説明

現像剤供給装置

【課題】 現像剤の供給状態をより安定化させること。
【解決手段】 現像剤供給装置は、帯電した粉末状の現像剤を現像剤受容体に供給するように構成されていて、現像剤搬送部材と、支持部材と、を備えている。絶縁性の現像剤搬送部材は、外周面が現像剤を担持しつつ移動することで当該現像剤を搬送するように、無端ベルト状に形成されている少なくとも、現像剤受容体に現像剤を供給する供給領域及び/又はその近傍の領域にて、現像剤搬送部材における内周面と接触するように、当該現像剤搬送部材によって囲まれた空間の内側に配置されている。支持部材は、少なくとも、現像剤搬送部材における内周面と接触する領域にて、外周面の移動方向に沿って所定間隔で配列するように設けられていて、隣接するもの同士が逆位相となる二相交流電圧が印加される、複数の現像剤付着力開放電極を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電した粉末状の現像剤を供給するように構成された、現像剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の装置として、例えば、特開平10−39618号公報、特開2003−107899号公報、特開2009−36929号公報、等に開示されたものが知られている。これらの装置は、ローラ状のトナー担持体上に担持されたトナー(現像剤)を、電界の作用でトナー担持体上から飛翔させてクラウド化し、このクラウド化したトナーを光導電性ベルトに付着させることで、当該光導電性ベルト上の静電潜像を現像するように構成されている。
【発明の概要】
【0003】
高画質化や画像形成プロセスの高速化等の、画像形成装置におけるさらなる高性能化を図るためには、この種の装置において、現像剤の供給状態をより安定化させることが必要である。
【0004】
<構成>
本発明の現像剤供給装置は、帯電した粉末状の現像剤を現像剤受容体に供給するように構成されている。この現像剤供給装置は、現像剤搬送部材と、支持部材と、を備えている。
【0005】
前記現像剤搬送部材は、絶縁性であって、外周面(現像剤搬送面とも称し得る)が前記現像剤を担持しつつ移動することで当該現像剤を搬送するように、無端ベルト状あるいはスリーブ状に形成されている。
【0006】
前記支持部材は、前記現像剤搬送部材によって囲まれた空間の内側に配置されている。この支持部材は、少なくとも、前記現像剤受容体に前記現像剤を供給する供給領域及び/又はその近傍の領域にて、前記現像剤搬送部材における前記外周面の裏面である内周面と接触するように設けられている。
【0007】
本発明の特徴は、前記支持部材が、隣接するもの同士が逆位相となる二相交流電圧が印加される複数の現像剤付着力開放電極を備えたことにある。これら複数の現像剤付着力開放電極は、所定間隔で配列されている。また、これら複数の現像剤付着力開放電極は、前記現像剤搬送部材における前記外周面の移動方向に沿って設けられている。さらに、これら複数の現像剤付着力開放電極は、少なくとも、前記支持部材が前記現像剤搬送部材における前記内周面と接触する領域(すなわち前記供給領域及び/又はその近傍の領域)に設けられている。なお、前記支持部材の全周が前記現像剤搬送部材における前記内周面と接触する場合、前記現像剤付着力開放電極は、前記支持部材の全周に設けられてもよいし、そのうちの前記供給領域及び/又はその近傍の領域にのみ設けられていてもよい。
【0008】
例えば、複数の前記現像剤付着力開放電極は、前記支持部材の表面近傍に設けられ得る。
【0009】
前記現像剤受容体としては、例えば、静電潜像担持体が用いられ得る。この静電潜像担持体は、静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応して表面に前記現像剤を担持するように構成されている。この場合、前記現像剤付着力開放電極は、少なくとも、前記現像剤搬送部材を隔てて前記静電潜像担持体に対向する前記供給領域に設けられている。
【0010】
なお、前記現像剤供給装置は、さらに、現像剤付着力開放電圧印加手段を備え得る。この現像剤付着力開放電圧印加手段は、複数の前記現像剤付着力開放電極に、隣接するもの同士が逆位相となるような二相交流電圧を印加するようになっている。
【0011】
<作用・効果>
かかる構成においては、複数の前記現像剤付着力開放電極に対して二相交流電圧が印加されることで、隣接する前記現像剤付着力開放電極の間の領域(電極間ギャップ)に電界が発生する。かかる電界により、前記現像剤搬送部材における前記外周面に担持された前記現像剤が、飛翔し、クラウド化される。
