説明

現像装置及びこれを備えた画像形成装置

【課題】静電潜像エッジ部のやせ現象を抑制することができる現像装置、及び、この現像装置を備えることにより、高速印字と高画質を両立させた画像形成装置を提供する。
【解決手段】移動する像担持体1の表面12上に形成される静電潜像が、現像領域Eで現像剤によって現像剤像として可視化されて現像される現像装置4であって、基材上に所定の間隔をおいて配列された複数の進行波発生電極41bを有し、互いに異なる位相の複数種の交番電圧が各進行波発生電極41bに印加されることにより形成される進行波電界によって現像剤が現像領域Eに搬送される現像剤搬送部材41を備えた現像装置4に、像担持体1が移動する方向における現像領域Eの下流側に配設されると共に、交番電圧成分を含む電圧が印加される画像補正部材49を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、像担持体上に形成される静電潜像を現像剤によって現像する現像装置及び画像形成装置に関し、特に、進行波電界を用いて現像剤を搬送し、像担持体上に形成された静電潜像を顕画化する現像装置、及び、この現像装置を備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の電子写真プロセスを用いた画像形成装置に適用される現像装置としては、現在、像担持体(感光体)に現像剤担持体を接触させずに現像を行なう非接触方式の現像装置が注目されており、パウダークラウド法、ジャンピング法又は電界カーテン(進行波電界)を利用した方法が提案されている。
【0003】
電界カーテンを用いた装置としては、例えば、互いに位相が異なる複数種の交番電圧を発生する電源と、基材上に所定の間隔をおいて配列された複数の電極に上記電源からの交番電圧を印加することにより進行波電界を形成することによって、現像剤を像担持体に向けて搬送させる現像剤搬送部材とを備えた現像装置が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照)。
【0004】
又、進行波電界を利用した技術に関して、本出願人は、現像剤搬送部材と像担持体との現像ギャップdと、現像剤搬送部材における電極間ピッチλの関係をd>λとすることで、画像の均一性向上を図る現像装置(例えば、特許文献3参照)や、エッジ効果を軽減して画像品位を向上させる目的で現像ギャップと像担持体膜厚、現像電位条件等の適切な設定を行なうことを提案している(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
さらに、本出願人は、FPC(フレキシブル回路基板)等からなる現像剤搬送部材上に直接現像剤供給を行ない、その現像剤搬送部材から発生させた進行波電界を用いた現像剤搬送方法における問題点を解決する方法として、現像剤搬送部材を覆った状態で現像剤搬送方向に移動するベルト部材により現像剤を供給するように構成するとともに、そのベルト部材の表面をクリーニング部材によって常にリフレッシュすることにより、現像剤の搬送機能の安定化を図れるようにした現像装置を提案している(例えば、特許文献5参照)。
【特許文献1】特公平5−31146号公報(明細書2頁右欄20行〜3頁右欄5行、図1,図2)
【特許文献2】特公平5−31147号公報(明細書2頁左欄29行〜4頁右欄21行、図1,図2)
【特許文献3】特開2003−5524号公報
【特許文献4】特開2003−228236号公報
【特許文献5】特開2002−91160号公報(段落〔0032〕〜〔0034〕、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、進行波電界により現像剤をクラウド状にして搬送し、像担持体と非接触状態で現像を行なう場合、現像剤の搬送条件と現像ギャップの設定によっては、以下のような問題が発生する。
【0007】
近年、インクジェットプリンタ等に代表される写真に匹敵する高画質な画像形成装置が開発され、現像剤を用いた画像形成においても更に高画質化が要求されている。又、定着工程における省エネルギー化、ランニングコストの低減、さらには現像剤容器の体積減による装置の小型化を行なうために、必要な濃度を維持しつつ、現像剤の消費量を少なくする試みがなされている。これを達成するための一つの技術的な手法は、現像剤粒子をより小粒径化し、かつ、現像剤中の着色剤(例えば、カーボンブラックや、有機顔料等)の含有率を高め、記録紙上での画像の厚みを薄くして、より高品位な画像形成を行なう動向にある。このような画像形成を行なうにあたっては、像担持体上に現像剤像を形成する段階において、従来よりも少ない量の現像剤を均一に薄層現像する必要がある。
【0008】
本発明人らが研究を進めたところ、おおよそ現像剤1〜2層分に相当する量の薄層の現像を行なうことによって発生する新たな課題を見出した。ここでいう薄層現像時の像担持体上への現像剤量は、現像剤の体積平均粒径をR(μm)とすると、R×0.1(mg/cm2)以下程度である。又、上記特許文献4には、現像ギャップが広すぎる場合に静電潜像エッジ部に現像剤が集まって画像の輪郭が太る現象を抑制することを主眼にした考えが記載されている。これは現像する現像剤量が比較的多い場合には、現像ギャップを狭める方向の条件設定により、基本的には良好な結果を与える。
【0009】
しかしながら、上述したように、薄層の現像においては、適正範囲内であっても比較的広い現像ギャップ条件では、画像のエッジ付近が現像されず、画像の輪郭部がやせる、即ち、上記特許文献4に記載の技術とは逆の挙動を示すことがある。
【0010】
この薄層現像を行なった際の静電潜像エッジ部のやせ現象を軽減する方策としては、更に現像ギャップを狭める条件設定が有効である。一方、上記の文献3においては、現像ギャップを現像剤搬送部材の電極ピッチよりも大きくすることで、各電極に印加されている電圧変化の影響を受けることで発生する濃度ムラを抑制し、静電潜像エッジ部のやせや地カブリを抑制する考えが開示されている。これによれば、エッジやせを軽減すべく、現像ギャップを狭くする前提として、現像剤搬送部材の電極間ピッチを狭く設定する必要があるが、そうすると、現像剤の搬送能力が低下する問題が発生し、これは高速印字への対応性が低下することにつながる。
【0011】
そこで、この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであって、高速印字の観点から現像剤搬送部材の電極間ピッチを狭く設定することなく、即ち、現像ギャップを狭くする方法を用いずに、静電潜像エッジ部のやせ現象を抑制することができる現像装置、及び、この現像装置を備えることにより、高速印字と高画質を両立させた画像形成装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
