説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】簡単な構成にて異物が規制部材へ挟み込まれるのを防ぎ、良好な画像が得られる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像装置2は、周方向に複数の磁極を有する磁極部材29の磁界によって回転スリーブ30の外周面に現像剤を担持する磁気ローラー21と、回転スリーブ30の外周面に対して所定の間隔を隔てて配置され、回転スリーブ30上の現像剤が前記間隔を通過することで現像剤の層厚を規制する規制ブレード24と、を備える。回転スリーブ30の外周面には、回転スリーブの軸方向に沿って螺旋状に延びる複数の溝部30aが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンター等の画像形成装置に用いる2成分現像剤を備えた現像装置においては、現像剤中に混在する紙粉や凝集した現像剤等の異物が現像ローラー等の現像剤担持体と現像剤の層厚を規制する規制部材との間に挟まることにより異常画像が発生することが知られている。かかる異常画像の発生を回避する解決手段としては、従来から、現像剤に混在する異物を除去するか、または現像ローラーへの異物の侵入を防止する手段等が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1の現像装置は、現像ローラーの近傍に配置される異物除去部材と、異物除去部材によって除去された異物を収容する異物収容部と、異物収容部近傍の圧力を逃がすためのフィルターとを備える。現像ローラーの近傍で異物と現像剤とを分散させる際に、フィルターを介して外気が異物収容部及び異物除去部材近傍に流れ込むことで、異物のみを異物収容部に取り込んでいる。
【0004】
また、特許文献2の現像装置は、現像ローラーに供給する現像剤を、上搬送スクリューと下搬送スクリューとの間で循環させ、上搬送スクリューと下搬送スクリューとの循環経路上に異物除去用のメッシュを配設している。このメッシュにより搬送される現像剤中の異物を捕獲し、メッシュを通過した現像剤を現像ローラーに供給している。
【0005】
しかしながら、前述の特許文献1、2の現像装置は、現像ローラーへ現像剤を供給する前工程の防止手段であり、現像ローラーと規制部材との隙間に挟み込んでしまった異物を除去することはできなかった。現像ローラーと規制部材との隙間に異物が挟まると、異物を挟み込んだ部分では現像剤の汲み上げ量が不足することになり縦白スジ等の異常画像が発生するという不都合があった。
【0006】
そこで、特許文献3の現像装置には、現像ローラーと規制部材との隙間に挟まった異物を除去する異物除去機構が開示されている。この異物除去機構は、規制部材を現像ローラーの中心方向に進退可能に支持し、規制部材をスプリングによって現像ローラーに向かう方向に常時弾性付勢している。現像ローラーの回転時に異物を介して規制部材へ加わる負荷により、規制部材が現像ローラーとの隙間を開く方向へ退避して異物が現像ローラーと規制部材との隙間に挟み込まれるのを防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−84568号公報(段落[0013]、[0014]、第2図)
【特許文献2】特開平7−333979号公報(段落[0022]〜[0025]、第4図)
【特許文献3】特開2008−268749号公報(段落[0007]、[0008]、第4図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述した特許文献3の現像装置では、規制部材が可動する構成であるので、現像ローラーと規制部材との間隔は安定せず、現像ローラー上に担持される現像剤の層厚がばらつき、また規制部材を可動保持する構成やスプリング等の駆動機構の構成が必要となり、構成が複雑になるというという不都合があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成にて異物が規制部材へ挟み込まれるのを防ぎ、良好な画像が得られる現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために第1の発明は、現像剤を収容する現像容器と、該現像容器内に回転可能に支持される回転スリーブと、該回転スリーブに内包され周方向に複数の磁極を有する磁極部材とを有し、前記磁極部材の磁界によって回転スリーブの外周面に現像剤を担持する現像剤担持体と、前記回転スリーブの外周面に対して所定の間隔を隔てて配置され、前記回転スリーブ上の現像剤が前記間隔を通過することで現像剤の層厚を規制する規制部材と、を備える現像装置において、前記回転スリーブの外周面には、前記回転スリーブの軸方向に沿って螺旋状に延びる複数の溝部が形成されることを特徴としている。
