説明

現像剤収容器及び画像記録装置

【課題】
現像剤の残量が少なくなってきた時に、現像剤収容器内壁の天面及び両側面に付着した現像剤を満遍なく払い落とすことで、現像剤をほぼ全て使い切ることができるような現像剤収容器及び画像記録装置の提供を目的とする。
【解決手段】
本発明の現像剤収容器は、現像剤を収容する収容部と、前記収容部の内部に回転可能に設けられた攪拌部材と、一端に回転する前記攪拌部材に接触して移動される移動部と、他端に該移動部の移動に応じて前記収容部の内壁を摺動する摺動部とを備え、前記攪拌部材の回転に応じて揺動される揺動部材と、前記揺動部材を前記収容部に支持する支持部とを有し、前記摺動部は、前記移動部の移動に応じて前記収容部の天面を摺動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像剤を収容する現像剤収容器、及びこの様な現像剤収容器を有する複写機やプリンタ等の画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真カラー記録装置のような画像記録装置には、媒体搬送方向に沿って現像剤であるトナーの各色に応じた画像形成部を配列したものがある。各画像形成部には感光体等が設けてあり、画像情報に基づき感光体表面に形成した静電潜像を顕像化する。
【0003】
現像剤を収納する現像剤収容器と画像形成ユニットからなる画像形成部では、感光体ドラム表面に圧接する現像ローラを挟んで感光体ドラムと対向する位置に現像剤供給ローラが設けられ、画像形成ユニットに着脱可能な現像剤収容器から開口部を介して現像剤を画像形成ユニットに供給している。
【0004】
ここで、現像剤収容器には、略直立して形成される現像剤収容器内壁の上側に、揺動部材の一端部側を固定し、揺動部材の他端部の爪部を攪拌シャフトの回転範囲に突出させるようにして、揺動部材が設けられている。この攪拌部材が回転し、揺動部材の他端部と接触することで揺動部材を振動させ、トナー容器内壁にトナーが付着することを防止していた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−072657号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述の構成では、揺動部材は現像剤収容器内壁の片側の一部分のみで振動し、現像剤収容器の上部固定部分では振動が少なく、また、現像剤収容器内壁の天面部では振動しないことから、現像剤収容器内壁の大部分には現像剤が付着したまま残留してしまうため、現像剤を十分に使い切ることができない問題があった。
【0007】
そこで、本発明は前述の技術的な課題に鑑み、現像剤収容器内壁の一端部のみならず、現像剤収容器の天面に残留した現像剤をほぼ全て使い切ることができる現像剤収容器及び画像記録装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述の課題を解決すべく、本発明に係る現像剤収容器は、現像剤を収容する収容部と、前記収容部の内部に回転可能に設けられた攪拌部材と、一端に回転する前記攪拌部材に接触して移動される移動部と、他端に該移動部の移動に応じて前記収容部の内壁を摺動する摺動部とを備え、前記攪拌部材の回転に応じて揺動される揺動部材と、前記揺動部材を前記収容部に支持する支持部とを有し、前記摺動部は、前記移動部の移動に応じて前記収容部の天面を摺動することを特徴とする。
【0009】
また、前述の課題を解決すべく、本発明に係る画像記録装置は、現像剤を収容する収容部と、前記収容部の内部に回転可能に設けられた攪拌部材と、一端に回転する前記攪拌部材に接触して移動される移動部と、他端に該移動部の移動に応じて前記収容部の内壁を摺動する摺動部とを備え、前記攪拌部材の回転に応じて揺動される揺動部材と、前記揺動部材を前記収容部に支持する支持部とを有し、前記移動部の移動に応じて前記摺動部が前記収容部の天面を摺動する現像剤収容器と、前記現像剤収容器から供給された現像剤を用いて画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする。
【0010】
このような構成の現像剤収容器によれば、現像剤収容器内部の現像剤が少なくなってきた時に、攪拌部材の回転動作により揺動部材を回動させることで、揺動部材で現像剤収容器内壁の天面を振動させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る現像剤収容器によれば、現像剤の残量が少なくなってきた時に、攪拌部材の回転動作により揺動部材を回動させて、揺動部材で現像剤収容器内壁の天面を振動させることによって、現像剤収容器内壁の天面に付着した現像材を満遍なく払い落とすことができる。従って、現像剤収容器内の現像剤をほぼ全て使い切ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態の画像記録装置を示す構成図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の画像形成部を示す構成図である。
【図3】本発明の第1の実施形態の画像形成部における画像形成ユニットを示す斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジを示す斜視図である。
【図5】本発明の第1の実施形態の画像形成部における画像形成ユニットにトナーカートリッジを装着した状態を示す斜視図である。
【図6】本発明の第1の実施形態の画像形成部における画像形成ユニットにトナーカートリッジを装着した状態を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーが多いときのトナーカートリッジを示す短手方向断面図である。
【図8】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーが少ないときのトナーカートリッジを示す短手方向断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーが少ないときのトナーカートリッジを示す短手方向断面図である。
【図10】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーが少ないときのトナーカートリッジを示す短手方向断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジを示す長手方向要部断面図である。