現像剤の搬送に進行波電界を利用する現像装置としては、上述したように、進行波発生電極を有する現像剤搬送部材のみを備えた現像装置と、該現像剤搬送部材のほか、該現像剤搬送部材の表面を覆い、且つ、該表面上を現像剤搬送方向に移動するベルト部材を備えた現像装置とに大別される。本発明の現像装置は、このいずれの現像装置としても構成することができる。
【0013】
まず、現像剤搬送部材のみを備えた本発明の現像装置は、移動する像担持体の表面上に形成される静電潜像が、現像領域で現像剤によって現像剤像として可視化されて現像される現像装置であって、基材上に所定の間隔をおいて配列された複数の進行波発生電極を有し、互いに異なる位相の複数種の交番電圧が各進行波発生電極に印加されることにより形成される進行波電界によって現像剤が現像領域に搬送される現像剤搬送部材を備えた現像装置において、像担持体が移動する方向における現像領域の下流側に配設されていると共に、交番電圧成分を含む電圧が印加される画像補正部材を備えており、現像剤像に付着している現像剤で静電潜像が画像補正部材の発生する電界によって再配置現像されることを特徴としている。又、上記の現像装置において、画像補正部材は、現像剤の搬送方向の下流側に配設するのが好ましい。
【0014】
上記の現像装置によれば、従来、像担持体の静電潜像のエッジ付近の電界の回りこみの影響を受けて多く生じていた現像剤像のエッジやせを抑制することができる。即ち、上記の現像装置では、現像領域における像担持体移動方向の下流側に画像補正部材を配置し、この画像補正部材に交番電圧を印加することで、静電潜像エッジ部に偏った現像剤像を一旦引き剥がし、再度像担持体に付着させて静電潜像を再配置現像する。この際、画像補正部材による強い交番電界の作用で、静電潜像エッジ部にも現像剤を付着させることが可能となり、静電潜像エッジ部の画像欠陥を補正することができる。又、画像濃度の均一化や地かぶりの除去等の効果も生じる。
【0015】
上記の現像装置において、画像補正部材へ印加される電圧の交番電圧成分のピークツーピーク電圧をVPP、直流電圧成分をVDCとすると、
画像補正部材49への印加電圧の絶対値の最大値は、Vmax=|VDC|+1/2VPP
画像補正部材49への印加電圧の絶対値の最小値は、Vmin=|VDC|−1/2VPP
となる。そこで、像担持体の表面の非画像部の電位をV0とし、像担持体の表面の画像部の電位をVLとし、
X=(Vmax)−|VL|=(|VDC|+1/2VPP)−|VL|
Y=|V0|−(Vmin)=|V0|−(|VDC|−1/2VPP)
とすると、画像補正部材へ印加される電圧の交番電圧成分のピークツーピーク電圧VPP、及び、直流電圧成分VDCは、X>Yを満たすような電圧とするのが好ましい。
【0016】
上記のXは、像担持体の表面上に静電潜像が形成されている部分である画像部と画像補正部材との間の最大電位差であり、Yは、像担持体の表面上に静電潜像が形成されていない部分である非画像部と画像補正部材との間の最大電位差である。上記のX>Yを満たすことにより、現像剤像に付着している現像剤により再配置現像する際に、所望の極性の現像剤に対して現像する方向の電界を強めることができ、画像濃度の低下を防止することができる。X>Yを満たさないと、像担持体上の現像剤像に付着している現像剤の画像補正部材へ移動する量が多くなり、現像領域における現像に使用される現像剤量が減少し、画像濃度の低下を生じやすくなるからである。
【0017】
上記の現像装置において、画像補正部材が、円筒形状でその軸が像担持体の表面と略平行に配設されており、像担持体の表面の移動方向と、画像補正部材における像担持体の表面と対面している表面の移動方向とが、逆になるように回転するように構成するのが好ましい。このようにすることにより、画像補正部材と像担持体間で飛翔している現像剤の飛散を抑制することができる。
【0018】
又、上記の現像装置において、画像補正部材に付着した現像剤を取り除く除去部材を備えるようにしてもよい。このようにすることにより、画像補正部材に付着した現像剤を回収して再利用することができる。
【0019】
次に、現像剤搬送部材とベルト部材とを備えた本発明の現像装置は、上記の現像剤搬送部材のみを備えた本発明の現像装置に、該ベルト部材を備えることで構成することができる。即ち、現像剤搬送部材とベルト部材とを備えた本発明の現像装置は、現像剤搬送部材のみを備えた上記の本発明の各現像装置において、現像剤搬送部材の表面を覆い、且つ、該表面上を現像剤搬送方向に移動するベルト部材を備えており、該ベルト部材上に現像剤層が形成されると共に、該ベルト部材は、現像剤搬送部材により進行波電界が形成される領域に、現像剤層の現像剤を移送するように構成されている。
【0020】
上記の現像剤搬送部材とベルト部材とを備えた本発明の現像装置において、画像補正部材は、円筒形状でその軸が像担持体の表面と略平行に配設されており、像担持体の表面の移動方向と、画像補正部材の像担持体の表面と対面している表面の移動方向とが、逆になるように回転していると共に、ベルト部材に当接して配設するようにしてもよい。
【0021】
このようにすることにより、進行波発生電極とベルト部材のベルトとの密着性を向上させることができ、安定した現像剤搬送を行なうことができる。
【0022】
又、上記の現像剤搬送部材とベルト部材とを備えた本発明の現像装置において、ベルト部材を介して画像補正部材と対向する位置に捕集電極を備えており、画像補正部材に付着した現像剤が捕集電極の発生する電界によってベルト部材へ移動して付着するようにしてもよい。
【0023】
このようにすることにより、画像補正部材に付着した現像剤をベルト部材の方に引き付けることができ、画像補正部材に付着した現像剤を取り除きやすくすることができることから、画像補正部材に現像剤が固着するのを防止でき、画像補正部材の長寿命化を図ることができる。
【0024】
又、上記の本発明の各現像装置を用いて画像形成装置を構成することができる。この画像形成装置では、該画像形成装置に使用されている現像装置において、像担持体上の現像剤像のエッジやせを抑制すると共に、現像領域における現像に使用される現像剤量の減少を抑制し、画像濃度の低下を抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の現像装置によれば、交番電圧成分を含む電圧が印加される画像補正部材が、現像領域内の像担持体が移動する方向の下流側に配設されていると共に、画像補正部材は現像剤の搬送方向の下流側に配設されているので、従来、像担持体の静電潜像のエッジ付近の電界の回りこみの影響を受けて生じることが多かった現像剤像のエッジやせを抑制することができると共に、さらに現像工程前の現像剤の搬送状態を乱すようなこともなく、安定した画像形成を行なうことができる。
