説明

現像装置、画像形成装置、及び現像剤の撹拌方法

【課題】簡単な構成でありながら現像装置内のトナーの飛散を防止し、補給されたトナーと装置内の現像剤をすばやく撹拌する。
【解決手段】粉体を含む現像剤を撹拌する回転部材21、22を内部に備えた現像部20と、空気を送り出す送風部11と、送風部11と現像部20とを接続する第1ダクト12と、現像部20と送風部11とを接続する第2ダクト13と、を備え、現像部20と第1ダクト12とが連結される第1接続部121は、現像部20内の現像剤と空気との所定の界面Kの位置よりも重力方向側に設けられ、現像部20と第2ダクト13とが連結される第2接続部131は、所定の界面Kの位置よりも重力方向と反対側に設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、画像形成装置、及び現像剤の撹拌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機やプリンタ等の画像形成装置においては、感光体等の像担持体に形成された静電潜像に現像装置から現像剤を供給して、像担持体に形成された静電潜像を現像する。
現像装置の内部には、螺旋状に連なる羽根(スクリュー)を有する回転部材や現像ローラが備えられている。回転部材は、現像装置内の現像材を撹拌すると共にその回転により現像材を現像ローラに搬送する。現像ローラは、回転部材から搬送された現像剤を担持して像担持体に供給する。
また、上記のようにして現像を行った結果、現像装置内における現像剤中のトナーの量が減少した場合には、現像装置に付設されたトナー補給部からトナーが補給される。
【0003】
このような現像装置においては、補給されたトナーと装置内の現像剤をすばやく撹拌させる技術が求められている。
良好な撹拌を達成するためには、回転部材だけでなく、空気流動層を用いて現像剤の撹拌を行うことが望ましい。
例えば、特許文献1には、現像装置内において現像剤の搬送方向の上流側から空気を噴出させる技術が提案されている。また、特許文献2には、現像器の底部から空気を導入する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−026572号公報
【特許文献2】特開2010−096389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1、2のように空気を用いて撹拌を行う場合、現像装置内に導入された空気により現像装置内にトナーが飛散するという問題があった。トナーの飛散を防止するためには、例えばフィルター等を付加する等の手段も考えられるが、こうした場合、フィルターを交換する等のメンテナンス操作が発生するという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成でありながら現像装置内のトナーの飛散を防止し、補給されたトナーと装置内の現像剤をすばやく撹拌することのできる現像装置、当該現像装置を備えた画像形成装置、及び当該現像装置による現像剤の撹拌方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、
請求項1に記載の発明は、現像装置において、
現像剤を撹拌する回転部材を内部に備えた現像部と、
空気を送り出す送風部と、
前記送風部と前記現像部とを接続する第1ダクトと、
前記現像部と前記送風部とを接続する第2ダクトと、
を備え、
前記現像部と前記第1ダクトとが連結される第1接続部は、前記現像部内の現像剤と空気との所定の界面の位置よりも重力方向側に設けられ、
前記現像部と前記第2ダクトとが連結される第2接続部は、前記所定の界面の位置よりも重力方向と反対側に設けられることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、
前記第1接続部の断面積は、前記第2接続部の断面積より小さいことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の現像装置において、
前記第1ダクトの一部には、重力方向と反対方向に湾曲した湾曲部が備えられていることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の現像装置において、
前記回転部材の回転方向と、前記第1接続部より挿入した空気が浮上する方向とが対向することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の現像装置において、
前記第1接続部には、多数の空孔を有する多孔体が備えられることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の現像装置において、
前記第2接続部には、整流部材が備えられることを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の現像装置において、
