説明

牽引治療装置

【課題】エアバッグの膨張収縮やエアバッグのエア圧力設定に係る操作負担及びエアバッグの締付による被治療者の腰部への負担を軽減することができる牽引治療装置を提供すること。
【解決手段】腰掛部5を背凭部6に対して接離する方向に往復移動させる牽引駆動部と、前記腰掛部5に設けられて被治療者の腰部に装着するエアバッグ18・18を有する腰装具17と、前記エアバッグ18・18内のエア圧力を加減圧することにより前記エアバッグ18・18の膨張収縮を制御するエア圧制御部を備え、該エア圧制御部は前記牽引駆動部による牽引開始動作に合わせて前記エアバッグ18・18を自動膨張させ、前記牽引駆動部による牽引終了動作に合わせて前記エアバッグ18・18を自動収縮させるよう制御を行う牽引治療装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腰椎の牽引治療を行う牽引治療装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、腰装具内面に当接用エアーセルを設け、当該エアーセルにエアを送入し牽引治療中に腰装具が被施療者に与える痛みを減少させるとともに、当該エアーセルを被施療者にあった好適な形状とすることで腰装具を腰部に確実に固定できるようにした牽引ベッドが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3452399号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来の牽引ベッドにおいては、エアーセルへのエア送入操作やエアーセルからのエア排気の操作、エアーセル内のエア圧力値の設定操作等は治療者が治療の都度手動で行うように構成されているものであるから、諸操作が面倒で治療者の操作負担が増大するという問題点を有していた。また、牽引治療の一時休止期間中も常にエアーセル内のエア圧力値が初期値に維持されている為、当該エアーセルの締付によって腰部への負荷が過剰になるという問題点を有していた。
【0004】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところはエアバッグの膨張収縮やエアバッグのエア圧力設定に係る操作負担を軽減することができ、更にエアバッグの締付による被治療者の腰部への負担を軽減することができる牽引治療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を実現する為、請求項1記載の発明は、腰掛部を背凭部に対して接離する方向に往復移動させる牽引駆動部と、前記腰掛部に設けられて被治療者の腰部に装着するエアバッグを有する腰装具と、前記エアバッグ内のエア圧力を加減圧することにより前記エアバッグの膨張収縮を制御するエア圧制御部を備え、該エア圧制御部は前記牽引駆動部による牽引開始動作に合わせて前記エアバッグを自動膨張させ、牽引終了動作に合わせて前記エアバッグを自動収縮させるよう制御を行うことを特徴とする。
【0006】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記エア圧制御部は、牽引治療中における牽引の一時休止動作に合わせて前記エアバッグを自動収縮させ、牽引再開動作に合わせて前記エアバッグを自動膨張させるよう制御を行うことを特徴とする。
【0007】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の発明において、前記エアバッグのエア圧力値は、設定された牽引力値に応じて、装置内に予め記憶されている複数のエア圧力値の中からいずれか一つの値が自動選択され設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、腰掛部を背凭部に対して接離する方向に往復移動させる牽引駆動部と、前記腰掛部に設けられて被治療者の腰部に装着するエアバッグを有する腰装具と、前記エアバッグ内のエア圧力を加減圧することにより前記エアバッグの膨張収縮を制御するエア圧制御部を備え、該エア圧制御部は前記牽引駆動部による牽引開始動作に合わせて前記エアバッグを自動膨張させ、牽引終了動作に合わせて前記エアバッグを自動収縮させるよう制御を行う構成であるから、牽引治療の開始前及び終了後に都度、治療者がエアバッグを膨張及び収縮させる為の操作を行う必要がないので、治療者の装置操作に係る負担を軽減することができる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、エア圧制御部により牽引の一時休止動作に合わせてエアバッグ内のエア減圧が行われエアバッグが自動収縮し、牽引の再開動作に合わせてエアバッグが自動膨張するので、治療者は牽引の一時休止動作及び再開動作のタイミングを見はからってエアバッグを収縮及び膨張させるという煩わしい操作を行う必要がなく、治療者の装置操作に係る負担を軽減することができる。また、被治療者の腰部にエアバッグの締付けによる過度の負荷を与えることもなく、牽引の繰り返しによって生じる腰装具のズレを抑制することもできる。
