牽引装置
【課題】牽引治療では、装具を装着して、治療ベッドに乗り、仰臥位になり、脚の下に脚台を置いた後、牽引治療を行い、治療終了後、これと逆の動作をおこなう。患者は腰痛を有する人であるため、これらの動作は大きな苦痛である。また、これは患者だけでなくこれを補助する看護士や医師とっても大きな手間である。
さらに、牽引速度はほぼ一定で、一気に設定牽引力まで牽引するので、患者によっては危険なこともあり、不快感を感じることもあった。
【課題を解決する手段】 治療ベッドを椅子状にして着座するようにし、これをリクライニングさせて牽引姿勢にし、脇を脇アームで、腰をシートベルト状のベルトで簡単に固定して、腰部を牽引するようにした。また、モータの速度制御を行い、安全で効果的な牽引治療を可能にした。
さらに、牽引速度はほぼ一定で、一気に設定牽引力まで牽引するので、患者によっては危険なこともあり、不快感を感じることもあった。
【課題を解決する手段】 治療ベッドを椅子状にして着座するようにし、これをリクライニングさせて牽引姿勢にし、脇を脇アームで、腰をシートベルト状のベルトで簡単に固定して、腰部を牽引するようにした。また、モータの速度制御を行い、安全で効果的な牽引治療を可能にした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に腰椎の牽引療法に使用する牽引装置に関するものであり、患者の肉体的な負担を軽減し、治療の煩雑さ改善し、より効果的な治療が可能な牽引装置を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
牽引療法は、腰椎や頚椎を牽引し、各種の腰椎疾患や頚椎疾患を治療するもので、整形外科やリハビリテーションなどの分野で広く用いられている。
本発明の装置では頚椎牽引治療も可能であるが、主に腰椎の牽引に使用するので、以下、腰椎牽引について述べる。
従来の牽引装置は、図10に示すように、牽引器と牽引用ベッドから構成され、治療の補助として脇装具、腰装具及び脚台を使用する。
ベッドは、通常はマットを2つに分割しており、上半身が載る側のマットはフレームにほぼ固定され、下肢側マットは移動自在にしてある。
【0003】
治療前に、脇装具(図10の14)を脇に当ててその端部をベッドのフレームに固定し、腰装具(図10の11)を腰に装着して牽引装置に接続し、図10には記載していないが、膝を曲げてその下に脚台を敷く。膝を曲げると腰椎の前方への湾曲(前湾)をとることができる。牽引治療では、前湾を矯正した上で治療をおこなうことが重要とされる。図10は、患者がベッド上で仰臥位になり、装具を装着して牽引装置(図10の13)に接続した状態である。この状態で牽引を開始することができる。
牽引パターンは、図9に示すように、休止−牽引−牽引力持続−緩和を繰り返す間歇牽引と、図には示していないが、治療中一定の力で牽引する連続(持続)牽引とがある。通常は間歇牽引が多く用いられるので、ここでは間歇牽引を中心に述べる。
【0004】
治療の前に牽引条件を設定する。牽引条件には、牽引力、休止時間、持続時間、治療時間などがあり、牽引力は体重の半分程度、休止時間と持続時間は数秒、治療時間は10〜20分程度である。
図10のように、脇と腰に装具を付け、ベッドの上で仰臥位になり、脚台を使用して膝を立て、治療条件を設定した後、治療を開始すると、まず休止モードになり、設定された時間だけ休止し、休止時間が終了すると牽引モードになり、牽引をし、牽引力が設定値になると持続モードになり、この牽引力を設定時間だけ持続し、持続時間が終了すると緩和モードになり、モータを逆回転させて牽引力を緩和し、牽引力がゼロ又は設定値以下になると休止モードに入る、というサイクルを、治療時間に繰り返し、治療時間が終了すると牽引力をゼロにして治療を終了する。連続(持続)牽引は、持続時間を治療時間と同じにすると実現することができる。
【0005】
牽引療法は効果的ではあるが、装置には問題も残っている。
治療前に、患者はベッドに乗り、装具を装着し、仰臥位になり、膝の下に脚台を入れ、治療後に逆の動作をおこなう必要があるが、腰痛等の腰部疾患を有する患者にとって、これらの動作をおこなうことは肉体的に大きな苦痛であった。
また、装具の装着に手間がかかり、患者だけでなく、介助者の手も煩わせていた。
さらに、通常は体重の半分ほどの力で牽引するが、この力が脇に集中して痛みが生じ、これを我慢して力を入れて治療をすると治療効果が低下する等の問題があった。
これらの課題を解決するものに、脇装具を改良するもの(例えば特許文献1参照)、ベッドへの乗り降りを簡単にするもの(例えば特許文献2〜4参照)などがある。
一方、より高い治療効果を得るためにも様々な工夫がなされている(特許文献5,6参照)。
以下、図によりこれらの従来技術を説明する。
【特許文献1】特許第2528360号
【特許文献2】特開2001−29373
【特許文献3】実開昭60−13124
【特許文献4】特開平6−233791
【特許文献5】特公昭51−30716
【特許文献6】特開2000−245760
【0006】
図11は特許文献1の図1(C)に示されている例である。脇装具の代わりに脇アームを用い、脇アームは三次元的に動かすことができるようにし、ワンタッチで脇を固定することができるようにしている。このため、脇装具の装着は非常に簡単になった。
図12は特許文献2の図1に示されている例である。腰に障害のある患者が乗り降りしやすいように、また、横たわった状態で体位変換が容易にできるように、手擦り(体位変換補助手段)3を設けている。しかし、ベッドへの乗り降りやベッド上での体位変換は、多少は楽になるが、患者の努力は必要であり、介助者の補助も必要である。
図13は特許文献3の第1図に示されている例であり、本考案はベッドに乗り降りしやすいように、ベッドを椅子状にして患者を乗せ、治療をおこなうときにはベッドを平坦にするようにしている。このため、ベッドへの乗り降りは簡単になったが、脚台を使う必要があり、装具の改良もおこなっていない。
【0007】
図14は特許文献4の図1に示されている例で、ベッドに乗り降りを楽にするためにベッドを椅子状にし、治療する場合はベッドをリクライニングするようにしている。リクライニングした牽引位置でも大腿関節を屈曲させたままであるため、腰椎の前湾は矯正されており、脚台を使用する必要は無い。しかし、上半身を移動させて牽引するため従来と牽引感が異なる、牽引力を検出する手段を有していないので牽引力が不正確になるという問題がある、また、装具に改良の余地がある。このため、この装置は実用化されていない。
図15特許文献5の第2図に示されている例で、治療効果を上げるために、上半身を少し起こし、足は膝を立てた状態にすることで、腰痛の大きな原因とされる腰椎前湾を矯正して、牽引治療をおこなうものである。しかし、ベッドへの乗り降りの問題は解決されておらず、装具も改良されていない。
図16は特許文献6の図6に示されている例で、膝と大腿の関節をそれぞれ90度にし、さらに臀部を持ち上げて、腰椎前湾を矯正して腰椎後方の椎間板を拡開するもので、90°−90°牽引と呼ばれ、特に急性期の腰痛治療に効果的であると言われている。しかし、ベッドへの乗り降りについては改良されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、従来の牽引装置では、ベッドへの載り降り、ベッド上での寝起きと体位変換、ベッド上での装具の着脱、脚台の着脱などの動作は、腰部に障害のある人にとって苦痛が大であった。
また、腰と脇の装具の着脱は面倒で手間がかかり、介助者の手も煩わせていた。
さらに、治療では体重の半分程度の力で牽引をおこなうが、この力は大きいため、この力が脇に集中し、痛みが生じ、これを我慢して力が入る。また、牽引時に両脇が広がるような力が作用するので、これを防ぐために力を入れる。このように、治療を受けるときに力が入ると、実際に腰椎にかかる牽引力が小さくなり、治療効果が低下するという不都合もあった。
【0009】
実際の治療では、休止−牽引−持続−緩和のサイクルを繰り返すが、各モードから次のモードへ、例えば休止モードから牽引モードへ移行するとき、急激に牽引力が変化してショックが発生し、不快に感じることがあった。
また、牽引を開始すると、設定した牽引力になるまで一気に、牽引していた。障害があると、筋肉や関節が硬くなっていることが多く、このような場合、急激に力を加えることは危険であり、このような牽引法には問題があった。
効果の面では、治療中の姿位も重要である。また、設定どおりの正確な力で牽引することが重要である。さらに、装置の構成を簡単にして故障の少ない、価格を低減した装置を提供することも重要である。
本出願では、これらの問題を解決することを目標とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ベッドへの乗り降り、ベッド上での寝起き、ベッド上での装具の着脱、脚台の着脱、ベッド上での体位変換などに伴う問題を解決し、また、牽引治療全体を省力化するために、請求項1記載の発明では、着座部6や背もたれ部8などからなる椅子状の臥台2を基台1に載置し、臥台2を着座位から所定角度背面側へ傾倒した牽引位まで頃動させる頃動機構部3を設け、
着座部6を牽引機構部10で移動させて牽引するようにした。
本請求項記載の発明で、前述のような課題を解決することができるだけでなく、従来と同様に上半身を固定して下半身を移動させて牽引するので、牽引感覚も従来と同様になり、従来の牽引療法で確認された治療効果と同等又はそれ以上の治療効果を得ることができる。
請求項2記載の発明では、治療をスタートすると、頃動機構部3が作動して座位から牽引位になり、牽引位で牽引機構部10が作動して所定の牽引治療をおこない、治療が終了すると頃動機構部3が作動して座位に戻すという一連の動きを自動的におこなうようにし、さらに省力化を進めた。
