説明

現像装置およびプロセスカートリッジ

【課題】
トナーシールを無くし、低コスト化を実現した現像装置およびプロセスカートリッジを実現する。
【解決手段】
現像装置における現像剤供給ローラを移動可能にし、画像記録時以外は現像ローラ、現像容器両方に当接するように配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現像装置およびプロセスカートリッジに関する。特に、電子写真方式を採用し、記録媒体(例えば、紙、OHPシート)上に画像を形成する複写機やプリンタ(例えばレーザプリンタ、LEDプリンタ)等の画像形成装置に適用して好適なものである。
【0002】
(像担持体およびプロセスカートリッジの定義)
ここで、像担持体とは、光を作用させて潜像を形成するという感光体ドラムに代表されるものに限らず、磁気あるいは電気を作用させて潜像を形成するものを含む。
【0003】
また、プロセスカートリッジとは、プロセス手段としての現像手段と、前記電子写真感光体ドラムとを一体的にカートリッジ化して、電子写真画像形成装置の本体に取り外し可能に装着されるものである。尚、電子写真感光体ドラムと現像手段とを一体的に有するプロセスカートリッジを所謂一体型と称する。また、電子写真感光体ドラムと現像手段以外のプロセス手段とを一体的に有するプロセスカートリッジを所謂分離型と称する。即ち、現像手段はプロセスカートリッジとは別の現像ユニットに設けて、この現像ユニットと対になって画像を形成するプロセスカートリッジを所謂分離型と称する。ここで前記プロセスカートリッジは、使用者自身によって本体に対する着脱を行うことができる。そのため、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。尚、前記プロセス手段は、前記電子写真感光体ドラムに作用するものである。また、現像カートリッジとは、現像ローラを有し、前記現像ローラによって、前記電子写真感光体ドラムに形成された静電潜像を現像するのに用いられる現像剤(トナー)を収容しており、前記本体に取り外し可能に装着されるものである。尚、前記現像カートリッジの場合には、前記電子写真感光体ドラムは前記装置本体或いはカートリッジ支持部材に取り付けられている。或いは、前記電子写真感光体ドラムは、前記所謂分離型プロセスカートリッジに設けられている(この場合には、プロセスカートリッジは、現像手段を有してはいない)。尚、前記現像カートリッジも、使用者自身によって前記本体に対する着脱を行うことができる。そのため、装置本体のメンテナンスを容易に行うことができる。そこで、カートリッジとしては、前記所謂一体型又は所謂分離型のプロセスカートリッジが含まれる。また、カートリッジとしては、所謂分離型のプロセスカートリッジと前記現像カートリッジが対になって用いられる場合が含まれる。また、カートリッジとしては、前記電子写真感光体ドラムが前記装置本体或いはカートリッジ支持部材に固定して取り付けられており、前記電子写真感光体ドラムに作用可能に前記現像カートリッジが着脱可能に用いられる場合が含まれる。
【背景技術】
【0004】
従来の電子写真画像形成装置においては、輸送物流時の衝撃で現像剤tがプロセスカートリッジの外部に漏れることを防止するために、トナーシールを用いるのが一般的である。即ち、図10(A)に示すように現像容器29内のトナー収納部50から現像ローラ6、供給ローラ35、現像ブレード30、可撓性シート37、端部シール部材36を備える現像室52に至る途中の現像剤供給開口部51にトナーシール42を配置する。そして、輸送物流時に現像剤供給開口部51をトナーシール42によって封止し、図10(B)に示すようにユーザーが使用開始するときに把手部材42aを持ってシール部材42bを引き抜いてトナーシールを取り除くようにしている。トナーシールについては、例えば特許文献1に知られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−241495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、トナーシールを配置するためにはトナーシールを引き出す出口を予めシールするシール部材、トナーシールを固定する固定部を持つ容器構成、トナーシールを取除く機構等のスペースや部材が必要である。そして製造の際、トナーシールによる封止工程が必要であり、部品点数、及び組立工数が増えコストアップの要因になっていた。低コストなプロセスカートリッジが望まれる今日、このトナーシールを無くすことが前述した問題解決の選択肢の1つである。