【0012】
ここで、本発明の構成においては、複数の前記現像剤付着力開放電極に対して、隣接するもの同士が逆位相となるような二相交流電圧が印加される。すると、前記現像剤搬送部材における前記外周面の移動方向(すなわち現像剤搬送方向)について隣接する、前記電極間ギャップにて、前記現像剤の飛翔が交互に生じる。したがって、前記現像剤の飛翔位置が安定化する。
【0013】
また、本発明の構成においては、複数の前記現像剤付着力開放電極は、前記現像剤搬送部材における前記内周面側、すなわち、前記外周面の裏面側に設けられている。このため、複数の前記現像剤付着力開放電極に対する前記現像剤の付着が効果的に抑制される。
【0014】
したがって、上述の構成を備えた、本発明の現像剤供給装置によれば、前記現像剤の供給状態を、より安定化させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態が適用された画像形成装置としてのレーザープリンタの概略構成を示す側面図である。
【図2】図1に示されているトナー供給装置を拡大した側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態(本願の出願時点において取り敢えず出願人が最良と考えている実施形態)について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
なお、以下の実施形態に関する記載は、法令で要求されている明細書の記載要件(記述要件・実施可能要件)を満たすために、本発明の具体化の単なる一例を、可能な範囲で具体的に記述しているものにすぎない。よって、後述するように、本発明が、以下に説明する実施形態の具体的構成に何ら限定されるものではないことは、全く当然である。本実施形態に対して施され得る各種の変更(modification)は、当該実施形態の説明中に挿入されると、一貫した実施形態の説明の理解が妨げられるので、末尾にまとめて記載されている。
【0018】
<レーザープリンタの構成>
図1は、本発明の一実施形態が適用された画像形成装置であるレーザープリンタ1の概略構成を示す側面図である。
【0019】
図1を参照すると、レーザープリンタ1は、用紙搬送機構2と、感光体ドラム3と、帯電器4と、スキャナーユニット5と、現像装置6と、を備えている。
【0020】
レーザープリンタ1内に備えられた、図示しない給紙トレイには、シート状の用紙Pが積み重ねられた状態で収容されている。用紙搬送機構2は、用紙Pを所定の用紙搬送経路PPに沿って搬送するように構成されている。
【0021】
本発明の現像剤受容体である、静電潜像担持体としての感光体ドラム3の周面には、静電潜像担持面LSが形成されている。静電潜像担持面LSは、主走査方向(図中z軸方向)と平行な円筒面として形成されている。この静電潜像担持面LSは、電位分布による静電潜像が形成されるとともに、当該静電潜像に対応した位置にて本発明の現像剤としてのトナーT(図2参照)を担持するように構成されている。
【0022】
感光体ドラム3は、前記主走査方向と平行な中心軸Cを中心として、図中矢印で示されている方向に回転駆動されるように構成されている。すなわち、静電潜像担持面LSが、前記主走査方向と直交する方向に沿って移動し得るように、感光体ドラム3が構成されている。
【0023】
帯電器4は、静電潜像担持面LSと対向するように配置されている。この帯電器4は、コロトロン型あるいはスコロトロン型の帯電器であって、静電潜像担持面LSを一様に正帯電させ得るように構成されている。
【0024】
スキャナーユニット5は、画像データに基づいて変調されたレーザービームLBを生成するように構成されている。すなわち、スキャナーユニット5は、画素の有無によって発光のON/OFFが制御された、所定の波長帯域のレーザービームLBを生成するように構成されている。
【0025】
また、スキャナーユニット5は、生成されたレーザービームLBを、静電潜像担持面LSにおけるスキャン位置SPにて結像させる(露光する)ように構成されている。ここで、スキャン位置SPは、帯電器4よりも、感光体ドラム3の回転方向(図1における矢印で示されている方向:図中時計回り)における下流側の位置に設けられている。
【0026】
さらに、スキャナーユニット5は、静電潜像担持面LS上にてレーザービームLBが結像される位置を、前記主走査方向に沿って等速度にて移動させる(走査する)ことで、静電潜像担持面LS上に静電潜像を形成するように構成されている。
【0027】
