説明

現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】簡単な構成により確実に現像剤の凝縮による現像槽内面や搬送部材への付着を防止して現像剤の安定供給を可能とし、画像濃度ムラなどの弊害を確実に防止できる新規な構成を備えた現像装置を提供する。
【解決手段】潜像担持体に対向して現像剤を表面に担持する現像剤担持体3B1と現像剤担持体3B1に向けて現像剤を供給する現像剤供給部材3B2と現像剤の一様な拡散搬送を行う現像剤攪拌部材3B3とが配置されている空間を有する現像剤供給部3Bにおいて、現像剤攪拌部材3B3は、回転可能なスクリューオーガで構成され、該スクリューオーガの回転軸3B30外周面には、伸縮可能なコイル20が装填され、回転時に発生する現像剤との接触時に生起される摩擦力によって伸縮することで回転軸3B30の軸方向に振動することを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関し、さらに詳しくは、トナーの凝縮による供給不良を防止するための構成に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を用いる複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置や印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体に形成された静電潜像が現像装置から供給されるトナーによって可視像処理される。
【0003】
画像形成装置には、単一の潜像担持体を用いて単一色の画像を形成する方式に加えて、色毎の作像部に潜像担持体およびこれに対する画像形成処理を行う帯電装置、現像装置およびクリーニング装置を備え、各作像部で形成された色画像を中間転写体あるいは各作像部を移動する転写材に対して重畳転写する方式がある。
後者の方式の代表的なものとして、各作像部を中間転写体あるいは転写材の搬送部材として用いられるベルトの展張方向に沿って並置したタンデム方式が一般に知られている。
【0004】
各作像部に配置されている現像装置は、潜像担持体に対して表面に担持した現像剤を接触させる現像スリーブと現像スリーブに対して現像剤を供給する供給部材およびこれら現像スリーブや供給部材が配置されている現像槽内に収容されている現像剤を攪拌する攪拌部材を備えている。
【0005】
現像槽内でのトナーの不足が生じた場合には現像槽の上部に配置されているトナー補給槽からトナーが補給されて現像槽内での現像剤濃度を一定に維持するようになっている。
【0006】
ところで、現像剤は現像槽内に収容されて攪拌部材によって攪拌され、攪拌時に摩擦帯電されることで所定の帯電特性を設定されるが、現像剤の量や貯留期間の長さによっては、堆積している現像剤の凝縮が発生し、現像剤の円滑な流動性が損なわれて供給不良が発生することがある。
【0007】
特に、現像剤の残量が多い状態で攪拌部材が停止されてしまうような場合には現像剤の重量によって押し固められて凝縮しやすい状況となる。
【0008】
現像剤の凝縮は、流動性を損ねるだけでなく、現像剤の搬送部材として用いられる部材の表面や現像剤の収容部内壁面への付着も招き、これにより、一部に滞留している現像剤の帯電特性が悪化したり、部材の駆動源への負荷増大につながる虞がある。
【0009】
特に、現像剤として、トナーへの摩擦帯電のために混合攪拌を必要とする二成分系現像剤に代えてキャリアを含まない一成分系現像剤を用いる場合には、二成分系現像剤と違って常時攪拌混合する必要がないため、上述した不具合が起こりやすい。つまり一成分系現像剤の場合には、現像スリーブに擦りつける際あるいは層厚規制部材との衝突時を利用してトナーの摩擦帯電が行われることから、敢えて、攪拌混合するような操作を必要としない。このため、常時攪拌混合しないことにより現像剤の堆積状態が継続されることにより上述した凝縮が起こりやすくなる。
【0010】
現像剤に用いられるトナーの凝縮を起こす原因としては、最近用いられるようになってきているオイルレス定着(オフセット防止のための離型剤をなるべく使用しない定着)、あるいは低温定着を可能にするためのワックスなどを含んだトナーがある。このようなトナーは、比較的柔らかく、粘性などによりトナー間での付着力が高いことから、凝縮しやすく、これらの機能性トナーを用いる際には却って凝縮の問題が顕著となる。
【0011】
現像装置内で現像剤の凝縮が発生すると、現像槽内面や搬送部材の表面に現像剤が付着しやすくなり、付着した現像剤、特にトナーは、摩擦帯電不良を起こしたり、搬送部材の質量増加による駆動トルクの増加を招く。