【0007】
また、トナーシールはプロセスカートリッジや、現像装置を初めに使用する際に取除くことが必要である。一般的に図10(B)に示すようにユーザーが自らトナーシールを引き抜いて取除く構成となっており、また引き抜いたトナーシールは廃棄物となり、ユーザビリティーを向上させるためにもトナーシールを無くすことが望まれる。
【0008】
そこで本発明は上記課題に対し、トナーシールが無い状態においてトナー漏れの抑制、ユーザビリティーの向上、更に低コスト化を実現した現像装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、この発明に係わる現像装置の代表的な構成は、画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着した状態で前記装置本体の像担持体に現像剤を適用して前記像担持体に形成された潜像を現像剤像として現像する現像装置において、現像剤を収容する現像剤収容部と現像室と前記現像剤収容部と前記現像室とを連通している現像剤供給開口部を備えた現像容器と、前記現像室に回転可能に配設されていて前記像担持体に現像剤を適用する現像ローラと、前記現像室に回転可能に配設されていて前記現像ローラに現像剤を供給するための弾性体を備えた現像剤供給ローラと、前記現像容器に配設されていて前記現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する現像ブレードと、前記現像容器に配設されていて前記現像ブレードと共に前記現像ローラと前記現像容器との隙間からの現像剤漏れを防止する可撓性シートと、前記現像ローラの長手方向端部と前記現像容器との隙間からの現像剤漏れを防止する端部シール部材と、を有し、前記現像剤供給開口部は常時開放されており、前記現像剤供給ローラは前記現像ローラと前記現像容器の内面に当接した第1の位置と前記現像ローラに当接し前記現像容器の内面には当接しない第2の位置との間で変位可能である。
【0010】
また、プロセスカートリッジの代表的な構成は、潜像が形成される像担持体と、前記像担持体に現像剤を適用して前記像担持体に形成された潜像を現像剤像として現像する現像装置とを有し、画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着するプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置は、現像剤を収容する現像剤収容部と現像室と前記現像剤収容部と前記現像室とを連通している現像剤供給開口部を備えた現像容器と、前記現像室に回転可能に配設されていて前記像担持体に現像剤を適用する現像ローラと、前記現像室に回転可能に配設されていて前記現像ローラに現像剤を供給するための弾性体を備えた現像剤供給ローラと、前記現像容器に配設されていて前記現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する現像ブレードと、前記現像容器に配設されていて前記現像ブレードと共に前記現像ローラと前記現像容器との隙間からの現像剤漏れを防止する可撓性シートと、前記現像ローラの長手方向端部と前記現像容器との隙間からの現像剤漏れを防止する端部シール部材と、を有し、前記現像剤供給開口部は常時開放されており、前記現像剤供給ローラは前記現像ローラと前記現像容器の内面に当接した第1の位置と前記現像ローラに当接し前記現像容器の内面には当接しない第2の位置との間で変位可能である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、現像剤供給開口部を封止するトナーシールが無くても現像剤を封止することが可能となり、低コスト化を実現出来る。そして、トナーシール引き作業が不要となり、ユーザビリティーが向上出来る。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】(A)は、画像形成装置の装置本体に取り外し可能に単独で装着された現像装置を示す断面図、(B)は本発明に関する代表的な移動機構を示す側視図である。
