説明

球状体搭載方法、球状体搭載システム、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板

【課題】球状体の無駄な消費を抑えて製造コストを低減し得る球状体搭載方法を提供する。
【解決手段】搭載対象の基板400に半田ボール等の球状体を搭載する際に、基板400が複数面付けされた多面付け基板500を切断して各基板400に分割する切断処理、および各基板400に対する電気的検査を所定の順序で実行し、電気的検査において良品と判別された基板400にのみ球状体を搭載する。この場合、多面付け基板500を切断して各基板400に分割した後(切断処理を実行した後)に各基板400に対する電気的検査を実行する方法を採用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搭載対象基板に球状体を搭載する球状体搭載方法および球状体搭載システム、その球状体搭載方法または球状体搭載システムを用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板に球状体(半田ボール)を搭載する装置として、特開2003−100789号公報に開示された半田(はんだ)ボール搭載装置が知られている。この半田ボール搭載装置は、半田ボールを供給する半田ボール供給部、搭載対象基板(パッケージ)を搬送する搬送部、および整列マスクを移動させる移動部等を備えて、半田ボール供給部によって供給された半田ボールを整列マスクで吸着し、その半田ボールをパッケージの搭載対象基板の接続端子に搭載可能に構成されている。一方、小形の基板を製造する際には、複数の基板(ピース)を面付けした多面付け基板として製造することで、製造効率の向上が図られている。この場合、このような多面付け基板に上記の半田ボール搭載装置を用いて半田ボールを搭載する際には、一般的に、多面付け基板の状態(未切断の状態)の各ピースにおける接続端子に半田ボールを搭載した後に、リフロー処理を行い、次いで、リフロー処理後の多面付け基板を切断して各ピースに分割し、続いて、分割した各ピースについて、配線パターンの断線や短絡などの電気的検査、およびリフロー後の半田の高さなどの形状的検査を行ってピースの良否を判別する方法(半田ボール搭載方法)が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−100789号公報(第3頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記の半田ボール搭載装置を用いた従来の半田ボール搭載方法には、改善すべき以下の課題がある。すなわち、従来の半田ボール搭載方法では、多面付け基板の状態の各ピースにおける接続端子に半田ボールを搭載した後に、リフロー処理および切断を行い、最後に電気的検査や形状的検査を行ってピースの良否を判別している。このため、この半田ボール搭載方法では、多面付け基板の製造段階において電気的に不良なピース(例えば、配線パターンが断線しているピース)が存在していたとしても、半田ボールを搭載する時点では不良ピースの存在が把握されずに、そのピースを含む全てのピースの接続端子に半田ボールが搭載される。したがって、最後に行われる電気的検査において不良ピースが発見されたときには、そのピースに搭載された半田ボールは、無駄に消費されたこととなる。一方、基板の高密度化に伴って搭載される半田ボールも微小化が進んでおり、これに起因して半田ボールの価格が高騰している。このため、従来の半田ボール搭載方法には、高価な半田ボールが無駄に消費されることがあり、その分、製造コストの低減が困難であるという課題が存在する。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、球状体の無駄な消費を抑えて製造コストを低減し得る球状体搭載方法および球状体搭載システム、その球状体搭載方法または球状体搭載システムを用いて製造される球状体搭載済基板、並びにその球状体搭載済基板に電子部品が搭載された電子部品搭載済基板を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく請求項1記載の球状体搭載方法は、搭載対象基板に球状体を搭載する球状体搭載方法であって、前記搭載対象基板が複数面付けされた多面付け基板を切断して各搭載対象基板に分割する切断処理および前記各搭載対象基板に対する電気的検査を所定の順序で実行し、前記電気的検査において良品と判別された前記搭載対象基板にのみ前記球状体を搭載する。
【0007】
また、請求項2記載の球状体搭載方法は、請求項1記載の球状体搭載方法において、前記切断処理を実行した後に前記電気的検査を実行する。