【0010】
請求項3記載の発明によれば、前エアバッグのエア圧力値は装置内に予め記憶されている複数のエア圧力値の中からいずれか一つの値が任意に選択され設定されるものであるから、被治療者の体格差や要望等に応じて適切なエア圧力値が任意に選択設定できるので、被治療者の腰部を腰装具で腰掛部に確実に固持でき、好適な牽引治療が行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。図1乃至4に本発明の実施形態を示す。図1は牽引治療装置1の構成を示すブロック図、図2は同牽引治療装置1の斜視図、図3は同牽引治療装置1の構成を模式的に示す断面図、図4は同牽引治療装置1における腰掛部5とメインフレーム7の関連を示す部分斜視図である。
【0012】
図2に示すように牽引治療装置1は椅子型の牽引治療装置であって、床面に載置される支持台部3と、支持台部3により支持され被治療者が着座する椅子部2等から構成される。図3,4に示すように椅子部2は、長手方向端面視で略C字形状に形成される第一のフレーム8と中空角パイプ材よりなる第二のフレーム9がX字状に交差するように固着される左右一対のX字状フレーム11・11が断面視略コ字形状の連結金具10・16を介在して相互連結されるメインフレーム7と、メインフレーム7のうち第一のフレーム8・8に支持されるとともに当該フレーム8・8に対して両矢印B方向に往復移動可能に設けられ被治療者の腰部から下肢におよぶ下半身を支持する腰掛部5と、第二のフレーム9・9上に固設され被治療者の背中部から頭部におよぶ上半身を受け止める背凭れ部6等から構成される。第一のフレーム8・8は開口部が互いに対向する向きに配設され、それぞれが第二のフレーム9・9の内側面に固着されている(図4参照)。
【0013】
前記椅子部2は支持台部3に支軸4で軸着されており、傾動機構部21としての傾動用アクチュエータ22(図1,3参照)により図3中両矢印A方向に前後傾動可能に設けられている。傾動用アクチュエータ22のシリンダ部22aは底面部が支持台部3の底板20上に軸着されており、ロッド部22b先端は連結金具16にブラケット23を介して軸着されている(図3参照)。ロッド部22bの伸長収縮に係る作動は牽引制御部31(図1参照)により制御され、図3中、ロッド部22bを伸長方向に作動させると椅子部2全体が起立方向へ前傾動する。椅子部2は支持台部3内側面の下方から内方へ水平に突出した水平ロッド29に、腰掛フレーム13が配置される方向の第二のフレーム9先端近傍の下面に固着されるストッパー30が当接する所定起立位置(図3中、一点鎖線で示す椅子部2の位置)でその前傾動が自動停止するように制御される。逆に、伸長状態のロッド部22bを収縮方向へ作動させると、椅子部2全体が後方向へ後傾動を開始する。ロッド部22bが所定量だけ収縮すると牽引制御部31により収縮作動が停止され、図3中実線で示す位置で椅子部2の後傾動が停止する。
【0014】
図3に示すように、腰掛部5は被治療者が腰をおろす座面部12と、座面部12の裏側に固着され座面部12を支持する腰掛フレーム13を有しており、図4に示すように腰掛フレーム13右側面の下方にはそれぞれ前後二箇所位置にローラ14・14が配設され、ローラ14・14は第一のフレーム8の長手方向に沿って滑動可能に該第一のフレーム8に嵌合している。図示は省略するが腰掛フレーム13の左側面の前後二箇所位置にも同様にローラが配設されている。連結金具10の下部には牽引用アクチュエータ25の推力値(牽引力値)を検出する牽引荷重検出部26としてのロードセル27の一端側が固着され、ロードセル27他端側には牽引駆動部24としての牽引用アクチュエータ25のシリンダ部25aの底部が軸着され、ロッド部25bは第一のフレーム8の延在方向と平行状に延在し、先端部が腰掛フレーム13内部に固着される取付具28に軸着されている。牽引用アクチュエータ25のロッド部25bを伸長・収縮させると、前記ローラ14・14が第一のフレーム8・8内周に沿って転動し腰掛部5が滑らかに図3に示す両矢印B方向に往復移動する。ロードセル27で検出される牽引力値に係る情報は牽引制御部31に逐次入力される(図1参照)。
