説明

現場ゴム引き形式の3層コードを製造する方法及び装置

本発明は、現場ゴム引きされる形式の、即ち、「充填ゴム」と呼ばれる未架橋状態のゴムで作られたコンパウンドを含む3つの同心層(C1,C2,C3)を備えた金属コードの製造方法に関する。コードは、第1の内側層又はコア(C1)に直径dのN(Nは3から12まで様々である)本のワイヤをピッチpで螺旋の状態に一緒に巻き付けて第2の中間層(C2)を形成したものである。加うるに、第2の中間層に直径dのP(Pは8から20まで様々である)本のワイヤをピッチpで螺旋の状態に一緒に巻き付けて第3の外側層(C3)を形成する。この方法は、次のステップ、即ち、コア(C1)を充填ゴムで被覆する第1の被覆ステップ、このように被覆された第1の層(C1)周りに第2の層(C2)のN本のワイヤを組み立てると共にツイスティングして「コアストランド」と呼ばれる中間コード(C1+C2)を「組み立て箇所」呼ばれる箇所で形成する第1の組み立てステップ、組み立て箇所から見て下流側で、コアストランド(C1+C2)を充填ゴムで被覆する第2の被覆ステップ、第3の層(C3)のP本のワイヤを被覆されたコアストランドの周りに組み立てると共にツイスティングする第2の組み立てステップ及び最終の撚り値バランス取りステップを有する、本発明は又、かかる一方法を実施するために用いられる装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴムで作られた物品、例えばタイヤを特に補強するために使用できる特にM+N+P構造の3層金属コードを製造する方法及び装置に関する。
【0002】
本発明は、特に、「現場ゴム引き」形式の金属コード、即ち、実際の製造中ゴムが未架橋状態のままで内部からゴム引きされたコードを製造する方法及び装置に関し、その目的は、これらコードの耐腐食性を向上させ、従って特に産業車両用のタイヤのカーカス補強材の耐久性を向上させることにある。
【背景技術】
【0003】
公知のように、ラジアルタイヤは、トレッド、2つの非伸長性ビード、ビードをトレッドに連結する2つのサイドウォール及びカーカス補強材とトレッドとの間に周方向に位置決めされたベルトを有している。このカーカス補強材は、公知の仕方で、ゴムから成る少なくとも1枚のプライ(又は「層」)で構成され、このゴムプライは、産業車両用のタイヤの場合、一般に金属製の補強要素(「補強材」)、例えばコード又はモノフィラメントで補強されている。
【0004】
上述のカーカス補強材を補強するため、一般に、中央層及びこの中央層の周りに位置決めされたワイヤから成る1つ又は2つ以上の同心層で構成された「層状」スチールコードと呼ばれているものが用いられている。最も用いられる場合の多い層状コードは、本質的に、M+N+P構造のコードであり、かかるコードは、M(Mは、1〜4)本のワイヤの中央層をN(典型的には、Nは、3〜12)本のワイヤの中間層で包囲し、かかる層をそれ自体、P(典型的には、Pは、8〜20)本のワイヤの外側層で包囲したものであり、かかる組立体全体を外側層の周りに螺旋の状態に巻いた外側ラッパ又は包装体で包むことができる。
【0005】
周知のように、これら層状コードは、タイヤが走行しているときに高い応力、特に、繰り返し曲げ又は曲率の変化を受け、それにより、特に隣り合う層相互間の接触によりワイヤのところに摩擦が生じ、従って摩耗及び疲労が生じ、従って、これら層状コードは、「フレッチング疲労」と呼ばれている現象に対して高い耐性を備えなければならない。
【0006】
また、多層コードには、ゴムがコードを構成するワイヤ相互間の空間の全てに入り込むためにできるだけ遠くまでゴムを含浸させることが特に重要である。確かに、この侵入が不十分であると、コードに沿って且つコード内に空のチャネル又は毛管(又は毛管状隙間)が形成され、例えばこれらトレッドに生じた切れ目の結果としてタイヤの中に入り込みやすい腐食物質、例えば水又は空気中の酸素がこれら空のチャネルに沿ってタイヤのカーカス中に移動する。この水分の存在は、乾燥状態の雰囲気で用いられる場合と比較して、腐食を生じさせると共に上述の劣化プロセス(「腐食疲労」現象)を促進させるうえで重要な役割を果たす。
【0007】
これら疲労現象の全ては、一般に、「フレッチング腐食疲労」という包括的な用語でグループ化でき、かかる現象は、コードの機械的性質に累進的な劣化をもたらすと共に過酷な走行条件下においてコードの寿命に悪影響を及ぼす場合がある。
【0008】
上述の欠点を軽減するため、国際公開第2005/071157号パンフレットは、1+M+N構造、特に1+6+12構造の3層状コードを提案しており、かかる3層状コードの本質的な特徴のうちの1つは、ジエンゴムコンパウンドから成るシースが少なくとも、M本のワイヤで構成された中間層を覆い、コードそれ自体のコアがゴムで被覆されているか被覆されていないかのいずれかであることが可能である。この特定の設計により、先行技術のコードと比較して、腐蝕の問題を抑える優れたゴム侵入度が得られるだけでなく、耐フレッチング疲労性も又特に向上している。かくして、重量物運搬車両用タイヤの耐用寿命及びこれらのカーカス補強材の耐用寿命は、非常に目に見えて向上している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】国際公開第2005/071157号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、提案されているこれらコードの製造方法及びその結果として得られるコードそれ自体は、欠点がないわけではない。
【0011】
まず最初に、これら3層コードは、数個のステップで得られ、これら数個のステップは、不連続であるという欠点を有し、かかるステップでは、まず最初に、中間の1+M(特に1+6)コードを作り、次に押出ヘッドを用いてこの中間コードを外装し、最後に、外側層を形成するために残りのN(特に12)本のワイヤをこのように外装されたコア周りにケーブリングするという最終作業を行う必要がある。外側層をコア周りにケーブリングする前にゴムシースの未硬化ゴムの粘着性が非常に高いという問題を回避するために、中間スプール巻き取り及び巻き出し作業中、層間プラスチックフィルムも又使用しなければならない。これら連続して行われる取り扱い作業の全ては、工業上の観点からは問題があり、高い製造速度の達成に反する。
【0012】
さらに、コード軸線に沿うコードの考えられる限り最も低い通気度を得るためにコード中へのゴムの高い侵入レベルを達成することが望ましい場合、先行技術のこれら方法を用いると、外装作業中、ゴムを比較的多量に使用することが必要であることが判明した。量が多いことにより、製造されたばかりの完成状態のコードの周囲に未硬化ゴムの幾分顕著な望ましくないオーバースピル(あふれ出し)が生じる。
【0013】
今や、上述したように、未硬化(未架橋)状態のゴムの粘着性が非常に高いので、かかる望ましくないオーバースピルは、最終のタイヤの製造作業及び最終の硬化に先だって、未硬化状態の場合と同様、コードの後の取扱中、特にゴムのストリップ中へのコードの組み込みのために次に行われる圧延作業中、相当な不利益を生じさせる。
【0014】
上述の欠点の全ては、当然のことながら、工業的生産速度を落とし、コードの最終コスト及びこれらコードが補強するタイヤの最終コストにマイナスの影響を及ぼす。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本出願人は、研究中、上述の欠点を軽減することができる改良型製造方法を発見した。
