説明

現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

【課題】 組立誤差があった場合であっても、トナーが、現像剤担持体の回転軸方向の端部の側から漏れ出ることを抑制することができる現像装置を提供する。
【解決手段】 現像ローラ17と、現像枠体18と、現像ブレード21と、現像ローラ17の回転軸方向における、現像枠体18の一端側及び他端側に設けられ、現像ローラ17と当接して現像剤が漏れるのを防止するシール部材25と、を備え、現像ブレード21は、回転軸方向における一端部及び他端部に突出した突出部21cを有し、突出部21cは、現像ローラ17とシール部材25の間に位置する現像ユニット4を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および、画像形成装置に用いられる現像装置、画像形成装置に着脱自在なプロセスカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
現像ローラと当接するブレード(以下、現像ブレードと呼ぶ)によって、現像ローラに担持される現像剤の量を規制する現像装置において、現像ブレードの自由端を、現像ローラの回転方向の下流側に向ける構成がある。従来、このような現像装置に関して、特に、現像ローラ及び現像ブレードの両端部からのトナーの漏れや飛散を防止する特許文献1及び特許文献2に記載の発明が開示されている。
【0003】
特許文献1に記載の発明は、現像ローラの長手方向の両端部で、現像ブレードと現像ローラとの間のクサビ状の隙間に合わせて形成されたシール部材が、現像ブレードの長手方向の両端部と現像ローラとで挟持される現像装置に関する発明である。
【0004】
また、特許文献2に記載の発明は、現像ローラの長手方向の両端部で、現像ブレードと現像ローラとの間のクサビ状の隙間を埋めるようにブラシ状のシール部材が配置された現像装置に関する発明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−192770号公報
【特許文献2】特開平7−333981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に記載の構成では、シール部材の形状誤差、シール部材の組付け誤差が生じると、トナーの漏れや飛散を確実に防止することが困難であった。
【0007】
例えば、現像ブレードと、現像ローラとの間に生じるクサビ状の隙間に対してシール部材が小さいと、シール部材と現像ブレードとの隙間、又は、シール部材と現像ローラとの隙間が発生してしまう。反対に、現像ブレードと現像ローラとの間のクサビ状の隙間に対してシール部材が大きいと、シール部材が現像ブレードを持ち上げてしまい、現像ブレードと現像ローラとの間に隙間が発生してしまう。これらのように、現像ブレードの長手方向の両端部では、シール部材の大小によっては、現像ブレードと現像ローラの間に隙間が生じ、その隙間から現像剤の漏れや飛散が発生してしまう。
【0008】
本発明は、上記実情に鑑み、現像ブレードの自由端が現像ローラの下流側を向く構成において、組立誤差があった場合であっても、トナーが、現像ローラの長手方向の端部の側から漏れ出ることを抑制することができる現像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の現像装置は、現像剤を担持しつつ回転して感光体ドラムに形成された静電像を現像する現像ローラと、前記現像ローラを支持する現像枠体と、前記現像ローラの回転軸方向における、前記現像枠体の一端側と他端側とにそれぞれ設けられ、前記現像ローラと当接することで、現像剤が漏れるのを防止するシール部材と、前記現像ローラに当接して前記現像ローラに担持された現像剤の量を規制する現像ブレードであって、その自由端を前記現像ローラの回転方向における下流側に向ける現像ブレードと、を備え、前記回転軸方向における、前記現像ブレードの一端部及び他端部にはそれぞれ、前記回転軸方向に突出し、前記現像ローラと前記シール部材の間に位置する突出部が設けられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、現像ブレードの自由端が、現像ローラの回転方向下流側を向く現像装置において、組立誤差があった場合であっても、トナーが、現像剤担持体の長手方向の端部の側から漏れ出ることが抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施例に係る現像ユニットを備える画像形成装置の構成を示す断面図である。