現像装置6は、感光体ドラム3と対向するように、感光体ドラム3の下方に配置されている。現像装置6は、感光体ドラム3と対向する現像部DPにて、粉末状のトナーを帯電した状態で感光体ドラム3に供給することで、静電潜像担持面LS上の静電潜像を現像するように構成されている。この現像装置6の詳細な構成については後述する。
【0028】
次に、レーザープリンタ1の各部の具体的な構成について、より詳細に説明する。
【0029】
用紙搬送機構2は、一対のレジストローラ21と、転写ローラ22と、を備えている。
【0030】
レジストローラ21は、用紙Pを所定のタイミングにて感光体ドラム3と転写ローラ22との間に向けて送り出すように構成されている。
【0031】
転写ローラ22は、感光体ドラム3の外周面である静電潜像担持面LSと、転写位置TPにて、用紙Pを挟んで対向するように配置されている。また、転写ローラ22は、図中矢印で示されている方向に回転駆動されるように構成されている。
【0032】
転写ローラ22は、図示しないバイアス電源回路に接続されている。すなわち、転写ローラ22と感光体ドラム3との間で、静電潜像担持面LS上に付着したトナー(現像剤)を用紙Pに転写させるための所定の転写バイアス電圧が印加されるようになっている。
【0033】
<<トナー供給装置>>
図2は、図1に示されている現像装置6を拡大した側断面図である。図2を参照すると、現像装置6は、トナーボックス61と、トナー搬送ベルト62と、ベルト支持部材63と、ベルト駆動ローラ64と、供給ローラ65と、トナー層厚規制ブレード66と、トナー付着力開放電極67と、現像用付着力開放電圧印加部68と、回収用付着力開放電圧印加部69と、を備えている。
【0034】
現像装置6のケーシングをなすトナーボックス61は、箱状部材であって、その内部には、粉末状の乾式現像剤としてのトナーTが収容されている。すなわち、トナーTは、トナーボックス61の内側の空間における底部のトナー貯留部611内に貯留されている。なお、本実施形態においては、トナーTは、正帯電性、非磁性1成分の、黒色トナーである。
【0035】
トナーボックス61の頂部であって、感光体ドラム3と対向する位置には、開口部612が形成されている。すなわち、開口部612は、感光体ドラム3に向けて上方に開口するように設けられている。
【0036】
本発明の現像剤搬送部材としての、トナー搬送ベルト62は、絶縁性のベルト状部材である。このトナー搬送ベルト62は、その外周面であるトナー搬送面621がトナーTを担持しつつ前記主走査方向と直交する方向(図中矢印TTD参照)に移動することで、トナーTを現像部DPに向けて搬送するように構成されている。
【0037】
本実施形態においては、トナー搬送ベルト62は、トナー搬送面621の裏面である内周面622によって囲まれる空間が略円柱形状となるように、無端ベルト状あるいはスリーブ状に形成されている。このトナー搬送ベルト62は、現像部DPにて、トナー搬送面621が感光体ドラム3における静電潜像担持面LSと近接しつつ所定間隔(500μm程度)の現像ギャップを介して対向するように設けられている。
【0038】
無端ベルト状あるいはスリーブ状のトナー搬送ベルト62によって囲まれた上述の略円柱形状の空間の内側には、ベルト支持部材63が収容されている。本発明の支持部材としての、ベルト支持部材63は、略円柱状に形成されている。本実施形態においては、ベルト支持部材63は、その円柱面状の周面の全部がトナー搬送ベルト62の内周面622と接触(摺動)するように設けられている。具体的には、ベルト支持部材63は、トナーボックス61に対して相対的に回転しないように、トナーボックス61によって支持されている。
【0039】
トナーボックス61の内側の空間には、ベルト駆動ローラ64、供給ローラ65、及びトナー層厚規制ブレード66が収容されている。ベルト駆動ローラ64、供給ローラ65、及びトナー層厚規制ブレード66は、トナー搬送方向TTDについてこの順に配置されている。
【0040】
ベルト駆動ローラ64は、前記主走査方向と平行な回転駆動軸を有する半導電性のゴムローラ部材であって、現像部DPを経たトナー搬送面621と回収領域RAにて所定のニップ幅をもって接触するように設けられている。また、ベルト駆動ローラ64は、トナー搬送面621上に残留したトナーTを回収するためのバイアス電源と接続されている。
【0041】
すなわち、本発明の現像剤受容体としてのベルト駆動ローラ64は、図示しない駆動源によって図中矢印で示されている方向に回転駆動されることで、トナー搬送ベルト62をトナー搬送面621がトナー搬送方向TTDに移動する方向に回転させつつ、トナー搬送面621上に残留したトナーTを回収するように構成されている。また、ベルト駆動ローラ64に付着したトナーTを剥離するための剥離ブレード641が、ベルト駆動ローラ64と接触(摺動)するように、トナーボックス61内に設けられている。
