説明

現像装置および画像形成装置

【課題】 シール部材によりトナーの漏れを防止する現像装置において、現像ローラの両端部のシール部材との接触領域へのトナー漏れを抑制し、現像ローラの両端部からトナーが落下しないようにする。
【解決手段】 清掃手段を、シール部材と現像ローラが接触する領域S2であって、現像ローラ回転方向において現像ブレード下流側の位置に、内側先端より外側先端が現像ローラの回転上流方向になるように現像ローラに当接して配置するようにした。或いは、シール部材の内側の一部を切欠き、清掃手段を、前記切欠き領域S3の外側であって、現像ローラ回転方向において現像ブレード下流側の位置に、内側先端より外側先端が現像ローラの回転上流方向になるように現像ローラに当接して配置するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ、ファクシミリ、電子写真装置、複写機等の現像装置および画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の現像装置では、図7および図8に示したように、現像ブレード23と現像ローラ21、トナー供給ローラ22の両端部には、図示しないトナーを外部にもらさないようにスボンジ材からなるシール部材27が対称に設けてある。シール部材27は、スボンジ材からなるトナー供給ローラ22の軸22aの周囲を穴27aで密封し、端面27bを供給ローラ3の側面に押し当て、切れ目27cに現像ブレード23の先端部を挟み込み、剛性の高い第2のホルダプレート34bを逃げ、可擁性を有する現像ブレード23の端部に沿って配置することにより、密封性を保っている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平7−84452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の現像装置では、図9に示したように、現像ローラ21の両端部のシール部材27と接触する領域S2にトナーが漏れた場合、トナーが徐々に現像ローラ両端へ回り込み、最悪の場合、現像ローラ21の側面からトナーが漏れてしまうことがあった。
【0004】
また、現像ローラ21の側面まで達しないトナーも、現像ローラ21の端部とシール部材との間に徐々に溜まり飽和状態になると、現像部の下側にある印刷途中の用紙に落下し、用紙を汚したり、画像形成装置の内部に落下したトナーが用紙を汚したりすることにより、印刷品質が劣化するなどの問題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、前述の課題を解決するため次の構成を採用する。すなわち、現像ローラと現像ローラ上に均一のトナー層を形成する現像ブレードと、現像ローラ両端外周部にシール部材を備えた現像装置において、シール部材が接触する現像ローラ両端外周部であって、かつ現像ローラ回転方向において現像ブレード下流側に、清掃手段を設けた。
【発明の効果】
【0006】
本発明の現像装置によれば、現像ローラと現像ローラ上に均一のトナー層を形成する現像ブレードと、現像ローラ両端外周部にシール部材を備えた現像装置において、シール部材が接触する現像ローラ両端外周部であって、かつ現像ローラ回転方向において現像ブレード下流側に、清掃手段を設けたので、現像ローラ両端外周部に侵入するトナーを確実に除去することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明に係る実施の形態例を、図面を用いて説明する。なお図面に共通する要素には同一の符号を付す。
【実施例1】
【0008】
実施例1の現像装置は、シール部材が接触する現像ローラ両端外周部であって、現像ローラ回転方向において現像ブレードの下流側に、清掃部材を設けたものである。
【0009】
(画像形成装置の構成)
図1は、実施例1の画像形成装置を示す概略説明図である。図1において、画像形成装置1は、内部に画像形成ユニット2、用紙カセット3、定着器15、一点鎖線で示す搬送路6などを有している。用紙カセット3には、未印刷の用紙4が収納され、ホッピングローラ5がその上方に設けられている。搬送ガイドおよび複数の搬送ローラ7で構成される搬送路6は、画像形成装置1の左端に設けられたスタッカ16に通じている。