【0016】
したがって、本発明の第1の要旨は、現場ゴム引きされる形式の、即ち、「充填ゴム」と呼ばれる未架橋(未硬化)状態のゴムで作られたコンパウンドを含む3つの同心層(C1,C2,C3)を備えた金属コードの製造方法であって、コードは、第1の内側層又はコア(C1)に直径d2のN(Nは3から12まで様々である)本のワイヤを第2の中間層(C2)としてピッチp2で螺旋の状態に一緒に巻き付け、第2の中間層に直径d3のP(Pは8から20まで様々である)本のワイヤを第3の外側層(C3)としてピッチp3で螺旋の状態に一緒に巻き付けたものであり、方法は、以下のステップ、即ち、
‐コア(C1)を充填ゴムで外装する第1の外装ステップ、
‐このように外装された第1の層(C1)周りに第2の層(C2)のN本のワイヤをツイスティングして「コアストランド」と呼ばれる中間コード(C1+C2)を「組み立て箇所」呼ばれる箇所で形成する第1の組み立てステップ、
‐組み立て箇所の下流側で、コアストランド(C1+C2)を充填ゴムで外装する第2の外装ステップ、
‐第3の層(C3)のP本のワイヤを外装されたコアストランドの周りにツイスティングする第2の組み立てステップ、及び
‐最終の撚りバランス取りステップを有することを特徴とする方法にある。
【0017】
本発明のこの方法により、先行技術の現場ゴム引き3層コードと比較して、少量の充填ゴムを含み、コードをコンパクトにする顕著な利点を有する3層コードを製造することが連続的に且つインラインで可能になり、このゴムは又、その毛管の各々の中でコード内に一様に分布され、かくしてコードに良好な長手方向不浸透性が与えられる。
【0018】
本発明は又、本発明の方法を実施するために使用できるインライン型ゴム引き・組み立て装置において、装置は、形成中のコードの移動方向で見て上流側から下流側に、
‐第1の層又はコア(C1)を供給する供給手段と、
‐コア(C1)を外装する第1の外装手段と、
‐第2の層(C2)のN本のワイヤを供給する供給手段及びN本を組み立て箇所と呼ばれる箇所で外装されたコア(C1)の周りにツイスティングした状態で組み立てて「コアストランド」と呼ばれる中間コード(C1+C2)を形成する第1の組み立て手段と、
‐組み立て箇所の下流側に設けられていて、コアストランド(C1+C2)を外装する第2の外装手段と、
‐第2の外装手段の出口のところに設けられていて、第3の層(C3)を供給する供給手段及びP本のワイヤをコアストランド(C1+C2)の周りにツイスティングした状態で組み立てて第3の層(C3)を被着させる第2の組み立て手段と、
‐第2の組み立て手段の出口のところに設けられた撚りバランス取り手段とを有することを特徴とする装置に関する。
【0019】
本発明の内容及びその利点は、以下の説明及び実施形態並びにこれら実施形態に関する図1〜図3に照らして容易に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の方法に従ってコンパクト型の3層コードの製造に使用できる現場ゴム引き・ツイスティング装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の方法を用いて製造できるコンパクト型の現場ゴム引き1+6+12構造のコードの断面図である。
【図3】現場ゴム引きされていないが、同様にコンパクト型の1+6+12構造の従来コードの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本明細書において、別段の指定がなければ、百分率(%)は全て、重量パーセントである。
【0022】
さらに、「aとbとの間」(又は「a〜b」)という表現によって示される値域は、aよりも大きい値からbよりも小さい値までの範囲を表わし(即ち、端点a,bは排除される)、これに対し、「aからbまで」という表現によって示される間の値は、aからbまでの値の範囲を意味している(即ち、厳密な意味での端点a,bを含む)。
【0023】
本発明の方法は、現場ゴム引きされる形式の、即ち、「充填ゴム」と呼ばれる未架橋(未硬化)状態のゴムで作られたコンパウンドを含む3つの同心層(C1,C2,C3)を備えた金属コードの製造方法であって、コードは、第1の内側層又はコア(C1)に直径d2のN(Nは3から12まで様々である)本のワイヤを第2の中間層(C2)としてピッチp2で螺旋の状態に一緒に巻き付け、第2の中間層に直径d3のP(Pは8から20まで様々である)本のワイヤを第3の外側層(C3)としてピッチp3で螺旋の状態に一緒に巻き付けたものであり、この方法は、好ましくはインラインで且つ連続して実施される以下のステップ、即ち、
‐コア(C1)を充填ゴムで外装する第1の外装ステップ、
‐このように外装された第1の層(C1)周りに第2の層(C2)のN本のワイヤをツイスティングして「コアストランド」と呼ばれる中間コード(C1+C2)を「組み立て箇所」呼ばれる箇所で形成する第1の組み立てステップ、
‐組み立て箇所の下流側で、コアストランド(C1+C2)を充填ゴムで外装する第2の外装ステップ、
‐第3の層(C3)のP本のワイヤを外装されたコアストランドの周りにツイスティングする第2の組み立てステップ、及び
‐最終の撚りバランス取りステップを有する。
【0024】
ここで思い起こされるように、金属ワイヤを組み立てるための2つの考えられる技術、即ち、
‐ケーブリング(cabling)(かかる場合、ワイヤは、組み立て箇所の前後における同期回転に鑑みてこれら自身の軸線回りの撚りを示さない)、
‐又は、ツイスティング(twisting)(かかる場合、ワイヤは、一括的な撚りとこれら自身の軸線回りの個々の撚りの両方を示し、それによりワイヤの各々にはアンツイスティング(撚りをほどく)トルクが生じる)が存在する。
【0025】
上述の方法の本質的な一特徴は、第2の層(C2)をコア(C1)の周りに組み立てると共に第3の層(C3)を第2の層(C2)の周りに組み立てるツイスティングステップの使用にある。
【0026】
コア(C1)の直径d0(又は全体サイズ直径)は、好ましくは0.08〜0.50mmであり、このコアを単一のワイヤ又は任意公知の手段、例えばケーブリング又はより好ましくはツイスティングによって互いに既に組み立てられた数本のワイヤで構成することが可能である。好ましくは、コア中のワイヤの“M”本と言った場合の本数は、1〜4本である。より好ましくは、コアは、単一の個々のワイヤ(Mは、1に等しい)で構成され、その直径d1は、それ自体、より好ましくは0.08〜0.50mmである。
【0027】
第1の外装ステップの際、このコア(C)をまず最初に、適当な温度で押出スクリューにより供給された未架橋状態の充填ゴムで外装する。かくして、充填ゴムは、単一の押出ヘッドによって単一且つ少量の固定箇所に送り出されるのが良い。
【0028】
押出ヘッドは、1つ又は2つ以上のダイ、例えば、上流側案内ダイ及び下流側サイジングダイを有するのが良い。コードの直径を連続的に測定すると共に制御する手段を追加するのが良く、これらは、押出機に連結される。好ましくは、充填ゴムの押出温度は、50℃〜120℃、より好ましくは50℃〜100℃である。
【0029】
押出ヘッドは、かくして、回転筒体の形状を備えた外装ゾーンを構成し、その直径は、好ましくは、0.15mm〜1.2mm、より好ましくは0.2〜1.0mmであり、その長さは、好ましくは、4〜10mmである。
【0030】
代表的には、押出ヘッドを出る際、コードのコアは、その周囲のあらゆる箇所のところで最小厚さの充填ゴムで被覆され、この最小厚さは、好ましくは5μmを超え、より好ましくは10μmを超え、特に15μmを超え、特に15〜40μmである。
