説明

現像装置およびそれを備えた画像形成装置

【課題】 気圧変化の影響が少なく、かつトナー飛散による周辺領域の汚染が防止された状態で、トナーによる像担持体上の静電潜像に対する現像効率が向上するとともに、長期間にわたって均一で高品位なトナー像を像担持体上に形成することができる現像装置を提供する。
【解決手段】 現像装置5は、トナー搬送部材15にて形成される進行波電界によりベルト部材16上でトナーを搬送し、ベルト部材16の表面上の現像領域Yにおいて、感光体ドラム2上の静電潜像にトナーを供給して現像する。このとき、振動電源102から電極部材100に電圧が印加されると、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gには振動電界が形成され、この振動電界によって振動ローラ101が振動して、振動ローラ101と接触して設けられるベルト部材16が振動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成される静電潜像を、トナーを用いて現像する現像装置、および該現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、レーザプリンタ等の電子写真プロセスを用いる画像形成装置に用いられる現像装置として、感光体ドラムなどの像担持体に、現像スリーブなどの現像剤担持体を接触させずに現像を行う方式の現像装置が注目されている。このような現像装置として、たとえば、パウダークラウド方式、ジャンピング現像方式、あるいは進行波電界を用いる方式の現像装置が提案されている。
【0003】
特許文献1,2には、進行波電界を用いる方式の現像装置が開示されている。特許文献1,2に開示される現像装置は、いずれも、互いに位相の異なった交番電圧を発生する電源と、板状の現像剤搬送部材上に所定間隔にて配列されている複数の電極とを備え、各電極に交番電圧を印加して形成される進行波電界により現像剤を搬送して、感光体ドラムに供給するものである。
【0004】
しかしながら、特許文献1,2に開示される現像装置においては、現像剤搬送部材が帯電したり、現像剤搬送部材上に現像剤が固着する場合がある。現像剤搬送部材が帯電した場合、進行波電界が乱されて現像剤の搬送状態に悪影響を与えたり、感光体ドラムへの現像剤の供給過程において現像電界が変化し、現像される画像濃度が変化することがある。また、現像剤搬送部材上に現像剤が固着した場合、現像剤の搬送むらが生じ、現像される画像に濃度むらが発生することがある。
【0005】
このような問題を解決するために、特許文献3,4には、感光体ドラムを臨んで配置される現像剤搬送部材を覆うように設けられた無端状のベルト部材と、該ベルト部材の内周面に接触するように配置された駆動ローラとを備え、駆動ローラを回転してベルト部材を回転させることにより、現像剤搬送部材における現像剤を搬送する面の除電や、残留現像剤の除去を行う現像装置が開示されている。特許文献3,4に開示される現像装置によれば、現像剤搬送部材の帯電や、濃度むらによる画像品位の劣化を抑えることが可能である。
【0006】
ところで、現像装置においては、現像剤であるトナーによる、感光体ドラム上の静電潜像に対する現像効率が高いものが望まれる。特許文献3,4に開示される現像装置において、現像効率を高めるためには、ベルト部材と感光体ドラムとの間の電界力が強くなるようにすればよい。しかしながら、ベルト部材と感光体ドラムとの間の電界力が強くなり過ぎると、感光体ドラムに対するトナーの付着量が多くなり過ぎて、地肌かぶりなどの弊害が生じる。
【0007】
特許文献5には、感光体ドラム上の静電潜像に対してトナーを供給するトナー供給ベルトの内周面に、圧電セラミック振動素子などの振動素子を接触させて配置する構成が開示されている。特許文献5に開示される構成によれば、振動素子による振動の衝撃力をトナー供給ベルトに加え、トナー供給ベルト上からトナーを離脱させてトナークラウドを形成して感光体ドラム上の静電潜像を現像するので、現像効率が高い状態で現像することができる。
【0008】
また、特許文献6には、感光体ドラム上の静電潜像に対してトナーを供給するトナー供給ベルトの内側に、音響振動する圧電素子を配置する構成が開示されている。特許文献6に開示される構成によれば、トナー供給ベルトを音響振動させ、トナー供給ベルトに対するトナーの付着力を低下させるとともに、トナーをトナー供給ベルト表面から浮遊させて感光体ドラム上の静電潜像を現像するので、現像効率が高い状態で現像することができる。
【0009】
【特許文献1】特開昭59−181371号公報
【特許文献2】特開昭59−189371号公報
【特許文献3】特開2002−91160号公報
【特許文献4】特開2003−15416号公報
【特許文献5】特開平1−204082号公報
【特許文献6】特開平2−139585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献5に開示される構成では、接触して配置される振動素子の振動による衝撃力が、トナー供給ベルトに繰り返して加えられるので、長期間の使用により、振動素子とトナー供給ベルトとの接触部で、トナー供給ベルトの劣化(摩耗、伸び、亀裂の発生など)が発生する。さらに、振動素子の振動による衝撃力によってクラウド化されたトナーは、飛散し易く、周辺領域を汚染する場合がある。
【0011】
また、特許文献6に開示される構成では、トナー供給ベルトを音響振動させ、トナー供給ベルトに対するトナーの付着力を低下させるようになっているが、該音響振動は、気圧変化の影響を大きく受ける。たとえば、高地と低地のような、気圧が異なる環境下で現像装置が使用された場合、音響振動特性が変化するので、トナー供給ベルトに対するトナーの付着力を低下させる効果が変化するとともに、トナーをトナー供給ベルト表面から浮遊させる効果も変化し、現像効率を高い状態で維持することができなくなる。
【0012】
したがって本発明の目的は、気圧変化の影響が少なく、かつトナー飛散による周辺領域の汚染が防止された状態で、トナーによる像担持体上の静電潜像に対する現像効率が向上するとともに、長期間にわたって均一で高品位なトナー像を像担持体上に形成することができる現像装置および画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、像担持体が担持する静電潜像を、現像剤であるトナーを用いて現像する現像装置であって、
前記像担持体を臨んで回転可能に設けられて、現像領域において前記像担持体上の静電潜像にトナーを供給する無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材の内周面に接触して、前記ベルト部材を介して前記像担持体に対向するように設けられ、一定の進行方向を持った進行波状に電位分布が変化する電界である進行波電界を形成し、前記ベルト部材上のトナーを前記現像領域に向けて移動させながら搬送するトナー搬送部材と、
中空円筒状に形成されて、前記ベルト部材の内周面に接触するように設けられ、前記ベルト部材の回転と同方向かつ同速度で回転する振動ローラと、
前記振動ローラに対して所定の間隙を有して対向する電極部材と、
前記電極部材に、所定の周波数を有する電圧を印加する振動電源とを含み、
前記トナー搬送部材にて形成される前記進行波電界によって、前記ベルト部材上を搬送されるトナーが、前記現像領域において前記像担持体上の静電潜像に供給されるとき、前記振動電源が前記電極部材に電圧を印加して、前記振動ローラを介して前記ベルト部材を振動させることを特徴とする現像装置である。
【0014】
また本発明は、前記振動ローラは、前記現像領域よりも前記ベルト部材の回転方向上流側において、前記ベルト部材の内周面に接触するように設けられることを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記電極部材の前記振動ローラに対向する部分に、絶縁材料からなるコート層を設けることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記電極部材の前記振動ローラに対する対向方向への曲げ剛性が、前記振動ローラの円筒面の半径方向の曲げ剛性よりも高いことを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記振動電源は、前記振動ローラの円筒面の固有振動数の整数倍となる周波数を有する電圧である固有振動電圧を、前記電極部材に印加することを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記振動電源が前記電極部材に印加する電圧の周波数は、20kHz以上であることを特徴とする。
