現像剤補給装置及び画像形成装置
【課題】シャッタ部材の塑性変形を抑制し、シール性を長期間に亘って維持することが可能な現像剤補給装置を提供する。
【解決手段】本発明の現像剤補給装置は、ケースに設けられた穴から内部に挿入されて、排出口を閉塞する閉塞位置と排出口を開放する開放位置との間で移動可能なシャッタ部材とを備える。シャッタ部材は弾性変形可能な弾性部61を有する。弾性部61は、弾性変形可能な屈曲部66を少なくとも1つ有している。
【解決手段】本発明の現像剤補給装置は、ケースに設けられた穴から内部に挿入されて、排出口を閉塞する閉塞位置と排出口を開放する開放位置との間で移動可能なシャッタ部材とを備える。シャッタ部材は弾性変形可能な弾性部61を有する。弾性部61は、弾性変形可能な屈曲部66を少なくとも1つ有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に用いられる現像剤補給装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体上に形成された静電潜像を可視画像化するために、静電潜像に対して現像装置からトナーが供給される。このトナーは使用に伴って現像装置内から消費されていくため、画像形成装置には、現像装置にトナーを補給するトナー補給装置が設けられている。
【0003】
従来、画像形成装置に用いられるトナー補給装置として、画像形成装置本体に着脱可能に構成されているものがある。この種のトナー補給装置は画像形成装置に装着されると、トナー補給装置に設けられた排出口が現像装置側の補給口と接続されることで、トナー補給装置から現像装置へトナーを補給可能な状態となる。一方、トナー補給装置を画像形成装置から取り外す際は、排出口が補給口から分離されるが、このとき、排出口からトナーが外部に飛散しないように、トナー補給装置にはシャッタ部材が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1や2には、シャッタ部材が移動可能に設けられたトナー補給装置が開示されている。このシャッタ部材200は、図15に示すように、トナー補給装置のケース300に設けた穴600から内部へ挿入されている。図15の二点鎖線で示すように、シャッタ部材200がケース300内のトナー搬送路400を閉塞することで、下部の排出口500からのトナーの排出が阻止される。一方、シャッタ部材200が図の実線で示す位置に移動した場合は、トナー搬送路400が開放され、排出口500からのトナーの排出が可能となる。
【0005】
また、図16は、上記シャッタ部材をケース内に挿入した状態の断面平面図である。
図16に示すように、シャッタ部材200をケース300内に挿入した状態では、シャッタ部材200が有する一対のアーム部220が、ケース300の内面に接触して、図の二点鎖線で示す状態から実線で示す状態へ弾性変形するようになっている。このように、アーム部220が弾性変形することで、シャッタ部材200の挿入しやすさを確保することができると共に、シャッタ部材200とケース300の内面との間で隙間が発生するのを抑制することができる。なお、実際は、両アーム部220の間にはシール部材を配設しているが、図16ではそのシール部材を図示省略している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、シャッタ部材が弾性変形した状態で保持され続けると、弾性変形している部分において長期間に亘って負荷がかかるため、この負荷によって発生する応力集中によって塑性変形が生じることがある。その結果、シャッタ部材とケースの内面との間におけるシール性を確保することができなくなってしまうといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、シャッタ部材の塑性変形を抑制し、シール性を長期間に亘って維持することが可能な現像剤補給装置、及びその現像剤補給装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、現像剤を収容する現像剤収容部を内部に有するケースと、前記現像剤収容部内の現像剤を補給先へ排出するために前記ケースに設けられた排出口と、前記ケースに設けられた穴から内部に挿入されて、前記排出口を閉塞する閉塞位置と前記排出口を開放する開放位置との間で移動可能なシャッタ部材とを備え、前記シャッタ部材は弾性変形可能な弾性部を有し、シャッタ部材が前記ケースの穴から挿入された状態で、弾性部が弾性変形したまま保持されるように構成された現像剤補給装置において、前記弾性部が、弾性変形可能な屈曲部を少なくとも1つ有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、弾性部が、弾性変形可能な屈曲部を少なくとも1つ有することで、弾性部を長く形成することができる。これにより、弾性部に対し応力集中が生じにくくなるので、弾性部における塑性変形の発生を抑制することができるようになる。その結果、シャッタ部材のシール性を長期間に亘って維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るトナー補給装置の断面側面図である。
【図3】トナー補給装置を現像装置に取り付けた状態を示す断面側面図である。
【図4】トナー補給装置を現像装置から取り外した状態を示す断面側面図である。
【図5】シャッタ部材の本体部の斜視図である。
【図6】本体部を穴に挿入していない状態を示す図である。
【図7】本体部を穴に挿入した状態を示す図である。
【図8】シャッタ部材の斜視図である。
【図9】シャッタ部材を下面側から見た斜視図である。
【図10】シャッタ部材を開放位置に配設した状態における断面平面図である。
【図11】図10のX−X断面図である。
【図12】シャッタ部材を閉塞位置に配設した状態における断面平面図である。
【図13】切り欠きの無いフィルム部材を用いた場合の断面図である。
【図14】本発明と従来構成の各シャッタ部材の閉塞状態(負荷状態)における塑性変形量を示す図である。
【図15】従来のトナー補給装置の断面側面図である。
【図16】従来のシャッタ部材をケース内に挿入した状態の断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
まず、図1を参照して、本発明を適用する画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置であるカラーレーザー複写機の概略構成図である。
図1に示す複写機は、プリンタ部1、その下方に配設された給紙部2、プリンタ部1の上に配設されたスキャナ部3、複写機本体の図の左側に配設された排紙部30、その反対側に配設された手差し給紙部9などを備える。また、スキャナ部3の上には、原稿自動搬送装置4が配設されている。
【0013】
プリンタ部1は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4つのプロセスユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
【0014】
具体的に、各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体11と、感光体11の表面を帯電させる帯電装置12と、感光体11上の潜像に現像剤を供給する現像装置13と、感光体11の表面をクリーニングするためのクリーニング装置14と、図示しない除電装置などを有している。なお、図1では、イエローのプロセスユニット10Yが備える感光体11、帯電装置12、現像装置13、クリーニング装置14のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット10M,10C,10Kにおいては符号を省略している。
【0015】
また、プリンタ部1は、光書込ユニット5、中間転写ユニット6、二次転写装置7、ベルト定着方式の定着装置8などを備える。
【0016】
光書込ユニット5は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて画像データに基づいて各感光体11の表面へレーザー光を照射するようになっている。
【0017】
中間転写ユニット6は、中間転写ベルト16、ベルトクリーニング装置20、張架ローラ17、駆動ローラ18、二次転写バックアップローラ19、4つの一次転写バイアスローラ21等を有する。中間転写ベルト16は、張架ローラ17を含む複数のローラによってテンションがかけられた状態で張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動ローラ18が回転駆動されるのに伴い、中間転写ベルト16は図中時計回りに回転するようになっている。