【図2】カートリッジの構成を示す拡大断面図である。
【図3】現像ユニットの端部側の構成を示す斜視図である。
【図4】現像ユニットを現像ブレードの上方から見た側面図等である。
【図5】現像ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して、この発明を実施するための形態を実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。ただし、この実施例に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるから、特に特定的な記載が無い限りは、発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【実施例】
【0013】
図1は、本発明の実施例に係る現像ユニット4Y〜4Kを備える画像形成装置100の構成を示す断面図である。画像形成装置100は、電子写真画像形成プロセスを利用した画像形成装置である。図1に示されるように、画像形成装置100は画像形成装置本体(以下、単に『装置本体』という)100Aを有し、この装置本体100Aの内部には、画像を形成する画像形成部51Y〜51Kが設けられる。画像形成部51Y〜51Kは、『像担持体』である感光体ドラム1Y〜1K、『転写装置』である1次転写ローラ8Y〜8K等を含む。
【0014】
画像形成装置100は、インライン方式、中間転写方式を採用したフルカラーレーザプリンタである。画像形成装置100は、画像情報に従って、記録材P(例えば、記録用紙、プラスチックシート、布など)にフルカラー画像を形成することができる。画像情報は、装置本体100Aに接続された画像読み取り装置、或いは装置本体100Aに通信可能に接続されたパーンナルコンピュータ等のホスト機器から、装置本体100Aに入力される。
【0015】
画像形成装置100は、複数の画像形成部として、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を形成するための第1、第2、第3、第4の画像形成部51Y、51M、51C、51Kを有する。ここでは、第1〜第4の画像形成部51Y〜51Kは、鉛直方向と交差する方向に一列に配置されている。
【0016】
なお、ここでは、第1〜第4の画像形成部51Y〜51Kの構成及び動作は、形成する画像の色が異なることを除いて実質的に同じである。従って、以下、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用に設けられた要素であることを表すために符号に与えた添え字Y、M、C、Kは省略して、総括的に説明する。
【0017】
画像形成装置100は、複数の感光体ドラム1Y〜1Kとして、鉛直方向と交差する方向に並設された4個のドラム型の電子写真感光体、即ち、感光体ドラム1を有する。感光体ドラム1Y〜1Kは、図示しない駆動手段(駆動源)によって矢印A(図2参照)の方向(時計方向)に回転駆動する。
【0018】
感光体ドラム1の周囲には、感光体ドラム1の表面を均一に帯電する帯電手段としての帯電ローラ2、画像情報に基づきレーザを照射して感光体ドラム1上に静電像(静電潜像)を形成する露光手段としてのスキャナユニット3(露光装置)が配置されている。また、感光体ドラム1の周囲には、静電像をトナー像(現像剤像)として現像する現像ユニット4(4Y〜4K)(現像装置)、転写後の感光体ドラム1の表面に残ったトナー(転写残トナー)を除去するクリーニング部材6(6Y〜6K)(クリーニング手段)が配置されている。
【0019】
また、4個の感光体ドラム1に対向して、感光体ドラム1上のトナー像を記録材Pに転写するための中間転写体である中間転写ベルト5が配置されている。中間転写ベルト5に関しては、後述する。
【0020】
感光体ドラム1の回転方向において、帯電ローラ2による帯電位置、スキャナユニット3による露光位置、現像ユニット4による現像位置、中間転写ベルト5へのトナー像の転写位置、クリーニング部材6によるクリーニング位置は、この順番で設けられている。
【0021】
なお、ここでは、現像ユニット4は、現像剤として非磁性1成分現像剤、即ち、トナーを用いる。現像ユニット4は、現像剤担持体としての現像ローラ17(図2参照)を感光体ドラム1に対して接触させて反転現像を行うものである。現像ユニット4は、感光体ドラム1の帯電極性と同極性(本実施例では負極性)に帯電したトナーを、感光体ドラム1上の露光により電荷が減衰した部分(画像部、露光部)に付着させることで静電像を現像する。