【0019】
また本発明は、静電潜像を担持する像担持体と、像担持体が担持する静電潜像に現像剤であるトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、像担持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体上に定着させる定着装置とを含む画像形成装置であって、
前記現像装置が、前記現像装置であることを特徴とする画像形成装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、トナー搬送部材にて形成される進行波電界によって、ベルト部材上でトナーを搬送し、ベルト部材の表面上に対応する現像領域において、像担持体上の静電潜像にトナーを供給して現像する現像装置である。そして、トナーが像担持体上の静電潜像に供給されるとき、振動電源が電極部材に電圧を印加する。電極部材に電圧が印加されると、電極部材と振動ローラとの間隙には振動電界が形成され、この振動電界によって振動ローラが振動して、振動ローラと接触して設けられるベルト部材が振動する。このように、ベルト部材が振動すると、ベルト部材上で搬送されるトナーが振動することになる。
【0021】
振動するトナーには、振動の運動状態を維持しようとする慣性力が働き、そのため、トナーのベルト部材に対する付着力が低下する。これによって、トナーがベルト部材の表面から離れ易く、かつトナー搬送部材にて形成される進行波電界によりベルト部材の表面から浮遊され易くなる。したがって、ベルト部材上のトナーは、現像領域において、ベルト部材表面から像担持体に向けて飛翔しやすくなり、トナーによる像担持体上の静電潜像に対する現像効率が向上するとともに、静電潜像が忠実に現像された均一で高品位なトナー像を像担持体上に形成することができる。また、トナーのベルト部材に対する付着力が低下されることによって、ベルト部材の表面から飛翔せずにベルト部材上に残留するトナーを少なくすることができ、現像時におけるトナーの必要量を低減することができる。
【0022】
また、従来技術では、圧電セラミック振動素子などの振動素子をベルト部材に接触させて振動させているために、長期間の使用により、振動素子とベルト部材との接触部でベルト部材の劣化(摩耗、伸び、亀裂の発生など)が発生するが、本発明の現像装置では、電極部材と振動ローラとの間隙に発生する振動電界によってベルト部材を非接触で振動させるように構成されているので、電極部材、振動ローラおよびベルト部材のそれぞれにおいて、長期間にわたって振動に起因する摩耗などの劣化が発生することはない。また、振動ローラは、ベルト部材と同方向かつ同速度で回転するように設けられているので、ベルト部材と振動ローラとの間における摩耗などの劣化も発生することはない。このように、電極部材、振動ローラおよびベルト部材のそれぞれにおいて摩耗などの劣化が防止されるので、長期間にわたって、静電潜像が忠実に現像された均一で高品位なトナー像を像担持体上に形成することができる。
【0023】
また、本発明の現像装置では、電極部材と振動ローラとの間隙に発生する振動電界によってベルト部材を非接触で振動させて、トナーのベルト部材に対する付着力を低減するように構成されているので、トナーに付与される振動力は、トナーがクラウド化するほど大きな力ではない。したがって、ベルト部材上のトナーが飛散して周辺領域を汚染するのを防止することができる。さらに、本発明の現像装置では、電極部材と振動ローラとの間隙に形成される振動電界によってベルト部材上のトナーを振動させるようになっているので、従来技術のベルト部材を音響振動させる構成に比べれば、気圧変化の影響を少なくすることができる。
【0024】
また本発明によれば、振動ローラは、現像領域よりもベルト部材の回転方向上流側において、ベルト部材の内周面に接触するように設けられる。これによって、現像領域よりも回転方向上流側においてベルト部材上を搬送されるトナーに対して、効率的に振動を付与することができる。そのため、現像領域に到達する前のトナーに対して、ベルト部材との付着力を効率的に低下させることができる。
【0025】
また本発明によれば、電極部材の振動ローラに対向する部分に、絶縁材料からなるコート層を設ける。このように、絶縁材料からなるコート層が電極部材の表面に設けられることによって、振動ローラに対向する部分が導電体で構成されている場合に比べて、電極部材に高い電圧を印加しても、気中放電の発生を防止することができる。そのため、高い電圧を電極部材に印加して、振動ローラと電極部材との間隙に大きな振動電界を発生させることができる。また、絶縁材料からなるコート層は比誘電率が高いので、振動ローラと電極部材との間隙に、さらに大きな振動電界を発生させることができる。
【0026】
また本発明によれば、電極部材の振動ローラに対する対向方向への曲げ剛性が、振動ローラの円筒面の半径方向の曲げ剛性よりも高くなるように構成されている。これによって、電極部材と振動ローラとの間隙に生じる振動電界による引力が作用したときに、電極部材の撓みを抑制しながら振動ローラを振動させることができる。また、電極部材が撓む場合には、この撓みによって電極部材と振動ローラとの間隙幅が小さくなり、気中放電が発生しやすくなる。電極部材の曲げ剛性を高めて電極部材の撓みを抑制することによって、高い電圧を電極部材に印加しても、電極部材と振動ローラとの間隙幅が小さくなり過ぎるのを防止して、振動ローラを大きく振動させて、ベルト部材に大きな振動を付与することができる。
【0027】
また本発明によれば、振動電源は、振動ローラの円筒面の固有振動数の整数倍となる周波数を有する電圧である固有振動電圧を、電極部材に印加する。これによって、振動ローラの円筒面を共振させることができる。そのため、振動ローラの振動振幅が大きくなり、ベルト部材上のトナーを大きく振動させることができる。したがって、トナーに働く慣性力が大きくなって、ベルト部材に対するトナーの付着力を低下させることができる。
【0028】
また本発明によれば、振動電源が電極部材に印加する電圧の周波数は、20kHz以上である。電極部材と振動ローラとの間隙に発生する振動電界によって振動ローラが振動するときに、振動ローラが振動することにより生じる空気振動が、人間の可聴周波数以上となり、動作時の不快感を防止することができる。
【0029】
また本発明によれば、画像形成装置は、像担持体上の静電潜像に対する現像効率が向上するとともに、静電潜像が忠実に現像された均一で高品位なトナー像を像担持体上に形成可能な前記現像装置を備えているので、均一で高品位なトナー像に基づいて、均一で高品位な画像を記録媒体に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
図1は、本発明の実施の一形態である画像形成装置1の要部の構成を示す図である。画像形成装置1は、複写機、レーザプリンタ等の電子写真プロセスを用いる画像形成装置である。画像形成装置1は、ネットワークを介して接続されたPC(Personal Computer)等の各種端末装置から送信される画像データや、スキャナ等の原稿読み取り装置によって読み取られた画像データに基づいて、記録媒体Pに対して、カラー画像またはモノクロ画像を形成するプリンタ機能を有するものである。
【0031】
画像形成装置1は、像担持体である感光体ドラム2と、帯電装置3と、露光装置4と、現像装置5と、転写装置6と、クリーニング装置7と、除電装置8と、定着装置9とを含んで構成される。なお、帯電装置3、露光装置4、現像装置5、転写装置6、クリーニング装置7および除電装置8は、感光体ドラム2の回転方向Aまわりに、この順序で配置されている。