【図12】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の揺動部材を示す要部断面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の揺動部材を示す要部側断面図である。
【図14】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の矩形形状に係るトナー付着防止フィルムの一例を示す平面図である。
【図15】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の短冊形状に係るトナー付着防止フィルムの一例を示す平面図である。
【図16】本発明の第1の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の短冊形状に係るトナー付着防止フィルムの製造方法に関する一例を示す平面図である。
【図17】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーが多いときのトナーカートリッジを示す短手方向断面図である。
【図18】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーが少ないときのトナーカートリッジを示す短手方向断面図である。
【図19】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーが少ないときのトナーカートリッジを示す短手方向断面図である。
【図20】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーが少ないときのトナーカートリッジを示す短手方向断面図である。
【図21】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジを示す長手方向要部断面図である。
【図22】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の揺動部材の突起状基材部を示す要部断面図である。
【図23】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の矩形形状に係るトナー付着防止フィルムの一例を示す平面図である。
【図24】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の短冊形状に係るトナー付着防止フィルムの一例を示す平面図である。
【図25】本発明の第2の実施形態の画像形成部におけるトナーカートリッジ内部の短冊形状に係るト ナー付着防止フィルムの製造方法に関する一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の現像剤収容器に係る好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明の現像剤収容器は、以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、適宜変更可能である。
【0014】
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る現像剤収容器は、トナーカートリッジ内部に回動可能に設けられたトナー付着防止フィルムの一端をトナーカートリッジ内壁の天面及び両側面部の一部に接触させた状態で、トナーカートリッジ内部に回動可能に設けられたトナー攪拌バーをトナー付着防止フィルムの他端に当接させることで、トナー付着防止フィルムがトナーカートリッジ内壁の天面及び両側面部を繰り返し払うように作用させることを特徴とする。
【0015】
まず、本実施形態の画像記録装置について説明する。図1に、画像記録装置1の構成図を示す。
【0016】
画像記録装置1は、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、及びブラック色の各色に対応する画像情報に基づいて記録媒体4に印刷する画像形成部2C、2M、2Y、及び2Kと、給紙カセット5を始点として画像情報を印刷した記録媒体4が排出されるスタッカ15を終点とする略S字状の用紙搬送経路3を備えている。
【0017】
画像記録装置1内の画像形成部2は、シアン色、マゼンタ色、イエロー色、及びブラック色の各色に対応する画像情報を現像する画像形成部2C、2M、2Y、及び2Kから成るが、互いに略同一の構成であるため、以下の説明においては画像形成部2と称す。なお、画像形成部2の詳細は後述する。
【0018】
画像記録装置1に備えている用紙搬送経路3は、記録媒体4を収納した給紙カセット5を始点としカセットホッピングローラ6、第1搬送ローラ7、第2搬送ローラ8、転写ベルト9、転写ローラ10、定着ローラ11、加圧ローラ12、第3搬送ローラ13、第4搬送ローラ14を経て、スタッカ15を終点とする経路から構成される。以下、用紙搬送経路3を構成する主な要素について、図1を参照しながら説明する。
【0019】
記録媒体4は、モノクロ又はカラーの画像情報を現像させるための所定寸法の記録用紙であり、一般的には、再生紙、光沢紙、及び上質紙のような紙、若しくはOHPフィルムからなる。
【0020】
給紙カセット5は、複数枚の記録媒体4を収納しておき、印刷動作が開始されると記録媒体4を画像記録装置1内に供給するためのものである。なお、給紙カセット5は、画像記録装置1から脱着可能なように構成されている。
【0021】
転写ベルト9は、記録媒体4を画像形成部2内に搬送して画像情報を現像するための搬送手段であり、転写ベルト9の周面上に現像剤であるトナー24による画像を保持するとともに、記録媒体4を吸着できるようにした無端状のベルトである。
【0022】
転写ローラ10は、後述する感光体ドラムの下方に位置し、転写ローラ10と感光体ドラムで記録媒体4と挟むように当接した状態で回転可能に設けられている。転写ローラ10には、感光体ドラムに供給される電圧と逆のバイアス電圧が供給されていて、感光体ドラムの表面に形成されたトナー24による画像を記録媒体4に転写することができる。
【0023】
定着ローラ11は、内部にハロゲンランプ等の熱源が配設され、トナー24を記録媒体4に熱圧着させるためのものである。
【0024】
加圧ローラ12は、定着ローラ11の下方に設けられ、定着ローラ11と加圧ローラ12でトナー24の付着した記録媒体4を挟み込み、トナー24を記録媒体4に定着させて搬送するためのものである。
【0025】
スタッカ15は、画像情報を現像され排出された記録媒体4を積載する積載スペースである。
【0026】
次に、本実施形態の画像記録装置1内の画像形成部2について説明する。図2に、画像形成部2の構成図を示す。画像形成部2は、トナーカートリッジ25と後述する画像形成ユニット31から構成される。以下、画像形成部2を構成する各要素について詳細に説明する。