前記整流部材は、ハニカム構造を有することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の現像装置において、
前記現像部内の前記所定の界面より上方には、前記回転部材の軸方向に沿って前記第2接続部を挟むように2つの軟質部材が備えられることを特徴とする。
【0015】
請求項9に記載の発明は、請求項1〜7の何れか一項に記載の現像装置において、
前記現像部内には、前記回転部材が2つ備えられ、
前記現像部内の前記所定の界面より上方における2つの前記回転部材の間には、2つの前記回転部材の軸方向に沿って仕切り部材が備えられることを特徴とする。
【0016】
請求項10に記載の発明は、請求項1〜9の何れか一項に記載の現像装置において、
前記第1ダクトに接続され、粉体塊を粉砕する粉砕部が備えられ、
前記粉砕部は、
空気の旋回流により粉体塊を粉砕する断面視円形状の粉砕室と、
前記粉砕室内の上流において、前記第1ダクトの前記送風部側に接続される少なくとも1つの流入部と、
前記粉砕室内の下流において、前記第1ダクトの前記現像部側に接続される流出部と、
を備え、
前記流入部は、前記粉砕室の断面円の接線方向に沿う方向に空気を流入し、
前記流出部は、前記粉砕室における旋回流の回転軸方向に沿う方向に空気を流出することを特徴とする。
【0017】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の現像装置において、
前記流出部は、筒状に形成され、くさび形状の突起部を備え、
前記現像部側の前記第1ダクトに前記突起部が挿入されることを特徴する。
【0018】
請求項12に記載の発明は、請求項10又は11に記載の現像装置において、
前記粉砕室における旋回流の回転軸方向が、重力方向に等しいことを特徴とする。
【0019】
請求項13に記載の発明は、請求項10〜12の何れか一項に記載の現像装置において、
前記粉砕室の前記流入部近傍には、粉体を貯留する容器が接続され、
前記容器には、粉体放出弁が備えられ、
前記粉体放出弁を開くことで粉体が前記粉砕室に放出されることを特徴とする。
【0020】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の現像装置において、
前記粉砕室における旋回流の回転軸と前記粉体放出弁の中心軸との軸間距離(R)と、前記粉砕室の断面円の最大直径(D)とが、0<R<D/2の関係を満たすことを特徴とする。
【0021】
請求項15に記載の発明は、画像形成装置において、
請求項1〜14の何れか一項に記載の現像装置を備えることを特徴とする。
【0022】
請求項16に記載の発明は、
請求項1〜14の何れか一項に記載の現像装置による現像剤の撹拌方法において、
前記回転部材を回転させるとともに、前記送風部からの空気を前記現像部に供給して、前記現像部内の空気を前記送風部に排出させることで、前記現像部内の空気を循環させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、第1接続部は、現像部内の粉体と空気との所定の界面より重力方向側に設けられ、第2接続部は、前記所定の界面よりも重力方向と反対側に設けられる。
このため、現像部内に空気の循環経路が形成され、空気の供給と排出の流量質量は保存されるので、現像剤を飛散させることなく現像剤の撹拌を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】第1実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】現像装置の構成を示す概略図である。
【図3】現像装置の構成を説明するための図である。
【図4】変形例1の現像装置の構成を説明するための図である。
【図5】変形例2の現像装置の構成を説明するための図である。
【図6】変形例3の現像装置の構成を説明するための図である。
【図7】変形例4の現像装置の構成を説明するための図である。
【図8】変形例5の現像装置の構成を説明するための図である。
【図9】変形例6の現像装置の構成を説明するための図である。
【図10】変形例7の現像装置の構成を説明するための図である。
【図11】第2実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図12】粉砕部の構成を示す概略図である。
【図13】粉砕部の細部構成を説明するための図である。
【図14】第3実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図15】粉砕部の構成を示す概略図である。
【図16】粉砕部の細部構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0026】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、画像形成装置1は、4本の像担持体(感光体ドラム2Y、2M、2C、2K)に形成したイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(B)の各トナー像を中間転写体(中間転写ベルト4)上に転写して重ね合わせた後、用紙に二次転写するタンデム方式のカラー画像形成装置である。