【0011】
また、第2の発明では、上記の現像装置において、前記回転スリーブの外周面は、前記磁極部材の磁界によって現像剤が担持される現像剤担持領域と、該現像剤担持領域に隣接して前記回転スリーブの軸方向の端部側に形成される回収領域とを有し、前記回収領域は、前記溝部における位相の進行方向の下流側端部に形成されることを特徴としている。
【0012】
また、第3の発明では、上記の現像装置において、前記現像容器は、搬送路内の現像剤を軸方向に撹拌、搬送し、撹拌した現像剤を前記現像剤担持体に供給する撹拌部材と、前記搬送路の下流側端部に設けられ、余剰の現像剤が排出される現像剤排出口と、を更に備え、前記回収領域は、前記撹拌部材による現像剤の搬送方向の下流側に対向する前記回転スリーブの端部に設けられることを特徴としている。
【0013】
また、第4の発明では、上記の現像装置において、前記回収領域は、前記現像剤排出口の上流側近傍に対向する前記回転スリーブの端部に設けられることを特徴としている。
【0014】
また、第5の発明では、上記の現像装置において、前記回収領域は、前記現像剤担持領域に比べて前記磁極部材から受ける磁界が弱いことを特徴としている。
【0015】
また、第6の発明では、上記の構成の現像装置を備えた画像形成装置である。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、回転スリーブ上に現像剤とともに紙粉等の異物が担持されているとき、回転スリーブが回転すると、回転スリーブ上に設けた螺旋状の溝部に沿って異物が回転スリーブの軸方向に移動し、規制部材に対して軸方向の一箇所に異物が留まることがない。従って、回転スリーブ上に螺旋状の溝部を設けるという簡単な構成にて、異物の影響を受けることなく、回転スリーブ上に現像剤が均一に担持され縦白スジ等の異常画像が発生するのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置を概略図
【図2】実施形態に係る現像装置を示す概略断面図
【図3】実施形態に係る現像装置の撹拌部を示す平面断面図
【図4】実施形態に係る現像装置の磁気ローラーを示す平面断面図
【図5】実施形態に係る回転スリーブの溝部を示す側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明の実施形態について図面を参照して説明するが、本発明は、この実施形態に限定されない。また発明の用途やここで示す用語等はこれに限定されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る現像装置を備えた画像形成装置の構成を示す図である。画像形成装置1はタンデム型のカラープリンターであり、回転自在である感光体11a〜11dは、感光層を形成する感光材料として、有機感光体(OPC感光体)が用いられ、ブラック、イエロー、シアン、及びマゼンタの各色に対応させて配設される。各感光体11a〜11dの周囲に、現像装置2a〜2d、露光ユニット12、帯電器13a〜13d及びクリーニング装置14a〜14dが配設される。
【0020】
現像装置2a〜2dは、感光体11a〜11dの右方に夫々対向して配置され、感光体11a〜11dにトナーを供給する。帯電器13a〜13dは、感光体回転方向に対し現像装置2a〜2dの上流側であって感光体11a〜11dの表面に対向して配置され、感光体11a〜11dの表面を一様に帯電させる。
【0021】
露光ユニット12は、パーソナルコンピューター等から画像入力部(図略)に入力された文字や絵柄などの画像データに基づいて、各感光体11a〜11dを走査露光するためのものであり、現像装置2a〜2dの下方に設けられる。露光ユニット12には、レーザー光源、ポリゴンミラーが設けられ、各感光体11a〜11dに対応して反射ミラー及びレンズが設けられる。レーザー光源から出射されたレーザー光が、ポリゴンミラー、反射ミラー及びレンズを介して、帯電器13a〜13dの感光体回転方向下流側から、各感光体11a〜11dの表面に照射される。照射されたレーザー光により、各感光体11a〜11dの表面には静電潜像が形成され、この静電潜像が各現像装置2a〜2dによりトナー像に現像される。
【0022】
