説明

現像装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジ

【課題】地肌汚れを抑えることができるホッピング現像方式の現像装置、並びに、その現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供する。
【解決手段】複数の電極が表面に沿って配設されたトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極に周期的な電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを潜像担持体と対向する現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、前記トナー担持体の表面に担持されたトナーにトナーの正規帯電極性と同極性の電荷を付与する電荷付与手段を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、複写機などの画像形成装置に用いられる現像装置、並びに、その現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の現像装置としては、トナー担持体の表面上でホッピングさせたトナーを現像に用いるものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の現像装置は、絶縁性の支持基材の周方向に複数の電極が数十[μm]程度の所定の間隔で配設され、支持基材及び電極の表面に絶縁性の表層が積層された筒状のトナー担持体を有している。これら電極は、互いに隣り合う2つの電極からなる電極対が繰り返し配設されたものである。それぞれの電極対における2つの電極の間には交番電界が形成される。すると、電極対における一方の電極の上に位置していたトナーが浮上して他方の電極の上に着地したり、他方の電極の上から浮上して一方の電極の上に着地したりする。そして、このようにしてホッピングを繰り返しながら、筒状のトナー担持体の回転駆動に伴う表面移動によって現像領域まで搬送される。現像領域では、潜像担持体上の潜像の近傍まで浮上したトナーが、トナー担持体の電極に向けて下降することなく、潜像による電界に引かれて潜像に付着する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなホッピング現像方式においては、正規帯電極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーも、トナー担持体の表面上でホッピングする。そして、その逆帯電トナーがホッピングによって空中に舞い上がると、逆帯電トナーとは逆極性に帯電している、潜像が形成されていない感光体上の非画像部に付着して地肌汚れを引き起こしてしまうといった問題が生じる。
【0005】
また、特許文献1に記載の現像装置のようにホッピングによって電極間を往復移動するトナーをトナー担持体の表面移動によって現像領域に搬送するのではなく、トナー担持体の表面上のトナーをホッピングによって一定方向に移動させて現像領域まで搬送する現像装置も知られている。例えば、A相、B相、C相という3つの電極がその順序で繰り返し配設されたトナー担持体を用いる現像装置では、トナー担持体の表面上でトナーをA相電極上からB相電極上へ、B相電極上からC相電極上へ、C相電極上からA相電極上へというように順次ホッピングさせていくことで、トナーを現像領域に向けて搬送する。このような現像装置でも、上述したような問題が生じる。
【0006】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、地肌汚れを抑えることができるホッピング現像方式の現像装置、並びに、その現像装置を備えた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の電極が表面に沿って配設されたトナー担持体と、該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、該複数の電極に周期的な電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、該トナー担持体の表面に担持されているトナーを潜像担持体と対向する現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、前記トナー担持体の表面に担持されたトナーにトナーの正規帯電極性と同極性の電荷を付与する電荷付与手段を設けたことを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の現像装置において、上記トナー供給手段は導電性を有し、前記トナー供給手段にバイアスを印加するバイアス印加手段が設けられており、前記トナー供給手段が上記電荷付与手段を兼ねることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