【0018】
4つの一次転写バイアスローラ21は、それぞれ、感光体11に対向した位置で中間転写ベルト16の内周面を押圧している。各一次転写バイアスローラ21によって中間転写ベルト16が押圧された箇所では、中間転写ベルト16と各感光体11とが接触することにより一次転写ニップが形成されている。また、各一次転写バイアスローラ21は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写バイアスローラ21に印加されるようになっている。
【0019】
二次転写装置7は、2本の張架ローラ22によって張架された紙搬送ベルト23を有する。紙搬送ベルト23は、少なくとも何れか一方の張架ローラ22の回転駆動に伴って、図中反時計回りに回転するようになっている。2本の張架ローラ22のうち、図の右側に配設された一方のローラは、中間転写ユニット6の二次転写バックアップローラ19との間に、中間転写ベルト16及び紙搬送ベルト23を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16と紙搬送ベルト23とが接触して二次転写ニップが形成されている。また、この一方の張架ローラ22には、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一方の張架ローラ22に印加されるようになっている。
【0020】
給紙部2には、シート状の記録媒体としての用紙を複数枚重ねて収容可能な給紙カセット24が、複数配設されている。各給紙カセット24には、紙束の一番上の用紙を給紙路26に送り出す給紙ローラ25が設けられている。また、給紙ローラ25よりも用紙搬送方向下流側には、送り出された用紙を1枚ずつ分離する分離ローラ28が配設されている。
【0021】
給紙路26には、複数の搬送ローラ対27が配設されている。また、給紙路26の用紙搬送方向下流端付近には、上記二次転写ニップへと用紙を搬送する搬送手段としてのレジストローラ対15が配設されている。
【0022】
手差し給紙部9には、手差しで給紙する用紙を載置する手差しトレイ29、手差しトレイ29から手差し給紙路31に用紙を送り出す給紙ローラ32、送り出された用紙を1枚ずつ分離する分離ローラ33が設けられている。
【0023】
定着装置8は、2本のローラによって張架された定着ベルト34と、この定着ベルト34を張架する一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ35とを備えている。定着ベルト34と加圧ローラ35は互いに当接して定着ニップを形成している。また、定着ベルト34を張架する2本のローラのうち、加圧ローラ35から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト34が加熱されるようになっている。
【0024】
排紙部30には、用紙を機外に排出する排紙ローラ対36と、機外に排出された用紙をストックする排紙トレイ37とが配設されている。
【0025】
スキャナ部3は、内部にミラーが設けられた第1走行体38及び第2走行体39、コンタクトガラス40、結像レンズ41、読取センサ42などを備える。スキャナ部3の上方に設けられた原稿自動搬送装置4には、原稿をセットする原稿台43が設けられている。
【0026】
図1に示す複写機は以下のように動作する。
原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置4の原稿台43上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス40上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置4が開かれ、スキャナ部3のコンタクトガラス40が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置4によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0027】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押されると、スキャナ部3による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置4にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置4がシート原稿をコンタクトガラス40まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体38と第2走行体39とが共に走行を開始し、第1走行体38に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体39内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ41を通過した後、読取センサ42に入射される。読取センサ42は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0028】
上記のような原稿読取動作と並行して、各プロセスユニット10Y,10M,10C,10K内の各機器や、中間転写ユニット6、二次転写装置7、定着装置8などがそれぞれ駆動を開始する。
【0029】
具体的に、各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kでは、各感光体11が図1の反時計回りに回転駆動され、帯電装置12によって各感光体11の表面が所定の極性に一様に帯電される。そして、上記読取センサ42によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット5から各感光体11の帯電面にレーザー光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰し、これにより、各感光体11の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体11に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。そして、各感光体11上の静電潜像に各現像装置4から現像剤としてのトナーが供給されることにより、静電潜像がトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0030】
中間転写ユニット6では、中間転写ベルト16を張架する駆動ローラ18が回転駆動されることにより、中間転写ベルト16を図の矢印の方向に回転せしめられる。また、各一次転写ローラ21に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ21と各感光体11との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体11上の各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上に順次重ね合わせて一次転写される。かくして、中間転写ベルト16はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト16に転写しきれなかった各感光体11上の残留トナーは、クリーニング装置14によって除去される。さらに、残留トナーが除去された各感光体11の表面は、図示しない除電装置によって除電され、初期状態に戻る。
【0031】
また、上記原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙部2内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ25の1つが選択回転せしめられ、給紙カセット24の1つから用紙が送り出される。送り出された用紙は、分離ローラ28で1枚ずつ分離されて給紙路26に進入した後、搬送ローラ対27によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット24からの給紙に代えて、手差しトレイ29からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙部9に設けられた給紙ローラ32が選択回転せしめられて手差しトレイ29上の用紙を送り出した後、分離ローラ33が用紙を1枚ずつ分離して手差し給紙路31に搬送する。
【0032】