【0026】
又、本発明における画像補正部材へ印加される電圧の交番電圧成分のピークツーピーク電圧をVPP、直流電圧成分をVDC、像担持体の非画像部の電位をV0、同じく画像部の電位をVLとし、X=(|VDC|+1/2VPP)−|VL|、Y=|V0|−(|VDC|−1/2VPP)とすると、X>Yを満たすことで、現像剤像に付着している現像剤により再配置現像する際に、所望の極性の現像剤に対して現像する方向の電界を強めることができ、現像領域における現像に使用される現像剤量の減少を抑制し、画像濃度が低下するのを抑えることができる。
【0027】
又、本発明の画像形成装置によれば、該画像形成装置に使用されている現像装置において、像担持体上の現像剤像のエッジやせを抑制すると共に、現像領域における現像に使用される現像剤量の減少を抑制し、画像濃度の低下を抑制できるので、高速印字と高画質を両立させた画像形成装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。
【0029】
<実施形態1>
図1は、実施形態1における本発明の現像装置を備えた画像形成装置Xの構成を示す図である。画像形成装置Xの内部には、像担持体としての円筒状の像担持体ドラム1が設けられている。この像担持体ドラム1を中心として、その周囲に、帯電部材2、露光部材3、現像装置4、転写部材5、クリーニング部材6及び除電部材7がこの順で配設されている。
【0030】
又、像担持体ドラム1と転写部材5との間には、記録媒体としての用紙(PPC用紙等)Pが搬送される用紙搬送路が配設されている。その用紙搬送路の搬送方向から見て像担持体ドラム1の下流側には、上下一対の定着部材81,81を備えた定着装置8が配設されている。
【0031】
電子写真プロセスでは、像担持体ドラム1に原稿像、あるいはホストコンピュータ(図示せず)等から取り込んだデータに対応した静電潜像が形成され、その静電潜像が現像装置4によって現像(可視化)され、用紙P上に転写されて画像形成が行われる。
【0032】
像担持体ドラム1は、導電性基体11上に光導電層12が形成されており、帯電部材2から上記各部材3〜7の配置順に従って(図1の矢印D1方向)回転可能となっている。
【0033】
まず、像担持体ドラム1の表面(光導電層12)は、帯電部材2によって所定の電位となるまで帯電される。所定電位まで帯電された像担持体ドラム1の表面は、像担持体ドラム1の回転によって露光部材3の位置まで到達する。この露光部材3は書き込み手段であり、画像情報に基づいて、例えばレーザ光等の光によって帯電している像担持体ドラム1の表面上に画像を書き込む。これによって、像担持体ドラム1上に静電潜像が形成される。静電潜像が形成された像担持体ドラム1の表面は、その像担持体ドラム1の回転によって現像装置4の位置まで到達する。
【0034】
現像装置4では、現像剤搬送部材41上を搬送される現像剤(トナー)Tによって、像担持体ドラム1の表面の静電潜像を現像剤像として現像する。現像剤Tが担持された像担持体ドラム1の表面は、この像担持体ドラム1の回転によって転写部材5の位置まで到達する。
【0035】
転写部材5は、像担持体ドラム1の表面上の現像剤Tを用紙P上に転写する。像担持体ドラム1から用紙P上に転写された現像剤像は定着装置8によって用紙P上に定着される。
【0036】
現像剤像が転写された後の像担持体ドラム1の表面は、この像担持体ドラム1の回転によってクリーニング部材6の位置まで到達する。クリーニング部材6は、像担持体ドラム1の表面に残留している現像剤Tや紙粉等を除去する。クリーニング部材6によってクリーニングされた像担持体ドラム1の表面は、この像担持体ドラム1の回転によって除電部材7の位置まで到達する。
【0037】
除電部材7は、像担持体ドラム1の表面に残留している電位を除去する。そして、上述した一連の動作によって一回の画像形成が終了する。
【0038】
像担持体ドラム1としては、例えばアルミニウム等で製作された導電性基体(金属ドラム)の外周面に、アモルファスシリコン(a−Si)、セレン(Se)や有機光半導体(OPC)等の光導電層が薄膜状に形成されてなる構成が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0039】
帯電部材2としては、例えばタングステンワイヤ等の導電線、金属性のシールド板、グリッド板からなるコロナ帯電器や帯電ローラ、帯電ブラシ等の構成が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0040】
露光部材3としては、例えば半導体レーザや発光ダイオード等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0041】
転写部材5としては、例えば、コロナ転写器、転写ローラ、転写ブラシ等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0042】
クリーニング部材6としては、クリーニングブレード等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0043】
除電部材7としては、除電ランプ等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0044】
次に、本実施形態1における現像装置4について説明する。この現像装置4は、図2に示すように、ケーシング40、現像剤搬送部材41、ミキシングパドル42、支持部材43、現像剤供給部材44、現像剤回収部材45、現像剤層厚規制部材46、画像補正部材49、及び、除去部材50等によって構成されている。
【0045】
ケーシング40は、現像剤Tを内部に収容するものであり、又、必要に応じて現像装置4を構成する部材を支持するものである。
【0046】
ミキシングパドル42は、ケーシング40内に収容されている現像剤Tを混合するためのものであり、矢印D2の方向に回転する。
【0047】
現像剤搬送部材41は、像担持体ドラム1の現像領域Eに対向し、若干傾斜した略平面状の部材である。尚、図2では現像剤搬送部材41として略平面状のものを示しているが、現像剤搬送部材の形状は、これに限定されるものではなく、例えば、半円弧状又は緩やかな曲面を形成するような形状であっても構わない。
【0048】
又、現像剤搬送部材41が上記配置を保持できるように、現像剤Tを搬送する表面と反対側の表面に、現像剤搬送部材41を保持する支持部材43がケーシング40に設けられている。
【0049】
