説明

特徴領域抽出装置、特徴領域抽出方法、及びプログラム

【課題】車両の検知に特有の誤検知を防止する。
【解決手段】領域抽出部102は、画像から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出する。組抽出部103は、領域抽出部102が抽出した領域の中から中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出する。除外部105は、組抽出部103が抽出した組を構成する領域のそれぞれに異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低い場合に、当該組の構成する領域の一方を抽出結果から除外する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す領域を抽出する特徴領域抽出装置、特徴領域抽出方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
有料道路における料金収受では、車両固有の登録情報の特定が重要となる。これらの登録情報を特定する方法としては、従来、車載器と路側アンテナの通信により取得する方法や、OCRなどの画像処理技術をもってナンバープレートを認識し、その登録情報より取得する方法などを用いている。また、料金収受目的に限らず、画像により車種を判定(例えば4輪車と2輪車の判定)も種々開発されている。
【0003】
一方、デジタルカメラなどの顔認識で知られるように、予め取得した画像(例えば、顔画像など)と撮影対象画像から抽出された領域との特徴量を比較して、特徴量が所定の閾値以上である場合に、それが所望の領域(例えば、顔を含む領域)として認識する技術も知られている。
【0004】
この特徴量による画像検知技術は、有料道路などの車両検知目的も含め、様々な技術が開示されている。
【0005】
特許文献1、特許文献2には、撮像された画像から車両を検知する技術が開示されている。しかしながら、特許文献1、特許文献2には、1つの画像に複数の車両が含まれる場合の処理が記載されていない。他方、特許文献3、特許文献4は、1つの画像に複数の対象物(人や人の顔)を検知する方法が記載されている。また、特許文献3、特許文献4には、対象物の誤検知を防止する技術が開示されている。
【0006】
特許文献3によれば、対象物の特徴情報の学習と非対象物の特徴情報の学習とを行うことで、検知の候補となったものが対象物に類似する度合いと非対象物に類似する度合いの双方を判定することで、対象物の誤検知を防止する。
特許文献4によれば、撮像した画像と予め取得しておいた背景画像との差分を作成し、差分が大きい部分を検知の候補とし、当該検知の候補と対象物との類似度が所定の閾値より高いか否かを判定することで、対象物の誤検知を防止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−164193号公報
【特許文献2】特開2010−139705号公報
【特許文献3】特開2010−160757号公報
【特許文献4】特開2010−122746号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、四輪車のナンバープレート及び二輪車のヘルメットを検知対象とする場合、四輪車のリアガラスにナンバープレートが映り込むことや、二輪車の2人乗りによって1つの二輪車に2人が乗っていることがあるため、車両を誤検知してしまう確率が高いという問題がある。
【0009】
ナンバープレートの写りこみや二輪車の2人乗りは、特許文献4に記載されている背景との差分で除去することができない。またナンバープレートの写りこみや二輪車の2人乗りを特許文献3に記載されているように非対象物として学習したとしても、対象物と非対称物が類似しているため、検知精度が落ちてしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す領域を抽出する特徴領域抽出装置であって、前記画像から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出する領域抽出部と、前記領域抽出部が抽出した領域から、当該領域の中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出する組抽出部と、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が高いか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定された場合に、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域の一方を前記領域抽出部による抽出結果から除外する除外部とを備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明においては、前記判定部は、前記組抽出部が抽出した組が四輪車の特徴部分に類似する領域同士の組である場合に、当該組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定することが好ましい。
【0012】
また、本発明においては、前記判定部は、前記組抽出部が抽出した組が二輪車の特徴部分に類似する領域同士の組であり、かつ当該領域同士が画像中の進行方向に重なっている場合に、当該組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定することが好ましい。