【図2】(A)は、像担持体を含むプロセスカートリッジの一部として構成された現像装置を備えた画像形成装置を示す断面図、(B)は装置本体に取り外し可能に装着されるプロセスカートリッジを示す断面図である。
【図3】(A)はプロセスカートリッジ斜視図、(B)はプロセスカートリッジの分解斜視図である。
【図4】現像装置の分解斜視図である。
【図5】現像装置における現像ローラと現像剤供給ローラの構成を示す図である。
【図6】(A)は加圧による供給ローラの移動手段の模式図、(B)は軸間ピッチ変更による供給ローラの移動手段の模式図である。
【図7】本発明の第2の実施形態における現像装置の断面図である。
【図8】(A)は現像剤供給ローラギアの直線移動による駆動手段模式図、(B)は現像剤供給ローラギアの現像入力ギアに対する回転移動による駆動手段模式図である。
【図9】現像容器が寸胴状である本発明の第3の実施形態における現像装置の断面図である。
【図10】(A)は従来のトナーシールを用いた現像容器の断面図、(B)は従来のトナーシールを用いたプロセスカートリッジの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
《第1の実施形態》
(画像形成装置およびプロセスカートリッジ)
図2(A)に示す画像形成装置1は、電子写真プロセスを用いた4色フルカラーレーザープリンタであり、記録媒体Sにカラー画像形成を行う。画像形成装置1はプロセスカートリッジ方式であり、プロセスカートリッジを画像形成装置本体1Aに取り外し可能に装着して、記録媒体Sにカラー画像を形成するものである。ここで、本発明における現像装置は像担持体を含むプロセスカートリッジの一部を構成するものとして説明するが、図1(A)に示すように画像形成装置の装置本体に取り外し可能に現像装置9が単独で装着される場合も同様の画像形成装置1を構成し得る。
【0014】
図2(A)において、画像形成装置1に関して装置開閉ドア3を配設した側を正面(前面)、正面と反対側の面を背面(後面)とする。左右は画像形成装置1を正面から見て左、または右とする。装置本体1Aには4つのカートリッジP(PY、PM、PC、PK)が水平に配置されている。第1のカートリッジPYは、現像容器内にイエロー(Y)のトナーを収容しており、ドラム4の面にイエロー色のトナー像を形成する。第2のカートリッジPMは、現像容器内にマゼンタ(M)のトナーを収容してあり、ドラム4の面にマゼンタ色のトナー像を形成する。第3のカートリッジPCは現像容器内にシアン(C)のトナーを収容してあり、ドラム4の面にシアン色のトナー像を形成する。第4のカートリッジPKは現像容器内にブラック(K)のトナーを収容してあり、ドラム4の面にブラック色のトナー像を形成する。
【0015】
各カートリッジPは、装置本体1Aのカートリッジ収容部2に収容されている。カートリッジPは交換可能であり、交換の際は装置本体1Aの装置開閉ドア3を開け、カートリッジ収容部2を正面方向に引き出して各カートリッジPの着脱を行う。各カートリッジPはそれぞれ同様の電子写真プロセス機構を有しており、現像剤(トナー)の色や、トナーの充填量が各々異なるものである。カートリッジ収容部2に位置しているカートリッジPには装置本体1Aの駆動入力部から回転駆動力が伝達されるように構成されている。また、カートリッジPには装置本体1Aからバイアス電圧(帯電バイアス、現像バイアス等)が供給されるように構成されている。
【0016】
カートリッジPは、図2(B)に示すように、電子写真感光体ドラム4およびドラム4に作用するプロセス手段(帯電ローラ5を備えた帯電手段及びクリーニングブレード7を備えたクリーニング装置26)を備えた感光体ドラムユニット8を有する。帯電ローラ5は、ドラム4に接触し従動回転する接触帯電方式の帯電部材であり、駆動側と非駆動側の軸端部をクリーニング装置26の側板間に設けられた軸受部を介して回転自在に支持させて配設される。クリーニングブレード7は弾性ゴムブレードであり、ドラム4に残留したトナーを除去する役目をする。このクリーニングブレード7によりドラム4の周面から除去された転写残トナーは、クリーニング装置26内に収容される。
【0017】