1の現像装置において、上記トナー担持体上のトナー量を規制する導電性を有したトナー規制部材と、前記トナー規制部材にバイアスを印加するバイアス印加手段とが設けられており、前記トナー規制部材が上記電荷付与手段を兼ねることを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、前記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、少なくとも、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、少なくとも、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、請求項5のプロセスカートリッジを用いることを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、請求項6の画像形成装置において、上記プロセスカートリッジを複数設けるとともに、それぞれのプロセスカートリッジの上記潜像担持体上に形成されたトナー像を転写体に重ね合わせて転写する転写手段を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明においては、電荷付与手段によってトナー担持体の表面に担持されたトナーに、トナーの正規帯電極性と同極性の電荷が付与される。これにより、前記正規帯電極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーを前記正規帯電極性に帯電させることができる。よって、トナー担持体の表面上でホッピングした逆帯電トナーが、潜像が形成されていない潜像担持体上の非画像部に付着して地肌汚れが引き起こされてしまうのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0009】
以上、本発明によれば、地肌汚れを抑えることができるという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】構成例1に係る現像装置と感光体とを示す概略構成図。
【図2】本実施形態に係る複写機の概略構成図。
【図3】トナー担持ローラを回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図。
【図4】トナー担持ローラを、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図。
【図5】トナー担持ローラの内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧との一例を示すグラフ。
【図6】トナー担持ローラの内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧との他の例を示すグラフ。
【図7】トナー担持ローラの内側電極及び外側電極にそれぞれ印加する内側電圧と外側電圧との更に他の例を示すグラフ。
【図8】構成例2に係る現像装置と感光体とを示す概略構成図。
【図9】構成例3に係る現像装置と感光体とを示す概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、電子写真方式の画像形成装置である複写機について適用した一実施形態について説明する。なお、本発明に係る実施形態は以下に述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
【0012】
図2は、実施形態に係る複写機を示す概略構成図である。同図において、潜像担持体としてのドラム状の感光体49は、図中時計回り方向に回転駆動される。操作者がコンタクトガラス90に図示しない原稿を装置し、図示しないプリントスタートスイッチを押すと、原稿照明光源91及びミラー92を具備する第1走査光学系93と、ミラー94,95を具備する第2走査光学系96とが移動して、原稿画像の読み取りが行われる。走査された原稿画像がレンズ97の後方に配設された画像読み取り素子98で画像信号として読み込まれ、読み込まれた画像信号はデジタル化された後に画像処理される。そして、画像処理後の信号でレーザーダイオード(LD)が駆動され、このレーザーダイオードからのレーザー光がポリゴンミラー99で反射した後、ミラー80を介して感光体49を走査する。この走査に先立って、感光体49は帯電装置50によって一様に帯電され、レーザー光による走査により感光体49の表面に静電潜像が形成される。
【0013】
感光体49の表面に形成された静電潜像には現像装置1の現像処理によってトナーが付着し、これによりトナー像が形成される。このトナー像は、感光体49の回転に伴って、転写チャージャー60との対向位置である転写位置に搬送される。この転写位置に対しては、感光体49上のトナー像と同期するように、第1給紙コロ70aを具備する第1給紙部70、又は第2給紙コロ71aを具備する第2給紙部71から記録紙Pが送り込まれる。そして、感光体49上のトナー像は、転写チャージャー60のコロナ放電によって記録紙P上に転写される。