【0032】
感光体ドラム2は、所定の回転方向Aに回転可能な略円筒のドラム形状を呈し、露光装置4により形成される静電潜像を担持するものである。そして、感光体ドラム2の外周面には基材層10が形成されており、基材層10のさらに外周面には薄膜状の光導電層11が形成されている。また、基材層10はアルミニウムなどの金属から成り、光導電層11はアモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)、有機光半導体(Organic
Photoconductor、略称OPC)などから成る。
【0033】
帯電装置3は、感光体ドラム2の表面を所定の電位に均一に帯電するためのものであり、感光体ドラム2の外周面に近接して配置されている。帯電装置3としては、たとえば、タングステンワイヤなどの帯電線と、金属製のシールド板と、グリッド板とを備えているコロナ帯電器や、帯電ローラや、帯電ブラシを用いることができる。露光装置4は、たとえば、ホストコンピュータから出力された画像データに基づいて、帯電装置3によって帯電された感光体ドラム2の表面にレーザ光などを照射して露光することにより、感光体ドラム2表面における露光部の電位を低下させ、当該表面に画像データに応じた静電潜像を書き込み形成する機能を有する。露光装置4としては、たとえば、半導体レーザや、発光ダイオードを用いることができる。
【0034】
現像装置5は、本発明の特徴部分であり、詳細は後述するが、トナーTとキャリアとを含む二成分現像剤を用いて、露光装置4にて感光体ドラム2の表面に形成された静電潜像を当該トナーTにて反転現像してトナー像を形成する。なお、現像剤としては、二成分現像剤に限定されるものではなく、一成分現像剤を用いることもできる。ここで、トナーTは、公知のものを挙げることができ、結着樹脂と、着色剤と、必要に応じて離型剤、帯電制御剤などの添加剤とを含有したものである。また、トナーTには、シリカ、酸化チタン、アルミナなどの無機微粒子から成る外添剤が外添されていてもよい。また、キャリアは、公知のものを挙げることができ、たとえば、フェライト系粒子などの磁性体粒子から成るコア粒子表面に、アクリル樹脂やシリコーン樹脂などの樹脂材料から成る被覆材が被覆されたものである。
【0035】
転写装置6は、感光体ドラム2の表面に可視像化されたトナー像を、PPC(Plain
Paper Copy)用紙などの記録媒体Pに転写するものである。転写装置6としては、たとえば、コロナ転写器や、転写ローラや、転写ブラシを用いることができる。クリーニング装置7は、転写装置6による記録媒体Pへのトナー像転写後に、感光体ドラム2の表面に残留するトナーTや紙粉などを除去するものである。クリーニング装置7としては、たとえば、黄銅板から成るブレードを用いることができる。除電装置8は、転写装置6による記録媒体Pへのトナー像転写後に、感光体ドラム2の表面に残留する電位を除去するものである。除電装置8としては、たとえば、除電ランプを用いることができる。定着装置9は、記録媒体Pに転写されたトナー像を構成するトナーを加熱して溶融させ、記録媒体Pに定着させる。
【0036】
以上のように構成された画像形成装置1は、帯電装置3による帯電工程と、露光装置4による露光工程と、現像装置5による現像工程と、転写装置6による転写工程とを経るいわゆる電子写真プロセスにより、記録媒体P上に所望の画像を形成する。
【0037】
次に、本発明の現像装置5について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、本発明の実施の一形態である現像装置5の構成を示す図である。現像装置5は、筐体12と、ミキシングパドル13と、トナー供給ローラ14と、トナー搬送部材15と、ベルト部材16と、トナー回収ローラ17と、ベルト駆動ローラ18と、駆動補助ローラ19と、振動ローラ101と、電極部材100とを備えている。
【0038】
現像装置5は、トナー搬送部材15にて形成される進行波電界(電位分布が一定の進行方向をもった進行波状に時間的に変化する電界)を用いて、トナーTをベルト部材16上において搬送し、感光体ドラム2の表面に形成される静電潜像にトナーTを供給して現像する。本実施の形態では、トナー搬送部材15と感光体ドラム2との間には一定の間隙が設けられており、現像装置5は、非接触状態で感光体ドラム2上の静電潜像を現像する構成となっている。なお、感光体ドラム2上の静電潜像を現像するための構成はこの構成に限定されるものではなく、トナー搬送部材15と感光体ドラム2とを接触させて現像を行う構成であってもよい。
【0039】
筐体12は、たとえば硬質の合成樹脂などから成り、トナーTおよびキャリアをその内部に収容する容器部材であり、また、必要に応じて現像装置5を構成する各部材を支持するものである。筐体12は、感光体ドラム2の軸線方向の長さにほぼ対応して感光体ドラム2を臨むように開口する開口部を有する。ミキシングパドル13は、筐体12の内部において回転し、トナーTとキャリアとを撹拌して混合する。
【0040】
トナー供給ローラ14は、筐体12の開口部においてベルト部材16の表面に接触し、かつ回転可能に設けられており、筐体12内に収容されるトナーTを、接触部分においてベルト部材16の表面に供給する。トナー供給ローラ14は、たとえばシリコン、ウレタン、EPDM(Ethylene Propylene Diene Methylene:エチレン−プロピレン−ジエン−メチレン共重合体)であるソリッドゴム、あるいは発泡ゴムにより形成される。
【0041】
また、トナー供給ローラ14は、その表面にカーボンブラックやイオン導電剤が添加されて、導電性が付与されるように構成されてもよい。これによって、トナーTを静電吸着してベルト部材16の表面に供給することができる。あるいは、トナー供給ローラ14の前段(トナー供給ローラ14において、ベルト部材16との接触部分とは反対側の領域部分)に、トナー供給ローラ14と同一の材料で形成される薄板状の供給ブレード20を設け、該供給ブレード20により静電吸着されたトナーTを、ベルト部材16の表面に供給するようにすることも可能である。
【0042】
なお、トナー供給ローラ14は、ベルト部材16と接触しないように設けられてもよいし、回動しないように設けられていてもよい。
【0043】
トナー搬送部材15は、筐体12の開口部において支持部材23を介して筐体12に設けられる板状部材であり、感光体ドラム2の軸線方向の長さにほぼ対応して感光体ドラム2を臨むように配置されている。そして、トナー搬送部材15は、感光体ドラム2に臨む表面が、後述するベルト部材16の内側に接触して覆われている。つまり、トナー搬送部材15は、ベルト部材16を介して感光体ドラム2に対向するように設けられている。支持部材23は、トナー搬送部材15がベルト部材16を介して感光体ドラム2に対向した状態となるように保持するものであり、ABS(Acrylonitrile-Butadiene-Styrene:アクリロニトリルブダジエンスチレン)樹脂などにより形成することができる。また、トナー搬送部材15の感光体ドラム2に臨む表面は、感光体ドラム2に向かって膨らむような曲面に形成されている。なお、トナー搬送部材15の感光体ドラム2に臨む表面の形状は、前記のような曲面に限定されるものではなく、半円弧状の断面を有する曲面であってもよいし、フラットな平面であってもよい。
【0044】
そして、トナー搬送部材15は、トナー供給ローラ14によってベルト部材16の表面に供給されたトナーTを、トナー供給ローラ14よりもベルト部材16の回転方向Bの下流側に位置する現像領域Yに向けて、ベルト部材16上を移動させながら搬送するための進行波電界を形成する部材であり、多相交流電源21と、現像バイアス電源22とに接続されている。ここで、現像領域Yは、ベルト部材16の表面における、感光体ドラム2の表面と最近接する領域部分であり、この現像領域Yに搬送されたトナーTが感光体ドラム2に供給されることになる。
【0045】
