現像装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジ
【課題】現像剤担持体表面を傷付けることなく、現像剤担持体に再付着した現像済み現像剤が、現像領域へ搬送されるのを抑制することができる現像装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】回収室305aの現像ローラ302と対向する箇所と回収室搬送部材305を挟んで反対側の箇所に再付着抑制磁石340を設けた。再付着抑制磁石340を設けることで、回収室305aの現像剤320を、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により回収室305aに留まらせることができ、回収室305aから現像ローラ302へ向かって現像剤が飛翔するのを抑制することができる。
【解決手段】回収室305aの現像ローラ302と対向する箇所と回収室搬送部材305を挟んで反対側の箇所に再付着抑制磁石340を設けた。再付着抑制磁石340を設けることで、回収室305aの現像剤320を、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により回収室305aに留まらせることができ、回収室305aから現像ローラ302へ向かって現像剤が飛翔するのを抑制することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、現像剤担持体に現像剤を供給するための供給搬送路と、現像領域でトナーを消費した現像剤担持体表面上の現像済み現像剤を回収する回収搬送路とを備えた供給回収分離方式の現像装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の現像装置は、現像剤担持体に沿って現像剤担持体回転軸方向に延びる供給搬送路の下方に回収搬送路が並列に配置されている。供給搬送路の下流側と回収搬送路の上流側とは開口を介して連通しており、供給搬送路の上流側と回収搬送路の下流側とは開口を介して連通しており、現像剤が循環する。現像領域を通過しトナー濃度が低下した現像済み現像剤は、回収搬送路に回収される。回収搬送路へ回収された現像済み現像剤は、回収搬送路内の回収搬送部材により攪拌されながら、回収搬送路下流の開口へ向けて搬送され、現像剤供給搬送路へ搬送される。
【0003】
回収搬送路に回収された現像済み現像剤は、回収搬送部材により上記開口へ搬送されるまでの間に回収搬送部材の攪拌力により飛翔し、現像剤担持体に再付着する場合がある。このように、回収搬送路内の現像済み現像剤が再付着すると、この再付着したトナー濃度が低下した現像済み現像剤が現像領域へ運ばれ、この現像済み現像剤により現像された部分の画像の濃度が低下してしまい、画像濃度ムラが生じてしまう。
【0004】
特許文献1に記載の現像装置においては、回収搬送経路と供給搬送経路とを仕切る仕切り部材を、現像剤担持体に対して、0.2mm〜1mmの隙間を有して対向させ、仕切り部材により、現像剤担持体へ再付着した現像済み現像剤を掻き落とすことで、現像剤担持体に再付着した現像済み現像剤が、現像領域へ搬送されるのを抑制している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、仕切り部材を、現像剤担持体に対して0.2mm〜1mmの隙間を有して対向させる構成では、再付着した現像済み現像剤を十分に掻き落とすことができない。また、仕切り部材を現像剤担持体に接触させれば、再付着した現像剤を良好に掻き落とすことができ、再付着した現像剤が、現像領域へ搬送されるのを防止することができる。しかし、この場合、現像剤担持体表面が仕切り部材と摺擦するため、現像剤担持体表面が傷ついてしまうという課題が生じてしまう。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤担持体表面を傷付けることなく、現像剤担持体に再付着した現像済み現像剤が、現像領域へ搬送されるのを抑制することができる現像装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する現像領域で上記潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、上記現像剤担持体に対して対向配置され、上記現像剤担持体の軸線方向に沿って供給搬送部材で現像剤を搬送しながら上記現像剤担持体に現像剤を供給する供給搬送路と、上記現像剤担持体の上記現像領域から上記供給搬送路から現像剤が供給される供給領域までの間の領域に対向配置され、上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収し、現像剤担持体の軸線方向に沿って、上記現像剤担持体から回収された現像剤を回収搬送部材により搬送する回収搬送路と、上記供給搬送路の現像剤搬送方向下流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向上流端とを連通する第1連通部と、上記供給搬送路の現像剤搬送方向上流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向下流端とを連通する第2連通部とを備え、上記供給搬送路と上記回収搬送路との間で現像剤を循環搬送する現像装置において、上記回収搬送路内の現像剤を、上記回収搬送路内に留まるように磁気吸引して、上記回収搬送路内の現像剤が、現像剤担持体へ再付着するのを抑制する再付着抑制磁石を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回収搬送部材の攪拌力により現像剤担持体へ向けて飛翔しようとする現像剤を再付着抑制磁石の磁気吸引力により現像剤回収搬送路に留ませることができる。よって、回収搬送部材の攪拌力により現像剤担持体へ向けて飛翔して、現像剤回収路内の現像剤が、現像剤材担持体に付着するのを抑制することができる。これにより、現像剤回収路へ回収された現像済み現像剤が、回収搬送部材の攪拌力により飛翔して現像剤担持体に再付着するのを抑制することができる。その結果、再付着した現像剤が、現像領域へ搬送されるのを抑制できる。
また、現像剤担持体に回収搬送路と供給搬送路を仕切る仕切り部材を現像剤担持体に接触させて、現像剤担持体に再付着した現像剤が、現像領域へ搬送されないようにしたものに比べて、現像剤担持体表面が傷つくのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】作像装置の概略構成図。
【図3】法線磁束密度分布を追記した現像装置及び感光体の説明図。
【図4】現像ローラの回転軸方向に平行な断面の断面説明図。
【図5】現像スリーブ302cの内部に5つの磁石MGを有し、5つの磁極MP(磁力分布)が生じるマグネットローラを備えた現像ローラの法線磁束密度分布を追記した現像装置及び感光体の説明図。
【図6】現像装置の主要部の内部斜視図。
【図7】現像装置の主要部の外観斜視図。
【図8】現像装置の連通口部分の説明図。
【図9】循環経路の変形例を示す斜視図。
【図10】同変形例の循環経路の分解斜視図。
【図11】同変形例の循環経路を備えた現像装置の奥側の断面図。
【図12】従来の現像装置の不具合を説明する図。
【図13】再付着抑制磁石を設けた現像装置の概略構成図。
【図14】回収室の現像ローラ対向領域における現像剤搬送方向下流側にのみ再付着抑制磁石を設けた現像装置の主要部の外観斜視図。
【図15】現像剤汲み上げ量と現像剤規制部材対向磁極の磁束密度変動量との関係を示す図。
【図16】再付着抑制磁石の回収室に対向させる磁極の極性と、マグネットローラの各磁極の極性とを示す図。
【図17】再付着抑制磁石を回収室と供給室との間に設けた変形例の現像装置の概略構成図。
【図18】同変形例の現像装置の再付着抑制磁石の回収室に対向させる磁極の極性と、マグネットローラの各磁極の極性とを示す図。
【図19】同変形例の現像装置の回収室の現像ローラ対向領域における現像剤搬送方向下流側にのみ再付着抑制磁石を設けた現像装置の主要部の外観斜視図。
【図20】従来の現像装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を画像形成装置としてのプリンタ(以下、プリンタ100という)に適用した実施形態について説明する。
図1は、プリンタ100の概略構成図である。プリンタ100は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラー画像形成装置であり、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアン(以下、K,M,Y,Cと記す)の各色トナー像を形成する作像装置17(K,M,Y,C)を備えている。これらの作像装置17(K,M,Y,C)の下方には、下流側張架ローラ18及び上流側張架ローラ19に掛け回されて転写紙Pを表面に担持して搬送し、各作像装置17(K,M,Y,C)の対向しながら表面移動する転写搬送ベルト15が配設されている。転写搬送ベルト15を挟んで各作像装置17(K,M,Y,C)と対向する転写バイアスローラ5(K,M,Y,C)を備えている。
また、転写搬送ベルト15による転写紙搬送方向について下流側張架ローラ18よりも下流側には、転写搬送ベルト15から分離した転写紙P上の未定着トナーを定着する定着装置24を備えている。また、プリンタ100の本体上部には、定着装置24を通過しトナー像が定着した転写紙Pを積載するための排紙トレイ25を備えている。
【0011】
転写搬送ベルト15の下方には、転写紙Pを収容する複数の給紙カセット20を備えている。また、転写搬送ベルト15と作像装置17(K,M,Y,C)とが対向する転写領域に各給紙カセット20から転写紙Pを供給する転写紙供給手段としての給紙搬送装置26と、給紙カセット20から搬送されてきた転写紙Pを作像装置17(K,M,Y,C)による作像タイミングに合わせて供給するレジストローラ対23とを備えている。
【0012】
なお、図1ではプリンタ100が図1中の左右方向において小型になるよう、転写搬送ベルト15が斜め方向に配設され、矢印Aで示す転写紙Pの搬送方向が斜め方向となっている。これにより、プリンタ100は、図1中の左右方向における筐体の幅が、A3サイズの転写紙長手方向の長さよりも僅かに長い大きさとなっている。すなわち、プリンタ100は、内部に転写紙を収容するために最低限必要な大きさとされることで大幅に小型化されている。
【0013】
各作像装置17(K,M,Y,C)は、潜像担持体としてドラム状の感光体1(K,M,Y,C)を有している。この感光体1(K,M,Y,C)の回転方向に関して順に、それぞれ帯電手段としての帯電装置2(K,M,Y,C)、現像手段としての現像装置3(K,M,Y,C)、クリーニング装置6(K,M,Y,C)、等を有している。上記作像装置17(K,M,Y,C)は、感光体1と、帯電装置2、現像装置3、クリーニング装置6等を一体的に備えたプロセスカートリッジとして、装置本体から着脱可能に構成されている。また、帯電装置2(K,M,Y,C)と現像装置3(K,M,Y,C)との間で書込光Lを潜像形成手段としての露光装置16(K,M,Y,C)から照射される周知の構成である。感光体1(K,M,Y,C)はドラム状でなく、ベルト状としても良い。
【0014】
このような構成のプリンタ100では、画像形成スタートとともに、各作像装置17(K,M,Y,C)で各色トナー像が形成される。各作像装置17(K,M,Y,C)では、感光体1(K,M,Y,C)が、図示されないメインモータにより回転駆動され、帯電装置2(K,M,Y,C)によって一様帯電された後、露光装置16(K,M,Y,C)より、画像を色分解した色毎の画像情報に応じて書込光Lが照射され、静電潜像が形成される。感光体1(K,M,Y,C)上に形成された静電潜像は、現像装置3(K,M,Y,C)により現像され、各感光体1(K,M,Y,C)の表面上に各色トナー像が形成される。一方、複数ある給紙カセット20のうちの1つから給紙搬送された転写紙Pは、レジストローラ対23によって作像装置17(K,M,Y,C)による作像タイミングに合わせて、転写搬送ベルト15の表面上に供給される。そして、転写搬送ベルト15に担持された転写紙Pは転写搬送ベルト15の表面移動によって各色の転写領域に搬送される。
【0015】
各感光体1(K,M,Y,C)上に形成されたトナー像は、感光体1(K,M,Y,C)と転写搬送ベルト15との対向部で転写バイアス手段である転写バイアスローラ5(K,M,Y,C)によって転写搬送ベルト15上に担持された転写紙Pに順次転写される。このようにしてK(黒)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の順で各感光体1(K,M,Y,C)上に形成されたトナー像が転写され、重ね合わせカラートナー像が転写紙P上に形成される。トナー像を転写された転写紙Pは、転写搬送ベルト15から分離され、定着装置24に搬送され、トナー像が定着されて機外の排紙トレイ25に排出される。
一方、転写紙P上にトナー像を転写した後の感光体1(K,M,Y,C)は、クリーニング装置6(K,M,Y,C)によって転写残トナーの除去がなされ、必要に応じて図示しない除電ランプで除電された後、再度、帯電装置2(K,M,Y,C)で一様に帯電される動作を繰り返す。
図2に示すプリンタ100では、転写搬送ベルト15の搬送方向に沿って搬送方向上流側から、K(黒)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の順に四つの作像装置17(K,M,Y,C)が配置されているが、各色の作像装置17(K,M,Y,C)を配置する順序はこの限りではない。例えば、黒用の作像装置17Kを搬送方向最下流側に配置し、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)、K(黒)の順に四つの作像装置17(M,Y,C,K)を配置してもよい。
【0016】
次に、作像装置17について詳しく説明する。本実施形態のプリンタ100の作像装置17(K,M,Y,C)は、現像装置3内の画像形成物質として、互いに異なる色(K,M,Y,C)のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。このため、以下、添字K,M,Y,Cを省略し、作像装置17として説明する。
【0017】
図2は、本実施形態のプリンタ100に適用可能な現像手段たる現像装置3を含む作像装置17の概略構成図である。
現像装置3は感光体1に対向配置され、感光体1は図2中矢印aに示すように図2における時計回り方向に回転駆動する。
感光体1の上方、時計の文字盤で表現すれば図2中の感光体1の略11時の位置に帯電手段たる帯電装置2が配置されている。帯電装置2は本例では感光体1と同じ表面移動速度で回転される回転体からなるが、回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
【0018】
この帯電装置2により感光体1の表面は暗中で一様に帯電された後、潜像形成手段である露光装置16(図1参照)からの書込光Lの照射を受けて静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体1の回転と共に下流側に移動し現像装置3に至る。現像装置3は感光体1の右横に配置されている。
現像装置3はケーシング301内に、現像剤320を撹拌搬送する供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305、現像剤担持体たる現像ローラ302などの回転部材及びその他の部材を具備している。
現像ローラ302は図2中の感光体1の2時と3時との間の位置(2時半の位置)で感光体1に近接して対向させることで現像領域αを構成するようにして近接配置されている。この感光体1との対向部位に相当するケーシング301の部位は現像ローラ302を露出させるため開口している。
【0019】
現像ローラ302が図3中の矢印b方向に表面移動することにより、ケーシング301内の現像剤320は現像ローラ302の表面上に担持され、図2中の矢印B方向に搬送され、現像領域αへ搬送されるようになっている。現像領域αで感光体1の表面に形成されている静電潜像に現像剤320中のトナーが付着してトナー像として顕像化される。