【0011】
請求項3記載の発明では、牽引方向を、被牽引者の体幹身長方向の長軸と0〜120度程度、好ましくは10〜30度程度にした。図10や11に示すように、従来から、身長方向の体軸から少し角度をつけて牽引する方が効果的とされる。この角度は10〜30度である。急性期の腰痛では、図16のように、股関節と膝を90度に曲げて牽引する方法が効果的とされる。本請求項記載の発明は、牽引角度を90度にすることができるので、この目的で使用することもできる。
請求項4記載の発明では、正確な力で牽引できるようにするために、牽引機構部10で発生させた荷重を検出する荷重検出部9を設け、荷重検出部9で牽引力をモニタしながら、所定の力で牽引するようにした。
【0012】
請求項5記載の発明では、着座部の腰当部7の形状を凹状にし、人が着座したとき、腰の背面だけでなく側面まで包み込むように支持するようにして人体との接触面積を大きくして接触抵抗を大きくし、腰・臀部の固定を確実にするようにした。
請求項6記載の発明では、椅子状の臥台2の着座部6近傍にシートベルト状の腰用ベルト14を設け、着座部6と着座部背当7に力F1とF2を作用させて人を固定し、牽引時にずれないようにした。手間をかけないで簡単に確実に固定できる。また、構造が簡単であるため、価格を低減することができる。
牽引時には装具が滑って効果が低下することがあるが、請求項5と6記載の発明を組み合わせることにより、より確実に固定することができ、牽引効果を高めることができる。
【0013】
脇装具を改良し、手間をかけないで簡単に確実に固定できるように、また、価格を低減するために、請求項7記載の発明では、背もたれ部8近傍に脇アーム13を左右一対に設け、三次元的に自由に動かせるようにし、牽引時には脇アーム13を脇を支持する位置に動かして牽引できるようにし、臥台2への乗り降り時には邪魔にならないように脇アーム13を退避位置に移動させるようにした。本請求項記載の発明により、脇用装具の装着が簡単になり、手間を省力化できる。
【0014】
請求項8記載の発明では、脇アーム13の脇支持部12の形状を、脇近傍の体幹と脇の形状を勘案して接触面積が大きくなるようにし、脇にかかる圧力を分散するようにした。このため、脇にかかる力は小さくなり、脇の痛みが小さくなるので、患者の肉体的な負担は少なくなる。また、痛みが少ないと力みが無くなるので、牽引力は効果的に脊柱に伝わり、治療効果を高くすることができる。
【0015】
請求項9記載の発明では、臥台2の傾動と同期して脇アーム13を駆動するようにし、牽引開始時には自動的に脇アーム13を脇支持位に移動させて、牽引終了時には、自動的に脇アーム13を退避位置に移動させて臥台2への乗り降り時に邪魔にならないようにした。このため、脇用装具の装着では一切、手間がかからないようになった。
【0016】
請求項10記載の発明では、牽引開始時に、まず脇アーム13を駆動して脇にかかる圧力を所定の値にした後、牽引をおこなうようにした。通常は、牽引を開始すると上体も少し移動し、脇にはそのまま牽引力がかかるため、脇に痛みが生じるが、本請求項記載の発明によると、一旦、脇に力を与えて牽引を開始するので、最初に与えた力と背部のマットとの摩擦力を加えた力で体が固定された状態で牽引をおこなうので、体のずれが少なくなり、従来よりも脇にかかる力が少なくなり、脇の痛みも少なくなる。
【0017】
正確な速度か、又は患者に適した所定の速度で牽引と緩和をおこない、患者に適した牽引をおこなうために、請求項11記載の発明では、牽引機構部10の駆動源に速度制御が可能な電動モータを用い、背もたれ部8を所定の速度で移動させたときの電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数N0を求め、パルス数と牽引速度との関係を求めておき、牽引時に電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数Nを求め、牽引時のパルス数Nと記憶させているパルス数N0とを比較し、
パルス数NとN0との差が所定の範囲に入るようにモータの電源を制御し、着座部6を所定の速度で移動させ、牽引するようにした。
このため、速度は正確に所定の値に制御することができ、安全で効果的な牽引治療をおこなうことができる。
【0018】
請求項11記載の発明を、より安価に簡単に実現するために、請求項12記載の発明では、
電動モータにDCモータを用い、DCモータの電源を測定し、DCモータが回転したとき生じる電源のリップルを測定してパルス信号に変換し、このパルス信号をみてモータの電源を制御し、背もたれ部8を所定の速度で移動させるようにした。
【0019】
牽引モードが変化するとき、従来は不快な衝撃が発生していた。これを解決するために、請求項13記載の発明では、牽引時の牽引速度Vと非牽引時の牽引速度V0の間で、パルス数Nをモニタしながらモータの電源を制御して、牽引速度をほぼ連続的に変化させるようにした。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明により、
腰痛等の腰部障害があってもベッドに簡単に乗り降りができ、また、ベッド上での動作や体位変換は殆どしなくても済むので、患者の苦痛を少なくすることができる。さらに、座位で治療開始スイッチを押すだけで、装置は自動的にリクライニングして治療姿勢になり、治療を行い、治療時間が終了すると着座位置に戻すという動作を、全て自動的におこなうことができるので、従来よりも更に介助者の労力を省力化できる。
また、牽引の方向も従来と同じであるので、従来と同様の治療感と、従来と同等またはそれ以上の治療効果を得ることができる。
【0021】
請求項2記載の発明により、
一連の治療を自動的におこなうことができ、省力化が可能になった。
請求項3載の発明により、
牽引方向を10〜30度にすることができるので、従来と同等の治療効果をえることができる。さらに、身長方向の体軸と90度の方向にも牽引することができるので、急性期腰痛にも効果を得ることができる。
請求項4載の発明により、
荷重検出部9を設けているので牽引力を直接モニタしながら、正確な牽引力で適切な治療をおこなうので、安全で効果的な治療が可能になる。
【0022】
請求項5載の発明により、
着座部の腰当部7の形状を凹状にし、人が着座したとき、腰の背面だけでなく側面まで包み込むように支持するようにして人体との接触面積を大きくして接触抵抗を大きくし、腰・臀部の固定を確実にするようにしたので、牽引時に、確実に体を固定できるので、より高い治療効果を得ることができる。
【0023】
請求項6載の発明により、
椅子状の臥台2の着座部6近傍にシートベルト状の腰用ベルト14を設け、着座部6と着座部背当7に力F1とF2を同時に作用させて人を固定し、牽引時にずれないようにした。このため、手間をかけないで簡単に確実に固定できる。また、構造が簡単であるため、価格を低減することができる。
牽引時には装具が滑って効果が低下することがあるが、請求項5と6記載の発明を組み合わせることにより、より確実に固定することができ、牽引効果を高めることができる。
【0024】
請求項7記載の発明により、ベッドに三次元的に自由に動かすことのできる脇用アーム13を用いたので、脇装具を簡単に装着でき、装具装着の手間を省力化できる。また、ベッド上での体位変換は少なくてすむため苦痛も少なくなる。さらに、本脇装具を用いて牽引すると、軸Oを中心に脇アーム13で両脇から体を締め付けるように力が作用するので、腕を押し広げるような力が脇にかからないため、余分に力を入れる必要が無く、リラックスして治療を受けることができる。また、従来よりも痛みや不快感が少なくてすむ。
治療終了時に、脇用アーム13は簡単に邪魔にならない位置に移すことができるので、装具を外す手間も非常に少なくなった。
【0025】
請求項8記載の発明により、
脇用アーム13の脇支持部12の形状を、脇支持部12が体幹及び脇の密着して、圧力を分散するようにしたので、脇に生じる痛みを少なくすることができる。
請求項9記載の発明により、
臥台2の頃動に同期させて脇アーム13を自動的に駆動し、患者が治療器に乗り降りするときは、脇アーム13は乗り降りに邪魔にならない位置(退避位)に退避しており、治療を開始すると、脇アーム13は自動的に脇支持位に移動し、牽引終了時には自動的に脇アーム13は退避位に移動するので、人手を一切かけることなく脇装具の着脱を自動的におこなうことができる。このため、患者及び介助者の労力をゼロにすることができる。
【0026】
請求項10記載の発明により、
牽引開始時に、まず脇アーム13を駆動して脇に所定の圧力がかかるようにした後、牽引治療をおこなうようにしたので、牽引時の脇にかかる圧力は小さくなり、より、痛みのない牽引治療をおこなうことができる。このため、体幹部の筋緊張は少なくなり、より効果的な牽引治療をおこなうことができる。
【0027】
請求項11記載の発明により、
モータの回転数をモニタして所定の速度になるように電源を制御するので、牽引速度を、従来と同様に直線的に一定速度で変化させることもできるし、図8のように様々に変化させることもできる。このため、患者に適した牽引治療ができる。牽引開始時にはゆっくり牽引し、慣れるに従って早く牽引するということもできるので、組織や関節が硬くなっているときにも安全に牽引することができる。また、牽引パターンを変化させて、慣れの少ない牽引治療をおこなうこともできる。
【0028】
請求項12記載の発明により、請求項11記載の発明を、安価に、単純に実現することができる。このため、故障が少なくなり、コストも低減できる。
【0029】