無端状の中間転写ベルト17は、テンションローラー6、駆動ローラー25及び従動ローラー27に張架されている。駆動ローラー25は図示しないモーターによって回転駆動され、中間転写ベルト17は駆動ローラー25の回転によって循環駆動させられる。
【0023】
この中間転写ベルト17に接触するように各感光体11a〜11dが中間転写ベルト17の下方で回転方向(図1の矢印方向)に沿って隣り合うように配列されている。1次転写ローラー26a〜26dは、中間転写ベルト17を介して感光体11a〜11dと対向し、中間転写ベルト17に圧接して1次転写部を形成する。この1次転写部において、中間転写ベルト17の回転とともに所定のタイミングで各感光体11a〜11dのトナー像が中間転写ベルト17に順次転写される。これにより、中間転写ベルト17表面にはマゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの4色のトナー像が重ね合わされたトナー像が形成される。
【0024】
2次転写ローラー34は、中間転写ベルト17を介して駆動ローラー25と対向し、中間転写ベルト17に圧接して2次転写部を形成する。この2次転写部において、中間転写ベルト17表面のトナー像が用紙Pに転写される。転写後に、ベルトクリーニング装置31が中間転写ベルト17に残存するトナーを清掃する。
【0025】
画像形成装置1内の下方には、用紙Pを収納する給紙カセット32が配設され、給紙カセット32の右方には、手差しの用紙Pを供給するスタックトレイ35が配設される。給紙カセット32の左方には、給紙カセット32から繰り出された用紙Pを中間転写ベルト17の2次転写部に搬送する第1用紙搬送路33が配設される。また、スタックトレイ35の左方には、スタックトレイ35から繰り出された用紙Pを2次転写部に搬送する第2用紙搬送路36が配設される。更に、画像形成装置1の左上方には、トナー像が形成された用紙Pに対して定着処理を行う定着部18と、定着処理の行われた用紙Pを用紙排出部37に搬送する第3用紙搬送路39とが配設される。
【0026】
給紙カセット32は、装置の外部(図1の紙面表側)に引き出すことにより用紙Pの補充を可能にしたもので、収納されている用紙Pがピックアップローラー33b及び捌きローラー33aにより1枚ずつ第1用紙搬送路33側に繰り出される。
【0027】
第1用紙搬送路33と第2用紙搬送路36とはレジストローラー対33cの手前で合流しており、レジストローラー対33cにより、中間転写ベルト17における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取って、用紙Pが2次転写部に搬送される。2次転写部に搬送された用紙Pは、バイアス電位が印加された2次転写ローラー34によって、中間転写ベルト17上のトナー像を2次転写され、定着部18に搬送される。
【0028】
定着部18は、ヒーターにより加熱される定着ベルトと、定着ベルトに内接する定着ローラーと、定着ベルトを介して定着ローラーに圧接して配設された加圧ローラー等とを備え、未定着トナー像が転写された用紙Pを加熱及び加圧することにより定着処理を行う。用紙Pは、定着部18によってトナー像が定着された後、必要に応じて第4用紙搬送路40で反転されて用紙Pの裏面にも2次転写ローラー34によってトナー像が2次転写され、定着部18で定着される。トナー像が定着された用紙Pは第3用紙搬送路39を通って、排出ローラー対19aにより用紙排出部37に排出される。
【0029】
図2は、上述の画像形成装置1に用いられる現像装置の構成を示す断面図である。なお、以下の説明では、図1に示す感光体11aに対応する現像装置2aの構成及び動作について説明するが、現像装置2b〜2dの構成及び動作については現像装置2aと同様であり、説明を省略し、また各色の現像装置及び感光体を示すa〜dの符号を省略する。
【0030】
現像装置2は、現像ローラー20と、現像剤担持体である磁気ローラー21と、規制部材である規制ブレード24と、撹拌部材42、現像容器22等により構成されている。
【0031】
現像容器22は、樹脂によって現像装置2の外郭を構成し、その下部で仕切り部22bによって第1搬送路22cと第2搬送路22dに仕切られている。第1搬送路22c及び第2搬送路22dには、磁性キャリアとトナーからなる現像剤が収容される。また、現像容器22は、撹拌部材42と磁気ローラー21及び現像ローラー20を回転可能に保持している。更に、現像容器22には、現像ローラー20を感光体11に向けて露出させる開口22aが形成されている。
【0032】
