説明

現像装置及び画像形成装置

【課題】現像剤担持体からの現像剤の回収、現像剤の現像剤担持体への供給の各機能が高度に分離されているとともに、現像剤の循環搬送を行いながら、現像剤を排出する現像装置、かかる現像装置を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置の提供。
【解決手段】現像部42において像担持体1の移動方向と逆方向に移動するとともに像担持体1の現像を行う現像剤担持体41を有する。2成分現像剤を環状に搬送しながら撹拌する現像剤撹拌搬送部材43、44、45は、現像部42を通過した2成分現像剤を現像剤担持体41から回収して第1の方向に搬送する部材43と、部材43によって現像剤担持体41から回収された2成分現像剤を第1の方向と異なる第2の方向に搬送しながら現像剤担持体41に供給する部材44、45とを有し、部材44、45は、余剰の現像剤を排出する部材45を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に備えられた、2成分現像剤を用いて感光体等の像担持体の現像を行う現像装置、かかる現像装置を備えたかかる画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置であって、いわゆる電子写真プロセス方式を採用した画像形成装置において、2成分現像剤を用いて感光体等の像担持体の現像を行う現像装置を備えたものが知られている(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献6〕参照)。
【0003】
かかる現像装置においては、現像剤を担持し、像担持体に対向した現像部において、担持した現像剤により像担持体の現像を行う現像剤担持体が備えられており、現像部における像担持体の移動方向と現像剤担持体の移動方向との関係において、これらが逆方向であるタイプ(たとえば、〔特許文献1〕〜〔特許文献3〕参照)と、これらが順方向であるタイプ(たとえば、〔特許文献4〕〜〔特許文献6〕参照)とがある。
【0004】
前者のタイプの現像装置は、後者のタイプの現像装置よりも、白抜け画像の抑制において比較的優れている。白抜け画像とは、たとえばベタ画像とハーフトーン画像との境界など、濃度が異なる画像の境界においてトナー濃度が低下して白く抜けたような状態となる不良画像である。
【0005】
しかしながら、前者のタイプの現像装置であっても、白抜け画像の防止が完全とはいえない場合がある。これは、現像部における像担持体の移動方向と現像剤担持体の移動方向とが逆方向であることに起因するものである。すなわち、現像部における像担持体の移動方向と現像剤担持体の移動方向とが逆方向であるが故に、現像剤担持体上に穂立ちしたキャリアによって形成された磁気ブラシが、像担持体表面に強く当接して同表面を擦り易くなっており、この擦りによって、像担持体を現像したトナーが掻き取られると、かかる白抜け画像が生じるのである。
【0006】
この擦りによる白抜け画像への対策として、磁気ブラシを短くして像担持体への接触時間を低減することが行われており、これによって、一定の成果が得られることが分かっている。
【0007】
一方、前者のタイプの現像装置においては、画像濃度の安定性を保つために、後者のタイプの現像装置に比べて、トナー濃度の均一性を高いレベルで保つことが要求される。トナー濃度の均一性を高いレベルで保つには、現像剤担持体からの現像剤の回収、回収した現像剤の撹拌、撹拌した現像剤の現像剤担持体への供給の各機能を、現像剤の循環搬送を行いながら、良好に確保する必要がある。
【0008】
かかる機能に関連性があると考えられる技術として、前者のタイプの現像装置において、現像剤担持体の近傍に設けられた1つの部材により、現像剤の搬送を行いながら、かかる回収、供給を行う技術が知られている(たとえば、〔特許文献1〕、〔特許文献2〕参照)。
【0009】
その他、画像濃度の安定性を保つためには、経時的に劣化した現像剤を排除することが望ましい。この点、現像剤を排出する機構を備えた現像装置が知られており、このような機構によれば、経時的に劣化した現像剤を排除することが可能となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、1つの部材に、現像剤の搬送を行わせつつ、回収、供給の2つの機能を持たせる上述の技術では、かかる2つの機能のそれぞれが良好に発揮されるとはいえない。また、上述のように、画像濃度の安定性を保つためには、現像剤を排出する機構を備えていることが望ましい。
よって、現像剤担持体からの現像剤の回収、現像剤の現像剤担持体への供給の各機能が高度に分離されているとともに、現像剤の循環搬送を行いながら、現像剤を排出するようになっている現像装置が提供されることが望ましい。