【0027】
具体的に、画像形成装置1の内部中央部には、4本の感光体ドラム2(2Y、2M、2C、2K)が縦に配列されている。各感光体ドラム2は、それぞれ反時計方向に回転駆動される。
各感光体ドラム2には、これに対向するように各色の現像装置3(3Y、3M、3C、3K)が配置されている。なお、図1には現像装置3Yのみ表示している。
また、各感光体ドラム2の周囲には、図示しない清掃装置、帯電装置、露光装置が配置されている。
【0028】
各感光体ドラム2は、中間転写ベルト4と接触している。
中間転写ベルト4は、時計方向に回転駆動され、その内側には、各現像装置3と対向する位置に一次転写装置(図示省略)を有している。
【0029】
各色のトナー像は、上記の帯電、露光、現像の各装置で感光体ドラム2Y、2M、2C、2K上に形成され、一次転写装置により中間転写ベルト4上に転写される。そして、中間転写ベルト4上に形成されたカラートナー像は、画像形成装置1の下部の給紙装置5から供給される用紙に二次転写され、定着装置6で定着されて排出される。
【0030】
図2に、現像装置3の概略構成図を示す。
現像装置3は、現像部20と、現像部20内の空気を循環させる空気循環機構10とを備えて構成されている。
【0031】
現像部20は、例えば、回転部材21,22と、現像ローラ23と、等を備えて構成されている。
【0032】
回転部材21,22は、螺旋状に連なる羽根(スクリュー)を有し、その回転により、現像部20内に収容されたトナーやキャリアから構成された現像剤を攪拌すると共に、当該現像剤を現像ローラ23側へ搬送する。
現像ローラ23は、回転部材21,22によって搬送されてきた現像剤を担持して感光体ドラム2へ供給する。感光体ドラム2と現像ローラ23とは僅かな隙間を挟んで対向する位置に設けられており、現像ローラ23に担持された現像剤に含まれるトナーは、感光体ドラム2と現像ローラ23間に形成された電界により現像ローラ23から感光体ドラム2へ飛翔し、感光体ドラム2に担持される。
また、現像部20の内部の空気は、空気循環機構10によって循環され、この際に現像剤が撹拌されるようになっている。
【0033】
空気循環機構10は、例えば、送風部11と、送風部11からの空気を現像部20に供給する第1ダクト12と、現像部20の空気を送風部11に排出する第2ダクト13と、等を備えて構成されている。
【0034】
送風部11は、現像部20に対して空気を押し出すと共に、現像部20の空気を吸引する。送風部11としては、例えば、少流量で高通風抵抗の場合、ダイヤフラムポンプやモーノポンプを用いることが好ましく、大流量で低抵抗の場合、軸流型やシロッコタイプのファンを用いることが好ましい。
【0035】
第1ダクト12は、一端が現像部20に連結され、他端が送風部11に連結され、送風部11から押し出された空気を現像部20に搬送する搬送経路を形成している。
同様に、第2ダクト13は、一端が現像部20に連結され、他端が送風部11に連結され、現像部20から排出される空気を送風部11に搬送する搬送経路を形成している。
なお、第1ダクト12及び第2ダクト13は、例えば、シリコンなどの柔軟なチューブを用いて形成することができる。これにより、大きな曲率をもって搬送経路を形成することが可能である。
【0036】
ここで、図3(a)(b)に示すように、現像部20と第1ダクト12との連結部である第1接続部121は、現像部20内の現像剤と空気との所定の界面Kの位置より重力方向側(現像部20の下部側)に設けられている。
一方、現像部20と第2ダクト13との連結部である第2接続部131は、界面Kの位置よりも重力方向と反対側、即ち界面Kに対して第1接続部121の反対側(現像部20の上部側)に設けられている。
これにより、現像部20内には、当該現像部20の下部側(第1接続部121)から上部側(第2接続部131)を経路とする空気の循環経路が形成され、現像部20内部の現像剤がエアー撹拌されるようになっている。
なお、第1接続部121は、界面Kより重力方向側であれば、現像部20の底面であっても側面であっても設定可能であるが、第1接続部121及び第2接続部131が、互いに対向するように設けられることがより好ましい。
また、第2接続部131は、複数に分けて、感光体ドラム2近傍に配置することとしても良い。
【0037】
上記構成により、本実施形態の現像装置3では、以下のような現像剤の撹拌方法が実現される。
即ち、回転部材21,22を回転させるとともに、送風部11からの空気を第1ダクト12により現像部20に供給して、現像部20内の空気を第2ダクト13により送風部11に排出させることで、現像部20内の空気を循環させる。
