説明

現像方法、現像装置及び画像形成装置

【課題】高画質化、小型化、カラー化、省エネルギー化等の条件を満たすことができる現像装置を提供する。
【解決手段】ガラス転移点10〜40℃のトナーを用い、第1攪拌部材43の上方で現像剤搬送方向下流側に配置した供給ローラ45、供給ローラ45と現像ローラ41との間に架設され、供給ローラ45により搬送される現像剤を現像ローラ41に案内するガイド部材46及びガイド部材46の上方に配置された上蓋部材52により現像剤整流空間Wを形成し、供給ローラ45により供給される現像剤搬送量X、ガイド部材46を通過して現像剤整流空間Wから現像ローラ41上に搬送される現像剤搬送量Y、としたとき、X>Yの関係を維持して現像を行う現像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ、及び複合機能を有する画像形成装置等に用いられ、像担持体上の静電潜像を現像する現像装置、及び該現像装置を備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の現像装置においては、回転する像担持体に近接して、回転する現像ローラが配置されている。現像ローラは中空円筒体状に形成されて像担持体に対向する側に開口部を有する現像装置本体に収納されている。現像ローラは、その内部に磁石を有し、現像ローラの外周表面に現像剤を担持している。高画質の画像を形成する画像形成装置では、現像剤としてトナーとキャリアを主成分とする二成分現像剤が用いられる。
【0003】
現像装置は、現像剤を収容する現像装置本体、磁石から成る磁界発生手段を内部に有する現像ローラ、現像ローラに現像剤を搬送して供給する現像剤供給部材、現像ローラ上の現像剤層厚を所定量に規制する現像剤層厚規制部材、現像剤を撹拌して現像剤搬送部材に搬送する現像剤撹拌部材から構成されている。
【0004】
現像装置本体の上部に設けられた開口であるトナー補給口部を通して、トナーカートリッジから現像装置本体内に補給されたトナーは、回転する現像剤撹拌搬送部材により現像装置本体内に収容された現像剤と撹拌、混合されて均一なトナー濃度になり、回転する現像剤搬送部材により現像ローラの外周面上に供給され、現像ローラ上の現像剤のうち、トナーのみが現像領域で像担持体上に付着する。
【0005】
現像ローラと現像剤供給部材とが対峙する構成の現像装置においては、現像ローラと現像剤供給部材との対向近接点を挟んで反発磁界を形成する事により、現像後の現像剤を現像ローラから剥離すると共に、トナーとキャリアが十分に混合され現像に供される現像剤を現像ローラに供給している。
【0006】
このような構成の現像装置において、現像ローラと現像剤供給部材との間隙が小さい場合、現像剤供給部材の螺旋状リブに起因する濃度むら、所謂スクリューピッチむらが発生する。即ち、現像ローラの近傍に配置したスクリュー等で形成された現像剤供給部材は、現像ローラに現像剤が吸い上げられるとき、スクリューの山と谷とにより粗密が生じ、現像ローラ上の現像剤に密度差ができ、これが像担持体対向点での磁気ブラシの粗密となり、画像むらとなる。
【0007】
特許文献1に開示された現像装置は、現像剤を現像ローラに案内する現像剤貯蔵部と、現像剤貯蔵部に現像剤を搬送する搬送機構と、現像ローラ外周面の現像剤の高さを規制するとともに現像剤貯蔵部を構成する部材の一部をなすドクターブレードと、を有するものである。
【0008】
特許文献2に開示された現像装置は、現像ローラと対向する部分に開口を有し、現像ローラから除去された現像済みの現像剤を貯蔵する現像剤ホッパを有するものである。
【0009】
特許文献3に開示された現像装置は、現像剤を収容する現像剤槽の底部の仕切り板を介して設置された一対のオーガ軸と、仕切り板の上部に設置された第1マグネットローラと、現像ローラに対向する第2マグネットローラと、を有するものである。
【0010】
特許文献4に開示された現像装置は、現像剤層規制ブレードの上流側に現像剤を滞留させる現像剤滞留部を設けるとともに、トナー供給ローラを現像剤滞留部の上流側に設けたものである。
【0011】
特許文献5に開示された現像装置には、仕切壁によって区画される現像剤供給室と現像戻り室を有する現像ハウジングが設けられている。
【特許文献1】特開昭57−211178号公報
【特許文献2】特開昭58−34468号公報
【特許文献3】特開昭62−183480号公報
【特許文献4】特開平5−165312号公報
【特許文献5】特開平10−319697号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
近年、画像の高画質化を達成するためにトナーやキャリアを小粒径化してきているが、それに伴い、現像剤の流動化が低下する傾向があり、現像に使用した現像剤を現像ローラから確実に剥がし、充分に攪拌混合された現像剤を現像ローラに供給する事が非常に難しくなっている。
【0013】
更に、カラー画像形成装置によってカラー画像を連続して形成する場合には、トナーの消費割合が高い、即ち、記録材1枚当たりのトナー消費量が多いため、消費した分のトナーを補充することが困難になり、頁内や頁間の画像の均一性を確保する事が困難になってきた。
【0014】
上記の問題に対して、現像剤攪拌搬送部材のスクリュー径やスクリューピッチを大きくし、更にスクリュー回転数を高く設定することで、多量に補給されたトナーを早い時間で現像剤内に分散し、混合攪拌する事が出来るが、現像装置の小型化に伴い、スクリューからの現像ローラへの現像剤受け渡し機能に使用してきた十字型のパドル等を使用せず、スクリューから現像剤を直接現像ローラに供給するような構成になってきた事により、現像ローラに空間的、時間的に均一に現像剤を供給することが困難にり、画像濃度の不均一が生ずるという問題が発生した。
【0015】
更に、カラー画像形成装置では、複数の現像装置を内蔵するために、現像装置が小型であることが要求される。
【0016】
このように、高画質化やカラー化のためにトナー及びキャリアが小粒径化し、高いトナーの消費量に対応可能であり、小型化された現像装置が要求されている。
【0017】
更に、省エネルギー化のために、定着温度の低いトナーが要望されている。
【0018】
特許文献1の現像装置では、現像剤貯蔵部のガイド板上に現像剤を搬送する搬送機構があるため、画像斑を発生する原因となる。
【0019】
特許文献2の現像装置では、現像剤ホッパのガイド板上に現像剤落下箇所があり、現像剤供与部材で現像剤ホッパ内を一定圧にしておらず、現像剤ホッパ内の部分的な現像剤偏りにより、画像斑が発生しやすい。
【0020】
特許文献3の現像装置では、現像剤供給ローラから剥ぎ取られた現像剤が、現像ローラから剥ぎ取られた現像剤を引き寄せ、そのまま供給ローラ上をすり抜けてしまう。
【0021】
特許文献4の現像装置では、現像剤層規制ブレードの上流側に設けた現像剤滞留部にいて、現像剤供給過剰又は供給不足を生じるおそれがある。
【0022】
特許文献5の現像装置では、現像ローラと供給ローラ間にスクリューが存在するため、スクリューピッチ斑が発生しやすい。
【0023】
特許文献1〜5の現像装置では前記に説明した問題があり、高画質化、カラー化、小型化、省エネルギー化等に必要な性能の現像装置を実現することが困難であった。
【0024】
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、高画質、省エネルギー化の要望にこたえた小粒径かつ低ガラス転移点のトナーを用いた小型化された現像装置を用いても、スクリューピッチ斑を防止することのより、高印字率モードでも現像ローラへの現像剤の供給不足による現像濃度不良に伴う画像濃度ムラを防止し、現像剤の混合不良によるトナー飛散に起因する画像上のカブリを防止した現像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0025】
前記目的は下記の発明により達成される。
1.