請求項13記載の発明により、治療中に牽引から持続に、持続から緩和に、緩和から休止に、休止から牽引に、というようにモードが変化するとき、モータ速度を連続的に変化させるので、不快なショックが発生しない。このため、リラックスして不快感の無い治療を受けることができる。
【実施例1】
【0030】
図1に、本発明の牽引装置の実施例を示す。図の1は基台、2は臥台、3は頃動機構部、4は臥台のフレーム、5は牽引位置で下腿を載せる下腿載部、6は着座位置で患者が座る着座部、7は着座した患者の腰部下部を支える着座部背当、8は背もたれ部、9は牽引力を検出する荷重検出部、10は着座部6等を移動させて牽引力を発生させる牽引機構部、13は脇装具である。
図には記載していないが、装置は全体を制御する制御部を有し、牽引力、持続時間、休止時間、治療時間などの治療条件を入力してメモリし、これを実行するようにプログラムを有する。
従来の装置では、図10のように、治療前の準備で、装具を装着し、ベッドに載って仰臥位になり、脚台を脚の下に置いていた。その後、治療を開始すると休止モード、牽引モード、持続モード、緩和モードというサイクルを、治療時間に繰り返し、治療時間が終了すると牽引力をゼロにして治療を終了し、治療終了後に、治療準備と逆の動作をして、治療を終えていた。
これに対して請求項1記載の発明では、ベッドへの乗り降りは椅子状の臥台2の着座部6に座るだけでよく、専用の腰及び脇装具を簡単に装着した後、治療スタートスイッチを押すと、自動的に臥台2が頃動して牽引位置になり、牽引プログラムを実行し、治療時間が終了すると臥台2を着座位置に戻し、装具をとると、治療を終了する。これらの一連の動作は、自動的に実行される。なお、図1には腰用装具は記載していないが、これは本発明では、図3のベルト14である。
頃動機構部と牽引機構部には電動モータを用いたリニアアクチュエータを用いればよい。本請求項記載の発明により、治療前後の、患者及び介助者の労力を大幅に軽減すること
ができる。
【0031】
本出願と一見、似た装置が、特許文献4に開示されている(図14参照)。これは、ねじ棒とめねじ部材を組み合わせ、トルクモータで駆動するようにしたもので、本出願と同様、頃動と牽引が可能になっている。
しかし、この先願特許は、牽引方向が本出願の牽引装置と逆であり、本出願の請求項2以降の発明の要素、機能は有していない。この先願特許には牽引力の検出手段を設けていない。このような構成にすると、モータと螺合機構部のばらつきによって摩擦が異なり、また、負荷(患者の体重)によっても摩擦が変化し、これらの摩擦は経時的にも変化する。このような構成にしてトルクモータを電流制御しているため、正確な牽引力を維持することはできない。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の牽引装置の牽引治療動作を自動化するものである。これにより、煩雑な牽引の手間を省力化することができる
請求項3記載の発明は、請求項1と2記載の牽引装置の牽引方向を規定するものである。従来の通常の牽引治療では、体幹方向から10〜30度、通常は15度程度の角度で牽引し、この治療効果は確認されている。また、急性期の特に筋筋膜性腰痛では、90度−90度牽引という、股関節と膝関節をそれぞれ90度にして、図16のような姿勢で牽引する方法が有効とされる。これらのいずれの牽引方法も、本発明では実現できる。これにより、従来の装置で確認された治療効果と同等又はそれ以上の治療効果を得ることができる。
請求項4記載の牽引装置は、図1に示すように、牽引機構部10で座部6等を駆動するときに生じる荷重(牽引力)を検出する荷重検出部9を牽引機構部10とフレームとの間に設け、荷重検出部9で牽引力を直接にモニタしながら、所定の力で牽引するようにした。このようにすることで、モータや機構部の摩擦等にばらつきがあっても、これらが経時的に変化しても、また患者の体重が異なっても、正確な力で牽引することができる。
荷重検出部には力や圧力等を検出するものを用いればよい。
【0032】
請求項5記載の発明の実施例を図2に示す。図2の7は着座した患者の腰部の下部を支持する着座部背当で、腰部の側面まで支持するように、凹状にしている。このような形状にすることで、腰との接触面積が増し、牽引時に摩擦力が増え、牽引しても腰がずれないようにしっかりと固定できる。
請求項6記載の発明の実施例を図3に示す。図の4は臥台のフレーム、5は下腿載部、6は着座部、7は着座部背当、8は背もたれ部、14は腰用ベルト(腰用装具)である。
椅子状の臥台に患者を着座させ、着座部6と着座部背当7との間のコーナー部に設けた腰用ベルト14で、着座部6方向の力F1と着座部背当7方向の力F2とが同時に作用するようにして、腰を固定している。
腰用ベルト14の固定にはバックルや面粘着式(マジックテープTM等)等、何を用いてもよい。椅子状の臥台に着座させて患者の脇を牽引すると、腰装具による固定が不十分であれば、下腿が下腿載部5に乗っているので、脇と膝とが一直線になるように体が浮く。本請求項記載の発明によりこれを効果的に押さえ、腰部を着座部に固定できる。
図には、着座部6と着座部背当7とのなす角度をほぼ2分する方向に向けて、フレーム4に、腰用ベルト14を取り付けているが、取り付け位置や角度も重要であるが、着座部6方向の力F1と着座部背当7方向の力F2とが作用するようにすることが重要である。
着座部6と着座部背当7とのコーナー方向に、ベルトで骨盤を押えるようにすればよい。腰用ベルト14自体は単純な構造で、装着も簡単で、安価に実現できるが、効果的に患者を着座部に固定することができる。
本請求項記載の発明では、着座部6方向の力F1だけが作用するようにしてもよい。これは、着座部6の下に腰用ベルトを設けて実現できるが、股関節に負荷がかかり、股関節に障害のある人の牽引には適しない。
着座部背当7方向の力F2だけが作用するように、着座部背当7後方に腰用ベルトを設けてもよいが、牽引時に、体全体が牽引方向にずれて、牽引効果が低下する。
【0033】
請求項7記載の発明の実施例を図4に示す。
図の8は臥台の背もたれ部(実際にはそのフレーム)、11はアーム、12は脇当、13は脇アーム、15はアーム取付け用のバー、OとPはバー15及び脇アーム13の回転軸である。
脇アーム13は、バー15を介して、背もたれ部8に取り付けている。
軸Oは、バー15を水平方向に回転させるための回転軸で、背もたれ部8に、左右に、人の脇の間隔よりも狭く設けている。
また、脇アーム13は、バー15に、回転軸P(バー21の長軸)を中心に回転自在に取り付けている。このため、患者が着座するときには、脇用アームが邪魔にならないように、O及びP軸を中心に脇用アームを回転させ、邪魔にならない位置(退避位)に退避させておくことができる。脇アームは自由に回動できるので、着座した後に、脇当12を脇の近傍(脇固定位置)に置くことができ、そのまま牽引に移行できる。
本請求項記載の発明により、着座して、脇用アームを移動させるだけで、簡単に脇装具を装着できるので、患者及び介助者の省力化を実現できる。
脇アーム13は軸Oを中心に自由に回動でき、また、軸Oは両脇の間隔よりも狭くしているので、牽引をおこなうと、脇アーム13の脇当て12で両脇から体を締め付けるような力が作用する。
従来は、脇装具装着位置が脇よりも少し外にずれると、両腕を押し広げるような力が働き、この力に必死で耐えながら治療を続けることがあった。これでは体に力が入り、効果的な腰椎牽引ができないという不都合があった。本請求項記載の発明により、この問題も解決できる。
【0034】
請求項8の実施例を図5に示す。図の12は脇用アーム13の脇当、Bは脇近傍の胴体である。脇当12は、脇部胴体と脇の形状を勘案し、接触面積が大きくなるような形状にし、脇にかかる圧力が分散されるようにしている。脇当12は、脇近傍の胴体の形状に合わせて、中央部で細くし、脇が当たる面は曲率を大きくしている、
【0035】
請求項9記載の発明の実施例を図6に示す。
本発明は、臥台2の頃動に同期して、牽引開始時に自動的に脇アーム13を脇の近くにセットしたり、牽引終了時に脇アーム13を退避位に移動させるものである。
軸Oは、バー15を水平方向に回転させるための回転軸で、第二移動台16に、左右に、人の脇の間隔よりも狭く設けている。バー15に脇アーム13を設け、脇アーム13は、バー15に、回転軸Pを中心に回動自由に接続している。
また、背もたれ部8に固定してコマ18を、脇アーム13の軸Pを中心として回動する部分にコマ19を固定して設け、コマ18と19とでカム機構を構成している。
軸Oは、バー15を水平方向に回転させるための回転軸で、第二移動台16に、左右に、人の脇の間隔よりも狭く設けている。バー15に脇アーム13を設け、脇アーム13は、バー15に、回転軸Pを中心に回動自由に接続している。
また、背もたれ部8に固定してコマ18を、脇アーム13の軸Pを中心として回動する部分にコマ19を固定して設け、コマ18と19とでカム機構を構成している。
牽引終了時に、第二移動部16が背もたれ部8に収納されるように移動すると、コマ18と19は接して、脇アーム13を押し、バー15はストッパー20に当たる。それ以上に第二移動部16が移動すると、コマ19がコマ18に滑り込み、脇アーム13を回動させ、臥台への乗り降りの邪魔にならない位置に脇アーム13を退避させる。
逆に、牽引開始時には、患者が着座して治療を開始すると、まず、脇装具駆動部17が作動し、第二移動台を牽引方向に移動させ、カム機構部が作動し、牽引終了時と逆に、コマ18と19の接触が少なくなり、脇アーム13が回動して、脇アーム13の脇当て12が患者の脇の近傍に来るので、自動的に牽引をおこなうことができる。
このようにして、治療開始前には脇アームを自動的に装着し、治療終了時には脇アーム13を邪魔にならない位置に自動的に退避させることができる。つまり、脇装具の自動着脱が可能になった。