【0015】
また、前記ロードセル27は所定起立位置にある椅子部2に被治療者が着座した際に、被治療者の体重値を検出する。ロードセル27による当該検出体重値は牽引力演算設定部33に入力され、牽引力演算設定部33で牽引力切替設定部45において適宜に切替設定される比率、具体的には20、30、40、50%のうちのいずれかの一つの比率が前記検出体重値に乗算され、当該乗算値が牽引力値として自動設定される。自動設定された牽引力値は牽引制御部31に入力され、牽引制御部31はロードセル27の検出する牽引用アクチュエータ25の推力値と自動設定された前記牽引力値とを逐次比較し、前記推力値が前記牽引力値に合致するよう牽引時のロッド部25bの伸長作動に係る制御を行う(図1参照)。支持台部3下方には、椅子部2に着座した被治療者の荷重によるロードセル27の撓みによって下方変位する腰掛フレーム13を受け止める水平ロッド32が内方へ水平に突出して設けられている(図3参照)。
【0016】
図2、3に示すように、座面部12の上方の腰掛フレーム13には被治療者の腰部の裏側から左右側にわたる部分をサポートするよう略U字形状の腰部サポート部材15が設けられ、腰部サポート部材15は左側・中間・右側の各位置に配置される三個の左側・中間・右側部材15a・15b・15cから構成されており、左側部材15aと中間部材15bの間及び中間部材15bと右側部材15cの間にはそれぞれ僅かな空間が設けられている。この各空間内に被治療者の腰部に巻き付ける帯状の腰装具17・17の基端側が挿通され、各基端が腰掛フレーム13に固着されている。
【0017】
図2に示すように前記腰装具17・17の各基端寄り位置には内部から裏側面に向かってそれぞれエアバッグ18・18が組み込まれ固定され、図示は省略するが腰装具17・17先端側にはマジックテープ(登録商標)の面ファスナーが添着されており、両腰装具17・17は先端側において結合可能に構成されている。前記エアバッグ18・18は腰装具17・17を被治療者の腰部に巻き回し互いの先端側を結合した際に腰部左右側にそれぞれ当接するよう組み込まれている。
【0018】
支持台部3の底板20上にはエアバッグ18・18に圧縮エアを送気するエアポンプ19が載設され(図3参照)、図1に示すようにエアポンプ19とエアバッグ18・18とは単管が中途位置で双方向に分岐する送気用配管34で連通接続され、また、エアバッグ18・18には内部のエアを大気中へ排気する双方向に分岐した排気用配管35の各配管が接続され、排気用配管35は中途位置で単管となるように構成されている。送気用配管34における単管の中途位置にはエア送気弁36と、エアポンプ19から送気されたエアの圧力値を検出する圧力センサ38が介装され、排気用配管35における単管の中途位置にはエア排気弁37が介装されている。エアポンプ19の作動開始・作動停止、エア送気弁36の開閉弁作動は、圧力センサ38からの入力情報に基づいてエア圧制御部39により適宜制御される。
【0019】
牽引治療装置1の不図示の記憶部にはエアバッグ18・18のエア圧力値が強中弱の三段階に分類されて記憶されており、この強中弱三段階のエア圧力値から治療者が任意に選択して設定できるように構成されている。具体的なエア圧力値は、強段階で30kPa、中段階で25kPa、弱段階では20kPaに設定されている。腰装具圧力設定部46において選択されたエア圧力値に係る情報はエア圧制御部39へ入力される。(図1参照)
【0020】
牽引治療装置1には、図2に示すように支持台部3の右側面から略水平方向に突出し上方へ曲折された支持アーム41に対して回転自在に支持される操作パネル部40が設けられている。操作パネル部40には、前述した牽引力切替設定部45及び腰装具圧力設定部46、牽引治療時間を設定する治療時間設定部42、牽引の持続時間を設定する持続時間設定部43、牽引の休止時間を設定する休止時間設定部44の各種スイッチや各種表示部が配備されている。また、前述した各種設定部において設定された各時間を計測するタイマ47が牽引治療装置1に備えられている。治療時間設定部42、持続時間設定部43、休止時間設定部44における各種設定情報及びタイマ47により計測された時間情報はエア圧制御部39と牽引制御部31に入力される。(図1参照)
【0021】
図2中、48・48は第二のフレーム9・9に固着された肘置き具、49・49は基部が第二のフレーム9・9に回転可能に取着され基部先端に略円柱状の脇パッドが固着される脇当て具である。図示及び詳細な説明は省略するが、牽引治療装置1の左右いずれかの側方から接近して椅子部2に着座する際に脇当て具49を背凭部6から側方へ退避する方向へ手動で一時的に適宜回転させることにより、脇当て具49が被治療者の椅子部2への着座動作の妨げにならないようにすることができる。図2中、50は背凭部6前面にマジックテープ(登録商標)の面ファスナー等の適宜な手段により着脱自在に設けられる枕である。