現像ローラー20は、感光体11に対向し、一定の間隔を設けて感光体11の右方に配設される。また、現像ローラー20は、感光体11に接近した対向位置において、感光体11にトナーを供給する現像領域Dを形成している。磁気ローラー21は、一定の間隔を設けて現像ローラー20に対向し、現像ローラー20の右斜め下方に配設される。また、磁気ローラー21は、現像ローラー20に接近した対向位置において、現像ローラー20にトナーを供給する。規制ブレード24は磁気ローラー21の左斜め下方にて現像容器22に固定保持されている。撹拌部材42は磁気ローラー21の略下方に配設される。
【0033】
撹拌部材42は、第1撹拌部材43と第2撹拌部材44との2本で構成される。第2撹拌部材44が磁気ローラー21の下方で、第2搬送路22d内に設けられ、第1撹拌部材43が第2撹拌部材44の右方に隣接して、第1搬送路22c内に設けられる。
【0034】
第1及び第2の撹拌部材43、44は現像剤を撹拌して現像剤中のトナーを所定のレベルに帯電させる。これによりトナーは磁性キャリアに保持される。また、第1搬送路22cと第2搬送路22dを仕切る仕切り部22bの長手方向(図2の紙面表裏方向)の両端部側には、連通部(図略)が設けられており、第1撹拌部材43が回転すると、帯電した現像剤は、仕切り部22bに設けた一方の連通部から第2搬送路22d内に搬送され、第1搬送路22c内と第2搬送路22d内とを循環する。そして、第2撹拌部材44から磁気ローラー21に現像剤が供給される。
【0035】
磁気ローラー21は、ローラー軸28と磁極部材29及び回転スリーブ30を備え、第2撹拌部材44により供給された現像剤を担持し、担持した現像剤からトナーのみを現像ローラー20に供給するものである。磁極部材29は、断面扇形に形成された外周部の極性の異なる複数の磁石からなり、ローラー軸28に接着等により固着される。ローラー軸28は、回転スリーブ30内で、磁極部材29と回転スリーブ30との間に所定の間隔を設けて、現像容器22に回転不能に支持される。回転スリーブ30は、ローラー軸28に回転可能に保持され、アルミニウム等の非磁性材からなり、回転スリーブ30の外周面において、帯電した現像剤を磁極部材29の磁力によって磁気ブラシとして担持する。また回転スリーブ30は、図示しないモーターと歯車等からなる駆動機構により矢印方向(時計回り方向)に回転させられ、さらに直流電圧56aに交流電圧56bを重畳したバイアス56を印加される。
【0036】
規制ブレード24は、その先端部がエッジ状をなして、回転スリーブ30の外周面との間に所定の間隔を隔てて回転スリーブ30の外周面に対向している。磁気ブラシはこの間隔を通過するときに規制ブレード24によって所定の層厚に規制される。
【0037】
回転スリーブ30の回転にともなって、磁気ブラシは、回転スリーブ30の外周面に担持されて搬送され、また、規制ブレード24によって所定の層厚に規制され、さらに現像ローラー側磁極部材20bによって磁気ブラシが立ち上がり現像ローラー20に接触すると、磁気ブラシのトナーのみが、回転スリーブ30及び現像スリーブ20cに印加されたバイアス56、57に応じて、現像ローラー20に供給される。
【0038】
現像ローラー20は、固定軸20aと、現像ローラー側磁極部材20bと、非磁性の金属材料で円筒状に形成される現像スリーブ20c等を備えて構成されている。
【0039】
固定軸20aは現像容器22に回転不能に支持される。この固定軸20aには、現像スリーブ20cが回転自在に保持され、さらに、磁石よりなる現像ローラー側磁極部材20bが磁気ローラー21と対向する位置にて現像スリーブ20cと所定の間隔を設けて、接着等により固着される。現像スリーブ20cは、図示しないモーターと歯車からなる駆動機構により、図2の矢印方向(時計回り方向)に回転させられる。また、現像スリーブ20cには、直流電圧57aに交流電圧57bを重畳した現像バイアス57が印加される。
【0040】
現像バイアス57が現像スリーブ20cに印加されると、現像バイアス電位と感光体11の露光部位の電位との電位差により、現像スリーブ20cの表面に担持されたトナーが現像領域Dにおいて感光体11に向けて飛翔する。飛翔したトナーは矢印A方向(反時計回り方向)に回転する感光体11上の露光部位に順次付着し、感光体11上の静電潜像が現像される。
【0041】
撹拌部は図3に示すように構成される。図3は撹拌部を上側から見た平面断面図である。
【0042】
現像容器22には、前述のように、第1搬送路22cと、第2搬送路22dと、仕切り部22bと、上流側連通部22e、及び下流側連通部22fが形成され、その他に、現像剤補給口22gと、現像剤排出口22hと、上流側壁部22i、及び下流側壁部22jが形成されている。