【0014】
このようにしてトナー像が転写された記録紙Pは、分離チャージャー61のコロナ放電によって感光体49表面から分離され、その後、搬送ベルト75によって定着装置76に向けて搬送される。そして、定着装置76内において、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ76aと、これに向けて押圧される加圧ローラ76bとの当接による定着ニップに挟み込まれる。その後、定着ニップ内での加圧や加熱によってトナー像が表面に定着せしめられた後、機外の排紙トレイ77に向けて排紙される。
【0015】
上述の転写位置を通過した感光体49表面に付着している転写残トナーは、クリーニング装置45によって感光体49表面から除去される。このようにしてクリーニング処理が施された感光体49表面は、除電ランプ44によって除電されて次の潜像形成に備えられる。
【0016】
また、本複写機においては、少なくとも、感光体49と現像装置1とを共通の保持体に保持させて1つのユニットとして複写機本体に対して着脱可能にしたプロセスカートリッジを構成している。
【0017】
[構成例1]
図1は、感光体49と非磁性トナーからなる一成分現像剤を用いた現像装置1とを示す概略構成図である。同図において、ドラム状の感光体49は、図示しない駆動手段によって図中時計回り方向に回転駆動される。そして、この感光体49の図中右側方には、現像剤担持体であるトナー担持ローラ2を有する現像装置1が配設されている。
【0018】
現像装置1は、トナー担持ローラ2の他、トナー供給ローラ18やトナー規制ブレード22を有している。表面がスポンジからなるトナー供給ローラ18は、図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されながら、現像装置1内の現像剤収容部7に収容されているトナーをトナー供給ローラ表面に担持する。同図では、トナー供給ローラ18の回転方向として、トナー担持ローラ2との対向部で表面をトナー担持ローラ2とは逆方向に移動させる方向に設定した例を示した。これとは逆に、前記対向部で表面をトナー担持ローラ2と同じ方向に移動させる方向に設定してもよい。
【0019】
トナー供給ローラ18の金属からなる回転軸部材には、バイアス電源24によって供給バイアスが印加される。一方、トナー担持ローラ2には、後述する内側電極(第一電極)や外側電極(第二電極)が複数形成されており、それら電極にはパルス電源25A,25Bによって繰り返しのパルス電圧(後述する内側電圧や外側電圧)が印加される。これらパルス電圧の平均値は、前述した供給バイアスよりも、トナーの帯電極性とは逆極性側に大きな値になっている。これにより、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ2との間には、トナーをトナー供給ローラ18からトナー担持ローラ2に静電移動させる電界が形成される。
【0020】
トナー供給ローラ18の表面に担持されたトナーは、トナー供給ローラ18とトナー担持ローラ2との対向部において、トナー供給ローラ18からトナー担持ローラ2に供給される。このときの供給量については、供給バイアスの大きさによって調整することが可能である。なお、供給バイアスは、直流電圧であっても、交流電圧であっても、直流電圧に交流電圧を重畳したバイアスであってもよい。
【0021】
トナー担持ローラ2の表面上に供給されたトナーは、後述する理由により、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、トナー担持ローラ2の図中反時計回り方向の回転に伴って周回移動する。トナー担持ローラ2の表面において、トナー供給ローラ18との対向部を通過してから、感光体49に対向する現像領域に進入する前の箇所には、片持ち支持されるトナー規制ブレード22が配設されている。トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら、ローラの回転に伴って全体的に図中反時計回り方向に移動するトナーは、トナー担持ローラ2とトナー規制ブレード22との間に進入すると、トナー規制ブレード22によりトナー担持ローラ2上のトナーが薄層化されトナー量が規制される。その後、トナー担持ローラ2の回転に伴ってトナー担持ローラ2とトナー規制ブレード22との間を抜けると、トナー担持ローラ2上のトナーは再びトナー担持ローラ表面上でホッピングしながら、現像領域へと搬送される。
【0022】