トナーとキャリアとを主成分とする二成分現像剤を収容する現像装置を用いて、像担持体上の静電潜像を現像する現像方法において、
前記トナーは、
ガラス転移点Tgが20〜40℃、
ポリテトラフルオロエチレンとの界面付着力Frが1.0〜3.5Nであり、
前記現像装置は、
前記二成分現像剤を担持して現像領域に搬送する現像ローラと、該現像ローラ上の現像剤搬送量を規制する現像剤量規制部材と、現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤攪拌搬送部材と、前記現像剤攪拌搬送部材の上方で、前記現像剤攪拌搬送部材の現像剤搬送方向下流側に配置した現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラと前記現像ローラとの間に架設され、前記現像剤供給ローラにより搬送される現像剤を前記現像ローラに案内する現像剤案内部材と、該現像剤案内部材の上方に配置された上蓋部材と、を有し、
前記現像ローラ、前記現像剤供給ローラ、前記現像剤案内部材、前記現像剤量規制部材及び前記上蓋部材により囲まれた現像剤整流空間を形成するように構成するとともに、
前記現像剤供給ローラにより供給される現像剤搬送量X、
前記現像剤量規制部材により規制されて前記現像剤整流空間から前記現像ローラ上に搬送される現像剤搬送量Y、
としたとき、X>Yの関係を保って前記静電潜像を現像することを特徴とする現像方法。
2.
前記現像装置において、前記現像剤供給ローラと前記現像剤案内部材との間に第1間隙を、前記現像ローラと前記現像剤案内部材との間に第2間隙をそれぞれ設け、
前記第1間隙、前記第2間隙を通過して前記現像剤整流空間から流出する現像剤搬送量Z、としたとき、X>(Y+Z)の関係を保って前記静電潜像を現像することを特徴とする前記1に記載の現像方法。
3.
前記現像剤整流空間が現像剤で満たされたとき、前記現像剤供給ローラから余剰に供給された現像剤を前記現像剤整流空間の入口部から前記現像剤攪拌搬送部材に流出させることを特徴とする前記1又は前記2に記載の現像方法。
4.
トナーとキャリアとを主成分とする二成分現像剤を用いて現像を行う現像装置であって、現像剤を担持して現像領域に搬送する現像ローラと、該現像ローラ上の現像剤搬送量を規制する現像剤量規制部材と、現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤攪拌搬送部材と、を有する現像装置において、
前記トナーは、
ガラス転位点Tgが20〜40℃、
ポリテトラフルオロエチレンとの界面付着力Frが1.0〜3.5Nであり、
前記現像装置は、
前記現像剤攪拌搬送部材の上方で、前記現像剤攪拌搬送部材の現像剤搬送方向下流側に配置した現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラと前記現像ローラとの間に架設され、前記現像剤供給ローラにより搬送される現像剤を前記現像ローラに案内する現像剤案内部材と、該現像剤案内部材の上方に配置された上蓋部材と、を有し、
前記現像ローラ、前記現像剤供給ローラ、前記現像剤案内部材、前記現像剤量規制部材及び前記上蓋部材により囲まれた現像剤整流空間を形成するように構成されるとともに、
前記現像剤供給ローラにより供給される現像剤搬送量X、
前記現像剤量規制部材により規制されて前記現像剤整流空間から前記現像ローラ上に搬送される現像剤搬送量Y、としたとき、X>Yの関係を保って現像を行うことを特徴とする現像装置。
5.
前記現像剤供給ローラと前記現像剤案内部材との間に第1間隙が、前記現像ローラと前記現像剤案内部材との間に第2間隙がそれぞれ設けられ、
前記第1間隙、前記第2間隙を通過して前記現像剤整流空間から流出する現像剤搬送量Z、としたとき、X>(Y+Z)の関係を保って現像を行うことを特徴とする前記4に記載の現像装置。
6.
前記現像剤整流空間が現像剤で満たされたとき、前記現像剤供給ローラから余剰に供給された現像剤を前記現像剤整流空間の入口部から前記現像剤攪拌搬送部材に流出させることを特徴とする前記4又は前記5に記載の現像装置。
7.
像担持体、該像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段及び前記像担持体上に形成された静電潜像を現像する前記4〜6のいずれか1項に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【0026】
前記1又は4の本発明では、低Tgトナー、即ち、トナーのガラス転移点(Tg)をTg=20〜40℃としたトナーにおいても、ポリテトラフルオロエチレンとの界面付着力(以下、Frと言う)を1.0〜3.5Nとすることで、現像器壁への付着性を抑え、高印字率での混合不良を解消することが可能となったのである。即ち、トナーと現像器壁との付着性を抑えることにより、現像剤の混合性を良好にし、現像器上面への移動をしやすくさせたことにより現像装置内おける現像剤の混合性を高めたのである。混合性を高めたことにより、帯電量の立ち上がりが良く、所望の帯電量が短時間で均一に行われることで均一な帯電量が得られる。その結果として、カブリ・トナー飛散の低減が可能となったのである。
【0027】
また、前記1又は4に記載の発明によれば、現像剤供給ローラと現像ローラとの間に形成された現像剤整流空間により、現像剤供給ローラにより搬送される現像剤が大量堆積されて現像ローラに現像剤を供給する事が可能であるから、スクリューピッチ斑が防止される。更に、現像剤供給ローラにより供給される現像剤搬送量X(g/sec)を、現像剤案内部材を通過し、現像剤量規制部材によし規制されて現像剤整流空間から現像ローラ上に搬送される現像剤搬送量Y(g/sec)より大きくする事により、連続して大量の現像処理を高速で行う場合、現像ローラへの現像剤の供給不足による現像濃度不良が防止されて画像濃度の均一性が向上するから、高画質の画像が得られたのである。
【0028】
前記2又は5に記載の発明によれば、現像剤整流空間において、現像剤供給ローラにより供給される現像剤搬送量X(g/sec)を、現像ローラ上に搬送される現像剤搬送量Y(g/sec)と、現像剤案内部材の両端部の間隙から流出する現像剤搬送量Z(g/sec)との和より大きくする事により、現像ローラへの現像剤の供給不足による現像濃度不良が防止されて画像濃度の均一性が向上するから、高画質の画像が得られたのである。
【0029】
前記3又は6に記載の発明によれば、現像剤整流空間が現像剤で満たされたとき、現像剤供給ローラから余剰に供給された現像剤が現像剤整流空間の入口部から現像剤攪拌搬送部材に流出するように現像剤整流空間と現像剤供給ローラとを形成する事により、現像剤整流空間に過剰な現像剤が充満する事がなく、安定した現像処理が行われる。
【0030】
前記4に記載の発明によれば、光書込手段により像担持体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像装置によりトナー像として可視像化し、該トナー像を記録媒体に転写する画像形成装置において、連続大量プリント時や高速プリント時に発生する画像濃度低下等の問題が解消され、高品質のプリント画像を出力する事が可能である。
【0031】
前記7に記載の発明によれば、カラー画像形成装置における各色の画像濃度を均一に保持し、高画質のカラー画像を得る事ができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明においては、現像剤供給ローラと現像ローラとの間に現像剤整流空間を設けることにより、大量堆積させた後に現像剤を現像ローラに供給するので、スクリューピッチ斑が防止される。特に、現像剤供給ローラにより供給される現像剤搬送量X(g/sec)を、現像剤案内部材を通過し、現像剤量規制部材により規制されて現像剤整流空間から現像ローラ上に搬送される現像剤搬送量Y(g/sec)より大きくする事により、連続してトナー消費割合の高い現像処理を高速で行う場合でも、現像ローラへの現像剤の供給不足による画像濃度低下が防止されて画像濃度の均一性が向上して、高画質の画像が得られる。
【0033】
また、本発明の現像方法では、低温定着性を満足させるためにトナーのガラス転移点をTg=20〜40℃とした現像器壁に付着しやすくなってしまったトナーにおいても、Frを1.0〜3.5Nとすることで、現像器壁への付着性を抑えられ、高印字率での混合不良を解消することが可能となったのである。即ち、トナーと現像壁との付着性を抑えることにより、現像剤の混合性を良好にし、現像器上面への移動をしやすくさせたことにより前記に記載した現像器において、現像剤の混合性を高めたのである。混合性を高めたことにより、帯電量の立ち上がりが良く、所望の帯電量が短時間で均一に行われることで均一な帯電量が得られる。その結果として、カブリ・トナー飛散の低減が可能となったのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施の形態に基づいて説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0035】
[画像形成装置]
図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の構成図である。
【0036】