給紙カセット24又は手差しトレイ29から搬送された用紙は、レジストローラ対15によって中間転写ベルト16上の4色トナー画像に同期するように二次転写ニップに送り込まれる。このとき、紙搬送ベルト23を張架する2つのローラ22のうち、二次転写バックアップローラ19に対向する一方のローラ22には、トナー画像のトナー帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上のトナー画像が用紙上に一括して二次転写される。なお、このように一方の張架ローラ22に転写電圧を印加する二次転写方式に代えて、用紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。また、二次転写後の中間転写ベルト16上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置20によって除去される。
【0033】
上記のようにトナー画像が二次転写された用紙は、紙搬送ベルト23の回転に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト23上から定着装置8に送られる。そして、用紙は、定着ベルト34と加圧ローラ35との間の定着ニップに送り込まれ、そこで用紙が加熱及び加圧されることにより、トナー画像が用紙に定着される。その後、用紙は、回転する定着ベルト34と加圧ローラ35によって送り出された後、排紙ローラ対36によって機外に排出され、排紙トレイ37上にストックされる。
【0034】
以上の説明は、フルカラー画像を形成するときの画像形成動作についてであるが、4つのプロセスユニット10Y,10M,10C,10Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0035】
また、本複写機は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト16をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体11を接触させる。これに対し、ブラックのトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト16を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をブラック用以外の感光体11から離間させる。そして、4つの感光体11のうち、ブラック用の感光体11だけを回転させて、ブラックトナー画像だけを作像する。これにより、モノクロ画像形成時は、ブラック用以外の感光体11や、それらの周辺に配設されている現像装置等の駆動を停止させることができるので、感光体や現像剤の不要な消耗を防止できる。
【0036】
次に、本実施形態の複写機に設けられた各現像装置にトナー補給を行うトナー補給装置(現像剤補給装置)について説明する。
図2は、本実施形態に係るトナー補給装置の断面側面図である。
図2に示すように、トナー補給装置50は、現像剤としてのトナーを収容するトナー収容部(現像剤収容部)51を内部に有するケース52と、トナー収容部51内のトナーを撹拌する撹拌部材としての3つのアジテータ53,54,55と、ケース52に設けられた排出口56を開閉するためのシャッタ部材57を備えている。
【0037】
ケース52の下部側壁には貫通した穴59が設けられており、この穴59からシャッタ部材57がケース52に挿入可能となっている。すなわち、シャッタ部材57は、ケース52内に挿入されて排出口56を閉塞する閉塞位置(図2の二点鎖線で示す位置)と、その閉塞位置から待避して排出口56を開放する開放位置(図2の実線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。また、シャッタ部材57は、図示しない付勢手段によって閉塞位置に移動するように付勢されている。このため、シャッタ部材57に対し付勢手段の付勢力に抗する力が作用しない状態では、シャッタ部材57は閉塞位置に配設され、排出口56が閉塞された状態で保持されるようになっている。
【0038】
また、トナー補給装置50は、複写機本体(画像形成装置本体)に対し着脱可能に構成されており、トナー補給装置50を複写機本体に対して着脱することで、トナー補給装置50はトナーの供給先である上記現像装置4に対し取り付け又は取り外しできるようになっている。
【0039】
図3は、トナー補給装置を現像装置に取り付けた状態を示す断面側面図、図4は、トナー補給装置を現像装置から取り外した状態を示す断面側面図である。
図3に示すように、トナー補給装置50を現像装置4の上部に取り付けると、トナー補給装置50の下部に設けられた排出口56が、現像装置4の現像ケース44の上部に設けられている補給口45に連結される。また、このとき、シャッタ部材57に設けられた当接部60が現像ケース44に当接することで、シャッタ部材57に対し付勢手段の付勢力f1に抗する力f2が作用し、シャッタ部材57は開放位置へと移動させられる。その結果、排出口56が開放され、排出口56からトナー収容部51内のトナーを現像装置4内へ補給することが可能となる。
【0040】
このように、本実施形態では、シャッタ部材57に設けられた当接部60を現像ケース44に当接させることで、シャッタ部材57を開放位置に移動させるようにしているが、当接部60を、複写機本体のフレームなどの複写機本体側に配設されているその他の部材に当接するように構成してもよい。
【0041】
また、補給口45の縁には連結部シール46が設けられているため、補給口45と排出口56を連結した場合は、両者間に連結部シール46が介在する。これにより、トナー補給装置50を現像装置4に装着した状態では、補給口45と排出口56との間が連結部シール46によって密閉され、連結部からのトナー漏れ又は飛散が防止される。
【0042】
一方、図4に示すように、トナー補給装置50を現像装置4から取り外すと、シャッタ部材57の当接部60と現像ケース44との当接が解除されるため、シャッタ部材57は付勢手段の付勢力f1によって閉塞位置に移動される。その結果、排出口56がシャッタ部材57によって閉塞され、排出口56からのトナーの飛散が防止される。
【0043】
以下、上記シャッタ部材57の構成について詳しく説明する。
図5は、シャッタ部材の本体部の斜視図である。
シャッタ部材57は、図5に示す本体部58と、後述する2つのシール部材と、1枚のフィルム部材を有しているが、まず、図5を参照して本体部58の構成について説明する。
【0044】
図5に示すように、本体部58は、弾性変形可能な弾性部61と、その弾性部61を保持するベース部62とを有する。ベース部62には突起63が設けられており、この突起63に上記付勢手段としてのコイルスプリングが取り付けられる。また、ベース部62には、一対のガイド部64が設けられている。各ガイド部64は、ケース52に設けられた図示しない一対のレールに摺動可能に取り付けられるようになっており、ガイド部64がこのレール上を摺動することで、シャッタ部材57が開放位置と閉塞位置との間で移動するようになっている。
【0045】
弾性部61は、一対のアーム部65を有する。一対のアーム部65は、互いにシャッタ部材57の幅方向中央部で一体的に連結されている。その連結された各アーム部65の基端部65bから先端部65aに向かって、各アーム部65は、蛇行しつつ幅方向外側に延び、さらに先端部65a側で幅方向内側に折れ曲げられて形成されている。各アーム部65の蛇行している部分には、U字状に屈曲した弾性変形可能な屈曲部66が2つずつ設けられている。
【0046】
各アーム部65は上記の如く形成されているため、各アーム部65が幅方向の外側から内側に向かって外力を受けると、それぞれの先端部65a側で図5の矢印Eで示す如く幅方向に弾性変形する。また、本実施形態では、各アーム部65を板バネとすることで、幅方向の弾性変形は生じやすいが、高さ方向には変形しにくい剛性を得ている。
【0047】
また、各アーム部65の先端部65a側で幅方向外側を臨む側面には、凸部67が設けられている。図6に示すように、一対の凸部67間の幅W1は、ケース52に設けられた穴59の幅W2よりも大きく設定されているが、上述のように、一対のアーム部65が幅方向に撓むことにより、図7に示すように、本体部58を穴59内に挿入することが可能である。
【0048】
図8は、シャッタ部材の斜視図、図9は、シャッタ部材を下面側から見た斜視図である。
本体部58には、2つのシール部材が設けられており、1つは、図8に示す本体部58の一対のアーム部65の上面に設けられた第1のシール部材68であり、もう1つは、図9に示す一対のアーム部65の間に介在する第2のシール部材69である。これらのシール部材68,69は、スポンジなどの弾性部材によって構成されている。
【0049】