【0036】
請求項10記載の発明の実施例を、図7に示す。臥台2のフレーム4に、牽引方向に移動可能な背もたれ部8を設け、これを移動させる牽引機構部10を設けている。
また、背もたれ部8に沿って牽引方向に移動可能な第二移動台16を設け、これを背もたれ部8に沿って移動させる脇装具駆動部17を設け、第二移動台16には脇装具13を設けている。
牽引を開始すると、まず、脇装具駆動部17で第二移動台16を移動させて脇装具13で脇を牽引し、脇にかかる力が所定値に達すると脇装具駆動部17をその位置に固定し、続いて、牽引機構部10で背もたれ部8を移動させて牽引するようにしている。
このようにすることで、背中の摩擦力があるので、その分、牽引力よりも弱い力が脇にかかり、従来よりも弱い力が脇にかかるため、牽引時にも脇には痛みや不快感は発生しにくくなり、その結果、リラックスして、効果的な治療をおこなうことができる。
図には脇装具13として脇アームを示しているが、本請求項記載の発明では、図8に記載したロープ状の脇装具その他どのような種類の装具を用いてもよい。
脇アーム13が回動して、脇アーム13の脇当て12が患者の脇の近傍に来るので、自動的に牽引をおこなうことができる。
このようにして、治療開始前には脇アームを自動的に装着し、治療終了時には脇アーム13を邪魔にならない位置に自動的に退避させることができる。つまり、脇装具の自動着脱が可能になった。
【0037】
請求項11記載の発明では、牽引機構部の駆動源に速度制御が可能な電動モータを用い、
所定の牽引速度で牽引しているときのモータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数N0を求めて予め記憶させておき、
実際の牽引時に、同様に電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数Nを求め、
測定したパルス数Nと記憶させているパルス数N0とを比較し、
パルス数NとN0との差が所定の範囲に入るようにモータの電源を制御し、所定の牽引速度で牽引するようにした。
つまり、モータの回転数に対応するパルス数と牽引速度との関係を求めておき、所定の速度で牽引する場合、この速度に対するパルス数になるようにモータの電源を制御しようというものである。
モータの回転数は、タコメータ、光センサ、磁気センサその他を用いてパルス化することができる。本請求項記載の発明では、どのようなセンサを用いてもよい。
本請求項記載の発明により、任意の牽引速度を得ることができる。速度を様々に変化させながら牽引する場合の牽引パターンを図8に示す。従来の通常の牽引では、図9に示すように、牽引力が直線的に増える等速牽引であった。図の横軸は時間で、縦軸は牽引力である。グラフの傾きが牽引速度に相当する。
例えば図8(C)のように、牽引力を増減させながら設定牽引力まで牽引する場合、牽引速度(グラフの傾斜)に対応するパルス数のパターンを作っておき、このパターンになるようにモータの電源を制御すれば、図6のような所望の牽引パターンが得られる。つまり、本出願の発明によると、任意の牽引パターンを発生させることができる。
【0038】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明を、簡単に、安価に実現するものである。
本請求項記載の発明では、モータの回転数を測定してパルス化するのに、モータ電源をモニタし、モータが回転するときに生じる電源の変動を測定し、これをパルス化して計数するようにした。このパルス数と牽引速度との関係を求めておき、所定の牽引力にするには、所定のパルス数になるようにモータ電源を制御すればよい。
本請求項記載の発明により、タコメータや光センサなどが不要となり、価格を低減できる。また、構成が簡単になるので、製造コストも低減でき、故障も少なくなる。
【0039】
従来の牽引では、牽引モードが変化するとき、例えば、牽引から持続のモードに移行するとき、モータの回転数はnからゼロに変化する。このとき機械的な衝撃が発生して、患者に不快感を与える。これは持続から緩和に、緩和から休止に、休止から牽引にと、モードが変化するときには全て生じる。また、持続時に何らかの原因で牽引力が不足したり強くなりすぎたときに、再度牽引したり緩和したりする。このときにも同様に生じる。
これを防止するために、請求項13記載の発明では、請求項11又は12記載の発明の牽引速度制御を応用し、牽引時の牽引速度Vと非牽引時の牽引速度0との間で、パルス数Nをモニタしながらモータの電源を制御して、牽引速度をほぼ連続的に変化させるようにした。
例えば、牽引から持続のモードに移行するとき、モータの回転速度をパルス数でモニタしながら牽引力をモニタし、牽引力が設定値に近づいたとき、モータ電源を制御して、モータの回転数を連続的に変化させ、緩やかにモータを停止させるようにしている。図8(A)にこの例を示す。
持続から緩和へ、緩和から休止へ等、どのような場合も同様にできる。
【実施例2】
【0040】
頃動機構部と牽引機構部及び脇装具駆動部には、実施例1ではリニアアクチュエータを用いることができると記載したが、ワイヤで背もたれを移動させるようにしてもよい。また、棒ねじとナットを組み合わせてモータで駆動するようにしてもよい。背もたれを移動させることができるものであれば何を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】請求項1から4記載の発明の実施例で、装置の概観図である。
【図2】請求項5記載の発明の実施例である。
【図3】請求項6記載の発明の実施例である。
【図4】請求項7記載の発明の実施例の内視図である。
【図5】請求項8記載の発明の実施例である。
【図6】請求項9発明の実施例である。
【図7】請求項10記載の発明の実施例である。
【図8】請求項11〜13記載の発明の実施例である。
【図9】従来の牽引パターンの例である。
【図10】従来の牽引装置の例である。
【図11】特許文献1の実施例の図である。
【図12】特許文献2の実施例の図である。
【図13】特許文献3の実施例の図である。
【図14】特許文献4の実施例の図である。
【図15】特許文献5の実施例の図である。
【図16】特許文献6の実施例の図である。
【符号の説明】
【0042】
1:基台
2:臥台
3:傾動機構部
6:着座部
8:背もたれ部
9:荷重検出部
10:傾動機構部
13:脇アーム
14:腰用ベルト
16:第二移動部
17脇装具駆動部
18:こま
19:カム
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に腰椎の牽引療法に使用する牽引装置に関するものであり、患者の肉体的な負担を軽減し、治療の煩雑さ改善し、より効果的な治療が可能な牽引装置を提供することを目的とする。
【背景技術】
【0002】
牽引療法は、腰椎や頚椎を牽引し、各種の腰椎疾患や頚椎疾患を治療するもので、整形外科やリハビリテーションなどの分野で広く用いられている。
本発明の装置では頚椎牽引治療も可能であるが、主に腰椎の牽引に使用するので、以下、腰椎牽引について述べる。
従来の牽引装置は、図10に示すように、牽引器と牽引用ベッドから構成され、治療の補助として脇装具、腰装具及び脚台を使用する。
ベッドは、通常はマットを2つに分割しており、上半身が載る側のマットはフレームにほぼ固定され、下肢側マットは移動自在にしてある。
【0003】
治療前に、脇装具(図10の14)を脇に当ててその端部をベッドのフレームに固定し、腰装具(図10の11)を腰に装着して牽引装置に接続し、図10には記載していないが、膝を曲げてその下に脚台を敷く。膝を曲げると腰椎の前方への湾曲(前湾)をとることができる。牽引治療では、前湾を矯正した上で治療をおこなうことが重要とされる。図10は、患者がベッド上で仰臥位になり、装具を装着して牽引装置(図10の13)に接続した状態である。この状態で牽引を開始することができる。
牽引パターンは、図9に示すように、休止−牽引−牽引力持続−緩和を繰り返す間歇牽引と、図には示していないが、治療中一定の力で牽引する連続(持続)牽引とがある。通常は間歇牽引が多く用いられるので、ここでは間歇牽引を中心に述べる。
【0004】
治療の前に牽引条件を設定する。牽引条件には、牽引力、休止時間、持続時間、治療時間などがあり、牽引力は体重の半分程度、休止時間と持続時間は数秒、治療時間は10〜20分程度である。
図10のように、脇と腰に装具を付け、ベッドの上で仰臥位になり、脚台を使用して膝を立て、治療条件を設定した後、治療を開始すると、まず休止モードになり、設定された時間だけ休止し、休止時間が終了すると牽引モードになり、牽引をし、牽引力が設定値になると持続モードになり、この牽引力を設定時間だけ持続し、持続時間が終了すると緩和モードになり、モータを逆回転させて牽引力を緩和し、牽引力がゼロ又は設定値以下になると休止モードに入る、というサイクルを、治療時間に繰り返し、治療時間が終了すると牽引力をゼロにして治療を終了する。連続(持続)牽引は、持続時間を治療時間と同じにすると実現することができる。
【0005】
牽引療法は効果的ではあるが、装置には問題も残っている。
治療前に、患者はベッドに乗り、装具を装着し、仰臥位になり、膝の下に脚台を入れ、治療後に逆の動作をおこなう必要があるが、腰痛等の腰部疾患を有する患者にとって、これらの動作をおこなうことは肉体的に大きな苦痛であった。
また、装具の装着に手間がかかり、患者だけでなく、介助者の手も煩わせていた。
さらに、通常は体重の半分ほどの力で牽引するが、この力が脇に集中して痛みが生じ、これを我慢して力を入れて治療をすると治療効果が低下する等の問題があった。
これらの課題を解決するものに、脇装具を改良するもの(例えば特許文献1参照)、ベッドへの乗り降りを簡単にするもの(例えば特許文献2〜4参照)などがある。