【0031】
充填ゴムのエラストマー(又は区別なく言えば「ゴム」、これら2つの用語は、同義語であると見なされる)は、好ましくは、ジエンエラストマー、即ち、定義上、少なくとも一部(即ち、ホモポリマー又はコポリマー)がジエンモノマー(即ち、2つの共役又は違った仕方の炭素‐炭素二重結合を備えたモノマー)に由来するエラストマーである。ジエンエラストマーは、より好ましくは、ポリブタジエン(BR)、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、種々のブタジエンコポリマー、種々のイソプレンコポリマー、及びこれらエラストマーの混合物から成る群から選択される。かかるコポリマーは、より好ましくは、ブタジエン‐スチレンコポリマー(SBR)(乳化重合(ESBR)によって調製されるにせよ溶液重合(SSBR)によって調製されるにせよ、いずれにせよ)、ブタジエン‐イソプレンコポリマー(BIR)、スチレン‐イソプレンコポリマー(SIR)及びスチレン‐ブタジエン‐イソプレンコポリマー(SBIR)から成る群から選択される。
【0032】
好ましい一実施形態は、「イソプレン」エラストマー、即ち、イソプレンのホモポリマー又はコポリマー、換言すると、天然ゴム(NR)、合成ポリイソプレン(IR)、種々のイソプレンコポリマー及びこれらエラストマーの混合物から成る群から選択されたジエンエラストマーを用いることから成る。イソプレンエラストマーは、好ましくは、天然ゴム又はシス−1,4系の合成ポリイソプレンである。これら合成ポリイソプレンのうち、好ましくは、シス−1,4結合の含有量(モル%)が90%以上、より好ましくは98%以上のポリイソプレンが用いられる。他の好ましい実施形態によれば、イソプレンエラストマーを別のジエンエラストマー、例えばSBR系及び/又はBR系のエラストマーと組み合わせても良い。
【0033】
充填ゴムは、特にジエンエラストマーのちょうど1種類のエラストマー又は数種類のエラストマーを含むのがよく、これ又はこれらは、エラストマー以外の任意の種類のポリマーと組み合わせて使用することが可能である。
【0034】
充填ゴムは、架橋可能なタイプのものであり、即ち、定義上、配合物の硬化プロセス(即ち、配合物を加熱すると、配合物が溶融するのではなく硬化するようになる)中に架橋することができるようにするのに適した架橋系を含み、かくしてかかる場合、このゴム配合物は、非溶融型としての性質を有する。というのは、温度がどのようなものであっても、加熱によってはかかるゴム配合物を溶融させることができないからである。好ましくは、ジエンゴム配合物の場合、ゴムシースに関する架橋系は、加硫系と呼ばれており、即ち、硫黄(又は硫黄ドナー作用剤)及び少なくとも1種類の加硫促進剤を利用したものである。しかしながら、本発明は、充填ゴムが硫黄又は任意他の架橋系を含まない場合にも利用でき、本発明のコードが補強するようになったゴムマトリックス中に既に存在している架橋又は加硫系は、その架橋又は加硫にとって十分な場合があり、しかも接触を介して周囲のマトリックスから充填ゴム中に移動することができることは言うまでもない。
【0035】
充填ゴムは、タイヤに用いられるゴムマトリックス向きの通常の添加剤の全て又は幾つか、例えば、カーボンブラック又はシリカ、酸化防止剤、種々の油、可塑化剤、加硫戻り防止剤、種々の樹脂、密着性促進剤、例えばコバルト塩を更に含むのがよい。
【0036】
補強充填材、例えば、カーボンブラック又は補強無機充填材、例えばシリカの含有量は、好ましくは、50phr以上、例えば、50〜120phrである。カーボンブラックとして、例えば、あらゆるカーボンブラック、特に、タイヤに従来用いられていたタイプHAF、ISAF及びSAF型のカーボンブラック(タイヤ等級ブラックと呼ばれている)が適している。これらのうちで、ASTM300、600又は700等級のカーボンブラック(例えば、N326、N330、N347、N375、N683、N772)を特に挙げることができる。適当な補強無機充填剤は、特に、シリカ系(SiO2)の鉱物充填剤であり、特に、BET表面積が450m2/g以下、好ましくは30〜400m2/gの沈降又は高熱分解法シリカである。
【0037】
先の第1の外装ステップの終わりにおいて、第1の組み立てステップの際、第2の層(C2)のN本のワイヤを外装された状態のコア(C1)の周りに一緒にツイスティングして(S又はZ方向に)それ自体知られている仕方でコアストランド(C1+C2)を組み立て箇所と呼ばれている箇所に形成し、ワイヤを供給手段、例えばスプールによって送り出し、組み立てガイドに結合されていても良く、そうでなくても良い分離格子が、N本のワイヤを共通ツイスティング箇所(又は組み立て箇所)上でコア周りに収斂させるようになっている。
【0038】
好ましくは、N本のワイヤの直径d2は、0.08〜0.45mmであり、ツイスティング(撚り)ピッチp2は、5〜30mmである。ここで思い起こされるように、公知のように、ピッチ“p”は、コードの軸線に平行に測定した長さを表わし、その後、このピッチを有するワイヤは、コードの上記軸線回りに丸1回転する。
【0039】
このツイスティング中、N本のワイヤは、充填ゴムに当たり、コア(C1)を覆っているゴムのシース(外装材)で覆われるようになる。すると、この充填ゴムは、十分な量で、コア(C1)と第2の層(C2)との間に形成された毛管状隙間を自然に充填する。
【0040】
組み立て箇所の下流側では、コアストランドに加わる引張応力は、好ましくはその破断強さの10〜25%である。
【0041】
第2の外装ステップの際、かくして形成されたコアストランド(C1+C2)を、例えば適当な温度に昇温された第2の押出ヘッド内に設けられた未硬化状態の充填ゴムで外装する。
【0042】
従来通り、押出ヘッドは、1つ又は2つ以上のダイ、例えば、上流側案内ダイ及び下流側サイジングダイを有するのが良い。外装コアストランドの直径を連続的に測定すると共に制御する手段も又、追加するのが良く、これらは、押出ヘッド内へのコアストランドの心出し具合を制御する手段の場合と同様、押出機に連結される。好ましくは、充填ゴムの押出温度は、50℃〜120℃、より好ましくは50℃〜100℃である。
【0043】
押出ヘッドは、回転筒体の形状を備えた外装ゾーンを構成し、その直径は、好ましくは、0.4mm〜1.2mm、より好ましくは0.5〜1.0mmであり、その長さは、好ましくは、4〜10mmである。
【0044】
代表的には、第2の押出ヘッドを出る際、外装状態のコアストランド(C1+C2)は、その周囲のあらゆる箇所のところで、好ましくは5μmを超え、より好ましくは10μmを超える、特に10〜80μmの最小厚さの充填ゴムで被覆される。
【0045】
第2の組み立てステップの際、第3の層又は外側層(C3)のP本のワイヤを、この場合も又、外装状態のコアストランド(C1+C2)の周りにツイスティングする(S又はZ方向に)ことによって最終的に組み立てる。好ましくは、P本のワイヤの直径d3は、0.08〜0.45mmであり、ツイスティングピッチp3は、p2以上であり、特に5〜30mmである。
【0046】
ツイスティング中、P本のワイヤは、コアストランドの周囲のところに存在する充填ゴムに当たってこれで覆われるようになる。すると、この充填ゴムは、これらP本のワイヤにより加えられる圧力を受けて、ワイヤにより空のままになっていて第2の層(C2)と第3の層(C3)との間に形成された毛管又はキャビティを部分的に満たす。