【0012】
そこで、従来ではこのような凝縮の原因となる大量の現像剤の貯留を避けるために、現像槽と補給トナーを収容しているトナー補給槽とを分離し、補給時のみ現像槽へのトナーの供給を行うようにした構成(例えば、特許文献1)、あるいは、現像スリーブと供給ローラとを水平方向に並置してこれら部材に接触する現像剤が重力により凝縮しないようにした構成(例えば、特許文献2)、さらには、現像槽内に配置されている搬送部材の表面に接触する弾性部材を設けて搬送部材表面に付着した現像剤を弾いて除去するようにした構成(例えば、特許文献3)、また、搬送部材への現像剤付着を防止するために搬送部材として用いられる羽根部材の形状を楕円や半月状とした構成(例えば、特許文献4)がある。
【0013】
【特許文献1】特開平10−20640号公報
【特許文献2】特開2005−148446号
【特許文献3】特開平5−224562号公報
【特許文献4】特開2001−42623号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
現像槽とトナー補給槽とを分離した構成や水平方向に現像スリーブと供給部材とを並置した構成においては、現像槽内に残留する現像剤の量によっては凝縮が発生する虞が未だ残されたままであり、弾性部材により搬送部材表面に付着した現像剤を除去する構成では、弾性部材の接触による駆動トルクの増加は否めず、さらに、搬送部材の形状を変更した場合には正規の搬送量を確保することができなくなる虞がある。
【0015】
いずれの場合にも、簡単な構成により確実に現像剤の凝縮を防止して供給が不安定となることが原因する画像濃度ムラなどを防止するには至っていないのが現状である。
【0016】
そこで、本発明は、上記従来の現像装置における問題に鑑み、簡単な構成により確実に現像剤の凝縮による現像槽内面や搬送部材への付着を防止して現像剤の安定供給を可能とし、画像濃度ムラなどの弊害を確実に防止できる新規な構成を備えた現像装置およびこれを用いるプロセスカートリッジおよび画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この目的を達成するため、本発明は次の構成よりなる。
(1)潜像担持体に形成された静電潜像を可視像処理するために用いられる現像装置であって、
前記潜像担持体に対向して現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に向けて現像剤を供給する現像剤供給部材とが配置されている空間を有する現像剤供給部と、
前記現像剤供給部に対して仕切り部を介して接続され、該仕切り部に設けられている連通部を通して収容している現像剤を循環可能な現像剤収容部と、
前記現像剤供給部内に設けられ、収容されている現像剤を一様に分散するように攪拌しながら搬送する現像剤攪拌部材とを備え、
前記現像剤攪拌部材は、回転可能なスクリューオーガで構成され、該スクリューオーガの回転軸外周面には、伸縮可能なコイルが装填され、回転時に発生する現像剤との接触時に生起される摩擦力によって上記コイルが伸縮することで回転軸の軸方向に振動することを特徴とする現像装置。
(2)前記コイルは、前記スクリューオーガの回転軸外周面との間に隙間が設けられて装填されていることを特徴とする(1)に記載の現像装置。
(3)前記コイルは、前記スクリューオーガの回転に合わせて収縮変形し、該収縮変形による縮径状態を、軸方向端部に対応する前記現像剤供給部内面に配置された突起に衝合することで拡径されると収縮状態から伸張状態に復帰する構成であることを特徴とする(1)または(2)に記載の現像装置。
(4)前記突起は、前記コイルの端部内面が乗り上げることができる傾斜面を備えていることを特徴とする(3)に記載の現像装置。
(5)前記スクリューオーガは正逆回転可能であることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の現像装置。
(6)潜像担持体に形成された静電潜像を可視像処理するために用いられる現像装置であって、
前記潜像担持体に対向して現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に向けて現像剤を供給する現像剤供給部材とが配置されている空間を有する現像剤供給部と、
前記現像剤供給部に対して仕切り部を介して接続され、該仕切り部に設けられている連通部を通して収容している現像剤を循環可能な現像剤収容部と、
前記現像剤供給部内に設けられ、収容されている現像剤を一様に分散するように攪拌搬送するスクリューオーガからなる現像剤攪拌部材と、該スクリューオーガの回転軸外周面に装填されているコイルとを備え、