【0011】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に備えられ、現像剤担持体からの現像剤の回収、現像剤の現像剤担持体への供給の各機能が高度に分離されているとともに、現像剤の循環搬送を行いながら、現像剤を排出する現像装置、かかる現像装置を備えたかかる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するため、本発明は、像担持体に対向した現像部において同像担持体の移動方向と逆方向に移動し、担持した2成分現像剤により前記現像部において同像担持体の現像を行う現像剤担持体と、2成分現像剤を環状に搬送しながら撹拌する現像剤撹拌搬送部材とを有し、この現像剤撹拌搬送部材は、前記現像剤担持体に担持され前記現像部を通過した2成分現像剤を同現像剤担持体から回収して第1の方向に搬送するための回収部材と、この回収部材によって前記現像剤担持体から回収された2成分現像剤を供給され第1の方向と異なる第2の方向に搬送しながら前記現像剤担持体に供給する複数の供給部材とを有し、この複数の供給部材は、余剰の現像剤を装置外に排出する排出部材を含んでいる現像装置にある。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、像担持体に対向した現像部において同像担持体の移動方向と逆方向に移動し、担持した2成分現像剤により前記現像部において同像担持体の現像を行う現像剤担持体と、2成分現像剤を環状に搬送しながら撹拌する現像剤撹拌搬送部材とを有し、この現像剤撹拌搬送部材は、前記現像剤担持体に担持され前記現像部を通過した2成分現像剤を同現像剤担持体から回収して第1の方向に搬送するための回収部材と、この回収部材によって前記現像剤担持体から回収された2成分現像剤を供給され第1の方向と異なる第2の方向に搬送しながら前記現像剤担持体に供給する複数の供給部材とを有し、この複数の供給部材は、余剰の現像剤を装置外に排出する排出部材を含んでいる現像装置にあるので、いわゆるカウンター現像方式を採用しているとともに、現像剤担持体からの現像剤の回収及び現像剤担持体への現像剤の供給を別部材によって行い、かつ余剰の現像剤を排出することにより、白抜け画像及び画像濃度の経時的安定性に対策が施されており、画像品質を向上可能な現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明を適用した画像形成装置の一実施形態にかかる概略正断面図である。
【図2】図2に示した画像形成装置に備えられた現像装置の概略正断面図である。
【図3】図2に示した現像装置における現像剤の流れを示した模式図である。
【図4】図2に示した現像装置において現像剤担持体に現像剤が供給される様子を示した概略正断面図である。
【図5】実施例と比較例とのそれぞれによって形成された画像の評価結果を示す図である。
【図6】白抜け画像の発生した様子を示した概念図である。
【図7】従来の現像装置の概略正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1に、本発明に係る画像形成装置の一実施例の概略を示す。画像形成装置100は、カラー複写機であるが、他のタイプの複写機、カラーレーザプリンタ等のプリンタ、ファクシミリ、複写機とプリンタとの複合機等、他の画像形成装置であっても良い。画像形成装置100は、一般にコピー等に用いられる普通紙の他、OHPシートや、カード、ハガキ等の厚紙や、封筒等の何れをもシート状部材であるシート状の記録媒体として画像形成を行なうことが可能である。
【0016】
画像形成装置100は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、複数組の画像形成手段10Y、10M、10C、10Kと、ベルト状の中間転写体6と、給紙装置20と、定着装置30とを備えている。
【0017】
画像形成装置100の上部には、画像読取装置SCが設置されている。原稿台上に載置された原稿は画像読取装置SCの原稿画像走査露光装置の光学系により画像が走査露光され、ラインイメージセンサに読み込まれる。ラインイメージセンサにより光電変換されたアナログ信号は、画像処理部において、アナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等を行った後、光書込手段3Y、3M、3C、3Kに入力される。
【0018】
イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成手段10Yは、感光体である像担持体1Yの周囲に配置された帯電手段2Y、光書込手段3Y、現像装置4Y及びクリーニング手段5Yを有する。マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成手段10Mは、像担持体1M、帯電手段2M、光書込手段3M、現像装置4M及びクリーニング手段5Mを有する。シアン(C)色の画像を形成する画像形成手段10Cは、像担持体1C、帯電手段2C、光書込手段3C、現像装置4C及びクリーニング手段5Cを有する。黒(K)色の画像を形成する画像形成手段10Kは、像担持体1K、帯電手段2K、光書込手段3K、現像装置4K及びクリーニング手段5Kを有する。