【0013】
また、本発明においては、前記二輪車の特徴部分は、運転者の頭部から肩にかけての領域であり、前記四輪車の特徴部分は、ナンバープレートであり、前記判定部は、前記組抽出部が抽出した組が二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域との組であり、かつ二輪車の特徴部分に類似する領域が四輪車の特徴部分に類似する領域より画像中の進行方向前方に存在する場合に、当該組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定することが好ましい。
【0014】
また、本発明においては、前記領域抽出部は、予め求めておいた車両の特徴部分の特徴量と前記画像のある領域の特徴量との類似度を算出し、前記除外部は、前記判定部によって当該組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定された場合に、前記類似度が低い方の領域を削除することが好ましい。
【0015】
また、本発明は、画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す領域を抽出する特徴領域抽出装置を用いた特徴領域抽出方法であって、領域抽出部は、前記画像から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出し、組抽出部は、前記領域抽出部が抽出した領域から、当該領域の中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出し、判定部は、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が高いか否かを判定し、除外部は、前記判定部によって前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定された場合に、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域の一方を前記領域抽出部による抽出結果から除外することを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す領域を抽出する特徴領域抽出装置を、前記画像から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出する領域抽出部、前記領域抽出部が抽出した領域から、当該領域の中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出する組抽出部、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が高いか否かを判定する判定部、前記判定部によって前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定された場合に、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域の一方を前記領域抽出部による抽出結果から除外する除外部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
車両は接触しないように走行するため、車両の特徴部分同士の間には、ある程度の距離がある。したがって、車両の特徴部分として検出された領域同士の距離が近いということは、一方が誤検出である可能性が高い。本発明によれば、組抽出部が中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出し、除外部は、当該組を構成する領域のそれぞれに異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低い場合に、当該組の構成する領域の一方を抽出結果から除外する。これにより、特徴領域抽出装置は、車両の検知に特有の誤検知を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態による特徴領域抽出装置の構成を示す概略ブロック図である。
【図2】特徴領域抽出装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】領域同士が進行方向で重なっているか否かを判定する判定フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図1は、本発明の一実施形態による特徴領域抽出装置100の構成を示す概略ブロック図である。
特徴領域抽出装置100は、撮像装置200が撮像した画像情報の入力を受け付け、当該画像情報から車両の特徴部分の抽出を行う装置であり、入力部101、領域抽出部102、組抽出部103、判定部104、除外部105、出力部106を備える。
【0020】
入力部101は、撮像装置200から画像情報の入力を受け付ける。
領域抽出部102は、入力部101が受け付けた画像情報から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出する。本実施形態では、二輪車の特徴部分として運転者の頭から肩にかけての領域、すなわち運転者のヘルメットを用いる。また、四輪車の特徴部分として四輪車のナンバープレート(一段プレート、二段プレート)を用いる。なお、一段プレートの四輪車とは、一段構えに表示されるナンバープレートが設置された四輪車である。同様に、二段プレートの四輪車とは、二段構えに表示されるナンバープレートが設置された四輪車である。
【0021】