前記仕切り部に設けられている連通部は、前記スクリューオーガの軸方向に複数設けられ、少なくとも一つが、前記スクリューオーガの軸方向中央に設けられ、
前記コイルは、前記スクリューオーガの軸方向中央を境にして異なる方向に捲装されていることを特徴とする現像装置。
(7)前記コイルは、前記スクリューオーガの軸方向で中央にて連結されていることを特徴とする(6)に記載の現像装置。
(8)前記コイルは、形状記憶合金で構成されていることを特徴とする(1)乃至(3)、6または7のいずれかに記載の現像装置。
(9)(1)乃至(8)のいずれかに記載の現像装置および少なくとも現像対象となる静電潜像を担持した潜像担持体を纏めて収容するハウジングを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
(10)(9)に記載のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、現像剤供給部に配置されている現像剤供給搬送部材として用いられるスクリューオーガの回転軸外周面に伸縮可能なコイルを備えているので、コイルがスクリューオーガと連動して回転する時に受ける現像剤からの反力により収縮すると縮径し、この縮径状態が開放されると拡径して元の状態に伸張して復帰することになる。従って、コイルの伸縮を繰り返すことで振動を生起させることができる。これにより、現像剤供給部の内面や現像剤の攪拌搬送するために用いる部材に付着している現像剤をコイルの振動により剥落させて付着が発生するのを抑制することができる。この結果、現像剤の凝縮が解消されて現像剤の供給不良を解消することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明による現像装置を用いる画像形成装置を示す図であり、同図に示されている画像形成装置は、色毎の作像部(図1中、符号Y,C,M,Kで色区分を表示している)を中間転写体として用いられる転写ベルトの展張方向に沿って並置したタンデム方式が用いられている。
【0020】
図1において、画像形成装置は、各作像部での構成を同じにするものであり、代表してブラック(図1中、符号Kで示す作像部)を対象としてその構成を説明すると次の通りである。
作像部Kには、潜像担持体であるドラム状の感光体1が回転可能に設けられており、感光体1の周囲には、感光体1の回転方向に沿って画像形成処理を実行するための帯電装置2,現像装置3,クリーニング装置4が配置されており、これら各装置は、感光体とともに纏めてプロセスカートリッジ5に収容されている。
【0021】
感光体1は、帯電装置2による所定バイアスを介して所定極性の一様帯電が行われると、書き込み装置6を用いて画像情報に応じた静電潜像が形成され、静電潜像が、現像装置3から供給される現像剤によって可視像処理されてトナー像を形成される。
【0022】
トナー像は、中間転写装置7に装備されている転写ベルト7Aを挟んで感光体1に対向する1次転写装置8によって転写ベルト7Aに対して転写される。
1次転写装置8を用いた1次転写工程までの処理は、複数色の画像形成を行う場合、各作像部において同様に行われ、感光体1に担持されているトナー像が転写ベルト7Aの移動に伴い順次転写されて重畳される。
転写ベルト7A上に順次転写された重畳画像は、2次転写装置9を介して給紙装置(図示されず)から繰り出された転写材Sに対し一括転写され、転写後の転写材Sが定着装置10に搬送されてトナー像が定着される。
転写後の感光体1および転写ベルト7Aは、クリーニング装置4および11によって残留トナーを除去される。
【0023】
図2は、ブラック(K)画像を対象とするプロセスカートリッジ5の拡大図であり、同図において現像装置3は、一成分系現像剤を用いる構成が対象とされており、補給トナーが収容された現像剤収容部に相当する補給トナー槽3Aと、補給トナー槽3Aの下方に配置されて現像剤を感光体1に供給する現像剤供給部に相当する現像槽3Bとを備えている。
【0024】
現像剤収容部である補給トナー槽3A(以下、補給トナー槽とだけいう場合もある)と現像剤供給部である現像槽3B(以下、現像槽とだけいう場合もある)とは仕切り部3Cによって空間を仕切られており、仕切り部3Cには、図2を示す紙面と直角な方向に沿って複数の連通部3C1が形成されている。
【0025】