一方、より高い治療効果を得るためにも様々な工夫がなされている(特許文献5,6参照)。
以下、図によりこれらの従来技術を説明する。
【特許文献1】特許第2528360号
【特許文献2】特開2001−29373
【特許文献3】実開昭60−13124
【特許文献4】特開平6−233791
【特許文献5】特公昭51−30716
【特許文献6】特開2000−245760
【0006】
図11は特許文献1の図1(C)に示されている例である。脇装具の代わりに脇アームを用い、脇アームは三次元的に動かすことができるようにし、ワンタッチで脇を固定することができるようにしている。このため、脇装具の装着は非常に簡単になった。
図12は特許文献2の図1に示されている例である。腰に障害のある患者が乗り降りしやすいように、また、横たわった状態で体位変換が容易にできるように、手擦り(体位変換補助手段)3を設けている。しかし、ベッドへの乗り降りやベッド上での体位変換は、多少は楽になるが、患者の努力は必要であり、介助者の補助も必要である。
図13は特許文献3の第1図に示されている例であり、本考案はベッドに乗り降りしやすいように、ベッドを椅子状にして患者を乗せ、治療をおこなうときにはベッドを平坦にするようにしている。このため、ベッドへの乗り降りは簡単になったが、脚台を使う必要があり、装具の改良もおこなっていない。
【0007】
図14は特許文献4の図1に示されている例で、ベッドに乗り降りを楽にするためにベッドを椅子状にし、治療する場合はベッドをリクライニングするようにしている。リクライニングした牽引位置でも大腿関節を屈曲させたままであるため、腰椎の前湾は矯正されており、脚台を使用する必要は無い。しかし、上半身を移動させて牽引するため従来と牽引感が異なる、牽引力を検出する手段を有していないので牽引力が不正確になるという問題がある、また、装具に改良の余地がある。このため、この装置は実用化されていない。
図15特許文献5の第2図に示されている例で、治療効果を上げるために、上半身を少し起こし、足は膝を立てた状態にすることで、腰痛の大きな原因とされる腰椎前湾を矯正して、牽引治療をおこなうものである。しかし、ベッドへの乗り降りの問題は解決されておらず、装具も改良されていない。
図16は特許文献6の図6に示されている例で、膝と大腿の関節をそれぞれ90度にし、さらに臀部を持ち上げて、腰椎前湾を矯正して腰椎後方の椎間板を拡開するもので、90°−90°牽引と呼ばれ、特に急性期の腰痛治療に効果的であると言われている。しかし、ベッドへの乗り降りについては改良されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述のように、従来の牽引装置では、ベッドへの載り降り、ベッド上での寝起きと体位変換、ベッド上での装具の着脱、脚台の着脱などの動作は、腰部に障害のある人にとって苦痛が大であった。
また、腰と脇の装具の着脱は面倒で手間がかかり、介助者の手も煩わせていた。
さらに、治療では体重の半分程度の力で牽引をおこなうが、この力は大きいため、この力が脇に集中し、痛みが生じ、これを我慢して力が入る。また、牽引時に両脇が広がるような力が作用するので、これを防ぐために力を入れる。このように、治療を受けるときに力が入ると、実際に腰椎にかかる牽引力が小さくなり、治療効果が低下するという不都合もあった。
【0009】
実際の治療では、休止−牽引−持続−緩和のサイクルを繰り返すが、各モードから次のモードへ、例えば休止モードから牽引モードへ移行するとき、急激に牽引力が変化してショックが発生し、不快に感じることがあった。
また、牽引を開始すると、設定した牽引力になるまで一気に、牽引していた。障害があると、筋肉や関節が硬くなっていることが多く、このような場合、急激に力を加えることは危険であり、このような牽引法には問題があった。
効果の面では、治療中の姿位も重要である。また、設定どおりの正確な力で牽引することが重要である。さらに、装置の構成を簡単にして故障の少ない、価格を低減した装置を提供することも重要である。
本出願では、これらの問題を解決することを目標とした。
【課題を解決するための手段】
【0010】
ベッドへの乗り降り、ベッド上での寝起き、ベッド上での装具の着脱、脚台の着脱、ベッド上での体位変換などに伴う問題を解決し、また、牽引治療全体を省力化するために、請求項1記載の発明では、着座部6や背もたれ部8などからなる椅子状の臥台2を基台1に載置し、臥台2を着座位から所定角度背面側へ傾倒した牽引位まで頃動させる頃動機構部3を設け、
着座部6を牽引機構部10で移動させて牽引するようにした。
本請求項記載の発明で、前述のような課題を解決することができるだけでなく、従来と同様に上半身を固定して下半身を移動させて牽引するので、牽引感覚も従来と同様になり、従来の牽引療法で確認された治療効果と同等又はそれ以上の治療効果を得ることができる。
請求項2記載の発明では、治療をスタートすると、頃動機構部3が作動して座位から牽引位になり、牽引位で牽引機構部10が作動して所定の牽引治療をおこない、治療が終了すると頃動機構部3が作動して座位に戻すという一連の動きを自動的におこなうようにし、さらに省力化を進めた。
【0011】
請求項3記載の発明では、牽引方向を、被牽引者の体幹身長方向の長軸と0〜120度程度、好ましくは10〜30度程度にした。図10や11に示すように、従来から、身長方向の体軸から少し角度をつけて牽引する方が効果的とされる。この角度は10〜30度である。急性期の腰痛では、図16のように、股関節と膝を90度に曲げて牽引する方法が効果的とされる。本請求項記載の発明は、牽引角度を90度にすることができるので、この目的で使用することもできる。
請求項4記載の発明では、正確な力で牽引できるようにするために、牽引機構部10で発生させた荷重を検出する荷重検出部9を設け、荷重検出部9で牽引力をモニタしながら、所定の力で牽引するようにした。
【0012】
請求項5記載の発明では、着座部の腰当部7の形状を凹状にし、人が着座したとき、腰の背面だけでなく側面まで包み込むように支持するようにして人体との接触面積を大きくして接触抵抗を大きくし、腰・臀部の固定を確実にするようにした。
請求項6記載の発明では、椅子状の臥台2の着座部6近傍にシートベルト状の腰用ベルト14を設け、着座部6と着座部背当7に力F1とF2を作用させて人を固定し、牽引時にずれないようにした。手間をかけないで簡単に確実に固定できる。また、構造が簡単であるため、価格を低減することができる。
牽引時には装具が滑って効果が低下することがあるが、請求項5と6記載の発明を組み合わせることにより、より確実に固定することができ、牽引効果を高めることができる。
【0013】
脇装具を改良し、手間をかけないで簡単に確実に固定できるように、また、価格を低減するために、請求項7記載の発明では、背もたれ部8近傍に脇アーム13を左右一対に設け、三次元的に自由に動かせるようにし、牽引時には脇アーム13を脇を支持する位置に動かして牽引できるようにし、臥台2への乗り降り時には邪魔にならないように脇アーム13を退避位置に移動させるようにした。本請求項記載の発明により、脇用装具の装着が簡単になり、手間を省力化できる。
【0014】
請求項8記載の発明では、脇アーム13の脇支持部12の形状を、脇近傍の体幹と脇の形状を勘案して接触面積が大きくなるようにし、脇にかかる圧力を分散するようにした。このため、脇にかかる力は小さくなり、脇の痛みが小さくなるので、患者の肉体的な負担は少なくなる。また、痛みが少ないと力みが無くなるので、牽引力は効果的に脊柱に伝わり、治療効果を高くすることができる。
【0015】
請求項9記載の発明では、臥台2の傾動と同期して脇アーム13を駆動するようにし、牽引開始時には自動的に脇アーム13を脇支持位に移動させて、牽引終了時には、自動的に脇アーム13を退避位置に移動させて臥台2への乗り降り時に邪魔にならないようにした。このため、脇用装具の装着では一切、手間がかからないようになった。
【0016】
請求項10記載の発明では、牽引開始時に、まず脇アーム13を駆動して脇にかかる圧力を所定の値にした後、牽引をおこなうようにした。通常は、牽引を開始すると上体も少し移動し、脇にはそのまま牽引力がかかるため、脇に痛みが生じるが、本請求項記載の発明によると、一旦、脇に力を与えて牽引を開始するので、最初に与えた力と背部のマットとの摩擦力を加えた力で体が固定された状態で牽引をおこなうので、体のずれが少なくなり、従来よりも脇にかかる力が少なくなり、脇の痛みも少なくなる。
【0017】
正確な速度か、又は患者に適した所定の速度で牽引と緩和をおこない、患者に適した牽引をおこなうために、請求項11記載の発明では、牽引機構部10の駆動源に速度制御が可能な電動モータを用い、背もたれ部8を所定の速度で移動させたときの電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数N0を求め、パルス数と牽引速度との関係を求めておき、牽引時に電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数Nを求め、牽引時のパルス数Nと記憶させているパルス数N0とを比較し、
パルス数NとN0との差が所定の範囲に入るようにモータの電源を制御し、着座部6を所定の速度で移動させ、牽引するようにした。
このため、速度は正確に所定の値に制御することができ、安全で効果的な牽引治療をおこなうことができる。
【0018】
請求項11記載の発明を、より安価に簡単に実現するために、請求項12記載の発明では、
電動モータにDCモータを用い、DCモータの電源を測定し、DCモータが回転したとき生じる電源のリップルを測定してパルス信号に変換し、このパルス信号をみてモータの電源を制御し、背もたれ部8を所定の速度で移動させるようにした。
