説明

現像装置及びそれを備えた画像形成装置

【課題】現像容器からのトナーの漏洩を効果的に防止可能であり、且つ、現像容器内のトナーを吸引するダクト内へのトナーの過剰な吸引も抑制可能な現像装置及びそれを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】現像ローラー31と磁気ローラー30との対向部分R1の上方に位置する現像容器20の上端部20dに、現像容器20の内部とダクト43とを連通する空気流出路45を設けるとともに、空気流出路45を、現像ローラー31の回転軸中心Oと空気流出口45aとを通る直線L1に対し、現像ローラー31の回転方向下流側に向かって傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用い、像担持体にトナーを供給する現像装置およびそれを備えた電子写真方式の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置は、原稿画像から読み取られた画像情報、或いはコンピューター等の外部機器から伝送等された画像情報に基づく光を、感光層が形成された像担持体(感光体ドラム)の周面に照射して静電潜像を形成し、この静電潜像に現像装置からトナーを供給してトナー像を形成させた後、当該トナー像を用紙に転写する。転写処理後の用紙は、トナー像の定着処理が施されたのち外部へ排出される。
【0003】
ところで、近年、画像形成装置において、カラー印刷化や高速処理化の進行に伴い装置構成が複雑になると共に、高速処理化に対応するべく現像装置内でのトナー攪拌部材の高速回転が余儀なくされ、これにより現像装置の内圧が大気圧より高い正圧になり易くなっている。現像装置内が正圧になると、現像装置内のトナーが感光体ドラムへ供給されるに際し、トナーの一部が飛散トナーとなって感光体ドラムに対向する現像装置の開口部(トナー供給口)から漏出し、画像形成装置の内部を汚染する。
【0004】
特に、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用い、現像剤を担持する磁気ローラー(現像剤担持体)と、トナーのみを担持する現像ローラー(トナー担持体)とを用いる現像方式では、現像ローラーと磁気ローラーとの対向部分において、磁気ローラー上に形成された磁気ブラシによって現像ローラーから現像に使用されなかったトナーが引き剥がされる。そのため、現像ローラーと磁気ローラーとの対向部分の近傍においてトナーの浮遊が発生し易くなり、浮遊したトナーが飛散トナーとなって漏出する。また、現像装置内部に堆積した浮遊トナーが塊となって現像ローラー上に落下し、現像ローラー上のトナー薄層が乱されることで、感光体ドラムの周面におけるトナーが付着されるべき部分にトナーが供給されない、いわゆるトナー落ち現象が発生する等の不具合が生じ易くなる。
【0005】
上述したような不具合を解消するべく、特許文献1には、トナー担持体と、トナー担持体外周面の一部を覆う被覆部材との間隔内の空気を強制吸引することによって、現像工程を高速化してもトナー飛散や現像装置の発熱を抑える技術が開示されている。
【0006】
しかし、特許文献1に記載の現像装置は、攪拌スクリューから現像ローラー上に供給された二成分現像剤中のトナーを感光体ドラムに供給しており、現像剤担持体とトナー担持体とを有する現像方式ではない。また、現像剤担持体の有無によって、現像装置内で正圧が発生する部分も、発生する正圧の大きさも異なる。
【0007】
従って、特許文献1の方法では、現像剤担持体とトナー担持体とを有する現像方式に特有である、現像剤担持体とトナー担持体と現像容器内面とで囲まれた空間に発生する浮遊トナーを効果的に解消することはできなかった。また、特許文献1の方法では浮遊トナーを含む空気流が穂切りブレード上を通過する構成のため、ブレード上に浮遊トナーが堆積してしまい、堆積したトナーが凝集してトナー担持体に付着した場合には、トナー落ちとなって画像不具合が発生するおそれもあった。
【0008】
また、特許文献2には、現像容器のトナー担持体の下方に対向する壁部に現像装置外側から空気を取り入れるための空気流入孔を設けることにより、現像容器外側から内側に流入する空気流が負圧となった穂切りブレード近傍に流れ込み、流れ込んだ空気流が穂切りブレード近傍の浮遊トナーを上方に向かう空気流に乗せることで、穂切りブレード上へのトナーの堆積を防止するようにした現像装置が開示されている。
【0009】
特許文献2の方法によれば、現像容器のトナー担持体の下方に対向する壁部に設けられた空気流入孔からの空気流の流れ込みにより、現像剤担持体及びトナー担持体の回転によって正圧となった部分の圧力を低下させて現像剤の漏出を抑制することが可能となる。また、流れ込んだ空気流を上方に向かう空気流と繋げることにより、穂切りブレード近傍の浮遊トナーを上方に向かう空気流に乗せて、穂切りブレード上へのトナーの堆積を防止することができる。
【0010】
さらに特許文献3には、現像容器のトナー担持体の下方に対向する壁部に現像装置外側から空気を取り入れるための貫通孔を設けるとともに、現像容器の上端部であってトナー担持体と現像剤担持体との境界の上方に、ダクトと連通する空気排出孔を設けた画像形成装置が開示されている。
【0011】
特許文献3の方法によれば、現像容器のトナー担持体の下方に対向する貫通孔から現像容器の上端部に設けられた空気排出孔を介してダクトに空気を流すことで、トナー浮遊量が大きい場合であっても、現像剤担持体とトナー担持体と現像容器内面とで囲まれた空間に発生する浮遊トナーを効果的に排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−278268号公報
【特許文献2】特開2010−276954号公報