【0022】
感光体ドラム1と、感光体ドラム1に作用するプロセス手段としての帯電ローラ2、現像ユニット4及びクリーニング部材6とは、一体的にカートリンジ化されて、プロセスカートリッジ(以下、「カートリッジ7」という)を形成している。カートリッジ7は、装置本体100Aに設けられた装着ガイド、位置決め部材などの装着手段を介して、装置本体100Aに着脱可能となっている。ここでは、各色用のカートリッジ7は全て同一形状を有しており、各色用のカートリッジ7の内部には、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナーが収容されている。
【0023】
中間転写体としての無端状のベルトで形成された中間転写ベルト5は、全ての感光体ドラム1に当接し、矢印Bの方向(時計方向)に循環移動(回転)する。中間転写ベルト5は、複数の支持部材として、駆動ローラ51、2次転写対向ローラ52、従動ローラ53に掛け渡されている。
【0024】
中間転写ベルト5の内周面側には、各感光体ドラム1に対向するように、1次転写手段である4個の1次転写ローラ8Y〜8Kが並設されている。1次転写ローラ8Y〜8Kは、中間転写ベルト5を感光体ドラム1Y〜1Kに向けて押圧し、中間転写ベルト5と感光体ドラム1Y〜1Kとが当接する1次転写部N1を形成する。そして、1次転写ローラ8Y〜8Kに、図示しない1次転写バイアス印加手段としての1次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、感光体ドラム1Y〜1K上のトナー像が中間転写ベルト5上に転写(1次転写)される。
【0025】
中間転写ベルト5の外周面側において2次転写対向ローラ52に対向する位置には、2次転写手段である2次転写ローラ9が配置されている。2次転写ローラ9は中間転写ベルト5を介して2次転写対向ローラ52に圧接し、中間転写ベルト5と2次転写ローラ9とが当接する2次転写部N2を形成する。そして、2次転写ローラ9に、図示しない2次転写バイアス印加手段としての2次転写バイアス電源(高圧電源)から、トナーの正規の帯電極性とは逆極性のバイアスが印加される。これによって、中間転写ベルト5上のトナー像が記録材Pに転写(2次転写)される。1次転写ローラ8と2次転写ローラ9とは同様の構成で形成される。
【0026】
画像形成時には、先ず、感光体ドラム1の表面が帯電ローラ2によって一様に帯電される。次いで、スキャナユニット3から発された画像情報に応じたレーザ光によって、帯電した感光体ドラム1の表面が走査露光され、感光体ドラム1上に画像情報に従った静電像が形成される。次いで、感光体ドラム1上に形成された静電像は、現像ユニット4によって現像剤でトナー像として現像される。感光体ドラム1上に形成されたトナー像は、1次転写ローラ8の作用によって中間転写ベルト5上に転写(1次転写)される。
【0027】
例えば、フルカラー画像の形成時には、上述のプロセスが、第1〜第4の画像形成部51Y、51M、51C、51Kにおいて順次に行われ、中間転写ベルト5上に各色のトナー像が次に重ね合わせて1次転写される。
【0028】
その後、中間転写ベルト5の移動と同期が取られて記録材Pが2次転写部N2へと搬送され、記録材Pを介して中間転写ベルト5に当接している2次転写ローラ9の作用によって、中間転写ベルト5上の4色トナー像は、一括して記録材P上に2次転写される。トナー像が転写された記録材Pは、定着手段としての定着装置10に搬送される。定着装置10において記録材Pに熱及び圧力を加えられることで、記録材Pにトナー像が定着される。
【0029】
1次転写工程後に感光体ドラム1上に残留した1次転写残トナーは、クリーニング部材6Y〜6Kによって除去、回収される。2次転写工程後に中間転写ベルト5上に残留した2次転写残トナーは、中間転写ベルトクリーニング装置11によって清掃される。なお、画像形成装置100は、所望の単独又はいくつか(全てではない)の画像形成部のみを用いて、単色又はマルチカラーの画像を形成することもできるようになっている。
【0030】
図2は、カートリッジ7の構成を示す拡大断面図である。図2は、感光体ドラム1の長手方向(回転軸線方向)に沿う方向から見た図に相当する。この図2を参照しつつ現像ユニット4を含んで装置本体100Aに着脱自在なカートリッジ7の構成に関して、以下に説明する。
【0031】