【0047】
プロセス中のこの段階においては、本発明のコードは、完成されておらず、第2の層(C2)のN本のワイヤ及び第3の層(C3)のP本のワイヤによって画定された上記毛管は、まだ最適通気度のコードを得るのに十分な充填状態にはない。
【0048】
必要不可欠な次のステップでは、かくして未硬化状態の充填ゴムを備えたコードを撚りバランス取り手段に通す。「撚りバランス取り」という用語は、この場合、公知のように、それぞれの層内のツイスティング状態にあるコードの各ワイヤに及ぼされる残留ツイスティングトルク(又はアンツイスティングスプリングバック)の打ち消しを意味しているものと理解されたい。撚りバランス取りツールは、ツイスティング技術における当業者には周知であり、これら撚りバランス取りツールは、例えば、ストレートナ及び/又は「ツイスタ」及び/又は「ツイスタ‐ストレートナ」から成る場合があり、これらは、ツイスタの場合にはプーリかストレートナの場合には小径ローラかのいずれかを有し、コードは、単一の平面又は好ましくは少なくとも2つの互いに異なる平面内でプーリ又はローラを通って走行する。
【0049】
経験上、上述の種々のバランス取り手段の通過中、バランス取り手段は、第2及び第3の層(C2,C3)のN本及びP本のワイヤに加わる撚り及び半径方向圧力を生じさせ、かかる撚り及び半径方向圧力は、依然として高温であり且つ比較的流動的な未硬化(即ち、未架橋、未加工)状態の充填ゴムを押し広げてこれを第2の層(C2)のN本のワイヤ及び第3の層(C3)のP本のワイヤで形成された毛管中に一様に分配するのに十分であり、最終的に、本発明のコードにこれを特徴付ける優れた通気度特性を与える。また、矯正又はくせ取りツールを用いることによって提供される矯正機能は、ストレートナのローラと第3の層(C3)のワイヤの接触により、充填ゴムに追加の圧力が及ぼされ、充填ゴムが更にコードの第2の層(C2)と第3の層(C3)との間に存在する毛管に十分に侵入するようになるという利点を有する。
【0050】
換言すると、上述の本発明のプロセスは、充填ゴムをコードの内部に半径方向に分布すると同時に供給される充填ゴムの量を完全に制御するようコードの最終製造段階においてワイヤの撚り及びワイヤに及ぼされる半径方向圧力を用いる。当業者であれば、特に、ワイヤに及ぼされる半径方向圧力の強度を変化させる目的で撚りバランス取り手段のプーリ及び/又はローラの配置及び直径の調節の仕方について知っているであろう。
【0051】
かくして、予期せぬこととして、コア(C1)の第1の層の周りへのN本のワイヤの組み立て箇所の下流側でゴムを被着させると同時に単一押出ヘッドの使用により送り出される充填ゴムの量を制御すると共に最適化することにより、充填ゴムを本発明のコードのまさに心臓部中にそしてその毛管の全ての中に侵入させることが可能であることが判明した。
【0052】
この最終撚りバランス取りステップ後においては、本発明の方法によるコードの製造は、コードが未硬化充填ゴムで現場でゴム引きされた状態で、完了している。好ましくは、この完成後のコードでは、コードの2本の隣り合うワイヤ(これらワイヤがどれであるにせよ)相互間の充填ゴムの厚さは、1μmを超え、好ましくは1〜10μmである。このコードを貯蔵のために受け入れスプールに巻き付けるのが良く、その後、例えば、例えばタイヤカーカス補強材として使用可能な金属/ゴム複合ファブリックを調製するために、圧延設備によりこのコードを処理する。
【0053】
本発明の好ましい一実施形態によれば、上述の第1及び第2の外装手段によって送り出される充填ゴムの総量は、最終の(即ち、製造完了後の現場ゴム引きされた)コードの1グラム当たり5〜40mgの好ましい範囲、特に5〜30mgの範囲内で調節される。かくして、本発明の特定の一実施形態によれば、第1及び第2の外装手段の各々によって送り出される充填ゴムの量は、最終のコードの1グラム当たり2.5〜20mgの好ましい範囲、特に2.5〜15mgの範囲内で調節される。
【0054】
指定した最小値を下回る場合、充填ゴムがコードの毛管又は隙間の各々の中に確かに存在するようにすることは可能ではなく、これに対し、推奨された最大値を上回る場合、コードは、本発明の特定の作用条件及び製造されるコードの特定の構造に応じて、充填ゴムがコードの周囲のところでオーバースピルを生じることに起因した上述の種々の問題にさらされる場合がある。
【0055】
本発明の別の好ましい実施形態によれば、満足されるのは、以下の関係式である(d1,d2,d3,p2,p3は、mmで表されている)。
〔数1〕
5π(d1+d2)<p2≦p3<10π(d1+2d2+d3
【0056】
具体的に説明すると、満足されるのは、以下の関係式である。
〔数2〕
5π(d1+d2)<p2≦p3<5π(d1+2d2+d3
【0057】
有利には、ピッチp2,p3は、互いに等しく、かくして、製造プロセスが簡単になる。
【0058】
当業者であれば、上述の説明に照らして、望ましいレベルの特性(特に、弾性率)を達成するために充填ゴムの配合をどのように調節するか及び意図した特定の用途に合うよう配合をどのように適合させるかについて知見を得るであろう。
【0059】
本発明の第1の実施形態によれば、充填ゴムゴムの処方は、本発明のコードが補強しようとしているゴムマトリックスの処方と同一であるように選択されるので、充填ゴムの材料と上記ゴムマトリックスの材料との間には適合性に関する問題は生じないであろう。
【0060】
本発明の第2の実施形態によれば、充填ゴムの配合は、本発明のコードが補強しようとするゴムマトリックスの配合とは異なるよう選択されるのが良い。特に、充填ゴムの処方は、比較的多量の密着性促進剤、典型的には例えば5phrから15phrの金属塩、例えばコバルト塩、ニッケル塩又はランタニド塩、例えばネオジミウム塩(これについは特に国際公開第2005/113666号パンフレット参照)を用いると共に有利には周りのゴムマトリックス中のこれら密着性定着剤の量を減少させることにより(又はそれどころか、これを完全になくすことにより)調節可能である。また、当然のことながら、充填ゴムの粘度及びかくしてそのコードの製造中におけるコード中へのその能力を最適化する目的で充填ゴムの処方を調節できる。
【0061】
好ましくは、充填ゴムは、架橋状態では、2〜25MPa、より好ましくは3〜20MPa、特に3〜15MPaの伸び率E10(10%伸び率における)割線モジュラスを有する。
【0062】
好ましくは、第3の層(C3)は、飽和層であるという好ましい特徴を有し、即ち、定義によれば、この層中には、直径d3の少なくとも1本の(Pmax+1)番目のワイヤを追加するのに足ほどの空間は、存在せず、Pmaxは、第2の層(C2)周りに第3の層(C3)をなして巻くことができるワイヤの最大本数を表している。この構成は、充填ゴムのその周囲のところでのオーバースピルの問題を抑え、又、所与のコード直径の場合、大きな強度をもたらすという利点を有する。
【0063】
かくして、第3の層のワイヤの本数Pは、本発明の特定の実施形態によれば、非常に大きな程度まで様々な場合があり、ワイヤPの最大本数は、好ましくは外側層を飽和状態に保つため、第2の層のワイヤの直径d2と比較してこれら直径d3を減少させた場合、増大することになることは理解されよう。
【0064】
好ましくは、第1の層(C1)は、個々のワイヤ(即ち、M=1)から成り、直径d1は、0.08〜0.50mmである。
【0065】