【特許文献3】特開2011−197290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、特許文献2の構成のように空気流入孔を設けた場合であっても、装置本体が高速化し、トナー浮遊量が大きい場合には、現像剤担持体及びトナー担持体の回転によって生じた空気流に浮遊トナーを十分に乗せることが困難となり、トナーの堆積を十分に防止することが困難であった。また、特許文献2の構成では、現像剤担持体とトナー担持体との対向部分の下方に位置する穂切りブレード近傍の浮遊トナーを解消することはできるが、現像剤担持体とトナー担持体と現像容器の上面とで囲まれた空間に発生する浮遊トナーの外部への漏出を効果的に防止することはできなかった。
【0014】
また、特許文献3の方法では、発生した浮遊トナーを空気排出孔からダクトへ全て吸引してしまうと、ダクト内にトナーが堆積したり、ダクトの排出口側に取り付けられたフィルターの目詰まりが顕著となってフィルターの交換回数が多くなったりするなどの問題点があった。一方、ダクト内への浮遊トナーの吸引が十分でない場合は、浮遊トナーが現像装置の開口部から外部に漏出してしまい、画像形成装置内部のトナー汚染が発生するおそれがあった。
【0015】
本発明は、上記問題点に鑑み、現像装置からのトナーの漏出を効果的に防止可能であり、且つ、現像容器内のトナーを吸引するダクト内へのトナーの過剰な吸引も抑制可能な画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明は、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収容する現像容器と、該現像容器の開口部から外周面の一部が露出することで像担持体に対向配置され、前記像担持体との対向面が上方向に移動するように回転しながら前記像担持体にトナーを供給するトナー担持体と、該トナー担持体に対向配置され、前記トナー担持体との対向面が前記トナー担持体と逆方向に移動するように回転するとともに、表面に担持した二成分現像剤から成る磁気ブラシを用いて前記トナー担持体上にトナー層を形成する現像剤担持体と、該現像剤担持体に担持される現像剤量を規制する規制部材と、前記トナー担持体と対向する前記現像容器の上端部に形成された空気流出口から前記現像容器の上部に配置されたダクト内に連通する空気流出路と、を備えた現像装置において、前記空気流出路は、前記トナー担持体の回転軸中心と前記空気流出口とを通る直線に対し、前記トナー担持体の回転方向下流側に傾斜していることを特徴としている。
【0017】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記空気流出口は、前記トナー担持体の回転方向に対し、前記トナー担持体の回転軸中心を通る垂線よりも下流側であり、且つ、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との対向部分から上流側に90°離れた位置よりもさらに上流側の位置に設けられることを特徴としている。
【0018】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記トナー担持体の回転方向に対し、前記トナー担持体と前記現像剤担持体との対向部分よりも上流側の前記トナー担持体の外周面と、前記現像剤担持体の回転方向に対し、前記対向部分よりも下流側の前記現像剤担持体の外周面と、前記現像容器の内壁面と、で囲まれた空間の容積を小さくする充填部材を配置したことを特徴としている。
【0019】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記充填部材は導電性材料で形成されており、トナーと同極性のバイアスが印加されることを特徴としている。
【0020】
また本発明は、上記構成の現像装置において、前記充填部材はローラー形状であり、回転しないことを特徴としている。
【0021】
また本発明は、上記構成の現像装置と、該現像装置に設けられた前記空気流出路に連通する前記ダクトと、該ダクト内に空気流を発生させて前記現像容器内の空気を装置本体外部に排出する排気手段と、前記ダクトの空気流排出側に配置され、前記現像容器内の空気と共に前記ダクト内を通過したトナーを捕集するフィルターと、を備えた画像形成装置である。
【0022】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記空気流出路は、前記現像容器の長手方向全域に亘って複数設けられており、前記ダクト内には、前記ダクト内を長手方向の複数の流路に分割する整流板を設けたことを特徴としている。
【0023】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記整流板は、前記ダクトの長手方向に沿って略同一直線上に配置されることを特徴としている。
【0024】
また本発明は、上記構成の画像形成装置において、前記空気流出路と連通する前記ダクトの空気流入口は、前記ダクト内の底面の最下部よりも上方に形成されており、前記空気流入口の開口縁と前記底面の最下部とが傾斜面または垂直面で連結されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0025】
本発明の第1の構成によれば、トナー担持体の回転軸中心と空気流出口とを通る直線に対し、空気流出路をトナー担持体の回転方向下流側に傾斜させることにより、現像容器の開口部から現像容器内部に向かう空気流が、現像容器内部から開口部に向かう浮遊トナーの流れを遮るエアカーテンとして機能する。そのため、ダクト内には現像領域周辺に浮遊するトナーが吸引されるだけで、現像容器内に浮遊するトナーは殆ど吸引されない。従って、現像容器内に浮遊するトナーの空気流出路への過剰な吸引を抑制するとともに、現像容器内に浮遊するトナーの開口部からの漏出を効果的に防止することができる。
【0026】
