説明

特定相手優先再生機能を有する留守録付き電話装置

【課題】 内線に接続したボタン電話機毎に所望する特定の相手からの用件メッセージの優先再生を行う留守録音機能を具備したボタン電話装置を提供する。
【解決手段】 ボタン電話機毎の特定者情報記憶手段F54と、用件録音情報記憶手段F53との照合により、ボタン電話機毎の優先再生メッセージ番号記憶手段F56にメッセージ番号を登録し、前記優先再生メッセージ番号記憶手段F56に基づき、優先再生メッセージ有無表示手段F48により電話機毎に優先再生メッセージ有無を表示し、優先再生制御手段F51により電話機毎に所望する相手からの用件メッセージを優先再生すること可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の内線電話機を収容するボタン電話システムまたはPBX(構内交換機)の留守録音機能に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭用電話機は留守録音機能を基本機能として具備したものが普及しているが、近年は企業内に導入されるボタン電話システムやPBX等の電話システムにおいても留守録音機能が一般的になっている。さらに、企業においては発信者番号通知機能を利用する例も多く、発信者番号通知機能と留守録音機能とを組み合わせて、留守録音された用件メッセージ再生時に相手の電話番号や名称の表示を行い、所望する相手からの録音かを各用件メッセージを再生する前でも視覚的に確認することを可能にしたものが提案されている。
【0003】
しかしながら、再生操作時に電話機のディスプレイに相手の電話番号や名称を表示する方法では、所望する相手からの用件メッセージに到達するまで他の用件メッセージをスキップ操作する必要があり、すぐに所望する相手からの用件メッセージを再生することは困難であった。
【0004】
そこで、事前登録した電話番号に一致した発信者からの用件メッセージの録音があった場合に、電話機のディスプレイ等に表示を行う、該用件メッセージを優先再生する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】特開平11−8691号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1で開示されている技術は家庭または個人で使用する単体電話機では有効であるが、企業内で使用する電話システムは、複数の内線電話機が複数の外線を共用し、留守録音機能に関しても電話機毎に具備せず主装置側にシステム共通で使用する留守録音機能を具備するのが一般的であるため、全ての発信者の用件は共通の留守録音機能を使用して録音され一括管理されるが、各担当者が優先して用件メッセージを再生したい相手は異なるという問題がある。
【0007】
また、企業内で使用する場合、優先して用件メッセージを再生したい対象者は個人利用と比較して登録すべき電話番号の数が多くなるため、特許文献1のように、相手の電話番号を登録するのは手間がかかると共に、メモリの無駄使いになるという問題もある。
【0008】
また、企業内で使用する電話システムにてシステム共通で使用する留守録音機能を具備する場合、全ての発信者の用件は共通の留守録音機能を使用して録音され一括管理されるため、他の担当者に聞かれたくない用件メッセージであっても、どの内線電話機からも再生できてしまうという問題がある。
【0009】
また、企業内で使用する電話システムにてシステム共通で使用する留守録音機能を具備する場合、全ての発信者の用件は共通の留守録音機能を使用して録音され一括管理されるため、ある担当者が聞く必要があった用件メッセージであって、該担当者が未再生であっても、他の内線電話機から消去できてしまうという問題がある。
【0010】
本発明の課題はこれらの従来技術の問題を解決することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、第1の発明は、前記ボタン電話主装置は、用件メッセージ録音時に発信者情報や用件メッセージ番号を記憶する用件録音情報記憶手段と、前記ボタン電話機が用件メッセージ再生時に優先再生したい相手の情報を記憶する前記ボタン電話機毎の特定者情報記憶手段と、前記用件録音情報記憶手段に記憶されている発信者情報と前記特定者情報記憶手段に記憶されている相手の情報とを照合する照合処理手段と、前記照合処理手段の照合結果が一致していたら、前記ボタン電話機毎に優先再生する用件メッセージ番号を記憶する優先再生メッセージ番号記憶手段と、前記ボタン電話機の優先再生操作により、前記優先再生メッセージ番号記憶手段に記憶されているメッセージ番号に対応した用件メッセージを優先的に再生する優先再生制御手段とを有することを特徴とする。