現像剤搬送部材41の下方端部には、現像剤搬送部材41の表面上を搬送される現像剤Tを供給する現像剤供給部材44が設けられており、この現像剤供給部材44は矢印D3の方向に回転する。現像剤搬送部材41の上方端部には、現像剤搬送部材41の表面の未使用現像剤Tをケーシング40内部に収容するための現像剤回収部材45が設けられている。尚、この例では、現像剤回収部材45が現像剤搬送部材41の表面に回転可能に接触している形態としているが、これに限定されるものではなく、非接触の形態や回動しない形態であってもよい。
【0050】
現像剤供給部材44は、ケーシング40内に収容されている現像剤Tを現像剤搬送部材41に供給するためのものであり、現像剤搬送部材41に所定の圧力で当接した状態で設けられている。現像剤供給部材44と現像剤搬送部材41との接触圧力は、ばね等により所望の接触圧力が与えられるようにしてもよいし、現像剤供給部材44及び現像剤搬送部材41の弾性率を調整して両者の位置関係を制御するようにしてもよい。現像剤供給部材44には、その表面上に形成する現像剤層の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材46が当接している。
【0051】
現像剤供給部材44の材質としては特に限定されるものではないが、例えば、シリコーン、ウレタン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−メチレン共重合体)等のソリッドゴム、発泡ゴム等が挙げられる。又、カーボンブラックやイオン導電剤を添加することによって導電性を付与してもよい(電圧印加も可能)。尚、現像剤供給部材44と現像剤搬送部材41に印加する電圧値を適切な値に設定し、現像剤供給部材44に現像剤Tを帯電させる機能を付加するようにしてもよい。又、現像剤供給部材44の前段に、例えば薄板状のブレード(材料としては、現像剤供給部材44と同じものが使用可能)を設けて現像剤Tを帯電させるようにしても構わない。
【0052】
現像剤回収部材45は、像担持体ドラム1上の静電潜像の現像に寄与しない現像剤Tを回収してケーシング40内に戻すためのものであり、矢印D4の方向に回転する。その材質としては、特に限定されないが、例えば現像剤供給部材44と同様のものを使用することができる。
【0053】
支持部材43は、現像剤搬送部材41を像担持体ドラム1の現像領域Eに対向した状態を保持するためのもので、その構成は特に限定されるものではない。例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂等を挙げることができる。
【0054】
現像剤搬送部材41は、電界カーテン作用により現像剤Tを搬送するものであり、図3に示すように、絶縁層からなる基材41a上に、電界カーテン作用を発生させる進行波発生電極41bが、4本を1組として複数組が順次連続して配設されている。この現像剤搬送部材41の表面側は表面保護部材41cによって覆われている。又、現像剤搬送部材41は、現像剤搬送部材41と像担持体ドラム1の表面の光導電層12との間のギャップ1(図2、図3のd1)が、0.1mm〜1mmとなるように配設されている。
【0055】
そして、現像剤搬送部材41の進行波発生電極41b,・・,41bに、現像多相交流電源47として、例えば図4に示すような多相の交流電圧が印加されることにより、現像剤搬送部材41の表面に平行となる方向に電界カーテンが発生する。この電界カーテンの作用によって、現像剤Tを下方から上方に向かって(図2の矢印Cの方向)現像領域Eまで搬送するようになっている。即ち、現像領域E付近では、像担持体ドラム1の表面の移動方向と、現像剤Tの搬送方向とは同じ方向である。又、進行波発生電極41b,・・,41bには現像バイアス直流電源48にてバイアス電圧が印加される。
【0056】
現像剤搬送部材41の具体例な構成材料としては、例えば、基材41aとしてポリイミド(厚さ25μm)を、進行波発生電極41bとして銅(厚さ18μm)を、又、表面保護層41cとしてポリイミド(厚さ25μm)を用いることができる。
【0057】
進行波発生電極41bは、約50dpi(dot per inch)〜300dpi、即ち、約500μm〜85μmのピッチの間隔(図3のλ)を保って互いに平行に配置されており、電極ピッチにもよるが幅(図3のW)は40〜250μm程度の微小電極となっている。
【0058】
尚、この例では、4本の微小電極41bを1組とし、これら各組の進行波発生電極41bに対して、例えば図4に示すような電圧波形の4相の交番電圧を印加し、進行波発生電極41b,・・,41b上に進行波電界を形成しているが、特にこれに限定されるものではなく、3本の微小電極を1組として3相の交番電圧を印加しても構わない。
【0059】
上記電圧波形は正弦波や台形波等でもよく、電圧値の範囲としては100V〜3kV程度が好ましい。又、周波数の範囲としては、100Hz〜5kHzが好ましい。但し、これらの電圧値や周波数については、進行波発生電極41bの形状、現像剤Tの搬送速度、現像剤Tの使用材料等によって適性値を設定すればよく、特に限定されるものではない。
【0060】
進行波発生電極41bを用いた電界カーテン(進行波電界)を利用する方法は、ジャンピング法等とは異なり、現像方向の強い振動電界が無いため、ソフトな非接触現像を行なうことができる。そのため、像担持体上の微小な潜像での弱い電界変化に対する現像剤の追従が優れ、高解像化に対して良好な特性を示す。
【0061】
画像補正部材49は、本発明の特徴的な構成要素である。この画像補正部材49は、図2に示すように、形状が円筒形状のローラで金属製であり、このローラの軸は、像担持体ドラム1の表面と平行、即ち、像担持体ドラム1の中心軸と平行に配設される。又、画像補正部材49は、像担持体ドラム1と現像剤搬送部材41との間に形成される現像領域Eにおける像担持体ドラム1の回転方向の下流側に、像担持体ドラム1と現像剤搬送部材41とのいずれにも非接触状態で設けられる。この画像補正部材49が配設される位置は、現像剤搬送部材41によって搬送される現像剤Tの搬送方向の下流側でもある。
【0062】
又、画像補正部材49は、像担持体ドラム1の表面と画像補正部材49とのギャップ2(図2のd2)が、数十μm〜数百μm、望ましくは100〜500μmとなるように配設される。又、画像補正部材49は、図示されていない駆動装置により、像担持体ドラム1と同じ方向(図2の矢印D5の方向)に回転する。従って、相互に対面する像担持体ドラム1の表面と画像補正部材49の表面とは、互いに逆方向に移動する。
【0063】