また、本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の現像装置において、トナー担持体の回転方向に対し、トナー担持体の回転軸中心を通る垂線よりも下流側であり、且つ、現像剤担持体とトナー担持体との対向部分から上流側に90°離れた位置よりもさらに上流側の位置に空気流出口を設けたので、空気流出口が現像容器内側に入り過ぎることにより現像容器内に浮遊するトナーを多量に吸引してしまう不具合と、空気流出口が現像領域に近くなり過ぎることにより空気流出路に堆積したトナーが現像容器の開口部から外部に落下する不具合の両方を防止することができる。
【0027】
また、本発明の第3の構成によれば、上記第1又は第2の構成の現像装置において、トナー担持体の回転方向に対しトナー担持体と現像剤担持体との対向部分よりも上流側のトナー担持体の外周面と、現像剤担持体の回転方向に対し対向部分よりも下流側の現像剤担持体の外周面と、現像容器の内壁面と、で囲まれた空間の容積を小さくする充填部材を配置することにより、トナー担持体から引き剥がされたトナーのうち現像剤担持体上に回収されなかったトナーが浮遊する空間が小さくなるためトナー浮遊量が減少する。従って、現像容器の開口部からのトナーの漏出をより効果的に抑制することができる。
【0028】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の現像装置において、充填部材を導電性材料で形成するとともにトナーと同極性のバイアスを印加することにより、充填部材へのトナーの静電気的な付着を抑制できる。従って、充填部材に堆積して塊状となったトナーが現像剤担持体やトナー担持体上に落下するトナー落ち現象による画像不具合の発生を防止することができる。
【0029】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第3又は第4の構成の現像装置において、充填部材を回転しないローラー形状とすることにより、充填部材の表面が曲面となりトナーがより堆積し難くなるとともに、現像容器内の空気流が充填部材の回転によって複雑化するおそれもない。
【0030】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1乃至第5のいずれかの構成の現像装置と、該現像装置に設けられた空気流出路に連通するダクトと、該ダクト内に空気流を発生させて現像容器内の空気を装置本体外部に排出する排気手段と、ダクトの空気流排出側に配置され、現像容器内の空気と共にダクト内を通過したトナーを捕集するフィルターと、を備えることにより、現像装置からのトナーの漏出による画像形成装置内部または外部のトナー汚染を効果的に防止することができる。また、ダクト内へのトナーの堆積やフィルターの目詰まりが抑制され、メンテナンス性も向上した画像形成装置となる。
【0031】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第6の構成の画像形成装置において、現像容器の長手方向全域に亘って空気流出路が複数設けられており、ダクト内に、ダクト内を長手方向の複数の流路に分割する整流板を設けることにより、ダクトの長手方向における空気流の流速差を解消することができる。従って、現像容器の長手方向全域に亘って設けられた空気流出路内の空気流の流速も略均一となり、空気流出路内の空気流の流速不足による現像容器の開口部からのトナーの漏出、及び、流速過剰によるダクト内への多量のトナーの吸引を抑制することができる。
【0032】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第7の構成の画像形成装置において、整流板を、ダクトの長手方向に沿って略同一直線上に配置することにより、ダクトの断面積を広げずにダクト内を複数の流路に分割することができる。
【0033】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第6乃至第8のいずれかの構成の画像形成装置において、空気流出路と連通するダクトの空気流入口を、ダクト内の底面の最下部よりも上方に形成し、空気流入口の開口縁と底面の最下部とを傾斜面または垂直面で連結することにより、空気流出路を通ってダクト内へ吸引されたトナーが空気流入口周辺に堆積しそうになっても、傾斜面または垂直面を滑り落ちてダクト底面の最下部に堆積するため、空気流入口にトナーが詰まり空気流出路が閉塞するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態に係る現像装置3a〜3dが搭載されるカラープリンター100の概略構成図
【図2】第1実施形態の現像装置3aの側面断面図
【図3】第1実施形態の現像装置3aを図2の左上方から見た外観斜視図
【図4】図3から現像装置3aのダクトカバー43aを取り外した状態を示す外観斜視図
【図5】第1実施形態の現像装置3a〜3dから集塵部50までの通気経路を示す斜視図
【図6】現像装置3aから集塵部50までの通気経路を示す側面断面図
【図7】図2における、現像ローラー31周辺の部分拡大図
【図8】空気流出路45を垂直に形成した従来の構成における、現像ローラー31上方の空気流の方向を示すシミュレーション図。
【図9】空気流出路45を現像ローラー31の回転方向下流側に向かって傾斜させた本発明の構成における、現像ローラー31上方の空気流の方向を示すシミュレーション図。
【図10】図7における空気流出路45周辺の部分拡大図
【図11】空気流出路45周辺の他の構成を示す部分拡大図
【図12】空気流出路45周辺のさらに他の構成を示す部分拡大図
【図13】第1実施形態の現像装置3a〜3dに装着されるダクトカバー43aを裏面側から見た斜視図