【0012】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記特定者情報記憶手段は、特定者を限定する条件として電話番号以外に自ボタン電話システムの電話帳のグループ番号を記憶することが可能なことを特徴とする。
【0013】
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、前記ボタン電話主装置は、前記優先再生メッセージ番号記憶手段に用件メッセージ番号が記憶されているか否かに従い、前記ボタン電話機に表示を行う優先再生メッセージ有無表示手段を有することを特徴とする。
【0014】
また、第4の発明は、第1または第2の発明において、前記ボタン電話主装置は、前記特定者情報記憶手段に記憶されている特定者からの用件メッセージを、該特定者を前記特定者情報記憶手段に記憶しているボタン電話機からのみ再生可能とする再生規制手段を有することを特徴とする。
【0015】
また、第5の発明は、第1の発明において、前記ボタン電話主装置は、前記優先再生メッセージ番号記憶手段に記憶されたメッセージ番号の用件メッセージを、優先再生の対象である1若しくは複数のボタン電話機が未再生の場合、消去操作を無効にする消去規制手段を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、システム共通の留守録音機能であっても、内線電話機毎に用件メッセージを優先再生する相手を登録することが可能であり、内線電話機毎に独立した用件メッセージの優先再生を利用することができる。
【0017】
第2の発明によれば、システム共通の留守録音機能であっても、内線電話機毎に用件メッセージを優先再生する相手を登録することにより、各内線電話機が登録した相手からの用件メッセージが録音されている場合は該当電話機のみに可視表示や可聴表示を行うことができる。
【0018】
第3の発明によれば、システム共通の電話帳に電話番号を登録する際に重要顧客、会社幹部、社員携帯、等のグループ設定をすることが一般的に可能であるが、用件メッセージの優先再生も考慮した上で電話帳のグループ登録を行い、優先再生する相手を登録するときは電話番号の代わりに前記電話帳のグループを登録することにより、優先再生する相手の登録作業を簡略化でき、また、メモリの使用エリアを節約することもできる。
【0019】
第4の発明によれば、全ての発信者の用件は共通の留守録音機能を使用して録音され一括管理されていても、他の人に聞かれたくない相手からの用件メッセージは自分のみ再生することができる。
【0020】
第5の発明によれば、優先再生を登録した相手の用件メッセージは対象となる全ての担当者が再生していないと消去不可となるため、該用件メッセージを優先再生したい担当者の聞き逃しを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態では、ボタン電話装置としてボタン電話主装置と該ボタン電話主装置に接続された有線式内線電話機を例にあげて説明する。しかし、本発明はこれに限定されない。例えば、有線式内線電話機の代わりに無線式内線電話機を用いることができ、また、ボタン電話装置ではなく構内交換機で実施しても良い。更に、外線は発信者の電話番号(発番号とも言う)を取得できる回線なら良く、アナログ回線・ISDN回線・IP回線何れも利用できる。なお、外線がIP回線であった場合、ネットワークによっては発信元IPアドレスが前記発番号に対応することもある。
【0022】
図1は、本発明に係るボタン電話装置を構成するボタン電話主装置10と、ボタン電話機20の構成概略図である。図2は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11と、記憶部12の機能ブロック図である。図3は、用件録音情報記憶手段F53に記憶されている録音情報リストの例を示す図である。図4は、特定者情報記憶手段F54に記憶されている特定者リストの例を示す図である。図5は、優先再生メッセージ番号記憶手段F56に記憶されている優先再生メッセージ番号リストの例を示す図である。図6は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の録音処理に関するフローチャートである。図7は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の用件メッセージの再生処理に関するフローチャートである。図8は、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の消去規制処理に関するフローチャートである。