コア(C1)が複数本のワイヤ(即ち、Mが1以外)から成る場合、M本のワイヤは、好ましくは、好ましくは4〜15mm、特に5〜10mmの組み立てピッチで互いに組み立てられる。
【0066】
別の好ましい実施形態によれば、第2の層(C2)は、5〜7(即ち、Nは、5から7まで様々である)本のワイヤを含む。特に好ましい別の実施形態によれば、より好ましい実施形態によれば、層C3は、10本から14本までのワイヤを含み、上述のコードのうちで特に選択されたコードは、層C2から層C3まで実質的に同一の直径(即ち、d2=d3)を有するワイヤから成るコードである。
【0067】
特に好ましい別の実施形態によれば、第1の層は、単一のワイヤを含み、第2の層(C2)は、6本のワイヤ(Nは、6に等しい)を含み、第3の層(C3)は、11又は12本のワイヤ(Pは、11又は12に等しい)を含む。換言すると、本発明のコードは、好ましい構造1+6+11又は1+6+12のものである。
【0068】
本発明に従って調製されたコードは、任意の層状コードの場合と同様、2タイプ、即ちコンパクトな層タイプ又は円筒形層タイプのものであるのが良い。
【0069】
本発明の特に好ましい実施形態では、第3の層C3のワイヤは、例えば図2に概略的に示されているコンパクト型の層状コードを得るために、第2の中間層(C2)のワイヤと同一のピッチ(p2=p3)で且つ同一のツイスティング方向(即ち、S方向(“S/S”レイアウト)かZ方向(“Z/Z”レイアウト)かのいずれかに巻かれる。
【0070】
かかるコンパクトな層コードでは、コンパクトさは、目に見えるワイヤの別個の層は事実上ゼロであるようなものであり、このことは、かかるコードの断面が例えば図2(現場ゴム引きされた1+6+12コンパクトコード)及び図3(従来型1+6+12コンパクトコード、即ち、現場でゴム引きされなかったコード)に示されているように、円筒形ではなく多角形である輪郭を有する。
【0071】
このように調製されると、本発明に従って調製されたコードを硬化状態では気密であると呼ぶことができ、以下の段落II‐1‐Bに記載された通気度試験では、このコードは、平均空気流量が2cm3/分未満、好ましくは0.2cm3/分以下であることを特徴としている。
【0072】
本発明の方法は、製造されるコードの形式(コンパクトコード又は円筒形層状コード)とは無関係に初期撚り、ゴム引き及び最終の撚りから成る作業全体をインラインで且つ単一のステップで実施することができ且つこの全てを高速で行うことが可能であるという利点を有する。上述の方法は、50m/分を超え、好ましくは、70m/分を超える速度(撚り‐ゴム引きラインに沿うコードの移動速度)で実施できる。
【0073】
本発明の方法により、周囲に充填ゴムが存在せず(又は事実上存在しない)コードを製造することが可能である。かかる表現は、コードの周囲上には裸眼で見える充填ゴムが存在していないということを意味しており、即ち、当業者であっても、製造後、裸眼では且つ3メートル以上の距離を置いたところでは本発明のコードのスプールと現場でゴム引きされなかった従来型コードのスプールの差を識別することができない。
【0074】
当然のことながら、この方法は、4ンパクト型コード(思い起こされるように、定義上、層C2及び層C3を同一ピッチで同一方向に巻いたコード)と円筒形層状コード(思い起こされるように、定義上、層C2及び層C3を互いに異なるピッチ(これらのツイスティング方向が同一であってもそうでなくても)で若しくは互いに逆方向(これらのピッチが同一であっても異なっていても)に巻いたコード)の両方の製造に利用できる。
【0075】
「金属コード」という用語は、本願における定義上、主として(即ち、これらワイヤの本数の50%を超える)又は全体が(ワイヤの100%が)金属材料で作られたワイヤで形成されているコードを意味するものと理解されたい。コア(C1)の1本又は複数本のワイヤ、第2の層(C2)の複数本のワイヤ及び第3の層(C3)の複数本のワイヤは、互いに別個独立に又は1つの層から別の層まで、好ましくは、スチールで作られ、より好ましくは炭素鋼で作られる。しかしながら、当然のことながら、他のスチール、例えばステンレス鋼又は他の合金を用いることが可能である炭素鋼を用いる場合、その炭素含有量(スチールの重量を基準とした%)は、好ましくは、0.4%〜1.2%、特に0.5%〜1.1%である。より好ましくは、炭素含有量は、0.5%〜1.1%であり、これら含有量は、タイヤに必要な機械的性質とワイヤの実現可能性との間の良好な妥協点となっている。注目されるべきこととして、0.5%〜0.6%の炭素含有量は、最終的に、かかるスチールを安価にする。というのは、これらは、引き抜き加工が容易だからである。また、本発明の別の有利な実施形態では、意図した用途に応じて、特にコストが低く且つ引き抜き加工性が良好なので、低炭素含有量、例えば0.2%〜0.5%の炭素含有量のスチールを用いることができる。
【0076】
この方法を実施するために好ましくは使用できる組み立て・ゴム引き装置は、形成中のコードの移動方向で見て上流側から下流側に、
‐第1の層又はコア(C1)を供給する供給手段と、
‐コア(C1)を外装する第1の外装手段と、
‐第2の層(C2)のN本のワイヤを供給する供給手段及びN本を組み立て箇所と呼ばれる箇所で外装されたコア(C1)の周りにツイスティングした状態で組み立てて「コアストランド」と呼ばれる中間コード(C1+C2)を形成する第1の組み立て手段と、
‐組み立て箇所の下流側に設けられていて、コアストランド(C1+C2)を外装する第2の外装手段と、
‐第2の外装手段の出口のところに設けられていて、第3の層(C3)を供給する供給手段及びP本のワイヤをコアストランド(C1+C2)の周りにツイスティングした状態で組み立てて第3の層(C3)を被着させる第2の組み立て手段と、
‐第2の組み立て手段の出口のところに設けられた撚りバランス取り手段とを有する。
【0077】
添付の図1は、静止供給装置及び回転受け取り装置を備えた形式のツイスティング組み立て装置(10)の一例を示しており、かかる装置は、例えば以下において説明する図2に示されているコンパクト型のコード(p2=p3且つ層C2及び層C3の同一ツイスティング方向)の製造に利用できる。
【0078】
この装置(10)では、供給手段(110)によって送り出された単一のコアワイヤ(C1)がまず最初に、例えば第1の押出ヘッドから成る外装ゾーン(11a)を通過する。次に、供給手段(120)は、このように外装されたコアワイヤ(C1)の周りに、分配格子(13)(非対称分配装置)を通ってN本のワイヤ(12)を送り出し、かかる格子は、組み立てガイド(14)に結合されていても良くそうでなくても良く、第2の層のN(例えば6)本のワイヤは、1+N(例えば1+6)構造のコアストランド(C1+C2)を形成するために、分配格子を越えて組み立て箇所(15)に収斂する。第1の外装箇所(11a)と収斂箇所(15)との間の距離は、例えば1〜5メートルである。
【0079】
次に、このようにして形成されたコアストランド(C1+C2)は、例えば第2の押出ヘッドから成る外装ゾーン(11b)を通過することにより外装される。組み立て箇所(15)と第2の外装箇所(11b)との間の距離は、例えば50cm〜5メートルである。
【0080】
供給手段(170)によって送り出された外側層(C3)のP本のワイヤ(17)(例えば12本のワイヤが設けられている)は、次に、このようにして外装されたコアストランド(16)の周りへのツイスティング(16)により組み立てられ、矢印の方向に進む。最終のコード(C1+C2+C3)は、撚りバランス取り手段(18)を通過した後、最終的に回転受け取り装置上に集められ、撚りバランス取り手段は、例えばストレートナ及び/又は「ツイスタ‐ストレートナ」から成る。