このトナー像は感光体1の回転と共に感光体1の表面移動方向下流側に移動し、転写装置の転写バイアスローラ5との対向部である転写領域βに至る。転写バイアスローラ5は、感光体1の下方、図2中の感光体1の6時の位置に配置されている。本実施形態の転写装置は、転写部材として回転体からなる転写バイアスローラ5を備える構成であるが、転写部材としては回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
【0020】
感光体1上のトナー像は転写領域βにおいて転写紙Pに転写され、転写紙P上の画像となる。本実施形態のプリンタ100は、感光体1上に形成したトナー像を転写紙Pに直接転写する構成である。感光体1上に形成したトナー像を転写紙Pに転写する構成としては、感光体上のトナー像を中間転写体(中間転写ベルトなど)に一旦転写し、中間転写体上で各色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、その後多色トナー像を一括して転写紙に転写する中間転写体方式の画像形成装置にも本発明の現像装置は適用可能である。この場合は、転写領域βで感光体上のトナーを中間転写体(中間転写ベルト)に転写することになる。
【0021】
転写領域βを通過した感光体1表面は感光体1の回転に伴い、その表面移動方向下流側へ移動してクリーニング装置6との対向部に至る。
クリーニング装置6は図2中の感光体1に対して10時の位置に配置されている。クリーニング装置6は、転写領域βで転写紙Pに転写し切れずに感光体1の表面に残ったトナーを、クリーニングブレード601により除去する。クリーニング装置6との対向部を通過した感光体1の表面は、その後、帯電装置2により一様に帯電され、次の画像形成工程を繰り返す。
【0022】
次に、現像装置3について詳しく説明する。
図2に示すように、現像装置3は、ケーシング301の内部に現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305、現像剤規制部材303を有し、現像剤320を撹拌搬送して循環させている。 本実施形態の現像装置3では、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305として、回転軸部に螺旋形状のスクリュ羽部を固定したスクリュ部材を用いており、スクリュ羽部の外径が16[mm]以下のものを用いている。
【0023】
図3は、現像ローラ302回りに形成される磁界の法線磁束密度分布を追記した現像装置3及び感光体1の説明図である。
図3に示すように、現像ローラ302は、円周方向に複数の磁石MG(MG1〜MG3)を配置したマグネットローラ302dを内部に有し、その周囲を円筒状の現像スリーブ302cが回転軸302eと一体的に回転する構成となっている。
現像スリーブ302cはアルミ等の非磁性の金属で形成されている。マグネットローラ302dは、各磁石MGが所定の方向を向くように不動部材、例えば、ケーシング301に固定されており、その周囲を現像スリーブ302cが回転して、磁石MGによって引き付けた現像剤320を搬送していく。
【0024】
図4は、現像ローラ302の回転軸方向に平行な断面の断面説明図である。
図4に示すように、現像ローラ302は、不動部材であるケーシング301に固定されている固定軸302aと、この固定軸302aに一体的に形成され、円柱状をした磁界発生手段たるマグネットローラ302dと、マグネットローラ302dのまわりをギャップを介して覆っている現像スリーブ302cと、この現像スリーブ302cに一体的に構成された回転軸302e等からなる。固定軸302aに対して回転軸302eは軸受302fを介して回転自在であり、回転軸302eは図示省略の回転駆動手段から動力を伝達されて回転駆動される。現像ローラ302は、現像装置3の小型化のために直径が14mm以下のものが好ましい。
マグネットローラ302dの外周部には、図3に示すように所定の間隔をおいて複数の磁石MGが固定されている。これらの磁石MGの周囲を現像スリーブ302cが回転する構成となっている。
【0025】
マグネットローラ302dに配置された複数の磁石MGは、現像スリーブ302cの周表面に現像剤320を穂立ちさせ、また穂切りなどさせるように磁界を形成するためのものである。これらの磁石MGから発せられる法線方向磁力線に沿うように、磁性のキャリアが集合して磁気ブラシが形成される。
マグネットローラ302dとしては種々の構成が適用可能であるが、本実施形態の現像装置3では、図3に示すように、現像スリーブ302cの内部に3つの磁石MGを有し、3つの磁極MP(磁力分布)が生じるマグネットローラ302dを備える。
図3に示すように、現像ローラ302の中心である現像ローラ中心線O―1と感光体1の中心である感光体中心O−2とを結ぶ仮想直線上で、感光体1と対向する位置に第一磁石MG1を配置し、現像領域αにおける主磁極MP1を形成する。さらに、主磁極MP1に対して図3中の反時計回り方向に、ケーシング対向磁極MP2を形成する第二磁石MG2、現像剤規制部材対向磁極MP3を形成する第三磁石MG3が配置されている。
【0026】
本実施形態の現像装置3では、主磁極MP1をN極、ケーシング対向磁極MP2及び現像剤規制部材対向磁極MP3をS極としているが、各磁極の極性は各磁極がこれと反対の極性であってもよい。主磁極MP1は、感光体1に対向し、ケーシング対向磁極MP2はケーシングに対向しており、現像剤規制部材対向磁極MP3は、現像剤規制部材303に対向している。
現像領域αでは、現像ローラ302の表面と感光体1の表面とは直接には接触せず、現像に適する一定の間隔である現像ギャップGPを保持して対向している。現像装置3は、現像ローラ302表面上において、現像剤320を穂立ちさせ、現像剤320を感光体1に接触させることで、感光体1表面の静電潜像にトナーを付着させて顕像化する。
【0027】
また、図5に示すように、現像スリーブ302cの内部に5つの磁石MGを有し、5つの磁極MP(磁力分布)が生じるマグネットローラ302dを備えたものでもよい。図5に示すマグネットローラ302dは、主磁極MP1とケーシング対向磁極MP2との間に第4磁石MG4を配置し、現像済み現像剤搬送磁極MP4を形成している。また、主磁極MP1と現像剤規制部材対向磁極MP3との間に第5磁石を配置し、現像前現像剤搬送磁極MP5を形成している。図5では、主磁極MP1をN極、現像済み現像剤搬送磁極MP4をS極、ケーシング対向磁極MP2及び現像剤規制部材対向磁極MP3をN極、現像前現像剤搬送磁極MP5をS極としているが、これらは各極が反対の極性であっても構わない。図5に示すように、現像ローラ302上で、各極はその中心が、主磁極MP1は時計文字盤の8時、現像後現像剤搬送磁極MP4は同7時、ケーシング対向磁極MP2は同5時、現像剤規制部材対向磁極MP3は、同1時、現像前現像剤搬送磁極MP5は同10時の各位置に略位置している。
【0028】
現像装置3の現像ローラ302を構成する固定軸302aには接地された不図示のバイアス用の電源が接続されている。固定軸302aに接続された電源から電圧は、図4中に示す導電性の軸受302f及び導電性の回転軸302eを経て現像スリーブ302cに印加される。一方、感光体1を構成する最下層の導電性支持体は接地されている。このような構成により、現像領域αには、キャリアから離脱したトナーを感光体1側へ移動させる電界が形成され、現像スリーブ302cと感光体1の表面に形成された静電潜像との電位差により、トナーを感光体1側に向けて移動させることができる。
【0029】
本実施形態の現像装置3は、図1及び図2に示すように書込光Lで感光体1の表面上に潜像を書き込む方式の画像形成装置と組み合わせたものである。帯電装置2により感光体1の表面上に一様に負極性の電荷を乗せ、負極性の電位を低くするために画像部を書込光Lで露光し、電位が低下した画像部(静電潜像)に負極性のトナーで現像する、所謂反転現像方式を採用している。これは一例であり、本発明の特徴部を備えた現像装置を適用する構成としては、感光体1の表面上に乗せる帯電電荷の極性は大きな問題ではない。
【0030】
現像領域αを通過した現像スリーブ302cの表面上に担持された現像剤320は、ケーシング対向磁極MP2の磁力によって現像スリーブ302c上に担持され、現像スリーブ302cの回転と共に表面移動方向下流側に搬送され、ケーシング301内に引き入れられる。
ケーシング対向磁極MP2と現像剤規制部材対向磁極MP3とは同極性としており、図3、図4に示すように、現像スリーブ302cの表面移動方向について、ケーシング対向磁極MP2と対向する位置よりも下流側で、且つ、現像剤規制部材対向磁極MP3と対向する位置よりも上流側となる現像スリーブ302cの表面上の領域では、現像剤320を穂立ちさせる磁界が形成されない。このため、この領域の現像スリーブ302cの表面上では、現像剤320の穂が寝た状態となり、それまで現像スリーブ302cの表面上に引き寄せていた現像剤320を現像ローラ302から引き離す「剤離し」の作用が働く。この穂が寝た状態となる現像スリーブ302cの表面上のケーシング対向磁極MP2と対向する位置よりも下流側で、且つ、現像剤規制部材対向磁極MP3と対向する位置よりも上流側となる領域は、図3、図4に示すように、法線磁束密度分布の山形のピークが他領域と比べて極めて低い領域となり、この領域は、現像スリーブ302cから現像剤320を離す、剤離し領域γ(図2中に示す)を形成している。
【0031】
感光体1にトナーを付着させた現像剤320は、現像剤320中のトナー濃度が下がっている。このため、仮に、このトナー濃度が低下した現像剤320が現像ローラ302から離れずに再び現像領域αに搬送され現像に供されると、狙いの画像濃度を得ることが出来ないという不具合が生じてしまう。
これを防止する構成として、本実施形態の現像装置3では、現像領域αを通過した現像スリーブ302c表面上に担持された現像剤を剤離し領域γにおいて現像ローラ302から離脱させる。現像ローラ302から離脱した現像剤は、回収室305aに回収され、その後、狙いのトナー濃度、トナー帯電量になるように、ケーシング301内で十分に撹拌混合される。このようにして、狙いのトナー濃度、帯電量にされた現像剤320は、供給室304a内から供給室搬送部材304によって現像剤貯留スペースεに供給される。現像剤貯留スペースεに供給された現像剤320は、現像剤規制部材対向磁極MP3の磁力によって現像スリーブ302cの表面に担持され、現像剤規制部材対向磁極MP3のピーク位置に位置する現像剤規制部材303との対向部を通過することにより、所定の厚さに整えられる。現像剤規制部材303との対向部を通過した現像剤320は、磁気ブラシを形成しながら現像領域αに搬送される。また、現像剤規制部材対向磁極MP3は、現像剤320を搬送する搬送極の機能を担っている。
【0032】
図6は、現像装置3の主要部の内部斜視図であり、図7は、現像装置3の主要部の外観斜視図である。また、図8は、現像装置3の長手方向両端部の板状の仕切部材306に連通孔を設けた部分を上方から見た説明図である。
図6中の矢印D1〜D4がケーシング301内の現像剤320の流れを示している。
【0033】
図2及び図3に示すように、供給室搬送部材304は現像ローラ302のまわりの位置であって、図2及び図3中の現像ローラ302の2時の方向に配置されている。この位置は現像剤規制部材303との対向部に対して現像ローラ302の表面移動方向上流側でもある。図6に示すように、供給室搬送部材304は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ302の現像ローラ中心線O―302aと平行な供給スクリュ中心線O−304を中心に、図2及び図3中の矢印fで示す時計回り方向に回転する。この回転により、図中の矢印D4で示すように、供給スクリュ中心線O−304に沿って現像装置3の長手方向の手前側FSから奥側BSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、供給室搬送部材304は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320をその軸方向、手前側FSから奥側BSに向けて搬送する。
【0034】
図2及び図3に示すように、回収室搬送部材305は現像ローラ302のまわりの位置であって、図2及び図3中の現像ローラ302の4時の方向で、剤離し領域γの近傍に配置されている。図6に示すように、回収室搬送部材305は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ中心線O−302aと平行な回収スクリュ中心線O−305を中心に、図2及び図3中の矢印gで示す時計回り方向に回転する。この回転により、図中の矢印D2で示すように、回収スクリュ中心線O−305に沿って現像装置3の長手方向の奥側BSから手前側FSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、回収室搬送部材305は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320を供給室搬送部材304による搬送方向とは逆向きの奥側BSから手前側FSに向けて搬送する。
【0035】
回収室搬送部材305に対して供給室搬送部材304は上方に位置する関係となっており、ケーシング301内で供給室搬送部材304の周囲の空間である供給室304aと、回収室搬送部材305の周囲の空間である回収室305aとは仕切部材306を挟んで隣接している。
図6及び図7に示すように、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の手前側端部は現像ローラ302の手前側端部よりも若干手前側に位置するように設定して、現像ローラ302の手前側端部への供給室304a内からの現像剤320の供給を確保している。また、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の奥側端部は現像ローラ302の奥側端部よりも奥側に位置するように設定している。これにより、後述するトナー補給のためのスペースを確保している。現像剤規制部材303の長手方向の長さは、現像ローラ302の長さに合わせて設定されている。
【0036】
図2、図3に示すように、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間には、供給室304aと回収室305aとを空間的に仕切る仕切部材306がケーシング301の内側に支持されている。この仕切部材306の長手方向両側端部には、それぞれ連通口(41及び42)が設けられている。
回収室搬送部材305によって長手方向の奥側BSから手前側FS(図中矢印D2方向)に搬送された現像剤320は、その搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれるため側壁に沿って盛り上がる。この盛り上がりによって、回収室305a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切部材306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向手前側端部に設けられた持ち上げ口を通過し(図中矢印D3)、供給室304aに受け渡される。供給室304aに受け渡された現像剤320は、供給室搬送部材304によって供給室304a内を長手方向の手前側FSから奥側BS(図中矢印D4方向)に搬送される。
回収室305aの場合と同様に、供給室搬送部材304によって長手方向の手前側FSから奥側BS(図中矢印D4方向)に搬送された現像剤320は、その搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれる。供給室304a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切部材306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向奥側端部に設けられた落下口より落下し、回収室305aに受け渡される。
【0037】