【0043】
仕切り部22bは、現像容器22の長手方向に延びて第1搬送路22cと第2搬送路22dを並列させるように仕切っている。仕切り部22bの長手方向の両端部分には、上流側連通部22eと下流側連通部22fが設けられており、現像剤は、第1搬送路22cと、上流側連通部22eと、第2搬送路22d、及び下流側連通部22f内を循環することが可能である。
【0044】
現像剤補給口22gは、現像容器22の上部に設けられた現像剤補給容器(図略)から新たなトナー及び磁性キャリアを現像容器22内に補給するための開口であり、第1搬送路22cの上流側(図3の左側、破線で示す)に配置される。
【0045】
現像剤排出口22hは、現像剤補給口22gからの現像剤の補給によって、第1及び第2搬送路22c、22d内で余剰となった現像剤を排出するためのものであり、第2搬送路22dの下流側の側面部に設けられる開口である。
【0046】
第1搬送路22c内には第1撹拌部材43が配設され、第2搬送路22d内には第2撹拌部材44が配設されている。
【0047】
第1撹拌部材43は、回転軸43bと、回転軸43bに一体に設けられ、回転軸43bの軸方向に一定のピッチで螺旋状に形成される第1螺旋羽根43aとを有する。また、第1螺旋羽根43aは、第1搬送路22cの長手方向の両端部側まで延び、上流側及び下流側連通部22e、22fにも対向して設けられている。回転軸43bは現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
【0048】
第2撹拌部材44は、回転軸44bと、回転軸44bに一体に設けられ、回転軸44bの軸方向に第1螺旋羽根43aと同じピッチで第1螺旋羽根43aとは逆方向(逆位相)の羽根で螺旋状に形成される第2螺旋羽根44aとを有する。また、第2螺旋羽根44aは、上流側連通部22e及び下流側連通部22fに対向して設けられている。回転軸44bは、回転軸43bと平行に配置され、現像容器22の上流側壁部22iと下流側壁部22jに回転可能に軸支されている。
【0049】
また、回転軸44bには、第2螺旋羽根44aとともに、逆螺旋羽根52及び排出羽根53が一体に配設されている。
【0050】
逆螺旋羽根52は、現像剤排出口22hに対向し、現像剤排出口22hと第2螺旋羽根44aとの間に配置されるとともに、逆螺旋羽根52の外縁は、下流側壁部22jにおける第2搬送路22dの内周面と所定の間隔を有して配設される。また、逆螺旋羽根52は、第2螺旋羽根44aの外縁と略同じ外周長さで第2螺旋羽根44aに対して逆方向を向く(逆位相の)羽根で螺旋状に形成され、且つ、第2螺旋羽根44aよりピッチが小さい2〜3巻きの羽根で形成されている。従って、回転軸44bが回転すると、逆螺旋羽根52によって、第2螺旋羽根44aによる現像剤搬送方向とは逆方向の搬送力が現像剤に付与され、現像剤が塞き止められる。塞き止められた現像剤は、下流側連通部22fに搬送されるとともに、現像容器22内の余剰の現像剤として逆螺旋羽根52の外縁を乗り越えて現像剤排出口22hに排出されることになる。
【0051】
回転軸44bは現像剤排出口22hから更に現像剤排出部22l内まで延び、現現像剤排出部22l内の回転軸44bには排出羽根53が設けられている。排出羽根53は、第2螺旋羽根44aと同じ位相方向の螺旋状の羽根からなるが、第2螺旋羽根44aよりピッチが小さく、また羽根の外縁サイズが小さくなっている。回転軸44bが回転すると、排出羽根53も回転し、現像剤排出口22hから現像剤排出部22l内に収容された余剰現像剤は、現像剤排出部22l内を左方に搬送され現像容器22外に排出される。
【0052】
上流側壁部22i及び下流側壁部22jの外面には、歯車61〜64が配設されている。歯車61、62は回転軸43bに固着され、歯車64は回転軸44bに固着され、また歯車63は、上流側壁部22iに回転可能に保持されて、歯車62、64に噛合している。
【0053】
画像形成の所定のタイミングにおいて、現像剤補給口22gから第1搬送路22c内に磁性キャリアとトナーを含む現像剤が補給される。図示しないモーターの回転駆動によって、歯車61が回転すると、回転軸43bとともに第1螺旋羽根43aが回転し、第1螺旋羽根43aは第1搬送路22c内の現像剤を矢印P方向に搬送する。さらに、歯車62〜64の歯車列によって、回転軸44bとともに第2螺旋羽根44aが回転すると、第2螺旋羽根44aは第2搬送路22d内の現像剤を矢印Q方向に搬送し、現像剤は、第1搬送路22cから、上流側連通部22e、第2搬送路22d、及び下流側連通部22fと循環搬送しながら撹拌される。