【0081】
ここで思い起こされるように、当業者には周知であるように、円筒形層状型のコード(層C2及び層C3に関してピッチp1,p2が互いに異なると共に/或いはツイスティング方向が互いに異なる)を製造するためには、例えば上述の(図3に記載されている)装置(図5)とは異なる2つの回転(供給又は受け取り)部材を有する装置が用いられる。
【0082】
図2は、本発明の上述の方法を用いて得ることができる好ましい現場ゴム引き1+6+12コードの一例をコード(真っ直ぐであると共に休止状態にあると仮定されている)の軸線に垂直な断面で概略的に示している。
【0083】
このコード(C‐1で示されている)は、コンパクト型のものであり、即ち、その第2の層及び第3の層(それぞれC2及びC3)が同一方向に(公認の命名法を用いるとS/S又はZ/Z)に巻かれると共にこれに加えて同一ピッチ(p2=p3)を有している。この種の構造は、これら第2の層及び第3の層(C2,C3)のワイヤ(21,22)が、コア(20)又は第1の層(C1)の周りに、各々がいわゆる円筒形層タイプのコードの場合のように円筒形ではなく、実質的に多角形(具体的に言えば六角形)である輪郭(E)を有する2つの実質的に同心の層を形成するという結果をもたらす。
【0084】
本発明のこのコードは、現場ゴム引きコードと呼ばれる場合があり、一方においてコア(C1)と第2の層(C2)のN本のワイヤとの間に位置すると共に他方において第2の層(C2)のN本のワイヤと第3の層(C3)のP本のワイヤとの間に位置した毛管又は隙間(隣り合うワイヤにより形成されていて、充填ゴムが存在しない場合には空の空間)の各々は、少なくとも部分的に、連続して又はコードの軸線に沿って、充填ゴムで満たされており、その結果、コードの任意の2cm長さ分に関して、毛管の各々は、ゴムで作られた少なくとも1つの栓を有する。
【0085】
具体的に説明すると、充填ゴム(23)は、非常に僅かに離れたコードの種々の層(C1,C2,C3)の隣り合うワイヤ(3本ずつの状態であると考えられる)によって形成された各毛管(24)(三角形によって表されている)を充填している。理解できるように、これら毛管又は隙間は、当然のことながら、コアワイヤ(20)及びこの周りの第2の層(C2)のワイヤ(21)か、第2の層(C2)の2本のワイヤ(21)及びこれらのすぐ隣りに位置する第3の層(C3)の1本のワイヤ(23)かのいずれかによって形成され、変形例として、更に、第2の層(C2)の各ワイヤ(21)及びこのすぐ隣りに位置する第3の層(C3)の2本のワイヤ(22)によって形成され、かくして、全体として、この1+6+12コードには24個の毛管又は隙間(24)が存在する。
【0086】
好ましい実施形態によれば、この好ましい1+N+Pコードでは、充填ゴムは、好ましくは、これが覆っている第2の層(C2)の周りに連続して延びる。
【0087】
比較すると、図3は、これ又コンパクト型の従来型1+6+12コード(C‐2で示されている)、即ち、コンパクト型の場合と同様、現場でゴム引きされていないコードの残部を断面で示している。充填ゴムが設けられていないことは、事実上全てのワイヤ(30,31,32)が互いに接触状態にあり、その結果、特にコンパクトであるが、他方において、ゴムが外部から侵入するのを更に極めて困難にする(不浸透性であるというわけではない)構造体が生じる。この種のコードの特徴は、3本ずつの形態の種々のワイヤがチャネル又は毛管(34)を形成し、これらチャネル又は毛管は、これらが多数である場合、閉鎖されると共に空のままであり、従って「ウィッキング」効果により腐食性媒体、例えば水の伝搬に都合が良い。
【0088】
好ましい例を挙げると、本発明の方法は、1+6+11及び1+6+12構造のコードの製造に用いられ、特に、後者のコードは、第2の層(C2)から第3の層(C3)まで実質的に同一の直径(即ち、この場合、d2=d3)を有するワイヤから成る。
【0089】
II.本発明の実施形態
【0090】
以下の試験は、先行技術の現場ゴム引き3層コードと比較して、少量の充填ゴムを含み、良好なコンパクトさを保証する顕著な利点を有する3層コードを提供する本発明の方法の性能を実証しており、このゴムは又、その毛管の各々の中でコードの内部に一様に分布され、かくして、コードに最適な不浸透性が与えられる。
【0091】
II‐1.用いられる測定及び試験
【0092】
II‐1‐A.引張特性(ダイナモメトリック)測定
【0093】
金属ワイヤ及び金属コードに関し、破断荷重Fm(単位N(ニュートン)の最大荷重)、Rmにより示された引張強度(単位MPa)及びAtにより示された破断点伸び率(単位%の全伸び率)の測定は、1984年の規格ISO6892に従って張力下で行われる。
【0094】
ゴムコンパウンド(配合物)に関し、弾性率(モジュラス)の測定は、別段の指定がなければ、1998年の標準ASTM・D・412(試験体“C”)に従って引張下で実施され、即ち、E10と呼ばれていてMPaで表された10%伸び率における「真」の割線モジュラス(試験体の実断面に関する割線モジュラス)を1999年の規格ASTM・D・1349による通常の温度及び湿度条件下で第2の伸びで(即ち、1回の適合サイクル後に)測定する。
【0095】
II‐1‐B.通気度試験
【0096】
この試験により、試験対象のコードの長手方向通気度を所与の時間にわたり一定の圧力下で試験体を通過した空気の量を測定することによって決定することができる。当業者には周知であるかかる試験の原理は、コードが空気に対して不透過性であるようにするためにコードの処理の有効性を実証することにある。この試験は、例えば、規格ASTM・D・2692‐98に記載されている。
【0097】
この試験は、ここでは、タイヤ又はタイヤを補強しているゴムプライから抽出したコード(従って、既に外側が硬化ゴムですでに被覆されたコード)か製造されたばかりのコードかのいずれかに対して行われる。
【0098】
後者の場合、製造されたばかりのコードは、まず最初に外部から被覆ゴムと呼ばれているゴムで被覆されなければならない。これを行うため、互いに平行であるように配列された一連の10本のコード(20mmのコード間距離)を硬化ゴムコンパウンドの2つのスキム(80×200mmの2つの長方形)相互間に配置し、各スキムの厚さは、3.5mmであり、次に、組立体全体をモールド内にクランプし、コードの各々は、クランプモジュールを用いてモールド内に配置されたときにこれが真っ直ぐのままであるようにするために十分な張力(例えば、2daN)下に維持され、加硫(硬化)プロセスは、140℃の温度で且つ15バールの圧力(80×200mmの長方形ピストンによって加えられる)下で40分にわたって行われる。その後、組立体を脱型し、ば特徴付けのために7×7×20mmの平行六面体の形態をした上述のように被覆されているコードの10個の試験体の状態に切断する。
【0099】
従来型タイヤゴムコンパウンドを被覆ゴムとして用い、かかるゴムコンパウンドは、天然(解凝固)ゴム及びN330カーボンブラック(60phr)を主成分とし、更に以下の通常の添加剤、即ち、硫黄(7phr)、スルフェンアミド促進剤(1phr)、ZnO(8phr)、ステアリン酸(0.7phr)、酸化防止剤(1.5phr)及びコバルトナフテネート(1.5phr)を更に含み(なお、phrは、ゴムの100部当たりの重量部を意味している)、被覆ゴムの弾性率E10は、約10MPaである。