【0019】
帯電手段2Yと光書込手段3Y、帯電手段2Mと光書込手段3M、帯電手段2Cと光書込手段3C及び帯電手段2Kと光書込手段3Kとは、潜像形成手段を構成している。
中間転写体6は、複数のローラにより巻回され、回動可能に支持されている。
【0020】
現像装置4Y、4M、4C、4Kは、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の小粒径トナーとキャリアとを含む2成分現像剤を収容している。現像装置4Y、4M、4C、4Kはそれぞれ、トナーカートリッジTY、TM、TC、TBKから、図示しないトナー補給手段により、当該色のトナーを供給される。トナーカートリッジTY、TM、TC、TBK内には、当該色のトナーの他、キャリアが混合されたプレミックス現像剤が収納されており、現像装置4Y、4M、4C、4Kには、当該色のトナーとともに、キャリアも供給される。
【0021】
現像装置4Y、4M、4C、4Kからは、後述するように、余剰の現像剤が排出されるようになっており、現像装置4Y、4M、4C、4Kから排出された余剰の現像剤は、廃トナーボックスTBに回収される。
【0022】
画像形成手段10Y、10M、10C、10Kより形成された各色の画像は、回動する中間転写体6上に1次転写手段7Y、7M、7C、7Kにより転写領域である1次転写領域において逐次転写されて、合成されたカラー画像が形成される。
【0023】
給紙装置20の給紙カセット21内に収容された記録紙Pは、給紙手段22により給紙され、給紙ローラ23、24、25、26、レジストローラ27等を経て、2次転写手段9に搬送され、転写領域である2次転写領域において記録紙P上にカラー画像が転写される。
【0024】
なお、画像形成装置100の下部に鉛直方向に縦列配置された3段の給紙カセット21は、ほぼ同一の構成をなす。また、3段の給紙手段22も、ほぼ同一の構成をなす。給紙カセット21、給紙手段22を含めて給紙装置20と称す。
【0025】
カラー画像が転写された記録紙Pは、定着装置30において記録紙Pが挟持され、熱と圧力とを加えることにより記録紙P上のカラートナー像あるいはトナー像が定着されて記録紙P上に固定され、排紙ローラ28に挟持されて機外の排紙トレイ29上に載置される。
【0026】
一方、2次転写手段9により記録紙Pにカラー画像を転写した後、記録紙Pを曲率分離した中間転写体6は、クリーニング手段8により残留トナーが除去される。
なお、画像形成装置100の説明においては、カラー画像形成にて説明したが、モノクロ画像を形成する場合も本発明に含まれるものである。
【0027】
像担持体1Y、1M、1C、1Kは互いに同様の構成であり、現像装置4Y、4M、4C、4Kは互いに同様の構成であるため、以下、像担持体1Y、1M、1C、1Kを区別することのない場合、像担持体1と称し、現像装置4Y、4M、4C、4Kを区別することのない場合、現像装置4と称す。
【0028】
図2に示すように、現像装置4の筐体はケーシング40によって構成されている。ケーシング40内には、現像剤担持体としての現像ローラ41、第1の現像剤撹拌搬送部材である第1撹拌部材43、第2の現像剤撹拌搬送部材である第2撹拌部材44、第3の現像剤撹拌搬送部材である第3撹拌部材45等が配置されている。
【0029】
ケーシング40は、第1撹拌部材43を収容する現像剤撹拌室401と、第2撹拌部材44を収容する現像剤撹拌室402と、第3撹拌部材45を収容する現像剤撹拌室403とを有している。現像剤撹拌室401と現像剤撹拌室402とは、第2撹拌部材44を下方から覆うようにケーシング40内に設けられた隔壁部404を挟んで上下方向両側に形成されている。現像剤撹拌室402と現像剤撹拌室403とは、第3撹拌部材45を下方から覆うようにケーシング40内に設けられた隔壁部405を挟んで上下方向両側に形成されている。
【0030】
隔壁部404は、図2における紙面手前側端部と、紙面奥側端部とに、現像剤撹拌室401と現像剤撹拌室402とを連通させる図示しない連通部を有している。同様に、隔壁部405は、図2における紙面手前側端部と、紙面奥側端部とに、現像剤撹拌室402と現像剤撹拌室403とを連通させる図示しない連通部を有している。なお、現像剤撹拌室401には、トナー補給手段により、当該色のトナーを含むプレミックス現像剤が補給される。
【0031】
現像ローラ41は、静電潜像を担持する像担持体1に対向して配置されている。現像ローラ41は、回転する現像スリーブ41Aと、現像スリーブ41Aの内側に位置し、固定されたマグネットロールである磁界発生手段41Bとを有している。