具体的には、現像部20の下部側(界面Kより下側)から現像部20内に空気が供給され、現像部20の上部側(界面Kより上側)から現像部20内の空気が排出される。
このとき、空気の供給と排出の流量質量は保存されるので、現像剤を飛散させることなくエアー撹拌が可能である。
また、現像剤は、粉体であっても液体であっても、空気の密度が著しく低いため撹拌の効果を得ることができる。
また、現像剤が液体の場合においては、気化した溶剤やその臭気が漏れることがない。
また、特に、現像剤が液体の場合、気泡の直径がミリ単位又はマイクロ単位となるように設定した複数の第1接続部121を平行に設け、この複数の第1接続部121から空気を供給することで混合スケールを調整することができる。
【0038】
以上のように、本実施形態によれば、現像剤を撹拌する回転部材21,22を内部に備えた現像部20と、空気を送り出す送風部11と、送風部11と現像部20とを接続する第1ダクト12と、現像部20と送風部11とを接続する第2ダクト13と、を備え、現像部20と第1ダクト12とが連結される第1接続部121は、現像部20内の現像剤と空気との所定の界面Kの位置よりも重力方向側に設けられ、現像部20と第2ダクト13とが連結される第2接続部131は、所定の界面Kの位置よりも重力方向と反対側に設けられている。
このため、現像部20内に、現像部20の下部から上部を経路とする空気循環経路が形成され、空気の供給と排出の流量質量は保存されるので、現像剤を飛散させることなく現像剤の良好な撹拌を実現することができる。
また、現像剤を飛散させることがないため、例えばフィルター等の飛散に対応した部材を設ける必要がない。
【0039】
なお、上記実施形態においては、第1ダクト12により送風部11からの空気を現像部20に供給し、第2ダクト13により現像部20の空気を送風部11に排出することで、現像剤の底部から空気を挿入して循環させる構成を例示して説明したが、送風部11の運転方向を反対にし、第2ダクト13により送風部11からの空気を現像部20に供給し、第1ダクト12により現像部20の空気を送風部11に排出する構成とすることもできる。
この場合には、現像剤を上から落とす構成となって撹拌が行われることとなる。
【0040】
また、複数の現像部20に対して、1つの送風部11を用いるように構成することも可能である。
【0041】
次に、図4〜図10を参照し、第1ダクト12と、第2ダクト12との変形例について説明する。
なお、図4〜図9においては、現像部20の回転部材21のみを図示している。
【0042】
[変形例1]
図4(a)は、変形例1の空気循環機構10の構成を示す概略図であり、図4(b)は、図4(a)を回転部材21の側方からみた図である。
変形例1では、図4(b)に示すように、第1ダクト12と、第2ダクト13とは、第1接続部121の断面積(S1)が、第2接続部131の断面積(S2)より小さくなるよう(S2>S1)構成されている。
このように構成することで、空気を現像部20の底面より供給する場合、送風部11から現像部20に向かう空気の速度に比べて、現像部20から送風部11に向かう空気の速度を相対的に落とすこととなり、現像剤が送風部11に輸送されるのを抑制することができる。また、送風を停止した際に、現像部20から送風部11に逆流が起こるのを防止することができる。
ここで、第2接続部131は、第1接続部121に比べて断面積が大きいだけでなく、断面積が急激に変わらないように、現像部20と第2ダクト13の接続部の形状がR加工された形状とされている。このようにすることで、通風抵抗を低減することが可能となる。また、局所的な速い流れを防ぐことになるため、結果として、現像剤の搬送力を全体的に押し下げることとなる。
【0043】
[変形例2]
図5(a)〜(c)は、変形例2の空気循環機構10の構成を示す概略図である。
変形例2では、図5(a)〜(c)に示すように、第1ダクト12の一部に、重力方向と反対方向に湾曲した湾曲部122を有するように構成されている。
このように構成することで、第1ダクト12の経路内には、界面K1が生成され、送風部11の停止時に現像剤の逆流を防止することができる。
なお、現像部20から、湾曲部122までの断面積を相対的に小さくすれば、搬送される現像剤の量が少ないため、送風部11の起動電力源を抑えることが可能となる。特に、現像部20を送風部11よりも低い位置に設置する場合には、このように構成することが好ましい。
【0044】
[変形例3]
図6(a)〜(c)は、変形例3の空気循環機構10の構成を示す概略図である。図6(a)は、現像部20の底面に第1接続部121を設けた例であり、図6(b)は、図6(a)を回転部材21の側方からみた図であり、図6(c)は、現像部20の側面に第1接続部121を設けた例である。
変形例3では、回転部材21の回転方向と、第1接続部121より挿入した空気が浮上する方向とが対向するように、第1接続部121が設けられている。かかる設定が可能であれば、図6(a)や図6(c)に示すように、第1接続部121は、現像部20の底面や側面の何れにも設けることができる。