補給トナー槽3Aの内部には、仕切り部3Cにおける連通部3C1の近傍にスクリューオーガを用いる現像剤搬送部材3A1が回転可能に配置されており、現像剤搬送部材3A1は、図示しないが、現像槽3B内での現像剤濃度を検知するセンサからの信号により現像剤濃度が低下した場合に回転始動されて補給トナー槽3Aからトナーを補給するようになっている。なお、現像剤搬送部材3A1としては、スクリューオーガに限らず、搬送ベルト、コイル状の回転体等の搬送機能を有するものや、それらと羽根のような板部材や針金を曲げて構成したパドルのようなもの等の攪拌機能を有するものを組み合わせたものでも良い。また、現像剤の搬送方向が該現像剤搬送部材3A1の回転弧に対して法線方向に現像剤を搬送する構成としても良い。
【0026】
現像槽3Bの内部には、感光体1に対峙して表面に現像剤を担持する現像剤担持体としての現像スリーブ3B1と、現像スリーブ3B1に対して現像槽3B内の現像剤を供給する現像剤供給部材3B2と、補給トナー槽3Aからのトナーを攪拌しながら現像槽3B内で一様に拡散させる現像剤攪拌部材3B3と、現像剤担持体3B1に担持される現像剤の層厚を規定するドクターブレードからなる層厚規制部材3B4と、現像スリーブ3B1の近傍に配置されて現像槽3B内からの現像剤の漏洩を防止するシール部材3B5とが備えられている。
【0027】
現像スリーブ3B1は、弾性ゴム層を被覆したローラが用いられ、さらに表面には現像剤と逆の極性に帯電し易い材料からなる表面コート層が設けられている。
弾性ゴム層は、感光体1との接触状態を均一に保つために、JIS−Aで50度以下の硬度に設定され、さらに現像バイアスを作用させるために10〜1010Ω程度の電気抵抗値が設定される。さらに、表面粗さとして、Raで0.2〜2.0μmに設定され、必要量の現像剤が表面に保持されるようになっている。現像スリーブ3B1は、図2において反時計回りの方向に回転し、表面に保持した現像剤を層規制部材3B4および感光体ドラム2との対向位置へと搬送する。
【0028】
現像剤供給部材3B2は、表面に空孔(セル)を有した構造の発泡材料が被覆されたローラであり、現像槽3B内に導入された現像剤を効率よく付着させて取り込むと共に、現像スリーブ3B1との当接部での圧力集中によるトナー劣化を防止するようになっている。上述した発泡材料は、10〜1014Ωの電気抵抗値に設定される。
現像剤供給部材3B2には、現像スリーブ3B1に印加されている電位に対して現像剤の帯電極性と同極性にオフセット電圧が供給バイアスとして印加されている。この供給バイアスは、現像スリーブ3B1との当接部で予備帯電された現像剤を現像スリーブ3B1に押し付ける方向に作用する。ただし、現像剤供給部材3B2に印加する電圧の極性はこれに限ったものではなく、現像剤の種類によっては現像スリーブ3B1と同電位もしくは極性を反転させてもよい。
【0029】
現像剤供給部材3B2は、図2において反時計回りの方向に回転し、表面に付着させた現像剤を現像スリーブ3B1の表面に塗布供給するようになっている。
【0030】
層厚規制部材3B4は、SUS304CSPやSUS301CSPまたはリン青銅等の金属板バネ材料が用いられ、自由端側を現像スリーブ3B1の表面に10〜100N/mの押圧力で当接させており、その押圧力が作用する位置を通過した現像剤を薄層化すると共に摩擦帯電によって電荷を付与する。さらに層厚規制部材3B4には、摩擦帯電を補助するために、現像スリーブ3B1に印加した電位に対して現像剤の帯電極性と同極性にオフセットさせた電圧が規制バイアスとして印加される。
【0031】
現像装置3では、現像スリーブ3B1が感光体1との対向位置で同方向に回転する回転方向を設定されて回転するようになっており、現像スリーブ3B1表面で層厚を規制されて薄層化された現像剤が感光体1との対向位置に搬送され、現像スリーブ3B1に印加されている現像バイアスと感光体1上の静電潜像における潜像電界とに応じて現像剤が感光体1の静電潜像上に静電吸着されるようになっている。
【0032】
図3は、現像装置3における仕切り部3C近傍の構成を正面から示した断面図であり、同図において、仕切り部3Cをはさんで上部には現像剤収容部としての補給トナー槽3Aが、そして下部には現像剤供給部としての現像槽3Bが位置している。
【0033】
図3において、現像槽3B内に配置されている現像剤攪拌部材3B3は、スクリューオーガ(以下、スクリューオーガ3B3と称する場合もある)で構成されており、そのリード方向(螺旋方向)に応じて仕切り部3Cに形成されている連通部3C1の一方から現像槽3B内に導入される現像剤を現像槽3B内で攪拌しながら搬送するとともに、連通部3C1の他方から現像剤を補給トナー槽3Aに向けて環流させるようになっている。連通部3C1の他方側、つまり、現像槽3B側から現像剤が補給トナー槽3Aに向け環流する位置に設けてある連通部3C1では、現像剤攪拌部材3B3の回転により現像剤が集約して盛り上がった状態となるので、補給トナー槽3A側の現像剤が落下するようなことが防がれており、これにより、現像槽3B内での現像剤量が常に適正化されるようになっている。