なお、現像ユニット(現像装置)或いはカートリッジ7の構成や動作について、上、下、垂直、水平といった方向を表す用語は、特に断りのない場合は、それらの通常の使用状態において見た時の方向を表す。つまり、『現像装置』である現像ユニット4或いはカートリッジ7の通常の使用状態は、適正に配置された装置本体100Aに対して適正に装着され、画像形成動作に供し得る状態である。なお、ここでは、収容している現像剤の種類(色)を除いて、各色用のカートリッジ7の構成及び動作は実質的に同一である。
【0032】
カートリッジ7は、感光体ドラム1等を備えた感光体ユニット13と、現像ローラ17等を備えた現像ユニット4とを有する。
【0033】
感光体ユニット13は、感光体ユニット13の内部の各種要素を支持する枠体としてのクリーニング枠体14を有する。クリーニング枠体14には、感光体ドラム1が図示しない軸受を介して回転可能に取り付けられている。感光体ドラム1は、図示しない駆動手段(駆動源)である駆動モータの駆動力が感光体ユニット13に伝達されることで、画像形成動作に応じて矢印Aの方向(反時計方向)に回転する。
【0034】
画像形成プロセスの中心となる感光体ドラム1には、アルミニウム製シリンダの外周面に機能性膜である下引き層、キャリア発生層、キャリア移送層を順にコーティングした有機感光体ドラムが用いられる。感光体ドラム1は、200mm/secの回転速度で回転している。
【0035】
感光体ユニット13の周囲には、感光体ドラム1の周面上に接触するように、クリーニング部材6、及び、帯電ローラ2が配置されている。クリーニング部材6によって感光体ドラム1の表面から除去された転写残トナーは、クリーニング枠体14の内部に落下して収容されるようになっている。
【0036】
帯電手段である帯電ローラ2は、導電性ゴムのローラ部を感光体ドラム1に加圧接触することで従動回転する。ここで帯電ローラ2の芯金には、帯電工程として、感光体ドラム1に対して−1100Vの直流電圧が印加されており、これにより感光体ドラム1の表面電位は、約−550Vとなる一様な暗部電位(Vd)に設定される。
【0037】
前述のスキャナユニット3からのレーザ光によって画像データに対応して発光されるレーザ光のスポットパターンは、感光体ドラム1を露光し、露光された部位は、キャリア発生層からのキャリアにより表面の電荷が消失し、電位が低下する。この結果、露光部位は明部電位Vl=−100V、未露光部位は暗部電位Vd=−550Vの静電像が、感光体ドラム1の表面に形成される。
【0038】
一方、現像ユニット4は、現像ユニット4の内部の各種要素を支持する枠体としての現像枠体18を有する。現像ユニット4には、感光体ドラム1と接触して矢印Dの方向(時計方向)に回転する現像ローラ17が設けられている。『現像剤担持体』である現像ローラ17は、現像剤を担持しつつ回転して像坦持体に形成された静電像を現像するローラである。現像ローラ17と感光体ドラム1とは、対向部(接触部)において互いの表面が同方向(本実施例では上から下に向かう方向)に移動するようにそれぞれ回転する。現像ローラ17は、その長手方向(回転軸線方向)の両端部において、図示しない現像側板を介して、回転可能に現像枠体18に支持されている。
【0039】
なお、ここでは、現像ローラ17は感光体ドラム1に接触して配置されているが、現像ローラ17は、感光体ドラム1に対して所定間隔を開けて近接配置される構成であっても良い。
【0040】
ここでは、現像ローラ17に印加されたDCバイアス=−350Vに対して、摩擦帯電によりマイナスに帯電したトナーが、感光体ドラム1に接触する現像部において、その電位差から、明部電位部にのみ転移して静電像を顕像化する。用いられるトナーは非磁性1成分トナーであり、ここでは被露光部にトナーを転移させる所謂反転現像系である。
【0041】
現像ローラ17は、芯金上に弾性層を有する、所謂弾性現像ローラである。ここでは、φ6mmのステンレス製の芯金上にシリコーンゴムにカーボンが分散されたソリッドゴムからなる第1層(基層)を約3mm形成する。更に、第2層(表層)として、導電剤により抵抗調整されたウレタン層を約10μm形成する。現像ローラ17の回転速度は感光体ドラム1の回転速度より約1.3倍早回しするよう設定されている。
【0042】
また、現像ユニット4には、現像ローラ17の周面上に接触するように、矢印Eの方向(時計方向)に回転する現像剤供給部材である供給ローラ20が配置されている。ここでは、供給ローラ20と現像ローラ17とは、対向部(接触部)において互いの表面が逆方向に移動するようにそれぞれ回転する。供給ローラ20は、現像ローラ17上にトナーを供給すると共に、現像に供されずに現像ローラ17上に残留したトナーを現像ローラ17上から剥ぎ取る作用をなす。また、現像ユニット4には、現像ローラ17の周面上に接触するように、供給ローラ20によって現像ローラ17上に供給されたトナーの層厚を規制する現像剤規制部材である現像ブレード21が配置されている。