【0032】
現像ローラ41と像担持体1との対向領域は、現像スリーブ41Aに担持した現像剤により像担持体1の静電潜像を現像する現像領域としての現像部42となっている。現像スリーブ41Aは、図示しない駆動源により、現像部42において像担持体1の移動方向と逆方向に移動するように回転駆動される。よって、画像形成装置100では、カウンター現像方式を採用している。
【0033】
現像ローラ41と第1撹拌部材43との対向部において、現像スリーブ41Aは図2における左方から右方に回動し、第1撹拌部材43は図2における右方から左方に回動する。このように現像スリーブ41Aと第1撹拌部材43とは互いにカウンター方向に移動する。
【0034】
現像スリーブ41Aには、現像バイアスとして、交流電源E1による交流電圧と、直流電源E2による直流電圧とが重畳された、交番電界が用いられる。交流電源E1と直流電源E2とは、現像ローラ41に直流成分と交流成分とを重畳した現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段Eを構成している。なお、電源E1による交流電圧を用いたAC現像では、エッジ電界による白抜け画像をもたらすエッジ効果が低減される。
【0035】
磁界発生手段41Bは、7極の磁極N1、N2、N3、S1、S2、S3、S4を有する。磁極N1は現像部42を形成する現像主磁極である主磁極、磁極N2は第2撹拌部材44、第3撹拌部材45から供給される現像剤を現像スリーブ41Aに付着させて汲み上げる汲上磁極、磁極N3は現像ローラ41上の現像剤搬送量を規制するための規制磁極である。磁極S1は現像部42を通過した現像剤をケーシング40内に搬送する搬送磁極、磁極S2は現像部42を通過した現像剤をケーシング40内において現像スリーブ41Aから剥ぎ取る剥取磁極、磁極S3は磁極N2によって現像スリーブ41A上に汲み上げられた現像剤を搬送する搬送磁極、磁極S4は磁極N3において層厚を規制された現像剤を現像部42に搬送する搬送磁極である。
【0036】
現像ローラ41具体的には現像スリーブ41Aに担持された現像剤を規制する規制部材である現像剤量規制部材51の先端部は、磁界発生手段41Bの規制磁極N3の近傍の位置に配置されている。現像剤量規制部材51は磁性体より成り、先端が規制磁極N3に対向し、現像スリーブ41A上の現像剤の層厚を規制する。
【0037】
ケーシング40は、現像剤量規制部材51により高さが規制された状態で現像スリーブ41Aに担持され現像部42に搬送される現像剤が通過する領域に対向する位置に、現像スリーブ41Aを覆うように設けられた現像入口シールブラケットである現像剤担持体被覆部としての被覆部52を有している。被覆部52は、現像スリーブ41Aの移動方向における現像部42の上流側で現像スリーブ41Aを覆っている。被覆部52は、現像剤量規制部材51を支持している。
【0038】
磁界発生手段41Bの複数個の磁極のうち互いに隣接する2磁極S1、S2は、同極性に配置され反発磁界を形成している。現像剤剥ぎ取り用の磁極S2は、現像スリーブ41A上の現像剤を剥ぎ取りケーシング40内に飛散させる。
【0039】
第1撹拌部材43は、現像スリーブ41Aに担持されている、現像部42を通過した現像剤を現像スリーブ41Aから剥ぎ取って回収する回収部材としての機能を有している。そのため、第1撹拌部材43は回転によって現像剤を搬送するように、螺旋状のスクリュー部材となっており、回収撹拌スクリューとして機能する。第1撹拌部材43は、現像スリーブ41Aに対してカウンター方向に回転することで、図3に示すように、現像剤を、同図における右方である第1の方向Aに向けて搬送する。
【0040】
すなわち、第1撹拌部材43は、かかるカウンター方向に回転することで、現像部42を通過した現像剤を現像スリーブ41Aから回収し、また、この回収した現像剤とともに、上述した反発磁界によって現像スリーブ41Aから剥ぎ取られた現像剤、すなわち矢印Xで示すように第1撹拌部材43による搬送作用を受ける領域に移動した現像剤を、現像剤搬送経路を構成している現像剤撹拌室401内において、同図における右方である第1の方向Aに向けて搬送する。
【0041】
同図において破線の矢印Tで示すように、第1撹拌部材43には、その現像剤の搬送方向における上流側端部位置に、トナー補給手段により、現像すべき当該色のトナーを含むプレミックス現像剤を、矢印Tの図示位置にある図示しない補給口から補給され供給される。
【0042】
よって、第1撹拌部材43は、現像部42を通過した現像剤と、プレミックス現像剤とを撹拌混合しながら、第1の方向に搬送する。プレミックス現像剤が、第1撹拌部材43の現像剤搬送方向上流側端部に供給され、現像部42を通過してトナー濃度が低下した現像剤と撹拌混合されることで、新規トナー、キャリアの分散性が高く、トナー濃度が速やかに均一化され画像濃度が安定するとともに、現像剤の劣化度が平均化される。