さらに、図8に示す第1のシール部材68の上面から、図9に示す一対のアーム部65及び第2のシール部材69のそれぞれの下面に渡って、フィルム部材70がそれらの一部を覆うように設けられている。このフィルム部材70は、摺動性の良い材料で構成されている。また、フィルム部材70の幅方向中央部には、切り欠き71が形成されている。
【0050】
また、図8に示すように、第1のシール部材68の先端部側には、幅方向の両外側に突出した一対の突起部72が設けられている。この第1のシール部材68の突起部72間の幅W3は、ケース52に設けられた穴59の幅W2(図6参照)よりも大きく設定されている。
【0051】
図10は、図3に示すようにシャッタ部材を開放位置に配設した状態における断面平面図である。
図10に示すように、排出口56が開放されている状態では、装置が稼働することにより排出口56から現像装置へトナーが補給される。このとき、補給されるトナーがケース52に設けられた穴59から外部に漏れないように、穴59においては高い密閉性が要求される。そのため、この状態では、開放位置に配設されたシャッタ部材57によって穴59を密閉するようにしている。
【0052】
図11は、図10のX−X断面図である。
図11に示すように、シャッタ部材57を開放位置に配設した状態では、一対のアーム部65と2つのシール部材68,69によって穴59が密閉されている。詳しくは、一対のアーム部65は、穴59に挿入されると、幅方向内側に撓むように弾性変形するため(図7参照)、その弾性変形に伴う反発力によって、それぞれ左右の側面に密着した状態となる。これにより、アーム部65と穴59との間の密閉性が確保されている。
【0053】
また、アーム部65が幅方向内側に撓むことで、アーム部65間に設けられている第2のシール部材69は幅方向に圧縮される。これにより、第2のシール部材69は両アーム部65と密着した状態で保持され、第2のシール部材69によって、両アーム部65間の空間が密閉される。
【0054】
また、第1のシール部材68は、上記のように、幅W3が穴59の幅W2寄りも大きく設定されているため(図6参照)、図11に示すように、シャッタ部材57を穴59に挿入すると、第1のシール部材68は幅方向に圧縮される。これにより、図11に示す状態では、第1のシール部材は、穴59の左右の側面に密着した状態で保持されており、第1のシール部材68と穴59との間の密閉性が確保されている。
【0055】
さらに、図11に示す状態では、第1のシール部材68と第2のシール部材69が、共に上下方向に圧縮された状態で保持されている。これにより、各シール部材68,69及びアーム部65は上下方向に密着し、これらと穴59の上下面も密着した状態となるので、穴59における上下方向の密閉性も確保されている。
【0056】
また、図12は、図4に示すようにシャッタ部材を閉塞位置に配設した状態における断面平面図である。
図12に示すように、シャッタ部材57を閉塞位置に配設した状態では、シャッタ部材57によって排出口56が閉じられているため、排出口56からのトナー漏れやトナーの飛散を防止できる。なお、図12では、シャッタ部材57とケース52の内面との隙間が大きく見えるが、実使用上においては、トナーが漏れない程度の隙間の大きさに抑えている。
【0057】
以上のように、本実施形態に係るシャッタ部材57は、幅方向(水平方向)に弾性変形可能な一対のアーム部65を有しているので、穴59へのシャッタ部材57の挿入を容易にすると共に、挿入後のシール性の確保が可能である。しかも、各アーム部65は、ケース52の内面と接触する部分に凸部67を有しているので、その内面との接触面積を減らすことができ、シャッタ部材57の移動時における摩擦力の影響を抑えることができる。これにより、シャッタ部材57の開放位置又は閉塞位置への移動性が向上する。
【0058】
また、本実施形態では、フィルム部材70によって、シャッタ部材57の表面の保護と、穴59内でのシャッタ部材57の摺動性の向上を図っている。また、フィルム部材70の幅方向中央に切り欠き71を形成していることで、フィルム部材70の幅方向(水平方向)の撓みを吸収している。この切り欠き71が無い場合は、図13に示すように、フィルム部材70が波状に撓むことで、フィルム70と穴59の内面との間に隙間が生じ、この隙間からトナーが漏れる虞がある。すなわち、切り欠き71は、このような撓みの発生を防止し、トナー漏れを抑制する効果を有する。
【0059】
また、本実施形態では、両アーム部65が、それぞれU字状の屈曲部66を2つずつ有する形状に構成されていることで、図16に示す従来例に比べて、アーム部を長く形成することができる。これにより、シャッタ部材57を穴59からケース52内に挿入し、アーム部65が弾性変形した場合に、アーム部65の支点から力点までの距離を長く確保することができる。その結果、アーム部65に応力集中が生じにくくなり、アーム部65が長期間に亘って弾性変形した状態で保持されても、アーム部65の塑性変形を抑制することができるようになる。
【0060】
図14に、本発明のシャッタ部材と従来構成のシャッタ部材との閉塞状態(負荷状態)における塑性変形量を示す。
図14に示すように、従来構成では、シャッタ部材を閉塞位置で放置すると、負荷荷重の応力集中によりアーム部が大きく塑性変形しシール性が損なわれる。これに対し、本発明の場合は、シャッタ部材に負荷がかかった状態で長時間放置されても、アーム部が塑性変形を起こしにくい。このため、その後、シャッタ部材を開放位置に移動させた際にもシール性を維持することが可能となる。このように、本発明によれば、シャッタ部材の塑性変形を抑制することができるので、シャッタ部材によるシール性を長期間に亘って維持することができるようになる。
【0061】
なお、上述の実施形態では、アーム部65に屈曲部66を2つずつ設けているが、屈曲部66の個数はこれに限定されるものではない。屈曲部66を少なくとも1つアーム部65に設けることで、塑性変形を抑制することが可能である。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。また、本発明に係るトナー補給装置(現像剤補給装置)を搭載する画像形成装置は、図1に示すようなカラーレーザー複写機に限らず、モノクロ複写機、又はプリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
50 トナー補給装置(現像剤補給装置)
51 トナー収容部(現像剤収容部)
52 ケース
56 排出口
57 シャッタ部材
59 穴
60 当接部
61 弾性部
65 アーム部
66 屈曲部
67 凸部
68 第1のシール部材
69 第2のシール部材
70 フィルム部材
71 切り欠き
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2009−86219号公報
【特許文献2】特開2009−86220号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置に用いられる現像剤補給装置、及びそれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置においては、感光体上に形成された静電潜像を可視画像化するために、静電潜像に対して現像装置からトナーが供給される。このトナーは使用に伴って現像装置内から消費されていくため、画像形成装置には、現像装置にトナーを補給するトナー補給装置が設けられている。
【0003】
従来、画像形成装置に用いられるトナー補給装置として、画像形成装置本体に着脱可能に構成されているものがある。この種のトナー補給装置は画像形成装置に装着されると、トナー補給装置に設けられた排出口が現像装置側の補給口と接続されることで、トナー補給装置から現像装置へトナーを補給可能な状態となる。一方、トナー補給装置を画像形成装置から取り外す際は、排出口が補給口から分離されるが、このとき、排出口からトナーが外部に飛散しないように、トナー補給装置にはシャッタ部材が設けられている。
【0004】
例えば、特許文献1や2には、シャッタ部材が移動可能に設けられたトナー補給装置が開示されている。このシャッタ部材200は、図15に示すように、トナー補給装置のケース300に設けた穴600から内部へ挿入されている。図15の二点鎖線で示すように、シャッタ部材200がケース300内のトナー搬送路400を閉塞することで、下部の排出口500からのトナーの排出が阻止される。一方、シャッタ部材200が図の実線で示す位置に移動した場合は、トナー搬送路400が開放され、排出口500からのトナーの排出が可能となる。
【0005】
また、図16は、上記シャッタ部材をケース内に挿入した状態の断面平面図である。