二輪車の特徴部分としてナンバープレートでなくヘルメットを用いる理由は、二輪車のナンバープレートは設置の自由度が高く、画像に写る角度が様々であることから、ナンバープレートよりヘルメットの方がより高い精度で抽出することができるためである。特徴部分の抽出は、予め特徴部分の特徴量について機械学習を行った判別プログラムに画像情報のある領域を入力し、入力した領域の特徴量と特徴部分の特徴量との類似度が高いものを抽出することで行う。特徴量としては、例えばHOG(Histograms of Oriented Gradients)を用い、判別プログラムとしては、例えばSVM(Support Vector Machine)を用いることができる。
【0022】
領域抽出部102は、特徴部分に類似する領域を抽出すると、検知領域座標(左上及び右下の座標)、特徴量評価値(類似度)、及び車種(二輪車、四輪一段、又は四輪二段)を含む領域情報を出力する。
組抽出部103は、領域抽出部102が出力した領域から、中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出する。
判定部104は、組抽出部103が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が高いか否かを判定する。
除外部105は、組抽出部103が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低い場合に、領域抽出部102が抽出した領域のうち、組抽出部103が抽出した組を構成する領域の一方を除外する。
出力部106は、領域抽出部102が抽出した領域のうち、除外部105によって除外されなかった領域を出力する。
【0023】
次に、特徴領域抽出装置100の動作について説明する。
図2は、特徴領域抽出装置100の動作を示すフローチャートである。
撮像装置200は、撮像した画像情報を順次特徴領域抽出装置100に出力する。特徴領域抽出装置100の入力部101は、撮像装置200から画像情報の入力を受け付ける(ステップS1)。次に、領域抽出部102は、入力部101が入力を受け付けた画像情報を複数の領域に分割する(ステップS2)。なお、領域抽出部102によって分割された領域は、その一部が他の領域と重複するように分割される。次に、領域抽出部102は、分割した領域のそれぞれから特徴量を算出する。次に、領域抽出部102は、SVM等を用いて、各領域が二輪車の特徴部分に類似する領域であるか、四輪車の特徴部分に類似する領域であるか、何れの特徴部分にも類似しない領域であるかを判定し、二輪車の特徴部分に類似する領域、及び一段プレート並びに二段プレートの四輪車の特徴部分に類似する領域をそれぞれ抽出する(ステップS3)。このとき、領域抽出部102は、抽出した領域のそれぞれに対して、当該領域が二輪車の特徴部分に類似する領域であるか、四輪車の特徴部分に類似する領域であるかを示す種別情報を付与する。
【0024】
次に、領域抽出部102は、抽出した各領域の特徴量評価値を算出する(ステップS4)。なお、二輪車の特徴部分に類似する領域の特徴量評価値は、当該領域の特徴量と予め機械学習によって求められた二輪車の特徴量との類似度によって示される。同様に、一段プレートの四輪車の特徴部分に類似する領域の特徴量評価値は、当該領域の特徴量と予め機械学習によって求められた一段プレートの四輪車の特徴量との類似度によって示される。また、二段プレートの四輪車の特徴部分に類似する領域の特徴量評価値は、当該領域の特徴量と予め機械学習によって求められた二段プレートの四輪車の特徴量との類似度によって示される。なお、領域抽出部102は、ステップS3で抽出した領域のそれぞれに対して、算出した特徴量評価値を付与する。
【0025】
次に、領域抽出部102は、ステップS3で、二輪車の特徴部分に類似する領域、及び一段プレート並びに二段プレートの四輪車の特徴部分に類似する領域を1つ以上抽出したか否かを判定する(ステップS5)。ステップS3で領域抽出部102が特徴部分に類似する領域を抽出しなかった場合(ステップS5:NO)、特徴領域抽出装置100は、当該画像中に車両が存在しないとして処理を終了する。
【0026】
他方、ステップS3で領域抽出部102が特徴部分に類似する領域を1つ以上抽出した場合(ステップS5:YES)、領域抽出部102は、ステップS3で抽出した領域それぞれの中心座標を算出する(ステップS6)具体的には、領域抽出部102は、領域の左端のX座標と右端のX座標との平均を算出することで、領域のX軸方向の中心座標を算出し、領域の上端のY座標と下端のY座標との平均を算出することで、領域のY軸方向の中心座標を算出する。
そして、特徴領域抽出装置100は、領域抽出部102がステップS3で抽出した領域の中から2つ選択することで得られる全ての組み合わせについて、以下のステップS8〜ステップS12の処理を実行する(ステップS7)。
【0027】
まず、組抽出部103は、ステップS7で選択した組み合わせを構成する領域同士の中心座標の距離を算出し、当該距離が所定の閾値d以下であるか否かを判定する(ステップS8)。なお、閾値dは、撮像装置200によって撮像される画像における四輪車の車幅程度の長さを示すものである。
組抽出部103は、領域同士の中心座標の距離が所定の閾値dより大きいと判定した場合(ステップS8:NO)、当該2つの領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が高いと判定し、ステップS7で次の組み合わせを選択する。
【0028】