図3は、トナー搬送部材15の構成を概略的に示す図である。また、図4は、トナー搬送部材15が有する電極27に印加される交番電圧の電圧波形の一例を示す図である。トナー搬送部材15は、図3に示すように、3つの層から成る積層体である。すなわち、トナー搬送部材15は、感光体ドラム2に臨む側に形成される表面保護層24と、筐体12の内部側に形成される基材層25と、表面保護層24と基材層25との間に形成される絶縁層26とを備えている。本実施の形態では、表面保護層24と、基材層25とは、いずれも、ポリイミドから成り、厚みが25μm程度に設定されている。
【0046】
また、絶縁層26の内部には、複数の電極27が、互いに隣接する電極27同士の間隔tが一定となるように埋設されている。隣接する電極27同士の間隔tは、たとえば、85μm〜500μm(50dpi〜300dpi)の範囲に設定される。また、電極27の幅Wは、隣接する電極27同士の間隔tの値に応じて、たとえば、40μm〜250μmの範囲に設定される。
【0047】
また、電極27は、厚みが18μm程度である銅製の電極を用いることができる。さらに、電極27は、多相交流電源21と、現像バイアス電源22とに接続されている。なお、ここで用いられている多相交流電源21は、4相の交番電圧を発生するものである。一方、連続する4つの電極27を1組としてみた場合、各組における4つの電極27には、それぞれ多相交流電源21から4つの位相の異なる交番電圧が印加されている。すなわち、図4に示すように、連続する4つの電極27を、電極27a、27b、27c、27dとして表現した場合、電極27a〜27dには、互いに90°位相がシフトした異なる電圧波形を有する交番電圧がそれぞれ印加されている。なお、多相交流電源21は、3相の交番電圧を発生するものであってもよい。この場合、連続する3つの電極27に、互いに120°位相がシフトした異なる交番電圧をそれぞれ印加することにより、進行波電界を形成することも可能である。
【0048】
また、多相交流電源21が発生する交番電圧の電圧波形は、図4に示すような方形波に限られず、正弦波、あるいは台形波であってもよい。また、交番電圧の電圧値は、100V〜3kVの範囲であることが好ましい。また、交番電圧の周波数は、100Hz〜5kHzの範囲であることが好ましい。なお、これらの電圧値と周波数とは、電極27の形状、トナーTの搬送速度、トナーTの種類などを考慮して適正な値に設定すればよく、前記した範囲の数値に限定されるものではない。
【0049】
このようにして、トナー搬送部材15に埋設された複数の電極27に多相交流電源21で発生する交番電圧を印加することにより、電位分布が一定の進行方向をもった進行波状に時間的に変化する電界、すなわち進行波電界が形成されるのである。このように形成された進行波電界により、トナー搬送部材15は、トナーTをベルト部材16表面において現像領域Yに向けて搬送することができる。
【0050】
そして、トナー搬送部材15にて形成される進行波電界によりベルト部材16上の現像領域Yに搬送されたトナーTは、現像バイアス電源22による現像バイアスの静電気力によって、ベルト部材16の表面から感光体ドラム2の表面に向けて飛翔し、これによって、感光体ドラム2上の静電潜像が現像される。
【0051】
ベルト部材16は、筐体12の開口部に設けられるトナー搬送部材15の感光体ドラム2に臨む表面を覆うように設けられる無端状ベルト部材である。そして、ベルト部材16は、トナー搬送部材15に接触する内側とは反対側の表面において、トナー供給ローラ14により供給されたトナーTが、トナー搬送部材15にて形成される進行波電界によって搬送される媒介部材となる。また、ベルト部材16は、トナー搬送部材15の帯電を防止するとともに、トナー搬送部材15にトナーTが固着するのを防止する役割も担う。
【0052】
ベルト部材16は、ポリイミド、PET(polyethylene terephthalate:ポリエチレンテレフタレート)、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロピレン、PTFE(
polytetrafluoroethylene:ポリテトラフルオロエチレン)などの有機絶縁材料、あるいはシリコン、イソプレン、ブタジエンなどのゴム材料を用いることができる。また、ベルト部材16の厚みは、5μm〜200μmの範囲、好ましくは、10μm〜100μmの範囲に設定される。また、ベルト部材16の体積抵抗率は、1×10Ω・cm〜1×1016Ω・cmの範囲に設定されるのが好ましい。
【0053】
また、ベルト部材16は、トナー搬送部材15と密着するように、ベルト駆動ローラ18により一定の張力が付与されている。これによって、ベルト部材16の表面には、トナー搬送部材15にて形成される進行波電界が均一に作用する。そして、ベルト部材16は、回転駆動するベルト駆動ローラ18の回転に伴って、感光体ドラム2の回転方向Aとは逆の回転方向Bに回転するようになっている。
【0054】
ベルト駆動ローラ18は、図示しない駆動機構によって所定の周速度で回転駆動されるとともに、ベルト部材16の内周面に接触して設けられてベルト部材16を懸架し、ベルト部材16を従動回転させるローラ部材である。また、ベルト駆動ローラ18は、ベルト部材16の除電や、現像領域Yにおける感光体ドラム2に対する現像後にベルト部材16上に残留したトナーTを除去する役割も担う。
【0055】
また、ベルト駆動ローラ18の周速度は、トナー搬送部材15にて形成される進行波電界による、ベルト部材16上におけるトナーTの搬送速度に対して、1/10〜1/100程度の速度にてベルト部材16が従動回転するように設定されるのが好ましい。なお、ベルト部材16上におけるトナーTの搬送速度は、たとえば、赤外線センサを2つ設け、各センサによりトナーTの到達した時間を検知する方法、あるいは、高速度ビデオカメラを用いて計測することが可能である(IS & Ts NIP 15:1999 International Conference
on DigitalPrinting Technologies、第262〜265頁参照)。
【0056】
さらに、ベルト駆動ローラ18は、ステンレス鋼(SUS)や鉄などから成る金属製のローラを用いることができる。さらに、ベルト駆動ローラ18の表面は、たとえばシリコン、ウレタン、EPDMであるソリッドゴム、発泡ゴム、フィルム、あるいはスポンジなどの弾性部材で被覆されている。さらに、ベルト駆動ローラ18は、その表面を被覆する前記弾性部材にカーボンブラックやイオン導電剤が添加されて、導電性が付与されるように構成されてもよい。また、ベルト駆動ローラ18は、板状や、角柱状のものであってもよい。
【0057】
駆動補助ローラ19は、ベルト駆動ローラ18がより効率的にベルト部材16を回転させることができるようにするものであり、ベルト部材16を介してベルト駆動ローラ18に当接するように設けられている。すなわち、ベルト部材16は、ベルト駆動ローラ18と駆動補助ローラ19との間に挟持されており、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との接触圧が高められている。前記接触圧を高めるために、板ばね部材、コイル状ばね部材などの、ベルト部材16をベルト駆動ローラ18に向かって付勢する付勢手段を備えるように構成することも可能である。
【0058】
また、駆動補助ローラ19は、筐体12に対して回転可能に設けられている。駆動補助ローラ19の回転は、ベルト部材16の回転に従動して行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とギヤ(図示せず)により連結されて行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とプーリー(図示せず)およびベルト(図示せず)により連結されて行われるものであっても、ベルト駆動ローラ18とは別の駆動源により行われるものであってもよい。
【0059】