なお、図6(a)に示すように、回転部材21の回転軸を原点としたときX軸が正の領域で第1接続部121を接続することが好ましい。このとき、第1接続部121が界面Kに近すぎると撹拌の効果が少ないため、回転軸を原点とすれば、θ=280〜300degの範囲(図6(a)左図のTで示す範囲)がより好ましい。
このように構成することで、現像剤への噴流速度が大きくなるため、撹拌を促進させることができる。
【0045】
[変形例4]
図7(a)は、変形例4の空気循環機構10の構成を示す概略図であり、図7(b)は、図7(a)を回転部材21の側方からみた図であり、図7(c)は、図7(b)の領域Aの拡大図である。
変形例4では、図7(a)〜(c)に示すように、第1接続部121に、多数の空孔を有する多孔体123が備えられている。
多孔体123としては、例えば、内部に大小さまざまな孔を有する単一素材の多孔質体や、多数の微小な球体及び/又は多角体などの複数の粒子から構成された多孔質構造体が挙げられるが、これ以外にも、線材を重ねて網状にした網状部材や、空孔を有する繊維素材や、多数の孔を形成した平板などを用いることもできる。
このように構成することで、第1接続部121の断面積を広げることとなり、送風速度を抑えて広範囲な流動層を形成することができる。
なお、空気を回転部材21,22の回転軸方向から挿入する場合も、同様の効果を得ることができる。また、トナーやキャリアを空気と混ぜて供給する場合、これらトナーやキャリアの粒子よりも空孔の断面積が十倍以上大きなサイズとなるようにすることが好ましい。
【0046】
[変形例5]
図8(a)は、変形例5の現像器20及び空気循環機構10の構成を示す概略図であり、図8(b)は、図8(a)の整流部材132の他の態様を示した図である。
変形例5では、図8(a)に示すように、第2接続部131には、整流部材132が備えられている。
整流部材132は、複数の板体132a・・・を平行に径方向に所定の間隔で配置して構成されている。
このとき、板体132aに付着した粉体や粉体塊を脱落させるように、板体132aの主面が重力方向に沿うように配置されることが好ましい。
このように構成することで、第2接続部131における局所的な速い流れを抑制することができるため、粒子が搬送されるのを低減することができる。
【0047】
また、図8(b)に示すように、整流部材132をハニカム構造とすることとしても良い。
このように構成することで、第2接続部131に強度を与えることができる。
この場合には、通風抵抗とならないように、整流部材132に極力薄い板体を用いることが好ましい。この場合、縦横に格子状に板体を配置したものよりも、三角形や六角形とすることで、設置する際の破損を防ぐことができる。
【0048】
[変形例6]
図9(a)は、変形例6の現像器20及び空気循環機構10の構成を示す概略図であり、図9(b)は、図9(a)を回転部材21の側方からみた図である。
変形例6では、図9(a)(b)に示すように、現像部20内の界面Kより上方に、回転部材21の軸方向に沿って第2接続部131を挟むように、2つの軟質部材14が配されている。
軟質部材14としては、線状部材を束ねてブラシ状としたものが好ましい。繊維長としては、その先端部が界面Kに接する長さとすると、密閉性が高まるため好ましい。
また、この軟質部材14を配置する場合には、回転部材21の軟質部材14と接する部分の径を小さくしたり、回転部材21,22の当該軟質部材14と接する部分を切り欠くようにすることで、より密閉性を高めることができる。
なお、軟質部材14には、例えば、ゴムやPETなどの樹脂材料を用いることができる。
このように構成することで、空気の流れを限定することができ、より効果的に現像剤の飛散を防止することができる。
【0049】
[変形例7]
図10(a)は、変形例7の現像器20及び空気循環機構10の構成を示す概略図であり、図10(b)は、図10(a)の回転部材21及び空気循環機構10を上側からみた図である。
変形例7では、図10(a)に示すように、現像部20内の界面Kより上方における回転部材21,22の間には、回転部材21,22の長手方向に沿って仕切り部材15が配されている。
仕切り部材15の材質としては、例えば、変形例6と同様の軟質部材を用い、その上端部15aが現像部20の内面上部に連結され、上端部15aを支点として振り子状に可動可能とすることが好ましい。
このように構成することで、界面Kが変化した場合でも、回転部材21,22のトルクを最小限に抑えることができる。また、仕切り部材15が回転部材21,22と接触しないため、耐久性の低い軟質部材を仕切り部材15として用いることができ、且つ密閉性を高めることができる。
【0050】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態について、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