【0019】
牽引モードが変化するとき、従来は不快な衝撃が発生していた。これを解決するために、請求項13記載の発明では、牽引時の牽引速度Vと非牽引時の牽引速度V0の間で、パルス数Nをモニタしながらモータの電源を制御して、牽引速度をほぼ連続的に変化させるようにした。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明により、
腰痛等の腰部障害があってもベッドに簡単に乗り降りができ、また、ベッド上での動作や体位変換は殆どしなくても済むので、患者の苦痛を少なくすることができる。さらに、座位で治療開始スイッチを押すだけで、装置は自動的にリクライニングして治療姿勢になり、治療を行い、治療時間が終了すると着座位置に戻すという動作を、全て自動的におこなうことができるので、従来よりも更に介助者の労力を省力化できる。
また、牽引の方向も従来と同じであるので、従来と同様の治療感と、従来と同等またはそれ以上の治療効果を得ることができる。
【0021】
請求項2記載の発明により、
一連の治療を自動的におこなうことができ、省力化が可能になった。
請求項3載の発明により、
牽引方向を10〜30度にすることができるので、従来と同等の治療効果をえることができる。さらに、身長方向の体軸と90度の方向にも牽引することができるので、急性期腰痛にも効果を得ることができる。
請求項4載の発明により、
荷重検出部9を設けているので牽引力を直接モニタしながら、正確な牽引力で適切な治療をおこなうので、安全で効果的な治療が可能になる。
【0022】
請求項5載の発明により、
着座部の腰当部7の形状を凹状にし、人が着座したとき、腰の背面だけでなく側面まで包み込むように支持するようにして人体との接触面積を大きくして接触抵抗を大きくし、腰・臀部の固定を確実にするようにしたので、牽引時に、確実に体を固定できるので、より高い治療効果を得ることができる。
【0023】
請求項6載の発明により、
椅子状の臥台2の着座部6近傍にシートベルト状の腰用ベルト14を設け、着座部6と着座部背当7に力F1とF2を同時に作用させて人を固定し、牽引時にずれないようにした。このため、手間をかけないで簡単に確実に固定できる。また、構造が簡単であるため、価格を低減することができる。
牽引時には装具が滑って効果が低下することがあるが、請求項5と6記載の発明を組み合わせることにより、より確実に固定することができ、牽引効果を高めることができる。
【0024】
請求項7記載の発明により、ベッドに三次元的に自由に動かすことのできる脇用アーム13を用いたので、脇装具を簡単に装着でき、装具装着の手間を省力化できる。また、ベッド上での体位変換は少なくてすむため苦痛も少なくなる。さらに、本脇装具を用いて牽引すると、軸Oを中心に脇アーム13で両脇から体を締め付けるように力が作用するので、腕を押し広げるような力が脇にかからないため、余分に力を入れる必要が無く、リラックスして治療を受けることができる。また、従来よりも痛みや不快感が少なくてすむ。
治療終了時に、脇用アーム13は簡単に邪魔にならない位置に移すことができるので、装具を外す手間も非常に少なくなった。
【0025】
請求項8記載の発明により、
脇用アーム13の脇支持部12の形状を、脇支持部12が体幹及び脇の密着して、圧力を分散するようにしたので、脇に生じる痛みを少なくすることができる。
請求項9記載の発明により、
臥台2の頃動に同期させて脇アーム13を自動的に駆動し、患者が治療器に乗り降りするときは、脇アーム13は乗り降りに邪魔にならない位置(退避位)に退避しており、治療を開始すると、脇アーム13は自動的に脇支持位に移動し、牽引終了時には自動的に脇アーム13は退避位に移動するので、人手を一切かけることなく脇装具の着脱を自動的におこなうことができる。このため、患者及び介助者の労力をゼロにすることができる。
【0026】
請求項10記載の発明により、
牽引開始時に、まず脇アーム13を駆動して脇に所定の圧力がかかるようにした後、牽引治療をおこなうようにしたので、牽引時の脇にかかる圧力は小さくなり、より、痛みのない牽引治療をおこなうことができる。このため、体幹部の筋緊張は少なくなり、より効果的な牽引治療をおこなうことができる。
【0027】
請求項11記載の発明により、
モータの回転数をモニタして所定の速度になるように電源を制御するので、牽引速度を、従来と同様に直線的に一定速度で変化させることもできるし、図8のように様々に変化させることもできる。このため、患者に適した牽引治療ができる。牽引開始時にはゆっくり牽引し、慣れるに従って早く牽引するということもできるので、組織や関節が硬くなっているときにも安全に牽引することができる。また、牽引パターンを変化させて、慣れの少ない牽引治療をおこなうこともできる。
【0028】
請求項12記載の発明により、請求項11記載の発明を、安価に、単純に実現することができる。このため、故障が少なくなり、コストも低減できる。
【0029】
請求項13記載の発明により、治療中に牽引から持続に、持続から緩和に、緩和から休止に、休止から牽引に、というようにモードが変化するとき、モータ速度を連続的に変化させるので、不快なショックが発生しない。このため、リラックスして不快感の無い治療を受けることができる。
【実施例1】
【0030】
図1に、本発明の牽引装置の実施例を示す。図の1は基台、2は臥台、3は頃動機構部、4は臥台のフレーム、5は牽引位置で下腿を載せる下腿載部、6は着座位置で患者が座る着座部、7は着座した患者の腰部下部を支える着座部背当、8は背もたれ部、9は牽引力を検出する荷重検出部、10は着座部6等を移動させて牽引力を発生させる牽引機構部、13は脇装具である。
図には記載していないが、装置は全体を制御する制御部を有し、牽引力、持続時間、休止時間、治療時間などの治療条件を入力してメモリし、これを実行するようにプログラムを有する。
従来の装置では、図10のように、治療前の準備で、装具を装着し、ベッドに載って仰臥位になり、脚台を脚の下に置いていた。その後、治療を開始すると休止モード、牽引モード、持続モード、緩和モードというサイクルを、治療時間に繰り返し、治療時間が終了すると牽引力をゼロにして治療を終了し、治療終了後に、治療準備と逆の動作をして、治療を終えていた。
これに対して請求項1記載の発明では、ベッドへの乗り降りは椅子状の臥台2の着座部6に座るだけでよく、専用の腰及び脇装具を簡単に装着した後、治療スタートスイッチを押すと、自動的に臥台2が頃動して牽引位置になり、牽引プログラムを実行し、治療時間が終了すると臥台2を着座位置に戻し、装具をとると、治療を終了する。これらの一連の動作は、自動的に実行される。なお、図1には腰用装具は記載していないが、これは本発明では、図3のベルト14である。
頃動機構部と牽引機構部には電動モータを用いたリニアアクチュエータを用いればよい。本請求項記載の発明により、治療前後の、患者及び介助者の労力を大幅に軽減すること
ができる。
【0031】
本出願と一見、似た装置が、特許文献4に開示されている(図14参照)。これは、ねじ棒とめねじ部材を組み合わせ、トルクモータで駆動するようにしたもので、本出願と同様、頃動と牽引が可能になっている。
しかし、この先願特許は、牽引方向が本出願の牽引装置と逆であり、本出願の請求項2以降の発明の要素、機能は有していない。この先願特許には牽引力の検出手段を設けていない。このような構成にすると、モータと螺合機構部のばらつきによって摩擦が異なり、また、負荷(患者の体重)によっても摩擦が変化し、これらの摩擦は経時的にも変化する。このような構成にしてトルクモータを電流制御しているため、正確な牽引力を維持することはできない。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の牽引装置の牽引治療動作を自動化するものである。これにより、煩雑な牽引の手間を省力化することができる
請求項3記載の発明は、請求項1と2記載の牽引装置の牽引方向を規定するものである。従来の通常の牽引治療では、体幹方向から10〜30度、通常は15度程度の角度で牽引し、この治療効果は確認されている。また、急性期の特に筋筋膜性腰痛では、90度−90度牽引という、股関節と膝関節をそれぞれ90度にして、図16のような姿勢で牽引する方法が有効とされる。これらのいずれの牽引方法も、本発明では実現できる。これにより、従来の装置で確認された治療効果と同等又はそれ以上の治療効果を得ることができる。
請求項4記載の牽引装置は、図1に示すように、牽引機構部10で座部6等を駆動するときに生じる荷重(牽引力)を検出する荷重検出部9を牽引機構部10とフレームとの間に設け、荷重検出部9で牽引力を直接にモニタしながら、所定の力で牽引するようにした。このようにすることで、モータや機構部の摩擦等にばらつきがあっても、これらが経時的に変化しても、また患者の体重が異なっても、正確な力で牽引することができる。
荷重検出部には力や圧力等を検出するものを用いればよい。
【0032】
請求項5記載の発明の実施例を図2に示す。図2の7は着座した患者の腰部の下部を支持する着座部背当で、腰部の側面まで支持するように、凹状にしている。このような形状にすることで、腰との接触面積が増し、牽引時に摩擦力が増え、牽引しても腰がずれないようにしっかりと固定できる。
請求項6記載の発明の実施例を図3に示す。図の4は臥台のフレーム、5は下腿載部、6は着座部、7は着座部背当、8は背もたれ部、14は腰用ベルト(腰用装具)である。
椅子状の臥台に患者を着座させ、着座部6と着座部背当7との間のコーナー部に設けた腰用ベルト14で、着座部6方向の力F1と着座部背当7方向の力F2とが同時に作用するようにして、腰を固定している。