画像形成装置Aは、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成部10Y,10M,10C,10Kと、ベルト状の中間転写体6と給紙装置20及び定着装置30とから構成されている。
【0037】
画像形成装置Aの上部には、画像読取装置SCが設置されている。原稿台上に載置された原稿は画像読取装置SCの原稿画像走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれる。ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、露光手段3Y,3M,3C,3Kに入力される。
【0038】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成部10Yは、像担持体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、露光手段3Y、現像装置4Y及びクリーニング手段5Yを有する。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成部10Mは、像担持体1M、帯電手段2M、露光手段3M、現像装置4M及びクリーニング手段5Mを有する。シアン(C)色の画像を形成する画像形成部10Cは、像担持体1C、帯電手段2C、露光手段3C、現像装置4C及びクリーニング手段5Cを有する。黒(K)色の画像を形成する画像形成部10Kは、像担持体1K、帯電手段2K、露光手段3K、現像装置4K及びクリーニング手段5Kを有する。
【0039】
帯電手段2Yと露光手段3Y、帯電手段2Mと露光手段3M、帯電手段2Cと露光手段3C及び帯電手段2Kと露光手段3Kとは、潜像形成手段を構成する。
【0040】
4Y,4M,4C,4Kはそれぞれ、静電潜像を現像してイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)のトナー像を形成する現像装置であり、前記各色のトナーとキャリアからなる二成分現像剤を収容する。
【0041】
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。
【0042】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に一次転写手段7Y,7M,7C,7Kにより逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【0043】
給紙装置20の給紙カセット21内に収容された記録材Pは、給紙手段(第1給紙部)22により給紙され、給紙ローラ23,24,25,26、レジストローラ(第2給紙部)27等を経て、二次転写手段9に搬送され、記録材P上にカラー画像が転写される。
【0044】
なお、画像形成装置Aの下部に鉛直方向に縦列配置された3段の給紙カセット21は、ほぼ同一の構成をなす。また、3段の給紙手段22も、ほぼ同一の構成をなす。給紙カセット21、給紙手段22を含めて給紙装置20と称す。
【0045】
カラー画像が転写された記録材Pは、定着装置30において記録材Pが挟持され、熱と圧力とを加えることにより記録材P上のカラートナー像(或いはトナー像)が定着されて記録材P上に固定され、排紙ローラ28に挟持されて機外の排紙トレイ29上に載置される。
【0046】
一方、二次転写手段9により記録材Pにカラー画像を転写した後、記録材Pを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング手段8により残留トナーが除去される。
【0047】
なお、画像形成装置Aの説明においては、カラー画像形成にて説明したが、モノクロ画像を形成する場合も本発明に含まれるものである。
【0048】
[現像装置の構成]
次に現像装置4Y,4M,4C,4Kについて図2を参照して説明するが、これら現像装置は同一の構造を有するので、現像装置4Y,4M,4C,4Kを現像装置4として説明し、現像装置4を構成する部品もY、M、C、Kの符号を付けないで説明する。更に、像担持体、帯電手段、露光手段についてもY、M、C、Kの符号をつけないで説明する。
【0049】
図2は、本発明の実施の形態に係る現像装置の正面断面図、図3は現像装置内にける現像剤の流れを示す現像装置の平面断面図である。
【0050】
現像装置4の筐体は下方の下部ケーシング40と、上方の上部ケーシング50とから成る二分割構成をなし、開閉可能である。
【0051】
現像装置4の下部ケーシング40内には、現像ローラ41、第1現像剤攪拌搬送部材(以下、第1攪拌部材と称す)43、第2現像剤攪拌搬送部材(以下、第2攪拌部材と称す)44、現像剤供給ローラ(以下、供給ローラと称す)45、現像剤案内部材(以下、ガイド部材と称す)46等が配置されている。
【0052】
第1攪拌部材43及び第2攪拌部材44はスクリューからなり、回転により現像剤を攪拌しながら回転軸方向に搬送する。
【0053】
下部ケーシング40は、第1攪拌部材43を収容する現像剤供給室401と、第2攪拌部材44を収容する現像剤攪拌室402とを形成する。現像剤供給室401と現像剤攪拌室402とは、下部ケーシング40の底部から直立した隔壁部403を挟んで両側に形成されている。
【0054】
現像ローラ41は回転可能な現像スリーブ41Aと固定された磁界発生手段(マグネットロール)41Bとから構成されている。
【0055】
現像スリーブ41Aと第1攪拌部材43との対向近接点において、現像スリーブ41Aは下方から上方に移動し、第1攪拌部材43は上方から下方に移動する。
【0056】
上部ケーシング50の内部の天井部には、現像剤量規制部材51を保持する上蓋部材52が固定されている。ガイド部材46の上面と、上部ケーシング50の内部の天井部に固定された上蓋部材52との間には、広い空間部が形成され、大量の現像剤を収容する事ができる。
【0057】
現像ローラ41は、静電潜像を担持する像担持体1に対向して配置され、図示しない駆動源により駆動回転される。現像スリーブ41Aには、現像バイアスとして交流電源E1による交流電圧と、直流電源E2による直流電圧とが重畳された現像バイアスが印加される。
【0058】
磁界発生手段41Bは、現像スリーブ41Aの内方に配置され、7極の磁極N1,N2,N3,S1,S2,S3,S4を有する。磁極N1は主磁極、磁極S1は剥取磁極、磁極S2は汲上磁極である。現像剤量規制部材51は磁界発生手段41Bの磁極N2の近傍に配置されている。
【0059】
磁界発生手段41Bの複数個の磁極のうち互いに隣接する2磁極S1,S2は、同極性に配置され反発磁界を形成している。現像剤剥ぎ取り用の剥取磁極S1は、現像スリーブ41A上の現像剤を剥ぎ取り飛散させる。即ち、前記反発磁界により、現像剤は磁極S1とS2との間で現像スリーブ41Aから離れる。現像剤受け入れ用の汲上磁極S2は、第1攪拌部材43により供給された現像剤を汲み上げて現像スリーブ41A上に付着させる。
【0060】
第1攪拌部材43は、第2攪拌部材44から搬送された現像剤を攪拌して搬送し、現像ローラ41に均一に供給する。第1攪拌部材43、第2攪拌部材44は何れも螺旋状のスクリュー部材である。
【0061】
第2攪拌部材44は第1攪拌部材43に平行配置され、トナー補給手段47から補給される新規トナーと現像スリーブ41Aから還流された現像剤とを混合、攪拌して第1攪拌部材43の上流部に搬送する。
【0062】
第1攪拌部材43は回転軸方向に現像剤を搬送するとともに、回転軸のほぼ直角方向に現像剤を放出する。
【0063】
現像装置4は、7極の固定磁石を有する磁界発生手段41Bを備えている。現像剤量規制部材51は磁性体より成り、現像スリーブ41A上の現像剤の層厚を規制する。供給ローラ45は回転する供給スリーブ45Aと5極の固定磁石N1,N2.N3.S1,S2を有する磁界発生手段45Bとを備え、第1攪拌部材43から搬送される現像剤を保持して現像スリーブ41Aに供給する。
【0064】
現像スリーブ41Aと第1攪拌部材43との対向近接点の近傍に、現像スリーブ41Aから剥ぎ取られて図2に示す白抜き矢印方向に搬送される下方の現像剤と、現像スリーブ41Aに供給される上方の現像剤とを隔てるとともに、供給ローラ45により搬送される現像剤を堆積して現像ローラ41に案内するガイド部材46を傾斜状に配置した。
【0065】
ガイド部材46は、非磁性材料、例えば、ABS樹脂等の合成樹脂、非磁性ステンレス鋼、アルミニウム合金、銅合金、セラミクス等により形成される。
【0066】
[現像剤の供給]
現像装置4の上部には、現像ローラ41、供給ローラ45、ガイド部材46、現像剤量規制部材51及び上蓋部材52とにより囲まれた広い現像剤整流空間Wが形成されている。
【0067】
ガイド部材46の一方の端部と供給ローラ45の外周面とが対向する部分には第1間隙G1が形成され、ガイド部材46の他方の端部と現像ローラ41の外周面とが対向する部分には第2間隙G2が形成されている。
【0068】
第1攪拌部材43の回転により掻き上げられた現像剤は、磁極を内蔵する供給スリーブ45Aの回転によって搬送され、ガイド部材46上を移動して、回転する現像ローラ41上によって搬送され、現像剤量規制部材51により現像剤高さが規制されて、像担持体1に対向する現像領域に搬送される。
【0069】