【0043】
供給ローラ20は、導電性芯金と、導電性芯金の外周に連泡性発泡体(以下、発泡層という)と、を有する。供給ローラ20の発泡層は、現像ローラ17へのトナーの供給、及び、現像に寄与しなかったトナーを剥ぎ取る2つの役目を担う。現像ローラ17上のトナーの剥取は、発泡セルの縁の部分が摺擦することでメカニカルに剥ぎ取られる。
【0044】
また、供給ローラ20には、例えば、外径φ5mmの芯金上に発泡骨格構造で比較的低硬度のポリウレタンフォームを5.5mm(セル径300乃至450μm)で形成した外径φ16mmの弾性スポンジローラが用いられる。供給ローラ20は連泡性の発泡体で構成することにより、過大な圧を加えることなく現像ローラ17と当接し、発泡体表面の適度な凹凸で現像ローラ17上へのトナー供給および現像時に消費されずに残像したトナーの剥ぎ取りを行っている。
【0045】
このセル構造の掻き取り性はウレタンフォームに限定されない。発泡層の材料としては、その他NBRゴム、シリコーンゴム、アクリルゴム、ヒドリンゴム、エチレンプロピレンゴム(EPDM)及びこれらの複合混合物等、一般的に用いられるゴムが使用可能である。または、発泡層の材料としては、その他クロロプレンゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム及びこれらの複合混合物等、一般的に用いられるゴムが使用可能である。発泡層の抵抗調整として適宜、公知のイオン導電剤、無機微粒子若しくはカーボンブラック等を分散可能である。
【0046】
また、供給ローラ20には、現像ローラ17へのトナー供給を補助するために、供給ローラ20側から現像ローラ17側へトナーを付勢するバイアスを印加してもよい。現像ローラ17側に負帯電トナーを付勢するバイアスを印加することで、現像ブレード21の前に現像ローラ17に担持されるトナー量を増加させることが可能となる。さらに、バイアスにより現像ローラ17上でのトナー密度が上がりやすく、現像ローラ17の表面粗さが低い場合においても均一なトナー濃度を得やすくなる。
【0047】
供給ローラ20の回転は、現像ローラ17との接する部分において逆方向に回転する(所謂、カウンター回転)。表面回転速度は、現像ローラ17の表面回転速度の0.85倍とした。
【0048】
図3は、現像ユニット4の端部側の構成を示す斜視図である。図3に示されるように、現像ローラ17の長手方向における、現像枠体18の一端側と他端側には、それぞれシール座面18aが形成されている。シール座面18aにはシール部材25が取り付けられる。またシール座面18aには、回転中心軸16を中心に回転自在な現像ローラ17が挿入されている。現像ローラ17は、矢印Dの方向に向かって回転する。
【0049】
現像枠体18には、現像ブレード21が固定されている。『規制部材』である現像ブレード21は、現像ローラ17に当接して現像ローラ17に担持された現像剤の量を規制する部材である。現像ブレード21は、弾性部材で形成され、支持板金22によって現像枠体18に支持されている。そして、現像ブレード21の自由端は、現像ローラ17の回転方向である矢印Dの上流側から下流側に向かうにつれて現像ローラ17に接近するように、支持板金22によって基端部が片持ち支持されている。現像ブレード21は、現像ローラ17が回転する矢印Dの方向では、供給ローラ20よりも下流側で先端部を現像ローラ17に当接させている(図2参照)。
【0050】
現像ブレード21と現像ローラ17とが摺擦すると、トナーは、摩擦帯電されて電荷を付与され、現像ローラ17の表面で層厚規制される。現像ブレード21には、不図示のブレードバイアス電源から所定電圧(−550V)が供給されている。
【0051】
現像ブレード21は、板状に形成され、回転中心軸16に沿う方向と平行な長手方向(回転軸方向)Mの端部に突出部21cを有する。突出部21cは、長手方向Mの一端部及び他端部の両方の端部が長手方向Mの外側方向に延びており、自由端となっている。図3には、現像ブレード21の長手方向Mの一端部側のみの突出部21cが図示されているが、現像ブレード21の長手方向Mの他端部側の突出部21cも同様な形状で形成されている。
【0052】
前述のように、現像ブレード21は、一端部及び他端部に長手方向Mに突出した突出部21cを有する。突出部21cは、現像ローラ17と、シール部材25の間に配置される。つまり突出部21cの位置では、現像ローラ17の回転中心軸16と直交する方向に、現像ローラ17、突出部21c、シール部材25の順に配置される。シール部材25と突出部21cは密着(当接)している。また、少なくとも、当接ニップ26(図4(c)参照)では、突出部21cと現像ローラ17は密着(当接)している。