【0008】
また、請求項3記載の球状体搭載システムは、搭載対象基板に球状体を搭載する球状体搭載装置と、当該球状体搭載装置を制御する制御部とを備えた球状体搭載システムであって、前記搭載対象基板が複数面付けされた多面付け基板を切断して各搭載対象基板に分割する切断処理を実行する切断装置、および前記各搭載対象基板に対する電気的検査を実行する検査装置を備え、前記制御部は、前記球状体搭載装置に対して前記電気的検査において良品と判別された前記搭載対象基板にのみ前記球状体を搭載させる。
【0009】
また、請求項4記載の球状体搭載システムは、請求項3記載の球状体搭載システムにおいて、前記検査装置は、前記切断装置によって分割された前記搭載対象基板に対して前記電気的検査を実行する。
【0010】
また、請求項5記載の球状体搭載済基板は、請求項1または2記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該搭載対象基板に固着されている。
【0011】
また、請求項6記載の球状体搭載済基板は、請求項3または4記載の球状体搭載システムによって前記搭載対象基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該搭載対象基板に固着されている。
【0012】
また、請求項7記載の電子部品搭載済基板は、請求項5または6記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の球状体搭載方法、および請求項3記載の球状体システムでは、搭載対象基板が複数面付けされた多面付け基板を切断して各搭載対象基板に分割する切断処理および各搭載対象基板に対する電気的検査を所定の順序で実行し、電気的検査において良品と判別された搭載対象基板にのみ球状体を搭載する。このため、この球状体搭載方法および球状体搭載システムによれば、電気的に不良な搭載対象基板に対する球状体の搭載を確実に回避することができ、これによって球状体の無駄な消費を確実に抑えることができる結果、製造コストを十分に低減することができる。
【0014】
また、請求項2記載の球状体搭載方法、および請求項4記載の球状体システムでは、切断処理を実行した後に電気的検査を実行する。このため、この球状体搭載方法および球状体搭載システムでは、例えば、切断処理の際の振動などに起因して搭載対象基板の端子やスルーホールなどに断線や短絡が生じたとしても、その搭載対象基板を不良品として確実に判別することができる。したがって、この球状体搭載方法および球状体搭載システムによれば、多面付け基板の製造時において生じている不良な搭載対象基板に対する球状体の搭載による球状体の無駄な消費を抑えることができるのに加えて、切断処理に起因して生じた不良な搭載対象基板に対する球状体の搭載による球状体の無駄な消費も確実に抑えることができる結果、製造コストを一層低減することができる。
【0015】
また、請求項5,6記載の球状体搭載済基板では、上記の球状体搭載方法または球状体搭載システムによって前記搭載対象基板に搭載された前記球状体が溶融されて当該搭載対象基板に固着されている。このため、電気的に良好な搭載対象基板だけに球状体が搭載され、これによって球状体の無駄な消費が抑えられる結果、球状体搭載済基板の製造コストが低減されている。したがって、この球状体搭載済基板によれば、製造コストが低減されている分、この球状体搭載済基板に電子部品を搭載した電子部品搭載済基板の製造コストを十分に低減することができる。
【0016】
また、請求項7記載の電子部品搭載済基板では、上記の球状体搭載済基板に固着された球状体を介して接続された電子部品が球状体搭載済基板に搭載されている。このため、この電子部品搭載済基板では、球状体搭載済基板の製造コストが低減されている分、この電子部品搭載済基板の製造コストも十分に低減されている。したがって、この電子部品搭載済基板によれば、この電子部品搭載済基板を用いた製品の製造コストを十分に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】半田ボール搭載システム1の構成を示す構成図である。
【図2】切断装置2の構成を示す構成図である。
【図3】検査装置3の構成を示す構成図である。
【図4】搭載装置4の構成を示す構成図である。
【図5】多面付け基板500の平面図である。
【図6】基板400の平面図である。
【図7】吸着ヘッド51の断面図である。
【図8】半田搭載済基板600の構成を示す断面図である。
【図9】電子部品搭載済基板700の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、球状体搭載方法、球状体搭載システム、球状体搭載済基板および電子部品搭載済基板の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0019】