また、カートリッジPは、ドラム4上の静電潜像を現像する現像ローラ6、現像ブレード30、現像剤供給ローラ35、端部シール部材36、可撓性シート37を現像容器29に備えた現像装置9を有する。現像容器29は、トナー収納部50と、現像室52と、両者を連通する現像剤供給開口部51を備える。現像ローラ6は現像室52に回転可能に配設され、像担持体としてのドラム4に現像剤を適用し、ドラム4に形成された潜像を現像剤像として現像する。即ち、現像ローラ6の表面上で薄層化されたトナーは、現像ローラ6の回転に伴って、ドラム4と現像ローラ6とが対向している現像部に搬送される。現像部とは、接触現像の場合は、ドラム4と現像ローラ6とが接触している部分であり、非接触現像の場合は、ドラム4と現像ローラ6とが最も近接している部分である。現像部においては、現像ローラ6上の現像剤は、現像ローラ6に印加された現像バイアスによって、ドラム4の表面に形成されている静電潜像に付着される。これにより、潜像が現像される。
【0018】
現像室52には、供給ローラ35が回転可能に配設され、現像ローラ6に現像剤を供給するための弾性体を芯金の外周部に備える。また現像ブレード30は、現像容器29に配設されていて現像ローラ6に供給された現像剤の層厚を規制する。現像ローラ6と現像容器29との隙間からの現像剤漏れを防止するため、現像ブレード30と共に可撓性シート37が設けられ、更に現像ローラ6の長手方向端部と現像容器29との隙間からの現像剤漏れを防止する端部シール部材36が設けられている。
【0019】
ドラムユニット8と現像装置9は互いに結合され、現像装置9がドラムユニット8に対し揺動可能となっている。
【0020】
図2(A)に示すようにカートリッジP(PY・PM・PC・PK)の上方には、露光手段としてのレーザスキャナユニットLBが配設されている。このレーザスキャナユニットLBは、画像情報に対応してレーザ光Lを出力する。そして、レーザ光Lは、カートリッジPの露光窓部10(図2(B))を通過してドラム4の表面を走査露光する。
【0021】
カートリッジP(PY・PM・PC・PK)の下方には、転写部材としての中間転写ベルトユニット11を配設してある。このベルトユニット11は、可撓性を有するエンドレスの転写ベルト12と、この転写ベルト12を張設して回動させる駆動ローラ13・ターンローラ14・テンションローラ15を有する。各カートリッジPのドラム4は、その下面が転写ベルト12の上面に接している。その接触部が一次転写部である。転写ベルト12の内側には、ドラム4に対向させて一次転写ローラ16を配している。ターンローラ14には転写ベルト12を介して二次転写ローラ17を当接させて配設してある。転写ベルト12と二次転写ローラ17の接触部が二次転写部である。
【0022】
中間転写ベルトユニット11の下方には、給送ユニット18を配設してある。この給送ユニット18は、記録媒体Sを積載して収容した給紙トレイ19、給紙ローラ20等を有する。
【0023】
装置本体1A内の後側の上方には、定着ユニット21と、排出ユニット22を配設してある。装置本体1Aの上面は排出トレイ23としている。
【0024】
収容部1Aに収容されている各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、装置本体1A側の不図示の加圧機構により上から加圧されて、装置本体1A側の位置決め部に固定されている。また、各カートリッジPの駆動入力部に対して装置本体1A側の駆動出力部が結合しており、各カートリッジ側の入力電気接点に対して装置本体1A側の給電系統が導通している。これにより、ドラム4、現像ローラ37、供給ローラ35、帯電ローラ5が回転駆動される。
【0025】
フルカラー画像を形成するための動作は次の通りである。図2(A)において、第1〜第4の各カートリッジP(PY・PM・PC・PK)のドラム4が矢印の方向(図中で反時計周り)に所定の速度で回転駆動される。転写ベルト12も矢印の方向(ドラム回転に順方向)にドラム4の速度に対応した速度で回転駆動される。レーザスキャナユニットLBも駆動される。この駆動に同期して、各カートリッジにおいて帯電ローラ5がドラム4の表面を所定の極性・電位に一様に帯電する。レーザスキャナユニットLBは各ドラム4の表面を各色の画像信号に応じてレーザ光Lで走査露光する。これにより、各ドラム4の表面に対応色の画像信号に応じた静電潜像が形成される。形成された静電潜像は、矢印の時計方向に所定の速度で回転駆動される現像ローラ6により現像される。前記のような電子写真画像形成プロセス動作により、第1のカートリッジPYのドラム4にはフルカラー画像のイエロー成分に対応するイエロー色のトナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト12上に一次転写される。