【0043】
なお、第1撹拌部材43は、現像部42を通過した現像剤、プレミックス現像剤のみならず、後述するように現像剤撹拌室402側から落下してきた現像剤についても、撹拌混合しながら、第1の方向に搬送する。
【0044】
第1撹拌部材43は、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45の下方に位置している。また、第2撹拌部材44は、第3撹拌部材45の下方に位置している。第1撹拌部材43、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45は互いに平行に配設されている。よって、第1撹拌部材43、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45は上下に並設されている。
【0045】
第1撹拌部材43によって現像剤撹拌室401内を同図右側の端部まで搬送された現像剤は、この位置に対応する隔壁部404の連通部を通って、矢印Bで示すように、現像剤撹拌室402内に押し上げられ、第2撹拌部材44の同図右側の端部位置に移送され、供給される。また、この現像剤の一部は、この位置に対応する隔壁部405の連通部を通って、矢印Cで示すように、現像剤撹拌室403内に押し上げられ、第3撹拌部材45の同図右側の端部位置に移送され、供給される。
【0046】
第2撹拌部材44、第3撹拌部材45は、第1撹拌部材43とともに、ケーシング40内で、同図における反時計方向に環状に搬送しながら撹拌するものである。そのため、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45は、第1の方向と異なる、具体的には第1の方向と逆の、同図における左方である第2の方向Dに、現像剤撹拌室402、403内において現像剤を搬送する。
【0047】
第2撹拌部材44、第3撹拌部材45は何れも螺旋状のスクリュー部材となっており、現像スリーブ41Aと第2撹拌部材44、第3撹拌部45との対向位置において、現像スリーブ41A、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45は下方から上方に回動する。よって第2撹拌部材44、第3撹拌部材45は現像スリーブ41Aと互いに順方向に移動する。
【0048】
第2撹拌部材44、第3撹拌部材45は、このように回転することで、現像剤を、現像剤搬送経路を構成している現像剤撹拌室402、403内においてD方向に撹拌搬送しながら、現像ローラ41に供給する供給部材である供給スクリュとして機能するものである。すなわち、第2撹拌部材44、第3撹拌部材は、かかる回転により、図4に示すように、現像剤撹拌室402、403内の現像剤を、現像剤撹拌室402、403外に飛び跳ねる状態とし、ほぼ全量の現像剤が現像剤撹拌室402、403から現像スリーブ41A表面に向けて飛び跳ねて、図3においては矢印E、Fで示すように、現像スリーブ41Aに降りかかる状態とする。
【0049】
ただし、第3撹拌部材45は、余剰の現像剤を、矢印Gで示すように、ケーシング40から溢れ出させることすなわちオーバーフローによって現像装置41外に排出する排出部材としての機能も備えている。そのため、図2に示すように、ケーシング40は、かかる現像剤をオーバーフローさせる現像剤排出口47を有している。
【0050】
現像剤排出口47の配設位置は、現像剤撹拌室403の、現像ローラ41と反対側の壁面の上部位置となっている。現像ローラ41から離れた位置とすることで、現像ローラ41に担持される現像剤量が安定するなどの利点があるためである。なお、第2撹拌部材44も、排出部材として機能するようにしても良く、この場合にはこれに対応して現像剤排出口を形成する。
【0051】
現像ローラ41に供給されず、また現像剤排出口47から排出されずに、第3撹拌部材45によって現像剤撹拌室403内を図3左側の端部まで搬送された現像剤は、この位置に対応する隔壁部405の連通部を通って、矢印Hで示すように、現像剤撹拌室402内に落下し、第2撹拌部材44の同図左側の端部位置に移送され、供給される。
【0052】
また、現像ローラ41に供給されずに、第2撹拌部材44によって現像剤撹拌室402内を同図左側の端部まで搬送された現像剤は、現像剤撹拌室403から落下してきた現像剤とともに、この位置に対応する隔壁部404の連通部を通って、矢印Iで示すように、現像剤撹拌室401内に落下し、第1撹拌部材43の同図左側の端部位置に移送され、供給される。
【0053】
以上のような構成により、現像装置41においては、第1撹拌部材43、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45により、現像剤を撹拌しながら一方向すなわち図3における反時計方向に循環するようにして搬送されるようになっている。