最初に、図1に示す半田ボール搭載システム(球状体搭載システム)1の構成について説明する。半田ボール搭載システム1は、同図に示すように、搭載対象基板(例えば、図6に示す基板400)に球状体の一例としての微小な球状粒体である半田ボール(マイクロボール)300(図7参照)を搭載可能に構成されている。この場合、基板400は、一例として、図3に示すように、両面に端子401が形成されると共に、両面の端子401を接続するスルーホール402が形成されている。また、基板400は、図5,6に示すように、複数の基板400(ピース)を面付け(配列)した多面付け基板500を切断することによって分割される。また、半田ボール300は、直径が70μm程度の球状に構成されている。また、半田ボール300は、図8に示すように、半田ボール搭載システム1によって基板400の端子401に搭載された後に加熱処理(リフロー処理)がされて溶融され、半球状(同図に示す半田301)となった状態で基板400(端子401)に固着されて基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)を構成し、これによって半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。また、図9に示すように、このようにして製造された半田搭載済基板600には、集積回路等の電子部品701が搭載され、その電子部品701における図外の端子が半田搭載済基板600における基板400に固着された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続され、これによって電子部品搭載済基板700が製造される。
【0020】
一方、半田ボール搭載システム1は、図1に示すように、切断装置2、検査装置3、搭載装置(球状体搭載装置)4、搬送装置5および制御部6を備えて構成されている。切断装置2は、図2に示すように、保持台21および切断機構22を備えて、多面付け基板500を切断して複数の基板400に分割する切断処理を実行する。この場合、保持台21は、図外の供給装置によって供給される多面付け基板500を支持可能に構成されている。切断機構22は、保持台21に載置されている多面付け基板500に切断ブレード(ダイシングブレード)を回転させつつ接触させることによって多面付け基板500を切断する。
【0021】
検査装置3は、図3に示すように、電源部31、電圧検出部32、電流検出部33、複数のプローブ34、および検査部35を備えて、基板400に対する電気的検査を実行して、基板400の良否(具体的には、各端子401や各スルーホール402の断線や短絡の有無)を判別する。この場合、電源部31は、検査用電流I(一例として、直流電流)を出力する。電圧検出部32は、プローブ34を介して検査対象の端子401(スルーホール402)に検査用電流Iが供給されたときに端子401間に生じる電圧Vの電圧値を検出し、電流検出部33は、供給される検査用電流Iの電流値を検出する。検査部35は、電圧検出部32によって検出された電圧Vの電圧値と電流検出部33によって検出された検査用電流Iの電流値とに基づいて端子401間の抵抗値を測定し、その測定値に基づいて端子401(スルーホール402)の断線や短絡の有無、つまり基板400の良否を判別する。
【0022】
搭載装置4は、図4に示すように、半田ボール吸着部41および移動機構42を備えて構成され、半田ボール300を基板400の端子401に搭載する搭載処理を実行する。この場合、半田ボール吸着部41は、吸着ヘッド51(図7参照)、半田ボール供給部および整列用プレート(いずれも図示せず)を備えて、半田ボール300を吸着可能に構成されている。吸着ヘッド51は、同図に示すように、一例として、内部に空隙52が形成された箱状に構成されると共に、吸着面(同図における下面)に開口する複数の吸気孔53が形成されている。この場合、吸着ヘッド51は、空隙52内が排気によって負圧状態となることにより、半田ボール供給部によって供給されて、整列用プレートによって整列された半田ボール300を吸気孔53の縁部に吸着する(同図参照)。移動機構42は、半田ボール300の供給が行われる位置(整列用プレートの配置位置)と基板400が搬送される位置(搭載位置)との間で半田ボール吸着部41の吸着ヘッド51を移動させる。
【0023】