腰用ベルト14の固定にはバックルや面粘着式(マジックテープTM等)等、何を用いてもよい。椅子状の臥台に着座させて患者の脇を牽引すると、腰装具による固定が不十分であれば、下腿が下腿載部5に乗っているので、脇と膝とが一直線になるように体が浮く。本請求項記載の発明によりこれを効果的に押さえ、腰部を着座部に固定できる。
図には、着座部6と着座部背当7とのなす角度をほぼ2分する方向に向けて、フレーム4に、腰用ベルト14を取り付けているが、取り付け位置や角度も重要であるが、着座部6方向の力F1と着座部背当7方向の力F2とが作用するようにすることが重要である。
着座部6と着座部背当7とのコーナー方向に、ベルトで骨盤を押えるようにすればよい。腰用ベルト14自体は単純な構造で、装着も簡単で、安価に実現できるが、効果的に患者を着座部に固定することができる。
本請求項記載の発明では、着座部6方向の力F1だけが作用するようにしてもよい。これは、着座部6の下に腰用ベルトを設けて実現できるが、股関節に負荷がかかり、股関節に障害のある人の牽引には適しない。
着座部背当7方向の力F2だけが作用するように、着座部背当7後方に腰用ベルトを設けてもよいが、牽引時に、体全体が牽引方向にずれて、牽引効果が低下する。
【0033】
請求項7記載の発明の実施例を図4に示す。
図の8は臥台の背もたれ部(実際にはそのフレーム)、11はアーム、12は脇当、13は脇アーム、15はアーム取付け用のバー、OとPはバー15及び脇アーム13の回転軸である。
脇アーム13は、バー15を介して、背もたれ部8に取り付けている。
軸Oは、バー15を水平方向に回転させるための回転軸で、背もたれ部8に、左右に、人の脇の間隔よりも狭く設けている。
また、脇アーム13は、バー15に、回転軸P(バー21の長軸)を中心に回転自在に取り付けている。このため、患者が着座するときには、脇用アームが邪魔にならないように、O及びP軸を中心に脇用アームを回転させ、邪魔にならない位置(退避位)に退避させておくことができる。脇アームは自由に回動できるので、着座した後に、脇当12を脇の近傍(脇固定位置)に置くことができ、そのまま牽引に移行できる。
本請求項記載の発明により、着座して、脇用アームを移動させるだけで、簡単に脇装具を装着できるので、患者及び介助者の省力化を実現できる。
脇アーム13は軸Oを中心に自由に回動でき、また、軸Oは両脇の間隔よりも狭くしているので、牽引をおこなうと、脇アーム13の脇当て12で両脇から体を締め付けるような力が作用する。
従来は、脇装具装着位置が脇よりも少し外にずれると、両腕を押し広げるような力が働き、この力に必死で耐えながら治療を続けることがあった。これでは体に力が入り、効果的な腰椎牽引ができないという不都合があった。本請求項記載の発明により、この問題も解決できる。
【0034】
請求項8の実施例を図5に示す。図の12は脇用アーム13の脇当、Bは脇近傍の胴体である。脇当12は、脇部胴体と脇の形状を勘案し、接触面積が大きくなるような形状にし、脇にかかる圧力が分散されるようにしている。脇当12は、脇近傍の胴体の形状に合わせて、中央部で細くし、脇が当たる面は曲率を大きくしている、
【0035】
請求項9記載の発明の実施例を図6に示す。
本発明は、臥台2の頃動に同期して、牽引開始時に自動的に脇アーム13を脇の近くにセットしたり、牽引終了時に脇アーム13を退避位に移動させるものである。
軸Oは、バー15を水平方向に回転させるための回転軸で、第二移動台16に、左右に、人の脇の間隔よりも狭く設けている。バー15に脇アーム13を設け、脇アーム13は、バー15に、回転軸Pを中心に回動自由に接続している。
また、背もたれ部8に固定してコマ18を、脇アーム13の軸Pを中心として回動する部分にコマ19を固定して設け、コマ18と19とでカム機構を構成している。
軸Oは、バー15を水平方向に回転させるための回転軸で、第二移動台16に、左右に、人の脇の間隔よりも狭く設けている。バー15に脇アーム13を設け、脇アーム13は、バー15に、回転軸Pを中心に回動自由に接続している。
また、背もたれ部8に固定してコマ18を、脇アーム13の軸Pを中心として回動する部分にコマ19を固定して設け、コマ18と19とでカム機構を構成している。
牽引終了時に、第二移動部16が背もたれ部8に収納されるように移動すると、コマ18と19は接して、脇アーム13を押し、バー15はストッパー20に当たる。それ以上に第二移動部16が移動すると、コマ19がコマ18に滑り込み、脇アーム13を回動させ、臥台への乗り降りの邪魔にならない位置に脇アーム13を退避させる。
逆に、牽引開始時には、患者が着座して治療を開始すると、まず、脇装具駆動部17が作動し、第二移動台を牽引方向に移動させ、カム機構部が作動し、牽引終了時と逆に、コマ18と19の接触が少なくなり、脇アーム13が回動して、脇アーム13の脇当て12が患者の脇の近傍に来るので、自動的に牽引をおこなうことができる。
このようにして、治療開始前には脇アームを自動的に装着し、治療終了時には脇アーム13を邪魔にならない位置に自動的に退避させることができる。つまり、脇装具の自動着脱が可能になった。
【0036】
請求項10記載の発明の実施例を、図7に示す。臥台2のフレーム4に、牽引方向に移動可能な背もたれ部8を設け、これを移動させる牽引機構部10を設けている。
また、背もたれ部8に沿って牽引方向に移動可能な第二移動台16を設け、これを背もたれ部8に沿って移動させる脇装具駆動部17を設け、第二移動台16には脇装具13を設けている。
牽引を開始すると、まず、脇装具駆動部17で第二移動台16を移動させて脇装具13で脇を牽引し、脇にかかる力が所定値に達すると脇装具駆動部17をその位置に固定し、続いて、牽引機構部10で背もたれ部8を移動させて牽引するようにしている。
このようにすることで、背中の摩擦力があるので、その分、牽引力よりも弱い力が脇にかかり、従来よりも弱い力が脇にかかるため、牽引時にも脇には痛みや不快感は発生しにくくなり、その結果、リラックスして、効果的な治療をおこなうことができる。
図には脇装具13として脇アームを示しているが、本請求項記載の発明では、図8に記載したロープ状の脇装具その他どのような種類の装具を用いてもよい。
脇アーム13が回動して、脇アーム13の脇当て12が患者の脇の近傍に来るので、自動的に牽引をおこなうことができる。
このようにして、治療開始前には脇アームを自動的に装着し、治療終了時には脇アーム13を邪魔にならない位置に自動的に退避させることができる。つまり、脇装具の自動着脱が可能になった。
【0037】
請求項11記載の発明では、牽引機構部の駆動源に速度制御が可能な電動モータを用い、
所定の牽引速度で牽引しているときのモータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数N0を求めて予め記憶させておき、
実際の牽引時に、同様に電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数Nを求め、
測定したパルス数Nと記憶させているパルス数N0とを比較し、
パルス数NとN0との差が所定の範囲に入るようにモータの電源を制御し、所定の牽引速度で牽引するようにした。
つまり、モータの回転数に対応するパルス数と牽引速度との関係を求めておき、所定の速度で牽引する場合、この速度に対するパルス数になるようにモータの電源を制御しようというものである。
モータの回転数は、タコメータ、光センサ、磁気センサその他を用いてパルス化することができる。本請求項記載の発明では、どのようなセンサを用いてもよい。
本請求項記載の発明により、任意の牽引速度を得ることができる。速度を様々に変化させながら牽引する場合の牽引パターンを図8に示す。従来の通常の牽引では、図9に示すように、牽引力が直線的に増える等速牽引であった。図の横軸は時間で、縦軸は牽引力である。グラフの傾きが牽引速度に相当する。
例えば図8(C)のように、牽引力を増減させながら設定牽引力まで牽引する場合、牽引速度(グラフの傾斜)に対応するパルス数のパターンを作っておき、このパターンになるようにモータの電源を制御すれば、図6のような所望の牽引パターンが得られる。つまり、本出願の発明によると、任意の牽引パターンを発生させることができる。
【0038】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明を、簡単に、安価に実現するものである。
本請求項記載の発明では、モータの回転数を測定してパルス化するのに、モータ電源をモニタし、モータが回転するときに生じる電源の変動を測定し、これをパルス化して計数するようにした。このパルス数と牽引速度との関係を求めておき、所定の牽引力にするには、所定のパルス数になるようにモータ電源を制御すればよい。
本請求項記載の発明により、タコメータや光センサなどが不要となり、価格を低減できる。また、構成が簡単になるので、製造コストも低減でき、故障も少なくなる。
【0039】
従来の牽引では、牽引モードが変化するとき、例えば、牽引から持続のモードに移行するとき、モータの回転数はnからゼロに変化する。このとき機械的な衝撃が発生して、患者に不快感を与える。これは持続から緩和に、緩和から休止に、休止から牽引にと、モードが変化するときには全て生じる。また、持続時に何らかの原因で牽引力が不足したり強くなりすぎたときに、再度牽引したり緩和したりする。このときにも同様に生じる。
これを防止するために、請求項13記載の発明では、請求項11又は12記載の発明の牽引速度制御を応用し、牽引時の牽引速度Vと非牽引時の牽引速度0との間で、パルス数Nをモニタしながらモータの電源を制御して、牽引速度をほぼ連続的に変化させるようにした。