【0026】
同様に第2のカートリッジPMのドラム4にはフルカラー画像のマゼンタ成分に対応するマゼンタ色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色のトナー像に重畳されて一次転写される。同様に第3のカートリッジPCのドラム4にはフルカラー画像のシアン成分に対応するシアン色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色+マゼンタ色のトナー像に重畳されて一次転写される。同様に第4のカートリッジPKのドラム4にはフルカラー画像のブラック成分に対応するブラック色トナー像が形成される。そして、そのトナー像が転写ベルト12上にすでに転写されているイエロー色+マゼンタ色+シアン色のトナー像に重畳されて一次転写される。このようにして、転写ベルト12上にイエロー色+マゼンタ色+シアン色+ブラック色の4色フルカラーの未定着トナー像が形成される。
【0027】
一方、所定の制御タイミングで記録媒体Sが1枚分離されて給送される。その記録媒体Sは、所定の制御タイミングで二次転写ローラ17と転写ベルト12との当接部である二次転写部に導入される。これにより、記録媒体Sが前記二次転写部へ搬送されていく過程で、転写ベルト12上の4色重畳のトナー像が記録媒体Sの面に順次に一括転写される。
【0028】
記録媒体Sは転写ベルト12の面から分離されて定着ユニット21へ導入される。そして、定着ニップ部で加熱・加圧される。これにより、各色トナー像の記録媒体Sへの定着がなされる。そして、記録媒体Sは、定着ユニット21を出て、フルカラー画像形成物として排出ユニット22により排紙トレイ23上に排出される。
【0029】
(感光体ドラムユニットと現像装置)
図3(A)に示すようにカートリッジP(PY・PM・PC・PK)は、ドラム4の回転軸線aの方向を長手方向とする横長の形状であり、装置本体正面から見て右側が駆動側、左側が非駆動側である。カートリッジPは、感光体ドラムユニット8と、現像装置9と、駆動側カバー部材24と、非駆動側カバー部材25とを有する。
【0030】
図3(B)にプロセスカートリッジの分解斜視図を示す。感光体ドラムユニット8に関し、ドラム4は、非駆動側が非駆動側カバー部材25の感光体ドラム支持部27L、駆動側が駆動側カバー部材24の感光体ドラム支持部27Rによって回転自在に支持されている。ドラム4の駆動側の端部4Rには、感光体ドラム駆動入力部としてのドラム駆動カップリング(駆動伝達部)28がドラム4と同芯に取り付けてある。このドラム駆動カップリング28に対して装置本体側のドラム駆動出力部としてのカップリングが係合して装置本体の駆動モータの駆動力の伝達がなされ、ドラム4が図2(B)において反時計方向に所定の速度で回転駆動される。
【0031】
一方、現像装置9に関しては、現像駆動カップリング33が、図4に示すように、現像装置9のサイドカバー31の円筒部分31Aを介して回転可能に支持される。即ち、円筒部分31Aは図3(B)に示すように、駆動端側をプロセスカートリッジの駆動側カバー部材24の受け穴32、非駆動端側をプロセスカートリッジの非駆動側カバー部材25の軸34に回転可能に支持される。そして、カップリング33に対して装置本体側の駆動出力部としてのカップリングが係合して、装置本体の駆動モータの駆動力の伝達がなされる。図4において、現像入力ギア40と現像ローラギア38、また現像入力ギア40と供給ローラギア39は夫々噛み合い、現像ローラギア38と供給ローラギア39は同方向に回転駆動される。これにより、現像ローラ6と供給ローラ35は同方向に回転駆動される。
【0032】