【0027】
画像形成部2は、画像情報に基づく静電潜像を担持する感光体ドラム21と、感光体ドラム21の表面に電荷を蓄えさせる帯電ローラ22と、画像情報に対応した光を感光体ドラム21の表面に照射する露光源23と、現像剤であるトナー24と、トナー24を収容するトナーカートリッジ25と、トナー24を供給するためのトナー供給ローラ26と、静電潜像をトナー24によって現像するための現像ローラ27と、トナー24の厚みが均一となるように規制する現像ブレード28と、感光体ドラム21の清掃を行うためのクリーニングブレード29とを有する。
【0028】
感光体ドラム21は、画像情報に基づく静電潜像を担持するために表面に電荷を蓄えることが可能なように構成されている。なお、感光体ドラム21は、円筒形状から形成されており回転可能なように設けられている。この様な感光体ドラム21は、アルミニウム等からなる導電性基層を形成し、さらにその表面に有機感光体からなる感光層を形成して構成されている。
【0029】
帯電ローラ22は、図示せぬ電源を用いて感光体ドラム21の表面に所定の正電圧又は負電圧を印加することにより、感光体ドラム21の表面に電荷を蓄えさせるためのものである。帯電ローラ22は、一定の圧力で感光体ドラム21の表面に接触しながら回転可能なように設けられている。この様な帯電ローラ22は、導電性の金属シャフトにシリコーン等の半導電性ゴムを被覆することで構成されている。
【0030】
露光源23は、画像情報に対応した光を感光体ドラム21の表面に照射して感光ドラム21の表面に静電潜像を形成することが可能なように構成されており、感光体ドラム21の上方に設けられている。この様な露光源23は、複数の発光ダイオードを所定の形状に組み合わせたもの、若しくは、レーザ等から構成されている。
【0031】
トナー24は、現像剤であり、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像に付着させることで画像情報を可視化することができる。
【0032】
トナーカートリッジ25は、トナー24を収容する現像剤収容器であり、トナー供給ローラ26の上方に配置されている。トナーカートリッジ25は、トナー24が消耗した時に交換できるように、後述する画像形成ユニット31に対して着脱自在に構成されている。
【0033】
トナー供給ローラ26は、回転しながら現像ローラ27に当接することで、現像ローラ27にトナー24を供給できるように設けられている。この様なトナー供給ローラ26は、例えば導電性を有する金属シャフトに発泡剤が添加されたゴムを被覆することで構成されている。
【0034】
現像ローラ27は、一定の圧力で感光体ドラム21の表面に接触しながら回転可能なように構成されている。現像ローラ27は、回転しながらトナー24を感光体ドラム21に搬送し、感光体ドラム21の表面に形成された静電潜像をトナー24によって現像する。
【0035】
現像ブレード28は、その一端が現像ローラ27の表面に圧接されていて、トナー供給ローラ26から現像ローラ27の表面に供給された一定量を超えたトナー24を掻き取ることで、現像ローラ27の表面に形成されるトナー24の厚みを常に均一となるように規制する。この様な現像ブレード28は、例えばステンレス製の板状弾性部材で形成されている。
【0036】
クリーニングブレード29は、感光体ドラム21上に形成されたトナー画像を記録媒体4に転写した後に、感光体ドラム21に残留したトナー24を払い落とすように構成されている。この様なクリーニングブレード29は、帯電ローラ22よりも感光体ドラム21の回転方向における上流側に備えられ、感光体ドラム21表面に対して一定圧力を付加した状態で当接されている。
【0037】
次に、本実施形態の画像記録装置1に備えられた画像形成部2を構成する画像形成ユニット31について詳細に説明する。図3に画像形成ユニット31の斜視図を、図5に画像形成ユニット31にトナーカートリッジ25を装着した状態の斜視図を、図6に画像形成ユニット31にトナーカートリッジ25を装着した状態の断面図を示す。
【0038】
画像形成ユニット31は、感光体ドラム21等を収納する本体ケース32と、トナーカートリッジ25からトナー24を供給されるトナー開口部33と、クリーニングブレード29で掻き落とした廃棄トナーを搬送する廃棄トナー搬送装置34と、搬送された廃棄トナーを排出する廃棄トナー排出口35と、廃棄トナー排出口35を開閉するための廃棄トナー排出口蓋36とを備えている。以下、画像形成ユニット31を構成する各要素について説明する。
【0039】
本体ケース32内部には、図2に示した画像形成部2の構成要素の内、感光体ドラム21、帯電ローラ22、トナー供給ローラ26、現像ローラ27、現像ブレード28、及びクリーニングブレード29が備えられている。
【0040】
トナー開口部33は、本体ケース31上面部に沿って長方形状に形成され、トナーカートリッジ25に設けられた後述するトナー供給口42と重なるように形成されている。トナー開口部33は、トナーカートリッジ25から供給されたトナー24を画像形成ユニット31内部に取り込む為の開口部である。
【0041】
廃棄トナー搬送装置34は、クリーニングブレード29によって感光体ドラム21から掻き落とした廃棄トナーを、図示せぬ廃棄トナー搬送装置34内部に設けられた搬送ベルとを用いて、廃棄トナー排出口35まで搬送する為の装置である。
【0042】
廃棄トナー排出口35は、廃棄トナーを後述するトナーカートリッジ25内部の廃棄トナー収容室44に排出させるためのものであり、円筒形状部から形成され、廃棄トナー搬送装置34の側面部に設けられている。
【0043】
廃棄トナー排出口蓋36は、廃棄トナー排出口35の先端部に設けられ、画像形成ユニット31からトナーカートリッジ25を着脱した時に、廃棄トナー排出口35から廃棄トナーが漏れることを防ぐために設けられている。
【0044】
次に、本実施形態の画像記録装置1内に備えられた画像形成部2を構成するトナーカートリッジ25について詳細に説明する。図4にトナーカートリッジ25の斜視図を、図5に画像形成ユニット31にトナーカートリッジ25を装着した状態の斜視図を、図6に画像形成ユニット31にトナーカートリッジ25を装着した状態の断面図を示す。
【0045】