例えば、牽引から持続のモードに移行するとき、モータの回転速度をパルス数でモニタしながら牽引力をモニタし、牽引力が設定値に近づいたとき、モータ電源を制御して、モータの回転数を連続的に変化させ、緩やかにモータを停止させるようにしている。図8(A)にこの例を示す。
持続から緩和へ、緩和から休止へ等、どのような場合も同様にできる。
【実施例2】
【0040】
頃動機構部と牽引機構部及び脇装具駆動部には、実施例1ではリニアアクチュエータを用いることができると記載したが、ワイヤで背もたれを移動させるようにしてもよい。また、棒ねじとナットを組み合わせてモータで駆動するようにしてもよい。背もたれを移動させることができるものであれば何を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】請求項1から4記載の発明の実施例で、装置の概観図である。
【図2】請求項5記載の発明の実施例である。
【図3】請求項6記載の発明の実施例である。
【図4】請求項7記載の発明の実施例の内視図である。
【図5】請求項8記載の発明の実施例である。
【図6】請求項9発明の実施例である。
【図7】請求項10記載の発明の実施例である。
【図8】請求項11〜13記載の発明の実施例である。
【図9】従来の牽引パターンの例である。
【図10】従来の牽引装置の例である。
【図11】特許文献1の実施例の図である。
【図12】特許文献2の実施例の図である。
【図13】特許文献3の実施例の図である。
【図14】特許文献4の実施例の図である。
【図15】特許文献5の実施例の図である。
【図16】特許文献6の実施例の図である。
【符号の説明】
【0042】
1:基台
2:臥台
3:傾動機構部
6:着座部
8:背もたれ部
9:荷重検出部
10:傾動機構部
13:脇アーム
14:腰用ベルト
16:第二移動部
17脇装具駆動部
18:こま
19:カム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座部(6)や背もたれ部(8)などからなる椅子状の臥台(2)を基台(1)に載置し、
臥台(2)を座位から所定角度背面側へ傾倒した牽引位まで頃動させ、
牽引位で着座部(6)を移動させて牽引するようにしたことを特長とする牽引装置。
【請求項2】
治療をスタートすると、座位から牽引位になり、牽引位で所定の牽引治療をおこない、治療が終了すると座位になるようにした請求項1記載の牽引装置。
【請求項3】
牽引方向は、臥台(2)上の被牽引者の体幹身長方向の長軸と0〜120度程度、好ましくは10〜30度程度であることを特長とする、請求項1又は請求項2記載の牽引装置。
【請求項4】
着座部(6)を移動させる牽引機構部(10)で発生させた荷重を検出する荷重検出部(9)を設け、荷重検出部(9)で牽引力をモニタしながら、所定の力で牽引するようにしたことを特長とする請求項1から請求項3のいずれかに記載した牽引装置。
【請求項5】
着座部の腰当部(7)の形状を凹状にし、人が着座したとき、腰の背面だけでなく側面まで包み込むように支持するようにして人体との接触面積を大きくして接触抵抗を大きくし、腰・臀部の固定を確実にするようにした牽引装置。
【請求項6】
椅子状の臥台(2)の着座部(6)近傍に腰用ベルト(14)を設け、着座した患者の腰部又は大腿部を固定するようにした請求項1から請求項6のいずれかに記載した牽引装置。
【請求項7】
背もたれ部(8)近傍に脇アーム(13)を左右一対に設け、牽引時には脇アーム(13)で脇を支持するようにした、請求項1から請求項7のいずれかに記載した牽引装置。
【請求項8】
脇アーム(13)の脇支持部(12)の形状を、脇近傍の体幹と脇の形状を勘案して接触面積が大きくなるようにし、脇にかかる圧力を分散するようにした請求項8記載の牽引装置。
【請求項9】
臥台(2)の傾動と同期して脇アーム(13)を駆動するようにし、牽引開始時には自動的に脇アーム(13)を脇支持位に移動させて、牽引終了時には、自動的に脇アーム(13)を退避位置に移動させて臥台(2)への乗り降り時に邪魔にならないようにした、請求項8又は請求項9記載の牽引装置。
【請求項10】
牽引開始時に、まず脇アーム(13)を駆動して脇にかかる圧力を所定の値にした後、牽引をおこなうようにした請求項1から請求項10のいずれかに記載した牽引装置。
【請求項11】
牽引機構部の駆動源に速度制御が可能な電動モータを用い、
所定の牽引速度で牽引しているときの電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数N0を求め、パルス数と牽引速度との関係を求めておき、
牽引時に電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数Nを求め、
牽引時のパルス数Nと記憶させているパルス数N0とを比較し、
パルス数NとN0との差が所定の範囲に入るようにモータの電源を制御し、所定の速度で牽引するようにした牽引装置。
【請求項12】
電動モータにDCモータを用い、DCモータの電源を測定し、DCモータが回転したとき生じる電源のリップルを測定してパルス信号に変換して計数し、このパルス数が所定値になるようにモータの電源を制御するようにした請求項12記載の牽引装置。
【請求項13】
牽引時の牽引速度Vと非牽引時の牽引速度0との間で、パルス数Nをモニタしながらモータの電源を制御して、牽引速度をほぼ連続的に変化させるようにしたことを特長とする請求項12又は請求項13記載の牽引装置。
【請求項1】
着座部(6)や背もたれ部(8)などからなる椅子状の臥台(2)を基台(1)に載置し、
臥台(2)を座位から所定角度背面側へ傾倒した牽引位まで頃動させ、
牽引位で着座部(6)を移動させて牽引するようにしたことを特長とする牽引装置。
【請求項2】
治療をスタートすると、座位から牽引位になり、牽引位で所定の牽引治療をおこない、治療が終了すると座位になるようにした請求項1記載の牽引装置。
【請求項3】
牽引方向は、臥台(2)上の被牽引者の体幹身長方向の長軸と0〜120度程度、好ましくは10〜30度程度であることを特長とする、請求項1又は請求項2記載の牽引装置。
【請求項4】
着座部(6)を移動させる牽引機構部(10)で発生させた荷重を検出する荷重検出部(9)を設け、荷重検出部(9)で牽引力をモニタしながら、所定の力で牽引するようにしたことを特長とする請求項1から請求項3のいずれかに記載した牽引装置。
【請求項5】
着座部の腰当部(7)の形状を凹状にし、人が着座したとき、腰の背面だけでなく側面まで包み込むように支持するようにして人体との接触面積を大きくして接触抵抗を大きくし、腰・臀部の固定を確実にするようにした牽引装置。
【請求項6】
椅子状の臥台(2)の着座部(6)近傍に腰用ベルト(14)を設け、着座した患者の腰部又は大腿部を固定するようにした請求項1から請求項6のいずれかに記載した牽引装置。
【請求項7】
背もたれ部(8)近傍に脇アーム(13)を左右一対に設け、牽引時には脇アーム(13)で脇を支持するようにした、請求項1から請求項7のいずれかに記載した牽引装置。
【請求項8】
脇アーム(13)の脇支持部(12)の形状を、脇近傍の体幹と脇の形状を勘案して接触面積が大きくなるようにし、脇にかかる圧力を分散するようにした請求項8記載の牽引装置。
【請求項9】
臥台(2)の傾動と同期して脇アーム(13)を駆動するようにし、牽引開始時には自動的に脇アーム(13)を脇支持位に移動させて、牽引終了時には、自動的に脇アーム(13)を退避位置に移動させて臥台(2)への乗り降り時に邪魔にならないようにした、請求項8又は請求項9記載の牽引装置。
【請求項10】
牽引開始時に、まず脇アーム(13)を駆動して脇にかかる圧力を所定の値にした後、牽引をおこなうようにした請求項1から請求項10のいずれかに記載した牽引装置。
【請求項11】
牽引機構部の駆動源に速度制御が可能な電動モータを用い、
所定の牽引速度で牽引しているときの電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数N0を求め、パルス数と牽引速度との関係を求めておき、
牽引時に電動モータの回転速度を検出してパルス信号に変換し、このパルス信号を計数してパルス数Nを求め、
牽引時のパルス数Nと記憶させているパルス数N0とを比較し、
パルス数NとN0との差が所定の範囲に入るようにモータの電源を制御し、所定の速度で牽引するようにした牽引装置。
【請求項12】
電動モータにDCモータを用い、DCモータの電源を測定し、DCモータが回転したとき生じる電源のリップルを測定してパルス信号に変換して計数し、このパルス数が所定値になるようにモータの電源を制御するようにした請求項12記載の牽引装置。
【請求項13】
牽引時の牽引速度Vと非牽引時の牽引速度0との間で、パルス数Nをモニタしながらモータの電源を制御して、牽引速度をほぼ連続的に変化させるようにしたことを特長とする請求項12又は請求項13記載の牽引装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−87853(P2006−87853A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304888(P2004−304888)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000114190)ミナト医科学株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000114190)ミナト医科学株式会社 (31)
【Fターム(参考)】
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