他方、組抽出部103は、領域同士の中心座標の距離が所定の閾値d以下であると判定した場合(ステップS8:YES)、当該組を抽出し、判定部104に出力する。判定部104は、組抽出部103によって抽出された組を構成する領域のそれぞれに付与された種別情報を読み出すことで、それぞれどの種別の車両の特徴部分に類似する領域であるかを判定する(ステップS9)。
【0029】
判定部104は、組抽出部103によって抽出された組を構成する領域が、両方とも四輪車の特徴部分に類似する領域であると判定した場合(ステップS9:四輪同士)、組抽出部103によって抽出された組を構成するそれぞれの領域に同一の車両の特徴部分が含まれるか、一方の領域に特徴部分が含まれないかのいずれかである可能性が高いと判定する。そして、除外部105は、組抽出部103によって抽出された組のうちステップS4で算出された特徴量評価値が低い方を、ステップS3で領域抽出部102によって抽出された領域から除外する(ステップS10)。
【0030】
ここで、組抽出部103によって抽出された組を構成する領域が両方とも四輪車の特徴部分に類似する領域であると判定した場合に、組を構成するそれぞれの領域に同一の車両の特徴部分が含まれるか、一方の領域に特徴部分が含まれないかのいずれかである可能性が高いと判定する理由を説明する。上述したように、閾値dは、撮像装置200によって撮像される画像における四輪車の車幅程度の長さである。したがって、閾値d以内の距離で2つの四輪車が併走する可能性はきわめて低い。また、四輪車の車長は車幅より長いため、閾値d以内の距離で2つの四輪車が追走する可能性もきわめて低い。つまり、閾値d以内に四輪車のナンバープレートに類似する2つの領域が抽出された場合、当該領域が、同じナンバープレートを示すもの(同一の車両の特徴部分)であるか、一方の領域が、車両のリアガラスに反射した後方の車両のナンバープレートである(一方の領域に特徴部分が含まれない)かのいずれかである可能性が高い。
【0031】
また、ステップS9において判定部104は、組抽出部103によって抽出された組を構成する領域の一方が四輪車の特徴部分に類似する領域であり、他方が二輪車の特徴部分に類似する領域であると判定した場合(ステップS9:二輪と四輪)、二輪車の特徴部分に類似する領域が、四輪車の特徴部分に類似する領域より上(進行方向前方)にあるか否かを判定する(ステップS11)。具体的には、判定部104は、二輪車の特徴部分に類似する領域の上端のY座標の値が、四輪車の特徴部分に類似する領域の下端のY座標の値より小さい場合に、二輪車の特徴部分に類似する領域が、四輪車の特徴部分に類似する領域より上にあると判定する。なお、本実施形態においては、画像垂直方向下向きをY座標正方向としている。
【0032】
判定部104は、二輪車の特徴部分に類似する領域が、四輪車の特徴部分に類似する領域より上にあると判定した場合(ステップS11:NO)、二輪車が四輪車を追走している状態であると判定し、ステップS7で次の組み合わせを選択する。
他方、判定部104は、二輪車の特徴部分に類似する領域が、四輪車の特徴部分に類似する領域より上にあると判定した場合(ステップS11:YES)、組抽出部103によって抽出された組を構成する一方の領域に特徴部分が含まれない可能性が高いと判定する。そして、除外部105は、組抽出部103によって抽出された組のうちステップS4で算出された特徴量評価値が低い方を、ステップS3で領域抽出部102によって抽出された領域から除外する(ステップS10)。
【0033】
ここで、二輪車の特徴部分に類似する領域が四輪車の特徴部分に類似する領域より下に存在すると判定した場合に、一方の領域に特徴部分が含まれない可能性が高いと判定する理由を説明する。上述したように、閾値dは、撮像装置200によって撮像される画像における四輪車の車幅程度の長さであり、閾値d以内の距離中に2つの四輪車が存在することはない。しかし、本実施形態では、四輪車の特徴部分としてナンバープレートを用い、二輪車の特徴部分としてヘルメットを用いている。撮像装置200が撮像する画像情報において、ナンバープレートは四輪車の後方に写り、ヘルメットは二輪車の前方に写るため、二輪車が四輪車を追走する場合、画像中においてヘルメットとナンバープレートとが近接する。したがって、二輪車の特徴部分に類似する領域が四輪車の特徴部分に類似する領域より上に存在する場合には、それぞれの領域に異なる車両の特徴部分が含まれると判定し、除外処理を行わない。
【0034】
他方、四輪車が二輪車を追走する場合、閾値d以内の距離中に2つの車両が存在することはない。したがって、この場合、四輪車のナンバープレートに類似すると判定された領域が、二輪車のナンバープレートを示すものであるか、二輪車のヘルメットに類似すると判定された領域が、車両のリアガラスに反射した後方の二輪車のヘルメットである(一方の領域に特徴部分が含まれない)かのいずれかである可能性が高い。
【0035】
また、ステップS9において判定部104は、組抽出部103によって抽出された組を構成する領域の両方が二輪車の特徴部分に類似する領域であると判定した場合(ステップS9:二輪同士)、領域同士が画像中の進行方向で重なっているか否かを判定する(ステップS12)。具体的には、図3に示す判定フローに基づいて判定される。
【0036】
図3は、領域同士が進行方向で重なっているか否かを判定する判定フローを示すフローチャートである。