【0023】
まず、図1を用いてボタン電話装置を構成するボタン電話主装置10と、ボタン電話機20の構成の概要を説明する。ボタン電話装置は、1以上の外線および複数の内線を収容するボタン電話主装置10と、該ボタン電話主装置10の内線に接続された複数のボタン電話機20−1〜20−nから構成される。
【0024】
ボタン電話主装置10は、少なくとも、中央制御部11と、記憶部12と、1以上の外線回路13−1〜13−mと、発番号受信部14と、録音・再生部15と、通話路スイッチ16と、複数の内線回路17−1〜17−nとを有して構成される。
【0025】
中央制御部11は、ボタン電話主装置10の各回路からの入力情報(ボタン電話機20からの情報も含む)に対する分析や判断、記憶部11に対する情報の入出力、各回路の制御を行う。
【0026】
記憶部12は、通常の記憶部としての働きの他に、用件録音情報、優先再生対象の特定者情報、電話帳データ、優先再生メッセージ番号、等が記憶される。
【0027】
外線回路13−1〜13−mは、外線に接続されるインタフェース回路である。本発明で開示している外線とは、一般公衆回線、IP電話事業者の回線、専用線、私設線、携帯電話等の無線使用回線(無線/有線交換アダプタ使用)、等も含まれる。なお、本実施形態では、一般公衆回線のアナログ電話網の場合について説明する。
【0028】
発番号受信部14は、外線着信時に発番号を受信するモデム回路であり、通話路スイッチ16経由で外線回路13に接続される。なお、一般公衆回線のISDN回線の場合は、発番号情報は制御チャネルにて送信されるため、発番号受信部14は不要である。また、本実施例では、発番号受信部14は、外線回路13とは独立させ複数の回線で共用する構成としているが、外線回路13に1対1で対応させる構成でも良い。
【0029】
録音・再生部15は、留守録音や用件メッセージの再生を実現する回路であり、通話路スイッチ16経由で外線回路13または内線回路17に接続される。なお、本実施形態では用件メッセージはディジタル信号として本回路を構成するメモリに蓄積するが、方式は特に限定しない。
【0030】
通話路スイッチ16は、ボタン電話主装置10内の交換処理(外線回線13−1〜13−mと内線回路17−1〜17−nの接続、発番号受信部14と外線回線13−1〜13−mの接続、録音・再生部15と外線回線13−1〜13−mまたは内線回路17−1〜17−nの接続、他)を行う。
【0031】
内線回路17−1〜17−nは、ボタン電話機20−1〜20−nと音声や制御情報の通信を行うためのインタフェース回路である。
【0032】
また、ボタン電話機20は、少なくとも、制御部21と、データ送受信回路22と、音声処理部23と、送受話器24と、スピーカ25と、ダイヤルボタン26と、外線ボタン27と、優先再生ボタン28と、通常再生ボタン29と、機能ボタン30と、LCD表示器31とを有して構成される。
【0033】
制御部21は、ボタン電話機20内の各回路からの入力情報に対する解析や判断、各回路の制御を行う。
【0034】
データ送受信回路22は、内線を介してボタン電話主装置10と音声データおよび制御データの通信を行うためのインタフェース回路である。
【0035】
音声処理部23は、音声のデジタル/アナログ変換、アナログ/デジタル変換と、ボタン電話機20内の送受話器24やスピーカ25、等との通話パスの切替処理、および音量を制御する。
【0036】
送受話器24は、通話時の送話、受話を行うためのハンドセットである。
【0037】
スピーカ25は、外線着信音の鳴動や、スピーカによる相手音声の拡声に使用する。
【0038】
ダイヤルボタン26は、発信時に電話番号や短縮ダイヤルを入力する手段であり、また、ボタン電話装置において一般的に用いられる短縮ダイヤルの登録や各種設定の入力手段としても用いられる。本実施例では、優先再生したい相手情報(電話番号や電話帳のグループ番号等)を登録する場合にも用いられる。
【0039】
外線ボタン27は、複数ある外線から使用したい外線を選択するための複数のボタンであり、該ボタンに対応して外線の状態(着信中、使用中、保留中、他)を表示するLED表示器を備えている。
【0040】
優先再生ボタン28は、電話機毎の優先再生メッセージを再生するときに押すボタンであり、該ボタンには電話機毎の優先再生メッセージの有無を表示するLED表示器を備えている。尚、専用ボタンでなく機能ボタン30の“設定”ボタンとダイヤルボタン26、等との組み合わせで優先再生を行うことも可能である。
【0041】