トナーカートリッジ25は、未使用のトナー24を収容するトナー収容室41と、トナー収容室41内部のトナー24を画像形成ユニット31に供給するトナー供給口42と、トナー収容室41内部のトナー24を画像形成ユニット31に供給するためのトナー開閉レバー43と、廃棄トナーを収容する廃棄トナー収容室44と、廃棄トナーを画像形成ユニット31の廃棄トナー排出口35から廃棄トナー収容室44に取り込むための廃棄トナー取込口45と、廃棄トナー収容室44内部で廃棄トナーを搬送する廃棄トナー搬送スパイラル46と、トナー収容室41と廃棄トナー収容室44の側面部を遮蔽するためのトナー及び廃棄トナー収容室側面蓋47とを備えている。以下、トナーカートリッジ25を構成する各要素について説明する。
【0046】
トナー収容室41は、側面部が略長方形で記録媒体4の搬送方向と垂直方向に長い矩形状部の下部に側面部が略円形で記録媒体4の搬送方向と垂直方向に長い円筒形状部を接合するように形成されている。なお、接合部は開口しているため、矩形状部と円筒形状部は一室から形成されており、トナー24を収容する。ここで、側面部が略長方形で記録媒体4の搬送方向と垂直方向に長い矩形状部の内部には、後述する支持部となる揺動基材62及びトナー24を払い落とすトナー付着防止フィルム63から構成される揺動部材61が備えられている。また、側面部が略円形で記録媒体4の搬送方向と垂直方向に長い円筒形状部の内部には、後述するトナー攪拌バー51が備えられている。同様に、側面部が略円形で記録媒体4の搬送方向と垂直方向に長い円筒形状部の片端には、トナー開閉レバー43が設けられている。
【0047】
トナー供給口42は、トナー収容室41の下部に沿って略長方形状に設けられ、トナーカートリッジ25を画像形成ユニット31へ装着した時に、トナー開口部33と重なるように形成されている。トナーカートリッジ25内のトナー24は、トナー供給口42を経由して、画像形成ユニット31に設けられたトナー開口部33に供給される。
【0048】
トナー開閉レバー43は、硬質材料からなる弓状の略長方形状を有するレバーであり、所定の方向に回動させることで、トナーカートリッジ25から画像形成ユニット31にトナー24を供給するためのものである。トナーカートリッジ25に備えられたトナー開閉レバー43を所定の方向に回動させると、トナーカートリッジ25のトナー供給口42と画像形成ユニット31のトナー開口部33が重なる。この状態で、トナーカートリッジ25内部の配置された後述するトナー攪拌バー51を図示せぬ駆動系で回転させると、トナーカートリッジ25に収容したトナー24が、トナー供給ローラ26を経て画像形成ユニット31のトナー開口部33に供給される。
【0049】
廃棄トナー収容室44は、側面部が略長方形で記録媒体4の搬送方向と垂直方向に長い矩形状部から形成されている。なお、廃棄トナー収容室44は、トナー収容室41のうち側面部が略長方形で記録媒体4の搬送方向と垂直方向に長い矩形状部と並列する様に設けられている。
【0050】
廃棄トナー取込口45は、画像形成ユニット31の廃棄トナー排出口35から排出された廃棄トナーを廃棄トナー収容室44に取り込むためのものであり、トナー及び廃棄トナー収容室側面蓋47の廃棄トナー収容室44に接触する外壁面に形成されている。また、廃棄トナー取込口45の内径は廃棄トナー排出口35の外径と略同一であり、トナーカートリッジ25を画像形成ユニット31に取り付けたときに、廃棄トナー排出口35が廃棄トナー取込口45に挿入されるように形成されている。
【0051】
廃棄トナー搬送スパイラル46は、廃棄トナー収容室44内部に設けられた部材であり、廃棄トナー取込口45から廃棄トナー収容室44に排出された廃棄トナーを、廃棄トナー収容室44の奧に搬送するためのものである。この様な廃棄トナー搬送スパイラル46によって、廃棄トナーが廃棄トナー収容室44の廃棄トナー取込口45近傍に固着して詰まることを防ぐ。
【0052】
トナー及び廃棄トナー収容室側面蓋47は、トナー収容室41及び廃棄トナー収容室44の片側を遮蔽するための蓋であり、トナー収容室41内部の未使用のトナー24及び廃棄トナー収容室44内部の廃棄トナーが漏れることを防止する部材である。
【0053】
次に、画像形成ユニット31にトナーカートリッジ25を着脱する構造について説明する。図3に画像形成ユニット31の斜視図を、図4にトナーカートリッジ25の斜視図を、図5に画像形成ユニット31にトナーカートリッジ25を装着した状態の斜視図を示す。
【0054】
トナーカートリッジ25の取り付けは、トナーカートリッジ25を所定の角度に傾けながら、トナーカートリッジ25に設けた廃棄トナー取込口45に、画像形成ユニット31に設けた廃棄トナー排出口35を挿通させた後、トナーカートリッジ25を平行状態にしながら画像形成ユニット31に装着することで行う。
【0055】
トナーカートリッジ25の取り外しは、トナーカートリッジ25を再度所定の角度に傾けながら、トナーカートリッジ25に設けた廃棄トナー取込口45から画像形成ユニット31に設けた廃棄トナー排出口35を引き抜くことで行う。
【0056】
以下、本発明の第1の実施形態に係るトナーカートリッジ25内において未使用のトナー24を収容するトナー収容室41内壁の天面及び両側面に付着したトナー24を払い落とすために設けられた攪拌部材及び揺動部材に係る構造について、図7及至図16を参照しながら説明する。
【0057】
図7にトナー24が多い場合のトナーカートリッジ25の短手方向断面図を、図8にトナー24が少ない場合のトナーカートリッジ25の短手方向断面図を、図11にトナーカートリッジの長手方向要部断面図を、図12に揺動部材の回動部の要部断面図を、図13に揺動部材の回動部の要部側断面図を示す。
【0058】
トナー収容室41は、図7に示すように、トナー収容室41内のトナー24が沈殿及び固着しないように攪拌させるためのトナー攪拌バー51と、トナー収容室41内壁の天面及び両側面に付着したトナー24を払い落とすための揺動部材61とを備えている。
【0059】
トナー攪拌バー51は、トナー収容室41の内部に回転可能に設けられた攪拌部材であり、トナー24を攪拌するためのものである。トナー攪拌バー51は、硬質材料から成り、例えば、側面部が略長方形の板状部から形成されている。なお、トナー攪拌バー51の板状部の両端にはトナー収容室41の両壁に対面するように設けられた凹部に挿入する円柱部を有する。なお、当該円柱部はトナー攪拌バー51の回転軸51Aである。トナー攪拌バー51は、トナー収容室41内のトナー24が沈殿及び固着しないように、トナー攪拌バー回転軸51Aを中心として図示せぬ駆動系により常に回転させる。なお、後述するように、トナー攪拌バー51は回転しながら揺動部材に当接することで揺動部材を回動させる作用も備えている。
【0060】