図16に示すように、シャッタ部材200をケース300内に挿入した状態では、シャッタ部材200が有する一対のアーム部220が、ケース300の内面に接触して、図の二点鎖線で示す状態から実線で示す状態へ弾性変形するようになっている。このように、アーム部220が弾性変形することで、シャッタ部材200の挿入しやすさを確保することができると共に、シャッタ部材200とケース300の内面との間で隙間が発生するのを抑制することができる。なお、実際は、両アーム部220の間にはシール部材を配設しているが、図16ではそのシール部材を図示省略している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように、シャッタ部材が弾性変形した状態で保持され続けると、弾性変形している部分において長期間に亘って負荷がかかるため、この負荷によって発生する応力集中によって塑性変形が生じることがある。その結果、シャッタ部材とケースの内面との間におけるシール性を確保することができなくなってしまうといった問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、斯かる事情に鑑み、シャッタ部材の塑性変形を抑制し、シール性を長期間に亘って維持することが可能な現像剤補給装置、及びその現像剤補給装置を備えた画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、現像剤を収容する現像剤収容部を内部に有するケースと、前記現像剤収容部内の現像剤を補給先へ排出するために前記ケースに設けられた排出口と、前記ケースに設けられた穴から内部に挿入されて、前記排出口を閉塞する閉塞位置と前記排出口を開放する開放位置との間で移動可能なシャッタ部材とを備え、前記シャッタ部材は弾性変形可能な弾性部を有し、シャッタ部材が前記ケースの穴から挿入された状態で、弾性部が弾性変形したまま保持されるように構成された現像剤補給装置において、前記弾性部が、弾性変形可能な屈曲部を少なくとも1つ有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、弾性部が、弾性変形可能な屈曲部を少なくとも1つ有することで、弾性部を長く形成することができる。これにより、弾性部に対し応力集中が生じにくくなるので、弾性部における塑性変形の発生を抑制することができるようになる。その結果、シャッタ部材のシール性を長期間に亘って維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の一形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
【図2】本実施形態に係るトナー補給装置の断面側面図である。
【図3】トナー補給装置を現像装置に取り付けた状態を示す断面側面図である。
【図4】トナー補給装置を現像装置から取り外した状態を示す断面側面図である。
【図5】シャッタ部材の本体部の斜視図である。
【図6】本体部を穴に挿入していない状態を示す図である。
【図7】本体部を穴に挿入した状態を示す図である。
【図8】シャッタ部材の斜視図である。
【図9】シャッタ部材を下面側から見た斜視図である。
【図10】シャッタ部材を開放位置に配設した状態における断面平面図である。
【図11】図10のX−X断面図である。
【図12】シャッタ部材を閉塞位置に配設した状態における断面平面図である。
【図13】切り欠きの無いフィルム部材を用いた場合の断面図である。
【図14】本発明と従来構成の各シャッタ部材の閉塞状態(負荷状態)における塑性変形量を示す図である。
【図15】従来のトナー補給装置の断面側面図である。
【図16】従来のシャッタ部材をケース内に挿入した状態の断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には同一の符号を付しており、その重複説明は適宜に簡略化ないし省略する。
【0012】
まず、図1を参照して、本発明を適用する画像形成装置の全体構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る画像形成装置であるカラーレーザー複写機の概略構成図である。
図1に示す複写機は、プリンタ部1、その下方に配設された給紙部2、プリンタ部1の上に配設されたスキャナ部3、複写機本体の図の左側に配設された排紙部30、その反対側に配設された手差し給紙部9などを備える。また、スキャナ部3の上には、原稿自動搬送装置4が配設されている。
【0013】
プリンタ部1は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための4つのプロセスユニット10Y,10M,10C,10Kを備えている。各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kは、カラー画像の色分解成分に対応するイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の異なる色の現像剤を収容している以外は同様の構成となっている。
【0014】
具体的に、各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体11と、感光体11の表面を帯電させる帯電装置12と、感光体11上の潜像に現像剤を供給する現像装置13と、感光体11の表面をクリーニングするためのクリーニング装置14と、図示しない除電装置などを有している。なお、図1では、イエローのプロセスユニット10Yが備える感光体11、帯電装置12、現像装置13、クリーニング装置14のみに符号を付しており、その他のプロセスユニット10M,10C,10Kにおいては符号を省略している。
【0015】
また、プリンタ部1は、光書込ユニット5、中間転写ユニット6、二次転写装置7、ベルト定着方式の定着装置8などを備える。
【0016】
光書込ユニット5は、図示しない光源、ポリゴンミラー、f−θレンズ、反射ミラーなどを有し、画像データに基づいて画像データに基づいて各感光体11の表面へレーザー光を照射するようになっている。
【0017】
中間転写ユニット6は、中間転写ベルト16、ベルトクリーニング装置20、張架ローラ17、駆動ローラ18、二次転写バックアップローラ19、4つの一次転写バイアスローラ21等を有する。中間転写ベルト16は、張架ローラ17を含む複数のローラによってテンションがかけられた状態で張架されている。そして、図示しないベルト駆動モータによって駆動ローラ18が回転駆動されるのに伴い、中間転写ベルト16は図中時計回りに回転するようになっている。
【0018】
4つの一次転写バイアスローラ21は、それぞれ、感光体11に対向した位置で中間転写ベルト16の内周面を押圧している。各一次転写バイアスローラ21によって中間転写ベルト16が押圧された箇所では、中間転写ベルト16と各感光体11とが接触することにより一次転写ニップが形成されている。また、各一次転写バイアスローラ21は、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一次転写バイアスローラ21に印加されるようになっている。
【0019】
二次転写装置7は、2本の張架ローラ22によって張架された紙搬送ベルト23を有する。紙搬送ベルト23は、少なくとも何れか一方の張架ローラ22の回転駆動に伴って、図中反時計回りに回転するようになっている。2本の張架ローラ22のうち、図の右側に配設された一方のローラは、中間転写ユニット6の二次転写バックアップローラ19との間に、中間転写ベルト16及び紙搬送ベルト23を挟み込んでいる。この挟み込みにより、中間転写ベルト16と紙搬送ベルト23とが接触して二次転写ニップが形成されている。また、この一方の張架ローラ22には、図示しない電源に接続されており、所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が一方の張架ローラ22に印加されるようになっている。
【0020】
給紙部2には、シート状の記録媒体としての用紙を複数枚重ねて収容可能な給紙カセット24が、複数配設されている。各給紙カセット24には、紙束の一番上の用紙を給紙路26に送り出す給紙ローラ25が設けられている。また、給紙ローラ25よりも用紙搬送方向下流側には、送り出された用紙を1枚ずつ分離する分離ローラ28が配設されている。
【0021】
給紙路26には、複数の搬送ローラ対27が配設されている。また、給紙路26の用紙搬送方向下流端付近には、上記二次転写ニップへと用紙を搬送する搬送手段としてのレジストローラ対15が配設されている。
【0022】
手差し給紙部9には、手差しで給紙する用紙を載置する手差しトレイ29、手差しトレイ29から手差し給紙路31に用紙を送り出す給紙ローラ32、送り出された用紙を1枚ずつ分離する分離ローラ33が設けられている。
【0023】