通常再生ボタン29は、システム内全ての用件メッセージを単純に日時順に再生するときに押すボタンであり、該ボタンには用件メッセージの有無を表示するLED表示器を備えている。尚、専用ボタンでなく機能ボタン30の“設定”ボタンとダイヤルボタン26、等との組み合わせで通常再生を行うことも可能である。
【0042】
機能ボタン30は、複数備えられており、ボタン電話装置で一般的に使用する“保留”ボタン、“設定”ボタンの他、電話帳、発信履歴、着信履歴、等の検索を行うときに使用する専用のボタン、等がある。
【0043】
LCD表示器31は、着信時には発信者の電話番号や名称、等を表示し、発信時にはダイヤルした番号や通話時間、等を表示し、各種設定の入力を行うときは入力データや設定結果、等を表示し、留守録音の用件再生時には、発信者情報、録音日時、メッセージ番号、等を表示する。また、電話機毎の優先再生メッセージがあるときは、その旨を文字にて表示したり、バックライトの点灯やバックライトの色変更、等を行ったりして通常時とは異なる表示を行うことができる。
【0044】
次に、本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11と記憶部12の機能構成を、図2を用いて説明する。中央制御部11は、少なくとも、外線回路制御手段F40と、発番号受信手段F41と、録音制御手段F42と、再生制御手段F43と、通話路制御手段F44と、データ送受信手段F45と、用件録音情報登録手段F46と、移行処理手段F47と、優先再生メッセージ有無表示手段F48と、受信データ分析手段F49と、照合処理手段F50と、優先再生制御手段F51と、特定者登録手段F52とを有し、記憶部12は、用件録音情報記憶手段F53と、特定者情報記憶手段F54と、電話帳データ記憶手段F55と、優先再生メッセージ番号記憶手段F56とを有して構成される。
【0045】
外線回路制御手段F40は、外線回路13に対し外線発信、外線着信の制御を行う機能を有し、外線着信を検出すると外線着信を検出した旨を移行処理手段F47に通知し、通話路制御手段F44の制御により該外線回路13は通話路スイッチ16を経由して発番号受信部14に接続される。
【0046】
発番号受信手段F41は、発番号受信部14の制御を行い、発番号受信部14が受信した発番号情報を用件録音情報登録手段F46へ通知する機能を有している。なお、発番号情報を受信する制御方法は公知であるため省略する。
【0047】
録音制御手段F42は、移行処理手段F47からの指示に従い、録音・再生部15の録音開始や録音終了、等の制御を行う。
【0048】
再生制御手段F43は、移行処理手段F47からの指示に従い、録音・再生部15の再生開始や再生終了、等の制御を行う。
【0049】
通話路制御手段F44は、移行処理手段F47からの通話路接続指示に従い、各回路の通話路を接続する指示を通話路スイッチ16へ出す機能を有している。例えば、外線着信検出時は該外線回路13と発番号受信部14間の通話路を接続し、留守録音が必要な場合は該外線回路13と録音・再生部15間の通話路を接続し、用件メッセージの再生が必要な場合は該内線回路17と録音・再生部15間の通話路を接続する指示を通話路スイッチ16へ出す。
【0050】
データ送受信手段F45は、内線回路17経由でボタン電話機20と制御データや音声データを送受信する機能を有している。移行制御手段F47から通知される電話番号表示情報やランプ情報、等は内線回路17に送信され、内線回路17から受信したデータは受信データ分析手段F49に引き渡される。
【0051】
用件録音情報登録手段F46は、発番号受信手段F41から取得した発番号情報と移行処理手段F47から取得し該発番号に対応する用件メッセージのメッセージ番号とをセットにして用件録音情報記憶手段F53に登録する機能を有している。
【0052】
移行処理手段F47は、各機能ブロックとの情報交換を行い、様々な状態移行処理を行う機能を有しており、各状態における通話路の接続指示を通話路制御手段F44に対して行う。通話路の接続指示以外の機能も有しており、留守録音時は、録音制御手段F42に録音開始や録音終了の指示を出すと共に用件録音情報登録手段F46に用件メッセージ番号を通知する。また、用件メッセージの優先再生時は、優先再生制御手段F51からの指示により、優先再生制御手段F51から通知されるメッセージ番号をもって再生制御手段F43に対して再生開始や再生終了の指示を出す。通常の用件メッセージ再生時は、受信データ分析手段F49から通知された電話機の通常再生ボタン29の押下情報により、用件録音情報記憶手段F53から取得したメッセージ番号をもって再生制御手段F43に対して再生開始や再生終了の指示を出す。なお、該メッセージ番号が通常規制対象になっている場合は、該メッセージ番号の用件メッセージを録音した電話番号が再生を行おうとしている電話機用の優先再生メッセージ番号記憶手段F56に登録されている特定者か分析し、登録されている場合は再生を実施し登録されていない場合は再生をスキップする。