【図14】本発明の第2実施形態に係る現像装置3aの側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の現像装置が搭載された画像形成装置の概略断面図であり、ここではタンデム方式のカラープリンター100について示している。カラープリンター100本体内には4つの画像形成部Pa、Pb、Pc及びPdが、搬送方向上流側(図1では右側)から順に配設されている。これらの画像形成部Pa〜Pdは、異なる4色(マゼンタ、シアン、イエロー及びブラック)の画像に対応して設けられており、それぞれ帯電、露光、現像及び転写の各工程によりマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの画像を順次形成する。
【0036】
これらの画像形成部Pa〜Pdには、各色の可視像(トナー像)を担持する感光体ドラム1a、1b、1c及び1dが配設されており、さらに駆動手段(図示せず)により図1において時計回りに回転する中間転写ベルト8が各画像形成部Pa〜Pdに隣接して設けられている。これらの感光体ドラム1a〜1d上に形成されたトナー像が、各感光体ドラム1a〜1dに当接しながら移動する中間転写ベルト8上に順次一次転写されて重畳された後、二次転写ローラー9の作用によって記録媒体の一例としての転写紙P上に二次転写され、さらに、定着部13において転写紙P上に定着された後、装置本体より排出される。感光体ドラム1a〜1dを図1において反時計回りに回転させながら、各感光体ドラム1a〜1dに対する画像形成プロセスが実行される。
【0037】
トナー像が転写される転写紙Pは、装置下部の用紙カセット16内に収容されており、給紙ローラー12a及びレジストローラー対12bを介して二次転写ローラー9と後述する中間転写ベルト8の駆動ローラー11とのニップ部へと搬送される。中間転写ベルト8には誘電体樹脂製のシートが用いられ、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルトが主に用いられる。また、二次転写ローラー9の下流側には中間転写ベルト8表面に残存するトナー等を除去するためのブレード状のベルトクリーナー19が配置されている。
【0038】
次に、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。回転自在に配設された感光体ドラム1a〜1dの周囲及び下方には、感光体ドラム1a〜1dを帯電させる帯電器2a、2b、2c及び2dと、各感光体ドラム1a〜1dに画像情報を露光する露光装置5と、感光体ドラム1a〜1d上にトナー像を形成する現像装置3a、3b、3c及び3dと、感光体ドラム1a〜1d上に残留した現像剤(トナー)等を除去するクリーニング装置7a、7b、7c及び7dが設けられている。
【0039】
パソコン等の上位装置から画像データが入力されると、先ず、帯電器2a〜2dによって感光体ドラム1a〜1dの表面を一様に帯電させ、次いで露光装置5によって画像データに応じて光照射し、各感光体ドラム1a〜1d上に画像データに応じた静電潜像を形成する。現像装置3a〜3dには、それぞれマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックの各色のトナーを含む二成分現像剤が所定量充填されている。なお、後述のトナー像の形成によって各現像装置3a〜3d内に充填された二成分現像剤中のトナーの割合が規定値を下回った場合にはトナーコンテナ4a〜4dから各現像装置3a〜3dにトナーが補給される。この現像剤中のトナーは、現像装置3a〜3dにより感光体ドラム1a〜1d上に供給され、静電的に付着することにより、露光装置5からの露光により形成された静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0040】
そして、一次転写ローラー6a〜6dにより一次転写ローラー6a〜6dと感光体ドラム1a〜1dとの間に所定の転写電圧で電界が付与され、感光体ドラム1a〜1d上のマゼンタ、シアン、イエロー及びブラックのトナー像が中間転写ベルト8上に一次転写される。これらの4色の画像は、所定のフルカラー画像形成のために予め定められた所定の位置関係をもって形成される。その後、引き続き行われる新たな静電潜像の形成に備え、感光体ドラム1a〜1dの表面に残留したトナー等がクリーニング装置7a〜7dにより除去される。
【0041】
中間転写ベルト8は、上流側の搬送ローラー10と、下流側の駆動ローラー11とに掛け渡されており、駆動モーター(図示せず)による駆動ローラー11の回転に伴い中間転写ベルト8が時計回りに回転を開始すると、転写紙Pがレジストローラー対12bから所定のタイミングで駆動ローラー11とこれに隣接して設けられた二次転写ローラー9とのニップ部(二次転写ニップ部)へ搬送され、中間転写ベルト8上のフルカラー画像が転写紙P上に転写される。トナー像が転写された転写紙Pは定着部13へと搬送される。
【0042】
定着部13に搬送された転写紙Pは、定着ローラー対13aにより加熱及び加圧されてトナー像が転写紙Pの表面に定着され、所定のフルカラー画像が形成される。フルカラー画像が形成された転写紙Pは、複数方向に分岐した分岐部14によって搬送方向が振り分けられる。転写紙Pの片面のみに画像を形成する場合は、そのまま排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0043】
一方、転写紙Pの両面に画像を形成する場合は、定着部13を通過した転写紙Pは一旦排出ローラー対15方向に搬送され、転写紙Pの後端が分岐部14を通過した後に排出ローラー対15を逆回転させるとともに分岐部14の搬送方向を切り換えることで、転写紙Pの後端から反転搬送路18に振り分けられ、画像面を反転させた状態で二次転写ニップ部に再搬送される。そして、中間転写ベルト8上に形成された次の画像が二次転写ローラー9により転写紙Pの画像が形成されていない面に転写され、定着部13に搬送されてトナー像が定着された後、排出ローラー対15によって排出トレイ17に排出される。
【0044】