【0054】
第1撹拌部材43は、現像ローラ41から、現像に使用された現像剤すなわち現像部42を通過した現像剤の回収をほぼ完全に行うために、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45よりも大径となっており、その現像剤搬送能力が、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45それぞれの現像剤搬送能力よりも大きく設定されている。
【0055】
これに伴い、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45のそれぞれによる現像剤搬送能力は、第1撹拌部材43のそれより小さい。この現像剤搬送能力の差を緩和ないし解消するためには、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45の回転数を、第1撹拌部材43の回転数よりも大きくすることが考えられるが、このようにすると、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45の軸受寿命が短くなり、また軸回転の摩擦による発熱にも課題が生じ得る。
【0056】
しかしながら、第1撹拌部材43による現像剤搬送方向であるA方向と逆向きのB方向に現像剤を搬送する供給部材が第2撹拌部材44、第3撹拌部材45の2つの部材によって構成されているため、第2撹拌部材44の現像剤搬送能力と第3撹拌部材45の現像剤搬送能力の合計により、B方向への現像剤搬送能力は担保されている。第2撹拌部材44、第3撹拌部材45を比較的小径とすることにより、現像装置4のレイアウトが小型化に適したものとなっている。
【0057】
その他、現像装置4の構成は次のとおりである。
現像スリーブ41A:直径φ20mm、回転数400rpm
第1撹拌部材43:外径φ25mm、回転数:700rpm
第2撹拌部材44:外径φ15mm、回転数:700rpm
第3撹拌部材45:外径φ 7mm、回転数:600rpm
トナー濃度センサ:キャリアの透磁率を検出するセンサ
現像バイアス: DCバイアス(直流電源E2):−200〜−700V
ACバイアス(交流電源E1):0.5〜−2.0kVp−p、2〜7kHz
【0058】
現像剤は次のとおりである。
乳化重合トナーと樹脂コーティングキャリアとの二成分現像剤(キャリアは粒径35μm、キャリアの表面抵抗が1013Ω・cmである高抵抗キャリア、トナー径は5.8μm)。
【0059】
ところで、一般に、画像形成装置では、白抜け画像という不良画像、すなわち、たとえば図6に示すように、ベタ画像とハーフトーン画像との境界など、濃度が異なる画像の境界においてトナー濃度が低下して白く抜けたような状態となる不良画像が生じることがある。同図において、白抜け画像は、ベタ画像とハーフトーン画像との境界すなわちベタ画像の周囲に全周にわたって生じている。この白抜け画像は、かかる境界において、現像バイアスによって形成される電界が乱れるいわゆるエッジ電界の他、以下述べる現象に起因して発生することが分かっている。
【0060】
画像形成装置100がカウンター現像方式を採用しているのは、白抜け画像対策のためである。なお、このカウンター現像方式は、次に述べるように磁気ブラシが像担持体1表面に接触するため、カウンター接触現像方式といわれる。
【0061】
しかしながら、このようなカウンター現像方式を採用すると、現像部42における像担持体1の移動方向と現像スリーブ41Aの移動方向とが逆方向であるが故に、現像スリーブ41A上に穂立ちしたキャリアいわゆる磁気ブラシが、像担持体1表面に強く当接して同表面を擦り易くなっており、この擦りすなわち穂当たりによって、像担持体1を現像したトナーが磁気ブラシに掻き取られ、再度キャリア側に戻ると、かかる白抜け画像が生じる。また、磁気ブラシの擦りにより、掃き目ムラなどといわれる画像乱れが生じ、ライン画像の縦横比が悪化したり、ベタ画像ムラが発生したりすることもある。
【0062】
そこで、画像形成装置100では、かかる白抜け画像、画像乱れへの対策として、穂当たりを弱めるべく、キャリア1個あたりの磁気力を1.00×10−6以上7.00×10−6emu以下とし、磁束密度を弱めている。なお、かかる穂当たりを弱めるため、本形態では、磁気ブラシの長さを短くすることも行われている。
【0063】
一方、カウンター現像方式の場合、現像剤担持体がこれとは逆に回転する場合に比べて、トナー濃度の均一性を高いレベルで保つことが要求される。この点、すでに述べたように、現像装置4では、第1撹拌部材43が現像ローラ41からの現像剤の回収を担当し、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45が撹拌した現像剤の現像ローラ41への供給を担当することで、これら回収、供給の各機能を、第1撹拌部材43と、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45とで分離させている。