【0053】
優先再生メッセージ有無表示手段F48は、電話機毎に管理されている優先再生メッセージ番号記憶手段F56にメッセージ番号が記憶されているときに、該電話機に優先メッセージ有りの情報をデータ送受信手段F45に通知する。
【0054】
受信データ分析手段F49は、データ送受信手段F45から通知されたボタン電話機20の操作情報を分析する機能を有している。電話機の優先再生ボタン28の押下情報は優先再生制御手段F51へ、電話機の特定者登録操作情報は特定者登録手段F52へ、その他の電話機の操作情報は移行処理手段F47へ引き渡される。
【0055】
照合処理手段F50は、用件録音情報記憶手段F53に発番号情報が登録されたとき、該発番号が電話機毎に管理されている特定者情報記憶手段F54に相手情報として記憶されている電話番号と一致するかを照合し、一致した場合は該電話機用の優先再生メッセージ番号記憶手段F56に対して該当する用件のメッセージ番号を登録する機能を有している。なお、特定者情報記憶手段F54に記憶されている相手情報が電話番号でなく電話帳のグループ番号の場合、電話帳データ記憶手段F55の該当するグループ番号内で一致する電話番号があるかを照合し、一致する電話番号がある場合は該電話機用の優先再生メッセージ番号記憶手段F56に対して該当する用件のメッセージ番号を登録する。
【0056】
優先再生制御手段F51は、受信データ分析手段F49経由で通知されたボタン電話機20の優先再生ボタン28の押下情報を受信すると、該電話機用の優先再生メッセージ番号記憶手段F56よりメッセージ番号を取得し、該メッセージ番号をもって移行制御手段F47に対して再生処理の起動を依頼する。
【0057】
特定者登録手段F52は、受信データ分析手段F49経由で通知されたボタン電話機20の特定者登録操作情報を受信すると、該ボタン電話機用の特定者情報記憶手段F54に特定者情報である電話番号または電話帳のグループ番号を登録する機能を有している。
【0058】
用件録音情報記憶手段F53は、システム全体の録音・再生部に録音されている用件メッセージのメッセージ番号および、該用件メッセージを録音した発信者の発番号、録音日時、等の情報を記憶する機能を有している。
【0059】
特定者情報記憶手段F54は、内線に接続されるボタン電話機毎に管理され、優先再生する相手の情報として電話番号、または電話帳のグループ番号を記憶する機能を有している。
【0060】
電話帳データ記憶手段F55は、一般的にボタン電話システムで利用される電話帳データを記憶しており、電話番号、名称、ヨミガナ、以外に重要顧客、会社幹部、社員携帯電話、等にグループ分けするためのグループ番号も登録されており、電話帳データ登録時に複数のグループ番号から一つのグループ番号を選択することができる。
【0061】
優先再生メッセージ番号記憶手段F56は、内線に接続されるボタン電話機毎に管理され、優先再生するメッセージ番号を記憶する機能を有しており、優先再生を開始すると該用件メッセージのメッセージ番号は該電話機用の優先再生メッセージ番号記憶手段F56から消去される。
【0062】
次に、用件録音情報記憶手段F53内の録音情報リストの構成例について図3を用いて説明する。録音情報リストは、全ての留守録音された用件メッセージを管理するためのリストであり、録音・再生部15のメモリに記憶される用件メッセージデータとの対応付けを行う目的でメッセージ番号を付与しており、メッセージ番号毎に録音日時および外線から受信した発信者の電話番号が登録されている。
【0063】
また、前記録音情報リスト(図3)の通常再生規制欄の記号(本例では「S」としている)は通常再生が規制されることを示し、通常再生の操作をした電話機の特定者リスト(図4)に未登録の特定者である場合は再生を規制することが可能である。
【0064】
また、用件メッセージの消去を行った場合は、前記録音情報リスト(図3)のメッセージ番号は変化せず項番が繰り上げとなり、消去を行った用件メッセージのメッセージ番号は新たに録音される用件メッセージのメッセージ番号として再利用する。なお、本実施例ではメッセージ番号を用いて用件メッセージデータの対応付けを行っているが、用件メッセージデータを格納しているアドレスやセクタ番号等、手段は特に限定しない。
【0065】