画像補正部材49には、直流に交流を重畳した電圧が印加される。即ち、画像補正部材49には、画像補正多相交流電源49aと画像補正バイアス直流電源49bとが直列に接続される。画像補正バイアス直流電圧としては、例えば、トナーが負帯電の場合、マイナス数百ボルト程度、画像補正多相交流電圧としては、数百ボルト〜数キロボルト程度、又、その周波数としては、数百ヘルツ〜数キロヘルツ程度である。
【0064】
この電圧印加により、次のような効果を得ることができる。従来、図5に示すように、像担持体ドラム1の表面に形成された静電潜像の現像剤像では、そのエッジ部12a付近における電界の回りこみの影響を受けて、現像剤像のエッジやせが多く生じていた。この現像剤像のエッジやせを、上記の電圧印加により抑制することができる。即ち、図6に示すように、画像補正部材49に交番電圧を印加することで、像担持体ドラム1上の静電潜像のエッジ部12aに偏った現像剤像Tを一旦引き剥がし、再度像担持体ドラム1に付着させて静電潜像を再配置現像する。この際、画像補正部材49による強い交番電界の作用で、静電潜像エッジ部12aにも現像剤Tを付着させることが可能となり、静電潜像エッジ部12aの画像欠陥を補正することができる。又、画像濃度の均一化や地かぶりの除去等の効果も生じる。
【0065】
画像補正部材49に印加する電圧としては、次のような条件を満たすのが好ましい。それは、画像補正部材49に印加する交番電圧成分である画像補正多相交流電源49aのピークツーピーク電圧をVPPとし、直流電圧成分である画像補正バイアス直流電源49bのバイアス電圧をVDCとすると、VPP及びVDCは、次の条件を満たすような電圧である。
【0066】
即ち、
画像補正部材49への印加電圧の絶対値の最大値は、Vmax=|VDC|+1/2VPP
画像補正部材49への印加電圧の絶対値の最小値は、Vmin=|VDC|−1/2VPP
となり、又、像担持体ドラム1の表面の非画像部の電位をV0とし、同じく画像部の電位をVLとし、
X=(Vmax)−|VL|=(|VDC|+1/2VPP)−|VL|
Y=|V0|−(Vmin)=|V0|−(|VDC|−1/2VPP)
とすると、VPP及びVDCは、X>Yを満たすような電圧とするのである。
【0067】
例えば、像担持体ドラム1の回転速度が100mm/秒、ギャップ2(d2)が150μm、画像補正多相交流電源49aの周波数が1kHz、V0=−600(V)、VL=−50(V)の場合に、VPP=1000(V)、VDC=−500(V)、とすると、X=950(V)、Y=600(V)となり、X>Yを満たす。図7は、この場合の各電圧の状況を示したものである。
【0068】
上記の条件を満たすことにより、次のような効果を奏する。即ち、上記のXは、像担持体の表面上に静電潜像が形成されている部分である画像部と画像補正部材49との間の最大電圧であり、Yは、像担持体ドラム1の表面上に静電潜像が形成されていない部分である非画像部と画像補正部材49との間の最大電圧である。X>Yを満たすことにより、現像剤像に付着している現像剤により再配置現像する際に、現像する方向の電界を強めることができ、画像濃度の低下を防止することができるのである。X>Yを満たさないと、像担持体上の現像剤像に付着している現像剤の画像補正部材49へ移動する量が多くなり、現像領域Eにおける現像に使用される現像剤量が減少し、画像濃度の低下を生じやすくなるからである。
【0069】
除去部材50は、一種のスクレパーであり、画像補正部材49に付着した現像剤を除去するために設けられている。この除去部材50により、画像補正部材49に付着した現像剤を容易に除去することができ、現像剤搬送部材やベルト部材に回収することができる。
【0070】
本実施の形態1では、画像補正部材49は金属製のローラであるが、放電防止のためにローラの表面をフッ素系やシリコーン系の材料でコーティングするようにしてもよく、或いは、導電性のゴムローラを用いるようにしてもよい。このようにすることにより、画像補正部材49に付着した現像剤Tを除去しやすくすることができる。
【0071】
又、上述したように、相互に対面する像担持体ドラム1の表面と画像補正部材49の表面とは、互いに逆方向に移動しているので、画像補正部材49と像担持体ドラム1との間で飛翔している現像剤Tの飛散を抑制することができる。
【0072】
又、上述したように、画像補正部材49が配設される位置は、像担持体ドラム1の回転方向の現像領域Eの下流側であり、この位置は、現像剤搬送部材41によって搬送される現像剤Tの搬送方向の下流側でもある。従って、現像剤を搬送するための進行波電界に、悪影響を与えることを避けることができ、安定した現像剤搬送性を維持することができる。即ち、もし、画像補正部材49の配設位置が、現像領域Eの上流側であるとすると、画像補正部材に印加する交番電圧の影響で、現像剤を搬送するための進行波電界に、悪影響を与えることになるからである。又、画像補正部材49に付着した現像剤を除去部材50により除去した際に、この除去された現像剤が現像剤を搬送するための進行波電界に悪影響を与えることになるからである。
【0073】
<実施形態2>
次に、上述した実施形態1の画像形成装置Xに用いられる、本発明の現像装置の別の例として、図8に示す形態を挙げることができる。この図8に示す実施形態2における現像装置100は、現像剤搬送部材41の表面を覆うように無端状のベルト部材(無端ベルト101)を設けた点に特徴がある。このようなベルト部材を設けた構造とすることにより、以下の利点がある。
【0074】
まず、上述した図2に示すような現像装置4の場合、長期の使用により、現像剤搬送部材41上に現像剤が付着し、これが固着した場合に現像剤の搬送性に悪影響を及ぼすことがある。又、現像剤搬送部材41の表面は電極部材の保護や、リークの発生を防止するために誘電体からなる表面保護層41c(図3参照)を設けているが、現像剤Tの搬送により、現像剤と表面保護層である誘電体との接触によって、誘電体層(表面保護層41c)が帯電し、現像剤の搬送状態の乱れや、像担持体ドラム1との電位差、即ち、現像電位差に経時変化が生じて、安定な現像作用を阻害する場合がある。これを防止するために、無端状のベルト部材(無端ベルト101)を設け、これを回動させて付着現像剤のクリーニングや無端ベルト101の除電を行なうことで、上記した問題を解決できる。
【0075】
以下、このベルト部材被覆型の現像装置100について図8を参照しながら詳細に説明する。図8に示す現像装置100は、ケーシング103、ミキシングパドル104、現像剤供給部材105、現像剤回収部材106、現像剤層厚規制部材107、クリーニングブレード108、現像剤搬送部材41、無端ベルト101、支持部材102、画像補正部材49、及び、除去部材50等を備えている。
【0076】
