材62によるワンドの変形が起こる。これによって、製品の施用の正確さが増し、十分な軟化に到達する前に加熱部材62に対してワンドSが外に出ることを防止し得る。
【0517】
加熱部材62の外表面は、処理される領域と加熱部材62との間の接触表面を縮小させるために、FIG13に示すように細くなっていることがあってよい。
【0518】
FIG14は、ワンドSと関連する製品Sの塊が軸200によって支持されており、例えば使い捨てに適した実施形態の変形を示す。
【0519】
施用表面202は、例えば、熱い表面に接触または接近させることによって、例えば、FIG8および9を参照して上記で記載したケースなどの加熱手段を備えたケースにそれを導入することによって加熱する。
【0520】
本明細書において、含量は、特に言及しない限り、組成物の総重量に対する重量ベースで表す。
【0521】
本発明を、非限定的例示として示す下記の実施例においてより詳細に例示する。割合は、重量パーセントである。下記の実施例において、重量パーセントは、組成物の総重量に対して示す。
【0522】
(実施例)
(実施例1)
リップスティック組成物
下記の組成を有する本発明によるリップスティックを調製した。
【0523】
【表1】

【0524】
プロトコル
第一の段階において、相Eの顔料を、相Aの部分に分散させる。
【0525】
相BおよびCの脂溶性成分の残り、ならびに相Dのワックスを、100℃の温度で一緒に混合し、それに続いて粉砕した材料および相Aの残りをそれに加える。完全に均一な混合物が得られるまで、全体を100℃の温度で混合する。
【0526】
最後に、組成物を型に注ぎ、それを直径11.06mmのスティックの形状にする。次いで、型を-18℃でフリーザーに入れる。
【0527】
20℃でのスティックの硬度は、124Nm-1である。
【0528】
評価
室温(20℃)で、このように得られた組成物は、それが唇に施用されるとき、殆ど移行せず、非常に粘着性がある(唇上であまり滑らず、分解することが困難である)。
【0529】
他方、(全体的に斜めになった形状の)スティックの端部を60℃で10秒間加熱した後、スティックを唇に容易に施用し(良好な滑らかさおよび容易な分解を伴う)、厚いメイクアップ付着物を得ることが可能である。
【0530】
さらに、事前に加熱された組成物1によって唇上に付着したメイクアップは、加熱されておらず、室温(20℃)で施用された同じ組成物1によって得たメイクアップ付着物と比較したとき、改善された色の残留性、およびまた改善された光沢を示す。
【0531】
(実施例2)
リップスティック組成物
下記の組成を有する本発明によるリップスティックを調製した。
【0532】
【表2】

【0533】
プロトコル
第一の段階において、相Fの顔料を、相Aの部分および相Bの部分に分散させる。
【0534】
相CおよびDの脂溶性成分の残り、ならびに相Eのワックスを、100℃の温度で一緒に混合し、それに続いて粉砕した材料および相Bの残りをそれに加える。完全に均一な混合物が得られるまで、全体を100℃の温度で混合する。
【0535】
最後に、組成物を型に注ぎ、それを直径11.06mmのスティックの形状にする。次いで、型を-18℃でフリーザーに入れる。
【0536】
20℃でのスティックの硬度は、117Nm-1である。
【0537】
評価
室温(20℃)で、このように得られた組成物は、それが唇に施用されるとき、殆ど移行せず、非常に粘着性がある(唇上であまり滑らず、分解することが困難である)。
【0538】
他方、(全体的に斜めになった形状の)スティックの端部を60℃で10秒間加熱した後、スティックを唇に容易に施用し(良好な滑らかさおよび容易な分解を伴う)、厚いメイクアップ付着物を得ることが可能である。
【0539】
さらに、事前に加熱された組成物2で唇上に付着したメイクアップは、加熱されておらず、室温(20℃)で施用された同じ組成物2によって得たメイクアップ付着物と比較したとき、改善された色の残留性、およびまた改善された光沢を示す。
【0540】
事前に加熱された組成物2によって生じたメイクアップ付着物は、事前に加熱された組成物1によって生じたものと比較して、施用の直後に、改善された色の残留性、およびまた改善された光沢を示すことがまた観察される。
【符号の説明】
【0541】
1 施用装置
2 ベース部分
3 キャップ
10 加熱装置
11 端部
13 加熱表面
14 スイッチ
15 インジケーターライト
15 操作インジケーター
20 接触小片
22 本体
23 リターン部材
25 電気抵抗
40 ケース
41 開始手段
42 インジケーターライト
46 開口部
50 加熱手段
55 インジケーターライト
58 カップ
60 加熱装置
62 加熱部材
64 制御部材
72 インジケーターライト
76 開口部
200 軸
202 施用表面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外表面のみを本質的に軟化させ、かつその運動摩擦係数を低下させるために、固体化粧品組成物の小片を局在的に加熱するために、前記小片の前記外表面を、加熱装置に接触または接近させる工程と、
次いで、このように加熱した前記組成物の外表面を、処理される領域に施用する工程と
を含み、