次に、特定者情報記憶手段F54内の特定者リストの構成例について図4を用いて説明する。特定者リストは内線に接続されるボタン電話機毎に管理されており、優先再生する相手の電話番号または、電話帳のグループ番号(本例ではG1、G2、…としている)を登録できる。
【0066】
更に、前記特定者リスト(図4)は、特定者毎に優先再生順序を指定する優先ランクの数字を登録することにより、優先再生時に例えば、優先ランク1、優先ランク2、・・・の順に再生することが可能となる。
【0067】
更に、前記特定者リスト(図4)は、優先ランク欄に他の電話機からの通常再生を規制する記号(本例では「S」としている)を登録することもできる。記号「S」が付与されている特定者からの用件メッセージの録音が行われると、前記録音情報リスト(図3)にメッセージ番号や録音年月日、等が登録されるときに、前記録音情報リスト(図3)の通常再生規制欄に記号「S」が登録される。各電話機が通常再生を行う場合は前記録音情報リスト(図3)を元に用件メッセージの再生が行われるが、記号「S」が付与された特定者が録音した用件メッセージは、再生することができない。但し、該特定者が特定者リストに登録されている電話機は再生可能であり、図4の例では、収容位置101の電話機にて電話番号「0312342222」は規制対象としているが、収容位置120の電話機の特定者としても電話番号「0312342222」が登録されているため、通常再生を行った場合に収容位置101の電話機以外に収容位置120の電話機も電話番号「0312342222」の用件メッセージを再生することが可能である。
【0068】
次に、優先再生メッセージ番号記憶手段F56内の優先再生メッセージ番号リストの構成例について図5を用いて説明する。優先再生メッセージ番号リストは内線に接続されるボタン電話機毎に管理され、録音日時順に並んでいる。本実施例では、優先再生する相手の順位を決定する優先ランクを追加した場合で示しており、優先ランク1、優先ランク2、・・・の順に再生される。なお、優先ランクは前記特定者リスト(図4)により予め指定されており、優先再生メッセージ番号リストにメッセージ番号が登録されるときに前記特定者リスト(図4)の優先ランクも登録される。
【0069】
次に、上記実施の形態におけるボタン電話主装置10側の録音処理の流れについて図6を用いて説明する。なお、図6において、各ステップの順番は一例を示すものであり、作用・効果を変更しない範囲で任意に入れ替えても良い。
【0070】
まず、外線着信後、発番号受信処理を行う(S201)。発番号受信処理は公知であるため詳細は省略する。
【0071】
留守録応答を行った後、録音処理、録音終了処理を行う(S202)。留守録応答、録音処理、録音終了処理は公知であるため詳細は省略する。
【0072】
録音が終了すると、用件録音情報登録手段F46によりメッセージ番号、録音日時、発番号が録音情報リスト(図3)に登録される(S203)。
【0073】
ステップS203の直後、照合処理手段F50により、該発番号は各電話機の特定者リスト(図4)の相手に一致するか照合され(S204)、不一致なら処理を終了する。一致している場合は、一致した特定者の相手は通常再生の規制対象として特定者リスト(図4)に登録されているか確認する(S205)。特定者リスト(図4)にて優先ランク欄に「S」が付与されている相手が通常再生の規制対象に該当する。
【0074】
ステップS205で規制対象の場合(Yes)は、該メッセージ番号は他の電話機から通常再生を行ったときに再生を規制するため、録音情報リスト(図3)の該当するメッセージ番号に対して、通常再生を規制することを示す記号(図3の例では「S」としている)を付与する(S206)。ステップS205で規制対象でない場合(No)は、ステップS206の処理は行わない。
【0075】
ステップS203で登録されたメッセージ番号は、ステップS204で一致となった電話機用の優先再生メッセージ番号リスト(図5)に登録される。
【0076】
優先再生メッセージ番号リスト(図5)にメッセージ番号が登録されると、優先再生メッセージ有りの表示処理が実行され(S208)、優先再生メッセージ有無表示手段F48により該電話機には特別な可視・可聴表示等表示が行われ、処理を終了する。
【0077】
なお、ステップS204以降の処理は全ての電話機を対象に行われ、各電話機で別々の処理結果が得られることになる。
【0078】
次に、上記実施の形態におけるボタン電話主装置10側の用件メッセージ再生処理の流れについて、図7を用いて説明する。なお、図7において、各ステップの順番は一例を示すものであり、作用・効果を変更しない範囲で任意に入れ替えても良い。また、図7では電話機側からの再生終了操作に関しては明記していないが、電話機側から再生終了操作を受信した場合は、処理を終了する。