【0034】
一方、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の回転軸3B30には、コイル20が捲装されている。
コイル20は、撓み変形可能な樹脂あるいは形状記憶合金からなり、回転軸3B30の外周面との間に隙間を持たせて挿嵌されており、回転軸3B30の回転時に現像剤からの反力を受けることで巻き締められると回転軸3B30に圧接し、この状態で現像剤の移動に応じて移動するようになっている。
【0035】
本実施形態は以上のような構成であるから、現像槽3Bにおいて現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3が回転すると、現像槽3B内に収容されている現像剤に接触することで現像剤からの反力によりコイル20が、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の回転による現像剤の移動方向下流側に向けて移動する。コイル20の収縮はコイル20の縮径を生じさせる。この結果、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の回転軸3B30に巻き付く状態となる。この状態でコイル20の移動方向先端部が現像槽3Bの内面に当接した場合には、それまで収縮しながら移動していたコイルがその移動を阻止されることになる。このため、コイル20は端部が押された状態となることで巻き締め状態から緩むことで拡径に転じ、元の伸張状態に復元することができる。これにより、収縮および伸張を繰り返すことで振動し、振動が攪拌部材3B4の表面に伝わり、凝縮により表面に付着している現像剤を剥落させることができる。
【0036】
収縮状態から伸張状態に転じる際の拡径操作は、現像槽3Bの内面への衝突だけではなく、図4に示すように、現像槽3Bの内面に設けた突起21を用いることもできる。つまり、図4において突起21は、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の回転とともに移動するコイル20の端部内面がリード方向によって乗り上げることができる傾斜面21Aを備えており、傾斜面21Aに端部内面が乗り上げることで縮径から拡径に転じることができる。
【0037】
図5は、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の正逆回転に合わせて移動する方向にそれぞれ突起21が設けられた構成を示している。
【0038】
一方、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の回転に伴うコイルの移動を促進する構成としては、図6に示すようにコイル20の端部に堰板22を設ける構成を採用することができる。つまり、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の回転に伴いコイル20が回転した際には堰板22によって現像剤からの反力を受けやすくすることができ、これにより、コイル20の収縮を円滑化することができる。
【0039】
図6は、図5に示した突起21と同様な理由である正逆回転可能な回転軸3B30を対象とした場合に対応するように、回転軸3B20の周方向で回転中心を挟んで相対位置に堰板22が設けられている構造を示している。
【0040】
回転軸3B30を正逆回転させる理由は、コイル20が現像槽3Bの内面あるいは突起21などに衝突して接触した際の音が継続されることで騒音となるのを避けるためである。つまり、コイルの縮径状態を拡径状態に転じるようにすればコイル20が元の状態に復動するようになるので、拡径に転じた時点で回転軸3B30の回転を切り換えるようにすれば、現像槽3Bの内面への突き当て状態の継続による騒音や突起21の傾斜面21Aに乗り上げる際の摺動音などの発生が継続するのを防止できる。
【0041】
また、堰板22に代えて、図7に示すように、錘23を設け、コイル20を通常時には弛み傾向とし、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の回転に伴い巻き締め傾向とすることで収縮させて移動させることができる。錘23は堰板22の機能も持たせることができるので、コイル20の収縮時での移動を迅速化することができる。
【0042】
次に本発明の別実施形態について説明する。
図8は、本発明の別実施形態を説明するための図3相当の図であり、図3に示した構成と異なる点は、仕切り部3Cに設けた連通部および現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3,そしてコイル(便宜上、符号20’で示す)である。