【0042】
供給ローラ65は、前記主走査方向と平行な回転駆動軸を有するスポンジローラ部材であって、回収領域RAを経たトナー搬送面621と所定のニップ幅をもって接触するように設けられている。供給ローラ65は、その下部がトナー貯留部611内にてトナーTと接触するように配置されている。この供給ローラ65は、図示しない駆動源によって図中矢印で示されている方向に回転駆動されることで、トナー貯留部611内のトナーTをトナー搬送面621上に担持させるように構成されている。
【0043】
トナー層厚規制ブレード66は、合成ゴム製の板状部材であって、先端部がトナー搬送面621と接触するように設けられている。このトナー層厚規制ブレード66は、供給ローラ65の回転駆動によってトナー搬送面621上に担持されたトナーTを所望の厚さに薄層化させるように構成及び配置されている。
【0044】
本発明の現像剤付着力開放電極としてのトナー付着力開放電極67は、前記主走査方向と平行な長手方向を有する電極部材である。複数のトナー付着力開放電極67は、トナー搬送方向TTDに沿って、所定間隔で配列されている。また、本実施形態においては、トナー付着力開放電極67は、ベルト支持部材63の周面(表面)近傍に設けられている。すなわち、トナー付着力開放電極67は、トナー搬送ベルト62の近傍に設けられている。
【0045】
さらに、本実施形態においては、トナー付着力開放電極67は、回収領域RA(トナーボックス61の内側にてベルト駆動ローラ64とトナー搬送面621とが所定のニップ幅をもって接触している領域)、回収領域RAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側にて当該回収領域RAと隣接する領域(但しトナーボックス61の内側に限る)、及び現像領域DA(現像部DPのうちの静電潜像担持面LSとトナー搬送面621とが最近接する領域)にのみ設けられている。以下、現像領域DA(本発明の供給領域に対応する)に設けられているトナー付着力開放電極67を「現像用電極671」と称し、回収領域RA(本発明の供給領域に対応する)及びその近傍に設けられているトナー付着力開放電極67を「回収用電極672」と称するものとする。
【0046】
現像用電極671は、現像用付着力開放電圧印加部68と電気的に接続されている。現像用付着力開放電圧印加部68は、電源回路681と、電源回路682と、を備えている。現像用付着力開放電圧印加部68は、隣接する現像用電極671同士が逆位相となるような二相交流電圧を、複数の現像用電極671に印加するようになっている。
【0047】
すなわち、トナー搬送方向TTDに沿って多数配列された各現像用電極671は、一本おきに同一の電源回路と接続されている。換言すれば、電源回路681に接続された現像用電極671,電源回路682に接続された現像用電極671,電源回路681に接続された現像用電極671,電源回路682に接続された現像用電極671・・・が、トナー搬送方向TTDに沿って順に配列されている。そして、電源回路681と電源回路682とは、互いに逆位相となる同一波形の交流電圧を出力するようになっている。
【0048】
回収用電極672は、回収用付着力開放電圧印加部69と電気的に接続されている。回収用付着力開放電圧印加部69は、電源回路691と、電源回路692と、を備えている。回収用付着力開放電圧印加部69は、隣接する回収用電極672同士が逆位相となるような二相交流電圧を、複数の回収用電極672に印加するようになっている。
【0049】
すなわち、トナー搬送方向TTDに沿って多数配列された各回収用電極672は、一本おきに同一の電源回路と接続されている。換言すれば、電源回路691に接続された回収用電極672,電源回路692に接続された回収用電極672,電源回路691に接続された回収用電極672,電源回路692に接続された回収用電極672・・・が、トナー搬送方向TTDに沿って順に配列されている。そして、電源回路691と電源回路692とは、互いに逆位相となる同一波形の交流電圧を出力するようになっている。
【0050】
<レーザープリンタの動作説明>
次に、上述のように構成されたレーザープリンタ1による動作の概要を、実施形態の構成による作用・効果とともに、図面を適宜参照しつつ説明する。
【0051】
<<給紙動作>>