揺動部材61は、揺動基材62及びトナー付着防止フィルム63から構成されている。揺動部材61の片端には、揺動部材61を回動運動させるためのねじりスプリング64が係合されている。以下、これらの構成要素について具体的に説明する。
【0061】
揺動基材62は、トナー付着防止フィルム63を係合して回動させるためのものである。図12に揺動基材62を含む揺動部材の要部断面図を、図13に揺動基材62を含む揺動部位の要部側断面図を示す。揺動基材62は、硬質材料から成る板状部62Aによりトナー付着防止フィルム63を係合する。また、揺動基材62は、トナー付着防止フィルム63に形成された複数の装着口63Cに嵌合させる複数の突起形状部を有する。更に、揺動部材62の板状部62Aの両端には円柱部62Bが備えられ、トナー収容室41の両壁に対面するように設けられた凹部に挿入する。
【0062】
トナー付着防止フィルム63は、トナー収容室41内壁の天面及び両側面に付着したトナー24を満遍なく払い落とすためのものである。図14に、トナー付着防止フィルム63の一例に係る平面図を示す。トナー付着防止フィルム63の材質は、例えば、弾性変形する柔軟かつ耐久性を有するプラスチック素材を用いることができる。トナー付着防止フィルム63の形状は矩形形状であり、トナー付着防止フィルム63の移動部としてのトナー付着防止フィルム端63Aはトナー攪拌バー51と当接する部位であり、トナー付着防止フィルム63の摺動部としてのトナー付着防止フィルム端63Bはトナーカートリッジ25内部の天面及び両側面のいずれかに接触する部位である。なお、トナー付着防止フィルム63は、揺動基材62に保持するための複数の装着口63Cを有する。
【0063】
ねじりスプリング64は、ねじりスプリング64の一端を揺動基材62の端部に引っ掛け、さらに、ねじりスプリング64の他端をトナー収容室41の壁面に設けられた凹部に引っ掛けるように係合されている。図12に揺動基材62を含む揺動部材の回動部の要部断面図を、図13に揺動基材62を含む揺動部材の回動部の要部側断面図を示す。後述するように、ねじりスプリング64の作用によって、トナー攪拌バー51を回転運動させた時に、揺動部材61に回動運動させることができる。
【0064】
以下、トナー収容室41におけるトナー攪拌バー51の回動運動と揺動部材61の回動運動の関連について説明する。
【0065】
トナー付着防止フィルム63の一端であるトナー付着防止フィルム端63Aは、トナー攪拌バー51の回転軌道内に突出しており、トナー攪拌バー51の回転によりトナー付着防止フィルム端63Aに接触する。
【0066】
また、トナー付着防止フィルム63の他端であるトナー付着防止フィルム端63Bはトナーカートリッジ25内部の天面及び両側面のいずれかの部位に常に接触している。
【0067】
ここで、トナー攪拌バー51が回転してトナー付着防止フィルム端63Aに接触すると、揺動基材62が連動して回動する。しかし、トナー攪拌バー51が更に回転してトナー付着防止フィルム端63Aから離れると、ねじりスプリング74の弾性作用により揺動基材62は反転して元に戻る。すなわち、トナー攪拌バー51の回転運動によって、揺動部材61に回動運動を行わせることができる。
【0068】
次に、未使用のトナー24を収容するトナー収容室41内部でのトナー払い落としに係る作用効果について詳細に説明する。なお、トナー収容室41内のトナー24が多い時には、トナー24が揺動部材61の回転に負荷を与えるためトナー払い落とし効果は無く、トナー24が少なくなってきた時のみにトナー払い落とし効果が有る。
【0069】
まず、トナー収容室41内のトナー24が多い場合について説明する。図7にトナー24が多い場合のトナーカートリッジ25の短手方向断面図を示す。
【0070】
トナー収容室41内のトナー24の量が多いときは、揺動部材61及びトナー攪拌バー51はトナー24から大きな負荷を受ける。このため、トナー攪拌バー51がトナー付着防止フィルム端63Aに接触するものの、揺動部材61がトナー攪拌バー51に連動して回動することはなく、トナー付着防止フィルム端63Aがたわんでトナー攪拌バー51から外れるだけである。この時、トナー付着防止フィルム端63Bはトナー収容室内壁左側面部48Aに当接したままである。
【0071】
従って、揺動部材61に保持されたトナー付着防止フィルム63は、殆ど振動しないため、トナー24が多い時にはトナー払い落とし動作は起きない。
【0072】
なお、トナー24が十分に有る場合には、トナー24を払い落とす動作が起きないため、揺動部材61及びトナーカートリッジ25の劣化を抑制し、画像記録装置1から発生する騒音を軽減できる。
【0073】
次に、トナー収容室41内のトナー24が少ない場合について説明する。図8、図9、及び図10に、トナー24が少ない場合のトナーカートリッジ25の短手方向断面図を示す。
【0074】
トナー24の量が少なくなると、揺動部材61及びトナー攪拌バー51はトナー24から小さな負荷しか受けない。このため、揺動部材61はトナー攪拌バー51に押されトナー収容室41の内壁を払うように繰り返し当接して振動することで、トナー収容室内壁に付着したトナー24を払い落とすことができる。
【0075】
上述したトナー24の払い落としに係る作用について、具体的に説明する。図8にはトナー攪拌バー51がトナー攪拌バー回転軸51Aを回転中心として反時計方向に回転することで、トナー付着防止フィルムのトナー付着防止フィルム端63Aに当接する直前の状態が示されている。この時、トナー付着防止フィルム端63Bはトナー収容室内壁における記録媒体4の搬送方向の上流側の側面である左側面部48Aに当接している。
【0076】
まず、図9に示すようにトナー攪拌バー51を反時計方向に回転させると、トナー攪拌バー51に押されることで揺動基材62を支点にトナー付着防止フィルム63が略直立する。この時、トナー付着防止フィルム端63Bはトナー収容室内壁左側面部48Aから離れてトナー収容室内壁天面部48Bに当接しながら払うことで、トナー収容室内壁天面部48Bに付着したトナー24を払い落とすことができる。
【0077】
次に、図10に示すようにトナー攪拌バー51をさらに反時計方向に回転させると、トナー攪拌バー51に押されることで揺動基材62を支点にしてトナー付着防止フィルム端63Bがトナー収容室内壁における記録媒体4の搬送方向の下流側の側面である右側面部48Cに当接する。以降、トナー収容室内の左もしくは右の方向の記載は、記録媒体4の搬送方向の下流方向と上流方向に対応する。この時、トナー付着防止フィルム端63Bはトナー収容室内壁天面部48Bから離れてトナー収容室内壁右側面部48Cに当接しながら払うことで、トナー収容室内壁天面部48B及びトナー収容室内壁右側面部48Cに付着したトナー24を払い落とすことができる。