定着装置8は、2本のローラによって張架された定着ベルト34と、この定着ベルト34を張架する一方のローラに向けて押圧される加圧ローラ35とを備えている。定着ベルト34と加圧ローラ35は互いに当接して定着ニップを形成している。また、定着ベルト34を張架する2本のローラのうち、加圧ローラ35から押圧される方のローラは、内部に図示しない熱源を有しており、これの発熱によって定着ベルト34が加熱されるようになっている。
【0024】
排紙部30には、用紙を機外に排出する排紙ローラ対36と、機外に排出された用紙をストックする排紙トレイ37とが配設されている。
【0025】
スキャナ部3は、内部にミラーが設けられた第1走行体38及び第2走行体39、コンタクトガラス40、結像レンズ41、読取センサ42などを備える。スキャナ部3の上方に設けられた原稿自動搬送装置4には、原稿をセットする原稿台43が設けられている。
【0026】
図1に示す複写機は以下のように動作する。
原稿のコピーがとられる際には、例えばシート原稿の束が原稿自動搬送装置4の原稿台43上セットされる。但し、その原稿が本状に閉じられている片綴じ原稿である場合には、コンタクトガラス40上にセットされる。このセットに先立ち、複写機本体に対して原稿自動搬送装置4が開かれ、スキャナ部3のコンタクトガラス40が露出される。この後、閉じられた原稿自動搬送装置4によって片綴じ原稿が押さえられる。
【0027】
このようにして原稿がセットされた後、図示しないコピースタートスイッチが押されると、スキャナ部3による原稿読取動作がスタートする。但し、原稿自動搬送装置4にシート原稿がセットされた場合には、この原稿読取動作に先立って、原稿自動搬送装置4がシート原稿をコンタクトガラス40まで自動移動させる。原稿読取動作では、まず、第1走行体38と第2走行体39とが共に走行を開始し、第1走行体38に設けられた光源から光が発射される。そして、原稿面からの反射光が第2走行体39内に設けられたミラーによって反射せしめられ、結像レンズ41を通過した後、読取センサ42に入射される。読取センサ42は、入射光に基づいて画像情報を構築する。
【0028】
上記のような原稿読取動作と並行して、各プロセスユニット10Y,10M,10C,10K内の各機器や、中間転写ユニット6、二次転写装置7、定着装置8などがそれぞれ駆動を開始する。
【0029】
具体的に、各プロセスユニット10Y,10M,10C,10Kでは、各感光体11が図1の反時計回りに回転駆動され、帯電装置12によって各感光体11の表面が所定の極性に一様に帯電される。そして、上記読取センサ42によって構築された画像情報に基づいて、光書込ユニット5から各感光体11の帯電面にレーザー光が照射される。すると、照射部(露光部)の電位が減衰し、これにより、各感光体11の表面に静電潜像が形成される。このとき、各感光体11に露光する画像情報は所望のフルカラー画像をイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの色情報に分解した単色の画像情報である。そして、各感光体11上の静電潜像に各現像装置4から現像剤としてのトナーが供給されることにより、静電潜像がトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0030】
中間転写ユニット6では、中間転写ベルト16を張架する駆動ローラ18が回転駆動されることにより、中間転写ベルト16を図の矢印の方向に回転せしめられる。また、各一次転写ローラ21に、トナーの帯電極性と逆極性の定電圧又は定電流制御された電圧が印加されることによって、各一次転写ローラ21と各感光体11との間の一次転写ニップにおいて転写電界が形成される。そして、各感光体11上の各色のトナー画像が、上記一次転写ニップにおいて形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上に順次重ね合わせて一次転写される。かくして、中間転写ベルト16はその表面にフルカラーのトナー画像を担持する。また、中間転写ベルト16に転写しきれなかった各感光体11上の残留トナーは、クリーニング装置14によって除去される。さらに、残留トナーが除去された各感光体11の表面は、図示しない除電装置によって除電され、初期状態に戻る。
【0031】
また、上記原稿読取動作の開始とほぼ同時に、給紙部2内では給紙動作が開始される。この給紙動作では、給紙ローラ25の1つが選択回転せしめられ、給紙カセット24の1つから用紙が送り出される。送り出された用紙は、分離ローラ28で1枚ずつ分離されて給紙路26に進入した後、搬送ローラ対27によって二次転写ニップに向けて搬送される。このような給紙カセット24からの給紙に代えて、手差しトレイ29からの給紙が行われる場合もある。この場合、手差し給紙部9に設けられた給紙ローラ32が選択回転せしめられて手差しトレイ29上の用紙を送り出した後、分離ローラ33が用紙を1枚ずつ分離して手差し給紙路31に搬送する。
【0032】
給紙カセット24又は手差しトレイ29から搬送された用紙は、レジストローラ対15によって中間転写ベルト16上の4色トナー画像に同期するように二次転写ニップに送り込まれる。このとき、紙搬送ベルト23を張架する2つのローラ22のうち、二次転写バックアップローラ19に対向する一方のローラ22には、トナー画像のトナー帯電極性とは逆極性の転写電圧が印加されており、これにより、二次転写ニップに転写電界が形成されている。そして、二次転写ニップに形成された転写電界によって、中間転写ベルト16上のトナー画像が用紙上に一括して二次転写される。なお、このように一方の張架ローラ22に転写電圧を印加する二次転写方式に代えて、用紙を非接触でチャージさせるチャージャを設けてもよい。また、二次転写後の中間転写ベルト16上に残留するトナーは、ベルトクリーニング装置20によって除去される。
【0033】
上記のようにトナー画像が二次転写された用紙は、紙搬送ベルト23の回転に伴って二次転写ニップを出た後、紙搬送ベルト23上から定着装置8に送られる。そして、用紙は、定着ベルト34と加圧ローラ35との間の定着ニップに送り込まれ、そこで用紙が加熱及び加圧されることにより、トナー画像が用紙に定着される。その後、用紙は、回転する定着ベルト34と加圧ローラ35によって送り出された後、排紙ローラ対36によって機外に排出され、排紙トレイ37上にストックされる。
【0034】
以上の説明は、フルカラー画像を形成するときの画像形成動作についてであるが、4つのプロセスユニット10Y,10M,10C,10Kのいずれか1つを使用して単色画像を形成したり、2つ又は3つのプロセスユニットを使用して、2色又は3色の画像を形成したりすることも可能である。
【0035】
また、本複写機は、2色以上のトナーからなる他色画像を形成する場合には、中間転写ベルト16をその上部張架面がほぼ水平になる姿勢で張架して、上部張架面に全ての感光体11を接触させる。これに対し、ブラックのトナーのみからなるモノクロ画像を形成する場合には、図示しない機構により、中間転写ベルト16を図中左下に傾けるような姿勢にして、その上部張架面をブラック用以外の感光体11から離間させる。そして、4つの感光体11のうち、ブラック用の感光体11だけを回転させて、ブラックトナー画像だけを作像する。これにより、モノクロ画像形成時は、ブラック用以外の感光体11や、それらの周辺に配設されている現像装置等の駆動を停止させることができるので、感光体や現像剤の不要な消耗を防止できる。
【0036】
次に、本実施形態の複写機に設けられた各現像装置にトナー補給を行うトナー補給装置(現像剤補給装置)について説明する。
図2は、本実施形態に係るトナー補給装置の断面側面図である。
図2に示すように、トナー補給装置50は、現像剤としてのトナーを収容するトナー収容部(現像剤収容部)51を内部に有するケース52と、トナー収容部51内のトナーを撹拌する撹拌部材としての3つのアジテータ53,54,55と、ケース52に設けられた排出口56を開閉するためのシャッタ部材57を備えている。
【0037】
ケース52の下部側壁には貫通した穴59が設けられており、この穴59からシャッタ部材57がケース52に挿入可能となっている。すなわち、シャッタ部材57は、ケース52内に挿入されて排出口56を閉塞する閉塞位置(図2の二点鎖線で示す位置)と、その閉塞位置から待避して排出口56を開放する開放位置(図2の実線で示す位置)との間で移動可能に構成されている。また、シャッタ部材57は、図示しない付勢手段によって閉塞位置に移動するように付勢されている。このため、シャッタ部材57に対し付勢手段の付勢力に抗する力が作用しない状態では、シャッタ部材57は閉塞位置に配設され、排出口56が閉塞された状態で保持されるようになっている。
【0038】