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る牽引治療装置1の動作について説明する。治療者は操作パネル部40にて治療時間、牽引の持続時間及び休止時間の各種時間を適宜設定するとともに、牽引力値を設定する為の比率、エアバッグ18・18内のエア圧力値に係る段階を予め選択し設定しておく。所定起立位置にある椅子部2へ被治療者を着座させると、ロードセル27が撓み、被治療者の体重値が検出される。牽引力演算設定部33において、この検出体重値に牽引力切替設定部45で設定された比率が乗算され牽引力値が自動設定される。例えば、ロードセル27による被治療者の検出体重値が60kgfであって、牽引力切替設定部45において選択設定された比率が20%の場合は、60kgf×20%=12kgfの牽引力値が自動設定されることになる。従って、牽引治療を開始する際に都度、治療者が牽引力値を手入力し設定する必要がなく、治療者の治療準備に係る手数を省力化することができる。また、被治療者が治療者に体重を尋問されて当惑することも無く、被治療者のプライバシー保護の面においてもメリットがある。
【0023】
被治療者の腰部の左右側にエアバッグ18・18が適正に当接するよう腰装具17を腰部に巻き回し先端部を結合する。傾動用アクチュエータ22のロッド22bを収縮作動させて椅子部2全体を後傾動させる。椅子部2は所定の後傾位置に至ると自動的に後傾動が停止する。このときの腰掛部5の停止位置を以下、後傾動停止位置と呼称する。続いて、牽引制御部31により牽引用アクチュエータ25が、その推力値が所定力(5kgf)に至ったことをロードセル27が検出するまでロッド部25bが伸長作動される。このロッド部25bの伸長作動により腰掛部5が第一のフレーム8・8に沿って背凭部6から離間する方向へ移動し、脇当て具49・49の脇パッドが被治療者の両脇部に当接する。以下、両脇部に脇当て具49・49が当接する腰掛部5の位置を牽引開始位置と呼称する。タイマ47により牽引治療の開始が指示されると、牽引用アクチュエータ25のロッド部25bが伸長作動し牽引開始位置にある腰掛部5が背凭部6から離間する方向に更に移動を開始し、腰椎の牽引が開始される(牽引開始動作)。
【0024】
エア圧制御部39は、ロッド部25bの伸長作動による腰掛部5の移動開始の直前に、エア送気弁36を開弁するとともにエアポンプ19を駆動させてエアバッグ18・18内にエアを送気し加圧することにより、エアバッグ18・18を自動膨張させる。圧力センサ38にて送気用配管34中のエア圧力値が強中弱三段階の中から選択された圧力値に到達したことが検出されると、エア圧制御部39はエア送気弁36を閉弁するとともにエアポンプ19の駆動を停止し、エアバッグ18・18の膨張を自動停止させる。このエアバッグ18・18の膨張により牽引中に被治療者の腰部に巻き回した腰装具17・17がずれることはなく、腰部を腰掛部5に確実に固持した状態で腰椎の牽引治療が施せる。
【0025】
牽引制御部31は、ロードセル27の検出値が設定牽引力値を示すと同時にロッド部25bの伸長作動を停止する。以下、このロッド部25bの停止位置を牽引位置と呼称する。牽引の持続時間中は牽引制御部31により前記設定牽引力値に維持された状態で牽引治療が行われる。タイマ47により牽引の持続時間が終了したことが検出されると、牽引制御部31によりロッド部25bが収縮作動を開始する(牽引の一時休止動作の開始)。ロッド部25bは、腰掛部5が前記牽引位置と前記牽引開始位置の中間位置に復元移動するまで収縮作動する。尚、ロッド部25bを収縮作動し腰掛部5を復元移動させる位置は前述した中間位置に限定されるものではない。
【0026】
この牽引の一時休止動作の開始に合わせてエア圧制御部39がエア排気弁37を開弁しエアバッグ18・18内のエアを大気中へ排気し減圧することにより、エアバッグ18・18を自動収縮させる。エア圧制御部39はエア排気弁37の開弁後、約10秒が経過するとエア排気弁37を自動閉弁するよう制御を行う。所定時間が経過しタイマ47により休止時間が完了したことが検出されると、牽引制御部31が牽引用アクチュエータ25のロッド部25bの伸長作動を再度開始する(牽引再開動作の開始)。牽引の再開動作の開始に合わせて、具体的にはロッド部25bの伸長作動開始の直前に、エア圧制御部39がエア送気弁36を開弁するとともにエアポンプ19を駆動させてエアバッグ18・18内のエア圧力値を前記選択値に達するまで上昇させてエアバッグ18・18を自動膨張させる。