【0053】
現像ブレード21は、基端側には、長手方向Mに突出してない非突出端部21fを有し、先端側(自由端側)には、長手方向Mに突出する突出部21cの外側端部21dを有する。この外側端部21dは、定義すると、突出部21cにおける長手方向Mで外側の端部となる。外側端部21dは、シール部材25における長手方向Mと平行な方向で外側の『シール外側端部』である外側端面25aよりも内側に位置する。
【0054】
また、現像ブレード21は、非突出端部21f及び外側端部21dの間を繋いで長手方向Mに延びる上流側端部21eを有する。この上流側端部21eは、定義すると、突出部21cにおける現像ローラ17の回転方向(矢印Dの方向)の上流側の端部となる。上流側端部21eは、現像ローラ17及び現像ブレード21の当接ニップ(当接部)26(図4(c)参照)の中に位置する。つまり上流側端部21eは現像ローラ17と現像ブレード21とに挟まれ、両者と接触する。
【0055】
シール部材25における現像ローラ17の回転方向の下流側の『シール下流側端部』である下流側端部25cは、突出部21cにおける現像ローラ17の回転方向の上流側の上流側端部21eよりも現像ローラ17の回転方向の下流側に位置するよう延びている。
【0056】
なお、現像ブレード21の材質には、厚さが0.1mmのリン青銅薄板が用いられた。弾性部材21aのその他の材質として、ステンレス鋼等の薄板、ウレタン等のゴム材料も使用可能である。
【0057】
次に、現像枠体18及び現像ローラ17の間の隙間のシール構成に関して説明する。現像枠体18及び現像ローラ17の間には、現像ローラ17の周面に沿ってシール部材25(現像端部シール部材)が配置されている。シール部材25は、現像ローラ17の長手方向の一端部側及び他端部側に設けられ、現像ローラ17及び現像枠体18の間から外部へとトナー(現像剤)が漏れるのを防止する部材である。
【0058】
現像枠体18の一部には、現像ローラ17の周面と一定の隙間60を有するようにシール座面18aが形成されており、このシール座面18aには、シール部材25が貼り付けられている。隙間60は、シール部材25の厚みよりも小さく設定されている。したがって、シール部材25は、現像ローラ17の周面、及び、シール部材25が貼付されている現像枠体18のシール座面18aの間で圧縮されることにより、現像ローラ17の周面からのトナーの漏れが防止されている。
【0059】
ここでは、現像ローラ17の周面、及び、現像枠体18のシール座面18aの間の隙間を2mmと設定した。シール部材25には、厚さが2.5mmのフェルト植毛材を用いた。すなわち、ここでは、シール部材25は、現像ローラ17の周面と現像枠体18のシール座面18aの間の隙間によって、0.5mm圧縮されている。
【0060】
また、図3から分かるように、シール部材25は、現像ブレード21及び現像ローラ17の間には挿入されておらず、現像ブレード21及び現像ローラ17で囲まれる空間に対して長手方向Mで隣接する位置に配置されている。また、現像枠体18のシール座面18aを有する突出部18bは、現像ブレード21及び現像ローラ17で囲まれる空間に対して長手方向Mで隣接する位置に配置されている。突出部18bは、シール部材25の外周側で隣接していることになる。
【0061】
図4(a)は、現像ユニット4を現像ブレード21の上方から見た側面図である。図4では、現像ブレード21よりも外方の部材が省略されている。この図4を参照しつつ、現像ブレード21及びシール部材25の長手方向Mの位置関係に関して説明する。なお、図4(b)は、図4(a)のJ−J線に沿う断面図であり、図4(c)は、図4(a)のK−K線に沿う断面図である。
【0062】
図4(a)に示されるように、現像ブレード21は、長手方向の一端部と他端部に外側に向かって延びる突出部21cを有している。この突出部21cは現像ブレード21の自由端側に設けられる。
【0063】
突出部21cの外側端部21dは、シール部材25の長手方向Mの外側端面25aよりも、長手方向Mで内側に位置している。つまり、シール部材25は、外側端部21dよりも長手方向Mの外側で、現像ローラ17の周面で密着する一定幅の領域を有する。ここでは、シール部材25の長手方向Mの幅が6mmに設定されるのに対して、突出部21c及びシール部材25が長手方向Mで重なり合う幅が3mmに設定されている。すなわち、シール部材25は、外側端部21dよりも長手方向Mの外側において、3mmの幅を持って現像ローラ17の周面と密着している。こうして、シール部材25が現像ローラ17と接触する箇所を確保する。