ケーシング103は、現像剤Tを内部に収容するものであり、又、必要に応じて現像装置100を構成する部材を支持する。ミキシングパドル104は、ケーシング103内に収容されている現像剤Tを混合するものである。又、現像剤回収部材106は、現像工程で未使用となった現像剤が飛散しないようにケーシング103内に回収するものである。
【0077】
現像剤搬送部材41は、図9に示すように、像担持体ドラム1の現像領域Eに対向して無端ベルト101を案内する案内面が凸形状の曲面に形成されており、その現像領域Eにおいては、現像剤搬送部材41の凸曲面部が像担持体ドラム1に対して最も接近するようになっている。
【0078】
現像剤搬送部材41は、図3のものと同じ構造であり、絶縁層からなる基材41a上に、電界カーテン作用を発生させる進行波発生電極41bが、4本を1組として複数組が順次連続して配設されている。又、現像剤搬送部材41には、現像多相交流電源47及び現像バイアス直流電源48が接続されている。この現像剤搬送部材41の表面側は、表面保護部材41cによって覆われている。そして、これらの進行波発生電極41b,・・,41bには、現像多相交流電源47から、実施形態1と同様、図4に示すような多相の交流電圧が印加されることにより、現像剤搬送部材41の表面に平行となる方向に電界カーテンが発生し、これによって現像領域Eまで電界カーテン作用により現像剤Tを搬送するようになっている。
【0079】
無端ベルト101は、現像剤搬送部材41の表面(像担持体ドラム1との対向面)に、その表面を周方向に覆うように設けられている。
【0080】
又、無端ベルト101は、ベルト駆動部材111、駆動補助部材112及び上下のベルトガイド部材113,114に張架されており、ベルト駆動部材111の回動によって現像剤Tの搬送方向(図8の矢印D6の方向)に所定の周速度で移動(回動)される。
【0081】
無端ベルト101上への現像剤層の形成は、現像剤層厚規制部材107によって、現像剤供給部材105上に、所望の厚み・付着量に制御された現像剤層を形成し、その現像剤供給部材105上の現像剤層を無端ベルト101上に転写するという方法で行われる。そして、無端ベルト101の移動(回動)により、現像剤層が現像剤搬送部材41の進行波発生電極41bが存在する領域(図8及び図9参照)まで移送され、現像剤搬送部材41によって形成される進行波電界により現像領域Eに現像剤Tが搬送される。
【0082】
例えば、無端ベルト101上に現像剤薄層(付着量0.2〜2mg/cm2程度)を形成し、無端ベルト101を数10〜百数10mm/秒で回動させ、進行波電界形成領域まで現像剤を移動させ、現像剤搬送・現像工程を行なう。
【0083】
尚、無端ベルト101上に現像剤層を形成する方法として、無端ベルト101上に現像剤層厚規制部材を当接させて、直接現像剤層を形成するというような方法を採用してもよい。又、無端ベルト101の回転方向(図8の矢印D6方向)の上流側にスポンジローラー等を当接させるか、もしくは、非接触の多角形状や粗面化した回転部材等を設けて、現像剤供給補助を行なうようにしてもよい。
【0084】
そして、この例の現像装置100では、上述のように、無端ベルト101が所定の周速度で回動することによって、現像剤搬送部材41の表面が常に刷新され、この現像剤搬送部材41の表面上での帯電及び現像剤Tの固着が防止される。尚、後述するが、無端ベルト101の駆動速度は、無端ベルト101上の現像剤量と、像担持体ドラム1上で必要な現像剤量及び像担持体ドラム1の周速度により決定される。
【0085】
又、無端ベルト101には、現像剤搬送部材41の表面に対し密着した状態となるように一定の張力が付与されており、その表面上において進行波発生電極41bにより形成された進行波電界(電界カーテン)が均一に作用するようになっている。
【0086】
無端ベルト101の材料としては、例えば、ポリイミド、PET(ポリエチレンテレフタレート)、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化エチレンプロプレン、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PVDF(ポリビニデンフロリド)、ポリアミドイミド系、ナイロン等の有機材料や、シリコーン、イソプレン、ブタジエン等のゴム材料を挙げることができる。これらのベルト部材材料は絶縁性もしくは導電剤を分散させた高抵抗(体積抵抗率ρ:1E+9〜14Ω・cm、100V印加)としたものが好適である。伝導性付与に関しては、電子伝導タイプあるいはイオン導電タイプのものを用いることができる。
【0087】
ベルト駆動部材111としては、SUS(ステンレス)又は鉄等の金属ローラ部材や、これを芯金にしてその表面にゴム、フィルムやスポンジ等の部材を被覆したものが用いられる。
【0088】
さらに、この例においては、無端ベルト101の回動をスムーズにするために、無端ベルト101に当接するように駆動補助部材112が設けられている。無端ベルト101はベルト駆動部材111との摩擦力が大きくなるように、駆動補助部材112にて押し込まれた状態となっており、ベルト駆動部材111との接触性が高く、高い駆動力を得られる構造となっている。さらには、無端ベルト101の生産バラツキ、経時使用、使用環境による周長変化が発生した際にも、駆動補助部材112により現像剤搬送部材41との接触状態を安定に保つ作用も付与できる。
【0089】
駆動補助部材112としては、ベルト駆動部材111と同様に、SUS又は鉄等の金属ローラ部材や、これを芯金にしてその表面にゴム、フィルムやスポンジ等の部材を被覆したものを挙げることができる。又、駆動補助部材112の形状は、ローラ状だけでなく、板状あるいは角状であってもよい。
【0090】
さらに、駆動補助部材112には、ベルト駆動部材111に対して加圧当接させるための加圧手段(図示せず)が設けられていてもよい。その加圧手段としては、例えば板ばねやコイルばね等、押付け力を付与できるものを挙げることができる。
【0091】
駆動補助部材112の回動機構としては、無端ベルト101との接触による従動回転機構、ギヤ又はプーリーとベルト部材にてベルト駆動部材111の駆動源に連結する連結駆動機構等を挙げることができる。又、駆動補助部材112には別の駆動源を設けてもよいし、あるいは、駆動補助部材112を電気的に接地することにより、無端ベルト101の表面に帯電した電位を除電することができる。
【0092】
さらに、この例においては、無端ベルト101上に付着した現像剤Tを除去するためのクリーニング部材として、ベルト駆動部材111に無端ベルト101を介して当接するクリーニングブレード108を設けている。クリーニングブレード108はケーシング103の一部に固定されている。クリーニングブレード108の材質としては、SUS、ニッケルコートを施した鉄、ウレタン又はシリコンゴム等が挙げられる。