このように、現像装置3は、現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305及び仕切部材306等を備える構成である。現像ローラ302は、現像剤320を担持して回転し感光体1に形成された静電潜像を可視像化するものである。供給室搬送部材304は、現像ローラ302の現像ローラ中心線O−302aに平行な供給スクリュ中心線O−304を中心に回転し、この供給スクリュ中心線O−304に沿って現像装置3の長手方向に現像剤320を撹拌しつつ搬送する。回収室搬送部材305は、現像ローラ302から現像剤320を離す剤離し領域γの近傍に配置され、現像ローラ中心線O−302aと平行な回収スクリュ中心線O−305を中心に回転し、供給室搬送部材304が現像剤320を搬送する方向とは反対方向に現像剤320を撹拌しつつ搬送する。また、仕切部材306は、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間であって、供給室304aと回収室305aとの空間を仕切り、長手方向の両端部にそれぞれ連通口を有する。このような構成により、現像装置3は、図中の矢印D1〜D4に沿った現像剤320の循環経路を形成する。
【0038】
また、本実施形態の現像装置3内で現像剤320を循環させる現像剤撹拌搬送部材(304及び305)が現像ローラ302の横に上下に二本並べて配置される。
従来の現像装置3としては、図20に示すように2つの現像剤攪拌搬送部材(供給回収スクリュ404、循環スクリュ405)を現像ローラ302から離れる方向(水平方向)に2つ並べて配置する構成のものがある。このように、2つの現像剤攪拌搬送部材を水平方向に並べて配置する構成にくらべて、本実施形態の現像装置3は、装置の横方向(水平方向)の大きさを小さくすることができる。
また、本実施形態の現像装置3は、仕切部材306により供給室304a回収室305aとの空間が仕切られている。このため、現像ローラ302に対しては供給室搬送部材304により、トナーとキャリアを十分に撹拌混合された現像剤320のみが供給され、現像直後のトナー濃度の下がった現像剤320は専ら回収室搬送部材305により撹拌搬送され、直ぐに現像ローラ302に供給されることがない。よって、狙いの帯電量を持ったトナーを含み、狙いのトナー濃度となった現像剤320だけが現像ローラ302に供給され、現像に用いられることとなるため、高画質を得ることができる。
このように、本実施形態の現像装置3は、水平方向のコンパクト化を図りつつ、高画質を得ることができる。
【0039】
図9乃至図11は、循環経路の変形例を示す図である。この変形例は、図10に示すように、供給室304a内の現像剤は、奥側BSから手前側FSに搬送され(矢印D4’)、回収室305a内の現像剤は、手前側FSから奥側BSに搬送される(矢印D2’)ように構成したものである。図11は、現像装置の奥側BSの断面図である。
【0040】
図9乃至図11に示すように、この変形例においては、回収室搬送部材305の持ち上げ口307と対向する箇所を螺旋状のスクリュ形状ではなく、軸方向に延びる板状の羽が複数設けた羽根車308としている。回収室搬送部材305の回転に伴って、この羽根車308により現像剤320を上方に跳ね上げることで、現像剤320は、持ち上げ口307を通過し(図中矢印D3)、供給室304aに受け渡される。
【0041】
図11に示すように、供給室搬送部材304の中心O−304と回収室搬送部材305の中心O−305とは略同一鉛直線上にあり、羽根車308は反時計回りの向きに回転し、ケーシング301の内壁に沿って現像剤320を跳ね上げる。持ち上げ口307はこの跳ね上げによる現像剤の進路を妨げないように、かつ、せっかく跳ね上げた現像剤が回収室搬送部材305へ落下することのないように、中心O−304と中心O−305とを結ぶ略鉛直線よりも僅かにケーシング内壁寄りの位置からケーシング内壁部(304回転方向の上流側)に及ぶように形成してある。つまり、図10に示すように、持ち上げ口307は仕切部材306の一部に穴を開けた如き状態で形成し、この持ち上げ口307に対応する現像ローラ側の部位には、現像ローラ軸方向中央部と同様に仕切部材が存在するように構成する。この残りの仕切部材の部分306'により、持ち上げ口307を通って下から上に移動した現像剤は再び下方に落下することなく供給室搬送部材304により搬送される、または、現像ローラ302に引き寄せられ、現像領域へ搬送されていくので、効率の良い現像剤循環を行うことができる。
【0042】
次に、現像装置3におけるトナー補給について説明する。
現像装置3内の現像剤320は、現像動作を繰り返す内にトナーが消費されていくため、現像装置3の外部から装置内の現像剤320に対してトナーを補給する必要がある。本実施形態の現像装置3は、長手方向の奥側BSの端部近傍にトナー補給口309(図7参照)を備え、このトナー補給口309より外部からのトナーの補給を行う。また、図9乃至図11に示す循環経路の変形例においては、長手方向の手前側FSの端部近傍にトナー補給口309を備えている。すなわち、トナー補給口309は、現像ローラ302に現像剤を供給する供給室304a内の搬送方向下流側端部近傍に設けるのである。これにより、トナー補給口309より補給されたトナーが直ちに現像に供されることはなく、落下口を通過して回収室305aに供給されることとなる。回収室305aに供給されたトナーは回収室搬送部材305で現像剤320と混合・撹拌され、所定のトナー濃度となった現像剤320に含有された状態で、持ち上げ口から供給室304aへと受け渡され、現像に供される。また、回収室搬送部材305を配置した回収室305aは、現像ローラ302の表面から離脱した現像剤320を回収して搬送するものであり、現像ローラ302への現像剤320の供給は行わない。このため、トナー補給口309から新しくトナーが補給されたことにより十分に撹拌されていない、トナー濃度が不均一な状態の現像剤320が現像に供されることを防止できる。
トナー補給口309から補給されたトナーは、落下口を通過して回収室305aに供給され、現像ローラ302から離脱してトナー濃度の低下して回収室305aに回収された現像剤320とともに、回収室搬送部材305によって撹拌混合されながら搬送される。新たに補給されたトナー及びトナー濃度が低下した現像剤320は、回収室305a内の搬送方向下流側端部に搬送されるまでの間に、トナー濃度が正常化され、持ち上げ口から供給室304aへと受け渡される。供給室304aでは、現像剤320は、供給室搬送部材304に搬送されながら現像ローラ302に供給され現像に使用される。
【0043】
また、現像装置3は、回収室305a内の持ち上げ口の下方に不図示のトナー濃度センサを配置している。本実施形態のトナー濃度センサは、透磁率を測定するセンサであり、現像剤のキャリア濃度(=100−トナー濃度)を検出することができる。このトナー濃度センサでの検出結果に基づいて、不図示の制御部がキャリア濃度からトナー濃度センサの検出領域における現像剤320のトナー濃度が適正か否かを判断し、補給するトナーの量を決定する。
【0044】
次に、本実施形態の現像装置3の特徴点について、説明する。
回収室305a内の現像剤の量が多いとき、または、回収室搬送部材305の回転数が早すぎるときは、図12の矢印Kに示すように、回収室305aの現像剤320が、現像ローラ302に向けて飛翔する現像剤が多くなる。この現像剤が、現像スリーブ302cの表面に到達すると、マグネットローラ302dの磁力、もしくは表面の摩擦により現像剤が現像スリーブ302c表面に付着し、現像スリーブ302cによって現像領域へ搬送されてしまう。このような飛翔トナーには、現像領域でトナーが消費され、トナー濃度が回復していない現像済み現像剤が含まれる。このようなトナー濃度が低下した現像済み現像剤が、現像スリーブ表面に付着して現像領域へ搬送されると、その部分の現像能力が低くなり、画像濃度ムラが生じてしまう。
【0045】
そこで、図13に示すように、本実施形態においては、回収室305aの現像ローラ302と対向する箇所と回収室搬送部材305を挟んで反対側の箇所に再付着抑制磁石340を設けた。具体的には、回収室305aが形成されたケーシング301の外側に再付着抑制磁石340が設けられている。再付着抑制磁石340を設けることで、回収室305aの現像剤320を、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により回収室305aに留まらせることができ、回収室305aから現像ローラ302へ向かって現像剤が飛翔するのを抑制することができる。特に、トナー濃度が低下した現像済み現像剤は、磁性キャリアの密度が大きくなっており、トナー濃度が規定の現像剤に比べて再付着抑制磁石340から受ける磁気吸引力が大きい。よって、このようなトナー濃度低下した現像済み現像剤の飛翔を確実に抑制することができる。また、再付着抑制磁石340による磁気吸引力により現像剤を回収室305aに滞留させることができ、回収室内での現像剤の分散・トナーの帯電機能を高めることもできる。
【0046】
再付着抑制磁石340を設ける高さ方向については、回収室搬送部材305の軸心よりも上方に配置するのが好ましい。回収室搬送部材305の軸心よりも上方に再付着抑制磁石340を配置することにより、図13に示すように、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により、回収室305a内の現像剤の現像ローラ302から離間した側の嵩高さが、現像ローラ側の嵩高さよりも高くなる。これにより、図13に示すように、回収室内の現像剤と現像ローラ302との距離を離すことができ、回収室内の現像剤320が現像スリーブ表面に付着するのをより一層抑制することができる。また、回収室305aの現像剤320が多少多くても、回収室305aの現像剤320が、現像ローラ302に接触することがない。よって、回収室搬送部材305の回転速度を落として、現像剤を搬送することができ、回収室搬送部材305を軸受けする軸受、軸受に現像剤が侵入しないようにシールするシール部材への負荷を低減することができ、装置の寿命を向上させることができる。また、現像装置3の温度上昇を抑制することができ、現像剤へのダメージも抑制することができる。
【0047】
また、再付着抑制磁石340の長手方向については、現像ローラ302の長さと同じ長さとし、回収室305aの現像ローラ302との対向する領域の全域をカバーする。もちろん、現像ローラ302よりも長くして、回収室305aの全域をカバーするようにしてもよいが、コスト高になる。
【0048】
また、最も回収室305aの現像剤320が飛翔しやすいのは、回収室305aの現像剤搬送方向下流側である。これは、供給室304aが回収室305aの上方に位置するので、回収室305aの下流端において現像剤320の自重に反して現像剤320を持ち上げて移送させる必要がある。そのため、回収室305aの下流端での現像剤搬送速度の落ち込みが大きく、回収室305aの下流端で現像剤320が滞留する。その結果、回収室305aの下流端付近においては、上流側に比べて、現像剤320の嵩高さが高く、回収室305aの現像剤320と現像ローラ302との距離が近くなる。その結果、現像剤320が飛翔すると、現像ローラ302に付着しやすい。一方、回収室305aの現像剤搬送方向上流側は、現像剤320の嵩高さが低く現像ローラ302との距離が遠いため、飛翔したとしても、現像ローラ302に付着しにくい。また、現像剤量も少ないため、飛翔するトナーも少ない。よって、図14に示すように、回収室305aの現像ローラ302と対向する領域Gの現像剤搬送方向下流側の箇所にのみ、再付着抑制磁石340を設けてもよい。これにより、コストを抑えて、現像ローラ302への付着を抑制することができる。
【0049】
また、再付着抑制磁石340としては、永久磁石が好ましい。永久磁石とすることで、簡易な構成で、回収室305aの現像剤320を磁気吸引することができ、現像剤320の飛翔を抑制することができ、コストを低減することができる。
【0050】
また、再付着抑制磁石340により、現像剤規制部材対向磁極MP3が影響を受け、磁束密度が変動する。磁束密度が変動すると、現像剤規制部材303を通過するときの現像剤の穂立ち量が変動し、像剤汲み上げ量が変動する。なお、ここでいう現像剤汲み上げ量とは、現像剤規制部材303を通過した単位面積当りの現像剤量である。
図15は、汲み上げ量と、再付着抑制磁石340による現像剤規制部材対向磁極MP3の変動量との関係を示す図である。図に示すように、再付着抑制磁石340による現像剤規制部材対向磁極MP3の変動量が、0.5mT以下ならば、汲み上げ量にほとんど影響ないことがわかる。
【0051】
よって、再付着抑制磁石340は、現像剤規制部材対向磁極MP3の法線磁束密度の変動量が、0.5mT以内とする位置に配置する。また、図16に示すように、再付着抑制磁石340の磁極の極性を、現像スリーブ302cの表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極(ケーシング対向磁極MP2と現像剤規制部材対向磁極MP3)と逆極性にする。これにより、再付着抑制磁石340とケーシング対向磁極MP2との間に現像ローラから現像剤が剥離しやすいような磁界(回収室へ現像剤を吸引するような磁界)を形成することができる。また、再付着抑制磁石340と現像剤規制部材対向磁極MP3との間に反発磁界が形成されないので、現像剤規制部材対向磁極MP3の法線磁束密度の変動を抑えることできる。
【0052】
また、本発明者らの実験により、再付着抑制磁石340の磁束密度を、主磁極MP1の磁束密度よりも高くすると、現像スリーブ表面への汲み上げ量が多くなることがわかった。具体的には、主磁極MP1の磁束密度100mTに対し、再付着抑制磁石340の磁束密度150mTで実験を行なうと、現像剤規制部材303を通過するとき、現像剤の穂が寝てしまい、汲み上げ量が多くなってしまった。また、再付着抑制磁石340の磁束密度が強いため、回収室305a内の現像剤が再付着抑制磁石340から受ける磁気吸引力が大きくなり、回収室搬送部材305のトルクが上昇してしまい、温度上昇や駆動負荷が増大してしまうという不具合も発覚した。一方、再付着抑制磁石340の磁束密度を、主磁極MP1の磁束密度よりも小さい100mT以下にすると、汲み上げ量の増加が防止された。よって、再付着抑制磁石340の磁束密度を、主磁極MP1の磁束密度以下とすることで、現像領域へ搬送される現像剤量の増加を防止することができ、画像濃度が濃くなるのを抑制することができる。また、100mT以下とすることで、再付着抑制磁石340として、強い磁力をもつ希土類(ネオジウ)を使用せずともよく、装置を安価にすることができる。
【0053】
また、先の図13に示すように、回収室305aの現像ローラ302と対向する箇所と回収室搬送部材305を挟んで反対側の箇所に再付着抑制磁石340を設ける構成の場合は、ケーシング301の外側に再付着抑制磁石340を設けることになり、現像装置3の水平方向(図中横方向)の長さが長くなってしまう。その結果、図1に示すように、現像装置3を複数個水平方向に並べて配置するタンデム型のカラー画像形成装置においては、装置の水平方向長さが長くなってしまう。
【0054】
そこで、図17に示すように、回収室305aと供給室304aとの間に再付着抑制磁石340を配置してもよい。また、回収室305aと供給室304aとの間に再付着抑制磁石340を配置するため、回収室305aと供給室304aとを仕切る仕切部材306は、板状ではなく中空部を有する箱型の形状とし、その中に再付着抑制磁石340を配置する。このように構成することで、再付着抑制磁石340をケーシング301内部に配置することができ、現像装置3の大型化を抑制することができる。回収室305aと供給室304aとの間に再付着抑制磁石340を配置しても、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により、回収室305a内の現像剤320が現像ローラ側へ飛翔するのを抑制することができる。
【0055】