まず図1を参照すると、図示しない前記給紙トレイ上に積載された用紙Pの先端が、レジストローラ21まで送られる。このレジストローラ21にて、用紙Pの斜行が補正されるとともに、搬送タイミングが調整される。その後、用紙Pは、転写位置TPまで給送される。
【0052】
<<静電潜像担持面上へのトナー像の担持>>
上述のように用紙Pが転写位置TPに向けて搬送されている間に、感光体ドラム3の周面である静電潜像担持面LS上に、以下のようにしてトナーTによる像が担持される。
【0053】
感光体ドラム3の静電潜像担持面LSは、まず、帯電器4によって、正極性に一様に帯電される。
【0054】
帯電器4によって帯電された静電潜像担持面LSは、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向の回転により、スキャナーユニット5と対向する(正対する)位置であるスキャン位置SPまで移動する。
【0055】
このスキャン位置SPにて、画像情報に基づいて変調されたレーザービームLBが、前記主走査方向に沿って走査されつつ、静電潜像担持面LSに照射される。このレーザービームLBの変調状態に応じて、静電潜像担持面LS上の正電荷が消失する部分が生じる。これにより、静電潜像担持面LS上に、正電荷のパターン(画像状分布)による静電潜像が形成される。
【0056】
静電潜像担持面LSに形成された静電潜像は、感光体ドラム3の図中矢印で示されている方向の回転により、現像装置6と対向する現像部DPに向かって移動する。
【0057】
図2を参照すると、トナー搬送ベルト62は、ベルト駆動ローラ64の回転駆動によって、トナー搬送面621がトナー搬送方向TTDに移動するように駆動される。ここで、トナーボックス61内に貯留されているトナーTは、供給ローラ65の回転駆動によって、トナー搬送ベルト62(トナー搬送面621)上に担持される。トナー搬送面621上に担持されたトナーTは、トナー層厚規制ブレード66によって薄層化され、現像領域DAに向けて搬送される。
【0058】
現像領域DAにて、現像用電極671には、隣接するもの同士が逆位相となる二相交流電圧が印加される。この印加電圧によって発生する電界によって、現像領域DAにて、トナー搬送面621上に担持されたトナーTのトナー搬送面621への付着力が開放(軽減)される。これにより、現像領域DAにて、トナーTがクラウド化される。すなわち、トナーTが、静電潜像担持面LSに向けて良好に飛翔する。
【0059】
具体的には、上述のような二相交流電圧の印加により、トナー搬送面621の移動方向(すなわちトナー搬送方向TTD)について隣接する電極間ギャップにて、トナーTの飛翔が交互に生じる。よって、多数の現像用電極671に進行波状の多相(3相以上)交流電圧が印加される場合と比較した場合に、本実施形態においては、トナーTの飛翔密度がより高くなるとともに、トナーTの飛翔位置が安定化する。
【0060】
ここで、本実施形態においては、現像用電極671は、供給ローラ65及びトナー層厚規制ブレード66を経たトナー搬送ベルト62(トナー搬送面621)のうちの、現像領域DAに対応する位置にのみ設けられている。すなわち、本実施形態においては、現像用電極671は、静電潜像の現像のためにトナーTを飛翔させる(クラウド化させる)必要がある領域にのみ設けられている。
【0061】
したがって、本実施形態の構成によれば、画像形成濃度が良好に確保されるとともに、画像形成速度の高速化が良好に図られる。
【0062】
また、多数の現像用電極671は、トナー搬送ベルト62における内周面622側、すなわち、トナー搬送面621の裏面側に設けられている。このため、現像用電極671に対するトナーTの付着が、効果的に抑制される。
【0063】
そして、現像領域DAにて、静電潜像担持面LSに形成された静電潜像が、トナーTによって現像される。すなわち、静電潜像担持面LS上であって、静電潜像における正電荷が消失した部分に、トナーTが付着する。これにより、トナーTによる画像(以下、「トナー像」と称する。)が、静電潜像担持面LS上に担持される。
【0064】
現像部DPを通過した(現像領域DAにて消費されなかった)トナー搬送面621上のトナーTは、回収領域RAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側より、回収用電極672への印加電圧によって発生する電界により、トナー搬送面621への付着力が開放(軽減)される。よって、トナー搬送面621上のトナーTは、ベルト駆動ローラ64によって良好に回収される。
【0065】