【0010】
画像形成ユニット2は、矢印A方向に回転可能に取り付けられた感光ドラム11の周りに、帯電ローラ12、LED(発光ダイオード)アレイヘッド9、現像ローラ21を有する現像装置20、転写ローラ8などが順に設けられて形成される。定着器15は、上側のヒートローラ15aと下側の加圧ローラ15bとで構成される。
【0011】
(印刷の動作)
感光ドラム11は、矢印A方向に一定速度で回転し、表面が帯電ローラ12により一様に帯電されて電荷が付与される。この帯電した感光ドラム11上には、LEDアレイヘッド9により画像光が照射され、静電潜像が形成される。この静電潜像は、感光ドラム11が矢印A方向に回転することにより、矢印B方向に回転する現像ローラ21と対向する位置に至り、ここで現像ローラ21の表面に付着し感光ドラム11の表面の帯電電位と同極性に帯電されたトナーが、静電潜像に付着されて可視像化(トナー像の形成)される。
【0012】
一方、ホッピングローラ5の矢印D方向の回転により繰り出された用紙4は、搬送ローラ7の矢印E方向の回転に伴い、感光ドラム11の回転とタイミングを合わせて転写ローラ8の上部に搬送される。そして、感光ドラム11上のトナー像は、転写ローラ8により用紙4上に転写される。この未定着トナー像を備えた用紙4は、定着器15まで搬走され、ヒートローラ15aと加圧ローラ15bとの間に挟まれて加熱、加圧されることにより、トナー像が用紙4上に定着して印刷が完了する。
【0013】
その後、用紙4は搬送路6上を搬送されて、スタッカ16に排出される。感光ドラム11上の静電潜像は、図示せぬ除電用光源の光照射により消去され、用紙4に転写されずに感光ドラム11上に残っているトナーは、図示せぬクリーニングローラにより除去、回収される。そして、次の画像形成工程に入り感光ドラム11は再び帯電ローラ12により帯電される。
【0014】
(現像装置の構成)
一方、現像装置20は、図2に示したように、トナー10が充填され、現像ローラ21、トナー供給ローラ22を覆うように現像ケース29が設けられ、現像ケース29にブレードホルダ24および支持部31が取り付けられ、トナー層厚規制部材である現像ブレード23、清掃部30が取り付けられている。そして、現像ケース29の下側には現像ローラ21上の使用済みトナーを回収するリカバリーシート25が取り付けられている。
【0015】
トナー供給ローラ22は、現像ローラ21と擦れ合いながら現像ローラ21と同方向、つまり矢印C方向に回転する。断面L字状の弾性板からなる現像ブレード23は、ブレードホルダ24にその一端が固定されており、自由端の角部23aは、一定の力で現像ローラ21に当接している。現像ブレード23は、現像ローラ21が矢印B方向に回転することにより、現像ローラ21の表面に付着したトナー10を薄層化する。現像ローラ21の表面で薄層となったトナー10は、上述したように感光ドラム11上の静電潜像に付着してトナー像となる。
【0016】
そして、図3および図4に示したように、現像ローラ21の左右の非印刷領域S2には、トナー供給ローラ22側に、トナー規制部材であるシール部材27が左右それぞれ接触して配置されている。シール部材27は、スポンジ材等の弾性材料からなっており、現像ローラ21のほぼ半円周に渡って接触するように所定の位置に固定されている。つまり、シール部材27が現像ローラ21の非印刷領域S2に接触する部分は、現像ローラ21の円周と同形状をしている。
【0017】
トナー供給ローラ22の長手方向の長さは、現像ローラ21の印刷領域S1の長さと同じになっており、トナー供給ローラ22の軸22aは、シール部材27を貫通している。左右それぞれのシール部材27の接触部近傍には、図7に示した従来の画像形成装置と同様に切込27cが設けられており、この切込27cに現像ブレード23の両端部が挿入され、現像ローラ21の下部においては、リカバリーシート25に接触するように構成され、現像装置内の現像ローラ21と現像ケース29の間からトナーが漏れることを防止している。
【0018】
そして、現像ローラ21の上部両端部には、清掃部30a、30bが左右それぞれ現像ローラ21に当接して設けられている。この清掃部30a、30bは、厚さ1.5mm程度のシート状のウレタンゴムでできており、先端のエッジ部が現像ローラ21の外周面にほぼ均等な押圧力で接触し、現像ローラ21の回転下流方向と25°程度の角度で、長手方向においては現像ローラ21軸に対して現像ローラ21の両端側が回転上流側となる方向に20°程度傾けて取り付けられている。