また、駆動補助ローラ19は、ベルト駆動ローラ18の周速度と異なる周速度にて回転されている。好ましくは、駆動補助ローラ19の周速度は、ベルト駆動ローラ18の周速度より大きい値に設定されている。なお、駆動補助ローラ19は、ベルト駆動ローラ18と同様に、板状や、角柱状のものであってもよい。また、駆動補助ローラ19は、ステンレス鋼(SUS)や鉄などから成る金属製のローラを用いることができる。さらに、駆動補助ローラ19の表面は、ゴム、フィルム、スポンジなどの弾性部材で被覆されている。さらに、駆動補助ローラ19は、その表面を被覆する前記弾性部材にカーボンブラックやイオン導電剤が添加されて、導電性が付与されるように構成されてもよい。なお、駆動補助ローラ19の表面は、ベルト駆動ローラ18の表面よりも柔らかい部材で被覆されていることが好ましい。さらに、ベルト部材16とベルト駆動ローラ18との摩擦係数をμ1、ベルト部材16と駆動補助ローラ19との摩擦係数をμ2とした場合、μ1とμ2とは、μ1>μ2を満たすように設定されている。
【0060】
トナー回収ローラ17は、感光体ドラム2に形成された静電潜像の現像に寄与しないトナーTを回収して、筐体12の内部に戻すためのものであり、ベルト部材16の回転方向Bの下流側においてベルト部材16に接触し、かつ回動可能に設けられている。トナー回収ローラ17を構成する材料としては、前述したトナー供給ローラ14と同様のものを用いることができる。なお、トナー回収ローラ17は、ベルト部材16と接触しないように設けられてもよいし、回動しないように設けられていてもよい。
【0061】
現像装置5によれば、筐体12の内部でミキシングパドル13により撹拌されたトナーTを、トナー供給ローラ14によりベルト部材16に供給する。そして、ベルト部材16上に供給されたトナーTは、トナー搬送部材15にて形成される進行波電界によりベルト部材16上を現像領域Yに向けて搬送される。このようにして、現像領域Yに搬送されたトナーTは、現像バイアス電源22による現像バイアスの静電気力によって、ベルト部材16の表面から感光体ドラム2の表面に向けて飛翔し、これによって、感光体ドラム2上の静電潜像が現像される。
【0062】
さらに、現像装置5は、振動ローラ101と、電極部材100とを備えている。図5は、現像装置5における振動ローラ101が配置される近傍の構成を示す図である。振動ローラ101は、感光体ドラム2の軸線方向の長さにほぼ対応して、現像領域Yよりもベルト部材16の回転方向Bの上流側においてベルト部材16の内周面に接触するように設けられる、中空円筒状のローラ部材である。振動ローラ101は、本実施の形態では、外径が30mmで、軸線方向の長さが310mmで、アルミニウム(A5052)からなる厚さ0.8mmの円筒端部に、導電性の樹脂フランジを設け、ボールベアリングを介して回転軸まわりに回転可能に支持されている。振動ローラ101は、ベルト部材16の回転に従動して、ベルト部材16の回転方向Bと同方向に、ベルト部材16の回転速度と同速度で回転するように設けられている。そして、振動ローラ101は、回転軸を介して電気的に接地されている。
【0063】
電極部材100は、ベルト部材16の内側であり、かつ振動ローラ101がベルト部材16と接触する領域部分の反対側において、振動ローラ101に対して所定の間隙を有して対向するように配置されている。電極部材100を構成する材料は、ステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、真ちゅう、カーボンなどの導電性材料であれば特に限定されないが、本実施の形態ではSUSからなる。また、本実施の形態では、電極部材100は、直方体形状に形成され、振動ローラ101の軸線に直交する面で切断した切断面は長方形状でありその寸法は、振動ローラ101に対する対向方向Cに対応する寸法Lが20mmで、対向方向Cに直交する方向に対応する寸法Hは、振動ローラ101の直径よりも小さく、10mmである。ここで、対向方向Cとは、電極部材100から振動ローラ101に向かう方向である。そして、電極部材100における振動ローラ101の軸線方向に延びる長さは300mmである。また、本実施の形態では、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gの間隙幅は、200μmに設定されている。ここで、振動ローラ101の周面に対向する電極部材100の面は平坦面であるが、前記間隙幅は、互いに対向する面同士の最短距離のことである。
【0064】
ここで、前述したように、振動ローラ101は、現像領域Yよりもベルト部材16の回転方向Bの上流側においてベルト部材16の内周面に接触するように設けられ、電極部材100は、振動ローラ101に対して所定の間隙を有して対向するように配置されている。現像装置5においては、トナー搬送部材15は、感光体ドラム2に臨む表面が、ベルト部材16の内側に接触して覆われるように設けられているが、振動ローラ101および電極部材100は、トナー搬送部材15の感光体ドラム2に臨む表面に形成される凹部に嵌まり込むようにして設けられて、振動ローラ101がベルト部材16の内周面に接触するように設けられている。
【0065】
また、電極部材100は、振動電源102に接続されている。振動電源102は、電極部材100に所定の周波数および振幅を有する電圧を印加する。本実施の形態では、振動電源102は、周波数が2.2kHzで、振幅が4kVppの正弦波の波形を有する電圧を電極部材100に印加し、オフセット電圧は0Vである。振動電源102は、現像バイアス電源22により現像バイアス電圧がトナー搬送部材15に印加開始されるときに電極部材100に対する電圧供給を開始し、現像バイアス電圧が印加停止されるときに電極部材100に対する電圧供給を停止する。
【0066】
振動ローラ101に対向して配置される電極部材100に所定の周波数および振幅を有する電圧が印加されると、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gには振動電界が形成され、この振動電界によって振動ローラ101の円筒面が対向方向Cに振動し、ベルト部材16が振動ローラ101に接触する領域において対向方向Cに振動する。ベルト部材16が対向方向Cに振動すると、ベルト部材16の外周面において現像領域Yに向けて搬送されるトナーTは対向方向Cに振動することになる。
【0067】
トナーTのような物体は、慣性の法則により、物体に力が働かないとき(または力がつり合っているとき)、静止していた物体はいつまでも静止している。また、運動していた物体はその速さで等速直線運動を続ける。ベルト部材16上のトナーTは、静止状態を維持しようとする慣性力、静電気力およびファンデルワールス力によってベルト部材16表面に付着している。
【0068】
これに対して、対向方向Cに振動するトナーTには、振動の運動状態を維持しようとする慣性力(慣性力は質量が大きいほど大きい)が働く。つまり、対向方向Cに振動するトナーTには、トナーT自身の質量に起因する、振動の運動状態を維持しようとする慣性力が働き、そのため、トナーTのベルト部材16に対する付着力が低下する。これによって、トナーTが、ベルト部材16の表面から離れ易く、かつトナー搬送部材15にて形成される進行波電界によりベルト部材16の表面から浮遊され易くなる。
【0069】
したがって、ベルト部材16上の現像領域YにおいてトナーTは、現像バイアス電源22による現像バイアスの静電気力によって、ベルト部材16の表面から感光体ドラム2の表面に向けて飛翔しやすくなり、トナーTによる感光体ドラム2上の静電潜像に対する現像効率が向上するとともに、静電潜像が忠実に現像された均一で高品位なトナー像を感光体ドラム2上に形成することができる。さらに、感光体ドラム2上に形成された、均一で高品位なトナー像に基づいて、均一で高品位な画像を記録媒体P上に形成することができる。また、トナーTのベルト部材16に対する付着力が低下されることによって、ベルト部材16の表面から飛翔せずにベルト部材16上に残留するトナーTを少なくすることができるので、現像時におけるトナーTの必要量を低減することができるとともに、高速印字におけるトナーTの追従性を改善することができる。
【0070】