また、この場合、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により、回収室305aの現像剤320の一部が、回収室305aの上面(仕切り部材306)に付着することにより、回収室305aの現像剤320の嵩高さを低く抑えることができ、現像ローラ302と回収室内の現像剤との距離を離すことができ、回収室内の現像剤320が再付着するのを抑制するのをさらに抑制できる。また、回収室内の現像剤320の嵩高さを低く抑えることができるので、回収室305aの現像剤320が多少多くても、回収室305aの現像剤320が、現像ローラ302に接触することがない。よって、回収室搬送部材305の回転速度を落として、現像剤320を搬送することができ、回収室搬送部材305を軸受けする軸受、軸受に現像剤が侵入しないようにシールするシール部材への負荷を低減することができ、装置の寿命を向上させることができる。また、現像装置3の温度上昇を抑制することができ、現像剤320へのダメージも抑制することができる。また、より現像剤320を多く引き付けるためには、回収室搬送部材305の軸上方に再付着抑制磁石を設けるのが望ましい。
【0056】
また、回収室305aと供給室304aとの間に再付着抑制磁石340を配置した場合も、図18に示すように、回収室305aに対向させる再付着抑制磁石340の磁極の極性を、上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極(ケーシング対向磁極MP2と現像剤規制部材対向磁極MP3)と逆極性にするのが好ましい。これにより、再付着抑制磁石340と現像剤規制部材対向磁極MP3との間に現像ローラから現像剤が剥離しやすいような磁界(現像剤を回収室305aへ吸引するような磁界)を形成することができる。
【0057】
また、この場合も、図19に示すように、再付着抑制磁石340を、回収室305aの現像ローラ302と対向する領域Gの現像剤搬送方向下流側の箇所にのみ、再付着抑制磁石340を設けてもよい。これにより、コストを抑えて、現像ローラ302への付着を抑制することができる。
【0058】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の(1)〜(12)態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
複数の磁極を有するマグネットローラ302dなどの磁界発生手段を内包し、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を表面上に担持して回転し、感光体1などの潜像担持体と対向する現像領域で上記潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像ローラ302などの現像剤担持体と、上記現像剤担持体に対して対向配置され、上記現像剤担持体の軸線方向に沿って供給室搬送部材304などの供給搬送部材で現像剤を搬送しながら上記現像剤担持体に現像剤を供給する供給室304aなどの供給搬送路と、上記現像剤担持体の上記現像領域から上記供給搬送路から現像剤が供給される供給領域までの間の領域に対向配置され、上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収し、現像剤担持体の軸線方向に沿って、上記現像剤担持体から回収された現像剤を回収室搬送部材305などの回収搬送部材により搬送する回収室305aなどの回収搬送路と、上記供給搬送路の現像剤搬送方向下流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向上流端とを連通する落下口などの第1連通部と、上記供給搬送路の現像剤搬送方向上流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向下流端とを連通する持ち上げ口などの第2連通部とを備え、上記供給搬送路と上記回収搬送路との間で現像剤を循環搬送する現像装置において、上記回収搬送路内の現像剤を、上記回収搬送路内に留まるように磁気吸引して、上記回収搬送路内の現像剤が、現像剤担持体へ再付着するのを抑制する再付着抑制磁石340を備えた。
かかる構成を備えることにより、上述したように、回収搬送路に回収された現像済み現像剤が、現像剤担持体に再付着するのを抑制することができ、現像領域にこの再付着した現像済み現像剤が搬送されるのを抑制することができる。その結果、現像画像の濃度ムラを抑制することができる。
【0059】
(2)
また、上記(1)に記載の態様の現像装置において、再付着抑制磁石を、回収搬送経路の現像剤担持体と対向する箇所と回収搬送部材を挟んで反対側の箇所に設けた。これにより、回収搬送経路から現像剤担持体へ向かって飛翔しようとする現像剤に対して、再付着抑制磁石の磁気吸引力を良好に働かせることができ、現像剤担持体へ再付着するのを抑制することができる。
また、回収搬送経路内の現像剤が、再付着抑制磁石の磁気吸引力により、回収搬送経路の現像剤担持体と対向する箇所と回収搬送部材を挟んで反対側の箇所に集まる。よって、回収搬送内の現像剤担持体側の現像剤の嵩高さを、回収搬送部材を挟んで反対側の箇所よりも低くすることができる。これにより、回収搬送内の現像剤と現像剤担持体との距離を離すことができ、現像剤担持体に回収搬送路内の現像剤が付着するのをより一層抑制することができる。
【0060】
(3)
また、上記(1)に記載の態様の現像装置において、再付着抑制磁石を、上記回収搬送経路と上記供給搬送経路との間に設けた。
かかる構成としても、回収搬送経路から現像剤担持体へ向かって飛翔しようとする現像剤に対して、再付着抑制磁石の磁気吸引力を働かせることができ、現像剤担持体へ再付着するのを抑制することができる。
また、回収搬送路が、供給搬送路に対して鉛直方向下方にある構成の場合は、再付着抑制磁石の磁気吸引力により、回収搬送路内の現像剤の一部を、回収搬送路の上面に付着させることができる。これにより、回収搬送路の現像剤の嵩高さが減少し、回収搬送路内の現像剤と現像担持体との間の距離を離すことができ、現像剤担持体に回収搬送路内の現像剤が付着するのをより一層抑制することができる。
さらに、現像装置のケーシング内に再付着抑制磁石を設けることができるので、現像装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0061】
(4)
また、上記(1)乃至(3)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記供給搬送路から上記現像領域のまでの間に上記現像剤担持体表面と所定の隙間を有して対向し、現像剤担持体に担持された現像剤を規制する現像剤規制部材を有し、上記磁界発生手段の上記現像剤規制部材に対向する位置における法線方向磁束密度の上記再付着抑制磁石による変化量を、0.5mT以下となるように上記再付着抑制磁石を配置した。
かかる構成を備えることで、先の図15に示すように、現像剤規制部材を通過する現像剤量が、再付着抑制磁石により変動するのを抑制することができ、規定の画像濃度の現像画像を得ることができる。
【0062】
(5)
また、上記(1)乃至(4)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記磁界発生手段は、上記現像領域を通過した現像剤を上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極(本実施形態においては、現像剤規制部材対向磁極MP3、ケーシング対向磁極MP2)を備えており、上記再付着抑制磁石の上記現像剤回収路に対向させる磁極を、上記再付着抑制磁石の上記回収搬送路に対向させる磁極を、上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極と逆極性にした。
かかる構成を備えることにより、上記2つの磁極と、上記再付着抑制磁石との間に反発磁界が形成されるのを抑制することができる。これにより、上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界により、現像剤担持体表面の現像済み現像剤が、現像剤担持体から剥離して、回収搬送路に回収することができる。
【0063】
(6)
また、上記(1)乃至(5)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記再付着抑制磁石を、上記第2連通部の近傍に設けた。
上記第2連通部の近傍は、回収搬送路内を搬送されてきた現像剤が、第2連通部を通るために滞留する。このため、上記第2連通部の近傍は、現像剤量が多いため、現像剤担持体に向けて飛翔するトナーが、多くなる。また、現像剤嵩高さも高く、現像剤担持体と回収搬送路内の現像剤との距離も近くなり、飛翔したトナーが、現像剤担持体に再付着しやすい。
よって、このように現像剤担持体に現像剤が再付着しやすい、第2連通部近傍に再付着抑制磁石を設けることで、良好に現像剤担持体への現像剤再付着を抑制することができる。
【0064】
(7)
また、上記(1)乃至(6)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記再付着抑制磁石として、永久磁石を用いた。
かかる構成を備えることで、再付着抑制磁石として、電磁石を用いた場合に比べて、構造を簡素化することができ、装置を安価にすることができる。
【0065】
(8)
また、上記(1)乃至(7)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記磁界発生手段は、上記現像領域と対向する箇所に配置される主磁極を有しており、上記再付着抑制磁石の磁束密度を、上記主磁極の磁束密度以下にした。
かかる構成を備えることで、磁界発生手段の現像剤規制部材との対向領域における磁束密度の影響を抑えることができ、現像領域へ搬送される現像量が増加するのを抑制することができ、現像画像の濃度が、規定よりも濃くなるのを抑制することができる。
【0066】
(9)
また、潜像担持体の表面に形成された潜像を現像装置により現像剤を用いて現像することで得られるトナー像を、最終的に記録材上へ転写させることにより、記録材上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在に構成され、少なくとも潜像担持体及び現像装置を一体的に支持したプロセスカートリッジにおいて、上記現像装置として、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様の現像装置を用いた。
かかる構成を備えることで、濃度ムラのない良好な画像を得ることができるプロセスカートリッジを提供することができる。
【0067】
(10)
また、少なくとも潜像担持体と、上記潜像担持体表面を帯電させる帯電装置2などの帯電手段と、上記潜像担持体上に静電潜像を形成する露光装置16などの潜像形成手段と、上記静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成装置において、上記現像装置として、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様の現像装置を用いた。
かかる構成を備えることで、濃度ムラのない良好な画像を得ることができる。
【0068】
(11)
また、上記(10)に記載の態様の画像形成装置において、潜像担持体及び現像装置を一体的に支持し、装置に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジを備えた。
かかる構成を備えることにより、潜像担持体及び現像装置を容易に交換することができる。
【0069】
(12)
また、上記(10)または(11)に記載の態様の画像形成装置において、上記現像装置または上記プロセスカートリッジを複数備えた。
かかる構成を備えることで、濃度ムラのないカラー画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1:感光体
2:帯電装置
3:現像装置
16:露光装置
301:ケーシング
302:現像ローラ
302c:現像スリーブ
302d:マグネットローラ
303:現像剤規制部材
304:供給室搬送部材
304a:供給室
305:回収室搬送部材
305a:回収室
306:仕切部材
307:持ち上げ口
309:トナー補給口
320:現像剤
340:再付着抑制磁石
MP1:主磁極
MP2:ケーシング対向磁極
MP3:現像剤規制部材対向磁極
MP3 現像剤規制部材対向磁極
α:現像領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2003−263012号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、現像剤担持体に現像剤を供給するための供給搬送路と、現像領域でトナーを消費した現像剤担持体表面上の現像済み現像剤を回収する回収搬送路とを備えた供給回収分離方式の現像装置が知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載の現像装置は、現像剤担持体に沿って現像剤担持体回転軸方向に延びる供給搬送路の下方に回収搬送路が並列に配置されている。供給搬送路の下流側と回収搬送路の上流側とは開口を介して連通しており、供給搬送路の上流側と回収搬送路の下流側とは開口を介して連通しており、現像剤が循環する。現像領域を通過しトナー濃度が低下した現像済み現像剤は、回収搬送路に回収される。回収搬送路へ回収された現像済み現像剤は、回収搬送路内の回収搬送部材により攪拌されながら、回収搬送路下流の開口へ向けて搬送され、現像剤供給搬送路へ搬送される。
【0003】
回収搬送路に回収された現像済み現像剤は、回収搬送部材により上記開口へ搬送されるまでの間に回収搬送部材の攪拌力により飛翔し、現像剤担持体に再付着する場合がある。このように、回収搬送路内の現像済み現像剤が再付着すると、この再付着したトナー濃度が低下した現像済み現像剤が現像領域へ運ばれ、この現像済み現像剤により現像された部分の画像の濃度が低下してしまい、画像濃度ムラが生じてしまう。
【0004】
特許文献1に記載の現像装置においては、回収搬送経路と供給搬送経路とを仕切る仕切り部材を、現像剤担持体に対して、0.2mm〜1mmの隙間を有して対向させ、仕切り部材により、現像剤担持体へ再付着した現像済み現像剤を掻き落とすことで、現像剤担持体に再付着した現像済み現像剤が、現像領域へ搬送されるのを抑制している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、仕切り部材を、現像剤担持体に対して0.2mm〜1mmの隙間を有して対向させる構成では、再付着した現像済み現像剤を十分に掻き落とすことができない。また、仕切り部材を現像剤担持体に接触させれば、再付着した現像剤を良好に掻き落とすことができ、再付着した現像剤が、現像領域へ搬送されるのを防止することができる。しかし、この場合、現像剤担持体表面が仕切り部材と摺擦するため、現像剤担持体表面が傷ついてしまうという課題が生じてしまう。
【0006】
本発明は以上の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、現像剤担持体表面を傷付けることなく、現像剤担持体に再付着した現像済み現像剤が、現像領域へ搬送されるのを抑制することができる現像装置、画像形成装置およびプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する現像領域で上記潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、上記現像剤担持体に対して対向配置され、上記現像剤担持体の軸線方向に沿って供給搬送部材で現像剤を搬送しながら上記現像剤担持体に現像剤を供給する供給搬送路と、上記現像剤担持体の上記現像領域から上記供給搬送路から現像剤が供給される供給領域までの間の領域に対向配置され、上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収し、現像剤担持体の軸線方向に沿って、上記現像剤担持体から回収された現像剤を回収搬送部材により搬送する回収搬送路と、上記供給搬送路の現像剤搬送方向下流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向上流端とを連通する第1連通部と、上記供給搬送路の現像剤搬送方向上流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向下流端とを連通する第2連通部とを備え、上記供給搬送路と上記回収搬送路との間で現像剤を循環搬送する現像装置において、上記回収搬送路内の現像剤を、上記回収搬送路内に留まるように磁気吸引して、上記回収搬送路内の現像剤が、現像剤担持体へ再付着するのを抑制する再付着抑制磁石を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、回収搬送部材の攪拌力により現像剤担持体へ向けて飛翔しようとする現像剤を再付着抑制磁石の磁気吸引力により現像剤回収搬送路に留ませることができる。よって、回収搬送部材の攪拌力により現像剤担持体へ向けて飛翔して、現像剤回収路内の現像剤が、現像剤材担持体に付着するのを抑制することができる。これにより、現像剤回収路へ回収された現像済み現像剤が、回収搬送部材の攪拌力により飛翔して現像剤担持体に再付着するのを抑制することができる。その結果、再付着した現像剤が、現像領域へ搬送されるのを抑制できる。