搬送装置5は、切断装置2、検査装置3および搭載装置4の間で基板400を搬送する搬送処理を実行する。具体的には、搬送装置5は、切断装置2によって実行される切断処理で分離された各基板400を検査装置3に搬送する。また、搬送装置5は、検査装置3によって実行される電気的検査において良品と判別された基板400だけを搭載装置4に搬送し、電気的検査において不良品と判別された基板400を所定の保管場所に搬送する。制御部6は、切断装置2、検査装置3、搭載装置4および搬送装置5を制御する。
【0024】
次に、半田ボール搭載システム1を用いて半田ボール300を基板400に搭載する方法(球状体搭載方法)、およびその際の半田ボール搭載システム1の動作について、図面を参照して説明する。
【0025】
この半田ボール搭載システム1では、処理開始が指示されたときに、制御部6が、切断装置2、検査装置3、搭載装置4および搬送装置5に対して各処理の実行を指示する。これに応じて、切断装置2が切断処理を実行する。この切断処理では、切断装置2の保持台21が、図外の供給装置によって供給された多面付け基板500(図5参照)を保持する。次いで、切断装置2の切断機構22が、切断ブレードを回転させつつ多面付け基板500に接触させることによって多面付け基板500を切断する。これにより、図6に示すように、各基板400が分離される。
【0026】
続いて、搬送装置5が、制御部6による処理実行の指示に従って搬送処理を実行する。この搬送処理では、搬送装置5は、切断装置2による切断処理で分離された各基板400を検査装置3に搬送する。
【0027】
次いで、検査装置3が、制御部6の指示に従って電気的検査を実行する。この電気的検査では、検査装置3は、図3に示すように、電源部31によって出力された検査用電流Iをプローブ34を介して検査対象の端子401に供給する。続いて、検査装置3の電圧検出部32が検査用電流Iの供給によって端子401間に生じる電圧Vの電圧値を検出し、検査装置3の電流検出部33が検査用電流Iの電流値を検出する。次いで、検査装置3の検査部35が、電圧Vの電圧値と検査用電流Iの電流値とに基づいて端子401間の抵抗値を測定し、その測定値に基づいて端子401やスルーホール402の断線や短絡の有無を判別する。この場合、検査部35は、断線や短絡が存在していないときにはその基板400を良品と判別し、断線や短絡が存在しているときにはその基板400を不良品と判別する。
【0028】
この場合、この半田ボール搭載システム1では、上記したように切断処理の実行後に基板400に対する電気的検査を実行している。このため、この半田ボール搭載システム1では、多面付け基板500の製造時において端子401やスルーホール402に断線や短絡が生じた基板400を不良品として選別できることに加えて、例えば、切断処理の際の振動などに起因して端子401やスルーホール402に断線や短絡が生じた基板400も不良品として選別することが可能となっている。
【0029】
続いて、搬送装置5は、搬送処理を実行することにより、上記の電気的検査において良品と判別された基板400だけを搭載装置4における所定の搭載位置に搬送する。また、搬送装置5は、電気的検査において不良品と判別された基板400を所定の保管場所に搬送する。
【0030】
一方、搭載装置4は、制御部6の指示に従って搭載処理を実行する。この搭載処理では、搭載装置4の移動機構42(図4参照)が、半田ボール吸着部41の吸着ヘッド51(図7参照)を半田ボール300の供給が行われる位置に移動させる。次いで、半田ボール吸着部41の半田ボール供給部(図示せず)が吸着ヘッド51に対して半田ボール300を供給する。この際に、半田ボール300が整列用プレートによって整列されて、同図に示すように、吸着ヘッド51における吸気孔53の縁部に吸着される。続いて、移動機構42が、搬送装置5によって搭載位置に搬送されている基板400の上方に吸着ヘッド51を移動させ、次いで、半田ボール300が基板400の各端子401に接触するように吸着ヘッド51を下降させる。続いて、搭載装置4は、吸着ヘッド51による半田ボール300の吸着を解除する。これにより、半田ボール300が基板400における端子401上(端子401に塗布された半田フラックス上)に載置される。
【0031】
この場合、この半田ボール搭載システム1(球状体搭載方法)では、上記したように、搬送装置5が制御部6の指示に従って搬送処理を実行して電気的検査において良品と判別された基板400だけを搭載装置4に搬送するため、良品と判別された基板400にのみ搭載装置4によって半田ボール300が搭載される。したがって、この半田ボール搭載システム1では、電気的に不良な基板400に対する半田ボール300の搭載が確実に回避されて、半田ボール300の無駄な消費が抑えられる結果、製造コストを十分に低減することが可能となっている。
【0032】