【0100】
例えば、試験を以下の仕方で、ここでは包囲ゴムコンパウンド(又は被覆ゴム)で被覆されたコードの2cm長さ分について実施し、1バールの圧力下で空気をコードの入口に注入し、流量計を用いてこれから出る空気の量を測定する(例えば、0〜500cm3/分まで較正する)。測定中、コード試験体をコードの長手方向軸線に沿って一端から他端までコードを通過した空気の量だけが測定されるよう圧縮気密シール(例えば、高密度フォーム又はゴムシール)中に不動化し、シールの密封能力を前もって、中実ゴム試験体を用いて、即ち、コードなしのゴム試験体を用いてチェックする。
【0101】
コードの長手方向不透過性が高ければ高いほど、測定された平均空気流量(10個の試験体の平均値)がそれだけ一層低い。測定値は±0.2cm3/分という精度を持っているので、0.2cm3/分以下の測定値は、ゼロと見なされ、これら測定値は、コード軸線に沿って(即ち、コード長手方向に沿って)気密(完全に気密)であるといえるコードに対応している。
【0102】
II‐1‐C.充填ゴム含有量
【0103】
充填ゴムの量は、初期コード(従って、現場ゴム引きコード)の重量と適当な電解処理によって充填ゴムを除去したコード(従って、そのワイヤのコード)の重量の差を測定することによって測定される。
【0104】
サイズを減少するためにそれ自体巻かれたコード試験片(長さ1m)は、電解槽のカソード(発電機の負端子に接続されている)を構成し、アノード(正端子に接続されている)は、白金ワイヤから成っている。
【0105】
電解質は、1リットル当たり1モルの炭酸ナトリウムを含む水溶液(脱イオン水)から成っている。
【0106】
電解質中に完全に浸漬された試験片には、15分間電圧が印加され、流れた電流は300mAである。次に、コードを浴から取り出し、十分に水ですすぎ洗いする。この処理により、ゴムをコードから容易に取り去ることができる(そうでない場合でも、電解は数分間続く)。例えば、ワイヤをコードから1本ずつほどきながら吸収布を用いてゴムを単に拭うことによりゴムを注意深く除去する。再び、ワイヤを水ですすぎ洗いし、次に脱イオン水(50%)とエタノール(50%)の混合液の入っているビーカ内に浸漬させる。ビーカを10分間超音波浴内に浸漬する。このようにして全ての微量ゴムを取り除いたワイヤをビーカから取り出し、窒素又は空気の流れ中で乾燥させ、最後に秤量する。
【0107】
このことから、計算により、10回の測定(即ち、全部でコード10m分について)の平均された初期コードの1g(グラム)当たりの充填ゴムのmg(ミリグラム)で表わされたコード中の充填ゴム含有量が導き出される。
【0108】
II‐2.コードの製造及び試験
【0109】
以下の試験において、真鍮で被覆された炭素鋼ワイヤで作られた1+6+12構造の層状コードを製造した。
【0110】
炭素鋼ワイヤを公知の仕方で、例えば、機械ワイヤ(直径5〜6mm)を先ず最初に圧延及び/又は引き抜きによりほぼ1mmの中間直径まで加工硬化させることによって調製した。用いたスチールは、炭素含有量が0.70%の公知の炭素鋼(米国規格AISI 1069)であった。中間直径のワイヤは、脱脂及び/又は酸洗い処理を受け、その後、これらを変換する。真鍮の被膜をこれら中間ワイヤに被着させた後、「最終」加工硬化と呼ばれる作業を、例えば水性乳濁液又は分散液の形態をした絞り成形用潤滑剤を含む湿式媒体中で冷間絞り成形することにより各ワイヤに対して行った(即ち、最終パテンティング熱処理後)。ワイヤを包囲している真鍮の被膜は、非常に小さい厚さのものであり、1ミクロンよりも著しく小さく、例えば、約0.15〜0.30μmであり、これは、スチールワイヤの直径と比べて無視できるほどのものであった。このようにして引き抜いたスチールワイヤは、以下の表1に示された直径及び機械的性質を有していた。
【0111】
【表1】

【0112】
次に、これらワイヤを1+6+12構造の層状コードの形態に組み立て、これらの構成は、図1に示されており、その機械的性質は、表2に記載されている。
【0113】
【表2】

【0114】
図1に概略的に示されているような本発明の方法に従って調製された1+6+12コードの実施例(C‐1)を直径が0.20mmの全部で19本のワイヤ及びその周りの全て直径が0.18mmの18本のワイヤで構成し、これらワイヤを同一ピッチ(p1=p2=10.0mm)で且つ同一撚り方向(S)で巻いてコンパクト型のコードを得た。段落II‐1‐Cにおいて上述した方法を用いて測定した充填ゴムの含有量は、コード1g当たり約16mgであった。この充填ゴムは、3本ずつと考えられる種々のワイヤによって形成された24個の毛管の各々の中に存在し、即ち、充填ゴムは、これら毛管の各々を完全に又は少なくとも部分的に充填し、コードの任意の2cm長さ分に関し、各毛管内にゴムの少なくとも1つの栓が存在するようにした。
【0115】
このコードを製造するため、上述すると共に図1に概略的に示された装置を用いた。充填ゴムは、産業車両用のタイヤのカーカス補強材用の従来型ゴムコンパウンドであり、かかるゴムコンパウンドは、コードC‐1が補強するようになったゴムカーカスプライと同じ配合を有し、このコンパウンドは、天然(解凝固)ゴム及びN330カーボンブラック(55phr)を主成分としており、このコンパウンドは、次の通常の添加物、即ち、硫黄(7phr)、スルフェンアミド促進剤(1phr)、ZnO(9phr)、ステアリン酸(0.7phr)、酸化防止剤(1.5phr)及びコバルトナフテネート(1phr)を更に含んでおり、コンパウンドの弾性率E10は、約6MPaであった。このコンパウンドを、それぞれ0.250mm及び0.580mmの2つのサイジングダイ(11a,11b)により約85℃の温度で押し出した。
【0116】
このようにして調製されたコードC‐1に1分でコードを通る空気の体積(単位:cm3)を測定することにより段落II‐1‐Bにおいて説明した通気度試験を実施した(試験された各コードについて10回の測定値の平均値を取った)。試験した各コードC‐1に関し且つ測定値の100%に関し(即ち、10個のうちで10個の試験片)、流量の測定値は、ゼロ又は0.2cm3/分未満であり、換言すると、本発明のコードは、これらの軸線に沿って気密であると見なされ、従って、これらは、ゴムによる最適の侵入レベルを有している。
【0117】
さらに、現場ゴム引きされると共に本発明のコンパクトコードC‐1と同一構造のコントロールコードを上述の国際公開第2005/071557号パンフレットに記載されている方法に従って数個の不連続ステップで調製し、即ち、押出ヘッドを用いて中間1+6コアストランドを外装し、次に第2段階において、残りの12本のワイヤをこのようにして外装されたコアの周りにケーブリングして外側層を形成した。次に、これらコントロールコードに段落II‐1‐Bの通気度試験を行った。
【0118】
まず最初に、これらコントロールコードの中で、ゼロ又は0.2cm3/分未満の100%(即ち、10個のうちで10個の試験片)の流量測定値をもたらしたものはなく、換言すると、これらコントロールコードの中で、その軸線に沿って気密(完全に気密)であると見なされたものはなかった。また、これらコントロールコードの中で、最善の通気度結果(即ち、約2cm3/分の平均流量)を示したコントロールコードは全て、これらの周囲からの比較的多量の望ましくない充填ゴムのオーバースピルを示し、これらコードが工業条件下における満足のゆく圧延作業には不適当であったことが判明した。