また、現像剤担持体に回収搬送路と供給搬送路を仕切る仕切り部材を現像剤担持体に接触させて、現像剤担持体に再付着した現像剤が、現像領域へ搬送されないようにしたものに比べて、現像剤担持体表面が傷つくのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本実施形態に係るプリンタの概略構成図。
【図2】作像装置の概略構成図。
【図3】法線磁束密度分布を追記した現像装置及び感光体の説明図。
【図4】現像ローラの回転軸方向に平行な断面の断面説明図。
【図5】現像スリーブ302cの内部に5つの磁石MGを有し、5つの磁極MP(磁力分布)が生じるマグネットローラを備えた現像ローラの法線磁束密度分布を追記した現像装置及び感光体の説明図。
【図6】現像装置の主要部の内部斜視図。
【図7】現像装置の主要部の外観斜視図。
【図8】現像装置の連通口部分の説明図。
【図9】循環経路の変形例を示す斜視図。
【図10】同変形例の循環経路の分解斜視図。
【図11】同変形例の循環経路を備えた現像装置の奥側の断面図。
【図12】従来の現像装置の不具合を説明する図。
【図13】再付着抑制磁石を設けた現像装置の概略構成図。
【図14】回収室の現像ローラ対向領域における現像剤搬送方向下流側にのみ再付着抑制磁石を設けた現像装置の主要部の外観斜視図。
【図15】現像剤汲み上げ量と現像剤規制部材対向磁極の磁束密度変動量との関係を示す図。
【図16】再付着抑制磁石の回収室に対向させる磁極の極性と、マグネットローラの各磁極の極性とを示す図。
【図17】再付着抑制磁石を回収室と供給室との間に設けた変形例の現像装置の概略構成図。
【図18】同変形例の現像装置の再付着抑制磁石の回収室に対向させる磁極の極性と、マグネットローラの各磁極の極性とを示す図。
【図19】同変形例の現像装置の回収室の現像ローラ対向領域における現像剤搬送方向下流側にのみ再付着抑制磁石を設けた現像装置の主要部の外観斜視図。
【図20】従来の現像装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を画像形成装置としてのプリンタ(以下、プリンタ100という)に適用した実施形態について説明する。
図1は、プリンタ100の概略構成図である。プリンタ100は、タンデム方式を採用してフルカラー画像を形成可能なカラー画像形成装置であり、ブラック、マゼンタ、イエロー、シアン(以下、K,M,Y,Cと記す)の各色トナー像を形成する作像装置17(K,M,Y,C)を備えている。これらの作像装置17(K,M,Y,C)の下方には、下流側張架ローラ18及び上流側張架ローラ19に掛け回されて転写紙Pを表面に担持して搬送し、各作像装置17(K,M,Y,C)の対向しながら表面移動する転写搬送ベルト15が配設されている。転写搬送ベルト15を挟んで各作像装置17(K,M,Y,C)と対向する転写バイアスローラ5(K,M,Y,C)を備えている。
また、転写搬送ベルト15による転写紙搬送方向について下流側張架ローラ18よりも下流側には、転写搬送ベルト15から分離した転写紙P上の未定着トナーを定着する定着装置24を備えている。また、プリンタ100の本体上部には、定着装置24を通過しトナー像が定着した転写紙Pを積載するための排紙トレイ25を備えている。
【0011】
転写搬送ベルト15の下方には、転写紙Pを収容する複数の給紙カセット20を備えている。また、転写搬送ベルト15と作像装置17(K,M,Y,C)とが対向する転写領域に各給紙カセット20から転写紙Pを供給する転写紙供給手段としての給紙搬送装置26と、給紙カセット20から搬送されてきた転写紙Pを作像装置17(K,M,Y,C)による作像タイミングに合わせて供給するレジストローラ対23とを備えている。
【0012】
なお、図1ではプリンタ100が図1中の左右方向において小型になるよう、転写搬送ベルト15が斜め方向に配設され、矢印Aで示す転写紙Pの搬送方向が斜め方向となっている。これにより、プリンタ100は、図1中の左右方向における筐体の幅が、A3サイズの転写紙長手方向の長さよりも僅かに長い大きさとなっている。すなわち、プリンタ100は、内部に転写紙を収容するために最低限必要な大きさとされることで大幅に小型化されている。
【0013】
各作像装置17(K,M,Y,C)は、潜像担持体としてドラム状の感光体1(K,M,Y,C)を有している。この感光体1(K,M,Y,C)の回転方向に関して順に、それぞれ帯電手段としての帯電装置2(K,M,Y,C)、現像手段としての現像装置3(K,M,Y,C)、クリーニング装置6(K,M,Y,C)、等を有している。上記作像装置17(K,M,Y,C)は、感光体1と、帯電装置2、現像装置3、クリーニング装置6等を一体的に備えたプロセスカートリッジとして、装置本体から着脱可能に構成されている。また、帯電装置2(K,M,Y,C)と現像装置3(K,M,Y,C)との間で書込光Lを潜像形成手段としての露光装置16(K,M,Y,C)から照射される周知の構成である。感光体1(K,M,Y,C)はドラム状でなく、ベルト状としても良い。
【0014】
このような構成のプリンタ100では、画像形成スタートとともに、各作像装置17(K,M,Y,C)で各色トナー像が形成される。各作像装置17(K,M,Y,C)では、感光体1(K,M,Y,C)が、図示されないメインモータにより回転駆動され、帯電装置2(K,M,Y,C)によって一様帯電された後、露光装置16(K,M,Y,C)より、画像を色分解した色毎の画像情報に応じて書込光Lが照射され、静電潜像が形成される。感光体1(K,M,Y,C)上に形成された静電潜像は、現像装置3(K,M,Y,C)により現像され、各感光体1(K,M,Y,C)の表面上に各色トナー像が形成される。一方、複数ある給紙カセット20のうちの1つから給紙搬送された転写紙Pは、レジストローラ対23によって作像装置17(K,M,Y,C)による作像タイミングに合わせて、転写搬送ベルト15の表面上に供給される。そして、転写搬送ベルト15に担持された転写紙Pは転写搬送ベルト15の表面移動によって各色の転写領域に搬送される。
【0015】
各感光体1(K,M,Y,C)上に形成されたトナー像は、感光体1(K,M,Y,C)と転写搬送ベルト15との対向部で転写バイアス手段である転写バイアスローラ5(K,M,Y,C)によって転写搬送ベルト15上に担持された転写紙Pに順次転写される。このようにしてK(黒)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の順で各感光体1(K,M,Y,C)上に形成されたトナー像が転写され、重ね合わせカラートナー像が転写紙P上に形成される。トナー像を転写された転写紙Pは、転写搬送ベルト15から分離され、定着装置24に搬送され、トナー像が定着されて機外の排紙トレイ25に排出される。
一方、転写紙P上にトナー像を転写した後の感光体1(K,M,Y,C)は、クリーニング装置6(K,M,Y,C)によって転写残トナーの除去がなされ、必要に応じて図示しない除電ランプで除電された後、再度、帯電装置2(K,M,Y,C)で一様に帯電される動作を繰り返す。
図2に示すプリンタ100では、転写搬送ベルト15の搬送方向に沿って搬送方向上流側から、K(黒)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)の順に四つの作像装置17(K,M,Y,C)が配置されているが、各色の作像装置17(K,M,Y,C)を配置する順序はこの限りではない。例えば、黒用の作像装置17Kを搬送方向最下流側に配置し、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、C(シアン)、K(黒)の順に四つの作像装置17(M,Y,C,K)を配置してもよい。
【0016】
次に、作像装置17について詳しく説明する。本実施形態のプリンタ100の作像装置17(K,M,Y,C)は、現像装置3内の画像形成物質として、互いに異なる色(K,M,Y,C)のトナーを用いるが、それ以外は同様の構成になっている。このため、以下、添字K,M,Y,Cを省略し、作像装置17として説明する。
【0017】
図2は、本実施形態のプリンタ100に適用可能な現像手段たる現像装置3を含む作像装置17の概略構成図である。
現像装置3は感光体1に対向配置され、感光体1は図2中矢印aに示すように図2における時計回り方向に回転駆動する。
感光体1の上方、時計の文字盤で表現すれば図2中の感光体1の略11時の位置に帯電手段たる帯電装置2が配置されている。帯電装置2は本例では感光体1と同じ表面移動速度で回転される回転体からなるが、回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
【0018】
この帯電装置2により感光体1の表面は暗中で一様に帯電された後、潜像形成手段である露光装置16(図1参照)からの書込光Lの照射を受けて静電潜像が形成される。この静電潜像は感光体1の回転と共に下流側に移動し現像装置3に至る。現像装置3は感光体1の右横に配置されている。
現像装置3はケーシング301内に、現像剤320を撹拌搬送する供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305、現像剤担持体たる現像ローラ302などの回転部材及びその他の部材を具備している。
現像ローラ302は図2中の感光体1の2時と3時との間の位置(2時半の位置)で感光体1に近接して対向させることで現像領域αを構成するようにして近接配置されている。この感光体1との対向部位に相当するケーシング301の部位は現像ローラ302を露出させるため開口している。
【0019】
現像ローラ302が図3中の矢印b方向に表面移動することにより、ケーシング301内の現像剤320は現像ローラ302の表面上に担持され、図2中の矢印B方向に搬送され、現像領域αへ搬送されるようになっている。現像領域αで感光体1の表面に形成されている静電潜像に現像剤320中のトナーが付着してトナー像として顕像化される。
このトナー像は感光体1の回転と共に感光体1の表面移動方向下流側に移動し、転写装置の転写バイアスローラ5との対向部である転写領域βに至る。転写バイアスローラ5は、感光体1の下方、図2中の感光体1の6時の位置に配置されている。本実施形態の転写装置は、転写部材として回転体からなる転写バイアスローラ5を備える構成であるが、転写部材としては回転体に限らずコロナ放電タイプでもよい。
【0020】
感光体1上のトナー像は転写領域βにおいて転写紙Pに転写され、転写紙P上の画像となる。本実施形態のプリンタ100は、感光体1上に形成したトナー像を転写紙Pに直接転写する構成である。感光体1上に形成したトナー像を転写紙Pに転写する構成としては、感光体上のトナー像を中間転写体(中間転写ベルトなど)に一旦転写し、中間転写体上で各色トナー像を重ね合わせて多色トナー像を形成し、その後多色トナー像を一括して転写紙に転写する中間転写体方式の画像形成装置にも本発明の現像装置は適用可能である。この場合は、転写領域βで感光体上のトナーを中間転写体(中間転写ベルト)に転写することになる。
【0021】
転写領域βを通過した感光体1表面は感光体1の回転に伴い、その表面移動方向下流側へ移動してクリーニング装置6との対向部に至る。
クリーニング装置6は図2中の感光体1に対して10時の位置に配置されている。クリーニング装置6は、転写領域βで転写紙Pに転写し切れずに感光体1の表面に残ったトナーを、クリーニングブレード601により除去する。クリーニング装置6との対向部を通過した感光体1の表面は、その後、帯電装置2により一様に帯電され、次の画像形成工程を繰り返す。
【0022】
次に、現像装置3について詳しく説明する。
図2に示すように、現像装置3は、ケーシング301の内部に現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305、現像剤規制部材303を有し、現像剤320を撹拌搬送して循環させている。 本実施形態の現像装置3では、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305として、回転軸部に螺旋形状のスクリュ羽部を固定したスクリュ部材を用いており、スクリュ羽部の外径が16[mm]以下のものを用いている。
【0023】
図3は、現像ローラ302回りに形成される磁界の法線磁束密度分布を追記した現像装置3及び感光体1の説明図である。
図3に示すように、現像ローラ302は、円周方向に複数の磁石MG(MG1〜MG3)を配置したマグネットローラ302dを内部に有し、その周囲を円筒状の現像スリーブ302cが回転軸302eと一体的に回転する構成となっている。
現像スリーブ302cはアルミ等の非磁性の金属で形成されている。マグネットローラ302dは、各磁石MGが所定の方向を向くように不動部材、例えば、ケーシング301に固定されており、その周囲を現像スリーブ302cが回転して、磁石MGによって引き付けた現像剤320を搬送していく。
【0024】
図4は、現像ローラ302の回転軸方向に平行な断面の断面説明図である。
図4に示すように、現像ローラ302は、不動部材であるケーシング301に固定されている固定軸302aと、この固定軸302aに一体的に形成され、円柱状をした磁界発生手段たるマグネットローラ302dと、マグネットローラ302dのまわりをギャップを介して覆っている現像スリーブ302cと、この現像スリーブ302cに一体的に構成された回転軸302e等からなる。固定軸302aに対して回転軸302eは軸受302fを介して回転自在であり、回転軸302eは図示省略の回転駆動手段から動力を伝達されて回転駆動される。現像ローラ302は、現像装置3の小型化のために直径が14mm以下のものが好ましい。
マグネットローラ302dの外周部には、図3に示すように所定の間隔をおいて複数の磁石MGが固定されている。これらの磁石MGの周囲を現像スリーブ302cが回転する構成となっている。
【0025】
マグネットローラ302dに配置された複数の磁石MGは、現像スリーブ302cの周表面に現像剤320を穂立ちさせ、また穂切りなどさせるように磁界を形成するためのものである。これらの磁石MGから発せられる法線方向磁力線に沿うように、磁性のキャリアが集合して磁気ブラシが形成される。
マグネットローラ302dとしては種々の構成が適用可能であるが、本実施形態の現像装置3では、図3に示すように、現像スリーブ302cの内部に3つの磁石MGを有し、3つの磁極MP(磁力分布)が生じるマグネットローラ302dを備える。
図3に示すように、現像ローラ302の中心である現像ローラ中心線O―1と感光体1の中心である感光体中心O−2とを結ぶ仮想直線上で、感光体1と対向する位置に第一磁石MG1を配置し、現像領域αにおける主磁極MP1を形成する。さらに、主磁極MP1に対して図3中の反時計回り方向に、ケーシング対向磁極MP2を形成する第二磁石MG2、現像剤規制部材対向磁極MP3を形成する第三磁石MG3が配置されている。
【0026】
本実施形態の現像装置3では、主磁極MP1をN極、ケーシング対向磁極MP2及び現像剤規制部材対向磁極MP3をS極としているが、各磁極の極性は各磁極がこれと反対の極性であってもよい。主磁極MP1は、感光体1に対向し、ケーシング対向磁極MP2はケーシングに対向しており、現像剤規制部材対向磁極MP3は、現像剤規制部材303に対向している。