まず、判定部104は、組抽出部103によって抽出された組を構成する一方の領域(以下、領域Aとする)における左端のX座標の値が、他方の領域(以下、領域Bとする)における左端のX座標の値以下であるか否かを判定する(ステップS21)。なお、本実施形態においては、画像水平方向右向きをX座標正方向としている。判定部104は、領域Aにおける左端のX座標の値が、領域Bにおける左端のX座標の値以下であると判定した場合(ステップS21:YES)、領域Bにおける左端のX座標の値が、領域Aにおける右端のX座標の値以下であるか否かを判定する(ステップS22)。
【0037】
判定部104は、領域Bにおける左端のX座標の値が、領域Aにおける右端のX座標の値以下であると判定した場合(ステップS22:YES)、領域Aと領域Bとが進行方向で重なっていると判定する(ステップS23)。他方、判定部104は、領域Bにおける左端のX座標の値が、領域Aにおける右端のX座標の値より大きいと判定した場合(ステップS22:NO)、領域Aと領域Bとが進行方向で重なっていないと判定する(ステップS24)。
【0038】
他方、判定部104は、ステップS21において領域Aにおける左端のX座標の値が、領域Bにおける左端のX座標の値より大きいと判定した場合(ステップS21:NO)、領域Aにおける左端のX座標の値が、領域Bにおける右端のX座標の値以下であるか否かを判定する(ステップS25)。
【0039】
判定部104は、領域Aにおける左端のX座標の値が、領域Bにおける右端のX座標の値以下であると判定した場合(ステップS25:YES)、領域Aと領域Bとが進行方向で重なっていると判定する(ステップS23)。他方、判定部104は、領域Aにおける左端のX座標の値が、領域Bにおける右端のX座標の値より大きいと判定した場合(ステップS25:NO)、領域Aと領域Bとが進行方向で重なっていないと判定する(ステップS24)。
【0040】
判定部104が上記ステップS21〜S25の動作により、領域同士が画像中の進行方向で重なっていないと判定した場合(ステップS12:NO)、2つの二輪車が併走している状態であると判定し、ステップS7で次の組み合わせを選択する。
他方、判定部104は、領域同士が画像中の進行方向で重なっていると判定した場合(ステップS12:YES)、組抽出部103によって抽出された組を構成するそれぞれの領域に同一の車両の特徴部分が含まれる可能性が高いと判定する。そして、除外部105は、組抽出部103によって抽出された組のうちステップS4で算出された特徴量評価値が低い方を、ステップS3で領域抽出部102によって抽出された領域から除外する(ステップS10)。
【0041】
ここで、二輪車に類似する領域同士が進行方向に重なりを持つと判定した場合に、それぞれの領域に同一の車両の特徴部分が含まれる可能性が高いと判定する理由を説明する。上述したように、閾値dは、撮像装置200によって撮像される画像における四輪車の車幅程度の長さである。また、二輪車の車長は一般的に四輪車の車幅より長いため、閾値d以内の距離で2つの二輪車が追走することはない。しかし、二輪車の車長は閾値dに近い値となっても、二輪車の車幅は、通常四輪車の車幅より小さい。そのため、2つの二輪車が併走する場合、画像中において二輪車の特徴部分同士が近接する。したがって、二輪車の特徴部分に類似する領域が進行方向に重なりを持たない場合には、それぞれの領域に異なる車両の特徴部分が含まれると判定し、除外処理を行わない。
【0042】
他方、2つの二輪車が進行方向に連なって走行する場合、閾値d以内の距離中に2つの車両が存在することはない。したがって、この場合、当該領域が、同じヘルメットを示すものであるか、2人乗りの二輪車における運転者と同乗者のヘルメットを示すものであるか(同一の車両の特徴部分)のいずれかである可能性が高い。
【0043】
ステップS7において、領域抽出部102がステップS3で抽出した領域の中から2つ選択することで得られる全ての組み合わせについて、ステップS8〜ステップS12の処理を実行すると、出力部106は、領域抽出部102が抽出した領域のうち、除外部105によって除外されなかった領域を、車両の特徴部分を示す領域として出力する(ステップS13)。
【0044】
このように、本実施形態によれば、組抽出部103が中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出し、除外部105は、当該組を構成する領域のそれぞれに異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低い場合に、当該組の構成する領域の一方を抽出結果から除外する。これにより、特徴領域抽出装置100は、車両の検知に特有の誤検知を防止することができる。
【0045】
以上、図面を参照してこの発明の一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
例えば、本実施形態では、撮像装置200が出力した画像情報の各々に対してステップS1〜ステップS12の処理を実行する場合を説明したが、これに限られない。例えば、事前処理として撮像装置200から入力した画像のフレーム間差分をとり、領域抽出部102が、当該差分画像から領域の抽出を行うようにしても良い。
【0046】
また、本実施形態では、二輪車の特徴部分としてヘルメットを用い、四輪車の特徴部分としてナンバープレートを用いる場合を説明したが、これに限られず、その他の特徴部分を用いても、同様の処理を行うことができる。
【0047】
また、本実施形態では、四輪車のナンバープレートの種類として一段プレートと二段プレートとがある場合を用いて説明したが、これに限られず、1種類または3種類以上のナンバープレートがある場合にも適用することができる。
【0048】