また、従来技術では、圧電セラミック振動素子などの振動素子をベルト部材16に接触させて振動させているために、長期間の使用により、振動素子とベルト部材16との接触部でベルト部材16の劣化(摩耗、伸び、亀裂の発生など)が発生するが、本発明の現像装置5では、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gに発生する振動電界によってベルト部材16を非接触で振動させるように構成されているので、電極部材100、振動ローラ101およびベルト部材16のそれぞれにおいて、長期間にわたって振動に起因する摩耗などの劣化が発生することはない。また、振動ローラ101は、ベルト部材16の回転に従動して、ベルト部材16の回転方向Bと同方向に、ベルト部材16の回転速度と同速度で回転するように設けられているので、ベルト部材16と振動ローラ101との間における摩耗などの劣化も発生することはない。このように、電極部材100、振動ローラ101およびベルト部材16のそれぞれにおいて摩耗などの劣化が防止されるので、長期間にわたって、静電潜像が忠実に現像された均一で高品位なトナー像を感光体ドラム2上に形成することができるとともに、均一で高品位な画像を記録媒体P上に形成することができる。
【0071】
また、振動素子をベルト部材16に接触させて振動させる従来技術の構成では、振動素子による振動の衝撃力によって、ベルト部材16上のトナーTがクラウド化される。このようにクラウド化されたトナーTは、ベルト部材16の周辺に飛散して、周辺領域を汚染し易くなる。これに対して本発明の現像装置5では、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gに発生する振動電界によってベルト部材16を非接触で振動させて、トナーTのベルト部材16に対する付着力を低減するように構成されているので、トナーTに付与される振動力は、トナーTがクラウド化するほど大きな力ではない。したがって、ベルト部材16上のトナーTが飛散して周辺領域を汚染するのを防止することができる。
【0072】
また、本発明の現像装置5を搭載する画像形成装置1は、たとえば北米のデンバー市(地名)であるような高地と、日本の東京都のような低地のような、大気圧が異なる環境下において、好適に使用可能とする必要がある。現像装置5では、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gに形成される振動電界によって、ベルト部材16上のトナーTを振動させるようになっているので、従来技術のベルト部材16を音響振動させる構成に比べれば、気圧変化の影響を少なくすることができる。
【0073】
しかしながら、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gに形成される振動電界は波動であるので、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gにおける大気中の空気分子の数に、多少なりとも影響される。つまり、大気中の空気分子の数が多い低地では、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gに所望の振動電界が形成されるものの、大気中の空気分子の数が少ない高地では、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gに所望の振動電界が形成されない場合がある。したがって、振動電源102は、電極部材100に電圧を印加するものであるが、特に現像装置5の周囲の雰囲気の気圧に影響されないように、定電流を用いて電圧を制御するのが好ましい。
【0074】
次に、ベルト部材16上のトナーTを対向方向Cに振動させて、ベルト部材16に対する付着力を低下させ、現像効率を向上させるために考慮すべき事項について説明する。考慮すべき重要な事項としては、(a)ベルト部材16の振動周波数および振動振幅、(b)ベルト部材16の振動領域の大きさ、(c)ベルト部材16の振動領域における振動振幅の大きさの分布、である。
【0075】
(a)ベルト部材16の振動周波数および振動振幅
ベルト部材16に発生する対向方向Cの振動の、振動周波数および振動振幅は、電極部材100に電圧が印加されることによって発生する振動ローラ101の振動に左右される。
【0076】
まず、電極部材100から振動ローラ101に働く力について説明する。電極部材100と振動ローラ101を電極板とするコンデンサを考えると、電極板間に働く引力Fは下式(1)で表される。
F=(1/2)×Q×E …(1)
[式中、Fは電極板間に働く引力を示し、Qは電荷量を示し、Eは電界の強さを示す。]
【0077】
また電荷量Qは、下式(2)で表される。
Q=(εS/d)V …(2)
[式中、εは真空の比誘電率を示し、Sは対向面積を示し、dは電極間隔を示し、Vは電位差を示す。]
【0078】
式(1)および式(2)に、たとえば、S=300mm×5mm、d=200μm、ε=8.85×10−12(s・A・kg−1・m−3)、V=2kVを代入して電極板間に働く引力Fを算出すると、F=0.66Nとなる。
【0079】
つまり、電極部材100に振動電源102から電圧が印加されると、電極部材100と振動ローラ101との間には前述のような引力が働き、この引力は印加電圧の周波数で繰り返し生じる。これによって、振動ローラ101の円筒面が対向方向Cに、引力に対応する振動振幅で、かつ印加電圧の周波数に対応する振動周波数で振動する。そして、この振動ローラ101の振動に伴って、ベルト部材16は、振動ローラ101に接触する領域において対向方向Cに、前記振動振幅および振動周波数で振動する。
【0080】
以上のことより、ベルト部材16の振動周波数は、電極部材100に印加される印加電圧の周波数によって調整することができるが、ベルト部材16上のトナーTのベルト部材16に対する付着力を低下させて現像効率を向上させるためには、印加電圧の周波数を所定値以上に調整する必要がある。つまり、前述したように、トナーTが振動することによって生じる自身の質量に起因する慣性力により、トナーTのベルト部材16に対する付着力が低下するが、印加電圧の周波数が低すぎると、トナーTに付与される慣性力が小さくなり過ぎて付着力の低下幅が小さく、トナーTの現像効率の向上が認められなくなる。そのため、本実施の形態では、電極部材100に印加する印加電圧の周波数は、2.2kHzに設定している。
【0081】
また、電極部材100に印加する印加電圧の周波数は、20kHz以上(たとえば、22kHz)であるのが好ましい。これによって、振動ローラ101が振動することにより生じる空気振動が、人間の可聴周波数以上となり、動作時の不快感を防止することができる。
【0082】
また、電極部材100と振動ローラ101との間に生じる前記引力に対応するベルト部材16の振動振幅は、式(1)および式(2)から明らかに、電極部材100および振動ローラ101を構成する材料の比誘電率を高くし、電極部材100と振動ローラ101との対向面積を大きくし、電極部材100に印加する印加電圧を高くし、電極部材100と振動ローラ101との間隙幅を小さくすることによって、振動振幅を大きくすることができる。このように、ベルト部材16の振動振幅が大きくなると、ベルト部材16上のトナーTに付与される慣性力が大きくなり、トナーTのベルト部材16に対する付着力が低下する。ただし、電極部材100に印加する印加電圧が高すぎる、または、電極部材100と振動ローラ101との間隙幅が小さ過ぎると、気中放電が発生してしまうので好ましくない。
【0083】
次に、ベルト部材16の振動振幅を効率よく大きくすることが可能な構成について説明する。
【0084】
振動電源102によって電極部材100に印加する印加電圧を、振動ローラ101の円筒面の固有振動数の整数倍となる周波数を有する電圧である固有振動電圧とすることによって、振動ローラ101の円筒面を共振させることができる。具体的には、振動ローラ101の円筒面の半径方向の面内振動の固有振動数fは下式(3)で表される。
【0085】
【数1】

【0086】
[式中、Rは振動ローラ101の半径を示し、nは振動次数を示し、Eはヤング率を示し、νはポアソン比を示し、Iは断面2次モーメントを示し、ρは周方向の単位長さ当りの質量を示す。]
【0087】
また、断面2次モーメントIは、下式(4)で表される。
【0088】
【数2】

【0089】
[式中、bは振動ローラ101の軸線方向長さを示し、hは振動ローラ101の肉厚を示す。]