【0078】
更に、トナー攪拌バー51をさらに反時計方向に回転させるとトナー攪拌バー51からトナー付着防止フィルム端63Aが外れる。この時、揺動基材62を支点にしてトナー付着防止フィルム端63Bがトナー収容室内壁天面部48Bを経てトナー収容室内壁左側面部48Aに当接しながら払うことで、トナー収容室内壁天面部48B及びトナー収容室内壁左側面部48Aに付着したトナー24を払い落とすことができる
【0079】
本動作は、トナーカートリッジ25内のトナー24をほぼ全て使い切るまで繰り返される。従って、揺動部材61に保持されたトナー付着防止フィルム63により、トナー収容室41内壁の天面及び両側面に付着したトナー24を満遍なく払い落とすことができるため、トナー24をほぼ全て使い切ることができる。
【0080】
なお、トナー付着防止フィルム63の変形例について説明する。図15に、短冊形状のトナー付着防止フィルムの一例に係る平面図を示す。トナーカートリッジ25内部の天面及び両側面のいずれかに接触するトナー付着防止フィルム端63Bの形状を、短冊形状とすることを特徴とする。具体的には、トナー付着防止フィルム端63Bを相似形の凹凸形状としている。凹凸の間隔は5mmから10mmが好ましいが、それに限定するものではない。トナー付着防止フィルム63の材質は、矩形状の場合と同様である。この様な短冊形状を採用することで、トナー付着防止フィルム63がより柔軟に振動し易くなるため、効率的にトナー24を払い落とすことができる。
【0081】
また、図16に短冊形状の場合におけるトナー付着防止フィルム63の製造方法の一例に係る平面図を示す。2枚の凹凸部を若干の隙間を保持し向き合って裁断する構造としている。このため、より少ない材料で、効率よくトナー付着防止フィルム63を製造することができる。
【0082】
なお、本発明ではトナー攪拌バー51と揺動部材61をそれぞれトナー収容室41内部に回動可能なように設けたことから、トナー攪拌バー51と揺動部材61のサイズを適宜設定することで、トナーカートリッジ25の大きさによらず本発明を適用できる。
【0083】
以上、第1の実施形態によれば、トナー24の量が少なくなると、揺動部材61に保持されたトナー付着防止フィルム63のトナー付着防止フィルム端63Bがトナーカートリッジ25の天面及び両側面を繰り返し払うことで、トナーカートリッジ25の天面及び両側面に付着したトナー24を満遍なく払い落とすことができるため、トナーカートリッジ25内のトナー24をほぼ全て使い切ることができる。
【0084】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る現像剤収容器は、トナーカートリッジの内壁に対して多少の空間的な自由度を持たせて配置したトナー付着防止フィルムを、トナーカートリッジ内のトナー攪拌バー51を用いて当接することで、トナー付着防止フィルムがトナーカートリッジ内壁の天面及び両側面部を繰り返し払うように作用させることを特徴とする。
【0085】
すなわち、第1の実施形態に係る現像剤収容器では、1つのトナー付着防止フィルムを現像剤収容器内部に回動可能に設けた上で、現像剤収容器の天面部及び両側面部を繰り返し払うように作用させることを特徴とするのに対して、第2の実施形態に係る現像剤収容器では、2つのトナー付着防止フィルムを現像剤収容器の右側面部と左側面部に多少の空間的な自由度を持たせて設けた上で、右側面部に備えたトナー付着防止フィルムは現像剤収容器の天面部右半分及び右側面部、左側面部に備えたトナー付着防止フィルムは現像剤収容器の天面部左半分及び左側面部に繰り返し払うように作用させることを特徴とする。
【0086】
以下、本発明の第2の実施形態に係るトナーカートリッジ25内において未使用のトナー24を収容するトナー収容室41内壁の天面及び両側面に付着したトナー24を払い落とすために設けられた攪拌部材及び揺動部材に係る構造について、図面を参照しながら説明する。但し、第1の実施形態と重複する部材等については、当該部材等を示した上で説明を省く。
【0087】
図1に示した画像記録装置1、図2に示した画像形成部2、図3に示した画像形成ユニット31は、第1の実施形態と重複するため説明を省く。しかし、図4に示したトナーカートリッジ25内のトナー収容室41に係る内部構造は、第1の実施形態と異なるため、以下に具体的に説明する。
【0088】
まず、トナー収容室41内部でのトナー24の払い落としに係る構造について、具体的に説明する。図17にトナー24が多い場合のトナーカートリッジ25の短手方向断面図を、図18にトナー24が少ない場合のトナーカートリッジ25の短手方向断面図を、図21にトナーカートリッジの長手方向要部断面図を、図22に揺動部材の突起状基材部の要部断面図を示す。
【0089】
トナー収容室41は、図17に示すように、トナー収容室41内のトナー24が沈殿及び固着しないように常に攪拌させるためのトナー攪拌バー51と、トナー収容室41内壁の天面及び両側面に付着したトナー24を満遍なく払い落とすための揺動部材71及び揺動部材73とを備えている。
【0090】
トナー攪拌バー51は、トナー収容室41内のトナー24が沈殿及び固着しないように、トナー攪拌バー51の回転軸であるトナー攪拌バー回転軸51Aを回転中心として、図示せぬ駆動系により回転する。
【0091】
揺動部材71は、突起状基材75及びトナー付着防止フィルム72から構成されている。同様に、揺動部材73は、突起状基材75及びトナー付着防止フィルム74から構成されている。以下、これら構成要素について、図を参照しながら説明する。
【0092】
トナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74は、トナー収容室41内壁の天面及び両側面に付着したトナー24を満遍なく払い落とすためのものである。図23に、トナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74の一例に係る平面図を示す。トナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74は、突起状基材75に固定するための複数の装着口72C及び装着口74Cを有する。なお、トナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74の材質は、第1の実施形態に係るトナー付着防止フィルム63の材質と同様である。
【0093】