トナー担持ローラ2は、現像装置1のケーシング11に設けられた開口から外周面の一部を露出させている。この露出箇所は、感光体49に対して数十〜数百[μm]の間隙を介して対向している。このようにトナー担持ローラ2と感光体49とが対向している位置が、本複写機における現像領域となっている。トナー担持ローラ2の表面上でホッピングしながら現像領域まで搬送されたトナーは、トナー担持ローラ2と感光体49上の静電潜像との間の現像電界によって、感光体表面上の静電潜像部分に付着し、これにより現像が行われる。現像に寄与しなかったトナーは、ホッピングしながらトナー担持ローラ2の回転によってさらに搬送されて、図示しない回収手段によりトナー担持ローラ2から回収される。回収されたトナーは再び現像剤収容部7に戻され、繰り返し利用される。
【0023】
次に、本複写機におけるトナー担持ローラ2の具体的構成について説明する。
図3は、本複写機におけるトナー担持ローラ2を回転軸に対して直交する方向から見たときの模式図である。なお、説明の都合上、表層6や絶縁層5は図示していない。また、図4は、本複写機におけるトナー担持ローラ2を、その回転軸に対して直交する面に沿って切断したときの断面を模式的に表した部分断面図である。本複写機のトナー担持ローラ2は、中空状のローラ部材で構成されており、その最内周に位置する最内周電極部材又は内周側電極部材としての内側電極3と、最外周側に位置していて内側電極3へ印加される電圧(内側電圧)とは異なる電圧(外側電圧)が印加される最外周電極部材としての櫛歯状の外側電極4とを備えている。また、内側電極3と外側電極4との間にはこれらの間を絶縁するための絶縁層5が設けられている。また、外側電極4の外周面側を覆う保護層としての表層6も設けられている。すなわち、本複写機のトナー担持ローラ2は、内周側から順に、内側電極3、絶縁層5、外側電極4、表層6の4層構造となっている。
【0024】
内側電極3は、トナー担持ローラ2の基体としても機能しており、ステンレス鋼(SUS)やアルミニウム等の導電性材料を円筒状に成型した金属ローラである。このほか、内側電極3の構成としては、ポリアセタール(POM)やポリカーボネート(PC)等からなる樹脂ローラの表面にアルミニウムや銅などの金属層等からなる導電層を形成したものが挙げられる。この導電層の形成方法としては、金属メッキ、蒸着等により形成する方法や、ローラ表面に金属膜を接着する方法などが考えられる。
【0025】
内側電極3の外周面側は絶縁層5に覆われている。本複写機において、この絶縁層5は、ポリカーボネートやアルキッドメラミン等で形成されている。絶縁層5はスプレー法やディップ法等によって内側電極3上に均一な膜厚で形成することができる。
【0026】
絶縁層5の上には外側電極4が形成される。本複写機において、この外側電極4は、アルミニウム、銅、銀などの金属で形成されている。櫛歯状の外側電極4の形成方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、絶縁層5の上にメッキや蒸着によって金属膜を形成し、フォトレジスト・エッチングによって櫛歯状の電極を形成するという方法が挙げられる。また、インクジェット方式やスクリーン印刷によって導電ペーストを絶縁層5の上に付着させて櫛歯状の電極を形成するという方法も考えられる。
【0027】
外側電極4及び絶縁層5の外周面側は、表層6により覆われている。表層6の材料として、シリコーン、ナイロン(登録商標)、ウレタン、アルキッドメラミン、ポリカーボネート等が使用される。表層6は、絶縁層5と同様にスプレー法やディッピング法等によって形成することができる。
【0028】
本実施形態では、内側電極3と外側電極4との間で作られる電界、より詳しくは、内側電極3の外側電極4とは対向していない部分(外側電極4の櫛歯間に位置する内側電極3の部分)と外側電極4の櫛歯部分との間で作られる電界が、表層6の外側に形成されることで、トナー担持ローラ2上のトナーをホッピングさせ、これによりトナーをクラウド化させる。このとき、トナー担持ローラ2上のトナーは、内側電極3に絶縁層5を介して対向した表層部分と、これに隣接する外側電極4に対向した表層部分との間を、飛翔しながら往復移動するように、ホッピングすることになる。
【0029】
図5に内側電極3と外側電極4に印加する電圧を示す。図5において、電圧は矩形波であり、内側電極3と外側電極4に印加する電圧は位相がπだけずれている。この位相差によって、内側電極3と外側電極4間には常にVppだけの電位差が生じている。この電位差によって電極間に電界が発生し、この電界に応じてトナーが電極間をホッピングする。Vppは100[V]〜2000[V]である。Vppが100[V]より小さくなると、電極間の電界が小さくなってしまい、トナーがホッピングしなくなってしまう。またVppが2000[V]より大きくなると、経時で電極間でリークが発生する可能性がある。リークが発生するとそれ以降は電極間に電界が発生しなくなり、トナーがホッピングしなくなってしまう。本実施形態ではVppは500[V]としている。周波数fは0.1[kHz]から10[kHz]である。0.1[kHz]より小さくするとトナーのホッピングが現像速度に追いつかなくなってしまう。10[kHz]より大きくすると、トナーが電圧の切り替わりに追従できなくなってしまう。本実施形態では周波数は500[Hz]としている。電圧の中心値V0は画像部電位と非画像部電位の間で現像条件によって変動させている。