【0019】
また、清掃部30a、30bの現像ローラ21への押圧力は10g/mm程度に設定している。なお、前記清掃部30a、30bの厚さ、取付け角度、押圧力などは、各部材質、形状などによっても変化するので、機種毎に実験等により最適値を求めて設定するのがよい。
【0020】
(現像装置の動作)
以上の構成により、トナー供給ローラ22が矢印C方向に回転すると、摩擦帯電したトナー10は、半導電性を有する現像ローラ21に供給され、現像ローラ21の表面に付着し、矢印B方向に回転しながら、現像ブレード23により薄層化される。このとき、現像ローラ21の非印刷領域S2の表面は、シール部材27に接触した状態で摺動し、現像ローラ21と現像ブレード23との間を通り抜けなかった残りのトナー10が現像ローラ21の両端側(以下、「外側」という)へ流れようとするのを規制して、トナー10の横漏れを防止する。
【0021】
そして、現像ローラ回転方向において現像ブレード23の下流側に配置した左右の清掃部30a、30bにより、シール部材27により横漏れを防止し切れなかったトナー10'を、現像ローラ21の回転とともに図3矢印T方向に移動させ、印刷領域S1方向に押し戻し、印刷領域S1上のトナーに合流させる。
【0022】
(実施例1の効果)
以上詳細に述べたように、実施例1の現像装置によれば、シール部材が接触する現像ローラ両端外周部であって、現像ローラ回転方向において現像ブレード下流側に、トナー清掃部材を設けたので、現像ローラ両端外周部に侵入するトナーを確実に除去することができる。
【実施例2】
【0023】
実施例2の現像装置は、シール部材の印刷領域側を一部切り欠き、当該切り欠いた部分の現像ローラ両端側であって、現像ローラ回転方向において現像ブレード下流側に、トナー清掃部材を設けたものである。
【0024】
画像形成装置の構成および印刷の動作は、実施例1の画像形成装置と同様であるので、簡略化のためにその詳細な説明は省略する。
【0025】
(現像装置の構成)
現像装置の構成は、実施例2の現像装置20の清掃部32、シール部材33の構成以外は、実施例1と同様であるので、簡略化のためにその説明を省略する。
【0026】
実施例2の現像装置20のシール部材33は、図5および図6に示したように、実施例1と同様の位置に配置され、図6下側に示したように、現像ローラ21の下側の幅が、上側の幅よりS3の幅分、狭くなった形状となっている。
【0027】
そして、実施例2の現像装置20の清掃部32a、32bは、実施例1と同様の位置に配置されるが、その形状は、シール部材33と現像ローラの接触領域S2からシール部材33の切欠き部33aの幅S3を引いた幅、すなわちS2−S3の幅で、それぞれ内側の一端が外側の一端に対し現像ローラ21の回転方向上流に向くように支持部31に固定されている。なお、清掃部32a、32bの幅は、正確にS2−S3とする必要はなく、配置した際に、最悪でも一端が切欠き部33aの領域内に入るようにすればよい。
【0028】
前記清掃部32a、32bは、厚さ1.5mm程度のシート状のウレタンゴムでできており、先端のエッジ部が現像ローラ21の外周面にほぼ均等な押圧力で接触し、現像ローラ21の回転下流方向と25°程度の角度で、長手方向においては現像ローラ21軸に対して現像ローラ21の両端側が回転上流側となる方向に20°程度傾けて取り付けられている。
【0029】
また、清掃部32a、32bの現像ローラ21への押圧力は、10g/mm程度に設定している。なお、前記清掃部32a、32bの厚さ、取付け角度、押圧力などは、各部材質、形状などによっても変化するので、機種毎に実験等により最適値を求めて設定するのがよいことは、実施例1と同様である。
【0030】
(現像装置の動作)
以上の構成により、トナー供給ローラ22が矢印C方向に回転すると、摩擦帯電したトナー10は、半導電性を有する現像ローラ21に供給され、現像ローラ21の表面に付着し、矢印B方向に回転しながら、ブレード21により薄層化される。このとき、現像ローラ21の非印刷領域S2の表面は、シール部材33に接触した状態で摺動し、現像ローラ21と現像ブレード23との間を通り抜けなかった残りのトナー10が外側へ流れようとするのを規制して、トナー10の横漏れを防止する。