ここで、本実施形態においては、回収用電極672は、トナーボックス61の内側であって、回収領域RA及びこれとトナー搬送方向TTDにおける上流側に隣接する領域に対応する位置にのみ設けられている。すなわち、本実施形態においては、現像用電極671は、トナーボックス61の内側であって、現像領域DAを経てトナー搬送面621上に残留したトナーTを回収するための領域にのみ設けられている。
【0066】
したがって、本実施形態の構成によれば、トナーTのレーザープリンタ1内(トナーボックス61の外部)での飛散を抑制しつつ、トナー搬送面621上に残留したトナーTを良好に回収することができる。
【0067】
<<潜像形成面から用紙へのトナー像の転写>>
図1を参照すると、上述のようにして感光体ドラム3の静電潜像担持面LS上に担持されたトナー像は、当該静電潜像担持面LSが図中矢印で示されている方向に回転することにより、転写位置TPに向けて搬送される。そして、この転写位置TPにて、トナー像が、静電潜像担持面LSから用紙P上に転写される。
【0068】
<変形例の例示列挙>
なお、上述の実施形態は、上述した通り、出願人が取り敢えず本願の出願時点において最良であると考えた本発明の代表的な実施形態を、単に例示したものにすぎない。よって、本発明はもとより上述の実施形態に何ら限定されるものではない。したがって、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、上述の実施形態に対して種々の変形が施され得ることは、当然である。
【0069】
以下、代表的な変形例について、幾つか例示する。以下の変形例の説明において、上述の実施形態にて説明されているものと同様の構成及び機能を有する部材に対しては、上述の実施形態と同様の符号が用いられ得るものとする。そして、かかる部材の説明については、技術的に矛盾しない範囲内において、上述の実施形態における説明が援用され得るものとする。
【0070】
もっとも、言うまでもなく、変形例とて、以下に列挙されたものに限定されるものではない。また、複数の変形例が、技術的に矛盾しない範囲内において、適宜、複合的に適用され得る。
【0071】
本発明(特に、本発明の課題を解決するための手段を構成する各構成要素における、作用的・機能的に表現されているもの)は、上述の実施形態及び下記変形例の記載に基づいて限定解釈されてはならない。このような限定解釈は、(先願主義の下で出願を急ぐ)出願人の利益を不当に害する反面、模倣者を不当に利するものであって、発明の保護及び利用を目的とする特許法の目的に反し、許されない。
【0072】
(1)本発明の適用対象は、単色のレーザープリンタに限定されない。例えば、本発明は、カラーのレーザープリンタや、単色及びカラーの複写機等の、いわゆる電子写真方式の画像形成装置に対して、好適に適用され得る。このとき、感光体の形状は、上述の実施形態のようなドラム状でなくてもよい。例えば、平板状や無端ベルト状等であってもよい。
【0073】
露光光源としては、レーザースキャナ以外のもの(LED、EL(エレクトロルミネッセンス)素子、蛍光体、等)が好適に用いられ得る。点光源をアレイ状に配列した露光光源(LEDアレイ等)の場合、その配列方向が主走査方向となる。また、帯電器4として、いわゆる帯電ローラが用いられ得る。
【0074】
あるいは、本発明は、上述の電子写真方式以外の方式(例えば、感光体を用いないトナージェット方式、イオンフロー方式、マルチスタイラス電極方式、等)の画像形成装置に対しても、好適に適用され得る。
【0075】
(2)トナー付着力開放電極67は、ベルト支持部材63の周面に露出するように設けられていてもよい。
【0076】
トナー付着力開放電極67は、回収領域RAよりもトナー搬送方向TTDにおける上流側にて当該回収領域RAと隣接する領域に設けられていれば、同領域RAには設けられていなくてもよい。
【0077】
現像用電極671又は回収用電極672は、省略され得る。すなわち、トナー付着力開放電極67は、回収領域RA及びその近傍、又は、現像領域DAにのみ設けられていてもよい。
【0078】
ベルト支持部材63は、トナー付着力開放電極67が設けられている領域のみにて、トナー搬送ベルト62の内周面622と接触するようになっていてもよい。
【0079】
この場合、具体的には、ベルト支持部材63は、現像部DPにおいては、現像領域DAの近傍のみにてトナー搬送ベルト62の内周面622と接触するようになっている。また、ベルト支持部材63は、ベルト駆動ローラ64の近傍においては、回収領域RA及び当該領域よりもトナー搬送方向TTDにおける上流側のみにてトナー搬送ベルト62の内周面622と接触するようになっている。この場合、ベルト支持部材63は、現像用電極671を備えた部分と回収用電極672を備えた部分とに分割され得る。