【0054】
そして、現像剤補給口22gからの補給にともない余剰となった現像剤は、逆螺旋羽根52を乗り越えて現像剤排出口22hに排出されるとともに、撹拌された現像剤は磁気ローラー21(図2参照)に供給される。磁気ローラー21上に供給された現像剤が規制ブレード24(図2参照)によって所定の層厚に規制され、磁気ローラー21から現像剤のトナーのみが現像ローラー20(図2参照)に供給され、さらに現像ローラー20上のトナーが感光体11(図2参照)に供給され、感光体11上の静電潜像が現像される。
【0055】
上記の画像形成プロセスにおいて、画像形成する用紙Pの紙粉が現像剤に混在し、また撹拌、搬送及び供給される現像剤の一部が凝集し、紙粉や凝集した現像剤等の異物が磁気ローラー21上に現像剤とともに担持されることがある。そして、磁気ローラー21と規制ブレード24との隙間に異物が挟まると、異物を挟み込んだ部分では縦白スジ等の異常画像が発生するが、この異常画像の発生を防ぐために、本実施形態では、磁気ローラー21上に螺旋状の溝部を形成している。
【0056】
図4は溝部を有する磁気ローラー21と撹拌部とを横側から見た平面断面図であり、図5は回転スリーブ30に形成した溝部を示す側面断面図である。尚、図4では、図面が煩雑にならないように、磁気ローラー21の略中央部に位置すべき規制ブレード24を上側に描き換えて記載している。
【0057】
図4に示すように、磁気ローラー21は、回転スリーブ30を第2螺旋羽根44aに対向させて、第2撹拌部材44の略上方に配設される。回転スリーブ30の外周面には、回転スリーブ30の軸方向に沿って螺旋状に延びる複数の溝部30aが形成される。
【0058】
溝部30aは、回転スリーブ30の軸方向の一端部から回転スリーブ30の外周面を連続して少なくとも1回は周回し、その他端部まで延びている。図5に示すように、溝部30aは断面三角形状に形成される。溝部30aの形成方法としては、例えば、回転スリーブ30の素材であるアルミニウム等の金属管を、内周面に断面三角形状の複数の突起が形成された工具穴に挿入し、回転させながら金属管を引き抜くことで、回転スリーブ30の外周面に断面三角形状の溝部30aが形成される。尚、溝部30aは断面三角形状に替えて、断面台形状或いは矩形状に形成してもよい。
【0059】
回転スリーブ30上に担持された異物は、回転スリーブ30の回転に伴い周方向に移動するとともに、螺旋状の溝部30aに沿って回転スリーブ30の軸方向にも移動する。これにより、異物が周方向への移動によって規制ブレード24に到着しても、溝部30aに沿って継続して軸方向に移動するため、規制ブレード24に対して軸方向の一箇所に留まることがない。従って、規制ブレード24は、異物の影響を受けることなく、回転スリーブ30の外周面との間で軸方向に均一な層厚の磁気ブラシを形成する。尚、回転スリーブ30の軸方向の両端部には、現像剤が現像装置2の外部に漏れることがないように、図示しないシール部材が設けられている。
【0060】
また、螺旋状の溝部30aは、回転スリーブ30が回転したとき、図4の右側(第2撹拌部材44による現像剤の搬送方向上流側)から左側(第2撹拌部材44による現像剤の搬送方向下流側)に回転スリーブ30上の異物を搬送するように位相が進行する方向に形成される。
【0061】
回転スリーブ30の外周面は、磁極部材29の磁界によって現像剤が担持される現像剤担持領域Eと、現像剤担持領域Eに隣接して回転スリーブ30の軸方向の左側の端部に形成される回収領域Fとを有する。現像剤担持領域Eは、回転スリーブ30の外周面に磁気ブラシを形成し、回転スリーブ30上に形成した磁気ブラシからトナーを現像ローラー20に供給する領域である。一方、回収領域Fは、磁極部材29の磁界の影響を受けない領域であって、例えば磁極部材29が回転スリーブ30内で対向していない、或いは現像剤担持領域Eに比べて磁界の磁力が小さく、その結果、現像剤や異物が回転スリーブ30の外周面から下側に落下することになる。また、回収領域Fは、現像剤担持領域Eと同様に規制ブレード24が対向している。回転スリーブ30が回転すると、回転スリーブ30上に担持された異物は、現像剤担持領域Eを右側から左側に搬送され、さらに回収領域Fに回収され、回収領域Fの異物は第2撹拌部材44側に落下する。
【0062】