図2は、本発明の第1実施形態に係る現像装置3aの側面断面図、図3は、現像装置3aを図2の左上方から見た外観斜視図、図4は、図3の現像装置3aからダクトカバーを取り外した状態を示す外観斜視図である。なお、図2は図1の背面側から見た状態を示しており、現像装置3a内の各部材の配置は図1と左右が逆になっている。また、ここでは図1の画像形成部Paに配置される現像装置3aについて説明するが、画像形成部Pb〜Pdに配置される現像装置3b〜3dの構成についても基本的に同様であるため説明を省略する。
【0045】
図2に示すように、現像装置3aは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤(以下、単に現像剤と呼ぶ)が収納される現像容器20を備えており、現像容器20は仕切壁20aによって攪拌搬送室21、供給搬送室22に区画されている。攪拌搬送室21及び供給搬送室22には、トナーコンテナ4a(図1参照)から供給されるトナー(正帯電トナー)を磁性キャリアと混合して攪拌し、帯電させるための攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bがそれぞれ回転可能に配設されている。
【0046】
そして、攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bによって現像剤が攪拌されつつ軸方向(図2の紙面と垂直な方向)に搬送され、仕切壁20aの両端部に形成された不図示の現像剤通過路を介して攪拌搬送室21、供給搬送室22間を循環する。即ち、攪拌搬送室21、供給搬送室22、現像剤通過路によって現像容器20内に現像剤の循環経路が形成されている。
【0047】
現像容器20は図2の右斜め上方に延在しており、現像容器20内において供給搬送スクリュー25bの上方には磁気ローラー(現像剤担持体)30が配置され、磁気ローラー30の右斜め上方には現像ローラー(トナー担持体)31が対向配置されている。そして、現像ローラー31の外周面の一部が現像容器20の開口部20bから露出し、感光体ドラム1a(図1参照)に対向している。磁気ローラー30、現像ローラー31は、それぞれ図2において反時計回り方向に回転する。
【0048】
攪拌搬送室21には攪拌搬送スクリュー25aと対面して不図示のトナー濃度センサーが配置されており、トナー濃度センサーの検知結果に基づいてトナーコンテナ4aから不図示のトナー補給口を介して攪拌搬送室21にトナーが補給されるようになっている。トナー濃度センサーとしては、例えば、現像容器20内におけるトナーと磁性キャリアからなる二成分現像剤の透磁率を検出する透磁率センサーが用いられる。
【0049】
磁気ローラー30は、図2において反時計回り方向に回転する非磁性の回転スリーブと、回転スリーブに内包される複数の磁極を有する固定マグネット体で構成されている。
【0050】
現像ローラー31は、図2において反時計回り方向に回転する円筒状の現像スリーブと、現像スリーブ内に固定された現像ローラー側磁極で構成されており、磁気ローラー30と現像ローラー31とはその対向位置において所定のギャップをもって対向している。現像ローラー側磁極は、固定マグネット体の対向する磁極(主極)と異極性である。
【0051】
また、現像容器20には穂切りブレード35が磁気ローラー30の長手方向(図2の紙面と垂直方向)に沿って取り付けられており、穂切りブレード35は、磁気ローラー30の回転方向(図2の反時計回り方向)に対し、現像ローラー31と磁気ローラー30との対向部分よりも上流側に位置付けられている。そして、穂切りブレード35の先端部と磁気ローラー30表面との間には僅かな隙間(ギャップ)が形成されている。
【0052】
現像ローラー31には、直流電圧(以下、Vslv(DC)という)及び交流電圧(以下、Vslv(AC)という)が印加され、磁気ローラー30には、直流電圧(以下、Vmag(DC)という)及び交流電圧(以下、Vmag(AC)という)が印加されている。これらの直流電圧及び交流電圧は、現像バイアス電源からバイアス制御回路(いずれも図示せず)を経由して現像ローラー31及び磁気ローラー30に印加される。
【0053】
前述のように、攪拌搬送スクリュー25a及び供給搬送スクリュー25bによって、現像剤が攪拌されつつ現像容器20内の攪拌搬送室21及び供給搬送室22を循環してトナーを帯電させ、供給搬送スクリュー25bによって現像剤が磁気ローラー30に搬送される。そして、磁気ローラー30上に磁気ブラシ(図示せず)を形成し、磁気ローラー30上の磁気ブラシは穂切りブレード35によって層厚規制された後、磁気ローラー30と現像ローラー31との対向部分に搬送され、磁気ローラー30に印加されるVmag(DC)と現像ローラー31に印加されるVslv(DC)との電位差ΔV、及び磁界によって現像ローラー31上にトナー薄層を形成する。
【0054】
現像ローラー31上のトナー層厚は現像剤の抵抗や磁気ローラー30と現像ローラー31との回転速度差等によっても変化するが、ΔVによって制御することができる。ΔVを大きくすると現像ローラー31上のトナー層は厚くなり、ΔVを小さくすると薄くなる。現像時におけるΔVの範囲は一般的に100V〜350V程度が適切である。
【0055】
磁気ブラシによって現像ローラー31上に形成されたトナー薄層は、現像ローラー31の回転によって感光体ドラム1aと現像ローラー31との対向部分(現像領域)に搬送される。現像ローラー31にはVslv(DC)及びVslv(AC)が印加されているため、感光体ドラム1aとの間の電位差によってトナーが飛翔し、感光体ドラム1a上の静電潜像が現像される。
【0056】
現像に用いられずに残ったトナーは、現像ローラー31の回転により再度現像ローラー31と磁気ローラー30との対向部分に搬送され、磁気ローラー30上の磁気ブラシによって回収される。そして、磁気ブラシは固定マグネット体の同極部分で磁気ローラー30から引き剥がされた後、供給搬送室22内に落下する。
【0057】