【0093】
クリーニングブレード108は、無端ベルト101上に残留した現像剤Tを掻き取り、無端ベルト101の表面をクリーニングすると共に、ケーシング103の現像剤蓄積部103aに現像剤Tを戻す機能を有している。尚、図8の構造では、クリーニングブレード108と現像剤供給部材105との間の領域に存在する無端ベルト101に、現像剤Tが付着しないように、無端ベルト101側と、現像剤蓄積部103a側とを隔てるための隔壁部材109が設けられており、無端ベルト101のクリーニングをより有効に行なえる構造となっている。
【0094】
現像剤搬送部材41の下方端部には、無端ベルト101に対して現像剤Tを供給するローラ部材からなる現像剤供給部材105が設けられている。又、現像剤搬送部材41の上方端部には、無端ベルト101の表面の現像剤Tをケーシング103の内部に回収するためのローラ部材からなる現像剤回収部材106が設けられている。尚、この例では、現像剤回収部材106が無端ベルト101の表面に回転可能に接触している形態としているが、これに限定されるものではなく、非接触の形態、あるいは回動しない形態であってもよい。
【0095】
現像剤供給部材105は、ケーシング103内に収容されている現像剤Tを無端ベルト101上に載せて現像領域Eまで供給するためのものであり、無端ベルト101に対して所定の接触圧で当接した状態に設けられている。現像剤供給部材105と無端ベルト101(ベルトガイド部材114)との圧接力はばね等によって与えられる。現像剤供給部材105には、その表面上に形成する現像剤層の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材107が当接している。
【0096】
現像剤供給部材105の素材としては、特に限定されるものではないが、例えばシリコーン、ウレタン、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン−メチレン共重合体)等のソリッドゴム、発泡ゴム等が挙げられる。又、カーボンブラックやイオン導電剤を添加することによって導電性を付与してもよい(電圧印加も可能)。
【0097】
尚、現像剤供給部材105及び無端ベルト101(ベルトガイド部材114)の弾性率を調整して両者の位置関係を制御するようにしてもよい。さらに、現像剤供給部材105に印加する電圧を適切な値に設定し、現像剤供給部材105に現像剤Tを帯電させる機能を付加するようにしてもよい。あるいは、現像剤供給部材105の前段に、例えば薄板状のブレード(材料としては、現像剤供給手段と同じものが使用可能)を設けて現像剤Tを帯電させるようにしても構わない。
【0098】
現像剤回収部材106は、像担持体ドラム1上の静電潜像の現像に寄与しない現像剤Tを回収してケーシング103内に戻すためのものであり、その材質としては、特に限定されないが、例えば現像剤供給部材105と同様のものを使用することができる。
【0099】
支持部材102は、現像剤搬送部材41を像担持体ドラム1の現像領域Eに対向した状態を保持するためのもので、その構成は特に限定されるものではない。その素材として、例えば、ABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)樹脂等を挙げることができる。
【0100】
画像補正部材49は、実施形態1の現像装置4と同様、本発明の特徴的な構成要素であり、その構成や配設位置、動作状態、使用条件等は、実施形態1の現像装置4と全く同じである。従って、実施形態1の現像装置4における画像補正部材49と同様の作用、効果を有する。
【0101】
除去部材50も、実施形態1の現像装置4と同様の構成であり、実施形態1の現像装置4における除去部材50と同様の作用、効果を有する。
【0102】
又、画像補正部材49が配設される位置は、実施形態1の現像装置4の場合と同様、像担持体ドラム1の回転方向の現像領域Eの下流側であり、この位置は、現像剤搬送部材41によって搬送される現像剤Tの搬送方向の下流側でもある。従って、進行波電界が形成されるエリアの手前において、無端ベルト101上に形成される現像剤層に悪影響を与えることを避けることができ、安定した現像剤搬送性を維持することができる。即ち、もし、画像補正部材49の配設位置が、現像領域Eの上流であるとすると、画像補正部材に印加する交番電圧の影響で、無端ベルト101上に形成される現像剤層に、悪影響を与えることになるからである。又、画像補正部材49に付着した現像剤を除去部材50により除去した際に、この除去された現像剤が無端ベルト101上に形成される現像剤層に悪影響を与えることになるからである。
【0103】
又、実施形態1の現像装置4の場合には、画像補正部材49と対峙する領域では、画像補正部材49に印加する交番電圧の作用で、その部分での進行波電界が乱れ、現像剤搬送性が変化してしまうおそれがある。これに対して、無端ベルト101を用いる実施形態2の現像装置100の場合、画像補正部材49と対峙する領域では進行波電界を発生させる必要がなくなるため、進行波電界に対する影響を考慮する必要がなく、画像補正部材49は現像剤像の補正に専念させることができる。従って、実施形態2の現像装置100では、現像剤搬送と補正効果とをそれぞれ最適な条件で行なうことが出来る。
【0104】
上記の実施形態2において、図10に示すように、画像補正部材49を無端ベルト101に当接して配設するようにしてもよい。このようにすることにより、現像剤搬送部材41の進行波発生電極41bと無端ベルト101との密着性を向上させることができ、安定した現像剤搬送を行なうことができる。
【0105】
この場合、さらに、画像補正部材49の無端ベルト101と接する部分が無端ベルト101の移動方向と同じ方向に移動するように、モータ等の駆動源を用いて画像補正部材49を矢印D5の方向に回転させるようにしてもよい。このようにすることにより、画像補正部材49と無端ベルト101間の摩擦力により、無端ベルト101を引っ張る作用が働き、現像剤搬送部材41の進行波発生電極41bと無端ベルト101との密着性をより向上させることができる。
【0106】
又、上記の実施形態2において、図11に示すように、無端ベルト101を介して画像補正部材49と対向する位置に捕集電極109を備えることにより、画像補正部材49に付着した現像剤を捕集電極109の発生する電界によって無端ベルト101へ移動させて無端ベルト101に付着させるようにしてもよい。このようにすることにより、画像補正部材49に付着した現像剤を無端ベルト101の方に引き付けることができ、画像補正部材49に付着した現像剤を取り除きやすくすることができることから、画像補正部材49に現像剤が固着するのを防止でき、画像補正部材49の長寿命化を図ることができる。