前記固体化粧品組成物は、生理学的に許容される媒体中に、
(i)4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、
9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、
6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸と、
7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸と
を反応させることによって得ることができる少なくとも1種のポリエステル、ならびに
(ii)ワックスおよびペースト状脂肪物質、ならびにその混合物から選択される少なくとも1種の固体脂肪物質
を含む、非線維性ヒトケラチン材料、特に皮膚、その粘膜または爪をメイクアップおよび/または手入れするための非治療的方法。
【請求項2】
前記ポリエステルが、
10重量%〜30重量%の、特にジグリセロールおよびペンタエリトリトールから選択される、4〜10個の炭素原子を含有するテトラオールと、
40重量%〜80重量%の、特にステアリン酸およびイソステアリン酸から選択される、9〜23個の炭素原子を含有する直鎖状または分岐状の飽和モノカルボン酸と、
5重量%〜30重量%の、6〜12個の炭素原子を含有する環状ジカルボン酸、特にイソフタル酸と、
0.1重量%〜10重量%の、特に安息香酸および4-tert-ブチル安息香酸から選択される、7〜11個の炭素原子を含有する芳香族モノカルボン酸と
を反応させることによって得ることができ、
含量が、前記ポリエステルの総重量に対する重量パーセントとして表される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポリエステルが、安息香酸/イソフタル酸/イソステアリン酸/ペンタエリトリトールポリエステル、安息香酸/イソフタル酸/ステアリン酸/ペンタエリトリトールポリエステル、およびこれらの混合物から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記組成物が、互いに異なる少なくとも2種のポリエステルを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記組成物の総重量に対して1重量%〜60重量%のポリエステル、特に5重量%〜50重量%、より特定すると10重量%〜45重量%、またはさらに10重量%〜35重量%、よりさらに15重量%〜30重量%のポリエステルを含む、請求項1から4のいずれか一項に規定される組成物。
【請求項6】
前記組成物が、少なくとも1種の非揮発性油を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記組成物が、少なくとも1種の500g/mol超の分子量を有する油を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記油が、フェニルシリコーン油である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記油が、前記組成物の総重量に対して、1重量%〜90重量%、好ましくは5重量%〜80重量%、よりさらに10重量%〜75重量%、よりさらに20重量%〜70重量%、またよりさらに30重量%〜70重量%の範囲の含量で存在する、請求項6から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記固体化粧品組成物が、25℃で0.5以上の、よりさらに25℃で0.6以上の温度感受性の運動摩擦係数を有する、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記固体化粧品組成物が、20℃で80Nm-1以上の、好ましくは100Nm-1以上の、よりさらに120Nm-1以上の硬度を有する、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記運動摩擦係数が、組成物が加熱される温度で0.45以下、よりさらに0.4以下である、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、特に7mm以上の直径を有するワンドの形態である。請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
メイクアップ方法であり、例えば、前記組成物がリップスティックである、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1から14のいずれか一項に記載の組成物と、
前記組成物の小片の表面を局在的に加熱するための加熱装置と
を含む、キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−148796(P2011−148796A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−10724(P2011−10724)
【出願日】平成23年1月21日(2011.1.21)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】