現像剤整流空間Wには大量の現像剤を収容する事が可能であるから、ベタ画像を連続して大量に高速で現像処理する場合でも、現像ローラ41への現像剤の供給不足による現像濃度不良が防止されて画像濃度の均一性が向上するから、高画質の画像が得られる。
【0070】
供給ローラ45により供給される現像剤搬送量X、ガイド部材46を通過して現像剤整流空間Wから現像ローラ41上に搬送される現像剤搬送量Yとし、X>Yの関係を有するように現像剤搬送量を設定する事により、ガイド部材46上の広い現像剤整流空間Wには、常に大量の現像剤が堆積され、現像ローラ41への現像剤の供給不足を生じる事はない。
【0071】
また、供給ローラ45とガイド部材46との間に第1間隙G1を、現像ローラ41とガイド部材46との間に第2間隙G2を設け、ガイド部材46上に過剰な現像剤が堆積すると、現像剤の一部は第1間隙G1、第2間隙G2を通過して現像剤整流空間Wから流出して第1攪拌部材43に戻される。このとき、第1間隙G1、第2間隙G2を通過する現像剤搬送量Z、としたとき、X>(Y+Z)の関係を有する。即ち、供給ローラ45から現像ローラ41に搬送される現像剤搬送量X−Yは、第1間隙G1、第2間隙G2を通過して現像剤整流空間Wから流出する現像剤搬送量Zより大きく、現像剤整流空間W内の現像剤量は増加傾向にあり、減少する事はない。
【0072】
更に、現像剤整流空間Wが現像剤で満たされたとき、供給ローラ45から余剰に供給された現像剤は現像剤整流空間Wの入口部の供給ローラ45から溢れ出して第1攪拌部材43にもどされる。
【0073】
現像剤搬送量Xは主磁極N1の位置における現像スリーブ41A上に付着している現像剤の単位面積当たりの質量に現像スリーブ41Aの線速を乗じた値として定義され、現像剤搬送量Yは供給スリーブ45Aの図2にける頂上に付着している現像剤の単位面積当たりの質量に供給スリーブ45Aの線速を乗じた値として定義され、それぞれ、現像スリーブ41A、供給スリーブ45Aに付着している現像剤を剥ぎ取ってその質量を計測することにより求められる。
【0074】
現像剤搬送量Zは第1、第2間隙G1、G2の下方に現像剤受けを配置して現像装置を作動させ、現像剤受けに落下した現像剤の質量を計測することにより求められる。
【0075】
[現像剤の循環搬送]
図3は現像装置4における現像剤の循環を示す模式図である。以下、現像剤の循環を説明する。
【0076】
(1) 現像剤攪拌室402の上流側において、現像剤供給室401から還流される現像剤と、トナー補給手段47から補給される新規トナーとが搬入され、第2攪拌部材44により攪拌、混合され、矢印V1で示す現像剤移動方向に搬送される。
【0077】
(2) 混合された現像剤は、現像剤攪拌室402の下流側の隔壁部403に形成された第1開口部404を通過して、矢印V2で示すように搬送され、現像剤供給室401の上流側に導入される。現像剤供給室401内において、現像剤は第1攪拌部材43により現像剤移動方向に搬送されつつ、矢印V3で示すように搬送される。
【0078】
(3) 第1攪拌部材43は回転軸方向に現像剤を搬送しつつ、矢印V4に示すように現像剤を供給ローラ45に放出する。
【0079】
(4) 供給ローラ45上に担持された現像剤は、ガイド部材46の傾斜面上に堆積される。
【0080】
(5) ガイド部材46上に堆積された現像剤は、回転する現像スリーブ41Aに担持されて、現像剤量規制部材51によって現像剤層厚が規制されて通過し、矢印V5で示すように搬送される。
【0081】
(6) 現像スリーブ41Aに担持された現像剤は、像担持体1と対向する現像剤領域において現像に使用される。現像によりトナーが奪われ、トナー濃度が低下した現像剤は、磁極S1、S2間の反発磁界により、現像ローラ41から剥ぎ取られる。
【0082】
(7) 剥ぎ取られた現像剤は、矢印V6に示すように現像剤供給室401内に搬入される。
【0083】
(8) 現像剤供給室401内に搬送された現像剤は、第1攪拌部材43によって矢印V7に示すように搬送され、隔壁部材403に形成された第2開口部405を通過して、矢印V8に示すように現像剤攪拌室402の上流側に導入される。
【0084】
(9) 現像剤攪拌室402において、図示しないトナー濃度センサのトナー濃度検知信号によりトナー補給手段47によるトナー補給が行われ、現像剤は矢印V1に合流する。
【0085】
現像剤は上述のような循環系で搬送され、現像剤供給室401と現像剤攪拌室402間を矢印V1〜V8で示すように循環して、現像が連続して行われる。
【0086】
[現像剤]
現像剤としては、トナーとキャリアを主成分とする二成分現像剤が用いられる。
【0087】
《トナーのガラス転移点》
トナーとしては、省エネルギーの観点から、低温定着を可能とするために、ガラス転移点Tgが20〜40℃のトナーが用いられる。
【0088】
ガラス転移点Tgが20℃よりも低いと、トナーの流動性が低下し、キャリアとの混合が十分でなくなり、帯電量の不足によりカブリが発生しやすくなる。また、40℃よりも高いと定着温度が高くなって、画像形成装置のエネルギー消費量が大きくなる。
【0089】
ガラス転移点Tgは、DSC−7示差走査カロリーメーター(パーキンエルマー社製)及びTACT/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)を用いて測定された値である。
【0090】
測定手順としては、トナー4.5mg〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KITNO.0219−0041)に封入し、DSC−7サンプルホルダーにセットする。なお、リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。
【0091】
測定条件としては、測定温度0℃〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、昇温−降温−昇温の温度制御を行い、2回目の昇温におけるデータを元に解析を行った。
【0092】
ガラス転移点は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点とした。
【0093】
トナーのガラス転移点を制御する手段としては、樹脂組成の選択と樹脂の分子量を制御する手段がある。例えば、低ガラス転移点の樹脂の組成を上げることにより、ガラス転移点を低くすることができるし、分子量を下げることによりガラス転移点を低くすることができる。
【0094】
樹脂組成を選択する手段がより好ましい。
【0095】
《トナーの界面付着力》
ガラス転移点Tg20〜40℃という値は通常のトナーの場合よりも低い。このために、トナーが画像形成装置の構成部品等にくっつきやすくなる。特に、定着ローラに対するくっつきが生じやすく、トナーを担持する記録材が定着ローラに巻き付く巻き付き現象が発生しやすくなる。
【0096】
定着ローラには、その表面にフッ素樹脂層を形成したものが一般的に用いられる。従って、定着ローラに対する巻き付き性は、トナーのポリテトラフルオロエチレン(以下PTFEと言う)に対する界面付着力Frを用いることにより、評価出来ることが分かった。そして、界面付着力Frを1.0〜3.5Nとすることにより巻き付きを防止することができた。
【0097】
また、界面付着力Frを1.0〜3.5Nとすることにより、現像剤の混合性を向上し、画像濃度ムラやカブリを防止することができる。更に好ましくは、界面付着力Frを1.0〜3.0Nとすることにより、カブリをより良好に防止することができる。
【0098】
本発明の記述において使用される界面付着力Frは次の方法により測定された値である。
【0099】
図4は、界面付着力Frを測定する測定装置の一例を示す模式図である。
【0100】
図4において、61は昇降軸、62はロードセル、63は断熱部材、64は加熱部材(パネルヒーター)、65はヘッド部、67は保持部材、68はトナーのペレット、69は当接面、70は取り付け部材、71はバネ、72は基台、73はデータ入力装置、74はデータ解析装置を示す。
【0101】
図5は、界面付着力Frを測定するヘッドの模式図である。
【0102】
図5において、81はFr測定用ヘッド部、82は円柱型ヘッド、83は熱電対、84は耐熱性両面テープ、85はPTFEでコートした部材を示す。
【0103】
測定装置は、例えば、図4に示すようなトナーペレット固定部材、引っ張り及び押圧部材(ヘッド)と、圧力及び温度をコントロールする制御装置という構成をとる。引っ張り強度試験機或いは伸長粘度測定装置に類する。
【0104】
測定に使用するトナーは、ペレット状にプレス成型したものを使用する。トナーペレットはプレス時変形するので、上面と下面の平行は保証されていないため、トナーペレット上面が装置の基準面に当接するようトナーペレットを下から押し上げる構成にしてある。
【0105】
又、圧力センサー(ロードセル)は熱に弱いため、3段階の断熱手段を施した。
【0106】
ヘッドの加熱には、パネルヒーターを用い、ヘッド内部に設置する熱電対で温度コントロールする。
【0107】
測定の準備としてまず、ヘッド部の円柱型ヘッド(径8mm、材質アルミニウムA5052)に耐熱性両面テープで、表面をPTFEでコートした部材を貼り付けた。
【0108】
PTFEでコートした部材とは、膜厚0.5mmのシリコンゴムに層厚20〜30μmのPTFEをコートした部材である。