【0043】
仕切り部3Cに設けられている連通部は、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の軸方向中央および、中央を基準として対等な端部側にそれぞれ形成されている(符号3C1,3C1’で示す)。
【0044】
一方、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3および補給トナー槽3A内に位置する現像剤搬送部材3A1は、これら部材の回転軸の軸方向中央を境にして異なる方向、図では、相反する方向にリード方向(螺旋方向)が設定されている。この場合の相反する方向とは、補給トナー槽3Aおよび現像槽3B内の現像剤が仕切り部3Cに設けられている連通部のうちで、軸方向中央を境にして両側に位置する連通部3C1に向け移動する方向に相当している。
【0045】
現像槽3B側に位置する現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3には、図3に示した構成と同様にコイル20’が捲装されており、コイル20’は、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3と同様に、これの軸方向中央を境にして相反する方向にリード方向(螺旋方向)が設定されている。そして、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の軸方向中央において、図9に示すように、互いに端部が現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の回転軸3B30に設けられている係止ピン3B31にコイル20’の端部が係合されている。
【0046】
本実施形態においては、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3が回転すると、現像槽3B内で現像剤が現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の軸方向中央を境にして軸方向長さの半分の領域でそれぞれ搬送される。
現像剤は、仕切り部3Cに設けてある連通部のうちで、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の軸方向中央に位置する連通部3C1’を介して補給トナー槽3Aから現像槽3B内に導入されると、現像槽3Bの内部において上記軸方向半分の領域でそれぞれ軸方向側部に向けて搬送され、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の軸方向側部に位置する連通部3C1から補給トナー槽3Aに向け環流される。
【0047】
一方、コイル20’は、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の軸方向中央を境にして軸方向長さの半分の領域で振動し、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の表面に付着している現像剤を剥落させることができる。
【0048】
本実施形態においては、現像剤攪拌部材(スクリューオーガ)3B3の軸方向中央を境にして軸方向中央から導入された現像剤を軸方向長さの半分の領域でそれぞれ搬送することができるので、軸方向一端側から他端側に向け搬送する場合に比べて現像剤の均一分布が可能となり、さらには、コイル20の交換においても軸方向中央を境にしていずれかを交換する場合には、他の半分のコイルまでを交換する必要がないので、保守コストを低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による現像装置およびプロセスカートリッジを用いる画像形成装置の模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置におけるプロセスカートリッジの構成を示す模式図である。
【図3】図2に示したプロセスカートリッジに収容されている現像装置の正面視による断面図である。
【図4】本発明による現像装置の要部構成を示す図である。
【図5】図4に示した要部構成に一部変形例を示す図である。
【図6】図5に示した要部構成日刊する変形例を示す図である。
【図7】図6に示した要部構成の変形例を示す図である。
【図8】本発明による現像装置に関する別の実施形態を説明するための図3相当の図である。
【図9】図8に示した実施形態の要部を示す図である。