【0064】
次に、図4(c)および図5を参照しつつ、シール部材25とその他の部材との接触状態に関して、現像ローラ17が回転する矢印Dの上流側から順に説明する。図5は、現像ユニットの拡大断面図である。シール部材25の外側面は、現像枠体18のシール座面18aの上流側端部から下流側端部までに亘って密着している。また、シール部材25の内側面は、現像ローラ17の表面の上流側では現像ローラ17に直接に密着し、現像ローラ17の表面の下流側では上流側端部21eを起点として突出部21cの表面上に密着している。従って、突出部21cは、シール部材25及び現像ローラ17で挟み込まれている。
【0065】
また、突出部21cの上流側端部21eと現像枠体18のシール座面18aの間の隙間60は、シール部材25の厚みよりも小さく設定されている。このために、シール部材25が上流側端部21eと密着し、突出部21cを現像ローラ17の周面へと付勢する。
【0066】
さらに、シール部材25は、少なくとも突出部21cの上流側端部21eよりも現像ローラ17の回転方向の下流側に向かって延び出すように設けられている。なお、これは、シール部材25の形状が突出部21cの上流側端部21eよりも現像ローラ17の回転方向の上流側で終わっていると、シール部材25及び現像ローラ17が突出部21cを挟み込む配置関係が成り立たないからでもある。
【0067】
以上説明したように、シール部材25は、現像ローラ17及び突出部21cに連続的に密着している。そのために、シール部材25の長手方向Mの両端部で現像枠体18のシール座面18a及び現像ローラ17の間に形成される隙間60を一部材で効率良く封じることができる。その結果、現像ローラ17の長手方向Mの両端部の周面からのトナーの漏れや飛散が抑制される。
【0068】
ところで、本実施例は、現像ローラ17の回転方向において、現像ブレード21の自由端が、基端(固定端)側よりも下流側に配置されるように支持板金22に片持ち支持される構成である。すなわち現像ブレード21の自由端が現像ローラの下流側を向く。このような構成では、図4(b)に示されるように、現像ブレード21と現像ローラ17との間にクサビ状の空間Oが形成される。この現像ブレード21と現像ローラ17の間のクサビ状の空間Oでは、現像ブレード21及び現像ローラ17の間の間隔は、現像ブレード21と現像ローラ17との当接ニップ26から現像ローラ17の回転方向の上流側へと離れるに従って大きくなる。
【0069】
仮に、このような現像ブレード21及び現像ローラ17の間の間隔が大きい位置で現像ブレード21に突出部21cを設ける場合には、突出部21cが例えば図3の突出部21cの位置よりも現像ブレード21の基端部の側に形成されることになる。この場合には、突出部21cの長手方向Mの外側端部21dよりも外側において、シール部材25が現像ローラ17の周面と密着する長手方向Mの長さをより長く設定する必要がある。すなわち、突出部21cの長手方向Mの基端から外側端部21dまでを緩やかに現像ローラ17へと押し付けさせようとすると、シール部材25が現像ローラ17の周面と密着する長手方向Mの長さが長くする必要がある。
【0070】
したがって、突出部21cの上流側端部21eを当接ニップ26付近に設定する方が、クサビ状の空間を縮小するという観点において、トナー漏れに対して有利である。なお、この場合に、シール部材25が現像ローラ17の周面に密着する長手方向Mの幅が短くても済む。
【0071】
なお、この実施例で示した寸法値は一例であり、本発明の主旨を限定するものではない。
【0072】
以上のように、実施例の構成によれば、組立誤差があった場合であっても、トナーが、現像ローラ17の長手方向Mの端部の側から漏れ出る現象が抑制される。特に、従来の現像ブレード21及び現像ローラ17の間の空間にシール部材25が配置されるのではなく、シール部材25が現像ブレード21の突出部21cを上から押えつつ、シール部材25が現像ブレード21及び現像ローラ17の間の空間を長手方向Mで塞ぐ。こうした構成によって、組立誤差があっても現像ブレード21及び現像ローラ17の間の空間が所望の大きさ以上に開いたり、現像ブレード21が浮き上がったりする現象を抑制する。
【0073】
また、実施例の構成によれば、外側端部21dは、長手方向Mで外側端面25aよりも内側に位置する。その結果、突出部21cを含んだ長手方向Mでは、突出部21cが現像ローラ17に密着してトナーの飛散を抑制したその外側で更に、シール部材25が現像ローラ17に密着してトナーの飛散を抑制する。