【0027】
エア圧制御部39は治療時間中に繰り返される牽引の一時休止動作の開始及び牽引の再開動作の開始に合わせて上述したエアバッグ18・18の収縮及び膨張に係る制御を自動で行う。従って、治療者が牽引の一時休止動作及び再開動作のタイミングを見はからってエアバッグを収縮及び膨張させるという煩わしい操作を行う必要がなく、治療者の装置操作に係る負担を軽減することができる。タイマ47により治療時間が完了したことが指示されると、牽引制御部31が牽引用アクチュエータ25のロッド部25bの収縮作動を開始する(牽引終了動作の開始)。エア圧制御部39は牽引終了動作の開始に合わせてエア排気弁37を開弁し、エアバッグ18・18内のエアを排気しエアバッグ18・18を自動収縮させる。牽引制御部31はロッド部25bの収縮作動の制御を行い、腰掛部5を前記後傾動停止位置(図3中実線で示す位置)まで復元移動させる。その後、牽引制御部31が傾動用アクチュエータ22のロッド部22bを伸長し、椅子部2全体を所定起立位置まで前傾動させる。被治療者の腰部に巻き回している腰装具17・17の結合を解放し、被治療者を椅子部2から降ろし牽引治療を終了する。
【0028】
本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更が可能であることはいうまでもない。例えば、腰装具圧力設定部46において選択設定されるエア圧力値は強中弱の三段階に限定されるものではなく、二段階または四段階以上のエア圧力値の中から適宜選択設定できるように構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明は、エアバッグで被治療者の腰部を固定し、被治療者が腰を掛ける腰掛部を背凭部から離間する所定方向へ移動させて腰椎牽引を行う椅子型の牽引治療装置に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る牽引治療装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る同牽引治療装置の斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る同牽引治療装置の構成を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る同牽引治療装置における腰掛部とメインフレームの関連を示す部分斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 牽引治療装置
5 腰掛部
6 背凭部
17 腰装具
18 エアバッグ
19 エアポンプ
24 牽引駆動部
25 牽引用アクチュエータ
26 牽引荷重検出部
31 牽引制御部
36 エア送気弁
37 エア排気弁
39 エア圧制御部
46 腰装具圧力設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
腰掛部を背凭部に対して接離する方向に往復移動させる牽引駆動部と、前記腰掛部に設けられて被治療者の腰部に装着するエアバッグを有する腰装具と、前記エアバッグ内のエア圧力を加減圧することにより前記エアバッグの膨張収縮を制御するエア圧制御部を備え、該エア圧制御部は前記牽引駆動部による牽引開始動作に合わせて前記エアバッグを自動膨張させ、前記牽引駆動部による牽引終了動作に合わせて前記エアバッグを自動収縮させるよう制御を行うことを特徴する牽引治療装置。
【請求項2】
前記エア圧制御部は、牽引治療中における牽引の一時休止動作に合わせて前記エアバッグを自動収縮させ、牽引の再開動作に合わせて前記エアバッグを自動膨張させるよう制御を行うことを特徴とする請求項1記載の牽引治療装置。
【請求項3】
前記エアバッグのエア圧力値は装置内に予め記憶されている複数のエア圧力値の中からいずれか一つの値が任意に選択され設定されることを特徴とする請求項1または2記載の牽引治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−79872(P2008−79872A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263777(P2006−263777)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000103471)オージー技研株式会社 (109)
【Fターム(参考)】