その後、トナー濃度センサー(不図示)の検知結果に基づいてトナー補給口(不図示)から所定量のトナーが補給され、供給搬送室22及び攪拌搬送室21を循環する間に再び適正なトナー濃度で均一に帯電された二成分現像剤となる。この現像剤が再び供給攪拌スクリュー25bにより磁気ローラー30上に供給されて磁気ブラシを形成し、穂切りブレード35へ搬送される。
【0058】
また、現像容器20の上方にはダクト43が配置されている。ダクト43は、現像容器20の上端部20dとダクトカバー43aとによって形成されている。図3及び図4に示すように、ダクトカバー43aの長手方向の側端縁(図の奥側、手前側)から下方に突設された係合孔43aaが、上端部20dに形成された係合爪20daに係合することにより、ダクトカバー43aが上端部20dに対して固定される。また、ダクトカバー43aの一端には連結部43abが形成されており、ダクト43と集合ダクト47(図5参照)とが連結部43abを介して連結される。
【0059】
また、上端部20dには、現像ローラー31との対向面に開口する空気流出口45aからダクト43内に連通する空気流出路45が設けられている。空気流出路45は、現像容器20の長手方向に沿って、上端部20dを貫通するように複数形成されており、現像容器20内の空気が空気流出口45aから空気流出路45を通ってダクト43内に排出されるようになっている。
【0060】
図5は、現像装置3a〜3dから集塵部50までの通気経路を示す斜視図であり、図6は、現像装置3aから集塵部50までの通気経路を示す側面断面図である。現像装置3a〜3dの上方に配置された各ダクト43は、集合ダクト47を介して集塵部50に接続されている。集塵部50には排気ファン51が配設されており、排気ファン51と集合ダクト47の間にはフィルター53が設けられている。現像装置3a〜3dから空気流出路45を通ってダクト43に排出された空気は集合ダクト47によって合流し、集塵部50から画像形成装置100の本体外側に排出される。また、現像装置3a〜3d内の空気と共に集塵部50内に吸引されたトナーはフィルター53に捕集されるため、画像形成装置100の外部を汚染するおそれはない。
【0061】
図7は、図2における磁気ローラー30と現像ローラー31の対向部分R1の上方付近の部分拡大図である。現像容器20内では、現像ローラー31の回転方向に対し、現像ローラー31と磁気ローラー30との対向部分R1よりも上流側の現像ローラー31の外周面、及び磁気ローラー30の回転方向に対し、対向部分R1よりも下流側の磁気ローラー30の外周面と、現像容器20の内壁面とで囲まれた空間Sにおいて内圧が高くなる。
【0062】
また、対向部分R1では、現像に用いられなかったトナーが磁気ローラー30の磁気ブラシによって現像ローラー31から引き剥がされるため、引き剥がされたトナーのうち磁気ローラー30上に回収されなかったトナーが空間S内に浮遊する。また、その浮遊量は、現像処理が高速化される程多くなる。そのため、空間Sに浮遊するトナーが内圧によって現像容器20の開口部20bから漏出するおそれがある。
【0063】
空間Sに浮遊するトナーをダクト43内に効率良く吸引するためには、空気流出口45aを空間Sに面するように設けることが好ましい。しかし、空間Sに発生した浮遊トナーを全て吸引してしまうと、ダクト43内に吸引されるトナー量が多くなり、ダクト43内においてトナーが堆積したり、集塵部50のフィルター53の目詰まりが早くなって交換回数が多くなったりする等の問題がある。
【0064】
そこで、本実施形態では、現像ローラー31と磁気ローラー30との対向部分R1の上方に位置する現像容器20の上端部20dに、現像容器20の内部とダクト43とを連通する空気流出路45を設けるとともに、空気流出路45を、現像ローラー31の回転軸中心Oと空気流出口45aとを通る直線L1に対し、現像ローラー31の回転方向下流側(図7の左方向)に向かって傾斜させている。
【0065】
図8は、空気流出路45を垂直に形成した従来の構成における、現像ローラー31上方の空気流の方向を示すシミュレーション図であり、図9は、空気流出路45を現像ローラー31の回転方向下流側に向かって傾斜させた第1実施形態の構成における、現像ローラー31上方の空気流の方向を示すシミュレーション図である。なお、図8及び図9において矢印の濃淡は空気流の速度差を示しており、濃度の濃い部分は薄い部分に比べて流速が速くなっている。
【0066】
図8に示すように空気流出路45を垂直に形成した場合、現像容器20の開口部20b側(図8の右方向)から現像容器20と現像ローラー31の隙間を通過して空気流出路45に向かう空気流Aと、空間S方向(図8の左下方向)から現像容器20と現像ローラー31の隙間を通過して空気流出路45に向かう空気流Bとが発生することがわかる。そのため、空間S内に浮遊するトナーも空気流Bと共に空気流出路45に引き込まれ、多量のトナーがダクト43内に吸引される。
【0067】
これに対し、図9に示すように空気流出路45を現像ローラー31の回転方向下流側(図7の左方向)に向かって傾斜させた場合、現像容器20の開口部20bから現像容器20と現像ローラー31の隙間に引き込まれた空気流Aは、空気流出路45へ向かう空気流A1と、空間S方向に向かう空気流A2とに分岐する。このうち、空間S方向に向かう空気流A2が、空間Sから空気流出路45に向かう浮遊トナーの流れを遮るエアカーテンとして機能する。そのため、ダクト43内には空気流A1と共に現像領域周辺に飛散するトナーが吸引されるだけで、空間S内に浮遊するトナーは殆ど吸引されない。
【0068】
従って、本実施形態の構成によれば、空間S内に浮遊するトナーの空気流出路45への吸引を抑制するとともに、空間Sに浮遊するトナーの開口部20bからの漏出を効果的に防止することができる。なお、空間S内に浮遊するトナーは時間の経過と共に磁気ローラー30上に自然落下して磁気ブラシに取り込まれる。
【0069】