【0109】
次に、断熱材に設けたねじ部に、加熱部材(パネルヒータ)を挟んで、上記ヘッドをねじ込み固定する。ヘッド部に設けた穴に熱電対を奧まで差し込み温度調節器「E5CN−RTC」(オムロン社製)をONにし、測定温度に設定する。測定前に、テトラヒドロフランでPTFE表面を拭き取り、トナーペレットを取り付ける。
【0110】
トナーペレットの作製は、内径34.5mmの円形の塩化ビニルリングに、温度24±1℃、湿度50±5%RHで24時間放置したトナー2gを入れ、粉体圧縮装置で150kgの圧力で10秒間圧縮させて行った。
【0111】
設定温度に到達した時点で、下記条件にて測定を開始し、ロードセルの電圧が最大となった値を読み、圧力換算した数値を界面付着力とする。
【0112】
ヘッド降下速度:1mm/sec
ヘッド押圧:0.1N
ヘッド押圧保持時間:1sec
ヘッド引き上げ速度:50mm/sec
測定環境:24±1℃、50±5%RH
尚、160〜180℃の界面付着力とは、測定温度160℃、170℃、180℃の3点で各々界面付着力測定を行い、その平均値をFr(160〜180℃)とした。
【0113】
ガラス転移点Tg及び界面付着力Frが前記の範囲にあるトナーとしては、低いTgのコア部と、高いTgのシェル部からなるコア・シェル構造のトナーが好ましい。そして、このようなトナーを作成する方法としては、乳化凝集法のトナー製造方法においては、樹脂粒子Aの凝集が有る程度進んだ段階(樹脂粒子Aの凝集は完結しない段階=凝集第1段階)で、樹脂粒子Aよりもガラス転移点(Tg)が高い樹脂粒子Bを添加し、更に凝集を進め凝集を完結(凝集第2段階)させることが有効である。
【0114】
高Tgの樹脂粒子Bの添加により、トナーの内部及び表面付近において局所的に高Tgの部分ができ、ミクロなスケールで樹脂粒子間融着が進みにくい箇所が存在し、その結果、トナー内部から表面へワックスが染み出す通路が確保でき、トナー画像表面にワックスが効果的に作用して、PTFEとの付着力が低下できたものと推測される。
【0115】
《トナーの粒径》
トナーとしては、体積基準におけるメディアン粒径(D50)で3〜8μmが好ましく、4〜7μmがより好ましい。
【0116】
体積基準におけるメディアン粒径(D50)の測定は、以下のようにして行う。
【0117】
「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用のコンピュータシステム(ベックマン・コールター社製)を接続した装置を用いて測定、算出する。測定手段としては、トナー0.02gを、界面活性剤溶液20g(トナーの分散を目的として、例えば界面活性剤を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)で馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、トナー分散液を作製する。このトナー分散液をサンプルスタンド内のISOTONII(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定濃度5〜10質量%になるまでピペットにて注入し、測定機カウントを25000個に設定して測定する。尚、アパチャー径は50μmのものを使用した。
【0118】
《トナーの作製》
次に、本発明のトナーの製造方法について説明する。
【0119】
トナーの製造方法としては、少なくとも結着樹脂と着色剤とを含有し、PTFEとトナーとの界面付着力が1.0〜3.5Nになるトナーが得られれば特に限定されものではなく、懸濁重合法、乳化会合法、分散重合法、溶解懸濁法、溶融法、混練粉砕法等を挙げることができる。
【0120】
具体的には、溶液媒体中で樹脂粒子Aを凝集させて粒子が成長している過程(樹脂粒子Aの凝集が完結しない段階)で、樹脂粒子Bを添加し、さらに凝集して粒子成長を継続させ、先に凝集した粒子に樹脂粒子Bを取り込み、所望の粒子径になった時点で凝集を完結するトナーの製造方法が好ましい。
【0121】
以下、乳化会合法にて本発明のトナーを製造する方法ついて説明する。
【0122】
〈乳化会合法〉
乳化会合法は、樹脂粒子を水系媒体中で凝集・融着させて調製する方法である。この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。即ち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、或いは樹脂及び着色剤等より構成される粒子を複数以上塩析、凝集、融着させる方法等により、本発明のトナーを形成することができる。
【0123】
本発明のトナーの製造方法においては、重合性単量体に離型剤を溶解或いは分散した後、水系媒体中に機械的に微粒分散させ、ミニエマルジョン重合法により重合性単量体を重合させる工程を経て形成した複合樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集・融着させる方法が好ましく用いられる。
【0124】
好ましいトナーの製造方法(乳化重合会合法)の一例について詳細に説明する。
【0125】
この製造方法には、
(1)離型剤をラジカル重合性単量体に溶解或いは分散する溶解/分散工程
(2)樹脂粒子Aの分散液を調製するための重合工程
(3)水系媒体中で樹脂粒子Aと着色剤粒子を融着させる第1の凝集工程
(4)さらに、樹脂粒子Bを添加し凝集を完結させる第2の凝集工程
(5)凝集粒子を熱エネルギーで融着してトナー母体(会合粒子)を得る融着工程
(6)トナー母体の分散液を冷却する冷却工程
(7)冷却されたトナー母体の分散液から当該トナー母体を固液分離し、当該トナー母体から界面活性剤などを除去する洗浄工程
(8)洗浄処理されたトナー母体を乾燥する乾燥工程
必要に応じ
(9)乾燥処理されたトナー母体に外添剤を添加する工程が含まれていてもよい。
【0126】
以下、各工程について説明する。
【0127】
〔溶解/分散工程〕
この工程は、ラジカル重合性単量体に離型剤を溶解或いは分散させて、当該離型剤のラジカル重合性単量体溶液を調製する工程である。
【0128】
〔重合工程〕
この重合工程の好適な一例においては、界面活性剤を含有した水系媒体中に、前記離型剤を溶解或いは分散含有したラジカル重合性単量体溶液を添加し、機械的エネルギーを加えて液滴を形成させ、次いで水溶性のラジカル重合開始剤からのラジカルにより当該液滴中において重合反応を進行させる。尚、前記水系媒体中に、核粒子として樹脂粒子を添加しておいても良い。
【0129】
この重合工程により、離型剤と結着樹脂とを含有する樹脂粒子が得られる。かかる樹脂粒子は、着色された粒子であってもよく、着色されていない粒子であってもよい。着色された樹脂粒子は、着色剤を含有する単量体組成物を重合処理することにより得られる。又、着色されていない樹脂粒子を使用する場合には、後述する融着工程において、樹脂粒子の分散液に、着色剤粒子の分散液を添加し、樹脂粒子と着色剤粒子とを融着させることでトナー母体とすることができる。
【0130】
〔凝集・融着工程〕
融着工程における融着の方法としては、重合工程により得られた樹脂粒子(着色又は非着色の樹脂粒子)を用いた凝集・融着法が好ましい。又、当該融着工程においては、樹脂粒子や着色剤粒子とともに、離型剤粒子や荷電制御剤などの内添剤粒子なども融着させることができる。
【0131】
具体的には、
(凝集第1段階)
樹脂粒子Aの凝集を開始し、目標の粒径まで粒子の成長を進める。
【0132】
例えば、体積基準におけるメディアン粒径(D50)6μmのトナーを作製する場合には、凝集第1段階では凝集粒子の粒径がトナー粒径の30〜70%に成長するまで凝集を進める。
【0133】
(樹脂粒子Bの添加)
トナー粒径の30〜70%に成長した段階で、樹脂粒子Bの分散液を添加する。
【0134】
尚、樹脂粒子Bの添加量は、樹脂粒子Aに対し10〜80質量%添加することが好ましい。
【0135】
(凝集第2段階)
樹脂粒子Bの分散液を添加した後、凝集をさらに進め、最終粒径まで粒子の成長を行う。この凝集第2段階で、樹脂粒子Aの凝集体中に樹脂粒子Bが取り込まれる。
【0136】
(熟成(融着)段階)
樹脂粒子Aの凝集体中に樹脂粒子Bが取り込まれた粒子を、熱エネルギーにより熟成を行い、樹脂粒子Bが凝集体粒子中に混在するトナー母体が得られる。
【0137】
尚、トナー母体とは、外部添加剤を添加しトナーとする前のものである。
【0138】
〔冷却工程〕
この工程は、前記トナー母体の分散液を冷却処理する工程である。冷却処理条件としては、1〜20℃/minの冷却速度で冷却する。冷却処理方法としては特に限定されるものではなく、反応容器の外部より冷媒を導入して冷却する方法や、冷水を直接反応系に投入して冷却する方法を例示することができる。
【0139】
〔固液分離・洗浄工程〕
この固液分離・洗浄工程では、上記の工程で所定温度まで冷却されたトナー母体の分散液から当該トナー母体を固液分離する固液分離処理と、固液分離されたトナーケーキ(ウェット状態にあるトナー母体をケーキ状に凝集させた集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0140】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナーケーキを乾燥処理し、乾燥されたトナー母体を得る工程である。この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。乾燥されたトナー母体の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。尚、乾燥処理されたトナー母体同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0141】