【0079】
まず、受信データ分析手段F49は電話機の優先再生ボタン28の押下情報を受信したか否かを分析し(S301)、受信した場合(Yes)は、優先再生制御手段F51は該電話機用の優先再生メッセージ番号リスト(図5)にメッセージ番号の登録があるかを分析する(S302)。登録がない場合(No)は再生不可のためステップS301の前に戻る。登録がある場合(Yes)は、該電話機用の優先再生メッセージ番号リスト(図5)に基づき、該当するメッセージ番号の用件メッセージを再生する(S303)。
【0080】
ステップS303の再生処理が開始されると、優先再生制御手段F51は該電話機用の優先再生メッセージ番号リストより該当メッセージ番号を消去する(S304)。
【0081】
引き続き再生を行うため、優先再生制御手段F51は該電話機用の優先再生メッセージ番号リストにある用件メッセージを全て再生したかを分析し(S305)、全て再生した場合(Yes)は、処理を終了する。全て再生していない場合(No)はステップS303に戻り、処理を継続する。
【0082】
ステップS301で電話機の優先再生ボタン28の押下情報を受信できなかった場合(No)は、電話機の通常再生ボタン29の押下情報を受信したか否かを分析し(S306)、受信した場合(Yes)は、移行制御手段F47はシステム全体の録音情報リスト(図3)にメッセージ番号の登録があるかを分析する(S307)。登録がない場合(No)は再生不可のためステップS301の前に戻る。登録がある場合(Yes)は、システム全体の録音情報リスト(図3)に基づき項番001より再生処理を開始する(S307)。
【0083】
通常再生の場合、他の電話機が優先再生を登録している相手で且つ通常再生の規制を行っていて、操作中の電話機が優先再生を登録していない相手の用件メッセージの場合は、再生が規制される。ステップS309以降の処理で規制処理を実現している。
【0084】
ステップS309にて移行処理手段F47は、再生しようとしている用件メッセージは通常再生の規制対象か否かを録音情報リスト(図3)に対して照合し、規制対象でない場合(No)はそのまま再生処理を実行する(S313)。録音情報リスト(図3)にて通常再生規制欄に「S」が付与されているものが通常再生の規制対象に該当する。
【0085】
ステップS309で規制対象である場合(Yes)は、引き続き移行処理手段F47は操作中電話機用の特定者リスト(図4)に登録されている相手かを分析する(S310)。登録されている相手の場合(Yes)は規制対象でなくなるため、そのまま再生処理を実行する(S311)。
【0086】
ステップS310で登録されていない相手の場合(No)は規制対象となり、該用件メッセージの再生はスキップされる(S312)。
【0087】
引き続き再生を行うため、移行処理手段F47は録音情報リストにある用件メッセージを全て再生したかを分析し(S313)、全て再生した場合(Yes)は処理を終了する。全て再生していない場合(No)は次の再生処理を開始し(S314)、ステップS309に戻りステップS309〜ステップS313の処理を繰り返す。
【0088】
次に、上記実施の形態におけるボタン電話主装置10側の用件メッセージ消去処理の流れについて図8を用いて説明する。なお、図8において、各ステップの順番は一例を示すものであり、作用・効果を変更しない範囲で任意に入れ替えても良い。また、図8では電話機側からの再生終了操作に関しては明記していないが、電話機側から再生終了操作を受信した場合は、処理を終了する。
【0089】
用件メッセージ再生処理中(S401)、受信データ分析手段F49は電話機の消去操作を受信したかを分析し(S402)、受信しない場合(No)は引き続き受信を待つ。電話機の消去操作を受信した場合(Yes)、移行処理手段F47は現在再生中の用件メッセージが各電話機用の優先再生メッセージ番号リスト(図5)に存在するメッセージ番号かを分析する(S403)。
【0090】
ステップS403で、存在するメッセージ番号である場合(Yes)は、該メッセージは優先再生すべき電話機(複数台の場合もあり得る)での再生が行われていないことになるため、消去を規制し消去操作を無効にする(S404)。
【0091】
ステップS403で、存在するメッセージ番号でない場合(No)は、該メッセージは優先再生すべき電話機(複数台の場合もあり得る)での再生が完了している、または優先再生メッセージでないため消去は可能であり、用件消去処理を実行する(S405)。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明に係るボタン電話主装置10と、ボタン電話機20構成概略図。