次いで、切断装置2、検査装置3、搭載装置4および搬送装置5が制御部6の指示に従って上記した各処理を繰り返して実行することにより、良品の基板400のみに対する半田ボール300の搭載が連続して行われる。なお、半田ボール300の搭載が完了した基板400(搭載済みの基板400)は、図外の取り出し装置によって取り出されて、図外の搭載状態検査装置に搬送され、搭載状態検査装置によって半田ボール300が過不足なく搭載されているか否かの搭載状態検査が行われる。この場合、搭載状態検査において不良と判別された基板400は、不良品のストック場所に搬送される。また、搭載状態検査において良好と判別された基板400は、図外のリフロー処理装置に搬送され、そのリフロー処理装置によってリフロー処理(溶融処理)が実行されることにより、図8に示すように、基板400の端子401に搭載された各半田ボール300が溶融されて半球状(同図に示す半田301)となった状態で、端子401に固着する。また、固着された半田301によって基板400上にボールグリッドアレイ(BGA)が構成される。以上により、同図に示すように、半田搭載済基板(球状体搭載済基板)600が製造される。次いで、半田搭載済基板600は、図外の電子部品搭載装置に搬送され、続いて、電子部品搭載装置によって半田搭載済基板600に電子部品701が搭載される。次いで、例えばリフロー処理により、半田搭載済基板600における基板400の端子401に固着された半田ボール300(半田301)が溶融されることで、搭載された電子部品701における図外の端子が、溶融された半田ボール300(半田301)を介して基板400の端子401に接続される。これにより、図9に示すように、電子部品搭載済基板700が製造される。
【0033】
このように、この球状体搭載方法および半田ボール搭載システム1では、基板400が複数面付けされた多面付け基板500を切断して各基板400に分割する切断処理および各基板400に対する電気的検査を所定の順序で実行し、電気的検査において良品と判別された基板400にのみ半田ボール300を搭載する。このため、この球状体搭載方法および半田ボール搭載システム1によれば、電気的に不良な基板400に対する半田ボール300の搭載を確実に回避することができ、これによって半田ボール300の無駄な消費を確実に抑えることができる結果、製造コストを十分に低減することができる。
【0034】
また、この球状体搭載方法および半田ボール搭載システム1では、切断処理を実行した後に電気的検査を実行する。このため、この球状体搭載方法および半田ボール搭載システム1では、例えば、切断処理の際の振動などに起因して端子401やスルーホール402に断線や短絡が生じたとしても、その基板400を不良品として確実に判別することができる。したがって、この半田ボール搭載システム1によれば、多面付け基板500の製造時において生じている不良な基板400に対する半田ボール300の搭載による半田ボール300の無駄な消費を抑えることができるのに加えて、切断処理に起因して生じた不良な基板400に対する半田ボール300の搭載による半田ボール300の無駄な消費も確実に抑えることができる結果、製造コストを一層低減することができる。
【0035】
また、この半田搭載済基板600では、上記の半田ボール搭載システム1(球状体搭載方法)によって基板400に搭載された半田ボール300が溶融されて基板400に固着されている。このため、電気的に良好な基板400だけに半田ボール300が搭載され、これによって半田ボール300の無駄な消費が抑えられる結果、半田搭載済基板600の製造コストが低減されている。したがって、この半田搭載済基板600によれば、製造コストが低減されている分、この半田搭載済基板600に電子部品701を搭載した電子部品搭載済基板700の製造コストを十分に低減することができる。
【0036】
また、この電子部品搭載済基板700では、上記の半田搭載済基板600における基板400に固着された半田ボール300(半田301)を介して接続された電子部品701が半田搭載済基板600に搭載されている。このため、この電子部品搭載済基板700では、半田搭載済基板600の製造コストが低減されている分、この電子部品搭載済基板700の製造コストも十分に低減されている。したがって、この電子部品搭載済基板700によれば、この電子部品搭載済基板700を用いた製品の製造コストを十分に低減することができる。
【0037】