【0031】
そして、現像ローラ回転方向において現像ブレード23の下流側に配置した左右の清掃部32a、32bにより、シール部材27により横漏れを防止し切れなかったトナー10'を、現像ローラ21の回転とともに図5矢印T方向に移動させ、シール部材33の切欠き領域S3に押し戻され、押し戻されたトナーは、下側に配置されているリカバリーシート25をすり抜けてシール部材27の切欠き部33aによりトナールーム26へと戻される。
【0032】
(実施例2の効果)
以上詳細に述べたように、実施例2の現像装置によれば、シール部材の印刷領域側を現像ローラ長手方向に一部切り欠き、当該切り欠いた部分の現像ローラ両端側であって、現像ローラ回転方向において現像ブレード下流側に、トナー清掃部材を設けたので、現像ローラ両端外周部に侵入するトナーを確実に除去することができるとともに、清掃手段の一端を前記切欠き領域に配置すればよいので、印刷領域と非形成領域の境界に精度よく取り付ける必要がなく、組立てが容易となる。
【0033】
(その他の変形例)
以上の実施例1および実施例2の説明では、清掃手段30、32を、現像ローラ21の上側に配置するように説明したが、シール部材と現像ローラが接触している位置以外であれば、現像ローラ21の下側に配置してもよいし、シール部材がない構成の現像装置にあっては、現像ローラ両端外周部のいずれの位置に配置してもよい。
【0034】
また、実施例2の説明では、図6の下側破線部のようにシール部材33の一部に切欠き部33aを設けるように説明したが、リカバリーシート25より現像ローラ回転方向の上流側で、シール部材33と現像ローラ21が接触する位置であれば、いずれの部分に切欠き部を設けるようにしてもよい。例えば、現像ローラ21とトナー供給ローラ22の接点付近まで切欠き部を設けてもよいし、連続した切欠き部ではなく、現像ローラ21方向の所定の幅だけ切り欠いた切欠き部とするようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
以上述べたように、本発明は、トナーなどの現像剤を用いて現像、印刷を行うプリンタ、ファクシミリ、電子写真装置、複写機等の現像装置および画像形成装置に広く用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施例の画像形成装置の構成図である。
【図2】実施例の現像装置の構成図である。
【図3】実施例1の現像装置の構成図である。
【図4】実施例1のシール部材周辺の構成図である。
【図5】実施例2の現像装置の構成図である。
【図6】実施例2のシール部材周辺の構成図である。
【図7】従来の現像ブレード端部の分解斜視図である。
【図8】従来の現像ブレード端部の組立後の斜視図である。
【図9】従来のシール部材周辺の構成図である。
【符号の説明】
【0037】
2 画像形成ユニット
10、10' トナー
20 現像装置
21 現像ローラ
22 トナー供給ローラ
23 現像ブレード
25 リカバリーシート
27、33 シール部材
30a、30b、32a、32b 清掃部
33a 切欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像ローラと当該現像ローラ上に均一のトナー層を形成する現像ブレードと、当該現像ローラ両端外周部にシール部材を備えた現像装置において、
前記シール部材が接触する前記現像ローラ両端外周部であって、かつ前記現像ローラ回転方向において前記現像ブレード下流側に、清掃部材を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記シール部材の一部を前記現像ローラ長手方向に切り欠いた切欠き部を設けたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1および請求項2記載の現像装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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