上述の特徴領域抽出装置100は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0049】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0050】
100…特徴領域抽出装置 101…入力部 102…領域抽出部 103…組抽出部 104…判定部 105…除外部 106…出力部 200…撮像装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す領域を抽出する特徴領域抽出装置であって、
前記画像から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出する領域抽出部と、
前記領域抽出部が抽出した領域から、当該領域の中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出する組抽出部と、
前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が高いか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定された場合に、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域の一方を前記領域抽出部による抽出結果から除外する除外部と
を備えることを特徴とする車両特徴抽出装置。
【請求項2】
前記判定部は、前記組抽出部が抽出した組が四輪車の特徴部分に類似する領域同士の組である場合に、当該組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両特徴抽出装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記組抽出部が抽出した組が二輪車の特徴部分に類似する領域同士の組であり、かつ当該領域同士が画像中の進行方向に重なっている場合に、当該組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両特徴抽出装置。
【請求項4】
前記二輪車の特徴部分は、運転者の頭部から肩にかけての領域であり、
前記四輪車の特徴部分は、ナンバープレートであり、
前記判定部は、前記組抽出部が抽出した組が二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域との組であり、かつ二輪車の特徴部分に類似する領域が四輪車の特徴部分に類似する領域より画像中の進行方向前方に存在する場合に、当該組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車両特徴抽出装置。
【請求項5】
前記領域抽出部は、予め求めておいた車両の特徴部分の特徴量と前記画像のある領域の特徴量との類似度を算出し、
前記除外部は、前記判定部によって当該組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定された場合に、前記類似度が低い方の領域を削除する
ことを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項に記載の車両特徴抽出装置。
【請求項6】
画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す領域を抽出する特徴領域抽出装置を用いた特徴領域抽出方法であって、
領域抽出部は、前記画像から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出し、
組抽出部は、前記領域抽出部が抽出した領域から、当該領域の中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出し、
判定部は、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が高いか否かを判定し、
除外部は、前記判定部によって前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定された場合に、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域の一方を前記領域抽出部による抽出結果から除外する
ことを特徴とする車両特徴抽出方法。
【請求項7】
画像から当該画像に含まれる車両の特徴部分を示す領域を抽出する特徴領域抽出装置を、
前記画像から二輪車の特徴部分に類似する領域と四輪車の特徴部分に類似する領域とを抽出する領域抽出部、
前記領域抽出部が抽出した領域から、当該領域の中心位置同士の距離が所定の閾値以下となる領域の組を抽出する組抽出部、
前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が高いか否かを判定する判定部、
前記判定部によって前記組抽出部が抽出した組を構成する領域にそれぞれ異なる車両の特徴部分が含まれる可能性が低いと判定された場合に、前記組抽出部が抽出した組を構成する領域の一方を前記領域抽出部による抽出結果から除外する除外部
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−216022(P2012−216022A)
【公開日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−80230(P2011−80230)
【出願日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】