【0074】
さらに、実施例の構成によれば、現像ブレード21は長手方向の一端部と他端部において、長手方向Mの外側に延びる突出部21cを自由端側に有している。そして、図4(c)に示す断面図のように、突出部21cの上流側端部21eが当接ニップ26内に位置するように設置している。それによって、前述のようなクサビ形状の空間を長手方向Mの両端部の突出部21cにおいて縮小化することが可能となる。また、シール部材25は現像ローラ17の周面と現像ブレード21の突出部21cに連続的に係合しているため、長手方向Mの両端部における現像ローラ17の周面部の隙間を一部材によって効率良く封じることができる。
【0075】
また、シール部材25は現像ローラ17の周面に対して密着している状態から上流側端部21eを起点として突出部21cに乗り出し、シール部材25と現像ローラ17の間に突出部21cをはさみ込む。突出部21cの上流側端部21eと現像枠体18の座面との隙間60はシール部材25の厚みより小さく設定されている。これによって、シール部材25は突出部21cの上流側端部21eと係合し、突出部21cを現像ローラ17側に付勢する。このように、現像ブレード21と現像ローラ17との間に形成されるクサビ形状の隙間60に対してシール部材25を挟み込む構成ではないため、シール部材25が現像ブレード21を持ち上げることがない。そのため、シール部材25が現像ブレード21を持ち上げて発生する隙間60からのトナー漏れを防止することができる。
【符号の説明】
【0076】
4 現像ユニット(現像装置)
16 回転中心軸
17 現像ローラ(現像剤担持体)
18 現像枠体
21 現像ブレード(規制部材)
21c 突出部
25 シール部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を担持しつつ回転して感光体ドラムに形成された静電像を現像する現像ローラと、
前記現像ローラを支持する現像枠体と、
前記現像ローラの回転軸方向における、前記現像枠体の一端側と他端側とにそれぞれ設けられ、前記現像ローラと当接することで、現像剤が漏れるのを防止するシール部材と、
前記現像ローラに当接して前記現像ローラに担持された現像剤の量を規制する現像ブレードであって、その自由端を前記現像ローラの回転方向における下流側に向ける現像ブレードと、を備え、
前記回転軸方向における、前記現像ブレードの一端部及び他端部にはそれぞれ、前記回転軸方向に突出し、前記現像ローラと前記シール部材の間に位置する突出部が設けられることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記回転軸方向において、前記突出部の外側端部は、前記シール部材の外側端部よりも内側に位置することを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像ローラの回転方向において、前記突出部の上流側端部は、前記現像ローラと前記現像ブレードとに挟まれることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記現像ローラの回転方向において、前記シール部材の下流側端部は、前記突出部の上流側端部よりも、下流側に位置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジであって、
静電像が形成される感光体ドラムと、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の現像装置と、
を備えることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
記録材に画像を形成する画像形成装置において、
静電像が形成される感光体ドラムと、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の現像装置と、
前記感光体ドラムに形成された現像剤像を、記録材に転写する転写装置と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−159828(P2012−159828A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260274(P2011−260274)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】