【図2】本発明に係る中央制御部11と、記憶部12の機能ブロック図。
【図3】録音情報リストの構成例を説明する図。
【図4】特定者リストの構成例を説明する図。
【図5】優先再生メッセージ番号リストの構成例を説明する図。
【図6】本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の録音処理に関するフローチャート。
【図7】本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の用件メッセージ再生処理に関するフローチャート。
【図8】本発明に係るボタン電話主装置10の中央制御部11内の用件メッセージ消去処理に関するフローチャート。
【符号の説明】
【0093】
10 ボタン電話主装置
11 中央制御部
12 記憶部
13 外線回路
14 発番号受信部
15 録音・再生部
16 通話路スイッチ
17 内線回路
20 ボタン電話機
21 制御部
22 データ送受信回路
23 音声処理部
24 送受話器
25 スピーカ
26 ダイヤルボタン
27 外線ボタン
28 優先再生ボタン
29 通常再生ボタン
30 機能ボタン
31 LCD表示器
F40 外線回路制御手段
F41 発番号受信手段
F42 録音制御手段
F43 再生制御手段
F44 通話路制御手段
F45 データ送受信手段
F46 用件録音情報登録手段
F47 移行処理手段
F48 優先再生メッセージ有無表示手段
F49 受信データ分析手段
F50 照合処理手段
F51 優先再生制御手段
F52 特定者登録手段
F53 用件録音情報記憶手段
F54 特定者情報記憶手段
F55 電話帳データ記憶手段
F56 優先再生メッセージ番号記憶手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の外線および複数の内線を収容するボタン電話主装置と、前記内線に接続される複数のボタン電話機から成り、システム共通の留守録音機能を具備したボタン電話システムであって、
前記ボタン電話主装置は、
用件メッセージ録音時に発信者情報や用件メッセージ番号を記憶する用件録音情報記憶手段と、
前記ボタン電話機が用件メッセージ再生時に優先再生したい相手の情報を記憶する前記ボタン電話機毎の特定者情報記憶手段と、
前記用件録音情報記憶手段に記憶されている発信者情報と前記特定者情報記憶手段に記憶されている相手の情報とを照合する照合処理手段と、
前記照合処理手段の照合結果が一致していたら、前記ボタン電話機毎に優先再生する用件メッセージ番号を記憶する優先再生メッセージ番号記憶手段と、
前記ボタン電話機の優先再生操作により、前記優先再生メッセージ番号記憶手段に記憶されているメッセージ番号に対応した用件メッセージを優先的に再生する優先再生制御手段とを有することを特徴とする留守録音機能付きボタン電話システム。
【請求項2】
請求項1において、前記特定者情報記憶手段は、
特定者を限定する条件として電話番号以外に自ボタン電話システムの電話帳のグループ番号を記憶することが可能なことを特徴とする留守録音機能付きボタン電話システム。
【請求項3】
請求項1または2において、前記ボタン電話主装置は、
前記優先再生メッセージ番号記憶手段に用件メッセージ番号が記憶されているか否かに従い、前記ボタン電話機に表示を行う優先再生メッセージ有無表示手段を有することを特徴とする留守録音機能付きボタン電話システム。
【請求項4】
請求項1または2において、前記ボタン電話主装置は、
前記特定者情報記憶手段に記憶されている特定者からの用件メッセージを、該特定者を前記特定者情報記憶手段に記憶しているボタン電話機からのみ再生可能とする再生規制手段を有することを特徴とする留守録音機能付きボタン電話システム。
【請求項5】
請求項1において、前記ボタン電話主装置は、
前記優先再生メッセージ番号記憶手段に記憶されたメッセージ番号の用件メッセージを、優先再生の対象である1若しくは複数のボタン電話機が未再生の場合、消去操作を無効にする消去規制手段を有することを特徴とする留守録音機能付きボタン電話システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−72615(P2008−72615A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251318(P2006−251318)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】