なお、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略することとする。
【0051】
図11は、第2実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
本実施形態の画像形成装置1Aにおいては、図11に示すように、第1ダクト12の送風部11と現像部20との間に、粉体塊を粉砕する粉砕部30が接続された空気循環機構10Aを有する現像装置7(7Y)が備えられている。
粉体塊とは、現像剤が湿度や温度の影響で凝集することで形成されたものである。
本実施形態の粉砕部30は、空気の旋回流によりこの粉体塊に大きな遠心力を与えることで、粉砕部30の内壁に衝突させてこれを破砕するものである。なお、以下では、粉体塊が破砕されたものを「微粒」と表現する。
【0052】
ここで、図12(a)に、粉砕部30の上面図を示し、図12(b)に、粉砕部30を側方からみた斜視図を示し、図12(c)に、粉砕部30の内部構成を示す模式図を示す。
図12(a)〜(c)に示すように、粉砕部30は、外観視が円柱状の筒状体32と、筒状体32の内部に設けられた断面視円形状の粉砕室31と、粉砕室31に空気と共に粉体塊を流入する流入部33と、粉砕室31から空気と共に微粒を流出する流出部34と、等を備えている。
なお、本実施形態においては、筒状体32は円柱状を成すこととしているが、これ以外にも、角柱状や円錐状にすることもできる。
【0053】
流入部33は、筒状体32の上部側面の端部から、粉砕室31に連通するように筒状に設けられ、送風部11側の第1ダクト12と接続されている。
流入部33は、粉砕室31を断面視した際の円(断面円)の接線方向に沿う方向に空気を流入する。
【0054】
粉砕室31は、円錐状に形成され、断面視が円形状となっている。
この粉砕室31では、流入部33から空気と共に流入された粉体塊が旋回し、旋回流によって当該粉体塊に遠心力が与えられる。かかる作用で粉体塊は、粉砕室31の内壁に衝突し、砕かれて微粒となる。粉砕室31では、旋回流は、粉砕室31の経路下流においても長く持続され、重力方向などの一方向のみに粉体が偏ることが防止されている。
また、粉砕室31は、その断面積を徐々に変化させるように構成すると、流入部33の第2ダクト12との接続が円滑で、且つ粉体の固着を防ぐことができ好ましい。
また、粉砕室31における旋回流の回転軸方向が、重力方向に等しくなるように設置されている。このため、本実施形態のように搬送経路の下流を下向きとした場合には、粉砕部30を停止した際に粉体が送風部11に向かって逆流しづらくなる。
なお、搬送経路の下流を上向きとして粉砕部30を備えた場合にも、粉砕室31における旋回流の回転軸方向が重力方向に等しくなるように設置することで、大きな粉体塊が下流に行くことが防止することができることとなる。
なお、粉砕室31は、その断面が円に近いほど通風抵抗が少なく、強い旋回流を形成することができるので、断面視が円形状となるものが好ましく、円錐状の他にも、例えば円柱状などとすることも好ましいが、これ以外にも、粉砕室を、断面視が多角形状となる角柱状に形成することとしても良い。
【0055】
流出部34は、粉砕室31内の搬送経路の下流側において、粉砕室31における旋回流の回転軸方向に沿って筒状に設けられ、現像部20側の第1ダクト12と接続されている。
このとき、図13に示すように、流出部34に、くさび形状の突起部34aを備えることしても良い。
このようにすることで、流出部34に伸縮するチューブを用いることが可能であり、接続が容易でありながら抜けづらくすることができる。なお、上記したくさび形状の突起部は、流入部33にも採用することができる。
また、流入部33と流出部34の直径を等しくすることで、直列に粉砕部30を設置する際にスムーズな流れを形成することができるようになっている。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、第1ダクト12に接続され、粉体塊を粉砕する粉砕部30が備えられ、粉砕部30は、空気の旋回流により粉体塊を粉砕する断面視円形状の粉砕室31と、粉砕室31内の上流において、第1ダクト12の送風部11側に接続される少なくとも1つの流入部33と、粉砕室31内の下流において、第1ダクト12の現像部20側に接続される流出部34と、を備え、流入部33は、粉砕室31の断面円の接線方向に沿う方向に空気を流入し、流出部34は、粉砕室31における旋回流の回転軸方向に沿う方向に空気を流出する
このため、旋回流により、粉体塊に大きな遠心力を与え、粉砕部の内壁に衝突させて粉砕することできる。
また、粉体塊が搬送される経路の下流においても旋回流が持続するため、重力方向などの一方向のみに粉体が偏るのを防止することができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、流出部34は、筒状に形成され、くさび形状の突起部34aを備え、現像部20側の第1ダクト12に突起部34aが挿入される。