【0030】
図5では内側電極3と外側電極4とに印加する電圧は矩形波であるが、矩形波の場合、電圧の切り替わりが瞬時に起き、トナーのホッピングには適しているが、サイン波でも三角波でもよい。
【0031】
図6は、他の電圧印加方法である。内側電極3は図2と同様の矩形波が印加されているが、外側電極4には直流電圧が印加されている。この場合、電極間の電位差はVpp/2となる。よって、図3の場合は印加するVppの範囲は200[V]〜4000[V]となる。図3の電圧印加方法では内側電極3と外側電極4との位相差は考える必要はなく、電源コストが安くなる。また、図6とは逆の組み合わせが図7であり、図7のように内側電極3に直流電圧、外側電極4に矩形波を印加する印加方法でもよい。
【0032】
内側電極3と外側電極4への給電方式は、内側電極3はトナー担持ローラ2のローラ軸と一体化させ軸端部から電圧を印加し、トナー担持ローラ2の端部で外側電極4を表層で覆わずにむき出しにし、外側電極4と当接する導電部材を設け、その導電部材を通じて印加する方法が考えられる。他の方法としては、トナー担持ローラ2のローラ軸を左右で電気的に分割し、内側電極3と外側電極4とを、左右のどちらかのローラ軸と導通させ、トナー担持ローラのローラ軸の両端部からそれぞれ電圧を印加する方法が考えられる。
【0033】
ところで、トナー担持ローラ2上にトナー薄層を形成する現像装置1においては、トナーに均一な帯電を持たせるために、トナー担持ローラ表面のトナーの層厚は極力薄く、且つ、均一にする必要があり、トナー規制ブレード22による薄層規制のストレスや、現像装置1内での撹拌等の様々なストレスを受ける間に、外添剤のトナー母体への埋没が起こり、初期と経時とではトナーの帯電量が異なってくる。
【0034】
また、感光体49上に現像されるトナーにおいて粒径選択が起こり、現像剤収容部7に供給したトナーに比べ感光体49上に現像するトナーの粒子径が大幅に小さくなる。さらに、現像を繰り返すにつれて、より小粒径のトナーから消費されていくため、次第に現像剤収容部7及びトナー担持ローラ2上に保持されるトナーの粒径が増大してきて初期と経時とでは、トナーの粒径が異なってくる。それに伴ってトナーの帯電性も変化して、連続複写後に、画像上に地肌汚れ等が発生しやすい。
【0035】
また、外部からトナー補給が随時行われるタイプの現像装置を用いた場合には、トナーエンド時の残トナーの帯電量と補給トナーとの帯電量の違いにより、残トナーが弱帯電・逆帯電性を帯び、画像上に地肌汚れが発生してしまう。
【0036】
これに対し、現像装置内にトナー補給を行わず、トナーエンド毎にプロセスカートリッジを交換してしまう無補給タイプの現像装置では上述した問題は生じないが、このようなトナーエンド毎にプロセスカートリッジを交換するタイプの現像装置は、感光体、現像ローラ等の高価な部品を捨ててしまうことになり、地球環境保全の立場からは好ましくない。
【0037】
本構成例においては、図1に示すように、トナー供給ローラ18とトナー規制ブレード22との間に、バイアス電源26からのバイアス印加によりトナーの正規帯電極性(本構成例ではマイナス極性)と同極性の電荷をトナー担持ローラ2上に担持されたトナーに付与する電荷付与部材8を配置している。なお、電荷付与部材8は現像領域よりトナー担持ローラ回転方向(トナー担持ローラ上におけるトナー搬送方向)上流側、且つ、トナー供給部(トナー担持ローラ2とトナー供給ローラ18との対向部)よりトナー担持ローラ回転方向(トナー担持ローラ上におけるトナー搬送方向)下流側であればどこに配置してもかまわない。
【0038】
電荷付与部材8によってトナー担持ローラ2上のトナーに正規帯電極性と同極性の電荷が付与されることで、逆帯電性トナーや弱帯電性トナーが発生しないように十分にトナー担持ローラ2上のトナーが帯電せしめられる。これにより、例えば、正規帯電極性とは逆極性であるプラス極性に帯電した逆帯電性トナーが、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングし空中に舞い上がって、感光体49のマイナス極性を帯びている非画像部に付着して地肌汚れを引き起こしてしまうといった問題が生じるのを抑制することができる。
【0039】
本構成例では、電荷付与部材8のバイアス電圧を内側電極3と外側電極4とに印加する電圧の中心値V0と等しくするだけで、電荷付与部材8と内側電極3と外側電極4間にVppの半分の電位差が発生し、トナーに電荷付与が起きる。また、より大きな電荷付与を行いたい場合にも、電荷付与部材8のバイアス電圧の変化幅は、従来と比較して少なくてすむ。
【0040】
[構成例2]
本構成例においては、図8に示すトナー供給ローラ18が、トナー担持ローラ2上のトナーに正規帯電極性(本構成例ではマイナス極性)と同極性の電荷を付与する電荷付与部材を兼ねている。本構成例では導電性を有するウレタン製のスポンジローラをトナー供給ローラ18として用いているが、導電性を有しトナー担持ローラ2にトナーを供給する機能を持っていれば、上記の材料に限らず何でも良い。