〔外添処理工程〕
この工程は、乾燥されたトナー母体に必要に応じ外添剤を混合し、トナーを作製する工程である。
【0142】
外添剤の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
【0143】
次に、トナーを構成する化合物(結着樹脂、着色剤、離型剤、荷電制御剤、外部添加剤)について説明する。
【0144】
(結着樹脂)
結着樹脂を構成する樹脂粒子A及び樹脂粒子Bを形成する重合性単量体としては、公知のものを使用することができる。具体的には、スチレンとアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体と、イオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。
【0145】
樹脂粒子を構成する重合性単量体として使用されるものは、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−クロロスチレン、3,4−ジクロロスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンの様なスチレン或いはスチレン誘導体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル等のメタクリル酸エステル誘導体、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニル等の、アクリル酸エステル誘導体、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン系ビニル類、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等のビニルエステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等のビニルケトン類、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等のN−ビニル化合物、ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸誘導体がある。これらビニル系単量体は単独或いは組み合わせて使用することができる。
【0146】
又、樹脂を構成する重合性単量体としてイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが更に好ましい。例えば、カルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基等の置換基を単量体の構成基として有するもので、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマール酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルフォン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフォン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレート等が挙げられる。
【0147】
更に、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等の多官能性ビニル類を使用して架橋構造の樹脂とすることもできる。
【0148】
これら重合性単量体はラジカル重合開始剤を用いて重合することができる。この場合、懸濁重合法では油溶性重合開始剤を用いることができる。この油溶性重合開始剤としては、2,2′−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンペルオキサイド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキサイド、t−ブチルヒドロペルオキサイド、ジ−t−ブチルペルオキサイド、ジクミルペルオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキサイド、ラウロイルペルオキサイド、2,2−ビス−(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンなどの過酸化物系重合開始剤や過酸化物を側鎖に有する高分子開始剤などを挙げることができる。
【0149】
又、乳化重合法を用いる場合には水溶性ラジカル重合開始剤を使用することができる。水溶性重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、アゾビスアミノジプロパン酢酸塩、アゾビスシアノ吉草酸及びその塩、過酸化水素等を挙げることができる。
【0150】
尚、樹脂粒子Bの形成には、樹脂粒子Aよりガラス転移点(Tg)が高くなるような重合性単量体を組み合わせて用いることが好ましい。
【0151】
本発明に係るガラス転移点(Tg)の測定は、示差走査カロリーメーター「DSC−7」(パーキンエルマー社製)、熱分析装置コントローラー「TAC7/DX」(パーコンエルマー社製)を用いて行うことができる。
【0152】
操作手順としては、測定サンプル4.5〜5.0mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パン(KitNo.0219−0041)に封入し、「DSC−7サンプルホルダー」にセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用した。測定条件としては、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分で、Heat−Cool−Heatの温度制御で行い、その2nd.Heatにおけるデータをもとに解析を行った。
【0153】
ガラス転移点は、第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1のピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間の最大傾斜を示す接線を引き、その交点をガラス転移点として示す。
【0154】
(着色剤)
本発明に用いられる着色剤は、公知の無機又は有機着色剤を使用することができる。具体的な着色剤を以下に示す。
【0155】
黒色の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0156】
又、マゼンタもしくはレッド用の着色剤としては、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0157】
又、オレンジもしくはイエロー用の着色剤としては、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
【0158】
又、グリーンもしくはシアン用の着色剤としては、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0159】
尚、これらの着色剤は必要に応じて単独もしくは2つ以上を選択併用しても良い。又、着色剤の添加量はトナー全体に対して1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%の範囲に設定するのが良い。
【0160】
(離型剤)
本発明に用いられる離型剤は、公知の化合物を用いることができる。
【0161】
このようなものとしては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどのポリオレフィンワックス、パラフィンワックス、サゾールワックスなどの長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、取りメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
【0162】
トナーに含有される離型剤の量は、トナー全体に対し1〜20質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
【0163】
(荷電制御剤)
本発明のトナーには、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、公知の化合物を用いることができる。
【0164】
(外部添加剤)
外部添加剤として使用できる無機粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタン微粒子、アルミナ微粒子及びこれらの複合酸化物等を好ましく用いることができる。これら無機粒子は疎水性であることが好ましい。
【0165】