【0080】
(3)感光体ドラム3とトナー搬送ベルト62とは、接触していてもよい。
【0081】
(4)その他、特段に言及されていない変形例についても、本発明の本質的部分を変更しない範囲内において、本発明の技術的範囲に含まれることは当然である。
【0082】
また、本発明の課題を解決するための手段を構成する各要素における、作用・機能的に表現されている要素は、上述の実施形態や変形例にて開示されている具体的構造の他、当該作用・機能を実現可能ないかなる構造をも含む。さらに、本明細書にて引用した各公報の内容(明細書及び図面を含む)は、本明細書の一部を構成するものとして援用され得る。
【符号の説明】
【0083】
1 … レーザープリンタ
2 … 用紙搬送機構
3 … 感光体ドラム(現像剤受容体・静電潜像担持体)
4 … 帯電器
5 … スキャナーユニット
6 … 現像装置
61 … トナーボックス
611 … トナー貯留部
62 … トナー搬送ベルト(現像剤搬送部材)
621 … トナー搬送面(外周面)
622 … 内周面
63 … ベルト支持部材(支持部材)
64 … ベルト駆動ローラ(現像剤受容体)
641 … 剥離ブレード
65 … 供給ローラ
66 … トナー層厚規制ブレード
67 … トナー付着力開放電極(現像剤付着力開放電極)
671 … 現像用電極(現像剤付着力開放電極)
672 … 回収用電極(現像剤付着力開放電極)
68 … 現像用付着力開放電圧印加部(現像剤付着力開放電圧印加手段)
69 … 回収用付着力開放電圧印加部(現像剤付着力開放電圧印加手段)
DA … 現像領域(供給領域)
RA … 回収領域(供給領域)
LB … レーザービーム
LS … 静電潜像担持面
P … 用紙
PP … 用紙搬送経路
T … トナー(現像剤)
TP … 転写位置
TTD … トナー搬送方向
【先行技術文献】
【特許文献】
【0084】
【特許文献1】特開平10−39618号公報
【特許文献2】特開2003−107899号公報
【特許文献3】特開2009−36929号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電した粉末状の現像剤を現像剤受容体に供給するように構成された、現像剤供給装置において、
外周面が前記現像剤を担持しつつ移動することで当該現像剤を搬送するように、無端ベルト状に形成された、絶縁性の現像剤搬送部材と、
少なくとも、前記現像剤受容体に前記現像剤を供給する供給領域及び/又はその近傍の領域にて、前記現像剤搬送部材における前記外周面の裏面である内周面と接触するように、当該現像剤搬送部材によって囲まれた空間の内側に配置された、支持部材と、
を備え、
前記支持部材は、
少なくとも、前記現像剤搬送部材における前記内周面と接触する領域にて、前記外周面の移動方向に沿って所定間隔で配列するように設けられていて、隣接するもの同士が逆位相となる二相交流電圧が印加される、複数の現像剤付着力開放電極を備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の、現像剤供給装置において、
隣接する前記現像剤付着力開放電極同士が逆位相となるように、複数の前記現像剤付着力開放電極に二相交流電圧を印加する、現像剤付着力開放電圧印加手段をさらに備えたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤付着力開放電極は、前記支持部材の表面近傍に設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のうちのいずれか1項に記載の、現像剤供給装置であって、
前記現像剤受容体は、静電潜像が形成されるとともに当該静電潜像に対応して表面に前記現像剤を担持するように構成された、静電潜像担持体であって、
前記現像剤付着力開放電極は、少なくとも、前記現像剤搬送部材を隔てて前記静電潜像担持体に対向する前記供給領域に設けられたことを特徴とする、現像剤供給装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−48130(P2011−48130A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−196376(P2009−196376)
【出願日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】