【0041】
バイアス電源27によってトナー供給ローラ18にトナーの正規帯電極性と同極性のバイアスが印加されることで、トナー供給ローラ18によりトナー担持ローラ2上のトナーに正規帯電極性と同極性の電荷が付与される。
【0042】
本構成例のように、トナー供給ローラ18を前記電荷付与部材として兼用させることで、前記電荷付与部材を別個で設ける場合よりも、コスト削減や現像装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0043】
[構成例3]
本構成例においては、図9に示すトナー規制ブレード22が、トナー担持ローラ2上のトナーに正規帯電極性(本構成例ではマイナス極性)と同極性の電荷を付与する電荷付与部材を兼ねている。本構成例ではトナー規制ブレード22の材料として、アルミニウム、ステンレス鋼、リン青銅など導電性を有する様々な材料が挙げられるが、導電性を有しトナー担持ローラ2上のトナーを薄層化しトナー量を規制する機能を持っていれば、上記の材料に限らず何でも良い。
【0044】
バイアス電源28によってトナー規制ブレード22にトナーの正規帯電極性と同極性のバイアスが印加されることで、トナー規制ブレード22によりトナー担持ローラ2上のトナーに正規帯電極性と同極性の電荷が付与される。
【0045】
本構成例のように、トナー規制ブレード22を前記電荷付与部材として兼用させることで、前記電荷付与部材を別個で設ける場合よりも、コスト削減や現像装置1の小型化を図ることが可能となる。
【0046】
以上、本実施形態によれば、複数の電極が表面に沿って配設されたトナー担持体であるトナー担持ローラ2と、トナー担持体2の表面にトナーを供給するトナー供給手段であるトナー供給ローラ18と、前記複数の電極に周期的な電圧を印加することによって、トナー担持ローラ2の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界をトナー担持ローラ2の表面上に発生させるホッピング電界発生手段であるパルス電源25a,25Bと、を有し、トナー担持ローラ2の表面に担持されているトナーを潜像担持体である感光体49と対向する現像領域へ搬送して感光体上の潜像にトナーを付着させることによって前記潜像を現像する現像装置1において、トナー担持ローラ2の表面に担持されたトナーにトナーの正規帯電極性と同極性の電荷を付与する電荷付与手段を設ける。これにより、電荷付与手段によってトナー担持ローラ2の表面に担持されたトナーに、トナーの正規帯電極性と同極性の電荷が付与される。これにより、前記正規帯電極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーを前記正規帯電極性に帯電させることができる。よって、トナー担持ローラ2の表面上でホッピングした逆帯電トナーが感光体49上の前記潜像が形成されていない非画像部に付着して地肌汚れが引き起こされてしまうのを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、トナー供給ローラ18は導電性を有し、トナー供給ローラ18にバイアスを印加するバイアス印加手段であるバイアス電源27が設けられており、トナー供給ローラ18が上記電荷付与手段を兼ねることで、前記電荷付与手段を別個で設ける場合よりも、コスト削減や現像装置1の小型化を図ることが可能となる。
また、本実施形態によれば、トナー担持ローラ2上のトナー量を規制する導電性を有したトナー規制部材であるトナー規制ブレード22と、トナー規制ブレード22にバイアスを印加するバイアス印加手段であるバイアス電源28とが設けられており、トナー規制ブレード22が上記電荷付与手段を兼ねることで、前記電荷付与手段を別個で設ける場合よりも、コスト削減や現像装置1の小型化を図ることが可能となる。
また、本実施形態によれば、潜像を担持する潜像担持体である感光体49と、感光体49上の潜像を現像する現像手段とを有する複写機などの画像形成装置において、前記現像手段として、本発明の現像装置1を用いることで、上述したように地肌汚れが生じるのを抑制でき良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態によれば、少なくとも、潜像を担持する潜像担持体である感光体49と、感光体49に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジにおいて、前記現像手段として、本発明の現像装置1を用いることで上述したように地肌汚れが生じるのを抑制でき良好な画像形成を行うことができる。