外部添加剤として使用できる有機微粒子としては、個数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などのを挙げることができる。
【0166】
《キャリア》
本発明においては、トナーとキャリアを主成分とする現像剤が用いられるが、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の磁性粒子を用いることができる。特にフェライト粒子が好ましい。上記キャリアの粒子径は、20〜60μmが好ましく、25〜40μmがより好ましい。
【0167】
キャリアの粒子径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0168】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂によりコートされているもの、或いは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コート用の樹脂としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。又、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。これらの中では、スチレン−アクリル樹脂でコートしたコートキャリアが外部添加剤の離脱防止や耐久性を確保できより好ましい。
【実施例】
【0169】
[画像形成条件]
画像形成装置:A4判用紙、フルカラー、毎分51枚出力、タンデム型フルカラー複写機(コニカミノルタ8050(登録商標)、図1参照)
[像担持体]
VH電位:−250〜−900V
VL電位:−40〜−150V
[現像条件]
上記評価機に図2に示した現像装置を装着し、下記条件にて評価を実施した。
【0170】
現像スリーブ41A:直径φ30mm、回転数382rpm
供給ローラ45:直径φ16mm、回転数200rpm
磁界発生手段41Bの磁極配置:7極(図2参照)
第1攪拌部材43、第2攪拌部材44:外径φ30mm、回転軸の直径φ8mm、回転数:600rpm
螺旋羽根の高さH:11mm
供給ローラ45、ガイド部材46間の第1間隙G1:1mm
現像ローラ41、ガイド部材46間の第2間隙G2:1mm
現像ローラ41上の現像剤搬送量Y’:200g/m2
現像ローラ41の単位時間当たりの現像剤搬送量Y:38.4g/sec
尚、供給ローラ45の単位時間当たりの現像剤搬送量X(g/sec)を表1に記載の条件に変更可能とし、現像条件1〜4とした。
【0171】
【表1】

【0172】
[現像バイアス印加手段]
DCバイアス(E2):−200〜−700V、
ACバイアス(E1):0.5〜−2.0kvpp、2〜7kHz
ガイド部材46に対向する現像ローラ41及び供給ローラ45の磁力:5mT
[現像剤]
[トナー用母体粒子1の作成]
(樹脂粒子Aの製造)
第一段重合
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム8gをイオン交換水3Lを仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、攪拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子(1H)」とする。
【0173】
スチレン 480g
n−ブチルアクリレート 250g
メタクリル酸 68.0g
n−オクタンチオール 16.0g
第二段重合
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム7gをイオン交換水800mlに溶解させた溶液を仕込み、98℃に加熱後、前記樹脂粒子(1H)を260gと、下記単量体溶液を90℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機CLEARMIX(エム・テクニック(株)製)により、1時間混合分散させ、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
【0174】
スチレン 223g
n−ブチルアクリレート 142g
n−オクタンチオール 1.5g
ポリエチレンワックス(融点70℃) 190g
次いで、この分散液に、過硫酸カリウム6gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を82℃にて1時間にわたり加熱攪拌することにより重合を行い、樹脂粒子を得た。これを「樹脂粒子(1HM)」とする。
【0175】
第三段重合
さらに、過硫酸カリウム11gをイオン交換水400mlに溶解させた溶液を添加し、82℃の温度条件下に、
スチレン 405g
n−ブチルアクリレート 162g
メタクリル酸 33g
n−オクタンチオール 8g
からなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱攪拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却し樹脂粒子を得た。これを「樹脂粒子A」とする。
【0176】
樹脂粒子Aを一部採取し洗浄乾燥後測定したところTgは21℃であった。
【0177】
(樹脂粒子Bの製造)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、ドデシル硫酸ナトリウム2.3gをイオン交換水3Lを仕込み、窒素気流下230rpmの攪拌速度で攪拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10gをイオン交換水200gに溶解させたものを添加し、再度液温80℃とし、下記単量体混合液を1時間かけて滴下後、80℃にて2時間加熱、攪拌することにより重合を行い、樹脂粒子を調製した。これを「樹脂粒子B」の分散液とする。
【0178】
スチレン 520g
n−ブチルアクリレート 210g
メタクリル酸 68.0g
n−オクタンチオール 16.0g
樹脂粒子Bの分散液を一部採取し洗浄乾燥後測定したところTgは48℃であった。
【0179】
(着色剤分散液の作製)
ドデシル硫酸ナトリウム90gをイオン交換水1600mlに攪拌溶解した。この溶液を攪拌しながら、C.I.ピグメントブルー15:3を420g徐々に添加し、次いで、攪拌装置「クレアミックス」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。これを、「着色剤分散液1」とする。この着色剤分散液1における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、110nmであった。
【0180】
(凝集・融着工程)
攪拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、樹脂粒子Aを固形分換算で300gと、イオン交換水1400gと、「着色剤分散液1」120gと、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム3gをイオン交換水120mlに溶解させた溶液を仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。次いで、塩化マグネシウム35gをイオン交換水35mlに溶解した水溶液を、攪拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて90℃まで昇温し、90℃を保持したまま粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」にて会合粒子の粒径を測定し、体積基準におけるメディアン径が3.1μmになった時点で、樹脂粒子Bの分散液を260g添加し、さらに粒子成長反応を継続させた。所望の粒子径になった時点で、塩化ナトリウム150gをイオン交換水600mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、融着工程として液温度98℃にて加熱攪拌することにより、FPIA−2100による測定で円形度0.965になるまで、粒子間の融着を進行させた。その後、液温30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを4.0に調整し、攪拌を停止した。
【0181】
(洗浄・乾燥工程)
凝集・融着工程にて生成した粒子をバスケット型遠心分離機「MARKIII型式番号60×40」(松本機械(株)製)で固液分離し、トナー母体粒子のウェットケーキを形成した。該ウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで45℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」(セイシン企業社製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥してトナー用母体粒子1を作製した。
【0182】
[トナー用母体粒子2の作成]
トナー用母体粒子1の作製において、樹脂粒子Aの第2段重合の重合単量体質量をスチレン245g、n−ブチルアクリレートを120gに、第3段重合の重合単量体質量をスチレン423g、n−ブチルアクリレートを144g、メタクリル酸を33gに変更した以外は同様にしてトナー用母体粒子2を作製した。
【0183】