【0064】
これによって、図7に示すような、現像ローラ441の近傍に設けられた1つの部材443により、現像剤の搬送を行いながら、かかる回収、供給を行う現像装置400と異なり、トナー濃度の均一性を高いレベルで確保するようになっている。
【0065】
図7に示した現像装置400の構成について補足説明すると次のとおりである。
部材443は同図の紙面に垂直な方向に現像剤を搬送しながら撹拌する。部材444は部材443と同径の部材であり、同図の紙面に垂直な方向であって部材443による現像剤の搬送方向とは逆の方向に現像剤を搬送しながら撹拌する。部材443、444は、現像剤を水平面内で循環搬送する。
【0066】
現像剤は、部材443、444によって循環搬送される過程で、部材443からローラ445に供給される。ローラ445は、部材443、444と異なり、同図の紙面に垂直な方向に現像剤を搬送する機能を備えていない。ローラ445は、現像剤を、現像ローラ441に対向した部材446の上方の空間に供給する。現像ローラ441には、かかる空間内の現像剤が供給され、担持される。
【0067】
よって、現像ローラ441への、循環搬送されている現像剤の供給、現像ローラ441からの現像剤の回収は、ともに、部材443によって行われる。そのため、現像装置400の構成では、かかる回収、供給のそれぞれの機能が良好に発揮されていることについては疑問がある。
なお、その他、同図において符号1、42、51で示した部分はそれぞれ、本形態における像担持体1、現像部42、現像剤量規制部材51に対応する。
【0068】
現像装置4は、このような現像装置400と異なり、現像ローラ41からの現像剤の回収、現像剤の現像ローラ41への供給の各機能が、第1撹拌部材43と、第2撹拌部材44、第3撹拌部材45とで高度に分離されている。また、現像装置4では、上述のように、現像剤の循環搬送を行いながら、現像剤を現像剤排出口47から排出するようになっているため、画像濃度の安定性が保たれる。
【0069】
現像剤の排出と画像濃度の安定性との関係を説明すると次のとおりである。
現像剤を撹拌しながら搬送すると、現像装置4内のキャリア、トナーは劣化していくが、プレミックス現像剤が補給され、余剰の現像剤は現像剤排出口47から排出されるため、現像に用いられるキャリア、トナーは、経時的に更新され、過度に劣化することはない。そのため、現像装置4の現像性能の低下が、現像剤の劣化によって生じることは防止ないし抑制されており、画像濃度は安定する。プレミックス現像剤中のキャリアの含有率は、画像形成によって消費されるトナー量を考慮して、重量比で1%から30%の間で設定される。
【0070】
よって、現像装置4では、白抜け画像への対策がなされているほか、現像ローラ41からの現像剤の回収、現像剤の現像ローラ41への供給の各機能が高度に分離されていることによってトナー濃度が安定していることと相俟って、画像濃度の安定性が高度に保たれる。
【0071】
(実施例及び比較例)
次の条件の実施例及び比較例で画像形成を行い、図5に示すように、形成された画像の評価を行った。
評価項目は、5000枚印刷を行ったときの、頁内における画像濃度の偏差である。なお、必要以上の劣化現像剤の排出を行った。
【0072】
評価結果はランク1〜5に分類した。
具体的に、ランク5は最良レベルであり、ランク1は最悪レベルである。ランク3以上を市場で受け入れられるレベルとして設定した。
【0073】
・実施例1
現像装置4についてすでに述べた構成と同様の構成を採用した。具体的には次のとおりである。第1撹拌部材43は、外径φ25mmとし、回転数を700rpmとした。第2撹拌部材44は、外径φ15mmとし、回転数を700rpmとした。第3撹拌部材45は、外径φ7mmとし、回転数を600rpmとした。現像ローラ41からの現像剤の回収を第1撹拌部材43により行った。現像ローラ41への現像剤の供給を第2撹拌部材44、第3撹拌部材45により行った。
評価結果は、図5に示されているとおり、ランク5であった。現像ローラ41への現像剤の供給は十分であり、現像剤の量が少なくなってスクリュピッチムラが現れるようなこともないことが確認された。また、現像ローラ41からの現像剤の回収も十分であり、画像濃度が低下する現象も見られなかった。
【0074】
・実施例2
第1撹拌部材43を、外径φ20mmとした。他の条件は実施例1と同じである。
評価結果は、図5に示されているとおり、ランク4であった。現像ローラ41への現像剤の供給は十分であったが、現像ローラ41からの現像剤の回収が低下して画像濃度が低下するサンプルが見られたためである。
【0075】