【0107】
この場合、捕集電極109へ印加する電圧を、画像補正部材49に印加する画像補正バイアス直流の電圧と同じとすると、所望の極性の現像剤と、逆極性の現像剤の双方を同等に除去することができる。
【0108】
又、捕集電極109へ印加する電圧と画像補正バイアス直流の電圧とに差を設けることにより、現像工程で未使用になった無端ベルト101上の現像剤を、画像補正部材49へ移動しないようにすることができ、画像補正部材49の表面を清浄に保つことができる。例えば、負帯電の光導電層(一般的なOPC等)及び、負帯電トナーを用いる場合に、上述したVDCが−500(V)の例において、捕集電極109へ印加する電圧VCをVDCより+側の電位である−200〜−300(V)にすることにより、この効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】実施形態1における画像形成装置の構成図である。
【図2】実施形態1における現像装置の構成図である。
【図3】実施形態1における現像装置の現像剤搬送部材の構成を示した図である。
【図4】実施形態1における現像剤搬送部材に印加する4相の交流電圧の波形を示した図である。
【図5】従来例における現像剤像のエッジやせの説明図である。
【図6】実施形態1における静電潜像の再配置現像の説明図である。
【図7】実施形態1における画像補正部材への印加電圧及びこの印加電圧と関係する電圧の状態を示した図である。
【図8】実施形態2における現像装置の構成図である。
【図9】図8の部分拡大図である。
【図10】実施形態2の現像装置における他の例の画像補正部材の無端ベルトへの当接状態を示した図である。
【図11】実施形態2の現像装置における捕集電極を示した図である。
【符号の説明】
【0110】
X 画像形成装置
1 像担持体ドラム(像担持体)
11 導電性基体
12 光導電層
12a 静電潜像エッジ部
2 帯電部材
3 露光部材
4 現像装置
40 ケーシング
41 現像剤搬送部材
41a 基材
41b 進行波発生電極
41c 表面保護層(誘電体)
42 ミキシングパドル
43 支持部材
44 現像剤供給部材
45 現像剤回収部材
46 現像剤層厚規制部材
47 現像多相交流電源
48 現像バイアス直流電源
49 画像補正部材
49a 画像補正多相交流電源
49b 画像補正バイアス直流電源
50 除去部材
5 転写部材
6 クリーニング部材
7 除電部材
8 定着装置
100 現像装置
101 無端ベルト(ベルト部材)
111 ベルト駆動部材
112 駆動補助部材
113,114 ベルトガイド部材
102 支持部材
103 ケーシング
104 ミキシングパドル
105 現像剤供給部材
106 現像剤回収部材
107 現像剤層厚規制部材
108 クリーニングブレード
109 捕集電極
C 矢印
D1 矢印
D2 矢印
D3 矢印
D4 矢印
D5 矢印
D6 矢印
d1 ギャップ1
d2 ギャップ2
E 現像領域
P 用紙
T 現像剤(トナー)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動する像担持体の表面上に形成される静電潜像が、現像領域で現像剤によって現像剤像として可視化されて現像される現像装置であって、基材上に所定の間隔をおいて配列された複数の進行波発生電極を有し、互いに異なる位相の複数種の交番電圧が前記各進行波発生電極に印加されることにより形成される進行波電界によって前記現像剤が前記現像領域に搬送される現像剤搬送部材を備えた現像装置において、
前記像担持体が移動する方向における前記現像領域の下流側に配設されていると共に、交番電圧成分を含む電圧が印加される画像補正部材を備えており、該画像補正部材の発生する電界によって、前記静電潜像が前記現像剤像に付着している現像剤で再配置現像されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記画像補正部材は、前記現像剤の搬送方向の下流側に配設されている請求項1記載の現像装置。
【請求項3】
前記画像補正部材へ印加される電圧の交番電圧成分のピークツーピーク電圧をVPP、直流電圧成分をVDC、前記像担持体の非画像部の電位をV0、前記像担持体の画像部の電位をVLとし、X=(|VDC|+1/2VPP)−|VL|、Y=|V0|−(|VDC|−1/2VPP)とすると、X>Yを満たす請求項2記載の現像装置。
【請求項4】
前記画像補正部材は、円筒形状でその軸が前記像担持体の表面と略平行に配設されており、前記像担持体の表面の移動方向と、前記画像補正部材における前記像担持体の表面と対面している表面の移動方向とが、逆になるように回転する請求項1〜3のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項5】
前記画像補正部材に付着した現像剤を取り除く除去部材を備えた請求項4記載の現像装置。
【請求項6】
前記現像剤搬送部材の表面を覆い、且つ、該表面上を現像剤搬送方向に移動するベルト部材を備えており、
該ベルト部材上に現像剤層が形成されると共に、該ベルト部材は、前記現像剤搬送部材により前記進行波電界が形成される領域に、前記現像剤層の現像剤を移送するように構成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の現像装置。
【請求項7】
前記画像補正部材は、円筒形状でその軸が前記像担持体の表面と略平行に配設されており、前記像担持体の表面の移動方向と、前記画像補正部材の前記像担持体の表面と対面している表面の移動方向とが、逆になるように回転していると共に、前記ベルト部材に当接して配設されている請求項6記載の現像装置。
【請求項8】
前記ベルト部材を介して前記画像補正部材と対向する位置に捕集電極を備えており、前記画像補正部材に付着した現像剤が前記捕集電極の発生する電界によって前記ベルト部材へ移動して付着する請求項6又は7記載の現像装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の現像装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−58547(P2006−58547A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239600(P2004−239600)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】