また、空気流出口45aが空間Sに近づき過ぎると、空間S内に浮遊するトナーを多量に吸引してしまうおそれがある。一方、空気流出口45aが現像ローラー31と感光体ドラム1aとの対向領域(現像領域)に近くなると、空気流出路45にトナーが堆積してしまった場合に、堆積したトナーが現像容器20の開口部20bから外部に落下するおそれがある。
【0070】
そのため、図7に示すように、空気流出口45aは、現像ローラー31の回転方向に対し磁気ローラー30と現像ローラー31との対向部分R1から上流側に90°離れた位置R2よりもさらに上流側であり、且つ、現像ローラー31の回転軸中心Oを通る垂線L2に対し、現像ローラー31の回転方向下流側(図7の左方向)の位置に設けることが好ましい。
【0071】
図10は、図7における空気流出路45周辺の部分拡大図である。図10に示すように、空気流出路45と連通するダクト43内の空気流入口45bは、ダクト43内の底面の最下部43bよりも上方に形成されており、空気流入口45bの開口縁45baと最下部43bとが傾斜面54a(図10に太線で表示)で連結されている。この構成により、空気流出路45を通ってダクト43内へ吸引されたトナーが空気流入口45b周辺に堆積しそうになっても、傾斜面54aを滑り落ちて最下部43bに堆積するため、空気流入口45bにトナーが詰まり空気流出路45が閉塞するのを防止することができる。
【0072】
なお、図11に示すように、開口縁45baと最下部43bとが垂直面54bで連結された構成であっても良いし、図12に示すように、開口縁45baと最下部43bとを連結する傾斜面54aが逆方向(空気流出路45方向)に傾斜した構成であっても良い。これらの構成においても、空気流入口45b周辺に堆積しそうになったトナーが、傾斜面54a或いは垂直面54bを滑り落ちて最下部43bに堆積する。
【0073】
ところで、現像装置3a〜3dは細長い形状であるため、現像容器20の長手方向(図3の左右方向)において、空気流出路45からダクト43に向かう空気流の流速差が生じる。具体的には、排気ファン51に近い連結部43ab側(図3の右側)の端部では空気流の流速が速くなり、反対側(図3の左側)の端部では空気流の流速が遅くなる。
【0074】
そのため、空気流出路45からダクト43に向かう空気流を連結部43ab側において適切な流速に調整すると、反対側(図3の左側)の端部では流速が不足する。流速が不足する部分では、空間Sから空気流出路45に向かう浮遊トナーの流れを遮るエアカーテンを十分に形成できなくなり、浮遊トナーが開口部20bから漏出するおそれがある。一方、流速が不足する側(図3の左側)の端部において空気流を適切な流速に調整すると、連結部43ab側では過剰な流速となる。流速が過剰となる部分では、空間Sから空気流出路45へ向かう空気流が発生してしまい、空間S内に浮遊するトナーがダクト43内に吸引されてダクト43の詰まりやフィルター53の目詰まりが発生し易くなる。
【0075】
そこで、本実施形態では、図13に示すように、ダクトカバー43aの内面に整流板55を設けている。整流板55は、ダクトカバー43aを現像容器20の上端部20aに装着してダクト43を形成したときダクト43内に突出し、ダクト43内を長手方向の複数の流路に分割する。これにより、ダクト43内を流れる空気流の流速がダクト43の長手方向全域に亘って略均一となり、ダクト43の長手方向における空気流の流速差を解消し、流速不足による開口部20bからのトナーの漏出、流速過剰によるダクト43内への多量のトナーの吸引を抑制することができる。
【0076】
なお、整流板55をダクト43内に並列に配置した場合、ダクト43内に吸引されたトナーが詰まらないように整流板55の間隔を広くする必要があり、ダクト43の断面積が増大してダクト43の配置スペースが大きくなる。そこで、図13のように、複数の整流板55をダクト43の長手方向に沿って略同一直線上に配置することにより、ダクト43の断面積を広げずにダクト43内を複数の流路に分割することができる。
【0077】
図14は、本発明の第2実施形態に係る現像装置3aの側面断面図である。図2と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、空間S内にローラー状の充填部材60を設けている。現像装置3aの他の部分の構成は第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0078】
本実施形態の構成によれば、磁気ローラー30と現像ローラー31と現像容器20の内壁面とで囲まれた空間Sの容積を第1実施形態に比べて小さくすることができる。従って、空間S内に浮遊するトナー量も少なくなるため、開口部20bからのトナーの漏出も抑制することができる。
【0079】
充填部材60の材質や形状については特に制限はないが、樹脂製の充填部材60を用いた場合、現像剤との摩擦によって充填部材60が静電気を帯び、トナーが充填部材60に静電気的に付着して堆積することがある。そして、堆積した塊状のトナーが磁気ローラー30や現像ローラー31上に落下するとトナー落ち現象により画像不具合が発生するおそれがある。そのため、静電気を帯びにくい金属製の充填部材60を用い、トナーが堆積し難いローラー形状とすることが好ましい。また、充填部材60を回転させると、充填部材60の回転による空気流が発生して現像容器20内の空気の流れが複雑になるため、充填部材60はローラー形状で回転しないものが好ましい。
【0080】
また、充填部材60を金属や導電性樹脂等の導電性材料で形成し、充填部材60にトナーと同極性(ここでは正)の直流バイアスを印加することで、充填部材60へのトナーの静電気的な付着をより効果的に防止することができる。
【0081】
その他本発明は、上記各実施形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。例えば、上記各実施形態に示した空気流出路45やダクト43の形状や大きさ等は、現像容器20内でのトナーの浮遊量や空気流の経路の形成状況、排気ファン51の出力等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。