突起状基材75は、トナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74を、トナー収容室41に対して揺動可能で一定の隙間を有するように設けるための固定部材である。図22に揺動部材の突起状基材部の要部断面図を示す。突起状基材75の構造は、硬質材料からなる長方形状の矩形部であり、図23に示すトナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74に空けられた複数の装着口72C及び装着口74Cと嵌合させるために、凹部を有する。突起状基材75をトナー収容室41の内壁に固定した状態で、トナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74を取り付ける。なお、本願では、突起状基材75をトナー収容室41に取り付ける構成としたが、突起状基材75をトナー収容室41内にトナー収容室41と一体で成形しても良い。
【0094】
以下、トナー収容室41におけるトナー攪拌バー51の回動運動と揺動部材61の回動運動の関連について説明する。
【0095】
トナー付着防止フィルム72の一端であるトナー付着防止フィルム端72A及びトナー付着防止フィルム74の一端であるトナー付着防止フィルム端74Aは、トナー攪拌バー51の回転軌道内に突出しており、トナー攪拌バー51の回転によりトナー付着防止フィルム端72A及びトナー付着防止フィルム端74Aに接触する。
【0096】
また、トナー付着防止フィルム72の他端であるトナー付着防止フィルム端72B及びトナー付着防止フィルム74の他端であるトナー付着防止フィルム端74Bは、トナーカートリッジ25内部の天面及び両側面のいずれかの部位に接触している。
【0097】
ここで、トナー攪拌バー51が回転してトナー付着防止フィルム端72A及びトナー付着防止フィルム端74Aに接触すると、揺動部材71及び揺動部材73が連動して振動する。しかし、トナー攪拌バー51が更に回転してトナー付着防止フィルム端72A及びトナー付着防止フィルム端74Aから離れると、揺動部材71及び揺動部材73は、各トナー付着防止フィルムの復元力により、元の位置に戻る。すなわち、トナー攪拌バー51の回転運動によって、揺動部材71及び揺動部材73に連続的に振動を与えることができる。
【0098】
次に、未使用のトナー24を収容するトナー収容室41内部でのトナー払い落としに係る作用効果について以下に詳細説明する。なお、トナー収容室41内のトナー24が多い時には、トナー24が揺動部材71及び揺動部材72の振動伝達を防ぐためトナー払い落とし効果は無く、トナー24が少なくなってきた時のみにトナー払い落とし効果が有る。
【0099】
まず、トナー収容室41内のトナーが多い場合について説明する。図17にトナー24が多い場合のトナーカートリッジ25の短手方向断面図を示す。
【0100】
トナー収容室41内のトナー24の量が多いときは、揺動部材71、揺動部材73、及びトナー攪拌バー51はトナー24から大きな負荷を受ける。このため、トナー攪拌バー51がトナー付着防止フィルム端72A及びトナー付着防止フィルム端74Aに接触するものの、揺動部材71及び揺動部材73がトナー攪拌バー51に連動して回動することはなく、そのため各トナー付着防止フィルム上を振動が十分に伝達されず、トナー付着防止フィルム端72A及びトナー付着防止フィルム端74Aがたわんでトナー攪拌バー51から外れるだけである
【0101】
従って、揺動部材71に保持されたトナー付着防止フィルム端72B及び揺動部材73に保持されたトナー付着防止フィルム端74は殆ど振動しないため、トナー24が多い時にはトナー払い落とし動作は起きない。
【0102】
なお、トナー24が十分に有る場合には、トナー24を払い落とす動作が起きないため、揺動部材71、揺動部材73、及びトナーカートリッジ25の劣化を抑制し、画像記録装置1から発生する騒音を軽減できる。
【0103】
次に、トナー収容室41内のトナー24が少ない場合について説明する。図18、図19、及び図20に、トナー24が少ない場合のトナーカートリッジ25の短手方向断面図を示す。
【0104】
トナー24の量が少なくなると、揺動部材71、揺動部材73、及びトナー攪拌バー51はトナー24から小さな負荷しか受けない。このため、揺動部材71及び揺動部材73はトナー攪拌バー51に押されてトナー収容室41の内壁を払うように繰り返し当接することで、トナー収容室内壁に付着したトナー24を払い落とすことができる。
【0105】
上述したトナー24の払い落としに係る作用について、揺動部材71と揺動部材73とを個別に具体的に説明する。まず、揺動部材71に係る作用効果について説明する。
【0106】
図18にはトナー攪拌バー51がトナー攪拌バー回転軸51Aを回転中心として反時計方向に回転することでトナー付着防止フィルム72のトナー付着防止フィルム端72Aに当接した状態が示されている。この時、トナー付着防止フィルム端72Bはトナー収容室内壁右面部48Cに当接している。
【0107】
まず、図19に示す様にトナー攪拌バー51を反時計方向に回転させるとトナー攪拌バー51に押されて突起状基材75を支点にトナー付着防止フィルム端72Aがたわむ。更に、図20中に示す様にトナー攪拌バー51を反時計方向にさらに回転させるとトナー攪拌バー51からトナー付着防止フィルム端72Aが外れる。
【0108】
この時、突起状基材75を支点として保持されたトナー付着防止フィルム72のトナー付着防止フィルム端72Bはトナー収容室内壁天面部48Bの右半分とトナー収容室内壁右側面部48Cに当接しながら振動することで、トナー収容室内壁天面部48Bの右半分とトナー収容室内壁右側面部48Cに付着したトナー24を払い落とすことができる。
【0109】
次に、揺動部材73に係る作用効果について説明する。図20にはトナー攪拌バー51がトナー攪拌バー回転軸51Aを基準として反時計方向に回転することで、トナー付着防止フィルム74のトナー付着防止フィルム端74Aに当接した状態が示されている。ここで、トナー攪拌バー51を反時計方向にさらに回転させるとトナー攪拌バー51に押されて突起状基材75を支点にトナー付着防止フィルム端74Aがたわみ、更にトナー攪拌バー51を反時計方向に回転させるとトナー攪拌バー51からトナー付着防止フィルム端74Aが外れる。
【0110】
この時、突起状基材75を支点として保持されたトナー付着防止フィルム74のトナー付着防止フィルム端74Bはトナー収容室内壁天面部48Bの左半分とトナー収容室内壁左側面部48Aに当接しながら振動することで、トナー収容室内壁天面部48Bの左半分とトナー収容室内壁左側面部48Aに付着したトナー24を払い落とすことができる。
【0111】