現像領域αでは、現像ローラ302の表面と感光体1の表面とは直接には接触せず、現像に適する一定の間隔である現像ギャップGPを保持して対向している。現像装置3は、現像ローラ302表面上において、現像剤320を穂立ちさせ、現像剤320を感光体1に接触させることで、感光体1表面の静電潜像にトナーを付着させて顕像化する。
【0027】
また、図5に示すように、現像スリーブ302cの内部に5つの磁石MGを有し、5つの磁極MP(磁力分布)が生じるマグネットローラ302dを備えたものでもよい。図5に示すマグネットローラ302dは、主磁極MP1とケーシング対向磁極MP2との間に第4磁石MG4を配置し、現像済み現像剤搬送磁極MP4を形成している。また、主磁極MP1と現像剤規制部材対向磁極MP3との間に第5磁石を配置し、現像前現像剤搬送磁極MP5を形成している。図5では、主磁極MP1をN極、現像済み現像剤搬送磁極MP4をS極、ケーシング対向磁極MP2及び現像剤規制部材対向磁極MP3をN極、現像前現像剤搬送磁極MP5をS極としているが、これらは各極が反対の極性であっても構わない。図5に示すように、現像ローラ302上で、各極はその中心が、主磁極MP1は時計文字盤の8時、現像後現像剤搬送磁極MP4は同7時、ケーシング対向磁極MP2は同5時、現像剤規制部材対向磁極MP3は、同1時、現像前現像剤搬送磁極MP5は同10時の各位置に略位置している。
【0028】
現像装置3の現像ローラ302を構成する固定軸302aには接地された不図示のバイアス用の電源が接続されている。固定軸302aに接続された電源から電圧は、図4中に示す導電性の軸受302f及び導電性の回転軸302eを経て現像スリーブ302cに印加される。一方、感光体1を構成する最下層の導電性支持体は接地されている。このような構成により、現像領域αには、キャリアから離脱したトナーを感光体1側へ移動させる電界が形成され、現像スリーブ302cと感光体1の表面に形成された静電潜像との電位差により、トナーを感光体1側に向けて移動させることができる。
【0029】
本実施形態の現像装置3は、図1及び図2に示すように書込光Lで感光体1の表面上に潜像を書き込む方式の画像形成装置と組み合わせたものである。帯電装置2により感光体1の表面上に一様に負極性の電荷を乗せ、負極性の電位を低くするために画像部を書込光Lで露光し、電位が低下した画像部(静電潜像)に負極性のトナーで現像する、所謂反転現像方式を採用している。これは一例であり、本発明の特徴部を備えた現像装置を適用する構成としては、感光体1の表面上に乗せる帯電電荷の極性は大きな問題ではない。
【0030】
現像領域αを通過した現像スリーブ302cの表面上に担持された現像剤320は、ケーシング対向磁極MP2の磁力によって現像スリーブ302c上に担持され、現像スリーブ302cの回転と共に表面移動方向下流側に搬送され、ケーシング301内に引き入れられる。
ケーシング対向磁極MP2と現像剤規制部材対向磁極MP3とは同極性としており、図3、図4に示すように、現像スリーブ302cの表面移動方向について、ケーシング対向磁極MP2と対向する位置よりも下流側で、且つ、現像剤規制部材対向磁極MP3と対向する位置よりも上流側となる現像スリーブ302cの表面上の領域では、現像剤320を穂立ちさせる磁界が形成されない。このため、この領域の現像スリーブ302cの表面上では、現像剤320の穂が寝た状態となり、それまで現像スリーブ302cの表面上に引き寄せていた現像剤320を現像ローラ302から引き離す「剤離し」の作用が働く。この穂が寝た状態となる現像スリーブ302cの表面上のケーシング対向磁極MP2と対向する位置よりも下流側で、且つ、現像剤規制部材対向磁極MP3と対向する位置よりも上流側となる領域は、図3、図4に示すように、法線磁束密度分布の山形のピークが他領域と比べて極めて低い領域となり、この領域は、現像スリーブ302cから現像剤320を離す、剤離し領域γ(図2中に示す)を形成している。
【0031】
感光体1にトナーを付着させた現像剤320は、現像剤320中のトナー濃度が下がっている。このため、仮に、このトナー濃度が低下した現像剤320が現像ローラ302から離れずに再び現像領域αに搬送され現像に供されると、狙いの画像濃度を得ることが出来ないという不具合が生じてしまう。
これを防止する構成として、本実施形態の現像装置3では、現像領域αを通過した現像スリーブ302c表面上に担持された現像剤を剤離し領域γにおいて現像ローラ302から離脱させる。現像ローラ302から離脱した現像剤は、回収室305aに回収され、その後、狙いのトナー濃度、トナー帯電量になるように、ケーシング301内で十分に撹拌混合される。このようにして、狙いのトナー濃度、帯電量にされた現像剤320は、供給室304a内から供給室搬送部材304によって現像剤貯留スペースεに供給される。現像剤貯留スペースεに供給された現像剤320は、現像剤規制部材対向磁極MP3の磁力によって現像スリーブ302cの表面に担持され、現像剤規制部材対向磁極MP3のピーク位置に位置する現像剤規制部材303との対向部を通過することにより、所定の厚さに整えられる。現像剤規制部材303との対向部を通過した現像剤320は、磁気ブラシを形成しながら現像領域αに搬送される。また、現像剤規制部材対向磁極MP3は、現像剤320を搬送する搬送極の機能を担っている。
【0032】
図6は、現像装置3の主要部の内部斜視図であり、図7は、現像装置3の主要部の外観斜視図である。また、図8は、現像装置3の長手方向両端部の板状の仕切部材306に連通孔を設けた部分を上方から見た説明図である。
図6中の矢印D1〜D4がケーシング301内の現像剤320の流れを示している。
【0033】
図2及び図3に示すように、供給室搬送部材304は現像ローラ302のまわりの位置であって、図2及び図3中の現像ローラ302の2時の方向に配置されている。この位置は現像剤規制部材303との対向部に対して現像ローラ302の表面移動方向上流側でもある。図6に示すように、供給室搬送部材304は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ302の現像ローラ中心線O―302aと平行な供給スクリュ中心線O−304を中心に、図2及び図3中の矢印fで示す時計回り方向に回転する。この回転により、図中の矢印D4で示すように、供給スクリュ中心線O−304に沿って現像装置3の長手方向の手前側FSから奥側BSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、供給室搬送部材304は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320をその軸方向、手前側FSから奥側BSに向けて搬送する。
【0034】
図2及び図3に示すように、回収室搬送部材305は現像ローラ302のまわりの位置であって、図2及び図3中の現像ローラ302の4時の方向で、剤離し領域γの近傍に配置されている。図6に示すように、回収室搬送部材305は回転軸の回りに螺旋状の羽部を設けたスクリュ形状をしており、現像ローラ中心線O−302aと平行な回収スクリュ中心線O−305を中心に、図2及び図3中の矢印gで示す時計回り方向に回転する。この回転により、図中の矢印D2で示すように、回収スクリュ中心線O−305に沿って現像装置3の長手方向の奥側BSから手前側FSに向けて現像剤320を撹拌しながら搬送する。つまり、回収室搬送部材305は回転軸に回転駆動が入力されることにより現像剤320を供給室搬送部材304による搬送方向とは逆向きの奥側BSから手前側FSに向けて搬送する。
【0035】
回収室搬送部材305に対して供給室搬送部材304は上方に位置する関係となっており、ケーシング301内で供給室搬送部材304の周囲の空間である供給室304aと、回収室搬送部材305の周囲の空間である回収室305aとは仕切部材306を挟んで隣接している。
図6及び図7に示すように、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の手前側端部は現像ローラ302の手前側端部よりも若干手前側に位置するように設定して、現像ローラ302の手前側端部への供給室304a内からの現像剤320の供給を確保している。また、供給室搬送部材304及び回収室搬送部材305の奥側端部は現像ローラ302の奥側端部よりも奥側に位置するように設定している。これにより、後述するトナー補給のためのスペースを確保している。現像剤規制部材303の長手方向の長さは、現像ローラ302の長さに合わせて設定されている。
【0036】
図2、図3に示すように、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間には、供給室304aと回収室305aとを空間的に仕切る仕切部材306がケーシング301の内側に支持されている。この仕切部材306の長手方向両側端部には、それぞれ連通口(41及び42)が設けられている。
回収室搬送部材305によって長手方向の奥側BSから手前側FS(図中矢印D2方向)に搬送された現像剤320は、その搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれるため側壁に沿って盛り上がる。この盛り上がりによって、回収室305a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切部材306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向手前側端部に設けられた持ち上げ口を通過し(図中矢印D3)、供給室304aに受け渡される。供給室304aに受け渡された現像剤320は、供給室搬送部材304によって供給室304a内を長手方向の手前側FSから奥側BS(図中矢印D4方向)に搬送される。
回収室305aの場合と同様に、供給室搬送部材304によって長手方向の手前側FSから奥側BS(図中矢印D4方向)に搬送された現像剤320は、その搬送方向端部でケーシング301の側壁で進路を絶たれる。供給室304a内の搬送方向下流側端部に到達した現像剤320は、上述した仕切部材306の長手方向両側端部に設けられた連通口のうちの長手方向奥側端部に設けられた落下口より落下し、回収室305aに受け渡される。
【0037】
このように、現像装置3は、現像ローラ302、供給室搬送部材304、回収室搬送部材305及び仕切部材306等を備える構成である。現像ローラ302は、現像剤320を担持して回転し感光体1に形成された静電潜像を可視像化するものである。供給室搬送部材304は、現像ローラ302の現像ローラ中心線O−302aに平行な供給スクリュ中心線O−304を中心に回転し、この供給スクリュ中心線O−304に沿って現像装置3の長手方向に現像剤320を撹拌しつつ搬送する。回収室搬送部材305は、現像ローラ302から現像剤320を離す剤離し領域γの近傍に配置され、現像ローラ中心線O−302aと平行な回収スクリュ中心線O−305を中心に回転し、供給室搬送部材304が現像剤320を搬送する方向とは反対方向に現像剤320を撹拌しつつ搬送する。また、仕切部材306は、供給室搬送部材304と回収室搬送部材305との間であって、供給室304aと回収室305aとの空間を仕切り、長手方向の両端部にそれぞれ連通口を有する。このような構成により、現像装置3は、図中の矢印D1〜D4に沿った現像剤320の循環経路を形成する。
【0038】
また、本実施形態の現像装置3内で現像剤320を循環させる現像剤撹拌搬送部材(304及び305)が現像ローラ302の横に上下に二本並べて配置される。
従来の現像装置3としては、図20に示すように2つの現像剤攪拌搬送部材(供給回収スクリュ404、循環スクリュ405)を現像ローラ302から離れる方向(水平方向)に2つ並べて配置する構成のものがある。このように、2つの現像剤攪拌搬送部材を水平方向に並べて配置する構成にくらべて、本実施形態の現像装置3は、装置の横方向(水平方向)の大きさを小さくすることができる。
また、本実施形態の現像装置3は、仕切部材306により供給室304a回収室305aとの空間が仕切られている。このため、現像ローラ302に対しては供給室搬送部材304により、トナーとキャリアを十分に撹拌混合された現像剤320のみが供給され、現像直後のトナー濃度の下がった現像剤320は専ら回収室搬送部材305により撹拌搬送され、直ぐに現像ローラ302に供給されることがない。よって、狙いの帯電量を持ったトナーを含み、狙いのトナー濃度となった現像剤320だけが現像ローラ302に供給され、現像に用いられることとなるため、高画質を得ることができる。
このように、本実施形態の現像装置3は、水平方向のコンパクト化を図りつつ、高画質を得ることができる。
【0039】
図9乃至図11は、循環経路の変形例を示す図である。この変形例は、図10に示すように、供給室304a内の現像剤は、奥側BSから手前側FSに搬送され(矢印D4’)、回収室305a内の現像剤は、手前側FSから奥側BSに搬送される(矢印D2’)ように構成したものである。図11は、現像装置の奥側BSの断面図である。
【0040】
図9乃至図11に示すように、この変形例においては、回収室搬送部材305の持ち上げ口307と対向する箇所を螺旋状のスクリュ形状ではなく、軸方向に延びる板状の羽が複数設けた羽根車308としている。回収室搬送部材305の回転に伴って、この羽根車308により現像剤320を上方に跳ね上げることで、現像剤320は、持ち上げ口307を通過し(図中矢印D3)、供給室304aに受け渡される。
【0041】
図11に示すように、供給室搬送部材304の中心O−304と回収室搬送部材305の中心O−305とは略同一鉛直線上にあり、羽根車308は反時計回りの向きに回転し、ケーシング301の内壁に沿って現像剤320を跳ね上げる。持ち上げ口307はこの跳ね上げによる現像剤の進路を妨げないように、かつ、せっかく跳ね上げた現像剤が回収室搬送部材305へ落下することのないように、中心O−304と中心O−305とを結ぶ略鉛直線よりも僅かにケーシング内壁寄りの位置からケーシング内壁部(304回転方向の上流側)に及ぶように形成してある。つまり、図10に示すように、持ち上げ口307は仕切部材306の一部に穴を開けた如き状態で形成し、この持ち上げ口307に対応する現像ローラ側の部位には、現像ローラ軸方向中央部と同様に仕切部材が存在するように構成する。この残りの仕切部材の部分306'により、持ち上げ口307を通って下から上に移動した現像剤は再び下方に落下することなく供給室搬送部材304により搬送される、または、現像ローラ302に引き寄せられ、現像領域へ搬送されていくので、効率の良い現像剤循環を行うことができる。
【0042】
次に、現像装置3におけるトナー補給について説明する。
現像装置3内の現像剤320は、現像動作を繰り返す内にトナーが消費されていくため、現像装置3の外部から装置内の現像剤320に対してトナーを補給する必要がある。本実施形態の現像装置3は、長手方向の奥側BSの端部近傍にトナー補給口309(図7参照)を備え、このトナー補給口309より外部からのトナーの補給を行う。また、図9乃至図11に示す循環経路の変形例においては、長手方向の手前側FSの端部近傍にトナー補給口309を備えている。すなわち、トナー補給口309は、現像ローラ302に現像剤を供給する供給室304a内の搬送方向下流側端部近傍に設けるのである。これにより、トナー補給口309より補給されたトナーが直ちに現像に供されることはなく、落下口を通過して回収室305aに供給されることとなる。回収室305aに供給されたトナーは回収室搬送部材305で現像剤320と混合・撹拌され、所定のトナー濃度となった現像剤320に含有された状態で、持ち上げ口から供給室304aへと受け渡され、現像に供される。また、回収室搬送部材305を配置した回収室305aは、現像ローラ302の表面から離脱した現像剤320を回収して搬送するものであり、現像ローラ302への現像剤320の供給は行わない。このため、トナー補給口309から新しくトナーが補給されたことにより十分に撹拌されていない、トナー濃度が不均一な状態の現像剤320が現像に供されることを防止できる。
トナー補給口309から補給されたトナーは、落下口を通過して回収室305aに供給され、現像ローラ302から離脱してトナー濃度の低下して回収室305aに回収された現像剤320とともに、回収室搬送部材305によって撹拌混合されながら搬送される。新たに補給されたトナー及びトナー濃度が低下した現像剤320は、回収室305a内の搬送方向下流側端部に搬送されるまでの間に、トナー濃度が正常化され、持ち上げ口から供給室304aへと受け渡される。供給室304aでは、現像剤320は、供給室搬送部材304に搬送されながら現像ローラ302に供給され現像に使用される。