[トナー用母体粒子3の作成]
トナー用母体粒子1の作製において、樹脂粒子Aの第2段重合の重合単量体質量をスチレン263g、n−ブチルアクリレートを102gに、第3段重合の重合単量体質量をスチレン423g、n−ブチルアクリレートを144g、メタクリル酸を33gに変更した以外は同様にしてトナー用母体粒子3を作製した。
【0184】
[トナー用母体粒子4の作成]
トナー用母体粒子1の作製において、樹脂粒子Aの第2段重合の重合単量体質量をスチレン274g、n−ブチルアクリレートを91gに変更し、(凝集・融着工程)において樹脂粒子Bの分散液の添加量を300gに変更する以外は同様にしてトナー用母体粒子4を作製した。
【0185】
[トナー用母体粒子5の作成]
トナー用母体粒子1の作製において、(凝集・融着工程)において樹脂粒子Bを添加しない以外は同様にしてトナー用母体粒子5を作製した。
【0186】
[トナー1〜5の作成]
上記で得られたトナー用母体粒子1〜5にそれぞれ、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)を1質量%、疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)を0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合して、トナー1〜5を作製した。トナー1〜5について、前述した測定方法にてTg,Frを測定した値を表2に示す。
【0187】
【表2】

【0188】
[現像剤の作成]
表1に記載のトナー粒子の各々に対してシリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径40μmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6%の現像剤1〜5を調製した。尚、現像装置に充填する現像剤量は800gとした。
【0189】
[実写評価]
前述した画像形成装置に、表3に示す現像条件とトナーを用いて画像形成を行った。
【0190】
印字率40%(2cm×2cmのベタ画像部を含む)の画像を温度=20℃、相対湿度=50%RHの環境において50000枚プリントした後、下記の評価を行った。
【0191】
[画像濃度ムラ]
評価形成画像50、000枚目のベタ画像部において、画像の四隅と中央部の合計5ヶ所について、白紙に対する出力画像の相対反射濃度を測定し、その最大値と最小値の差分を濃度ムラとした。なお、濃度ムラは0.05以内は良好であるとした。また、評価は複写終了時に行った。
○:0.05以下
×:0.05より大きい値
[カブリ]
カブリ濃度の測定は、まず印字されていない白紙について、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、白紙濃度とする。次に評価形成画像50、000枚目の白地部分について、同様に20ヶ所の絶対画像濃度を測定して平均し、この平均濃度から白紙濃度を引いた値をカブリ濃度として評価した。
【0192】
カブリ濃度が0.010以下であれば、カブリは実用的に問題ないといえる。
◎:0.003未満
○:0.003〜0.006未満
△:0.006〜0.010以下
×:0.010より大きい値
評価結果を表3に示す。
【0193】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】本発明に係る画像形成装置の構成図。
【図2】本発明に係る現像装置の実施の形態を示す断面図。
【図3】現像装置における現像剤の循環を示す模式図。
【図4】界面付着力Frと内部凝集力(Ft)を測定する測定装置の一例を示す模式図である。
【図5】界面付着力Frを測定するヘッドの模式図である。
【符号の説明】
【0195】
4,4Y,4M,4C,4K 現像装置
40 下部ケーシング
401 現像剤供給室
402 現像剤攪拌室
41 現像ローラ
43 第1現像剤攪拌搬送部材(第1攪拌部材)
44 第2現像剤攪拌搬送部材(第2攪拌部材)
45 現像剤供給ローラ(供給ローラ)
46 現像剤案内部材(ガイド部材)
50 上部ケーシング
51 現像剤量規制部材
52 上蓋部材
A 画像形成装置
G1 第1間隙
G2 第2間隙
W 現像剤整流空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーとキャリアとを主成分とする二成分現像剤を収容する現像装置を用いて、像担持体上の静電潜像を現像する現像方法において、
前記トナーは、
ガラス転移点Tgが20〜40℃、
ポリテトラフルオロエチレンとの界面付着力Frが1.0〜3.5Nであり、
前記現像装置は、
前記二成分現像剤を担持して現像領域に搬送する現像ローラと、該現像ローラ上の現像剤搬送量を規制する現像剤量規制部材と、現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤攪拌搬送部材と、前記現像剤攪拌搬送部材の上方で、前記現像剤攪拌搬送部材の現像剤搬送方向下流側に配置した現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラと前記現像ローラとの間に架設され、前記現像剤供給ローラにより搬送される現像剤を前記現像ローラに案内する現像剤案内部材と、該現像剤案内部材の上方に配置された上蓋部材と、を有し、
前記現像ローラ、前記現像剤供給ローラ、前記現像剤案内部材、前記現像剤量規制部材及び前記上蓋部材により囲まれた現像剤整流空間を形成するように構成するとともに、
前記現像剤供給ローラにより供給される現像剤搬送量X、
前記現像剤量規制部材により規制されて前記現像剤整流空間から前記現像ローラ上に搬送される現像剤搬送量Y、
としたとき、X>Yの関係を保って前記静電潜像を現像することを特徴とする現像方法。
【請求項2】
前記現像装置において、前記現像剤供給ローラと前記現像剤案内部材との間に第1間隙を、前記現像ローラと前記現像剤案内部材との間に第2間隙をそれぞれ設け、
前記第1間隙、前記第2間隙を通過して前記現像剤整流空間から流出する現像剤搬送量Z、としたとき、X>(Y+Z)の関係を保って前記静電潜像を現像することを特徴とする請求項1に記載の現像方法。
【請求項3】
前記現像剤整流空間が現像剤で満たされたとき、前記現像剤供給ローラから余剰に供給された現像剤を前記現像剤整流空間の入口部から前記現像剤攪拌搬送部材に流出させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像方法。
【請求項4】
トナーとキャリアとを主成分とする二成分現像剤を用いて現像を行う現像装置であって、現像剤を担持して現像領域に搬送する現像ローラと、該現像ローラ上の現像剤搬送量を規制する現像剤量規制部材と、現像剤を攪拌しながら搬送する現像剤攪拌搬送部材と、を有する現像装置において、
前記トナーは、
ガラス転位点Tgが20〜40℃、
ポリテトラフルオロエチレンとの界面付着力Frが1.0〜3.5Nであり、
前記現像装置は、
前記現像剤攪拌搬送部材の上方で、前記現像剤攪拌搬送部材の現像剤搬送方向下流側に配置した現像剤供給ローラと、該現像剤供給ローラと前記現像ローラとの間に架設され、前記現像剤供給ローラにより搬送される現像剤を前記現像ローラに案内する現像剤案内部材と、該現像剤案内部材の上方に配置された上蓋部材と、を有し、
前記現像ローラ、前記現像剤供給ローラ、前記現像剤案内部材、前記現像剤量規制部材及び前記上蓋部材により囲まれた現像剤整流空間を形成するように構成されるとともに、
前記現像剤供給ローラにより供給される現像剤搬送量X、
前記現像剤量規制部材により規制されて前記現像剤整流空間から前記現像ローラ上に搬送される現像剤搬送量Y、としたとき、X>Yの関係を保って現像を行うことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
前記現像剤供給ローラと前記現像剤案内部材との間に第1間隙が、前記現像ローラと前記現像剤案内部材との間に第2間隙がそれぞれ設けられ、
前記第1間隙、前記第2間隙を通過して前記現像剤整流空間から流出する現像剤搬送量Z、としたとき、X>(Y+Z)の関係を保って現像を行うことを特徴とする請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤整流空間が現像剤で満たされたとき、前記現像剤供給ローラから余剰に供給された現像剤を前記現像剤整流空間の入口部から前記現像剤攪拌搬送部材に流出させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の現像装置。
【請求項7】
像担持体、該像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段及び前記像担持体上に形成された静電潜像を現像する請求項4〜6のいずれか1項に記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−70421(P2008−70421A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246464(P2006−246464)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】