なお、多面付け基板500を切断して各基板400に分割する切断処理を実行した後に基板400に対する電気的検査を実行する方法および構成について上記したが、基板400に対する電気的検査を実行した後に搭載処理を実行し、その後に切断処理を実行する方法および構成を採用することもできる。具体的には、この方法および構成では、検査装置3が、多面付け基板500の状態における各基板400(未切断の状態の各基板400)に対して電気的検査を実行する。次いで、搭載装置4が、多面付け基板500の状態における各基板400に対して半田ボール300を搭載する。この場合、搭載装置4は、制御部6の指示に従い、多面付け基板500における各基板400の中から電気的検査において良品と判別された基板400を選別して、その良品の基板400のみに半田ボール300を搭載する。続いて、半田ボール300が、搭載された多面付け基板500に対してリフロー処理を行う。次いで、切断装置2が、その多面付け基板500を切断して各基板400に分割する。この搭載方法および構成においても、電気的検査において良品と判別された基板400にのみ半田ボール300を搭載するため、電気的に不良な基板400に対する半田ボール300の搭載を確実に回避することができ、これによって半田ボール300の無駄な消費を確実に抑えることができる結果、製造コストを十分に低減することができる。
【0038】
また、基板400に対する電気的検査を実行した後に切断処理を実行し、その後に搭載処理を実行する方法および構成を採用することもできる。具体的には、この方法および構成では、検査装置3が、多面付け基板500の状態における各基板400(未切断の状態の各基板400)に対して電気的検査を実行する。続いて、切断装置2が、多面付け基板500を切断して各基板400に分割する。次いで、切断した各基板400の中から電気的検査において良品と判別された基板400を選別する。続いて、搭載装置4が、良品として選別した基板400のみに対して半田ボール300を搭載する。この搭載方法および構成においても、電気的検査において良品と判別された基板400にのみ半田ボール300を搭載するため、電気的に不良な基板400に対する半田ボール300の搭載を確実に回避することができ、これによって半田ボール300の無駄な消費を確実に抑えることができる結果、製造コストを十分に低減することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 半田ボール搭載システム
2 切断装置
3 検査装置
4 搭載装置
6 制御部
300 半田ボール
301 半田
400 基板
500 多面付け基板
600 半田搭載済基板
700 電子部品搭載済基板
701 電子部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搭載対象基板に球状体を搭載する球状体搭載方法であって、
前記搭載対象基板が複数面付けされた多面付け基板を切断して各搭載対象基板に分割する切断処理および前記各搭載対象基板に対する電気的検査を所定の順序で実行し、前記電気的検査において良品と判別された前記搭載対象基板にのみ前記球状体を搭載する球状体搭載方法。
【請求項2】
前記切断処理を実行した後に前記電気的検査を実行する請求項1記載の球状体搭載方法。
【請求項3】
搭載対象基板に球状体を搭載する球状体搭載装置と、当該球状体搭載装置を制御する制御部とを備えた球状体搭載システムであって、
前記搭載対象基板が複数面付けされた多面付け基板を切断して各搭載対象基板に分割する切断処理を実行する切断装置、および前記各搭載対象基板に対する電気的検査を実行する検査装置を備え、
前記制御部は、前記球状体搭載装置に対して前記電気的検査において良品と判別された前記搭載対象基板にのみ前記球状体を搭載させる球状体搭載システム。
【請求項4】
前記検査装置は、前記切断装置によって分割された前記搭載対象基板に対して前記電気的検査を実行する請求項3記載の球状体搭載システム。
【請求項5】
請求項1または2記載の球状体搭載方法によって前記搭載対象基板に搭載された前記球状体を溶融して当該搭載対象基板に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項6】
請求項3または4記載の球状体搭載システムによって前記搭載対象基板に搭載された前記球状体を溶融して当該搭載対象基板に固着させた球状体搭載済基板。
【請求項7】
請求項5または6記載の球状体搭載済基板に固着された前記球状体を介して接続された電子部品が当該球状体搭載済基板に搭載されている電子部品搭載済基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−49517(P2011−49517A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293897(P2009−293897)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】