【0043】
また、現像装置3は、回収室305a内の持ち上げ口の下方に不図示のトナー濃度センサを配置している。本実施形態のトナー濃度センサは、透磁率を測定するセンサであり、現像剤のキャリア濃度(=100−トナー濃度)を検出することができる。このトナー濃度センサでの検出結果に基づいて、不図示の制御部がキャリア濃度からトナー濃度センサの検出領域における現像剤320のトナー濃度が適正か否かを判断し、補給するトナーの量を決定する。
【0044】
次に、本実施形態の現像装置3の特徴点について、説明する。
回収室305a内の現像剤の量が多いとき、または、回収室搬送部材305の回転数が早すぎるときは、図12の矢印Kに示すように、回収室305aの現像剤320が、現像ローラ302に向けて飛翔する現像剤が多くなる。この現像剤が、現像スリーブ302cの表面に到達すると、マグネットローラ302dの磁力、もしくは表面の摩擦により現像剤が現像スリーブ302c表面に付着し、現像スリーブ302cによって現像領域へ搬送されてしまう。このような飛翔トナーには、現像領域でトナーが消費され、トナー濃度が回復していない現像済み現像剤が含まれる。このようなトナー濃度が低下した現像済み現像剤が、現像スリーブ表面に付着して現像領域へ搬送されると、その部分の現像能力が低くなり、画像濃度ムラが生じてしまう。
【0045】
そこで、図13に示すように、本実施形態においては、回収室305aの現像ローラ302と対向する箇所と回収室搬送部材305を挟んで反対側の箇所に再付着抑制磁石340を設けた。具体的には、回収室305aが形成されたケーシング301の外側に再付着抑制磁石340が設けられている。再付着抑制磁石340を設けることで、回収室305aの現像剤320を、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により回収室305aに留まらせることができ、回収室305aから現像ローラ302へ向かって現像剤が飛翔するのを抑制することができる。特に、トナー濃度が低下した現像済み現像剤は、磁性キャリアの密度が大きくなっており、トナー濃度が規定の現像剤に比べて再付着抑制磁石340から受ける磁気吸引力が大きい。よって、このようなトナー濃度低下した現像済み現像剤の飛翔を確実に抑制することができる。また、再付着抑制磁石340による磁気吸引力により現像剤を回収室305aに滞留させることができ、回収室内での現像剤の分散・トナーの帯電機能を高めることもできる。
【0046】
再付着抑制磁石340を設ける高さ方向については、回収室搬送部材305の軸心よりも上方に配置するのが好ましい。回収室搬送部材305の軸心よりも上方に再付着抑制磁石340を配置することにより、図13に示すように、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により、回収室305a内の現像剤の現像ローラ302から離間した側の嵩高さが、現像ローラ側の嵩高さよりも高くなる。これにより、図13に示すように、回収室内の現像剤と現像ローラ302との距離を離すことができ、回収室内の現像剤320が現像スリーブ表面に付着するのをより一層抑制することができる。また、回収室305aの現像剤320が多少多くても、回収室305aの現像剤320が、現像ローラ302に接触することがない。よって、回収室搬送部材305の回転速度を落として、現像剤を搬送することができ、回収室搬送部材305を軸受けする軸受、軸受に現像剤が侵入しないようにシールするシール部材への負荷を低減することができ、装置の寿命を向上させることができる。また、現像装置3の温度上昇を抑制することができ、現像剤へのダメージも抑制することができる。
【0047】
また、再付着抑制磁石340の長手方向については、現像ローラ302の長さと同じ長さとし、回収室305aの現像ローラ302との対向する領域の全域をカバーする。もちろん、現像ローラ302よりも長くして、回収室305aの全域をカバーするようにしてもよいが、コスト高になる。
【0048】
また、最も回収室305aの現像剤320が飛翔しやすいのは、回収室305aの現像剤搬送方向下流側である。これは、供給室304aが回収室305aの上方に位置するので、回収室305aの下流端において現像剤320の自重に反して現像剤320を持ち上げて移送させる必要がある。そのため、回収室305aの下流端での現像剤搬送速度の落ち込みが大きく、回収室305aの下流端で現像剤320が滞留する。その結果、回収室305aの下流端付近においては、上流側に比べて、現像剤320の嵩高さが高く、回収室305aの現像剤320と現像ローラ302との距離が近くなる。その結果、現像剤320が飛翔すると、現像ローラ302に付着しやすい。一方、回収室305aの現像剤搬送方向上流側は、現像剤320の嵩高さが低く現像ローラ302との距離が遠いため、飛翔したとしても、現像ローラ302に付着しにくい。また、現像剤量も少ないため、飛翔するトナーも少ない。よって、図14に示すように、回収室305aの現像ローラ302と対向する領域Gの現像剤搬送方向下流側の箇所にのみ、再付着抑制磁石340を設けてもよい。これにより、コストを抑えて、現像ローラ302への付着を抑制することができる。
【0049】
また、再付着抑制磁石340としては、永久磁石が好ましい。永久磁石とすることで、簡易な構成で、回収室305aの現像剤320を磁気吸引することができ、現像剤320の飛翔を抑制することができ、コストを低減することができる。
【0050】
また、再付着抑制磁石340により、現像剤規制部材対向磁極MP3が影響を受け、磁束密度が変動する。磁束密度が変動すると、現像剤規制部材303を通過するときの現像剤の穂立ち量が変動し、像剤汲み上げ量が変動する。なお、ここでいう現像剤汲み上げ量とは、現像剤規制部材303を通過した単位面積当りの現像剤量である。
図15は、汲み上げ量と、再付着抑制磁石340による現像剤規制部材対向磁極MP3の変動量との関係を示す図である。図に示すように、再付着抑制磁石340による現像剤規制部材対向磁極MP3の変動量が、0.5mT以下ならば、汲み上げ量にほとんど影響ないことがわかる。
【0051】
よって、再付着抑制磁石340は、現像剤規制部材対向磁極MP3の法線磁束密度の変動量が、0.5mT以内とする位置に配置する。また、図16に示すように、再付着抑制磁石340の磁極の極性を、現像スリーブ302cの表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極(ケーシング対向磁極MP2と現像剤規制部材対向磁極MP3)と逆極性にする。これにより、再付着抑制磁石340とケーシング対向磁極MP2との間に現像ローラから現像剤が剥離しやすいような磁界(回収室へ現像剤を吸引するような磁界)を形成することができる。また、再付着抑制磁石340と現像剤規制部材対向磁極MP3との間に反発磁界が形成されないので、現像剤規制部材対向磁極MP3の法線磁束密度の変動を抑えることできる。
【0052】
また、本発明者らの実験により、再付着抑制磁石340の磁束密度を、主磁極MP1の磁束密度よりも高くすると、現像スリーブ表面への汲み上げ量が多くなることがわかった。具体的には、主磁極MP1の磁束密度100mTに対し、再付着抑制磁石340の磁束密度150mTで実験を行なうと、現像剤規制部材303を通過するとき、現像剤の穂が寝てしまい、汲み上げ量が多くなってしまった。また、再付着抑制磁石340の磁束密度が強いため、回収室305a内の現像剤が再付着抑制磁石340から受ける磁気吸引力が大きくなり、回収室搬送部材305のトルクが上昇してしまい、温度上昇や駆動負荷が増大してしまうという不具合も発覚した。一方、再付着抑制磁石340の磁束密度を、主磁極MP1の磁束密度よりも小さい100mT以下にすると、汲み上げ量の増加が防止された。よって、再付着抑制磁石340の磁束密度を、主磁極MP1の磁束密度以下とすることで、現像領域へ搬送される現像剤量の増加を防止することができ、画像濃度が濃くなるのを抑制することができる。また、100mT以下とすることで、再付着抑制磁石340として、強い磁力をもつ希土類(ネオジウ)を使用せずともよく、装置を安価にすることができる。
【0053】
また、先の図13に示すように、回収室305aの現像ローラ302と対向する箇所と回収室搬送部材305を挟んで反対側の箇所に再付着抑制磁石340を設ける構成の場合は、ケーシング301の外側に再付着抑制磁石340を設けることになり、現像装置3の水平方向(図中横方向)の長さが長くなってしまう。その結果、図1に示すように、現像装置3を複数個水平方向に並べて配置するタンデム型のカラー画像形成装置においては、装置の水平方向長さが長くなってしまう。
【0054】
そこで、図17に示すように、回収室305aと供給室304aとの間に再付着抑制磁石340を配置してもよい。また、回収室305aと供給室304aとの間に再付着抑制磁石340を配置するため、回収室305aと供給室304aとを仕切る仕切部材306は、板状ではなく中空部を有する箱型の形状とし、その中に再付着抑制磁石340を配置する。このように構成することで、再付着抑制磁石340をケーシング301内部に配置することができ、現像装置3の大型化を抑制することができる。回収室305aと供給室304aとの間に再付着抑制磁石340を配置しても、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により、回収室305a内の現像剤320が現像ローラ側へ飛翔するのを抑制することができる。
【0055】
また、この場合、再付着抑制磁石340の磁気吸引力により、回収室305aの現像剤320の一部が、回収室305aの上面(仕切り部材306)に付着することにより、回収室305aの現像剤320の嵩高さを低く抑えることができ、現像ローラ302と回収室内の現像剤との距離を離すことができ、回収室内の現像剤320が再付着するのを抑制するのをさらに抑制できる。また、回収室内の現像剤320の嵩高さを低く抑えることができるので、回収室305aの現像剤320が多少多くても、回収室305aの現像剤320が、現像ローラ302に接触することがない。よって、回収室搬送部材305の回転速度を落として、現像剤320を搬送することができ、回収室搬送部材305を軸受けする軸受、軸受に現像剤が侵入しないようにシールするシール部材への負荷を低減することができ、装置の寿命を向上させることができる。また、現像装置3の温度上昇を抑制することができ、現像剤320へのダメージも抑制することができる。また、より現像剤320を多く引き付けるためには、回収室搬送部材305の軸上方に再付着抑制磁石を設けるのが望ましい。
【0056】
また、回収室305aと供給室304aとの間に再付着抑制磁石340を配置した場合も、図18に示すように、回収室305aに対向させる再付着抑制磁石340の磁極の極性を、上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極(ケーシング対向磁極MP2と現像剤規制部材対向磁極MP3)と逆極性にするのが好ましい。これにより、再付着抑制磁石340と現像剤規制部材対向磁極MP3との間に現像ローラから現像剤が剥離しやすいような磁界(現像剤を回収室305aへ吸引するような磁界)を形成することができる。
【0057】
また、この場合も、図19に示すように、再付着抑制磁石340を、回収室305aの現像ローラ302と対向する領域Gの現像剤搬送方向下流側の箇所にのみ、再付着抑制磁石340を設けてもよい。これにより、コストを抑えて、現像ローラ302への付着を抑制することができる。
【0058】
以上に説明したものは一例であり、本発明は、次の(1)〜(12)態様毎に特有の効果を奏する。
(1)
複数の磁極を有するマグネットローラ302dなどの磁界発生手段を内包し、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を表面上に担持して回転し、感光体1などの潜像担持体と対向する現像領域で上記潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像ローラ302などの現像剤担持体と、上記現像剤担持体に対して対向配置され、上記現像剤担持体の軸線方向に沿って供給室搬送部材304などの供給搬送部材で現像剤を搬送しながら上記現像剤担持体に現像剤を供給する供給室304aなどの供給搬送路と、上記現像剤担持体の上記現像領域から上記供給搬送路から現像剤が供給される供給領域までの間の領域に対向配置され、上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収し、現像剤担持体の軸線方向に沿って、上記現像剤担持体から回収された現像剤を回収室搬送部材305などの回収搬送部材により搬送する回収室305aなどの回収搬送路と、上記供給搬送路の現像剤搬送方向下流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向上流端とを連通する落下口などの第1連通部と、上記供給搬送路の現像剤搬送方向上流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向下流端とを連通する持ち上げ口などの第2連通部とを備え、上記供給搬送路と上記回収搬送路との間で現像剤を循環搬送する現像装置において、上記回収搬送路内の現像剤を、上記回収搬送路内に留まるように磁気吸引して、上記回収搬送路内の現像剤が、現像剤担持体へ再付着するのを抑制する再付着抑制磁石340を備えた。
かかる構成を備えることにより、上述したように、回収搬送路に回収された現像済み現像剤が、現像剤担持体に再付着するのを抑制することができ、現像領域にこの再付着した現像済み現像剤が搬送されるのを抑制することができる。その結果、現像画像の濃度ムラを抑制することができる。
【0059】
(2)
また、上記(1)に記載の態様の現像装置において、再付着抑制磁石を、回収搬送経路の現像剤担持体と対向する箇所と回収搬送部材を挟んで反対側の箇所に設けた。これにより、回収搬送経路から現像剤担持体へ向かって飛翔しようとする現像剤に対して、再付着抑制磁石の磁気吸引力を良好に働かせることができ、現像剤担持体へ再付着するのを抑制することができる。
また、回収搬送経路内の現像剤が、再付着抑制磁石の磁気吸引力により、回収搬送経路の現像剤担持体と対向する箇所と回収搬送部材を挟んで反対側の箇所に集まる。よって、回収搬送内の現像剤担持体側の現像剤の嵩高さを、回収搬送部材を挟んで反対側の箇所よりも低くすることができる。これにより、回収搬送内の現像剤と現像剤担持体との距離を離すことができ、現像剤担持体に回収搬送路内の現像剤が付着するのをより一層抑制することができる。
【0060】
(3)
また、上記(1)に記載の態様の現像装置において、再付着抑制磁石を、上記回収搬送経路と上記供給搬送経路との間に設けた。
かかる構成としても、回収搬送経路から現像剤担持体へ向かって飛翔しようとする現像剤に対して、再付着抑制磁石の磁気吸引力を働かせることができ、現像剤担持体へ再付着するのを抑制することができる。
また、回収搬送路が、供給搬送路に対して鉛直方向下方にある構成の場合は、再付着抑制磁石の磁気吸引力により、回収搬送路内の現像剤の一部を、回収搬送路の上面に付着させることができる。これにより、回収搬送路の現像剤の嵩高さが減少し、回収搬送路内の現像剤と現像担持体との間の距離を離すことができ、現像剤担持体に回収搬送路内の現像剤が付着するのをより一層抑制することができる。
さらに、現像装置のケーシング内に再付着抑制磁石を設けることができるので、現像装置のコンパクト化を図ることが可能となる。
【0061】
(4)
また、上記(1)乃至(3)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記供給搬送路から上記現像領域のまでの間に上記現像剤担持体表面と所定の隙間を有して対向し、現像剤担持体に担持された現像剤を規制する現像剤規制部材を有し、上記磁界発生手段の上記現像剤規制部材に対向する位置における法線方向磁束密度の上記再付着抑制磁石による変化量を、0.5mT以下となるように上記再付着抑制磁石を配置した。