図4で、供給ローラ35の軸となる芯金35aに関しては、後述する封止位置と現像位置との間で変位可能となるよう、供給ローラ軸シール43Rを介して移動するための移動ガイド部が設けられる。即ち、移動ガイド部49a、49b、49cが夫々サイドカバー31、軸受部材41R、現像容器29に設けられる。そして、駆動端側の移動ガイド部と同様のガイド部が非駆動端側にも設けられる。
【0033】
現像装置9は現像ローラ6の回転軸方向を長手方向とする横長の形状である。現像装置9は、現像ローラ6の他に、枠体としての現像容器29、現像ブレード30、弾性体を備えた現像剤供給ローラ35、端部シール部材36R・36L、可撓性シート部材37、供給ローラ軸シール43R・43Lによって構成される。図2(B)で、現像時には、駆動により供給ローラ35が回転して現像ローラ6と摺擦することで現像容器内のトナーを現像ローラ6上に担時させる。現像ブレード30は先端部を現像ローラ6の回転方向(図2(B)に示す時計方向)に対してカウンター方向に現像ローラ6に当接させて配設している。現像ローラ6上に担持されたトナーは、現像ローラ6の回転に伴い現像ブレード30によって電荷を付与されるとともに、所定のトナー薄層に規制される。そして現像ローラ6とドラム4の接触部で現像ローラ6上のトナーがドラム4上の静電潜像に付着し、潜像を現像する。現像に寄与せずに現像ローラ6上に残留したトナーは、現像ローラ6の回転によって現像容器29内に戻され、供給ローラ35との摺擦部で現像ローラ6から剥離、回収される。回収されたトナーは、現像容器29内で残りのトナーと混合される。
【0034】
また、現像装置9は、図3(B)に示すように駆動側カバー部材24と非駆動側カバー部材25間においてドラム軸線aと並行な軸線bを中心にして揺動自在に支持されている。前述した現像装置9のサイドカバー31の円筒部分31Aは、駆動側カバー部材24の円筒受け穴32に回転可能に支持されて、現像ユニット9の揺動中心となっている。また非駆動側は、現像容器側面の穴が、カバー部材25の軸34に回転可能に支持されて、現像ユニット9の揺動中心となっている。このようにして現像装置9は、ドラムユニット8に対して回転可能に結合されている。
【0035】
(供給ローラ移動によるトナーシール構成)
次に本発明の特徴であるところの現像装置における供給ローラによるトナー封止の詳細な構成について述べる。図5に示すように、供給ローラ35は金属製の芯金35aと発泡ウレタン製の円筒状弾性体35bで構成されており、現像容器29の開口部に配置され、現像ローラ6に対してある当接の侵入量(オーバーラップ量)を持って当接している。現像ローラ6と供給ローラ35の芯金35aの両端部は、それぞれ現像容器29の駆動側と非駆動側の両側面に取り付けられた図4に示す軸受部材41(41R、41L)によって回転自在に支持されている。
【0036】
ここで、供給ローラ35は画像記録時以外には現像ローラ6に対するオーバーラップ量を変えることなく、図1(A)の破線に示すように矢印F方向へ移動され、現像ローラ6および現像容器29の内面と当接する封止位置(第1の位置)となる。
【0037】
次に画像記録時には、図1(A)に実線で示すように供給ローラ35を規定の位置に矢印E方向へ移動させることによって、供給ローラ35と現像容器29との間の隙間を開放し、供給ローラ35への安定したトナーの供給を行う(以下作動位置と称す)。
即ち、作動位置(第2の位置)では、供給ローラ35は現像容器29の内面に当接することなく現像ローラ6に当接する。
【0038】
供給ローラ35が封止位置(第1の位置)と作動位置(第2の位置)とを移動するための手段として代表的なものは、図1(B)、図6(A)に示すように構成されている。即ち、供給ローラ35は芯金35aを駆動側カバー部材24と非駆動側カバー部材25に設けられた移動ガイド49内に位置するように設ける。そして画像記録時以外は図6(A)の破線に示すように、圧縮バネ44によって現像容器29のトナー封止位置35cに付勢されている。図1(B)で、画像記録時には圧縮バネ44による付勢力とは逆向きにモータMから駆動伝達系101を介した装置本体からの力が掛かり、E方向に移動可能なストッパ45から力を受けることで、供給ローラ35は作動位置35d(図6(A))まで移動する。
【0039】