【0082】
また、本発明は、図2に示したような、二成分現像剤を担持する磁気ローラー30とトナーのみを担持する現像ローラー31とを備えた現像装置が搭載される構成であれば、図1に示したタンデム型のカラープリンター100に限らず、例えばモノクロ及びカラー複写機、デジタル複合機やファクシミリ等の、他の画像形成装置にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0083】
本発明は、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を用い、現像剤を担持する現像剤担持体と、トナーのみを担持するトナー担持体とを用いる現像装置に利用可能である。本発明の利用により、現像装置からのトナーの漏洩による画像形成装置内部のトナー汚染を効果的に防止するとともに、現像装置内に浮遊するトナーを吸引するダクト内へのトナー吸引量を低減できるため、画像形成装置のメンテナンス性を向上することができる。
【符号の説明】
【0084】
Pa〜Pd 画像形成部
1a〜1d 感光体ドラム(像担持体)
3a〜3d 現像装置
4a〜4d トナーコンテナ
20 現像容器
20a 仕切壁
20b 開口部
20d 上端部
20da 引っ掛け部
30 磁気ローラー(現像剤担持体)
31 現像ローラー(トナー担持体)
35 穂切りブレード(規制部材)
43 ダクト
43a ダクトカバー
43aa 係合孔
43ab 連結部
43b 最下部
45 空気流出路
45a 空気流出口
45b 空気流入口
45ba (空気流入口の)開口縁
47 集合ダクト
50 集塵部
51 排気ファン(排気手段)
53 フィルター
54a 傾斜面
54b 垂直面
55 整流板
60 充填部材
100 カラープリンター(画像形成装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収容する現像容器と、
該現像容器の開口部から外周面の一部が露出することで像担持体に対向配置され、前記像担持体との対向面が上方向に移動するように回転しながら前記像担持体にトナーを供給するトナー担持体と、
該トナー担持体に対向配置され、前記トナー担持体との対向面が前記トナー担持体と逆方向に移動するように回転するとともに、表面に担持した二成分現像剤から成る磁気ブラシを用いて前記トナー担持体上にトナー層を形成する現像剤担持体と、
該現像剤担持体に担持される現像剤量を規制する規制部材と、
前記トナー担持体と対向する前記現像容器の上端部に形成された空気流出口から前記現像容器の上部に配置されたダクト内に連通する空気流出路と、
を備えた現像装置において、
前記空気流出路は、前記トナー担持体の回転軸中心と前記空気流出口とを通る直線に対し、前記トナー担持体の回転方向下流側に傾斜していることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記空気流出口は、前記トナー担持体の回転方向に対し、前記トナー担持体の回転軸中心を通る垂線よりも下流側であり、且つ、前記現像剤担持体と前記トナー担持体との対向部分から上流側に90°離れた位置よりもさらに上流側の位置に設けられることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記トナー担持体の回転方向に対し、前記トナー担持体と前記現像剤担持体との対向部分よりも上流側の前記トナー担持体の外周面と、前記現像剤担持体の回転方向に対し、前記対向部分よりも下流側の前記現像剤担持体の外周面と、前記現像容器の内壁面と、で囲まれた空間の容積を小さくする充填部材を配置したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の現像装置。
【請求項4】
前記充填部材は導電性材料で形成されており、トナーと同極性のバイアスが印加されることを特徴とする請求項3に記載の現像装置。
【請求項5】
前記充填部材はローラー形状であり、回転しないことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の現像装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の現像装置と、
該現像装置に設けられた前記空気流出路に連通する前記ダクトと、
該ダクト内に空気流を発生させて前記現像容器内の空気を装置本体外部に排出する排気手段と、
前記ダクトの空気流排出側に配置され、前記現像容器内の空気と共に前記ダクト内を通過したトナーを捕集するフィルターと、
を備えた画像形成装置。
【請求項7】
前記空気流出路は、前記現像容器の長手方向全域に亘って複数設けられており、前記ダクト内には、前記ダクト内を長手方向の複数の流路に分割する整流板を設けたことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記整流板は、前記ダクトの長手方向に沿って略同一直線上に配置されることを特徴とする請求項7に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記空気流出路と連通する前記ダクトの空気流入口は、前記ダクト内の底面の最下部よりも上方に形成されており、前記空気流入口の開口縁と前記底面の最下部とが傾斜面または垂直面で連結されることを特徴とする請求項6乃至請求項8のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−97217(P2013−97217A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240753(P2011−240753)
【出願日】平成23年11月2日(2011.11.2)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】