また、トナー補給装置50は、複写機本体(画像形成装置本体)に対し着脱可能に構成されており、トナー補給装置50を複写機本体に対して着脱することで、トナー補給装置50はトナーの供給先である上記現像装置4に対し取り付け又は取り外しできるようになっている。
【0039】
図3は、トナー補給装置を現像装置に取り付けた状態を示す断面側面図、図4は、トナー補給装置を現像装置から取り外した状態を示す断面側面図である。
図3に示すように、トナー補給装置50を現像装置4の上部に取り付けると、トナー補給装置50の下部に設けられた排出口56が、現像装置4の現像ケース44の上部に設けられている補給口45に連結される。また、このとき、シャッタ部材57に設けられた当接部60が現像ケース44に当接することで、シャッタ部材57に対し付勢手段の付勢力f1に抗する力f2が作用し、シャッタ部材57は開放位置へと移動させられる。その結果、排出口56が開放され、排出口56からトナー収容部51内のトナーを現像装置4内へ補給することが可能となる。
【0040】
このように、本実施形態では、シャッタ部材57に設けられた当接部60を現像ケース44に当接させることで、シャッタ部材57を開放位置に移動させるようにしているが、当接部60を、複写機本体のフレームなどの複写機本体側に配設されているその他の部材に当接するように構成してもよい。
【0041】
また、補給口45の縁には連結部シール46が設けられているため、補給口45と排出口56を連結した場合は、両者間に連結部シール46が介在する。これにより、トナー補給装置50を現像装置4に装着した状態では、補給口45と排出口56との間が連結部シール46によって密閉され、連結部からのトナー漏れ又は飛散が防止される。
【0042】
一方、図4に示すように、トナー補給装置50を現像装置4から取り外すと、シャッタ部材57の当接部60と現像ケース44との当接が解除されるため、シャッタ部材57は付勢手段の付勢力f1によって閉塞位置に移動される。その結果、排出口56がシャッタ部材57によって閉塞され、排出口56からのトナーの飛散が防止される。
【0043】
以下、上記シャッタ部材57の構成について詳しく説明する。
図5は、シャッタ部材の本体部の斜視図である。
シャッタ部材57は、図5に示す本体部58と、後述する2つのシール部材と、1枚のフィルム部材を有しているが、まず、図5を参照して本体部58の構成について説明する。
【0044】
図5に示すように、本体部58は、弾性変形可能な弾性部61と、その弾性部61を保持するベース部62とを有する。ベース部62には突起63が設けられており、この突起63に上記付勢手段としてのコイルスプリングが取り付けられる。また、ベース部62には、一対のガイド部64が設けられている。各ガイド部64は、ケース52に設けられた図示しない一対のレールに摺動可能に取り付けられるようになっており、ガイド部64がこのレール上を摺動することで、シャッタ部材57が開放位置と閉塞位置との間で移動するようになっている。
【0045】
弾性部61は、一対のアーム部65を有する。一対のアーム部65は、互いにシャッタ部材57の幅方向中央部で一体的に連結されている。その連結された各アーム部65の基端部65bから先端部65aに向かって、各アーム部65は、蛇行しつつ幅方向外側に延び、さらに先端部65a側で幅方向内側に折れ曲げられて形成されている。各アーム部65の蛇行している部分には、U字状に屈曲した弾性変形可能な屈曲部66が2つずつ設けられている。
【0046】
各アーム部65は上記の如く形成されているため、各アーム部65が幅方向の外側から内側に向かって外力を受けると、それぞれの先端部65a側で図5の矢印Eで示す如く幅方向に弾性変形する。また、本実施形態では、各アーム部65を板バネとすることで、幅方向の弾性変形は生じやすいが、高さ方向には変形しにくい剛性を得ている。
【0047】
また、各アーム部65の先端部65a側で幅方向外側を臨む側面には、凸部67が設けられている。図6に示すように、一対の凸部67間の幅W1は、ケース52に設けられた穴59の幅W2よりも大きく設定されているが、上述のように、一対のアーム部65が幅方向に撓むことにより、図7に示すように、本体部58を穴59内に挿入することが可能である。
【0048】
図8は、シャッタ部材の斜視図、図9は、シャッタ部材を下面側から見た斜視図である。
本体部58には、2つのシール部材が設けられており、1つは、図8に示す本体部58の一対のアーム部65の上面に設けられた第1のシール部材68であり、もう1つは、図9に示す一対のアーム部65の間に介在する第2のシール部材69である。これらのシール部材68,69は、スポンジなどの弾性部材によって構成されている。
【0049】
さらに、図8に示す第1のシール部材68の上面から、図9に示す一対のアーム部65及び第2のシール部材69のそれぞれの下面に渡って、フィルム部材70がそれらの一部を覆うように設けられている。このフィルム部材70は、摺動性の良い材料で構成されている。また、フィルム部材70の幅方向中央部には、切り欠き71が形成されている。
【0050】
また、図8に示すように、第1のシール部材68の先端部側には、幅方向の両外側に突出した一対の突起部72が設けられている。この第1のシール部材68の突起部72間の幅W3は、ケース52に設けられた穴59の幅W2(図6参照)よりも大きく設定されている。
【0051】
図10は、図3に示すようにシャッタ部材を開放位置に配設した状態における断面平面図である。
図10に示すように、排出口56が開放されている状態では、装置が稼働することにより排出口56から現像装置へトナーが補給される。このとき、補給されるトナーがケース52に設けられた穴59から外部に漏れないように、穴59においては高い密閉性が要求される。そのため、この状態では、開放位置に配設されたシャッタ部材57によって穴59を密閉するようにしている。
【0052】
図11は、図10のX−X断面図である。
図11に示すように、シャッタ部材57を開放位置に配設した状態では、一対のアーム部65と2つのシール部材68,69によって穴59が密閉されている。詳しくは、一対のアーム部65は、穴59に挿入されると、幅方向内側に撓むように弾性変形するため(図7参照)、その弾性変形に伴う反発力によって、それぞれ左右の側面に密着した状態となる。これにより、アーム部65と穴59との間の密閉性が確保されている。
【0053】
また、アーム部65が幅方向内側に撓むことで、アーム部65間に設けられている第2のシール部材69は幅方向に圧縮される。これにより、第2のシール部材69は両アーム部65と密着した状態で保持され、第2のシール部材69によって、両アーム部65間の空間が密閉される。
【0054】
また、第1のシール部材68は、上記のように、幅W3が穴59の幅W2寄りも大きく設定されているため(図6参照)、図11に示すように、シャッタ部材57を穴59に挿入すると、第1のシール部材68は幅方向に圧縮される。これにより、図11に示す状態では、第1のシール部材は、穴59の左右の側面に密着した状態で保持されており、第1のシール部材68と穴59との間の密閉性が確保されている。
【0055】
さらに、図11に示す状態では、第1のシール部材68と第2のシール部材69が、共に上下方向に圧縮された状態で保持されている。これにより、各シール部材68,69及びアーム部65は上下方向に密着し、これらと穴59の上下面も密着した状態となるので、穴59における上下方向の密閉性も確保されている。
【0056】
また、図12は、図4に示すようにシャッタ部材を閉塞位置に配設した状態における断面平面図である。
図12に示すように、シャッタ部材57を閉塞位置に配設した状態では、シャッタ部材57によって排出口56が閉じられているため、排出口56からのトナー漏れやトナーの飛散を防止できる。なお、図12では、シャッタ部材57とケース52の内面との隙間が大きく見えるが、実使用上においては、トナーが漏れない程度の隙間の大きさに抑えている。
【0057】
以上のように、本実施形態に係るシャッタ部材57は、幅方向(水平方向)に弾性変形可能な一対のアーム部65を有しているので、穴59へのシャッタ部材57の挿入を容易にすると共に、挿入後のシール性の確保が可能である。しかも、各アーム部65は、ケース52の内面と接触する部分に凸部67を有しているので、その内面との接触面積を減らすことができ、シャッタ部材57の移動時における摩擦力の影響を抑えることができる。これにより、シャッタ部材57の開放位置又は閉塞位置への移動性が向上する。
【0058】
また、本実施形態では、フィルム部材70によって、シャッタ部材57の表面の保護と、穴59内でのシャッタ部材57の摺動性の向上を図っている。また、フィルム部材70の幅方向中央に切り欠き71を形成していることで、フィルム部材70の幅方向(水平方向)の撓みを吸収している。この切り欠き71が無い場合は、図13に示すように、フィルム部材70が波状に撓むことで、フィルム70と穴59の内面との間に隙間が生じ、この隙間からトナーが漏れる虞がある。すなわち、切り欠き71は、このような撓みの発生を防止し、トナー漏れを抑制する効果を有する。