また、本実施形態によれば、少なくとも、潜像を担持する潜像担持体である感光体49と、感光体49に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、前記プロセスカートリッジとして、本発明の現像装置1を有するプロセスカートリッジを用いることで、地肌汚れが生じるのを抑制でき良好な画像形成を行うことができ、また、現像装置1などのメンテナンス性を向上させることができる。また、上記プロセスカートリッジを複数設けるとともに、それぞれのプロセスカートリッジの感光体に形成されたトナー像を転写体に重ね合わせて転写する転写手段を設けた画像形成装置にも適用することができ、地肌汚れが生じるのを抑制でき良好な画像形成を行うことができる。
【符号の説明】
【0047】
1 現像装置
2 トナー担持ローラ
3 内側電極
4 外側電極
5 絶縁層
6 表層
7 現像剤収容部
8 電荷付与部材
11 ケーシング
18 トナー供給ローラ
22 トナー規制ブレード
24 バイアス電源
25A パルス電源
25B パルス電源
26 バイアス電源
27 バイアス電源
28 バイアス電源
44 除電ランプ
45 クリーニング装置
49 感光体
50 帯電装置
60 転写チャージャー
61 分離チャージャー
70 給紙部
70a 給紙コロ
71 給紙部
71a 給紙コロ
75 搬送ベルト
76 定着装置
76a 定着ローラ
76b 加圧ローラ
77 排紙トレイ
80 ミラー
90 コンタクトガラス
91 原稿照明光源
92 ミラー
93 走査光学系
94 ミラー
95 ミラー
96 走査光学系
97 レンズ
98 素子
99 ポリゴンミラー
【先行技術文献】
【特許文献】
【0048】
【特許文献1】特開2007−133388号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電極が表面に沿って配設されたトナー担持体と、
該トナー担持体の表面にトナーを供給するトナー供給手段と、
該複数の電極に周期的な電圧を印加することによって、該トナー担持体の表面に担持されているトナーをホッピングさせる電界を該トナー担持体の表面上に発生させるホッピング電界発生手段と、を有し、
該トナー担持体の表面に担持されているトナーを潜像担持体と対向する現像領域へ搬送して該潜像担持体上の潜像にトナーを付着させることによって該潜像を現像する現像装置において、
前記トナー担持体の表面に担持されたトナーにトナーの正規帯電極性と同極性の電荷を付与する電荷付与手段を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1の現像装置において、
上記トナー供給手段は導電性を有し、
前記トナー供給手段にバイアスを印加するバイアス印加手段が設けられており、
前記トナー供給手段が上記電荷付与手段を兼ねることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1の現像装置において、
上記トナー担持体上のトナー量を規制する導電性を有したトナー規制部材と、
前記トナー規制部材にバイアスを印加するバイアス印加手段とが設けられており、
前記トナー規制部材が上記電荷付与手段を兼ねることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
潜像を担持する潜像担持体と、
該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段とを有する画像形成装置において、
前記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
少なくとも、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジにおいて、
前記現像手段として、請求項1、2または3の現像装置を用いることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
少なくとも、潜像を担持する潜像担持体と、該潜像担持体に担持される潜像をトナーによって現像する現像手段とを、1つのユニットとして共通の保持体に保持させて画像形成装置本体に対して一体的に着脱可能にしたプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、
前記プロセスカートリッジとして、請求項5のプロセスカートリッジを用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項6の画像形成装置において、
上記プロセスカートリッジを複数設けるとともに、それぞれのプロセスカートリッジの上記潜像担持体上に形成されたトナー像を転写体に重ね合わせて転写する転写手段を設けたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−48212(P2011−48212A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−197603(P2009−197603)
【出願日】平成21年8月28日(2009.8.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】