【0119】
以上を要約すると、本発明の方法は、本発明の方法により、現場ゴム引きされたM+N+Pコードであって、ゴムの最適侵入レベルにより、一方において、タイヤカーカス補強材に高い耐久性を示すと共に他方において特にコードの製造中、ゴムの過剰のオーバースピルと関連した問題なしに工業条件下において効率的に使用できるコードの製造が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場ゴム引きされる形式の、即ち、「充填ゴム」と呼ばれる未架橋状態のゴムで作られたコンパウンドを含む3つの同心層(C1,C2,C3)を備えた金属コードの製造方法であって、前記コードは、第1の内側層又はコア(C1)に直径d2のN(Nは3から12まで様々である)本のワイヤを第2の中間層(C2)としてピッチp2で螺旋の状態に一緒に巻き付け、前記第2の中間層に直径d3のP(Pは8から20まで様々である)本のワイヤを第3の外側層(C3)としてピッチp3で螺旋の状態に一緒に巻き付けたものであり、前記方法は、以下のステップ、即ち、
‐前記コア(C1)を前記充填ゴムで外装する第1の外装ステップ、
‐このように外装された前記第1の層(C1)周りに前記第2の層(C2)の前記N本のワイヤをツイスティングして「コアストランド」と呼ばれる中間コード(C1+C2)を「組み立て箇所」呼ばれる箇所で形成する第1の組み立てステップ、
‐前記組み立て箇所の下流側で、前記コアストランド(C1+C2)を前記充填ゴムで外装する第2の外装ステップ、
‐前記第3の層(C3)の前記P本のワイヤを外装された前記コアストランドの周りにツイスティングする第2の組み立てステップ、及び
‐最終の撚りバランス取りステップを有する、方法。
【請求項2】
前記充填ゴムの押出温度は、50℃〜120℃である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
2つの前記外装ステップの実施中に送り出される前記充填ゴムの総量は、最終のコード1グラム当たり5〜40mgである、請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
前記コア及び前記コアストランドは各々、外装後、5μmを超える最小厚さの充填ゴムで被覆される、請求項1〜3のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項5】
前記充填ゴムのゴムは、ジエンエラストマーである、請求項1〜4のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記ジエンエラストマーは、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、イソプレンコポリマー、及びこれらエラストマーの配合物から成る群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記ジエンエラストマーは、イソプレンエラストマー、好ましくは天然ゴムである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記組み立て箇所の下流側で前記コアストランドに加わる引張応力は、その破断強さの10〜25%である、請求項1〜7のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項9】
前記コア(C1)は、M(Mは1から4まで様々である)本のワイヤから成り、該ワイヤの直径d1は、0.08mmから0.50mmまでの範囲にある、請求項1〜8のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項10】
Mは、1に等しい、請求項9記載の方法。
【請求項11】
前記直径d2は、0.08mmから0.45mmまでの範囲にあり、前記ツイスティングピッチp2は、5mmから30mmまでの範囲にある、請求項1〜10のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項12】
前記直径d3は、0.08mmから0.45mmまでの範囲にあり、前記ピッチp3は、p2以上である、請求項1〜11のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項13】
前記第3の層(C3)の前記ワイヤは、前記第2の層(C2)の前記ワイヤと同一ピッチで螺旋の状態に且つ同一のツイスティング方向に巻かれる、請求項1〜12のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
Nは、5から7まで様々である、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項15】
Pは、10から14まで様々である、請求項1〜13のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項16】
前記第3の層(C3)は、飽和層である、請求項1〜15のうちいずれか一に記載の方法。
【請求項17】
請求項1〜16のうちいずれか一に記載の方法を実施するために使用できるインライン型ゴム引き・組み立て装置において、前記装置は、形成中のコードの移動方向で見て上流側から下流側に、
‐前記第1の層又はコア(C1)を供給する供給手段と、
‐前記コア(C1)を外装する第1の外装手段と、
‐前記第2の層(C2)の前記N本のワイヤを供給する供給手段及び前記N本を組み立て箇所と呼ばれる箇所で前記外装されたコア(C1)の周りにツイスティングした状態で組み立てて「コアストランド」と呼ばれる中間コード(C1+C2)を形成する第1の組み立て手段と、
‐前記組み立て箇所の下流側に設けられていて、前記コアストランド(C1+C2)を外装する第2の外装手段と、
‐前記第2の外装手段の出口のところに設けられていて、前記第3の層(C3)を供給する供給手段及び前記P本のワイヤを前記コアストランド(C1+C2)の周りにツイスティングした状態で組み立てて前記第3の層(C3)を被着させる第2の組み立て手段と、
‐前記第2の組み立て手段の出口のところに設けられた撚りバランス取り手段とを有する、装置。
【請求項18】
静止供給装置及び回転受け取り装置を有する、請求項17記載の装置。
【請求項19】
前記外装手段は、少なくとも1つのサイジングダイを備えた単一の押出ヘッドから成る、請求項17又は18記載の装置。
【請求項20】
前記撚りバランス取り手段は、ストレートナ、ツイスタ、又はツイスタ‐ストレートナから選択された少なくとも1つのツールから成る、請求項17〜19のうちいずれか一に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−522144(P2012−522144A)
【公表日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502612(P2012−502612)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/054063
【国際公開番号】WO2010/112445
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(599093568)ソシエテ ド テクノロジー ミシュラン (552)
【出願人】(508032479)ミシュラン ルシェルシュ エ テクニーク ソシエテ アノニム (499)
【Fターム(参考)】