かかる構成を備えることで、先の図15に示すように、現像剤規制部材を通過する現像剤量が、再付着抑制磁石により変動するのを抑制することができ、規定の画像濃度の現像画像を得ることができる。
【0062】
(5)
また、上記(1)乃至(4)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記磁界発生手段は、上記現像領域を通過した現像剤を上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極(本実施形態においては、現像剤規制部材対向磁極MP3、ケーシング対向磁極MP2)を備えており、上記再付着抑制磁石の上記現像剤回収路に対向させる磁極を、上記再付着抑制磁石の上記回収搬送路に対向させる磁極を、上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極と逆極性にした。
かかる構成を備えることにより、上記2つの磁極と、上記再付着抑制磁石との間に反発磁界が形成されるのを抑制することができる。これにより、上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界により、現像剤担持体表面の現像済み現像剤が、現像剤担持体から剥離して、回収搬送路に回収することができる。
【0063】
(6)
また、上記(1)乃至(5)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記再付着抑制磁石を、上記第2連通部の近傍に設けた。
上記第2連通部の近傍は、回収搬送路内を搬送されてきた現像剤が、第2連通部を通るために滞留する。このため、上記第2連通部の近傍は、現像剤量が多いため、現像剤担持体に向けて飛翔するトナーが、多くなる。また、現像剤嵩高さも高く、現像剤担持体と回収搬送路内の現像剤との距離も近くなり、飛翔したトナーが、現像剤担持体に再付着しやすい。
よって、このように現像剤担持体に現像剤が再付着しやすい、第2連通部近傍に再付着抑制磁石を設けることで、良好に現像剤担持体への現像剤再付着を抑制することができる。
【0064】
(7)
また、上記(1)乃至(6)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記再付着抑制磁石として、永久磁石を用いた。
かかる構成を備えることで、再付着抑制磁石として、電磁石を用いた場合に比べて、構造を簡素化することができ、装置を安価にすることができる。
【0065】
(8)
また、上記(1)乃至(7)いずれかに記載の態様の現像装置において、上記磁界発生手段は、上記現像領域と対向する箇所に配置される主磁極を有しており、上記再付着抑制磁石の磁束密度を、上記主磁極の磁束密度以下にした。
かかる構成を備えることで、磁界発生手段の現像剤規制部材との対向領域における磁束密度の影響を抑えることができ、現像領域へ搬送される現像量が増加するのを抑制することができ、現像画像の濃度が、規定よりも濃くなるのを抑制することができる。
【0066】
(9)
また、潜像担持体の表面に形成された潜像を現像装置により現像剤を用いて現像することで得られるトナー像を、最終的に記録材上へ転写させることにより、記録材上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在に構成され、少なくとも潜像担持体及び現像装置を一体的に支持したプロセスカートリッジにおいて、上記現像装置として、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様の現像装置を用いた。
かかる構成を備えることで、濃度ムラのない良好な画像を得ることができるプロセスカートリッジを提供することができる。
【0067】
(10)
また、少なくとも潜像担持体と、上記潜像担持体表面を帯電させる帯電装置2などの帯電手段と、上記潜像担持体上に静電潜像を形成する露光装置16などの潜像形成手段と、上記静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成装置において、上記現像装置として、上記(1)乃至(8)いずれかに記載の態様の現像装置を用いた。
かかる構成を備えることで、濃度ムラのない良好な画像を得ることができる。
【0068】
(11)
また、上記(10)に記載の態様の画像形成装置において、潜像担持体及び現像装置を一体的に支持し、装置に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジを備えた。
かかる構成を備えることにより、潜像担持体及び現像装置を容易に交換することができる。
【0069】
(12)
また、上記(10)または(11)に記載の態様の画像形成装置において、上記現像装置または上記プロセスカートリッジを複数備えた。
かかる構成を備えることで、濃度ムラのないカラー画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0070】
1:感光体
2:帯電装置
3:現像装置
16:露光装置
301:ケーシング
302:現像ローラ
302c:現像スリーブ
302d:マグネットローラ
303:現像剤規制部材
304:供給室搬送部材
304a:供給室
305:回収室搬送部材
305a:回収室
306:仕切部材
307:持ち上げ口
309:トナー補給口
320:現像剤
340:再付着抑制磁石
MP1:主磁極
MP2:ケーシング対向磁極
MP3:現像剤規制部材対向磁極
MP3 現像剤規制部材対向磁極
α:現像領域
【先行技術文献】
【特許文献】
【0071】
【特許文献1】特開2003−263012号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する現像領域で上記潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
上記現像剤担持体に対して対向配置され、上記現像剤担持体の軸線方向に沿って供給搬送部材で現像剤を搬送しながら上記現像剤担持体に現像剤を供給する供給搬送路と、
上記現像剤担持体の上記現像領域から上記供給搬送路から現像剤が供給される供給領域までの間の領域に対向配置され、上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収し、現像剤担持体の軸線方向に沿って、上記現像剤担持体から回収された現像剤を回収搬送部材により搬送する回収搬送路と、
上記供給搬送路の現像剤搬送方向下流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向上流端とを連通する第1連通部と、
上記供給搬送路の現像剤搬送方向上流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向下流端とを連通する第2連通部とを備え、
上記供給搬送路と上記回収搬送路との間で現像剤を循環搬送する現像装置において、
上記回収搬送路内の現像剤を、上記回収搬送路内に留まるように磁気吸引して、上記回収搬送路内の現像剤が、現像剤担持体へ再付着するのを抑制する再付着抑制磁石を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記再付着抑制磁石を、上記回収搬送経路の上記現像剤担持体と対向する箇所と上記回収搬送部材を挟んで反対側の箇所に設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1の現像装置において、
上記再付着抑制磁石を、上記回収搬送経路と上記供給搬送経路との間に設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの現像装置において、
上記供給搬送路から上記現像領域のまでの間に上記現像剤担持体表面と所定の隙間を有して対向し、現像剤担持体に担持された現像剤を規制する現像剤規制部材を有し、
上記磁界発生手段の上記現像剤規制部材に対向する位置における法線方向磁束密度の上記再付着抑制磁石による変化量を、0.5mT以下となるように上記再付着抑制磁石を配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの現像装置において、
上記磁界発生手段は、上記現像領域を通過した現像剤を上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極を備えており、
上記再付着抑制磁石の上記回収搬送路に対向させる磁極を、上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極と逆極性にしたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの現像装置において、
上記再付着抑制磁石を、上記第2連通部の近傍に設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかの現像装置において、
上記再付着抑制磁石として、永久磁石を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの現像装置において、
上記磁界発生手段は、上記現像領域と対向する箇所に配置される主磁極を有しており、
上記再付着抑制磁石の磁束密度を、上記主磁極の磁束密度以下にしたことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
潜像担持体の表面に形成された潜像を現像装置により現像剤を用いて現像することで得られるトナー像を、最終的に記録材上へ転写させることにより、記録材上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在に構成され、少なくとも潜像担持体及び現像装置を一体的に支持したプロセスカートリッジにおいて、
上記現像装置として、請求項1乃至8いずれかの現像装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
少なくとも潜像担持体と、上記潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、上記潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、上記静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1乃至8いずれかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
潜像担持体及び現像装置を一体的に支持し、装置に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10または11の画像形成装置において、
上記現像装置または上記プロセスカートリッジを複数備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
複数の磁極を有する磁界発生手段を内包し、トナーと磁性キャリアとを含む現像剤を表面上に担持して回転し、潜像担持体と対向する現像領域で上記潜像担持体の表面の潜像にトナーを供給して現像する現像剤担持体と、
上記現像剤担持体に対して対向配置され、上記現像剤担持体の軸線方向に沿って供給搬送部材で現像剤を搬送しながら上記現像剤担持体に現像剤を供給する供給搬送路と、
上記現像剤担持体の上記現像領域から上記供給搬送路から現像剤が供給される供給領域までの間の領域に対向配置され、上記現像剤担持体から上記現像領域通過後の現像剤を回収し、現像剤担持体の軸線方向に沿って、上記現像剤担持体から回収された現像剤を回収搬送部材により搬送する回収搬送路と、
上記供給搬送路の現像剤搬送方向下流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向上流端とを連通する第1連通部と、
上記供給搬送路の現像剤搬送方向上流端と、上記回収搬送路の現像剤搬送方向下流端とを連通する第2連通部とを備え、
上記供給搬送路と上記回収搬送路との間で現像剤を循環搬送する現像装置において、
上記回収搬送路内の現像剤を、上記回収搬送路内に留まるように磁気吸引して、上記回収搬送路内の現像剤が、現像剤担持体へ再付着するのを抑制する再付着抑制磁石を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記再付着抑制磁石を、上記回収搬送経路の上記現像剤担持体と対向する箇所と上記回収搬送部材を挟んで反対側の箇所に設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1の現像装置において、
上記再付着抑制磁石を、上記回収搬送経路と上記供給搬送経路との間に設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれかの現像装置において、
上記供給搬送路から上記現像領域のまでの間に上記現像剤担持体表面と所定の隙間を有して対向し、現像剤担持体に担持された現像剤を規制する現像剤規制部材を有し、
上記磁界発生手段の上記現像剤規制部材に対向する位置における法線方向磁束密度の上記再付着抑制磁石による変化量を、0.5mT以下となるように上記再付着抑制磁石を配置したことを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1乃至4いずれかの現像装置において、
上記磁界発生手段は、上記現像領域を通過した現像剤を上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極を備えており、
上記再付着抑制磁石の上記回収搬送路に対向させる磁極を、上記現像剤担持体の表面から離脱させるための磁界を発生させる互いに隣接した同極性である2つの磁極と逆極性にしたことを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれかの現像装置において、
上記再付着抑制磁石を、上記第2連通部の近傍に設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1乃至6いずれかの現像装置において、
上記再付着抑制磁石として、永久磁石を用いたことを特徴とする現像装置。
【請求項8】
請求項1乃至7いずれかの現像装置において、
上記磁界発生手段は、上記現像領域と対向する箇所に配置される主磁極を有しており、
上記再付着抑制磁石の磁束密度を、上記主磁極の磁束密度以下にしたことを特徴とする現像装置。
【請求項9】
潜像担持体の表面に形成された潜像を現像装置により現像剤を用いて現像することで得られるトナー像を、最終的に記録材上へ転写させることにより、記録材上に画像を形成する画像形成装置に対して着脱自在に構成され、少なくとも潜像担持体及び現像装置を一体的に支持したプロセスカートリッジにおいて、
上記現像装置として、請求項1乃至8いずれかの現像装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項10】
少なくとも潜像担持体と、上記潜像担持体表面を帯電させる帯電手段と、上記潜像担持体上に静電潜像を形成する潜像形成手段と、上記静電潜像を現像する現像装置とを有する画像形成装置において、
上記現像装置として、請求項1乃至8いずれかの現像装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10の画像形成装置において、
潜像担持体及び現像装置を一体的に支持し、装置に対して着脱自在に構成されたプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10または11の画像形成装置において、
上記現像装置または上記プロセスカートリッジを複数備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2013−57808(P2013−57808A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196088(P2011−196088)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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