このため、流出部34の第1ダクト12への接続が容易でありながら抜けづらくすることができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、粉砕室31における旋回流の回転軸方向が、重力方向に等しくなっている。
このため、下流を下向きとした場合には、粉砕部30を停止した際に粉体が送風部11に向かって逆流しづらく、下流を上向きとした場合には、大きな粉体塊が下流に行くことが防止することができる。
【0059】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態について、第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
なお、第2実施形態と同様の構成については、同様の符号を付してその説明を省略することとする。
【0060】
図14は、第3実施形態の画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
本実施形態の画像形成装置1Bにおいては、図14に示すように、現像装置8(8Y)は、粉砕部30の流入部33近傍に、粉体(トナー)を貯留する容器40が接続された空気循環機構10Bを備えている。
具体的には、図15に示すように、粉砕室31の上部に容器40が備えられている。当該容器40には、上下に動作する粉体放出弁41が備えられ、この粉体放出弁41を動作することで粉体放出弁41を開き、粉体を粉砕部30に放出するようになっている。
このため、流入部33における速度よりも数倍高速な旋回流に粉体を投入することとなり、粉体塊を細かく粉砕することが可能である。
【0061】
ここで、粉砕室31の内壁近傍では流れが極端に遅く、しかし、遠心力により静圧は高いため、粉体放出弁41の設置位置としては、粉砕室31の中心よりも僅かに外側が好ましい。
具体的には、図16に示すように、粉砕室31における旋回流の回転軸P1及び粉体放出弁41の中心軸P2の軸間距離(R)と、粉砕室31の断面円の最大直径(D)とが、0<R<D/2の関係を満たしていることが好ましい。
このように設定することで、ランキンの複合渦の接線方向成分が大きい位置に相当するため、遠心力が大きくなり、粉砕の効果を大きくすることができる。
【0062】
なお、乱れを多く発生させるため、粉砕室31の内壁に突起部材を配置したり、ワイヤーを設置すると、そこから発生した渦により非定常な渦運動が起こり、撹拌の効果を一層高めることができる。
また、本実施形態においては、粉砕部30の上側から粉体を放出させているが、粉砕部30の側面に粉体放出弁41が具備されることとしても良い。
また、スクリューや回転式のロータなどで粉体を放出しても良い。
また、複数種類の粉体の混合を促進するために、粉体放出弁41を2つ以上設け、旋回流中に同時に放出することとしても良い。
【0063】
また、容器40は、現像部20よりも重力方向の反対側に配置すると、少ない動力源で稼動することができるため好ましい。
【0064】
以上のように、本実施形態によれば、粉砕部30の流入部33近傍には、粉体を貯留する容器40が接続され、容器40には、粉体放出弁41が備えられ、粉体放出弁41を開くことで粉体が粉砕部30に放出される。
このため、流入部33における速度よりも数倍高速な旋回流に粉体を投入することとなり、粉体塊をより細かく粉砕することが可能である。
【0065】
また、本実施形態によれば、粉砕室31における旋回流の回転軸と粉体放出弁41の中心軸との軸間距離(R)と、粉砕室31の断面円の最大直径(D)とが、0<R<D/2の関係を満たしている。
このため、遠心力が大きくなり、粉砕の効果を大きくすることができる。
【0066】
なお、上記第2、第3実施形態において、系の通風抵抗が大きい場合には、粉砕部30を並列に配置することもできる。
【0067】
また、上記第2、第3実施形態においても、第1ダクト12、第2ダクト13及び現像部20の構成として、上記した変形例1〜7を適用することができるのは勿論である。
【0068】
また、本発明の画像形成装置としては、上記の構成に限定されるものではなく、公知の複写機、プリンタ、MFPにおけるモノクロ/カラー等の何れであっても良い。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、1B 画像形成装置
2 感光体ドラム
3、7、8 現像装置
4 中間転写ベルト
5 給紙装置
6 定着装置
10、10A、10B 空気循環機構
11 送風部
12 第1ダクト
121 第1接続部
122 湾曲部
K1 界面
123 多孔体
13 第2ダクト
131 第2接続部
132 整流部材
132a 板体
14 軟質部材
15 仕切り部材
15a 上端部
20 現像部
21,22 回転部材
23 現像ローラ
30 粉砕部
31 粉砕室
32 筒状体