移動ガイド49は、カバー部材24、25でなく、図4に示す軸受部材41(41L、41R)に設けられていても良い。更に、供給ローラ35の現像容器29に対する付勢手段は圧縮バネに限らず引張りバネ等でも良く、また、封止位置と作動位置どちらで付勢しておいても良い。そして、外部からの規制は図6(A)に示したように加圧によるものではなくても、図6(B)に示すようにカムによる軸間ピッチの変更でも良い。即ち、供給ローラ35をトナー封止位置35cと作動位置35d間で移動させるために、供給ローラ移動用の駆動カム46aが回転することで供給ローラ軸35の芯金35a端部に設けられた受け部材46bとの軸間ピッチを変化させる。これにより、供給ローラ35の位置を移動させるものであるが、供給ローラ35の移動ガイド49の配置は上述したものと同様である。またカム46aは、図1(B)のストッパ45と同様に駆動用カバー部材24に設けられる。
【0040】
供給ローラ35に関し、封止位置で回転が停止され、作動位置で回転可能とさせる構成としては、図8(A)に示すように、現像入力ギア40に対し、供給ローラ35と同時に移動する供給ローラギア39をF方向へ直線移動させる。封止位置では、現像入力ギア40と供給ローラギア39の噛み合いが外れ、供給ローラ35は静止する。
【0041】
逆に、封止位置から作動位置へはE方向へ移動させるが、作動位置では現像入力ギア40に供給ローラギア39が噛み合い、供給ローラ35が回転可能となる。
【0042】
また、封止位置から作動位置へ移動する際の供給ローラ35への駆動伝達に関し、図8(B)に示すようにしても良い。即ち、供給ローラギア39が現像入力ギア40の中心周りに回転することで常に駆動伝達部との接続が繋がった状態のまま、封止位置と作動位置とを行き来する構成としても良い。この場合、封止位置でも供給ローラ35は回転可能で、供給ローラ35の円筒状弾性体35b(図5)が現像容器29の内面に対し接触回転することができる。
【0043】
《第2の実施形態》
図7に第2の実施形態における現像容器の断面図を示す。本実施形態では、供給ローラ35の現像ローラ6に対する当接の侵入量(オーバーラップ量)を作動位置と封止位置で変えることを特徴とする。即ち、実線で示す作動位置における供給ローラ35dのオーバーラップ量xに対し、破線で示す封止位置における供給ローラ35cのオーバーラップ量x´を小さくする。ここで、0<x´<xである。
【0044】
これにより、封止位置で供給ローラ35の回転駆動を行った場合、供給ローラ35cの現像ローラ6に対するオーバーラップ量x´がxに比べて小さいため、起動トルクを低く抑えることが出来る、即ち、起動時の負荷変動を小さくすることが可能となる。
【0045】
供給ローラ35が現像容器29と当接するために移動する距離をδとした場合、δ<xとされている。これは、供給ローラ35が現像容器29と当接する方向が、オーバーラップ量x´あるいはxが形成される方向と同じと仮定した場合、現像容器29と当接するために移動する距離δ’はx−x´と等しく、xより小さくなるということが配慮されている。本実施形態における供給ローラ35の移動に関する駆動伝達機構としては、第1の実施形態で説明したもののいずれも利用できる。
【0046】
《第3の実施形態》
図9に第3の実施形態における現像容器の断面図を示す。前述じた実施形態では、現像容器29がくびれ状となっており、くびれた位置に現像剤収容部50と現像室52とを連通している現像剤供給開口部51を備えていたが、本実施形態では現像容器29Aが寸胴状(ストレート状)となっている。そして、供給ローラ35からより遠い側の空間にある現像剤収容部50Aと、供給ローラ35からより近い側の空間にある現像室52Aの間に実質的に現像剤供給開口部51Aを備える。現像剤収容部50Aと現像室52は一体的な単一空間とも言えるが、上述したように別々の空間と捉えることができる。
【0047】
以上、電子写真画像形成装置について説明したが、本発明はこれに限らず、光を用いずに磁気あるいは電気を作用させて潜像を形成するものであっても良い。
【0048】
以上述べてきた実施形態によれば、現像剤供給開口部は常時開放されており、薄いシート部材のために衝撃で移動してくるトナーを抑え込むことが難しい可撓性シート部材37側へのトナーの移動を抑制できる。これにより、トナー漏れを防止でき、低コスト化を実現する現像装置、及びプロセスカートリッジを提供することができる。そして、トナーシールが無いため、トナーシール引きの作業が不要となり、ユーザビリティーが向上出来る。