・実施例3
現像ローラ41への現像剤の供給を第2撹拌部材44のみにより行った。他の条件は実施例1と同じである。
評価結果は、図5に示されているとおり、ランク3であった。現像ローラ41からの現像剤の回収は十分であったが、現像ローラ41への現像剤の供給が十分でない画像サンプルが見られたためである。
【0076】
・比較例1
図7に示した構成の現像装置を用いて画像形成を行った。
評価結果は、図5に示されているとおり、ランク1であった。現像ローラ41からの現像剤の回収、現像ローラ41への現像剤の供給が十分でなく、また現像剤が劣化したためと推される。
【0077】
以上本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定していない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【0078】
たとえば、現像剤担持体は、像担持体に対向して、像担持体の移動方向に沿って複数備えられていても良い。
本発明は、画像形成装置100のようないわゆるタンデム方式の画像形成装置ではなく、1つの感光体ドラム上に順次各色のトナー像を形成して各色トナー像を順次重ね合わせてカラー画像を得るいわゆる1ドラム方式の画像形成装置にも同様に適用することができ、また、カラー画像形成装置でなく、モノクロ画像形成装置にも適用することができる。いずれのタイプの画像形成装置でも、中間転写体を用いず、各色のトナー像を転写紙等に直接転写しても良い。
【0079】
本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0080】
1 像担持体
4 現像装置
41 現像剤担持体
42 現像部
43、44、45 現像剤撹拌搬送部材
43 回収部材
44、45 複数の供給部材
45 排出部材
100 画像形成装置
E 現像バイアス印加手段
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】
【特許文献1】特開2008−139649号公報
【特許文献2】特開2008−241997号公報
【特許文献3】特開2002−72690号公報
【特許文献4】特開2003−241517号公報
【特許文献5】特開2003−241518号公報
【特許文献6】特開2000−338783号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体に対向した現像部において同像担持体の移動方向と逆方向に移動し、担持した2成分現像剤により前記現像部において同像担持体の現像を行う現像剤担持体と、
2成分現像剤を環状に搬送しながら撹拌する現像剤撹拌搬送部材とを有し、
この現像剤撹拌搬送部材は、前記現像剤担持体に担持され前記現像部を通過した2成分現像剤を同現像剤担持体から回収して第1の方向に搬送するための回収部材と、この回収部材によって前記現像剤担持体から回収された2成分現像剤を供給され第1の方向と異なる第2の方向に搬送しながら前記現像剤担持体に供給する複数の供給部材とを有し、
この複数の供給部材は、余剰の現像剤を装置外に排出する排出部材を含んでいる現像装置。
【請求項2】
請求項1記載の現像装置において、
前記回収部材は前記複数の供給部材の下方に位置していることを特徴とする現像装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の現像装置において、
前記回収部材は前記複数の供給部材よりも大径であることを特徴とする現像装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1つに記載の現像装置において、
トナーの補給が前記回収部材に対して行われることを特徴とする現像装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1つに記載の現像装置において、
トナーとともにキャリアが補給されることを特徴とする現像装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1つに記載の現像装置において、
前記現像剤担持体に、直流成分と交流成分とを重畳した現像バイアスを印加する現像バイアス印加手段を有することを特徴とする現像装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1つに記載の現像装置を有する画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29674(P2013−29674A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165776(P2011−165776)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】