33 流入部
34 流出部
34a 突起部
40 容器
41 粉体放出弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を撹拌する回転部材を内部に備えた現像部と、
空気を送り出す送風部と、
前記送風部と前記現像部とを接続する第1ダクトと、
前記現像部と前記送風部とを接続する第2ダクトと、
を備え、
前記現像部と前記第1ダクトとが連結される第1接続部は、前記現像部内の現像剤と空気との所定の界面の位置よりも重力方向側に設けられ、
前記現像部と前記第2ダクトとが連結される第2接続部は、前記所定の界面の位置よりも重力方向と反対側に設けられることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第1接続部の断面積は、前記第2接続部の断面積より小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第1ダクトの一部には、重力方向と反対方向に湾曲した湾曲部が備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記回転部材の回転方向と、前記第1接続部より挿入した空気が浮上する方向とが対向することを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記第1接続部には、多数の空孔を有する多孔体が備えられることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項6】
前記第2接続部には、整流部材が備えられることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記整流部材は、ハニカム構造を有することを特徴とする請求項6に記載の現像装置。
【請求項8】
前記現像部内の前記所定の界面より上方には、前記回転部材の軸方向に沿って前記第2接続部を挟むように2つの軟質部材が備えられることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項9】
前記現像部内には、前記回転部材が2つ備えられ、
前記現像部内の前記所定の界面より上方における2つの前記回転部材の間には、2つの前記回転部材の軸方向に沿って仕切り部材が備えられることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項10】
前記第1ダクトに接続され、粉体塊を粉砕する粉砕部が備えられ、
前記粉砕部は、
空気の旋回流により粉体塊を粉砕する断面視円形状の粉砕室と、
前記粉砕室内の上流において、前記第1ダクトの前記送風部側に接続される少なくとも1つの流入部と、
前記粉砕室内の下流において、前記第1ダクトの前記現像部側に接続される流出部と、
を備え、
前記流入部は、前記粉砕室の断面円の接線方向に沿う方向に空気を流入し、
前記流出部は、前記粉砕室における旋回流の回転軸方向に沿う方向に空気を流出することを特徴とする請求項1〜9の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項11】
前記流出部は、筒状に形成され、くさび形状の突起部を備え、
前記現像部側の前記第1ダクトに前記突起部が挿入されることを特徴する請求項10に記載の現像装置。
【請求項12】
前記粉砕室における旋回流の回転軸方向が、重力方向に等しいことを特徴とする請求項10又は11に記載の現像装置。
【請求項13】
前記粉砕室の前記流入部近傍には、粉体を貯留する容器が接続され、
前記容器には、粉体放出弁が備えられ、
前記粉体放出弁を開くことで粉体が前記粉砕室に放出されることを特徴とする請求項10〜12の何れか一項に記載の現像装置。
【請求項14】
前記粉砕室における旋回流の回転軸と前記粉体放出弁の中心軸との軸間距離(R)と、前記粉砕室の断面円の最大直径(D)とが、0<R<D/2の関係を満たすことを特徴とする請求項13に記載の現像装置。
【請求項15】
請求項1〜14の何れか一項に記載の現像装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項1〜14の何れか一項に記載の現像装置による現像剤の撹拌方法において、
前記回転部材を回転させるとともに、前記送風部からの空気を前記現像部に供給して、前記現像部内の空気を前記送風部に排出させることで、前記現像部内の空気を循環させることを特徴とする現像剤の撹拌方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−15723(P2013−15723A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149235(P2011−149235)
【出願日】平成23年7月5日(2011.7.5)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】