【0090】
また、周方向の単位長さ当りの質量ρは、下式(5)で表される。
ρ=γbh …(5)
[式中、γは密度を示し、bは振動ローラ101の軸線方向長さを示し、hは振動ローラ101の肉厚を示す。]
【0091】
式(3)、式(4)および式(5)に、振動ローラ101の半径R=15mm、振動ローラ101の肉厚h=0.8mm、振動ローラ101の軸線方向長さb=300mm、ヤング率E=70GPa、ポアソン比ν=0.35、密度γ=2.7×10kg/mを代入して、基本固有振動数(振動次数n=2)f1を算出すると、f1=2.2kHzとなる。この基本固有振動数f1および、その整数倍の周波数を有する電圧を電極部材100に印加することによって、振動ローラ101の円筒面を共振させることができる。そのため、振動ローラ101の対向方向Cに振動する振動振幅が大きくなり、ベルト部材16上のトナーTを大きく振動させることができる。したがって、トナーTに働く慣性力が大きくなって、ベルト部材16に対するトナーTの付着力を低下させることができる。
【0092】
また、電極部材100は、振動ローラ101に対する対向方向Cへの曲げ剛性が、振動ローラ101の円筒面の半径方向の曲げ剛性よりも高く設定されるのが好ましい。これによって、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gに生じる振動電界による引力が作用したときに、電極部材100の撓みを抑制しながら振動ローラ101を振動させることができる。具体的には、軸方向に延びる梁を考える場合、その曲げ剛性Xは、X=E×I(Eはヤング率、Iは断面2次モーメントを示す)で表される。
【0093】
振動ローラ101の軸線に直交する面で切断した切断面が長方形状でありその寸法が、振動ローラ101に対する対向方向Cに対応する寸法Lが20mmで、対向方向Cに直交する方向に対応する寸法Hが10mmである電極部材100では、断面2次モーメントI1は、下式(6)で表される。
【0094】
【数3】

【0095】
電極部材100の構成材料がステンレスである場合、ステンレスのヤング率E=170GPaであるので、電極部材100の曲げ剛性X1は、X1=E×I1=1.1×10N・mとなる。
【0096】
一方、外径Dが30mmで、肉厚が0.8mm(内径d=28.4mm)の円筒形状の振動ローラ101では、断面2次モーメントI2は、下式(7)で表される。
【0097】
【数4】

【0098】
振動ローラ101の構成材料がアルミニウムである場合、アルミニウムのヤング率E=70GPaであるので、振動ローラ101の曲げ剛性X2は、X2=E×I2=5.5×10N・mとなる。
【0099】
このように、電極部材100が、その対向方向Cへの曲げ剛性が、振動ローラ101の円筒面の半径方向の曲げ剛性よりも高く設定されている場合には、電極部材100と振動ローラ101との間隙Gに生じる振動電界による引力が作用したときに、電極部材100の撓みを抑制しながら振動ローラ101を振動させることができる。
【0100】
また、電極部材100が撓む場合には、この撓みによって電極部材100と振動ローラ101との間隙幅が小さくなり、気中放電が発生しやすくなる。電極部材100の曲げ剛性を高めて電極部材100の撓みを抑制することによって、高い電圧を電極部材100に印加しても、電極部材100と振動ローラ101との間隙幅が小さくなり過ぎるのを防止して、振動ローラ101を大きく振動させて、ベルト部材16に大きな振動振幅の振動を付与することができる。
【0101】
また、振動電源102が前述した固有振動電圧を電極部材100に印加したときに、振動ローラ101に生じる振動モードでの振動の腹部に対応するベルト部材16の部分が、現像領域Yとなるように構成するのが好ましい。振動ローラ101に生じる振動モードでの振動の腹部に対応するベルト部材16の部分は、大きな振動振幅の振動が付与されることになる。そのため、ベルト部材16上のトナーTを大きな振動振幅で振動させることができ、トナーTに働く慣性力が大きくなって、ベルト部材16に対するトナーTの付着力を低下させることができる。
【0102】
具体的には、図6を用いて以下に説明する。図6は、振動ローラ101の振動モードを説明する図である。電極部材100に前述した基本固有振動数f1を有する電圧が印加された場合、振動ローラ101の振動モードは、図6(a)に示すように、一次振動モード(n=2)となる。このとき、振動の腹に当たる部分である腹部101aにおける振幅が最大である。また、図6(b)に示す二次振動モード(n=3)、図6(c)に示す三次振動モード(n=4)においても、振動の腹部101aにおける振幅が最大である。この振動ローラ101の振動の腹部101aに対応するベルト部材16の部分が、現像領域Yとなるように構成すればよい。
【0103】
(b)ベルト部材16の振動領域の大きさ
ベルト部材16が振動する振動領域は、振動する振動ローラ101に接触する部分である。ただし、ベルト部材16の外周面上のトナーTの付着力を低下させるために重要なのは、トナーTが存在する可能性のある、ベルト部材16表面におけるトナーTの搬送領域が、軸線方向に延びる全範囲にわたって振動することである。ベルト部材16表面上のトナーTの搬送領域が軸線方向に延びる長さは、感光体ドラム2の軸線方向に延びる長さに対応して設定される。電極部材100の軸線方向に延びる長さは、振動ローラ101が軸線方向に延びる長さ以下となるように設定するのが好ましい。これによって、ベルト部材16上におけるトナーTの搬送領域内に存在する全てのトナーTの付着力を、振動によって低下させることができる。
【0104】
(c)ベルト部材16の振動領域における振動振幅の大きさの分布
直方体形状に形成される電極部材100において、振動ローラ101の周面に対向する対向面は平坦面である。そのため、電極部材100と振動ローラ101とが間隙を有して対向する対向領域では、その間隙幅は、軸線方向から見た場合、対向領域中央部で間隙幅が狭く、対向領域両端部で間隙幅が広くなっている。したがって、電極部材100に電圧が印加されたときに対向領域に形成される振動電界は、軸線方向から見た場合、対向領域中央部で大きく、対向領域両端部で小さくなる。これによって、軸線方向から見た場合、ベルト部材16を、対向領域中央部に対応する部分が大きな振動振幅で、対向領域両端部に対応する部分が小さな振動振幅で振動させることができる。したがって、ベルト部材16における現像領域Y以外の領域の振動振幅が大きくなり過ぎるのを防止することができ、現像領域Y以外の領域でトナーTがベルト部材16から剥離するのを防止することができる。
【0105】
図7は、現像装置5が有する電極部材の他の構成を示す図である。前述した電極部材100では、振動ローラ101の周面に対向する対向面は平坦面であった。図7(a)に示す電極部材200aは、振動ローラ101の周面に対向する対向面が、振動ローラ101の周面に沿うように形成されている。そのため、電極部材200aと振動ローラ101とが間隙を有して対向する対向領域では、全領域にわたって同一の間隙幅となる。したがって、電極部材200aに電圧が印加されたときに対向領域に形成される振動電界は、対向領域の全体にわたって均一になる。これによって、電極部材200aと振動ローラ101の対向部の間隔の狭い範囲が広くなる。このため、上記(2)式での電荷量Qが大きくなり、上記(1)式での起震力が大きくなる。そのため、振動ローラ101に接するベルト部材16上のトナーTを大きく振動させることができ、ベルト部材16とトナーTとの付着力をより低減できるという効果が得られる。
【0106】
また、図7(b)に示す電極部材200bは、円柱状に形成され、振動ローラ101の周面に対向する対向面が、円弧状の周面となる。このように形成された電極部材200bでは、前述した電極部材100と同様に、電極部材200bと振動ローラ101とが間隙を有して対向する対向領域では、その間隙幅は、軸線方向から見た場合、対向領域中央部で間隙幅が狭く、対向領域両端部で間隙幅が広くなる。電極部材200bと電極部材100との違いは、電極部材200bの方が電極部材100よりも、対向領域両端部における間隙幅がより広いことである。したがって、ベルト部材16における現像領域Y以外の領域の振動振幅が大きくなり過ぎるのをさらに防止することができ、現像領域Y以外の領域でトナーTがベルト部材16から剥離するのをさらに防止することができる。