【符号の説明】
【0050】
1 感光体
3 現像装置
3A 補給トナー挿
3A1 現像剤搬送部材
3B 現像槽
3B3 現像剤攪拌部材に用いられるスクリューオーガ
3B30 回転軸
3B31 係止ピン
3C 仕切り部
3C1,3C1’ 連通部
5 プロセスカートリッジ
20,20’ コイル
21 突起
21A 傾斜面
22 堰板
23 錘

【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体に形成された静電潜像を可視像処理するために用いられる現像装置であって、
前記潜像担持体に対向して現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に向けて現像剤を供給する現像剤供給部材とが配置されている空間を有する現像剤供給部と、
前記現像剤供給部に対して仕切り部を介して接続され、該仕切り部に設けられている連通部を通して収容している現像剤を循環可能な現像剤収容部と、
前記現像剤供給部内に設けられ、収容されている現像剤を一様に分散するように攪拌しながら搬送する現像剤攪拌部材とを備え、
前記現像剤攪拌部材は、回転可能なスクリューオーガで構成され、該スクリューオーガの回転軸外周面には、伸縮可能なコイルが装填され、回転時に発生する現像剤との接触時に生起される摩擦力によって上記コイルが伸縮することで回転軸の軸方向に振動することを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記コイルは、前記スクリューオーガの回転軸外周面との間に隙間が設けられて装填されていることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記コイルは、前記スクリューオーガの回転に合わせて収縮変形し、該収縮変形による縮径状態を、軸方向端部に対応する前記現像剤供給部内面に配置された突起に衝合することで拡径されると収縮状態から伸張状態に復帰する構成であることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記突起は、前記コイルの端部内面が乗り上げることができる傾斜面を備えていることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記スクリューオーガは正逆回転可能であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
潜像担持体に形成された静電潜像を可視像処理するために用いられる現像装置であって、
前記潜像担持体に対向して現像剤を表面に担持する現像剤担持体と、該現像剤担持体に向けて現像剤を供給する現像剤供給部材とが配置されている空間を有する現像剤供給部と、
前記現像剤供給部に対して仕切り部を介して接続され、該仕切り部に設けられている連通部を通して収容している現像剤を循環可能な現像剤収容部と、
前記現像剤供給部内に設けられ、収容されている現像剤を一様に分散するように拡散搬送するスクリューオーガからなる現像剤攪拌部材と、該スクリューオーガの回転軸外周面に装填されているコイルとを備え、
前記仕切り部に設けられている連通部は、前記スクリューオーガの軸方向に複数設けられ、少なくとも一つが、前記スクリューオーガの軸方向中央に設けられ、
前記コイルは、前記スクリューオーガの軸方向中央を境にして異なる方向に捲装されていることを特徴とする現像装置。
【請求項7】
前記コイルは、前記スクリューオーガの軸方向で中央にて連結されていることを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記コイルは、形状記憶合金で構成されていることを特徴とする請求項1乃至3、6または7のいずれかに記載の現像装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載の現像装置および少なくとも現像対象となる静電潜像を担持した潜像担持体を纏めて収容するハウジングを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
請求項9に記載のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−32648(P2010−32648A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−192733(P2008−192733)
【出願日】平成20年7月25日(2008.7.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】