揺動部材71及び揺動部材73に係る本動作は、トナーカートリッジ25内のトナー24を全て使い切ったと画像形成装置1が判断するまで繰り返される。従って、揺動部材71及び揺動部材73に保持されたトナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74により、トナー収容室41内壁の天面及び両側面に付着したトナー24を満遍なく払い落とすことができるため、トナー24を全て使い切ることができる。
【0112】
なお、図24にトナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74の変形例として、短冊形状のトナー付着防止フィルムの一例の平面図を示す。なお、構造や材質及び効果等は、図15に示す第1の実施形態と同様である。
【0113】
また、図25に短冊形状の場合におけるトナー付着防止フィルム72及びトナー付着防止フィルム74の製造方法の一例に係る平面図を示す。2枚の凹凸部を若干の隙間を保持し向き合って裁断する構造としている。このため、より少ない材料で、効率よくトナー付着防止フィルム63を製造することができる。
【0114】
なお、本発明では揺動部材71、揺動部材73、及びトナー攪拌バー51を、それぞれトナー収容室41内部に回動可能なように設けたことから、トナー攪拌バー51と揺動部材71及び揺動部材73のサイズを適宜設定することで、トナーカートリッジ25の大きさによらず本発明を適用できる。
【0115】
以上、第2の実施形態によれば、トナー24の量が少なくなると、揺動部材71及び揺動部材73に保持されたトナー付着防止フィルム端72B及びトナー付着防止フィルム端74Bがトナーカートリッジ25の天面及び両側面を繰り返し払うことで、トナーカートリッジ25の天面及び両側面に付着したトナー24を満遍なく払い落とすことができるため、トナーカートリッジ25内のトナー24をほぼ全て使い切ることができる。
【0116】
トナーカットリッジ25の天面及び両側面に付着したトナー24を払うために、第1の実施形態に係るトナーカートリッジ25では1つのトナー付着防止フィルムを用いているのに対して、第2の実施形態に係るトナーカートリッジ25では2つのトナー付着防止フィルムを用いている。このため、第2の実施形態に係るトナー付着防止フィルムの方が個々のトナー防止フィルムの回動範囲を小さくすることができ、トナー付着防止フィルムの劣化を抑制することが可能である。また、トナー付着防止フィルムの1つが故障した場合でも、トナー24の払い落とし効果は維持される。
【0117】
なお、本実施形態で述べた個々のトナー付着防止フィルムを、複数枚に分割して並列するように設けた上で、トナー攪拌バー51を当接させる構造としても良い。
【0118】
上述の本実施形態においては、画像記録装置を印刷装置として説明したが、本発明の画像記録装置を複写機、ファクシミリ装置、MFP装置などに設けても良い。
【符号の説明】
【0119】
1 画像記録装置
2 画像形成部
3 用紙搬送経路
4 記録媒体
5 給紙カセット
6 カセットホッピングローラ
7 第1搬送ローラ
8 第2搬送ローラ
9 転写ベルト
10 転写ローラ
11 定着ローラ
12 加圧ローラ
13 第3搬送ローラ
14 第4搬送ローラ
15 スタッカ
21 感光体ドラム
22 帯電ローラ
23 露光源
24 トナー
25 トナーカートリッジ
26 トナー供給ローラ
27 現像ローラ
28 現像ブレード
29 クリーニングブレード
31 画像形成ユニット
32 本体ケース
33 トナー開口部
34 廃棄トナー搬送装置
35 廃棄トナー排出口
36 廃棄トナー排出口蓋
41 トナー収容室
42 トナー供給口
43 トナー開閉レバー
44 廃棄トナー収容室
45 廃棄トナー取込口
46 廃棄トナー搬送スパイラル
47 トナー及び廃棄トナー収容室側面蓋
48A トナー収容室内壁左側面部
48B トナー収容室内壁天面部
48C トナー収容室内壁右側面部
51 トナー攪拌バー
51A トナー攪拌バー回転軸
61 揺動部材
62 揺動基材
62A 板状部
62B 円柱部
63 トナー付着防止フィルム
63A トナー付着防止フィルム端
63B トナー付着防止フィルム端
63C 装着口
64 ねじりスプリング
71 揺動部材
72 トナー付着防止フィルム
72A トナー付着防止フィルム端
72B トナー付着防止フィルム端
72C 装着口
73 揺動部材
74 トナー付着防止フィルム
74A トナー付着防止フィルム端
74B トナー付着防止フィルム端
74C 装着口
75 突起状基材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する収容部と、
前記収容部の内部に回転可能に設けられた攪拌部材と、
一端に回転する前記攪拌部材に接触して移動される移動部と、他端に該移動部の移動に応じて前記収容部の内壁を摺動する摺動部とを備え、前記攪拌部材の回転に応じて揺動される揺動部材と、
前記揺動部材を前記収容部に支持する支持部とを有し、
前記摺動部は、前記移動部の移動に応じて前記収容部の天面を摺動することを特徴とする現像剤収容器。
【請求項2】
前記摺動部は、矩形形状であることを特徴とする請求項1記載の現像剤収容器。
【請求項3】
前記摺動部は、前記天面に沿って延在することを特徴とする請求項1記載の現像剤収容器。
【請求項4】
前記揺動部材は、前記収容部の内部に複数設けられることを特徴とする請求項1記載の現像剤収容器。
【請求項5】
現像剤を収容する収容部と、
前記収容部の内部に回転可能に設けられた攪拌部材と、
一端に回転する前記攪拌部材に接触して移動される移動部と、他端に該移動部の移動に応じて前記収容部の内壁を摺動する摺動部とを備え、前記攪拌部材の回転に応じて揺動される揺動部材と、
前記揺動部材を前記収容部に支持する支持部とを有し、
前記移動部の移動に応じて前記摺動部が前記収容部の天面を摺動する現像剤収容器と、
前記現像剤収容器から供給された現像剤を用いて画像を形成する画像形成部とを備えることを特徴とする画像記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2013−65037(P2013−65037A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−266842(P2012−266842)
【出願日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【分割の表示】特願2008−115258(P2008−115258)の分割
【原出願日】平成20年4月25日(2008.4.25)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】