【符号の説明】
【0049】
4・・感光体ドラム、6・・現像ローラ、9・・現像装置、35・・供給ローラ、35a・・供給ローラの芯金、45・・ストッパ、24・・駆動側カバー部材、49・・移動ガイド、50・・収容部、51・・現像剤供給開口部、52・・現像室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置に用いられる、現像剤を用いて前記像担持体に形成された潜像を現像剤像として現像する現像装置において、
現像剤を収容する現像剤収容部と現像室と前記現像剤収容部と前記現像室とを連通している現像剤供給開口部を備えた現像容器と、
前記現像室に回転可能に配設されていて前記像担持体に現像剤を適用する現像ローラと、
前記現像室に回転可能に配設されていて前記現像ローラに現像剤を供給するための弾性体を備えた現像剤供給ローラと、
前記現像容器に配設されていて前記現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する現像ブレードと、
前記現像容器に配設されていて前記現像ブレードと共に前記現像ローラと前記現像容器との隙間からの現像剤漏れを防止する可撓性シートと、
前記現像ローラの長手方向端部と前記現像容器との隙間からの現像剤漏れを防止する端部シール部材と、
を有し、前記現像剤供給開口部は常時開放されており、前記現像剤供給ローラは前記現像ローラと前記現像容器の内面に当接した第1の位置と前記現像ローラに当接し前記現像容器の内面には当接しない第2の位置との間で変位可能であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記現像剤供給ローラの前記第1の位置における前記現像ローラに対する当接の侵入量が前記第2の位置における前記現像ローラに対する侵入量よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
潜像が形成される像担持体と、現像剤を用いて前記像担持体に形成された潜像を現像剤像として現像する現像装置とを有し、画像形成装置の装置本体に取り外し可能に装着するプロセスカートリッジにおいて、前記現像装置は、
現像剤を収容する現像剤収容部と現像室と前記現像剤収容部と前記現像室とを連通している現像剤供給開口部を備えた現像容器と、
前記現像室に回転可能に配設されていて前記像担持体に現像剤を適用する現像ローラと、
前記現像室に回転可能に配設されていて前記現像ローラに現像剤を供給するための弾性体を備えた現像剤供給ローラと、
前記現像容器に配設されていて前記現像ローラに供給された現像剤の層厚を規制する現像ブレードと、
前記現像容器に配設されていて前記現像ブレードと共に前記現像ローラと前記現像容器との隙間からの現像剤漏れを防止する可撓性シートと、
前記現像ローラの長手方向端部と前記現像容器との隙間からの現像剤漏れを防止する端部シール部材と、
を有し、前記現像剤供給開口部は常時開放されており、前記現像剤供給ローラは前記現像ローラと前記現像容器の内面に当接した第1の位置と前記現像ローラに当接し前記現像容器の内面には当接しない第2の位置との間で変位可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
前記現像剤供給ローラの前記第1の位置における前記現像ローラに対する当接の侵入量が前記第2の位置における前記現像ローラに対する侵入量よりも小さいことを特徴とする請求項3に記載のプロセスカートリッジ。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図9】
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【図1】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−8198(P2012−8198A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−141624(P2010−141624)
【出願日】平成22年6月22日(2010.6.22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】