【0059】
また、本実施形態では、両アーム部65が、それぞれU字状の屈曲部66を2つずつ有する形状に構成されていることで、図16に示す従来例に比べて、アーム部を長く形成することができる。これにより、シャッタ部材57を穴59からケース52内に挿入し、アーム部65が弾性変形した場合に、アーム部65の支点から力点までの距離を長く確保することができる。その結果、アーム部65に応力集中が生じにくくなり、アーム部65が長期間に亘って弾性変形した状態で保持されても、アーム部65の塑性変形を抑制することができるようになる。
【0060】
図14に、本発明のシャッタ部材と従来構成のシャッタ部材との閉塞状態(負荷状態)における塑性変形量を示す。
図14に示すように、従来構成では、シャッタ部材を閉塞位置で放置すると、負荷荷重の応力集中によりアーム部が大きく塑性変形しシール性が損なわれる。これに対し、本発明の場合は、シャッタ部材に負荷がかかった状態で長時間放置されても、アーム部が塑性変形を起こしにくい。このため、その後、シャッタ部材を開放位置に移動させた際にもシール性を維持することが可能となる。このように、本発明によれば、シャッタ部材の塑性変形を抑制することができるので、シャッタ部材によるシール性を長期間に亘って維持することができるようになる。
【0061】
なお、上述の実施形態では、アーム部65に屈曲部66を2つずつ設けているが、屈曲部66の個数はこれに限定されるものではない。屈曲部66を少なくとも1つアーム部65に設けることで、塑性変形を抑制することが可能である。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加え得ることは勿論である。また、本発明に係るトナー補給装置(現像剤補給装置)を搭載する画像形成装置は、図1に示すようなカラーレーザー複写機に限らず、モノクロ複写機、又はプリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
50 トナー補給装置(現像剤補給装置)
51 トナー収容部(現像剤収容部)
52 ケース
56 排出口
57 シャッタ部材
59 穴
60 当接部
61 弾性部
65 アーム部
66 屈曲部
67 凸部
68 第1のシール部材
69 第2のシール部材
70 フィルム部材
71 切り欠き
【先行技術文献】
【特許文献】
【0064】
【特許文献1】特開2009−86219号公報
【特許文献2】特開2009−86220号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容部を内部に有するケースと、
前記現像剤収容部内の現像剤を補給先へ排出するために前記ケースに設けられた排出口と、
前記ケースに設けられた穴から内部に挿入されて、前記排出口を閉塞する閉塞位置と前記排出口を開放する開放位置との間で移動可能なシャッタ部材とを備え、
前記シャッタ部材は弾性変形可能な弾性部を有し、シャッタ部材が前記ケースの穴から挿入された状態で、弾性部が弾性変形したまま保持されるように構成された現像剤補給装置において、
前記弾性部が、弾性変形可能な屈曲部を少なくとも1つ有することを特徴とする現像剤補給装置。
【請求項2】
前記弾性部は、前記穴から内部に挿入された状態で、弾性変形して前記ケースの互いに対向する内面に接触する一対のアーム部を有し、各アーム部に前記屈曲部を少なくとも1つずつ設けた請求項1に記載の現像剤補給装置。
【請求項3】
前記アーム部を板バネとした請求項2に記載の現像剤補給装置。
【請求項4】
前記アーム部のケースの内面と接触する部分に凸部を設けた請求項2又は3に記載の現像剤補給装置。
【請求項5】
前記シャッタ部材が、前記弾性部と前記穴との隙間を塞ぐシール部材を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の現像剤補給装置。
【請求項6】
前記シャッタ部材が、前記シール部材の表面を覆うフィルム部材を有し、当該フィルム部材の前記弾性部が弾性変形する方向の幅方向中央に切り欠きを形成した請求項5に記載の現像剤補給装置。
【請求項7】
画像形成装置本体に対し着脱可能に構成された現像剤補給装置であって、
現像剤補給装置を画像形成装置本体から取り外す際に、前記シャッタ部材を付勢して前記閉塞位置に移動させる付勢手段を設けた請求項1から6のいずれか1項に記載の現像剤補給装置。
【請求項8】
前記シャッタ部材は、現像剤補給装置を画像形成装置本体に装着する際に、画像形成装置本体側に配設されている部材に当接する当接部を有し、当該当接部が前記画像形成装置本体側に配設されている部材に当接することで、前記付勢手段の付勢力に抗してシャッタ部材を前記開放位置に移動させるように構成した請求項7に記載の現像剤補給装置。
【請求項9】
潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体上の潜像を現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像装置に現像剤を補給する現像剤補給装置を備えた画像形成装置において、
前記現像剤補給装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の現像剤補給装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
現像剤を収容する現像剤収容部を内部に有するケースと、
前記現像剤収容部内の現像剤を補給先へ排出するために前記ケースに設けられた排出口と、
前記ケースに設けられた穴から内部に挿入されて、前記排出口を閉塞する閉塞位置と前記排出口を開放する開放位置との間で移動可能なシャッタ部材とを備え、
前記シャッタ部材は弾性変形可能な弾性部を有し、シャッタ部材が前記ケースの穴から挿入された状態で、弾性部が弾性変形したまま保持されるように構成された現像剤補給装置において、
前記弾性部が、弾性変形可能な屈曲部を少なくとも1つ有することを特徴とする現像剤補給装置。
【請求項2】
前記弾性部は、前記穴から内部に挿入された状態で、弾性変形して前記ケースの互いに対向する内面に接触する一対のアーム部を有し、各アーム部に前記屈曲部を少なくとも1つずつ設けた請求項1に記載の現像剤補給装置。
【請求項3】
前記アーム部を板バネとした請求項2に記載の現像剤補給装置。
【請求項4】
前記アーム部のケースの内面と接触する部分に凸部を設けた請求項2又は3に記載の現像剤補給装置。
【請求項5】
前記シャッタ部材が、前記弾性部と前記穴との隙間を塞ぐシール部材を有する請求項1から4のいずれか1項に記載の現像剤補給装置。
【請求項6】
前記シャッタ部材が、前記シール部材の表面を覆うフィルム部材を有し、当該フィルム部材の前記弾性部が弾性変形する方向の幅方向中央に切り欠きを形成した請求項5に記載の現像剤補給装置。
【請求項7】
画像形成装置本体に対し着脱可能に構成された現像剤補給装置であって、
現像剤補給装置を画像形成装置本体から取り外す際に、前記シャッタ部材を付勢して前記閉塞位置に移動させる付勢手段を設けた請求項1から6のいずれか1項に記載の現像剤補給装置。
【請求項8】
前記シャッタ部材は、現像剤補給装置を画像形成装置本体に装着する際に、画像形成装置本体側に配設されている部材に当接する当接部を有し、当該当接部が前記画像形成装置本体側に配設されている部材に当接することで、前記付勢手段の付勢力に抗してシャッタ部材を前記開放位置に移動させるように構成した請求項7に記載の現像剤補給装置。
【請求項9】
潜像を担持する潜像担持体と、前記潜像担持体上の潜像を現像剤を用いて現像する現像装置と、前記現像装置に現像剤を補給する現像剤補給装置を備えた画像形成装置において、
前記現像剤補給装置として、請求項1から8のいずれか1項に記載の現像剤補給装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2013−44791(P2013−44791A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180587(P2011−180587)
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月22日(2011.8.22)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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