【0107】
ただし、電極部材と振動ローラ101とが対向する対向領域を極狭く構成した場合には、電極部材と振動ローラ101との対向面積が小さくなり、上記(2)式での電荷量Qが小さくなり、上記(1)式での起震力が小さくなる。そのため、振動ローラ101に接するベルト部材16上のトナーTを十分に振動できないという不具合が発生して好ましくない。
【0108】
次に、本発明の実施の他の形態である現像装置50について説明する。現像装置50は、前述した現像装置5と同様に、本発明の画像形成装置1に、好適に搭載可能である。図8は、本発明の実施の他の形態である現像装置50における振動ローラ101が配置される近傍の構成を示す図である。現像装置50は、現像装置5に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。現像装置50において特徴的な構成は、電極部材300の振動ローラ101に対向する部分に、絶縁材料から成るコート層300aが設けられている点である。現像装置50は、電極部材300にコート層300aが設けられていること以外は、現像装置5と同様に構成されている。
【0109】
コート層300aを構成する材料としては、たとえば、チタン酸バリウム(比誘電率;1200)やチタン酸ストロンチウム(比誘電率;332)、酸化チタン(比誘電率;100)の様な比誘電率が高く、絶縁性の材料が望ましい。このように、絶縁材料からなるコート層300aが電極部材300の表面に設けられることによって、振動ローラ101に対向する部分が導電体で構成されている場合に比べて、電極部材300に高い電圧を印加しても、気中放電の発生を防止することができる。そのため、現像装置50の電極部材300に印加する電圧は、現像装置5の電極部材100に印加する電圧よりも高い電圧である、空気中のパッシェンの放電電圧よりも高く設定している。このようにして、振動ローラ101と電極部材300との間隙に大きな振動電界を発生させることができる。
【0110】
また、絶縁材料からなるコート層300aは比誘電率が高いので、振動ローラ101と電極部材300との間隙に、さらに大きな振動電界を発生させることができる。そのため、振動ローラ101を大きく振動させて、ベルト部材16に大きな振動を付与することができる。したがって、トナーTとベルト部材16との付着力を低下させることができ、トナーTが、ベルト部材16の表面から離れ易く、かつトナー搬送部材15にて形成される進行波電界によりベルト部材16の表面から浮遊され易くなる。
【0111】
したがって、ベルト部材16上の現像領域YにおいてトナーTは、現像バイアス電源22による現像バイアスの静電気力によって、ベルト部材16の表面から感光体ドラム2の表面に向けて飛翔しやすくなり、トナーTによる感光体ドラム2上の静電潜像に対する現像効率が向上するとともに、静電潜像が忠実に現像された均一で高品位なトナー像を感光体ドラム2上に形成することができる。さらに、感光体ドラム2上に形成された、均一で高品位なトナー像に基づいて、均一で高品位な画像を記録媒体P上に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の実施の一形態である画像形成装置1の要部の構成を示す図である。
【図2】本発明の実施の一形態である現像装置5の構成を示す図である。
【図3】トナー搬送部材15の構成を概略的に示す図である。
【図4】トナー搬送部材15が有する電極27に印加される交番電圧の電圧波形の一例を示す図である。
【図5】現像装置5における振動ローラ101が配置される近傍の構成を示す図である。
【図6】振動ローラ101の振動モードを説明する図である。
【図7】現像装置5が有する電極部材の他の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の他の形態である現像装置50における振動ローラ101が配置される近傍の構成を示す図である。
【符号の説明】
【0113】
1 画像形成装置
2 感光体ドラム
3 帯電装置
4 露光装置
5,50 現像装置
6 転写装置
7 クリーニング装置
8 除電装置
9 定着装置
15 トナー搬送部材
16 ベルト部材
18 ベルト駆動ローラ
19 駆動補助ローラ
100,200a,200b,300 電極部材
101 振動ローラ
102 振動電源
300a コート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体が担持する静電潜像を、現像剤であるトナーを用いて現像する現像装置であって、
前記像担持体を臨んで回転可能に設けられて、現像領域において前記像担持体上の静電潜像にトナーを供給する無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材の内周面に接触して、前記ベルト部材を介して前記像担持体に対向するように設けられ、一定の進行方向を持った進行波状に電位分布が変化する電界である進行波電界を形成し、前記ベルト部材上のトナーを前記現像領域に向けて移動させながら搬送するトナー搬送部材と、
中空円筒状に形成されて、前記ベルト部材の内周面に接触するように設けられ、前記ベルト部材の回転と同方向かつ同速度で回転する振動ローラと、
前記振動ローラに対して所定の間隙を有して対向する電極部材と、
前記電極部材に、所定の周波数を有する電圧を印加する振動電源とを含み、
前記トナー搬送部材にて形成される前記進行波電界によって、前記ベルト部材上を搬送されるトナーが、前記現像領域において前記像担持体上の静電潜像に供給されるとき、前記振動電源が前記電極部材に電圧を印加して、前記振動ローラを介して前記ベルト部材を振動させることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記振動ローラは、前記現像領域よりも前記ベルト部材の回転方向上流側において、前記ベルト部材の内周面に接触するように設けられることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記電極部材の前記振動ローラに対向する部分に、絶縁材料からなるコート層を設けることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記電極部材の前記振動ローラに対する対向方向への曲げ剛性が、前記振動ローラの円筒面の半径方向の曲げ剛性よりも高いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の現像装置。
【請求項5】
前記振動電源は、前記振動ローラの円筒面の固有振動数の整数倍となる周波数を有する電圧である固有振動電圧を、前記電極部材に印加することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の現像装置。
【請求項6】
前記振動電源が前記電極部材に印加する電圧の周波数は、20kHz以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の現像装置。
【請求項7】
静電潜像を担持する像担持体と、像担持体が担持する静電潜像に現像剤であるトナーを供給してトナー像を形成する現像装置と、像担持体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、記録媒体上に転写されたトナー像を記録媒体上に定着させる定着装置とを含む画像形成装置であって、
前記現像装置が、請求項1〜6のいずれか1つに記載の現像装置であることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−128021(P2010−128021A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300212(P2008−300212)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】