回収領域Fは、第2撹拌部材44による現像剤の搬送方向の下流側に対向して設けられる。このように回収領域Fを第2撹拌部材44による現像剤の搬送方向の下流側、即ち現像剤排出口22hの上流側近傍に配設することによって、回収領域Fから落下した異物は、第2搬送路22d内にて、さらに下流側に搬送され、余剰の現像剤とともに逆螺旋羽根52の外縁を乗り越えて現像剤排出口22hに排出されやすくなる。現像剤排出口22hから現像剤排出部22l内に収容された異物は、現像剤排出部22l内を左方に搬送され現像容器22外に排出される。
【0063】
尚、上記実施形態では、撹拌部材42から現像剤が供給される磁気ローラー21と、感光体11にトナーを供給する現像ローラー20とを備える現像装置に適用した例を示したが、本発明はこれに限らず、撹拌部材42によって現像剤が磁気ローラー21に供給され、磁気ローラー21上で規制ブレード24によって現像剤が所定の層厚に規制され、磁気ローラー21から感光体11にトナーが供給される現像装置に適用してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、複写機、プリンター、ファクシミリ、それらの複合機等に用いる現像装置及びそれを備えた画像形成装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 画像形成装置
2a〜2d、2 現像装置
20 現像ローラー
21 磁気ローラー(現像剤担持体)
22 現像容器
22c 第1搬送路
22d 第2搬送路(搬送路)
22g 現像剤補給口
22h 現像剤排出口
24 規制ブレード(規制部材)
28 ローラー軸
29 磁極部材
30 回転スリーブ
30a 溝部
42 撹拌部材
43 第1撹拌部材
43a 第1螺旋羽根
43b、44b 回転軸
44 第2撹拌部材(撹拌部材)
44a 第2螺旋羽根
52 逆螺旋羽根
53 排出羽根
E 現像剤担持領域
F 回収領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現像剤を収容する現像容器と、
該現像容器内に回転可能に支持される回転スリーブと、該回転スリーブに内包され周方向に複数の磁極を有する磁極部材とを有し、前記磁極部材の磁界によって回転スリーブの外周面に現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記回転スリーブの外周面に対して所定の間隔を隔てて配置され、前記回転スリーブ上の現像剤が前記間隔を通過することで現像剤の層厚を規制する規制部材と、を備える現像装置において、
前記回転スリーブの外周面には、前記回転スリーブの軸方向に沿って螺旋状に延びる複数の溝部が形成されることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記回転スリーブの外周面は、前記磁極部材の磁界によって現像剤が担持される現像剤担持領域と、該現像剤担持領域に隣接して前記回転スリーブの軸方向の端部側に形成される回収領域とを有し、
前記回収領域は、前記溝部における位相の進行方向の下流側端部に形成されることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記現像容器は、搬送路内の現像剤を軸方向に撹拌、搬送し、撹拌した現像剤を前記現像剤担持体に供給する撹拌部材と、前記搬送路の下流側端部に設けられ、余剰の現像剤が排出される現像剤排出口と、を更に備え、
前記回収領域は、前記撹拌部材による現像剤の搬送方向の下流側に対向する前記回転スリーブの端部に設けられることを特徴とする請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記回収領域は、前記現像剤排出口の上流側近傍に対向する前記回転スリーブの端部に設けられることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記回収領域は、前記現像剤担持領域に比べて前記磁極部材から受ける磁界が弱いことを特徴とする請求項2〜請求項4のいずれかに記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の現像装置を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−25124(P2013−25124A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−160550(P2011−160550)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】